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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】袋体用フィルム及び包装用袋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20230412BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20230412BHJP
   B65D 81/26 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D33/00 C
B65D81/26 S
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019025904
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2019156491
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2018045911
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303001483
【氏名又は名称】スタープラスチック工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 誠人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】山中 知明
(72)【発明者】
【氏名】平原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 滋夫
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2001/062616(WO,A1)
【文献】特開2013-071733(JP,A)
【文献】特開2008-213923(JP,A)
【文献】特開2017-043386(JP,A)
【文献】特開2012-012103(JP,A)
【文献】特開2016-188106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 33/00
B65D 81/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視四角形であり、任意の一辺から所定の間隔をおいて離間した位置に、前記任意の一辺に沿って延びる開裂部を有し、
前記開裂部は、前記任意の一辺に沿って延びる1以上の第一の切れ目列からなる第一の切れ目帯と、
前記第一の切れ目帯と離間し、前記第一の切れ目帯に沿って延びる1以上の第二の切れ目列からなる第二の切れ目帯と、
前記第一の切れ目帯と前記第二の切れ目帯との間に位置し、前記第一の切れ目帯に沿って延びる1以上の誘導切れ目列からなる誘導切れ目帯と、
前記第一の切れ目帯と前記誘導切れ目帯との間に位置し、前記第一の切れ目帯に沿って延びる1以上の第一の緩和切れ目列からなる第一の緩和切れ目帯と、
前記第二の切れ目帯と前記誘導切れ目帯との間に位置し、前記第二の切れ目帯に沿って延びる1以上の第二の緩和切れ目列からなる第二の緩和切れ目帯とを有し、
前記第一の切れ目列は、前記第一の切れ目列の延在方向に延びる1以上の第一の切れ目線で形成され、
前記第二の切れ目列は、前記第二の切れ目列の延在方向に延びる1以上の第二の切れ目線で形成され、
前記誘導切れ目列は、前記誘導切れ目列の延在方向に対し、任意の角度で傾斜し、直線状に延在する2以上の誘導切れ目線で形成され、
前記第一の緩和切れ目列は、前記誘導切れ目線と同方向に傾斜し、直線状に延在する2以上の第一の緩和切れ目線で形成され、
前記第二の緩和切れ目列は、前記誘導切れ目線と同方向に傾斜し、直線状に延在する2以上の第二の緩和切れ目線で形成され、
前記第一の緩和切れ目列の延在方向と前記第一の緩和切れ目線とのなす劣角は、前記誘導切れ目列の延在方向と前記誘導切れ目線とのなす劣角よりも小さく、
前記第二の緩和切れ目列の延在方向と前記第二の緩和切れ目線とのなす劣角は、前記誘導切れ目列の延在方向と前記誘導切れ目線とのなす劣角よりも小さい、袋体用フィルム。
【請求項2】
前記第一の切れ目帯は、2以上の前記第一の切れ目列を有する、請求項1に記載の袋体用フィルム。
【請求項3】
前記第二の切れ目帯は、2以上の前記第二の切れ目列を有する、請求項1又は2に記載の袋体用フィルム。
【請求項4】
前記第一の緩和切れ目列の延在方向と前記第一の緩和切れ目線とのなす劣角の大きさと、前記第二の緩和切れ目列の延在方向と前記第二の緩和切れ目線とのなす劣角の大きさとが等しい、請求項1~3のいずれか一項に記載の袋体用フィルム。
【請求項5】
第一の面部と、前記第一の面部に対向する第二の面部とを有し、
前記第一の面部は、請求項1~4のいずれか一項に記載の袋体用フィルムで形成され、
前記第二の面部は、請求項1~4のいずれか一項に記載の袋体用フィルムで形成され、
前記第一の面部の前記開裂部と、前記第二の面部の前記開裂部とが重なっており、
前記第二の面部の前記誘導切れ目線は、前記第一の面部の前記誘導切れ目線と反対方向に傾斜している、包装用袋体。
【請求項6】
前記第一の面部の前記第一の切れ目列の延在方向と直交する折り曲げ縁を有する三方シール袋である、請求項5に記載の包装用袋体。
【請求項7】
2つの開裂部を有し、前記2つの開裂部は、隣接する2辺に沿って形成されている、請求項5又は6に記載の包装用袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体用フィルム及び包装用袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムを2枚重ねて、端部をシールして密封した包装用袋体が知られている。包装用袋体は、食品や薬剤を収容するために用いられている。包装用袋体には、開封を容易にするための複数の切れ目線からなる切れ目列が形成される場合がある。包装用袋体の表面と裏面とで、切れ目列を同じ高さの位置に形成すると、開封後の包装用袋体の開口端が表面と裏面とで一致し、包装用袋体の表面と裏面とが密着して閉じた場合に、包装用袋体に収容された被包装物を取り出しにくくなるという問題がある。
【0003】
こうした問題に対し、特許文献1には、開封方向に対して傾斜を有する切れ目線が、包装用袋体の表面と裏面とで一方が上方、他方が下方に傾斜するように形成された包装用袋体が提案されている。特許文献1の包装用袋体によれば、表面と裏面とで、開封時にできる開封線の位置を異なる高さに誘導できる。この結果、開封後にできる開封口に、指でつまむことのできるつまみ部分を形成し、このつまみ部分を利用して開封口を容易に開口できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4648605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装用袋体は、開封線の誘導方向と逆方向に傾斜した第一及び第二の切れ目線を形成しているため、開封方向と逆向きの応力が働き、開口端がぎざぎざになり、滑らかに開封できず、開封する者に不快感を与えることがあった。
また、第一及び第二の切れ目線が、仮に傾斜せず、互いに平行である直線状となっていると想定すると、第三の切れ目線のミシン目が一定方向に傾斜しているため、開封する際、第一又は第二の切れ目線を構成するミシン目間を開封線がそのまま直進してしまい、第一又は第二の切れ目線に沿って開封できないという事態も考えられ得る。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、より容易に開封でき、開口端面を綺麗にできる袋体用フィルム及び包装用袋体を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の袋体用フィルム及び包装用袋体は、以下の構成を有する。
[1]平面視四角形であり、任意の一辺から所定の間隔をおいて離間した位置に、前記任意の一辺に沿って延びる開裂部を有し、前記開裂部は、前記任意の一辺に沿って延びる1以上の第一の切れ目列からなる第一の切れ目帯と、前記第一の切れ目帯と離間し、前記第一の切れ目帯に沿って延びる1以上の第二の切れ目列からなる第二の切れ目帯と、前記第一の切れ目帯と前記第二の切れ目帯との間に位置し、前記第一の切れ目帯に沿って延びる1以上の誘導切れ目列からなる誘導切れ目帯と、前記第一の切れ目帯と前記誘導切れ目帯との間に位置し、前記第一の切れ目帯に沿って延びる1以上の第一の緩和切れ目列からなる第一の緩和切れ目帯と、前記第二の切れ目帯と前記誘導切れ目帯との間に位置し、前記第二の切れ目帯に沿って延びる1以上の第二の緩和切れ目列からなる第二の緩和切れ目帯とを有し、前記第一の切れ目列は、前記第一の切れ目列の延在方向に延びる1以上の第一の切れ目線で形成され、前記第二の切れ目列は、前記第二の切れ目列の延在方向に延びる1以上の第二の切れ目線で形成され、前記誘導切れ目列は、前記誘導切れ目列の延在方向に対し、任意の角度で傾斜した2以上の誘導切れ目線で形成され、前記第一の緩和切れ目列は、前記誘導切れ目線と同方向に傾斜する2以上の第一の緩和切れ目線で形成され、前記第二の緩和切れ目列は、前記誘導切れ目線と同方向に傾斜する2以上の第二の緩和切れ目線で形成され、前記第一の緩和切れ目列の延在方向と前記第一の緩和切れ目線とのなす劣角は、前記誘導切れ目列の延在方向と前記誘導切れ目線とのなす劣角よりも小さく、前記第二の緩和切れ目列の延在方向と前記第二の緩和切れ目線とのなす劣角は、前記誘導切れ目列の延在方向と前記誘導切れ目線とのなす劣角よりも小さい、袋体用フィルム。
[2]前記第一の切れ目帯は、2以上の前記第一の切れ目列を有する、[1]に記載の袋体用フィルム。
[3]前記第二の切れ目帯は、2以上の前記第二の切れ目列を有する、[1]又は[2]に記載の袋体用フィルム。
[4]前記誘導切れ目帯は、2以上の前記誘導切れ目列を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の袋体用フィルム。
[5]前記第一の緩和切れ目帯は、2以上の前記第一の緩和切れ目列を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の袋体用フィルム。
[6]前記第二の緩和切れ目帯は、2以上の前記第二の緩和切れ目列を有する、[1]~[5]のいずれかに記載の袋体用フィルム。
[7]前記第一の緩和切れ目列の延在方向と前記第一の緩和切れ目線とのなす劣角の大きさと、前記第二の緩和切れ目列の延在方向と前記第二の緩和切れ目線とのなす劣角の大きさとが等しい、[1]~[6]のいずれかに記載の袋体用フィルム。
[8]第一の面部と、前記第一の面部に対向する第二の面部とを有し、前記第一の面部は、[1]~[7]のいずれかに記載の袋体用フィルムで形成され、前記第二の面部は、[1]~[7]のいずれかに記載の袋体用フィルムで形成され、前記第一の面部の前記開裂部と、前記第二の面部の前記開裂部とが重なっており、前記第二の面部の前記誘導切れ目線は、前記第一の面部の前記誘導切れ目線と反対方向に傾斜している、包装用袋体。
[9]前記第一の面部の前記第一の切れ目列の延在方向と直交する折り曲げ縁を有する三方シール袋である、[8]に記載の包装用袋体。
[10]2つの開裂部を有し、前記2つの開裂部は、隣接する2辺に沿って形成されている、[8]又は[9]に記載の包装用袋体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の袋体用フィルム及び包装用袋体によれば、第一の緩和切れ目列の延在方向と第一の緩和切れ目線とのなす劣角が、誘導切れ目列の延在方向と誘導切れ目線とのなす劣角よりも小さいので、開封線は、第一又は第二の切れ目帯へとその進行方向を変えつつ誘導される。加えて、本発明の袋体用フィルム及び包装用袋体によれば、第二の緩和切れ目列の延在方向と第二の緩和切れ目線とのなす劣角が、誘導切れ目列の延在方向と誘導切れ目線とのなす劣角よりも小さいので、開封線は、第一又は第二の切れ目帯へとその進行方向を変えつつ誘導される。その結果、第一又は第二の切れ目帯を確実に引き裂いていき、より容易に開封でき、開口端面を綺麗にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の袋体用フィルムの一実施形態を示す平面図である。
図2図1の袋体用フィルムの拡大平面図である。
図3】本発明の包装用袋体の一実施形態を示す平面図である。
図4図3の包装用袋体の拡大展開図である。
図5図3の包装用袋体の拡大断面図である。
図6】本発明の包装用袋体の他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、「切れ目線」とは、袋体用フィルムに直線状又はミシン目状の切れ目加工等を施して形成されたものである。これにより、はさみ等の刃物を用いなくても容易に袋体用フィルムを切り裂ける。なお、直線状の切れ目加工とは、袋体用フィルムに僅かの厚みを残して直線状の溝が連続的に形成されるものである。ミシン目状の切れ目加工とは、袋体用フィルムにスリット又は溝が所定の間隔をおいて連続的に形成されるものである。「切れ目列」とは、切れ目線が切れ目線の中点を結ぶ仮想線の延びる方向に延在する、切れ目線の集合体をいう。「切れ目帯」は、切れ目列の集合体をいう。
また、本明細書において、「開封線」とは、袋体用フィルムを引き裂く際にできる切り口の縁のことをいう。
【0011】
[袋体用フィルム]
本発明の袋体用フィルムは、平面視四角形であり、任意の一辺から所定の間隔をおいて離間した位置に、前記任意の一辺に沿って延びる開裂部を有する。
以下、本発明の袋体用フィルムについて、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、袋体用フィルム1(以下、フィルム1ともいう。)は、平面視四角形であり、一辺Aから所定の間隔Hをおいて離間した位置に、一辺Aに沿って延びる開裂部Bを有する。なお、フィルム1の各辺は、部分的に曲線で形成されていてもよい。
開裂部Bは、第一の切れ目帯10と、第二の切れ目帯20と、誘導切れ目帯30と、第一の緩和切れ目帯40と、第二の緩和切れ目帯50とを有する。開裂部Bは、フィルム1の一辺Aに直交する2辺と、第一の切れ目帯10と、第二の切れ目帯20とで囲まれた、平面視四角形の領域である。一辺Aと、第一の切れ目帯10とは、平行である。第一の切れ目帯10と、第二の切れ目帯20と、誘導切れ目帯30と、第一の緩和切れ目帯40と、第二の緩和切れ目帯50とは、それぞれ互いに平行である。なお、本明細書において、「平行」とは、2つの直線のなす劣角が0~5°である場合をいうものとする。
図1では、第一の切れ目帯10と、第二の切れ目帯20と、誘導切れ目帯30と、第一の緩和切れ目帯40と、第二の緩和切れ目帯50とは、便宜上実線で表している。
【0013】
フィルム1の一辺Aは、+X方向に延びている。開裂部Bは、一辺Aから-Y方向に所定の間隔Hをおいて離間した位置に形成されている。間隔Hは、特に限定されず、例えば、5~50mmが好ましく、10~30mmがより好ましい。間隔Hが上記下限値以上であると、フィルム1を袋体とするためにヒートシールする場合のシール部が形成される領域を確保しやすい。間隔Hが上記上限値以下であると、開封により切り捨てられるフィルム1の部位を小さくしやすい。
開裂部BのY方向の長さHは、特に限定されず、例えば、5~50mmが好ましく、10~30mmがより好ましい。長さHが上記下限値以上であると、誘導切れ目帯30と、第一の緩和切れ目帯40と、第二の緩和切れ目帯50とを形成する領域を適度に確保しやすい。長さHが上記上限値以下であると、開裂部Bを小さくでき、開封により切り捨てられるフィルム1の部位を小さくしやすい。
【0014】
フィルム1のX方向の長さLは、特に限定されず、例えば、80mm以上が好ましく、100mm以上がより好ましい。長さLが上記下限値以上であると、フィルム1から包装用袋体を製造しやすい。長さLの上限値は特に限定されず、ロール状のフィルム1を含むものとする。フィルム1は、任意の長さで+Y方向に切断して、例えば、長さLを500mmとしてもよい。
フィルム1のY方向の長さHは、特に限定されず、例えば、80~500mmが好ましく、100~300mmがより好ましい。長さHが上記下限値以上であると、フィルム1に開裂部Bを形成しやすい。長さHが上記上限値以下であると、フィルム1を製造しやすい。
【0015】
図1のフィルム1を拡大した平面図を図2に示す。図2に示すように、第一の切れ目帯10は、2列の第一の切れ目列10aと10bとを有する。第一の切れ目列10bは、第一の切れ目列10aよりも一辺A寄りに位置している。第一の切れ目列10aと第一の切れ目列10bとは、それぞれ一辺Aに沿って延びている。第一の切れ目列10aは、1以上の幅W12aの第一の切れ目線12aで形成されている。第一の切れ目線12aは、X方向に間隔L12aで形成されている。第一の切れ目線12aは、仮想線P10aが伸びる方向に延在している。仮想線P10aは、2以上の第一の切れ目線12aの中点M12aを結ぶ直線である。仮想線P10aが+X方向となす角度D12aは0°である。すなわち、仮想線P10aは、一辺Aと平行である。
幅W12aは、特に限定されず、例えば、0.3~3.0mmが好ましく、0.8~1.5mmがより好ましい。幅W12aが上記下限値以上であると、フィルム1を開裂する際の力をより小さくしやすい。幅W12aが上記上限値以下であると、フィルム1の強度を維持しやすい。幅W12aは、デジタルノギス等により測定できる。
間隔L12aは、特に限定されず、例えば、0.1~2.0mmが好ましく、0.3~1.0mmがより好ましい。間隔L12aが上記下限値以上であると、フィルム1の強度を維持しやすい。間隔L12aが上記上限値以下であると、フィルム1を開裂する際の力をより小さくしやすい。間隔L12aは、幅W12aと同様の方法で測定できる。
【0016】
第一の切れ目列10bは、1以上の幅W12bの第一の切れ目線12bで形成されている。第一の切れ目線12bは、X方向に間隔L12bで形成されている。第一の切れ目線12bは、仮想線P10bが伸びる方向に延在している。仮想線P10bは、2以上の第一の切れ目線12bの中点M12bを結ぶ直線である。仮想線P10bが+X方向となす角度D12bは0°である。すなわち、仮想線P10bは、一辺Aと平行である。
幅W12bは、幅W12aと同様であり、幅W12bは、幅W12aと同じでもよく、異なっていてもよい。
間隔L12bは、間隔L12aと同様であり、間隔L12bは、間隔L12aと同じでもよく、異なっていてもよい。
【0017】
第二の切れ目帯20は、2列の第二の切れ目列20aと20bとを有する。第二の切れ目列20bは、第二の切れ目列20aよりも一辺Aから遠ざかる側に位置している。第二の切れ目列20aと第二の切れ目列20bとは、それぞれ一辺Aに沿って延びている。第二の切れ目列20aは、1以上の幅W22aの第二の切れ目線22aで形成されている。第二の切れ目線22aは、X方向に間隔L22aで形成されている。第二の切れ目線22aは、仮想線P20aが伸びる方向に延在している。仮想線P20aは、2以上の第二の切れ目線22aの中点M22aを結ぶ直線である。仮想線P20aが+X方向となす角度D22aは0°である。すなわち、仮想線P20aは、一辺Aと平行である。
幅W22aは、幅W12aと同様であり、幅W22aは、幅W12aと同じでもよく、異なっていてもよい。
間隔L22aは、間隔L12aと同様であり、間隔L22aは、間隔L12aと同じでもよく、異なっていてもよい。
【0018】
第二の切れ目列20bは、1以上の幅W22bの第二の切れ目線22bで形成されている。第二の切れ目線22bは、X方向に間隔L22bで形成されている。第二の切れ目線22bは、仮想線P20bが伸びる方向に延在している。仮想線P20bは、2以上の第二の切れ目線22bの中点M22bを結ぶ直線である。仮想線P20bが+X方向となす角度D22bは0°である。すなわち、仮想線P20bは、一辺Aと平行である。幅W22bは、幅W22aと同様であり、幅W22bは、幅W22aと同じでもよく、異なっていてもよい。間隔L22bは、間隔L22aと同様であり、間隔L22bは、間隔L22aと同じでもよく、異なっていてもよい。
【0019】
第一の切れ目帯10と、第二の切れ目帯20との間には、誘導切れ目帯30が位置している。誘導切れ目帯30は、2列の誘導切れ目列30aと30bとを有する。誘導切れ目列30bは、誘導切れ目列30aよりも一辺Aから遠ざかる側に位置している。誘導切れ目列30aと誘導切れ目列30bとは、それぞれ一辺Aに沿って延びている。誘導切れ目列30aは、2以上の幅W32aの誘導切れ目線32aで形成されている。誘導切れ目線32aは、X方向に間隔L32aで形成されている。誘導切れ目線32aは、仮想線P30aが伸びる方向に延在している。仮想線P30aは、2以上の誘導切れ目線32aの中点M32aを結ぶ直線である。誘導切れ目線32aは、仮想線P30aに対し、任意の角度D32aで傾斜している。
角度D32aは、例えば、30~60°が好ましく、30~45°がより好ましい。角度D32aが上記下限値以上であると、フィルム1を開裂する際にできる開封線を第一の切れ目帯10又は第二の切れ目帯20へと確実に誘導しやすい。なお、フィルム1を+X方向に開裂する場合、開封線は、-Y方向に逸らされ、第二の切れ目帯20へと誘導される。フィルム1を-X方向に開裂する場合、開封線は、+Y方向に逸らされ、第一の切れ目帯10へと誘導される。角度D32aが上記上限値以下であると、フィルム1を開裂する際にできる開封線を第一の緩和切れ目帯40又は第二の緩和切れ目帯50へと滑らかに誘導しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。角度D32aは、デジタル角度計等により測定できる。
幅W32aは、幅W12aと同様であり、幅W32aは、幅W12aと同じでもよく、異なっていてもよい。
間隔L32aは、特に限定されず、例えば、0.2~2.0mmが好ましく、0.5~1.5mmがより好ましい。間隔L32aが上記下限値以上であると、フィルム1の強度を維持しやすい。間隔L32aが上記上限値以下であると、フィルム1を開裂する際の力をより小さくしやすい。間隔L32aは、幅W12aと同様の方法で測定できる。
【0020】
誘導切れ目列30bは、2以上の幅W32bの誘導切れ目線32bで形成されている。誘導切れ目線32bは、X方向に間隔L32bで形成されている。誘導切れ目線32bは、仮想線P30bが伸びる方向に延在している。仮想線P30bは、2以上の誘導切れ目線32bの中点M32bを結ぶ直線である。誘導切れ目線32bは、仮想線P30bに対し、任意の角度D32bで傾斜している。角度D32bは、角度D32aと同様であり、角度D32bは、角度D32aと同じでもよく、異なっていてもよい。
幅W32bは、幅W32aと同様であり、幅W32bは、幅W32aと同じでもよく、異なっていてもよい。
間隔L32bは、間隔L32aと同様であり、間隔L32bは、間隔L32aと同じでもよく、異なっていてもよい。
【0021】
第一の切れ目帯10と、誘導切れ目帯30との間には、第一の緩和切れ目帯40が位置している。第一の緩和切れ目帯40は、第一の切れ目帯10に沿って延びる第一の緩和切れ目列40aからなる。第一の緩和切れ目列40aは、2以上の幅W42の第一の緩和切れ目線42で形成されている。第一の緩和切れ目線42は、X方向に間隔L42で形成されている。第一の緩和切れ目線42は、仮想線P40aが伸びる方向に延在している。仮想線P40aは、2以上の第一の緩和切れ目線42の中点M42を結ぶ直線である。第一の緩和切れ目線42は、仮想線P40aに対し、誘導切れ目線32aと同方向に角度D42で傾斜している。
角度D42は、誘導切れ目線32aの傾斜角D32aよりも小さく、かつ、誘導切れ目線32bの傾斜角D32bよりも小さい。角度D42は、例えば、10~30°が好ましく、15~25°がより好ましい。角度D42が上記下限値以上であると、フィルム1を開裂する際にできる開封線を第一の切れ目帯10へと確実に誘導しやすい。なお、この場合、フィルム1を開裂する方向は、-X方向である。角度D42が上記上限値以下であると、開封線が第一の切れ目帯10よりもY方向に逸れることを抑制しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。角度D42は、角度D32aと同様の方法で測定できる。
幅W42は、幅W12aと同様であり、幅W42は、幅W12aと同じでもよく、異なっていてもよい。
間隔L42は、特に限定されず、例えば、0.2~2.0mmが好ましく、0.5~1.0mmがより好ましい。間隔L42が上記下限値以上であると、フィルム1の強度を維持しやすい。間隔L42が上記上限値以下であると、フィルム1を開裂する際の力をより小さくしやすい。間隔L42は、幅W12aと同様の方法で測定できる。
【0022】
第二の切れ目帯20と、誘導切れ目帯30との間には、第二の緩和切れ目帯50が位置している。第二の緩和切れ目帯50は、第二の切れ目帯20に沿って延びる第二の緩和切れ目列50aからなる。第二の緩和切れ目列50aは、2以上の幅W52の第二の緩和切れ目線52で形成されている。第二の緩和切れ目線52は、図のX方向に間隔L52で形成されている。第二の緩和切れ目線52は、仮想線P50aが伸びる方向に延在している。仮想線P50aは、2以上の第二の緩和切れ目線52の中点M52を結ぶ直線である。第二の緩和切れ目線52は、仮想線P50aに対し、誘導切れ目線32bと同方向に角度D52で傾斜している。
角度D52は、誘導切れ目線32aの傾斜角D30aよりも小さく、かつ、誘導切れ目線32bの傾斜角D32bよりも小さい。角度D52は、例えば、10~30°が好ましく、15~25°がより好ましい。角度D52が上記下限値以上であると、フィルム1を開裂する際にできる開封線を第二の切れ目帯20へと確実に誘導しやすい。なお、この場合、フィルム1を開裂する方向は、+X方向である。角度D52が上記上限値以下であると、開封線が第二の切れ目帯20よりも-Y方向に逸れることを抑制しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。角度D52は、角度D42と同じであってもよく、異なっていてもよい。ただし、フィルム1に加えられる応力を均等にし、開口端面を綺麗にしやすい観点から、角度D52は、角度D42と同じであることが好ましい。角度D52は、角度D42と同様の方法で測定できる。
幅W52は、幅W42と同様であり、幅W52は、幅W42と同じでもよく、異なっていてもよい。
間隔L52は、間隔L42と同様であり、間隔L52は、間隔L42と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0023】
開裂部BのY方向の長さHは、第一の切れ目列10bと第二の切れ目列20bとの距離に等しい。
第一の切れ目列10aと第一の切れ目列10bとの間隔H12は、特に限定されず、例えば、0.1~1.0mmが好ましく、0.2~0.8mmがより好ましい。間隔H12が上記下限値以上であると、開封線が第一の切れ目列10bよりも+Y方向に逸れることを抑制しやすい。間隔H12が上記上限値以下であると、開裂部BのY方向の長さHを短くでき、開封により切り捨てられるフィルム1の部位を小さくしやすい。間隔H12は、幅W12aと同様の方法で測定できる。
第一の切れ目線12bは、第一の切れ目線12aの間隔L12aが形成された位置に対応する位置に形成されることが好ましい。このように第一の切れ目線12bを形成することで、第一の切れ目列10aから+Y方向に逸れた開封線を第一の切れ目線12bでトラップしやすくなり、開封線が第一の切れ目列10bよりも+Y方向に逸れることを抑制しやすい。このように、フィルム1の第一の切れ目帯10は、2以上の第一の切れ目列を有することが好ましい。
【0024】
第二の切れ目列20aと第二の切れ目列20bとの間隔H22は、間隔H12と同様で、0.1~1.0mmが好ましく、0.2~0.8mmがより好ましい。間隔H22が上記下限値以上であると、開封線が第二の切れ目列20bよりも-Y方向に逸れることを抑制しやすい。間隔H22が上記上限値以下であると、開裂部BのY方向の長さHを短くでき、開封により切り捨てられるフィルム1の部位を小さくしやすい。間隔H22は、間隔H12と同様の方法で測定できる。
第二の切れ目線22bは、第二の切れ目線22aの間隔L22aが形成された位置に対応する位置に形成されることが好ましい。このように第二の切れ目線22bを形成することで、第二の切れ目列20aから-Y方向に逸れた開封線を第二の切れ目線22bでトラップしやすくなり、開封線が第二の切れ目列20bよりも-Y方向に逸れることを抑制しやすい。このように、フィルム1の第二の切れ目帯20は、2以上の第二の切れ目列を有することが好ましい。
【0025】
第一の緩和切れ目帯40と第一の切れ目列10aとの間隔H42は、特に限定されず、例えば、0.2~2.0mmが好ましく、0.5~1.0mmがより好ましい。間隔H42が上記下限値以上であると、フィルム1の強度を維持しやすい。間隔H42が上記上限値以下であると、開封線をより確実に第一の切れ目列10aに誘導しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。ここで、間隔H42は、第一の緩和切れ目線42の一つの+Y方向寄りの一端と、第一の切れ目列10aとの距離である。間隔H42は、間隔H12と同様の方法で測定できる。
第二の緩和切れ目帯50と第二の切れ目列20aとの間隔H52は、間隔H42と同様であり、0.2~2.0mmが好ましく、0.5~1.0mmがより好ましい。間隔H52が上記下限値以上であると、フィルム1の強度を維持しやすい。間隔H52が上記上限値以下であると、開封線をより確実に第二の切れ目列20aに誘導しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。ここで、間隔H52は、第二の緩和切れ目線52の一つの-Y方向寄りの一端と、第二の切れ目列20aとの距離である。間隔H52は、間隔H42と同様の方法で測定できる。
【0026】
誘導切れ目列30aと第一の緩和切れ目帯40との間隔H43は、特に限定されず、例えば、0~1.5mmが好ましく、0~1.0mmがより好ましい。間隔H43が上記下限値以上であると、誘導切れ目線32aと第一の緩和切れ目線42とをより確実に形成しやすい。間隔H43が上記上限値以下であると、開封線をより確実に第一の緩和切れ目帯40に誘導しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。ここで、間隔H43は、誘導切れ目線32aの一つの+Y方向寄りの一端と、第一の緩和切れ目線42の一つの-Y方向寄りの一端とのY方向の距離である。間隔H43が0とは、誘導切れ目線32aの一つの+Y方向寄りの一端と、第一の緩和切れ目線42の一つの-Y方向寄りの一端との図のY方向の位置(Y座標)が同じであることを意味する。間隔H43は、間隔H42と同様の方法で測定できる。
【0027】
誘導切れ目列30bと第二の緩和切れ目帯50との間隔H53は、間隔H43と同様であり、0~1.5mmが好ましく、0~1.0mmがより好ましい。間隔H53が上記下限値以上であると、誘導切れ目線32bと第二の緩和切れ目線52とをより確実に形成しやすい。間隔H53が上記上限値以下であると、開封線をより確実に第二の緩和切れ目帯50に誘導しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。ここで、間隔H53は、誘導切れ目線32bの一つの-Y方向寄りの一端と、第二の緩和切れ目線52の一つの+Y方向寄りの一端とのY方向の距離である。間隔H53が0とは、誘導切れ目線32bの一つの-Y方向寄りの一端と、第二の緩和切れ目線52の一つの+Y方向寄りの一端との図のY方向の位置(Y座標)が同じであることを意味する。間隔H53は、間隔H43と同様の方法で測定できる。
【0028】
誘導切れ目列30aと誘導切れ目列30bとの間隔H32は、特に限定されず、例えば、-0.5mm~1.0mmが好ましく、0~0.5mmがより好ましい。間隔H32が上記下限値以上であると、誘導切れ目線32aと誘導切れ目線32bとをより確実に形成しやすい。間隔H32が上記上限値以下であると、開封線をより確実に誘導切れ目列30a又は誘導切れ目列30bに誘導しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。ここで、間隔H32は、誘導切れ目線32aの一つの-Y方向寄りの一端と、誘導切れ目線32bの一つの+Y方向寄りの一端との図のY方向の距離である。間隔H32がマイナスとは、誘導切れ目線32aの一つの-Y方向寄りの一端が、誘導切れ目線32bの一つの+Y方向寄りの一端よりも-Y方向寄りに位置していることを意味する。間隔H32が0とは、誘導切れ目線32aの一つの-Y方向寄りの一端と、誘導切れ目線32bの一つの+Y方向寄りの一端とのY方向の位置(Y座標)が同じであることを意味する。間隔H32は、間隔H43と同様の方法で測定できる。
【0029】
誘導切れ目帯30は、2以上の誘導切れ目列を有していてもよい。フィルム1の誘導切れ目帯30が、2以上の誘導切れ目列を有していると、開封線を第一の緩和切れ目帯40又は第二の緩和切れ目帯50により確実に誘導しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。このため、誘導切れ目帯30は、2以上の誘導切れ目列を有することが好ましい。
第一の緩和切れ目帯40は、2以上の第一の緩和切れ目列を有していてもよい。フィルム1の第一の緩和切れ目帯40が、2以上の第一の緩和切れ目列を有していると、開封線を第一の切れ目帯10により確実に誘導しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。このため、第一の緩和切れ目帯40は、2以上の第一の緩和切れ目列を有することが好ましい。
第二の緩和切れ目帯50は、2以上の第二の緩和切れ目列を有していてもよい。フィルム1の第二の緩和切れ目帯50が、2以上の第二の緩和切れ目列を有していると、開封線を第二の切れ目帯20により確実に誘導しやすく、開口端面を綺麗にしやすい。このため、第二の緩和切れ目帯50は、2以上の第二の緩和切れ目列を有することが好ましい。
【0030】
図5に示すようにフィルム1は、基材3とシーラント材7からなる積層体が好ましい。
基材3としては、樹脂製フィルム、金属箔、紙、及びこれらの積層体等が挙げられる。
樹脂製フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート等のポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)等のポリオレフィン、二軸延伸ナイロン(ONY)等のポリアミド(PA)等、及びこれらの積層体が挙げられる。中でも、PET、OPP、ナイロン(NY)が好ましい。
また、基材3としては、上記樹脂製フィルムに、アルミニウム等の金属又はシリカが蒸着された蒸着フィルムが用いられてよい。中でも、PET、OPP、ONYに、金属が蒸着された金属蒸着フィルムが好ましく、アルミニウム蒸着フィルムがより好ましい。
金属箔としては、アルミ箔が好ましい。
積層体としては、上記樹脂製フィルム同士の積層体、上記樹脂製フィルムと金属箔との積層体が挙げられる。
この基材3は、その表面や層間に印刷が施されていてもよい。
特に、基材3として、アルミニウム箔等の金属箔、アルミニウム等の金属が蒸着された金属蒸着フィルムを用いる場合には、酸素透過度及び水蒸気透過度をより低減できるため、フィルム1は、基材3を備えることが好ましい。
【0031】
基材3の厚さTは、材質や構成等を勘案して決定され、例えば、5~100μmが好ましく、10~50μmがより好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、フィルム1の強度が高められやすくなる。厚さTが上記上限値以下であると、フィルム1の取り扱いを容易にしやすい。
【0032】
シーラント材7は、ラミネート層4と、酸素吸収層5と、シール層6との3層からなることが好ましい。
シーラント材7の厚さTは、20μm超130μm未満が好ましく、25~125μmがより好ましく、30~100μmがさらに好ましく、35~80μmが特に好ましく、40~60μmが最も好ましい。厚さTが20μm超であると、フィルム1の強度が高められやすくなる。厚さTが130μm未満であると、フィルム1の取り扱いを容易にしやすい。
【0033】
ラミネート層4は、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとを含む層が好ましい。酸変性ポリオレフィンは極性を有している。ラミネート層4を酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとの混合物の層とすることで、ラミネート層4の配向性を高められ、袋体用フィルム1をより容易に開裂しやすい。さらに、ラミネート層4と後述の酸素吸収層5との接着性が高まる。加えて、シーラント材7をロールに巻き取りやすく、取り扱いが容易になる。
酸変性ポリオレフィンの含有量は、ラミネート層4の総質量に対して、20~70質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。酸変性ポリオレフィンの含有量が上記下限値以上であると、袋体用フィルム1をより容易に開裂しやすい。加えて、ラミネート層4と後述の酸素吸収層5との接着性が高まる。酸変性ポリオレフィンの含有量が上記上限値以下であると、密封性及び耐衝撃性が高まる。
酸変性ポリオレフィンの含有量が上記下限値未満であると、ラミネート層4と基材3との接着性、ラミネート層4と後述の酸素吸収層5との接着性が確保できないため、フィルム1の破断伝播が悪くなりフィルム1を開裂しにくくなる。
【0034】
ポリオレフィンとしては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状LDPE(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレンの共重合体、エチレン-ブテン-1共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィンは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
酸変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸又はその誘導体を重合させたものである。
酸変性ポリオレフィンの原料となるポリオレフィンとしては、特に限定されず、例えば上記ポリオレフィンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンの原料となる不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸又はこれらの無水物等が挙げられ、なかでも、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、マレイン酸又は無水マレイン酸がより好ましい。
酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエチレンが好ましい。
酸変性ポリプロピレンとしては、例えば、マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、イタコン酸変性ポリプロピレン、無水イタコン酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。
酸変性ポリエチレンとしては、例えば、マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、イタコン酸変性ポリエチレン、無水イタコン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィンは、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
ラミネート層4を構成する樹脂は、酸変性ポリプロピレンとポリプロピレンとの混合物、又は、酸変性ポリエチレンとポリエチレンとの混合物が好ましい。酸変性ポリプロピレンとしては、マレイン酸変性ポリプロピレン又は無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。酸変性ポリエチレンとしては、マレイン酸変性ポリエチレン又は無水マレイン酸変性ポリエチレンが好ましい。ラミネート層4を構成する樹脂は、マレイン酸変性ポリエチレン又は無水マレイン酸変性ポリエチレンとポリエチレンとの混合物がより好ましい。
ラミネート層4が上記混合物から形成されることで、密封性、耐衝撃性が高まりやすくなり、フィルム1をより容易に開裂しやすい。また、後述の酸素吸収層5との接着性が高まりやすくなる。
【0037】
ラミネート層4は、任意成分として、滑剤やアンチブロッキング剤を含有してもよい。ラミネート層4が滑剤やアンチブロッキング剤を含有することで、シーラント材7の耐ブロッキング性が高まる。フィルム1において、巻取やフィルム1の重ね置きで、フィルム1同士が密着し、滑りにくくなったり、剥がれにくくなったりすることをブロッキングという。本明細書において、耐ブロッキング性とは、ブロッキングを防ぐ性質をいう。
【0038】
滑剤としては、特に限定されず、例えば、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリエチレン等の脂肪族炭化水素系滑剤、ステアリン酸、ラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、硬化ひまし油脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、リシノール酸アマイド、オキシステアリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド等の脂肪酸アマイド系滑剤、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の炭素数12~30の脂肪酸金属塩である金属石鹸系滑剤、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ひまし油、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコールの脂肪酸(部分)エステル系滑剤、ステアリン酸ブチルエステル、モンタンワックス等の炭素数8~50の長鎖エステルワックス等の脂肪酸エステル系滑剤、又はこれらを複合した複合滑剤等が挙げられる。
これらのなかでも、脂肪酸アマイド系滑剤が好ましい。
アンチブロッキング剤としては、特に限定されず、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、チタニア、マイカ、タルク、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系樹脂等が挙げられる。
これらのなかでも、シリカ、PMMAが好ましい。
滑剤やアンチブロッキング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
ラミネート層4中の滑剤の含有量は、特に限定されず、滑剤の種類等に応じて適宜調整される。滑剤の含有量は、ラミネート層4の総質量に対して、200ppm(質量基準)以上6000ppm未満が好ましく、200~5000ppmがより好ましく、500~5000ppmがさらに好ましく、1000~5000ppmが特に好ましい。滑剤の含有量が上記下限値以上であると、シーラント材の耐ブロッキング性がより高められやすい。滑剤の含有量が上記上限値未満又は上記上限値以下であると、滑剤を配合したことによる効果が飽和し、フィルム1の密封性や耐衝撃性の低下を抑制しやすい。
【0040】
ラミネート層4中のアンチブロッキング剤の含有量は、特に限定されず、アンチブロッキング剤の種類等に応じて適宜調整される。アンチブロッキング剤の含有量は、ラミネート層の総質量に対して、200ppm(質量基準)以上10000ppm未満が好ましく、200~5000ppmがより好ましく、500~5000ppmがさらに好ましく、1000~5000ppmが特に好ましい。アンチブロッキング剤の含有量が上記下限値以上であると、シーラント材7の耐ブロッキング性がより高められやすい。アンチブロッキング剤の含有量が上記上限値未満又は上記上限値以下であると、アンチブロッキング剤を配合したことによる効果が飽和し、フィルム1の密封性や耐衝撃性の低下を抑制しやすい。
【0041】
ラミネート層4の厚さTは、10~50μmが好ましく、15~35μmがより好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、密封性、耐衝撃性が高まりやすくなる。厚さTが上記上限値以下であると、フィルム1をより容易に開裂しやすい。
厚さTは、耐衝撃性がより高まる点から、後述の酸素吸収層の厚さTよりも大きいことが好ましい。厚さTと厚さTとの差は5μm以上であることが好ましい。一方、フィルム1の柔軟性が高まり、取り扱いがより容易になる点からは、厚さTと厚さTとの差は20μm以下が好ましい。
【0042】
シール層6は、ラミネート層4と同様である。即ち、シール層6は、ラミネート層4と同様に、酸変性ポリオレフィンとポリオレフィンとを含むことが好ましく、かつ、酸変性ポリオレフィンをシール層6の総質量に対して、20~70質量%含むことが好ましい。シール層6における酸変性ポリオレフィン及びポリオレフィンとしては、それぞれラミネート層4と同様のものが用いられる。
シール層6とラミネート層4とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0043】
シール層6の厚さTは、ラミネート層4の厚さTと同様である。
シール層6の厚さTと、ラミネート層4の厚さTとは、同じでもよく、異なっていてもよい。シール層6の厚さTと、ラミネート層4の厚さTとが同じであると、シーラント材7に歪みや反りが生じるのを抑制しやすくできる。このため、シール層6の厚さTと、ラミネート層4の厚さTとは、同じであることが好ましい。なお、厚さTと厚さTとが同じとは、厚さの差(T-T)が厚さTに対して±5%以内であることをいう。
【0044】
酸素吸収層5は、ラミネート層4とシール層6との間に位置する。
酸素吸収層5は、エチレン-ビニルアルコール重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)又はキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の重合体(G)を含む層である。
シーラント材7は、酸素吸収層5を備えることで酸素吸収能を有する。
【0045】
EVOHとしては、エチレンの共重合比率が10~50mol%のものが好ましい。
PVOHとしては、平均重合度1200~1800のものが好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂は、キシリレンジアミンと直鎖脂肪族ジカルボン酸との重縮合体である。キシリレンジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物等が挙げられる。直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば炭素数6~12の直鎖脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、及びこれらの混合物等が挙げられる。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂としては、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合体が好ましい。
キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂としては、合成品が用いられてもよいし、市販品が用いられてもよい。市販品としては、例えば、三菱ガス化学株式会社製の商品名「MXナイロン」シリーズが挙げられる。
これら重合体(G)は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
酸素吸収層5の厚さTは、酸素吸収層5の材料等を勘案して適宜調整される。厚さTは、例えば、1~50μmが好ましく、2~30μmがより好ましく、5~15μmがさらに好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、酸素バリア性が高まりやすくなる。厚さTが上記上限値以下であると、フィルム1の柔軟性が高まり、取り扱いが容易になる。
【0047】
酸素吸収層5中の重合体(G)の含有量は、酸素吸収層5の総質量に対して、85~99.99質量%が好ましく、90~99.9質量%がより好ましく、92~99質量%がさらに好ましい。重合体(G)の含有量が上記下限値以上であると、充分な厚さTを有する酸素吸収層5が得られやすく、酸素バリア性が高まりやすくなる。重合体(G)の含有量が上記上限値以下であると、後述する酸素吸収材(H)を充分な量含有でき、酸素吸収層5の酸素吸収能が高まりやすい。
【0048】
酸素吸収層5は、遷移金属塩及び炭素-炭素二重結合を有する化合物から選ばれる少なくとも1種の酸素吸収材(H)を含む。フィルム1が、酸素吸収材(H)を含む酸素吸収層5を備えると、フィルム1を製袋して包装用袋体とした際に、包装用袋体の外部から内部に侵入する酸素を酸素吸収層5で捕捉できるため、酸素バリア性がより高まる。さらに、包装用袋体に内容物を収容等した際に、包装用袋体のヘッドスペース等に入り込んだ酸素を酸素吸収層5で吸収できる。このため、包装用袋体内の酸素量をより低減でき、内容物の変質をさらに抑制でき、内容物のシェルフライフのさらなる延長が図れる。
【0049】
酸素吸収材(H)としては、例えば、遷移金属塩、炭素-炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。遷移金属塩は、酸素吸収触媒としての機能も有する。
遷移金属塩としては、例えば、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩、コバルト塩、ロジウム塩、チタン塩、クロム塩、バナジウム塩及びルテニウム塩等が挙げられる。これらのなかでも、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩及びコバルト塩が好ましく、マンガン塩及びコバルト塩がより好ましく、コバルト塩がさらに好ましい。
遷移金属塩を構成するアニオンとしては、有機酸が好ましく、例えば、酢酸、ステアリン酸、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2-エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、樹脂酸、カプリン酸及びナフテン酸等が挙げられる。
遷移金属塩としては、ネオデカン酸コバルト、オレイン酸コバルトが好ましい。
【0050】
炭素-炭素二重結合を有する化合物としては、特に制限はないが、共役ジエン重合体及びこれを環化させた共役ジエン重合体環化物等が挙げられる。共役ジエン重合体及びこれを環化させた共役ジエン重合体環化物としては、例えば、ポリ(α-ピネン)、ポリ(β-ピネン)、ポリ(ジペンテン)等のポリテルペン類が挙げられる。
【0051】
共役ジエン重合体としては、共役ジエン単量体の単独重合体若しくは共重合体、又は共役ジエン単量体と他の単量体との共重合体が挙げられる。他の単量体としては、共役ジエン単量体と共重合可能な単量体が挙げられる。
共役ジエン単量体としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン等が挙げられる。これらの単量体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、1,3-ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、イソプレンがより好ましい。
共役ジエン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン等の芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1-ブテン等の鎖状オレフィン単量体;シクロペンテン、2-ノルボルネン等の環状オレフィン単量体;1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン等の非共役ジエン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの単量体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書における「(メタ)アクリル」の用語は、「メタクリル」と「アクリル」の何れか又は両方を意味する。
共役ジエン重合体としては、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、イソプレン-イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン-プロピレン-ジエン系共重合ゴム、ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム(BIR)等を挙げることができる。なかでも、ポリイソプレンゴム及びポリブタジエンゴムが好ましく、ポリイソプレンゴムがより好ましい。
【0052】
共役ジエン重合体環化物は、酸触媒の存在下に共役ジエン重合体を環化反応させて得られるものである。
環化反応に用いる酸触媒としては、例えば、硫酸;フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、炭素数2~18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、これらの無水物又はアルキルエステル等の有機スルホン酸化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、エチルアンモニウムジクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄等の金属ハロゲン化物;等が挙げられる。これらの酸触媒は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
共役ジエン重合体環化物のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、好ましくは0~100℃、より好ましくは30~70℃とされる。
これら酸素吸収材(H)は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
酸素吸収層5中の酸素吸収材(H)の含有量は、酸素吸収層5の総質量に対して、0.01~15質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、1~8質量%がさらに好ましい。酸素吸収材(H)の含有量が上記下限値以上であると、フィルム1を製袋して包装用袋体とした際に、ヘッドスペース等の包装用袋体内に存在する酸素を充分に吸収でき、内容物のシェルフライフをより延長しやすくなる。加えて、包装用袋体の酸素バリア性がより高まる。酸素吸収材(H)の含有量が上記上限値以下であると、酸素吸収層5の柔軟性が損なわれにくく、取り扱いが容易になる。
【0054】
酸素吸収層5とラミネート層4との間には、接着層(不図示)が形成されてもよい。接着層が形成されることで、酸素吸収層5とラミネート層4との一体性がより高まり、耐衝撃性がより高まりやすくなる。
接着層を構成する材料としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、酸変性ポリオレフィン系等の接着剤、チタネート系、ポリウレタン系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤が挙げられる。これらの材料は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着層が形成される場合、その厚さは、特に限定されず、例えば、0.01~4μmが好ましい。
【0055】
フィルム1は、従来公知の製造方法に準じて製造される。
フィルム1の製造方法は、基材3を形成する基材形成工程と、シーラント材7を形成するシーラント材形成工程と、基材3とシーラント材7とを積層する積層工程とを備える。
【0056】
フィルム1の製造方法としては、基材形成工程と、シーラント材形成工程と、積層工程とがそれぞれ独立して行われる方法(方法i)と、基材形成工程とシーラント材形成工程と積層工程とが一工程で行われる方法(方法ii)とが挙げられる。
【0057】
方法iは、基材形成工程と、シーラント材形成工程と、積層工程とがそれぞれ独立して行われる方法である。
方法iにおける基材形成工程は、基材3を得る工程である。基材3を得る工程は、基材3の材質や構成に応じて、従来公知の方法から選択される。
基材3を得る方法は、基材3の材質や構成等に応じて、インフレーション法、Tダイ法、共押出法等、従来公知の方法から選択される。
基材形成工程では、基材3を形成した後に、基材3に第一の切れ目帯10、第二の切れ目帯20、誘導切れ目帯30、第一の緩和切れ目帯40、第二の緩和切れ目帯50を形成する工程(以下、切れ目加工工程ともいう。)を含む。
【0058】
切れ目加工工程では、金属製の刃を用いて切れ目加工を施す方法が挙げられる。金属製の刃としては、押し刃、回転刃等が挙げられる。
刃の形状は、直線状でもよく、円弧状でもよい。より滑らかな開裂線を得やすい観点から、刃の形状は、直線状が好ましい。なお、刃の形状が円弧状の場合、切れ目加工で形成される切れ目線は、円弧状になる。円弧状の切れ目線の場合、延在方向は、各切れ目線の中点を結ぶ直線の延びる方向である。円弧状の切れ目線が延在方向に対して傾斜している場合、傾斜角は、円弧状の切れ目線の両端を結ぶ直線と各切れ目線の中点を結ぶ直線とのなす劣角である。
【0059】
方法iにおけるシーラント材形成工程は、シーラント材7を得る工程である。シーラント材7を得る工程は、シーラント材7の材質や構成に応じて、従来公知の方法から選択される。
シーラント材7を得る方法は、例えば、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機等を用いた共押出法等、従来公知の方法から選択される。
方法iにおける積層工程は、切れ目加工を施した基材3とシーラント材7とを積層して袋体用フィルム1とする工程である。
切れ目加工を施した基材3とシーラント材7とを積層する方法としては、例えば、基材3の一方の表面に接着剤を塗布した後、切れ目加工を施した基材3とシーラント材7とを圧着する方法等が挙げられる。
【0060】
方法iiは、基材形成工程と、シーラント材形成工程と、積層工程とが一工程で行われる方法である。
方法iiとしては、例えば、サーキュラーダイを用いたインフレーション成形で、切れ目加工を施した基材3とシーラント材7とを一体として成形する方法が挙げられる。
インフレーション成形における成形条件は、基材3の材質等を勘案して適宜決定される。例えば、ブローアップ比:1.2~2.5、引取速度:5~50m/分、シーラント材7を構成する樹脂の温度:160~210℃、基材3を構成する樹脂の温度:200~250℃、で共押出する。
【0061】
方法i又は方法iiを経て、任意の大きさに切断することにより、基材3の表面に開裂部Bが形成されたフィルム1が得られる。
【0062】
[包装用袋体]
本発明の包装用袋体は、本発明の袋体用フィルムを用いたものである。図3に、本発明の包装用袋体の一実施形態を示す。
包装用袋体100は、第一の面部100αと第二の面部100βとを有する。第一の面部100αは、フィルム1で形成されている。第二の面部100βは、フィルム1で形成されている。
第一の面部100αの開裂部Bαと、第二の面部100βの開裂部Bβとは、重なっている。第一の面部100αの誘導切れ目線32aと、第二の面部100βの誘導切れ目線32aとは、反対方向に傾斜している。
【0063】
包装用袋体100は、フィルム1を一辺Aと直交する折り曲げ線で開裂部Bが重なるように折り曲げられてなる折り曲げ縁Cを有する三方シール袋である。
第一の面部100αの開裂部Bαは、フィルム1の一辺Aをシールしたシール部S1よりも内側に形成されている。シール部S2は、折り曲げ縁Cに対向する辺に形成されている。シール部S3は、フィルム1の一辺Aに対向する辺に形成されている。包装用袋体100の高さ(Y方向の長さ)H100は、Hと同様である。包装用袋体100の幅(X方向の長さ)L100は、特に限定されず、例えば、60~400mmが好ましく、80~250mmがより好ましい。幅L100が上記下限値以上であると、包装用袋体100の収容スペースを充分に確保しやすい。幅L100が上記上限値以下であると、包装用袋体100に収容する被収容物の大きさに適した包装用袋体100にしやすい。
【0064】
シール部S1の幅HS1は、特に限定されず、例えば、2~20mmが好ましく、5~15mmがより好ましい。幅HS1が上記下限値以上であると、包装用袋体100の密封性、耐衝撃性を高めやすい。幅HS1が上記上限値以下であると、包装用袋体100の収容スペースを充分に確保しやすい。幅HS1は、幅W12aと同様の方法で測定できる。
シール部S2の幅HS2は、幅HS1と同様である。幅HS2は、幅HS1と同じでもよく、異なっていてもよい。
シール部S3の幅HS3は、幅HS1と同様である。幅HS3は、幅HS1と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0065】
図4は、包装用袋体100の拡大展開図である。図4の折り曲げ縁Cよりも+X寄りが第一の面部100αを形成する。図4の折り曲げ縁Cよりも-X寄りが第二の面部100βを形成する。包装用袋体100の折り曲げ縁C上には、ノッチNが形成されている。ノッチNは、開封時の開封開始点となる。そのため、ノッチNは、有効な開封が可能な位置、すなわち、所望の開封方向に対応して形成されている第一の面部100αの誘導切れ目列30bと、第二の面部100βの誘導切れ目列30bとが、有効に機能する位置に形成されることが好ましい。ノッチNの形状は特に限定されず、例えば、いわゆるIノッチ、Vノッチであってもよい。
【0066】
包装用袋体100をノッチNから開封する際にできる開封線Eは、包装用袋体100の第一の面部100αに形成される。包装用袋体100をノッチNから開封する際にできる開封線Fは、包装用袋体100の第二の面部100βに形成される。図の矢印は、包装用袋体100の開封方向を表す。
開封線Eは、ノッチNから出発し、誘導切れ目線32bの一つにぶつかり、-Y方向に逸れ、次に開封方向(+X方向)に向かいながら、第二の緩和切れ目線52の一つにぶつかる。開封線Eは、第二の緩和切れ目線52によって、-Y方向にさらに逸れ、開封方向に向かいながら第二の切れ目線22aの一つにぶつかる。その後、開封線Eは、第二の切れ目列20aに沿って開封方向に進み、包装用袋体100のシール部S2側の一辺に到達する。
一方、開封線Fは、ノッチNから出発し、誘導切れ目線32bの一つにぶつかり、+Y方向に逸れ、次に開封方向(-X方向)に向かいながら誘導切れ目線32aの一つにぶつかる。開封線Fは、誘導切れ目線32aによって、+Y方向にさらに逸れ、開封方向に向かいながら第一の緩和切れ目線42の一つにぶつかる。開封線Fは、第一の緩和切れ目線42によって、+Y方向にさらに逸れ、開封方向に向かいながら第一の切れ目線12aの一つにぶつかる。その後、開封線Fは、第一の切れ目列10aに沿って開封方向に進み、包装用袋体100のシール部S2側の一辺に到達する。
【0067】
開封線Eは、傾斜角D32bで傾斜する誘導切れ目線32bの一つにぶつかることにより、-Y方向に逸れる。その後、開封線Eは、傾斜角D32bよりも小さい傾斜角D52の第二の緩和切れ目線52の一つにぶつかることにより、-Y方向にさらに逸れる。このように、包装用袋体100は、傾斜角の異なる2種類の切れ目線を有することにより、開封線Eの切り口をより滑らかにでき、開口端面を綺麗にできる。
開封線Fは、傾斜角D32bで傾斜する誘導切れ目線32bの一つにぶつかることにより、+Y方向に逸れる。その後、開封線Fは、傾斜角D32aで傾斜する誘導切れ目線32aの一つにぶつかることにより、+Y方向にさらに逸れる。続いて、開封線Fは、傾斜角D32aよりも小さい傾斜角D42の第一の緩和切れ目線42の一つにぶつかることにより、+Y方向にさらに逸れる。このように、包装用袋体100は、傾斜角の異なる2種類の切れ目線を有することにより、開封線Fの切り口をより滑らかにでき、開口端面を綺麗にできる。
【0068】
包装用袋体100は、2本の開封線EとFとが形成されることにより、開口端に図のY方向のずれが生じ、包装用袋体100の開封口に、指でつまむことのできるつまみ部分が形成され、そのつまみ部分を利用して開封口を容易に開口できる。
【0069】
第一の切れ目帯10は、第一の切れ目列10aと第一の切れ目列10bとを有する。第一の切れ目列10bは、開封線Fが第一の切れ目列10aに沿って進行せず、+Y方向に逸れてしまった場合に、開封線Fを開封方向に確実に誘導するための切れ目列である。これにより、開封線Fが開封方向の一辺に到達する前に+Y方向に逸れて包装用袋体100が開封されてしまい、開封口が不十分な大きさになることを抑制できる。このため、包装用袋体100の第一の切れ目帯10は、2以上の第一の切れ目列を有することが好ましい。
第二の切れ目帯20は、第二の切れ目列20aと第二の切れ目列20bとを有する。第二の切れ目列20bは、開封線Eが第二の切れ目列20aに沿って進行せず、-Y方向に逸れてしまった場合に、開封線Eを開封方向に確実に誘導するための切れ目列である。これにより、開封線Eが開封方向の一辺に到達する前に-Y方向に逸れて包装用袋体100が開封されてしまい、開封口が不十分な大きさになることを抑制できる。このため、包装用袋体100の第二の切れ目帯20は、2以上の第二の切れ目列を有することが好ましい。
【0070】
包装用袋体100は、フィルム1を2枚重ねてヒートシールすることにより得られる。フィルム1を2枚重ねてヒートシールする場合は、図5に示すように、フィルム1のシール層6同士を接触させて、圧着する。ヒートシールの条件は特に限定されず、例えば、シール部S1を形成する場合は、以下の条件で行われる。ヒートシールする場合の温度は、120~240℃が好ましく、160~200℃がより好ましい。ヒートシールする場合の温度が上記下限値以上であると、フィルム1を充分にシールしやすい。ヒートシールする場合の温度が上記上限値以下であると、フィルム1の劣化を抑制しやすい。
ヒートシールする場合の圧力は、2.0~5.0kg/cmが好ましく、2.5~4.5kg/cmがより好ましい。ヒートシールする場合の圧力が上記下限値以上であると、フィルム1を充分にシールしやすい。ヒートシールする場合の圧力が上記上限値以下であると、フィルム1の劣化を抑制しやすい。
ヒートシールする時間は、0.5~5.0秒が好ましく、1.0~3.0秒がより好ましい。ヒートシールする時間が上記下限値以上であると、フィルム1を充分にシールしやすい。ヒートシールする時間が上記上限値以下であると、フィルム1の生産性を向上しやすい。
シール部S2は、シール部S1と同様の条件で形成される。
シール部S3は、シール部S1と同様の条件で形成される。
【0071】
包装用袋体100の第一の面部100αの開裂部Bαには、第一の切れ目線12a、12b、第一の緩和切れ目線42、誘導切れ目線32a、32b、第二の切れ目線22a、22bが形成されている。
包装用袋体100の第二の面部100βの開裂部Bβには、第一の切れ目線12a、12b、第一の緩和切れ目線42、誘導切れ目線32a、32b、第二の切れ目線22a、22bが形成されている。
これらの切れ目線は、基材3のみに形成されているため、包装用袋体100の内部の収容スペースは、密封性が保持される。加えて、包装用袋体100は、酸素吸収層5を有するため、外部から内部に侵入する酸素を酸素吸収層5で捕捉できる。このため、酸素バリア性がより高まる。さらに、包装用袋体100に内容物を収容等した際に、包装用袋体100のヘッドスペース等に入り込んだ酸素を酸素吸収層5で吸収できる。このため、包装用袋体100内の酸素量をより低減でき、内容物の変質をさらに抑制でき、内容物のシェルフライフのさらなる延長が図れる。
なお、開裂部Bαに形成された各切れ目線は、包装用袋体100が密封性を保持できる限り、シーラント材7に形成されてもよい。開裂部Bβに形成された各切れ目線についても、開裂部Bαに形成された各切れ目線と同様である。
【0072】
フィルム1を2枚重ねてヒートシールすることにより、第一の面部100αと、第二の面部100βとを有する包装用袋体100が得られる。フィルム1を2枚重ねてヒートシールすることにより、一辺Aに沿ってシール部S1が形成され、折り曲げ縁Cに対向する辺にシール部S2が形成され、一辺Aに対向する辺にシール部S3が形成された包装用袋体100が得られる。
【0073】
包装用袋体100は、フィルム1を袋体に形成したものである。包装用袋体100としては、例えば、フィルム1のシール層6同士をヒートシールして製袋された袋が挙げられる。包装用袋体100の形態としては、例えば、合掌貼り袋、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、スタンド袋等が挙げられる。
【0074】
以上説明したとおり、包装用袋体100は、基材3に切れ目加工を施しているため、より容易に開封しやすい。また、包装用袋体100のフィルム1は、傾斜角の異なる2種類の切れ目線を備えることにより、開封線の切り口をより滑らかにでき、開口端面を綺麗にできる。すなわち、包装用袋体100は、第一の緩和切れ目列の延在方向と第一の緩和切れ目線とのなす劣角が、誘導切れ目列の延在方向と誘導切れ目線とのなす劣角よりも小さいので、開封線は、第一の切れ目帯又は第二の切れ目帯へとその進行方向を変えつつ誘導される。加えて、包装用袋体100は、第二の緩和切れ目列の延在方向と第二の緩和切れ目線とのなす劣角が、誘導切れ目列の延在方向と誘導切れ目線とのなす劣角よりも小さいので、開封線は、第一の切れ目帯又は第二の切れ目帯へとその進行方向を変えつつ誘導される。その結果、包装用袋体100は、第一の切れ目帯又は第二の切れ目帯を確実に引き裂いていき、より容易に開封でき、開口端面を綺麗にできる。加えて、包装用袋体100は、酸素バリア性、密封性、耐衝撃性に優れ、かつ、包装用袋体100内の酸素を低減できる。このため、包装用袋体100は、食品や薬品等の包装体として好適である。特に、酸素吸収層が酸素吸収材(H)を含むため、包装用袋体100の酸素バリア性がより高まり、包装用袋体100は、包装用袋体100内に存在する酸素を吸収でき、内容物が酸素によって変質されるのをより抑制できる。その結果、内容物のシェルフライフのさらなる延長が図れる。包装用袋体100は、酸素によって変質されやすい食品や薬品等の包装体として特に好適である。
また、従来、酸素バリア性、密封性、耐衝撃性、易開封性等の多機能を求める包装体とするには、前記機能をそれぞれ備える層を積層し、例えば5層以上の多層構造にする必要があった。本実施形態においては、シーラント材7をフィルム1の構成とすることで、前記機能をシーラント材7の1層で賄うことができる。そのため、包装用袋体100を製造するに際し、大掛かりな製造設備を要せず、生産性、経済性に優れる。加えて、包装用袋体100によれば、例えば、袋体に酸素によって変質されやすい内容物を収容する際に行われていた窒素置換等の工程を省略でき、生産性、経済性に優れる。
【0075】
図6に示すように、包装用袋体200は、第一の面部200αと第二の面部200βとを有する。第一の面部200αは、2つの開裂部B1αとB2αとを有する。2つの開裂部B1αとB2αとは、隣接する2辺に形成されている。開裂部B1αは、上述した開裂部Bと同様に第一の切れ目帯10、第二の切れ目帯20、誘導切れ目帯30、第一の緩和切れ目帯40、第二の緩和切れ目帯50を有しており、これらの説明は省略する。開裂部B2αは、開裂部B1αと同様である。
第二の面部200βは、2つの開裂部B1βとB2βとを有する。2つの開裂部B1βとB2βとは、隣接する2辺に形成されている。開裂部B1βは、上述した開裂部Bと同様に第一の切れ目帯10、第二の切れ目帯20、誘導切れ目帯30、第一の緩和切れ目帯40、第二の緩和切れ目帯50を有しており、これらの説明は省略する。開裂部B2βは、開裂部B1βと同様である。
【0076】
第一の面部200αの開裂部B1αと、第二の面部200βの開裂部B1βとは重なっており、開裂部B1αの誘導切れ目線と、開裂部B1βの誘導切れ目線とは、互いに反対方向に傾斜している。
第一の面部200αの開裂部B2αと、第二の面部200βの開裂部B2βとは重なっており、開裂部B2αの誘導切れ目線と、開裂部B2βの誘導切れ目線とは、互いに反対方向に傾斜している。
【0077】
包装用袋体200は、四方をシール部S4、S5、S6、S7でシールされた四方シール袋である。シール部S4の-Y寄りに開裂部B1αが形成されている。シール部S4の-Y寄りに開裂部B1βが形成されている。シール部S7の-X寄りに開裂部B2αが形成されている。シール部S7の-X寄りに開裂部B2βが形成されている。シール部S4、S5、S6、S7は、シール部S1と同様に形成される。
【0078】
本実施形態の包装用袋体200によれば、開裂部が2つ形成されているため、包装用袋体200を2箇所から開封できる。このため、開封口を2箇所形成でき、包装用袋体200の被収容物をより容易に取り出せる。よって、包装用袋体は、2つの開裂部が隣接する2辺に形成されていることが好ましい。
【0079】
[その他の実施形態]
本発明の包装用袋体は、上述の実施形態には限定されない。
包装用袋体100において、誘導切れ目帯30は、2以上の誘導切れ目列30aと30bとを有している。しかし、誘導切れ目列は、一つであってもよい。
包装用袋体100において、緩和切れ目帯は、第一の緩和切れ目帯40と第二の緩和切れ目帯50の2種類であるが、傾斜角D42、D52よりも小さい傾斜角を有する第三の緩和切れ目帯、第四の緩和切れ目帯を有していてもよい。しかし、包装用袋体100において、開裂部Bの長さHをより短くする観点から、緩和切れ目帯は2種類であることが好ましい。
包装用袋体100において、第一の切れ目線12aの傾斜角D12aは、0°である。傾斜角D12aはこれに限定されず、-5~5°であってもよい。しかし、開封線を開封方向と一致させる観点から、傾斜角D12aは0°が好ましい。
包装用袋体100において、第二の切れ目線22aの傾斜角D22aは、0°である。傾斜角D22aはこれに限定されず、-5~5°であってもよい。しかし、開封線を開封方向と一致させる観点から、傾斜角D22aは0°が好ましい。
包装用袋体100において、開封開始点となるノッチNが形成されているが、ノッチNは形成されていなくてもよい。
包装用袋体100において、開裂部Bは一辺Aと平行に形成されているが、一辺に対して開裂部全体が任意の角度で傾斜していてもよい。
包装用袋体200において、開裂部Bは2つ形成されているが、包装用袋体の開裂部は、3つでもよく、4つでもよい。
【実施例
【0080】
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例において使用した材料は下記のとおりである。
【0081】
[使用材料]
≪基材≫
・2軸延伸PET:厚さ12μm、ルミラー(商品名)、東レフィルム加工株式会社製。
【0082】
≪シーラント材≫
<ラミネート層、シール層>
・酸変性PE:無水マレイン酸変性ポリエチレン(酸変性ポリエチレン50質量%)、モディック(商品名)、三菱化学株式会社製。
・PE:ポリエチレン。
(滑剤)
・エルカ酸アマイド。
(アンチブロッキング剤)
・シリカ(SiO)。
【0083】
<酸素吸収層>
(重合体(G))
・EVOH:エチレン含有量32mol%、エバール(商品名)、クラレ株式会社製。
(酸素吸収材(H))
・酸素吸収材:共役ジエン重合体環化物。
【0084】
[実施例1~5、比較例1~4]
表1に示す傾斜角を備える刃型で切れ目加工を施した基材(2軸延伸PET)及び酸素吸収層を含むシーラント材を積層して実施例1~5、比較例1~4の構成に従った袋体用フィルムを製造した。開裂部は、1箇所とした。開裂部の幅は、10mmとした。ラミネート層は、酸変性ポリエチレンを50質量%含む厚さ20μmの層とした。酸素吸収層は、酸素吸収材(H)を含む重合体(G)を厚さ10μmの層とした。シール層は、酸変性ポリエチレンを50質量%含み、滑剤とアンチブロッキング剤とを含む厚さ20μmの層とした。
得られた袋体用フィルムのシール層をヒートシール(シール温度:180℃、シール時間:1秒、シール圧:3.5kg/cm、シール幅:10mm)して、130mm×170mmの三方シール袋(平袋)を作製した。得られた平袋を手で開封し、開口端面の滑らかさを目視で確認し、開封線が開裂部から逸れた平袋の数を計数した。各例10個の平袋で開封を行い、下記評価基準に基づいて評価した。
≪評価基準≫
<開口端面の滑らかさ>
◎:開口端面にぎざぎざが観察された平袋の数が0個(「0/10」)。
○:開口端面にぎざぎざが観察された平袋の数が2個以下(「2/10」以下)。
×:開口端面にぎざぎざが観察された平袋の数が3個以上(「3/10」以上)。
<開封のしやすさ>
◎:開封線が開裂部から逸れた平袋の数が0個(「0/10」)。
○:開封線が開裂部から逸れた平袋の数が2個以下(「2/10」以下)。
×:開封線が開裂部から逸れた平袋の数が3個以上(「3/10」以上)。
【0085】
≪総合評価≫
上記開口端面の滑らかさ、開封のしやすさの評価が両方「◎」のものを、総合評価「◎」とした。
上記開口端面の滑らかさ、開封のしやすさの評価において「×」がないものを、総合評価「○」とした。
上記開口端面の滑らかさ、開封のしやすさの評価において「×」が1つ以上あるものを、総合評価「×」とした。結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
表1に示すように、本発明を適用した実施例1~5の平袋(包装用袋体)は、開口端面の滑らかさ、開封のしやすさに優れることが確認できた。
一方、誘導切れ目線の傾斜角と第一の緩和切れ目線及び第二の緩和切れ目線の傾斜角とが等しい比較例1~4の包装用袋体は、開口端面の滑らかさ又は開封のしやすさの評価が「×」だった。
以上の結果から、本発明を適用することで、包装用袋体をより容易に開封でき、包装用袋体の開口端面を綺麗にできることが確認できた。
【符号の説明】
【0088】
1 袋体用フィルム
3 基材
4 ラミネート層
5 酸素吸収層
6 シール層
7 シーラント材
10 第一の切れ目帯
10a、10b 第一の切れ目列
12a、12b 第一の切れ目線
20 第二の切れ目帯
20a、20b 第二の切れ目列
22a、22b 第二の切れ目線
30 誘導切れ目帯
30a、30b 誘導切れ目列
32a、32b 誘導切れ目線
40 第一の緩和切れ目帯
40a 第一の緩和切れ目列
42 第一の緩和切れ目線
50 第二の緩和切れ目帯
50a 第二の緩和切れ目列
52 第二の緩和切れ目線
100、200 包装用袋体
100α、200α 第一の面部
100β、200β 第二の面部
A 一辺
B、Bα、Bβ、B1α、B1β、B2α、B2β 開裂部
C 折り曲げ縁
E、F 開封線
S1~S7 シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6