(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】受電機器
(51)【国際特許分類】
B60L 53/12 20190101AFI20230412BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230412BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230412BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20230412BHJP
H02J 50/70 20160101ALI20230412BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20230412BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20230412BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B60L53/12
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J7/10 N
H02J50/70
H02J50/90
B60M7/00 X
B60L5/00 B
(21)【出願番号】P 2019105510
(22)【出願日】2019-06-05
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】向山 真登
(72)【発明者】
【氏名】角谷 勇人
(72)【発明者】
【氏名】木口 拓也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英介
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093589(JP,A)
【文献】特開2018-029096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/12
H02J 50/10
H02J 7/00
H02J 7/10
H02J 50/70
H02J 50/90
B60M 7/00
B60L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(15)の車体下面(16a)に取り付け可能であり、前記車両の走行中において、交流電力が送電される送電コイル(21)を有する送電機器(20)から前記交流電力を受電して蓄電装置(17)に電力を供給する受電機器(30)であって、
前記送電コイルから非接触で受電可能な受電コイル(31)と、
前記受電コイルを収容する筐体(40)と、
前記筐体と前記車体下面との間に少なくとも前記車両の前後方向に開口した空間(S)を形成した状態で、前記筐体を前記車体下面に取り付け可能とする取付部(52)と、を備え
、
前記受電コイルは、矩形状に巻回された平面コイルであり、
前記筐体において前記車体下面に対向する対向面には、前記車体下面に向けて突出する放熱部(53)が設けられており、
前記対向面において、前記車両の前後方向に直交する前記筐体の幅方向において前記受電コイルが前後方向に延びる幅方向両側の部分には、前記車両の前後方向に延び、かつ前記幅方向に並ぶ複数の前記放熱部が設けられ、前記幅方向両側の部分の間の中間部分であって、かつ前記受電コイルの中空部に上下方向に重なる部分には、前記放熱部が設けられていない受電機器。
【請求項2】
前記取付部は、前記車両の前後方向に直交する前記筐体の幅方向において少なくとも2か所に設けられ、前記車両の前後方向に延びる突状部である請求項1に記載の受電機器。
【請求項3】
前記筐体は、上面側に配され、前記受電コイルの生成するノイズの漏えいを抑制可能な金属製のシールド部(50)を有している請求項1
又は請求項2に記載の受電機器。
【請求項4】
前記受電コイルの導線を位置決めする溝(32a)が設けられた樹脂製のボビン(32)を備えており、
前記筐体は、前記ボビンとの間に前記導線を挟み込む樹脂製のカバー(41)を有しており、
前記カバーが前記送電コイル側に配されている一方、前記ボビンが前記シールド部側に配されている請求項
3に記載の受電機器。
【請求項5】
前記筐体には、前記筐体と前記車体下面との間に形成された前記空間に前記車両の走行風を誘導する誘導部(42)が設けられている請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の受電機器。
【請求項6】
前記筐体には、前記車体下面と前記筐体との間に形成された空間の開口を閉鎖可能な閉鎖部(54)が設けられている請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の受電機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体下面に取り付け可能であり、送電機器から非接触で交流電力を受電する受電機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車等を充電する際に、電源コードや送電ケーブルを用いずに非接触で相手側に電力伝送する非接触電力伝送装置として、磁界共振や電磁誘導を用いたものが知られている。電気自動車等の充電のためには、大電力を送受電する必要があり、損失、つまり発熱も大きなものとなりやすい。そのため、受電機器に冷却装置を設けることがある。例えば、特許文献1の冷却装置は、非接触受電装置の筐体の外側に設けられ、この筐体から熱が伝えられる。そして、冷却装置には、その内部に水を流すための流路が設けられており、筐体から伝わった熱が水に放出され、非接触受電装置が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水冷式の冷却装置により受電機器を冷却する構成では、冷却水の取り回しが煩雑であるとともに、冷却装置が大きなものとなりやすい。また、車両底部に大容量のバッテリパックを敷き詰めた近年の電気自動車において、車両底部に非接触受電装置を設けた場合には、非接触受電装置やその冷却装置からバッテリパックに熱が伝わり、バッテリの高温劣化を引き起こすおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、大電力を受電する受電機器であって、放熱効率を向上させた受電機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本手段は、車両(15)の車体下面(16a)に取り付け可能であり、前記車両の走行中において、交流電力が入力される送電コイル(21)を有する送電機器(20)から前記交流電力を受電して蓄電装置(17)に電力を供給する受電機器(30)であって、前記送電コイルから非接触で受電可能な受電コイル(31)と、前記受電コイルを収容する筐体(40)と、前記筐体と前記車体下面との間に少なくとも前記車両の前後方向に開口した空間(S)を形成した状態で、前記筐体を前記車体下面に取り付け可能とする取付部(52)と、を備える。
【0007】
道路の路面に埋設あるいは敷設された送電機器から車両の走行中に受電する受電機器では、走行時の消費電力と同等以上の電力を車両に供給することが望ましい。しかしながら、このような大電力を非接触で受電する場合、損失(発熱)も大きなものとなりやすい。また、電気自動車では車両の底部(車体下面付近)に大容量のバッテリパック(蓄電装置)を敷き詰めることがあり、車両の車体下面に取り付けられた受電機器の熱がバッテリパックに伝わると、バッテリの高温劣化を引き起こすおそれがある。
【0008】
そこで、受電コイルを収容する筐体と車両の車体下面との間に、少なくとも前後方向に開口した所定間隔の空間を形成した状態、すなわち、筐体を車両の車体下面から浮かした状態で受電機器を取り付け可能な構成とした。本手段の受電機器では、車両の走行中に送電機器側からの交流電力を受電する構成となっており、その走行中において、筐体と車体下面との間を通る走行風による冷却が可能となっている。この場合、筐体の下面(道路側の面)だけでなく、車体下面との間の面からも放熱が可能となり、放熱効率(冷却効率)を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態における非接触電力伝送装置の概略構成図
【
図5】取付面とシールド本体部との間の高さと受電機器の温度との関係を示す図
【
図6】本実施形態の構成と従来の構成における受電機器の温度を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
本実施形態は、車両に搭載された受電機器を対象にしている。以下の説明において、車両の前後方向、つまり
図1における左右方向を前後方向とし、車両の上下方向、つまり
図1における上下方向を上下方向とし、この前後方向及び上下方向に直交する方向を左右方向として説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における非接触電力伝送装置10の概略構成図である。車両15は、例えば、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド自動車)といった電動の車両駆動装置(駆動モータ等)で走行する自動車である。
【0012】
送電機器20は、車両15に搭載された受電機器30に対して非接触の状態で、交流電力の送電(給電)を行う。送電機器20は、道路Gに埋設又は道路Gから露出するように道路G上に敷設される。送電機器20は、例えば車両15の走行する道路Gに、車両15の進行方向に沿って複数並んで埋設されている。また、送電機器20は、車両15の走行中に送電する。
【0013】
送電機器20は、送電コイル21を備えている。送電コイル21は、フェライトコア等の心材に導線(例えばリッツ線)が例えば平面状に巻かれることで形成されている。送電コイル21は、平面状に巻かれた導線の並ぶ方向が道路Gの路面と平行になるように配されている。
【0014】
受電機器30は、送電コイル21から非接触で交流電力を受電可能な受電コイル31を備えている。受電コイル31を収容した受電機器30の筐体40は、車体下面である車両15の底部16に位置する取付面16aに取り付けられている。受電コイル31は、平面状に巻かれた導線31aの並ぶ方向が道路Gの路面と平行になっている。これにより、受電コイル31は、送電コイル21に平行に対向するように配される。受電機器30は、車両15の前輪と後輪の間であって、車両15の左右の車輪の間の位置に取り付けられている。なお、底部16は、車両15の車室を形成する床部やアンダーカバー等、車体下面(取付面16a)を含む車両15の下方に位置する部分を示している。
【0015】
受電機器30で受電した電力は、蓄電装置であるバッテリパック17に供給される。バッテリパック17は、例えば二次電池(リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等)である。バッテリパック17は、受電機器30から供給される電力を蓄えて、車両駆動装置へ電力を供給する。バッテリパック17は、車両15の底部16に敷き詰められている。
【0016】
図2は、車両15の取付面16aに取り付けられた状態での受電機器30の概略断面図である。受電機器30は、受電コイル31と、受電コイル31の導線31aが巻回されるボビン32と、鉄心としてのフェライトコア33と、これら受電コイル31等を収容する筐体40とを備えている。
図1及び
図2に示すように、筐体40は、直方体状になっている。筐体40は、ボビン32等の下面を覆う樹脂製のカバー41と、受電コイル31の生成するノイズの車両15側への漏えいを抑制するシールド部50とを備えている。
【0017】
図3は、受電コイル31の概略構成図である。
図2及び
図3に示すように、受電コイル31は、導線31a(例えばリッツ線)が平面状に巻回されていることで形成されており、筐体40の形状に合わせた矩形状の平面コイルとなっている。受電コイル31は、その導線31aが前後方向に延びる幅方向両側の部分A1と、幅方向両側の部分A1の間の中間部分A2とを有している。受電コイル31の導線31aは、樹脂製のボビン32に形成された溝32aに沿って巻回されることで位置決めされている。
【0018】
カバー41は、筐体40の下面を形成しており、受電コイル31と送電コイル21との間の電力の伝送(磁束の通過)の妨げとならない樹脂で形成されている。カバー41は、シールド部50に固定可能になっており、ボビン32を覆うことができる大きさとなっている。また、カバー41は、ボビン32及び受電コイル31等を支持可能な板厚を有している。そして、ボビン32とカバー41とで挟み込むことで、受電コイル31の導線31aは固定されている。
【0019】
ボビン32は、導線31aを挟んでシールド部50側に配されている。また、ボビン32の溝32aに入った状態で導線31aが巻回されている。これにより、導線31aとの接触面積の大きいボビン32が、伝熱性の高いシールド部50側に配されることになる。そのため、導線31aでの発熱は、ボビン32を介してシールド部50側に伝わる。
【0020】
また、受電コイル31の上側には、フェライトコア33が配されている。フェライトコア33は、高透磁率、低導電率の材料であるフェライトにより形成されている。なお、フェライトコア33は、ボビン32よりも伝熱性が高く、受電コイル31の熱がシールド部50に伝わる妨げにならない。なお、受電コイル31及びボビン32の少なくとも一部が、フェライトコア33を介さず直接シールド部50に接触していてもよい。
【0021】
図4は、シールド部50の概略斜視図である。シールド部50は、ノイズを車両15側に漏えいを抑制するために、例えば漏れ磁束等により車両15側で過電流が発生することを抑制するために設けられている。シールド部50は、非磁性の金属製、例えばアルミ製であって、所定の厚さを有する平板状のシールド本体部51を有している。シールド本体部51は、受電コイル31から伝わった熱を放熱し、受電機器30を冷却するための冷却部材としても機能する。
【0022】
シールド本体部51の前後方向に直交する幅方向(左右方向)の両端部には、取付部52が設けられている。取付部52は、前後方向に板状に延びる突状部である。これにより、車両15の取付面16aとシールド本体部51との間に、前後方向に開口した空間S、つまり前後方向に延びる流路が形成される。また、取付部52は、シールド本体部51と車両15の取付面16aとの間に所定の空間寸法hを確保可能な上下寸法を有している。つまり、取付部52は、シールド本体部51から空間寸法hの分上方に突出している。なお、車両15の取付面16aには、受電機器30の取付部52のみが接しており、受電機器30は、車両15の取付面16aから浮いた状態で取り付けられている。
【0023】
なお、シールド本体部51と車両15の取付面16aとの間に形成された空間Sの空間寸法hは、5mm以上であることが望ましい。
図5は、取付面16aとシールド本体部51との間の空間寸法hと受電機器30の温度との関係を示す図である。発明者の実験の結果、空間寸法hが5mm以上で概ね受電機器30の温度値が収束しており、所望以上の放熱効率の向上が見込まれることが発見された。そのため、空間寸法hが5mm以上であるとよい。
【0024】
また、
図4に示すように、取付部52には、車両15の底部16に受電機器30を固定するためのボルトを挿通するボルト挿通孔52aが設けられている。取付部52が前後方向に延びていることで、ボルト挿通孔52aも前後方向に並ぶように複数(本実施形態では3つ)設けられている。また、取付部52が前後方向に延びていることで、取付部52と取付面16aとの接触面積が増え、複数個所で固定できるため、固定する1箇所あたりの荷重を分散できる。なお、取付部52にかかる荷重には、一枚板で所定の厚さを有するシールド本体部51や受電コイル31等の重さがある。これらの荷重を支持するため、固定するためのボルトが比較的大きなものとなっており、ボルト挿通孔52aも大きくなる。そして、ボルト挿通孔52aが形成された取付部52も所定の幅を有している。
【0025】
筐体40の上面および下面のうち上面つまり取付面16aに対向する対向面に、取付面16aに向けて突出する放熱部である薄板状の放熱フィン53が設けられている。仮に筐体40の下側に放熱フィンを設けたとすると、車両15の取付面16aからの下方への突出量が増え好ましくない。また、仮に筐体40の下側に放熱フィンを設けたとすると、道路G上の異物等に接触する等して破損のおそれが高い。そこで、シールド本体部51の上面に、前後方向に延びる放熱フィン53が設けられている。放熱フィン53は、幅方向の全域に均等間隔で設けられている。放熱フィン53は、走行風の流路を形成している。放熱フィン53の間を走行風が通過することで、シールド部50と走行風とが接する面積を増やすことができ、冷却効率(放熱効率)を向上されることができる。なお、放熱フィン53の高さ(上下方向の寸法)は、取付部52の高さ(空間寸法h)よりも低くなっており、放熱フィン53の上面からも放熱が行われる。また、放熱部は、薄板状でなく、柱状であってもよい。
【0026】
次に、本実施形態の受電機器30で、どの程度の冷却効率が見込めるかを、従来の構成と比較して説明する。比較例としての従来の受電機器では、シールド本体部51が直接取付面16aに接触している構成とする。つまり、従来の受電機器と車両15の取付面16aとの間には、空間は設けられていない。なお、シールド部以外のその他の構成は、本願の構成と類似である。
【0027】
従来の構成においては、受電機器の放熱は、主に受電機器の下面から行われていた。しかしながら、受電機器の下面は、送電機器20との電力の送受電のために、樹脂で形成されており、放熱性があまり良くない。また、仮に下面側に部分的に冷却用の金属面や放熱フィン等を形成すると、金属部分が磁束の経路となり加熱されてしまい、受電コイル31の放熱には寄与しない。更に、受電機器の上方には、バッテリパック17が設けられている。そのため、受電機器の熱がバッテリパック17に伝わると、バッテリパック17が高温劣化するおそれがある。
【0028】
そこで、本実施形態では、受電機器30と車両15の取付面16aとの間に、空間Sが設けられている。具体的には、伝熱性の高い、つまり放熱性の高い金属製のシールド本体部51と取付面16aとの間に走行風が通る空間Sが設けられている。これにより、伝熱性の高い金属製のシールド本体部51からの放熱が可能になり、冷却効率を向上させることができる。また、受電機器30と車両15の取付面16aとの接触が、取付部52に限られているため、バッテリパック17に受電機器30の熱が伝わりにくくなっている。
【0029】
図6は、このような本実施形態と従来例との間で、環境温度55℃、走行風26.4m/s(95km/h相当)で、非接触給電により35kW送電した場合における受電機器30での温度である。より具体的には、車両15の取付面16aとの接触位置での温度、つまり本実施形態では、取付部52での温度であり、従来例では、受電機器30の中央部分での温度である。なお、受電コイル31における損失(発熱)は、1.2kW程度である。この場合に、本実施形態の構成では、60.9℃を示しているのに対し、従来の構成では、114.2℃を示している。つまり、本実施形態の構成では、十分な冷却効果を有していることが示されている。
【0030】
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏する。
【0031】
本実施形態では、受電コイル31を収容する筐体40と車両15の取付面16aとの間に、少なくとも前後方向に開口した所定間隔の空間Sを形成した状態、すなわち、筐体40を車両15の底部16から浮かした状態で受電機器30を取り付け可能な構成とした。これにより、車両15の走行中に筐体40と取付面16aとの間を走行風が通るようになる。そのため、筐体40の下面(道路G側の面)だけでなく、取付面16aとの間の面からも放熱が可能となり、冷却効率を向上できる。
【0032】
取付部52が、車両15の前後方向に直交する幅方向において少なくとも2か所に設けられ、前後方向に延びるよう突状部である。これにより、取付面16aと筐体40との間に、前後方向に延びる流路が形成され、走行風により冷却されやすくなる。また、前後方向に延びていることで、取付部52と車両15の取付面16aとの接触面積が大きくなり、取付面16aへの固定が行いやすくなる。
【0033】
また、受電機器30と車両15の取付面16aとの接触を受電機器30の一部である取付部52に限定することにより、受電機器30から車両15側への伝熱を抑制することができる。そのため、車両15の底部16にバッテリパック17が敷き詰められていたとしても、バッテリパック17の高温劣化を抑制できる。
【0034】
受電機器30の筐体40の下面に、放熱フィンを設けると、車両15の取付面16aからの下方への突出量が増える。また、筐体40の下面に放熱フィンを設けると、破損のおそれがある。そのため、筐体40の下面は、放熱フィンを設けるのに適していない。一方、筐体40の上面(取付面16aに対向する対向面)は、放熱フィン53を設けても破損のおそれが少なく、下方への突出量にも影響しない。そこで、筐体40の上面に、放熱フィン53を設ける構造とした。これにより、放熱フィン53により筐体40が走行風と接する面積を増やすことができ、冷却効率を向上させることができる。
【0035】
受電機器30の筐体40の下面は、磁束を通す必要があるため、例えば樹脂などで形成されており、放熱効率が良くない。一方、受電機器30の筐体40の上面側には、ノイズが車両15側に漏えいしないように金属製のシールド部50が設けられている。そして、この金属製のシールド部50と取付面16aとの間に走行風が通る空間Sが設けられている。これにより、伝熱性の高い金属製のシールド部50からの放熱が可能になり、冷却効率を向上することができる。
【0036】
ボビン32がシールド部50側に配されている。また、ボビン32の溝32aに入った状態で導線31aが巻回されている。これにより、導線31aとの接触面積の大きいボビン32が、伝熱性の高いシールド部50側に配されることになる。そのため、導線31aでの発熱は、ボビン32を介してシールド部50側に伝わり、受電機器30の冷却効率を向上することができる。
【0037】
発明者の実験の結果、筐体40と取付面16aとの間の寸法が5mm以上になっていると、所望以上の放熱効率の向上が見込まれることが確認された。そこで、取付部52の上下方向の寸法を、筐体40と取付面16aとの間が5mm以上になるようにしている。これにより、所望の放熱効率を確保することができる。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。
【0039】
・送電コイル21と受電コイル31とを多相化してもよい。例えば、3相に多相化した受電コイル31が互いにずれた状態で、少なくともその一部がシールド本体部51にフェライトコア33等を介して伝熱するようにしてもよい。
【0040】
・
図7に示すように、放熱フィン53は、筐体40の全域ではなく、一部に設けられていてもよい。具体的には、
図7(a)に示すように、受電コイル31の導線31aが配されている部分と受電コイル31の導線31aが配されていない部分とのうち、受電コイル31の導線31aが配されている部分に設けられているとよい。つまり、受電コイル31の配されていない部分には、放熱フィン53が設けられていなくてもよい。
【0041】
受電コイル31の配されている部分と配されていない部分とでは、単位面積当たりの発熱量が異なっている。また、放熱フィン53を筐体40の全域に設けた場合には、その重量が重くなってしまう。そのため、受電機器30を軽量化する必要がある場合には、放熱フィン53を筐体40の全域に設けることは望ましくない。そこで、部分的に放熱フィン53を設けないことで軽量化を図りつつ、放熱フィン53当たりの冷却効率を向上することができる。
【0042】
また、
図7(b)に示すように、筐体40の上面には、前記筐体の幅方向において前後方向に延びる幅方向両側の部分A1とその間の中間部分A2のうち幅方向両側の部分A1に、放熱フィン53が設けられていてもよい。筐体40では、幅方向両側の部分A1とその間の中間部分A2とでは、筐体40の幅方向において発熱量が異なっており、幅方向両側の部分A1での発熱量の方が多い。そこで、幅方向両側の部分A1に放熱フィン53を設けている。これにより、発熱量が多い位置に放熱フィン53を設けることで、重量を軽量化しつつ、放熱フィン53当たりの冷却効率を向上することができる。
【0043】
・
図8に示すように、筐体40と取付面16aとの間に形成された空間Sに走行風を誘導する誘導部42を筐体40に設けていてもよい。具体的には、カバー41の前端部に、下方の方が前方に突出する傾斜面を誘導部42として設けている。これにより、筐体40と取付面16aとの間の空間Sに走行風が誘導され、冷却効率を向上することができる。
【0044】
・
図9に示すように、筐体40と取付面16aとの間に形成された空間Sの開口を閉鎖可能な閉鎖部54を設けてもよい。具体的には、シールド本体部51の前後方向の端部に、例えば回転可能な板状の閉鎖部54を設けてもよい。これにより、受電機器30が受電しておらず放熱が必要ない期間には、閉鎖部54を閉鎖状態とする。放熱が必要ない期間は閉鎖部54を閉鎖状態にすることで、空間Sにゴミや泥等が入って空間Sを塞ぐことを抑制することができる。
【0045】
・受電機器30は、水冷装置を備えていてもよい。具体的には、シールド本体部51の上に筐体40の一部として水冷装置を設けてもよい。この場合には、水冷装置と車両15の取付面16aとの間に空間Sを設けるとよい。これにより、水冷装置による冷却に加えて、空間Sを通過する走行風によって冷却されるため、水冷装置の構造を簡略化できる。また、水冷装置と取付面16aとの間に空間Sが形成されているため、水冷装置からバッテリパック17に伝熱することを抑制できる。
【0046】
・取付部52が前後方向に延びる板状ではなく、ボルト挿通孔52aが設けられた柱状となっていてもよい。また、両端部に限らず、他の位置に設けられていてもよい。また、幅方向(左右)において、2か所以上で取り付けられているとよい。
【符号の説明】
【0047】
15…車両、16…底部、16a…取付面、17…バッテリパック、20…送電機器、21…送電コイル、30…受電機器、31…受電コイル、40…筐体。