(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】き裂発生評価装置及びき裂発生評価方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/32 20060101AFI20230412BHJP
G01N 3/34 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
G01N3/32 C
G01N3/34 D
G01N3/32 J
(21)【出願番号】P 2018187904
(22)【出願日】2018-10-03
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100174285
【氏名又は名称】小宮山 聰
(72)【発明者】
【氏名】早川 守
(72)【発明者】
【氏名】藤川 拓海
(72)【発明者】
【氏名】坂本 真也
(72)【発明者】
【氏名】牧野 泰三
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-214795(JP,A)
【文献】特開2010-271248(JP,A)
【文献】特開平05-223715(JP,A)
【文献】特開2006-071529(JP,A)
【文献】特開2018-105719(JP,A)
【文献】特開2005-189064(JP,A)
【文献】特開2014-157038(JP,A)
【文献】特開2014-235038(JP,A)
【文献】登録実用新案第3204823(JP,U)
【文献】米国特許第04574642(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00- 3/62
G01N 17/00-19/00
G01M 13/00-13/045
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじり負荷を加えたときに発生するき裂の位置を特定できる試験片を用いて、き裂の発生を評価するき裂発生評価方法であって、
前記試験片に繰り返しねじり負荷を加える工程と、
前記試験片のき裂発生予定箇所を撮影して前記試験片の画像を取得する工程と、
前記取得した画像の輝度に基づいて、き裂の発生を判定する工程と、を備え、
前記試験片にねじり負荷を加えるときのねじり軸を軸方向、前記軸方向と垂直な方向の一つを幅方向、前記軸方向及び前記幅方向の両方に対して垂直な方向を厚さ方向とし、
前記試験片は、前記幅方向の寸法が他の箇所よりも小さいノッチ部を有する評価部を有し、
前記評価部は、前記軸方向に垂直でかつ前記ノッチ部を含む断面において、幅方向の寸法wが厚さ方向の寸法tよりも大きく、
前記評価部は、前記軸方向に垂直でかつ前記ノッチ部を含む断面において、前記試験片に前記軸方向をねじり軸としてねじり負荷を加えたときに、前記厚さ方向の一方側に生じる最大のせん断応力が、前記厚さ方向の他方側に生じる最大のせん断応力の1.05倍以上となる形状を有し、
前記き裂発生予定箇所は、前記ノッチ部の前記厚さ方向の一方側であり、
前記き裂の発生を判定する工程では、予め定めた閾値よりも低い輝度を有する画素が前記画像に存在する場合にき裂が発生したと判定する、き裂発生評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじり負荷による疲労き裂発生寿命を評価するき裂発生評価装置、及びき裂発生評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造部材として使用される材料に必要とされる特性として、疲労強度がある。特許第5503608号公報には、円筒形金属素材の疲労破壊評価方法が開示されている。
【0003】
疲労寿命は一般的に、き裂発生寿命とき裂進展寿命の和であるとされている。しかし、き裂発生寿命の明確な評価基準は存在しない。基礎研究として、逐次疲労試験を中断してカメラ観察又はレプリカ法による表面観察を繰り返し行う方法が報告されているが、工数が大きく実用的ではない(例えば非特許文献1及び2を参照)。
【0004】
特開昭57-67839号公報には、除荷過程における荷重ひずみループの変曲点を検出することでき裂の発生を検知する低サイクル疲労き裂検出装置が開示されている。
【0005】
特開昭62-108130号公報には、試験片に繰り返し荷重を加える疲労試験機において、その荷重の最大値に同期して試験片の状態を所定サイクルごとに撮影する疲労試験機の同期撮影装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5503608号公報
【文献】特開昭57-67839号公報
【文献】特開昭62-108130号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】鹿毛正治=西谷弘信、「低炭素鋼の疲労き裂発生および伝ぱに及ぼす結晶粒大きさの影響(疲労過程の表面連続観察による検討)」、日本機械学会論文集(A編)、51巻461号(昭和60年1月)
【文献】櫻井尚行ほか、「AFMによるTi-6Al-4V合金における疲労き裂発生挙動の観察」、M&M 材料力学カンファレンス 2011、OS0528、2011年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特開昭57-67839号公報に記載された低サイクル疲労き裂検出装置では、試験片の平行部にひずみ検出器を取り付け、荷重ひずみループの変曲点を検出する。この方法は、ねじり疲労試験にも適用可能であるものの、平行部のひずみを測定する一定の長さを有したひずみ検出器を設置する必要があり、その応答性から高サイクル疲労には適用し難い。
【0009】
特開昭62-108130号公報に記載された疲労試験機の同期撮影装置は、巨視的なき裂の観察には適用できるが、微小き裂(例えば、き裂長さが20μm前後のき裂発生や数mm程度のき裂進展)を観察することは困難である。
【0010】
本発明の目的は、ねじり疲労による微小き裂の発生の観察及び評価が可能なき裂発生評価装置、及びき裂発生評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によるき裂発生評価装置は、ねじり負荷を加えたときに発生するき裂の位置を特定できる試験片を用いて、き裂の発生を評価するき裂発生評価装置であって、前記試験片に繰り返しねじり負荷を加える電子制御可能なねじれ角付与手段と、前記試験片のき裂発生予定箇所を撮影するカメラと、前記カメラで撮影された画像の輝度に基づいて、き裂の発生を判定する演算装置と、を備え、前記演算装置は、予め定めた閾値よりも低い輝度を有する画素が前記画像に存在する場合にき裂が発生したと判定する。
【0012】
本発明の一実施形態によるき裂発生評価方法は、ねじり負荷を加えたときに発生するき裂の位置を特定できる試験片を用いて、き裂の発生を評価するき裂発生評価方法であって、前記試験片に繰り返しねじり負荷を加える工程と、前記試験片のき裂発生予定箇所を撮影する工程と、前記撮影された画像の輝度に基づいて、き裂の発生を判定する工程と、を備え、前記き裂の発生を判定する工程では、予め定めた閾値よりも低い輝度を有する画素が前記画像に存在する場合にき裂が発生したと判定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ねじり疲労による微小き裂の発生の観察及び評価が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるき裂発生・進展評価装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の評価装置の試験片配置箇所の近傍を拡大して示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の評価装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明で使用する試験片の一例の斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明で使用する試験片の他の例の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、
図6の試験片の製造方法の一例を示す模式図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明で使用する試験片のさらに他の例の斜視図である。
【
図15】
図15は、き裂の両端の座標を求める方法を説明するための図である。
【
図18B】
図18Bは、応力拡大係数範囲ΔKとき裂進展速度da/dNとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、繰り返しねじり負荷を加えたときのき裂の発生箇所を特定できる試験片を発明し、特願2018-060759号として出願した。本発明者らは、この試験片を用いて、き裂の発生・進展の観察及び評価を自動化する方法を検討した。
【0016】
画像からひずみの大きさを調べる方法として、画像相関法がある。画像相関法では、時系列で測定された複数の画像を比較して、物体表面の変位を求める。ひずみの分布を調べることで、き裂発生・進展の様子をある程度推測することができる。しかしこの方法は、き裂そのものを観測している訳ではない。
【0017】
本発明者らはまず、同一画素の輝度変化から、き裂を検知できないかを検討した。しかし疲労試験では、試験片に繰り返し負荷を加えるため、複数の画像間で試験片の同一位置が常に同一画素に対応するように撮影を続けることは困難である。
【0018】
さらに調査を進めた結果、き裂が発生した領域では、摩耗粉が発生して輝度が顕著に低下していることが分かった。そのため、試験片の初期の輝度を基準に適当な閾値を設定し、輝度がこの閾値以下となる領域が発生した場合にき裂が発生したと評価することで、き裂の発生の検知できることを明らかにした。また、輝度が閾値以下の領域をき裂と判定することで、き裂の進展を評価できることを明らかにした。
【0019】
本発明は、上記の知見に基づいて完成された。以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0020】
[評価装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態によるき裂発生・進展評価装置1(以下「評価装置1」という。)の構成を示す斜視図である。
図2は、評価装置1の試験片配置箇所の近傍を拡大して示す分解斜視図である。
【0021】
評価装置1は、ベース20、モータ21、トルクセル31、固定手段22及び32(
図2)、スライド機構40、カメラ45、並びにケースCを備えている。
【0022】
モータ21は、出力軸21aを有している。モータ21は、例えばギアドステップモータである。
【0023】
トルクセル31には、軸31aが連結されている。トルクセル31は、軸31aに加わるトルクを検出する。
【0024】
モータ21とトルクセル31とは、出力軸21aと軸31aとが同軸になるように配置されている。以下では、出力軸21a及び軸31aに平行な方向をx方向、鉛直方向をz方向、これらに垂直な方向をy方向と呼ぶ。
【0025】
モータ21は、フレーム23を介してベース20に固定されている。一方、トルクセル31は、後述するスライド機構40のベースプレート41に固定され、ベース20に対してx方向に自由に移動できるように構成されている。
【0026】
評価装置1には、試験片Sが取り付けられる。試験片Sは、
図2に示すように、長手方向の中央に設けられた評価部13と、長手方向の両端部に設けられた一対の把持部11及び12とを有している。試験片Sの詳しい構成は後述する。
【0027】
把持部11はモータ21に接続され、把持部12はトルクセル31に接続される。より具体的には、把持部11は固定手段22によってモータ21の出力軸21aに固定され、把持部12は固定手段32によってトルクセル31に連結された軸31aに固定される。
【0028】
図2では、固定手段22及び32として、試験片Sをz方向の両側から挟み込んで固定する機構を示しているが、この構成は例示である。固定手段22及び32は、試験片Sを固定できるものであればよく、具体的な構成は任意である。固定手段22及び32は、例えば油圧式のチャックであってもよい。あるいは、試験片Sを直接ねじ等で固定する構成としてもよい。固定手段22及び32は、試験片Sに対して十分なねじれ剛性を有していることが好ましい。評価装置1は、試験片Sの形状に応じて固定手段22及び32を選択できるように、固定手段22及び32を取替可能な機構を備えていることが好ましい。
【0029】
評価装置1は、ベース20に対して垂直に配置された板状のフレーム33をさらに備えている。フレーム33は、法線がx方向と平行になるように配置されている。フレーム33には、x方向に開口した軸受34が取り付けられており、トルクセル31の軸31aは軸受34に挿入されている。軸受34は、軸31aを径方向から支持して、軸31aが撓むのを抑制している。
【0030】
スライド機構40は、x方向に自由に移動できるように構成されている。
【0031】
スライド機構40は、具体的には、ベースプレート41、ガイド柱42、及び直線運動軸受43を備えている。ガイド柱42は、一方の端部がベースプレート41に垂直に固定されており、他方の端部が直線運動軸受43に挿入されている。直線運動軸受43は、フレーム33に取り付けられている。この構成によれば、フレーム33とベースプレート41とを平行な状態に保ったまま、ベースプレート41及びこれに固定されたトルクセル31をx方向に移動させることができる。
【0032】
上述のとおり、トルクセル31は、スライド機構40に固定されている。トルクセル31は、スライド機構40のベースプレート41とともにx方向に自由に移動できる。この構成によれば、試験片Sにねじりを加えたときに発生するx方向の変位にトルクセル31が追従し、試験片Sに引張応力が加わるのを抑制することができる。これによって、試験片Sにねじり負荷だけを加えることができる。
【0033】
上述したスライド機構40の構成は例示である。スライド機構40は、トルクセル31をx方向に自由に移動させるものであればよく、その構成は任意である。スライド機構40は例えば、ガイド柱42の数が5本以上あるいは3本以下であってもよい。
【0034】
評価装置1は、トルクセル31に代えて(あるいはトルクセル31に加えて)、モータ21がスライド機構40に固定された構成としてもよい。この構成によっても、試験片Sに引張応力が加わるのを抑制することができる。すなわち、モータ21及びトルクセル31の少なくとも一方がスライド機構40に固定されていれば、この効果が得られる。
【0035】
カメラ45は、試験片Sを撮影し、その画像を後述する制御装置50(
図3)に送信する。後述するように、試験片Sは、繰り返しねじり負荷を加えたときに発生するき裂の位置を特定できる形状を有している。カメラ45は、試験片Sのき裂発生予定箇所を高倍率で撮影する。カメラ45の倍率は、例えば100倍であり、好ましくは200倍以上である。カメラ45は、例えばCCDカメラである。
【0036】
ケースCは、試験片Sが配置される空間を囲って、試験片Sに埃等が付着するのを防止する。
図1では、ケースCが装置全体を囲うように配置されている場合を図示しているが、ケースCは、試験片Sの周りにだけを囲うように配置されていてもよい。また、試験片Sが配置される空間は密閉されている必要はなく、多少隙間があっても効果が得られる。
【0037】
図3は、評価装置1の機能的構成を示すブロック図である。評価装置1は、制御装置50、記録装置54、及び演算装置55をさらに備えている。
【0038】
制御装置50は、モータ21を駆動するモータ駆動部52、トルクセル31の検出値を取得するAD変換器53、及びこれらを制御する中央処理装置51を備えている。中央処理装置51にはまた、カメラ45が撮影した試験片Sの画像が入力される。
【0039】
中央処理装置51は、試験片Sに加えたねじり負荷の繰り返し数と、カメラ45によって撮影された画像とを記録装置54に送信する。記録装置54は、試験片Sに加えたねじり負荷の繰り返し数と、カメラ45によって撮影された画像とを関連付けて記録する。
【0040】
演算装置55は、記録装置54に記録された画像、又は中央演算装置51から直接取得した画像に基づいて、試験片Sのき裂の発生・進展を評価する。き裂の発生・進展の評価方法の詳細は後述する。
【0041】
制御装置50、記録装置54、及び演算装置55は、それぞれ別の装置であってもよいし、これらの全部又は一部が同一の装置として構成されていてもよい。例えば、記録装置54は、制御装置50と一体的に構成されていてもよい。また、中央演算装置51が、演算装置55の機能を兼ねる構成としてもよい。
【0042】
以上、評価装置1の構成を説明した。上記では、評価装置1が、試験片Sにねじれ角を付与するねじれ角付与手段としてモータ21を備えている場合を説明した。しかし、ねじれ角付与手段は電子制御可能なもの(すなわち、制御装置50によって制御できるもの)であればよく、モータに限定されない。ねじれ角付与手段は、例えばピエゾ素子や油圧によるねじれ角付与装置であってもよい。
【0043】
[試験片の構成]
試験片Sは、繰り返しねじり負荷を加えたときに発生するき裂の位置を特定できる形状を有している。以下、このような試験片の形状の例を説明する。
【0044】
[試験片の形状例1]
図4Aは、試験片Sの一例である試験片S1の斜視図である。
図4Bは、試験片S1を
図4Aと反対側から見た斜視図である。試験片S1は、一対の把持部11及び12と、その間に形成された評価部13とを備えている。試験片S1は、全体的に板状の形状を有している。
【0045】
試験片S1は、評価対象となる材料から形成されている。評価対象となる材料は、これに限定されないが、典型的には金属材料であり、例えば鉄鋼材料である。
【0046】
以下、把持部11と把持部12とを結ぶ方向(x方向)を軸方向と呼ぶ。また、軸方向と垂直な方向の一つを幅方向と呼び、軸方向及び幅方向の両方に対して垂直な方向を厚さ方向と呼ぶ。具体的には、軸方向と垂直な断面における試験片Sの長辺に平行な方向(y方向)を幅方向とし、短辺に平行な方向(z方向)を厚さ方向とする。また、厚さ方向の一方側(z方向プラス側)を表側、他方側(z方向マイナス側)を裏側と呼ぶ。
【0047】
把持部11及び12は、軸方向に垂直な断面の面積が、評価部13よりも大きくなるように形成されている。把持部11及び12のそれぞれと評価部13とは、境界に応力が集中しないように、滑らかに連結されている。
【0048】
評価部13は、軸方向の中央近傍に、幅方向の寸法が他の箇所よりも小さいノッチ部13Aを有している。具体的には、評価部13はノッチ部13Aにおいて、幅方向の両側にU字型のノッチ13aが形成されている。ノッチ13aは、境界に応力が集中しないように、曲率半径が大きく形成されていることが好ましい。一方、ノッチ13aの曲率半径を大きくすることでノッチ部13Aの長さ(軸方向の寸法をいう。以下同じ。)を大きくしすぎると、き裂発生箇所を特定することが難しくなる。ノッチ部13Aの長さは、例えば0.5~5mmであり、好ましくは1~3mmである。
【0049】
試験片S1は、裏側の面の幅方向両側の角が面取りされている。具体的には、把持部11の角11a、把持部12の角12a、及び評価部13の角13bのそれぞれがC面取りされている。C面取りとは、JIS B 0001機械製図の規定にしたがい、角度45°、一辺C[mm]で切削加工されたものをいう。
【0050】
図5は、
図4AのV-V線に沿った断面図である。
図5の断面は、軸方向に垂直で、かつノッチ部13Aを含む断面である。評価部13は、
図5の断面において、幅方向の寸法(以下、単に「幅」という。)wが、厚さ方向の寸法(以下、単に「厚さ」という。)tよりも大きい(w>t)。
【0051】
厚さtは、好ましくは0.1mm以上である。厚さtが0.1mm未満であると、疲労試験を実施することが難しくなる。厚さtの上限は、好ましくは100mmである。幅wは、好ましくは厚さtの1.10倍以上(w≧1.10t)であり、より好ましくは厚さtの1.15倍以上(w≧1.15t)である。
【0052】
評価部13にねじり負荷が加わると、評価部13の表面のうち、ねじり軸に近い箇所ほど大きなせん断応力が発生する。試験片S1では、幅wが厚さtよりも大きいため、表裏の面の幅方向の中央で最大のせん断応力が発生する。すなわち、表側の面では
図5の点P1に最大のせん断応力が発生し、裏側の面では点P2に最大のせん断応力が発生する。
【0053】
評価部13は、
図5の断面において、軸方向をねじり軸としてねじり負荷を加えたときに表側に生じる最大応力が、裏側に生じる最大応力の1.05倍以上となる形状を有する。すなわち、試験片Sでは、点P1に発生するせん断応力の大きさが、点P2に発生するせん断応力の1.05倍以上である。
【0054】
点P2に発生するせん断応力の大きさは、角13bの面取りの大きさによって調整することができる。具体的には、角13bを大きく面取りするほど、裏側の面に発生するせん断応力が分散し、点P2に発生するせん断応力を小さくすることができる。点P1及び点P2に発生するせん断応力の具体的な大きさは、評価部13の形状から、例えば有限要素法によって計算することができる。
【0055】
以上、試験片S1の構成を説明した。試験片S1は、上記の構成を有することにより、
図5の点P1に疲労き裂を優先的に発生させることができる。
【0056】
すなわち、試験片S1では、評価部13は、幅方向の寸法が他の箇所よりも小さく形成されたノッチ部13Aを有する。これによって、ノッチ部13Aの断面積が他の箇所の断面積よりも小さくなり、ノッチ部13Aの近傍でより大きな応力が発生する。そのため、疲労き裂は、ノッチ部13Aの近傍に発生しやすくなる。試験片S1ではさらに、評価部13は、
図5の断面において、軸方向をねじり軸としてねじり負荷を加えたときに表側に生じる最大応力が、裏側に生じる最大応力の1.05倍以上となる形状を有する。そのため、疲労き裂は、ノッチ部13Aの表側に発生しやすくなる。
【0057】
上記の例では、把持部11及び12の形状が、評価部13と厚さが等しく、かつ評価部13よりも幅が広い形状である場合を説明した。しかし、把持部11及び12の形状は任意である。ただし、把持部11及び12は、評価部13よりも断面積が大きいことが好ましい。把持部11及び12は例えば、評価部13と幅が等しく、かつ評価部13よりも厚さが大きい形状であってもよい。
【0058】
上記の例では、評価部13の角13bだけでなく、把持部11の角11a及び把持部12の角12aも面取りされている場合を説明した。しかし、試験片S1は、評価部13の角13bが面取りされていればよく、把持部11の角11a及び把持部12の角12aは面取りされていなくてもよい。より詳しくは、試験片S1は、ノッチ部13Aの角だけが面取りされていればよい。
【0059】
上記の例では、評価部13の角13b等が、C面取りされている場合を説明した。しかし、面取りの形状は任意である。例えば、面取りの角度は45°以外であってもよい。また、面取りされた面が曲面であってもよい。
【0060】
[試験片の形状例2]
図6は、試験片Sの他の例である試験片S2の斜視図である。試験片S2は、表側の面に溝13cが形成されている他は、試験片S1(
図4A)と同じ構成を有する。溝13cは、軸方向に平行に、把持部11及び12、並びに評価部13の全体にわたって形成されている。
【0061】
図7は、
図5のVII-VII線に沿った断面図である。
図7の断面は、軸方向に垂直で、かつノッチ部13Aを含む断面である。溝13cは、弓形の断面形状を有している。ここで弓形とは、円弧とその両端を結ぶ線分とで構成された形状をいう。
【0062】
試験片S2においても、試験片S1の場合と同様に、表側の面では点P3に最大のせん断応力が発生し、裏側の面では点P4に最大のせん断応力が発生する。試験片S2においても、点P3に発生するせん断応力の大きさを、点P4に発生するせん断応力の1.05倍以上にする。
【0063】
試験片S2では、溝13cにより、点P3に発生するせん断応力をより大きくすることができる。具体的には、溝13cの深さdを大きくするほど、点P3に発生するせん断応力を大きくすることができる。ここで溝13cの深さdは、溝13cが形成された面から溝13cの最深部までの距離を意味する。
【0064】
溝13cの深さdは、溝13cの曲率半径ρの0.25%以上(d≧0.0025ρ)とすることが好ましい。一方、溝の深さdが大きすぎると、点P3の応力が大きくなりすぎ、実体の疲労特性を正しく評価できなくなるおそれがある。溝13cの深さdは、好ましくは溝13cの曲率半径ρ以下(ρ≧d)であり、かつ、評価部13の厚さtの25%以下(d≦0.25t)である。溝13cの深さdは、より好ましくは厚さtの10%以下(d≦0.10t)であり、さらに好ましくは厚さtの5%以下(d≦0.05t)である。
【0065】
溝13cの幅bは、評価部13の幅wよりも小さい(b<w)ことが好ましい。溝13cの幅bが評価部13の幅w以上であると、意図した応力分布が得られなくなる。なお、溝13cの幅bは、2ρsin(arcsin((ρ-d)/ρ))としても求めることができる。
【0066】
試験片S2は、
図8に示すように、内径2ρの鋼管Pから、鋼管Pの内面を含むように試験片を採取し、この試験片を成形して製造することもできる。この場合、試験片S2の評価部13の厚さt(
図7)は、鋼管Pの肉厚wtの10~100%(0.1wt≦t≦wt)にすることが好ましい。
【0067】
以上、試験片S2の構成を説明した。試験片S2においても、疲労き裂の発生箇所を特定することができる。また、
図8を用いて説明したように、鋼管Pから試験片S2を採取すれば、鋼管の内面を起点とした疲労破壊を再現した試験を実施することができる。
【0068】
[試験片の形状例3]
図9Aは、試験片Sのさらに他の例である試験片S3の斜視図である。
図9Bは、試験片S3を
図9Aと反対側から見た斜視図である。試験片S3は、一対の把持部81及び82と、把持部81と把持部82との間に形成された評価部83とを備えている。試験片S3は、全体的に、丸棒状の試験片の一方の面を研削して平らにした形状を有している。
【0069】
試験片S1の場合と同様に、軸方向(x方向)、幅方向(y方向)、及び厚さ方向(z方向)を定義し、厚さ方向の一方側(z方向プラス側)を表側と呼び、他方側(z方向マイナス側)を裏側と呼ぶ。試験片S3は、表側に平らに形成された面を有している。
【0070】
把持部81及び82は、軸方向に垂直な断面の面積が、評価部83よりも大きくなるように形成されている。把持部81及び82のそれぞれと評価部83とは、境界に応力が集中しないように、滑らかに連結されている。
【0071】
図10は、試験片S3の評価部83の近傍を拡大して示す平面図である。評価部83は、軸方向の中央近傍に、幅方向の寸法が他の箇所よりも小さいノッチ部83Aを有している。具体的には、評価部83はノッチ部83Aにおいて、平らに形成された面を除く外周面にノッチ83aが形成されている(
図11も参照)。ノッチ83aは、境界に応力が集中しないように、曲率半径が大きく形成されていることが好ましい。一方、ノッチ83aの曲率半径を大きくすることでノッチ部83Aの長さを大きくしすぎると、き裂発生箇所を特定することが難しくなる。ノッチ部83Aの長さは、例えば0.5~5mmであり、好ましくは1~3mmである。
【0072】
図11は、
図10のXI-XI線に沿った断面図である。
図11の断面は、軸方向に垂直で、かつノッチ部83Aを含む断面である。評価部83は、
図11の断面において、幅wが厚さtよりも大きい(w>t)。
【0073】
評価部83にねじり負荷が加わると、表側の面では点P5に最大のせん断応力が発生し、裏側の面では点P6に最大のせん断応力が発生する。評価部83は、
図11の断面において、軸方向をねじり軸としてねじり負荷を加えたときに表側に生じる最大応力が、裏側に生じる最大応力の1.05倍以上となる形状を有する。すなわち、試験片S3では、点P5に発生するせん断応力の大きさが、点P6に発生するせん断応力の1.05倍以上である。
【0074】
点P5に発生するせん断応力と点P6で発生するせん断応力の比は、幅wと厚さtとの比によって調整することができる。具体的には、w/tを大きくすると、点P5及び点P6の両方とも応力は増加するが、点P5の方がより大きく増加する。そのため、w/tを大きくするほど、点P5に発生するせん断応力の点P6で発生するせん断応力に対する比を大きくすることができる。点P5及び点P6に発生するせん断応力の具体的な大きさは、評価部83の形状から、例えば有限要素法によって計算することができる。
【0075】
以上、試験片S3の構成を説明した。試験片S3においても、疲労き裂の発生箇所を特定することができる。
【0076】
[評価装置1の動作、及びき裂発生・進展の評価方法]
制御装置50は、モータ21を駆動して試験片Sに繰り返しねじり負荷を加えるとともに、所定の繰り返し数ごとにカメラ45から取得した試験片Sの画像を記憶装置54に記憶させる。演算装置55は、記録装置54に記録された画像、又は中央演算装置51から直接取得した画像に基づいて、試験片Sのき裂の発生・進展を評価する。以下、制御装置50及び演算装置55の動作を詳述する。
【0077】
[き裂発生の評価]
図12は、評価装置1が実行するき裂発生評価方法のフロー図である。このき裂発生評価方法は、予め所定の閾値を設定する工程(ステップS1-1)と、試験片Sに繰り返しねじり負荷を加える工程(ステップS1-2)と、試験片Sを撮影する工程(ステップS1-3)と、撮影された画像の輝度に基づいて、き裂の発生を判定する工程(ステップS1-4)とを備えている。
【0078】
このき裂発生評価方法では、後述するように、カメラ45で撮影された画像の輝度に基づいてき裂の発生を判定する(ステップS1-4)。そのためにまず、き裂の発生の判定の基準となる閾値を予め設定する(ステップS1-1)。
【0079】
閾値は、初期状態(繰り返しねじり負荷を加える前)の試験片Sを撮影した画像の輝度を基準として設定することができる。例えば、初期状態の試験片の輝度が、256段階の階調中126~255であった場合、最小値である126に一定量のマージンを減じて、例えば100を閾値として設定する。閾値の設定は、試験片Sごとに実際に撮影をして初期状態の輝度を求めてから設定してもよいし、過去に行った同種の試験片での実績値を用いて設定してもよい。
【0080】
次に、モータ21を駆動して、試験片Sに繰り返しねじり負荷を加える(ステップS2-2)。このとき、トルクセル31の検出値を取得しながら、応力振幅が一定になるよう制御することが好ましい。
【0081】
カメラ45によって、試験片Sを撮影する(ステップS1-3)。上述のとおり、試験片Sは、繰り返しねじり負荷を加えたときに発生するき裂の位置を特定できる形状を有している。カメラ45は、試験片Sのき裂発生予定箇所を撮影する。
【0082】
制御装置50は、試験片Sに加えられたねじり負荷の繰り返し数(サイクル数)と、カメラ45で撮影された画像とを関連付けて、記録装置54に記録させる。
【0083】
ここで、「サイクル数と画像とを関連付けて記録する」とは、記録装置54に複数の画像が記録されている場合において、ある画像が何サイクルのときの画像であるかが分かる状態で記録することを意味する。そのため例えば、一定のサイクルごとに画像を記録する場合、画像を時系列に記録することも、「サイクル数と画像とを関連付けて記録する」に該当する。
【0084】
制御装置50は、モータ21の動作と同期して、カメラ45で撮影された画像を記録装置54に記録させることが好ましい。より具体的には、モータ21のねじれ角が所定の角度になるタイミング(例えば、試験片Sに最大又は最小の応力が加わるタイミング)に同期して、カメラ45で撮影された画像を記録装置54に記録させることが好ましい。また、画像を記録させる際、モータ21の動作を停止させることが好ましい。もっとも、振動周波数に対してカメラ45の時間分解能が十分に高い場合には、モータ21を動作させながら撮影してもよい。
【0085】
画像の記録は、所定のサイクルごと(例えば、1000サイクルごと)に行ってもよいし、1サイクルごとに行ってもよい。あるいは、1サイクルをさらに分割して行ってもよく、連続的に行ってもよい。
【0086】
演算装置55によって、撮影した画像の輝度に基づいてき裂の発生を判定する(ステップS1-4)。演算装置55は、試験片Sの画像を記録装置54から取得してもよいし、中央演算装置51から直接取得してもよい。
【0087】
演算装置55は具体的には、撮影された画像内又は画像内の予め設定された範囲において、輝度がステップS1-1で設定した閾値以下の画素が存在するかを調べる。そのような画素が存在する場合にはき裂が発生していると判定し、そのような画素が存在しない場合にはき裂が発生していないと判定する。
【0088】
【0089】
試験片Sの表面は、研磨を施した場合であっても、通常は完全に均一な色味とはならず、高倍率で撮影するとある程度の濃淡が存在する。そのため、き裂の発生の判定方法として、
図13Aに示すように、繰り返し負荷を加える前後の画像を撮影し、2つの画像の間において、同一の画素(
図13AのPX1)の輝度の変化に基づいてき裂の発生を判定する方法が考えられる。
【0090】
しかし疲労試験では、試験片Sに繰り返し負荷を加えるため、複数の画像間で常に同一位置が同一画素に対応するように撮影を続けることは困難である。そのためこの方法では、同一の画素の輝度変化が、き裂の発生によるものなのか、撮影位置のずれによるものなのかを識別することが困難である。
【0091】
本発明者らは、き裂が発生した領域では、摩耗粉が発生して輝度が顕著に低下することを明らかにした。すなわち、き裂が発生した領域では、初期の画像の輝度の最低値よりも輝度が低くなる。そのため、初期の色味を基準に適当な閾値を設定し、輝度がこの閾値以下の画素が存在する場合、き裂が発生したと判定することができる(
図13B)。この方法であれば、撮影位置のずれの影響を受けずに、き裂の発生を判定することができる。
【0092】
なお、試験片Sに埃等が付着した場合、埃とき裂とを判定することは困難である。そのため評価装置1は、試験片Sが配置される空間を囲う清浄されたケースC(
図1)を備えていることが好ましい。
【0093】
き裂が発生していないと判定した場合、ステップS1-2に戻り、ステップS1-2~ステップS1-4を繰り返す。一方、き裂が発生していると判定した場合、後述するき裂進展評価に進む。き裂が発生していると判定した場合、疲労試験自体を中止し、き裂が発生した直後の試験片Sを回収できるようにしてもよい。
【0094】
以上、評価装置1が実行するき裂発生評価方法を説明した。この方法によれば、疲労き裂が発生したのきのサイクル数、すなわち、疲労き裂発生寿命を評価することができる。
【0095】
上記では、試験片Sに繰り返しねじり負荷を加えながら(疲労試験を実施しながら)、同時にき裂発生を判定する場合を説明した。しかし評価装置1は、疲労試験が終了した後、記録装置54に記録された画像を基に、疲労き裂が発生したときのサイクル数を求めるようにしてもよい。一方、疲労試験と同時にき裂の発生を判定するようにすれば、上述のとおり、き裂が発生した直後の試験片Sを回収することができる。
【0096】
[き裂進展の評価]
図14は、評価装置1が実行するき裂進展評価方法のフロー図である。このき裂進展評価方法は、閾値を設定する工程(ステップS2-1)と、試験片Sに繰り返しねじり負荷を加える工程(ステップS2-2)と、試験片Sのき裂発生箇所を撮影する工程(ステップS2-3)と、閾値以下の画素をき裂と判定する工程(ステップS2-4)と、き裂の両端(端部A,B)の座標を求める工程(ステップS2-5)と、き裂の長さ2a及び角度αを求める工程(ステップS2-6)と、応力拡大係数を求める工程(ステップS2-7)とを備えている。
【0097】
閾値を設定する工程(ステップS2-1)、試験片Sに繰り返しねじり負荷を加える工程(ステップS2-2)、及び試験片Sのき裂発生箇所を撮影する工程(ステップS2-3)は、き裂発生評価方法(
図12)のステップS1-1~S1-3と同様である。
【0098】
撮影された画像の複数の画素のうち、輝度がステップS2-1で設定した閾値以下の画素をき裂と判定する(ステップS2-4)。輝度が閾値以下の領域(画素)をき裂と判定できることは、上述したとおりである。
【0099】
き裂の両端(端部A、B)の座標を求める(ステップS2-5)。具体的には例えば、ステップS2-4でき裂と判定された画素のうち、x座標(ねじり軸と平行な軸に沿った座標)が最小の画素を一方の端部Aとし、x座標が最大の画素を他方の端部Bとすることができる(
図15を参照)。
【0100】
き裂を直線で近似して(
図16を参照)、き裂の長さ2a及び角度αを求める(ステップS2-5)。ここでαは、端部Aと端部Bとを結ぶ直線がねじり軸となす角度とする。
【0101】
き裂長さ2a及び角度αは例えば、一方の端部Aの座標を(XA、YA)、他方の端部Bの座標を(XB、YB)として、以下の式から求めることができる。
2a={(XB-XA)2+(YB-YA)2}1/2
α=tan-1{(YB-YA)/(XB-XA)}
【0102】
き裂長さ2a及び角度αに基づいて、応力拡大係数を求める(ステップS2-6)。応力拡大係数は例えば、下記の式から求めることができる。
【0103】
【数1】
ここで、σ
Bはき裂面に負荷される引張方向応力、τはき裂面に負荷されるせん断方向応力、F
1,F
2、F
3はポアソン比ν、き裂長さ2a、及び板厚tより定まる形状補正係数、Hは負荷トルク、zは貫通き裂の中央部からの高さ(表面の値はz=t/2となる)である(
図17を参照)。
【0104】
以上、評価装置1が実行するき裂進展評価方法を説明した。この方法によれば、自動かつ連続的に疲労き裂進展を評価することができる。
【0105】
このき裂進展の評価も、上述したき裂発生評価方法と同様に、疲労試験を実施しながら同時に実施してもよいし、疲労試験が終了した後、記録装置54に記録された画像を基に実施してもよい。
【0106】
演算装置55(
図3)は、試験片に加えられたねじり負荷の繰り返し数(サイクル数)と、き裂長さ2a及び角度αとを関連付けて、記録装置54に記録してもよい。これによって、
図18Aに示すような、サイクル数とき裂長さaとの関係(き裂進展速度)を求めることができる。さらに、上記で求めた応力拡大係数から応力拡大係数範囲ΔK=Δσ(πa)
1/2を求め、
図18Bに示すような、応力拡大係数範囲とき裂進展速度との関係を求めることもできる。
【0107】
以上、本発明の実施の形態を説明した。上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 き裂発生・進展評価装置(き裂発生評価装置)
20 ベース
21 モータ(ねじれ角付与手段)
22 固定手段
31 トルクセル
32 固定手段
40 スライド機構
50 制御装置
54 記録装置
55 演算装置
S、S1~S3 試験片