(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】高速アークサプレッサ
(51)【国際特許分類】
H01H 33/59 20060101AFI20230412BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
H01H33/59 G
H01H9/54 A
H01H33/59 D
(21)【出願番号】P 2021544469
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(86)【国際出願番号】 US2020015742
(87)【国際公開番号】W WO2020160194
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-07-28
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521336288
【氏名又は名称】アーク サプレッション テクノロジーズ
【氏名又は名称原語表記】ARC SUPPRESSION TECHNOLOGIES
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヘンケ、ラインホルト
(72)【発明者】
【氏名】カーレ、ウォーレン
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0091059(US,A1)
【文献】特開2015-230849(JP,A)
【文献】特開昭50-70866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/59
H01H 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流(AC)電源に接続されたパワーコンタクタの両端のアーク放電を抑制するように構成された高速アークサプレッサであって、
正の領域内にある前記パワーコンタクタの接点間のアーク放電を抑制するように構成された第1の位相固有アークサプレッサであって、
前記第1の位相固有アークサプレッサの動作を有効化または無効化するように構成された第1の高速スイッチと、
前記第1の高速スイッチに接続された第1のドライバであって、前記接点からの入力信号が正の領域内にある場合に、前記第1の高速スイッチによって前記第1の位相固有アークサプレッサの動作を有効化し、前記接点からの前記入力信号が負の領域内にある場合に、前記第1の高速スイッチによって前記第1の位相固有アークサプレッサの動作を無効化するように構成される、第1のドライバと、を備える第1の位相固有アークサプレッサと、
負の領域内にある前記接点間のアーク放電を抑制するように構成された第2の位相固有アークサプレッサであって、
前記第2の位相固有アークサプレッサの動作を有効化または無効化するように構成された第2の高速スイッチと、
前記第2の高速スイッチに接続された第2のドライバであって、前記接点からの入力信号が正の領域内にある場合に、前記第2の高速スイッチによって前記第
2の位相固有アークサプレッサの動作を
無効化し、前記接点からの前記入力信号が負の領域内にある場合に、前記第2の高速スイッチによって前記第
2の位相固有アークサプレッサの動作を
有効化するように構成される、第2のドライバと、を備える第2の位相固有アークサプレッサと、を備え、
前記第1および前記第2の高速スイッチが、10マイクロ秒以内で前記第1および前記第2の位相固有アークサプレッサを有効動作と無効動作との間で切り替えるように構成され、
前記第1および第2の高速スイッチが絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であり、
前記第1および前記第2の位相固有アークサプレッサのそれぞれがさらに、
アーク点火検出回路と、
トリガーロック回路と、
アークバーンメモリと、を備える、高速アークサプレッサ。
【請求項2】
前記第1および前記第2の位相固有アークサプレッサのそれぞれについて、前記アーク点火検出回路が、前記パワーコンタクタの両端に接続され、前記アークバーンメモリは、前記アーク点火検出回路と前記第1および前記第2のドライバとの間にそれぞれ接続され、前記トリガーロック回路は、前記アーク点火検出回路の間に接続される、請求項
1に記載の高速アークサプレッサ。
【請求項3】
前記トリガーロック回路が、所定の時間の間、前記第1および前記第2の位相固有アークサプレッサのうちの関連する1つの動作を禁止するように構成される、請求項
2に記載の高速アークサプレッサ。
【請求項4】
前記アークバーンメモリが、前記パワーコンタクタを横切るアーク燃焼の検出の表示を関連するドライバに出力するように構成される、請求項
3に記載の高速アークサプレッサ。
【請求項5】
前記アークバーンメモリが1ビットのフリップフロップを含む、請求項
4に記載の高速アークサプレッサ。
【請求項6】
前記アーク点火検出回路が、アークの点火を示す前記パワーコンタクタ上の電圧の変化または電流の変化の少なくとも1つを検出するように構成される、請求項
4に記載の高速アークサプレッサ。
【請求項7】
前記パワーコンタクタ上および前記パワーコンタクタと前記アーク点火検出回路との間に接続された電力接点インターフェースを含む、請求項
6に記載の高速アークサプレッサ。
【請求項8】
前記電力接点インターフェースが過電圧保護回路および過電流保護回路を備える、請求項
7に記載の高速アークサプレッサ。
【請求項9】
前記第1および前記第2の位相固有アークサプレッサのそれぞれがアーク消弧要素を含み、前記第1の位相固有アークサプレッサのアーク消弧要素は前記第1の高速スイッチを備え、前記第2の位相固有アークサプレッサのアーク消弧要素は前記第2の高速スイッチを含む、請求項
7に記載の高速アークサプレッサ。
【請求項10】
前記第1および前記第2の位相固有のアークサプレッサのうちの関連する1つのアークバーンメモリが前記電力接点を横切るアークの存在の表示を記憶すると、前記第1および前記第2の高速スイッチのうちの1つが、前記電力接点を横切って短絡するように構成される、請求項
9に記載の高速アークサプレッサ。
【請求項11】
高速アークサプレッサの作動方法であって、
パワーコンタクタからの交流(AC)信号が正の領域内にある場合に、前記パワーコンタクタの接点間のアーク放電を抑制するべく前記高速アークサプレッサの第1の位相固有アークサプレッサを有効化することと、
前記信号が正の領域内にある場合に、前記接点間のアーク放電を抑制するべく前記高速アークサプレッサの第2の位相固有アークサプレッサを無効化することと、
前記信号が負の領域内に横切ると、
前記接点間のアーク放電を抑制するために、第1の位相固有のアークサプレッサの動作を無効化するように、前記第1の位相固有のアークサプレッサの第1の高速スイッチを切り替えることと、
前記接点間のアーク放電を抑制するために、第2の位相固有のアークサプレッサの動作を有効化するように構成された前記第
2の位相固有のアークサプレッサの第2の高速スイッチを切り替えることと、を含み、
前記第1および前記第2の高速スイッチが、10マイクロ秒以内で前記第1および前記第2の位相固有アークサプレッサを有効動作と無効動作との間で切り替えるように構成され、
前記第1の位相固有アークサプレッサが第1のドライバを含み、前記第2の位相固有アークサプレッサが第2のドライバを含み、前記第1および前記第2の高速スイッチを切り替えることは、前記第1および前記第2の高速スイッチをそれぞれ第1および第2のドライバで駆動することを含み、
前記第1および第2の高速スイッチが絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であり、
前記第1および前記第2の位相固有アークサプレッサのそれぞれが、アークを最初に検出してから所定の時間、前記第1および前記第2の位相固有アークサプレッサのうちの関連する1つの動作を禁止するように構成されたトリガーロックを備える、方法。
【請求項12】
前記所定の時間は300ミリ秒以下である、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、高速アークサプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
電流接点アーク放電は、リレーおよび特定のスイッチのような電気接点表面に悪影響を与える可能性がある。アーク放電は、時間の経過とともに接触面を劣化させ、最終的に破壊する可能性があり、部品の早期故障、品質性能の低下、および比較的頻繁な予防保守の必要性をもたらす可能性がある。さらに、リレー、スイッチなどのアーク放電により、電磁干渉(EMI)エミッションが発生する可能性がある。電流接点アーク放電は、消費者、商業、産業、自動車、および軍事用途の分野全体で、交流(AC)電力および直流(DC)電力の両方で発生する可能性がある。その普及のために、電流接触アーク放電の問題に対処するために開発された文字通り何百もの特定の手段がある。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態における、高速アークサプレッサを含むシステムのブロック図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態における、高速アークサプレッサの詳細なブロックレベルの実装を含むシステムのブロック図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態における、電力接点インターフェースの回路図である。
【
図4A】
図4Aは、例示的な実施形態における第1の位相固有アークサプレッサの回路図である。
【
図4B】
図4Bは、例示的な実施形態における第2の位相固有アークサプレッサの回路図である。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態において、ACシステムの波形を使用して示される高速アークサプレッサの動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
いくつかの実施形態は、例として示されており、添付の図面の図に限定されない。
アークサプレッサは、接点分離検出器を利用して、接点上の電圧の突然の変化に基づいて、スライド接点の分離および/またはスライド接点の閉鎖を検出することができる。接点分離検出器は、遷移期間中に電流が接点をバイパスできるようにするために、接点バイパス回路を開く場合がある。しかしながら、遷移期間は、単純で効率的な電圧遷移を含まない場合があり、多くの場合において単純で効率的な電圧遷移を含まない。むしろ、電気接点が開閉するときに一連の電圧バウンスが発生し、小さなアークまたは「アークレット」が生じる可能性がある。これらのアークレットは、一次アークが抑制されている場合であっても、接点を損傷する可能性がある。
【0005】
高速交流電力アーク発生および関連する状況の初期段階でアーク生成を抑制するためにアークサプレッサを利用するためのシステムおよび方法が開発されてきた。ブラシモーターなどを含むがこれらに限定されない特定のデバイスは、高速で動作し、アークおよびアークレットを比較的迅速に生成する。位相固有アークサプレッサ(phase-specific arc suppressor)を組み込むことにより、高速アークサプレッサは正と負のAC領域間のアークを抑制することができる。高速スイッチを使用することにより、高速アークサプレッサを位相固有のアークサプレッサ間で非常に迅速に切り替えることができる。その結果、高速アークサプレッサは、アークが迅速かつ頻繁に生成されるブラシモーターを含むがこれに限定されない状況で動作する可能性がある。
【0006】
図1は、例示的な実施形態における、高速アークサプレッサ1を含むシステム100のブロック図である。このシステムは、パワーコンタクタ2と、パワーコンタクタ2に接続されたコンタクタコイルドライバ3とを含む。高速アークサプレッサ1とパワーコンタクタ2は、電源4と電力負荷5との間に接続されている。電源4は、電力負荷5に必要とされるように、AC電源またはDC電源であり得る。補助電源6およびデータ処理装置7は、高速アークサプレッサ1に接続されている。ここで、様々なブロック1乃至7について詳細に説明する。
【0007】
図2は、例示的な実施形態における、高速アークサプレッサ1の詳細なブロックレベルの実装を含むシステム100のブロック図である。高速アークサプレッサ1は、電力接点インターフェース11、第1の位相固有アークサプレッサ12、第2の位相固有アークサプレッサ13、マイクロコントローラ14、データ通信インターフェース15、コイル電力インターフェース16、および補助電力インターフェース17を含む。ここで、ブロック11乃至17の例示的な実装について、詳細に説明する。
【0008】
図3は、例示的な実施形態における、電力接点インターフェース11の回路図である。この回路図は説明の目的で提示されているが、電力接点インターフェース11の機能的目的を達成するために、任意の適切な回路レベルの実装を必要に応じて高速アークサプレッサ1に組み込むことができることを認識および理解されるべきである。
【0009】
電力接点インターフェース11は、第1の接点端子111、過電流保護回路112、過電圧保護回路113、第2の接点端子114、オプションの可融性要素ステータスインジケータ115、およびオプションの電源ステータスインジケータ116を含む。ステータスインジケータ115、116は、それらに対応する構成要素の表示を提供するための任意の適切なインターフェースとして実装され得、対応する構成要素の状態を監視すべく、データ処理装置7および/または外部処理装置によって利用され得る、発光ダイオード(LED)または他の発光素子などの光学素子、および/またはコンピュータ読取可能出力314、316をそれぞれ含み得る。
【0010】
データ処理装置7は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、または他の適切なコントローラまたはプロセッサであり得るか、またはそれらを含み得る。一例では、データ処理装置7は、CMOS8ビットマイクロコントローラであるか、またはそれを含む。一例では、マイクロコントローラは、アトメル社(Atmel Corporation)によって製造されたAT89LP214マイクロコントローラである。しかしながら、適切に構成可能な任意のコントローラまたはプロセッサを利用できることを認識されたい。さらに、データ処理装置7は、高速アークサプレッサ1とは別の構成要素として示されているが、代わりに、データ処理装置7は、高速アークサプレッサ1の構成要素として組み込まれ得る。
【0011】
第1の接点端子111は、第1の位相固有アークサプレッサ12およびワイヤターミネータおよびパススプリッタ302に接続された第1の感知端子300を含む。過電流保護回路112は、可融性リンク、可融性抵抗、または可融性プリント回路基板トレースなどのヒューズ304を含む。一例では、ヒューズ304は、定格175アンペアの可融性プリント回路基板トレースである。
【0012】
過電圧保護回路113は、少なくとも1つの過電圧保護素子を含む。図示のように、過電圧保護回路113は、第1の電力線440とグランド442との間に接続された第1の過電圧保護要素306と、第2の電力線490とグランド442との間に接続された第2の過電圧保護要素308とを含む。様々な例において、第1および第2の過電圧保護要素306、308は、820ボルトおよび1.2キロアンペアの定格のバリスタである。第2の接点端子114は、第2の位相固有アークサプレッサ13およびワイヤターミネータおよびパススプリッタ312に接続された第2の感知端子310を含む。
【0013】
図4Aおよび
図4Bはそれぞれ、例示的な実施形態における、第1および第2の位相固有アークサプレッサ12、13の回路図である。第1および第2の位相固有アークサプレッサ12、13は、アーク点火検出回路121、311、トリガーロック回路122、132、アークバーンメモリ123、133、ゲートドライバ124、134、および高速アーク消弧素子125、135をそれぞれ含む。
【0014】
アーク点火検出回路121は、第1の接点端子111の第1の感知端子300に接続された第1の端子400と、第2の接点端子114に接続された第2の端子402とを含む。第2の位相固有アークサプレッサ13のアーク点火検出回路131は、第1の端子412が第2の接点端子114に接続され、第2の端子414が第1の接点端子111に接続されることを含む。アーク点火検出回路121、131のそれぞれは、第1の端子400、412と第2の端子402、414との間に直列に接続されたコンデンサ404、454、変圧器406、456、および抵抗器408、458と、変圧器406、458の両端に接続されたTVSダイオード410、460とを含む。一例では、コンデンサ404、454は100ピコファラッドのコンデンサであり、変圧器406、456は、82.6ミリオームの最大DC抵抗および並列の2.08アンペアの最大DC電流を有する10マイクロヘンリーを定格とする2コイルインダクタアレイであり、抵抗408、458は10オームの抵抗であり、TVSダイオード410、460は10.3ボルトのクランプおよび38.8アンペアを定格とする。
【0015】
アーク点火検出回路121、311はそれぞれ、パワーコンタクタ2の接点におけるアークの点火を示す状態、例えば電圧および/または電流の変化を検出し、アーク点火の兆候をトリガーロック回路122、132およびアークバーンメモリ123、133に出力するように一般に構成されている。様々な例において、アーク点火検出回路121、311はそれぞれ、電流感知変圧器、すなわち変圧器406、456を使用して、コンデンサ404、454および抵抗器408、458によって形成されたRC回路の電流を測定する。
【0016】
トリガーロック回路122、132はそれぞれ、アーク点火検出回路121、311によるアーク点火の初期検出に続いて、アークバーンメモリ123、133の動作を所定の期間禁止するように構成される。所定の期間は、AC電源の周波数に基づいて選択され得る。一例では、所定の時間は300ミリ秒以下である。アーク点火検出回路121、311からの信号は、所定の期間中にアークバーン部材123、133に到達するのを防止され得る。
【0017】
トリガーロック回路122は、第1のイネーブルライン416においてマイクロコントローラ14からの出力によって制御される。トリガーロック回路132は、第2のイネーブルライン422においてマイクロコントローラ14からの出力によって制御される。第1および第2のイネーブルライン416、422は、それぞれ、抵抗418、468、およびソリッドステートリレーなどのリレー420、470に接続され、該リレー420、470には、アーク点火検出回路121、311の出力も接続される。マイクロコントローラ14からの第1のイネーブルライン416上の信号は、リレー420を開き、アーク点火検出回路121からアークバーンメモリ123への信号の伝播を禁止する。同様の作用が、リレー470、アーク点火検出回路131、およびアークバーンメモリ133に関連する第2のイネーブルライン422に基づいて生じる。したがって、トリガーロック回路122、132の動作は、マイクロコントローラ14によって互いに独立して制御される。
【0018】
アークバーンメモリ123,133には、それぞれ1ビットの高速RS型フリップフロップ424,474が組み込まれている。ダイオード426、428、476、478および抵抗器430、480は、それぞれ、アーク点火検出回路121、311からフリップフロップ424、474への信号を調整する。抵抗432、482は、それぞれ、フリップフロップ424、474に電流制限を提供する。光カプラ434、484は、アークバーンメモリ123、133からの出力からゲートドライバ124、134にそれぞれ分離された出力を提供する。
【0019】
ゲートドライバ124、134は、それぞれ、高速消弧要素125、135の高速動作のための第1のドライバ436および第2のドライバ486を提供する。ドライバ436、486は、それぞれアークバーンメモリ123、133からの出力、特にフリップフロップ424、474に記憶されたビットに基づいて、高速アーク消弧素子125、135の第1および第2の高速スイッチ438、488のゲートをそれぞれ駆動するために選択されたチップであり得る。ビットがアークバーンが検出されたことを示す場合、関連するドライバ436、486は、関連する高速スイッチ438、488への出力を駆動するように構成される。
【0020】
図示の例では、高速スイッチ438、488はトランジスタである。高速スイッチ438は、第1の電力線440と接地線442との間に接続されている。高速スイッチ488は、第2の電力線490と接地線442との間に接続されている。様々な例において、高速スイッチ438、488は、約10マイクロ秒以下でオンおよびオフに切り替わるように構成された絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。一例では、高速スイッチ438、488は、1,200ボルト、155アンペア、959ワットのIGBTである。ゲートドライバ124、134は、ドライバ436、486のデータシートによって指定されるようにドライバ436、486を作動させるための回路、ならびにアークインジケータライン444および誤りインジケータライン446を駆動するための回路を含む。関連するアークバーンメモリ123、133が電力接点2上にアークが存在するという表示を記憶すると、関連するドライバ436、486は、米国特許第9,423,442号明細書(ヘンケ(Henke))に開示された原理に従ってアーク放電を抑制するための電流経路を提供すべく、関連する高速スイッチ438、488を電力接点2を横切って短絡させる。米国特許第9,423,442号明細書は、参照により本明細書に組み込まれる他の開示とともに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0021】
高速アーク抑制装置1に関して開示された原理は、単相AC電力に関して説明されている。しかしながら、参照により本明細書に組み込まれる開示に記載されるように、開示される原理は多相交流電力に適用可能であることを認識および理解されるべきである。したがって、多相の高速アークサプレッサは、高速原理を、参照により本明細書に組み込まれる多相原理と組み合わせることによって作成することができる。同様の原理が、比較的大電流の利用にも当てはまる。
【0022】
図5は、例示的な実施形態において、ACシステムの波形500を使用して示される高速アークサプレッサ1の動作を示す。Y軸502は、X軸またはゼロ線504に沿った度数での位相に対する電圧または電流の振幅を示す。本開示の目的のために、正の領域506は、ゼロライン504より上のすべてのスペースであるのに対して、負の領域508は、ゼロライン504より下のすべてのスペースである。
【0023】
この図の目的のために、曲線510は、第1および第2の位相固有アークサプレッサ12、13への入力を表す。曲線510によって表される入力が正の領域506にあるとき、第1の位相固有アークサプレッサ12が有効になり、第2の位相固有アークサプレッサ13が無効になる。曲線510によって表される入力が負の領域508にあるとき、第1の位相固有アークサプレッサ12が無効になり、第2の位相固有アークサプレッサ13が有効になる。本明細書で述べたように、入力がゼロライン804と交差すると、高速スイッチ438、488が導通から非導通に、またはその逆になるため、有効から無効への切り替え、またはその逆の切り替えが起きる。
【0024】
512において、曲線510は、正の勾配で、すなわち、負の領域508から正の領域506まで、ゼロライン504と交差している。第2の位相固有アークサプレッサ13は、有効から無効に切り替わっており、第1の位相固有アークサプレッサ12は、無効から有効に切り替わっている。一例では、第1および第2の位相固有アークサプレッサ12、13のそれぞれが有効から無効に、またはその逆に変化するための切り替え時間は、約10マイクロ秒以下である。
【0025】
514において、曲線510は、負の勾配で、すなわち、正の領域506から負の領域508まで、ゼロライン504と交差している。第1の位相固有アークサプレッサ12は、有効から無効に切り替わっており、第2の位相固有アークサプレッサ13は、無効から有効に切り替わっている。
【0026】
追加の例
各種実施形態の説明は、本質的に単なる例示であるため、本明細書の例および詳細な説明の要旨から逸脱しない改変は、本開示の範囲内にあることが意図されている。そのような改変は、本開示の精神および範囲からの逸脱と見なされるべきではない。
【0027】
例1は、交流(AC)電源に接続されたパワーコンタクタを横切るアーク放電を抑制するように構成された高速アークサプレッサであって、正の領域においてパワーコンタクタの接点を横切るアーク放電を抑制するように構成された第1の位相固有アークサプレッサを備え、第1の位相固有アークサプレッサは、第1の位相固有アークサプレッサの動作を有効化または無効化にするように構成された第1の高速スイッチと、該第1の高速スイッチに接続された第1のドライバとを備え、該第1のドライバは、接点からの入力信号が正の領域にある場合に第1の高速スイッチによって第1の位相固有アークサプレッサの動作を有効化し、接点からの入力信号が負の領域にある場合に第1の高速スイッチによって第1の位相固有アークサプレッサの動作を無効化し、高速アークサプレッサは、負の領域においてパワーコンタクタの接点を横切るアーク放電を抑制するように構成された第2の位相固有アークサプレッサを備え、第2の位相固有アークサプレッサは、第2の位相固有アークサプレッサの動作を有効化または無効化にするように構成された第2の高速スイッチと、該第2の高速スイッチに接続された第2のドライバとを備え、第2のドライバは、接点からの入力信号が正の領域にある場合に第2の高速スイッチによって第2の位相固有アークサプレッサの動作を無効化し、接点からの入力信号が負の領域にある場合に第2の高速スイッチによって第2の位相固有のアークサプレッサの動作を有効化する。
【0028】
例2において、例1の主題は、第1および第2の高速スイッチが、10マイクロ秒以内で第1および第2の位相固有アークサプレッサを有効動作と無効動作との間で切り替えるように構成されることを含む。
【0029】
例3において、例1および2の主題は、第1および第2の高速スイッチがトランジスタであることを含む。
例4において、例1乃至3のうち1つ以上の主題は、第1および第2の高速スイッチが絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)であることを含む。
【0030】
例5において、例1乃至4のうち1つ以上の主題は、第1および第2の位相固有アークサプレッサのそれぞれが、アーク点火検出回路、トリガーロック回路、及びアークバーンメモリを備えることを含む。
【0031】
例6において、例1乃至5のうち1つ以上の主題は、第1および第2の位相固有アークサプレッサのそれぞれについて、アーク点火検出回路が、パワーコンタクタの両端に接続され、アークバーンメモリは、アーク点火検出回路と第1および第2のドライバとの間にそれぞれ接続され、トリガーロック回路は、アーク点火検出回路の間に接続されることを含む。
【0032】
例7において、例1乃至6のうち1つ以上の主題は、トリガーロック回路が、所定の時間の間、第1および第2の位相固有アークサプレッサのうちの関連する1つの動作を禁止するように構成されることを含む。
【0033】
例8において、例1乃至7のうち1つ以上の主題は、アークバーンメモリが、パワーコンタクタを横切るアーク燃焼の検出の表示を関連するドライバに出力するように構成されることを含む。
【0034】
例9において、例1乃至8のうち1つ以上の主題は、アークバーンメモリが1ビットフリップフロップを備えることを含む。
例10では、例1乃至9のうち1つ以上の主題は、アーク点火検出回路が、アークの点火を示すパワーコンタクタ上の電圧の変化または電流の変化の少なくとも1つを検出するように構成されることを含む。
【0035】
例11において、例1乃至10のうち1つ以上の主題は、パワーコンタクタ上およびパワーコンタクタとアーク点火検出回路との間に接続された電力接点インターフェースを含む。
【0036】
例12では、例1乃至11のうち1つ以上の主題は、電力接点インターフェースが過電圧保護回路および過電流保護回路を備えることを含む。
例13において、例1乃至12のうち1つ以上の主題は、第1および第2の位相固有アークサプレッサのそれぞれがアーク消弧要素を含み、第1の位相固有アークサプレッサのアーク消弧要素は第1の高速スイッチを備え、第2の位相固有アークサプレッサの消弧要素は第2の高速スイッチを備えることを含む。
【0037】
例14において、例1乃至13のうち1つ以上の主題は、第1および第2の位相固有のアークサプレッサのうちの関連する1つのアークバーンメモリが電力接点を横切るアークの存在の表示を記憶すると、第1および第2の高速スイッチのうちの1つが、電力接点を横切って短絡するように構成されることを含む。
【0038】
例15は、高速アークサプレッサの作動方法であって、パワーコンタクタからの交流(AC)信号が正の領域にある場合、高速アークサプレッサの第1の位相固有アークサプレッサが、パワーコンタクタの接点間のアーク放電を抑制することを有効化することと、信号が正の領域にある場合、高速アークサプレッサの第2の位相固有アークサプレッサが接点間のアーク放電を抑制することを無効化することと、信号が負の領域内へ横切ると、第1の位相固有アークサプレッサの動作を無効化して、接点間のアーク放電を抑制すべく、第1の位相固有アークサプレッサの第1の高速スイッチを切り替えることと、接点間のアーク放電を抑制すべく、第2の位相固有アークサプレッサの動作を有効化するように構成された第1の位相固有アークサプレッサの第2の高速スイッチを切り替えることとを含む。
【0039】
例16において、例15の主題は、第1および第2の高速スイッチが、10マイクロ秒以内で第1および第2の位相固有アークサプレッサを有効動作と無効動作との間で切り替えるように構成されることを含む。
【0040】
例17において、例15および16のうち1つ以上の主題は、第1の位相固有アークサプレッサが第1のドライバを含み、第2の位相固有アークサプレッサが第2のドライバを含み、第1および第2の高速スイッチを切り替えることは、第1および第2の高速スイッチをそれぞれ第1および第2のドライバで駆動することを含む。
【0041】
例18において、例15乃至17のうち1つ以上の主題は、第1および第2の高速スイッチが絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)であることを含む。
例19において、例15乃至18のうち1つ以上の主題は、第1および第2の位相固有アークサプレッサのそれぞれが、アークを最初に検出してから所定の時間、第1および第2の位相固有アークサプレッサのうちの関連する1つの動作を禁止するように構成されたトリガーロックを備えることを含む。
【0042】
例20では、例15乃至19のうち1つ以上の主題は、所定の時間が300ミリ秒以下であることを含む。
例21は、処理回路によって実行されると、処理回路に例1乃至20のいずれかを実施するための動作を実行させる命令を含む、少なくとも1つの機械可読媒体である。
【0043】
例22は、例1乃至20のいずれかを実施するための手段を備える装置である。
例23は、例1乃至20のいずれかを実施するためのシステムである。
例24は、例1乃至20のいずれかを実施するための方法である。
【0044】
上記の詳細な説明には、詳細な説明の一部を構成する添付の図面への参照が含まれている。図面は、例示として、特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも呼ばれる。そのような例は、図示して説明されたものに加えて要素を含み得る。しかしながら、本発明者らは、図示されて説明された要素のみが提供される例を考慮している。
【0045】
この明細書で言及されているすべての刊行物、特許、および特許文献は、参照により個別に組み込まれているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。本明細書と参照により援用された文献との間に一貫性のない使用法がある場合、援用された文献の使用法は、本明細書の使用法を補足するものと見なす必要があります。調整不可能な不整合については、本明細書の使用法が優先される。
【0046】
本明細書では、「1」または「1つ」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」または「1つ以上」の他の例または使用法とは無関係に、1つまたは複数を含むために使用されている。本明細書では、「または」という用語は、特に明記されていない限り、「AまたはB」は「BではなくA」、「AではなくB」、そして「AおよびB」を含むように、非排他的なものを参照するために使用される。本特許請求の範囲において、「含む(including)」および「~の場合に(in which)」という用語は、それぞれの「含む(comprising)」および「ここで(wherein)」という用語の平易な英語の同等物として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む」および「備える」という用語は、非限定的であり、すなわち、請求項に記載されたそのような用語とともに列挙されたものに加えて複数の要素を含むシステム、デバイス、物品、またはプロセスは、依然として特許請求の範囲内にあると見なされる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの目的語に数値要件を課すことを意図するものではない。
【0047】
上記の説明は、限定的なものではなく、意図されたものである。例えば、上記の例(またはその1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上記の説明を検討することにより、当業者などによれば、他の実施形態が使用され得る。要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認できるようにするため、連邦規則法典第37巻のセクション1.72(b)に準拠するように提供されている。それは、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないことを理解した上で提出される。加えて、上記の詳細な説明では、開示を合理化するために、様々な特徴が一緒にグループ化され得る。これは、請求項に記載されていない開示された機能が任意の請求項に不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にあってもよい。したがって、以下の特許請求の範囲は、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態としてそれ自体で有効である。