(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】透析情報管理システム、透析情報管理方法、および透析情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/60 20180101AFI20230412BHJP
【FI】
G16H40/60
(21)【出願番号】P 2018244779
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100140327
【氏名又は名称】大塚 千秋
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 高志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文泰
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-175282(JP,A)
【文献】特開2006-346333(JP,A)
【文献】特開2016-087391(JP,A)
【文献】お待たせしない!!~穿刺開始時間までの工夫~,第15回フォーラム「医療の改善活動」全国大会in大阪,2013年11月10日,pp.1-7,インターネット:<https://tqmh.jp/forum2013/tqm/site/upload/upload/1007115541_47130.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液透析装置における透析条件を管理するための透析情報管理システムであって、
患者毎に設定された透析条件データを記憶する患者情報記憶部と、
前記患者情報記憶部の透析条件データに基づき、血液透析装置へ透析条件を送信して設定させる透析条件設定部と、
透析条件データの更新に関して医師
が入力した指示データを受け付け、受け付けた指示データ
に未確認指示フラグを付して少なくとも一時的に記憶する指示受付部と、
前記指示受付部に記憶された指示データの中に、未確認指示フラグが付された指示データがある場合、
当該指示データが示す更新内容を当該医師以外の医療スタッフに確認させるための確認画面を生成し、ディスプレイに表示させる画面生成部と、
前記更新内容が確認された旨の入力を前記確認画面上で前記医療スタッフから受けてから、当該指示データに応じて前記患者情報記憶部の透析条件データを更新する透析条件更新部とを備えた、透析情報管理システム。
【請求項2】
前記ディスプレイが、血液透析装置のディスプレイ、および、透析条件を作成する管理用端末のディスプレイ、の少なくとも一方である、請求項1に記載の透析情報管理システム。
【請求項3】
前記指示受付部は、
医師が前記指示データを入力する際に、前記透析条件データの
更新内容と共に更新理由を
受け付け、
前記画面生成部は、前記透析条件データの更新内容と共に前記更新理由を前記確認画面に表示させる、請求項1または2に記載の透析情報管理システム。
【請求項4】
血液透析装置における透析条件を管理するための透析情報管理方法であって、
コンピュータのプロセッサが、透析条件データの更新に関して医師
が入力した指示データを受け付け、受け付けた指示データ
に未確認指示フラグを付して少なくとも一時的に
記憶部に記憶する工程と、
コンピュータのプロセッサが、
前記記憶部に記憶された指示データの中に、未確認指示フラグが付された指示データがある場合、
当該指示データが示す更新内容を当該医師以外の医療スタッフに確認させるための確認画面を生成し、ディスプレイに表示させる工程と、
コンピュータのプロセッサが、前記更新内容が確認された旨の入力を前記確認画面上で前記医療スタッフから受けてから、当該指示データに応じて、患者情報記憶部の透析条件データを更新する工程と、
コンピュータのプロセッサが、前記患者情報記憶部から、患者の透析条件データを取得し、取得した透析条件データに基づいて血液透析装置へ透析条件を送信して設定する工程とを備えた、透析情報管理方法。
【請求項5】
前記コンピュータのプロセッサは、
医師が前記指示データを入力する際に、前記透析条件データの
更新内容と共に更新理由を
受け付け、
前記コンピュータのプロセッサは、前記透析条件データの更新内容と共に前記更新理由を前記確認画面に表示させる、請求項4に記載の透析情報管理方法。
【請求項6】
血液透析装置における透析条件を管理するための透析情報管理プログラムであって、
コンピュータのプロセッサに、
透析条件データの更新に関して医師
が入力した指示データを受け付け、受け付けた指示データ
に未確認指示フラグを付して少なくとも一時的に
記憶部に記憶する工程と、
前記記憶部に記憶された指示データの中に、未確認指示フラグが付された指示データがある場合、
当該指示データが示す更新内容を当該医師以外の医療スタッフに確認させるための確認画面を生成し、ディスプレイに表示させる工程と、
前記更新内容が確認された旨の入力を前記確認画面上で前記医療スタッフから受けてから、当該指示データに応じて、患者情報記憶部の透析条件データを更新する工程と、
前記患者情報記憶部から、患者の透析条件データを取得し、取得した透析条件データに基づいて血液透析装置へ透析条件を送信して設定する工程とを実行させる命令を含む、透析情報管理プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータのプロセッサに、
医師が前記指示データを入力する際に、前記透析条件データの
更新内容と共に更新理由を
受け付けさせる命令と、
前記コンピュータのプロセッサに、前記透析条件データの更新内容と共に前記更新理由を前記確認画面に表示させる命令とをさらに含む、請求項6に記載の透析情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液透析治療についての透析条件を管理するための透析情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腎不全患者等の治療に、血液透析装置が用いられている。近年は、ディスプレイを搭載した血液透析装置であって、患者の基本情報や透析条件等の様々な情報をこのディスプレイに表示することにより、医師や看護師等の医療スタッフが表示内容を確認しながら透析治療を行うことが可能な血液透析装置も、利便性が高いため、広く用いられている。また、このような血液透析装置と連動する透析情報管理システムであって、例えば電子カルテシステム等と連携し、患者毎に透析条件を管理することも可能な、透析情報管理システムも開発されている。
【0003】
例えば、特開2017-10165号公報には、透析治療方法毎に画面に表示する表示情報を記憶するデータベースを備え、入力された患者IDに対応する透析治療方法を前記データベースから取得し、取得した透析治療方法に対応する表示情報を表示情報記憶部から読み出し、読み出した表示情報を用いて、その患者用の透析治療用画面を生成してディスプレイに表示する、透析管理システムが開示されている。これは、透析の治療方法によって必要な治療項目が異なるので、個々の患者の治療方法に応じて必要な治療項目のみを抜粋してディスプレイに表示することにより、医療スタッフのチェック漏れや入力ミス等を防止しようというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
血液透析においては、個々の患者の状態に応じて、ドライウェイト等の透析条件を適切に設定することが重要である。ドライウェイトとは、透析によって除水を終了した時点の目標体重である。すなわち、透析前の体重が49kgであり、ドライウェイトが48kgに設定されている場合は、血液透析装置によって1kgの水分を除水することとなる。
【0006】
ドライウェイトは、患者の体調に応じて適宜増減させる必要がある。例えば、ドライウェイトが本来あるべき値よりも高く設定されていると、除水が十分行われず、透析治療が終わった後も水分過剰の状態が続くことになる。したがって、体調が悪くて体が痩せてきている場合は、本来の体重が減少した分だけ、ドライウェイトの値を下げなければならない。逆に、患者の本来の体重が前回の透析時よりも増加している場合は、ドライウェイトの値を上げなければ、除水過多になってしまう。
【0007】
このように、患者の体調に応じて、ドライウェイト等の透析条件を適宜見直す必要があるので、医師は、透析患者の診察を行い、透析条件の変更を行う場合は、看護師または臨床工学技士に指示して透析情報管理システム上で設定変更を行わせるか、医師自身が透析情報管理システム上で設定変更を行うか、のいずれかの措置がとられている。
【0008】
ところが、医師の指示に従って看護師または臨床工学技士が透析条件の設定変更操作を行う場合、指示の伝達ミスや入力ミスが生じる可能性は皆無ではない。一方で、医師自身が透析条件の設定変更操作を行う場合は、どの医師がいつどのような理由で透析条件を変更したのかを、透析室の看護師または臨床工学技士が把握することが難しく、誤りがないかを確認するにも手間がかかる。また、医師による入力ミスが発生する可能性もある。
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑み、医師による透析条件の変更指示を、確実かつ円滑に反映させることが可能な、透析情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明にかかる透析情報管理システムは、
血液透析装置における透析条件を管理するための透析情報管理システムであって、
患者毎に設定された透析条件データを記憶する患者情報記憶部と、
前記患者情報記憶部の透析条件データに基づき、血液透析装置へ透析条件を送信して設定させる透析条件設定部と、
透析条件データの更新に関して医師からの指示データを受け付け、受け付けた指示データを少なくとも一時的に記憶する指示受付部と、
透析条件データの更新に関して医師から指示データを受け付けた場合、更新内容を当該医師以外の医療スタッフに確認させるための確認画面を生成し、ディスプレイに表示させる画面生成部と、
前記更新内容が確認された旨の入力を受けてから、当該指示データに応じて前記患者情報記憶部の透析条件データを更新する透析条件更新部とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、医師による透析条件の変更指示を、確実かつ円滑に反映させることが可能な、透析情報管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における透析情報管理システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、透析情報管理システムが備えるサーバの機能的構成を示すブロックである。
【
図3】
図3は、ある患者に対して透析治療を行う場合の、透析情報管理システムの概略動作の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、血液透析装置のディスプレイに表示される透析指示画面の一例である。
【
図6】
図6は、ドライウェイトを変更するために医師が入力を行うための医師指示入力画面の一例である。
【
図7】
図7は、ドライウェイト以外の透析条件を変更するために医師が入力を行うための医師指示入力画面の一例である。
【
図8】
図8は、注射に関する条件を変更するために医師が入力を行うための医師指示入力画面の一例である。
【
図9】
図9は、
図6に示したドライウェイト指示画面によってドライウェイトが変更された場合の、指示変更確認画面の一例を示す。
【
図10】
図10は、医師指示を医療スタッフに確認させるための透析情報管理システムの動作手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図7に示した透析条件指示画面による医師指示に対する確認画面の一例である。
【
図12】
図12は、
図8に示した透析条件指示画面による医師指示に対する確認画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一態様としての透析情報管理システムは、
血液透析装置における透析条件を管理するための透析情報管理システムであって、
患者毎に設定された透析条件データを記憶する患者情報記憶部と、
前記患者情報記憶部の透析条件データに基づき、血液透析装置へ透析条件を送信して設定させる透析条件設定部と、
透析条件データの更新に関して医師からの指示データを受け付け、受け付けた指示データを少なくとも一時的に記憶する指示受付部と、
透析条件データの更新に関して医師から指示データを受け付けた場合、更新内容を当該医師以外の医療スタッフに確認させるための確認画面を生成し、ディスプレイに表示させる画面生成部と、
前記更新内容が確認された旨の入力を受けてから、当該指示データに応じて前記患者情報記憶部の透析条件データを更新する透析条件更新部とを備えている。
【0014】
すなわち、上記の透析情報管理システムは、患者毎に設定された透析条件データを記憶する患者情報記憶部を備え、透析条件設定部が、患者情報記憶部の透析条件データに基づき、血液透析装置へ透析条件を送信して設定させる。また、透析条件データの更新に関して医師からの指示がなされると、指示受付部が、指示データを受け付けて少なくとも一時的に記憶する。そして、画面生成部が、更新内容を当該医師以外の医療スタッフに確認させるための確認画面を生成してディスプレイに表示させ、前記更新内容が確認された旨の入力を受けてから、透析条件更新部が、当該指示データに応じて前記患者情報記憶部の透析条件データを更新する。
【0015】
このような構成により、上記の透析情報管理システムは、医師が透析条件の更新(新規作成や変更を含む)を行った場合、更新を行った医師以外の医療スタッフがその内容を確認したことを条件として、透析条件にその更新が反映される。したがって、例えば、医師が透析条件の更新時に入力ミスをした場合に、これが直ちに透析条件に反映されてしまうことが防止される。また、医師が行った変更指示の内容が、確認画面としてディスプレイに表示されるので、医師以外の医療スタッフが、この確認画面の表示内容を確認すればその更新内容が透析条件に反映されるので、医師による変更指示を確実かつ円滑に透析条件に反映させることができる。
【0016】
前記の透析情報管理システムにおいて、前記ディスプレイが、血液透析装置のディスプレイ、および、透析条件を作成する管理用端末のディスプレイ、の少なくとも一方であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の他の態様としての透析情報管理方法は、
血液透析装置における透析条件を管理するための透析情報管理方法であって、
透析条件データの更新に関して医師からの指示データを受け付け、受け付けた指示データを少なくとも一時的に記憶する工程と、
透析条件データの更新に関して医師から指示データを受け付けた場合、更新内容を当該医師以外の医療スタッフに確認させるための確認画面を生成し、ディスプレイに表示させる工程と、
前記更新内容が確認された旨の入力を受けてから、当該指示データに応じて、患者情報記憶部の透析条件データを更新する工程と、
前記患者情報記憶部から、患者の透析条件データを取得し、取得した透析条件データに基づいて血液透析装置へ透析条件を送信して設定する工程とを含んでいる。
【0018】
また、本発明のさらに他の態様としての透析情報管理プログラムは、
血液透析装置における透析条件を管理するための透析情報管理プログラムであって、
コンピュータのプロセッサに、
透析条件データの更新に関して医師からの指示データを受け付け、受け付けた指示データを少なくとも一時的に記憶する工程と、
透析条件データの更新に関して医師から指示データを受け付けた場合、更新内容を当該医師以外の医療スタッフに確認させるための確認画面を生成し、ディスプレイに表示させる工程と、
前記更新内容が確認された旨の入力を受けてから、当該指示データに応じて、患者情報記憶部の透析条件データを更新する工程と、
前記患者情報記憶部から、患者の透析条件データを取得し、取得した透析条件データに基づいて血液透析装置へ透析条件を送信して設定する工程とを実行させる命令を含んでいる。
【0019】
[発明の実施の形態]
以下、図面を参照し、本発明の具体的な実施の形態について詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態にかかる透析情報管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、透析情報管理システム100は、複数の血液透析装置1と、サーバ2と、管理用端末3とを備えている。血液透析装置1と、サーバ2と、管理用端末3とは、例えば無線または有線のLAN等のネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。
【0021】
血液透析装置1は、透析室の患者ベッド横に設置されている。血液透析装置1は、管理用端末3によって設定された透析条件にしたがって、血液透析治療を行う。なお、本明細書における「透析条件」とは、透析治療において患者毎に設定される種々の条件であって、ドライウェイトの他に、透析時間、血液浄化法、ダイアライザの種類、血液流量、使用薬剤およびその投与量や投与条件等の種々の項目を含むと共に、血液透析処置に関する条件のみに限定されず、透析治療に関連して設定される種々の項目を含むものとする。
【0022】
血液透析装置1は、例えば、タッチパネル式のディスプレイ11を備えている。ディスプレイ11には、患者の基本情報、当該患者の透析条件、血液透析装置1の操作案内、透析治療中の患者のバイタル情報等が表示される。ディスプレイ11の表示内容を見ることにより、医療スタッフ(医師、看護師、または臨床工学技士等)は、透析条件を確認したり、透析治療の進行状況および患者の状況を確認したりすることができる。
【0023】
また、ディスプレイ11をタッチパネルとして操作することにより、透析条件の変更入力や、透析に使用した薬剤情報の入力、透析治療中の患者の訴えや処置コメントの入力等を行うことができる。なお、ここでは、血液透析装置1の入出力デバイスとして、タッチパネル式のディスプレイ11を備えた例を挙げたが、入出力デバイスは、ディスプレイとキーボード等の入力デバイスとの組み合わせであっても良い。また、ディスプレイ11の代わりに、血液透析装置1と通信可能なタブレット等を、血液透析装置1の入出力デバイスとして用いても良い。
【0024】
サーバ2は、透析情報管理システム100において、患者に関する情報および透析治療に関する情報を集中的に管理するためのデータベース(後述)を有し、血液透析装置1に対して、透析治療に必要な情報を提供する。また、サーバ2は、血液透析装置1および管理用端末3からの入力データに基づいて、上記データベースの情報を更新する。
【0025】
サーバ2は、
図2に示すように、患者毎の情報が登録されている患者データベース21と、透析に使用される薬剤や透析方法(血液浄化法)に関する諸条件等の情報が登録されている透析マスタデータベース22とを備えている。
図2の例では、患者データベース21は、患者の基本情報を格納する基本情報領域21aと、患者毎の透析条件や透析治療履歴等を格納する治療情報領域21bとを有している。ただし、
図2に示した構成例は、あくまでも一例にすぎず、本発明の実施態様をこれに限定するものではない。これらのデータベースをサーバ2の外部に設け、サーバ2がアクセス可能な構成としても良い。なお、サーバ2の外部に上記のデータベースを設ける場合、それらのデータベースは電子カルテシステムの一部であっても良い。また、サーバ2は、1台または複数台のコンピュータに置き換えることもできる。
【0026】
患者データベース21の基本情報領域21aには、患者の基本情報として、例えば、氏名、住所、性別、生年月日、電話番号、カルテ番号、保険情報、担当医、家族歴、転帰/導入情報、禁忌、血液型、シャント、感染症、腎移植希望の有無、病歴、来院歴等の様々な情報が格納される。なお、基本情報についてのこれらの項目はあくまでも例示である。これらの項目は必須ではなく、他の任意の項目が加わっても良い。
【0027】
患者データベース21の治療情報領域21bには、それぞれの患者に関連付けて、透析条件、医師指示、透析予約、透析記録、検査結果等の様々な情報が格納される。なお、治療情報領域21bに格納される情報についてのこれらの項目はあくまでも例示である。これらの項目は必須ではなく、他の任意の項目が加わっても良い。また、基本情報領域21aおよび治療情報領域21bの区別は必須ではない。
【0028】
透析マスタデータベース22には、上述のとおり、透析に使用される薬剤や血液浄化法に関する諸条件等の情報が登録されている。なお、患者データベース21および透析マスタデータベース22のデータ構造は任意である。また、ここでは、患者データベース21と透析マスタデータベース22とを別個のデータベースとして表現しているが、これらのデータベースは統合されていても良いし、より細かいデータベースに分類されていても良い。
【0029】
また、サーバ2は、
図2に示すように、血液透析装置1のディスプレイ11や管理用端末3に表示するための画面を生成する画面生成部23、透析条件に関する医師からの指示(医師指示)を受け付ける指示受付部24、医師指示に基づいて患者データベース21を更新する透析条件更新部25、血液透析装置1に対して透析条件を設定する透析条件設定部26を備えている。これらの機能部は、サーバ2のプロセッサが所定のプログラムにしたがって動作することにより実現される。なお、サーバ2は、これら以外の機能部を有していても良い。
【0030】
管理用端末3は、例えばパーソナルコンピュータで構成される。管理用端末3は、医療スタッフにより操作される。管理用端末3は、例えば診察室に設置されるが、診察室以外の任意の場所(例えば、病院の受付、ナースステーション、透析室、等)に設置されていても良い。また、管理用端末3を、タブレット等のモバイル機器で構成しても良い。
【0031】
ここで、
図3~
図5を参照しながら、透析情報管理システム100の基本的な動作について説明する。
図3は、透析情報管理システム100において、ある患者に対して透析治療を行う場合の概略動作の流れを示すフローチャートである。
図3に示すように、透析情報管理システム100は、まず、管理用端末3により、これから透析治療を行う患者を特定するための入力を受け付ける(ステップS1)。この入力受付処理は、例えば、管理用端末3に接続されたカード読み取り機によって、患者の診察カードから患者IDを読み取ることによって行うことができる。サーバ2の画面生成部23は、患者データベース21を参照し、受け付けた患者IDに該当する患者の情報を読み出す(ステップS2)。
【0032】
透析治療の開始前には、必ず体重測定を行う。このため、画面生成部23は、患者データベース21から読み出した情報に基づき、
図4に示すような、前体重測定用画面401を生成する(ステップS3)。生成された前体重測定用画面401は、管理用端末3の画面に表示される。
【0033】
医療スタッフは、管理用端末3の画面を見て、患者の取り違えがないことを確認し、管理用端末3の近くに置かれた体重計で当該患者の体重を測定する。前体重測定用画面には、
図4に示した例では、体重計で測定された体重が表示される測定値欄401a、患者が身に着けている物に応じて測定値から差し引くべき重さを入力するマイナス値欄401b、測定値欄401aの値からマイナス値欄401bの値を差し引いた値が前体重として表示される前体重欄401c、医師が設定したドライウェイト(DW)が表示されるドライウェイト欄401d、前体重とドライウェイトとの差分を表示する差分値欄401e、および、登録ボタン401fが設けられている。なお、これらの表示項目は必須ではなく、他の表示項目があっても良い。
【0034】
マイナス値欄401bには、医療スタッフが適当な値を入力する。また、マイナス値欄401bに入力された値を、患者データベース21に登録できるようにしても良い。
【0035】
測定値欄401aには、前述のとおり、体重計で測定された体重が表示されるが、医療スタッフが体重計の目盛りを読んで、測定値を手入力しても良いし、体重計から測定値が管理用端末3に送信されて、測定値欄401aに表示されるようにしても良い。
【0036】
測定値欄401aに測定値が入力されると、管理用端末3により、測定値欄401aの値からマイナス欄401bの値を差し引いた値が、前体重として前体重欄401cに表示される。
【0037】
ドライウェイト欄401dには、医師が設定したドライウェイト(
図4の例では48.00kg)と、この患者が前回透析治療を受けた際の前体重と今回の前体重との差分値(
図4の例では前体重54.00kgから4.20kg減少)と、前回透析治療を受けた際の後体重と今回の前体重との差分値(
図4の例では後体重52.00kgから2.20kg減少)とが表示される。
【0038】
また、差分値欄401eには、前体重欄401cの値とドライウェイトとの差分値(
図4の例では1.80kg)が表示される。この差分値が、血液透析によって取り除くべき水分の重さ(目標除水量)である。
【0039】
医療スタッフは、前体重測定用画面401の各欄に数値が入力されたことを確認し、登録ボタン401fを操作する。登録ボタン401fが操作されると、前体重および目標除水量が、管理用端末3からサーバ2へ送られる(ステップS4)。
【0040】
サーバ2の画面生成部23は、前体重および目標除水量を受信し、血液透析装置1のディスプレイ11に表示させる透析指示画面を生成する。透析指示画面は、サーバ2から血液透析装置1へ送られ(ステップS5)、ディスプレイ11に表示される。
【0041】
図5に、透析指示画面の一例を示す。
図5の例では、透析指示画面501は、血液透析装置1のディスプレイ11にポップアップ画面として表示される。透析指示画面501は、患者氏名欄501a、当該患者に使用するダイアライザの種類を表示するダイアライザ種別欄501b、ドライウェイトを表示するドライウェイト欄501c、前体重を表示する前体重欄501d、ドライウェイトに対する体重の増加量(すなわち目標除水量)を表示する増加重欄501eを備えている。透析指示画面501は、これ以外に、透析治療の所要時間、使用するシリンジの種類、除水速度、等を有している。なお、これらの表示項目は必須ではなく、他の表示項目が設けられていても良い。
【0042】
また、これと同時に、サーバ2の透析条件設定部25が、当該患者の透析条件を患者データベース21から取得して血液透析装置1へ送信することにより、血液透析装置1において、ドライウェイトおよび目標除水量等の透析条件が設定される(ステップS6)。
【0043】
次に、医療スタッフは、透析患者の腕の静脈に針を穿刺して、透析患者と血液透析装置1との間に循環回路を形成した後、血液透析装置1を作動させる。これにより、血液透析装置1は、ステップS6で設定された透析条件にしたがって、血液透析を行う(ステップS7)。なお、透析患者には、血圧計や心拍計等のバイタルセンサが取り付けられている。これらのバイタルセンサは、血液透析装置1に接続され、あるいは、血液透析装置1と通信可能であり、血液透析の実行中に患者のバイタル情報を逐次測定し、血液透析装置1へ送信する。血液透析装置1は、受信したバイタル情報を、ディスプレイ11に表示する。また、血液透析装置1は、血液透析の実行中に、透析液温度、透析液流量、および、透析開始からの経過時間等の、透析の進捗状況に関する情報を、各種センサおよびタイマ等によって適宜収集し、ディスプレイ11に表示する。これにより、医療スタッフは、血液透析装置1のディスプレイ11を見ることにより、患者の状態や透析処置の進捗状況を監視することができる。
【0044】
また、血液透析装置1は、ステップS7において血液透析を行っている間、前述した患者のバイタル情報および透析の進捗状況に関する情報を、サーバ2へ送信する。サーバ2は、血液透析装置1から受信した情報を、患者データベース21へ格納する(ステップS8)。
【0045】
血液透析装置1は、除水量が目標値(目標除水量)に到達したら(ステップS9でYES)、血液透析を終了すると共に、透析が終了したことを示す終了信号をサーバ2へ送信する(ステップS10)。サーバ2は、血液透析装置1から終了信号を受信するまで(ステップS11でYES)、上記のステップS8の処理を繰り返す。
【0046】
また、透析が終了すると、医療スタッフは、患者の体重を体重計で測定し、測定値を後体重(透析終了時の体重)として、管理用端末3に入力する。管理用端末3は、入力された後体重をサーバ2へ送信する(ステップS12)。サーバ2は、受信した後体重を患者データベース21へ格納する(ステップS13)。
【0047】
以上の工程を経て、透析治療は終了する。
【0048】
なお、前述したように、ドライウェイト等の透析条件は、患者の状態に応じて適宜変更することが必要である。透析条件の変更指示は医師によって行われ、透析室で患者に対して処置を行う臨床工学技士または看護師は、医師から透析条件の変更指示があった場合は、その変更内容を血液透析装置1の設定に確実に反映させなければならない。そこで、医師による透析条件の変更指示を、確実かつ円滑に反映させるために、透析情報管理システム100は、以降に説明する機能を備えている。
【0049】
医師が透析条件を変更するタイミングとしては、主として、(1)透析を開始する前、(2)透析中、(3)透析終了後、がある。例えば、(1)は、前回の透析時以降の患者の体調の変化によって、本来の体重に増減があった場合である。この場合は、本来の体重の増減に応じて、特にドライウェイトを変更することが必要となる。(2)は、透析中の医師回診の結果に基づく透析条件の変更である。医師は透析中に回診を行い、血液透析装置1のディスプレイ11に表示される患者のバイタル情報や透析の進捗状況を確認したり、患者の訴えを聞いたりして、透析中に透析条件を変更する場合がある。あるいは、前回の透析の状況や、種々の検査値等を患者データベース21から取得して血液透析装置1のディスプレイ11に表示させ、医師がそれらの情報を見て、透析条件を変更することもある。(3)は、例えば、透析終了後に、患者の体調に急変があった場合等である。
【0050】
以上のようなタイミングで医師が透析条件を変更する場合、透析情報管理システム100において、サーバ2の画面生成部23が、
図6~
図8に示すような医師指示入力画面を生成し、管理用端末3または血液透析装置1に表示させる。
【0051】
図6は、ドライウェイトを変更するために医師が入力を行うための医師指示入力画面601を示す。医師指示入力画面601には、現在設定されているドライウェイトが表示されている。
図6の例では、医師指示入力画面601は、現在のドライウェイトに対する増減値を入力する欄601aと、備考を任意に入力する欄601bと、変更理由を入力する欄601cと、医師名入力欄601dとを備えている。医師が、これらの欄に入力を行い、「作成」と表示されている指示完了ボタン601eを操作することにより、それぞれの欄に入力されたデータが、この医師指示を入力した日時の情報と共に、サーバ2へ送信される。サーバ2では、医師指示受付部24がこの医師指示データを受け取り、患者データベース21の治療情報領域21bに一時的に格納する。ただし、医師指示受付部24は、受け取った医師指示のデータに「未確認指示フラグ」を付して、治療情報領域21bに格納する。この「未確認指示フラグ」は、この医師指示が、当該患者の透析条件に対する最新の医師指示データであって、かつ、指示を行った医師以外の医療スタッフによる確認はまだなされていないことを表す。
【0052】
図7は、ドライウェイト以外の透析条件を変更するための医師指示入力画面701を示す。医師指示入力画面701においては、履歴欄701aは、プルダウンマークを操作することにより、新規作成または条件変更を選択することができる。作成日時欄701bには、この指示を作成した日時が表示される。
図7の例は、設定されている条件を変更する指示を行うための画面である。このため、透析時間、血液浄化法、ダイアライザ、血液流量、抗凝固剤、初回量、持続量について、現在設定されている値や種別が表示され、その右側の入力欄に、それぞれの項目に対する変更後のデータを入力できるようになっている。なお、プルダウンマークが表示されている入力欄については、透析マスタデータベース22に格納されている情報に基づいて選択肢が表示され、いずれかを選択することで入力を行える。また、
図7に示す医師指示入力画面701は、備考欄701bおよび医師名入力欄701cも有している。医師が、これらの欄に入力を行い、「作成」と表示されている指示完了ボタン701eを操作することにより、それぞれの欄に入力されたデータが、この医師指示が入力された日時の情報(作成日時欄701bのデータ)と共に、サーバ2へ送信される。
図7の例では、抗凝固剤と、初回量および持続量とに関して、透析条件の変更が入力されている。サーバ2では、医師指示受付部24がこのデータを受け取り、受け取ったデータに未確認指示フラグを付して、患者データベース21の治療情報領域21bに格納する。
【0053】
図8は、注射指示を入力するための注射指示画面801を示す。医師は、注射指示画面801の入力欄801aにおいて、薬剤・注射、数量、使用予定、開始日、タイミング、開始日、回数、終了日、実施パターン等を入力することができる。なお、これらの項目は一例であって、任意の項目を設けることができる。また、注射指示画面801には、患者データベース21から取得した情報に基づいて、当該患者の禁忌薬も表示される。医師が、入力欄801aにおいて必要な入力を行い、「作成」と表示されている指示完了ボタン801eを操作することにより、入力欄801aに入力されたデータが、この医師指示を入力した日時の情報と共に、サーバ2へ送信される。
図8の例では、2種類の薬剤についての注射指示が入力されている。サーバ2では、医師指示受付部24がこのデータを受け取り、受け取ったデータに未確認指示フラグを付して、患者データベース21の治療情報領域21bに格納する。
【0054】
上述のように、医師が、ある患者について透析条件の変更を行うための医師指示を入力すると、その後に当該患者に対して透析治療を行うときに、医師によって透析条件の変更がなされた旨を、他の医療スタッフが確認するための指示変更確認画面が表示される。指示変更確認画面は、ある患者に関して透析条件が変更された後に、当該患者に対して透析治療または透析治療の準備を行おうとした際に、サーバ2の画面生成部23によって生成され、血液透析装置1に表示される。なお、医師以外の医療スタッフが、血液透析装置1ではなく管理用端末3を操作している場合は、指示変更確認画面は、管理用端末3に表示される。
【0055】
ここで、
図9および
図10を参照し、透析情報管理システム100において、指示変更確認画面を用いて、医師指示を、医師以外の医療スタッフが確認して反映させる際の手順を説明する。
図9は、
図6に示したドライウェイト指示画面によってドライウェイトが変更された場合の、指示変更確認画面の一例を示す。
図10は、医師指示を医療スタッフに確認させるための透析情報管理システム100の動作手順を示すフローチャートである。
【0056】
サーバ2の画面生成部23は、透析治療または透析治療の準備(例えば前体重の測定等)に関する所定の画面を生成する際には必ず、患者データベース21の治療情報領域21bに、当該患者に関して、未確認指示フラグが付された医師指示データがないかを確認する(
図10のステップS21)。未確認指示フラグが付された医師指示データがある場合は、画面生成部23は、未確認指示フラグが付された医師指示データに基づいて、指示変更確認画面901を生成し(ステップS22)、血液透析装置1へ送る。血液透析装置1は、サーバ2から指示変更確認画面901を受信して、ディスプレイ11に表示させる(ステップS23)。
【0057】
図9の例では、指示変更確認画面901には、未確認指示フラグが付された医師指示データを表示する最新指示表示欄901aと、過去の変更履歴を表示する履歴欄901bと、登録ボタン901c等が含まれている。最新指示表示欄901aには、治療情報領域21bにおいて未確認指示フラグが付された医師指示データに基づいて、患者氏名、変更前のドライウェイト、変更後のドライウェイト、変更理由が表示される。また、「医師指示」と表示されたボタン901dを操作することにより、この医師指示の詳細(
図6のドライウェイト指示画面)を画面に呼び出して確認することができる。これにより、透析条件の変更指示を行った医師以外の医療スタッフが、どの医師が、いつ、どのような理由で、透析条件の変更指示を行ったかを確認することができる。
【0058】
指示変更確認画面901を見た医療スタッフは、医師指示の内容を確認し、問題がなければ登録ボタン901cを操作する。例えば、血液透析装置1のタッチパネル式のディスプレイ11で登録ボタン901cが操作されると(ステップS24でYES)、血液透析装置1からサーバ2へ確認信号が送られる(ステップS25)。サーバ2においては、この確認信号を受け取ると、透析条件更新部25が、治療情報領域21bにおける未確認指示フラグをクリア(ステップS26)することにより、透析条件の変更を確定させる。以上の処理により、医師による変更指示が、確実かつ円滑に透析条件に反映されることとなる。
【0059】
なお、ここでは、医師指示があった場合、当該指示の内容を、未確認指示フラグを付して患者データベース21へ一旦格納し、確認が完了した後に当該フラグをクリアする処理を例示した。しかし、確認を要する医師指示の存在を表すと共に、確認が終了したことを表す手段は、このようなフラグの使用に限定されず、様々な手段を用いることができる。
【0060】
なお、
図10では、指示変更確認画面を血液透析装置1に表示させる場合の処理手順を説明したが、指示変更確認画面を管理用端末3に表示させて医療スタッフに確認させる場合も、同様の処理手順をとることができる。
【0061】
また、
図7に示したように、透析条件指示画面において、医師が透析条件の変更や、新規の透析条件の作成を行った場合は、医師以外の医療スタッフが、その後に当該患者についての透析条件画面を開いた際に、
図11に示すような確認画面1101がポップアップ表示される。なお、
図11の確認画面1101には、
図7の透析条件指示画面の内容がほぼそのまま含まれているが、確認画面の内容は任意にアレンジすることができる。例えば、透析条件のうち、変更された項目のみを確認画面に表示するようにしても良い。医師以外の医療スタッフが実行ボタン1101aを操作することにより、患者データベース21の治療情報領域21bにおいてこの透析条件に付されていた未確認指示フラグがクリアされ、透析条件の変更に関する医師指示が反映される。
【0062】
また、
図8に示したように、医師より注射指示が入力された場合、医師以外の医療スタッフが、透析条件の作成/更新を行うための条件作成画面1201において、薬剤・注射のタブ1201aを選択すると、
図12に示すような指示確認画面1201bがポップアップ表示される。指示確認画面1201bには、
図8の注射指示画面で入力された情報が、指示入力日時および医師名と共に表示されている。なお、条件作成画面1201は、サーバ2の画面生成部23によって生成され、血液透析装置1および管理端末3のいずれに表示されても良い。医療スタッフは、指示確認画面1201bの内容を確認し、注射指示取り込みボタン1201cを操作することにより、患者データベース21の治療情報領域21bにおいてこの注射指示に付されていた未確認指示フラグがクリアされ、当該患者の透析条件に、注射に関する医師指示が反映される。
【0063】
以上のとおり、本実施形態にかかる透析情報管理システム100は、医師が透析条件の新規作成や変更を行った場合、当該医師以外の医療スタッフがその内容を確認したことを条件として、サーバ2の患者データベース21にその更新が反映される。したがって、例えば、医師が透析条件の更新時に入力ミスをした場合に、これが直ちに透析条件に反映されてしまうといった事態は生じない。また、医師が行った変更指示の内容が、ポップアップ画面等の確認画面として、血液透析装置1または管理用端末3のディスプレイに表示される。そして、医師以外の医療スタッフが、この確認画面において確認用のボタンを操作する等して、確認が完了した旨の合図を入力すれば、その更新内容が患者データベース21の透析条件に反映される。したがって、医師による変更指示を、確実かつ円滑に透析条件に反映させることができる。
【0064】
従来は、医師から透析条件の変更指示を口頭または書面で受けた臨床工学技士または看護師が、変更された透析条件を血液透析装置に反映し忘れたり、入力ミスを犯したりすることがあった。あるいは、医師が自ら血液透析装置または管理用端末を操作して透析条件の設定変更を行った後、そのような設定変更がなされたことを知らない臨床工学技士または看護師が、前回の透析時と透析条件が異なっていることに気付き、わざわざ変更前の値に戻してしまうという事故も起こり得る状況にあった。本実施形態の透析情報管理システム100によれば、そのような入力ミスや事故を効果的に防止することができる。
【0065】
上記の実施形態で説明した処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。この場合、各処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)、マイクロプロセッサ、プロセッサ等により行われる。それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。記憶装置(記憶部)は、一時的でない有形のものであり、例えば、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。
【0066】
上記の実施形態で説明した各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
上記の実施形態は、本発明を実施するための例示にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。上記の実施形態に対して、種々の変更が可能である。
【0067】
例えば、サーバ2および管理用端末3の機能は、複数のコンピュータ(プロセッサ)による分散処理によって実現されても良い。また、サーバ2が有する各種のデータベースは、物理的にサーバ2の内部または近傍に設けられている必要はなく、サーバ2がアクセス可能であることを条件として、その設置場所は任意である。
【符号の説明】
【0068】
1…血液透析装置、2…サーバ、3…管理用端末、21…患者データベース、22…透析マスタデータベース、23…画面生成部、24…指示受付部、25…透析条件更新部、26…透析条件設定部