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  • 特許-電気工学的薄膜積層体の製造方法 図1
  • 特許-電気工学的薄膜積層体の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】電気工学的薄膜積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 7/04 20060101AFI20230412BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20230412BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230412BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B22F7/04 D
B22F9/00 B
B05D7/24 301E
B05D7/24 303A
B05D5/12 B
B05D7/24 301V
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021110448
(22)【出願日】2021-07-02
(62)【分割の表示】P 2017545659の分割
【原出願日】2016-02-26
(65)【公開番号】P2021185259
(43)【公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】102015102801.8
(32)【優先日】2015-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102015015435.4
(32)【優先日】2015-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517296961
【氏名又は名称】ダイナミック ソーラー システムズ アクツィエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DYNAMIC SOLAR SYSTEMS AG
【住所又は居所原語表記】Friedrich-Ebert-Anlage 49,60308 Frankfurt,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトリック リンデル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル リンデル
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-246188(JP,A)
【文献】特表2009-505383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-8/00
B22F 9/00-9/30
B05D 7/24
B05D 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温における電気工学的薄膜積層体の製造方法であって、薄膜積層体は、ベース層を含み、
電気導電性及び/又は半導電性の無機凝集物を一領域に分散させて供給し、硬化させて、薄膜層を形成し、
前記硬化が室温で行われ、
前記硬化が少なくとも1つの試薬と接触することによって促進され、
塗布される少なくとも1つの前記ベース層が、少なくとも1つの鎖形成要素の凝集物を含む層であり、前記鎖形成要素が、炭素からなり、
前記ベース層が、非晶質炭素成分を有する少なくともマイクロスケールのグラファイトと、、活性炭、タール、導電性ブラック、ファーネスブラック、カーボンブラック、ランプブラック、または、ESDブラックの49%までの添加量とを含む、水性炭素懸濁物であり、
塩基可溶性金属であるケイ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、からなる群からの少なくとも1つの金属の、マイクロスケール粉末以下である少なくとも1つの金属粉末と混合され、
懸濁物が7を超える反応性pHに調整され、及び還元性層として塗布され且つ予備硬化を受けて、少なくとも安定化周辺シェルを形成し、
膜の層に塗布された懸濁物が少なくとも付随するUV曝露によって硬化され、
導電性の電気工学的薄膜の製造は室温で行われ、無機凝集物を一領域に分散させて供給し、硬化させて、薄膜の層を形成し、
金属または金属化合物の分散体が、還元性の前記ベース層の上に供給され、
硬化が室温で実行され、
硬化は、金属または金属酸化物が堆積されることによって形成される、少なくとも1つの金属合金に接触することにより加速され、
前記ベース層が、炭素、ケイ素、アルミニウム、および、鉄を含む塩基性還元性層の形で提供され、
分散に用いられるのは、わずかに酸性の銅溶液である、
電気工学的薄膜積層体の製造方法。
【請求項2】
金属層の厚みは、100マイクロメートルまでであり、金属層は、5分以下以内に蒸着される、
請求項に記載の方法。
【請求項3】
1センチメートル当たり約100オームの導電率を有する、少なくとも0.5マイクロメートルの厚さの銅層が蒸着される、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
更なる電気工学層が前記銅層の上に蒸着又は形成される、
請求項に記載の方法。
【請求項5】
カバー層が、前記ベース層の上の画定された領域に塗布及び硬化され、且つ次いで、金属層が、静的に曝露されている前記領域に電極層として形成される、
請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記ベース層が準備手段において静電的に帯電される、
請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
電気工学的薄膜積層体の製造方法は、印刷機で行われる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電気工学薄層の分野に割り当てられ得る。この技術分野は、本発明
者らが関与した独国特許出願公開第102015102801号明細書に合理的に定めら
れる。既知の尺度、特徴、及び方法は、本出願及び本出願で引用された従来技術から得る
ことができる。
【0002】
本発明は、電気工学薄層、特に電気工学層シーケンスを製造する方法に関し、これらは
、導電体層として使用可能であり、且つ薄層ヒーターの接触に利用され得る。
【0003】
これに関連して特許請求される主題は、薄層ヒーターの製造に関連して見出された。
【背景技術】
【0004】
予備沈殿、拡散、及び乾燥により、水ガラス、グラファイト及び様々な塩の混合物とし
て耐熱体を製造し得ることが独国特許出願公開第390400A号明細書より1921年
以来知られている。これに対応して、独国特許出願公開第410375A号明細書では、
最終的に酸で表面調整される、このような層の物理的乾燥を教示している。これらの確立
されたプロセスにおける欠点は、分散液を乾燥させるプロセスが純粋に物理的であり、従
って非常に長い時間がかかることである。
【0005】
代替として、独国特許出願公告第839396B号明細書では、石英ガラスシェルに発
熱ワイヤーを封入して、それにより耐久性のある熱放射体を得ることを教示している。こ
の設計は、高い温度から非常に高い温度まで溶融することによる純粋石英ガラスのワイヤ
ーの取り込みを不都合に必要とする。また、固相発熱体として密度の高いSi-SiC-
C複合材料体を生成するために、独国特許出願公開第1446978A号明細書で開示さ
れるように、代替の複合材料体は高温を必要とする。また、独国特許出願公開第2666
93A1号明細書に記載されるように、2つの電極間に緩い台(loose bed)と
してグラファイト及び更なる追加物を配置する代替の設計は、不都合なことに、適切な材
料の対の大規模な配置を想定する。また、独国特許出願公告第19647935B4号明
細書は、電極間の厚い層において水ガラスとブレンドされた、グラファイト、炭素及び/
又は炭素繊維の混合物の塗布を教示している。これも、電極が攻撃的な水ガラスによって
攻撃される場合があり、従って十分な厚さで実行されなければならないという欠点を抱え
ている。前述のものとは対照的に、本発明は、薄膜のセクターに配置されるという点で異
なる。
【0006】
これに対応して、薄い発熱フィルムに関する独国特許出願公表第3650278T2号
明細書は、比較するとはるかにより妥当である。しかしながら、再度、この文献は、不都
合なことに、大量のエネルギーを必要とするポリマーフィルムの炭化を教示しており、こ
れは、1800℃での変換によって前述のフィルムをグラファイトのフィルムに変換する
ことを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、且つ室温で大面積の組み立てを伴
う工業的加工にもかかわらず、固体であり、安定であり、好ましくは発熱層として使用可
能であり、それにもかかわらず、薄層の接触接続の電気工学的特性に関して十分な導電性
を有して改質可能である薄層を提供することができる方法と、その方法による電気工学薄
層とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の特徴に従って達成される。有利な実施形態は、従属請求項及
び以下の記載から明らかであろう。
【0009】
本発明は、領域にわたり分散液における電気導電性及び/又は半導電性の無機凝集物を
提供し、且つその無機凝集物を硬化させて層を形成することにより、電気工学薄層を製造
する室温方法において、硬化が室温で行われ、及び硬化が少なくとも1つの試薬と接触す
ることによって促進されることを特徴とする、室温方法を提供する。
【0010】
好ましい実施形態では、電気工学ベース層は、ここで、分散を介して領域にわたり提供
され、且つ硬化されて層を与え、この方法では、非晶質炭素成分を有する少なくともマイ
クロスケールのグラファイトと、任意選択的に、煤、活性炭、タール、導電性ブラック、
ファーネスブラック、カーボンブラック、ランプブラック、ESDブラックを含む関連す
る炭素多形体の49重量%までの添加量とを含む、主に水性炭素懸濁物は、少なくともア
ルミニウム及び/又は鉄を含む塩基可溶性の工業用金属の、マイクロスケール以下である
少なくとも1つの金属粉末と混合される。次いで、懸濁物が7を超える反応性pHに調整
され、及び金属が少なくとも部分的に溶解される。このようにして製造された還元層が塗
布され、且つ予備硬化を受けて、少なくとも安定化周辺シェルを形成し、この場合、薄層
に塗布された懸濁物は、少なくとも付随するUV曝露によって硬化される。
【0011】
その後、導電電気工学薄層の好ましい製造において、金属、好ましくは銅の低い硫酸含
有量を有する新たな分散液が還元性ベース層に提供され、及び完全な硬化が室温で行われ
、この硬化は、マイクロメーターの範囲の金属層の蒸着で5分以内に還元蒸着によって促
進される。
【0012】
有利には、こうして製造された電気工学薄層シーケンスは、はんだ付け可能な印刷可能
である金属層として、より好ましくは薄層ヒーターとして使用され得る。
【0013】
より好ましくは、確立されたはんだ付けプロセスによる二重層の接触は、有用及び/又
は必要な接触及び/又は回路の適用を可能にし、これは、非常に低いコストで複数の電気
工学薄層製品を可能にする。本発明は、フィルム又は紙の上で柔軟に支持された二重層に
おいて1平方メートル当たり1~10ユーロの範囲の生産コストで、有利な二重層の組合
せにおいて価値をもたらす相当な可能性を提供する。
【0014】
本発明及び有利な特徴の説明
本発明は、領域にわたり分散液における電気導電性及び/又は半導電性の無機凝集物を
提供し、且つその無機凝集物を硬化させて層を形成することにより、電気工学薄層を製造
する室温方法において、
- 硬化が室温で行われ、及び
- 硬化が少なくとも1つの試薬と接触することによって促進される
ことを特徴とする、室温方法を提供する。
【0015】
この方法は、好ましくは、PV層シーケンスが形成されることを特徴とする。
【0016】
この方法は、好ましくは、塗布される少なくとも1つのベース層が、少なくとも1つの
鎖形成要素の凝集物を含む層であり、鎖形成要素が、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、
インジウム、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、リン、ヒ素、アンチモン、硫黄、
セレニウム、テルル、臭素、ヨウ素からなる群から選択される。
【0017】
この方法は、好ましくは、ベース層が主に水性懸濁物の形態で提供され、且つ付随する
反応によって硬化されることを特徴とする。
【0018】
この方法は、好ましくは、ベース層が水性懸濁物の形態で提供され、反応性pHに調整
され、且つ塗布され、及び室温で少なくとも予備硬化を受けることを特徴とする。
【0019】
この方法は、好ましくは、ベース層が、煤、グラファイト、活性炭、タール、導電性ブ
ラック、ファーネスブラック、カーボンブラック、ランプブラック、ESDブラックの少
なくとも1種類の炭素多形体を含む水性炭素懸濁物の形態で提供され、反応性pHに調整
され、且つ酸化層又は還元層として硬化されることを特徴とする。
【0020】
この方法は、好ましくは、pHが少なくとも1つの化合物の添加によって調整され、化
合物が、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化カルシウム、水酸化バリウ
ム、アンモニア、塩酸、硫酸、硝酸、過酸化水素、リン酸、アスコルビン酸、クエン酸、
酒石酸、カルボン酸塩、カルボン酸、アミン、アミノ酸からなる群から選択されることを
特徴とする。
【0021】
この方法は、好ましくは、層が、塗布前に、自由流動性の混合物又は溶液として、Li
、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge
、Sn、Pb、As、Sb、Se、Te、Ti、Zr、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、
Cu、Zn、Hg、Au、Ag、Pt、Pd、Cdからなる群からの少なくとも1つの金
属と混合され、適切なpH設定で金属が少なくとも部分的に溶解されることを特徴とする
【0022】
この方法は、好ましくは、使用されるベース層が自由流動性の混合物又は溶液の形態に
おける層であり、その層が薄層において塗布され、且つ少なくとも1つの手段によって補
助されて付随する反応によって最終的に硬化され、前記少なくとも1つの手段が、UV曝
露、COと接触させる工程、酸性ガスと接触させる工程、塩基性ガスと接触させる工程
、酸化性ガスと接触させる工程、還元性ガスと接触させる工程、酸塩化物と接触させる工
程、尿素溶液と接触させる工程、金属酸化物分散液と接触させる工程、金属カルボニルと
接触させる工程、金属錯体と接触させる工程、金属化合物と接触させる工程、金属塩と接
触させる工程、水と接触させる工程からなる群から選択されることを特徴とする。
【0023】
電気工学薄層、特にベース層を製造する室温方法であって、分散液における電気導電性
及び/又は半導電性の無機凝集物が領域にわたり提供され、且つ硬化されて層を形成する
、室温方法において、
- 硬化が室温で行われ、
- 硬化が少なくとも1つの試薬と接触することによって促進され、
- 塗布される少なくとも1つのベース層が、少なくとも1つの鎖形成要素の凝集物を
含む層であり、鎖形成要素が炭素からなり、この場合、
- 非晶質炭素成分を有する少なくともマイクロスケールのグラファイトと、任意選択
的に、煤、活性炭、タール、導電性ブラック、ファーネスブラック、カーボンブラック、
ランプブラック、ESDブラックの49%までの添加量とを含む、主に水性炭素懸濁物と
してのベース層が、
- 塩基可溶性金属の、好ましくはケイ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、マ
グネシウム、カルシウム、バリウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、より好ましく
はケイ素、アルミニウム、及び鉄からなる群からの少なくとも1つの金属の、マイクロス
ケール粉末以下である少なくとも1つの金属粉末と混合され、
- 懸濁物が7を超える反応性pHに調整され、及び還元性層として塗布され且つ予備
硬化を受けて、少なくとも安定化周辺シェルを形成し、
- 薄層に塗布された懸濁物が少なくとも付随するUV曝露によって硬化させる
ことを特徴とする、室温方法が好ましい。
【0024】
この方法は、好ましくは、分散液における無機凝集物が、室温において、導電性電気工
学薄層の製造のために領域にわたり提供され、且つ硬化されて層を形成し、
- 金属又は金属化合物の分散液が、
- 還元性又は酸化性ベース層において提供され、
- 硬化が室温で行われ、
- 硬化が、少なくとも1つの金属化合物と接触させて金属又は金属酸化物を蒸着させ
ることによって促進される
ことを特徴とする。
【0025】
この方法は、好ましくは、ベース層が、炭素、ケイ素、アルミニウム、及び鉄を含む塩
基性還元性層の形態で提供されることを特徴とする。
【0026】
この方法は、好ましくは、使用される分散液が、銅層の堆積を伴う水性のわずかに酸性
の銅溶液、好ましくは新たなわずかに酸性の硫酸銅溶液であることを特徴とする。
【0027】
この方法は、好ましくは、100マイクロメートルまで、好ましくは0.5~80マイ
クロメートル、より好ましくは3±2.5マイクロメートルの厚さの金属層が5分以下以
内、好ましくは1~2分、より好ましくは30秒以内に蒸着されることを特徴とする。
【0028】
この方法は、好ましくは、1センチメートル当たり約100オーム、好ましくは1セン
チメートル当たり0.5~10オーム、より好ましくは1センチメートル当たり2±1.
5オームの導電率を有する、少なくとも0.5マイクロメートルの厚さの銅層が蒸着され
ることを特徴とする。
【0029】
この方法は、好ましくは、更なる電気工学層が銅層の上に蒸着又は形成されることを特
徴とする。
【0030】
この方法は、好ましくは、カバー層が、ベース層の上の画定された領域に塗布及び硬化
され、且つ次いで、金属層が、静的に曝露されている領域に電極層として形成されること
を特徴とする。
【0031】
この方法は、好ましくは、ベース層が準備手段において静電的に帯電され、好ましくは
ポリマー層との摩擦接触で静電的に帯電され、より好ましくはナイロンブラシロールとの
摩擦接触で静電的に帯電されることを特徴とする。
【0032】
この方法は、好ましくは、方法が印刷機で行われることを特徴とする。
【0033】
本発明の方法によって得られる電気工学薄層シーケンスの使用が好ましく、この場合、
この電気工学薄層シーケンスが、はんだ付け可能な金属層、集積回路の導電体層、回路の
抵抗層、半導体層、抵抗センサー、容量センサー、湿度センサー、フォトレジスト、ガス
を酸化/還元するためのセンサー、コンデンサー、強誘電体活性層、ダイオード、薄層抵
抗ヒーター、トランジスター、電界効果トランジスター、バイポーラトランジスター、定
量光電池、太陽電池層シーケンス、タッチセンサーとして使用可能である。
【0034】
薄層シーケンスは、好ましくは、本発明の方法により電気工学二重層、好ましくは薄層
ヒーターとして得られ、これは、任意選択的な担体の上に硬化された塩基性還元性ベース
層を有し、
- グラファイトの形態における炭素、及び任意選択的に49%までの更なる炭素多形
体及び/又は炭素生成物と、
- ケイ素、ホウ素、アルミニウム、リン、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの典
型的な不純物を4%有する、純度96%の少なくとも部分的に溶解された鉄及び/又はア
ルミニウムと、
- 硬化された水ガラスと、
- 金属ケイ酸塩と、
好ましくは銅からなる、その上に還元的に蒸着された金属層と
を含み、この場合、
- 金属層が1センチメートル当たり2.5±2.475オームの金属導電率を有し、
及び任意選択的に、好ましくは銅層の場合、
- 二重層が好ましくは2.7±1ボルトの領域におけるダイオードツェナー電圧を有
し、
- 二重層が好ましくは40±39.98マイクロファラッドの領域における容量を有
し、より好ましくは、二重層にわたる抵抗の25%までが純粋に容量性のものであり、且
つ高周波でインピーダンスに寄与しない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】予備的に還元的に蒸着され、少なくとも部分的に硬化されたベース層の上面図で示される有利な実施形態である。
図2】濃色の領域における金属層の形成を防止する被覆層の上面図で示される有利な実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
有利な実施形態では、水性グラファイト分散液が提供された。この分散液において、マ
イクロスケールのグラファイトは、非晶グラファイト、活性炭、導電性ブラック、煤、油
残渣/煤成分及び/又はタール成分を有する潤滑グラファイトなどの更なる炭素生成物の
49%までの割合を含んだ。工業用アルミニウムと工業用鉄とのマイクロスケールの金属
粉末混合物を約50重量%で水性グラファイト分散液に混合した。pHを、金属粉末の部
分溶解を伴って12~14まで調整し、反応混合物を冷却した撹拌システムで均質化し、
任意選択的に、シリカとの流動性に関して調整し、図1に示されるように、所定の領域に
おけるロール又はスクリーンシステムによって可撓性の紙シートに印刷し、任意選択的に
、UV暴露を用いて10秒以内で少なくとも部分的に予備硬化を受けさせた。引張り特性
、流動性及び均質性を、乳化剤、消泡剤、チキソトロープ剤、塩基性緩衝剤系、シロキサ
ンコポリマーを有する接着促進剤、特に過重合したシロキサンコポリマーなどの改質剤及
び助剤を介して調整することができる。
【0037】
得られたベース層は、純粋なグラファイトの場合、1センチメートル当たりメガオーム
~テラオームの範囲の導電率を有し、任意選択的に、導電性金属酸化物及び/又は確立さ
れた電解質との組合せにおける導電性ブラックの添加は、数桁の大きさでキロオームの範
囲まで導電率を低下させることができる。AC又はDC発熱層としての計画的な使用によ
れば、抵抗は、極めて高いレベル(ACの場合)で、或いは低いレベル(DCの場合)で
設定され得る。それぞれの場合において、還元性及び塩基性にされた層は、金属導電層の
ベース層として有利に使用できることが判明している。図2による被覆層の塗布後、図2
の白色で輪郭を描かれた領域では、新たに生成された低い硫酸濃度の銅溶液と接触させる
ことにより、数秒~数分以内で数マイクロメートルの厚さの高導電性金属層を生成するこ
とが可能である。球状凝集物の形態において得られた銅層は、30秒~数分後にマイクロ
メートルの厚さを有し、ベース層に確実且つ永続的に付着し、1センチメートル当たり0
.05~5オームの導電率を有する。更なる接触及び/又は回路は、従来のはんだ結合に
より、最終的に乾燥及び濯がれた銅層に適用され得る。本発明者らは、新たな還元層が急
速銅めっきの合理的な説明であり得ると仮定しており、グラファイトにより、還元状態は
、固体溶液に保存され、最終的な硬化中に銅めっきを能動的且つ効果的に促進することが
できる。従って、マイクロメーターの範囲における銅層は、数秒内で生成され得、或いは
これは代替の化学方法では1時間当たりのマイクロメーターの蒸着速度のみによって可能
である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
導電体層における耐熱体及び/又は基材として使用可能な電気工学薄層は、確立した方
法において高い価格で且つ極めて遅く製造される。
【0039】
この問題は、室温で形成され、室温で最終的な硬化中にレドックス反応により、対応す
る方法で金属が数分又は数秒以内にマイクロメートルスケールで金属層を形成する、レド
ックス反応的に蒸着されたグラファイト含有ベース層によって解決される。
【0040】
このようにして得ることができる二重層は、非常に可撓性であり、銅層へのはんだ付け
を可能にし、且つ薄層ヒーターとして特に有利に使用され得る。
図1
図2