(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】撮影装置、撮影方法、及び撮影処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G03B 17/53 20210101AFI20230412BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20230412BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20230412BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20230412BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20230412BHJP
H04N 23/74 20230101ALI20230412BHJP
G07F 17/26 20060101ALN20230412BHJP
【FI】
G03B17/53
G03B15/02 G
G03B15/05
H04N5/222
H04N23/56
H04N23/74
G07F17/26
(21)【出願番号】P 2017204034
(22)【出願日】2017-10-20
【審査請求日】2020-10-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597047392
【氏名又は名称】辰巳電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】辻野 友希
(72)【発明者】
【氏名】宮田 芳浩
(72)【発明者】
【氏名】米田 宗弘
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 聡
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-107574(JP,A)
【文献】特開2005-070222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/53
G03B 15/02
G03B 15/05
H04N 5/222
H04N 23/56
H04N 23/74
G07F 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を被写体として撮影する撮影部と、
前記撮影部による撮影のタイミングにおいて、被写体に光を照射する発光部と、
前記利用者の身体的特徴に関する身体情報を取得する身体情報取得部と、
取得した前記身体情報に基づいて、前記発光部から照射される光の制御を行う、発光制御部と、
を備え、
前記発光部は、
前記撮影部よりも上方に配置されて光を照射する第1発光ユニットと、前記撮影部よりも下方に配置されて光を照射する第2発光ユニットと、を備え、
前記身体情報は、前記利用者によって選択される、第1画像範囲と、第2画像範囲とを含み、
前記第1画像範囲は、前記第2画像範囲よりも水平方向に狭く、且つ前記第2画像範囲と下端の位置が同じかまたは高く、
前記発光制御部は、前記第2画像範囲が選択されたときには、前記第1画像範囲が選択されたときよりも、前記
第2発光ユニットから照射される光の発光強度を強くするように制御する、撮影装置。
【請求項2】
前記発光制御部は、
前記身体情報に基づいて、前記各発光ユニットから照射される光を個別に制御する、請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記発光制御部は、前記身体情報に基づいて、身長が所定高さより低い利用者用の第1撮影モード、及び前記所定高さよりも高い利用者用の第2撮影モードのいずれかを判別し、
前記第1画像範囲に、前記第1撮影モード及び前記第2撮影モードで撮影される範囲が含まれ、
前記第1撮影モードである場合には、前記第1発光ユニットから照射される光の総発光強度が、前記第2撮影モードにおける前記総発光強度よりも強くなるように、前記第1発光ユニットを制御する、請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記発光制御部は、前記身体情報に基づいて、身長が所定高さより低い利用者用の第1撮影モード、及び前記所定高さよりも高い利用者用の第2撮影モードのいずれかを判別し、
前記第1画像範囲に、前記第1撮影モード及び前記第2撮影モードで撮影される範囲が含まれ、
前記第2撮影モードである場合には、前記第2発光ユニットから照射される光の総発光強度が、前記第1撮影モードにおける前記総発光強度よりも
弱くなるように、前記第2発光ユニットを制御する、請求項2または3に記載の撮影装置。
【請求項5】
被写体である利用者の身体的特徴に関する身体情報を取得するステップと、
取得した前記身体情報に基づいて利用者に照射される光の制御を行いつつ、前記被写体の撮影を行うステップと、
を備え、
被写体を撮影する撮影部よりも上方及び下方から光を照射するように構成され、
前記身体情報は、前記利用者によって選択される、第1画像範囲と
、第2画像範囲
とを含み、
前記第1画像範囲は、前記第2画像範囲よりも水平方向に狭く、且つ前記第2画像範囲と下端の位置が同じかまたは高く、
前記第2画像範囲が選択されたときには、前記第1画像範囲が選択されたときよりも、前記利用者に照射される前記
下方からの光の発光強度が強くなるように制御される、
撮影方法。
【請求項6】
コンピュータに、
被写体である利用者の身体的特徴に関する身体情報を取得するステップと、
取得した前記身体情報に基づいて利用者に照射される光の制御を行いつつ、前記被写体の撮影を行うステップと、
を実行させ、
被写体を撮影する撮影部よりも上方及び下方から光を照射するように構成され、
前記身体情報は、前記利用者によって選択される、第1画像範囲と
、第2画像範囲
とを含み、
前記第1画像範囲は、前記第2画像範囲よりも水平方向に狭く、且つ前記第2画像範囲と下端の位置が同じかまたは高く、
前記第2画像範囲が選択されたときには、前記第1画像範囲が選択されたときよりも、前記利用者に照射される前記
下方からの光の発光強度が強くなるように制御される、
撮影処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置、撮影方法、及び撮影プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者をカメラで撮影することで得られた撮影画像を写真印刷シートとして出力したり、ネットワークを介して外部の装置に送信したりすることができる遊戯用撮影装置が知られている。このような遊戯用撮影装置では、写真の見栄えを良くするために、種々の編集作業が行えるようになっている。例えば、特許文献1には、目の大きさの変更、明るさの変更、落書きの追加等の編集が可能な遊戯用撮影装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような装置で撮影を行う場合には、全身撮影及び顔のアップ撮影が行われることがある。このとき、全身撮影やアップ撮影は撮影範囲が異なるため、最適な画像を生成するには、ライティング等の撮影環境を変更する必要がある。しかしながら、このような撮影環境の変更には改善の余地があり、さらに良質な画像を生成するための改善が要望されていた。なお、このような問題は、遊戯用撮影装置に限られず、例えば、証明写真機を含む撮影装置全般に生じ得る問題である。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、さらに良質な画像を生成することができる、撮影装置、撮影方法、及び撮影処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮影装置は、利用者を被写体として撮影する撮影部と、前記撮影部による撮影のタイミングにおいて、被写体に光を照射する発光部と、前記利用者の身体的特徴に関する身体情報を取得する身体情報取得部と、取得した前記身体情報に基づいて、前記発光部から照射される光の制御を行う、制御部と、を備えている。
【0007】
本発明に係る撮影方法は、被写体である利用者の身体的特徴に関する身体情報を取得するステップと、取得した前記身体情報に基づいて利用者に照射される光の制御を行いつつ、前記被写体の撮影を行うステップと、を備えている。
【0008】
本発明に係る撮影処理プログラムは、コンピュータに、被写体である利用者の身体的特徴に関する身体情報を取得するステップと、取得した前記身体情報に基づいて利用者に照射される光の制御を行いつつ、前記被写体の撮影を行うステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生成される画像の範囲をユーザに合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る撮影装置(カーテンなし)の外観を示す斜視図である。
【
図1B】
図1Aの撮影装置(カーテンあり)の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1の撮影装置の撮影ユニットの一例を例示する。
【
図3】
図1の撮影装置のハードウェア構成の一例を例示する。
【
図4】第1発光ユニットの内部構造を示す斜視図である。
【
図5】第2発光ユニットの内部構造を示す斜視図である。
【
図6】
図1の撮影装置のソフトウェア構成の一例を例示する。
【
図7】撮影の依頼を受け付けるための処理手順の一例を例示する。
【
図8】ユーザの撮影する処理手順の一例を例示する。
【
図10】全身撮影におけるユーザ取得画像の画像範囲を説明する図である。
【
図11】アップ撮影におけるユーザ取得画像の画像範囲の設定画面である。
【
図12】アップ撮影におけるユーザ取得画像の画像範囲を説明する図である。
【
図16】印刷シートの支持部を組み立てた斜視図である。
【
図17】印刷シートから写真台を組み立てた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1.撮影装置の概要>
以下、本実施形態に係る撮影装置について説明する。
図1Aは、本実施形態に係る撮影装置100からカーテン13を取り除いた状態を示す斜視図、
図1Bは、
図1Aにおいてカーテン13を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0012】
図1A及び
図1Bに示されるとおり、撮影装置100は、直方体状の筐体1を備えており、この筐体1の側面には、内部の撮影空間10に通じる出入口11が形成されている。この出入口11の上縁にはカーテンレール12が取り付けられており、このカーテンレール12には、カーテン13が取り付けられている。これにより、利用者が撮影を行う際には、カーテン13を閉じることで、撮影空間10を外部から見えないようにすると共に、外部から余計な光が撮影空間10に入らないようにすることができる。筐体1の内装において、後述するカメラ32が配置される面とは反対側の面(背面)等の撮影範囲には、クロマキー合成処理のための単一の色(例えば、青色、緑色等)が付される。単一の色が付される範囲は、撮影範囲の一部であってもよいし、全体であってもよい。
【0013】
筐体1の外壁の出入口11付近には、受付ユニット2が設けられている。受付ユニット2は、撮影装置100による写真撮影の依頼を受け付けるように構成される。一方、筐体1の内部(撮影空間10)において、撮影時に利用者が存在すべき位置の前方には、撮影ユニット3が設けられている。撮影ユニット3は、撮影空間10内の利用者を撮影し、得られた画像の編集を受け付け、編集された画像をプリントするように構成される。各ユニット(2、3)の構成の詳細は後述する。
【0014】
<2.撮影装置のハードウェア構成>
次に、
図2~
図5を更に用いて、本実施形態に係る撮影装置100のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る撮影装置100の撮影ユニット3を例示する。
図3は、撮影装置100のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。また、
図4及び
図5は照明具を示す斜視図である。
【0015】
図3に示すように、本実施形態に係る撮影装置100は、受付ユニット2、撮影ユニット3、制御部5、記憶部6、通信インタフェース7、及びドライブ8が電気的に接続されたコンピュータである。なお、
図3では、通信インタフェースを「通信I/F」と記載している。
【0016】
制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。記憶部6は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、制御部5で実行されるプログラム61等の各種データを記憶する。
【0017】
プログラム61は、写真撮影の依頼の受け付け、受け付けた依頼に応じた写真撮影、印刷を行うための処理を撮影装置100に実行させるためのプログラムである。この他、記憶部6には、各処理過程で利用される画面データ等が記憶される。詳細は後述する。
【0018】
通信インタフェース7は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、ネットワークを介した有線又は無線通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース7の種類は、撮影装置100の設置場所等に応じて適宜選択されてよい。撮影装置100は、通信インタフェース7を介して、外部サーバ等とデータ通信を行うことができる。
【0019】
ドライブ8は、例えば、CD(Compact Disk)ドライブ、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブ等であり、記憶媒体(不図示)に記憶されたプログラムを読み込みための装置である。ドライブ8の種類は、記憶媒体の種類に応じて適宜選択されてよい。プログラム61は、記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0020】
記憶媒体は、コンピュータその他装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、このプログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。この記憶媒体の一例として、例えば、CD、DVD、フラッシュメモリ等を挙げることができる。
【0021】
(受付ユニット)
受付ユニット2は、タッチパネルディスプレイ21、現金処理部22、カードリーダ23、及びスピーカ24を備えている。タッチパネルディスプレイ21は、筐体1の外側において、写真撮影を所望する利用者の目線範囲に入るように受付ユニット2本体のやや上方に配置される。タッチパネルディスプレイ21は、制御部5により制御されて、画面表示及び選択操作の受け付けを適宜行うことで、利用者からの撮影依頼に関する操作を受け付ける。このタッチパネルディスプレイ21の種類は、特に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、タッチパネルディスプレイ21には、感圧式、赤外線式等のタイプを利用可能である。
【0022】
現金処理部22は、紙幣検証器(Bill Validator)220、現金投入口221及び現金排出口222を備えており、各種センサにより紙幣検証器220又は現金投入口221に対する紙幣又は現金(コイン)の投入を検知する。
図1A及び
図1Bに示すように、現金投入口221は、タッチパネルディスプレイ21の下方近傍に配置されており、現金排出口222は、現金投入口221よりも下方に配置されている。
【0023】
現金処理部22は、撮影に要する金額以上の現金が投入されたことを検出した場合に、当該検知を表わす起動信号を制御部5に出力する。また、現金処理部22は、撮影のキャンセル及び撮影に要する金額分より多い金額分の現金が投入された際に、該当金額分の現金を現金排出口222に排出する。
【0024】
カードリーダ23は、ICカード、クレジットカード等のカードの情報を読取可能に構成される。このカードリーダ23には、各種カードの情報を読取可能な公知のリーダが用いられてよい。本実施形態では、カードリーダ23は、現金投入口221の近傍に配置されている。カードリーダ23は、電子マネー、クレジットカード等による料金の支払いを受け付け、当該料金の支払いを受け付けた際には、そのことを表わす起動信号を制御部5に出力する。
【0025】
(撮影ユニット)
図1A、
図1B、及び
図3に示すとおり、撮影ユニット3は、タッチパネルディスプレイ31、カメラ32、照明具33、スピーカ34、及びプリンタ35を備えている。なお、カメラ32は、本発明の「撮影部」の一例であり、照明具33は、本発明の「発光部」の一例である。
【0026】
タッチパネルディスプレイ31は、撮影ユニット3本体の前面パネルの中央に配置されており、タッチパネルディスプレイ31の上方には、写真撮影に利用されるカメラ32が配置されている。制御部5は、カメラ32による撮影を制御する。また、制御部5は、タッチパネルディスプレイ31の表示及びタッチパネルディスプレイ31に対する入力を制御する。タッチパネルディスプレイ31及びカメラ32の種類は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0027】
具体的には、カメラ32は、制御部5による制御に従って撮影を行い、撮影によって得られた画像をRAM又は記憶部6に記憶する。本実施形態では、撮影時に利用者の位置が概ね決まっているため、撮影時の利用者とカメラ32との距離が概ね決まっている。そのため、本実施形態に係るカメラ32の焦点距離は一定である。しかしながら、カメラ32の構成は、このような例に限られなくてもよく、ズームレンズを備えるカメラ32の場合は、カメラ32の焦点距離は、必要に応じて制御部5によって適切になるように制御されてもよい。なお、焦点距離の調整は、ズームレンズの外筒をカメラ32の外部から力を加えて回す機構が必要となる。制御部5は、この機構を制御することによりズームレンズの外筒を回す量を調整する。
【0028】
タッチパネルディスプレイ31には、カメラ32により撮影された画像が表示される。制御部5は、所定のタイミングで、カメラ32により被写体(利用者)の静止画像を撮影する。また、カメラ32は、リアルタイムに画像を取り込んで、当該画像を表わすライブビュー用の画像信号を出力する。カメラ32から出力された画像信号は、制御部5のRAMに一時的に記憶されると共にタッチパネルディスプレイ31に送信される。これにより、タッチパネルディスプレイ31では、カメラ32により撮影された静止画像、当該画像信号に基づくライブ映像が表示される。
【0029】
更に、タッチパネルディスプレイ31には、上記プログラム61に基づいて、撮影の案内を示す案内画面等が表示される。各画面では、選択操作等の操作入力が受け付けられる。制御部5は、各画面に対する操作入力を検知し、検知された操作入力に応じた処理を行う。
【0030】
本実施形態では、タッチパネルディスプレイ31の両側には、各画面に対する操作入力を行うための操作デバイスとして、一対の電子ペン40が配置されている。各電子ペン40は、例えば、デジタイザを構成するペンである。これに応じて、タッチパネルディスプレイ31には、デジタイザを構成する公知のタッチパネルが積層されたディスプレイが用いられてよい。これにより、制御部5は、各電子ペン40を識別した上で、各電子ペン40による入力を検知することができる。
【0031】
なお、各電子ペン40は、ケーブル41を介して、撮影ユニット3本体に連結されている。各ケーブル41の長さは、タッチパネルディスプレイ31の画面に各電子ペン40を接触可能に適宜決定されてよい。利用者は、各電子ペン40を利用することで、タッチパネルディスプレイ31に表示された各画面の操作を行うことができる。
【0032】
照明具33は、第1発光ユニット331及び第2発光ユニット332を備えている。
図4に示すように、第1発光ユニット331は、正面パネル(図示省略)においてカメラ32の上方に取付けられ、利用者側に向く正面視円形の透光性のカバーを有している。このカバーは、半透明の乳半等で形成される。以下、この第1発光ユニット331について、
図4を参照しつつ詳細に説明する。
図4は、カバーを取り外した第1発光ユニットの斜視図である。
【0033】
図4に示すように、第1発光ユニット331は、カバーによって覆われる円板状の基板3310と、この基板3310の中央付近に取付けられ、直方体状の一対の第1ストロボ発光管3311と、を有している。基板3310は、不透明の素材かつ光を反射する素材で構成されている。そして、これら第1ストロボ発光管3311の前方には円板状の反射板3313が配置されている。これにより、第1ストロボ発光管3311から照射されるストロボ光は、反射板3313および基板3310に反射された後、カバーを介して撮影ユニット3から間接光として被写体の顔を中心とした上部に照射される。被写体の上部とは、被写体の顔付近を想定している。このような間接光は、次に説明する直接光と比べて、影が生じにくい、柔らかい光である。
【0034】
さらに、反射板3313の前面には直方体状の第2ストロボ発光管3312が取付けられており、ここから照射されるストロボ光は、カバーを介して直接光として被写体の顔付近に照射される。なお、直接光とは、上述した間接光のように反射を伴う光ではないことを意味し、本実施形態においては、反射光ではなく、カバーを介して被写体に向けられた光をいう。その他、この第1発光ユニット331には、撮影空間10の明るさを調整するための、第1ストロボ発光管3311の両側に配置された一対のランプ3314および反射板3313の周囲を囲むように配置された環状の蛍光灯3316が設けられている。
【0035】
次に、第2発光ユニット332について説明する。
図5は第2発光ユニットの内部を示す斜視図である。
図5に示すように、第2発光ユニット332は、撮影ユニット3の下部、つまり、タッチパネルディスプレイ31の下側に配置されている。そして、写真プリントの取出口36の両側には、それぞれ開口3321が形成され、これら開口3321から下方に延びて取出口36の下側で連結される正面視U字状の内部空間が形成されている。この内部空間においては、開口3321と対向する面(開口3321よりも奥側で少なくともU字状の内部空間の全体)に反射板が配置されている。また、各開口3321には、透光性のカバー3328(
図2参照)が取付けられている。これらのカバー3328は、半透明の乳半等で形成される。そして、内部空間の下部、つまり取出口36の下方の空間には、蛍光灯3323と一対の第3ストロボ発光管3324と、が配置されている。
【0036】
より詳細に説明すると、蛍光灯3323は、取出口36の下側の空間で左右方向に延びるように配置され、その下方の両側に直方体状の第4ストロボ発光管3324がそれぞれ配置されている。但し、各第3ストロボ発光管3324の照射面は、反射板側を向いている。そのため、照射されたストロボ光及び蛍光灯の光は、反射板で反射されながら上方に向かい、両カバー3321を介して、被写体の下半身付近へ下側から照射される。つまり、左右の第3ストロボ発光管3324から照射されるストロボ光は、それぞれ左右のカバー3328から被写体に向けて照射される。
【0037】
また、この第2発光ユニット332は、次のような役割を果たす。まず、第1発光ユニット331による上方からの光によって被写体の顎の下側には、影が生じるおそれがあるが、第2発光ユニット332からの下からの光によってこの影を抑制する役割がある。また、第2発光ユニット332は、低い位置に配置されているため、被写体の足元を照らす役割を果たす。また、この第2発光ユニット332では、両カバー3321が取出口36を挟んで配置されているため、ここからの光は、被写体の左右の両側に対しても照射される。そのため、被写体の足下を含め下半身付近を明るく照らすことができる。
【0038】
なお、各発光ユニット331,332のストロボ発光管3311,3312、3324から照射される光は、後述する発光制御部522により制御される。一方、ランプ3315、蛍光灯3323は、制御部5により制御されて、電灯の発光量を調節することで、利用者の撮影処理の段階に応じて撮影空間10内の明るさを調節する。
【0039】
スピーカ34及びプリンタ35は、撮影ユニット3本体に内蔵されている。スピーカ34は、制御部5による制御に従って、写真撮影の案内等の音声出力を行う。また、プリンタ35は、制御部5による制御に従って、撮影された画像又は編集済みの画像をプリントし、プリントした画像を取出口36に排出する。
【0040】
(その他)
なお、撮影装置100の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部5は、複数のプロセッサを含んでもよい。また、撮影装置100は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、汎用のPC(Personal Computer)等であってもよい。
【0041】
<3.撮影装置のソフトウェア構成>
次に、
図5及び
図6を用いて、本実施形態に係る撮影装置100のソフトウェア構成の一例を説明する。
図6は、本実施形態に係る撮影装置100のソフトウェア構成の一例を模式的に例示する。
【0042】
撮影装置100の制御部5は、記憶部6に記憶されたプログラム61をRAMに展開する。そして、制御部5は、RAMに展開されたプログラム61をCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。これによって、
図6に示すように、本実施形態に係る撮影装置100は、ソフトウェアモジュールとして、受付部51、撮影処理部52、及び出力処理部53を備えるように構成される。また、撮影処理部52には、身体情報取得部521と発光制御部522とが設けられている。
【0043】
受付部51は、撮影の依頼に関する操作画面を受付ユニット2のタッチパネルディスプレイ21に表示すると共に、当該タッチパネルディスプレイ21に対するタッチ操作による利用者の入力を受け付けて、その入力に応じた処理を実行する。これにより、受付部51は、利用者からの撮影の依頼、撮影、印刷に関する設定等を受け付ける。
【0044】
撮影処理部52は、撮影の案内を示す案内画面等をタッチパネルディスプレイ31に表示させると共に、カメラ32による撮影処理を実施する。これにより、撮影処理部52は、利用者(被写体)の写る画像を取得する。この撮影処理中に、身体情報取得部521は、利用者の身体的特徴に関する身体情報を取得するように構成される。また、発光制御部522は、身体情報取得部521において取得された身体情報に基づいて、撮影時に被写体に照射されるストロボ光を調整する。出力処理部53は、最終的に得られた画像を紙媒体に印刷し、印刷した画像を取出口36から出力する。また、出力処理部53は、生成された画像と共に外部サーバに送信する。
【0045】
撮影装置100の各ソフトウェアモジュールに関しては後述する動作例で詳細に説明する。なお、本実施形態では、撮影装置100の各ソフトウェアモジュールがいずれも汎用のCPUにより実現される例について説明している。しかしながら、以上のソフトウェアモジュールの一部又は全部が、1又は複数の専用のハードウェアプロセッサにより実現されてもよい。また、撮影装置100のソフトウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、機能の省略、置換及び追加が行われてもよい。
【0046】
<4.撮影装置の動作例>
<4-1.撮影依頼の受け付けの処理手順>
次に、
図7を用いて、本実施形態に係る撮影装置100による撮影依頼受付の処理手順について説明する。
図7は、本実施形態に係る撮影装置100による撮影依頼受付の処理手順の一例を例示する。
【0047】
撮影装置100の制御部5は、受付部51として動作し、
図7に示す処理手順に従って、撮影依頼の受付処理を行う。例えば、制御部5は、受付処理を開始するまでの間、受付ユニット2のタッチパネルディスプレイ21に広告等のデモ画面を表示し、タッチパネルディスプレイ21に対してタッチ操作されたことに応じて、以下の受付処理を開始する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0048】
(ステップS100)
ステップS100では、制御部5は、使用言語の種類を選択させる画面をタッチパネルディスプレイ21に表示する。例えば、制御部5は、日本語、英語、中国語、韓国語等の各言語に対応するボタンをタッチパネルディスプレイ21に表示し、いずれかのボタンを利用者にタッチさせる。これにより、制御部5は、使用言語の選択を受け付ける。記憶部6には、各使用言語に応じた画面データが記憶されており、制御部5は、本ステップ100及び次のステップS102以降の処理において、選択された使用言語に応じた画面を表示するとともに、選択言語に対応する音声をスピーカ24から出力する。使用言語の選択が完了すると、制御部5は、次のステップS102に処理を進める。
【0049】
(ステップS102)
ステップS102では、制御部5は、印刷枚数を選択させる画面をタッチパネルディスプレイ21に表示する。例えば、制御部5は、1枚、2枚等の印刷枚数に対応するボタンをタッチパネルディスプレイ21に表示し、いずれかのボタンを利用者にタッチさせる。これにより、制御部5は、印刷枚数の選択を受け付ける。印刷枚数の選択が完了すると、制御部5は、次のステップS104に処理を進める。
【0050】
(ステップS104)
ステップS104では、制御部5は、ステップS102の選択結果に基づく金額とともに、決済方法を選択させる画面をタッチパネルディスプレイ21に表示する。例えば、制御部5は、クレジットカード、ICカード、現金等の各決済方法に対応するボタンをタッチパネルディスプレイ21に表示し、いずれかのボタンを利用者にタッチさせる。これにより、制御部5は、決済方法の選択を受け付ける。決済方法の選択が完了すると、制御部5は、次のステップS106に処理を進める。
【0051】
(ステップS106)
ステップS106では、制御部5は、ステップS104で選択された決済方法に対応する決済画面をタッチパネルディスプレイ21に表示する。これにより、制御部5は、ステップS104で選択された決済方法による決済を受け付ける。
【0052】
現金での決済を選択した場合、利用者は、決済画面に指定された料金を現金投入口221に投入する。指定の料金(ステップS104の選択結果に基づく料金)分の現金又はそれ以上の現金が投入されると、現金処理部22は、上記起動信号を制御部5に出力する。他方、クレジットカード又はICカードでの決済を選択した場合、利用者は、対応するカードをカードリーダ23に読み込ませる。対応するカードを読み取ると、カードリーダ23は、上記起動信号を制御部5に出力する。制御部5は、これらの起動信号を受信した後、次のステップS108に処理を進める。
【0053】
(ステップS108)
ステップS108では、制御部5は、印刷するシールのデザインを選択させる画面をタッチパネルディスプレイ21に表示する。各デザインは、記憶部6に記憶されていてもよいし、ネットワークを介してNAS(Network Attached Storage)等の他の情報処理装置からダウンロードされてもよい。各デザインは、クロマキー合成処理により被写体に係る画像の背景として合成する背景デザイン、及びシール内に撮影画像を配置する配置デザインを規定する。
【0054】
制御部5は、例えば、各デザインのサムネイルをタッチパネルディスプレイ21に表示し、いずれかのサムネイルを利用者にタッチさせる。これにより、制御部5は、印刷するシールのデザインの選択を受け付ける。デザインの選択が完了すると、制御部5は、次のステップS112に処理を進める。
【0055】
(ステップS110及びS112)
ステップS110では、制御部5は、撮影ユニット3が利用可能となるまでの間、撮影ユニット3による撮影の案内、広告等のデモ画面をタッチパネルディスプレイ21に表示する。
【0056】
本動作例に係る受付処理により撮影の依頼を行っている対象の利用者よりも前に、撮影装置100を利用する利用者が存在する場合、対象の利用者が本ステップS110に到達した時点で、前の利用者が未だ撮影ユニット3による撮影処理を行っている可能性がある。制御部5は、この前の利用者が撮影ユニット3を占有している間、対象の利用者を筐体1の外側で待機させるために、本ステップS112によりデモ画面を表示する。なお、前の利用者が存在せず、又は前の利用者の撮影が完了しており、撮影ユニット3が直ちに利用可能な場合には、制御部5は、本ステップS110の処理を省略してもよい。
【0057】
次のステップS112では、制御部5は、撮影空間10への移動案内をタッチパネルディスプレイ21に表示し、撮影の依頼を行っていた利用者に対して撮影空間10内に移動するように促す。これにより、制御部5は、本動作例に係る受付処理を終了する。
【0058】
なお、各ステップで表示される画面には、一つ前のステップに戻ったり、最初のステップS100に戻ったりするためのボタンが設けられてもよい。これにより、利用者は、受付処理を所望のステップに戻したり、撮影の依頼をキャンセルしたりすることができる。
【0059】
<4-2.撮影の処理手順>
次に、
図8を用いて、本実施形態に係る撮影装置100による撮影の処理手順について説明する。
図8は、本実施形態に係る撮影装置100による撮影の処理手順の一例を例示する。
【0060】
撮影装置100の制御部5は、上記受付処理が完了したことに応じて、撮影処理部52として動作し、
図8に示す撮影処理を開始する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0061】
(ステップS200)
ステップS200では、制御部5は、撮影を開始するための画面をタッチパネルディスプレイ31に表示する。例えば、制御部5は、撮影プレイの開始を利用者に容認させるためのスタートボタンを含む画面をタッチパネルディスプレイ31に表示し、利用者に対して、一対の電子ペン40のいずれかにより当該スタートボタンをタッチさせる。これにより、制御部5は、撮影の開始を受け付けて、次のステップS202に処理を進める。なお、以下の処理では特に断りのない限り、いずれかの電子ペン40により、タッチパネルディスプレイ31をタッチすることで、撮影処理を進めることとする。したがって、以下では、「タッチ」との文言は、電子ペン40によるタッチを意味する。
【0062】
(ステップS202及びS204)
ステップS202において、制御部5は、全身撮影の処理を行う。この全身撮影について、
図9及び
図10を参照しつつ説明する。まず、制御部5は、全身撮影を行うことの案内をタッチパネルディスプレイ31に表示した後、
図9に示すように、ライブビューが表示された画面をタッチパネルディスプレイ31に表示する。このライブビューは、カメラ32で撮影される撮影画像のうち、周縁部を切り取った画像である。この点について、
図10を参照しつつ説明する。
【0063】
例えば、カメラ32で全身の撮影を行うと、
図10に示すような撮影画像(原画)が生成される。しかしながら、撮影画像の周縁部は光学的に歪みが生じるおそれがあるため、周縁部を切り取り、ユーザが取得する画像の画像範囲を決定する。以下、この画像範囲に基づいて、ユーザが取得する画像を「ユーザ取得画像」と称することとする。なお、
図10は、ユーザ取得画像を説明するための図であり、タッチパネルディスプレイ31には表示されず、
図9の画面がタッチパネルディスプレイ31に表示される。
【0064】
続いて、ユーザは、ライブビューを見ながら、適宜ポーズを取る。そして、カウントダウン72が行われた後、カメラ32により全身撮影が行われる。すなわち、ユーザ取得画像としての静止画が生成される。生成される静止画は、
図9の画面にて表示されたライブビューの表示範囲と同一の範囲の画像としてもよいし、当該ライブビューの表示範囲に近似する範囲の画像としてもよい。ここでは、カウントダウンとともに、第1及び第2発光ユニット331,332からストロボ光が照射され、2回の撮影が行われる。
【0065】
(ステップS206及びS208)
次に、制御部5は、アップ撮影の処理を行う。このアップ撮影について、
図11~
図13を参照しつつ説明する。まず、アップ撮影を行うことの案内をタッチパネルディスプレイ31に表示した後、画像範囲の設定を行う。ここでは、
図11に示すような画面が表示され、ユーザ取得画像用の3つの画像範囲から1つを選択させる。
図11の画面では、
図12で示すように、撮影画像から、第1~第3範囲を輪郭とする各画像がトリミングされて同時に表示されている。
図12に示すように、第1範囲(第2撮影モード)は、撮影画像の上部付近に配置される矩形状の範囲であり、大人の顔の位置を含むことが意図されている。第2範囲(第1撮影モード)は、第1範囲と同じ大きさであるが、第1範囲よりも下方に位置している。この第2範囲は、子供など身長の低い被写体の顔の位置を含むことが意図されている。また、第3範囲は、第2範囲と下端部の位置が同じ矩形状の範囲であり、且つ、第2範囲よりも上方及び左右に広い範囲である。したがって、第3範囲は、身長の低い被写体を含みつつ、身長の差のある多人数を被写体とすることが意図されている。
【0066】
そして、
図11の画面では、このように設定された第1~第3範囲の画像が、左から右へ並ぶように配置されている。このとき、
図11の画面に示される、第1~第3範囲の画像は、カメラ32で撮影されているライブビューである。これらの第1~第3範囲の画像は、同じか略同じサイズで表示される。なお、
図12は、ユーザ取得画像を説明するための図であり、タッチパネルディスプレイ31には表示されず、
図11の画面がタッチパネルディスプレイ31に表示される。
【0067】
続いて、ユーザがいずれかの範囲の画像をタッチすると、
図11に示すように、タッチされた画像の周りに選択枠78が表示される。そして、選択を確定する場合には、OKボタン71をタッチする。したがって、OKボタン71がタッチされるまでは、いずれの画像も選択することができる。このように選択される画像範囲の取得は、制御部5の身体情報取得部552により行われる。
【0068】
こうして、アップ撮影用のユーザ取得画像の範囲が決定されると、
図13に示すように、選択された範囲に対応するライブビューが表示された画面がタッチパネルディスプレイ31に表示される。
図13は、第1範囲の画像が選択された例を示している。このライブビューは、
図11に示された各ライブビューよりも大きいサイズで表示される。そして、カウントダウン72が行われた後、カメラ32によりアップ撮影が行われる。すなわち、ユーザ取得画像としての静止画が生成される。生成される静止画は、
図13の画面にて表示されたライブビューの表示範囲と同一の範囲の画像としてもよいし、当該ライブビューの表示範囲に近似する範囲の画像としてもよい。ここでは、カウントダウンとともに、第1及び第2発光ユニット331,332からストロボ光が照射され、2回の撮影が行われる。
【0069】
(ステップS210及びS212)
次に、制御部5は、ボーナス撮影の処理を行う。但し、ボーナス撮影は、撮影待ちをしているユーザがいないときに行われる。具体的には、制御部5は、受付ユニット2を操作しているユーザがいないと判断したときは(ステップS210のNO)、タッチパネルディスプレイ31に、ボーナス撮影用の画面を表示する。ボーナス撮影用の画面は、上述した
図9の全身撮影用の画面が表示され、2回の撮影が行われる。但し、
図13のアップ撮影用の画面を表示することもできるが、既に選択したユーザ取得画像の範囲が画面に表示される。一方、制御部5が、受付ユニット2を操作しているユーザがいると判断したときは(ステップS210のYES)、ボーナス撮影を行わない。なお、ボーナス撮影については、他の態様も可能であり、例えば、ユーザが受付ユニット2において操作している場合でも、受付ユニット2での操作が完了していない場合には、ボーナス撮影を行うこともできる。例えば、受付ユニット2での操作が始まっている場合でも、ステップS110のデモの表示が行われるまでは、ボーナス撮影を行なうことができる。
【0070】
(ステップS214)
続いて、制御部5は、印刷されるシートの中で大きくする画像の選択を、ユーザに行わせる。すなわち、タッチパネルディスプレイ31には、
図14に示すように、既に撮影した既に撮影したすべてのユーザ取得画像が表示され、この中から、シールの中で大きくする画像を選択する。ボーナス撮影が行われた場合には、ユーザ取得画像の中に、ボーナス撮影で撮影された画像も含まれる。そして、ユーザがいずれかの画像をタッチすると、タッチされた画像に選択枠79が表示される。そして、選択を確定する場合には、OKボタン71をタッチする。したがって、OKボタン71がタッチされるまでは、いずれの画像も選択することができる。ОKボタン71がタッチされると、制御部5は、本ステップでの選択結果に基づいて、ステップS108で選択されたデザインに対応するテンプレート画像と、ユーザ取得画像とを合成した出力画像を生成する。出力画像に含まれるユーザ取得画像うち、ステップS214で選択した1枚の画像が他のものよりも大きくなっている。
【0071】
(ステップS216)
ステップS214では、制御部5は、出力処理部55として動作し、プリンタ35を利用して、シートのプリント処理を開始し、白紙のシートに出力画像を印刷する。そして、出力画像を、外部サーバに送信する。
【0072】
また、制御部5は、ステップS210で開始したプリント処理が完了したことに応じて、プリント処理が完了したことを示す案内をタッチパネルディスプレイ31に表示する。そして、制御部5は、シールを取出口36から排出する。
【0073】
このとき、制御部5は、ステップS102で選択された枚数分のシートを印刷する。各画像を印刷した印刷シートを取出口36から排出した後、制御部5は、利用者に対して、シールを取り出し、撮影空間10の外へ出るように促す案内をタッチパネルディスプレイ31に表示する。利用者は、当該案内に従って、プリントされた印刷シートを取出口36から取り出し、撮影空間10から退出する。これにより、制御部5は、本動作例に係る撮影処理を終了する。
【0074】
<4-3.照明具におけるストロボ光の制御>
上記のように、本実施形態に係る撮影装置では、全身撮影及び3種類のアップ撮影を行うことができるようになっているが、それぞれの撮影において、最適なユーザ取得画像の生成を行えるように、ストロボ光の照射が制御されている。本実施形態では、第1~第3ストロボ発光管3311、3312,3324が設けられているため、上記各種の撮影においては、用いる発光管、及びストロボ光の強度が設定されている。以下、その設定の一例を示す。以下の表においては、ストロボ光の強度を5段階で示しており、4が最も強く、1が最も弱い。また、0はストロボ光を照射しないことを示している。但し、1~4は、各ストロボ発光管における相対的な光の強度の例を示しており、例えば、第1ストロボ発光管の「4」と、第3ストロボ発光管の「4」とは相違する。また、1~4は、おおよその強度の違いを示すものであり、絶対的な差を示すものではない。
【表1】
【0075】
全身撮影では、被写体の立ち位置の想定位置がすべての撮影の中で最もカメラ32及び各ストロボ発光管3311、3312,3324から遠く設定されている。被写体に十分に光を当てるために、すべてのストロボ発光管3311、3312,3324を用い、且つストロボ光の強度を最も高くしている。
【0076】
第1範囲のアップ撮影は、大人の顔付近を対象とするため、顔の位置に近い第1発光ユニット331の発光強度を強くすると被写体の顔にテカリが生じてしまう。そのため、第1発光ユニット331を構成する第1ストロボ発光管3311の光の強度を弱くしている。また、顔に強い直接光が照射されると、撮影画像の顔部分に不自然なハイライトが生じる可能性がある。そのため、第2ストロボ発光管3312は用いなくてもよい。そして、このような第1発光ユニット331の発光強度で撮影を行った場合、あごの周りにはあまり強い影は生じない。そのため、第2発光ユニット332の発光強度を強くしすぎると、あごの下が光っているようなバランスの悪い写真となってしまう。そこで、第2発光ユニット332を構成する第3ストロボ発光管3324は、ストロボ光の強度を弱くしている。
【0077】
第2範囲のアップ撮影では、身長の低い子供の顔付近を対象としているため、被写体である子供の顔は、大人の場合と比較して第1発光ユニット331から遠い位置となる。そのため、第1発光ユニット331の発光強度を大人の場合(第1範囲の場合)よりも強くする必要があり、第1発光ユニット331を構成する第1ストロボ発光管3311の光の強度を強めにしている。しかし、第1ストロボ発光管3311からのストロボ光は、身長の低い子供に対しては、大人よりも上方から照射される。そのため、顎などの下向きの部位に影が生じやすくなる。これを防止するため、下からストロボ光を照射する第3ストロボ発光管3324の光の強度を強めにしている。また、顔に強い直接光が照射されると、撮影画像の顔部分に不自然なハイライトが生じる可能性がある。そのため、第2ストロボ発光管3312は用いなくてもよい。
【0078】
第3範囲のアップ撮影では、身長の低い子供を含め、身長差のある多人数を対象としているため、被写体の立ち位置が、全身撮影よりも、カメラ32や各発光ユニット331,332から近く、他のアップ撮影よりも遠くなることを想定しているそのため、第1ストロボ発光管3311及び第3ストロボ発光管3324の光の強度を全身撮影よりもやや弱くし、他のアップ撮影よりもやや強くしている。また、顔に直接光が照射されるため、第2ストロボ発光管3312は用いない。
【0079】
このように、本実施形態では、身体情報取得部521により、画像範囲(身体情報)が設定されると、これに基づき、発光制御部522が上記表1の設定にしたがって、ストロボ発光管3311、3312,3324のストロボ光の発光強度の設定を行う。例えば、発光制御部522は、ストロボ発光管3311、3312,3324に対して、設定された発光強度に応じた電圧を印加し、撮影時に、カメラ32のシャッターの駆動と連動するように、ストロボ光を照射する。なお、上記ストロボ光の発光強度及びその設定の説明は一例であり、他の設定も可能である。例えば、上記の例では各アップ撮影では直接光を照射する第2ストロボ発光管3312を用いていないが、弱い光を細かく制御できるような場合は適宜用いることも可能である。
【0080】
また、上述したように、各ストロボ発光管3311、3312,3324からの光の発光強度を個別に設定するほか、カメラ32の上方に配置される第1発光ユニット331と、カメラ32の下方に配置される第2発光ユニット332との発光強度の関係を以下のように設定することもできる。すなわち、各発光ユニット331,332からの発光強度を調整できるのであれば、それら内部の各ストロボ発光管の個数やどれを発光させるか等は様々である。なお、以下の表の0~4の数値は、上述した表1と同じ意味で用いている。
【表2】
【0081】
なお、上記表1及び表2の設定では、第1範囲の撮影における第2発光ユニット332からの総発光強度を、第2範囲の撮影における第2発光ユニット332からの総発光強度よりも弱くしているが、これを反対にしてもよい。例えば、顔の形状などによっては第1発光ユニット331からの光により、顎付近に影が強く生じる場合がある。その際、第1範囲の対象となる大人の顔付近は第2発光ユニット332から遠いため、第2発光ユニット332からの光の強度が弱いと、影を抑制できないことがある。そこで、このような状況の場合には、第1範囲の撮影における第2発光ユニット332からの総発光強度を、第2範囲の撮影における第2発光ユニット332からの総発光強度よりも強くすることができる。
【0082】
<5.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、アップ撮影において、被写体の身体的特徴、つまり、身長に応じた顔の位置が含まれる画像範囲を選択させている。すなわち、身体情報として顔の位置等を意味する画像範囲を取得する。そして、選択された画像範囲に応じて、第1発光ユニット331および第2発光ユニット332ボの発光強度を調整している。すなわち、被写体の身長に応じて、主として顔付近に照射されるストロボ光の強度を調整しているため、顔の位置に応じた最適なユーザ取得画像を生成することができる。
【0083】
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0084】
<6.1>
上記実施形態では、アップ撮影用の3種類の画像範囲を設定しているが、これに限定されるものではなく、2種類、あるいは4種類以上の画像範囲を設定することもできる。すなわち、画像範囲の位置や大きさは適宜設定することができる。
【0085】
また、上記実施形態では、被写体の顔の位置に応じた画像範囲をユーザに選択させているが、これを自動で行うこともできる。すなわち、公知の顔認識技術により、撮影画像から顔の位置を検出し、これに基づいて画像範囲を設定することができる。複数の顔を検出した場合には、全ての顔が含まれるように画像範囲を設定することができる。このような顔の位置の検出及び画像範囲の設定は、制御部5の身体情報取得部521により行われる。
【0086】
また、身体情報は顔の位置(身長)のみならず、性別、年齢、皮膚の色、顔の形状、目の大きさ、人種など、種々の情報とすることができる。これらは、撮影画像から公知の画像認識技術によって、性別等を身体情報として検出し、身体情報取得部521が取得する。そして、検出された身体情報に基づいて、発光制御部522により、被写体に照射されるストロボ光を調整することができる。例えば、身体情報として、被写体の皮膚の色が濃いことを検出した場合には、ストロボ光の発光強度を強くすることができる。
【0087】
<6.2>
上記実施形態では、身体情報に基づいて、(1)ストロボ光を照射するストロボ発光管の選択、及び(2)ストロボ光の発光強度の調整、の両者の制御を行っているが、いずれか一方のみを行ってもよい。また、各ストロボ発光管を個別に調整するほか、すべてのストロボ光、あるいは各発光ユニットからの総発光強度の調整を行ってもよい。
【0088】
<6.3>
上述した各発光ユニット331,332の構成は、一例であり、内部に配置されるストロボ発光管の数、位置、仕様、蛍光灯、ランプなどの構成は特には限定されず、適宜変更可能である。また、上記実施形態では、撮影時に被写体に照射する光としてストロボ光を採用しているが、これに限定されるものではなく、撮影用に被写体を照らすことができる光であれば、特には限定されず、また、そのような光を照射できるものであれば、光源も特には限定されない。
【0089】
<6.4>
身体情報により、被写体が子供であることを検出した場合には、ストロボ光を照射しないようにすることもできる。これは、ストロボ光の照射に子供が驚き、カメラ側を向かないことがあることによる。このような場合には、ストロボ光の代わりに、蛍光灯やランプを明るくしたり、あるいはカメラのISO感度を上げることにより、ストロボ光を照射するのと同等の明るさの写真を撮影することができる。
【0090】
<6.5>
上記実施形態では、取得した身体情報をストロボ光の制御に用いたが、これを画像補正に用いることもできる。画像補正としては、例えば、目の大きさ、顔の形状、顔の皮膚の色などを変更する処理を採用することができる。そして、例えば、身体情報として、子供が検出された場合には、補正を行わず、大人が検出された場合には、各種の補正を行うようにすることができる。その他、例えば、身体情報として人種を取得する場合、アジア系の黄色人種は目の大きさが小さいことがあるため、被写体がアジア系の人であることが検出されたときには、目を大きくする補正を適用することができる。一方、その他の白色人種等の総じて目が大きい人種であることが検出された場合には、目を大きくする補正を行わないようにすることできる。
【0091】
上述した補正は、ユーザ取得画像の大きさによって変更することができる。例えば、全身撮影で取得されるユーザ取得画像内の被写体の顔の大きさと、アップ撮影で取得されるユーザ取得画像内の被写体の顔の大きさとは、相違する。つまり、同じ被写体であっても、全身撮影でのユーザ取得画像内の顔の大きさは、アップ撮影でのユーザ取得画像内の顔の大きさよりも小さい。したがって、例えば、全身撮影での被写体の目の大きさの補正は、補正をわかりやすくするため、アップ撮影よりも目をやや大きくすることができる。このように、ユーザ取得画像内での補正対象の大きさに応じて、補正を変更することができる。なお、このような補正は、ライブビュー及び静止画の生成のいずれにも適用することができる。ライビューにおいて補正を行う場合には、例えば、動画を構成するフレーム毎に身体情報の検出を行った上で、補正を行うことができる。
【0092】
<6.6>
出力画像が印刷された印刷シートは、種々の形態にすることができるが、例えば、
図15に示す形態にすることができる。ここでは、説明の便宜上、
図15の上下、左右方向にしたがって説明を行うこととする。また、ここでは、説明の便宜のため、
図15に示すシートに1つの画像のみを表示しているが、あくまでも一例であり、その他、例えば、上述したステップS108で選択したシールデザインに、ユーザ取得画像が印刷されたものとすることができる。
図15の例では、印刷シートに印刷された出力画像は、ユーザ取得画像と、切り取り線150と、切込み用線801,802,803とを含む。この印刷シートには、ユーザ取得画像が印刷された画像配置領域500と、この画像領域500のいずれかの縁部に切り取り線150を介して一体的に連結された帯状の支持部領域600とが設けられている。そして、後述するように、印刷シートから切り離された画像領域500は、画像シート700を構成し、支持部領域600は、支持部800を構成するようになっている。なお、
図15では、画像領域500の下縁に支持部領域600が連結されているが、画像領域500のいずれの縁部に連結されていてもよい。
【0093】
支持部領域600は、切り取り線150を切断して、画像領域500から切り離されると、帯状の支持部800となり、
図16に示すように、環状に形成されるように組み立てられる。そのため、支持部領域600の右端部の上部には、上下方向に延びる第1切込み用線801が形成され、左端部の下部には、上下方向に延びる第2切込み用線801が形成されている。そして、これら切込み用線801,802を切断して切込みを形成した後、これら切込みを係合させると、
図16に示す環状の支持部800が形成される。
【0094】
また、この支持部領域600の中央の上部には、所定間隔をおいて2カ所に上下方向に延びる第3切込み用線803が形成されている。そのため、第3切込み用線803を切断して第3切込みを形成し、支持部800を環状に組み立てた後、印刷シートから切り離された画像シート700を第3切込みに係合させると、
図17に示すように、写真立てを構成することができる。
【0095】
なお、支持部800の構成は、特には限定されず、上記のように環状のほか、U字状に形成することもできる。すなわち、第1及び第2切込み用線801、802を設けず、第3切込み用線803に画像シート700を係合させることで、支持部800をU字状に保持することができる。第3切込み用線803の位置、数も特には限定されない。また、印刷領域に印刷される画像は適宜変更することができる。さらに、切り取り線150及び各切込み用線801~803は、印刷によるものであるが、あらかじめミシン目を形成しておき、切断しやすくすることもできる。
【0096】
<6.7>
上記実施形態では、電子ペンにより、タッチパネルディスプレイ31をタッチすることで、入力を行っているが、指でタッチすることで入力を行ってよく、あるいは物理的なボタン等の入力部を設けて入力を行うこともできる。また、入力は、音声により行うこともできる。すなわち、ユーザが、操作指示を声を発することで行い、これを受信することで、制御部5が操作を行うこともできる。
【0097】
<6.8>
上記実施形態では、撮影画像からユーザ取得画像のトリミングを行い、トリミング後の画像を選択画面(
図9,
図11,及び
図13)に表示しているが、ユーザ取得画像の表示の態様はこれに限定されない。例えば、上記のようなトリミングを行うことなく、撮影画像の周囲をマスクし、ユーザ取得画像のみが表示されるように、撮影画像自体(またはその一部)を選択画面に表示することもできる。要するに、ユーザ取得画像で規定される画像範囲が画面に表示されればよい。なお、選択対象となるライブビューとしてユーザに見えている複数の画像の大きさは、すべて同じまたは略同一とすることができる。
【0098】
<6.9>
また、撮影画像から、トリミングやマスクによりユーザ取得画像を生成する以外に、例えば、物理的なカメラの向きの変更、あるいは光学的なズームアップ及びズームアウトにより、ユーザ取得画像の画像範囲を決めてもよい。すなわち、カメラによる撮影画像をユーザ取得画像とすることもできる。さらには、カメラの向きの変更、ズームアップ及びズームアウトと、トリミング及びマスクと、を混在してユーザ取得画像の画像範囲を設定することもできる。
【0099】
<6.10>
上記実施形態では、全身撮影とアップ撮影の2種類を行っているが、アップ撮影のみでもよい。また、アップ撮影後に、撮影待ちをしているユーザがいない場合には、ボーナス撮影を行っているが、ボーナス撮影に代えて、撮影のやり直しを行うこともできる。すなわち、全身撮影またはアップ撮影の少なくとも1つを行い、既に撮影した全身撮影及びアップ撮影に係るユーザ取得画像と入れ替えることもできる。このとき、新たに生成したユーザ取得画像と、既に生成したユーザ取得画像とを比較し、既に生成したユーザ取得画像をそのまま維持することもできる。また、このようなボーナス撮影または撮影のやり直しを、撮影待ちのユーザの有無にかかわらず行ってもよいし、あるいは、全く行わないようにしてもよい。
【0100】
<6.11>
上記実施形態に係る撮影装置では、出力処理部55が、シートの印刷を行うことで、ユーザ取得画像の出力を行っているが、シートや、ユーザ取得画像のデータを出力することもできる。この場合、電子データは、ユーザの携帯端末に直接送信したり、あるいは外部サーバに送信後、当該サーバからユーザがインターネットを介して取得することもできる。
【0101】
<6.12>
上記実施形態に係る撮影装置においては、画像の編集を行うこともできる。すなわち、ユーザ取得画像やシートに対して、画像の編集作業を行うことができるようにしてもよい。また、上述したタッチパネルディスプレイ31に表示される画面の構成は一例であり、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0102】
32…カメラ(撮影部)
5…制御部
521…身体情報取得部
522…発光制御部