(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-10
(45)【発行日】2023-04-18
(54)【発明の名称】チップを提供するための電子商取引管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230411BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022547195
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 JP2021040310
【審査請求日】2022-08-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513126703
【氏名又は名称】永尾 司
(73)【特許権者】
【識別番号】522307487
【氏名又は名称】永尾 公基
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】永尾 司
(72)【発明者】
【氏名】永尾 公基
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-171283(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112272309(CN,A)
【文献】特開2002-109083(JP,A)
【文献】特開2020-17146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の個人または団体に対してチップを提供するための電子商取引管理システムであって、
該システムは、管理サーバと、該管理サーバと通信回線を通じて接続されるユーザ端末を含み、
前記ユーザ端末は、ユーザが入力した、ユーザがチップを渡したいチップ受領者と、チップ額を管理サーバに送信する送信手段とを備え、
前記管理サーバは、
前記ユーザ端末より送信された任意のチップ額および前記チップ受領者を受け付ける受け付け手段と、
前記受け付け手段に入力された前記チップ受領者ごとのチップ額を集計する集計手段と、
前記集計手段により集計されたチップ総額のうち任意の割合または任意の額を、前記管理サーバにより総ユーザの中から選定されたユーザであるチップ還元者に、残りの割合または残りの額を前記チップ受領者に分配する分配手段とを備え、
前記管理サーバは、前記チップ還元者に前記チップが還元される前に、前記任意の割合または任意の額を示した複数の提案を前記チップ受領者に提示し、前記チップ受領者に選択せしめ、
前記管理サーバは、前記チップ還元者の選定を、前記チップが還元される前に実行する
ことを特徴とするチップを提供するための電子商取引管理システム。
【請求項2】
前記チップ還元者の選定は、管理サーバによる無作為な抽出によりなされ、
管理サーバは前記無作為な抽出に関して異なるアルゴリズムを実行しチップ還元者の数およびチップ還元の割合を提示する1または複数のプログラムを有し、管理サーバは前記1または複数のプログラムを前記チップ受領者に提示し、前記チップ受領者に選択せしめることを特徴とする請求項1に記載のチップを提供するための電子商取引管理システム。
【請求項3】
前記チップ受領者が、自らが著作権を有する動画、静止画、小説、絵画をウェブサイト上に投稿し、当該ウェブサイトを通して前記ユーザに前記動画、静止画、小説、絵画を提供する情報提供手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のチップを提供するための電子商取引管理システム。
【請求項4】
前記チップ受領者が当該個人であることを確認する本人認証手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システム。
【請求項5】
前記チップ受領者がウェブサイト上に投稿し
た動画、静止画、小説、絵画の著作権が前記チップ受領者にあることを確認する著作権確認手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システム。
【請求項6】
前記集計手段は、ウェブサイト上に集計された前記チップ総額と、前記チップ還元者への還元額の総額および還元率に従いチップ還元者に分配される金額をリアルタイムで表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システム。
【請求項7】
前記分配手段は、チップ還元者を選定するプログラムを実行することによって、チップ還元者を選定し、
前記プログラムは、
乱数を発生させる乱数発生手段と
前記ユーザの各々を前記乱数発生
手段により発生した前記乱数の各々に割り振るテーブル作成手段と
前記ユーザに割り振られた乱数が基準値を上回ったときに、当該ユーザをチップ還元者として選定する選定手段とを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システム。
【請求項8】
前記管理サーバは、前記チップ受領者が前記チップ還元者にメッセージとして動画、静止画および/または文章を送付できる手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システム。
【請求項9】
前記管理サーバは、前記チップ還元者が前記チップ受領者にメッセージとして動画、静止画および/または文章を送付できる手段を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップを提供するための電子商取引管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
チップはチップ受領者の仕事へのモチベーションを高める。チップはチップ受領者へ感謝の意を伝えることができる。
【0003】
第一にチップは社会におけるサービスやチップ受領者が関与する商品、動画、絵画、小説等の向上に寄与する。自分のためにサービスを与えてくれた人や、自分を感動させてくれた人にチップを渡すことで、チップ受領者は更に高品質なサービスや商品の提供、更に高度なパフォーマンスを披歴しようと思うようになる。チップはサービスや商品の品質向上に対する動機として機能する。
【0004】
第二にチップは人々の間の友好感を増大させる。チップを渡すことで、チップ供与者がチップ受領者を評価していることが明確になるので、チップを渡す行為はチップ受領者に感動を生み出す。これによりチップ供与者とチップ受領者の間の友好感が増す。チップは、社会における人間関係をより緊密にする方向に作用する。チップは社会の潤滑剤として働く。
【0005】
上述のように、チップは社会をより良くするための潤滑油の役割を果たすので、社会の中でチップを渡すことのできる局面を増やすことは社会をより良くするための方法として妥当なものであると言える。
【0006】
しかしながら、近年チップを渡したくても渡すことができない局面が増えてきた。通常チップは対面で渡すものであるが、通信メディアやインターネットの発達とともに、必ずしもサービスは対面で与えられるものではなくなり、また感動がパフォーマーと対面する場所で与えられるとは限らなくなった。例えば外国でのサッカーの試合やオリンピックなどである。したがってチップを渡したい人にチップを渡せないという事態が生じるようになった。このことは、社会においてチップを渡すことができる機会をより減少させるので、チップが仕事へのモチベーションを高めたり、チップによってチップ受領者に感謝の意が伝えられることが難しい場合が増えてきた。
【0007】
特許文献1には、商品やサービスに対するチップ供与者による任意の投げ銭(チップに相当する)の額を決済処理する決済処理部を有する電子商取引システムが開示されている。(当該電子商取引システムにおいては、システムのユーザがチップを供与する者となるので、以後チップ供与者をユーザと呼ぶ。)本システムにより、たとえどんなに離れた場所に居る人であってもチップを渡すことができるので、通信メディアやインターネットの発達により、ユーザとチップ受領者が離れた場所に居る機会が増えたとしても、社会の中でチップを渡す機会が減じられることは無い。
【0008】
前記特許文献1には、チップの額に応じてユーザ端末に特典を提示する提示部を有する電子商取引システムが開示されている。電子商取引管理サーバがユーザ端末に特典を提示するので、商品またはサービスの提供活動を促進しつつ、ユーザにとってよりチップ(投げ銭)の動機付けを高めることができる。チップの動機付けが高まることは、社会の中でチップを渡す機会を増やすので、本要件(チップの額に応じてユーザ端末に特典を提示する提示部)によって、チップがサービスや商品の品質向上に対する動機として作用し、チップ受領者に感謝の意が伝えられるように作用する。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された「ユーザ端末に特典を提示する提示部を有する電子商取引システム」における特典は以下に示す点において卓越した効果を示すものではない。
【0010】
第1に、特許文献1に開示された特典は「HPへの氏名表示」、「講演会ご招待」などであって、直接的、間接的にユーザが金銭に変換できるような特典ではない。
【0011】
第2に、特許文献1によれば、特典は一意的にチップの額のみにより決定されるので、ユーザが渡したチップ額に対し予定調和な範囲にある。さらに、特許文献1による特典は、当該ユーザが供与したチップ金額以上の価値となることは生じ得ない。ユーザはもしかすると特典によって、自分が供与したチップ金額以上の利益を得ることができるかもしれないという考えを抱くことは無いので、チップを供与する行為を一種のイベントとして捉えた場合、特許文献1に係る発明に開示されたチップ供与は、チップ還元への期待感による興趣向上は全く無い。
【0012】
上述のように、特許文献1に記載の発明は、確かにユーザがチップを渡すことの動機付けをある程度は高めることができるものの、その程度は限定的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ユーザとチップ受領者とが互いに離れた場所に居たとしてもチップを円滑に受け渡すことができ、総ユーザの中から抽選で選ばれたユーザに対して総チップの一部が還元され、該還元が直接的、間接的に金銭に変換してもよい還元であり、チップ還元の額はユーザが供与したチップ金額以上の価値となりユーザの予測不可能な大きな還元となる場合を含むため還元への期待感による興趣向上が期待でき、結果としてユーザがチップを渡すことの動機付けを高めることができ、ユーザとチップ受領者との間の強い友好感を醸成することができ、単なるチップ供与の行為を一種のイベントにまで高めることができる、チップを提供するための電子商取引管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明は、特定の個人または団体に対してチップを提供するための電子商取引管理システムであって、該システムは、管理サーバと、該管理サーバと通信回線を介して接続されるユーザ端末とを含み、前記ユーザ端末は、ユーザが入力した、ユーザがチップを渡したいチップ受領者と、チップ額を管理サーバに送信する送信手段とを備え、前記管理サーバは、前記ユーザ端末より送信された任意のチップ額および前記チップ受領者を受け付ける受け付け手段と、前記受け付け手段に入力された前記チップ受領者ごとのチップ額を集計する集計手段と、前記集計手段により集計されたチップ総額のうち任意の割合または任意の額を、前記管理サーバにより総ユーザの中から選定されたユーザであるチップ還元者に、残りの割合または残りの額を前記チップ受領者に分配する分配手段とを備え、ここで、前記管理サーバは、前記チップ還元者に前記チップが還元される前に、前記任意の割合または任意の額を示した複数の提案を前記チップ受領者に提示し、前記チップ受領者に選択せしめ、前記管理サーバは、前記チップ還元者の選定を、前記チップが還元される前に実行することを特徴とするチップを提供するための電子商取引管理システムに関する。
【0016】
請求項2に係る発明は、前記チップ還元者の選定が、管理サーバによる無作為な抽出によりなされ、管理サーバは前記無作為な抽出に関して異なるアルゴリズムを実行しチップ還元者の数およびチップ還元の割合を提示する1または複数のプログラムを有し、管理サーバは前記1または複数のプログラムを前記チップ受領者に提示し、前記チップ受領者に選択せしめることを特徴とする請求項1に記載のチップを提供するための電子商取引管理システムに関する。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記チップ受領者が、自らが著作権を有する動画、静止画、小説、絵画をウェブサイト上に投稿し、当該ウェブサイトを通して前記ユーザに前記動画、静止画、小説、絵画を提供する情報提供手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のチップを提供するための電子商取引管理システムに関する。
【0018】
請求項4に係る発明は、前記チップ受領者が当該個人であることを確認する本人認証手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システムに関する。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記チップ受領者がウェブサイト上に投稿した動画、静止画、小説、絵画の著作権が前記チップ受領者にあることを確認する著作権確認手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システムに関する。
【0020】
請求項6に係る発明は、前記集計手段が、ウェブサイト上に集計された前記チップ総額と、前記チップ還元者への還元額の総額および還元率に従いチップ還元者に分配される金額をリアルタイムで表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システムに関する。
【0021】
請求項7に係る発明は、前記分配手段が、チップ還元者を選定するプログラムを実行することによって、チップ還元者を選定し、前記プログラムは、乱数を発生させる乱数発生手段と、前記ユーザの各々を前記乱数発生手段により発生した前記乱数の各々に割り振るテーブル作成手段と、前記ユーザに割り振られた乱数が基準値を上回ったときに、当該ユーザをチップ還元者として選定する選定手段と、を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システムに関する。
【0022】
請求項8に係る発明は、前記管理サーバは、前記チップ受領者が前記チップ還元者にメッセージとして動画、静止画および/または文章を送付できる手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システムに関する。
【0023】
請求項9に係る発明は、前記管理サーバは、前記チップ還元者が前記チップ受領者にメッセージとして動画、静止画および/または文章を送付できる手段を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のチップを提供するための電子商取引管理システムに関する。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に係る発明は、特定の個人または団体に対してチップを提供するための電子商取引管理システムであって、該システムは、管理サーバと、該管理サーバと通信回線を通じて接続されるユーザ端末を含み、前記ユーザ端末は、ユーザが入力した、ユーザがチップを渡したいチップ受領者と、チップ額を管理サーバに送信する送信手段とを備え、前記管理サーバは、前記ユーザ端末より送信された任意のチップ額および前記チップ受領者を受け付ける受け付け手段と、前記受け付け手段に入力された前記チップ受領者ごとのチップ額を集計する集計手段を備えているので、チップを渡したい人とチップ受領者とが互いに離れた場所に居たとしてもチップを円滑に受け渡すことができる。
【0025】
前記集計手段により集計されたチップ総額のうち任意の割合または任意の額を、前記管理サーバにより選定されたユーザであるチップ還元者に、残りの割合または残りの額を前記チップ受領者に分配する分配手段とを備え、ここで、前記管理サーバは、前記チップ還元者に前記チップが還元される前に、前記任意の割合または任意の額を示した複数の提案を前記チップ受領者に提示し、前記チップ受領者に選択せしめ、前記管理サーバは、前記チップが還元される前に、前記チップ還元者の選定を実行するので、直接的、間接的に金銭に変換できるチップ還元とすることができる。チップ還元は渡したチップ額に対し予測可能なものではなく、むしろ当該ユーザが供与したチップ金額以上の金額となる可能性を含むので、ユーザはもしかすると還元によって利益を得ることができるかもしれないという考えを抱くことができる。チップを供与する行為を一種のイベントとして捉えた場合、イベントの興趣向上が期待でき、ユーザがチップを渡すことの動機付けを高めることができる。
【0026】
請求項2に係る発明は、前記チップ還元者の選定が、管理サーバによる無作為な抽出によりなされ、管理サーバは前記無作為な抽出に関して異なるアルゴリズムを実行しチップ還元者の数およびチップ還元の割合を提示できる1または複数のプログラムを有し、管理サーバは前記1または複数のプログラムを前記チップ受領者に提示し、前記チップ受領者に選択せしめることを特徴とするので、チップ還元額は渡したチップ額に対し予測可能なものではなく、むしろ当該ユーザが供与したチップ金額以上の金額となる可能性を含む。よってユーザはもしかするとチップ還元者に選ばれることよって利益を得ることができるかもしれないという考えを抱くことができ、チップを供与する行為を一種のイベントとして捉えた場合、興趣向上が期待できる。ユーザがチップを渡すことの動機付けを高めることができる。
【0027】
請求項3に係る発明は、前記チップ受領者が、自らが著作権を有する動画、静止画、小説、絵画をウェブサイト上に投稿し、当該ウェブサイトを通して前記ユーザに前記動画、静止画、小説、絵画を提供する情報提供手段を備えるので、ユーザは情報提供手段に投稿された映像作品を鑑賞し、この映像作品に対して感動を受けた場合に、映像作品の作者に対してチップを供与することができる。
【0028】
請求項4に係る発明は、前記チップ受領者が当該個人であることを確認する本人認証手段を備えるので、第3者がチップ受領者になりすましてチップを受領することが無くなる。確実にチップを渡したい人にチップを渡すことができる信頼性、安全性の高いシステムを提供できる。
【0029】
請求項5に係る発明は、前記チップ受領者がウェブサイト上に投稿した動画、静止画、小説、絵画の著作権が前記チップ受領者にあることを確認する著作権確認手段を備えるので、チップ受領者が他人の作品をウェブサイトに投稿し、本来受領すべきではないチップを受領するといったトラブルを未然に防ぐことができ、信頼性、安全性の高いシステムを提供できる。
【0030】
請求項6に係る発明は、前記集計手段が、ウェブサイト上に集計された前記チップ総額と、前記チップ還元者への還元額の総額および還元率に従いチップ還元者に分配される金額をリアルタイムで表示するので、ユーザはチップ供与を一つのショーとして捉えることができ、その興趣向上が期待できる。結果としてユーザがチップを渡すことの動機付けを高めることができる。
【0031】
請求項7に係る発明は、前記分配手段が、チップ還元者を選定するプログラムを実行することによって、チップ還元者を選定し、前記プログラムは、乱数を発生させる乱数発生手段と前記ユーザの各々を前記乱数発生手段により発生した前記乱数の各々に割り振るテーブル作成手段と前記ユーザに割り振られた乱数が基準値を上回ったときに、当該ユーザをチップ還元者として選定する選定手段を含むので、プログラムを変更することで選定基準を変更することができ、ユーザにとって意外性のある選定が実現できる。
【0032】
請求項8に係る発明は、前記管理サーバが、前記チップ受領者が前記チップ還元者にメッセージとして動画、静止画および/または文章を送付できる手段を有することを特徴とするので、チップ受領者はチップ還元者に友好感を示すことができる。またそれを他の人にも見せることができたならば、それ自体が1つのイベントになり、チップ還元者はそのメッセージ自体が非常に価値のあるものになる。
【0033】
請求項9に係る発明によれば、前記管理サーバは、前記チップ還元者が前記チップ受領者にメッセージとして動画、静止画および/または文章を送付できる手段を有することを特徴とするので、チップ還元者はチップ受領者に感謝の意を伝えることができる。本メッセージは他のユーザに公開された場合、チップ還元者はチップ供与及び還元をイベントとして一層盛り上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態1にかかる構成例を示す図である。
【
図2】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態1にかかるチップの流れを示す図である。
【
図3】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムのチップ還元者選定アルゴリズムの例を示す。(a)は、ハイリスクハイリターン型のアルゴリズムの例を示す。(b)は、ローリスクローリターン型のアルゴリズムの例を示す。
【
図4】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態1にかかる管理サーバが行うプロセスと、チップ受領者端末と管理サーバの間でなされる情報交換の全体の流れを示すフローチャートを示す図である。
【
図5】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態1にかかる端末画面を示す図である。(a)はチップ受領者の登録画面を示し、(b)はチップ受領者のイベント登録画面を示す。
【
図6】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態1にかかる管理サーバが行うプロセスと、ユーザ端末、チップ受領者端末および管理サーバの間でなされる情報交換の全体の流れを示すフローチャートを示す図である。
【
図7】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態1にかかる端末画面を示す図である。(a)はユーザの検索画面を示し、(b)はユーザのチップ供与エントリー画面を示し、(c)はチップ還元者のチップ還元受け取り画面を示す。
【
図8】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態2にかかる構成例を示す図である。
【
図9】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態2にかかる端末画面を示す図である。チップ受領者のイベント登録画面を示す。
【
図10】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態2にかかる端末画面を示す図である。(a)はユーザの検索画面を示し、(b)はチップ受領者の動画供給およびユーザのチップ供与画面を示し、(c)はチップ還元受け取り画面を示す。
【
図11】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態3にかかる端末画面を示す図である。(a)はチップ受領者によるライブ映像供給およびユーザのチップ供与画面を示し、(b)はチップ還元受け取り画面を示す。
【
図12】本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムのハードウェアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係るチップを提供するための電子商取引管理システムの実施形態について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0036】
[実施の形態1]
【0037】
図1は、チップを提供するための電子商取引管理システム(1)において最も基本的な実施形態の構成例を示す。システムは管理サーバ(10)と多数のユーザ端末(11)およびチップ受領者端末(12)より構成される。管理サーバ(10)は大規模データセンターにあるメインフレームであってよい。ユーザ端末(11)およびチップ受領者端末(12)は管理サーバ(10)とインターネット回線で繋がれたパソコンおよび携帯端末であってよい。
【0038】
ユーザ端末(11)は、不特定多数のユーザ(21)によって操作される。ユーザ(21)はチップ受領者(20)およびチップ供与額を決定し、ユーザ端末(11)を通じてそれらを管理サーバ(10)に送信する。
チップ受領者端末(12)はチップ受領者(20)によって操作される。チップ受領者(20)はチップ受領者端末(12)を通じて、自身の登録およびイベントの登録を行う。
【0039】
管理サーバ(10)は受付手段(3)と、集計手段(4)と、分配手段(5)を具備する。
【0040】
受付手段(3)は、ユーザ端末(11)より送信された、ユーザ(21)がチップを供与しようとするチップ受領者(20)の名前、およびチップ額を受け付ける。受付手段(3)は、さらに、チップ受領者端末(12)から送信されたチップ受領者(20)のシステムへの登録情報の処理および、チップ受領者(20)が立ち上げるイベントの登録処理を行う。集計手段(4)はユーザ(21)から供与されたチップ額をチップ受領者(20)毎に集計する。
【0041】
分配手段(5)はチップ受領者(20)ごとに集計されたチップの還元をユーザ(21)に行う。
還元は全てのユーザ(21)に対して平等に行われなくてもよい。あるユーザ(21)に対しては大きな額の還元をするが、あるユーザ(21)に対しては小さな額の還元しかされなくてもよい。あるユーザ(21)に対しては全く還元がなされなくてもよい。還元を受けるユーザ(21)の選定は還元額の決定は管理サーバ(10)による無作為な抽出によってなされてもよい。
【0042】
図2は、上述のチップ還元を中心としたチップの流れを示している。チップは多数のユーザから集められ管理サーバ(10)の分配手段により総ユーザの中から選ばれたユーザ(以後チップ還元者(22)と呼ぶ)および/または、第3者(23)に還元される。第3者(23)への還元については後述する。
図2の例は、チップ還元者(22)は5人のユーザ(21)のうちの1人および第3者(23)である状態を示している。チップ総額から還元が支払われたのち、還元割合または還元額を差し引いた残りの割合または残りの額は前記チップ受領者(20)に渡される。
【0043】
大きな額がチップ還元者(22)に還元される確率は、大きな額をチップとして供与してくれたユーザ(21)に対しては大きく、小さな額をチップとして供与してくれたユーザ(21)に対しては小さくしてもよい。本構成により、より大きな金額を出したユーザ(21)に対する公平性が担保される。公平な方法でチップ還元者(22)が選ばれることは、ユーザ(21)がチップを渡すことの動機付けを高める。
【0044】
管理サーバ(10)は、無作為な抽出方法に関して異なるアルゴリズムを実行する1または複数のプログラムを有していてもよい。管理サーバ(10)は前記1または複数のプログラムをチップ受領者(20)に提示し、チップ受領者(20)が好むプログラムを選択させてもよい。
このプログラムは、乱数を発生させる乱数発生手段と、ユーザの各々を、前記乱数発生手段により発生した前記乱数の各々に割り振るテーブル作成手段と、前記ユーザに割り振られた乱数が基準値を上回ったときに、当該ユーザをチップ還元者(22)として選定する選定手段とを含んでいる。基準値を発生する乱数の範囲の上限近くに設定したときには、選定されるチップ還元者(22)の人数は少なくなる。代わりに、もらえる還元額は大きくなる。このプログラムは、ハイリスクハイリターン型の選定手段となる。基準値を発生する乱数の範囲の上限から離れた値に設定したときには、選定されるチップ還元者(22)の人数は多くなる。代わりに、もらえる還元額は小さくなる。この場合プログラムは、ローリスクローリターン型の選定手段となる。
【0045】
図3は、異なるアルゴリズムを有するプログラムの例を示す。(a)は、ハイリスクハイリターン型のアルゴリズムの例を示す。チップ受領者(20)は集まったチップの70%を受け取り、たった1人のチップ還元者(22)には、30%ものチップが還元される。(b)は、ローリスクローリターン型のアルゴリズムの例を示す。チップ受領者(20)は60%を受け取る。チップ還元者(22)は5人いる。3人のチップ還元者(22)は10%を還元され、2人のチップ還元者(22)は5%を還元される。(a)に比べて、より多くのユーザにチップが還元される代わりに、1人当たりのチップ還元額は少ない。
1または複数のプログラムは、内部記憶装置だけでなく、USB、ROM、SDカードなどの外部記憶装置に書き込まれていてもよい。
【0046】
当該1または複数のプログラムの選定時期は、還元の直前であってもよく、ユーザ(21)によるチップ供与が始められる前であってもよく、チップの供与が始められた後チップの総額がある額に達したときであってもよく、チップの供与が始められた後チップを供与するユーザ(21)がある人数に達したときであってもよい。
【0047】
チップ受領者(20)がチップ還元者(22)に還元する総額は、管理サーバ(10)が示す選択肢の中からチップ受領者(20)が選択してもよい。還元する総額は受け取ったチップ総額に対する割合で決められてもよく、金額の絶対値として決められてもよい。
【0048】
還元される総額の決定時期は、還元の直前であってもよく、ユーザ(21)によるチップ供与イベントが始められる前であってもよく、チップ供与イベントが終了した後であってよく、チップの供与が始められた後チップの総額がある額に達したときであってもよく、チップの供与が始められた後チップを供与するユーザ(21)がある人数に達したときであってもよい。
【0049】
還元が行われる時期は、例えばサッカー等の試合のようにチップ供与イベントの時間がチップ受領者(20)の意思に関係なく終了する場合には試合終了直後であってよい。また後述のようにチップ供与イベントがウェブサイトへの動画投稿でありチップ供与イベントの終了時刻がチップ受領者(20)の意思により決定できる場合には、チップ受領者(20)が還元を行う時期を自由に決めてもよい。
【0050】
チップの還元はユーザ(21)に対してではなくチップ受領者(20)が定めた第3者(23)になされてもよい。第3者(23)はチップ受領者(20)が定めた外部団体であってもよい。例えばチップ受領者(20)が環境保護に対して興味を持っている場合、集まったチップの一部を第3者(23)である環境団体に還元してもよい。チップ受領者(20)はチップの環境団体への寄付をユーザ(21)に公表してもよい。寄付を公表することで、チップ受領者(20)は自身が有する思想をメッセージとしてユーザ(21)に伝えることができる。ユーザ(21)は、受け取ったメッセージに共感を抱くことができる場合、チップ供与の動機を高められる。
【0051】
チップ受領者(20)と当該システムの関係について述べる。
図4には、管理サーバ(10)が行うプロセスと、チップ受領者端末(12)と管理サーバ(10)の間でなされる情報交換の全体の流れを示すフローチャートを示す。
図5には、本発明のチップを提供するための電子商取引管理システム(1)におけるチップ受領者(20)の端末(12)の画面を示す。
【0052】
第1に、チップ受領者Aは、自身を、本発明のチップを提供するための電子商取引管理システム(1)に登録する。
図5(a)はチップ受領者端末(12)におけるチップ受領者Aの登録画面である。チップ受領者Aはシステムに自分の名前、連絡先、本人確認に必要な事項などを入力し、本人確認に必要な免許証などの書類のコピーをシステムにアップロードしてもよい。
本発明のシステムは、審査を行った後、本人が入力したメールアドレスへの確認メールを送るか、本人が入力した住所宛に転送不要郵便で確認書類を送付し、チップ受領者Aがそれに返答を行うことによって本人確認を完了させてもよい。
チップ受領者Aが本人であることが確認された場合、チップ受領者Aにはチップ受領者登録番号とパスワードが付与されてもよい。
【0053】
チップ受領者Aがサッカーチームなどのチームに属している選手の場合、チップ受領者Aのシステムへの登録はチームの認証を必要としてもよい。このとき、チップ受領者はチームにより認証されなければ、チームの係わるイベントにおいてチップを集めることはできない。
チップ受領者Aがシステムへの登録に関して所属チームの承認を得た場合、「チームのメンバーとしてのチップ受領者A」の登録番号は、所属チームの登録番号と、予め有していた個人の登録番号を組み合わせたものであってもよい。例えば所属チームの登録番号が123、個人の登録番号が45678であった場合、「チームのメンバーとしてのチップ受領者A」の登録番号は123-45678となる。すなわち、チームの係わるイベントにおいては、個人の登録番号が45678であるチップ受領者Aは、123-45678の番号を使用しないと、チップを集めるイベントを主催できない。
【0054】
チップ受領者Aは自分をチームの一員であると管理サーバ(10)に認証させるためにチーム当局に一回限りの認証番号の発行を求めることができる。チームが発行した認証番号をシステムへの登録画面で打ち込むことによって、チップ受領者Aがチームの一員であるという証明がなされてもよい。この認証番号は1回の使用に限り有効であり、チップ受領者Aとその所属チームとの関係のみを証明するものなので、A以外のチップ受領者が、この番号を再度使用して当該所属チームの一員であることを証明することはできない。さらに、チップ受領者Aが所属チームを離脱したときには、チームは一方的に「チームのメンバーとしてのチップ受領者A」の登録番号123-45678を無効にする権限を有する。
【0055】
第2に、チップ受領者Aは、例えば自身の出場する試合に合わせてチップ供与イベントXを立ち上げるために、チップ受領者端末(12)を通じて管理サーバ(10)にログインする。ログインのために管理サーバ(10)はチップ受領者Aに対してパスワードを要求する。打ち込まれたパスワードを登録されたパスワードと照合することによって、管理サーバ(10)はログインした者がチップ受領者A本人であることを確認する。本人であることが確認されたのち、チップ受領者Aはチップ供与イベントXを管理サーバ(10)に登録する。管理サーバ(10)は、イベントXにイベント番号を付与する。このイベント番号はイベントXに対してのみ有効である。イベント番号は、例えばイベントXである試合が終了しユーザ(21)への還元処理が済んだ後は消去されてもよい。
【0056】
図5の(b)はチップ受領者AによるイベントXの登録画面であり、特に登録が終わりイベント番号(X98765)が付与された様子を示している。チップ受領者Aは、ユーザ(21)がチップを供与するイベントXを定義している。イベントXを定義する要素は、イベントの名前、イベントの日、イベントの開始時刻と終了時刻、ユーザ(21)に還元する額を何時決定するかの選択、ユーザ(21)に還元するチップ総額の選択、およびどのようなプログラムを用いてチップ還元者(22)を選択するかの選択である。ここで、ユーザ(21)に還元するチップ総額の指定方法は、金額の絶対値の指定であってもよく、または集められたチップ総額全体に対する割合の指定であってもよい。管理サーバ(10)は、イベントXの定義の局面において選択肢を提供し、チップ受領者Aは選択肢から適切と思うものを選択する。本例においては、ユーザ(21)への還元額を決定するのはイベントXの終了後であるので、現時点でユーザ(21)への還元率または還元金額は提示されていない。
【0057】
次にユーザ(21)と本発明のチップを提供するための電子商取引管理システム(1)の関わりについて述べる。
図6には、管理サーバ(10)が行うプロセスと、ユーザ端末(11)、チップ受領者端末(12)および管理サーバ(10)の間でなされる情報交換の全体の流れを示すフローチャートを示す。
【0058】
第1に、ユーザ(21)は検索画面でチップ供与をしたいイベントを探すことができる。
図7の(a)はユーザ端末(11)においてユーザ(21)がイベントを検索する画面である。この画面では、チップ受領者A(123-45678)に対する情報(国籍、本拠地、ジャンル)が示され、当該チップ受領者Aがチップ供与を募集しているイベントの一覧がイベント番号と共に示されている。
第4に、ユーザ(21)はイベントをタッチすることで、当該イベントに対するチップ供与エントリー画面を参照することができる。
図7の(b)にチップ供与エントリー画面を示す。チップ供与エントリー画面にはチップ受領者Aに対するチップ供与額が選択できるように表示されている。ユーザ(21)はチップ供与額を選択し送金ボタンを押すことによりチップ受領者Aに対するチップ供与を行うことができる。本システムはクレジットカード会社と提携をし、クレジットカードを通じてチップが選手に支払われる仕組みであってもよい。
【0059】
チップ受領者Aが一部の還元を第3者(23)に対して行う場合には、その旨が画面に明記されていてもよい。
【0060】
図7の(c)には、チップが還元される画面が示されている。チップ還元者(22)への還元額が画面上に表示されてもよい。還元は現金である必要は無く、ポイントや仮想通貨であってもよい。
【0061】
同図には、チップ受領者Aのチップ還元者(22)へのメッセージとして文章が表示されている。本機能を通じて、チップ受領者Aはチップ還元者にメッセージを送ることでチップ還元者(22)に対する友好感を高めることができる。またメッセージを他の人にも見せることができたならば、それ自体が1つのイベントになり、チップ還元者(22)はそのメッセージ自体は非常に価値のあるものと感じるようになる。
【0062】
チップ還元者(22)がチップ受領者Aにメッセージとして動画、静止画および/または文章を送付してもよい。チップ還元者(22)はチップ受領者Aに感謝の意を伝えることができる。本メッセージは他のユーザ(21)にも公開されるので、チップ還元者(22)はチップ供与及び還元をイベントとして盛り上げることができる。
【0063】
[実施の形態2]
図8には、チップを提供するための電子商取引管理システム(1)の実施形態2の構成が示されている。実施形態2には、
図1に示した基本的な構成に比して、情報提供手段が追加されている。該情報提供手段には、ウェブサイトが含まれている。チップ受領者Bは、動画、静止画、小説、絵画をこのウェブサイト上に投稿し、当該ウェブサイトを通してユーザ(21)に動画、静止画、小説、絵画を提供してもよい。ユーザ(21)は情報提供手段に投稿された動画、静止画、小説、絵画などの映像作品を鑑賞し、この映像作品に対して感動を受けた場合に、映像作品の作者に対してチップを供与してもよい。
図1に示した基本的な実施形態1では、ユーザ(21)に対するサービスはチップを提供するための電子商取引管理システム(1)とは別のシステムによって提供されていたのに対して、
図8に示す実施形態2では、ユーザ(21)に対するサービスも本チップを提供するための電子商取引管理システム(1)の一部によって提供されている点が、両者の相違点と言える。
【0064】
図8に示す実施形態2では、チップ受領者Bは動画、静止画、小説、絵画などの映像作品を投稿することができるが、投稿しているのが本当にチップ受領者Bであることが確認されてもよい。投稿しているのが本当にチップ受領者Bであることの確認がない場合、例えば第3者が悪意を持ってチップ受領者Bになりすましチップ受領者Bの作品ではない映像作品を投稿することが生じ、悪意の第3者がチップ受領者Bの名前を利用して、チップを不正に受領してしまう可能性がある。本発明のチップを提供するための電子商取引管理システム(1)においては、チップ受領者Bが当該個人であることを確認する本人認証手段(8)を備えることにより、上述の事態を避けることができる。
【0065】
チップ受領者Bが当該個人であることを確認する本人認証手段(8)のうち最も簡単なものは、チップ受領者Bが、本発明のチップを提供するための電子商取引管理システム(1)にパスワードによってログインするようシステムを設計し、パスワードによってログインして初めて動画を投稿することができるようにすることである。パスワードの秘匿性が担保されているという前提下ではあるが、動画を投稿したのが、チップを提供するための電子商取引管理システム(1)に登録されたチップ受領者B本人であるという確証を得ることができる。
【0066】
チップ受領者Bがウェブサイト上に投稿した動画、静止画、小説、絵画の著作権がチップ受領者Bにあることが確認されてもよい。たとえ映像作品を投稿したのがチップ受領者B本人であるということが確かであったとしても、映像作品がチップ受領者B本人によって製作されたものである確証はない。チップ受領者Bが他人の作品を投稿することでチップを得た場合、問題が生じる。本発明のチップを提供するための電子商取引管理システム(1)は、投稿された映像作品の著作権がチップ受領者Bにあることを確認する著作権認証手段(7)を備えることにより、上述の事態を避けることができる。
【0067】
投稿された映像作品の著作権がチップ受領者Bにあることを確認する著作権認証手段(7)で最も簡単なものは、ウェブサイトに「投稿された映像作品の著作権が他人の著作権を侵害した場合には投稿者が責任を負う」という警告文を掲載することである。
【0068】
図9は、
図8に示す実施形態2におけるチップ受領者(20)の端末(12)を示す。チップ受領者Bは動画登録およびチップ供与イベントYの登録をこの画面で行う。
チップを提供するための電子商取引管理システム(1)へのチップ受領者Bの登録は済んでいるものとする。登録方法は実施形態1で示した方法と同じであるので説明を省略する。
チップ受領者Bは動画を登録すると同時にユーザ(21)がチップを供与するイベントYを定義している。イベントYを定義する要素は、動画名、イベントYの開始時刻と終了時刻、国籍、本拠地、ジャンル、ユーザ(21)に還元するチップの額または割合を何時決定するかの選択、ユーザ(21)に還元するチップ総額の選択、およびどのようなプログラムを用いてチップ還元者(22)を選択するかの選択である。ここで、ユーザ(21)に還元するチップ総額の指定方法は、金額の絶対値の指定であってもよく、または集められたチップ総額全体に対する割合の指定であってもよい。管理サーバ(10)は、イベントYの定義における選択肢を提供し、チップ受領者Bは選択肢から適切と思うものを選択してもよい。イベントYの開始時期と終了時期はチップ受領者(20)により決められてもよい。本図においては動画を投稿した後の画面を示しているので、イベント番号(Y87654)が管理サーバ(10)により付与されている。このイベント番号はイベントYに対してのみ有効である。イベント番号Y87654は、例えば試合が終了しユーザ(21)への還元処理が済んだ後は消去されてもよい。
【0069】
次にユーザ(21)と本発明のチップを提供するための電子商取引管理システム(1)の関わりについて述べる。第1に、ユーザ(21)はユーザ端末(11)の検索画面でチップ供与をしたいイベントを検索してもよい。
図10の(a)はユーザ(21)がイベントを検索する画面である。この画面では、チップ受領者B(23456)に対する情報(国籍、本拠地、ジャンル)が示され、当該チップ受領者Bがチップ供与を募集しているイベントの一覧がイベント番号と共に示されている。
【0070】
第2に、ユーザ(21)はイベント番号をタッチすることで、動画を見ることができ、さらに当該イベントに対するチップ供与を行うことができる。
図10(b)の画面は、チップ受領者Bが投稿した動画を表示すると同時に、チップ受領者Bに対するチップ供与額が選択できるようになっている。ユーザ(21)はチップ供与額を選択し送金ボタンを押すことによりチップ受領者Bに対するチップ供与を行うことができる。本システムはクレジットカード会社と提携をし、クレジットカードを通じてチップが選手に支払われる仕組みであってもよい。
【0071】
図10の(c)には、チップが還元される画面が示されている。チップ還元者(22)に対する還元額が画面上に表示されてもよい。還元は現金である必要は無く、ポイントや仮想通貨等であってもよい。
【0072】
同図には、チップ受領者Bのチップ還元者(22)へのメッセージとして文章が表示されている。
【0073】
チップ還元者(22)は、チップ受領者Bにメッセージとして動画、静止画および/または文章を送付してもよい。
【0074】
[実施の形態3]
図11の(a)は実施形態3におけるユーザ端末(11)の表示画面を示す。実施形態3には、
図1に示した基本的な構成に比して、情報提供手段が追加されている。該情報提供手段には、ウェブサイトが含まれている。例えばチップ受領者(20)は、スポーツ選手であった場合、自分の試合をウェブサイト上で見られるようにし、且つ、ウェブサイト上に集計されたチップ総額と、ユーザ(21)への還元額の総額をリアルタイムで表示してもよい。ユーザ(21)は情報提供手段に表示された試合における選手の活躍をリアルタイムで鑑賞しながら、チップ受領者(20)に与えられるチップ総額とユーザ(21)への還元額の総額を知ることができるので、臨場感のある一つのショーとして、チップ供与を楽しむことができる。チップの供与をイベントとして捉えた場合、その興趣向上が期待でき、結果としてユーザ(21)がチップを渡すことの動機付けを高めることができる。
【0075】
このとき、ユーザ(21)に提供されるチップ受領者(20)のライブ映像は、チップ受領者(20)が第3者に私的に依頼して撮影をしてもらい、インターネットを経由して配信してもらう映像であってよい。
【0076】
図11(b)には、チップが還元される画面が示されている。チップ還元者(22)に対する還元額が画面上に表示されてもよい。還元は現金である必要は無く、ポイントや仮想通貨等であってもよい。
【0077】
同図には、チップ受領者(20)のチップ還元者(22)へのメッセージとして文章が表示されている。
【0078】
チップ還元者(22)はチップ受領者(20)にメッセージとして動画、静止画および/または文章を送付してもよい。
【0079】
尚、実施の形態1乃至3において、額の多少にこだわらず、管理サーバ(10)は、チップ還元者(22)がチップの還元を受け取るか否かをチップ還元者(22)に確認してもよい。管理サーバ(10)は、チップ還元者(22)にチップの還元を与えるか否かをチップ受領者(20)に確認してもよい。チップ還元者(22)がチップの還元を受け取ると回答し、且つチップ受領者(20)がチップの還元をチップ還元者(22)に与えると回答した場合には、管理サーバ(10)はチップ還元者(22)にチップの還元を行ってもよい。
それ以外の場合、すなわち、チップ還元者(22)がチップの還元を受け取らないと回答するか、チップ受領者(20)がチップの還元をチップ還元者(22)に与えないと回答するか、またはこれら2つの回答が重複してなされたときには、管理サーバ(10)は、以下のいずれかをチップ受領者(20)に選択せしめてもよい。
A「管理サーバ(10)が、チップ還元者(22)以外のユーザを新しいチップ還元者(22)として再選定する」、B「チップはすべてチップ受領者(20)がうけとる」、C「チップの還元額は、次回のチップが還元されるイベントにおけるチップ還元者(22)に持ち越される。」
【0080】
図12は、本実施形態における管理サーバ(10)のハードウェア構成の一例である。
管理サーバ(10)は、CPU(Central Processing Unit)(30)、メモリ(31)、ハードディスク(32)、通信インターフェース(I/F)(34)、入出力インターフェース(I/F)(34)、ディスプレイ(37)およびキーボード(39)を備える。
【0081】
CPU(30)は、ハードディスク(32)に格納されたプログラムにより動作し、各部の制御を行う。ハードディスク(32)は、CPU(30)によって実行されるプログラムおよび当該プログラムによって使用されるデータ等を格納する。
通信インターフェース(33)は、通信回線を介して外部機器から受信したデータをCPU(30)に送り、CPU(30)が生成したデータを、通信回線を介してユーザ端末(11)およびチップ受領者端末(12)に送信する。
【0082】
CPU(30)は、入出力インターフェース(34)を介して、外部メディア(35)からプログラムやデータを取得してもよい。
CPU(30)は、当該プログラムを、メモリ(31)上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。外部メディア(35)は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)等の光学記憶媒体、磁気記憶媒体、または半導体メモリ等である。
【0083】
管理サーバ(10)は、メモリ(31)上にロードされたプログラムを実行することにより、受付手段(3)、集計手段(4)、分配手段(5)、情報提供手段(6)、著作権確認手段(7)、本人認証手段(8)の各機能を実現する。また、ハードディスク(32)には、上記手段に使用されるデータが格納される。
【0084】
チップを提供するための電子商取引管理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供される。管理サーバ(10)のCPU(30)は、これらのプログラムを、入出力インターフェース(34)を介して上記の記憶媒体から読み取って実行するが、他の例として、通信回線を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0085】
ユーザ端末(11)およびチップ受領者端末(12)は、CPU(30)、メモリ(31)、ストレージ(36)、通信インターフェース(34)、入出力インターフェース(34)、ディスプレイ(37)およびタッチパネル(38)を備える。
【0086】
CPU(30)は、ストレージ(36)に格納されたプログラムにより動作し、各部の制御を行う。ストレージ(36)は、CPU(30)によって実行されるプログラムおよび当該プログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェース(33)は、通信回線を介して管理サーバ(10)から受信したデータをCPU(30)に送り、CPU(30)が生成したデータを、通信回線を介して管理サーバ(10)に送信する。
入出力インターフェース(34)は、タッチパネル(38)から入力されたデータをCPU(30)に送り、CPU(30)が生成したデータを、ディスプレイ(37)に表示する。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、ユーザとチップ受領者とが離れた場所に居たとしてもチップを円滑に受け渡すことができ、総ユーザの中から抽選で選ばれたユーザに対して総チップの一部が還元され、該還元が直接的、間接的に金銭に変換してもよい還元であり、チップ還元の額はユーザが供与したチップ金額以上の価値となりユーザの予測不可能な大きな還元となる場合を含むため還元への期待感による興趣向上が期待でき、結果としてユーザがチップを渡すことの動機付けを高めることができ、ユーザとチップ受領者との間の強い友好感を醸成することができ、単なるチップ供与の行為を一種のイベントにまで高めることができる、チップを提供するための電子商取引管理システムを提供するために好適に利用される。
【符号の説明】
【0088】
1 チップを提供するための電子商取引管理システム
3 受付手段
4 集計手段
5 分配手段
6 情報提供手段
7 著作権確認手段
8 本人認証手段
10 管理サーバ
11 ユーザ端末
12 チップ受領者端末
20 チップ受領者
21 ユーザ
22 チップ還元者
【要約】
(要約)
(課題)
本発明は、ユーザとチップ受領者とが離れた場所に居てもチップを受け渡すことができ、総ユーザから抽選で選ばれたユーザへのチップ還元があり、還元額はユーザが供与したチップ金額以上となる場合を含み、還元への期待感による興趣向上が期待でき、ユーザがチップを渡すことの動機付けを高められ、ユーザとチップ受領者との間の強い友好感を醸成することができ、単なるチップ供与の行為を一種のイベントにまで高めることができる、チップを提供するための電子商取引管理システムを提供する。
(解決手段)
チップを提供するための電子商取引管理システムであって、該システムは、管理サーバと、該管理サーバとユーザ端末とを含み、管理サーバは、ユーザ端末より送信された任意のチップ総額のうち任意の割合または任意の額を、管理サーバにより総ユーザの中から選定されたユーザであるチップ還元者に、残りの割合または残りの額を前記チップ受領者に分配する分配手段とを備える。
(選択図)
図1