(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】治療用アプリを用いた治療法の実施を支援するためのシステム、方法、プログラム及び装置
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230412BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20230412BHJP
G16Y 10/60 20200101ALI20230412BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20230412BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H10/00
G16Y10/60
G16Y20/40
(21)【出願番号】P 2020106223
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】516305053
【氏名又は名称】株式会社CureApp
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】相島 雅樹
【審査官】新里 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-018059(JP,A)
【文献】特開2019-212263(JP,A)
【文献】小安 宗徳,学生の行動と心理状態を収集するIoTシステム検討,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2019年05月09日,Vol.119 No.38,第7-12頁,ISSN 0913-5685
【文献】佐藤 妙,行動変容のための「認知的不協和」におけるメッセージ提示方法,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2019)シンポジウム論文集 情報処理学会シンポジ,日本,一般社団法人情報処理学会,2019年07月03日,Vol. 2019 No. 1,pp.670-675,ISSN:1882-0840
【文献】伊藤 克人,ライフストレスと心身相関,医学のあゆみ,第191巻 第9号,三浦 裕士 医歯薬出版株式会社,1999年11月27日,第869-872頁,ISSN 0039-2359
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに発生したライフイベントに基づいて治療用アプリを用いた治療法の実施を支援するためのシステムであって、ユーザの健康関連情報を記憶する健康関連情報記憶部、及び複数のライフイベントの各々がユーザに与える衝撃の大きさを示す衝撃度を記憶する衝撃度記憶部を備え、前記システムは、
ユーザに発生したライフイベントを示すライフイベント情報を取得し、
前記ライフイベント情報に基づいて、前記ユーザに発生したライフイベントの衝撃度を前記衝撃度記憶部より取得し、
前記衝撃度に基づいて、ユーザが実行可能と推定される最大実行可能負荷を決定し、
前記最大実行可能負荷、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報、及び治療用アプリを用いた治療法の治療負荷に基づいて、ユーザに対して実施を提案する治療用アプリを用いた治療法を決定する、または、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報に基づいて決定されたユーザが使用する治療用アプリのシステムへ、当該治療用アプリを用いて実施される治療法の決定に用いるために前記最大実行可能負荷を提供し、
前記最大実行可能負荷を決定することは、前記衝撃度及び基準動機値に基づいて動機値を決定し、当該決定された動機値、技能値及び行動変容閾値に基づいて最大実行可能負荷を決定することを含み、基準動機値は標準的な動機の大きさを示す予め定められた値であり、技能値はユーザの治療を実行する技能の高さを示す予め定められた値であり、行動変容閾値は行動変容が発生するための境界を示す予め定められた値である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記システムは更に、
前記ライフイベント情報を取得すると、前記ライフイベントに対するユーザの認知を取得するための認知問合せ情報を提示し、
前記認知問合せ情報に対するユーザの回答情報を取得し、
前記最大実行可能負荷を決定することは、前記取得されたユーザの回答情報に基づいて前記衝撃度を補正し、当該補正された衝撃度に基づいて最大実行可能負荷を決定することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記認知問合せ情報は、ユーザの認知を正すための認知介入情報を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記治療用アプリを用いた治療法を決定することは、前記決定された最大実行可能負荷よりも小さい治療負荷を有する治療用アプリを用いた治療法を決定することを含む、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記動機値を決定することは、下記の数式(1)に基づいて動機値を決定することを含み、
前記最大実行可能負荷を決定することは、下記の数式(2)に基づいて最大実行可能負荷を決定することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
動機値=基準動機値+衝撃度 (1)
最大実行可能負荷=技能値-行動変容閾値/動機値 (2)
【請求項6】
前記決定された治療用アプリを用いた治療法を提案する情報をユーザに提示する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
ユーザに発生したライフイベントに基づいて治療用アプリを用いた治療法の実施を支援するためのシステムにおいて実行される方法であって、前記システムは、ユーザの健康関連情報を記憶する健康関連情報記憶部、及び複数のライフイベントの各々がユーザに与える衝撃の大きさを示す衝撃度を記憶する衝撃度記憶部を備え、前記システムが、
ユーザに発生したライフイベントを示すライフイベント情報を取得し、
前記ライフイベント情報に基づいて、前記ユーザに発生したライフイベントの衝撃度を前記衝撃度記憶部より取得し、
前記衝撃度に基づいて、ユーザが実行可能と推定される最大実行可能負荷を決定し、
前記最大実行可能負荷、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報、及び治療用アプリを用いた治療法の治療負荷に基づいて、ユーザに対して実施を提案する治療用アプリを用いた治療法を決定する、または、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報に基づいて決定されたユーザが使用する治療用アプリのシステムへ、当該治療用アプリを用いて実施される治療法の決定に用いるために前記最大実行可能負荷を提供する、
ことを含み、
前記最大実行可能負荷を決定することは、前記衝撃度及び基準動機値に基づいて動機値を決定し、当該決定された動機値、技能値及び行動変容閾値に基づいて最大実行可能負荷を決定することを含み、基準動機値は標準的な動機の大きさを示す予め定められた値であり、技能値はユーザの治療を実行する技能の高さを示す予め定められた値であり、行動変容閾値は行動変容が発生するための境界を示す予め定められた値である、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項7の方法を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
ユーザに発生したライフイベントに基づいて治療用アプリを用いた治療法の実施を支援するための装置であって、前記
装置は、ユーザの健康関連情報を記憶する健康関連情報記憶部、及び複数のライフイベントの各々がユーザに与える衝撃の大きさを示す衝撃度を記憶する衝撃度記憶部を備え、前記装置は、
ユーザに発生したライフイベントを示すライフイベント情報を取得し、
前記ライフイベント情報に基づいて、前記ユーザに発生したライフイベントの衝撃度を前記衝撃度記憶部より取得し、
前記衝撃度に基づいて、ユーザが実行可能と推定される最大実行可能負荷を決定し、
前記最大実行可能負荷、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報、及び治療用アプリを用いた治療法の治療負荷に基づいて、ユーザに対して実施を提案する治療用アプリを用いた治療法を決定する、または、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報に基づいて決定されたユーザが使用する治療用アプリのシステムへ、当該治療用アプリを用いて実施される治療法の決定に用いるために前記最大実行可能負荷を提供し、
前記最大実行可能負荷を決定することは、前記衝撃度及び基準動機値に基づいて動機値を決定し、当該決定された動機値、技能値及び行動変容閾値に基づいて最大実行可能負荷を決定することを含み、基準動機値は標準的な動機の大きさを示す予め定められた値であり、技能値はユーザの治療を実行する技能の高さを示す予め定められた値であり、行動変容閾値は行動変容が発生するための境界を示す予め定められた値である、
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は治療用アプリケーション(治療用アプリ)を用いた治療法の実施を支援するためのシステム、方法、プログラム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの健康に関連する行動を改善したり、疾病の治療や、体調管理などのために用いられる、ユーザ端末を用いて動作する治療用システムが開発されている(先行文献1)。先行文献1に開示されたシステムは、個人から収集したデータに基づいて、健康に関する悪い行動を改善するための行動変容メッセージを、一日単位で順に個人に提供するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
治療法の負荷の大きさは治療法によって異なるが、これまでのシステムは、ユーザがどの程度の治療負荷であれば実行できる状態であるかを考慮せずに、単に疾病に基づいて選択された治療法を実施するだけである。ユーザがどの程度の治療負荷であれば実行できる状態であるかを判定するシステムも実現されていない。このため、治療負荷の大きさが現在のユーザの状態に見合わない場合には、ユーザは治療を止めてしまうことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、以下のような特徴を有している。すなわち、本発明の一実施態様におけるシステムは、ユーザに発生したライフイベントに基づいて治療用アプリを用いた治療法の実施を支援するためのシステムであって、ユーザの健康関連情報を記憶する健康関連情報記憶部、及び複数のライフイベントの各々がユーザに与える衝撃の大きさを示す衝撃度を記憶する衝撃度記憶部を備え、前記システムは、
ユーザに発生したライフイベントを示すライフイベント情報を取得し、前記ライフイベント情報に基づいて、前記ユーザに発生したライフイベントの衝撃度を前記衝撃度記憶部より取得し、前記衝撃度に基づいて、ユーザが実行可能と推定される最大実行可能負荷を決定し、前記最大実行可能負荷、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報、及び治療用アプリを用いた治療法の治療負荷に基づいて、ユーザに対して実施を提案する治療用アプリを用いた治療法を決定する、または、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報に基づいて決定されたユーザが使用する治療用アプリのシステムへ、当該治療用アプリを用いて実施される治療法の決定に用いるために前記最大実行可能負荷を提供する。
【0006】
また、前記システムは更に、前記ライフイベント情報を取得すると、前記ライフイベントに対するユーザの認知を取得するための認知問合せ情報を提示し、前記認知問合せ情報に対するユーザの回答情報を取得し、前記最大実行負荷を決定することは、前記取得されたユーザの回答情報に基づいて前記衝撃度を補正し、当該補正された衝撃度に基づいて最大実行負荷を決定することを含むようにしてもよい。
【0007】
前記認知問合せ情報は、ユーザの認知を正すための認知介入情報を含むことができる。
【0008】
前記最大実行負荷を決定することは、衝撃度に基づいてユーザの動機値を決定し、ユーザの技能を示す技能値及びユーザの動機値に基づいて最大実行可能負荷を決定することを含み、前記治療用アプリを用いた治療法を決定することは、前記決定された最大実行可能負荷よりも小さい治療負荷を有する治療用アプリを用いた治療法を決定することを含むようにしてもよい。
【0009】
前記最大実行可能負荷を決定することは、下記の数式(1)に基づいて決定され、行動変容閾値は行動変容が発生するための境界を示す値であり、予め定められた定数としてもよい。
〔数1〕
最大実行可能負荷=技能値-行動変容閾値/動機値 (1)
【0010】
前記決定された治療用アプリを用いた治療法を提案する情報をユーザに提示するようにしてもよい。
【0011】
本発明の一実施態様における方法は、ユーザに発生したライフイベントに基づいて治療用アプリを用いた治療法の実施を支援するためのシステムにおいて実行される方法であって、前記システムは、ユーザの健康関連情報を記憶する健康関連情報記憶部、及び複数のライフイベントの各々がユーザに与える衝撃の大きさを示す衝撃度を記憶する衝撃度記憶部を備え、前記システムは、ユーザに発生したライフイベントを示すライフイベント情報を取得し、前記ライフイベント情報に基づいて、前記ユーザに発生したライフイベントの衝撃度を前記衝撃度記憶部より取得し、前記衝撃度に基づいて、ユーザが実行可能と推定される最大実行可能負荷を決定し、前記最大実行可能負荷、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報、及び治療用アプリを用いた治療法の治療負荷に基づいて、ユーザに対して実施を提案する治療用アプリを用いた治療法を決定する、または、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報に基づいて決定されたユーザが使用する治療用アプリのシステムへ、当該治療用アプリを用いて実施される治療法の決定に用いるために前記最大実行可能負荷を提供する、ことを含む。
【0012】
本発明の一実施態様におけるプログラムは、コンピュータに、前記方法を実行させるためのプログラムとすることができる。
【0013】
本発明の一実施態様における装置は、ユーザに発生したライフイベントに基づいて治療用アプリを用いた治療法の実施を支援するための装置であって、前記システムは、ユーザの健康関連情報を記憶する健康関連情報記憶部、及び複数のライフイベントの各々がユーザに与える衝撃の大きさを示す衝撃度を記憶する衝撃度記憶部を備え、前記装置は、ユーザに発生したライフイベントを示すライフイベント情報を取得し、前記ライフイベント情報に基づいて、前記ユーザに発生したライフイベントの衝撃度を前記衝撃度記憶部より取得し、前記衝撃度に基づいて、ユーザが実行可能と推定される最大実行可能負荷を決定し、前記最大実行可能負荷、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報、及び治療用アプリを用いた治療法の治療負荷に基づいて、ユーザに対して実施を提案する治療用アプリを用いた治療法を決定する、または、前記健康関連情報記憶部に記憶されたユーザの健康関連情報に基づいて決定されたユーザが使用する治療用アプリのシステムへ、当該治療用アプリを用いて実施される治療法の決定に用いるために前記最大実行可能負荷を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明を用いることにより、ユーザに発生したライフイベントに基づいて推定された最大実行可能負荷を考慮して治療用アプリによる治療法等を提案したり、ユーザが使用する治療用アプリのシステムへ、当該治療用アプリを用いて実施される治療法の決定に用いるために最大実行可能負荷を提供することにより、ユーザの実行可能負荷に見合った治療法に従ってユーザが行動や行動変容を行うことを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るユーザ端末、ユーザ情報管理サーバ及び治療法実施支援サーバのハードウェア構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るユーザ端末、ユーザ情報管理サーバ及び治療法実施支援サーバの機能ブロック図である。
【
図4】行動及び行動変容を成功させるための動機と実行技能の関係を示す概念図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
図1は本発明のシステム構成図の一例を示す。システム100はユーザに発生したライフイベントに基づいて治療用アプリを用いた治療法の実施を支援するために使用することができるものであり、ネットワーク110、これに接続されるユーザ端末120、ユーザ情報管理サーバ130、治療法実施支援サーバ140、治療用アプリケーションサーバ150及び医療従事者端末160を備える。
【0017】
ユーザ端末120は本システムのユーザによって操作されるユーザの端末であり、ユーザ情報管理サーバ130はユーザの情報を管理するための機能を備えるサーバであり、治療法実施支援サーバ140はユーザに適した治療法を提示して、ユーザが治療用アプリを用いた治療法を実施することを支援するためのサーバである。治療用アプリケーションサーバ150はユーザ端末120にインストールされた治療用アプリを管理するためのサーバである。医療従事者端末160は、ユーザの担当医等の医療従事者が使用する端末である。
【0018】
本実施形態において治療用アプリは、ユーザの健康に関連して好ましい行動をユーザに実行させたり、行動変容によって行動を改善させたり、疾病の治療や体調管理に用いられるアプリケーションを意味するが、ユーザの健康状態を改善するために用いられるものであればどのようなアプリケーションであってもかまわない。治療用アプリは、医療従事者によって提供されたり、医療従事者の管理下において使用されるアプリケーションに限定されない。
【0019】
図2は本発明の一実施形態によるユーザ端末120、ユーザ情報管理サーバ130、治療法実施支援サーバ140のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザ端末120は、プロセッサ121、表示装置122、入力装置123、記憶装置124及び通信装置125を備える。これらの各構成装置はバス128によって接続される。なお、バス128と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。本実施形態において、ユーザ端末120はスマートフォンである。ただし、ユーザ端末120は、上記の構成を備えるものであれば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータなどの情報端末とすることができる。
【0020】
ユーザ情報管理サーバ130及び治療法実施支援サーバ140もまた同様に、プロセッサ131、141、表示装置132、142、入力装置133、143、記憶装置134、144及び通信装置135、145を備える。これらの各構成装置はバス138、148によって接続される。なお、バス138、148と各構成装置との間には必要に応じてインタフェースが介在しているものとする。本実施形態においてユーザ情報管理サーバ130及び治療法実施支援サーバ140はコンピュータによって実現される。
【0021】
プロセッサ121、131、141は、ユーザ端末120、ユーザ情報管理サーバ130及び治療法実施支援サーバ140全体の動作を制御するものであり、例えばCPUである。プロセッサ121、131、141は、記憶装置124、134、144に格納されているプログラムやデータを読み込んで実行することにより、様々な処理を実行する。1つの例では、プロセッサ121、131、141は、複数のプロセッサから構成される。
【0022】
表示装置122、132、142は、プロセッサ121、131、141の制御に従って、アプリケーション画面などをユーザ端末120のユーザ(患者)、ユーザ情報管理サーバ130及び治療法実施支援サーバ140のユーザ(管理者)に表示する。好ましくは液晶ディスプレイであるが、有機ELを用いたディスプレイやプラズマディスプレイ等であってもよい。
【0023】
入力装置123、133、143は、ユーザ端末120、ユーザ情報管理サーバ130及び治療法実施支援サーバ140に対するユーザからの入力を受け付けるユーザインタフェースであり、例えば、タッチパネル、タッチパッド、キーボード、又はマウスである。本実施形態においてユーザ端末120はスマートフォンであるため、ユーザ端末120は入力装置123としてタッチパネルを備え、タッチパネルは表示装置122としても機能し、表示装置122と入力装置123は一体となった構造である。表示装置122と入力装置123は、別の位置に配置される別個の形態であってもよい。ここでは、ユーザ情報管理サーバ130及び治療法実施支援サーバ140はコンピュータであるため、入力装置としてキーボード及びマウスを備え、表示装置として液晶ディスプレイを備えるものとする。
【0024】
記憶装置124、134、144は、揮発性メモリであるRAM及び不揮発性メモリであるROMを含む、一般的なスマートフォンないしコンピュータが備える記憶装置である。記憶装置124、134、144は、外部メモリを含むこともできる。例えば記憶装置124は、本実施形態を実施するためのユーザアプリケーションを記憶し、記憶装置134、144はサーバアプリケーションを記憶する。ユーザアプリケーションは、ウェブブラウザアプリケーション、治療用アプリケーション等のユーザプログラム及び該ユーザプログラム実行時に参照する各種データを含む。ユーザプログラムは、ユーザ端末120に対するユーザの操作に応じて起動され、ユーザ端末120が予め実装するオペレーティングシステム(OS)上で実行される。サーバ用アプリケーションは各ユーザ端末120においてユーザからの入力の受付及びユーザに対する情報の提示がユーザプログラムによって適切に実行されるようにするための機能及び各種データを含む。
【0025】
1つの例では、記憶装置124、134、144は、主記憶装置及び補助記憶装置を含む。主記憶装置は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、プロセッサ121、131、141が情報を処理する際の記憶領域及び作業領域として用いられる。補助記憶装置は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してプロセッサ121、131、141が使用するデータを格納する。補助記憶装置は、例えばハードディスク装置であるが、情報を格納できるものであればいかなる不揮発性ストレージ又は不揮発性メモリであってもよく、着脱可能なものであっても構わない。補助記憶装置は、例えば、オペレーティングシステム(OS)、ミドルウェア、アプリケーションプログラム、これらのプログラムの実行に伴って参照され得る各種データなどを格納する。
【0026】
通信装置125、135、145は、ネットワーク110(
図2においては省略)を介して他の装置との間でデータの授受を行う。例えば通信装置125、135、145は、移動体通信や無線LAN等の無線通信を行い、ネットワーク110へ接続する。ユーザ端末120及び医療従事者端末160は通信装置125及び135をそれぞれ用いることで、ネットワークを介してユーザ情報管理サーバ130と通信を行う。通信装置125、135、145は、イーサネット(登録商標)ケーブル等を用いた有線通信を行ってもよい。
【0027】
治療用アプリケーションサーバ150のハードウェア構成はユーザ端末120と同様であり、医療従事者端末160のハードウェア構成はユーザ情報管理サーバ130及び治療法実施支援サーバ140と同様であるため、図示及び詳細な説明は省略する。
【0028】
図3は本発明の一実施形態によるユーザ端末120、ユーザ情報管理サーバ130及び治療法実施支援サーバ140の機能ブロック図の一例を示す。ユーザ端末120は、制御部321、入力部322、表示部323、通信部324、ブラウザ機能部325、電子メール機能部326及び治療用アプリ機能部327を備え、ユーザ情報管理サーバ130は、制御部331、入力部332、表示部333、通信部334及びユーザ情報記憶部335を備え、治療法実施支援サーバ140は、制御部341、入力部342、表示部343、通信部344、衝撃度記憶部345、準備情報記憶部346、健康関連情報記憶部347及び治療法情報記憶部348を備える。
【0029】
本実施形態においては、プロセッサ121、131、141がプログラムを実行することによりこれらの機能が実現される。例えば実行されるプログラムは、記憶装置124、134、144に記憶されているプログラムである。このように、各種機能がプログラム読み込みにより実現されるため、1つのパート(機能)の一部又は全部を他のパートが有していてもよい。各機能の一部又は全部を実現するための電子回路等を構成することによりハードウェアによってこれらの機能を実現してもよい。
【0030】
ユーザ端末120の制御部321は、本実施形態において実行される情報処理の制御処理を行う。入力部322は、ユーザ端末120のユーザからの入力を受け付ける。表示部323は、アプリケーションの機能を制御するためのアプリ用画面を表示し、アプリケーションの機能やユーザ操作に応じたアプリ用画面を表示する。本実施形態においては、入力部322及び表示部323を備えたタッチパネルを用いることとし、タッチ検出機能によって操作受付部を実現する。通信部324は、他のユーザ端末120、ユーザ情報管理サーバ130及び治療法実施支援サーバ140等と有線及び無線通信によって通信を行う。
【0031】
ブラウザ機能部325は、インターネット等のネットワーク110を介して接続されるサーバのウェブページ等にアクセスするための一般的なブラウザアプリケーションによって実現される機能である。本実施形態においては、ユーザはブラウザ機能部325を用いて、ユーザ情報管理サーバ130や治療法実施支援サーバ140にアクセスして、ユーザ情報を更新したり、サーバからの通知等をユーザに提示したりする機能を有する。電子メール機能部326は、ネットワーク110を介して電子メールを送受信する機能を備える。治療用アプリ機能部327は、必要に応じて治療用アプリケーションサーバ150と通信しながら、ユーザから情報を取得したり、ユーザに対して情報を提示する等によって治療を実施するための機能を有する。
【0032】
ユーザ情報管理サーバ130及び治療法実施支援サーバ140の制御部331、341は、本実施形態において実行される情報処理の制御処理を行う。入力部332、342は、各サーバのユーザからの入力を受け付け、表示部333、343は、各サーバのユーザへの情報を表示する。通信部334、344は、ユーザ端末120や他のサーバ等と有線及び無線通信によって通信を行う。
【0033】
ユーザ情報管理サーバ130のユーザ情報記憶部335は、ユーザの情報を記憶する。例えば、ユーザの名前、年齢、性別及びユーザに生じたライフイベントに関する情報を記憶する。本実施形態においてユーザ情報管理サーバ130は、企業における社員の人事情報を管理、記憶するサーバである。人事情報は、社員であるユーザの名前、年齢、性別に加え、配偶者の有無、子供の有無、勤務地等を含むことができる。ユーザに生じたライフイベントに関する情報として、ユーザの結婚、配偶者や子供との死別、転勤情報を含むことができる。
【0034】
治療法実施支援サーバ140の衝撃度記憶部345は、ライフイベントに対する衝撃度を示す情報を記憶する。衝撃度は、ユーザが行動や行動変容を実行するための動機の大きさに影響を与える因子である。各ライフイベントに対して衝撃度の大きさが予め定められる。本実施形態においては、衝撃度記憶部345は、ライフイベントとそれに対応する衝撃度の大きさを関連付けるライフイベント-衝撃度表を記憶する。ライフイベント-衝撃度表の一例を表1に示す。
【0035】
【0036】
表1においてIDは各ライフイベントに対応付けられた識別情報であり、標準衝撃度は対応付けられるライフイベントに対して予め定められた標準的な衝撃度の大きさを示す。ライフイベントが人に与える衝撃度の大きさは人ごとに異なっている場合があるが、標準的な衝撃度の大きさを定めることはできる。ここでは、各ライフイベントの標準的な衝撃度の大きさとして標準衝撃度を各ライフイベントに対応付けて記憶する。
【0037】
一般的にライフイベントには肯定的な認知と関連付けられやすいものと、否定的な認知に関連付けられやすいものとがある。例えば、通常、子供の出生は肯定的な挑戦の機会になる一方、配偶者との死別は否定的な逃避傾向を示す。本実施形態においては、否定的な認知に関連付けられるライフイベントに対しては負の値を衝撃度として定め、肯定的な認知に関連付けられるライフイベントに対しては正の値の衝撃度を定める。例えば、ライフイベントID=0に対して「配偶者の死」が対応付けられ、その衝撃度は「-90」である。配偶者の死は一般的には大きな負の衝撃度を与えるものであることを意味する。
【0038】
治療法実施支援サーバ140の準備情報記憶部346は、ユーザに治療用アプリを提示する前に衝撃度の補正を行うための準備情報を含む。本実施形態におけるライフイベント-準備情報の一例を表2に示す。
【0039】
【0040】
表2において、IDはライフイベントIDであり、ライフイベントIDに対して認知問合せ情報としての設問、回答及び各回答に対する衝撃度補正値が予め定められる。例えば、ID=0のライフイベントは「配偶者の死」であり、設問は「気持ちを切り替えることができていますか」であり、回答として3つの回答枝「切り替わった」、「どちらともいえない」及び「切り替わらない」が定義され、それぞれに対して衝撃度補正値「-1」、「1」及び「1」が定められている。準備情報として、ユーザが治療用アプリを使用して治療を行うための動機付けを与える認知介入情報を含んでもよい。衝撃度補正値は適宜設定することができ、例えば「切り替わらない」との回答に対しては「2」とし、「どちらとも言えない」との回答の間に差を付けてもよい。
【0041】
治療法実施支援サーバ140の健康関連情報記憶部347は、ユーザの健康に関連する健康関連情報を記憶する。例えば、ユーザの性別、年齢、体重、連絡先、薬歴、既往歴や現在煩っている疾病や治療履歴等を含むことができる。治療履歴には現在使用している治療用アプリを示す情報を含むことができる。現在煩っている疾病には、医学的に厳密な意味での病気である必要はなく、喫煙習慣等を含んでもよい。これらの情報は、例えば、治療法実施支援サーバ140が提供する治療法実施支援サービスの提供を受けることを許諾したユーザがユーザ端末120を介して入力してもよいし、医師等が使用する医療従事者端末160を介して入力されてもよい。企業における健康診断によって取得された情報に基づいてもよい。ユーザ情報管理サーバ130が記憶する情報は、ユーザ情報管理サーバ130の情報を参照してもよい。
【0042】
治療法情報記憶部348は、ユーザに提示する治療法に関する情報を記憶する。本実施形態においては治療法に関する情報は、治療用アプリケーションを特定する情報、各治療用アプリケーションによって実行される治療法を特定する情報及び各治療法の負荷を示す情報を含む。治療法の負荷は、その治療法に従って行動や行動変容を実行するために必要な技能の高さ等を示しており、治療用アプリが提供する情報やコーピングといった技法の習熟の難易度の高さ等に基づいて予め決定される。治療法情報を示す治療法表の一例を表3に示す。
【0043】
【0044】
表3においてIDは各治療法に割り当てられた識別情報であり、疾病は各治療法の治療対象である疾病を示し、治療用アプリケーションは治療用アプリケーションを識別する情報であり、治療法は治療用アプリケーションによって実施される治療法を示す情報であり、負荷は治療法の負荷を意味する。例えば、ID=0は、喫煙習慣に対する禁煙治療のための治療法であり、アプリAを用いた治療法αという治療法であり、その負荷は99であることを意味する。一つの治療用アプリケーションが複数の治療法と対応付けられてもよい。治療法に対する負荷は予め決定されるものである。治療の内容が包括的であるほど治療負荷を大きく設定し、中庸的、限定的であるほど治療負荷が小さくなるように設定することができる。また、治療用アプリのみの情報を含み、そのアプリによって実施される治療法の情報までは含まなくともよい。治療用アプリを特定すればその治療用アプリによって実行される治療法を特定したものと考えることができる。
【0045】
ユーザ情報管理サーバ130におけるユーザ情報記憶部335や、治療法実施支援サーバ140における衝撃度記憶部345、準備情報記憶部346、健康関連情報記憶部347及び治療法情報記憶部348は、各サーバの記憶装置によって実現されてもよいし、各サーバとは別体で用意されたデータベースを用いることによって実現してもよい。
【0046】
本実施形態においては、各ユーザ端末120にウェブブラウザアプリケーション及び治療用アプリケーションがインストールされ、ユーザ情報管理サーバ130、治療法実施支援サーバ140及び治療用アプリケーションサーバ150と通信を行うものとするが、1人のユーザが複数のユーザ端末120を有し、それぞれに別々のアプリケーションがインストールされていてもよい。例えば、1つのユーザ端末120はブラウザ機能部325を備え、ユーザ情報管理サーバ130にアクセスして、情報の入力、登録及び閲覧等を行い、他のユーザ端末120が治療用アプリ機能部327を有し、治療用アプリケーションサーバ150と通信を行いながら、治療法を実施してもよい。
【0047】
治療用アプリケーションサーバ150及び医療従事者端末160の機能ブロック図は省略するが、治療用アプリケーションサーバ150はユーザ端末120において治療用アプリケーションが実行されると、定期的に、又は必要に応じてデータの送受信を行い、ユーザ端末120において治療用アプリケーションによる治療を実現させ、医療従事者端末160は、医療従事者の操作に応じて適宜必要な情報の入力及び出力を行う機能を備える。
【0048】
図4のグラフ400は、行動及び行動変容を成功させるための動機と実行技能の関係を示す概念図である。横軸は動機の大きさを示し、縦軸は実行技能の高さを示している。線401を境界線として、線401の上の領域は、行動や行動変容が成功すると考えられる領域であり、下の領域は失敗すると考えられる領域である。動機が大きければ大きいほど、実行技能は低くても行動及び行動変容の実行を成功させることが可能であり、動機が小さいほど高い実行技能を備えていなければ、行動や行動変容を成功させることはできないことを示している。
【0049】
治療用アプリを用いた治療法のユーザに対する負荷は治療法毎に異なる。治療用アプリによって要求されるユーザの行動及び行動変容を行うことができなければ効果的な治療を行うことはできない。治療用アプリによる治療法の実施を行う際には、ユーザがその治療法によって行動及び行動変容を実行できる状態になければならない。そして、
図4に示すように、ユーザが行動及び行動変容を成功させることができるか否かは、動機の大きさ及び実行技能の高さに依存する。すなわち、ユーザが行動及び行動変容を実行可能な負荷の最大値はそのときのユーザの動機の大きさ及び実行技能の高さに依存する。
【0050】
動機の大きさは、そのユーザに発生したライフイベントが与える衝撃度に依存して変化するものと考えられる。ライフイベントが与える衝撃度は人によって個人差があるが、一般的に、肯定的な認知と関連付けられやすいものと否定的な認知に関連付けられやすいものがある。例えば、子供の出生は大きな正の衝撃度を与え、肯定的な挑戦の機会になり、配偶者との死別は大きな負の衝撃度を与え、否定的な逃避傾向を示す、といった傾向がある。
【0051】
本発明は、ライフイベントによってユーザに与えられる衝撃度に基づいてユーザの動機の大きさ(動機値)を推定し、ユーザの最大実行可能負荷を推定し、この推定された最大実行負荷と各治療用アプリを用いた治療法の負荷に基づいて、ユーザに適した治療用アプリを用いた治療法を提示することによって、ユーザによる行動及び行動変容の実行を可能とし、効果的な治療法実施の支援を行う。
【0052】
図5を用いて、本実施形態における情報処理の流れを説明する。ここでは、ユーザ情報管理サーバ130は、企業における人事情報を管理するサーバとする。人事関連システムには、社会保険、各種手当て、祝い金等の支払のため、結婚、離別、子供の出生、転勤などのライフイベントの変化の情報が登録され、更新される。人事情報を管理するサーバをユーザ情報管理サーバ130として用いることにより、ユーザのライフイベントの変化を捉えるための情報を正確に取得することが可能である。
【0053】
社員の健康維持及び増進を図る企業が提携する医療機関等が提供する治療用アプリケーションから社員の現状に適した治療用アプリケーションを提供するために、医療機関等が管理する治療法実施支援サーバ140をユーザ情報管理サーバ130と接続して人事関連情報を提供するものとする。一つの企業内で治療法実施支援サーバ140及び治療用アプリケーションサーバ150を用意してもかまわない。
【0054】
人事情報管理サーバに代えて、またはこれに加えて、ソーシャルメディアのサーバをユーザ情報管理サーバ130として利用することもできる。ソーシャルメディアに対して、ユーザはライフイベントの変化を投稿し、周囲に知らせることが多いから、このようなサーバもライフイベントについての情報を適時に取得するために利用することができる。治療法実施支援サーバ140がユーザ情報管理サーバ130の機能を備え、ユーザが治療法実施支援サーバ140にライフイベントの変化を直接送信するようにしてもよい。
【0055】
本実施形態においては、まず、本システムのユーザにライフイベントが発生すると、ユーザがユーザ端末120を介してライフイベントを特定する情報を入力し(S501)、入力された情報の送信を行うと(S502)、ユーザ情報管理サーバ130がこれを受信して、ユーザ情報記憶部335に記憶する(S504)。ユーザのイベント情報の入力は、ユーザからの口頭や書類での申告に従って、企業における人事担当者等が当該担当者のユーザ端末を使用して入力してもかまわない。ユーザ情報管理サーバ130は、治療法実施支援サーバ140へユーザのイベント情報を送信する(S506)。
【0056】
治療法実施支援サーバ140はユーザのイベント情報を取得し(S508)、当該イベント情報に基づいて、衝撃度記憶部345を参照して衝撃度を取得する(S510)。さらに、治療法実施支援サーバ140は取得されたイベント情報に基づいて準備情報記憶部346より準備情報を取得し(S512)、ユーザ端末120へ送信する(S514)。ユーザはユーザ端末120を介して準備情報の提示を受けると(S516)、これに含まれる認知問合せ情報に対する回答情報を入力し(S518)、治療法実施支援サーバ140へ送信する(S520)。
【0057】
ここでは、治療法実施支援サーバ140はユーザの健康関連情報に含まれる連絡先情報からユーザの電子メールアドレスを取得し、ユーザ情報管理サーバ130へ準備情報を提示するための治療法実施支援サーバ140が提供するウェブページへのリンク情報を電子メールにて送信する。ユーザは、ユーザ端末120によってこの電子メールを受信すると、ウェブページへのリンク情報に基づいてウェブページへアクセスし、治療法実施支援サーバ140から準備情報を含むウェブページのコンテンツが送信され、これに基づいてユーザ端末120において準備情報がユーザに対して提示されるものとする。ユーザは提示された設問情報に対する入力及び送信をウェブページを介して行う。準備情報の送受信は、ウェブページを介さずに、電子メールの送信及びそれに対する返信によって実現してもよいし、チャットアプリケーションやその他のアプリケーションを介して行うこともできる。
【0058】
治療法実施支援サーバ140は、回答情報を受信すると(S522)、これに基づいて、S510において取得された衝撃度に対して補正を行い(S524)、補正された衝撃度に基づいて、このユーザの最大実行可能負荷を決定する(S526)。最大実行可能負荷は、そのユーザが実行可能と推定される最大の治療負荷の大きさを示すものである。この最大実行可能負荷以上の負荷の治療法はユーザが実行できない可能性が高いと考えられ、最大実行可能負荷より小さい負荷であれば、治療によって要求される行動及び行動変容を実行し、治療効果を得られる可能性が高いと考えられる。
【0059】
治療法実施支援サーバ140は、決定された最大実行可能負荷、健康関連情報記憶部347に記憶されたユーザの健康関連情報及び治療法情報記憶部348に記憶された治療法の負荷に基づいてユーザに提案するための治療法を決定し(S528)、決定された治療法についての情報をユーザ端末120へ送信し(S530)、ユーザ端末120は受信した情報に基づいて治療法の実施の提案する情報をユーザに提示する(S532)。治療法についての情報は、治療法アプリケーションやそれによって実施される治療法、効果についての説明やアプリケーションのインストール方法等を含むことができる。
【0060】
治療法の提案を受けたユーザは、治療を受けたいと考える場合には、提示された治療法についての情報に基づいて、治療用アプリケーションを自身のユーザ端末120等にインストールして、治療を開始することが可能となる。ユーザへの治療法の提案は、治療用アプリケーションを特定する情報の提示によってその治療用アプリケーションによって実行される治療法の提案としてもよいし、その治療用アプリケーションによって実行可能な複数の治療法のうちの一部の治療法を特定して提案することもできる。
【0061】
本実施形態においては、標準衝撃度に対して衝撃補正値に基づいて補正された衝撃度を決定し、最大実行可能負荷を決定するものとしたが、衝撃度補正処理を行わず、標準衝撃度に基づいて最大実行可能負荷の推定を行っても本発明は実施可能である。また、標準衝撃度は年齢、性別等のユーザの特性に基づいて決定されてもよい。
【0062】
本実施形態を用いることにより、ユーザに発生したライフイベントに基づいて推定された最大実行可能負荷を考慮して治療用アプリによる疾病の治療法等を提案することが可能となる。したがって、ユーザは、そのときの実行可能負荷に見合った治療法に従って行動や行動変容を実行することが可能となり、治療法が予定する治療効果を実現することができる。また、ユーザに発生したライフイベントを検出することができるから、その影響によるユーザの最大実行可能負荷をより正確にタイムリーに推定することができる。
【0063】
[実施例1]
一つの実施例として、喫煙者であるユーザAに子供の出生というライフイベントが発生した場合を例にとって、本実施形態における情報処理についてより詳細に説明する。ユーザAが喫煙者であることがすでに定期健康診断等により取得された情報として治療法実施支援サーバ140に記録されているものとする。子供が出生したというイベント情報をユーザAがユーザ端末120を介して入力し(S501)、入力された情報の送信を行うと(S502)、ユーザ情報管理サーバ130がこれを受信して、ユーザ情報記憶部335に記憶する(S504)。ユーザ情報管理サーバ130はさらに、治療法実施支援サーバ140へユーザAのイベント情報を送信する(S506)。
【0064】
治療法実施支援サーバ140は、ユーザAに「子供の出生」というライフイベントが発生したという情報を取得すると(S508)、衝撃度記憶部345に記憶されたライフイベント-衝撃度表を参照して、「子供の出生」の衝撃度として「30」を取得する(S510)。さらに治療法実施支援サーバ140は、準備情報記憶部346に記憶されたライフイベント-準備情報表を参照して、「子供の出生」のための準備情報として設問「あなたにとってお子さんの出生はどのようなイベントですか」及び回答「切り替わった、どちらともいえない、切り替わらない」を取得する(S512)。
【0065】
治療法実施支援サーバ140は取得された準備情報の提示を提示するためのウェブページのリンク情報を電子メールによって送信し、ユーザはユーザ端末120を介して、リンク先のウェブページへアクセスして、準備情報としての設問「あなたにとってお子さんの出生はどのようなイベントですか」及びそれに対する回答枝「前向き」、「どちらともいえない」及び「後ろ向き」の提示を受ける(S516)。
【0066】
ユーザは回答枝から一つの回答を選択して、これを回答情報として送信すると、治療法実施支援サーバ140は、取得された回答情報(S522)に基づいて、衝撃度補正を行う(S524)。前述のとおり、「子供の出生」の衝撃度は「30」であり、正の衝撃度として定義されているから、一般的には、「子供の出生」というライフイベントが発生する前よりも、ユーザは、治療に対する最大実行可能負荷は上昇していると考えられる。しかしながら、人によって、「子供の出生」が負担の大きいもの等の負の要素であると考えている場合がある。そこで、発生したライフイベントに対するユーザの認知を取得することで、衝撃度を補正して、最大実行可能負荷の推定精度を高めることができる。
【0067】
本実施例においては、補正後衝撃度は以下の式によって演算するものとする。
〔数2〕
補正後衝撃度 = 標準衝撃度×衝撃度補正値
【0068】
例えば、ユーザAの回答が「前向き」である場合には、標準衝撃度(30)に衝撃度補正値(+1)を乗算して、補正後衝撃度は30となるが、ユーザの回答が「後ろ向き」である場合には衝撃度補正値(-1)を乗算するから、補正後衝撃度は-30となる。
【0069】
次に、補正後衝撃度に基づいて、最大実行可能負荷を以下の式によって演算する。
〔数3〕
最大実行可能負荷 = 技能値 - 行動変容閾値 / 動機値
〔数4〕
動機値 = 基準動機値 + 衝撃度
【0070】
ここで、技能値はユーザの治療を実行する技能の高さを示す値である。行動変容閾値はユーザが治療による行動変容を行えるかどうかの境界を示す値である。技能値及び行動変容閾値は治療に対する習熟や成人か子供か等によって決定することができる。ユーザの習熟度等が不明の場合には標準値を用いることができる。動機値はユーザの動機の大きさを示す値である。ここでは、数4に示すように、基準動機値に衝撃度を加算することで算出するものとする。基準動機値は標準的な動機の大きさを示す値である。ユーザの状態によって適宜変更することができる。衝撃度は標準衝撃度を用いてもよいし、衝撃度補正処理を行う場合には、補正後衝撃値を用いてもよい。
【0071】
本実施例においては、標準値として技能値=100、行動変容閾値=100、基準動機値=100とし、補正後衝撃度(30)を代入して、最大実行可能負荷(99.2)を得たものとする。治療法実施支援サーバ140は、治療法情報記憶部348に記憶された治療法表を参照して、演算された最大実行可能負荷(99.2)よりも小さい治療法からユーザAの疾病に対応する治療用アプリケーション及び治療法を選択する。ここでは、ユーザAの健康関連情報に含まれる疾病情報として喫煙習慣に対応する治療法ID=0~2のうち最も負荷の高い治療用アプリAを用いた治療法αをユーザに提示する治療法として決定する。一般的に、より多くの人に対して、治療成績が高いものは、負荷が高くなりやすい傾向がある。
【0072】
ここでは、治療負荷の高い治療法を優先的に提案するものとするが、これに限定されるものではない。例えば治療法表が治療効果の大きさを示す指標情報を別途含み、それに基づいて決定することもできる。また、健康関連情報記憶部347が疾病の重篤度情報を含み、重篤度の高い疾病に対する治療法を優先的に選択するようにしてもよい。また、単一の治療法のみを選択する必要はなく、最大実行可能負荷以下の治療法から複数の治療法を選択してもよいし、すべてを選択してもよい。
【0073】
治療法実施支援サーバ140は、決定された治療用アプリAを用いた治療法αを推薦する情報をユーザAに送信し、ユーザ端末120において推薦情報を提示することで、治療用アプリAを用いた禁煙治療法αの実施を促す。
【0074】
ユーザAは子供の出生を前向きに捉えており、子供の出生前に比べて、禁煙治療を行う動機が高くなっていると考えられる。このタイミングを適切に検出し、ユーザの最大実行可能負荷を推定し、実行可能と推定される負荷の禁煙治療法を推薦することにより、ユーザが禁煙治療を開始することを促すとともに、実行可能負荷に見合った治療に従って行動及び行動変容を実行することを可能とする。本実施形態を用いることにより、ユーザが治療法を実施することを支援することができる。
【0075】
一つの変形例として、治療法実施支援サーバ140の健康関連情報等に担当医等の医療従事者のメールアドレス等の連絡先を記憶し、決定された治療用アプリを用いた治療法の情報を、ユーザのユーザ端末120に加えて、または、これに代えて、医療従事者の医療従事者端末160へ送信してもよい。治療法の提案を受けた医師は、ユーザに対して治療の実施を促すことができる。
【0076】
[実施例2]
次に、ユーザが負の衝撃度のイベントに遭遇した場合の実施例について説明する。以下、実施例1と異なる点を中心に説明する。治療法実施支援サーバ140は、ユーザ健康関連情報として、ユーザBが脂肪肝を煩っていることを示す情報を保持している。ユーザBは、「配偶者の死」というライフイベントの発生をユーザ情報管理サーバ130に登録する。治療法実施支援サーバ140は、ユーザ情報管理サーバ130からイベントの情報を受信し、衝撃度記憶部345のライフイベント-衝撃度表を参照して配偶者の死の衝撃度「-90」を取得するとともに、準備情報記憶部346より「配偶者の死」に対応付けられた準備情報における設問「気持ちをうまく切り替えることはできていますか」及び回答枝「切り替わった」、「どちらともいえない」及び「切り替わらない」を取得する。
【0077】
治療法実施支援サーバ140はユーザBのユーザ端末120に準備情報を送信し、ユーザBは設問に対して「切り替わらない」と回答枝を選択して、治療法実施支援サーバ140へ送信する。治療法実施支援サーバ140は受信した回答に基づいて衝撃度(-90)に対して、衝撃度補正値(1)を乗算して、補正衝撃度(-90)を算出する。治療法実施支援サーバ140は補正後衝撃度に基づいて最大実行可能負荷(90)を算出する。治療法表から治療負荷が90以下の治療法を検索したが、最も負荷が小さい治療法は93であるため、いずれの治療法も選択されず、ユーザBへの治療法の選択は行われない。
【0078】
負のライフイベントが生じると、ユーザの最大実行可能負荷は低下していると推定される。このような場合には、最大実行可能負荷に見合わない負荷を有する治療法の提案を行っても、ユーザは実行することができないと考えられる。本実施例を用いることにより、ユーザの状態に見合わない負荷を有する治療法を提案することを防止することができる。
【0079】
[変形例]
一つの変形例として、準備情報として、ユーザの認知を正すための認知介入情報を含んでもよい。例えば、ユーザの健康関連情報に含まれるユーザの疾病に関連するユーザの誤った認知を検出し、これを正しい認知に修正するための情報を含むことができる。準備情報としての設問に対する回答を取得する前に、認知介入を行うことができる。認知介入により最大実行可能負荷を高め、より効果の高い治療法を実行させることが可能となる。
【0080】
一例として、治療を受けたい理由と、受けたくない理由を明らかにし、両者を比較させることで、治療を受けたい理由が受けたくない理由を上回ることを認知させ、実施する動機を高める認知介入を行うことができる。例えば、ユーザ端末120は、準備情報に基づいて、禁煙治療が必要なユーザに対して、ユーザが禁煙治療を行いたい理由及び行いたくない理由の入力を指示する情報を提示する。ユーザは、ユーザ端末120への入力作業によって、禁煙治療のメリット及びデメリットを明確に認識することができる。
【0081】
また、ユーザが禁煙治療を行いたい程度を0~100までの範囲で入力させ、100より小さい場合、なぜ禁煙治療を行いたくないのかを入力させてもよい。入力された禁煙治療を行いたい気持ちが100より小さいものの、0ではない場合には、なぜ禁煙治療を行いたい気持ちが0ではないのかを入力させてもよい。特にライフイベントに関連する動機を明らかにさせることによって、治療に対する動機付けを行うことができる。
【0082】
治療法実施支援サーバ140は認知介入の効果を確認する認知問合せ情報をユーザ端末120へ送信してもよい。認知問い合せ情報に対する回答情報に基づいて、認知介入によって認知が正され、動機が高まったことを検出した場合には、衝撃度を正の方向へ高める補正を行うことができる。
【0083】
[第2の実施形態]
本実施形態においては、治療法実施支援サーバ140がユーザに対して実施を提案する治療用アプリを用いた治療法を決定することに代えて、健康関連情報記憶部347に記憶されたユーザの健康関連情報に基づいて決定されたユーザが使用する治療用アプリのシステムへ、治療用アプリを用いて実施される治療法の決定に用いるために最大実行可能負荷を提供する点で、第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0084】
本実施形態においては、ユーザが治療用アプリを用いて治療を実施している間に、ライフイベントが生じた場合を想定する。治療法実施支援サーバ140は、健康関連情報として、ユーザCが高血圧を煩っていること、喫煙習慣があること及び高血圧のための治療用アプリDの治療法φを利用していることを示す情報を記憶している。ユーザCは、ユーザ端末120を介して、ライフイベントとして発生した離婚をユーザ情報管理サーバ130に登録する。
【0085】
治療法実施支援サーバ140は、ユーザ情報管理サーバ130からイベント情報を受信すると、ライフイベント-衝撃度表を参照して、離婚の衝撃度として-70を取得する。治療法実施支援サーバ140はユーザCのユーザ端末120へ準備情報を送信し、ユーザCは、ユーザ端末120を介して設問「あなたにとって離婚はどのようなイベントですか」に対して「前向き」との回答を入力して、ユーザ情報管理サーバ130へ送信した。治療法実施支援サーバ140は受信した回答情報に基づいて衝撃度補正値「-1」を取得し、衝撃値を「+70」に補正し、これに基づいて最大実行可能負荷「99.4」を取得する。
【0086】
治療法実施支援サーバ140は、ユーザCの健康関連情報及び算出された最大実行可能負荷に基づいて治療法を参照し、喫煙及び高血圧に対する治療用アプリないし治療法であるアプリAを用いた治療法α、アプリBを用いた治療法β、治療法θ及びアプリDの治療法ε、φ及び治療法γをユーザへの提案可能治療法として抽出する。治療法実施支援サーバ140は既に使用中の治療用アプリDの治療用アプリケーションサーバ150に対して、ユーザCの最大実行可能負荷を示す情報を送信する。
【0087】
治療用アプリケーションサーバ150は、アプリDを用いて実施している治療法φより大きい負荷である治療法εの負荷が最大実行可能負荷以下であることを決定し、治療法φに代えて、最大実行可能負荷以内の負荷で最も負荷が高い治療法εに変更することを決定し、ユーザ端末120における治療用アプリ機能部327に対して治療法の変更を指示する情報を送信する。治療用アプリ機能部327は治療法変更の指示に従って、実行する治療法を変更する。
【0088】
本実施形態を用いることにより、既にユーザが使用している治療用アプリによって実施されている治療法をユーザの状態に応じて、適切な治療法へ変更することが可能となり、ユーザが治療法を実施することを支援することができる。正の衝撃度が与えられるライフイベントが発生した場合には、より高い負荷の治療を実行することが可能となるから、より負荷の高い治療法への変更を行って、より高い治療効果を得ることができる。負の衝撃度が与えられるライフイベントが発生した場合には、ユーザの最大実行可能負荷が低下し、現在行えている治療法を継続できなくなる可能性があるから、ユーザの最大実行可能負荷に見合った治療法へ変更することにより、治療効果は低下するものの、治療の継続を可能とする。
【0089】
治療法実施支援サーバ140は治療用アプリケーションサーバ150ではなく、治療用アプリを実行するシステムに含まれる他のいずれの装置へ送信してもよい。例えば、治療用アプリDがインストールされたユーザ端末120に対して、最大実行可能負荷を示す情報を送信し、ユーザ端末120における治療用アプリ機能部327が治療法の変更を決定するようにしてもよい。
【0090】
[第3の実施形態]
本実施形態においては、ユーザが負の衝撃度のイベントに遭遇した場合に、健康関連情報記憶部347に記憶されたユーザの健康関連情報の既往歴に基づいてアプリの提案を行う点で、第1及び第2の実施形態と異なる。ここでは、ユーザDが、ユーザ関連情報として、既往歴として喫煙習慣を示す情報が含まれ、アプリBを用いた治療法βを実施することにより、治癒したことを示す情報が含まれているものとする。また、既往歴には過去に煩った疾病を示す情報に加えて、その疾病が生活習慣病であるか否かを示す情報を含むものとする。
【0091】
ユーザDは、離婚というライフイベントが発生したことを示すライフイベント情報をユーザ端末120を介してユーザ情報管理サーバ130へ登録する。治療法実施支援サーバ140は、人事情報システムからライフイベント情報を受信して取得することに応答して、衝撃度記憶部345からライフイベント「離婚」の衝撃度「-70」を取得する。治療法実施支援サーバ140はユーザDのユーザ端末120に準備情報を送信し、ユーザDは準備情報の説明に対する回答をユーザ端末120を介して入力、送信する。
【0092】
ユーザDの回答情報を受信すると、治療法実施支援サーバ140は回答情報に基づいて準備情報記憶部346から衝撃度補正値「1」を取得し、補正後衝撃値「-70」を算出した後、これに基づいてユーザDの最大実行可能負荷「96.7」を算出する。治療法実施支援サーバ140は治療法表を参照して負荷が1~96.7の治療法を検索し、喫煙習慣治療(禁煙治療)用のアプリBの治療法θ(94)、脂肪肝用のアプリCの治療法δ(93)、高血圧用のアプリEの治療法γ(96)、アプリFの治療法η(94)を抽出する。
【0093】
治療法実施支援サーバ140はユーザDの健康関連情報に基づいて、ユーザDが現在煩っている疾病はないこと、ユーザDが喫煙習慣を有していたこと、喫煙習慣は生活習慣病であることを決定する。そして、治療法実施支援サーバ140は、ユーザDに発生したライフイベント「離婚」がユーザDに与えた衝撃度が負の値であるに基づいて、既往症情報において生活習慣病であることを示す情報を含む喫煙習慣に対する治療法を選択することを決定する。ユーザに発生したライフイベントが負の衝撃度を有するか否かは、標準衝撃度に基づいて判断してもよいし、補正後衝撃度を用いて判断してもよい。
【0094】
治療法実施支援サーバ140は、抽出された治療法から喫煙習慣に対する治療法のうち最大実行可能負荷以下の治療法のうち最大の負荷であるアプリBを用いた治療法θを選択し、ユーザDのユーザ端末120に対して治療法の提示を行うための情報を送信する。または、アプリBの治療用アプリケーションサーバに対してユーザDの最大実行可能負荷を示す情報を送信し、治療用アプリケーションサーバがこれに基づいて治療法を決定し、ユーザ端末120に対して治療の開始を提案する情報を送信してもよい。
【0095】
負の衝撃度をもつライフイベントが発生すると、生活習慣病が悪化する傾向が強い。過去に治療を行う等によって改善されたり、治癒した場合であっても、負の衝撃度を持つライフイベントの発生を契機として、喫煙習慣等の健康に悪影響のある行動をとるようになったり、生活習慣病が再発することが考えられる。本実施形態を用いることにより、負の衝撃度を持つライフイベントの発生を検出し、既往歴に基づいて再発リスクの高い生活習慣病に対する治療法を実行させることができる。また、負の衝撃度によって減少していると推定される最大実行可能負荷に基づいて、ユーザが実行可能と推定される治療法を提案することができるから、ユーザは提案された治療法を実行することで、適切な治療を行うことができる。このように本実施形態を用いることにより、ユーザに適した治療法を提案することで治療法の実施支援を行うことができる。
【0096】
以上に説明した処理又は動作において、あるステップにおいて、そのステップではまだ利用することができないはずのデータを利用しているなどの処理又は動作上の矛盾が生じない限りにおいて、処理又は動作を自由に変更することができる。各装置の機能部は処理又は動作上の矛盾が生じない限りにおいて、いずれの装置に備えられることもできる。また以上に説明してきた各実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0097】
100 :システム
110 :ネットワーク
120 :ユーザ端末
121 :プロセッサ
122 :表示装置
123 :入力装置
124 :記憶装置
125 :通信装置
128 :バス
130 :ユーザ情報管理サーバ
131 :プロセッサ
132 :表示装置
133 :入力装置
134 :記憶装置
135 :通信装置
138 :バス
140 :治療法実施支援サーバ
141 :プロセッサ
142 :表示装置
143 :入力装置
144 :記憶装置
145 :通信装置
148 :バス
150 :治療用アプリケーションサーバ
160 :医療従事者端末
321 :制御部
322 :入力部
323 :表示部
324 :通信部
325 :ブラウザ機能部
326 :電子メール機能部
327 :治療用アプリ機能部
331 :制御部
332 :入力部
333 :表示部
334 :通信部
335 :ユーザ情報記憶部
341 :制御部
342 :入力部
343 :表示部
344 :通信部
345 :衝撃度記憶部
346 :準備情報記憶部
347 :健康関連情報記憶部
348 :治療法情報記憶部