(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/16 20060101AFI20230412BHJP
A01K 85/01 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/01 A
(21)【出願番号】P 2019189313
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中道 理介
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 辰朗
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-204735(JP,A)
【文献】特開2016-202062(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0150151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00
A01K 85/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞を備えるボディと、この空洞内においてこのボディに可動に取り付けられ光を放つ揺動部
と、この揺動部の動く範囲を制限する可動域制限機構とを備え、
上記ボディが、上記揺動部からの光が外部から視認できるようになっており、
上記揺動部が、このルアーが動作状態から停止状態となった後も動きうる弾性を有して
おり、
上記揺動部が、単一の材質からなり、上記ボディに直接取り付けられており、
上記可動域制限機構が、上記揺動部に設けられ上記揺動部を貫通する孔と、この孔を貫通し上記ボディに固定され上記空洞内にかけ渡されたバーとを有する、ルアー。
【請求項2】
上記揺動部が、外部からの光を受けて光を放つ、反射体、蛍光体、燐光体及び透過体のずれかである請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
上記揺動部の材質が、ポリマー組成物又は金属である請求項1又は2に記載のルアー。
【請求項4】
上記揺動部の材質が、基材ポリマーがシリコーンゴムである、ポリマー組成物である請求項3に記載のルアー。
【請求項5】
上記揺動部が、自ら光を放つ発光体である、請求項1に記載のルアー。
【請求項6】
錘をさらに備え、
上記揺動部が、この揺動部の上側部分に位置し上記空洞内において上記ボディに接続される取り付け部を備え、
上記錘が上記揺動部の下側部分に取り付けられている、請求項1から5のいずれかに記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに用いられるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
オオクチバス、ブリ及びその幼魚、スズキ等の大型の魚は、小魚を補食する。これら大型の魚は、フィッシュイーターと称されている。フィッシュイーターを捕獲する手段として、ルアーフィッシングが普及している。ルアーフィッシングでは、小魚等のベイトに疑似されたルアーが用いられる。ルアーは、キャストされることにより空中を飛行し、やがて着水する。ラインが巻かれることで、ルアーは水中を泳ぐ。このルアーをベイトと勘違いしたフィッシュイーターは、ルアーに食いつく。ルアーに取り付けられたフックがフィッシュイーターに刺さり、フィッシュイーターが釣り上げられる。フィッシュイーターがルアーに食いつく頻度は、ヒット率と称される。
【0003】
ヒット率を上げるため、ルアーには様々な工夫がされている。例えば、ルアーに光沢のある塗装がなされる。このルアーでは、ルアーが動いたときに、光の反射の状態が変化してフィッシュイーターにアピールする。別のルアーは、ボディ内の空間にラトルボールを有する。ルアーが動いたときにこのボールが転動して音を出し、フィッシュイーターにアピールする。ルアーを引いたときに、振動しながら泳ぐルアーも知られている。種々のルアーが、株式会社シマノ発行の「2017シマノフィッシングタックルカタログ」に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】株式会社シマノ発行の「2017シマノフィッシングタックルカタログ」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ルアーフィッシングでは、釣り人は、ルアーをキャストした後、ラインを引く動作とこの引きを止める動作とを繰り返す。ルアーの引きを止めたとき、止水域や潮流及び波が少ない海域等の、水の動きがほとんどない場所では、ルアーの動きはほぼ停止する。このルアーの動きが停止した後も、フィッシュイーターにアピールできれば、ヒット率を上げることができる。一方で、このアピールを実現するためにルアーの構造が複雑になると、ルアーの組み立て性が低下しうる。簡易な構造で、ルアーの動きが停止した後もフィッシュイーターにアピールできるルアーが求められている。
【0006】
本発明の目的は、優れた組み立て性を有し、ルアーの動きが停止した後もフィッシュイーターにアピールしうるルアーの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るルアーは、内部に空洞を備えるボディと、この空洞内においてこのボディに可動に取り付けられ光を放つ揺動部とを備える。上記ボディは、上記揺動部からの光が外部から視認できるようになっている。上記揺動部は、このルアーが動作状態から停止状態となった後も動きうる弾性を有している。
【0008】
好ましくは、上記揺動部は、外部からの光を受けて光を放つ、反射体、蛍光体、燐光体又は透過体である。
【0009】
好ましくは、上記揺動部の材質が、ポリマー組成物又は金属である。より好ましくは、上記揺動部の材質は、基材ポリマーがシリコーンゴムである、ポリマー組成物である。
【0010】
上記揺動部が、自ら光を放つ発光体であってもよい。
【0011】
好ましくは、このルアーは錘をさらに備え、この錘が上記揺動部の下側部分に取り付けられている。
【0012】
好ましくは、このルアーは、上記揺動部の動く範囲を制限する可動域制限機構をさらに備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るルアーは、ボディの空洞内に可動に取り付けられ、光を放つ揺動部を備える。この揺動部からの光は、外部から視認できる。この揺動部は、このルアーが動作状態から停止状態となった後もしばらく動きうる弾性を有している。揺動部からの光の見え方は、このルアーが停止状態となった後も、変化する。このルアーでは、ルアーの動きが停止した後も、フィッシュイーターにアピールしうる。しかも、このルアーの構造は簡易である。このルアーでは、良好な組み立て性が実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るルアーが示された側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のルアーを左右の部分に分割したときの右側部分が示された断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の他の実施形態に係るルアーを左右の部分に分割したときの右側部分が示された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るルアー2が示された側面図である。
図1において、矢印Xが示す方向がこのルアー2の前方であり、その反対がルアー2の後方である。矢印Zが示す方向がこのルアー2の上方であり、その反対がルアー2の下方である。紙面と垂直な方向がこのルアー2の左右方向である。矢印X及びZは、
図2でも同じ意味を表す。
図1で示されるように、このルアー2は、ボディ4、ラインアイ6、フックアイ8及びフック10を備えている。
【0017】
図2は、
図1のルアー2を左右の部分に分割したときの右側部分が示された断面図である。この図は、ルアー2の左半分を取り外した図である。この図では、ルアー2の内部構造が見えている。
図2では、ルアー2の左半分を取り付けたときこの左半分と接触する部分には、ハッチがかけられている。このルアー2は、揺動部12、可動域制限機構14、及び錘16をさらに備えている。
【0018】
ボディ4は、ベイトである小魚に類似の外形を有する。ボディ4は、硬質な材料から形成されている。典型的には、ボディ4は、合成樹脂組成物から形成されている。ボディ4が、熱可塑性エラストマーのような軟質な材料から形成されてもよい。ボディ4は、ヘッド18及びテール20を備える。
図2に示されるように、ボディ4は、内部に空洞22を備える。このボディ4は、この空洞22に光を通す程度に透明性を有する。
図1では描かれていないが、空洞22内の揺動部12は外部から視認できる。このボディ4では、この揺動部12からの光が外部から視認できる。
【0019】
ボディ4は、内面(空洞22の外面)から延びる、掛け棒24を備える。後述する通り、掛け棒24には揺動部12が取り付けられている。この実施形態では、揺動部12の前方及び後方のそれぞれに、掛け棒24が設けられている。
【0020】
ラインアイ6は、ヘッド18の前端に取り付けられている。フックアイ8はボディ4の中央近辺及びテール20に取り付けられている。ラインアイ6及びフックアイ8は、金属線が曲げられて形成されている。この金属線の両端は、ボディ4に埋め込まれている。ラインアイ6及びフックアイ8は、ボディ4に堅固に固定されている。ラインアイ6には、ライン21が取り付けられる。それぞれのフックアイ8には、フック10が取り付けられる。この実施形態では、フック10の数は、2である。
【0021】
図2に示されるように、揺動部12は、空洞22の内部に位置する。揺動部12は、前後方向に延びている。揺動部12は板状である。
図2で示されるように、揺動部12は、厚み方向に貫通する孔26を備えている。
【0022】
揺動部12は、外部からの光を受けて光を放つ。この実施形態では、揺動部12は、反射体である。すなわち、揺動部12の表面は光を反射する。揺動部12の表面は、光沢を有する。揺動部12の表面に、着色や模様が施されてもよい。典型的な揺動部12として、ホロプレートが例示される。
【0023】
図2で示されるように、揺動部12は、前端及び後端に取り付け部28を備えている。
図2で示されるように、前端において前方に延びる第一取り付け部28aと、後端において後方に延びる第二取り付け部28bとが設けられている。第一取り付け部28a及び第二取り付け部28bは、それぞれ孔を備えている。第一取り付け部28aの孔には、前方の掛け棒24が通されている。第二取り付け部28bの孔には、後方の掛け棒24が通されている。揺動部12は、前方の掛け棒24と後方の掛け棒24との間に取り付けられている。
【0024】
揺動部12は、弾性を有している。揺動部12が弾性を有するため、揺動部12はボディ4に対して振動しうる。揺動部12は、前後上下左右に揺れ動くことができる。揺動部12は、ボディ4に対して可動となっている。さらにこの弾性により、釣り人がルアー2を引くのを止めたとき、水や潮の流れが止まったとき等の、ルアー2が動作状態から停止状態となった後も、揺動部12はしばらく動く。換言すれば、揺動部12は、このルアー2が動作状態から停止状態となった後も動きうる弾性を有している。
【0025】
この実施形態では、揺動部12は、全体が弾性材料よりなる。この実施形態では、揺動部12は、ポリマー組成物よりなる。ポリマー組成物の典型的な基材ポリマーは、ゴムである。この実施形態では、基材ポリマーは、シリコーンゴムである。
【0026】
基材ポリマーとなるゴムとして、シリコーンゴムの他に、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム及びウタレンゴムが例示される。
【0027】
基材ポリマーが、合成樹脂であってもよい。この合成樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウタレン、ポリ乳酸、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート及びポリエステルが例示される。
【0028】
基材ポリマーが、熱可塑性エラストマーであってもよい。この熱可塑性エラストマーとして、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン/アルケン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー及びポリアミド系熱可塑性エラストマーが例示される。
【0029】
本発明では、弾性材料とは、ヤング率が3GPa以下の材料を指す。基材ポリマーがゴム及び熱可塑性エラストマーの場合、ヤング率は、「JIS-K6251」の規定に準拠して測定される。条件は、下記の通りである。
試験片の形状=3号ダンベル
環境温度=23℃
試験機=東洋精機製作所社製の商品名「ストログラフ」
引張速度=500mm/min
材料が合成樹脂の場合、ヤング率は、「JIS K7161」に規定に準拠して測定される。条件は、下記の通りである。
試験片の形状=「JIS K7127」に規定されたタイプ2の形状
環境温度=23℃
試験機=精密万能試験機(島津製作所社の商品名「オートグラフ」)
チャック間距離=100mm、
引張速度=50mm/min
【0030】
錘16は、揺動部12に取り付けられている。この実施形態では、錘16は揺動部12の下側部分に取り付けられている。錘16の重さは、揺動部12が、このルアー2が動作状態から停止状態となった後も動きうる重さに設定される。
【0031】
図2で示されるように、この実施形態では、可動域制限機構14として、前述の揺動部12に設けられた孔26及びバー30が設けられている。バー30は、ボディ4に固定されている。バー30は、空洞22内で、左右方向に架け渡されている。バー30は、揺動部12の孔26に通されている。バー30の外径は、揺動部12の孔26の内径より小さい。ルアー2が泳ぐ通常の姿勢において揺動部12が静止しているときは、バー30は、揺動部12の孔26の内面と接触していない。揺動部12が動くと、揺動部12はバー30と接触しうる。バー30は、揺動部12の前後上下方向の可動範囲を制限する。バー30は、ボディ4の外部から、揺動部12が視認できる程度に透明性を有する。
【0032】
以下、本発明の作用効果が説明される。
【0033】
本発明に係るルアー2は、ボディ4の空洞22内に、光を放つ揺動部12を備える。この揺動部12は、反射体である。揺動部12の表面は、光を反射する。ボディ4は、空洞22内に光を通す程度に透明性を有する。揺動部12が反射した光は、外部から視認されうる。揺動部12が反射した光は、フィッシュイーターにアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0034】
このルアー2の揺動部12は、弾性を有する。釣り人がルアー2を引いたとき、水や潮の流れが速いとき等のルアー2の動作状態において、揺動部12は前後上下左右に揺れ動く。この揺動部12の動きにより、光の反射の状態が変化する。揺動部12が放つ光の見え方が変化する。揺動部12は、瞬いているように見える。これは、フィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0035】
このルアー2の揺動部12は、ルアー2が動作状態から停止状態となった後もしばらく動きうる弾性を有する。釣り人がルアー2を引くのを止めたとき、水や潮の流れが止まったとき等の、ルアー2が動作状態から停止状態となった後も、この揺動部12はしばらく前後上下左右に揺れ動く。このときも、揺動部12は瞬いているように見える。この揺動部12は、ルアー2が停止状態となった後も、しばらくフィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0036】
このルアー2では、揺動部12は、単一の材質からなる。揺動部12は、直接ボディ4に取り付けられている。この揺動部12自体が弾性を有することで、ルアー2が動作状態から停止状態となった後も、揺動部12が動きうる。揺動部12を動かすための機構や部品は設けられていない。このルアー2の構造は簡易である。このルアー2では、優れた組み立て性が実現されている。
【0037】
上記のとおり、揺動部12は、ルアー2が動作状態から停止状態となった後も、しばらく前後上下左右に揺れ動く。このルアー2が動く時間は、3秒以上が好ましく、5秒以上がより好ましく、10秒以上がさらに好ましい。
【0038】
ルアー2が動作状態から停止状態となった後にもより長く動くとの観点から、揺動部12のヤング率は、1GPa以下が好ましく、500MPa以下がより好ましく、100MPa以下がさらに好ましく、50MPa以下が最も好ましい。
【0039】
効果的にフィッシュイーターにアピールするとの観点から、揺動部12の反射率は、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましい。
【0040】
このルアー2では、錘16が揺動部12に取り付けられているのが好ましい。この錘16を調整することで、揺動部12の揺れの大きさや周波数が調整されうる。この錘16により、フィッシュイーターに効果的にアピールする揺動部12の動きが実現されうる。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0041】
このルアー2は、可動域制限機構14を備えるのが好ましい。可動域制限機構14により、揺動部12が大きく動くことで、揺動部12が空洞22内部の構造物に挟まることや、この構造物に引っかかることが防止される。揺動部12が、通常ではない位置で固定されることが防止される。さらに、これらの可動域制限機構14により、揺動部12の揺れが大きくなり過ぎることが抑えられている。この揺動部12は、高い周波数で揺れることができる。揺動部12は、瞬いているように見える。これは、フィッシュイーターにより効果的にアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0042】
前述のとおり、揺動部12は板状を呈しており、この揺動部12が前後方向に延びるように取り付けられているのが好ましい。このようにすることで、ルアー2の側面からこの揺動部12は視認し易い。揺動部12が反射した光は、効果的にフィッシュイーターにアピールする。このルアー2では、高いヒット率が期待できる。
【0043】
図3には、本発明の他の実施形態に係るルアー32が示されている。
図3は、ルアー32を左右の部分に分割したときの右側部分の、前方部分が拡大された断面図である。この図では、ルアー32の左半分を取り付けたときこの左半分と接触する部分には、ハッチがかけられている。
図3において、矢印Xが示す方向がこのルアー32の前方であり、その反対がルアー32の後方である。矢印Zが示す方向がこのルアー32の上方であり、その反対がルアー32の下方である。紙面と垂直な方向がこのルアー32の左右方向である。
【0044】
このルアー32は、ボディ34、揺動部36及び可動域制限機構38を備えている。図示されないが、このルアー32は、ラインアイ、フックアイ及びフックをさらに備える。ラインアイ、フックアイ及びフックは、
図1のルアー2のそれらと同じである。
【0045】
ボディ34は、ベイトである小魚に類似の外形を有する。ボディ34は、硬質な材料から形成されている。典型的には、ボディ34は、合成樹脂組成物から形成されている。ボディ34が、熱可塑性エラストマーのような軟質な材料から形成されてもよい。
図3に示されるように、ボディ34は、内部に空洞40を備える。このボディ34は、この空洞40に光を通す程度に透明性を有する。これにより、空洞40内の揺動部36は、外部から視認できる。このボディ34では、この揺動部36からの光が外部から視認できる。
【0046】
ボディ34は、内面から左右方向に延びる、掛け棒42を備える。後述するとおり、掛け棒42には、揺動部36が取り付けられている。この実施形態では、空洞40の上面側に3つの掛け棒42が設けられ、空洞40の下面側に3つの掛け棒42が設けられている。
【0047】
図3に示されるように、揺動部36は、空洞40の内部に位置する。複数の揺動部36が、前後方向に並んでいる。この実施形態では、第一揺動部36a、第二揺動部36b及び第三揺動部36cの3個の揺動部36が、空洞40内に位置している。それぞれの揺動部36は、板状である。揺動部36は、厚み方向に貫通する孔44を備える。この実施形態では、揺動部36は、二つの孔44を備える。
【0048】
揺動部36は、外部からの光を受けて光を放つ。この実施形態では、揺動部36は蛍光体である。この揺動部36の表面には、蛍光塗料が塗られている。揺動部36の表面に、着色や模様が施されてもよい。典型的な揺動部36として、ホロプレートが例示される。
【0049】
図3に示されるように、それぞれの揺動部36は、その上端と下端とに取り付け部46を備えている。上端において上方に延びる第一取り付け部46aと、下端において下方に延びる第二取り付け部46bとが設けられている。第一取り付け部46a及び第二取り付け部46bは、それぞれ孔を備えている。第一取り付け部46aの孔には、対応する上方の掛け棒42が通されている。第二取り付け部46bの孔には、対応する下方の掛け棒42が通されている。揺動部36は、上方の掛け棒42と下方の掛け棒42との間に取り付けられている。
【0050】
それぞれの揺動部36は、弾性を有している。揺動部36が弾性を有するため、揺動部36はボディ34に対して振動しうる。揺動部36は、前後上下左右に揺れ動くことができる。揺動部36は、ボディ34に対して可動となっている。さらにこの弾性により、釣り人がルアー32を引くのを止めたとき、水や潮の流れが止まったとき等の、ルアー32が動作状態から停止状態となった後も、揺動部36はしばらく動く。換言すれば、揺動部36は、このルアー32が動作状態から停止状態となった後も動きうる弾性を有している。
【0051】
この実施形態では、揺動部36は、弾性材料よりなる。この実施形態では、揺動部36は、ポリマー組成物よりなる。ポリマー組成物の典型的な基材ポリマーは、ゴムである。この実施形態では、基材ポリマーは、シリコーンゴムである。基材ポリマーが、合成樹脂であってもよい。基材ポリマーが、熱可塑性エラストマーであってもよい。
【0052】
この実施形態では、可動域制限機構38として、前述の揺動部36に設けられた孔44及びバー48が設けられている。バー48は、ボディ34に固定されている。バー48は、空洞40内で、左右方向に架け渡されている。バー48は、揺動部36の孔44に通されている。それぞれの揺動部36のそれぞれの孔44に、バー48が通されている。バー48の外径は、揺動部36の孔44の内径より小さい。ルアー32が泳ぐ通常の姿勢において揺動部36が静止しているときは、バー48は、揺動部36の孔44の内面と接触していない。揺動部36が動くと、揺動部36はバー48の孔44の内面と接触しうる。バー48は、揺動部36の前後上下方向の可動範囲を制限する。それぞれのバー48は、ボディ34の外部から、揺動部36が視認できる程度に透明性を有する。
【0053】
以下、本発明の作用効果が説明される。
【0054】
本発明に係るルアー32は、ボディ34の空洞40内に、光を放つ揺動部36を備える。この揺動部36は、蛍光体である。揺動部36は、外部からの光を受けて発光する。ボディ34は、空洞40内に光を通す程度に透明性を有する。揺動部36からの光は、外部から視認されうる。揺動部36からの光は、フィッシュイーターにアピールする。このルアー32では、高いヒット率が期待できる。
【0055】
このルアー32の揺動部36は、弾性を有する。釣り人がルアー32を引いたとき、水や潮の流れが速いとき等のルアー32の動作状態において、揺動部36は前後上下左右に揺れ動く。この揺動部36の動きにより、揺動部36が放つ光の見え方が変化する。揺動部36は、瞬いているように見える。これは、フィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー32では、高いヒット率が期待できる。
【0056】
このルアー32の揺動部36は、ルアー32が動作状態から停止状態となった後もしばらく動きうる弾性を有する。釣り人がルアー32を引くのを止めたとき、水や潮の流れが止まったとき等の、ルアー32が動作状態から停止状態となった後も、この揺動部36はしばらく前後上下左右に揺れ動く。このときも、揺動部36は瞬いているように見える。この揺動部36は、ルアー32が停止状態となった後も、しばらくフィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー32では、高いヒット率が期待できる。
【0057】
このルアー32では、複数の揺動部36が前後方向に並んでいる。これらの揺動部36は、独立して動く。これらの揺動部36の瞬き方は異なる。これは、フィッシュイーターに効果的にアピールする。このルアー32では、高いヒット率が期待できる。
【0058】
このルアー32では、揺動部36は、単一の材質からなる。揺動部36は、直接ボディ34に取り付けられている。このルアー32では、揺動部36自体が弾性を有することで、ルアー32が動作状態から停止状態となった後も、揺動部36がしばらく動きうる。揺動部36を動かすための機構や部品は設けられていない。このルアー32の構造は簡易である。このルアー32では、優れた組み立て性が実現されている。
【0059】
上記で説明された実施形態では、揺動部が弾性材料からなることで、揺動部が弾性を有していた。他の実施形態として、揺動部が、その形状により弾性を有していてもよい。例えば、揺動部が薄い金属により形成されていてもよい。この薄さにより、揺動部は弾性を有する。揺動部が、蛇腹状を呈する金属であってもよい。形状が蛇腹状となっていることにより、揺動部は弾性を有する。揺動部は、このルアーが動作状態から停止状態となった後も動きうる弾性を有していればよい。これらの揺動部は、単一の材質からなり、直接ボディに取り付けられる。このルアーの構造は簡易である。このルアーでは、優れた組み立て性が実現されている。
【0060】
上記で説明された実施形態では、揺動部は反射体又は蛍光体であった。揺動部が、外部からの光を受けて発光する、燐光体であってもよい。この揺動部では、弾性材料からなる揺動部の本体の表面が、燐光塗料により塗装されている。
【0061】
揺動部は、外部からの光を受けて、これを集光又は拡散させる透過体であってもよい。典型的な透過体として、レンズ及びプリズムが例示される。この揺動部では、弾性材料により、このレンズ又はプリズムが形成されている。
【0062】
揺動部は、自ら発光する発光体であってもよい。典型的な発光体として、化学反応による発光を利用した化学発光体が挙げられる。例えば、外郭をなす本体を弾性材料で形成した化学発光体が、揺動部として使用される。発光体の他の例として、発光デバイスが挙げられる。例えば、弾性材料からなる本体に発光ダイオード及び電池が固定された揺動部が、使用される。
【0063】
以上では、魚用のルアーでの実施形態を挙げて、本発明が説明された。ここでは挙げられていないが、本発明は、エギ等の、魚以外の魚介類用のルアーにも適用できる。
【0064】
以上説明されたように、本発明に係るルアーは、優れた組み立て性を有しつつ効果的にフィッシュイーターにアピールできる。このルアーは、動作状態から停止状態となった後もフィッシュイーターにアピールできる。このことから本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るルアーは、湖沼、池、ダム、川、海等の種々のフィールドでの釣りに適している。
【符号の説明】
【0066】
2、32・・・ルアー
4、34・・・ボディ
6・・・ラインアイ
8・・・フックアイ
10・・・フック
12、36・・・揺動部
14、38・・・可動域制限機構
16・・・錘
18・・・ヘッド
20・・・テール
22、40・・・空洞
24、42・・・掛け棒
26、44・・・孔
28、46・・・取り付け部
30、48・・・バー