(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】移動パネル固定保持装置
(51)【国際特許分類】
E05D 15/00 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
E05D15/00 F
(21)【出願番号】P 2021118499
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504374849
【氏名又は名称】株式会社泉陽商会
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】田井 博康
(72)【発明者】
【氏名】柿城 洋
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-108493(JP,U)
【文献】実開平03-117078(JP,U)
【文献】特開平09-144419(JP,A)
【文献】特開平10-025953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00
E04B 2/72-2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方レール(1)から吊下げられた矩形板状の移動パネル(P)を、所定の移動位置で固定保持するため
に、該移動パネル(P)の下方の左右の各角部に配設された移動パネル固定保持装置であって、
上記移動パネル(P)の下端面(3)から下方へ突出させて床面(2)に圧接自在な
上下方向の制動杆体(4)と、
該制動杆体(4)を常時下方へ弾発付勢するガスダンパ(5)と、
上記ガスダンパ(5)の下方への弾発付勢力に抗して上記制動杆体(4)を上昇させる手動レバー(7)付きのリンク機構(10)と、
該リンク機構(10)の手動レバー(7)を操作して、上記制動杆体(4)を上昇させて最上昇状態となった際に、該最上昇状態を維持する最上昇ロック機構(15)と、
を具備し
、
上記手動レバー(7)は、上記移動パネル(P)の左右各側面(11)から内方に収納した状態から、手動にて、側外方へ揺動突出状となって、上記リンク機構(10)から上記最上昇ロック機構(15)に肩替りして、制動杆体(4)の最上昇状態によって、移動パネル(P)が移動可能状態となると共に、上記手動レバー(7)を、上記移動パネル(P)の左右の側面(11)の内方に収納した状態に復元した際に、上記最上昇ロック機構(15)が制動杆体(4)の最上昇状態を維持し続けるように構成し、
上記手動レバー(7)を一枚の金属板材から形成し、該金属板材製の手動レバー(7)が、収納・突出自在な一本の直線状スリット(9)が、上記移動パネル(P)の左右の側面板(11Z)に形成されており、かつ、上記手動レバー(7)が上記左右各側面(11)から内方へ収納した状態で、上記手動レバー(7)の下端が、上記移動パネル(P)の下端縁近傍に配設されていることを特徴とする移動パネル固定保持装置。
【請求項2】
上記
リンク機構(10)は、上端に被係止部(17)を有する縦方向の長尺帯板(18)を備え、
上記最上昇ロック機構(15)は、下方から上昇してくる上記被係止部(17)に係脱自在に係止する爪部(15A)を有すると共に、一軸心(L
16
)廻りに揺動自在なロック爪片(16)と、該ロック爪片(16)を一軸心(L
16
)廻りに揺動させる弾発付勢力を付与して上記被係止部(17)への係止状態を保つためのスプリング(25)とを、
具備している請求項1記載の移動パネル固定保持装置。
【請求項3】
側面視が縦長矩形状であり、側外方へ開口状の略コの字型の横断面形状である金属板製ケーシング(20)を、有し、
上記ガスダンパ(5)とリンク機構(10)とロック機構(15)は、予め上記ケーシング(20)内に組込まれ、ユニットとして、上記移動パネル(P)の側端縁に、固設されるよう構成した請求項
1又は2記載の移動パネル固定保持
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動パネルを固定保持する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大空間(オープンスペース)を、たびたび間仕切り変更したいという要望があったり、又は、オープンオフィス内で一枚のパネル(映写用白板)を移動させて所望位置に固定して使用し、その後、別の位置に移動してパネル(映写用白板)を固定して使用したい等の要望がある。
【0003】
天井等の上方にレールを配設して、移動パネルを、そのレールに沿って、移動させ、所定位置に停止し、不意に移動パネルが動くこと、及び、揺れることを防ぐために、従来、床面を押圧するシャフトを、コイルバネやネジにて、下方へ押付ける構造のものが、提案されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3007256号公報
【文献】特開平7-317187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の移動壁の下圧接部材では、圧接ゴムを下端面に付設し、コイルバネにて弾発的に床面を圧接保持させる構成であるが、最近のように、移動パネルが肉厚で重量の大なるものが増えつつあり、所望の位置に安定して固定することができないという欠点、及び、移動から固定(又はその逆)の切替えが、容易でないという欠点もあった。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の移動壁(パネル)の固定用ジャッキでは、上下の調整代(上下寸法)は大きく優れてはいる。
しかし、所定床面に移動壁(パネル)を固定する作業、及び、別の場所へ移動させるためにリリースする作業が、容易でない。即ち、ロックナットを作業工具(スパナ)にて一旦緩めて、次に、シャフトを手で回転しつつ上下動させ、その後、ロックナットを作業工具(スパナ)にて締付けねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、上方レールから吊下げられた矩形板状の移動パネルを、所定の移動位置で固定保持するために、該移動パネルの下方の左右の各角部に配設された移動パネル固定保持装置であって;上記移動パネルの下端面から下方へ突出させて床面に圧接自在な上下方向の制動杆体と;該制動杆体を常時下方へ弾発付勢するガスダンパと;上記ガスダンパの下方への弾発付勢力に抗して上記制動杆体を上昇させる手動レバー付きのリンク機構と;該リンク機構の手動レバーを操作して、上記制動杆体を上昇させて最上昇状態となった際に、該最上昇状態を維持する最上昇ロック機構と;を具備し;上記手動レバーは、上記移動パネルの左右各側面から内方に収納した状態から、手動にて、側外方へ揺動突出状となって、上記リンク機構から上記最上昇ロック機構に肩替りして、制動杆体の最上昇状態によって、移動パネルが移動可能状態となると共に、上記手動レバーを、上記移動パネルの左右の側面の内方に収納した状態に復元した際に、上記最上昇ロック機構が制動杆体の最上昇状態を維持し続けるように構成し;上記手動レバーを一枚の金属板材から形成し、該金属板材製の手動レバーが、収納・突出自在な一本の直線状スリットが、上記移動パネルの左右の側面板に形成されており、かつ、上記手動レバーが上記左右各側面から内方へ収納した状態で、上記手動レバーの下端が、上記移動パネルの下端縁近傍に配設されている。
【0008】
また、上記リンク機構は、上端に被係止部を有する縦方向の長尺帯板を備え;上記最上昇ロック機構は、下方から上昇してくる上記被係止部に係脱自在に係止する爪部を有すると共に、一軸心廻りに揺動自在なロック爪片と、該ロック爪片を一軸心廻りに揺動させる弾発付勢力を付与して上記被係止部への係止状態を保つためのスプリングとを;具備している。
【0009】
また、側面視が縦長矩形状であり、側外方へ開口状の略コの字型の横断面形状である金属板製ケーシングを、有し;上記ガスダンパとリンク機構とロック機構は、予め上記ケーシング内に組込まれ、ユニットとして、上記移動パネルの側端縁に、固設されるよう構成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、手動レバーを軽く操作して、容易かつ迅速に、移動パネルを走行自由な状態に、切替できる。逆に、最上昇ロック機構を解除すれば、制動杆体を常時下方へ弾発付勢するガスダンパの作用で、円滑に、制動杆体は床面に圧接し、移動パネルは固定状態に、迅速に切替わる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の一形態を示す全体の簡略正面図である。
【
図2】本発明の実施の一形態を示す一部破断側面図である。
【
図7】最上昇ロック機構の一例を示す正面図である。
【
図8】リンク機構の一部を構成する長尺帯板の一例を示し、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【
図9】リンク機構の一部を構成する連結片の一例を示し、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【
図10】制動杆体の要部を示し、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
図1に於て、Pは、天井側に設けられた上方レール1から吊下げられた矩形板状の移動パネル(移動間仕切り壁と呼ぶ場合もある)であり、このパネルPは矢印N方向に(人力にて)移動自在であると共に、所定の移動位置で、本発明に係る固定保持装置Kによって、固定保持される。
【0013】
図1に示した実施形態では、矩形板状の移動パネルPの下方の左右角部の各々に、対称状に、配設した場合を示す。
図1~
図11に示した実施形態では、移動パネルPの下端面3から下方へ突出させて、
図1と
図5に示すように、床面2に圧接自在な制動杆体4を、有する。具体的には、この制動杆体4は、弾性ゴムや弾性プラスチック等の弾性ブロック体4Aを下端に有し、床面2に弾性的に圧接して、大きな摩擦抵抗力を発揮し、さらに、床面2を傷付けない。
【0014】
図10に於て、制動杆体4の下端の弾性ブロック体4Aを図示省略しているが、上端には、ネジ杆部4Bと、これに螺着して固定されたナット4C,4Cと、(ナット4C,4Cに固着された)孔4D付きの連結片4Eが、設けられている。
【0015】
図2と
図3に於て、5は上述の制動杆体4を常時下方向へ弾発付勢するガスダンパである。図例では、ガスダンパ5は上下逆として配設されている。
20は、
図2と
図3に示すように、側面視が縦長矩形状であり、側外方へ開口状の略コの字型の横断面形状の金属板製ケーシングである。
【0016】
ガスダンパ5は、倒立状として、その上端5Aを、取付具21を介して、ケーシング20の上方位置に取付けられると共に、下端5Bは、連結ピン6によって前記連結片4Eに、枢結されている。
【0017】
即ち、
図10に示した制動杆体4の上端の連結片4Eの孔4Dに、連結ピン6を挿通し、ガスダンパ5のロッド5Cの下端を、制動杆体4に連結し、もって、ガスダンパ5(のロッド5C)の伸長・短縮作動が制動杆体4の下方・上方への動作に、連動する。
なお、連結ピン6としては、ボルトとナットと円筒スペーサ等をもって形成することも好ましい。
【0018】
そして、上述のガスダンパ5による下方への弾発付勢力に抗して、制動杆体4を上昇させる手動レバー7付きのリンク機構10が設けられている。
さらに、このリンク機構10の手動レバー7を、
図4の実線から仮想線のように、枢支軸8廻りに上方へ(手にて)揺動操作すると、制動杆体4が上昇していって、制動杆体4が最上昇状態となった際に、最上昇状態を(そのまま)維持する最上昇ロック機構15が設けられている。
【0019】
さらに説明すれば、手動レバー7は、
図4に実線で示すように、移動パネルPの側面11から内方に収納した状態───側面11と同一面又は僅かに内側に侵入した状態が望ましい───から、指を下端内側の切欠部7Aに掛けて側外方へ(手動にて)大きく揺動突出状(
図4の仮想線参照)とすると、制動杆体4が最上昇状態となると共に、リンク機構10から最上昇ロック機構15が、その最上昇状態を維持するように、肩替りする。
この肩替りによって、手動レバー7は自由に下方へ復元して、移動パネルPの側面11の内方へ収納される。
【0020】
図2と
図6に示すように、手動レバー7は、所定厚さ寸法の一枚の金属板材から成る。下端には、上述したように人の指を掛ける切欠部7Aを有すると共に、上端にはパネル内方へ突出状の突片部7Bを有する。この突片部7Bには、第1孔部7Cと、第2孔部7Dとが形成されている。
第1孔部7Cに枢支軸(ピン)8を挿入して、
図4の実線と仮想線の間を揺動可能として、手動レバー7は固定部側に枢着されている。
【0021】
図11に於て、パネルPの側面11の要部を示す。
図4と
図11とから判るように、移動パネルPの左右の側面板11Zには、一本の直線状スリット9が形成されている。この上下方向の直線状スリット9によって、一枚の金属板材製の手動レバー7が収納・突出自在として、ガイドされる。
【0022】
また、スリット9よりも上方位置には、円形状の貫孔13が形成されている。この貫孔13は、最上昇ロック機構15をリリースする際に、人の指を入れる、又は、内外微動ボタンを取付けて人の指でそのボタンを押圧して、リリース作動させるためのものである。
【0023】
ところで、ケーシング20について、追加説明すると、ガスダンパ5は、その上端が、取付具21にて、ケーシング20の上方位置に、取付けられると共に、その下端は、連結ピン6と連結片4E等によって、制動杆体4に連結される。このようにダンパ5はケーシング20内に組込まれている。
【0024】
また、
図2,
図3,
図4,
図5から明らかなように、リンク機構10及びロック機構15も、ケーシング20内に組込まれている。
即ち、移動パネルPの左右の各側端縁に、取付ける前に、ダンパ5とリンク機構10とロック機構15(さらには制動杆体4)は、ユニット化しておいて、左右の上記各側端縁に、そのユニットを、固設するように構成されている。
【0025】
ところで、
図2と
図4と
図8に示す如く、リンク機構10は、上端に被係止部17を有する縦方向の長尺帯板18を有する。また、この長尺帯板18は、下端に小孔18Aを有し、その少し上方位置には、ガイド用長孔18Bを有する。
【0026】
他方、ロック機構15は、
図2,
図4,
図7に示す如く、下方から上昇してくる(前述の)長尺帯板18の被係止部17に、係脱自在に係止する爪部15Aを有するロック爪片16を有する。このロック爪片16は、一軸心L
16廻りに揺動自在である。
【0027】
上方から見るとコの字型の取付片22に、上記一軸心L16を有する枢結ピン23が設けられ、このピン23によって、ロック爪片16が揺動自在であるが、ロック爪片16の爪部15Aが、被係止部17への係止状態を保つためのスプリング25が付設されている。
【0028】
図7に示す矢印M
16は、ロック爪片16を一軸心L
16廻りに揺動させる(スプリング25によって付与される)弾発付勢力の方向を示す。
この
図7と
図4とを合わせて見れば、明らかなように、スプリング25によって付与される矢印M
16方向の弾発付勢力によって、長尺帯板18の上端の被係止部17は、確実に爪部15Aによる係止状態を保つ。
【0029】
図8と
図4に示した図例では、被係止部17は、コの字型に形成された線材から成り、特に、上辺線部が直接に爪部15Aにて係止される。なお、この被係止部17は、図例以外に設計変更自由であり、例えば、長尺帯板18の上端を直角に折曲げて形成したり、又は、水平方向のピンを、長尺帯板18の上端に、固設する等も望ましい(図示省略)。
【0030】
また、
図4と
図7に示したように、ロック爪片16には、リリース押圧用アーム部16Zが形成され、側面板11Zの貫孔13に対応している。貫孔13から指を入れる等することで、ロック機構15の、被係止部17への係止を、簡単に離脱(リリース)できる。
【0031】
リンク機構10は、手動レバー7を有すると共に、長尺帯体18を備えている点は、既に説明したが、それ以外の構成に関して、追加説明する。
ケーシング20には、平面視コの字型のチャンネル材26を固設する。手動レバー7は、枢支軸8によって該チャンネル材26に枢着する。上記長尺帯体18は、チャンネル材26の外面に対するように配設すると共に、長尺帯体18のガイド用長孔18B(
図2と
図8参照)と、チャンネル材26の長孔27を、上下移動可能として、貫通する短軸28を有する。
【0032】
そして、
図9に示すような連結板片29を設ける。その両端の貫孔29A,29Bの一方29Aには、連結ピン30を挿入して、
図6に示した手動レバー7の第2孔部7Dとを、連結する。
手動レバー7を枢支軸8廻りに揺動させると、連結ピン30と連結板片29を介して、短軸28が長孔27に沿って上方移動する。
【0033】
図2に示すように、短軸28が長尺帯体18のガイド用長孔18Bの上端に当接しており、直ちに長尺帯体18を上昇させる。即ち、ガスダンパ5の下方への弾発力に抗して、手動レバー7によって長尺帯体18が上昇してゆき、上方のロック機構15(のロック爪片16)にて、自動的にロックされ、制動杆体4は最上昇状態を維持する。
【0034】
この状態で、弾性ブロック体4Aが床面2から遊離し、移動パネルPは
図1の矢印N方向に、軽快に、レール1に沿って移動自在となる。
所望の位置まで人力によって移動パネルPを移動させて、停止した状態で、貫孔13から指を入れ、又は、内外方向に微動自在として貫孔13に嵌着したボタンを指で押圧し、最上昇ロック機構15のリリース押圧用アーム部16Zを内方へ押圧すると、スプリング25の弾発付勢力に抗して、ロック爪片16は、
図7の矢印M
16と反対方向に揺動する。
【0035】
この揺動により、長尺帯体18の被係止部17が、ロック爪片16の爪部15Aから離脱する。
長尺帯体18は、この離脱に伴って下降してゆく。即ち、長尺帯体18は連結ピン6等を介して常にガスダンパ5の下端5Bに、連動するように連結されている構造である(
図2参照)ので、ガスダンパ5の弾発付勢力によって、ゆっくりと長尺帯体18は下降してゆく。この下降によって、制動杆体4も下降して、下端の弾性ブロック体4Aは床面2を弾発的に押圧して、パネルPの制動状態となる。
【0036】
以上の説明からも判るように、リンク機構10は、手動レバー7と、連結板片29と、長尺帯体18と、チャンネル材26と、これ等を適宜枢結する短軸28・ピン30等から、構成される。
【0037】
本発明は、以上詳述したように、上方レール1から吊下げられた矩形板状の移動パネルPを、所定の移動位置で固定保持するための移動パネル固定保持装置であって;上記移動パネルPの下端面3から下方へ突出させて床面2に圧接自在な制動杆体4と;該制動杆体4を常時下方へ弾発付勢するガスダンパ5と;上記ガスダンパ5の下方への弾発付勢力に抗して上記制動杆体4を上昇させる手動レバー7付きのリンク機構10と;該リンク機構10の手動レバー7を操作して、上記制動杆体4を上昇させて最上昇状態となった際に、該最上昇状態を維持する最上昇ロック機構15と;を具備しているので、移動パネルPを所望の移動位置に、容易かつ迅速に、固定保持でき、床面2に傷を付けずに済む。オープンオフィス内でパネルPを所望位置に、楽々と移動して、固定保持でき、映写用、白板、資料貼付用、及び、間仕切り等の種々の用途に簡便に使用可能となる。さらに、移動パネルPが肉厚で重量大のものであっても、振れ・揺れを確実に防ぎつつ、強固に保持できる。さらに、手動レバー7を手動で操作して、弾性ブロック体4A付きの制動杆体4を最上昇状態とすれば、直ちに、最上昇ロック機構15に肩替り(交替)できるので、操作する人(作業者)の負担が著しく軽減できる。
【0038】
また、本発明は、上記手動レバー7は、上記移動パネルPの左右各側面11から内方に収納した状態から、手動にて、側外方へ大きく揺動突出状となって、上記リンク機構10から上記最上昇ロック機構15に肩替りして、制動杆体4の最上昇状態によって、移動パネルPが移動可能状態となると共に、上記手動レバー7を、上記移動パネルPの左右の側面11の内方に収納した状態に復元した際に、上記最上昇ロック機構15が制動杆体4の最上昇状態を維持し続けるように構成したので、手動レバー7を十分に長寸のものとしても側面11に収納状態となるので、パネルPの移動の際の邪魔とならずに済み、かつ、長寸の手動レバー7によって、女性の細腕でも大きなトルクを発生しつつ、軽くかつ容易に制動杆体4の上昇操作ができる。
【0039】
また、上記リンク機構10は、上端に被係止部17を有する縦方向の長尺帯板18を備え;上記最上昇ロック機構15は、下方から上昇してくる上記被係止部17に係脱自在に係止する爪部15Aを有すると共に、一軸心L16廻りに揺動自在なロック爪片16と、該ロック爪片16を一軸心L16廻りに揺動させる弾発付勢力を付与して上記被係止部17への係止状態を保つためのスプリング25とを;具備しているので、リンク機構10を下方位置に、かつ、ロック機構15を上方位置に、分離して配設可能となり、パネルPの上下細長状の側面11に巧妙に配設できる。なお、スプリング25としては、板バネや、鋏みバネ等を用いても、自由である。
【0040】
また、矩形板状の移動パネルPの下方の左右角部の各々に配設されているので、パネルPは強固に保持できて、映写用や白板等として安心して使用できる。左右の各パネル固定保持装置は、独立して(別々に)操作自在な構造であるので、パネル移動とパネル固定のための各操作が、一人の作業者で容易に行い得る。
【0041】
また、上記手動レバー7を一枚の金属板材から形成し、該金属板材製の手動レバー7が、収納・突出自在な一本の直線状スリット9が、上記移動パネルPの左右の側面板11Zに形成されている構成であるので、パネルPの側面11が、シンプルで美しく、オープンスペースにて、その雰囲気をこわすことなく、パネルPを色々な用途に使用できる。さらに、手動レバー7に人の手で付与されるモーメントM
7 (
図4,
図6参照)は、金属板材の幅方向であり(厚み方向でないので)、比較的大きなモーメントM
7 にも耐えることができ、かつ、軽量・シンプルであって、製作も容易である。
【0042】
また、側面視が縦長矩形状であり、側外方へ開口状の略コの字型の横断面形状である金属板製ケーシング20を、有し;上記ガスダンパ5とリンク機構10とロック機構15は、予め上記ケーシング20内に組込まれ、ユニットとして、上記移動パネルPの側端縁に、固設されるよう構成したので、移動パネルPの左右側端縁に、ユニットとして、能率良く、かつ、確実に、組付けることができる。しかも、ガスダンパ5とリンク機構10とロック機構15を組立てて、予め、相互間の作動が、スムーズ、かつ、間違いがないかを、確認できる。
【符号の説明】
【0043】
1 上方レール
2 床面
3 下端面
4 制動杆体
5 ガスダンパ
7 手動レバー
9 直線状スリット
10 リンク機構
11 側面
11Z 側面板
15 最上昇ロック機構
15A 爪部
16 ロック爪片
17 被係止部
18 長尺帯板
20 ケーシング
25 スプリング
L16 一軸心
P 移動パネル