(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】容器栓
(51)【国際特許分類】
B65D 43/26 20060101AFI20230412BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20230412BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20230412BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B65D43/26
B65D47/06
B65D47/08 220
A47J41/02 104A
(21)【出願番号】P 2019100415
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】水流 猛志
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-161288(JP,A)
【文献】特開2017-165424(JP,A)
【文献】特開2010-235138(JP,A)
【文献】特開2018-034891(JP,A)
【文献】米国特許第06702137(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/26
B65D 47/06
B65D 47/08
A47J 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部を覆う栓体と、前記栓体に対して回動可能に取り付けられた蓋体とを有する容器栓であって、
前記蓋体を閉じた状態でロック可能なロックレバーと、
前記ロックレバーを押圧してロック状態を解除する開閉レバーと、
常に上方に付勢されて上下方向に移動可能に配置され、前記開閉レバーの下面を支持する支持部材とを備え、
前記開閉レバーが
前記支持部材とともに下方に移動した後、前記支持部材に対して後方側に移動することによって前記ロックレバーを押圧するように構成され、
前記開閉レバーに当接可能に配置されて前記開閉レバーの移動方向を規制する規制部材を備えたことを特徴とする、容器栓。
【請求項2】
前記規制部材として、前記開閉レバーの左右方向の移動を規制する側方移動規制部材を有する、請求項1に記載の容器栓。
【請求項3】
前記側方移動規制部材が、前記開閉レバーがロック解除状態からロック状態に戻る際の移動をガイドするガイド機能を備える、請求項2に記載の容器栓。
【請求項4】
容器本体の開口部を覆う栓体と、前記栓体に対して回動可能に取り付けられた蓋体とを有する容器栓であって、
前記蓋体を閉じた状態でロック可能なロックレバーと、
前記ロックレバーを押圧してロック状態を解除する開閉レバーと、
常に上方に付勢されて上下方向に移動可能に配置され、前記開閉レバーの下面を支持する支持部材とを備え、
前記開閉レバーが下方に移動するとともに後方へ移動することによって前記ロックレバーを押圧するように構成され、
前記開閉レバーに当接可能に配置されて前記開閉レバーの移動方向を規制する規制部材を備え、
前記規制部材として、所定量下方に移動した状態の前記開閉レバーの上面に当接可能に配置された後方側が下降した上方規制面を有する
ことを特徴とする、容器栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器栓に関し、特に、栓体の飲み口を回動可能に覆う蓋体を備えたいわゆる直飲みタイプの飲料用容器の容器栓として好適に用いられる、ワンプッシュ操作で蓋体がスムーズに回動して開栓するとともに、蓋体を閉じることで蓋体が自動的にロックされるオートロック方式の容器栓に関する。
【背景技術】
【0002】
手軽に持ち運べて水分補給ができるため、ボトル本体として保温性に優れた真空二重容器を採用したステンレスボトルが普及している。ステンレスボトルでは、ボトル本体の上端開口部を塞ぐ栓として、近年では、いわゆる直飲みタイプのものが主流となっている。
【0003】
直飲みタイプのボトル栓は、飲み口を備えた栓体と、この栓体に対して回動可能に取り付けられた蓋体とで構成され、親指などで開閉レバーを操作してロックを解除することで蓋体が後方側に跳ね上がるように回動して開栓するため、ボトル本体の把持と開栓の操作とを片手で行うことができ、すぐに飲料を飲むことができる。
【0004】
一方、例えばステンレスボトルを鞄に入れて持ち歩く際などに開閉レバーに外力が加わったりすると、蓋体が不所望に開栓してしまい飲料がこぼれてしまう虞がある。このため、ステンレスボトルでは、開閉レバーに外力が加わっただけでは蓋体のロックが解除しない、安全ロック機能を備えた容器栓が採用されている。
【0005】
このような安全ロック機能を備えた容器栓として、開閉レバーを所定の位置まで押し下げた後にさらに後方側へ押し込むという、二段階の操作を行って初めて蓋体が開栓する機構を備えた飲料用容器栓が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載の飲料用容器栓では、蓋体をロックしているロックレバーに接触してロックレバーを押し込むことで蓋体のロック状態を解除する開閉レバーが、昇降可能な支持部材に回動軸を介して回動可能に支持されている。そして、開閉レバーが押し下げられていない状態では、開閉レバーの後方に位置する蓋カバーの天壁部分先端部と干渉して押し込むことができないようになっていて、開閉レバーが降下している状態でのみ後方へ押し込むことが可能となり、ロックレバーのロックが解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来のボトル栓では、蓋体を開栓するために開閉レバーを押し下げて押し込むという二段階の操作が必要な構成とすることで、ユーザによる意図的な操作なしに蓋体が開栓してしまうことをほぼ確実に回避できる安全ロック機能を実現している。また、開閉レバーを上方に、ロックレバーを前方に、それぞれ付勢するスプリング部材を設けることで、ユーザが開栓状態から蓋体を前方に回動させて閉じることで自動的に蓋体がロックされるオートロック機能をも実現している。
【0009】
しかし、上記従来のボトル栓での開栓のための操作は、開閉レバーをスライドさせる動作とスライドさせた状態のまま開閉レバーを回動させる動作という2種類の異なる動作の組み合わせであることから、ユーザにとって操作がわかりづらく、直感的な操作では開栓できないという課題があった。
【0010】
本願で開示する発明は、このような課題を解決するためになされたもので、蓋体の安全ロック機能とオートロック機能とを維持したまま、蓋体を直感的な操作で開栓できるようにするとともに、開閉レバーが他の構成体と接触して引っかかってしまうという問題を生じさせずにスムーズな操作が実現できる開閉機構を有する容器栓を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願で開示する容器栓は、容器本体の開口部を覆う栓体と、前記栓体に対して回動可能に取り付けられた蓋体とを有する容器栓であって、前記蓋体を閉じた状態でロック可能なロックレバーと、前記ロックレバーを押圧してロック状態を解除する開閉レバーと、常に上方に付勢されて上下方向に移動可能に配置され、前記開閉レバーの下面を支持する支持部材とを備え、前記開閉レバーが下方に移動するとともに後方へ移動することによって前記ロックレバーを押圧するように構成され、前記開閉レバーに当接可能に配置されて前記開閉レバーの移動方向を規制する規制部材を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示の容器栓は、支持部材とともに下降した状態で後方へと移動することでロックレバーを押圧してロックを解除する開閉レバーを備えることで、直感的な一連の操作で蓋体を開栓することができる。また、開閉レバーに当接可能に配置されて開閉レバーの移動方向を規制する規制部材を備えることで、開閉レバーの操作時やロック状態への復帰時に、開閉レバーが傾いて他の部材に接触してスムーズな動作が阻害されることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態にかかるステンレスボトルの外観を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態にかかるステンレスボトルの構成を説明するための断面構成図である。
【
図3】本実施形態にかかるステンレスボトルのボトル栓の構成を説明するための断面図である。
【
図4】本実施形態にかかるステンレスボトルのボトル栓の蓋体が開いた状態を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態にかかるステンレスボトルのボトル栓の開閉機構部を説明するための要部拡大断面図である。
【
図6】本実施形態にかかるステンレスボトルのボトル栓の開閉機構を説明するための分解斜視図である。
【
図8】開閉レバーの移動方向を規制する規制部材の構成を説明するための斜視図である。
【
図9】開閉機構部の動作を説明する第1の図である。開閉レバーが操作されていない状態を示す。
【
図10】開閉機構部の動作を説明する第2の図である。開閉レバーが下方に押し下げられた状態を示す。
【
図11】開閉機構部の動作を説明する第3の図である。開閉レバーが押し下げられた状態で、後方側へ移動している状態を示す。
【
図12】開閉機構部の動作を説明する第4の図である。開閉レバーが後方へ移動してロックが解除された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願で開示する容器栓は、容器本体の開口部を覆う栓体と、前記栓体に対して回動可能に取り付けられた蓋体とを有する容器栓であって、前記蓋体を閉じた状態でロック可能なロックレバーと、前記ロックレバーを押圧してロック状態を解除する開閉レバーと、常に上方に付勢されて上下方向に移動可能に配置され、前記開閉レバーの下面を支持する支持部材とを備え、前記開閉レバーが下方に移動するとともに後方へ移動することによって前記ロックレバーを押圧するように構成され、前記開閉レバーに当接可能に配置されて前記開閉レバーの移動方向を規制する規制部材を備えている。
【0015】
このように構成することで、本願で開示する容器栓は、開閉レバーが支持部材とともに押し下げられた状態で後方に移動することで、蓋体のロック状態を解除することができる。このため、ユーザによる意図的な操作が行われない状態では蓋体のロックが解除されない安全ロック機能を有するとともに、開閉レバーを押し下げた後に後方側へ移動させるという直感的に把握しやすい一連の動作によって、蓋体を開栓することができる。さらに、開閉レバーの移動方向を規制する規制部材を備えることで、開閉レバーが移動中に傾いて他の構成部材に引っかかってしまうことを効果的に防止することができ、ユーザによるロック解除動作と、ロック解除状態からの復帰動作のいずれをもスムーズに行うことができる。
【0016】
上記構成の容器栓において、前記規制部材として、前記開閉レバーの左右方向の移動を規制する側方移動規制部材を有することが好ましい。このようにすることで、開閉レバーの全体的な横方向の動きが規制できるとともに、開閉レバーが水平面に対して傾斜してしまうことを効果的に防止することができ、スムーズな開閉動作を実現することができる。
【0017】
また、前記側方移動規制部材が、前記開閉レバーがロック解除状態からロック状態に戻る際の移動をガイドするガイド機能を備えることが好ましい。このようにすることで、開栓動作に反発する付勢力を用いて行われるオートロック動作を、寄りスムーズに行うことができる。
【0018】
さらに、前記規制部材として、所定量下方に移動した状態の前記開閉レバーの上面に当接可能に配置された後方側が下降した上方規制面を有することが好ましい。このようにすることで、上方への付勢力によって行われるオートロック動作における、開閉レバーの上面の引っかかりが防止できる。
【0019】
(実施の形態)
以下、本願で開示する容器栓の具体例について、図面を参照しながら実施の形態として説明する。
【0020】
以下の実施の形態で例示する容器栓は、容器本体がステンレス製の真空二重容器構造となっていて、収容する飲料を保温することができるステンレスボトルのボトル栓である。
【0021】
図1は、本実施形態にかかるステンレスボトルの外観を示す斜視図である。
【0022】
また、
図2は、本実施形態にかかるステンレスボトルの内部構成を説明するための断面図である。
【0023】
なお、以下の説明においては、ステンレスボトルの全体やステンレスボトルを構成する各部材の説明において、
図1に示すように、ステンレスボトル内の飲料を飲む際のユーザから見た方向を基準として、ステンレスボトルの前後および左右の方向を定めるものとする。なお、ステンレスボトルの前方を手前(側)、ステンレスボトルの後方を奥(側)と称する場合がある。さらに、通常の使用状況に準じて、ステンレスボトルの上下方向を定めるものとする。
【0024】
図1に示すように、本実施形態にかかるステンレスボトル100は、内部に飲料を収容する容器本体であるボトル本体10と、ボトル本体10の上方の開口部を覆う容器栓であるボトル栓20とで構成されている。ボトル栓20は、ボトル本体10の上端部に着脱可能に取り付けられており、容易に着脱でき、かつ、しっかりと栓ができる構成として、ボトル本体10の上端部分に形成された螺条部17(
図2参照)に螺結されるようになっている。
【0025】
ボトル栓20は、ボトル本体10の上端開口部(13:
図2参照)を覆う栓体30と、栓体30に対して後方側に回動可能に取り付けられた蓋体40とで形成されている。蓋体40の前方側には、ユーザが蓋体40を開閉する際に操作する開閉機構50が、また、蓋体40の後方側には、栓体30に対して蓋体40を回動可能に支持する蓋回動機構60が、それぞれ配置されている。なお、本実施形態にかかるステンレスボトル100は、蓋体40が閉じた状態での蓋体40の上面は、前方が高く後方側に向かって下降する傾斜面となっている。
【0026】
[ボトル本体]
図2に断面構成を示すように、ボトル本体10は、いずれもステンレス製の有底筒状部材である外容器11と内容器12とを有し、外容器11と内容器12の上端部同士が接合一体化されて開口部13を形成するとともに、外容器11と内容器12との間の空間14が真空引きされたいわゆる真空二重容器となっている。このように、ボトル本体10が真空二重容器となっていることで、内容器12の内部に収容される飲料を保温することができる。
【0027】
ボトル本体10の外容器11の上端近傍部分は、底部側と比較して径小に形成された径小部15となっていて、外容器11の側面部分と径小部15との間には、段差構造としての肩部16が形成され、ボトル本体10にボトル栓20が螺結された際には、ボトル栓20の外周部分の下端部21がこの肩部16に対向するとともに、ボトル栓20の外径をボトル本体10の径小部15以外の部分の外径と略同一とすることで、ボトル栓20が螺結された状態でのステンレスボトル100の側面が段差を有さない、全体的に統一されたデザインとなるように設計されている。
【0028】
ボトル本体10の内容器12も、外容器11の形状に対応して上端近傍部分が底部側と比較して径小の径小部17となっていて、この径小部17の内壁にボトル栓20が螺結される螺条部18が形成されている。なお、内容器12内部に収容される飲料がスムーズにボトル栓20側に流れるように、外容器11のような段差構造を介して径小部が形成される構成ではなく、径小部17に向かって滑らかに径が変化する形状となっている。
【0029】
内容器12上端近傍の径小部17の下側部分には、内容器12の中心軸方向に向かって突出する突出部19が形成され、ボトル栓20がボトル本体10の上端部に螺結された際に、ボトル栓20の栓体30に配置される栓パッキン33が径小部18下側の内表面から突出部19の上面にかけて形成される湾曲面に上方から押し当てられることで、ボトル本体10の内容器12の内側の空間である飲料収容空間の上面が確実にシールされるようになっている。
【0030】
[ボトル栓]
(栓体)
ボトル栓20の栓体30は、栓本体31と栓本体31が着脱可能に取り付けられた栓カバー32とを備えている。
【0031】
栓本体31は、ボトル本体10上端の開口部13内に陥入してボトル本体10上端の開口部13を塞ぐ注出口部31aと、注出口部31aの上方に形成された飲み口部31bとを有する樹脂製部材である。栓本体31の注出口部31a下側の径大部分には、ボトル本体10の上端部近傍に形成された螺条部18に螺合する段部31cが形成されている。栓カバー32は、栓本体31が着脱可能に取り付けられる平面視円形の水平面部32aと、水平面部32aの外周端から下方に向かって延在する中空円筒形状の側壁面部32bとで構成された樹脂製部材である。
【0032】
ボトル栓20の蓋体40は、栓本体31の飲み口部31bを上方から包むように覆う樹脂製の蓋本体41と、蓋本体41の上面と側面とを覆って配置される樹脂製の蓋カバー42とを備えている。なお、栓本体31の飲み口部31bの上面に配置される平板状部分である蓋本体41の蓋板部41aには、下方に突出して飲み口部31b内に延在する筒状体41dが形成され、この筒状体41dに、飲み口部31bの上端部分に当接するとともに飲み口部31bの底面31dに形成された飲料通過口31eを上方から塞ぐ形状に形成された蓋パッキン43が取り付けられている。
【0033】
以下、ボトル栓20のより詳細な構成について、
図3および
図4を用いて説明する。
【0034】
図3は、本実施形態にかかるステンレスボトルのボトル栓の構成を示す断面図である。
図3は、
図2と同様に、ステンレスボトルの側方から見た断面構成を示している。
【0035】
また、
図4は、本実施形態にかかるステンレスボトルのボトル栓の、蓋体が開いた開栓状態を示す斜視図である。
【0036】
栓本体31の注出口部31aは、略円筒形状に形成され、上部側は所定寸法縮径されている。この縮径された注出口部31aの上端部は、同じく縮径された飲み口部31bの底部につながっている。
【0037】
注出口部31aの外周壁には環状リブ33が形成され、この環状リブ33にボトル本体10内容器12の上端近傍の径小部17に嵌合するゴム製の栓パッキン34が取り付けられる。栓パッキン34は、下端側にかけて次第に径が小さくなる円弧面を有していて、
図2に示すように、径小部17の内表面から突出部19の上面にかけて形成される湾曲面に上方から押し当てられて、内容器12内部の飲料収容空間の上面が確実にシールされる。
【0038】
注出口部31aとの境界部分である飲み口部31bの底部は、略水平な仕切り面としての底面31dが形成され、底面31dの中央部分には飲料通過口31eが形成されている。飲料通過口31eは、
図4に示すようにステンレスボトル100の前後方向に長く形成されていて、ユーザが飲み口部31bから飲料を飲もうとする際に、飲み口部31b内で飲料が横方向(左右方向)に広がって飲みにくくなることを防止しつつ、開口面積を広げて、ボトル本体10内の飲料が飲料通過口31eをスムーズに通過できるようになっている。
【0039】
飲み口部31bの底部に形成された底面31dは、蓋体40に取り付けられた蓋パッキン43をシールするための座面としても機能する。
【0040】
飲み口部31bは、口付け部を形成する筒状壁31fが略垂直に形成されている。筒状壁31fは全体に亘って同一の高さではなく、口付け部となる前部側(手前側)が高く後端側(奥側)に行くにしたがって低くなるテーパー面形状の開口面を有する筒体となっている。また、飲み口部31bの平面形状は、後端側で口径が少し拡大され、かつ、略半円形状にカットされている。
【0041】
なお、飲み口部31bの筒状壁31fの前端部の下部位置には、蓋体40に設けられ蓋体40が閉じた状態を維持するロックレバー53の下端側先端部分に形成されたロック爪53bが係合するロック溝31gが形成されている。
【0042】
飲み口部31bの筒状壁31fの下端側外周には、側方へと延出するフランジ部31hが形成されている。フランジ部31hは、栓カバー32の水平面部32aに形成された開口の形状に対応していて、栓本体31の飲み口部31bをこの開口に下側から通すように挿入することによって、栓本体31と栓カバー32とを嵌合させて一体化した栓体30を構成できるようになっている。
【0043】
栓カバー32は、上述のように栓本体31が嵌合される平面視円形の水平面部32aと、この水平面部32aの外周端部から下方に延在する、中空円筒形状の側壁面部32bとを有している。側壁面部32bの内側表面32cは、ボトル栓20がボトル本体10の上端部に螺合された際に、ボトル本体10の外容器11の径小部15と所定の間隔を介して対向する。
【0044】
本実施形態にかかるステンレスボトル100では、栓カバー32の水平面部32aが前方側から後方側にかけてわずかに高くなるように傾斜する構成とされ、水平面部32aの後端部分に斜め下方側への傾斜面32dを形成している。このようにすることで、
図4に示すように、栓体30に取り付けられた蓋体40が開放された際に、蓋体40が栓体30に対して180°以上開くようになり、ユーザが飲み口部31bから飲料を飲む際に蓋体40が邪魔にならないようにすることができる。
【0045】
また、栓カバー32の水平面部32aの上面は、周辺部分に対して内側、すなわち、栓本体31が装着されている場合に飲み口31bの周辺に位置する部分が少し高く盛り上がったように形成され、蓋体40が閉じたときに、蓋体40の周辺部分の下端部となる蓋カバー42の下端部分42cがこの周辺部分に位置するようになっている。
【0046】
水平面部32aの後方部分、飲み口部31bの筒状壁31fが半円形状にカットされている部分には、栓体30と蓋体40とを回動可能に接続する蓋回動機構60の、栓体30側のブラケット部32eが形成されている。後述するように、蓋本体41にも蓋体40側のブラケット41fが2つ、栓体30側のブラケット部32eを挟んで形成されており、栓体30側のブラケット部32eと蓋体40側の2つのブラケット部41fとが共通するヒンジ軸61の周りを回動することで、蓋体40を栓体30に対して後方側に回動させることができる。
【0047】
なお、栓カバー32の側壁面部32bの下端側先端部分は、ボトル栓20がボトル本体10に装着された際に、ボトル本体10の肩部16に対向するボトル栓20の下端部21となっている。
【0048】
(蓋体)
ボトル栓20の蓋体40は、蓋本体41と蓋本体41の周囲を覆うように配置された蓋カバー42とを備えている。
【0049】
蓋本体41は、栓本体31の上面を開閉可能に覆う部材であり、栓本体31の飲み口部31bの底面31dに形成された飲料通過口31eを開閉可能に覆う部材である。このため蓋本体41は、栓本体31の形状、特に、上方に突出して形成された飲み口部31bの形状に対応して、飲み口部31bの上端面を覆う平板状の蓋板部41aと、蓋板部41aの周辺部分から飲み口部31bの筒状壁31fの外面を包み込むように覆う蓋側壁部41b、さらに、蓋側壁部41bの下端部から外側に広がって栓カバー32の水平面部32aの上面に当接する鍔部41cとを有している(適宜、
図6も参照)。
【0050】
また、蓋本体41の上面である蓋板部41aの中央部分には、下方に突出して蓋体40が閉じた状態で飲み口部31b内に延在する筒状体41dが形成され、この筒状態41dを包むようにしてゴム製の蓋パッキン43が装着されている。蓋パッキン43は、飲み口部31bの上端部分に当接するフランジ部43aと飲み口部31bの内部に延在してその先端部分が飲料通過口31eを上方から塞ぐ形状に形成された、下端面が閉じた筒状部43bとを備えている。なお、蓋パッキン43は、蓋本体41に対して容易に着脱可能となっていて、ユーザが蓋パッキン43をとり外して洗浄しやすいように便宜が図られている。
【0051】
蓋カバー42は、蓋本体41の蓋板部41aの上側に近接して配置される上面部42aと、上面部42aの外周部分から下方に延在して蓋本体41の側面を覆う側面部42bとで構成され、蓋本体41の全体を覆う上端が閉じた筒状部材である。蓋カバー42は、側面部42bの下端部分が、外側から蓋本体41の鍔部41cの外周を包み込むように嵌合して、蓋本体41と一体となっている。なお、蓋カバー42の側面部42bの先端部分が蓋体40における最も下端側に位置する下端部分42cとなり、前述の通り、この下端部分42cが栓カバー32の水平面部32aの周辺のやや低く形成された上面部分に当接することで、蓋体40が閉じた状態で、栓体30と蓋体40とが全体として一つの円筒形状のボトル栓20を構成するようになっている。
【0052】
蓋カバー42の前方側部分は、後方側に比べて高さが高く形成されていて、蓋カバー42の前端部分の内部には、蓋体40を栓体30に対して閉じた状態に維持することができるとともに、ユーザの操作により蓋体40を開放することができる開閉機構50が配置されている。また、蓋カバー42の前端部分の側面部42bの上部には、開口部42d(
図9~
図12参照)が形成されていて、蓋体40を開放するためにユーザが操作する開閉レバー51と開閉レバー51を支持する支持部材52の一部が露出している。なお、開閉機構50の構成については、後に詳述する。
【0053】
蓋カバー42の後端部分は、上面部42aと側面部42bとが上方から見た際に切断部分が「コ」の字状となるように切り欠かれた切り欠き部42eが形成されていて、蓋回動機構60が露出している。
【0054】
改めて、本実施形態にかかるステンレスボトル100の蓋回動機構60は、栓カバー32の上面から上方に延出して配置された栓体30側のブラケット部32eと、このブラケット部32eの両側に配置された、蓋本体41の後端部から後方側に延出して形成された一対の蓋体40側のブラケット部41fと、これらのブラケット部32e、41fに共通して配置されたヒンジ軸61とで構成されている。
【0055】
なお、本実施形態にかかるステンレスボトル100では、ヒンジ軸61の周りにコイルスプリング62(
図3、
図6参照)が配置されていて、蓋体40が栓体30に対して開放された状態が維持されるように付勢されている。このため、ユーザが開閉機構50を操作して、蓋体40のロックを解除すると自動的に
図4に示した蓋体40が開放された状態となり、ユーザは開閉機構50を操作するだけで飲み口部31bに口をつけて飲料を飲むことができる。また、蓋本体41の後端部で一対の蓋体40側ブラケット部41fに挟まれた略「U」字状の開口部には突起状の制動部材41gが形成されていて、この制動部材41gの先端部分が、蓋体40開閉時の回動動作において常時所定の圧接力を伴って栓体30側ブラケット部32eの外周面に摺動し、コイルスプリング62の付勢力による蓋体40開放時の開放動作と、ユーザによる蓋体40を閉じる動作とを安定したものにする作用を果たしている。
【0056】
[開閉機構]
次に、本実施形態にかかるステンレスボトル100において、蓋体40を栓体30に対して開閉する開閉機構について説明する。
【0057】
図5は、本実施形態にかかるステンレスボトルの開閉機構の構成を示すためのボトル栓の要部拡大断面図である。
図5は、ボトル栓の構成を示す
図3の側断面図における、ボトル栓の前方部分をさらに拡大したものである。
【0058】
図6は、本実施形態にかかるステンレスボトルの開閉機構を構成する主要な部材を説明するための分解斜視図である。
【0059】
図5に示すように、開閉機構50は、蓋本体41の前端部分に配置された、開閉レバー51、支持部材52、ロックレバー53と、これらの部材を所定の動作が可能な状態で保持する蓋本体41に設けられた保持機構部、さらに、支持部材52やロックレバー53を所定の方向に付勢するスプリング部材などで構成されている。
【0060】
上述したように、栓本体31の飲み口部31bは、口付け部を形成する前方側の筒状壁31fが他の部分よりも高く形成されていて、蓋本体41の前端側部分も口付け部の飲み口部31bを覆うことができるだけの高さに形成される。このため、開閉機構50を蓋体40の前方側部分に配置することで、開閉機構50の設計において上下方向の裕度を確保することができる。また、ユーザがステンレスボトル100を手に持った状態で蓋体40を開放する際に、ユーザに正対する前方側に開閉機構50を配置することで、ユーザがステンレスボトル100を保持した状態で親指によって蓋体40の開閉操作をすることができるため、ユーザの利便性も高くなる。
【0061】
(開閉レバー)
開閉レバー51は、蓋体40を開閉する際にユーザが操作する部材であり、本実施形態にかかるステンレスボトル100では、支持部材52に支持されて支持部材52とともに上下方向に移動可能であるとともに、支持部材52とともに押し下げられた状態では、支持部材52に対して後方側に移動可能となっている。
【0062】
開閉レバー51は、ユーザが開閉操作しない状態では、蓋カバー42の前方に形成された開口部42d(
図9~
図12参照)の上端部分に位置することとなり、蓋カバー42の上面部42aの形状に対応させた上面51aと、この上面51aに連続して形成された、蓋カバー42の側面部42bに対応した前面51bとを有している。また、
図6に示すように、開閉レバー51は、上面51aと前面51bとが形成する領域の両側方を覆うように配置された2つの側面51cとを有している。なお、開閉レバー51の背面側、および、底面側は開放されている。
【0063】
開閉レバー51の上面51aと前面51bとを蓋カバー42の形状に対応させることで、開閉レバー51が操作されていない状態、すなわち、安全ロックがかかった上方に押し上げられている状態では、開閉レバー51の上面51aと前面51bとが、それぞれ蓋カバー42の前方中央部分の上面部42aと側面部42bと連続する面を形成するようになり、デザイン面での統一を図ることができる(
図1参照)。
【0064】
開閉レバー51の側面51cの下側部分から、左右方向に延在する一対のリブ51dが形成されている。リブ51dの外側(前面51bから遠い側)の上部には、さらに左右方向外側に延在するスライド突起部51eが形成されている。本実施形態のステンレスボトル100では、このスライド突起部51eが後述する支持部材52のスライドガイド溝52fに嵌合することで、開閉レバー51は支持部材52の上に載った状態で保持されて、開閉レバー51を支持部材52とともに上下方向に移動させることができる。
【0065】
また、開閉レバー51のスライド突起部51eと支持部材52のスライドガイド溝52fは、いずれも後方側に一定の長さを持って形成されていて、開閉レバー51が支持部材52に載せられた状態で後方側にスライドできるようになっている。
【0066】
さらに、
図6に示すように、スライド突起部51eとスライドガイド溝52fは、いずれも後方側が下がるように傾斜して設けられているため、支持部材52上を摺動する開閉レバー51は、上面51aと前面51bの向き(面の角度)を維持したまま、全体に斜め下方に平行移動することができるようになっている。
【0067】
後述するように、この開閉レバー51の後方下方側に斜めに移動する動きによって、ロックレバー53の上部が後方側に押し込まれて蓋体40のロックが解除される。この開閉レバー51の後方下方側への斜めの動きは、開閉レバー51を下方(鉛直方向)に押し下げる安全ロックを解除する動きに比較的近い動きであるため、ユーザは開閉レバー51を鉛直下方に押し下げる安全ロックの解除動作と、開閉レバー51をそのままさらに斜め奥方向に押し下げるロック解除動作とを、一連の連続する動作として直感的に把握することができる。
【0068】
なお、開閉レバー51は、支持部材52に対して後方下方側に斜めに移動するため、開閉レバー51の前面51bの下端面51fはスライド突起部51eやスライドガイド溝52fと同じ傾斜角を有して後方側が下がる傾斜面として形成されている。また、後述する支持部材52の本体部52aの上端面52gも、同様の傾斜角を有して後方側が下がる傾斜面として形成されている。
【0069】
本実施形態にかかるステンレスボトル100は、蓋体40がロックされている状態では、開閉レバー51を支持する支持部材52が後述するスライドスプリング54によって上方に付勢されているため、開閉レバー51の上面51aの後端面51hが蓋カバー42に形成された開口部42dの上部を形成する上面部42aの前端面42fに常に対向した状態となっている。このため、開閉レバー51を押し下げる安全ロック解除の操作がされていない状態で、開閉レバー51が後方側に押されても、開閉レバー51が大きく動くことはなく、ロックレバー53を解除する動きにはつながらない。この結果、例えばステンレスボトル100を鞄の中に入れている状態などで、開閉レバー51に何か別の物が当たって開閉レバー51を後方側に押し込む力が加わっても、不所望にロックが解除されて、ボトル本体10内の飲料がこぼれてしまうという事態を回避することができる。
【0070】
また、
図5に示すように、開閉レバー51の上面51aの後端面51hに嵌合突起51h1が、また、この嵌合突起51h1に対応して、蓋カバー42の上面部42aの前端面42fに嵌合凹部42f1がそれぞれ形成されていて、開閉レバー51が押し下げられない状態で後方側に押し込まれた場合には、この嵌合突起51h1と嵌合凹部42f1とが嵌合することで、開閉レバー51が上下方向に移動することを確実に防止することができる。このため、例えばユーザが、蓋体40を上方からつまむようにしてステンレスボトル100を持ち上げようとした場合に、たまたま、開閉レバー51部分を掴んでしまった場合でも、開閉レバー51が不所望に移動して蓋体40のロックが不所望に解除されることを効果的に防止することができる。
【0071】
(支持部材)
支持部材52は、開閉レバー51を下方から支持した状態で開閉レバー51とともに上下方向に移動する。また、開閉レバー51と支持部材52とが押し下げられた状態では、支持部材52に対して開閉レバー51が後方側へと移動として、栓体30に対して蓋体40を閉じた状態でロックするロックレバー53を解除する。
【0072】
図6に示すように、支持部材52は、上端面52gが開閉レバー51の前面51bの下端面51fと接触する本体部52aと、本体部52aの左右両端部から側方に延出する支持ブラケット部52bとで構成されている。
【0073】
本体部52aは、開閉レバーの前面51bと同様に湾曲した湾曲面として形成された円弧板状部材である。また、支持部材52の本体部52aの上下方向中間部分から下側の部分は、段部52cを形成して前方側に張り出している。
【0074】
図5に示すように、支持部材52の本体部52aに形成された段部52cが、蓋体40の蓋カバー42の開口部42dの下端部に形成された規制突起42gによって上方への移動が規制されるため、支持部材52とその上部に載置される開閉レバー51とが、所定の位置よりも高い位置まで上昇してしまうことを防止できる。
【0075】
なお、本実施形態にかかるステンレスボトル100では、このように支持部材52の本体部52aの中央部分に段部52cが形成され、段部52cよりも上側の部分は蓋カバー42に形成された規制突起42gの先端部に対応する位置に配置されるため、前方から見た際には、支持部材52の本体部52a(の上側部分)が蓋カバー42の開口部42dから少し凹んだようになっている(
図1参照)。
【0076】
本体部52aの下端部中央には、下方に延在する凸状片52dが形成されている。この凸状片52dは、蓋本体41の前方側の鍔部41cに形成された開口41hを通過可能に形成されていて、支持部材52が押し下げられた際に、開口41hからさらに下方側に突出して栓カバー32の水平面部32aの前面側中央部分の上面に当接する。このように、支持部材52が押し下げられた際に、凸状片52dの先端が栓カバー42の水平面部32aの上面に当接することで、支持部材52の下降が停止する。
【0077】
このとき、開閉レバー51には、ユーザによる下方へと押し下げる力が加わり続けているため、開閉レバー51が下降を停止した支持部材52に対してさらに下側に移動しようとする。上述のように、開閉レバー51と支持部材52とを摺動可能に嵌合するスライド突起部51eとスライドガイド溝52fとが、斜め下方に向かうように傾斜しているため、ユーザによる開閉レバー51をさらに下方へと押し下げる力が、開閉レバー51を斜め後方へと向わせる力に変換されて、開閉レバー51に後方への動きが生じて、ロックレバー53を後方へと押圧するロック解除の動作となる。ユーザは、特別な意識をすることなく開閉レバー51を下方へと押し下げる操作を行うことで、ロックレバー53を後方へと押圧する操作を行うことができる。
【0078】
支持部材52の支持ブラケット部52bの外側面には、蓋本体41のガイド溝41iに摺動可能に嵌合して支持部材52を上下方向に移動可能とするスライドリブ52eが形成されている。また、支持ブラケット部52bの内側(本体部52a側)上部には、支持部材52に対して開閉レバー51を摺動可能に保持するスライドガイド溝52fが、さらに、支持ブラケット部52bの下面には、支持部材52を常に上方側へ付勢するスライドスプリング54の上端部分に嵌入されるスプリング支持凸部52hが、それぞれ形成されている。
【0079】
スライドガイド溝52fは、上述のように開閉レバー51のスライド突起部51eが陥入され、開閉レバー51を保持して開閉レバー51を支持部材52とともに上下方向に移動可能とするとともに、開閉レバー51を支持部材52に対して後方下側に向けて斜めに移動可能としている。
【0080】
スライドリブ52eは、支持ブラケット部52bの両側端部に形成された外側面(本体部52aから遠い側の面)からさらに外側に延出していて、蓋本体41前面の蓋側壁部41bに所定間隔で形成された一対のガイド溝41iに嵌合するようになっている。支持部材52は、スライドリブ52eが蓋本体51に形成されたガイド溝41iに嵌合した状態で摺動することで、上下方向に移動することができる。なお、支持部材52が傾いたりねじれたりすること無く平行に移動可能とするために、スライドリブ52eとガイド溝41iとは、上下方向になるべく長く延在する形状であることが好ましい。
【0081】
スプリング支持凸部52hは、支持部材52を上方に付勢するスライドスプリング54のスプリング径に対してわずかに径小に形成された円筒形状部材である。スライドスプリング54は、上端をスプリング支持凸部52hが嵌入され、下端を蓋本体41の鍔部41cに形成された凹溝部であるスプリング支持部41jに嵌合支持される。支持部材52が押し下げられていない状態においても、スライドスプリング54がその自然長よりも短い状態に維持されることで、支持部材52を常に上方側へと押し上げようとする力が働く。この上方への付勢力によって、開閉レバー51を下方へと押し込む外力が働かない状態では、支持部材52は段部52cが規制突起42gによって規制される位置まで上昇し、支持部材52の上部に載置される開閉レバー51の後端面51hが蓋カバー42の前端面42fに対向した状態、すなわち、
図5に示す、安全ロックがかかった状態となる。
【0082】
(ロックレバー)
図6に示すように、ロックレバー53は、横方向に湾曲した板状部材であり、内側面(蓋本体41の蓋側壁部41bに対向する側の面)の上下方向中央部分に、ロックレバー53を回動可能とするブラケット53aが形成され、蓋本体41前面の蓋側壁部41bに形成されたピン支持部41kに支持されるレバーピン55の周りを回動可能な状態で、開閉レバー51および支持部材52と蓋本体41の蓋側壁部41bとの間に配置されている。
【0083】
ロックレバー53の下端部には、蓋本体41の蓋側壁部41b側に突出した鉤状のロック爪53bが形成され、ロック爪53bは、蓋本体41に形成されたレバー開口lを通って蓋本体41の下面側に突出し、栓本体31の飲み口部32bの下方に形成されたロック溝31gに係合して、蓋体40と栓体30とがロックされた状態となる。
【0084】
ロックレバー53の上端部には、前方(蓋カバー42側)に向けて突出した押圧部53cが形成され、
図5に示すように、開閉レバー51が押し下げられていない安全ロック状態では、開閉レバー51の下端面51fの蓋本体41側の端部に当接している。
【0085】
ロックレバー53は、回動中心となるブラケット53aより上方の押圧部53c側部分の内側面に形成された支持凸部53dと蓋本体41の前面の蓋側壁部41bに形成されたボス部41mとの間に保持されたレバースプリング56によって、押圧部53c側が前方に付勢されている。このため、開閉レバー51が操作されていない状態では、常に、ロック爪53bがロック溝31gと嵌合した安全ロック状態が保たれる。
【0086】
なお、前述のように、スライドスプリング54によって支持部材52が常に上方に向けて付勢されているため、ユーザが蓋体40を開放した後に開閉レバー51の押圧をやめると、支持部材52に押し上げられて開閉レバー51も上端位置、すなわち
図5に示した位置に戻る。このとき、ロックレバー53もロックスプリング56によってロック爪53bがロック溝31gと係合している状態(
図5に示す状態)となり、開閉機構50の各部材が安全ロック状態の位置関係となる。なお、この状態では、蓋体40が開放されていて、安全ロック状態ではない。
【0087】
ここで、本実施形態にかかるステンレスボトル100では、ロック爪53bの外側(ブラケット53aが形成されている側とは反対の側)を、先端にいくにつれて薄くなる湾曲面53b1として形成している。このため、蓋体40が開放されて開閉機構50の各部材が安全ロック状態の位置関係にある状態で、ユーザが蓋体40を閉じようと蓋体40を手前側に向けて回動させたとき、ロック爪53bの湾曲面53b1が蓋本体31のロック溝31gの上面部分に当接する。このときロックレバー53に加わる力によって、ロックレバー53はロックスプリング56による付勢方向とは反対側の力でロック解除方向に回転し、蓋体40が完全に閉じられた状態では、ロック爪53bがロック溝31gに係合したロック状態となる。
【0088】
このようにして、本実施形態にかかるステンレスボトル100では、ユーザが開いた蓋体40を閉じることで、自動的に安全ロック状態となるオートロック機能を実現している。
【0089】
(位置規制部材)
本実施形態にかかるステンレスボトル100では、開閉レバー51の位置を規制する規制部材として、開閉レバー51の左右方向の移動を規制する側方移動規制部材としての規制リブ41n、開閉レバー51の上方位置を規制する上方規制面41oとを備え、開閉レバー51の移動がスムーズに行えるようになっている。
【0090】
以下、この位置規制部材による開閉レバー51の位置規制について、詳細に説明する。
【0091】
【0092】
また、
図8に、開閉機構が配置される蓋本体の前面部分の要部拡大斜視図を示す。
【0093】
図7に示すように、開閉レバー51の側方に延出するリブ51dは、側面51cの下側部分から左右方向に延在している。また、支持部材52のスライドガイド溝52fに摺接するスライド突起部51eは、高さが前面部51bの約半分のリブ51dの上端部分に形成されている。このようにすることで、スライド突起部51eを開閉レバー51における高さ方向の略中央部分に配置することとなるため、支持部材52に対して相対的に後方側に移動する際に、開閉レバー51がその姿勢を維持したままスムーズに摺動できるようになっている。
【0094】
さらに、
図7に示すように、開閉レバー51の両側方に配置されたリブ51dには、側面51cと隣接する部分に所定量の深さを有する凹み51gが形成されている。この凹み51gは、栓本体41の蓋側壁部41bの前面部分から前方に向けて突出して形成された側方移動規制部材である一対の規制リブ41nに嵌合する形状となっている。
【0095】
より具体的には、蓋本体41に形成された一対の規制リブ41nは、開閉レバー51の両側に形成されたリブ51dの凹み51gの配置間隔、すなわち、開閉レバー51の上面51aの幅(または前面51bの幅、2つの側面51cの外面同士の距離)に相当する間隔で形成され、かつ、開閉レバー51の上下方向における移動と、前後方向の移動に対応した高さと奥行きを持って形成されている。このため、規制リブ41nは、規制リブ41nと凹み51gとがスムーズに摺動することを可能とするわずかな裕度をもって、開閉レバー51の左右方向の位置を規制することができる。
【0096】
なお、凹み51gの底面は、リブ51dに形成されているスライド突起部51eと同じ角度で、後方側が下方に下がる傾斜面として形成されている。
【0097】
このように、蓋本体41に形成された規制リブ41nによって、蓋体40の開閉時に操作される開閉レバー51の左右方向の位置が規制されるため、例えば、ユーザによる開閉レバー51の押し下げ操作や後方側への押し込み操作の際に加わる力の方向が、厳密な鉛直方向や蓋体40の中心に向かう径方向ではなく左右どちらかに偏ってしまった場合でも、開閉レバー51が左右方向にずれたり傾いたりすることを効果的に防止して、開閉レバー51が他の構成部材、特に、蓋カバー42の、開口部42dや開口部42d近傍の側面部42bの内側面に衝突してスムーズな移動が妨げられることを防止できる。
【0098】
本実施形態にかかるステンレスボトル100では、規制リブ41nの下側面を、中央部に形成された段差41n1を介して、より高い位置にある前方側の底面41n2と、低い位置にあるの後方側の底面41n3の二段に構成している。また、前方側の底面41n2と後方側の底面41n3は、いずれも凹み51gの底面と同様に、後方側が下がる傾斜面となっている。この結果、ユーザによるロック解除操作時、および、オートロック時において、開閉レバー51の位置移動をスムーズに行うことができるガイド機能が発揮される。
【0099】
開閉レバー51のリブ51cに形成された凹み51gと規制リブ41nとの嵌合状態のみに着目すると、開閉レバー51が上昇している安全ロック状態では、凹み51gの底面が規制リブ41nの前方側の底面41n2に当接している。
【0100】
この状態で、ユーザの操作により開閉レバーが押し下げられると、凹み51gの底面と規制リブ41nの前方側の底面41n2との間には所定の間隔が形成されるが、凹み51gと規制リブ41nとは互いの側面によって側方への位置規制状態が維持される。
【0101】
その後、開閉レバー51が後方側に押し込まれるロック解除状態では、凹み51gは規制リブ41nの後方側に移動していくが、この場合でも凹み51gの底面と規制リブ41nの後方側の底面41n3との間には所定の間隔が維持され、凹み51gと規制リブ41nとは互いの側面によって位置規制される。
【0102】
蓋体40を開放する操作が終了し、ユーザが開閉レバー51に加えていた下方へと押し下げる力を解除すると、前述したオートロック機能により開閉レバー51に対して上方へと押し上げる力が加わる。このとき、開閉レバー51のリブ51dの凹み51gの底面は、まず、規制リブの後方側の底面41n3に摺接する。前述のように、凹み51gの底面と規制リブ41nの底面は、いずれも後方側下がるような、すなわち、前方側が上がるように形成された傾斜面であるため、開閉レバー51は斜め上方に誘導されることになり、最終的に、凹み51gの底面が規制リブ41nの前方側の底面41n2に当接する初期状態に戻ることとなる。
【0103】
このように、本実施形態のステンレスボトル100では、開閉レバー51のリブ51cに形成された凹み51gと規制リブ41nとの摺接部の変化を利用して、開閉レバー51を、安全ロック状態からロック解除状態への位置移動時、また、ロック解除状態から安全ロック状態に戻るオートロック動作における位置移動時において誘導することができる。
【0104】
また、
図8に示すように、本実施形態にかかるステンレスボトル100では、蓋本体41の上面部41aから前方に延在するように、上部規制面41oが形成されている。上方規制面41oは、その下面側が開閉レバー51の上面51aが当接可能な幅に形成され、
図5に示すように、後方側が下降する面、言い換えれば、前方側が上方に傾斜する面となっている。また、上方規制面41oの前端部分の厚みは極めて薄くなっている。
【0105】
このような上方規制面41oを備えることで、ユーザによるロック解除操作において、例えば開閉レバー51を十分に押し下げない状態で後方側へ押し込んだ場合でも、開閉レバー51の前面51aの上端部の高さ方向の位置が規制されて、徐々に開閉レバー51の位置が下がるように誘導されるため、スムーズに開閉レバー51を押し込むことができる。
【0106】
また、蓋体40の開放操作が終わってユーザが開閉レバー40への押圧力を解除した際に生じる安全ロック状態への復帰時にも、上方規制面41oを有しているために、開閉レバー40の上端部が徐々に高い位置となるように誘導されるため、開閉レバー40がスムーズに復帰することができる。
【0107】
このように、本実施形態にかかるステンレスボトル100では、開閉レバー51の位置を規制する規制部材を備えることで、蓋体のロック解除操作時とロック解除後の安全ロック状態への自動復帰時のいずれにおいても、開閉レバー51の位置の変化をスムーズに行わせることができる。
【0108】
なお、上記実施形態では、側方移動規制部材と上方規制面との両方を備えた形態について説明したが、いずれか一方の位置規制手段だけを備えた構成でも、開閉レバーのスムーズな位置規制が可能であることは言うまでも無い。
【0109】
また、上記実施形態では、側方移動規制部材としての規制リブと上方規制面とが一体に構成された形態を図示したが、これはあくまでも例示であって、2つの位置規制手段を備える場合に、それぞれが別々に蓋本体に設けられていてもかまわないことは言うまでも無い。
【0110】
さらに、規制リブの形状、特に、その下面の形状や上方規制面の幅や傾斜角度などについては、規制対象である開閉レバーの形状や、開閉機構における位置の変化に対応して、適宜好ましい形態を採用すべきことは言うまでも無い。
【0111】
[開閉機構の動作]
以下、本実施形態にかかるステンレスボトル100における、蓋体40の開閉機構の動作について、改めて説明する。
【0112】
図9は、開閉機構の動作を説明する第1の図である。
図9では、開閉レバーが操作されていない安全ロック状態を示していて、
図9(a)がボトル栓全体の外観を、
図9(b)が蓋カバーを外した状態の開閉機構の形状を、
図9(c)が開閉機構の断面構成を、それぞれ示している。
【0113】
図10は、開閉機構部の動作を説明する第2の図である。
図10では、開閉レバーが下方に押し下げられた状態を示していて、
図10(a)がボトル栓全体の外観を、
図10(b)が蓋カバーを外した状態の開閉機構の形状を、
図10(c)が開閉機構の断面構成を、それぞれ示している。
【0114】
図11は、開閉機構部の動作を説明する第3の図である。
図11では、開閉レバーが押し下げられた状態で、後方側へ移動している状態を示していて、
図11(a)がボトル栓全体の外観を、
図11(b)が蓋カバーを外した状態の開閉機構の形状を、
図11(c)が開閉機構の断面構成を、それぞれ示している。
【0115】
図12は、閉機構部の動作を説明する第4の図である。
図12では、開閉レバーが後方へ移動してロックが解除された状態を示していて、
図12(a)がボトル栓全体の外観を、
図12(b)が蓋カバーを外した状態の開閉機構の形状を、
図12(c)が開閉機構の断面構成を、それぞれ示している。
【0116】
図9に示すように、安全ロック状態では、開閉レバー51は上方に位置していて、
図9(a)に示すように、開閉レバー51の上面51aが蓋カバー41の蓋板部41aと、開閉レバー51の前面51bが蓋側壁部41bと、それぞれ連続した面を形成する状態となっている。
【0117】
また、
図9(c)に示すように、支持部材52は段部52cが蓋カバー42の規制突起42eに規制される状態である最も上側に位置している状態となる。このとき、ロックレバー53のロック爪53bは、栓本体41のロック溝31gに係合している。
【0118】
図10に示すように、開閉レバー51が押し下げられた状態、すなわち安全ロックが解除された状態では、
図10(c)に示すように、開閉レバー51上面51aの後端面51hが、蓋カバー42上面部42aの前端面42fの下方に位置するため、開閉レバー51の後方側への移動が可能な状態となる。この状態では、開閉レバー51は下方に移動したのみであるため、ロックレバー53の押圧部53cは押圧されておらず、ロック爪53bとロック溝31gとの係合は維持されている。
【0119】
なお、支持部材52の凸状片52dの下端部が、栓カバー32の水平面部32aの上面に当接し、開閉レバー51と支持部材52が、さらに下方へ移動することを規制する。
【0120】
図11は、蓋体のロック解除の動作が開始された状態を示している。
図10に示した開閉レバー51と支持部材52との下方への移動が規制された状態で、開閉レバー51がさらに下方側に押し下げられることで、開閉レバー51が支持部材52に対し後方側へと移動する動きが誘発される。
【0121】
この状態では、
図11(b)、
図11(c)に示すように、開閉レバー51の上面51aが上方規制面41oの下側に入って上方位置が規制される。
【0122】
また、開閉レバー51の前面51bの内面がロックレバー53の押圧部53cに当接して後方側へ押し込むことにより、ロックレバー53のロック爪53bとロック溝31gとの係合が解除され始める。
【0123】
図12に示すように、開閉レバー51が後方へ完全に押し込まれた状態では、ロックレバー53の上部が後方に押し込まれて、ロック爪53bとロック溝41gとの係合が解除されたロック解除状態となる。
【0124】
このとき、蓋体40と栓体30との蓋回動機構60であるヒンジ軸61の周りに設けられたコイルスプリング62により蓋体40が開放される方向に付勢されているため、支持部材52の凸状片52dの下端部と栓カバー32の水平面部32aの上面との当接部分における下方への力の反力が蹴り上げ力として働き、蓋体40が容易に開放されるようになる。
【0125】
なお、蓋体40が開放された状態(
図4)では、開閉機構を構成する開閉レバー51、支持部材52、ロックレバー53の蓋本体41の各部との位置関係は、
図9に示した、安全ロック状態に戻る。
【0126】
以上説明したように、本実施形態にかかるステンレスボトルでは、開閉レバーを下方に押し下げる第1の操作と、開閉レバーを後方へ押し込む第2の操作とによって蓋体が開栓する安全ロック機能を備えている一方、ユーザが開閉レバーを下方へ押し下げるという単一の操作を行うことにより、後方に押し込む第2の操作が誘発されるため、ユーザの直感的な操作により蓋体のロック状態を解除することができる。
【0127】
また、上下方向と前後方向への位置の変化が生じる開閉レバーの位置を規制する規制部材を備えることで、ロック解除時や安全ロック状態への復帰時に、開閉レバーが他の部材と接触することを効果的に回避することができ、スムーズな操作を行うことができる。
【0128】
なお、上記実施形態では、本実施形態にかかる飲料容器のボトル本体として、ステンレス製の真空二重容器の物を例示したが、ボトル本体の材料は、ステンレスには限られず、また、保温性を有する真空二重容器構成を採用することも必須ではない。
【0129】
また、上記の実施形態では、ボトル本体にボトル栓が螺合される形態の物を例示したが、容器栓と容器本体の接合形式はねじ山を用いた螺合によるものである必要は無い。嵌合式、機械的なロック機能を有する形式など、ボトル本体とボトル栓とを分離可能で、かつ、使用状態で所定の結合状態を維持できる各種の方式を採用することができる。さらに、上記実施形態では、ボトル本体とボトル栓とを螺結する螺条部がボトル本体の開口部近傍の内周面に形成され、螺条部に螺結する凸部が栓本体の外周面に形成される例を示したが、螺条部がボトル本体の開口部近傍の外周面に形成され、この螺条部と螺結する凸部が栓カバーの内周面に形成された構成とすることもできる。
【0130】
また、上記実施形態では、栓体に飲み口を備えたいわゆる直飲みタイプの容器栓について説明したが、本願で開示された栓体と蓋体との開閉機構を備えたものであれば、本願が開示する容器栓は直飲み形式の飲料用容器の栓に限られるものでもない。さらに、本願で開示する容器栓は、飲料を収容する容器に装着される栓の構成に限られるものでもない。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本開示の容器栓は、ユーザによる直感的な操作によってスムーズに開栓することができるとともに、不所望に開栓しない安全ロック機能を備え、直飲みタイプのステンレスボトルをはじめとした各種飲料用容器、そのた、液体を収容する各種容器の容器栓として有用である。
【符号の説明】
【0132】
20 ボトル栓(容器栓)
30 栓体
31 栓本体
32 栓カバー
40 蓋体
41 蓋本体
41n 規制リブ(位置規制部材)
41o 上方規制面(位置規制部材)
42 蓋カバー
51 開閉レバー
52 支持部材
53 ロックレバー
100 ステンレスボトル