(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】カミソリカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B26B 21/14 20060101AFI20230412BHJP
B26B 21/22 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B26B21/14 A
B26B21/22 Z
(21)【出願番号】P 2019112638
(22)【出願日】2019-06-18
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】10-2018-0087847
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505116747
【氏名又は名称】ドルコ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Dorco Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドン イル キム
(72)【発明者】
【氏名】スン ホーン オウ
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-527606(JP,A)
【文献】特表平09-502912(JP,A)
【文献】特表2013-514145(JP,A)
【文献】特表2014-527453(JP,A)
【文献】特表平10-500888(JP,A)
【文献】特開平09-308779(JP,A)
【文献】特表2016-531719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0203451(US,A1)
【文献】特開2005-261544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B21/00-21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカミソリ刃を収容するブレードハウジングと、
剃毛方向を基準に、前記ブレードハウジングに収容した前記複数のカミソリ刃の前方に配置する第1の接触部材と、
前記剃毛方向を基準に、前記ブレードハウジングに収容した前記複数のカミソリ刃の後方に配置する第2の接触部材と、を含むカミソリカートリッジであって、
前記複数のカミソリ刃のそれぞれは、エッジ部と基底部を含み、前記エッジ部は、前記基底部の延長線上に位置せず、
前記複数のカミソリ刃は、第1のカミソリ刃と第2のカミソリ刃を少なくとも含み、
前記第1のカミソリ刃のエッジ部の厚さは、前記第2のカミソリ刃のエッジ部の厚さよりも薄く、
前記第1の接触部材及び前記第2の接触部材と接する接触平面を基準に前記第2のカミソリ刃が有する第2の突出値は、前記接触平面を基準に前記第1のカミソリ刃が有する第1の突出値よりも大きい、カミソリカートリッジ。
【請求項2】
前記第1のカミソリ刃の先端は前記接触平面に達しない、請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項3】
前記第2のカミソリ刃の先端は前記接触平面を通過して突出する、請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項4】
前記第1の突出値は、前記接触平面を基準とした前記第1のカミソリ刃の先端位置であり、
前記第1の突出値は-0.1mm以上である、請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項5】
前記第2の突出値は、前記接触平面を基準とした前記第2のカミソリ刃の先端位置であり、
前記第2の突出値は0.1mm以下である、請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項6】
前記第1のカミソリ刃の剃毛切削力は、前記第2のカミソリ刃の剃毛切削力より5%以上小さい、請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項7】
前記ブレードハウジングにおいて、前記第1のカミソリ刃と前記第2のカミソリ刃は、複数のカミソリ刃の中で互いに隣接して位置する、請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項8】
前記第1のカミソリ刃が有するスパンと前記第2のカミソリ刃が有するスパンは、互いに異なる大きさを有する、請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項9】
カミソリ刃の先端から15μmの位置にて、
前記第1のカミソリ刃の厚さは、4.7μm~5.7μmであり、
前記第2のカミソリ刃の厚さは、5.7μm~6.7μmである、請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【請求項10】
前記第1の接触部材と前記第2の接触部材との間に第3の接触部材をさらに含み、
前記複数のカミソリ刃の中から、前記第1の接触部材と前記第3の接触部材との間の前方領域、および前記第3の接触部材と前記第2の接触部材との間の後方領域にそれぞれ少なくとも一つのカミソリ刃を配置する、請求項1に記載のカミソリカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カミソリカートリッジに関し、より詳しくは、カミソリカートリッジ内に装着するカミソリ刃の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、湿式カミソリで知られている通常のカミソリは、カミソリカートリッジとカミソリハンドルで構成される。前記カミソリカートリッジは、カミソリハンドル対して着脱可能なので、ユーザーは必要に応じてカミソリカートリッジを交換して使用する。また、前記カミソリカートリッジには、複数のカミソリ刃が剃毛方向に沿って配置される。
【0003】
このようなカミソリ刃が有する形状と寸法は、剃毛の品質に大きな影響を与える。一般的に、カミソリ刃は、先端(ultimate tip)に向かって収束する、連続的にテーパー形状となっている。前記先端に最も近接するカミソリ刃の部分はティップエッジ(tip edge)と呼ばれる。ティップエッジが厚く強ければ、摩耗が少なくて寿命が長くなるが、切削力(切削抵抗)が大きくなってタギング(tugging)及び引っ張り現象を増加させ、快適な剃毛を阻害する。逆にティップエッジのプロファイルが薄いと、切削抵抗は小さくなるが破損または損傷する危険や皮膚を切ることが発生する可能性が大きくなり、寿命が短くなる。これにより、切削力、剃毛時の快適性、そして使用寿命を最適に調整したカミソリ刃の先端(cutting edge)を形成する必要がある。
【0004】
一方、このようなカミソリ刃の形状や厚さとともにカミソリ刃の配置もまた剃毛品質に大きな影響を与える。カミソリ刃の配置と関連した因子としては、カミソリ刃の突出値(exposure)とカミソリ刃のスパン(span)を優先的に考慮する。特に、カミソリ刃の突出値は、きれいでありながらも優れた剃毛快適性を提供し、切り傷(nicks and cuts)を最小化するように設計することが望ましい。通常カミソリ刃の突出値とは、カミソリ刃の前方に位置する第1の接触部材の上段とカミソリ刃の後方に位置する第2の接触部材の上段をつないで定義された接触平面(contact plane)を基準に、カミソリ刃のティップエッジの位置を示す相対的な数値である。
【0005】
したがって、カミソリ刃は、カミソリ刃のティップエッジが前記接触平面内にあるニュートラル(neutral)の位置、カミソリ刃のティップエッジが前記接触平面を通過して突出するポジティブ(positive)の位置、またはカミソリ刃のティップエッジが前記接触平面と会わないで後退する(前記接触平面に達しない)ネガティブ(negative)の位置を有する。
【0006】
人間の皮膚は、変形可能で、前記接触平面を通過して移動することもできるので、ネガティブ突出でも剃毛が可能である。一般的に、ポジティブ突出が大きいほど、よりすっきりした剃毛を提供しやすいが、切り傷の危険性もより高まる。一般的な多重刃のカミソリでは、異なるカミソリ刃が異なる様相で突出するように位置する。その結果、カミソリ刃は、皮膚と互いに異なるように接触して異なる速度で磨耗する傾向がある。
【0007】
このように、剃毛時に、快適性と十分な剃毛性能を提供するためには、カミソリ刃の形状及び厚さのみならず、カミソリ刃の突出値も一緒に考慮すべきであり、特にカミソリ刃の形状や厚さと、カミソリ刃の突出値とがどのような相関関係を有するかを十分に考慮すべきである。しかし、従来のカミソリカートリッジにおいて、カミソリ刃の形状や厚さという因子とカミソリ刃の突出値という因子をそれぞれ考慮することはあっても、これら2つの因子間の相関関係や、このような相関関係に起因する剃毛時の快適性や剃毛性能に与える影響を総合的に考慮しないという限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国特許公開公報第2017-0098262号(2017.8.29公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、カミソリ刃の形状や厚さに応じて、カミソリカートリッジに配置するカミソリ刃が適切な突出値を有するようにすることにより、剃毛時の快適性及び剃毛性能を一緒に向上させることである。
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は、薄いカミソリ刃と厚いカミソリ刃を一緒に有するカミソリカートリッジにて、それぞれのカミソリ刃の厚さと配置及び突出値の望ましい相関関係を導出することである。
【0011】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないもう一つの技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の技術的課題を達成するための本発明の一実施例に係るカミソリカートリッジは、複数のカミソリ刃を収容するブレードハウジングと、剃毛方向を基準に、前記ブレードハウジングに収容した前記複数のカミソリ刃の前方に配置する第1の接触部材と、前記剃毛方向を基準に、前記ブレードハウジングに収容した前記複数のカミソリ刃の後方に配置する第2の接触部材とを含む。
【0013】
そして、前記複数のカミソリ刃のそれぞれは、エッジ部と基底部を含み、前記エッジ部は、前記基底部の延長線上に位置しない。
【0014】
また、前記複数のカミソリ刃は、第1のカミソリ刃と第2のカミソリ刃を少なくとも含み、前記第1のカミソリ刃のエッジ部の厚さは、前記第2のカミソリ刃のエッジ部の厚さよりも薄い。
【0015】
また、前記第1の接触部材及び前記第2の接触部材と接する接触平面を基準に前記第2のカミソリ刃が有する第2の突出値は、前記接触平面を基準に前記第1のカミソリ刃が有する第1の突出値よりも大きい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るカミソリカートリッジによると、カミソリカートリッジにて突出値がネガティブである位置に比較的薄いカミソリ刃を配置して皮膚への刺激を減らし、突出値がポジティブな位置に相対的に厚いカミソリ刃を配置して剃毛性能を向上させることにより、全体的に剃毛の快適性および剃毛効率を向上できるという長所がある。
【0017】
また、本発明に係るカミソリカートリッジによると、突出値がポジティブな厚いカミソリ刃に、より多くの負荷が作用するようにすることで、カミソリカートリッジの耐久性の増加により、全体的に性能維持期間と品質保持期間を増加させることができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例に係るカミソリカートリッジの斜視図である。
【
図2】
図1のカミソリカートリッジの中央部を剃毛方向に切り取った縦断面図である。
【
図3a】
図1または
図2に示したカミソリ刃のより具体的な形状を示す図である。
【
図3b】
図1または
図2に示したカミソリ刃のより具体的な形状を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るカミソリ刃に形成したティップエッジの縦断面図である。
【
図5】
図4に示したティップエッジの位置別の厚さの寸法を表示した図である。
【
図6】
図2のカミソリカートリッジから固定クリップを除去し、接触平面を表示してカミソリ刃のティップエッジとの相対的な関係を示す図である。
【
図7】接触平面に対してカミソリ刃の突出値が漸増する実施例を示す図である。
【
図8】接触平面に対してカミソリ刃の突出値が漸減する実施例を示す図である。
【
図9】接触平面に対してカミソリ刃の突出値が千鳥状に形成される実施例を示す図である。
【
図10】接触平面に対してカミソリ刃の突出値が千鳥状に形成される実施例を示す図である。
【
図11】接触平面に対してすべてのカミソリ刃の突出値がネガティブである場合を示す図である。
【
図12】接触平面に対してすべてのカミソリ刃の突出値がポジティブである場合を示す図である。
【
図13】本発明の他の実施例に係るカミソリカートリッジを示す断面図である。
【
図14】カミソリカートリッジで定義するスパンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は添付する図面と共に詳しく後述する実施例を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現するものであり、単に本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0020】
他の定義がない場合は、本明細書で使用するすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解できる意味で使用する。また、一般的に使用する辞書定義の用語は明白に特別に定義されない限り、理想的または過度に解釈されない。
【0021】
本明細書で使用する用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。本明細書では、単数形は、フレーズで特に取り上げない限り、複数形も含む。明細書で使用する「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」は、取り上げた構成要素に加えて一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。以下、添付された図面を参照して本発明の一実施例を詳しく説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施例に係るカミソリカートリッジ100の斜視図である。
【0023】
複数のカミソリ刃10は、一端部にティップエッジを備え、他端部がブレードハウジング8に備えられた安着スロットに装着される。このとき、カミソリ刃10は、一又は二以上の枚数で、剃毛方向に並ぶように配置する。
【0024】
カミソリ刃10がブレードハウジング8から離脱しないようにするために、カミソリ刃10のティップエッジの両側端部を前記ブレードハウジング10に固定する一対の固定クリップ7a、7bが備えられる。このような固定クリップ7a、7bは、カミソリ刃10の前記両側端部を囲みながら、ブレードハウジング8の両側端部の近くに形成された貫通ホールを貫通してブレードハウジング8の下面で曲げられる。
図1の実施例では、固定クリップ7a、7bの前方レッグ(front leg)がブレードハウジング8の前端付近に形成された貫通ホールを貫通し、固定クリップ7a、7bの後方レッグ(rear leg)がブレードハウジング8の後端を囲い込む形(wrap around)になっている。ただし、これに限らず、前端及び後端の両方を囲い込む形や、前端貫通ホールと後端貫通ホールを固定クリップのレッグが貫通し、下面で曲げられる形態もすべて可能である。
【0025】
また、ブレードハウジング8に配置された複数のカミソリ刃10は、前方のガード2および後方のキャップ4によって区画され、ガード2の前方には、カミソリ刃10と平行方向に弾性部材1を配置し、キャップ4の後方には、カミソリ刃10と平行方向に潤滑ストリップ3を配置する。前記弾性部材1は、ユーザーの体毛の剃毛方向に対して略垂直な方向に起立させてカミソリ刃10の切削をより容易にし、前記潤滑ストリップ3は、前記切削後の荒れた肌を滑らかに整える役割をする。ただし、必ずしもこれに限られることなくガード2の前方にカミソリ刃10と平行方向に潤滑ストリップを配置し、キャップ4の後方には、カミソリ刃10と平行方向に弾性部材を配置してもよい。また、ガード2の前方とキャップ4の後方の両方に潤滑ストリップを配置したり、すべてに弾性部材を配置してもよい。
【0026】
図1に、複数のカミソリ刃10は5つとして例示する。しかし、カミソリカートリッジ100に配置するカミソリ刃の枚数はカミソリ刃10の形状及び厚さ、スパン、カミソリカートリッジの大きさ、剃毛の目的などの要因によって多様に変更できる。したがって、これよりも多いか少ない数のカミソリ刃を配置してもよいが、通常の業界で使用するカミソリ刃の枚数は、少なくとも2枚から最大7枚程度である。したがって、カミソリカートリッジはガード2に隣接する前方カミソリ刃と、キャップ4に隣接する後方カミソリ刃を、基本的に含み、この二つのカミソリ刃の間に追加のカミソリ刃をさらに含むものと理解できる。
【0027】
図2は
図1のカミソリカートリッジ100の中央部を剃毛方向に切り取った縦断面図である。
図2を参照すると、図示した5つのカミソリ刃10aないし10eは、安着突起9aないし9eの間に形成されたギャップ(スロット)に挿入する。具体的に、カミソリ刃10aないし10eの前面のうちのエッジ部または曲げ部の一部が前方の安着突起(例えば、カミソリ刃10aについては、安着突起9a)によって支持される。また、カミソリ刃10aないし10eの基底部は、前方及び後方に位置する2つの安着突起(例えば、カミソリ刃10aには、安着突起9a、9b)の間で支持される。
【0028】
カミソリ刃10aないし10eは、このように安着突起によって支持されるとともに、ティップエッジを両側端部から下方に加圧する一対の固定クリップ7a、7bにより、ブレードハウジング8内に強固に取り付けられる。
【0029】
図1または
図2に示したカミソリ刃10のより具体的な形状は、次の
図3a及び
図3bを参照して説明する。
【0030】
まず、
図3aは、本発明の一実施例に係る一体型カミソリ刃の側面図である。
図3aを参照すると、一体型カミソリ刃10は、ブレードハウジングのスロット内に安着する基底部13、前端側にティップエッジ15を備えるエッジ部11、及び基底部13とエッジ部11をつなぎ、前方に曲がる曲げ部12を含んで構成する。このような一体型カミソリ刃の全体的形状寸法には、高さh、奥行きD、曲率半径R及び曲げ角αなどがある。
【0031】
例示的に、一体型カミソリ刃10の高さhは、1.5mmないし5.0mmであり、奥行きDは、0.7mmないし3.0mmであり、曲率半径Rは、0.45mmないし0.9mmであり、曲げ角αは、90°ないし170°である。このような一体型カミソリ刃10は単一のボディで曲げ工程によって製作することができ、必要に応じて厚くまたは薄く設計できる。ここで、前記エッジ部11は、基底部13の延長線上に存在しない。
【0032】
しかし、これに限らず、本発明で使用するカミソリ刃は、
図3bに示すような鋼帯刃40であってもよい。鋼帯刃40は、ブレードハウジングのスロット内に安着するメタル基底部43と、メタル基底部43上で接合され、ティップエッジ15を備えるエッジ部41を含む2つの部材で構成する。前記鋼帯刃40は、一体型ブレード10と同様に、基底部と曲げ部を備え、エッジ部41を支持して接合するためのブレード装着部を備える。このような鋼帯刃40のメタル基底部43は、エッジ部41に比べて厚く形成されてエッジ部41を強固に支持できる。ここで、前記エッジ部41はメタル基底部43の延長線上に存在しない。
【0033】
以下では、本発明で使用するカミソリ刃は、
図3aと同じ一体型カミソリ刃10を中心に説明するが、これに限らず
図3bのような鋼帯刃40、その他ストレート型や他の形態を排除しないのはもちろんである。しかし、一体型カミソリ刃10または鋼帯刃40が皮膚となす角度は、剃毛に有利であり、肌への刺激が少ないため、ストレート型よりも、一体型カミソリ刃10または鋼帯刃40を使用する方がより適している。
【0034】
図4は、本発明の一実施例に係るカミソリ刃10、40に形成されたティップエッジ15の縦断面図である。ティップエッジ15は、最も内側から基材16(substrate)、中間コーティング層18と、外部コーティング層17を含んで構成する。基材16は、典型的にはステンレス鋼で製作するが、他の材料を使用してもよい。また、基材16自体の強度、耐食性を増加させるために硬質コーティング層を基材の外面にさらに含んでもよい。このような硬質コーティング層は、DLCの様な炭素含有物、窒化物、酸化物、またはセラミック材料で形成する。
【0035】
基材16と外部コーティング層17との間に形成する中間コーティング層18は、カミソリ刃10、40の強度を増加させたり基材16に対する外部コーティング層17の接着を促進するために使用する。中間コーティング層18としては、DLCの様な炭素含有物、窒化物、酸化物、セラミックまたはクロム含有材料が使用できる。
【0036】
最後に、ティップエッジ15の外表面には、摩擦を減少させるための外部コーティング層17を形成する。外部コーティング層17は、ポリマー組成物であって、ポリフルオロカーボンないしポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が使用できる。代表的にPTFEは安定分散を起こす小さな粒子で構成される、不燃性、および信頼性の高い乾燥した潤滑剤として作用する。
【0037】
図5は、
図4に示したティップエッジ15の位置別の厚さの寸法を表示した図である。
図5に示すように、ティップエッジ15の先端位置をP0で表示し、前記原点から縦方向での距離iをマイクロメートル(μm)単位で表示した点をPiで表示する。したがって、
図5でP3、P9、P15は、それぞれ原点から縦方向に3μm、9μm、15μmの位置を示す。また、このような各位置での厚さは、ティップエッジ15の横方向の寸法として定義する。例えば、T15とは、P15の位置でティップエッジ15の横方向の寸法(厚さ)を意味する。
【0038】
通常カミソリ刃の剃り性能、強度などの物性は、このようなティップエッジ15の厚さプロファイルによって大きな影響を受けるため、このような厚さプロファイルを多様に設計することで、目的のカミソリ刃の物性を決定できる。
【0039】
本発明の一実施例に係ると、ブレードハウジング8に配置するカミソリ刃は、比較的薄いカミソリ刃と相対的に厚いカミソリ刃を一緒に配置する。ここで、薄いカミソリ刃はティップエッジ15の全体的な位置での厚さ寸法が比較的小さく、全体的に厚さが薄く尖っており、切削力(切削抵抗)及び耐久性が低いカミソリ刃を意味する。同様に厚いカミソリ刃は、ティップエッジ15の全体的な位置での厚さ寸法が比較的大きく、全体的に厚さが厚く、それほど尖っておらず、切削力(切削抵抗)及び耐久性の高いカミソリ刃を意味する。
【0040】
好ましくは、薄いカミソリ刃及び厚いカミソリ刃のそれぞれに対するティップエッジの厚さプロファイルは、次の表1のように設計できる。
【0041】
【0042】
表1に示すように、ティップエッジ15の全体の位置(略P1以上の場所)で厚いカミソリ刃が薄いカミソリ刃より大きな厚さを有する。
【0043】
このように厚いカミソリ刃と薄いカミソリ刃のプロファイルは、Piの位置での厚さ寸法として、全体的に定義することができるが、この中でも、ティップエッジの厚さによるカミソリ刃の全体的な物性の変化に影響を与える重要なポイントは、略P3、P9及びP15と把握される。したがって、このような位置においての厚さを異なるように設計することで、様々な寸法の厚いカミソリ刃及び薄いカミソリ刃を製作できる。
【0044】
このようなカミソリ刃のプロファイルは切削力に直接影響を与える。例えば、表1の厚いカミソリ刃に比べて薄いカミソリ刃は、SHCF(%)が5%以上の値ほど小さく現われ、具体的には略9.36%ほど低く評価される。SHCF(Shaving Hair Cutting Force、剃毛切削力、または剃毛切断力とも言う)は、切削力(切断力)を評価した指標であり、体毛の一本を切断する際に印加される力(gf)を相対的に評価した値である。したがって、SHCFは低いほど小さな力で切削が可能であることがわかる。通常、SHCFは、切削するときの力が小さい場合は「-」で、大きい場合は「+」で表示し、SHCFの差が-5%以上の時に剃毛性能が向上したと判断される。
【0045】
このように、カミソリカートリッジ100に配置された薄いカミソリ刃と厚いカミソリ刃の形状、厚さが1次的な剃毛性能に影響を与えるとともに、個々のカミソリ刃をカミソリカートリッジ100の接触平面に対して配置する方式、すなわち、突出値の設計と同様に大きな影響を与える。特に、カミソリ刃の特性を考慮して、適切な突出値を適応的に選択することが非常に重要である。
【0046】
図6は、
図2のカミソリカートリッジの固定クリップ7a、7bを除去し、接触平面cpを表示してカミソリ刃のティップエッジとの相対的な関係を示す図である。
【0047】
このような接触平面cpは、カミソリ刃の前方に位置する第1の接触部材の上端とカミソリ刃の後方に位置する第2の接触部材の上端をつないで定義された仮想の平面である。このような接触平面cpは、
図6のような断面図ではラインで表示する。カミソリ刃の突出値は、このような接触平面を基準にカミソリ刃のティップエッジの位置を示す相対的な値として、ポジティブ、ニュートラル、ネガティブの3つに区分できる。
【0048】
図6の実施例では、第1の接触部材は前方のガード2であり、第2の接触部材は、後方のキャップ4である。しかし、必ずしもこれに限るものではなく、ガード2が低く形成された場合に、第1の接触部材は弾性部材1であってもよく、キャップ4が低く形成された場合に、第2の接触部材は潤滑ストリップ3であってもよい。最終的には、接触平面は、カミソリカートリッジの構造に応じて、前方接点および後方接点の位置が変わり得るが、カミソリ刃前方の最上点とカミソリ刃の後方の最上点をつないで定義するという点で同じである。
【0049】
図6に配置したカミソリ刃10aないし10eは、少なくとも一つの薄いカミソリ刃および/または少なくとも一つの厚いカミソリ刃を含む。好ましくは、最前方のカミソリ刃10aは薄いカミソリ刃であり、最後方のカミソリ刃10eは厚いカミソリ刃である。最前方のカミソリ刃10aは、剃毛時に一番先に体毛と接触するので、切削力が低い薄いカミソリ刃を配置し、最後方のカミソリ刃10eは、一番最後に体毛と接触するので、切削力が高い厚いカミソリ刃を配置するものである。このような切削力は、前述したSHCFのように体毛を切断する際に使用する摩擦抵抗と同じ概念である。ただし、このような配置方式は、本発明の一実施例としては、必ずしもこれに限定せず、これと異なる他の配置もいくらでも可能である。
【0050】
本発明において、厚いカミソリ刃は、前述した表1に示すように、全体的な領域では、薄いカミソリ刃に比べて厚さが厚いものと定義してもよいが、T15を単一の基準として両者を区別できる。好ましくは、薄いカミソリ刃は、T15が5.2±0.5μmの範囲で、厚いカミソリ刃は、T15が6.2±0.5μmの範囲に属する。したがって、T15を基準に薄いカミソリ刃に対する厚いカミソリ刃の厚さ比は略1.0~1.5であり、好ましくは1.15~1.5である。
【0051】
このように、T15を基準とする理由は、ブレードの切削力及び耐久性がT15の値によって最も影響を受けるほか、体毛を切断する際にティップエッジ15の中でP15以下の部分が切断に最も多く関与するからである。
【0052】
このとき、厚いカミソリ刃(第2のカミソリ刃)の突出値(第2の突出値)は薄いカミソリ刃(第1のカミソリ刃)の突出値(第1の突出値)に比べて大きくなるように設計することが望ましい。一般的に、ティップエッジの厚さが薄いと切削力が低いが(切削抵抗が小さいが)、皮膚刺激を与えうることから、比較的、突出値を小さくすることで、切削を良くしながら、肌への刺激を減少させる。また、ティップエッジの厚さが厚ければ、耐久性が高く、より多くの負荷に余裕があるので、比較的、突出値を大きくすることで、カミソリカートリッジの使用寿命を増加させることができる。
【0053】
より好ましくは、ニュートラルを基準に厚いカミソリ刃はポジティブ突出値を有し、薄いカミソリ刃はネガティブ突出値を有するように設計する。換言すれば、厚いカミソリ刃(第2のカミソリ刃)の先端は前記接触平面を通過して突出し、薄いカミソリ刃(第1のカミソリ刃)の先端は前記接触平面に達しないように設計する。このとき、このような二種類のカミソリ刃の突出値の下限は-0.1mm、上限は+0.1mmに制限する。例えば、厚いカミソリ刃の突出値(第2の突出値)は0.1mm以下にし、薄いカミソリ刃の突出値(第1の突出値)は-0.1mm以上にする。ここで、上記した厚いカミソリ刃(第2のカミソリ刃)の突出値(第2の突出値)は、前記接触平面を基準とした際の厚いカミソリ刃の先端位置と定義することもでき、同様に、上記した薄いカミソリ刃(第1のカミソリ刃)の突出値(第1の突出値)は、前記接触平面を基準とした際の薄いカミソリ刃の先端位置と定義することもできる。
【0054】
このように、カミソリ刃の厚さと突出値が同時に考慮されたカミソリカートリッジの設計は、皮膚刺激を最小限に抑えながらも、十分な剃毛性能を確保し、あわせてカミソリカートリッジ全体の耐久性及び寿命を向上させることに貢献する。
【0055】
以上の数値関係を総合すると、次の数学式1ないし数学式3のように表現できる。まず、数学式1は、P15の位置で厚いカミソリ刃と薄いカミソリ刃の厚さ関係を表現する。このような関係は、突出値とは関わらずカミソリ刃の形状のみによって決定される関係式である。
【0056】
【0057】
ここで、T15Aは薄いカミソリ刃のT15を、T15Bは厚いカミソリ刃のT15をそれぞれ示す。
【0058】
また、厚いカミソリ刃または薄いカミソリ刃のそれぞれについて、P15の位置での厚さと突出値との間の関係は次の数学式2のように表すことができる。つまり、数学式2は、厚いカミソリ刃または薄いカミソリ刃を区別せず、それぞれの突出値がそれぞれのT15とどのような関係を有すべきなのかを表す。このような数学式2によると、突出値がネガティブからポジティブに大きくなるほどT15は次第に大きくすべきであることを意味する。
【0059】
【0060】
ここで、T15は厚いカミソリ刃または薄いカミソリ刃のT15(μm)を意味し、SSPは、それぞれのカミソリ刃の突出値(mm)を意味する。ただし、実際の剃毛性能に適した範囲を考慮し、前記SSPは±10%のマージンを有するものとする。つまり、xは0.9 * SSPないし1.1 * SSPの範囲を有する。しかし、カミソリ刃の製造工程上のエラーのために、実際の製品のT15の値が常に数学式2を満足させることはできなくても、数学式2と近似な値を有する。
【0061】
そして、P15の位置で薄いカミソリ刃に対する厚いカミソリ刃の厚さ比と、突出値との関係は、次の数学式3のように表すことができる。このような数学式3は、突出値の大きさが二つのカミソリ刃間の厚さ比(P15の位置での厚さ比)に及ぼす相関関係を示す。
【0062】
【0063】
ここで、SSP2は厚いカミソリ刃の突出値の大きさ(絶対値)と薄いカミソリ刃の突出値の大きさ(絶対値)の中からより大きな値(mm)を示す。もちろん、接触平面に対して二つのカミソリ刃の突出値が対称になるように設計し、二つの突出値の大きさを同じにすることができるが、異なる大きさの突出値を有する場合には、より大きな突出値がこのような厚さ比と高い相関関係を有するという点が考慮された。このとき、実際の剃毛性能に適した範囲を考慮し、前記SSP2も±10%のマージンを有するものとする。したがって、前記yは0.9 * SSP2ないし1.1 * SSP2の範囲を有する。
【0064】
以上のようなカミソリ刃の厚さと突出値との間の相関関係を考慮した、カミソリ刃の配置に関するさまざまな実施例が以下、
図7ないし
図12に図示されている。前述したように、薄いカミソリ刃は、T15が5.2±0.5μmであるカミソリ刃であり、厚いカミソリ刃は、T15が6.2±0.5μmであるカミソリ刃として定義する。
【0065】
この中で
図7は、接触平面cpに対してのカミソリ刃の突出値が漸増する実施例を示す図である。
図7を参照すると、カミソリカートリッジの前方から後方にかけてカミソリ刃10aないし10eの突出値rないしzは、接触平面cpを基準に徐々に大きくなる。
【0066】
この配置では、カミソリカートリッジの前方に配置した薄いカミソリ刃によって皮膚刺激を減らしながら、低い切削抵抗で適切な剃毛が行われるようにし、後方に配置した厚いカミソリ刃によって十分な支持剛性と耐久性を確保できるようになる。特に、前方のカミソリ刃によって浅いレベルの剃毛がなされた後、後方のカミソリ刃によって深いレベルの剃毛が行われることで、全体的にバランスのとれた剃毛ストロークが提供できる。
【0067】
図7では前方に3枚の同じ薄いカミソリ刃20を配置し、後方に2枚の厚いカミソリ刃30を配置した例を示したが、これに限らず、前方から後方に行くほど厚さが漸増する異なる5つのカミソリ刃を配置してもよい。
【0068】
次に、
図8は、接触平面cpに対するカミソリ刃の突出値が漸減する実施例を示す図である。
図8を参照すると、カミソリカートリッジの前方から後方にかけてカミソリ刃10aないし10eの突出値rないしzは、接触平面cpを基準に徐々に小さくなっている。
【0069】
この配置では、カミソリカートリッジの前方に配置したカミソリ刃によっては、十分な支持剛性と耐久性を確保しつつ、後方に配置したカミソリ刃によっては皮膚刺激を減らしながら、低い切削抵抗で適切な剃毛が行われるようになる。特に、前方のカミソリ刃によって、高い切削力で剃毛がなされた後、後方のカミソリ刃によって、きれいでなめらかな剃毛に仕上げられる。
【0070】
図8は、前方に2枚の同一の厚いカミソリ刃30を配置し、後方に3枚の薄いカミソリ刃20を配置することを例示したが、これに限らず、前方から後方に行くほど厚さが漸減する異なる5つのカミソリ刃を配置してもよい。
【0071】
次に、
図9及び
図10は、接触平面cpに対するカミソリ刃の突出値が千鳥状に形成された実施例を示す図である。
図9及び
図10を参照すると、カミソリカートリッジの前方から後方にかけて薄いカミソリ刃20と厚いカミソリ刃30が交互に配置され、それぞれの突出値も接触平面cpに対してポジティブとネガティブに交代している。この中で、
図9では前方に薄いカミソリ刃20から配置するのに対し、
図10では、前方に厚いカミソリ刃30から配置することのみに違いがある。いずれの場合も、厚いカミソリ刃の突出値はポジティブであり、薄いカミソリ刃の突出値はネガティブで形成する。
【0072】
このように厚いカミソリ刃と薄いカミソリ刃を隣接して交互に配置すると、厚いカミソリ刃が有する剃毛特性と薄いカミソリ刃が有する剃毛特性が相互補完的に作用するため、全体的に剃毛性能が向上する。
【0073】
最後に、
図11及び
図12は、接触平面cpに対するすべてのカミソリ刃の突出値がネガティブまたはポジティブである場合を示している。この中で、
図11はすべてのカミソリ刃が薄いカミソリ刃としてそのティップエッジが接触平面cpの下にある場合(all negative)を示す。このようなネガティブの突出値を有する薄いカミソリ刃によって、皮膚刺激が減少しながらも、低い切削抵抗を有する剃毛可能である。ここではすべての薄いカミソリ刃の厚さ及び突出値が互いに同一である例を示したが、これに限らず、薄いカミソリ刃の厚さを異なるようにする場合には、それに応じて、その突出値も互いに異なるようにしてもよい。
【0074】
一方、
図11とは逆に、
図12は、すべてのカミソリ刃が厚いカミソリ刃としてそのティップエッジが接触平面cpの上にある場合(all positive)を示す。このようなポジティブ突出値を有する厚いカミソリ刃により剃毛時に大きな切削力とともに耐久性が向上する。ここではすべての厚いカミソリ刃の厚さと突出値が互いに同一である例を示したが、これに限らず、厚いカミソリ刃の厚さを互いに異なるようにしている場合には、それに応じて、その突出値も互いに異なるようにしてもよい。
【0075】
図7ないし
図12の中でどの実施例でも、5つのカミソリ刃が有する突出値と厚さT15は、前述した数学式1ないし3のうちの少なくとも一つの数値範囲を満たすように選択できる。ただし、カミソリ刃の個数は5つに限定されず、5つより少なく、または、多くてもよいことはもちろんである。
【0076】
以上の実施例では、カミソリ刃10が前方のガード2と後方のキャップ4との間に配置する、単一の接触平面cp有するカミソリカートリッジ100について説明した。しかし、これに限らず、前方のガード2と後方のキャップ4との間に追加のガード(中間ガード、第3の接触部材)を形成し、2つの接触平面cp1、cp2を有するカミソリカートリッジ110も考慮できる。このように、カミソリカートリッジ110の中央に中間ガードをさらに形成すると、切り傷が減るなど剃毛安全性が増大し、肌密着性を増加させることができる。
【0077】
図13は、本発明の他の実施例に係るカミソリカートリッジ110を示す断面図である。ここで、
図13を参照すると、4枚のカミソリ刃10aないし10dをブレードハウジング8に配置し、前方領域の2枚のカミソリ刃10a、10bと後方領域の2枚のカミソリ刃10c、10dとの間に中間ガード5を設ける。このような中間ガード5は、図示したように、カミソリ刃10aないし10dと類似した形態で安着突起の間に装着してもよく、これに限らず、ブレードハウジング8と一体となった隔壁形態に形成してもよい。
【0078】
したがって、カミソリカートリッジ110は、前方のガード2の上端と中間ガード5の上端と接する第1の接触平面cp1と、中間ガード5の上端と後方のキャップ4の上端と接する第2の接触平面cp2を有する。
【0079】
図13に関連する一実施例によると、前方のガード2と中間ガード5との間に配置したカミソリ刃10a、10bは、比較的薄いカミソリ刃(例えば、T15が5.2±0.5μmである)であり、中間ガード5と後方のキャップ4との間に配置したカミソリ刃10c、10dは、相対的に厚いカミソリ刃(例えば、T15が6.2±0.5μmである)である。この場合に、前方領域の薄いカミソリ刃10a、10bは、突出値が相対的に小さく、後方領域の厚いカミソリ刃10c、10dは、突出値が相対的に大きい。例えば、薄いカミソリ刃10a、10bの突出値は、第1の接触平面cp1を基準にネガティブであり、厚いカミソリ刃10c、10dの突出値は、第2の接触平面cp2を基準にポジティブである。
【0080】
したがって、実際の剃毛の際には、最初に薄いカミソリ刃によって1次切削を行った後、厚いカミソリ刃によって2次切削が行われる。これにより、前方領域の薄いカミソリ刃10a、10bによっては、皮膚刺激を削減しながら、低い切削抵抗で適切な剃毛が行われるようにし、後方に配置した厚いカミソリ刃10c、10dによって十分な切削力及び支持剛性を確保できるようになる。
【0081】
図13に関連する他の実施例によると、前記前方領域及び前記後方領域の中の少なくとも一つの領域に配置したカミソリ刃は、当該領域に対応する接触平面cp1、cp2を基準にネガティブ突出値を有する薄いカミソリ刃(例えば、T15が5.2±0.5μmである)と、前記薄いカミソリ刃の突出値よりも高い突出値を有する厚いカミソリ刃(例えば、T15が6.2±0.5μmである)を含む。
【0082】
より具体的な例としては、前方領域のカミソリ刃10a、10bを薄いカミソリ刃と厚いカミソリ刃の順に(または逆の順に)配置したり、後方領域のカミソリ刃10c、10dも薄いカミソリ刃と厚いカミソリ刃の順に(または逆の順に)配置してもよい。もちろん、この場合にも、薄いカミソリ刃の突出値よりも厚いカミソリ刃の突出値が大きくなるように配置することが望ましい。したがって、第1の接触平面cp1に対して、薄いカミソリ刃10aの突出値よりも厚いカミソリ刃10bの突出値が大きく、同様に第2の接触平面cp2に対しても、薄いカミソリ刃10cの突出値よりも厚いカミソリ刃10dの突出値が大きい。
【0083】
また、
図13の実施例でも、4つのカミソリ刃が有する突出値とT15での厚さは、前述した数学式1ないし3のうちの少なくとも一つの数値範囲を満たすように選択できる。そして、カミソリ刃の枚数も4つに限定されない。したがって、前方領域のカミソリ刃の枚数と後方領域のカミソリ刃の枚数が同様に1つまたは3つであってもよく、それ以上であってもよい。さらに、前方領域のカミソリ刃の枚数と後方領域のカミソリ刃の枚数が異なるように配置してもよい。
【0084】
以上では、カミソリ刃の厚さと突出値との間の相関関係によって剃毛性能が変わることを考慮し、複数のカミソリ刃を設計して配置する実施例について説明した。ここでカミソリ刃の厚さとスパン(span)との相関関係もさらに検討することで、剃毛性能をさらに向上させることができる。
【0085】
図14は、通常のカミソリカートリッジにおいて設計変数の一つとして用いるスパンsa、sb、sc、sd、seを示した図である。このようなスパンは、特定のカミソリ刃に対してそれぞれ異なる場合があり、前方カミソリ刃のティップエッジと現在カミソリ刃のティップエッジとの間の水平距離として定義する。ただし、一つ目のカミソリ刃10aは、前方カミソリ刃が存在しないためガード2の壁と該当ティップエッジとの間の距離で定義する。
【0086】
一般的に、スパンを大きくすると剃毛サプリメント、水分や剃りカス(debris)を排出するのに有利な一方で、カミソリカートリッジの大きさが大きくなって剃毛時に切り傷を起こしやすくなり、スパンを小さくすると、この逆の現象が発生する。したがって、剃毛条件を考慮した適切なスパンの選択が重要で、このようなスパンもカミソリ刃の厚さに相当して設計する必要がある。例えば、皮膚の切り傷を減らすためには、薄いカミソリ刃のスパンは比較的小さく設計し、剃毛時に排出性能を高めるために厚いカミソリ刃のスパンは比較的大きく設計することが望ましい。特に、厚いカミソリ刃は薄いカミソリ刃と同じスパンを有してもそれ自体の寸法により前方のカミソリ刃との間の空間が相対的に狭くなるため、このようなスパンの拡大がさらに要求される。
【0087】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施できるということを理解できるだろう。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり限定的ではないことを理解すべきである。
【0088】
また、本明細書に開示する寸法および値は、列挙した正確な数値に厳格に制限されるものとして理解すべきではない。それよりもむしろ、特に指定しない限り、このような各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を含むものとして意図する。