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特許7261014目地受用金具および壁パネルの取付構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】目地受用金具および壁パネルの取付構造体
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
E04F13/08 101R
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019000338
(22)【出願日】2019-01-04
(65)【公開番号】P2019120121
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2018001997
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】熊田 賢人
(72)【発明者】
【氏名】細内 正紀
(72)【発明者】
【氏名】林 真嗣
【審査官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-266437(JP,A)
【文献】特開2008-196125(JP,A)
【文献】特開平11-131660(JP,A)
【文献】特開2017-043954(JP,A)
【文献】特開2014-020156(JP,A)
【文献】特開2016-194192(JP,A)
【文献】米国特許第05016410(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08-13/18
E04B 2/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁パネルと下地鋼材との間に配置され、該壁パネルと該下地鋼材との間に所定の寸法を持った間隙を形成する目地受用金具であって、
金属からなる板材が折り曲げられてなり、
下地鋼材に当接する下地鋼材当接部と、
下地鋼材当接部に対して、所定の高さで設けられた段差部と、
前記壁パネルに当接するパネル当接部と、を有し、
前記壁パネルからの正圧方向の力に対し、前記間隙の寸法を小さくすることができることを特徴とする、目地受用金具。
【請求項2】
壁パネルと下地鋼材との間に配置され、該壁パネルと該下地鋼材との間に所定の寸法を持った間隙を形成する目地受用金具であって、
金属からなる板材が折り曲げられてなり、
下地鋼材に当接する下地鋼材当接部と、
下地鋼材へ係止する下地鋼材係止部と、を有し、
下地鋼材当接部に対して、所定のギャップをもって配された別体の弾性体である板状部材により、前記壁パネルに当接する上パネル当接部および下パネル当接部が前記間隙を形成することを特徴とする、目地受用金具。
【請求項3】
壁パネルと下地鋼材との間に配置され、該壁パネルと該下地鋼材との間に所定の寸法を持った間隙を形成する目地受用金具であって、
金属からなる板材が折り曲げられてなり、
下地鋼材に当接する下地鋼材当接部と、
下地鋼材当接部に対して斜めに、所定の高さで設けられた段差部と、
前記段差部から延設され、前記壁パネルに当接する上パネル当接部および下パネル当接部と、
下地鋼材へ係止する下地鋼材係止部と、を有し、
少なくとも前記下パネル当接部が、前記壁パネルに当接することによって、前記壁パネルと前記下地鋼材との間に前記間隙を形成することを特徴とする、目地受用金具。
【請求項4】
壁パネルと下地鋼材との間に配置され、該壁パネルと該下地鋼材との間に所定の寸法を持った間隙を形成する目地受用金具であって、
金属からなる板材からなり、
下地鋼材に当接する下地鋼材当接部と、
下地鋼材当接部に対して斜めに、所定の高さで設けられた段差部と、
前記段差部から延設され、前記壁パネルに当接する上パネル当接部および下パネル当接部と、
下地鋼材へ係止する下地鋼材係止部と、
前記下パネル当接部の前記下地鋼材側から、前記壁パネルに対し略垂直に配されるように、前記下地鋼材側に向けて突設された舌片と、を有し
少なくとも前記下パネル当接部が、前記壁パネルに当接することによって、前記壁パネルと前記下地鋼材との間に前記間隙を形成することを特徴とする、目地受用金具。
【請求項5】
壁パネルと下地鋼材との間に配置され、該壁パネルと該下地鋼材との間に所定の寸法を持った間隙を形成する目地受用金具であって、
金属からなる板材からなり、
下地鋼材に当接する下地鋼材当接部と、
下地鋼材当接部に対して斜めに、所定の高さで設けられた段差部と、
前記段差部から延設され、前記壁パネルに当接する上パネル当接部および下パネル当接部と、
下地鋼材へ係止する下地鋼材係止部と、を有し、
前記下地鋼材当接部において、前記壁パネル側に凸となるように、縦方向の膨出部が、円弧状に形成されており、
少なくとも前記下パネル当接部が、前記壁パネルに当接することによって、前記壁パネルと前記下地鋼材との間に前記間隙を形成することを特徴とする、目地受用金具。
【請求項6】
前記下地鋼材当接部と、前記段差部との成す角度が、10°~89°である、請求項1または3~5のいずれか1項に記載の目地受用金具。
【請求項7】
前記板材の厚みが、0.6mm~2.3mmである、請求項1~のいずれか1項に記載の目地受用金具。
【請求項8】
前記下パネル当接部のうち下方部が上方部より相対的に前記壁パネル側にせり出している、および/または、前記上パネル当接部のうち上方部が下方部より相対的に前記壁パネル側にせり出している、請求項2~5のいずれか1項に記載の目地受用金具。
【請求項9】
前記目地受用金具の巾中央に、貫通穴、および/またはスリットが設けられている、請求項1~のいずれか1項に記載の目地受用金具。
【請求項10】
前記壁パネルが、ALCパネルである、請求項1~のいずれか1項に記載の目地受用金具。
【請求項11】
建物躯体側の下地鋼材に壁パネルが取付けられてなる壁パネルの取付構造体であって、
前記下地鋼材に係止されるとともに、該下地鋼材と前記壁パネルとの間に予め設定された寸法を有する間隙を形成する、請求項1~10のいずれか1項に記載の目地受用金具を備え、
前記目地受用金具は、上下に配された一対の前記壁パネルの目地部分に配されており、
パネル当接部を有し、
上パネル当接部が上側の前記壁パネルに当接し、下パネル当接部が下側の前記壁パネルに当接するとともに、
少なくとも上下どちらかの壁パネル短辺小口縁が、前記パネル当接部と当接しないように配されたことを特徴とする、壁パネルの取付構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁パネルを躯体に取付ける際に該壁パネルと下地鋼材との間に予め設定された寸法を持った間隙を形成する目地受用金具および壁パネルの取付構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
縦壁構法において、壁パネルと下地鋼材との間に所定間隔を形成する目地受用金具が配置され、目地受用金具は、壁パネルを固定的に支持することが一般的に実施されている(例えば特許文献1,2参照)。
この目地受け金具の固定的支持は、主に壁パネルの正圧(室外側から室内側へ作用する力)を建物の躯体へ伝達する役割がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3650176号公報
【文献】特開平11-131660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、壁パネルと下地鋼材間の所定寸法を、目地受け金具両端の折り曲げ寸法で固定的に確保している。そのため、下地鋼材の垂直片が室外側へ倒れた場合、下地鋼材垂直片の面に追従するように目地受け金具が固定されているので、壁パネル上下間の目地部に面外方向目違いが生じ、パネル壁面の建て入れ精度を出しづらい。
【0005】
現場によっては、目地受け金具をパネル建て込み後に差し挟む(後入れ)ケースがある。従来の目地受け金具は、折り曲げ加工で形成した所定寸法が固定的であるため、後入れ時に目地受け金具底端がパネル裏面に引っ掛かり、作業性を悪くしていた。
【0006】
パネルの巾方向両端に設置される目地受け金具は少なくとも2枚以上のパネルを支持する。従来の目地受け金具は、パネル支持面が固定的かつ一面で形成されているため、一方のパネルの影響を他方のパネルが受けてしまう。
【0007】
また、現場では、上下左右に4面のパネルが突き合せられた目地部分に目地受け金具が設置されることが多く、パネル巾方向の中央部に配置されたパネル取付け用金具による所定寸法の支持もあるため、4面のパネルを均一に当接させることが難しい。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、本発明の目的は、壁パネルと下地鋼材との間に所定の間隔を保つとともに、外壁パネルの位置決め機能を有し、さらにパネル当接部が壁パネルと弾性的に当接することで下地鋼材の精度に依存せず、均一にパネルを支持できる目地受け金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討をおこなった結果、下地鋼材当接部と壁パネル当接部とに弾性を付与することによって、本発明を解決できることに相当した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
壁パネルと下地鋼材との間に配置され、該壁パネルと該下地鋼材との間に所定の寸法を持った間隙を形成する目地受用金具であって、
金属からなる板材が折り曲げられてなり、
下地鋼材に当接する下地鋼材当接部と、
下地鋼材当接部に対して、所定の高さで設けられた段差部と、
前記壁パネルに当接するパネル当接部と、を有し、
前記壁パネルからの正圧方向の力に対し、前記間隙の寸法を小さくすることができることを特徴とする、目地受用金具。
[2]
壁パネルと下地鋼材との間に配置され、該壁パネルと該下地鋼材との間に所定の寸法を持った間隙を形成する目地受用金具であって、
金属からなる板材が折り曲げられてなり、
下地鋼材に当接する下地鋼材当接部と、
下地鋼材へ係止する下地鋼材係止部と、を有し、
下地鋼材当接部に対して、所定のギャップをもって配された別体の弾性体である板状部材により、前記壁パネルに当接する上パネル当接部および下パネル当接部が前記間隙を形成することを特徴とする、目地受用金具。
[3]
壁パネルと下地鋼材との間に配置され、該壁パネルと該下地鋼材との間に所定の寸法を持った間隙を形成する目地受用金具であって、
金属からなる板材が折り曲げられてなり、
下地鋼材に当接する下地鋼材当接部と、
下地鋼材当接部に対して斜めに、所定の高さで設けられた段差部と、
前記段差部から延設され、前記壁パネルに当接する上パネル当接部および下パネル当接部と、
下地鋼材へ係止する下地鋼材係止部と、を有し、
少なくとも前記下パネル当接部が、前記壁パネルに当接することによって、前記壁パネルと前記下地鋼材との間に前記間隙を形成することを特徴とする、目地受用金具。
[4]
壁パネルと下地鋼材との間に配置され、該壁パネルと該下地鋼材との間に所定の寸法を持った間隙を形成する目地受用金具であって、
金属からなる板材からなり、
下地鋼材に当接する下地鋼材当接部と、
下地鋼材当接部に対して斜めに、所定の高さで設けられた段差部と、
前記段差部から延設され、前記壁パネルに当接する上パネル当接部および下パネル当接部と、
下地鋼材へ係止する下地鋼材係止部と、
前記下パネル当接部の前記下地鋼材側から、前記壁パネルに対し略垂直に配されるように、前記下地鋼材側に向けて突設された舌片と、を有し
少なくとも前記下パネル当接部が、前記壁パネルに当接することによって、前記壁パネルと前記下地鋼材との間に前記間隙を形成することを特徴とする、目地受用金具。
[5]
壁パネルと下地鋼材との間に配置され、該壁パネルと該下地鋼材との間に所定の寸法を持った間隙を形成する目地受用金具であって、
金属からなる板材からなり、
下地鋼材に当接する下地鋼材当接部と、
下地鋼材当接部に対して斜めに、所定の高さで設けられた段差部と、
前記段差部から延設され、前記壁パネルに当接する上パネル当接部および下パネル当接部と、
下地鋼材へ係止する下地鋼材係止部と、を有し、
前記下地鋼材当接部において、前記壁パネル側に凸となるように、縦方向の膨出部が、円弧状に形成されており、
少なくとも前記下パネル当接部が、前記壁パネルに当接することによって、前記壁パネルと前記下地鋼材との間に前記間隙を形成することを特徴とする、目地受用金具。
[6]
前記下地鋼材当接部と、前記段差部との成す角度が、10°~89°である、[1]、または[3]~[5]のいずれかに記載の目地受用金具。
[7]
前記板材の厚みが、0.6mm~2.3mmである、[1]~[6]のいずれかに記載の目地受用金具。
[8]
前記下パネル当接部のうち下方部が上方部より相対的に前記壁パネル側にせり出している、および/または、前記上パネル当接部のうち上方部が下方部より相対的に前記壁パネル側にせり出している、[2]~[5]のいずれかに記載の目地受用金具。
[9]
前記目地受用金具の巾中央に、貫通穴、および/またはスリットが設けられている、[1]~[8]のいずれかに記載の目地受用金具。
[10]
前記壁パネルが、ALCパネルである、[1]~[9]のいずれかに記載の目地受用金具。
[11]
建物躯体側の下地鋼材に壁パネルが取付けられてなる壁パネルの取付構造体であって、
前記下地鋼材に係止されるとともに、該下地鋼材と前記壁パネルとの間に予め設定された寸法を有する間隙を形成する、[1]~[10]のいずれかに記載の目地受用金具を備え、
前記目地受用金具は、上下に配された一対の前記壁パネルの目地部分に配されており、
パネル当接部を有し、
上パネル当接部が上側の前記壁パネルに当接し、下パネル当接部が下側の前記壁パネル当接するとともに、
少なくとも上下どちらかの壁パネル短辺小口縁が、前記パネル当接部と当接しないように配されたことを特徴とする、壁パネルの取付構造体。

【発明の効果】
【0010】
本発明では、壁パネルと下地鋼材との間に所定の間隔を保つとともに、外壁パネルの位置決め機能を有し、さらにパネル当接部が壁パネルと弾性的に当接することで躯体や下地鋼材の施工精度に依存せず、均一にパネルを支持し、パネルの建入精度を向上できる目地受け金具およびパネル取付構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の目地受用金具の一構成例を示す斜視図である。
図2図1に示す目地受用金具の平面図、上面図および側面図である。
図3】壁パネルの取り付け構造を示す一部分解斜視図である。
図4図1に示す目地受用金具を下地鋼材および壁パネルに取付けた状態を示す斜視図である。
図5図1に示す目地受用金具を下地鋼材および壁パネルに取付けた状態を示す側面図である。
図6】目地受用金具が弾性変形する様子を模式的に示す図である。
図7】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図8】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図9】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図10】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図11】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図12】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図13】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図14】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図15】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図16】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図17】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図18】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図19】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図20】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図21】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図22】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図23】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
図24】目地受用金具の他の構成および取付け例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の目地受用金具の一構成例を示す斜視図であり、図2は平面図、上面図および側面図である。
図3は、下地鋼材に壁パネルを取り付ける取付構造を説明する図である。また、図4は、図1に示す目地受用金具を下地鋼材および壁パネルに取付けた状態を示す斜視図であり、図5はその側面図である。
なお、以下の説明では、図1図5における上側を「上」とし、下側を「下」とする。また右側を「右」とし、左側を「左」とする。そして後掲する図6図24においても同様である。
【0013】
目地受用金具は、壁パネル11の両側であって少なくとも上下方向で隣接する2枚の壁パネル11(11A,11B)に対向して配置され、下地鋼材10の垂直片10aに係止されて該垂直片10aと壁パネル11との間隙を保持するものである。
目地受用金具1は、金属からなる板材が主に上下方向に折り曲げられてなり、下地鋼材(10)に当接する下地鋼材当接部(2)と、下地鋼材当接部(2)に対して、所定の高さで設けられた段差部(3,4)と、壁パネル(11)に当接するパネル当接部(5,6)と、を有し、壁パネル(11)からの正圧方向の力に対し、間隙の寸法を小さくすることができることを特徴とする。
【0014】
このとき、下地鋼材係止部7は、図1に示すように、上パネル当接部5の段差部3とは反対側の端部から、下地鋼材当接部2側に戻るように折り曲げられて設けられていることが好ましい。上パネル当接部5の上端から下地鋼材係止部7が形成されることで、踏付け強度が大きくなり、下地鋼材10に目地受用金具1A(1)を取り付けた後、上から踏付けても金具が曲がることがない。
【0015】
また、下地鋼材係止部7は、後掲する図7(目地受用金具1B(1))に示すように、上パネル当接部5の略中央部から、下地鋼材当接部2側に戻るように折り曲げられて設けられていることが好ましい。プレス成型時に片側からのプレスで下地鋼材係止部7を成型することができ、成型工程を簡略化することができる。
【0016】
さらに、下地鋼材係止部7は、後掲する図10(目地受用金具1E(1))に示すように、下地鋼材当接部2から下地鋼材10を挟持するように折り曲げられて設けられていることが好ましい。パネル当接部5,6と下地鋼材係止部7が延設されていないので、パネルに作用する正圧に対して下地鋼材係止部7が動かない。
【0017】
そして、目地受用金具1A(1)は、下地鋼材当接部2と下地鋼材係止部7との間で、下地鋼材10を厚み方向に挟持することによって、目地受用金具1を前記下地鋼材10に係止するとともに、少なくとも下パネル当接部6が、壁パネル11に当接することによって、壁パネル11と下地鋼材10との間に間隙を形成する。
なお、通常、下パネル当接部6だけではなく上パネル当接部5も壁パネル11に当接している。そして、壁パネル11と下地鋼材10との間の間隙を決定するのは主に下パネル当接部6であり、上パネル当接部5は主にその間隙を保持する。
【0018】
本発明の目地受用金具1A(1)では、壁パネル11と下地鋼材10との間に所定の間隔を保つとともに、壁パネル11の位置決め機能を有し、さらにパネル当接部5,6が壁パネル11と弾性的に当接することで、壁パネル(11)からの正圧方向の力に対し、間隙の寸法を小さくすることができる。これにより下地鋼材10の取付け精度に依存せず、均一にパネルを支持することができる。
【0019】
下地鋼材10に当接する下地鋼材当接部2は、下地鋼材10の垂直片10aの室外側の面と当接して該面の位置を拘束する機能を有する。
【0020】
下地鋼材当接部2の上下方向の両端に、段差部3,4が形成されている。
段差部3,4は、一方が下地鋼材当接部2に接続し、他方がパネル当接部5,6にそれぞれ接続し、下地鋼材当接部2とパネル当接部5,6との間に所定の高さで段差を形成している。
【0021】
この段差部3,4は、下地鋼材当接部2とパネル当接部5,6の間隔、すなわち下地鋼材10と壁パネル11との間隔を、所定の設定寸法tに保持する機能を有する。
図2および図5に示すように、下地鋼材10と壁パネル11との間隔の寸法をt、段差部3,4の高さをt、板材の厚さをtとすると、
t=t+t
の関係を満たすように、段差部3,4の高さtが決定される。
【0022】
このとき、段差部3,4は、下地鋼材当接部2およびパネル当接部5,6に対して略垂直に設けられていてもよいが、斜めに設けられていることが好ましい。
段差部3,4が、下地鋼材当接部2に対して垂直ではなく、斜めに形成されることにより、上パネル当接部5および下パネル当接部6が、それぞれ、下地鋼材当接部2に対して弾性変形する(撓む)ことが可能となり、上パネル当接部5および下パネル当接部6が、それぞれ、下地鋼材当接部2に対して弾性を有し板バネ様の機能を有するものとなる。すなわち、壁パネル11からの正圧方向の力に対し、間隙の寸法を小さくすることができる。これにより、目地受用金具1A(1)は、壁パネル11を下地鋼材10に対して弾性的に支持することが可能となる。弾性的に支持することにより、パネルの面外方向への歪みを吸収して、壁パネル11を均一に支持できる(図6参照)。
【0023】
壁パネル11の上部には、壁パネル11を下地鋼材10に取り付けるための取付金物(図示略)と、壁パネル11の両端にそれぞれ目地受用金具1A(1)が配される。また、壁パネル11の下部には、壁パネル11を下地鋼材10に取り付けるための取付金物(図示略)と、壁パネル11の両端に2つの目地受用金具1A(1)が配される。
このように、本実施の形態にかかる取付構造体では、下地鋼材10と壁パネル11との間に所定の間隙を形成する3点の取付金具について、弾性機能を有する目地受用金具1A(1)により、均一に壁パネル11を支持することができる。
【0024】
なお、段差部3,4は、両方とも、下地鋼材当接部2およびパネル当接部5,6に対して略垂直ではなく斜めに設けられていることが好ましいが、片方だけも壁パネル11を弾性支持することは可能であるため、本発明の効果を得ることはできる。
【0025】
下地鋼材当接部2と、前記段差部3,4との成す角度が、10°以上89°以下であることが好ましく、45°以上85°以下であることがより好ましい。
これにより、目地受用金具1A(1)は、壁パネル11を下地鋼材10に対してより弾性的に支持することが可能となる。
【0026】
特に、前記角度を45°以上とすることで、壁パネル11の正圧に対し、剛性を保持しつつ板厚を抑制でき、目地受用金具1A(1)の重量及びコストを削減できる。なお、角度が小さくなると、剛性を確保するために板厚を大きくしなければならなくなる。また、85°以下とすることで、正圧に対する支持力を保持し、かつ、目地受用金具1A(1)の成型時に、プレス機による金具の負担を軽減し、効率よく生産できる。
【0027】
なお、下地鋼材当接部2と段差部3,4との成す角度は、上パネル当接部5側(段差部3)と下パネル当接部6側(段差部4)とで同じであってもよいし、異なっていてもよいが、力を分散させて壁パネル11を均一に支持する観点からは、同じであることが好ましい。
角度が双方で異なる場合であっても、段差部3,4としての高さは均一である必要がある。すなわち、上パネル当接部5と下パネル当接部6とは、略同一平面上にある。
【0028】
上パネル当接部5は、一方の段差部3から上側に延設される。下パネル当接部6は、他方の段差部4から下側に向けて延設される。これら上パネル当接部5および下パネル当接部6は、下地鋼材当接部2に対し所定の間隙を有するように設けられる。また、上パネル当接部5および下パネル当接部6との間に所定のギャップGをもって配されていると好ましい(図5参照)。ギャップGがあることで、壁パネル11の短辺小口縁11bを避けて壁パネル11と当接しやすくできる。
上パネル当接部5および下パネル当接部6は、それぞれ壁パネル11の室内側の面に当接することにより、壁パネル11の表面を支持拘束する。
【0029】
下地鋼材係止部7は、上パネル当接部5から延びる片を下地鋼材当接部2側に戻るように、下地鋼材当接部2に向けて、下方に折り曲げて形成されている。このとき、下地鋼材係止部7と上パネル当接部5の裏面(下地鋼材側の面)とのなす角を鋭角或いは直角とし、下地鋼材係止部7を下方に折り曲げる角度を直角または鈍角とすることで、下地鋼材係止部7の垂直片10aと嵌合する部分をフック状に形成することが好ましい。
【0030】
また、下地鋼材当接部2と下地鋼材係止部7との間に、下地鋼材10の垂直片10aの厚さとほぼ同じ間隙を形成するように形成されている。
下地鋼材係止部7は、下地鋼材10の室内側の面と当接して、目地受用金具1A(1)を下地鋼材10に係止する機能を有する。
【0031】
このような目地受用金具1A(1)は、金属製の板材を主に上下方向に折り曲げることにより形成される。
板材の厚みは、0.6mm以上2.3mm以下であることが好ましく、1.2mm以上1.6mm以下であることがより好ましい。目地受用金具1A(1)を構成する板材の厚みを上記範囲とすることで、壁パネル11を支持するのに十分な剛性を維持しつつ、適度な弾性も有するものとなり、壁パネル11を下地鋼材10に対してより弾性的に支持することが可能となる。
板材が厚すぎると、高い剛性を有する一方で、変形した際の復元力が十分ではなく弾性が不足し、壁パネル11を下地鋼材10に対して弾性的に支持することが困難になる。また板材を折り曲げ加工して目地受用金具1A(1)を作製する際の工程が困難になる。板材が薄すぎると、弾性は十分である一方で剛性が不足してしまう。
【0032】
特に、板材の厚みを1.2mm以上とすることで、壁パネル11からの正圧方向の力(押圧)に対し、目地受け金具が一定の剛性を確保しやすく、所望の荷重負担を容易にし、パネル取付金具へ作用する荷重を軽減することができる。また、板材の厚みが大きいと、弾性を得るためには角度を緩くする必要がある。つまり見附面積の増大に繋がる。そこで1.6mm以下とすることで、剛性弾性を確保しつつ、金具の見附面積低減を容易にし、金具の重量低減ならびにコスト低減することができる。
【0033】
図3は、下地鋼材に壁パネルを取り付ける取付構造を説明する図である。図4は、上述したような目地受用金具1A(1)を用いた、壁パネルの取付構造体を室外側から見た斜視図であり、図5はその側面図である。
すなわち、本実施形態の取付構造体は、建物躯体側の下地鋼材10に壁パネル11が取付けられてなる壁パネルの取付構造体であって、下地鋼材10に係止されるとともに、下地鋼材10と壁パネル11との間に予め設定された間隙を形成する目地受用金具1A(1)を備える。
【0034】
図3図5に示すように、建物の躯体を構成する梁13の上フランジ13aにアングル材からなる下地鋼材10が配置され、下地鋼材10の垂直片10aの位置を上フランジ13aの室外側の端部からの張り出し長さを予め設定された値に調整した後、水平片10bを上フランジ13aに溶接することで固定されている。
【0035】
下地鋼材10の室外側には複数の壁パネル11が連設されており、夫々の壁パネル11は、下端が自重受け金物14に載置されて支持され、且つ下地鋼材10との間に目地受用金具1A(1)を介在させることで、壁パネル11と下地鋼材10との間隙を予め設定された寸法(設定寸法t)に保持し、この状態で壁パネル11の上部は、ボルトで取り付けられたイナズマ型のプレートを介して下地鋼材10の垂直片10aに取付けられている。
【0036】
目地受用金具1A(1)は、図5に示すように、下地鋼材10の垂直片10aの上方から差し込み、下地鋼材係止部7を垂直片10aに嵌合させることで係止され、且つ下地鋼材係止部7及び下地鋼材当接部2が垂直片10aに当接する。
【0037】
すなわち、下地鋼材当接部2は、下地鋼材10の垂直片10aの室外側の面と当接し、下地鋼材係止部7は、垂直片10aの室内側の面と当接して、これら下地鋼材係止部7と下地鋼材当接部2とによって、垂直片10aを挟み込むように取付けられる。
【0038】
このとき、下地鋼材当接部2と下地鋼材係止部7との間の間隙の寸法が、下地鋼材10の垂直片10aの厚さとほぼ同じとされているので、垂直片10aを下地鋼材当接部2と下地鋼材係止部7とでしっかりと挟み込んで、取付け後もずれたりすることなく、目地受用金具1A(1)を下地鋼材10に係止することができる。
【0039】
そして目地受用金具1A(1)が下地鋼材10に取付けられたとき、下地鋼材10の垂直片10aと目地受用金具1A(1)のパネル当接部5,6との距離は、段差部3,4の高さである設定寸法tと等しくなり、壁パネル11の室内側の面をパネル当接部5,6に当接させて取付けることで、壁パネル11と下地鋼材10との間隙を予め設定された寸法tに保持することが可能である。
【0040】
また、目地受用金具1A(1)は、下地鋼材10に取付けるに際し、上パネル当接部5から延びて形成された下地鋼材係止部7によって垂直片10aを嵌合して取付けるので、下地鋼材10の垂直片10aの室内側に大きな隙間を確保する必要がなく、梁に柱が配置されているような場合であっても、下地鋼材10に特別な加工を施すことなく容易に取付けることができる。
【0041】
目地受用金具1A(1)は、上パネル当接部5と下パネル当接部6が、間に所定のギャップGをもって配されており、上下に配された一対の壁パネル11の目地12の部分に配され、上パネル当接部5が、上側の壁パネル11(上パネル11A)に当接し、下パネル当接部6が、下側の壁パネル11(下パネル11B)に当接するように取付けられる。
上パネル当接部5で上パネル11Aを支持し、下パネル当接部6が下パネル11Bを支持することで、上パネル11Aと下パネル11Bの突合せ部分における面外方向の目違いを吸収することができ、壁パネル11を均一に支持することができる。
【0042】
このとき、目地受用金具1A(1)の巾中央に貫通穴8が設けられているので、目地受用金具1A(1)を下地鋼材10および壁パネル11に取付ける際に、この貫通穴8を観察穴として、下地鋼材10の垂直片10aの水平墨や割付墨、また上パネル11Aと下パネル11Bとの突合せ部分である目地12を確認し位置合わせしながら、目地受用金具1A(1)を壁パネル11に対して位置決めすることができる。
これにより、より正確な取付けを行うことができるとともに、作業をより行いやすくすることができる。貫通穴8は、スリットでもよい。また貫通穴、および/またはスリットは複数あってもよい。
【0043】
目地受用金具1A(1)に上パネル当接部5と下パネル当接部6の間に配された所定のギャップGが、目地12の部分と対向して取り付けられる。なお、目地受用金具1A(1)が壁パネル11の短辺小口縁11bに当接しないように、短辺小口縁11bから少し離した位置、例えば3mm程度以上離した位置に当接されると好ましい。目地12の短辺小口縁11bに当接しないように目地受用金具1A(1)を配することで、地震などで躯体が変形した場合でもパネルに微細な割れや欠けが発生しにくくなる。
また、下パネル当接部6は壁パネル11の短辺小口縁11bから離して配されることが好ましい。パネル製造誤差により下パネル11Bのパネル長さが若干短かい場合でも、下パネル当接部6と下パネル11Bとの当接面積を確保して正圧に対する支持力を保持しやすくなる。
なお、上下のパネル当接部5,6を、ともに短辺小口縁11bから離して配されることが好ましいのは言うまでもない。
【0044】
ここで、壁パネル11の短辺の角部の形状は特に限定されるものではなく、尖ったピン角の場合や、施工上の都合により3mm~10mm程度の面取り部分11aが設けられる場合があるが、その面取りの有無や形状および寸法は問わない。
【0045】
本実施形態の目地受用金具1A(1)は、上パネル11Aと下パネル11Bとの目地だけではなく、上下左右に4枚の壁パネルが突き合わされた目地部分に配されてもよい。
【0046】
本発明の目地受用金具1A(1)によって支持される壁パネル11は、ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)パネルであることが好ましい。
ALCパネルは母材強度が比較的に低く、扱いによっては外周部で割れ欠けが発生しやすい材料ではあるが、本実施形態の目地受用金具1A(1)で弾性的に支持することで躯体や下地鋼材10の施工精度の影響や地震などで躯体が変形した場合でもパネルに微細な割れや欠けが発生しにくくできる。
【0047】
以上説明したように本発明に係る壁パネルの取付構造体では、下地鋼材係止部7を下地鋼材10の垂直片10aに係止することで目地受用金具1A(1)を下地鋼材10に取付けると共に、パネル当接部5,6をそれぞれ壁パネル11に当接させることで、パネル当接部5,6と下地鋼材10との間隔を予め設定された間隙と等しい寸法に保持することができる。このため、壁パネル11をパネル当接部5,6に接触させて取付けたとき、該パネルと下地鋼材10の間隙を予め設定された値に保持することができ、壁パネル11が位置決めされる。
【0048】
そして特に、本発明に係る壁パネル11の取付構造体では、段差部3,4が、下地鋼材当接部2に対して垂直ではなく、斜めに形成されることにより、図6に示すように、パネル面外方向への外力が加わった際に、パネル当接部5,6が下地鋼材当接部2に対して弾性変形し、上パネル当接部5および下パネル当接部6が、それぞれ、下地鋼材当接部2に対して弾性を有し板バネ様の機能を有するものとなる。これにより壁パネル11を下地鋼材10に対して弾性的に支持することが可能となる。壁パネル11を弾性的に支持することにより、壁パネル11からの正圧方向の力に対し、間隙の寸法を小さくすることができ、パネルの面外方向への歪みを吸収して、壁パネル11を均一に支持できる。また、下地鋼材10の施工精度に依存しないため、パネルの面外方向の目違いを吸収できる。
【0049】
図7図24は、本発明の目地受用金具の他の構成例およびその取付け構造を示す図である。
図7図24に示す目地受用金具1B~1Q(1)は、基本的には上述した実施形態の目地受用金具1A(1)とほぼ同様の構造を有して構成されている。
以下では、目地受用金具1A(1)と異なる構成の部分について主に説明する。
【0050】
上述した実施形態では、下地鋼材当接部2およびパネル当接部5,6は、それぞれ、下地鋼材10および壁パネル11と面で当接するものであったが、本発明はこれに限定されず、下地鋼材当接部2および壁パネル当接部5,6は、点で当接するものであってもよい。
【0051】
図7に示す目地受用金具1B(1)、図8に示す目地受用金具1C(1)では、下地鋼材当接部2が、円錐状の突起2aを有し、突起2aで下地鋼材10と接している。下地鋼材当接部2を、円錐窪みの頂点部とすることで、製造上の板材の曲げ加工の負担を少なくすることができる。
【0052】
また、図9に示す目地受用金具1D(1)では、パネル当接部5,6が、円錐状の突起5a,6aを有している。上パネル当接部5が、左右方向に配された2つの突起5aを有し、下パネル当接部6が、左右方向に配された2つの突起6aを有している。上下左右に配された4枚の壁パネル11の目地部分に目地受用金具1C(1)が配される場合に、4枚の壁パネル11に対し4つの突起5a,6aのそれぞれで当接することにより、より安定してパネルを支持することができる。
【0053】
また、図10に示す目地受用金具1E(1)では、パネル当接部において、上パネル当接部5を、左右で2つに分割して設け、下パネル当接部6を、左右で2つに分割して設けている(下パネル当接部6A,6B)。即ち、目地受用金具1E(1)の左右方向の上部中央に、下地鋼材係止部7が形成されており、該下地鋼材係止部7の両側に、上パネル当接部5A,5Bが形成されている。
上下左右に配された4枚の壁パネル11の目地部分に目地受用金具1E(1)が配される場合に、4枚の壁パネル11に対し4つのパネル当接部5A,5B,6A,6Bのそれぞれで当接することにより、より安定してパネルを支持することができる。
【0054】
また、図11に示す目地受用金具1F(1)では、下パネル当接部6の下端部が、該下パネル当接部6に対して略垂直に折り曲げられて折曲片9とされ、折曲片9の端部が、下地鋼材10に当接している。
この場合、下パネル当接部6は、折曲片9があるため下地鋼材当接部2に対して弾性変形しないが、上パネル当接部5が、下地鋼材当接部2に対して弾性変形することにより、本発明の効果を得ることができる。
折曲片9が、壁パネル11と下地鋼材10との間に略垂直に当接していることで、壁パネル11と下地鋼材10との間隔の寸法を一定に保つことができる。
【0055】
また、図12に示す目地受用金具1G(1)では、上パネル当接部5の一部が折り曲げられることにより、該上パネル当接部5の左右方向に2つの下地鋼材係止部7A,7Bが設けられている。
この目地受用金具1F(1)を、そのまま下地鋼材10の垂直片10aに嵌合させて係止させて用いてもよいが、1つの目地受用金具1F(1)を中央で分割して用いることもできる。左右に配された壁パネル11の目地部分に、分割した2つの金具をそれぞれ配して用いられることができる。
【0056】
また、図13に示す目地受用金具1H(1)では、左右で2つに分割して設けられた上パネル当接部5(上パネル当接部5A,5B)および下パネル当接部6(下パネル当接部6A,6B)が、下地鋼材当接部2に対して横方向に延びて設けられている。そして、下地鋼材当接部2は、上パネル当接部5Aと下パネル当接部6Aとの間、および上パネル当接部5Aと下パネル当接部6Bとの間に、横方向に延びて設けられている。
上下左右に配された4枚の壁パネル11の目地部分に目地受用金具1H(1)が配される場合に、4枚の壁パネル11に対し4つのパネル当接部5A,5B,6A,6Bのそれぞれで当接することにより、より安定してパネルを支持することができる。
【0057】
また、図14に示す目地受用金具1I(1)では、上パネル当接部5と下パネル当接部6との間で、下地鋼材10側に凸となるように、板材が横方向で断面「く」の字形状に折り曲げられ、下地鋼材当接部2が、その折り曲げ線部分で、下地鋼材10に当接している。
【0058】
また、図15に示す目地受用金具1J(1)では、上パネル当接部5と下パネル当接部6との間で、下地鋼材10側に凸となるように、板材が横方向で断面円弧状に折り曲げられ、下地鋼材当接部2が、その円弧の頂点部分で、下地鋼材10に当接している。
【0059】
また、図16に示す目地受用金具1K(1)では、板材の下端部において下地鋼材10側に凸となるように、板材が断面「く」の字形状に折り曲げられ、下地鋼材当接部2が、その折り曲げ線部分で、下地鋼材10に当接している。また、上パネル当接部5と下パネル当接部6とが、連続して一体的に形成されている。
【0060】
また、図17に示す目地受用金具1L(1)では、上パネル当接部5と下パネル当接部6とが、連続して一体的に形成されている。そして、上パネル当接部5および下パネル当接部6の中央部分の板材が舌片状にくりぬかれて舌片22とされ、その一端側(上端側)は上パネル当接部5に接続した状態で、下地鋼材10側に斜めに折り曲げられ、他端側が下地鋼材当接部2とされている。この実施形態では、舌片22が下地鋼材当接部2に対して斜めに形成されており、段差部3に相当する。
なお、図17では、舌片22が上端側で上パネル当接部5に接続している場合を例にあげたが、舌片22が下端側で下パネル当接部6に接続しているものであってもよい。また、舌片22は左右方向に2つ配されていてもよい。その場合、2つの舌片22の向き(くりぬき方向、折り曲げ方向)は同じでも異なっていてもよい。舌片22は上下方向にくりぬかれたものではなく、左右方向にくりぬかれたものであってもよい。また、舌片22が円弧状に曲げられたものであってもよい。
【0061】
また、図18に示す目地受用金具1M(1)では、上パネル当接部5と下パネル当接部6とが、連続して一体的に形成されている。そして、上パネル当接部5および下パネル当接部6の中央部分の板材に上下方向に2本の切込みが入れられ、両端が上パネル当接部5および下パネル当接部6に接続した状態で、下地鋼材側に凸に円弧状に曲げられ、該円弧の頂点部分が下地鋼材当接部2とされている。
なお、図18では、切込みが上下方向に入れられている場合を例にあげたが、切込みが左右方向に入れられているものであってもよい。また、板材が円弧状ではなく「く」の字形状に折り曲げられたものであってもよい。
【0062】
また、図19に示す目地受用金具1N(1)では、上パネル当接部5と下パネル当接部6との間の板材が、下地鋼材10側に凸となるように折り曲げられ、さらに左右の両端部が舌片状に下地鋼材10側に凸となるように折り曲げられ、その端部が下地鋼材当接部2とされている。
なお、図19では、板材が角度を有して折り曲げられている場合を例にあげたが、円弧状に曲げられたものであってもよい。
【0063】
また、図20に示す目地受用金具1O(1)では、上パネル当接部5と下パネル当接部6とが、連続して一体的に形成されている。そして、上パネル当接部5と下パネル当接部6の部分の板材が、左右方向の2か所において、一端側(下端側)が下パネル当接部6に接続した状態で舌片状にくりぬかれて舌片23とされている。そして、該舌片23が、下地鋼材10側に凸となるように、板材が断面「く」の字形状に折り曲げられ、その折り曲げ線部分が、下地鋼材当接部2とされている。この実施形態では、舌片23が下地鋼材当接部2に対して斜めに形成されており、段差部4に相当する。
【0064】
また、図21に示す目地受用金具1P(1)は、下地鋼材10に当接する下地鋼材当接部2と、下地鋼材へ係止する下地鋼材係止部7とを有し、下地鋼材当接部2に対して、所定のギャップGをもって上下に配された別体の板状部材20,21により、壁パネル11に当接する上パネル当接部5および下パネル当接部6が間隙を形成する。板状部材20,21の材質は特に限定されるものではなく、所定の方法により下地鋼材当接部2に固定されている。
この目地受用金具1P(1)では、別体の板状部材20,21によって形成されたパネル当接部5,6が、壁パネル11の短辺小口縁11bに当接しないように所定のギャップGをもっている。
【0065】
図22は、目地受用金具1Q(1)の構成例を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。図23(A)は、目地受用金具1Q(1)を用いた、壁パネルの取付構造体を室内側から見た斜視図であり、図24(B)はその側面図である。
この目地受用金具1Q(1)は、下パネル当接部6において、下パネル当接部6のうち下方部が上方部より相対的に壁パネル11側にせり出している。また、上パネル当接部5のうち上方部が下方部より相対的に壁パネル11側にせり出していてもよい。
【0066】
下パネル当接部6において、下方部(図中ア)が、上方部(図中イ)より相対的に、壁パネル11側にせり出していることで、下パネル当接部6は、板バネ様の機能を有し、より高い弾性を有するものとなる。
これにより、目地受用金具1Q(1)は、壁パネル11を下地鋼材10に対してより弾性的に支持することが可能となる。より弾性的に支持することにより、パネルの面外方向への歪みをより効果的に吸収して、壁パネル11をより均一に支持できる。
【0067】
また、下パネル当接部6において、下方部(図中ア部)が、上方部(図中イ部)より相対的に、壁パネル11側にせり出していることで、下側の壁パネル11Bの短辺小口縁11bと下パネル当接部6が当接することをより確実に防止することができる。
【0068】
下パネル当接部6において、下パネル当接部6の下地鋼材10側から、下地鋼材10側に向けて舌片24が突設されている。
この舌片24は、目地受用金具1Q(1)が下地鋼材10に取り付けられたときに、舌片24の端部が、下地鋼材10に当接するとともに、壁パネル11に対し略垂直に配される。舌片24が、壁パネル11と下地鋼材10との間に略垂直に配されることで、壁パネル11と下地鋼材10との間隔の寸法を一定に保つことができる。
【0069】
なお、上パネル当接部5において、上方部が、下方部より相対的に、壁パネル11側にせり出していてもよい。これにより、下パネル当接部6の場合と同様に、上パネル当接部5がより高い弾性を有するものとなり、壁パネル11をより均一に支持できるとともに、上側の壁パネル11Aの短辺小口縁と上パネル当接部5が当接することをより確実に防止することができる。
【0070】
下地鋼材当接部2において、パネル側に凸となるように、縦方向の膨出部25が、段差部3と段差部4との間に円弧状に形成されている。これにより目地受用金具1Q(1)、特に下地鋼材当接部2の上下方向の剛性をより高めることができる。
【0071】
さらに、目地受用金具1Q(1)では、下地鋼材当接部2から上側の段差部3に繋がるリブ26が設けられていてもよい。これにより、図24に示すように上側の壁パネル11Aからの正圧を、上パネル当接部5が剛に強固に受けられるようになる。これにより上側壁パネルの取付金具(例えば自重受け金物14)および溶接部が負担する正圧を小さくすることができる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0073】
例えば、壁パネル11からの正圧方向の力に対し壁パネル11と下地鋼材10との所定の間隙を小さくすることができる目地受用金具1の場合、壁パネル11の短辺小口の角形状は、ピン角や面取りの形状および大きさについて限定されない。
また、所定のギャップGをもって配された別体の板状部材20,21が取り付けられた目地受用金具1P(1)の場合、板状部材20,21が弾性体であれば、壁パネル11の短辺小口縁11bの角形状は、ピン角や面取りの形状および大きさについて限定されない。
【0074】
また、板状部材20,21が非弾性体であれば、所定のギャップGが、上下の壁パネル11A,11Bの短辺小口縁11bの間隔よりも大きければ、壁パネル11の短辺小口縁11bの角形状は、ピン角や面取りの形状および大きさについて限定されない。
また、板状部材20,21が非弾性体で、かつ所定のギャップGが、上下の壁パネル11A,11Bの短辺小口縁11bの間隔よりも小さければ、パネル短辺小口の角形状は、短辺小口縁11bをパネル奥側へずらすように形成する。
【0075】
また、壁パネル11と下地鋼材10との間に所定の間隙を有する目地受用金具1の場合、所定のギャップGが、上下の壁パネル11A,11Bの短辺小口縁11bの間隔よりも大きければ、パネル短辺小口の角形状は、ピン角や面取りの形状および大きさについて限定されない。
また、所定のギャップGが、上下の壁パネル11A,11Bの短辺小口縁11bの間隔よりも小さければ、パネル短辺小口の角形状は、短辺小口縁11bをパネル奥側へずらすように形成する。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明による目地受用金具を用いることで、壁パネルと下地鋼材との間に所定の間隔を保つとともに、外壁パネルの位置決め機能を有し、さらにパネル当接部が壁パネルと弾性的に当接することで下地鋼材の精度に依存せず、均一にパネルを支持することができるものとなり、壁パネルの目地受用金具として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1A~1Q(1):目地受用金具
2:下地鋼材当接部
3:段差部
4:段差部
5:上パネル当接部
6:下パネル当接部
7:下地鋼材係止部
8:貫通穴
10:下地鋼材
10a:垂直片
10b:水平片
11:壁パネル
11A:上パネル
11B:下パネル
11a:面取り部分
11b:短辺小口縁
12:目地
13:梁
13a:上フランジ
14:自重受け金物 20,21:板状部材
22:舌片
23:舌片
24:舌片
25:膨出部
26:リブ
G:ギャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24