(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20230412BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230412BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20230412BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230412BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/10
B60K35/00 A
B60K35/00 Z
G09F9/00 362
G09F9/00 366G
G09F9/00 359
H02J7/00 U
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2019166808
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 雅和
(72)【発明者】
【氏名】守屋 史之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓馬
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-077024(JP,A)
【文献】特開2014-166130(JP,A)
【文献】特開2011-087168(JP,A)
【文献】特開2013-207819(JP,A)
【文献】特開2014-193070(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159113(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0198313(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/90
H02J 50/10
B60K 35/00
G09F 9/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器を載せて充電するワイヤレス充電器を備えた車両に設けられる車両用制御装置であって、
前記ワイヤレス充電器の作動状態に基づいて、前記ワイヤレス充電器による前記携帯機器の充電中断を検出する中断検出部と、
前記携帯機器の充電が中断された原因が、車両走行中に前記携帯機器が慣性で移動する第1原因であるか、または乗員によって前記携帯機器が移動される第2原因であるか、を判定する原因判定部と、
前記第1原因であると判定された場合には、前記第2原因であると判定された場合よりも、前記携帯機器の充電中断情報を目立たせて乗員に通知する通知制御部と、
を有する、車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御装置において、
乗員の前方視界に虚像を表示するヘッドアップディスプレイ、を有し、
前記通知制御部は、
前記第1原因であると判定された場合には、前記ヘッドアップディスプレイを使用する第1通知モードに従って前記充電中断情報を通知する一方、
前記第2原因であると判定された場合には、前記ヘッドアップディスプレイを使用しない第2通知モードに従って前記充電中断情報を通知する、
車両用制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用制御装置において、
前記原因判定部は、車両に作用する加速度が閾値を上回る場合に、前記携帯機器の充電中断原因が前記第1原因であると判定する、
車両用制御装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の車両用制御装置において、
乗員の顔を撮像するカメラ部からの画像情報に基づき、乗員の顔が前記ワイヤレス充電器を向いているか否かを判定する画像判定部、を有し、
前記原因判定部は、乗員の顔が前記ワイヤレス充電器に向いていない場合に、前記携帯機器の充電中断原因が前記第1原因であると判定する、
車両用制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載の車両用制御装置において、
前記携帯機器のバッテリのSOCを判定するSOC判定部、を有し、
前記通知制御部は、前記第1通知モードにおいて前記SOCが閾値を下回る場合に、前記ヘッドアップディスプレイに前記充電中断情報を表示する、
車両用制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用制御装置において、
インストルメントパネルに設けられるサブディスプレイ、を有し、
前記通知制御部は、前記第1通知モードにおいて前記SOCが閾値を上回る場合に、前記サブディスプレイに前記充電中断情報を表示する、
車両用制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載の車両用制御装置において、
前記通知制御部は、前記第1通知モードにおいて車速が閾値を上回る場合に、前記ヘッドアップディスプレイに前記充電中断情報を表示する、
車両用制御装置。
【請求項8】
請求項2に記載の車両用制御装置において、
前記通知制御部は、前記第1通知モードで車両に作用する加速度が閾値を上回る場合に、前記ヘッドアップディスプレイに前記充電中断情報を表示しない、
車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器を載せて充電するワイヤレス充電器を備えた車両に設けられる車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の携帯機器を充電するワイヤレス充電器を備えた車両が開発されている(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-207819号公報
【文献】特開2015-129753号公報
【文献】特開2016-077023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤレス充電器を用いて携帯機器を充電する際には、携帯機器をワイヤレス充電器上の所定位置に配置し、ワイヤレス充電器側のコイルと携帯機器側のコイルとを互いに重ねる必要がある。ここで、車両の加速走行等によって携帯機器に慣性力が働き、携帯機器がワイヤレス充電器上を移動してしまった場合には、コイルが離れて携帯機器の充電が中断されてしまう虞がある。このように、加速走行等によって携帯機器の充電が中断された場合には、乗員に対して充電中断を適切に通知することが求められている。
【0005】
本発明の目的は、携帯機器の充電が中断されたことを乗員に対して適切に通知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用制御装置は、携帯機器を載せて充電するワイヤレス充電器を備えた車両に設けられる車両用制御装置であって、前記ワイヤレス充電器の作動状態に基づいて、前記ワイヤレス充電器による前記携帯機器の充電中断を検出する中断検出部と、前記携帯機器の充電が中断された原因が、車両走行中に前記携帯機器が慣性で移動する第1原因であるか、または乗員によって前記携帯機器が移動される第2原因であるか、を判定する原因判定部と、前記第1原因であると判定された場合には、前記第2原因であると判定された場合よりも、前記携帯機器の充電中断情報を目立たせて乗員に通知する通知制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1原因であると判定された場合には、第2原因であると判定された場合よりも、携帯機器の充電中断情報を目立たせて乗員に通知する。これにより、乗員に対して充電中断情報を適切に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態である車両用制御装置が設けられる車両の車室内を示す図である。
【
図3】(A)はワイヤレス充電が実行される状況を示す図であり、(B)はワイヤレス充電が中断される状況を示す図である。
【
図4】中断通知制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】中断通知制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】(A)はテーブルAを示す図であり、(B)はテーブルBを示す図であり、(C)はテーブルCを示す図である。
【
図7】充電要求レベルの判定手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】走行状況の判定手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】(A)~(C)は、他の実施形態のテーブルA~Cを示す図である。
【
図10】(A)~(C)は、他の実施形態のテーブルA~Cを示す図である。
【
図11】(A)~(C)は、他の実施形態のテーブルA~Cを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
[車室内構造]
図1は本発明の一実施の形態である車両用制御装置10が設けられる車両11の車室内を示す図である。
図1に示すように、車室内の前方にはインストルメントパネル12が設置されている。インストルメントパネル12には、メータディスプレイ(サブディスプレイ)13を備えたコンビネーションメータ14が設けられている。また、インストルメントパネル12には、運転者(乗員)の前方視界に虚像を表示するヘッドアップディスプレイ15が設けられている。さらに、インストルメントパネル12には、運転者の脇見等を検出するモニタリングユニット16が設けられており、車両11の位置情報等を表示するナビゲーションディスプレイ17が設けられている。また、運転席と助手席との間にはセンタコンソール18が設置されており、センタコンソール18にはスマートフォン等の携帯機器100を充電するためのワイヤレス充電器19が設けられている。
【0011】
[車両用制御装置]
図2は車両用制御装置10の構成例を示す図である。
図2に示すように、車両用制御装置10には、ワイヤレス充電器19、ヘッドアップディスプレイ15およびメータディスプレイ13等を互いに協調させて制御するため、マイコン等からなるコントローラ20が設けられている。制御ユニットであるコントローラ20は、ワイヤレス充電器19を制御する充電器制御部21、ヘッドアップディスプレイ15を制御するHUD制御部22、メータディスプレイ13を制御するメータ制御部23等を有している。
【0012】
後述するように、コントローラ20は、ワイヤレス充電器19による携帯機器100の充電が中断された場合に、携帯機器100の充電中断情報をヘッドアップディスプレイ15やメータディスプレイ13等に表示する機能を有している。このため、コントローラ20には、携帯機器100の充電中断を検出する中断検出部24、携帯機器100の充電中断の原因を判定する原因判定部25、および充電中断情報を運転者に向けて通知する通知制御部26が設けられている。また、コントローラ20には、運転者の顔がワイヤレス充電器19を向いているか否かを判定する画像判定部27、携帯機器100のバッテリ103のSOCを判定するSOC判定部28、および車両11の加速走行や旋回走行等の走行状況を判定する走行判定部29等が設けられている。なお、ディスプレイ表示される充電中断情報としては、例えば、「携帯機器の充電が中断されました。」がある。
【0013】
コントローラ20に接続されるセンサとして、車速を検出する車速センサ30、アクセルペダルの操作状況を検出するアクセルセンサ31、およびブレーキペダルの操作状況を検出するブレーキセンサ32がある。また、コントローラ20に接続されるセンサとして、車両11に作用する加速度を検出する加速度センサ33、車両11に作用する角加速度を検出するジャイロセンサ34、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ35、および外気温度を検出する外気温センサ36等がある。なお、加速度センサ33は、車両11に作用する加速度として、車両11の前後方向に作用する前後加速度、車両11の車幅方向に作用する左右加速度、および車両11の上下方向に作用する上下加速度を検出することが可能である。
【0014】
また、車両用制御装置10は、運転者の前方視界に虚像Xを表示するヘッドアップディスプレイ15を有している。このヘッドアップディスプレイ15には、図示しない光源、液晶ディスプレイおよび拡大鏡等からなる照射ユニット40が設けられている。照射ユニット40内の液晶ディスプレイに表示される車速等の情報は、照射ユニット40からフロントウィンドウ41内の反射膜に向けて照射される。これにより、運転者は、フロントウィンドウ41の前方に、車速等の情報を虚像Xとして認識することができる。このように、ヘッドアップディスプレイ15は、メータディスプレイ13やナビゲーションディスプレイ17よりも見易い位置に情報を表示することが可能である。
【0015】
また、車両用制御装置10は、運転者の脇見や居眠り等を検出するモニタリングユニット16を有している。このモニタリングユニット16には、発光ダイオード42、赤外線カメラ(カメラ部)43、画像解析部44等が設けられている。モニタリングユニット16によって運転者の脇見等を検出する際には、運転者の顔に向けて発光ダイオード42から赤外光が照射され、運転者の顔が赤外線カメラ43によって撮像される。そして、赤外線カメラ43が備えるイメージセンサからの画像情報は、顔の向きを解析する画像解析部44に送信される。画像解析部44は、画像情報から目や口等のパーツを抽出し、これらパーツの位置関係から顔の向きを判定することで脇見等を検出する。
【0016】
[ワイヤレス充電器]
図2に示すように、車両用制御装置10は、携帯機器100を充電するためのワイヤレス充電器19を有している。非接触充電器とも呼ばれるワイヤレス充電器19には、送電コイル50、駆動回路部51、送電制御部52および無線通信部53等が設けられている。また、ワイヤレス充電器19の駆動回路部51には、図示しないバッテリ等の車両電源が接続されている。さらに、ワイヤレス充電器19によって充電される携帯機器100には、受電コイル101、整流回路部102、バッテリ103、機器制御部104および無線通信部105等が設けられている。
【0017】
ワイヤレス充電器19の電力伝送方式として、例えば、電磁誘導式の電力伝送方式を用いることが可能である。このワイヤレス充電器19を用いて携帯機器100を充電する際には、互いのコイル50,101を重ねるようにワイヤレス充電器19上に携帯機器100が載せられる。その後、ワイヤレス充電器19は、送電制御部52に制御される駆動回路部51から送電コイル50に交流電力を供給し、送電コイル50に周期的に変動する磁束を発生させる。このように、送電コイル50に磁束を発生させることにより、この送電コイル50に対向する携帯機器100の受電コイル101には、磁束による電磁誘導によって起電力が発生する。そして、受電コイル101に発生する起電力は整流回路部102を介して直流電力に変換され、整流回路部102からバッテリ103に直流電力が供給される。
【0018】
ここで、
図3(A)はワイヤレス充電が実行される状況を示す図であり、
図3(B)はワイヤレス充電が中断される状況を示す図である。
図3(A)に示すように、ワイヤレス充電器19によって携帯機器100を充電するためには、送電コイル50と受電コイル101とを互いに重ねることが必要である。これにより、互いに対向する送電コイル50から受電コイル101に電力が供給され、ワイヤレス充電器19によって携帯機器100のバッテリ103が充電される。一方、
図3(B)に示すように、ワイヤレス充電器19上の所定位置から携帯機器100がずれることにより、送電コイル50と受電コイル101との重なりが外れた場合には、送電コイル50から受電コイル101に対する電力供給が遮断されるため、ワイヤレス充電器19による携帯機器100の充電が中断される。このため、加速走行時や旋回走行時等には携帯機器100が慣性で移動し、運転者が意図せず携帯機器100の充電が中断されてしまう虞がある。
【0019】
また、ワイヤレス充電器19によって充電される携帯機器100は、ワイヤレス充電器19に向けて充電制御情報を定期的に送信する。つまり、携帯機器100の機器制御部104は、充電制御情報として、ワイヤレス充電器19に向けて送電要求や要求電力等を設定する。そして、携帯機器100の無線通信部105は、ワイヤレス充電器19の無線通信部53に対し、送電要求や要求電力等の充電制御情報を定期的に送信する。また、携帯機器100の機器制御部104は、バッテリ103の充電状態であるSOC(State Of Charge)を算出し、このSOCをワイヤレス充電器19に向けて定期的に送信する。なお、バッテリ103のSOCとは、バッテリ103の電気残量を示す比率であり、バッテリ103の満充電容量に対する蓄電量の比率である。例えば、バッテリ103が上限容量まで充電された場合には、SOCが100%として算出され、バッテリ103が下限容量まで放電した場合には、SOCが0%として算出される。
【0020】
また、ワイヤレス充電器19による携帯機器100の充電状況は、コントローラ20の充電器制御部21によって制御される。つまり、コントローラ20の充電器制御部21は、携帯機器100から送信される送電要求や要求電力等の充電制御情報に基づき、ワイヤレス充電器19の送電制御部52に対して制御信号を出力する。さらに、コントローラ20には、ワイヤレス充電器19の作動状態に基づいて、携帯機器100の充電中断を検出する中断検出部24が設けられている。この中断検出部24は、送電コイル50から受電コイル101に対する送電状況に基づき、携帯機器100の充電中断を検出することができる。つまり、中断検出部24は、送電コイル50の電流変化や電圧変化に基づき、送電コイル50における消費電力の大きな減少を捉えることにより、携帯機器100の充電中断を検出することができる。
【0021】
[中断通知制御]
続いて、コントローラ20によって実行される中断通知制御について説明する。この中断通知制御は、ワイヤレス充電器19による携帯機器100の充電が中断された場合に、充電中断情報をヘッドアップディスプレイ15等に表示する制御である。また、中断通知制御は、コントローラ20の中断検出部24、原因判定部25、通知制御部26、画像判定部27、SOC判定部28、および走行判定部29等によって実行される。
図4および
図5は中断通知制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。なお、
図4および
図5に示したフローチャートは、符号Aを付した箇所で互いに接続されている。
【0022】
図4に示すように、ステップS10では、ワイヤレス充電器19による携帯機器100の充電が中断されたか否かが判定される。ステップS10において、携帯機器100の充電が中断されたと判定された場合には、ステップS11に進み、後述するテーブルデータを選択する際に用いられる判定値Nがリセットされる。続くステップS12では、モニタリングユニット16から送信される画像解析結果に基づき、運転者の顔がワイヤレス充電器19を向いているか否かが判定される。ステップS12において、運転者がワイヤレス充電器19を向いていると判定された場合、つまり運転者によって携帯機器100が触られた可能性が高い場合には、ステップS13に進み、加算値n1が「1」に設定される。一方、ステップS12において、運転者がワイヤレス充電器19を向いていないと判定された場合、つまり運転者によって携帯機器100が触られた可能性が低い場合には、ステップS14に進み、加算値n1が「0」に設定される。
【0023】
続いて、ステップS15では、加速度センサ33から送信される上下加速度に基づき、車両11の振動レベルが所定の閾値A1を下回るか否かが判定される。ステップS15において、車両11の振動レベルが閾値A1を下回ると判定された場合、つまり走行中の車両振動が小さいと判定された場合には、ステップS16に進み、加算値n2が「1」に設定される。一方、ステップS15において、車両11の振動レベルが閾値A1以上であると判定された場合、つまり走行中の車両振動が大きいと判定された場合には、ステップS17に進み、加算値n2が「0」に設定される。なお、振動レベルとは走行車両の振動状況を示す指標であり、上下加速度が大きいほどに振動レベルは大きくなる一方、上下加速度が小さいほどに振動レベルは小さくなる。
【0024】
続いて、ステップS18では、加速度センサ33から送信される前後加速度に基づき、車両11の前後加速度が所定の閾値B1を下回るか否かが判定される。ステップS18において、前後加速度が閾値B1を下回ると判定された場合には、ステップS19に進み、加速度センサ33から送信される左右加速度に基づき、車両11の左右加速度が所定の閾値C1を下回るか否かが判定される。ステップS19において、左右加速度が閾値C1を下回ると判定された場合には、ステップS20に進み、加算値n3が「1」に設定される。すなわち、前後加速度が閾値B1を下回り、且つ左右加速度が閾値C1を下回ると判定された場合、つまり加減速走行や旋回走行を行っていないと判定された場合には、ステップS20に進み、加算値n3が「1」に設定される。一方、ステップS18において、前後加速度が閾値B1以上であると判定された場合や、ステップS19において、左右加速度が閾値C1以上であると判定された場合、つまり加減速走行や旋回走行を行っていると判定された場合には、ステップS21に進み、加算値n3が「0」に設定される。
【0025】
図5に示すように、ステップS22では、加算値n1~n3を加算することで判定値Nが算出される(N=n1+n2+n3)。つまり、各加算値n1~n3は「0」または「1」に設定されるため、判定値Nは「0」,「1」,「2」,「3」の何れかに設定される。前述したように、加算値n1~n3が「0」に設定される場合とは、運転者によって携帯機器100が触られた可能性が低い場合、走行中の車両振動が大きい場合、或いは加減速走行や旋回走行を行っている場合である。すなわち、携帯機器100の充電中断原因が、車両走行中の振動や加速度に起因する携帯機器100の位置ずれである場合、つまり車両走行中に携帯機器100が慣性で移動する第1原因である場合には、判定値Nが「0」側に小さく算出される。一方、加算値n1~n3が「1」に設定される場合とは、運転者によって携帯機器100が触られた可能性が高い場合、走行中の車両振動が小さい場合、或いは加減速走行や旋回走行を行っていない場合である。すなわち、携帯機器100の充電中断原因が、運転者が触れたことに起因する携帯機器100の位置ずれである場合、つまり運転者によって携帯機器100が移動される第2原因である場合には、判定値Nが「3」側に大きく算出される。
【0026】
続いて、ステップS23に進み、判定値Nが「1」以下であるか否かが判定される。ステップS23において、判定値Nが「0」または「1」であると判定された場合、つまり携帯機器100の充電中断原因が、車両走行中に携帯機器100が慣性で移動した第1原因である場合には、ステップS24に進み、後述するテーブルデータA(以下、テーブルAと記載する。)に基づいて、携帯端末の充電中断を示す充電中断情報が表示される。すなわち、コントローラ20は、携帯機器100の充電中断原因が走行状況に起因する第1原因であると判定した場合に、テーブルAを用いる通知モード(第1通知モード)に従って充電中断情報を表示する。
【0027】
また、ステップS23において、判定値Nが「2」以上であると判定された場合には、ステップS25に進み、判定値Nが「2」であるか否かが判定される。ステップS25において、判定値Nが「2」であると判定された場合には、ステップS26に進み、後述するテーブルデータB(以下、テーブルBと記載する。)に基づいて、携帯端末の充電中断を示す充電中断情報が表示される。なお、テーブルBを用いて充電中断情報を表示する状況とは、充電中断原因が前述した第1原因や第2原因に特定されていない状況である。すなわち、コントローラ20は、携帯機器100の充電中断原因が第1原因や第2原因に特定されていない場合に、テーブルBを用いる通知モードに従って充電中断情報を表示する。
【0028】
さらに、ステップS25において、判定値Nが「2」ではないと判定された場合、つまり判定値Nが「3」であると判定された場合には、ステップS27に進む。判定値Nが「3」である場合とは、携帯機器100の充電中断原因が、運転者によって携帯機器100が移動された第2原因である場合である。このように、携帯機器100の充電中断原因が第2原因であると判定された場合には、ステップS27に進み、後述するテーブルデータC(以下、テーブルCと記載する。)に基づいて、携帯端末の充電中断を示す充電中断情報が表示される。すなわち、コントローラ20は、携帯機器100の充電中断原因が運転者に起因する第2原因である場合に、テーブルCを用いる通知モード(第2通知モード)に従って充電中断情報を表示する。
【0029】
[テーブルデータ]
図6(A)はテーブルAを示す図であり、
図6(B)はテーブルBを示す図であり、
図6(C)はテーブルCを示す図である。前述したように、テーブルAは、充電中断原因が走行状況に起因する第1原因である場合、つまり運転者が意図しない充電中断である場合に用いられるテーブルデータである。また、テーブルCは、充電中断原因が運転者に起因する第2原因である場合、つまり運転者が意図的に充電を中断させた場合に使用されるテーブルデータである。なお、
図6に示される「HUD」とは「ヘッドアップディスプレイ」を意味しており、
図6に示される「メータ」とは「メータディスプレイ」を意味している。
【0030】
図6(A)~(C)に示すように、各テーブルA~Cには、後述する2つのパラメータ(充電要求レベル,走行状況)に基づき、充電中断情報の表示方法が設定されている。つまり、後述する充電要求レベルおよび走行状況に応じて、「HUD」、「メータ」または「表示なし」の何れかの表示方法が選択される。例えば、
図6(A)に示すように、テーブルAが選択された状態のもとで、後述する充電要求レベルが「2」であり、かつ走行状況が「2」である場合には、「HUD」が選択されることから、充電中断情報がヘッドアップディスプレイ15に表示される。また、テーブルAが選択された状態のもとで、充電要求レベルが「1」であり、かつ走行状況が「2」である場合には、「メータ」が選択されることから、充電中断情報がメータディスプレイ13に表示される。さらに、テーブルAが選択された状態のもとで、充電要求レベルが「0」であり、かつ走行状況が「2」である場合には、「表示なし」が選択されることから、充電中断情報が何れのディスプレイにも表示されない。
【0031】
なお、充電中断情報をヘッドアップディスプレイ15に表示する場合には、コントローラ20の通知制御部26からHUD制御部22に信号が出力され、HUD制御部22によってヘッドアップディスプレイ15が制御される。また、充電中断情報をメータディスプレイ13に表示する場合には、コントローラ20の通知制御部26からメータ制御部23に信号が出力され、メータ制御部23によってメータディスプレイ13が制御される。
【0032】
[充電要求レベル判定]
パラメータの1つである充電要求レベルの判定手順について説明する。なお、充電要求レベルは、コントローラ20のSOC判定部28によって判定される。
図7は充電要求レベルの判定手順の一例を示すフローチャートである。
【0033】
図7に示すように、ステップS30では、携帯機器100のバッテリ103のSOCがコントローラ20に読み込まれる。ステップS31では、バッテリ103のSOCが所定の閾値SH(例えば80%)以上であるか否かが判定される。ステップS31において、SOCが閾値SH以上であると判定された場合には、ステップS32に進み、充電要求レベルとして「0」が設定される。また、ステップS31において、SOCが閾値SHを下回ると判定された場合には、ステップS33に進み、バッテリ103のSOCが所定の閾値SL(例えば20%)以下であるか否かが判定される。ステップS33において、SOCが閾値SL以下であると判定された場合には、ステップS34に進み、充電要求レベルとして「2」が設定される。一方、ステップS33において、SOCが閾値SLを上回ると判定された場合、つまりSOCが閾値SLを上回り、かつSOCが閾値SHを下回ると判定された場合には、ステップS35に進み、充電要求レベルとして「1」が設定される。
【0034】
前述したように、充電要求レベルが「0」に設定される状況とは、バッテリ103のSOCが閾値SH以上の高い状況であるため、携帯機器100の充電がほぼ必要とされていない状況である。また、充電要求レベルが「1」に設定される状況とは、バッテリ103のSOCが閾値SLを上回りかつ閾値SHを下回る状況であるため、携帯機器100の充電が必要とされているが緊急ではない状況である。さらに、充電要求レベルが「2」に設定される状況とは、バッテリ103のSOCが閾値SL以下の低い状況であるため、携帯機器100の充電が早急に必要とされている状況である。
【0035】
[走行状況判定]
パラメータの1つである走行状況の判定手順について説明する。なお、走行状況は、コントローラ20の走行判定部29によって判定される。
図8は走行状況の判定手順の一例を示すフローチャートである。
【0036】
図8に示すように、ステップS40では、加速度センサ33から送信される前後加速度に基づいて、車両11の前後加速度が所定の閾値D1を上回るか否かが判定される。ステップS40において、前後加速度が閾値D1を上回ると判定された場合、つまり車両11が加減速走行を行っていると判定された場合には、ステップS41に進み、走行状況として「2」が設定される。一方、ステップS40において、前後加速度が閾値D1以下であると判定された場合には、ステップS42に進み、加速度センサ33から送信される左右加速度に基づいて、車両11の左右加速度が所定の閾値E1を上回るか否かが判定される。ステップS42において、前後加速度が閾値E1を上回ると判定された場合、つまり車両11が旋回走行を行っていると判定された場合には、ステップS41に進み、走行状況として「2」が設定される。
【0037】
また、ステップS42において、前後加速度が閾値E1以下であると判定された場合には、ステップS43に進み、車速が所定の閾値F1を上回るか否かが判定される。ステップS43において、車速が閾値F1を上回ると判定された場合、つまり車両11が高速走行を行っていると判定された場合には、ステップS44に進み、走行状況として「0」が設定される。一方、ステップS43において、車速が閾値F1以下であると判定された場合、つまり車両11が高速走行や加減速走行等を行っていない通常走行であると判定された場合には、ステップS45に進み、走行状況として「1」が設定される。
【0038】
前述したように、走行状況が「2」に設定される状況とは、加減速走行や旋回走行を行っている状況であるため、運転者が運転操作に集中したいと考えている状況である。また、走行状況が「1」に設定される状況とは、高速走行を行っている状況であるため、運転者の視野が狭まっていることが想定される状況である。さらに、走行状況が「0」に設定される状況とは、加減速走行、旋回走行、或いは高速走行を行っていない状況であるため、運転者にとっては通常の運転状況である。
【0039】
[充電中断情報の表示例]
(テーブルA:第1通知モード)
テーブルAを用いた充電中断情報の表示例について説明する。前述したように、充電中断原因が走行状況に起因する第1原因である場合、つまり運転者が意図しない充電中断である場合には、積極的にヘッドアップディスプレイ15に充電中断情報を表示させるため、テーブルAを使用する第1通知モードに従って充電中断情報が表示される。なお、テーブルAを使用する第1通知モードとは、ヘッドアップディスプレイ15を使用する通知モードである。
【0040】
図6(A)に示すように、充電要求レベルが「2」に設定されており、携帯機器100の充電が早急に必要とされている場合には、走行状況に関係なくヘッドアップディスプレイ15に充電中断情報が表示される。つまり、走行状況が「2」の加速走行等である場合、走行状況が「1」の通常走行である場合、および走行状況が「0」の高速走行である場合の全てにおいて、ヘッドアップディスプレイ15に充電中断情報が表示される。
【0041】
充電要求レベルが「1」に設定されており、携帯機器100の充電が必要とされているが緊急ではない場合には、走行状況に応じて充電中断情報の表示方法が切り替えられる。つまり、走行状況が「2」の加速走行等である場合や、走行状況が「1」の通常走行である場合には、メータディスプレイ13に充電中断情報が表示される。また、走行状況が「0」の高速走行である場合には、ヘッドアップディスプレイ15に充電中断情報が表示される。
【0042】
充電要求レベルが「0」に設定されており、携帯機器100の充電がほぼ必要とされていない場合には、走行状況に応じて充電中断情報の表示方法が切り替えられる。つまり、走行状況が「2」の加速走行等である場合には、充電中断情報が何れのディスプレイにも表示されない。また、走行状況が「1」の通常走行である場合や、走行状況が「0」の高速走行である場合には、メータディスプレイ13に充電中断情報が表示される。
【0043】
(テーブルB)
テーブルBを用いた充電中断情報の表示例について説明する。前述したように、充電中断原因が第1原因や第2原因に特定されていない場合には、テーブルBを使用する通知モードに従って充電中断情報が表示される。
【0044】
図6(B)に示すように、充電要求レベルが「2」に設定されており、携帯機器100の充電が早急に必要とされている場合には、走行状況に応じて充電中断情報の表示方法が切り替えられる。つまり、走行状況が「2」の加速走行等である場合には、メータディスプレイ13に充電中断情報が表示される。また、走行状況が「1」の通常走行である場合や、走行状況が「0」の高速走行である場合には、ヘッドアップディスプレイ15に充電中断情報が表示される。
【0045】
充電要求レベルが「1」に設定されており、携帯機器100の充電が必要とされているが緊急ではない場合には、走行状況に応じて充電中断情報の表示方法が切り替えられる。つまり、走行状況が「2」の加速走行等である場合には、充電中断情報が何れのディスプレイにも表示されない。また、走行状況が「1」の通常走行である場合には、メータディスプレイ13に充電中断情報が表示され、走行状況が「0」の高速走行である場合には、ヘッドアップディスプレイ15に充電中断情報が表示される。
【0046】
充電要求レベルが「0」に設定されており、携帯機器100の充電がほぼ必要とされていない場合には、走行状況に応じて充電中断情報の表示方法が切り替えられる。つまり、走行状況が「2」の加速走行等である場合や、走行状況が「1」の通常走行である場合には、充電中断情報が何れのディスプレイにも表示されない。また、走行状況が「0」の高速走行である場合には、メータディスプレイ13に充電中断情報が表示される。
【0047】
(テーブルC:第2通知モード)
テーブルCを用いた充電中断情報の表示例について説明する。前述したように、充電中断原因が運転者に起因する第2原因である場合、つまり運転者が意図的に携帯機器100の充電を中断させた場合には、運転者に違和感を与えないように充電中断情報の表示を制限するため、テーブルCを使用する第2通知モードに従って充電中断情報が表示される。なお、テーブルCを使用する第2通知モードとは、ヘッドアップディスプレイ15を使用しない通知モードである。
【0048】
図6(C)に示すように、充電要求レベルが「2」に設定されており、携帯機器100の充電が早急に必要とされている場合には、走行状況に応じて充電中断情報の表示方法が切り替えられる。つまり、走行状況が「2」の加速走行等である場合には、充電中断情報の表示が止められる。また、走行状況が「1」の通常走行である場合や、走行状況が「0」の高速走行である場合には、メータディスプレイ13に充電中断情報が表示される。
【0049】
充電要求レベルが「1」に設定されており、携帯機器100の充電が必要とされているが緊急ではない場合には、走行状況に応じて充電中断情報の表示方法が切り替えられる。つまり、走行状況が「2」の加速走行等である場合や、走行状況が「1」の通常走行である場合には、充電中断情報が何れのディスプレイにも表示されない。また、走行状況が「0」の高速走行である場合には、メータディスプレイ13に充電中断情報が表示される。
【0050】
充電要求レベルが「0」に設定されており、携帯機器100の充電がほぼ必要とされていない場合には、走行状況に関係なく充電中断情報の表示が止められる。つまり、走行状況が「2」の加速走行等である場合、走行状況が「1」の通常走行である場合、および走行状況が「0」の高速走行である場合の全てにおいて、充電中断情報が何れのディスプレイにも表示されない。
【0051】
[まとめ]
これまで説明したように、充電中断原因が走行状況に起因する第1原因である場合、つまり運転者が意図しない充電中断である場合には、ヘッドアップディスプレイ15を使用する第1通知モードに従って充電中断情報が通知される。一方、充電中断原因が運転者に起因する第2原因である場合、つまり運転者が意図的に携帯機器100の充電を中断させた場合には、ヘッドアップディスプレイ15を使用しない第2通知モードに従って充電中断情報が通知される。すなわち、第1原因であると判定された場合には、第2原因であると判定された場合よりも、充電中断情報を目立たせて運転者に通知される。このように、運転者が意図しない充電中断である場合には、充電中断情報を目立たせて通知することにより、運転者に対して携帯機器100の移動を積極的に促すことができ、携帯機器100の充電を早期に再開させることができる。一方、運転者が意図的に携帯機器100の充電を中断させた場合には、運転者に違和感を与えないように充電中断情報が控えめに通知される。
【0052】
前述の説明では、
図4および
図5のフローチャートに示すように、判定値Nが「0」または「1」である場合に、充電中断原因が第1原因である判定し、判定値Nが「3」である場合に、充電中断原因が第2原因である判定しているが、これに限られることはない。例えば、判定値Nが「3」以外である場合に、充電中断原因が第1原因である判定しても良い。また、判定値Nが「0」以外である場合に、充電中断原因が第2原因である判定しても良い。また、前述の説明では、運転者の顔の向き、車両11の振動レベル、車両11に作用する前後加速度、および車両11に作用する左右加速度に基づいて、充電中断原因を判定しているが、これに限られることはない。例えば、運転者の顔がワイヤレス充電器19に向いていない場合に、充電中断原因が第1原因であると判定しても良い。また、車両11に作用する前後加速度が閾値を上回る場合に、充電中断原因が第1原因であると判定しても良い。また、車両11に作用する左右加速度が閾値を上回る場合に、充電中断原因が第1原因であると判定しても良い。また、車両11に作用する上下加速度が閾値を上回る場合に、充電中断原因が第1原因であると判定しても良い。
【0053】
図6(A)のテーブルAに示すように、運転者が意図しない充電中断である場合に実行される第1通知モードにおいては、バッテリ103のSOCが閾値を下回る場合に、充電中断情報がヘッドアップディスプレイ15に表示される一方、バッテリ103のSOCが閾値を上回る場合に、充電中断情報がメータディスプレイ13に表示される。つまり、SOCが低く携帯機器100の充電が必要とされている場合には、充電中断情報がヘッドアップディスプレイ15に目立って表示される一方、SOCが高く携帯機器100の充電が必要とされていない場合には、充電中断情報がメータディスプレイ13に控えめに表示される。このように、バッテリ103のSOCに応じてヘッドアップディスプレイ15とメータディスプレイ13とを使い分けることにより、運転者に対して充電中断情報を適切に通知することができる。
【0054】
図6(A)のテーブルAに示すように、運転者が意図しない充電中断である場合に実行される第1通知モードにおいては、車速が閾値を上回る場合に、充電中断情報がヘッドアップディスプレイ15に表示される。つまり、
図6(A)に示す例では、充電要求レベルが「1」である場合において、車速が閾値を上回る場合には、充電中断情報がヘッドアップディスプレイ15に表示される。このように、高速走行においては運転者の視野が狭まることから、運転者が見易いようにヘッドアップディスプレイ15に充電中断情報が表示される。これにより、高速走行時であっても、運転者に充電中断情報を適切に通知することができる。なお、
図6(A)に示した例に限られることはなく、充電要求レベルが「0」や「2」である場合において、車速が閾値を上回る場合に、充電中断情報をヘッドアップディスプレイ15に表示させても良い。
【0055】
図6(A)のテーブルAに示すように、運転者が意図しない充電中断である場合に実行される第1通知モードにおいては、車両11に作用する前後加速度や左右加速度が閾値を上回る場合に、ヘッドアップディスプレイ15に対する充電中断情報の表示が停止される。つまり、
図6(A)に示す例では、充電要求レベルが「1」や「2」である場合において、走行状況が「2」の加速走行等である場合には、ヘッドアップディスプレイ15に対する充電中断情報の表示が停止される。すなわち、加減速走行や旋回走行時においては、運転者が運転操作に集中していることが想定される。この場合には、運転者に違和感を与えることのないように、ヘッドアップディスプレイ15に対する充電中断情報の表示が停止される。
【0056】
[他の実施形態(テーブルデータ)]
前述の説明では、
図6(A)~(C)に示すように、充電要求レベルおよび走行状況に基づいて充電中断情報の表示方法を設定しているが、これに限られることはなく、充電要求レベルだけに基づき表示方法を設定しても良く、走行状況だけに基づき表示方法を設定しても良い。ここで、
図9~
図11は他の実施形態のテーブルA~Cを示す図である。
図9(A)~(C)には、充電要求レベルだけに基づき表示方法が設定されたテーブルA~Cが示されている。なお、前述したように、充電中断原因が走行状況に起因する第1原因である場合には、テーブルAを使用する第1通知モードに従って充電中断情報が表示される。また、充電中断原因が第1原因や第2原因に特定されていない場合には、テーブルBを使用する通知モードに従って充電中断情報が表示される。さらに、充電中断原因が運転者に起因する第2原因である場合には、テーブルCを使用する第2通知モードに従って充電中断情報が表示される。
【0057】
図9(A)~(C)に示すように、充電要求レベルだけに基づき表示方法が設定されたテーブルA~Cを用いても良い。
図9(A)に示すように、充電中断原因が走行状況に起因する第1原因である場合、つまり運転者が意図しない充電中断である場合には、ヘッドアップディスプレイ15を使用する第1通知モードに従って充電中断情報が通知される。一方、
図9(C)に示すように、充電中断原因が運転者に起因する第2原因である場合、つまり運転者が意図的に携帯機器100の充電を中断させた場合には、ヘッドアップディスプレイ15を使用しない第2通知モードに従って充電中断情報が通知される。このように、運転者が意図しない充電中断である場合には、充電中断情報を目立たせて通知することにより、運転者に対して携帯機器100の移動を積極的に促すことができ、携帯機器100の充電を早期に再開させることができる。一方、運転者が意図的に携帯機器100の充電を中断させた場合には、運転者に違和感を与えることなく、充電中断情報が控えめに通知される。
【0058】
図9(A)のテーブルAに示すように、運転者が意図しない充電中断である場合に実行される第1通知モードにおいては、バッテリ103のSOCが閾値を下回る場合に、ヘッドアップディスプレイ15に充電中断情報を表示させる一方、バッテリ103のSOCが閾値を上回る場合に、メータディスプレイ13に充電中断情報を表示させる。つまり、SOCが低く携帯機器100の充電が必要とされている場合には、ヘッドアップディスプレイ15に充電中断情報を表示させる一方、SOCが高く携帯機器100の充電が必要とされていない場合には、メータディスプレイ13に充電中断情報を表示させる。このように、バッテリ103のSOCに応じてヘッドアップディスプレイ15とメータディスプレイ13とを使い分けることにより、運転者に対して充電中断情報を適切に通知することができる。
【0059】
図10(A)~(C)に示すように、走行状況だけに基づき表示方法が設定されたテーブルA~Cを用いても良い。
図10(A)に示すように、充電中断原因が走行状況に起因する第1原因である場合、つまり運転者が意図しない充電中断である場合には、ヘッドアップディスプレイ15を使用する第1通知モードに従って充電中断情報が通知される。一方、
図10(C)に示すように、充電中断原因が運転者に起因する第2原因である場合、つまり運転者が意図的に携帯機器100の充電を中断させた場合には、ヘッドアップディスプレイ15を使用しない第2通知モードに従って充電中断情報が通知される。このように、運転者が意図しない充電中断である場合には、充電中断情報を目立たせて通知することにより、運転者に対して携帯機器100の移動を積極的に促すことができ、携帯機器100の充電を早期に再開させることができる。一方、運転者が意図的に携帯機器100の充電を中断させた場合には、運転者に違和感を与えることなく、充電中断情報が控えめに通知される。
【0060】
図10(A)のテーブルAに示すように、運転者が意図しない充電中断である場合に実行される第1通知モードにおいては、車速が閾値を上回る場合に、充電中断情報がヘッドアップディスプレイ15に表示される。つまり、走行状況が「0」の高速走行である場合には、充電中断情報がヘッドアップディスプレイ15に表示される。このように、高速走行においては運転者の視野が狭まることから、運転者が見易いようにヘッドアップディスプレイ15に充電中断情報が表示される。これにより、高速走行時であっても、運転者に充電中断情報を適切に通知することができる。
【0061】
図11(A)~(C)に示すように、走行状況だけに基づき表示方法が設定されたテーブルA~Cを用いても良い。
図11(A)に示すように、充電中断原因が走行状況に起因する第1原因である場合、つまり運転者が意図しない充電中断である場合には、ヘッドアップディスプレイ15を使用する第1通知モードに従って充電中断情報が通知される。一方、
図11(C)に示すように、充電中断原因が運転者に起因する第2原因である場合、つまり運転者が意図的に携帯機器100の充電を中断させた場合には、ヘッドアップディスプレイ15を使用しない第2通知モードに従って充電中断情報が通知される。このように、運転者が意図しない充電中断である場合には、充電中断情報を目立たせて通知することにより、運転者に対して携帯機器100の移動を積極的に促すことができ、携帯機器100の充電を早期に再開させることができる。一方、運転者が意図的に携帯機器100の充電を中断させた場合には、運転者に違和感を与えることなく、充電中断情報が控えめに通知される。
【0062】
図11(A)のテーブルAに示すように、運転者が意図しない充電中断である場合に実行される第1通知モードにおいては、車両11に作用する加速度が閾値を上回る場合に、ヘッドアップディスプレイ15に対する充電中断情報の表示が中止される。つまり、走行状況が「2」の加速走行等である場合には、ヘッドアップディスプレイ15に対する充電中断情報の表示が中止される。すなわち、車両11に作用する前後加速度や左右加速度が閾値を上回る加減速走行や旋回走行においては、運転者が運転操作に集中したいと考えていることが想定される。この場合には、運転者に違和感を与えないように、ヘッドアップディスプレイ15に対して充電中断情報が表示されない。
【0063】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、センタコンソール18にワイヤレス充電器19を設置しているが、これに限られることはなく、他の箇所にワイヤレス充電器19を設置しても良い。また、前述の説明では、走行状況が「2」に設定される状況、つまり運転者が運転操作に集中したいと考えている状況として、加減速走行や旋回走行を挙げているが、これに限られることはない。例えば、外気温が氷点下を下回る状況においては、走行路面が凍結している虞があることから、運転者が運転操作に集中していることが想定されるため、走行状況を前述の「2」に設定しても良い。
【0064】
前述の説明では、バッテリ103のSOCに基づき充電要求レベルを判定しているが、これに限られることはなく、例えば携帯機器100の消費電力に基づき充電要求レベルを判定しても良い。この場合には、携帯機器100の消費電力が多くなるほどに、携帯機器100の充電が必要とされる状況になるため、充電要求レベルが前述の「2」に設定される。一方、携帯機器100の消費電力が少なくなるほどに、携帯機器100の充電が必要とされていない状況になるため、充電要求レベルが前述の「0」に設定される。
【0065】
前述の説明では、サブディスプレイとしてメータディスプレイ13を用いているが、これに限られることはなく、サブディスプレイとしてナビゲーションディスプレイ17を用いても良い。また、前述の説明では、充電中断情報として、「携帯機器の充電が中断されました。」を例示しているが、これに限られることはなく、他の表現であっても良いことはいうまでもない。また、充電中断情報の他に、SOCの値、充電を行った時間、満充電までの残り時間、或いは充電中断後の充電リトライ回数等を、メータディスプレイ13等に表示しても良い。
【0066】
前述の説明では、ヘッドアップディスプレイ15に携帯機器100の充電中断情報を表示することにより、充電中断情報を目立たせて乗員に通知しているが、これに限られることはない。例えば、充電中断情報を目立たせて乗員に通知する方法として、情報を大きく表示すること、表示する情報量を増やすこと、情報を目立つ色で表示させること、情報を点滅させて標示すること、などが考えられる。なお、表示する情報量を増やして目立たせる場合には、充電が中断された旨の表示に加え、SOCの値や充電が途切れた時刻などを表示することが考えられる。
【0067】
前述の説明では、走行状況を判定する際に、左右加速度を用いて旋回走行であるか否かを判定しているが、これに限られることはなく、ジャイロセンサ34からの角加速度を用いて旋回走行であるか否かを判定しても良く、操舵角センサ35からの操舵角を用いて旋回走行であるか否かを判定しても良い。また、前述の説明では、コントローラ20に、各種制御部21~29を設けているが、これに限られることはない。他のコントローラに、各種制御部21~29の一部や全部を設けても良い。
【0068】
前述の説明では、モニタリングユニット16から送信される画像解析結果に基づいて、運転者の顔がワイヤレス充電器19を向いているか否かを判定することにより、運転者によって携帯機器100が触られた可能性について判定しているが、これに限られることはない。例えば、車両の乗員が運転者のみであり、かつ運転者が両手でステアリングホイールを握っている場合には、運転者によって携帯機器100が触られた可能性が低いと判定しても良い。また、アダプティブクルーズコントロール等の自動運転制御が実行されており、かつ運転者が両手でステアリングホイールを握っていない場合には、運転者によって携帯機器100が触られた可能性が高いと判定しても良い。なお、乗員が運転者のみであるか否かについては、座席に設けられる着座センサ等を用いて判定することが可能である。また、運転者によるステアリングホイールの把持状態については、例えば、静電容量センサ、圧電センサ、トルクセンサ等を用いて判定することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 車両用制御装置
11 車両
12 インストルメントパネル
13 メータディスプレイ(サブディスプレイ)
15 ヘッドアップディスプレイ
19 ワイヤレス充電器
24 中断検出部
25 原因判定部
26 通知制御部
27 画像判定部
28 SOC判定部
43 赤外線カメラ(カメラ部)
100 携帯機器
103 バッテリ