(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】化粧料用容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/20 20060101AFI20230412BHJP
A45D 33/00 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
A45D33/20 Z
A45D33/00 625C
A45D33/00 635
(21)【出願番号】P 2019087847
(22)【出願日】2019-05-07
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 彦博
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3087150(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0438527(KR,Y1)
【文献】実開平05-065261(JP,U)
【文献】実開平01-155909(JP,U)
【文献】実開平02-029610(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00 - 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置される第1壁部及び第2壁部と、該第1壁部及び該第2壁部間に亘って延びる支持軸とを有する容器本体と、
前記支持軸の延在方向に沿って互いに重なるよう配列された複数の化粧料収納皿と
を備え、
前記容器本体は、前記第1壁部及び前記第2壁部間に、前記複数の化粧料収納皿を出し入れ自在に収納可能に構成されており、
前記複数の化粧料収納皿は、前記容器本体内に収納された収納位置と、該容器本体から引き出された展開位置との間において回動可能となるよう、前記支持軸に軸支されており、
前記複数の化粧料収納皿のうち、前記第1壁部に隣接して配置される第1化粧料収納皿は、前記第2壁部側の面に、該第1化粧料収納皿の回動方向に沿って延びる円弧状溝が形成されており、
前記第1化粧料収納皿よりも前記第2壁部側に配置される一以上の前記化粧料収納皿は、前記第2壁部側の面に、該化粧料収納皿の回動方向に沿って延びる円弧状溝が形成されており、かつ、前記第1壁部側の面に、該第1壁部側に隣接して配置される他の化粧料収納皿の前記円弧状溝に係合可能な係合突起が設けられており、
前記第2壁部は、前記第1壁部側に隣接して配置される前記化粧料収納皿の前記円弧状溝に係合可能な係合突起を有しており、
前記円弧状溝は、それぞれ、
該円弧状溝が形成された前記化粧料収納皿を前記収納位置から前記展開位置に向かう展開方向に回動させる際に、前記第2壁部側に隣接して配置された他の化粧料収納皿又は前記第2壁部の前記係合突起が当接する展開時当接部と、
該円弧状溝が形成された前記化粧料収納皿を前記展開位置から前記収納位置に向かう収納方向に回動させる際に、前記第2壁部側に隣接して配置された他の化粧料収納皿又は前記第2壁部の前記係合突起が当接する収納時当接部と
を有
し、
前記第1化粧料収納皿よりも前記第2壁部側に配置される一以上の前記化粧料収納皿は、前記第1化粧料収納皿の前記展開方向への回動に引っ張られて前記展開方向へ回動するように構成されており、
前記第1化粧料収納皿が前記展開位置に位置する状態において、該第1化粧料収納皿の前記収納方向への回動に対して抵抗を与える展開時ロック機構を更に備え、
前記展開時ロック機構は、
前記第1壁部及び前記第1化粧料収納皿のいずれか一方に設けられた嵌合突起と、
前記第1壁部及び前記第1化粧料収納皿のいずれか他方に設けられた嵌合凹部と
を備え、
前記嵌合凹部は、前記第1化粧料収納皿が前記展開位置に位置する状態において、前記嵌合突起が嵌合する位置に形成されており、
前記嵌合凹部に前記嵌合突起が嵌合することにより、前記複数の化粧料収納皿の展開状態が維持される
化粧料用容器。
【請求項2】
前記第1化粧料収納皿が前記収納位置に位置する状態において、該第1化粧料収納皿の前記展開方向への回動に対して抵抗を与える収納時ロック機構を更に備える
請求項
1に記載の化粧料用容器。
【請求項3】
前記容器本体は、長手方向を有する長尺状に形成されており、
前記支持軸は、前記容器本体の長手方向の一方側に配された第1支持軸と、該容器本体の長手方向の他方側に配された第2支持軸とを有し、
前記複数の化粧料収納皿は、前記第1支持軸及び前記第2支持軸の双方に設けられている
請求項1
又は2に記載の化粧料用容器。
【請求項4】
化粧料塗布具を着脱自在に保持可能な塗布具保持部材を更に備え、
前記塗布具保持部材は、前記化粧料塗布具が前記容器本体内に収納された収納位置と、該容器本体から前記化粧料塗布具が引き出された展開位置との間において回動可能となるよう、前記支持軸に軸支されている
請求項1
又は2に記載の化粧料用容器。
【請求項5】
前記第1壁部は、化粧料塗布具を収納可能な塗布具収納凹部と、該塗布具収納凹部を覆う開閉可能な蓋部材とを備える
請求項1~
4いずれか1項に記載の化粧料用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
アイシャドウ、コンシーラ、口紅、アイブロウ、アイライナー等のメイクアップ化粧料の多くは、携帯性の観点から、粉体状化粧料等が充填固化されてコンパクト容器に収容されている。
【0003】
このようなコンパクト容器として、特許文献1には、それぞれ化粧料が設けられた複数の化粧料収納皿を枢着部を介して着脱自在に枢着して積層させ、各化粧料収納皿を独立して回動させて引き出し可能とした化粧料用容器が開示されている。また、特許文献2には、それぞれ化粧料が設けられた複数のカード型重ね板を積層させ、これら複数のカード型重ね板を互いに連動させて扇状に展開可能とした化粧料用容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭62-109010号公報
【文献】実開平02-29610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の化粧料用容器は、各化粧料収納皿が独立して回動するものであるため、全ての化粧料収納皿を引き出して使用に供するためには、化粧料収納皿を1つずつ位相をずらしながら引き出す必要がある。しかしながら、このような操作は手間が掛かると共に、2以上の化粧料収納皿が重なり合ったまま引き出される等の煩わしさを伴うものであり、この点は、携帯性を向上させるために化粧料用容器を小型化するほど顕著となる。このため、特許文献1の化粧料用容器には、操作性の観点において改善の余地がある。
【0006】
これに対し、特許文献2の化粧料用容器は、複数のカード型重ね板を互いに連動させて扇状に展開可能であるため、特許文献1の化粧料用容器よりも、少ない操作で全ての化粧料収納皿を展開させることが可能である。しかしながら、特許文献2の化粧料用容器は、複数のカード型重ね板を互いにスライドさせ、扇状に広げたトランプのように展開させるものであるため、展開状態におけるサイズが大きく、片手で把持することが容易ではない。また、各カード型重ね板の背面に手を添えた状態で把持する必要があることから、各カード型重ね板の背面に付着した化粧料が手に付着するおそれがある。このため、特許文献2の化粧料用容器においても、操作性の観点において改善の余地がある。
【0007】
本発明は、携帯性及び操作性に優れた化粧料用容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、互いに対向して配置される第1壁部及び第2壁部と、該第1壁部及び該第2壁部間に亘って延びる支持軸とを有する容器本体と、前記支持軸の延在方向に沿って互いに重なるよう配列された複数の化粧料収納皿とを備え、前記容器本体は、前記第1壁部及び前記第2壁部間に、前記複数の化粧料収納皿を出し入れ自在に収納可能に構成されており、前記複数の化粧料収納皿は、前記容器本体内に収納された収納位置と、該容器本体から引き出された展開位置との間において回動可能となるよう、前記支持軸に軸支されており、前記複数の化粧料収納皿のうち、前記第1壁部に隣接して配置される第1化粧料収納皿は、前記第2壁部側の面に、該第1化粧料収納皿の回動方向に沿って延びる円弧状溝が形成されており、前記第1化粧料収納皿よりも前記第2壁部側に配置される一以上の前記化粧料収納皿は、前記第2壁部側の面に、該化粧料収納皿の回動方向に沿って延びる円弧状溝が形成されており、かつ、前記第1壁部側の面に、該第1壁部側に隣接して配置される他の化粧料収納皿の前記円弧状溝に係合可能な係合突起が設けられており、前記第2壁部は、前記第1壁部側に隣接して配置される前記化粧料収納皿の前記円弧状溝に係合可能な係合突起を有しており、前記円弧状溝は、それぞれ、該円弧状溝が形成された前記化粧料収納皿を前記収納位置から前記展開位置に向かう展開方向に回動させる際に、前記第2壁部側に隣接して配置された他の化粧料収納皿又は前記第2壁部の前記係合突起が当接する展開時当接部と、該円弧状溝が形成された前記化粧料収納皿を前記展開位置から前記収納位置に向かう収納方向に回動させる際に、前記第2壁部側に隣接して配置された他の化粧料収納皿又は前記第2壁部の前記係合突起が当接する収納時当接部とを有する化粧料用容器に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る化粧料用容器は、携帯性及び操作性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る化粧料用容器の展開状態を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る化粧料用容器の収納状態を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る化粧料用容器の分解図である。
【
図4】第1実施形態に係る化粧料用容器の第1化粧料収納皿を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る化粧料用容器の第2~第4化粧料収納皿を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、全ての化粧料収納皿が同位相の状態を示す図であり、
図6(b)は、
図6(a)の状態から第1化粧料収納皿を展開方向に回動させた状態を示す図であり、
図6(c)は、
図6(b)の状態から第1化粧料収納皿を展開方向に更に回動させ、これに追従して第2化粧料収納皿を展開方向に回動させた状態を示す図であり、
図6(d)は、
図6(c)の状態から第1化粧料収納皿を展開方向に更に回動させ、第2化粧料収納皿に追従して第3化粧料収納皿を展開方向に回動させた状態を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る化粧料用容器の展開状態を示す図である。
【
図8】第3実施形態に係る化粧料用容器の展開状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係る化粧料用容器1について、
図1~
図6を用いて説明する。第1実施形態に係る化粧料用容器1は、
図1に示すように、化粧料2を収納する複数の化粧料収納皿20A~20Dと、複数の化粧料収納皿20A~20Dを支持する容器本体10とを備えている。本実施形態では、化粧料用容器1は、容器本体10の後述する第1壁部12の中心点と後述する第2壁部14の中心点とを通る軸を中心として180°回転させた際に同じ形状となる2回対称性を有している。
【0013】
第1実施形態に係る化粧料用容器1は、
図2に示すように、複数の化粧料収納皿20A~20Dを容器本体10に収納させることで、化粧用ポーチやペンケース等に入れて持ち運ぶことを可能とした携帯型のコンパクトケースである。以下、第1実施形態に係る化粧料用容器1の詳細な構成について、詳述する。
【0014】
容器本体10は、
図3に示すように、互いに対向して配置される第1壁部12及び第2壁部14と、第1壁部12及び第2壁部14間に亘って延びる支持軸16A,16Bとを備えている。また、容器本体10は、更に側壁17A,17B及び仕切り壁18を備えている。
【0015】
なお、以下の説明では、第2壁部14から第1壁部12に向かう方向を「上方」とし、第1壁部12から第2壁部14に向かう方向を「下方」とし、容器本体10の上下方向(
図1中のZ方向)及び長手方向(
図1中のX方向)の双方と直交する方向(
図1中のY方向)を「前後方向」として説明する。ただし、ここでいう上下方向及び前後方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、実際の使用状況における上下方向及び前後方向とは限らない。第1実施形態に係る化粧料用容器1は、様々な向きで使用することが可能である。
【0016】
容器本体10は、
図2に示すように、使用者が把持しやすいよう、細長いペン型の全体形状を有しており、第1壁部12と第2壁部14との間に、複数の化粧料収納皿20A~20Dを出し入れ自在に収納可能な収納空間(内部空間)を有している。本明細書において、「ペン型」とは、長手方向を有する長尺状(棒状)であることを意味し、より限定的には、容器本体10の平面視及び正面視の双方において、短軸と長軸を有する形状を意味している。
【0017】
この短軸と長軸の比(アスペクト比)は、容器本体10の平面視において、1:2以上であることが好ましく、1:5以上であることが更に好ましく、また、容器本体10の正面視において、1:4以上であることが好ましく、1:5以上であることが更に好ましい。
【0018】
また、容器本体10は、使用者の手にフィットしやすいよう、全体的に丸みを帯びた形状、具体的には、容器本体10は、長手方向の中央から長手方向の両端部に向けて湾曲しながら先細りとなる形状を有している。本実施形態では、容器本体10は、第1壁部12の中心点と第2壁部14の中心点とを通る軸を中心として180°回転させた際に同じ形状となる2回対称性を有している。
【0019】
容器本体10の長手方向の長さは、例えば50cm以上160cm以下が好ましく、80cm以上130cm以下が更に好ましい。なお、容器本体10の形状及び大きさは、図示の例に限定されず、任意に設定することが可能である。
【0020】
第1壁部12及び第2壁部14は、
図3に示すように、それぞれ、平面視において短軸と長軸を有する横長の平板状に形成された樹脂製の板材からなり、長手方向の中央から両端部に向かって湾曲しながら先細りとなる形状を有している。なお、板材は、樹脂製に限られず、金属、紙、木、陶器等で形成されていてもよい。
【0021】
第1壁部12の下面には、
図3に示すように、後述する第1化粧料収納皿20Aに向けて突出する嵌合突起13が、第1支持軸16Aの近傍及び第2支持軸16Bの近傍にそれぞれ設けられている。嵌合突起13は、半円状に隆起した凸状体であり、第1化粧料収納皿20Aの後述する嵌合凹部25に嵌合可能に構成されている。また、第1壁部12の下面には、後述する第1化粧料収納皿20Aの磁石27と磁力により接着可能な磁石(図示せず)が設けられている。
【0022】
第2壁部14の上面には、
図3に示すように、第1壁部12側に隣接して配置される化粧料収納皿(第1実施形態では、後述する第4化粧料収納皿20D)に向けて突出する係合突起15が、第1支持軸16Aの近傍及び第2支持軸16Bの近傍にそれぞれ設けられている。第1支持軸16Aの近傍に設けられた係合突起15は、該第1支持軸16Aに軸支された第4化粧料収納皿20Dの後述する化粧料収容部24よりも第1支持軸16A側に配置されており、第2支持軸16Bの近傍に設けられた係合突起15は、該第2支持軸16Bに軸支された第4化粧料収納皿20Dの後述する化粧料収容部24よりも第2支持軸16B側に配置されている。係合突起15は、略円柱状に隆起した凸状体であり、第4化粧料収納皿20Dの後述する円弧状溝28に係合可能に構成されている。
【0023】
支持軸16A,16Bは、
図3に示すように、容器本体10の長手方向の一方側に配された第1支持軸16Aと、容器本体10の長手方向の他方側に配された第2支持軸16Bとを有している。第1支持軸16A及び第2支持軸16Bは、それぞれ、化粧料収納皿20A~20Dの後述する軸孔22を挿通可能な径を有し、かつ、第1壁部12から第2壁部14に至る長さを有する円筒状に形成されている。なお、
図3では、第1支持軸16A及び第2支持軸16Bが第2壁部14側に固着された構成を例示しているが、これに限定されず、第1壁部12側に固着されても良いし、第1壁部12及び第2壁部14の双方に固着されても良い。
【0024】
側壁17A,17Bは、
図3に示すように、第1支持軸16A側の周面を形成する第1側壁17Aと、第2支持軸16B側の周面を形成する第2側壁17Bとを備えている。具体的には、第1側壁17Aは、容器本体10の周面のうち、第1支持軸16Aに軸支された化粧料収納皿20A~20Dの展開方向後方側の周面を形成するよう構成されており、第2側壁17Bは、容器本体10の周面のうち、第2支持軸16Bに軸支された化粧料収納皿20A~20Dの展開方向後方側の周面を形成するよう構成されている。第1実施形態においては、後述するように、第1支持軸16Aに軸支された化粧料収納皿20A~20Dは容器本体10の前方側(
図3の紙面手前側)に展開し、第2支持軸16Bに軸支された化粧料収納皿20A~20Dは容器本体10の後方側(
図3の紙面奥側)に展開するため、第1側壁17Aは、容器本体10の後方側(
図3の紙面奥側)の周面を形成し、第2側壁17Bは、容器本体10の前方側(
図3の紙面手前側)の周面を形成する。
【0025】
第1側壁17Aは、容器本体10の長手方向の両端部のうち、第1支持軸16Aが設けられた側の端部から長手方向の中央に至る長さを有する湾曲板状に形成されており、第2側壁17Bは、第2支持軸16Bが設けられた側の端部から長手方向の中央に至る長さを有する湾曲板状に形成されている。なお、
図3では、第1側壁17A及び第2側壁17Bが第1壁部12側に固着された構成を例示しているが、これに限定されず、第2壁部14側に固着されても良いし、第1壁部12及び第2壁部14の双方に固着されても良い。
【0026】
仕切り壁18は、
図3に示すように、容器本体10の長手方向の中央において、第1側壁17Aの端部から第2側壁17Bの端部に亘って延びる平板状に形成されている。仕切り壁18は、容器本体10の上述した収納空間(内部空間)を、第1支持軸16Aに軸支された化粧料収納皿20A~20Dを収納するための第1収納空間と、第2支持軸16Bに軸支された化粧料収納皿20A~20Dを収納するための第2収納空間とに区切ることが可能に構成されている。なお、
図3では、仕切り壁18が第1壁部12側に固着された構成を例示しているが、これに限定されず、第2壁部14側に固着されても良いし、第1壁部12及び第2壁部14の双方に固着されても良い。
【0027】
容器本体10は、第1側壁17Aと仕切り壁18とによって、第1壁部12及び第2壁部14間に、第1支持軸16Aに軸支された化粧料収納皿20A~20Dを収納可能な第1収納空間が形成され、第2側壁17Bと仕切り壁18とによって、第1壁部12及び第2壁部14間に、第2支持軸16Bに軸支された化粧料収納皿20A~20Dを収納可能な第2収納空間が形成されている。また、容器本体10は、第1側壁17Aの開放側の端部(容器本体10の長手方向の一端側の端部)と、第2側壁17Bの仕切り壁18側の端部との間に、第1収納空間に連通する側方開口が形成され、第2側壁17Bの開放側の端部(容器本体10の長手方向の他端側の端部)と、第1側壁17Aの仕切り壁18側の端部との間に、第2収納空間に連通する側方開口(図示せず)が形成されている。
【0028】
化粧料収納皿20A~20Dは、
図1~
図3に示すように、支持軸16A,16Bの延在方向(すなわち、容器本体10の上下方向)に沿って互いに重なるよう複数(第1実施形態では4枚)配列されている。該4枚の化粧料収納皿20A~20Dは、第1支持軸16Aと、第2支持軸16Bの双方に設けられている。すなわち、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、4枚の化粧料収納皿20A~20Dを2セット有している。なお、本明細書においては、説明の便宜上、最も上層(第1壁部12側)に配置された化粧料収納皿20Aを第1化粧料収納皿20Aといい、以下第2壁部14に向けて順に、第2化粧料収納皿20B、第3化粧料収納皿20Cといい、最も下層(第2壁部14側)に配置された化粧料収納皿20Dを第4化粧料収納皿20Dという。
【0029】
第1~第4化粧料収納皿20A~20Dは、
図3に示すように、それぞれ、平面視において水滴状に形成された樹脂製の板材からなり、容器本体10の第1又は第2収納空間内に収納可能な大きさを有している。なお、本明細書において、水滴状とは、横長の円(楕円又は楕円に近い形状)の長手方向の一方側が先細りとなった形状をいうものとする。また、第1~第4化粧料収納皿20A~20Dの形状及び大きさは、図示の例に限定されず、任意に設定することが可能である。
【0030】
第1~第4化粧料収納皿20A~20Dは、
図3~
図5に示すように、先細りとなった側の端部に、上面から下面に亘って貫通する軸孔22が形成されている。軸孔22は、支持軸16A,16Bが挿通可能な径を有している。第1~第4化粧料収納皿20A~20Dは、該軸孔22に支持軸16A,16Bが挿通されることにより、容器本体10の第1又は第2収納空間内に収納された収納位置(
図2参照)と、該収納空間から容器本体10の側方開口を介して引き出された展開位置(
図1参照)との間において水平方向に回動可能となるよう、支持軸16A,16Bに軸支されている。なお、以下の説明では、各化粧料収納皿20A~20Dが収納位置から展開位置に向けて回動する方向を「展開方向」といい、これとは逆の方向、すなわち、各化粧料収納皿20A~20Dが展開位置から収納位置に向けて回動する方向を「収納方向」という。
【0031】
また、第1~第4化粧料収納皿20A~20Dは、
図3~
図5に示すように、上面に、化粧料2が収容される化粧料収容部24が形成されている。化粧料収容部24は、各化粧料収納皿20A~20Dが展開位置(
図1参照)に位置する状態において、容器本体10から露出する領域に設けられている。図示の例では、化粧料収容部24は、上面全体の略3分の2の領域を占める大きさを有する横長の円形状に形成されているが、これに限定されず、化粧料収容部24の形状及び大きさは任意に設定することが可能である。
【0032】
各化粧料収納皿20A~20Dに収容される化粧料2は、特に限定されるものではないが、携帯性の観点から、粉体化粧料、ペースト状化粧料又は油性固形化粧料であることが好ましい。具体例としては、アイシャドウ、コンシーラ、口紅、アイブロウ、アイライナー、ファンデーション、チークカラー等のメイクアップ化粧料が挙げられる。第1実施形態に係る化粧料用容器1においては、第1支持軸16Aに軸支される第1~第4化粧料収納皿20A~20Dに、互いに異なる色(計4色)のアイシャドウが収容され、第2支持軸16Bに軸支される第1~第4化粧料収納皿20A~20Dに、コンシーラ、口紅、アイブロウ、アイライナーが収容されているが、これに限定されず、収容する化粧料の種類及び配置は任意に設定することができる。また、化粧料を充填する方法としては、例えば、粉体化粧料又はペースト状化粧料では、加圧成型法(プレス成型法、超音波成型法)、湿式成形法(スラリー法、バック充填法)等を挙げることができ、油性固形化粧料では流し込み成形法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
最も上層に配置された第1化粧料収納皿20Aは、
図4(a)に示すように、上面(第1壁部12側の面)に、嵌合凹部25及び案内溝26が形成されると共に磁石27が設けられており、
図4(b)に示すように、下面(第2壁部14側の面)に、円弧状溝28が形成されている。また、第1化粧料収納皿20Aは、展開方向前方側の側縁に、第1化粧料収納皿20Aを回動させる際に使用者が把持する摘み部23が設けられている。なお、摘み部23の形状及び大きさは、図示の例に限定されず、任意に設定可能であり、また、使用者が指や爪等を入れることが可能な切り欠きや凹部等の形態としても良い。
【0034】
嵌合凹部25は、第1壁部12の下面に設けられた嵌合突起13が嵌合可能な半円状の窪みからなり、第1化粧料収納皿20Aが展開位置(
図1参照)に位置する状態において、嵌合突起13が嵌合する位置に形成されている。案内溝26は、嵌合凹部25の深さよりも浅い溝であり、第1化粧料収納皿20Aの回動方向に沿う円弧状に形成されている。該案内溝26は、第1化粧料収納皿20Aの展開方向前方側の側縁から嵌合突起13に亘って延びており、これにより、第1壁部12の嵌合突起13を嵌合凹部25に案内するガイドとして機能するよう構成されている。
【0035】
これら第1壁部12の嵌合突起13と、第1化粧料収納皿20Aの嵌合凹部25とは、互いに協働して、第1化粧料収納皿20Aが展開位置(
図1参照)に位置する状態において、該第1化粧料収納皿20Aの収納方向への回動に対して抵抗を与える展開時ロック機構として機能するよう構成されている。このような展開時ロック機構は、嵌合突起13及び嵌合凹部25からなる凹凸嵌合構造に限定されるものではなく、例えば一対の磁石等の任意の構造を採用可能である。
【0036】
磁石27は、第1化粧料収納皿20Aの展開方向前方側の側縁部に設けられており、第1化粧料収納皿20Aが収納位置(
図2参照)に位置する状態において、第1壁部12の下面に設けられた磁石(図示せず)と磁力により接着可能に構成されている。
【0037】
これら第1壁部12の磁石と、第1化粧料収納皿20Aの磁石27とは、互いに協働して、第1化粧料収納皿20Aが収納位置(
図2参照)に位置する状態において、該第1化粧料収納皿20Aの展開方向への回動に対して抵抗を与える収納時ロック機構として機能するよう構成されている。このような収納時ロック機構は、一対の磁石に限定されるものではなく、例えば嵌合突起及び嵌合凹部からなる凹凸嵌合構造や、がま口の口金構造や、フック構造等の任意の構造を採用可能である。
【0038】
円弧状溝28は、
図4(b)に示すように、第1化粧料収納皿20Aの回動方向に沿って延びる円弧状の溝であり、第2壁部14側に隣接して配置される化粧料収納皿(第2化粧料収納皿20B)の後述する係合突起29が挿入可能な溝幅を有している。
【0039】
円弧状溝28の収納方向側の壁部28aは、第1化粧料収納皿20Aを収納位置(
図2参照)から展開位置(
図1参照)に向けて展開方向に回動させる際に、第2壁部14側に隣接して配置された他の化粧料収納皿(第2化粧料収納皿20B)の係合突起29が当接する展開時当接部として機能する。一方、円弧状溝28の展開方向側の壁部28bは、第1化粧料収納皿20Aを展開位置(
図1参照)から収納位置(
図2参照)に向けて収納方向に回動させる際に、第2壁部14側に隣接して配置された他の化粧料収納皿(第2化粧料収納皿20B)の係合突起29が当接する収納時当接部として機能する。
【0040】
円弧状溝28の延在方向の長さは、展開位置(
図1参照)における、第2壁部14側に隣接して配置される化粧料収納皿(第2化粧料収納皿20B)との位相差を規定するものであり、任意に設定することが可能である。例えば、全ての化粧料収納皿20A~20Dを均等に開く構成とする場合には、
図4(b)に示すように、円弧状溝28の収納方向側の壁部28a(展開時当接部)と展開方向側の壁部28b(収納時当接部)との支持軸16A,16Bを中心とした角度αが、回動角度が最も大きい化粧料収納皿(第1実施形態では第1化粧料収納皿20A)の収納位置から展開位置までの回動角度を化粧料収納皿の数で除した角度となるよう設定される。このような角度αは、例えば10°以上100°以下であることが好ましく、20°以上90°以下であることが更に好ましい。
【0041】
第1化粧料収納皿20Aよりも下層側に配置された第2化粧料収納皿20B~第4化粧料収納皿20Dは、
図5(a)に示すように、上面(第1壁部12側の面)に、係合突起29が設けられており、
図5(b)に示すように、下面(第2壁部14側の面)に、第1化粧料収納皿20Aの円弧状溝28と同様の円弧状溝28が形成されている。
【0042】
係合突起29は、円柱状に隆起した凸状体か係合突起29らなり、第1壁部12側に隣接して配置される化粧料収納皿の円弧状溝28に係合可能に構成されている。具体的には、係合突起29は、上層側(第1壁部12側)の化粧料収納皿が展開方向に回動された際に、該上層側の化粧料収納皿の円弧状溝28内を相対移動して該円弧状溝28の収納方向側の壁部28a(展開時当接部)と係合し、上層側(第1壁部12側)の化粧料収納皿が収納方向に回動された際に、該上層側の化粧料収納皿の円弧状溝28内を相対移動して該円弧状溝28の展開方向側の壁部28b(収納時当接部)と係合するよう構成されている。
【0043】
第2化粧料収納皿20Bの円弧状溝28の延在方向の長さは、展開位置(
図1参照)における第3化粧料収納皿20Cとの位相差を規定するものであり、第3化粧料収納皿20Cの円弧状溝28の延在方向の長さは、展開位置における第4化粧料収納皿20Dとの位相差を規定するものであり、第4化粧料収納皿20Dの円弧状溝28の延在方向の長さは、展開位置における第2壁部14との位相差を規定するものである。全ての化粧料収納皿20A~20Dを均等に開く構成とする場合には、これら第2化粧料収納皿20B~第4化粧料収納皿20Dの各円弧状溝28は、第1化粧料収納皿20Aの円弧状溝28と同形同大に形成される。
【0044】
以上の構成を有する化粧料用容器1は、
図1~
図3に示すように、化粧料2が収容された第1~第4化粧料収納皿20A~20Dを第2壁部14の第1支持軸16Aと第2支持軸16Bとの双方に取り付けた後、第2壁部14に第1壁部12を取り付けることにより、組み立てられる。
【0045】
[化粧料用容器の使用方法]
次に、第1実施形態に係る化粧料用容器1の使用方法について、
図1、
図2及び
図6を用いて説明する。まず、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、
図2に示すように、第1支持軸16Aに取り付けられた第1~第4化粧料収納皿20A~20Dと第2支持軸16Bに取り付けられた第1~第4化粧料収納皿20A~20Dとの双方を容器本体10に収納させることで、かばん等に入れて持ち運ばれる。
【0046】
この収納状態においては、
図6(a)に示すように、第1化粧料収納皿20Aの円弧状溝28に第2化粧料収納皿20Bの係合突起29が挿入され、第2化粧料収納皿20Bの円弧状溝28に第3化粧料収納皿20Cの係合突起29が挿入され、第3化粧料収納皿20Cの円弧状溝28に第4化粧料収納皿20Dの係合突起29が挿入され、第4化粧料収納皿20Dの円弧状溝28に第2壁部14の係合突起15が挿入されている。また、この収納状態においては、上述した収納時ロック機構(第1壁部12及び第1化粧料収納皿20Aに設けられた磁石等)により、意図せず第1~第4化粧料収納皿20A~20Dが展開されないようになっている。
【0047】
[展開動作]
その後、必要に応じた任意のタイミングで、
図1に示すように、第1支持軸16Aに取り付けられた第1~第4化粧料収納皿20A~20Dと第2支持軸16Bに取り付けられた第1~第4化粧料収納皿20A~20Dとの双方又はいずれか一方を容器本体10から引き出して展開させ、化粧直し等を行う。
【0048】
この場合における第1~第4化粧料収納皿20A~20Dの展開動作は、第1化粧料収納皿20Aの摘み部23を把持して該第1化粧料収納皿20Aのみを回動させることで行われる。具体的には、
図6(a)に示す収納状態から第1化粧料収納皿20Aを展開方向に向けて回動させることで、
図6(b)に示すように、第1化粧料収納皿20Aの円弧状溝28の収納方向側の壁部28a(展開時当接部)に第2化粧料収納皿20Bの係合突起29が係合し、
図6(c)に示すように、そのまま第1化粧料収納皿20Aを展開方向に向けてさらに回動させることで、第2化粧料収納皿20Bが第1化粧料収納皿20Aに引っ張られて展開方向へ回動する。
【0049】
そして、この従動的に回動する第2化粧料収納皿20Bの円弧状溝28の展開時当接部に第3化粧料収納皿20Cの係合突起29が係合し、
図6(d)に示すように、そのまま第1化粧料収納皿20Aを展開方向に向けてさらに回動させることで、第3化粧料収納皿20Cが第2化粧料収納皿20Bに引っ張られて展開方向へ回動する。さらに、同様に、この従動的に回動する第3化粧料収納皿20Cの円弧状溝28の展開時当接部に第4化粧料収納皿20Dの係合突起29が係合し、そのまま第1化粧料収納皿20Aを展開方向に向けてさらに回動させることで、第4化粧料収納皿20Dが第3化粧料収納皿20Cに引っ張られて展開方向へ回動する。
【0050】
そして、この従動的に回動する第4化粧料収納皿20Dの円弧状溝28の展開時当接部に第2壁部14の係合突起15が係合することで、第4化粧料収納皿20Dの回動が停止され、これに伴って、第3化粧料収納皿20C、第2化粧料収納皿20B及び第1化粧料収納皿20Aの回動が停止される。また、この展開状態において、第1化粧料収納皿20Aの嵌合凹部25に第1壁部12の嵌合突起13が嵌まり込み、第1~第4化粧料収納皿20A~20Dの展開状態が維持される。このように第1~第4化粧料収納皿20A~20Dが支持軸16A,16Bを中心としてバタフライ状(扇状)に展開した状態において、化粧直し等の使用に供される。
【0051】
[収納動作]
その後、第1~第4化粧料収納皿20A~20Dを容器本体10内に収納させる動作も、第1化粧料収納皿20Aの摘み部23を把持して該第1化粧料収納皿20Aのみを回動させることで行われる。具体的には、展開位置にある第1化粧料収納皿20Aを収納方向に向けて回動させることで、第1化粧料収納皿20Aの円弧状溝28の展開方向側の壁部28b(収納時当接部)に第2化粧料収納皿20Bの係合突起29が係合し、そのまま第1化粧料収納皿20Aを収納方向に向けてさらに回動させることで、第2化粧料収納皿20Bが第1化粧料収納皿20Aに引っ張られて収納方向へ回動する。そして、更に第1化粧料収納皿20Aを収納方向に向けて回動させることで、同様に、第3化粧料収納皿20Cが第2化粧料収納皿20Bに引っ張られて収納方向へ回動し、その後、第4化粧料収納皿20Dが第3化粧料収納皿20Cに引っ張られて収納方向へ回動する。
【0052】
そして、この従動的に回動する第4化粧料収納皿20Dの円弧状溝28の収納時当接部に第2壁部14の係合突起15が係合することで、第4化粧料収納皿20Dの回動が停止され、これに伴って、第3化粧料収納皿20C、第2化粧料収納皿20B及び第1化粧料収納皿20Aの回動が停止される。これにより、上述した収納状態となり、かばん等に入れて持ち運ぶことが可能となる。
【0053】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、複数の化粧料収納皿20A~20Dのうち、第1壁部12に隣接して配置される第1化粧料収納皿20Aの下面(第2壁部14側の面)に円弧状溝28が形成され、第1化粧料収納皿20Aよりも第2壁部14側に配置される第2~第4化粧料収納皿20B~20Dの下面(第2壁部14側の面)に円弧状溝28が形成されると共に、その上面(第1壁部12側の面)に係合突起29が設けられ、さらに、第2壁部14に係合突起15が設けられている。
【0054】
このような構成を備える化粧料用容器1によれば、第1化粧料収納皿20Aを回動させるだけで、支持軸16A,16Bを中心として全ての化粧料収納皿20A~20Dをバタフライ状(扇状)に展開させたり、互いに重ね合わせた状態で容器本体10内に収納させたりすることが可能となるため、特許文献1の化粧料用容器のような各化粧料収納皿が独立して回動するものと比較して、操作性に優れている。また、第1実施形態に係る化粧料用容器1によれば、展開動作中、展開状態における使用中、収納動作中及び携帯中のいずれにおいても、各化粧料収納皿20A~20Dの上面や下面に触れる必要がないため、化粧料が手に付着する等の煩わしさが無く、この点においても操作性に優れている。さらに、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、全ての化粧料収納皿20A~20Dを容器本体10内に収納させることによりかばん等に入れて持ち運ぶことが可能となるため、携帯性にも優れている。またさらに、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、全ての化粧料収納皿20A~20Dをバタフライ状(扇状)に展開させるものであるため、遊び性及び意匠性にも優れている。
【0055】
特に、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、第1化粧料収納皿20Aが展開位置に位置する状態において、該第1化粧料収納皿20Aの収納方向への回動に対して抵抗を与える展開時ロック機構を備えている。このような化粧料用容器1によれば、第1化粧料収納皿20Aを展開位置においてロックするだけで全ての化粧料収納皿20A~20Dの展開状態を維持し、意図せず各化粧料収納皿20A~20Dが収納方向へ回動して収納されたり、隣接する化粧料収納皿同士が重なったりする事態を抑制することが可能となるため、より操作性に優れた化粧料用容器とすることができる。
【0056】
また、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、このような展開時ロック機構を、第1壁部12に設けられた嵌合突起13と、第1化粧料収納皿20Aに形成された嵌合凹部25との凹凸嵌合構造より実現しているため、構造を簡素化することが可能となり、製造コストを抑えることが可能となる。
【0057】
さらに、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、第1化粧料収納皿20Aが収納位置に位置する状態において、該第1化粧料収納皿20Aの展開方向への回動に対して抵抗を与える収納時ロック機構を備えている。このような化粧料用容器1によれば、第1化粧料収納皿20Aを収納位置においてロックするだけで全ての化粧料収納皿20A~20Dの収納状態を維持し、意図せず各化粧料収納皿20A~20Dが展開方向へ回動する事態を抑制することが可能となるため、より携帯性に優れた化粧料用容器とすることができる。
【0058】
また、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、容器本体10が長手方向を有する長尺状、より具体的にはペン型に形成されているため、究極的にコンパクトで持ち運び易く、使用時においても手にフィットし易いという利点を有している。
【0059】
さらに、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、複数の化粧料収納皿20A~20Dが第1支持軸16A及び第2支持軸16Bの双方に設けられているため、1本の支持軸にのみ化粧料収納皿20A~20Dが設けられる場合と比較して、容器本体10の厚さを維持しつつ化粧料収納皿20A~20Dの枚数を2倍にすることが可能となり、これにより、1つの化粧料用容器1に収容させる化粧料2の数や種類を2倍にすることが可能となる。特に、第1実施形態に係る化粧料用容器1は、容器本体10の長手方向の一方側及び他方側に支持軸16A,16Bを設け、2組の化粧料収納皿20A~20Dを容器本体10の長手方向に沿って一列に並べる構成としたことにより、化粧料収納皿20A~20Dの枚数を増やしつつ、上述したペン型の化粧料用容器1とすることが可能となる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る化粧料用容器1´について、
図7を用いて説明する。なお、第2実施形態に係る化粧料用容器1´において、第1壁部12以外の構成については、第1実施形態に係る化粧料用容器1と同一の構成を採用可能であるため、共通する構成に関する説明は省略する。
【0061】
第2実施形態に係る化粧料用容器1´の第1壁部12´は、
図7に示すように、化粧料塗布具30A,30Bを収納可能な塗布具収納凹部32と、該塗布具収納凹部32を覆う開閉可能な蓋部材34とを備えている。
【0062】
塗布具収納凹部32は、第1壁部12´の外縁全域から上方に向けて延出したフランジ33により囲まれた凹部領域であり、化粧料塗布具30A,30Bを収納可能な形状及び大きさを有している。塗布具収納凹部32に収納される化粧料塗布具30A,30Bは、例えば、パフ、スポンジ、ブラシ、チップ等の化粧具が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
蓋部材34は、ヒンジ部36を介してフランジ33に取り付けられており、該ヒンジ部36によって、塗布具収納凹部32を閉塞した閉じ状態と、塗布具収納凹部32を開放した開き状態との間において開閉自在に構成されている。蓋部材34は、その内面(塗布具収納凹部32側の面)の略全域に、鏡面38を有している。蓋部材34及びフランジ33には、互いに磁力により接着する磁石(図示せず)が設けられており、閉じ状態において容易に開かないよう構成されている。なお、フランジ33に対する蓋部材34の固定は、磁石に限定されるものではなく、例えば嵌合突起及び嵌合凹部からなる凹凸嵌合構造や、がま口の口金構造や、フック構造等の任意の構造を採用可能である。
【0064】
以上の構成を備える第2実施形態に係る化粧料用容器1´においても、第1実施形態に係る化粧料用容器1と同様に、携帯性及び操作性に優れている。また、第2実施形態に係る化粧料用容器1´は、塗布具収納凹部32及び蓋部材34を備えることにより、第1実施形態に係る化粧料用容器1と同等の収容力(化粧料収納皿20A~20Dの枚数)を維持しつつ、化粧料塗布具30A,30Bも一緒に携帯することが可能となるため、更に優れた携帯性及び操作性を有する。さらに、第2実施形態に係る化粧料用容器1´は、蓋部材34に設けられた鏡面38を用いて化粧直し等を行うことが可能となるため、操作性に更に優れると共に、鏡を別途持ち運ぶ必要がなくなるため、携帯性にも更に優れている。
【0065】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る化粧料用容器1´´について、
図8を用いて説明する。第3実施形態に係る化粧料用容器1´´は、第2支持軸16Bに鏡部材40及び塗布具保持部材42が軸支されている点を除き、第1実施形態に係る化粧料用容器1と同一の構成を採用可能であるため、共通する構成に関する説明は省略する。なお、
図8は、化粧料用容器1´´を背面方向から見た状態の図であり、図中左側に位置する支持軸が第1支持軸16Aであり、図中右側の支持軸が第2支持軸16Bである。
【0066】
第3実施形態に係る化粧料用容器1´´の第1支持軸16Aには、第1実施形態に係る化粧料用容器1の第1支持軸16Aと同様に、複数の化粧料収納皿20A~20Dが軸支されている。一方、第2支持軸16Bには、第1実施形態に係る化粧料用容器1の第2支持軸16Bとは異なり、鏡部材40及び塗布具保持部材42が軸支されている。
【0067】
鏡部材40は、
図8に示すように、各化粧料収納皿20A~20Dと概ね同形同大の樹脂製の板材からなり、一端部に第2支持軸16Bが挿通される軸孔(図示せず)を有すると共に、その上面(第1壁部12側の面)の略全域に鏡面41を有している。鏡部材40は、鏡面41が容器本体10の第2収納空間内に収納された収納位置と、該第2収納空間から側方開口を介して引き出され、鏡面41が露出された展開位置との間において回動可能となるよう、第2支持軸16Bに軸支されている。
【0068】
塗布具保持部材42は、一端部に、第2支持軸16Bが挿通される軸孔(図示せず)を有し、他端部に、化粧料塗布具30を着脱自在に保持可能な保持凹部43を有している。保持凹部43に収納される化粧料塗布具30は、例えば、パフ、スポンジ、ブラシ、チップ等の化粧具が例示されるが、これらに限定されるものではない。塗布具保持部材42は、化粧料塗布具30が容器本体10の第2収納空間内に収納された収納位置と、該第2収納空間から側方開口を介して化粧料塗布具30が引き出された展開位置との間において回動可能となるよう、第2支持軸16Bに軸支されている。この塗布具保持部材42は、鏡部材40と独立して回動可能に構成されている。
【0069】
以上の構成を備える第3実施形態に係る化粧料用容器1´´においても、第1実施形態に係る化粧料用容器1と同様に、携帯性及び操作性に優れている。また、第3実施形態に係る化粧料用容器1´´は、塗布具保持部材42を備えることにより、第1実施形態に係る化粧料用容器1と同等のコンパクト性(容器本体10のサイズ)を維持しつつ、化粧料塗布具30も一緒に携帯することが可能となるため、更に優れた携帯性及び操作性を有する。さらに、第3実施形態に係る化粧料用容器1´´は、鏡部材40に設けられた鏡面41を用いて化粧直し等を行うことが可能となるため、操作性に更に優れると共に、鏡を別途持ち運ぶ必要がなくなるため、携帯性にも更に優れている。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態として第1~第3実施形態を例示して説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0071】
例えば、上述した第1~第3実施形態では、第1化粧料収納皿20Aの収納方向への回動に対して抵抗を与える展開時ロック機構と、第1化粧料収納皿20Aの展開方向への回動に対して抵抗を与える収納時ロック機構とを備えるものとして説明したが、これに限定されず、展開時ロック機構及び収納時ロック機構の一方のみを備える構成としても良いし、これら展開時ロック機構及び収納時ロック機構の双方を備えない構成としても良い。
【0072】
また、上述した第1~第3実施形態では、容器本体10が長手方向を有する長尺状に形成されるものとして説明したが、これに限定されず、容器本体10の形状は任意に変更可能である。
【0073】
さらに、上述した第1~第3実施形態では、支持軸16A,16Bが2本設けられ、これら2本の支持軸16A,16Bの双方又は一方に複数の化粧料収納皿20A~20Dが軸支されるものとして説明したが、これに限定されず、支持軸が1本のみ設けられる構成としても良いし、支持軸が3本以上設けられる構成としても良い。また、支持軸の位置も、任意に変更可能である。さらに、上述した第1~第3実施形態では、支持軸16A,16Bに軸支される化粧料収納皿の枚数が4枚であるものとして説明したが、これに限定されず、化粧料収納皿の枚数は任意に変更可能である。
【0074】
またさらに、上述した第1~第3実施形態では、第1化粧料収納皿20Aを手動で回動させるものとして説明したが、これに限定されず、例えば容器本体10の内部にばね等の付勢手段を設け、ロックボタン等の操作により複数の化粧料収納皿が自動的に飛び出す構造としても良い。また、上述した第1~第3実施形態では、第1化粧料収納皿20Aを手動で回動させて第2~第4化粧料収納皿20B~20Dを第1化粧料収納皿20Aに従動させるものとして説明したが、これに限定されず、例えば第4化粧料収納皿20Dを手動で回動させて第1~第3化粧料収納皿20A~20Cを第4化粧料収納皿20Dに従動させる構成としても良い。
【0075】
また、上述した第1~第3実施形態では、容器本体10が側壁17A,17B及び仕切り壁18を備えるものとして説明したが、これに限定されず、これら側壁17A,17B及び仕切り壁18の一方又は双方を備えない構成としても良い。これら側壁17A,17B及び仕切り壁18を備えない容器本体においても、第1壁部12及び第2壁部14間の空間が、複数の化粧料収納皿20A~20D等の部材を出し入れ自在に収納可能な収納空間となる。
【0076】
さらに、上述した第1~第3実施形態では、第1壁部12に嵌合突起13が設けられ、第1化粧料収納皿20Aに嵌合凹部25が設けられるものとして説明したが、これに限定されず、第1壁部12に嵌合凹部25が設けられ、第1化粧料収納皿20Aに嵌合突起13が設けられる構成としても良い。
【0077】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0078】
1,1´,1´´ :化粧料用容器
2 :化粧料
10 :容器本体
12,12´ :第1壁部
13 :嵌合突起
14 :第2壁部
15 :係合突起
16A :第1支持軸
16B :第2支持軸
17A :第1側壁
17B :第2側壁
18 :仕切り壁
20A :第1化粧料収納皿
20B :第2化粧料収納皿
20C :第3化粧料収納皿
20D :第4化粧料収納皿
22 :軸孔
23 :摘み部
24 :化粧料収容部
25 :嵌合凹部
26 :案内溝
27 :磁石
28 :円弧状溝
28a :円弧状溝の収納方向側の壁部(展開時当接部)
28b :円弧状溝の展開方向側の壁部(収納時当接部)
29 :係合突起
30,30A,30B :化粧料塗布具
32 :塗布具収納凹部
33 :フランジ
34 :蓋部材
36 :ヒンジ部
38 :鏡面
40 :鏡部材
41 :鏡面
42 :塗布具保持部材
43 :保持凹部