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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】生検部位マーカー
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/00 20160101AFI20230412BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20230412BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20230412BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20230412BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20230412BHJP
   A61K 49/04 20060101ALI20230412BHJP
   A61K 49/06 20060101ALI20230412BHJP
   A61K 49/22 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
A61B90/00
A61B6/12
A61B6/00 390C
A61B5/055 390
A61B8/00
A61K49/04 100
A61K49/06
A61K49/22
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2019527285
(86)(22)【出願日】2017-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 US2017053782
(87)【国際公開番号】W WO2018097891
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】62/425,953
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501214292
【氏名又は名称】ホロジック, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Hologic, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 Campus Drive, 01752 Marlborough, MA,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス, エステファニア
(72)【発明者】
【氏名】コザック, アダム
(72)【発明者】
【氏名】ロバートソン, ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】スピーゲルバーグ, スティーブン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524689(JP,A)
【文献】特開2005-312941(JP,A)
【文献】特開2008-143896(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0206323(US,A1)
【文献】特表2015-510437(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0236014(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/00
A61B 5/055
A61B 6/00
A61B 6/12
A61B 8/00
A61B 10/02
A61L 31/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織が摘出された患者の体内の標的部位への埋め込みのための遠隔検出可能マーカーであって、前記マーカーは、
X線イメージング下における一意的な同定のための識別パターンを有する放射線不透過性要素;および
触知不能な本体であって、配置前構成の実質的に脱水された材料を含む触知不能な本体を含み、
前記本体は、流体に曝露された際に、約30~60分でその配置前体積の5~100%拡大し、前記標的部位内に埋め込まれた際に、少なくとも約52週間にわたって実質的に物理的に安定であり続けるように構成されており、前記完全に拡大した本体は、配置時に触知不能な感触を有し;
前記本体が人造物として認識可能であり、前記放射線不透過性要素とは識別可能であるように、前記本体は超音波を反射するように構成されている、
遠隔検出可能マーカー。
【請求項2】
前記触知不能な本体が、前記放射線不透過性要素に連結されている、請求項1に記載のマーカー。
【請求項3】
前記放射線不透過性要素が、内部領域を規定する編組構造、織物構造またはメッシュ構造を含み、そしてここで、前記本体が、前記放射線不透過性要素の前記内部領域内に含まれる、請求項1に記載のマーカー。
【請求項4】
前記放射線不透過性要素が金属である、請求項1または3に記載のマーカー。
【請求項5】
前記放射線不透過性要素がポリマーである、請求項1または2に記載のマーカー。
【請求項6】
前記放射線不透過性要素が、放射線不透過剤を配合したPMMAまたは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む、請求項5に記載のマーカー。
【請求項7】
前記放射線不透過性要素が、約30重量%~約70重量%の硫酸バリウムをロードされたPMMAを含む、請求項6に記載のマーカー。
【請求項8】
前記PMMAが、約60重量%の硫酸バリウムをロードされている、請求項7に記載のマーカー。
【請求項9】
前記放射線不透過性要素が、約17重量%~約23重量%の三酸化ビスマスをロードされたPMMAを含む、請求項6に記載のマーカー。
【請求項10】
前記PMMAが、約20重量%の三酸化ビスマスを含む、請求項9に記載のマーカー。
【請求項11】
前記PMMAが、PEKKより小さな体積でPEKKと同様の放射線造影を達成するように構成されている、請求項6に記載のマーカー。
【請求項12】
前記本体がヒドロゲルから作られていることにより、それが、水和された際に超音波下における鏡面外観を最小にするように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のマーカー。
【請求項13】
前記本体がヒドロゲルから作られていることにより、それが、水和された際に超音波下における鏡面外観を最小にするように構成されており、そして前記放射線不透過性要素がPMMAを含み、前記PMMAおよびヒドロゲルが、共有結合による架橋を形成するように構成されている、請求項1または2に記載のマーカー。
【請求項14】
前記本体が、pHEMA、PVP、PEGDAおよびPVAの1つまたはそれよりも多くを含む、請求項12に記載のマーカー。
【請求項15】
前記放射線不透過性要素が、形状記憶材料、および/または超弾性材料から作られている、請求項1または3に記載のマーカー。
【請求項16】
前記放射線不透過性要素が、放射線不透過剤をロードされた繊維から作られている、請求項1または2に記載のマーカー。
【請求項17】
前記本体が、第2の層に固定して連結された第1の層を含み、前記第1および第2の層がそれぞれ近位端を有し、前記第1および第2の層の前記各近位端が実質的に整列されており、前記第1の層が熱可塑性物質を含み、前記第2の層が、流体と接触すると拡大して前記第2の層の配置後構成への移行を引き起こす実質的に脱水された材料から構成されており、前記配置後構成が識別パターンを有する、請求項1に記載のマーカー。
【請求項18】
前記第2の層が形状記憶熱可塑性物質から作られている、請求項17に記載のマーカー。
【請求項19】
前記本体が、ポリマーメッシュに含まれる超吸収性ポリマーを含む、請求項1に記載のマーカー。
【請求項20】
組織が摘出された患者の体内の標的部位への埋め込みのための遠隔検出可能マーカーであって、前記マーカーは、
X線イメージング下における一意的な同定のための識別パターンを有する放射線不透過性要素;および
触知不能な本体であって、配置前構成の実質的に脱水された材料を含む触知不能な本体を含み、
前記本体は、流体に約30~60分間曝露された際に、100~1000wt/wtの膨張比を有し、前記標的部位内に埋め込まれた際に、少なくとも約52週間にわたって実質的に物理的に安定であり続けるように構成されており、前記完全に拡大した本体は、配置時に触知不能な感触を有し;
前記本体が人造物として認識可能であり、前記放射線不透過性要素とは識別可能であるように、前記本体は超音波を反射するように構成されている、
遠隔検出可能マーカー。
【請求項21】
前記触知不能な本体が、前記放射線不透過性要素に連結されている、請求項20に記載のマーカー。
【請求項22】
前記放射線不透過性要素が、内部領域を規定する編組構造、織物構造またはメッシュ構造を含み、そしてここで、前記本体が、前記放射線不透過性要素の前記内部領域内に含まれる、請求項20に記載のマーカー。
【請求項23】
前記本体が、最大約8000%の体積変化の形態で公称最大膨潤を有する、請求項20~22のいずれか1項に記載のマーカー。
【請求項24】
前記放射線不透過性要素が、約30重量%~約70重量%の硫酸バリウムをロードされたPMMAを含む、請求項20または21に記載のマーカー。
【請求項25】
前記放射線不透過性要素が、約17重量%~約23重量%の三酸化ビスマスをロードされたPMMAを含む、請求項20または21に記載のマーカー。
【請求項26】
前記本体がヒドロゲルから作られていることにより、それが、水和された際に超音波下における鏡面外観を最小にするように構成されている、請求項20~22のいずれか1項に記載のマーカー。
【請求項27】
前記放射線不透過性要素がPMMAを含み、前記PMMAおよびヒドロゲルが、共有結合による架橋を形成するように構成されている、請求項20または21に記載のマーカー。
【請求項28】
前記本体が、pHEMA、PVP、PEGDAおよびPVAの1つまたはそれよりも多くを含む、請求項20~22のいずれか1項に記載のマーカー。
【請求項29】
前記放射線不透過性要素が、形状記憶材料、および/または超弾性材料から作られている、請求項20または22に記載のマーカー。
【請求項30】
前記放射線不透過性要素が、放射線不透過剤をロードされた繊維から作られている、請求項20または21に記載のマーカー。
【請求項31】
前記本体が、第2の層に固定して連結された第1の層を含み、前記第1および第2の層がそれぞれ近位端を有し、前記第1および第2の層の前記各近位端が実質的に整列されており、前記第1の層が熱可塑性物質を含み、前記第2の層が、流体と接触すると拡大して前記第2の層の配置後構成への移行を引き起こす実質的に脱水された材料から構成されており、前記配置後構成が識別パターンを有する、請求項20に記載のマーカー。
【請求項32】
前記第2の層が形状記憶熱可塑性物質から作られている、請求項31に記載のマーカー。
【請求項33】
前記本体が、ポリマーメッシュに含まれる超吸収性ポリマーを含む、請求項20に記載のマーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
開示される本発明は、一般に、乳房生検手順のための部位マーカーに関する。より具体的には、開示される本発明は、いくつかの異なるイメージングモダリティ下で視認可能な部位マーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
乳癌の診断および処置では、生検を実施して、疑わしい腫瘤から組織サンプルを摘出する必要があることが多い。疑わしい腫瘤は、典型的には、目視検査、触診、X線、磁気共鳴イメージング(MRI)、超音波イメージングまたは他の検出手段を使用して予備検査中に発見される。
【0003】
疑わしい腫瘤が検出された場合、生検によってサンプルを採取し、次いで、腫瘤が悪性または良性であるかを決定するために試験する。この生検手順は、切開外科技術によって、または特別な生検機器の使用によって実施され得る。外科的侵入を最小限にするために、生検針などの小さな特別な機器を胸部に挿入し、イメージング技術、例えば蛍光透視法、超音波イメージング、X線、MRIまたは他の適切なイメージング技術を使用して、針の位置をモニタリングする。
【0004】
定位針生検と称される1つの生検手順では、患者は、マンモグラフィ装置のプレート間で胸部が圧迫された状態で特別な生検台上に横になり、2つの異なる基準点から2つの別個のX線写真を撮影する。次いで、コンピュータが、胸部内の腫瘤または病変の正確な位置を計算する。次いで、病変の座標を機械的定位装置にプログラミングして、生検針を正確に病変に進める。通常、病変の周囲の場所から少なくとも5つの生検サンプルを採取し、病変の中心から1つを採取する。
【0005】
生検を実施するために使用される方法または機器にかかわらず、経過観察検査では、または癌性病変の処置のために、その後の手術部位の検査が必要であり得る。処置は、外科医または放射線技師が外科的処置または放射線処置を病変の正確な場所に向けることを必要とする乳腺切除、腫瘍摘出手術、放射線療法または化学療法の処置を含むことが多い。この処置は、生検手順後数日間または数週間に及ぶ場合があり、その時までに、組織の元の特徴は生検によって除去または変化されている場合があり、病変の場所の将来的な同定のための目印として機能するように、部位マーカーを外科的空洞部に挿入することが望ましい。
【0006】
公知の生検部位マーカーは、すべての利用可能なイメージングモダリティ下で部位マーカーが視認可能ではないという不利点を有することが見出されている。また、この問題のために、部位マーカーで先にマーキングされている生検部位において癌が見出された場合、超音波もしくは他の可視化モダリティ下における生検部位マーカーの視認性不良により、またはマーカーと解剖学的特徴との間の区別の欠如により、手術中に外科医が生検部位を見出すことを可能にするために、患者は、さらなるデバイスを生検部位内に設置するさらなる手順を受けなければならない。限定的な視認性(または超音波を使用する場合にはその完全な欠如)は、基準点として機能するマーカーを用いたネオアジュバント化学療法中に腫瘍の進行または縮小をモニタリングする能力を制限する。1つの公知技術は、乳房病変局在化ワイヤーを生検部位に設置している。局在化ワイヤーは、典型的には、マンモグラフィおよび/または超音波を介して、生検部位に設置される。
【0007】
部位マーカーによって生じる別の問題は移動である。通常、部位マーカーを生検部位に配置すると、乳房は圧迫下にあり続ける。しかしながら、乳房が圧迫から解放されると、部位マーカーは、生検デバイスによって作られた針管を通って部位内または部位外にも移動する可能性があり、それにより、外科医または放射線技師が、病変または生検領域の正確な位置を容易に位置決定することが妨げられる。
【0008】
したがって、癌の検出および処置において患者が受けなければならない手順の数を減少させるために、様々な様式のイメージング下で視認可能な生体適合性材料から作られた部位マーカーが必要である。また、部位マーカーを生検部位に設置する場合、部位マーカーの移動を制限する必要もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
要旨
開示される発明およびその実施形態によると、組織が摘出された患者の体内の標的部位への埋め込みのための遠隔検出可能マーカーが提供され、前記マーカーは、X線イメージング下における一意的な同定のための識別パターンを有する放射線不透過性要素;および放射線不透過性マーカーに連結された触知不能な本体を含む。一実施形態では、前記本体は、配置前構成の実質的に脱水された材料を含み、前記本体は、流体に曝露された際に、約30~60分でその配置前体積の5~100%拡大し、前記標的部位内に埋め込まれた際に、少なくとも約52週間にわたって実質的に物理的に安定であり続けるように構成されており;および前記本体が人造物として認識可能であり、前記放射線不透過性マーカーとは識別可能であるように、前記本体は超音波を反射するように構成されている。一実施形態では、本体は、配置前構成の実質的に脱水された材料からなり、本体は、流体に約30~60分間曝露された際に、100~1000wt/wtの膨潤比を有し、標的部位内に埋め込まれた際に、少なくとも約52週間にわたって実質的に物理的に安定であり続けるように構成されており、本体が人造物として認識可能であり、放射線不透過性マーカーとは識別可能であるように、本体は超音波を反射するように構成されている。
【0010】
種々の実施形態において、放射線不透過性要素(金属またはポリマーであり得る)は、内部領域を規定する編組構造、織物構造またはメッシュ構造から形成され、前記本体が、前記放射線不透過性要素の前記内部領域内に含まれる。一部の実施形態では、放射線不透過性要素は、放射線不透過剤を配合したPMMAまたは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から形成される。そのような一実施形態では、放射線不透過性要素は、約30重量%~約70重量%、より好ましくは約60重量%の硫酸バリウムをロードされたPMMAを含む。別の実施形態では、放射線不透過性要素は、約17重量%~約23重量%、好ましくは約20重量%の三酸化ビスマスをロードされたPMMAを含む。種々の実施形態において、PMMAは、PEKKより小さな体積でPEKKと同様の放射線造影を達成するように構成されている。
【0011】
種々の実施形態において、前記マーカーの本体は、好ましくは水和された際に超音波下における鏡面外観を最小にするように構成されている、ヒドロゲルから作られている。そのような一実施形態では、放射線不透過性要素はPMMAを含み、PMMAおよびヒドロゲルは、共有結合による架橋を形成するように構成されている。そのような一実施形態では、前記本体は、pHEMA、PVP、PEGDAおよびPVAの1つまたはそれよりも多くを含む。
【0012】
種々の実施形態において、前記マーカーの本体は、好ましくは水和された際に超音波下における鏡面外観を最小にするように構成されている、ヒドロゲルから作られている。そのような一実施形態では、放射線不透過性要素はPMMAを含み、PMMAおよびヒドロゲルは、共有結合による架橋を形成するように構成されている。そのような一実施形態では、前記本体は、pHEMA、PVP、PEGDAおよびPVAの1つまたはそれよりも多くを含む。
【0013】
種々の実施形態において、放射線不透過性要素は、編組ニチノールチューブによって形成されている。種々の実施形態において、放射線不透過性要素は、形状記憶材料および/または超弾性材料から作られている。一実施形態において、放射線不透過性要素は、放射線不透過剤をロードされた繊維から作られている。一実施形態において、前記マーカーの本体は、第2の層に固定して連結された第1の層を含み、前記第1および第2の層がそれぞれ近位端を有し、前記第1および第2の層の前記各近位端が実質的に整列されており、前記第1の層が熱可塑性物質を含み、前記第2の層が、流体と接触すると拡大して前記第2の層の配置後構成への移行を引き起こす実質的に脱水された材料から構成されており、前記配置後構成が識別パターンを有する。そのような実施形態では、放射線不透過性要素は、前記第1および第2の層の前記各近位端の近位に配置され得る。そのような実施形態では、前記第2の層は形状記憶熱可塑性物質から作られ得る。
【0014】
種々の実施形態において、前記マーカーの本体は、ポリマーメッシュに含まれる超吸収性ポリマーを含む。非限定的な例として、前記本体は、前記放射線不透過性要素を含有する折り畳まれたまたは丸まったポリマーパウチであり得、前記パウチが、PVG/PEGDA顆粒が充填されたポリエステル糸で形成されたナイロンメッシュ織物を含む。あるいは、前記放射線不透過性要素はPMMAまたはUHMWPEを含み得る。一実施形態では、前記パウチは、約20重量%の三酸化ビスマスを含む放射線不透過性繊維を含む。
【0015】
開示される本発明の他のおよびさらなる態様および特徴は、好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明(これは、本発明を例示することを意図し、限定することを意図しない)を読むことから明らかになるであろう。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
組織が摘出された患者の体内の標的部位への埋め込みのための遠隔検出可能マーカーであって、前記マーカーは、
X線イメージング下における一意的な同定のための識別パターンを有する放射線不透過性要素;および
放射線不透過性マーカーに連結された触知不能な本体であって、配置前構成の実質的に脱水された材料を含む触知不能な本体
を含み、
前記本体は、流体に曝露された際に、約30~60分でその配置前体積の5~100%拡大し、前記標的部位内に埋め込まれた際に、少なくとも約52週間にわたって実質的に物理的に安定であり続けるように構成されており;および
前記本体が人造物として認識可能であり、前記放射線不透過性マーカーとは識別可能であるように、前記本体は超音波を反射するように構成されている、遠隔検出可能マーカー。
(項目2)
前記放射線不透過性要素が、内部領域を規定する編組構造、織物構造またはメッシュ構造を含み、前記本体が、前記放射線不透過性要素の前記内部領域内に含まれる、項目1に記載のマーカー。
(項目3)
前記放射線不透過性要素が金属である、項目1または2に記載のマーカー。
(項目4)
前記放射線不透過性要素がポリマーである、項目1または2に記載のマーカー。
(項目5)
前記放射線不透過性要素が、放射線不透過剤を配合したPMMAまたは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む、項目4に記載のマーカー。
(項目6)
前記放射線不透過性要素が、約30重量%~約70重量%の硫酸バリウムをロードされたPMMAを含む、項目5に記載のマーカー。
(項目7)
前記PMMAが、約60重量%の硫酸バリウムをロードされている、項目6に記載のマーカー。
(項目8)
前記放射線不透過性要素が、約17重量%~約23重量%の三酸化ビスマスをロードされたPMMAを含む、項目5に記載のマーカー。
(項目9)
前記PMMAが、約20重量%の三酸化ビスマスを含む、項目8に記載のマーカー。
(項目10)
前記PMMAが、PEKKより小さな体積でPEKKと同様の放射線造影を達成するように構成されている、項目5に記載のマーカー。
(項目11)
前記本体がヒドロゲルから作られている、項目1~10のいずれかに記載のマーカー。
(項目12)
前記ヒドロゲルが、水和された際に超音波下における鏡面外観を最小にするように構成されている、項目11に記載のマーカー。
(項目13)
前記放射線不透過性要素がPMMAを含み、前記PMMAおよびヒドロゲルが、共有結合による架橋を形成するように構成されている、項目11または12に記載のマーカー。
(項目14)
前記本体が、pHEMA、PVP、PEGDAおよびPVAの1つまたはそれよりも多くを含む、項目11または12に記載のマーカー。
(項目15)
前記放射線不透過性要素が編組ニチノールチューブによって形成されている、項目1または2に記載のマーカー。
(項目16)
前記放射線不透過性要素が、形状記憶材料および/または超弾性材料から作られている、項目1または2に記載のマーカー。
(項目17)
前記放射線不透過性要素が、放射線不透過剤をロードされた繊維から作られている、項目1または2に記載のマーカー。
(項目18)
前記本体が、第2の層に固定して連結された第1の層を含み、前記第1および第2の層がそれぞれ近位端を有し、前記第1および第2の層の前記各近位端が実質的に整列されており、前記第1の層が熱可塑性物質を含み、前記第2の層が、流体と接触すると拡大して前記第2の層の配置後構成への移行を引き起こす実質的に脱水された材料から構成されており、前記配置後構成が識別パターンを有する、項目1または2に記載のマーカー。
(項目19)
前記放射線不透過性要素が、前記第1および第2の層の前記各近位端の近位に配置されている、項目18に記載のマーカー。
(項目20)
前記第2の層が形状記憶熱可塑性物質から作られている、項目18または19に記載のマーカー。
(項目21)
前記本体が、ポリマーメッシュに含まれる超吸収性ポリマーを含む、項目1または2に記載のマーカー。
(項目22)
前記本体が、前記放射線不透過性要素を含有する折り畳まれたまたは丸まったポリマーパウチである、項目1または2に記載のマーカー。
(項目23)
前記パウチが、PVG/PEGDA顆粒が充填されたポリエステル糸で形成されたナイロンメッシュ織物を含む、項目22に記載のマーカー。
(項目24)
前記放射線不透過性要素がPMMAまたはUHMWPEを含む、項目22に記載のマーカー。
(項目25)
前記パウチが、約20重量%の三酸化ビスマスを含む放射線不透過性繊維を含む、項目22に記載のマーカー。
(項目26)
組織が摘出された患者の体内の標的部位への埋め込みのための遠隔検出可能マーカーであって、前記マーカーは、
X線イメージング下における一意的な同定のための識別パターンを有する放射線不透過性要素;および
放射線不透過性マーカーに連結された触知不能な本体であって、配置前構成の実質的に脱水された材料を含む触知不能な本体
を含み、
前記本体は、流体に約30~60分間曝露された際に、100~1000wt/wtの膨張比を有し、前記標的部位内に埋め込まれた際に、少なくとも約52週間にわたって実質的に物理的に安定であり続けるように構成されており;および
前記本体が人造物として認識可能であり、前記放射線不透過性マーカーとは識別可能であるように、前記本体は超音波を反射するように構成されている、遠隔検出可能マーカー。
(項目27)
前記放射線不透過性要素が、内部領域を規定する編組構造、織物構造またはメッシュ構造を含み、前記本体が、前記放射線不透過性要素の前記内部領域内に含まれる、項目26に記載のマーカー。
(項目28)
前記本体が、最大約8000%の体積変化の形態で公称最大膨潤を有する、項目26または27に記載のマーカー。
(項目29)
前記放射線不透過性要素が、約30重量%~約70重量%の硫酸バリウムをロードされたPMMAを含む、項目26~28のいずれかに記載のマーカー。
(項目30)
前記放射線不透過性要素が、約17重量%~約23重量%の三酸化ビスマスをロードされたPMMAを含む、項目26~28のいずれかに記載のマーカー。
(項目31)
前記本体がヒドロゲルから作られている、項目26~30のいずれかに記載のマーカー。
(項目32)
前記ヒドロゲルが、水和された際に超音波下における鏡面外観を最小にするように構成されている、項目31に記載のマーカー。
(項目33)
前記放射線不透過性要素がPMMAを含み、前記PMMAおよびヒドロゲルが、共有結合による架橋を形成するように構成されている、項目26~32のいずれかに記載のマーカー。
(項目34)
前記本体が、pHEMA、PVP、PEGDAおよびPVAの1つまたはそれよりも多くを含む、項目26~30のいずれかに記載のマーカー。
(項目35)
前記放射線不透過性要素が編組ニチノールチューブによって形成されている、項目26または27に記載のマーカー。
(項目36)
前記放射線不透過性要素が、形状記憶材料および/または超弾性材料から作られている、項目26または27に記載のマーカー。
(項目37)
前記放射線不透過性要素が、放射線不透過剤をロードされた繊維から作られている、項目26または27に記載のマーカー。
(項目38)
前記本体が、第2の層に固定して連結された第1の層を含み、前記第1および第2の層がそれぞれ近位端を有し、前記第1および第2の層の前記各近位端が実質的に整列されており、前記第1の層が熱可塑性物質を含み、前記第2の層が、流体と接触すると拡大して前記第2の層の配置後構成への移行を引き起こす実質的に脱水された材料から構成されており、前記配置後構成が識別パターンを有する、項目26または27に記載のマーカー。
(項目39)
前記放射線不透過性要素が、前記第1および第2の層の前記各近位端の近位に配置されている、項目38に記載のマーカー。
(項目40)
前記第2の層が形状記憶熱可塑性物質から作られている、項目38または39に記載のマーカー。
(項目41)
前記本体が、ポリマーメッシュに含まれる超吸収性ポリマーを含む、項目26または27に記載のマーカー。
(項目42)
前記本体が、放射線不透過性要素を含有する折り畳まれたまたは丸まったポリマーパウチである、項目26または27に記載のマーカー。
(項目43)
前記パウチが、PVG/PEGDA顆粒が充填されたポリエステル糸で形成されたナイロンメッシュ織物を含む、項目42に記載のマーカー。
(項目44)
前記放射線不透過性要素がPMMAまたはUHMWPEを含む、項目42に記載のマーカー。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面は、開示される実施形態の設計および有用性を例示しており、類似の要素は、共通の参照番号によって参照される。開示される実施形態の上記および他の利点および目的がどのようにして達成されるかをよりよく理解するために、添付の図面を参照して、より具体的な説明が示されている。これらの図面は、開示される本発明の例示的な実施形態を描写するので、限定と見なされるべきではないことを理解して、例示される実施形態は、添付の図面を使用してさらに具体的かつ詳細に記載および説明される。
【0017】
図1図1は、乳房の断面と、生検腔に埋め込まれている1つまたはそれを超える部位マーカーとを示すヒト乳房における生検部位の斜視図である。
【0018】
図2AC図2Aおよび2Cは、第1の実施形態の部位マーカーの平面図である。
【0019】
図2BD図2Bおよび図2Dは、それぞれ図2Aおよび図2Cにおける2B-2Bおよび2D-2Dの線に沿った断面図である。
【0020】
図2E図2Eは、図2A~2Dの代替的な実施形態の平面図である。
【0021】
図3AB図3Aおよび3Bは、それぞれ脱水状態および水和状態の第2の実施形態の部位マーカーの斜視図である。
【0022】
図3C図3Cは、脱水状態の第2の実施形態の一部の拡大図である。
【0023】
図3D図3Dは、図3Cの3D-3Dの線に沿った第2の実施形態の断面図である。
【0024】
図4図4Aおよび4Bは、それぞれ拡大状態および収縮状態の第3の実施形態の部位マーカーの斜視図である。
【0025】
図5図5Aおよび5Bは、それぞれ脱水状態および水和状態の第4の実施形態の部位マーカーの平面図である。
【0026】
図6図6は、第5の実施形態の部位マーカーの平面図である。
【0027】
図7AB図6Aおよび6Bは、それぞれマーカー配置前およびマーカー配置後の送達デバイスの平面図である。
【0028】
図7図7は、部位マーカーのための送達デバイスの代替的な実施形態である。
図8図8である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
例示される実施形態の詳細な説明
乳房生検において使用するための生検マーカーが本明細書に記載されるが、これは他の分野においても使用され得る。本明細書に記載されるマーカーは、この基本的大量製品のコストを実質的に追加せずに、既存技術からの有意な性能変化を提示する。既存製品は、許容できないほど短い持続時間である超音波造影しか提供せず、腔壁への組織接着の欠如、機械的付着、または配置時の急速な拡大により、元の生検位置から移動する傾向があった。これらの欠点は、フレキシブルなエンベロープ内に含まれる放射線不透過性コアまたはヒドロゲルを囲むヒドロゲルまたは類似技術を含む新たなデバイスを示唆する。
【0030】
好ましくは、生検部位マーカーは、限られた後方音響シャドーイング内で最低1年間(52週間)にわたって、永久的な放射線造影および明確な超音波造影を提供する。超音波造影を提供するマーカーの部分は、永久的または生分解性のいずれかであり得る。マーカーは、好ましくは、他の生物学的構造および異常な特徴からそれを明瞭に区別するための「人工」形状を有する。マーカーの永久部分は、好ましくは、腔の中央に位置する。マーカーは、好ましくは、移動を最小化し、既存の腔構造と比べて組織接着を改善するように構成される。マーカーは、好ましくは、生検腔を充填するように膨潤するが、患者によって触知可能であるほどには膨潤しない。マーカーの送達は、好ましくは、独力によるものであり、可能な限り簡単なものである。貯蔵寿命は、好ましくは、少なくとも2年間である。
【0031】
図1は、本開示の実施形態の部位マーカー12が埋め込まれているヒト乳房10の斜視図を示す。生検において、部位14は、組織サンプルが摘出されて生検腔18が生じた病変16である。マーカー送達システム20を使用して、1つまたはそれを超える部位マーカー12を生検腔18に埋め込む。一実施形態では、生検デバイス(示さず)の内腔22を通してそれをスライドさせることによって、マーカー送達システム20を前進させ、それにより、生検デバイスを取り出した後にマーカー送達システム20を挿入する必要性を回避する。生検デバイスを取り出さずに部位マーカー12を生検腔18に送達することにより、組織損傷の量を減少させ、部位マーカー12のより正確な設置を可能にする。図1に例示されているマーカー送達システム20は例示に過ぎず、本明細書に開示される部位マーカー実施形態は、他のマーカー送達システムと共に使用するために適切であることが理解される。
【0032】
図2A~5Bは、本開示の様々な例示的な部位マーカー実施形態を例示する。一般に、本明細書に記載される部位マーカーは、放射線写真イメージングのための適切な密度、超音波イメージングのための適切な表面特性および音響インピーダンス差、ならびに磁気共鳴イメージングのための適切な磁気特性を有する生体適合性材料から作られる。部位マーカーの構成材料は、生分解性ではないか、または長いタイムスケールにわたって分解するように調整され得る。腫瘍を有意に減少させて腫瘤摘出をもたらすためには、52週間のスケールは、全ラウンドのネオアジュバント化学療法をモニタリングすることができるためのマーカーの視認性を医師が必要とする典型的なタイムスパンを包含する。特に、マーカーにおける音響インピーダンスの均一性は非常に望ましい。強いインピーダンス不整合は、超音波を使用した明瞭な輪郭をもたらし、そして本明細書に記載されるヒドロゲルが全体を通して一定のインピーダンスを維持する能力は、「鮮明な」スペックルフリー画像をもたらすのに対して、不均一インピーダンスを有するヒドロゲルはスペックル画像をもたらし、以下にさらに記載されるように組織と誤解され得る。
【0033】
配置前状態の本明細書に開示される部位マーカーは、それらの所望の最終状態からサイズが減少した脱水状態の固体圧縮構造である。これらのマーカーはまた、水和状態で明確な3D構成を有する。生検腔に配置されると、マーカーは、インサイチューで即時に拡大し、30~60分以内に完全サイズに達するように構成される。マーカーは、生検管の初期サイズよりも大きなサイズまで、軸方向(高さ)および長手方向(幅)に拡大し得る。好ましくは、完全に拡大したマーカーは、生検腔の直径の50%超を占める。この拡大は、超吸収性ヒドロゲルに使用されるポリマーの種類、ポリマーが調製された条件(例えば、架橋密度に影響を及ぼし得、膨潤比/膨潤速度に影響を与え得る異なる加工条件)、ポリマーの表面積、ポリマーの膨潤速度、ヒドロゲルポリマーを含むポリマー/金属エンベロープの弾力性または弾性、最終/拡大形状およびその最終寸法を設定するための加工条件、配置に使用される食塩水の量、ならびに生検腔内の体液の量に基づいて適合され得る。この拡大の適合は、病変の正確なマーキングおよび正確な配置を支援し、マーカーが生検腔または生検トラック内で移動するのを防止し得る。60分間の時間枠により、放射線技師は、任意のイメージングモダリティを使用して配置後に設置を確認すること、およびマーカーの配置直後にマンモグラムを用いて設置を確認することが可能になる。特に、マーカーは、数分以内にU/SおよびMRI下で視認可能になり始め、患者の体内に配置されて1時間以内にそれらの「最終」配置状態に達するであろう。放射線技師は配置時にイメージングし、患者が施設を離れる前にマンモグラフィを用いて確認するように、これは日常業務である。完全に拡大したマーカーは、好ましくは、配置時に触知不能な感触を有し、長期的には、生体適合性材料の選択により、最小限の瘢痕形成を伴うわずかな組織炎症反応を引き起こすはずである。
【0034】
一実施形態では、図2A~2Dに示されているように、ゲルメッシュ生検マーカー200は、ポリマーメッシュパウチまたはエンベロープ202と、パウチ202内に配置された超吸収性ヒドロゲル顆粒204と、パウチ202内に配置された放射線不透過性要素206とを含む。図2Aおよび2Bに示されているように、生検腔への配置前に、顆粒204は脱水状態であり、メッシュパウチ202は比較的平坦である。顆粒204が脱水されると、ゲルメッシュ生検マーカー200は、生検腔への送達のために丸められ得るかかまたは折り畳まれ得る。生検腔に配置されると、パウチ202は直ちに広がるかまたは展開して、平坦になる。この広がりまたは展開はマーカー200の幅を増加させるので、マーカー200が生検腔に沿って移動し得る可能性は低い。
【0035】
生検腔に送達されると、ヒドロゲル顆粒204は液体を吸収する。例えば、マーカー配置プロセスは、顆粒204の水和を促進するための食塩水洗浄を含み得、食塩水洗浄は、水和/拡大を促進し、より予測可能な配置挙動(すなわち、U/SまたはMRI下でより予測可能な水和動態(配置から最初の視認性までの時間)を可能にすることを目的とする。しかし、食塩水洗浄を用いない場合であっても、ヒドロゲル成分は、本明細書でさらに議論されるように、生理液(血液、間質液)を吸収するであろう。図2Cおよび2Dに示されているように、液体の吸収中に、顆粒204は膨潤して、パウチ202を拡大させ充填する。配置の条件に応じて、ゲルメッシュマーカー200は、約10分以内に完全に拡大し得る。拡大は、ヒドロゲルのロード、ヒドロゲルの化学的性質および寸法、メッシュパウチ202の弾力性または弾性によって制限される。メッシュパウチ202の表面積および弾性は、可能な最大移動を規定し、パウチ202内のゲル顆粒204の量は、完全に膨潤したマーカー200の実際の移動および剛性を規定する。したがって、マーカーの拡大は、2つの機構(メッシュパウチの展開/広がりおよびゲル顆粒204による吸水)によって起こる。
【0036】
メッシュパウチ202は、ナイロンなどのポリマーから作られ得る。メッシュパウチ202は、非限定的な例として、ポリエステル糸を使用して長方形パッチ形状に縫製されたナイロンメッシュ織であり得る。他のパッチ形状も可能であり、パッチはまた、縫製以外の技術によって、例えば超音波溶接または熱溶接によって組み立てられ得る。メッシュは、乾燥状態または水和状態のメッシュの穴を通して顆粒204が出るのを防止する微細メッシュである。換言すれば、メッシュの開口部は、顆粒204よりも有意に小さい。さらに、水和状態のヒドロゲル顆粒は、生検腔内で予想される生理的負荷の下で細孔を通して追い出されるのを防止するために十分に硬い(すなわち、十分に高い弾性率または物理的完全性を有する)。
【0037】
顆粒204は、超吸収性ヒドロゲル顆粒であり得る。例えば、顆粒204は、ポリビニルピロリドンとポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PVP/PEGDA)とのコポリマーであって、超音波造影およびMRI造影を提供するコポリマーから作られ得る。一実施形態では、ヒドロゲル顆粒は、以下の配合で調製されたPVP/PEGDAゲルである:15%ビニルピロリドン、7.5%ポリ(エチレングリコール)ジメチルアクリレート(700g/mol)、および1%塩化ナトリウム水溶液。モノマー含有量に対して、1%の2,2-ジメトキシ-2-フェニルアクトフェノン(2,2-dimethoxy-2-phenylactophenone)を光開始剤として添加して、紫外線による架橋を可能にし得る。(例えば、約48Wおよび約254nmの光源を用いて)ポリスチレンペトリ皿中で、得られた製剤を約20分間UV硬化し得る。この後、蒸留水中でゲルを一晩膨潤させて未反応生成物を除去し、次いで、80℃で約8時間乾燥させて水を除去し得る。次いで、粉砕機を使用してゲルを粉砕し、得られた材料を篩分けして、約50~100μmのサイズの顆粒204を得ることができ、ポリエステル糸で閉じる前に、これをポリマーメッシュパウチ202にロードする。
【0038】
放射線不透過性要素206は、放射線不透過剤をロードされた(shape loaded)ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)形状を含み得る。PMMAは、例えば、成形または金型押出によってユニークな形状に容易に形成され得る。このようなユニークな形状は、X線イメージング下における容易な同定を可能にするであろう。マンモグラフィおよびトモシンセシス下で視覚化する場合、本構成のPMMAの物質的不透過性および密度は、金属系マーカーを囲む伝統的な黒いアーチファクトを制限または排除する。これらのアーチファクトは、マーカーを囲む解剖学的特徴の誤表示をもたらし得る。したがって、PMMAは、目的の周辺生体構造または病変を永久的に制限せずに、マーカーのより容易な同定を可能にする。一実施形態では、ゲルメッシュマーカー200において使用される放射線不透過性要素206は、直径約400μmの円筒形PMMAマーカーである。例えば、60%wt/wtの硫酸バリウム濃度をもたらすように改変されたKYPHON HV-R骨セメント粉末および液体成分を約60秒間混合し、次いで、22ゲージ針を通してポリエチレン表面上に押し出し、長さ約3mmの切片に切断し得る。これらの放射線不透過性要素206を、ヒドロゲル顆粒204と一緒にメッシュパウチ202にロードし得る。
【0039】
別の実施形態では、放射線不透過性要素をパウチ202内に含め得るのではなく、パウチ202に取り付け得る。例えば、図2Eに示されているように、メッシュパウチ202に刺繍された放射線不透過性糸206’は、放射線不透過性要素として機能する。あるいはまたは加えて、放射線不透過性糸206’を使用して、同定可能パターンで糸206’をメッシュそれ自体に組み込んだカスタムメッシュを設計し得る。例えば、放射線不透過性糸206’は、X線イメージングを使用して観察する場合にコントラストを提供するためにゲルメッシュマーカー200’に組み込まれた放射線不透過性繊維(例えば、Dyneema Purity(登録商標)(DSM))であり得る。放射線不透過性繊維206’は、約20重量%の三酸化ビスマスをロードされた医療グレードの超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)であり得る。メッシュ202への繊維206’の刺繍、またはメッシュの一部としての繊維の組み込みは、メッシュ202への繊維206’の取り付けを確実にし、一意的な同定のためのパターン形成を可能にする。
【0040】
ゲルメッシュマーカー200は、いくつかの異なるイメージングモダリティ下で視認可能であることが示された。超音波イメージング中、ヒドロゲル成分204の含水量は、高エコーポリマーメッシュ202によって明確に輪郭が示される低エコー領域を提供する。平衡における完全な材料水和を確実にするために、ヒドロゲルロードのいくらかの最適化が必要とされ得る(部分水和ヒドロゲル粒子は、全体的なマーカーコントラストを減少させる「鏡面外観」をもたらす)。X線の視認性は、ポリマーパウチ202の内部または表面上に放射線不透過性ポリマー要素206、206’を含めることによって達成される。MIRイメージング下では(MRI造影の機構は、周辺組織に対して、ヒドロゲルの高い相対含水量である)、ゲルメッシュマーカー200内に含まれるヒドロゲル204は、T2強調画像シーケンスでは明るい形状(シグナル強調)として現れ、T1強調画像シーケンスでは暗い形状として現れる。あるいは、人工構造として区別するのを容易にするために、例えば「シグネチャー」のような、永久的に視認可能なままである明確な「ビッグバブル」または他のタイプのアーチファクトを有する鏡面外観を作り出すことが望ましい場合がある。
【0041】
別の実施形態では、図3A~3Dに示されているように、生検マーカー300は、図3Bに示されている水和状態のカーリーフライに似た二層複合材料を含む。カーリーフライ生検マーカー300は、脱水状態の超吸収性ヒドロゲル層302と、ヒドロゲル304が吸収されたメッシュ層とを含む平坦なストリップ(図3A)として始まり、生検マーカー300の厚さにわたって連続ゲルネットワークを形成する。水和されると、超吸収性ヒドロゲル層302は、メッシュ層304よりも大きな程度まで膨潤するが、メッシュ304はそれほど大きく膨潤しない。特に、メッシュ304はヒドロゲルの膨潤を収縮させ、メッシュの特性(例えば、伸張性の異方性、細孔の形状)およびヒドロゲルの機械的特性に依存する方法でヒドロゲルによって変形される。不均一な拡大は、らせん形状へのカールをもたらす。ヒドロゲル層302の高い膨潤比は、空間充填拡大および(いくつかのモダリティ下で)イメージングコントラストを可能にする。カーリーフライ生検マーカー300を生検腔に送達して、水和に応じて配置し得る。あるいはまたは加えて、マーカー300を送達用カニューレに設置し、プッシュロッドを使用して射出して配置し得る。食塩水または水による逆洗を使用して、急速な膨潤を確実にし得る。
【0042】
初期マーカー300は、長さ3cm×幅0.1cm×厚さ0.05cmのおおよその寸法を有する長方形の形状であり得る。ヒドロゲル302が水を吸収して膨潤するにつれて、生検マーカー300はカールし、らせん形状(いわゆる「カーリーフライ」形状)を形成する。このカーリーフライ形状変化は拡散律速であり、バルクヒドロゲルが軟化すると引き起こされる。カールは、水への曝露後3~5分以内に始まり得、最終形状は約30分で達成され得る。水和状態もしくは部分水和状態のマーカー300を配置することによって、またはヒドロゲルの配合を調節することによって、より急速な形状変化を達成し得る。マーカー300の最終サイズは、長さ約1.0cm×直径0.5cmである。したがって、マーカー300の全長は水和により減少するが、有効直径は有意に増加する。膨潤およびその結果として起こる直径の増大は、生検腔を充填し、マーカー300を生検部位に局在化させ得る。
【0043】
このように、ヒドロゲルの拡大に加えて、カーリーフライマーカー300は、生検腔の充填および移動の防止を支援するための形状変形機構を組み込む。特に、カーリーフライマーカー300は、本質的に2Dストリップから3D(カール)構造に変形する。ゲル302の水和のみにより達成される最終3Dらせんは、生検部位からのマーカー300の移動を防止するのを支援する。らせん内の各リングまたはカールは、実質的に同心円状に整列するので、それは円筒様構造内に留まる。しかしながら、バルクヒドロゲルのメッシュ配向、構成および加工に応じて、またはメッシュに包埋されたヒドロゲル化学物質の異なるブロックを有することによって、らせんの個々のリングまたはカールは中心軸からずれて、マーカーを埋め込み部位に拘束したまま保持するのを支援するためのネジのようにいくらか機能する突出したリング/カールを有する「不連続な」カーリーフライ構造を作り出し得る。特に、メッシュおよびヒドロゲルの性質を制御することによって、3Dらせんヒドロゲル形状を調節し得る。例えば、生検マーカーの長さに沿った、異なる化学的性質を有するヒドロゲルのブロックの設置は、配置状態において曲率の変動をもたらし得る。このような場合、らせんの直径は長さに沿って変動し得るか、またはマーカーの中心で最大に達し得る。ヒドロゲルおよび吸収メッシュ層の相対的厚さを制御することによって、同様の直径の変動が達成され得る。例えば、一定のヒドロゲル層の厚さにより、より厚いメッシュ層は、増加した剛性およびカールに対する抵抗のために、より大きなカール直径を有するであろう。生検マーカーの長さに沿ったメッシュの方向の変動は、カールした3Dらせんの長さに沿ったピッチの変動にもたらし得る。さらに、メッシュへのさらなる構造的特徴(例えば、折り目、折り畳み、熱溶接)の追加は、らせんの中心軸の角度の変化を可能にし得る。
【0044】
二層設計の限界は、層間の接着であり得る。カーリーフライマーカー300は不均一な膨潤に依存するので、カールしたマーカーの層302と304との間の境界における固有応力は、非膨潤層と膨潤層との間のインターフェースにおける層間剥離を引き起こし得る。図3Cおよび3Dに示されているように、ヒドロゲル前駆体はメッシュ304に浸透して、マーカー300の厚さを介したヒドロゲル302の連続性を可能にするので、メッシュ304はこの問題を軽減し得る。一方の面における過剰のヒドロゲル302により、複合材料は、ヒドロゲル層302と、ヒドロゲル302に包埋されたメッシュ304の層とを有する二層構造になる。ヒドロゲル302の相互浸透は、層302と304との間の良好な接着を可能にし、層間剥離効果を制限し得る。
【0045】
二層マーカー300のカールのピッチを得るために、メッシュ304は、異方的な方法で弾性的に変形する材料で形成され得る。具体的には、メッシュ304は、垂直方向よりも一方向に伸長し得る。2方向間の伸長の相対的な差は、マーカー300におけるメッシュ304の方向と一緒に、カールした生検マーカー300の最終形状を決定する。この異方性を有しないメッシュはカールを可能にし得るが、ピッチはゼロである。
【0046】
一実施形態では、カーリーフライマーカー300は、メッシュ304に刺繍された糸306の形態の放射線不透過性要素を組み込む。あるいはまたは加えて、放射線不透過性糸306を使用して、同定可能パターンで糸を組み込んだカスタムメッシュを設計し得る。
【0047】
カーリーフライマーカー300は、好ましくは、高い膨潤比を有し、丈夫で、変形可能であり、亀裂伝播に対して抵抗性であるヒドロゲル成分302を含む。これらの特性を達成するために、ポリ(ビニルピロリドン-コ-エチレングリコールジメタクリレート)/ポリ(ビニルアルコール)ブレンド(PVPEGDA/PVA)をヒドロゲル302として使用し得る。PVPEGDAは単独で高い膨潤比を有するが、非常にノッチ感受性である。メッシュ304とゲル302との間の境界は、亀裂発生の部位として機能し得るので、このような特性は、カーリーフライマーカー300にとって理想的ではない。PVAは、その丈夫さについて公知のヒドロゲルであるが、単独では、カーリーフライマーカー300にとって過度に硬い可能性があり、膨潤は完全に可逆的ではない。組み合わせると、PVPEGDA/PVAは亀裂伝播に対してより抵抗性であり、水または食塩水中で可逆的に膨潤し得る。
【0048】
PVPEGDA/PVAゲルは、以下の配合で調製され得る:15%ビニルピロリドン、5%ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(700g/mol)、5%ポリ(ビニルアルコール)(106,000~110,000g/mol、99.3+超加水分解)、および1%塩化ナトリウム水溶液。モノマー含有量に対して、1%の2,2-ジメトキシ-2-フェニルアクトフェノン(2,2-dimethoxy-2-phenylactophenone)を光開始剤として添加して、紫外線による架橋を可能にし得る。
【0049】
メッシュ層304は、水中における膨潤応答が無視可能なポリエステルメッシュであり得る。ポリエステルは医療用途において広く使用されており、典型的には生分解性ではない。例えば、メッシュによって作り出される長期コントラストを検討する場合、メッシュ層304は、ポリ(エチレンテレフタレート)またはPET(これは、生物医学的材料、特に縫合糸、腱再建、血管移植片および外科手術用メッシュにおいて頻繁に使用される)を含み得、PETは生物学的分解に対して抵抗性であるので、機械的特性およびイメージングコントラストは1年を超えて安定であり得る。特に、ヒドロゲルによって作り出される長期コントラストは、ヒドロゲルの安定性に依存するであろう。
【0050】
カーリーフライマーカー300において使用される放射線不透過性要素306は、ゲルメッシュマーカー200に関して上記に記載されている繊維206’と同様の放射線不透過性繊維であり得る。マーカー300への取り付けを確実にするために、ヒドロゲル302への吸収前に、繊維306をメッシュ304に取り付け得る。放射線不透過性繊維306を取り付けたメッシュ304にPVPEGDA/PVAヒドロゲル302を吸収させて、生検マーカー300を形成し得る。
【0051】
カーリーフライ生検マーカー300は、いくつかの異なるイメージングモダリティ下で視認可能であることが示された。ヒドロゲル302中の含水量は、強い超音波造影を提供すると予想されるが、このイメージングモダリティ下で得られるシグナルは複雑である。二層マーカー300の三次元折り畳み構造により、得られるシグナルは、高エコーメッシュ304の周囲において明瞭な低エコー境界を示し得るが、いくつかの後方音響シャドーイングを伴う不連続形状として全体的に現れ得る。メッシュ成分304に取り付けた放射線不透過性UHMWPE繊維306を介して、例示的なX線造影を提供した。ヒドロゲル成分302の含水量は、T2強調スキャンでは明るい白色領域として現れ、T1および脂肪抑制画像シーケンス下では暗い形状として現れる優れたMRI造影を提供した。
【0052】
別の実施形態では、図4Aおよび4Bに示されているように、形状記憶系生検マーカー400は、超吸収性ヒドロゲルコア404を囲むケージ402を含む。ケージ402は、魚雷様形状または涙滴様形状を有し得、超弾性形状記憶材料を含む。例えば、ケージ402は、ニチノールから作られ得る。マーカー400は、ケージ402のいずれかの末端においてクリンプビーズ406をさらに含む。クリンプビーズ406は金属であり得るか、またはあるいはポリマーから作られ得、ニチノールケージ402の各末端を閉じ、それにより、ヒドロゲル成分404をケージ402内に封入して、一意的なX線同定を提供するために使用される。溶接または節止(後者は、例えば、引き紐および引き締め機構によって実現され得る)などの他の手段を用いて、ケージ402の末端を閉じ得ることが認識されよう。ヒドロゲルコア404をケージ402内に設置した後、クリンプビーズ406を用いて、ケージ402の末端を閉じ得る。いくつかの実施形態では、クリンプビーズ406は金属であり、チタン、金、銀などを含み得る。一例では、ニチノールケージ402を半径方向に圧縮し、0.8mm銀メッキ真鍮クリンプビーズ406に通し得る。このような実施形態では、クリンプビーズ406の金属組成は、最小限のMRIアーチファクトまたはMRIアーチファクトなしでさらなる放射線造影を提供し得る。あるいは、体温とほぼ同じ形状転移温度を有するニチノールを使用し、暖かい/熱い食塩水で洗い流して熱転移を引き起こし、すなわちそれにより、超弾性に依拠するのではなく真の形状記憶機構に依拠して、ケージ402を構築し得る。
【0053】
ニチノールは、そのロバストな形状記憶特性および組成による活性化温度調整能力により、ケージ402にとって好ましい形状記憶材料である。一例では、ケージ様構造402は、編組ニチノールチューブから作られる。編組技術は、3Dチューブコンストラクトにおいて所望の特性を付与し得る。具体的には、ニチノールチューブは、半径方向圧縮により高度に圧縮可能であり、軸方向圧縮により高度に拡大可能である。半径方向圧縮力または軸方向圧縮力のいずれかの解放後、ニチノールチューブは、その元の状態に弾性的に収縮する。極端な直径の変化は、編組形状に起因する。チューブの最大外径、編組密度および弾性応答などの特性は、編組パラメータによって調節され得る。
【0054】
ニチノールの超弾性は、小径カニューレにおけるコンパクトな送達および生検腔への配置時における迅速な空間充填のための手段として利用され得る。ニチノールケージ402は、所望の先細り直径および所望の長さを有する永久拡大形状に設定され得る。例えば、ケージ402の直径は最大点で約0.5cmであり得、ケージ402の長さは約1.0cmであり得る。ケージ402を形成するニチノールチューブがヒドロゲルコア404と接触するように、形状記憶マーカー400はより小径に圧縮され得る。この形態では、図4Bに示されているように、形状記憶マーカー400は、配置のためにカニューレ408に容易に挿入される。したがって、カニューレ408のサイズは、ヒドロゲル成分404の直径によって制限される可能性が高いが、クリンプビーズ406または代替的なケージシーリング材料のプロファイル、ならびに編組を形成するニチノールチューブ/ワイヤーの直径もカニューレサイズを制限し得る。単純なプッシュロッドを使用して形状記憶マーカー400を生検腔に押し出し得、食塩水で逆洗して、ヒドロゲル404の膨潤を促進し得る。カニューレ408を出ると、即時弾性拡大は、病変の正確なマーキング、マーカー400の局在化、および生検部位からの移動の防止を支援する。加えて、魚雷様形状は、カニューレ408の引き戻し中の生検管に沿ったマーカー400の移動の防止を助け得る。マーカーの遠位部分の直径が大きいほど、生検管などの最小抵抗の方向へのマーカー移動を防止する。
【0055】
形状記憶マーカー400におけるヒドロゲルコア404は、超音波造影およびMRI造影を提供する。ヒドロゲルコア404は、例えば、脱水状態で長さ約0.5cmおよび直径0.8mmであり得る。一実施形態では、ヒドロゲル404は、以下の配合で調製されたポリ(ビニルピロリドン-コ-エチレングリコールジメタクリレート)(PVPEGDA)ゲルである:7.5%ビニルピロリドン、2.5%ポリ(エチレングリコール)ジメチルアクリレート(700g/mol)、および1%塩化ナトリウム水溶液。モノマー含有量に対して、1%の2,2-ジメトキシ-2-フェニルアクトフェノン(2,2-dimethoxy-2-phenylactophenone)を光開始剤として添加して、紫外線による架橋を可能にし得る。得られた製剤を石英チューブ(例えば、公称内径2.3mm)に投入して、円筒形ヒドロゲルロッドを得ることができる。形状記憶マーカー400のヒドロゲル成分404については、他のマーカー実施形態において使用したヒドロゲルと比較して、より低い全モノマー含有量を使用した。より低いモノマー含有量はより高い膨潤比を可能にするが、膨潤状態のゲルの機械的強度を減少させる。形状記憶マーカーの設計は、ヒドロゲル404をケージ構造402内に封入するので、潜在的マーカーの除去中にヒドロゲル404の機械的強度に依拠しない。
【0056】
イメージングコントラストの目的のみのために、放射線不透過性要素を添加しなかった点で、形状記憶マーカー400は他のマーカー実施形態とは異なる。いくつかの実施形態では、ニチノールケージ402およびクリンプビーズ406は金属であり、本質的に放射線不透過性である。ニチノールケージ402の永久的形状、またはクリンプビーズ406のサイズ、形状もしくは数の調節は、複数の生検部位間の区別を可能にし得る。
【0057】
形状記憶マーカー400(クリンプビーズ406を含む)は、配置時における形状記憶マーカー400の摩擦の減少を支援し得る薄いヒドロゲル層(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)など)または他の低摩擦材料(例えば、ePTFE、シリコーン、ポリ(グリセロールセバケート)PGS)でコーティングされ得る。このようなコーティングは、送達デバイスの遠位端外への形状記憶マーカー400の配置を容易にし得、ケージ402の外面と送達カニューレの内面との間の摩擦によるケージ402の細断も防止し得る。このコーティングはまた、超音波視覚化のための別の向上を提供し得る。代替的な配置戦略(例えば、可溶性プラグの使用-以下で議論)もまた、配置中のマーカーへの損傷を防止し得る。
【0058】
形状記憶マーカー400は、いくつかの異なるイメージングモダリティ下で視認可能であることが示された。例えば、形状記憶マーカー400の超音波イメージングは、高エコーニチノール末端と低エコーヒドロゲル内部との間の明確なエコー源性コントラストを示した。得られる効果は、断面で観察すると明るい「輪郭」を有する暗い内部形状である。超音波トランスデューサがマーカーをスキャンすると、ニチノールワイヤー構成は、低エコーバックグラウンドを有する薄い高エコー十字交差構造として容易に視覚化される。ケージ402のいずれかの末端のクリンプビーズ406(これは、例えば銀メッキ真鍮から構成され得る)はまた、明確な高エコーコントラストを提供する。完全に配置された形状記憶生検マーカー400は、ケージ402の編組形状中のニチノールワイヤーと、マーカー400のいずれかの側のクリンプビーズ406と明瞭に捕捉するX線下で視認可能である。薄いワイヤー径により、マーカー400は、マーカー400の背後の組織および周辺の媒体を遮蔽しないので、マーカー400は半透明に現れる(別名、「メッシュスクリーン」効果)。ニチノール成分およびヒドロゲル成分は両方とも、MRIを使用して同定可能である。T2強調画像では、ニチノールケージ402は、明るいヒドロゲルコア404の周囲の暗い輪郭として現れる。T1強調画像では、マーカー400全体が暗い領域として現れる。
【0059】
さらに別の実施形態では、図5Aおよび5Bに示されているように、膨潤ビーズ生検マーカー500は、超吸収性ポリマーヒドロゲル504でコーティングされた固体放射線不透過性コア506を含む。膨潤ビーズマーカー500は、脱水状態のヒドロゲル504と共に生検腔に送達され、生検腔に送達されると、ヒドロゲル504は拡大する。マーカー配置は、ヒドロゲル504の水和を促進するための食塩水洗浄を含み得る。
【0060】
X線造影を達成するために、放射線不透過性コア506は、放射線不透過剤をロードされたPMMA形状を含み得る。PMMAは、例えば、成形または金型押出によってユニークな形状に容易に形成され得る。例えば、膨潤ビーズマーカー500において使用される放射線不透過性要素506は、ゲルメッシュマーカー200に関して上記に記載されている放射線不透過性要素206と同じ方法で調製された直径約400μmの円筒形PMMAマーカーであり得る。PMMAコア506は丈夫で硬いが、ヒドロゲル504は柔らかくて脆い。PMMA化学物質とヒドロゲル504との適合性は、硬化中にヒドロゲル504とPMMAコア506との間に形成される化学結合をもたらし得る。特に、ヒドロゲル化学物質が慎重に選択される場合、および/または基礎となる放射線不透過性要素が適切な表面処理(例えば、金属放射線不透過性マーカーの官能化/シラン修飾)を受けている場合、ヒドロゲル材料の重合中に共有化学結合が起こり得、これが、ヒドロゲル材料と放射線不透過性要素との間で起こり、これら2つの異なる材料間の接着を改善する。
【0061】
膨潤ビーズマーカー500におけるヒドロゲル成分504は、超音波造影およびMRI造影を提供する。一実施形態では、ヒドロゲル504は、以下の配合で調製されたPVP/PEGDAゲルである:15%ビニルピロリドン、7.5%ポリ(エチレングリコール)ジメチルアクリレート(700g/mol)、および1%塩化ナトリウム水溶液。モノマー含有量に対して、1%の2,2-ジメトキシ-2-フェニルアクトフェノン(2,2-dimethoxy-2-phenylactophenone)を光開始剤として添加して、紫外線による架橋を可能にし得る。パラフィルムでシーリングされた直径2mmの半充填円筒形石英金型中で、得られた製剤を約60秒間UV硬化し得る(光源は、例えば、約48Wおよび約254nmであり得る)。あるいは、より小径マーカーでは、直径1mmの石英金型を用い得る。この後、放射線不透過性マーカー506(例えば、PMMA、60%硫酸バリウムwt/wt)をヒドロゲルの中心にロードし得、石英金型の残りにゲル前駆体溶液を充填し得る。得られたゲルをさらに15分間UV硬化し得る。ゲルを石英金型から押し出し、蒸留水中で膨潤させて未反応生成物を除去し、次いで、送達デバイスへのロード前に、80℃で乾燥させて水を除去し得る。この多段階硬化プロセスは、具体的には、放射線不透過性要素を周辺ヒドロゲルの中心に配置して正しく配向することを可能にする。
【0062】
膨潤ビーズマーカー500は、いくつかの異なるイメージングモダリティ下で視認可能であることが示された。超音波イメージング中、膨潤ビーズマーカー500は低エコーであり、マーカー500の周囲の境界は明瞭で鮮明であり、高エコー放射線不透過性要素506は内側に位置する。X線の視認性は、放射線不透過性要素506を含めることによって達成される。MRI下において、マーカー500は、T2強調画像シーケンスでは明るい形状として現れ、T1および脂肪抑制画像シーケンスでは暗い形状として現れる。膨潤ビーズマーカー500の平滑端は、人工物としてマーカー500を明瞭に識別する。
【0063】
別の実施形態では、図6に示されているように、生検マーカー600は、発泡体材料602と、粘着性コーティング604と、放射線不透過性要素606とを含む。配置前に、発泡体マーカー600は、圧縮された成形前発泡体602を含む。図6に示されているように、発泡体602は、送達デバイスへのロードおよび送達によるその後の拡大/展開のためにマーカーが折り畳まれることを可能にするジグザグパターンを有するが、任意の形状を使用し得ることを容易に理解すべきである。発泡体602の圧縮性は縮小サイズ状態による配置を可能にし、配置されると、発泡体602は、生検腔において拡大、展開および充填し得る。好ましくは、より多くの流体を保持するように、配置時に発泡体602を流体で飽和させ、それにより、空気含有量およびシャドーイングを減少させ得る。あるいはまたは加えて、発泡体602を流体に予め浸漬し、次いで、配置し得る。
【0064】
発泡体602は、オープンセル発泡体(例えば、シリコーンエラストマー)またはクローズドセル発泡体(例えば、ポリエチレンおよび/またはシリコーン、テクスチャードシリコーンなど)であり得る。一例では、発泡体602はクローズドセルポリエステルであり、これは、ポリマー構造が、封入された空気を含有することを意味し、インピーダンス不整合により超音波造影が増加し、発泡体セル内からのシグナルの欠如によりMRI造影が増加し、組織内方成長の欠如により全体的なシグナル永続性が増加するであろう。
【0065】
粘着性コーティング604(例えば、低分子量PEG、粘膜接着性ヒドロゲル、例えばチオール化PVAヒドロゲルなど)で発泡体602をコーティングして、腔壁への接着(これは、移動を減少させ得る)を支援し得る。図6は、発泡体602の輪郭を描くコーティング604を示すが、コーティング604は、発泡体602の外面全体をカバーすることを容易に理解すべきである。一実施形態では、発泡体602は、低分子量PEG(例えば、2000g/mol)(これは、室温および体温では固体であるが、材料のガラス転移温度が周囲温度未満であるので粘着性である)でディップコーティングされる。発泡体602は、80℃に加熱された30%PEGイソプロピルアルコール溶液中で一段階コーティングプロセスを受け得る。
【0066】
放射線不透過性要素606は(限定されないが)チタンから作られ得、これは、FDA認可永久埋め込みにおいて使用されている。発泡体生検マーカー600の識別子としてさらに作用するように、チタンワイヤーをユニークな形状に成形し得る。複数の形状を使用して、生検部位間の区別を可能にし得る。
【0067】
図7Aおよび7Bに示されているように、上記生検マーカーは、食塩水708による逆洗のために取り付けられたシリンジ704を有するカニューレ702と、マーカーを配置するためのプッシュロッド706とを含む送達デバイス700によって送達され得る。図7Aおよび7Bは、配置されている形状記憶マーカー400を示すが、送達デバイス700を使用して、いずれの上記部位マーカーも送達し得ることを十分に理解すべきである。マーカー実施形態はすべて、超音波造影を提供し、生検腔710の膨潤および充填による移動防止を支援するように設計されたヒドロゲル成分を含む。このように、即時の超音波イメージング能力および送達カニューレ702の引き戻し中の移動の防止のために、急速な膨潤が好ましい。マーカー配置時に過剰の食塩水708を添加すると、膨潤プロセスが促進され、超音波造影の改善が提供される。
【0068】
送達デバイス700は、マーカー400の送達および生検部位710への食塩水708の添加を達成する一段階配置を可能にする。図7Aに示されているように、生検マーカー400を送達カニューレ702にプレロードし得る。プッシュロッド706が取り付けられたシリンジ704に食塩水708を所望の容量まで充填し、マーカーを含有するカニューレ702に取り付け得る。このような取り付けは、標準的なルアーロックツイストフィットまたはカスタムアタッチメントであり得る。図7Bに示されているように、カニューレ702を生検腔710に設置した後、シリンジプランジャーを単に押し込み、プッシュロッド706を前進させ、これが生検マーカー400を腔610に押し込む。同時に、食塩水708を生検部位710に送達し得る。図7Bにより詳細に示されているように、内部プッシュロッド706は、外径がカニューレ702の内径よりもわずかに小さくなるようなサイズであり、それにより、プッシュロッド表面とカニューレ702との間に食塩水708が流れることが可能になる。
【0069】
別個のカニューレおよびシリンジを有することにより、個々の成分の販売が可能になり、マーカーのコストをさらに最小限に抑え得る。配置可能な状態の使い捨てカニューレ内でマーカーを販売し得、医療施設は、手元に1つまたはそれを超える取り付け可能なシリンジデバイスを有し得る。
【0070】
別の実施形態では、図8に示されているように、送達デバイス800は、プッシュロッドではなく(例えば、スクロース、PEGなどを含む)水溶性ペレット808を含む。水溶性ペレット808を、生検マーカー400と食塩水804との間のカニューレ802に設置し、シリンジプランジャーを押し下げ中に、流圧によって前方に押し出す(示さず)。プランジャーは、水溶性ペレット808(これは、最終的には溶解するであろう)だけではなく生検マーカー400も生検腔に移動させる。水溶性ペレット808が生検腔に移動すると、食塩水溶液804は自由に腔を充填し、生検マーカー400の水和に寄与する。この実施形態の利点は、可溶性ペレット808が配置の力を分散させ、生検マーカーの損傷可能性を減少させることである。
【0071】
図2A~6に関して上記に記載されている各実施形態は、超音波造影およびMRI造影の強化のために、ならびにマーカー移動の制限のためにヒドロゲルを含む。配置後の拡大挙動は、マーカーを生検腔内の中心に置き、移動を防止するように機能する。ヒドロゲルはキャスト可能/成形可能であるので、様々な形状でマーカーを製造することが可能になる。ヒドロゲルに放射線不透過剤などの他の添加剤をロードし得、それらの表面化学的性質に応じて、基礎基材に結合させることができる可能性がある。
【0072】
ヒドロゲル成分の膨潤速度は、表面対体積比により、ゲルメッシュマーカー200と他の3つのマーカー実施形態との間で異なる。ゲルメッシュマーカー200中のヒドロゲル顆粒204のより高い表面対体積比は、平衡に対するより急速な膨潤を可能にする。膨潤ビーズマーカー500、カーリーフライマーカー300および形状記憶マーカー400は、平衡膨潤状態に達するのが遅いが、直ぐに水を吸収し、脱水コアの周囲に水和シェルを形成するであろう。このように、上記マーカーはすべて、配置直後に超音波およびMRI下で視認可能なはずであるが、ゲルメッシュマーカー200のみは、配置後約10分でその最終状態になり得る。他のマーカー300、400および500は、完全水和に達するために約1時間を必要とし得る。
【0073】
ヒドロゲルは、ポリアクリルアミドから構成され得る。ポリアクリルアミドヒドロゲルは、一般的に、100~1000(wt/wt)の範囲の膨潤比を有し、500~1000μm乾燥ビーズは、水性溶媒の性質(例えば、pH、塩分含有量)に応じて、最大1~2cmのサイズに膨潤し得る。架橋密度を調整することによってポリアクリルアミドの機械的性質を調節し得、その結果、完全水和時により軟質またはより硬質のゲルが得られる。ポリアクリルアミドは生物学的分解に対して抵抗性であるので、特性およびイメージングコントラストは、52週間を超えて安定なはずである。ポリアクリルアミドの膨潤速度は、材料の表面積対体積比に依存するであろう。表面積対体積比が増加するにつれて(これは、一般により小さなマーカーに当てはまるであろう)、平衡体積に達するために必要な時間は減少するであろう。ヒドロゲルに使用される材料はまた、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)の1つまたはそれよりも多くの組み合わせであり得る。例えば、膨潤ビーズマーカー500、ゲルメッシュマーカー200および形状記憶マーカー400は、PVP/PEGDAのコポリマーを用い得る一方、カーリーフライマーカー300は、PVP/PEGDA/PVAのコポリマーを用い得る。材料選択は、生体液に対する反応に影響を及ぼし得ることを認識すべきである。特定の材料(例えば、ポリアクリルアミド)は、周辺の流体のイオン特性に対して感受性であり、血液対間質液対DI水に曝露されると異なる膨潤比(したがって、U/SおよびMRIによるイメージングコントラスト)を示すであろう。周辺の流体のイオン特性に対して比較的非感受性の材料(例えば、PVP/PEGDAおよびPVP/PEGDA/PVA)の選択は、最終用途におけるより予測可能で一貫した反応を確実にする。
【0074】
材料を選択したら、ヒドロゲルの機能的性能に影響を与えるであろう多くの変数が残る。ヒドロゲル材料の機能的性能としては、その超音波造影、MRI造影、膨潤速度、平衡時の膨潤比、機械的特性(乾燥および膨潤状態)、生体適合性、分解性、加工性、製造性、大きなマーカーコンストラクト内における適合性およびさらには放射線不透過性が挙げられる。これらの性能パラメータは、ヒドロゲルの物理的特性、例えば固形分、架橋密度および架橋間分子量に関連する。次に、これらは、ヒドロゲルモノマー含有量、モノマーの相対比(コポリマーの場合)、出発材料の分子量、開始剤含有量、硬化時間/温度/UV線量または添加剤、例えば可塑剤またはポロゲンを調節することによって調整され得る。例えば、直接UV架橋によって調製されたPVPヒドロゲルを用いると、出発材料の分子量が高いほど、ヒドロゲルの超音波造影は大きい。これは架橋間分子量の増加によるものであり、これが、より緩いポリマーネットワークの形成を可能にし、これが、より大きな平衡含水量を可能にする。
【0075】
市販の生検マーカーの大部分は、X線造影のために金属成分を用いる。これらは、金属チューブ、ワイヤーもしくはコイル(これらは、複雑な製造を用いずに得られ得る限られた数の形状を示す)の形態、またはマイクロマシン形状(これは、大規模生産のコストが高い可能性がある)の形態であり得る。上記実施形態において放射線不透過性要素として放射線不透過剤ロードポリマーを使用することは、よりコスト効率の高い方法でこのような設計を様々な形状に射出成形しまたは押し出すことを可能にする。
【0076】
一実施形態では、放射線不透過性ポリマーは、具体的にはMedtronicによって供給される市販の骨セメントKYPHON HV-Rの改変製剤を用いた、硫酸バリウムをロードされたPMMAであり得る。改変製剤は、30重量%(非改変基材)~70重量%の範囲の硫酸バリウム濃度を有する骨セメントサンプルを調製することによって、出発材料から生成され得る。硫酸バリウム濃度が増加するにつれて、最終材料の物理的完全性は減少し、PMMA製剤のX線造影は増加する。70%wt/wt濃度の硫酸バリウムでは、PMMAは、性質が脆性であることが定性的に観察される。ゲルメッシュマーカー200および膨潤ビーズマーカー500における放射線不透過性要素の調製では、60%wt/wt濃度の硫酸バリウムが好ましいものであり得る。60%の硫酸バリウムをロードされたPMMAマーカーは、市販のPEKKマーカーのサイズに応じて、定性的に同様の放射線造影を達成し得る。これは、PMMAマーカーの全体的な小型化およびより小さなゲージ送達デバイスを介した配置を可能にし得る。
【0077】
放射線不透過剤のための担体材料としてのPMMAの二次的利益は、材料の表面上のアクリレート基の存在であり得る。PEGDA鎖のアクリレート末端基において起こる架橋によって部分的に形成される本明細書で研究されるヒドロゲル系の場合、PMMA放射線不透過性マーカーの表面上のアクリレート基は、ヒドロゲルと反応して共有結合による架橋を形成し、膨潤ビーズ実施形態の場合には、2つの材料間の強い結合をもたらし得る。複雑な表面改質を用いない場合、他の多くの表面(例えば、ニチノール、チタン)上では、このような反応は不可能であろう。
【0078】
別の実施形態では、放射線不透過性要素は、放射線不透過剤ロード繊維であり得る。この形態の利点は、ゲルメッシュ、カーリーフライまたは形状記憶実施形態などの織物コンストラクトまたは編組コンストラクトについて、パターン化形態で放射線不透過性ポリマー繊維をより大きなマーカーに組み込んで、マーカー同定のためのユニークな放射線写真形状を提供し得ることである。放射線不透過剤ロード繊維は、17~23重量%の三酸化ビスマスをロードされたDyneema RP dtex 135 TS1000 UHMWPE繊維であり得る。
【0079】
すべてのマーカーは、3つのイメージングモダリティ(超音波、X線およびMRI)下で同定可能である。超音波下では、これらのマーカーは、含水量が多いので、ヒドロゲル成分が暗い領域として現れるという点で類似する。ゲルメッシュマーカー200は、メッシュ202がヒドロゲル204の薄層の周囲に高エコー輪郭として現れるという点で異なるが、メッシュ202の形状/弾性またはヒドロゲル204の膨潤圧を調節することによって、ヒドロゲル204の厚さを調整し得る。メッシュ形態は、「キャンディラッパー」外観を有する。膨潤ビーズマーカー500は、高エコー放射線不透過性要素506を囲む低エコー円筒として現れる。膨潤ビーズマーカー500の平滑面は、それを人工的な外観にする。形状記憶マーカー400におけるニチノールケージ402は、ゲルメッシュマーカー200と同様に、ヒドロゲル低エコーコア404の周囲に高エコーの輪郭として現れる。ニチノールケージは、(いかなる後方音響シャドーイングも伴わない)明確な超音波造影を有するので、専門の放射線技師によって、およびこの分野の知識が限られた者の場合にも容易に同定される。カーリーフライマーカー300は、複雑な構造により、超音波下における同定がより困難であるが、適切な位置では、高エコーメッシュの周囲に低エコーの輪郭(ヒドロゲル)を見ることができる。ゲルメッシュマーカー200およびカーリーフライマーカー300については、わずかなシャドーイングが観察される。すべてのマーカーは、X線画像において明るい白色(X線吸収)領域によって示される。形状記憶マーカー400は、画像においてマーカー全体が観察されるので、X線下で他のマーカーとは異なる。ニチノールケージ402は明確に現れ、クリンプビーズ406は、より大きな明るい領域として示されている。小径のニチノールチューブ/ワイヤー、ニチノールチューブ/ワイヤーの方向、1インチ当たりのピック(またはニチノールケージの空隙率)は、コントラストが永久に形状記憶マーカー400の背後の組織を遮蔽するのを防止する。他のマーカーは、マーカーの中心または一方の末端において放射線不透過性要素を有するに過ぎないが、コントラストは依然として、マーカーの位置決定に十分である。
【0080】
T2強調MRI画像下では、含水量からの高いシグナルによりヒドロゲル成分が明るい領域として現れるという点で、マーカーは同様に現れる。ゲルメッシュマーカー200および形状記憶マーカー400は、ポリエステルメッシュ202およびニチノールケージ402に起因して、ヒドロゲルを囲む暗い領域/輪郭を有するので、わずかに異なる。カーリーフライマーカー300もまた、らせん構造内の中空コアによりユニークに現れる。ヒドロゲルは明るく現れるが、マーカー内の空隙は暗い領域として示される。真の「空隙」は、埋め込み後の組織内方成長によって徐々に充填され得、超音波造影のこの特徴は、規模が徐々に減少して、最終的には消滅するであろう。T1強調MRI画像下では、マーカーのヒドロゲル成分は暗い形状として現れる。
【0081】
開示される本発明の特定の実施形態を示して説明したが、これは、開示される本発明を好ましい実施形態に限定するものではないことを理解すべきであり、本発明の範囲から逸脱せずに様々な変更および改変を行い得ることは当業者に明らかであり、特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲は、開示される実施形態の代替物、改変物および均等物をカバーするものである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8