(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
A47J27/00 103J
A47J27/00 103R
(21)【出願番号】P 2019099346
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】福井 隆一
(72)【発明者】
【氏名】中井 智彦
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-236854(JP,A)
【文献】特開平4-197208(JP,A)
【文献】特開2005-288046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00~27/13、
27/20~29/06、
33/00~36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋と、
操作パネルと、
前記内鍋の挿入口を形成する主枠部と、前記主枠部に隣接して配設され上側に前記操作パネルが載置されるパネル枠部とを有する肩部材と、
前記主枠部の下側に締結されるフランジ部を有する保護枠と、を備え、
前記保護枠は、平面視において前記フランジ部から操作パネル配設側に向かって延びる一対の支持部をさらに有し、
前記支持部は、前記パネル枠部の下側に締結される、炊飯器。
【請求項2】
前記操作パネルの下側に配設される回路基板と、
前記回路基板を支持する
基板支持部材と、をさらに備え、
前記基板支持部材は、一部が前記支持部よりも主枠部側の反対側に位置する共に前記パネル枠部の内側面に対向する状態で前記支持部と共に前記肩部材に締結される、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記基板支持部材は、前記パネル枠部における主枠部側の反対側の部位を外側に張り出す張出リブを有する、請求項2に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「本体カバーと、カタ部と、保護枠とを含む炊飯器」が提案されている(例えば、特開2019-047872号公報等参照)。このような炊飯器では、保護枠にフランジが形成されており、そのフランジをカタ部に締結することによってカタ部の変形が抑制されている。
【0003】
ところで、炊飯器には、カタ部の前部上側に操作パネルが配設されているものが存在する(例えば、特開2007-000134号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-047872号公報
【文献】特開2007-000134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
後者の炊飯器のカタ部の前部には、操作パネルのみならず制御基板等の部品が配設される。このため、後者の炊飯器では、部品の収容スペースをできるだけ大きく確保するためにカタ部の前部は比較的薄くされていることが多い。しかし、カタ部を薄くするとカタ部に反りや垂れが生じやすくなり、その結果、比較的短期間で操作パネルとの間に隙間や段差が生じたり、操作パネルの位置ズレが生じたりして、炊飯器の外観が損なわれることがある。
【0006】
本発明の課題は、外観が損なわれにくい炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、
内鍋と、
操作パネルと、
前記内鍋の挿入口を形成する主枠部と、前記主枠部に隣接して配設され上側に前記操作パネルが載置されるパネル枠部とを有する肩部材と、
前記主枠部の下側に締結されるフランジ部を有する保護枠と、を備え、
前記保護枠は、平面視において前記フランジ部から操作パネル配設側に向かって延びる一対の支持部をさらに有し、
前記支持部は、前記パネル枠部の下側に締結される。
【0008】
上記構成によれば、肩部材が比較的低剛性で変形しやすかったとしても、肩部材に対して比較的高剛性の材料で形成される保護枠を締結することによって、肩部材の垂れ等の変形を抑制することができる。また、肩部材のパネル枠部は、変形しやすい部位であるが、その部位において保護枠の支持部を締結することによって、パネル枠部の垂れを効果的に抑制される。これにより、肩部材と操作パネルとの間に隙間が生じることが抑制され、炊飯器の外観を損なわれにくくすることができる。
【0009】
本発明では、
前記操作パネルの下側に配設される回路基板と、
前記回路基板を支持する基板支持部材と、をさらに備え、
前記基板支持部材は、一部が前記支持部よりも主枠部側の反対側に位置する共に前記パネル枠部の内側面に対向する状態で前記支持部と共に前記肩部材に締結されると好適である。
【0010】
上記構成によれば、垂れ等の変形が生じ易い前方寄りの部位で、肩部材、保護枠および基板支持部材の3部材が共締めされて締結されているので、肩部材が変形して操作パネルと肩部材との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0011】
本発明では、
前記基板支持部材は、前記パネル枠部における主枠部側の反対側の部位を外側に張り出す張出リブを有すると好適である。
【0012】
上記構成によれば、張出リブによりパネル枠部における主枠部側の反対側の部位に張りを与えることが可能になり、肩部材の外観不良の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る炊飯器を
図2のII-II線で片側だけ切断した部分断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る炊飯器の本体の筐体から側壁を取り外した状態の左側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する側壁に取っ手を挿し込んだ状態の上方斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する筐体の肩部材、保護枠および基板支持部材から成る組立体の上方分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する筐体の肩部材、保護枠および基板支持部材から成る組立体の下方分解斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する保護枠と、肩部材・保護枠・操作パネルの組立体との平面対比図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の構造>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、誘導加熱式の圧力炊飯器であって、
図1~
図3に示されるように、主に、本体110、内鍋130、蓋体140およびヒンジ機構150から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0015】
1.本体
本体110は、
図1~
図3に示されるように、主に、筐体111、取っ手112、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、フェライトコア組立体121、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、操作パネル117、電源回路基板118、制御回路基板119および自動巻取式電源コードユニット120から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0016】
(1)筐体
筐体111は、
図1~
図3に示されるように、主に、側壁111a、底壁111b、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eから構成されており、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、フェライトコア組立体121、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、電源回路基板118、制御回路基板119および自動巻取式電源コードユニット120等を収容している。また、肩部材111cの前側の上側には操作パネル117が配設されている。以下、筐体111の各構成要素について詳述した後に、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eの締結構造について詳述する。
【0017】
側壁111aは、平面視において略長方形を呈する囲い壁であって、
図1および
図2に示されるように本体110の側面を覆っている。また、この側壁111aには、
図5に示されるように取っ手112が回動自在に取り付けられる。
【0018】
底壁111bは、略方形の板状体であって、
図1および
図2に示されるように側壁111aの下側に嵌め込まれており、側壁111aの下側の開口を覆っている。そして、この底壁111bには、
図2に示されるように、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口Os、および、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。なお、
図2に示されるように、吸気口Osの直上には、送風ファン115が配設されている。この送風ファン115が駆動されると、吸気口Osを通って外部の空気が筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。
【0019】
肩部材111cは、略方形状の枠体であって、
図1および
図2に示されるように側壁111aの上側に嵌合されており、側壁111aの上側の開口の縁部を覆っている。そして、
図2に示されるように、この肩部材111cの下側には、保護枠111dが取り付けられている。なお、
図2に示されるように、保護枠111dはフランジ部FP(後述)で肩部材111cに取り付けられており、フランジ部FPは肩部材111cを外側に向かって張り出させている。
【0020】
保護枠111dは、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保持する役目を担う部材であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の形状を保ちやすい材質から形成されている。そして、この保護枠111dは、
図2、
図3および
図6~
図8に示されるように、主に、内鍋収容部PA、フランジ部FPおよび支持部SUから形成されている。内鍋収容部PAは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である。フランジ部FPは、上述の通り、肩部材111cの下側に配設されており、肩部材111cの後側の枠状部位を外側に向かって張ることにより肩部材111cの後側の枠状部位の形状を保持させている。支持部SUは、
図8に示されるようにフランジ部FPから操作パネル配設側に向かって延びる部位であって、肩部材111cの前側の枠状部位の後部を外側に向かって張ることにより肩部材111cの前側の枠状部位の後部の形状を保持させている。
【0021】
基板支持部材111eは、制御回路基板119を支持する共に肩部材111cの前側の部位の形状を保持する役目を担う部材であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の形状を保ちやすい材質から形成されている。
【0022】
(肩部材、保護枠および基板支持部材の締結構造)
図6および
図7に示されるように、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eが嵌め合わされると、肩部材111cのネジ受け柱Crが基板支持部材111eのネジ貫入部Pkを通って保護枠111dのネジ受け部Pbにまで達する。そして、この嵌合状態で保護枠111dのネジ受け部Pbの下側からネジ(図示せず)が螺入されることによって、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eが締結される。
【0023】
以下、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eの各部位の位置関係等を説明する便宜上、
図6~
図8に示されるように、肩部材111cの前側に設けられる略半月状の枠状部位をパネル枠部Ffとし、肩部材111cの後側に設けられる、外側が略方形であって内側が円形である枠状部位を主枠部Frとする。なお、上述の通り、パネル枠部Ffの上側には操作パネル117が配設され、主枠部Frの開口には内鍋130が挿通されることになる(すなわち、この開口は、内鍋130の挿入口となる。)。
【0024】
図8から明らかなように、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eが締結された状態において、保護枠111dのフランジ部FPは主枠部Frの下側に位置しており、保護枠111dの支持部SUはパネル枠部Ffの主枠部側において幅方向両側に位置している。すなわち、保護枠111dのフランジ部FPは肩部材111cの主枠部Frの形状を保持し、支持部SUは肩部材111cのパネル枠部Ffの主枠部側の形状を保持している。また、
図6および
図7から明らかなように、基板支持部材111eは、その一部が保護枠111dの支持部SUよりもパネル枠部側に位置する共にパネル枠部Ffの内側面に対向する状態で保護枠111dの支持部SUと共に肩部材111cに締結されている。また、この基板支持部材111eは、肩部材111cのパネル枠部Ffの前側の部位に対向しており、
図6に示されるように、前側に配設された張出リブRbによって肩部材111cのパネル枠部Ff前側の部位を張り出させてその部位の形状を保持している。
【0025】
(2)取っ手
取っ手112は、使用者が炊飯器100を手で持ち運ぶために設けられている部材であって、
図3に示されるように本体部112aおよび軸部112bから構成されている。本体部112aは、略コの字状を呈している。軸部112bは、
図3および
図5に示されるように本体部112aの両端から内側に向かって延びている。なお、この炊飯器100において、この軸部112bは、
図3および
図5に示されるように、側壁111aの長手方向中央の上部に形成される孔Pxを通って、保護枠111dに形成される嵌合部Cpに嵌合されている。
【0026】
(3)断熱材
断熱材は、保護枠111dの内鍋収容部PAの側壁および誘導加熱コイル113の外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が内鍋収容部PAの外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0027】
(4)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル113は、内鍋130を誘導加熱する誘導加熱源であって、
図2および
図3に示されるように保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁部および側壁下端部の外側に配設されている。
【0028】
(5)フェライトコア組立体
フェライトコア組立体121は、
図3および
図4に示されるように誘導加熱コイル113の周囲に配設されている。フェライトコアは、通電時に誘導加熱コイル113から発生する電磁波が外部に漏れ出るのを抑制する役目を担っている。
【0029】
(6)サーミスタ
サーミスタ114は、温度センサであって、
図2に示されるように、保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁部の中央部に形成された開口を通って、上方に向かって突出している。なお、このサーミスタ114は、コイルバネ等の付勢部材によって上方に付勢されている。すなわち、このサーミスタ114は、上下方向に沿って出没自在な状態とされている。また、このサーミスタ114は、内鍋検知センサ(図示せず)に組み込まれている。内鍋検知センサは、炊飯器内に内鍋130が存在するか否かを判断するためのものであって、サーミスタ114が下端位置まで下がると、検知信号を制御回路基板119のマイクロコンピュータに送信する。マイクロコンピュータは、検知信号を受信すると、炊飯器内に内鍋130が存在すると判断する。なお、マイクロコンピュータが、炊飯器内に内鍋130が存在しないと判断した場合、炊飯運転が開始されない。ところで、このサーミスタ114は、
図2に示されるように略円盤状のカバー部材127によって支持されている。このカバー部材127は、保護枠111dの内鍋収容部PAの底壁にネジ止めされている。
【0030】
(7)送風ファン
送風ファン115は、上述の通り、筐体111の底壁111bに形成される吸気口Osの直上に、回転軸が略上下方向に沿うようにして配設されている(
図2参照)。すなわち、この送風ファン115が駆動されると、外部の空気が吸気口Osから吸い込まれて筐体内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンク116を通って電源回路基板118および制御回路基板119などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0031】
(8)ヒートシンク
ヒートシンク116は、外部の空気と効率よく熱交換を行わせる部品である。
【0032】
(9)操作パネル
操作パネル117は、炊飯器100の運転方法を決定して実行するためのものであって、
図1~
図3に示されるように、主に、パネル本体117aおよび押圧ボタンBT等から構成されており、上述の通り、肩部材111cのパネル枠部Ffの上側に配設されている。
【0033】
(10)電源回路基板
電源回路基板118は、電源回路を構成する基板であって、いくつかの発熱部品を実装している。なお、この電源回路基板118は、
図2に示されるように、後述する制御回路基板119と同様に筐体111の前側空間SPfに収容されている。
【0034】
(11)制御回路基板
制御回路基板119は、制御回路を構成する基板であって、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装している。そして、この制御回路基板119は、
図2に示されるように、筐体111の前側空間SPfにおいて、ヒートシンク116の上方、操作パネル117の下側に配設される基板支持部材111eに支持されている。
【0035】
(12)自動巻取式電源コードユニット
自動巻取式電源コードユニット120は、電源コードおよび自動巻取機構(図示せず)等から構成されており、
図2に示されるように筐体111の後側の空間に収容されている。電源コードは、差込プラグ(図示せず)および電気線(図示せず)から構成されている。差込プラグは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0036】
2.内鍋
内鍋130は、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口に挿通されると共に、保護枠111dの内鍋収容部PAに所定の隙間をもって収容される。なお、ここで、内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)であって、誘導加熱コイル113によって誘導加熱され得る。
【0037】
3.蓋体
蓋体140は、
図1~
図3に示されるように、主に、外装体141、開閉ボタン142、圧力調整機構143、補強部材144、内蓋145およびレバー部材146から構成されており、ヒンジ機構150を介して本体110に回動自在に取り付けられている。
【0038】
外装体141は、
図1および
図2に示されるように、略直方体状の部材であって、開閉ボタン142、圧力調整機構143およびレバー部材146等を収容している。なお、ここで、開閉ボタン142は、
図1および
図2に示されるように、上面が外装体141の上側に露出するように外装体141に配設されている。また、ここで、この外装体141は、使用時の内圧に耐えることができるように補強部材によって補強されている。さらに、この外装体141の下面には、着脱自在に内蓋145が配設されている。
【0039】
開閉ボタン142は、蓋体140を開閉するための角丸長方形状のボタンであって、レバー部材146の上側に配設されている。なお、この開閉ボタン142は、コイルバネ(図示せず)によって上方に向かって付勢されている。
【0040】
レバー部材146は、当接板部(図示せず)と、当接板部の前側から下方に延びる左右一対の延設板部(図示せず)と、各延設板部の下部から後方に向かって延びる爪部(図示せず)とから形成される金属板部材であって、外装体141に軸支されていると共に、当接板部の後端でコイルバネ(図示せず)によって上方に向かって付勢されている。なお、ここで、使用者によって開閉ボタン142が押し下げられると、開閉ボタン142は、レバー部材146の当接板部のうち回動軸の後側の部位に当接する。
【0041】
そして、使用者が蓋体140を閉状態としようとするとき、使用者は開閉ボタン142を操作する必要がなく、そのまま蓋体140を本体110に向かって倒し込めばよい。このとき、レバー部材146の爪部が、肩部材111cに形成される傾斜面(図示せず)に接触しながら下方に移動していく。この間、レバー部材146は、コイルバネの付勢力に逆らって前方に向かって回動する。そして、爪部が、肩部材111cに形成される爪受孔(図示せず)まで達すると、コイルバネの付勢力により爪部がその爪受孔に嵌り込む。このようにして蓋体140が閉状態となる。一方、蓋体140を開状態とするとき、使用者は、開閉ボタン142を押し下げる。すると、開閉ボタン142の下端部位がレバー部材146の当接部に当接し、レバー部材146がコイルバネの付勢力に逆らって前方に向かって回動する。このとき、爪受孔に嵌り込んでいた爪部が爪受孔から引き出される。そして、ヒンジ機構150の付勢力により蓋体140が上方に持ち上げられ、蓋体140が開状態となる。
【0042】
圧力調整機構143は、蓋体140が閉状態とされ圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を1.03~1.3気圧に調整する。また、この圧力調整機構143は、圧力炊飯運転中、蓋体140を開状態としないようにレバー部材146の回動を規制する。なお、本実施の形態において、この圧力調整機構としては、特に限定されず、従前のものが採用されてもかまわない。
【0043】
補強部材は、蓋体140の強度を高めるためのものである。なお、本実施の形態において、補強部材は、特に限定されず、金属板そのものであってもよいし、金属板を複雑形状にしたものであってもよい。
【0044】
内蓋145は、
図2に示されるように内鍋130の上部を覆って密閉するための部材である。
【0045】
4.ヒンジ機構
ヒンジ機構150は、上述の通り、蓋体140が本体110に対して回動自在となるように蓋体140を本体110に取り付けている。なお、上述の通り、このヒンジ機構150は、蓋体140を開方向に向かって付勢している。
【0046】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、保護枠111dのフランジ部FPが、肩部材111cの主枠部Frを外側に向かって張ることにより肩部材111cの主枠部Frを張りさせると共に、保護枠111dの支持部SUが、肩部材111cのパネル枠部Ffの後部を外側に向かって張ることにより肩部材111cのパネル枠部Ffの後部の形状を保持させている。このため、肩部材111cが比較的低剛性で変形しやすかったとしても、肩部材111cの変形を抑制することができ、延いては肩部材111cと操作パネル117との間に隙間や段差が生じにくくさせることができると共に、操作パネル117の位置ズレを生じにくくさせることができる。このため、この炊飯器100では、外観が損なわれにくい。
【0047】
(2)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、基板支持部材111eが、肩部材111cのパネル枠部Ffの前側の部位に対向しており、前側に配設された張出リブRbによって肩部材111cのパネル枠部Ffの前側の部位を張り出させてその部位の形状を保持している。このため、肩部材111cのパネル枠部Ffの前側の部位が比較的低剛性で変形しやすかったとしても、その部位の変形を抑制することができ、延いては肩部材111cと操作パネル117との間に隙間や段差が生じにくくさせることができると共に、操作パネル117の位置ズレを生じにくくさせることができる。このため、この炊飯器100では、外観が損なわれにくい。
【0048】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る炊飯器100では保護枠111dの支持部SUが、フランジ部FPの先端側の幅方向両側から前方の向かって延びる突起であったが、支持部が円弧形状とされ、その支持部が基板支持部材111eと同様の役目を担ってもよい。
【0049】
(B)
先の実施の形態に係る炊飯器100では保護枠111dと基板支持部材111eとは別部材とされたが、保護枠111dと基板支持部材111eは一体成形されてもよい。
【0050】
(C)
先の実施の形態に係る炊飯器100では肩部材111cのパネル枠部Frと保護枠111dの支持部SUとの間に基板支持部材111eを挟み込んで、肩部材111c、保護枠111dおよび基板支持部材111eを共締めしたが、肩部材111cのパネル枠部Frに対して保護枠111dの支持部SUを締結すると共に、基板支持部材111eを肩部材111cのパネル枠部Frのみに締結してもよい。
【符号の説明】
【0051】
111c :肩部材
111d :保護枠
111e :基板支持部材
117 :操作パネル
119 :制御回路基板(回路基板)
130 :内鍋
Ff :パネル枠部
Fr :主枠部
FP :フランジ部
SU :支持部
Rb :張出リブ