(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】薬物療法管理を改善するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20230412BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20230412BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
A61M5/142 530
A61M5/168 500
A61M5/172 500
(21)【出願番号】P 2019551280
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(86)【国際出願番号】 IB2018051769
(87)【国際公開番号】W WO2018167727
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2017/051571
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】519011854
【氏名又は名称】ウニヴェルズィテート ベルン
(73)【特許権者】
【識別番号】504288421
【氏名又は名称】デビオテック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100126826
【氏名又は名称】二宮 克之
(72)【発明者】
【氏名】モウギアカコウ,スタブローラ
(72)【発明者】
【氏名】スン,チンナン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンコビッチ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ピヴェトー,ローレン-ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】プローンネク,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】バドジンスキー,ジョアン
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0053100(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0121634(US,A1)
【文献】特開2012-24521(JP,A)
【文献】DASKALAKI, Elena(外2名)., Model-Free Machine Learning in Biomedicine:Feasibility Study in Type 1 Diabetes,PLOS ONE,2016年7月21日, vol.11, no.7, e0158722, DOI:10.1371/journal.pone.0158722
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142-5/155
A61M 5/168-5/175
A61M 5/20-5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毎日の治療の修正を提供するように構成された患者の糖尿病管理のためのシステムであって、前記システムは:
前記患者のグルコースレベルに関するグルコースデータを受信するように構成された入力デバイスと;
ベーサルレート及びボーラスのうちの少なくとも一方を含む薬物送達パラメータに従って、前記患者にインスリンを送達するように構成された送達デバイスと;
前記患者のグルコースデータと、前記患者の前記薬物送達パラメータ及び炭水化物対インスリン比(CIR)情報のうち少なくとも1つとを記憶するように構成されたメモリ装置、及び
プロセッサー及びコンピュータで実行可能な命令を含むチューニングモジュールを含み、
前記チューニングモジュールは、前記コンピュータで実行可能な命令が前記プロセッサーによって実行されると:
前記メモリ装置から、最初の日に測定された少なくとも2つのグルコースデータを含む1日のグルコースデータを含む第1のデータを取得し、
前記メモリ装置から、前記最初の日に前記送達デバイスによって実行され
た前記薬物送達パラメータと前記CIRのうちの少なくとも一つを含む第2のデータを取得し、
前記ベーサルレートと前記CIRのうちの少なくとも1つの修正を含む前記1日の治療の修正を前記第1のデータと第2のデータに基づいて決定し、
前記1日の治療の修正は、前記送達デバイスによって次の日に使用されることを意図されており、かつ
前記患者のグルコースレベルの測定は血糖自己監視装置によって提供される
前記患者の糖尿病管理のためのシステム。
【請求項2】
前記毎日の治療の修正の少なくとも一部を表示するように構成された視覚ディスプレイを含むユーザーインターフェースをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記チューニングモジュールは、
毎日の治療を前記患者に提案するように構成され、前記送達デバイスは、前記患者が前記毎日の治療の修正を受け入れる場合にのみ前記毎日の治療の修正を適用するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記チューニングモジュールは、前記最初の日に前記患者によって摂食される少なくとも1つの食事の炭水化物に関連するデータを取得するように構成されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータで実行可能な命令は、一日あたりの患者の血糖の10又は8又は5未満の測定値を考慮する、請求項1から
4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記チューニングモジュールは、数日間の前記取得されたデータの少なくとも一部を考慮することにより前記決定のプロセスを改善するように構成される、請求項1から
5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記チューニングモジュールは、前記最初の日の少なくとも一部の間に送達された薬物の有効量を決定するように構成される、請求項1から
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記チューニングモジュールの前記コンピュータで実行可能な命令を起動するように構成された起動装置をさらに備える、請求項1から
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記起動装置は、前記患者によって起動される、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記起動装置は、前記
1日の前記患者の前記グルコースレベルの最後の測定後に前記患者によって起動される、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記チューニングモジュールは、俳優批評家(Actor Critic)学習アルゴリズムを使用する、請求項1から
10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記チューニングモジュールが前記1日のグルコースデータが少なくとも4回のグルコース測定値を含む場合に前記1日の治療のベーサルレートを更新するように構成されている、請求項1から
11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記チューニングモジュールが前記1日のグルコースデータが少なくとも一つの食事前測定値を含む場合に前記1日の治療のCIRを更新するように構成されている、請求項1から
12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記チューニングモジュールが前記1日のグルコースデータが少なくとも7回のグルコース測定値を含む場合に前記1日の治療のCIRを更新するように構成されている、請求項1から
13のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
患者への治療液の医学的注入に適応する方法、システム、及びデバイスが本明細書に記載されている。例えば、インスリン治療管理などの薬物治療管理の「日々」を改善するように構成されたモジュールを含む、システムである(1日は期間の持続時間の一例である)。Actor Critic(AC)学習アルゴリズムに関する詳細については、PCT出願WO 2018/011766 A1に記載されている。このPCT出願の内容は、参照により本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、身体がインスリンを作れない(タイプ1糖尿病-T1D)、あるいは、身体が循環インスリンに適切に応答する機能を欠くこと(タイプ2糖尿病-T2D)によって引き起こされる慢性代謝障害である。糖尿病は重度の短期及び長期の合併症に関連しており、その効果的な治療は重要かつ緊急である。
【0003】
糖尿病の治療における主な目標は、短期及び長期の合併症のリスクを減らすために、日常生活における高血糖症及び低血糖症を回避することである。この目的のために、臨床医は、グルコースの変動が可能な限り少ない、上限及び下限内のグルコース濃度とされている、ほぼ正常な血糖値を追求する。T1DとT2Dの治療は、主に前者が通常のインスリン投与に強く依存している理由によって異なっている。T2Dは通常、食事、運動、及びスルホニルウレアなどの医療サポートの組み合わせで治療されるが、疾病の進行した段階では、外部インスリンが必要である。一方、T1Dは毎日の外部インスリン投与で治療される。今日、グルコースの監視とインスリン投与のためのさまざまな技術的装置は、患者及び糖尿病の専門家を支援し、糖尿病の制御を最適化する。
【0004】
血糖(BG)レベルを維持するために、糖尿病患者は定期的にグルコース濃度を測定/監視する必要がある。最初かつ現在まで、グルコース測定に最も一般的に使用されている方法は、主に指の貫通からの全血の滴を使用する血糖自己監視(SMBG)(血糖メーター(BGM)とも呼ばれる)によるものである(手順は手動で実行される)。最近では、連続グルコース監視(CGM)の開発により、間質組織で、現在グルコースを連続的に測定することが可能となり、サンプリング周波数は、今や1分あたり1回の測定に達する。
【0005】
インスリン治療法は、血中のグルコース濃度の変動に対する正常な膵臓反応を模倣しようとする。この濃度は、1日の時刻に応じてゆっくりと変化する場合があり(例えば、夕方よりも明け方のほうが低くなるだろう)、患者が炭水化物を摂取した後や運動中にずっと速く変化する。
【0006】
インスリンは、連続皮下インスリン注入(CSII)ポンプを使用して(すなわち、使用される装置の精度に応じて数マイクロリットルの小さな増分で)(ほぼ)連続的に注入可能である。このアプローチは、膵臓の挙動を模倣するために、皮下に配置されたカテーテルを通じて1日24時間インスリンを注入するポンプを使用する。インスリン1回分の投与量は、ベーサルレートとボーラス投与に分けられる。CSIIに基づく治療解決策のほとんどは、患者がインスリンポンプをプログラムすることを要求する。しかし、CSIIの使用が簡単な場合でも、治療管理は非常にトリッキーであり、過度のトレーニングを必要とするが、エラーが時には劇的な結果に至ることが時々ある。
【0007】
ベーサルレートに関しては、介護者が1つ又は複数のベーサルレートを提案する場合がある一方、一部のポンプでは、患者が自身の日常生活の中で採用できる異なるタイプのリズムに対応するいくつかのプログラム可能なベーサルレートのプロファイルが提供される。例えば、患者は就業日のプロファイルを設定し、週末や女性患者については月経期のプロファイルを設定することができる。患者は、24時間の注入レートとボーラス量を設定するベーサルレートプロファイルを定義しなければならない。それでも、毎日のベーサルレートプロファイルの決定は複雑なプロセスである。
【0008】
ボーラスに関して、患者は食事又は補正の必要性に応じてボーラス量を定義することになる。患者は、次回の食事のcarbs(炭水化物)量を評価し、それをインスリン量に変換する専門家になることとなる。ほとんどのポンプには、この評価を容易にするツールが提供されているが、それでもなお、まだ多くのエラーが目に見えている。
【0009】
治療管理の潜在的なエラーを補償するために、患者は定期的なBG測定を行い、ボーラス(高血糖症の場合)を注入するか、あるいは、炭水化物(低血糖症の場合)を摂取することで悪いBGレベルを補償するように求められる。
【0010】
予期しない又は普通でないイベントが発生すると、ポンプのプログラミングはさらにずっと難しくなる。例:注入ポンプの閉塞、身体活動、病気、インスリン輸送の偏差、又は入力データのエラーである。これらのタイプのイベントは必要なインスリンの量を減少又は増加させる可能性があるため、治療管理者はそれらを考慮に入れ、ベーサルレートを調整してこれらがグルコース制御に与える影響を補償することとなる。
【0011】
CGMの出現により、近年の市場開発の新たな焦点は閉ループシステムになった。しかし、今日利用可能な製品はほとんどなく、それらが提供する機能はまだ非常にお粗末である。クローズドループシステムの目的は、膵臓を可能な限り模倣することであり、それによって人工膵臓(AP)を作成することである。患者はCGMとインスリン注入ポンプを自分で携帯する。BGは継続的に自動的に測定され、そのレベルはソフトウェアによって分析され、インスリンの量をリアルタイムで調整する。理論的には、システムは完全に自律的に動作し、欠陥のある膵臓を置換すると想定されているが、従来技術のシステムには、以下に説明するいくつかの不利な点がある。
【0012】
APは現在、糖尿病の研究の最前線にあるが、このコンセプトは、継続的なインスリン注入のための最初の閉ループアルゴリズムであるBiostator(商標)の開発で、70年代初頭に誕生した。現在までのところ、研究は、皮下グルコース測定の不正確さと遅延、皮下インスリン吸収の遅延を減少させ、及びCGMとポンプの寿命の延長を目的として、CGMとポンプの改善又は新しい技術が研究調査されている。アルゴリズムの面では、より洗練されたコントローラーの設計と開発に関心がフォーカスされている。この方向に向けて、提案された方法の実際の適応可能性を評価するために、非常に多くの多様なアルゴリズムが文献で提案されており、一連の臨床評価が進行中である。最近、臨床評価手続からやってきたフィードバックとして、制御アルゴリズムとともに機能する安全機構の必要性が取り扱われている。主に過剰なインスリン注入による重度の低血糖の予防を目的として、異常な代謝イベントの早期認識と検出のために、近未来のグルコース予測に基づく様々なアルゴリズムが提案されている。制御アルゴリズムと安全機構は一体となって制御システムを形成し、CGMとCSIIポンプ間の閉ループが形成される。制御アルゴリズムと安全機構の相互作用を伴うこのような制御システムの図が
図2に示されている。
【0013】
APにおける閉ループのための様々な制御アルゴリズムが提案されている。通常、APの制御アルゴリズムの通常評価では、CGMデバイスの所与の測定エラーのもと、低血糖と高血糖の両方に対して安全な範囲として一般に受け入れられている70~180mg/dLの目標範囲内にグルコースを維持する能力について評価される。
【0014】
APは多くのチャレンジに直面している。
患者の安全性:インスリンは非常に強力な薬物であり、過剰又は過少の送達は、患者の非常に深刻な状態につながる可能性があり、特定の状況で死に至る可能性さへある。過剰送達の場合、患者は最初に昏睡状態になる。この状態では、患者はもはや反応できなくなり、治療に変化がもたらされなければ、患者は死亡する。したがって、すべての閉ループシステム、特にそれを駆動するアルゴリズムは、そのような状況を回避し、それらに直面したときに反応できることを保証する必要がある。以下で説明する別の課題は、APの先にある道のアイデアを与えている。
【0015】
グルコース測定のエラーと遅延:グルコース測定の外部性能のために今日開発された技術には、重大な制限にかかっている。原理的に、利用可能なリソースで、リアルタイムで連続的に低コストで測定できる、患者に便利な唯一の信号は、CGMを介した間質液中のグルコース濃度である。従って、測定されたグルコース濃度は、血中の有効濃度と比較して12~20分遅れる。一部の機器では、血液サンプルを使用してCGMを定期的に較正する必要がある。これは、ユーザーの生理機能の変動に大きく左右されるプロセスである。面倒な手順にもかかわらず、現在利用可能なCGMの精度は比較的貧弱なものに留まる。不正確さの別の原因は、センサーがグルコースとのみ相互作用し、他の代謝物を回避する能力に関連する。これは、センサー選択性と呼ばれる問題である。さらに、これまでのところ、CGMの寿命は、比較的短く、7日間が限度である。その理由は、劣化、ドロップアウト、バッテリーの放電に関連する様々な機能停止のためである。
【0016】
インスリン注入の時間遅延:グルコース調節はインスリン注入でのみ試行され、インスリン応答は常にある程度の遅延(いわゆる速効型インスリンでは30分程度)を伴う。さらに、インスリンはグルコースのみしか減少させることができないため、一方的なインスリン制御を使用して低グルコース濃度を補償すると、プロセスはずっと厄介になる。したがって、低血糖などの範囲外の状況に対する急性応答の能力は限定されているか、あるいは制限されてさヘいる。
【0017】
患者間の変動:糖尿病患者集団の高い個人間の変動は、毎日のインスリン投与と計画の観点から、一人一人でインスリン治療のニーズが大きく異なると解釈される。この変動は、個人間の生理的差異とライフスタイルの変動の両方に関連している。生理学的差異には、体重、年齢、インスリン感受性、及びその他の未決定の要因が含まれる。さらに、個人間の変動には、インスリン及び炭水化物の吸収レートの違いが含まれる。
【0018】
患者内の変動:同じ人であっても、個人内の変動は短期及び長期の両方で大きい。短期的な変化は、日中の生理学的な変化(夜明け現象など)、又は身体活動、ストレス、その他の不確定要因によるインスリン感受性の変化に主に関連している。長期的の変動は、体重変化、年齢、ライフスタイル等のより恒久的な変化に起因する可能性がある。個体間及び個体内の変動は、グルコース調節プロセスにおいてキーとなる役割を担い、パーソナライズされた治療の必要性をエンハンスする。
【0019】
システム障害:食事の炭水化物は、外部グルコース変化の主な原因を構成し、したがって、グルコース調節システムの主な障害を構成する。毎日のインスリン投与量のほぼ半分は、食事の炭水化物含有量と食後高血糖の回避に向けられる。グルコース測定とインスリン作用の遅延のため、食事の炭水化物含有量と食事のタイミングに関する事前の知識は、迅速で正確なインスリン投与のために重要である。誤った炭水化物の計算はとてもよくあることであり、身体活動は血糖プロファイルとインスリン感受性(SI)の両方に密接に関連する別の重要な要因である。グルコース調節システムは、ストレスや病気など、知られていないか、未知/部分的に知られている影響を持つたくさんの追加の障害の影響を受ける可能性がある。これらの要因がグルコースプロファイルとどのように相互作用するかに関する根拠のある情報がない限り、それらはシステムの不確実性として分類される。
【0020】
したがって、閉ループシステムは、結合された発振器のシステムと解釈できる(
図3)。アルゴリズムの目標は、両方の発振器と患者データ及びCGM入力との間の結合定数「k」を定義することである。質量m1の位置はCGMによって測定されたBG値に対応し、質量m2の位置はポンプにプログラムされたインスリンの注入速度に対応する。物理学の法則は、そのようなシステムがm1、l1、m2、l2、kのある間隔値とシステムの初期条件に対して不安定になる可能性があることを示す。これらの不安定性は主に定数「k」の値によるもので、m1、l1、m2、l2の特定の値に対してシステムを共振モードにすることができる。特に、共振周波数は、CGM測定及びインスリン送達の精度に強くリンクされている長さl1及びl2に依存する。これらの長さが大きいほど、共振モードでの振動が大きくなり、振動の振幅が大きくなると、致命的な低血糖症になるリスクが高くなる。
【0021】
結論として、先行技術のシステムにはいくつかの不利益があり、それらの潜在能力を完全に実現する上で重大な課題に直面している。例えば、そのアルゴリズムは非常に複雑であり、安定した患者と1日の比較的静かな期間-夜間のみに有効である。不安定な患者や1日のうちの予測がしにくい期間(例えば、食事や激しい活動の間、患者の日常生活中のリズムの大幅な予期しない変化など)に対して同じ効果はない。
【0022】
さらに、現在の閉ループシステムはCGMでのみ使用される必要がある。これは、アルゴリズムが患者の血糖値の継続的な測定値の入力を必要とし、BGMでは使用不可能だからである。実際、通常の場合、1日あたり10又は8未満(場合によっては5しかない)のグルコースレベルデータ点がBGMでは提供され、従来のシステムでは、インスリンの潜在的なニーズをまとめたり、予測可能とする十分なデータを保持していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は、上記で概説したように、従来技術のシステムの欠点を克服することを意図している。本発明は、糖尿病を管理するためのシステムの改善、例えば、薬物送達パラメーター及び/又はインスリン送達量を計算するのに必要な因子を決定するためのコントローラーの改善を意図している。
【0025】
概念的な観点から見ると、複数の目標の1つは、顕微鏡的ビュー(例えば、BGの継続的な測定)に焦点を合わせることではない。例えば、本発明の一態様は、治療の概要を把握するために、好ましくは長い期間(例えば、12~24時間かそれ以上)である最初の期間の適切に関連するデータ(のみ)を考慮することを提案する。提案されたソリューションは、SMBGを介したBG測定と、後続の期間に使用可能であるその他のオプションの適切なデータとに基づいて、ベーサルレート及び/又は、炭水化物とインスリンの比率(CIR)を定義可能とする。更に、システムは、過去のデータ、例えば、直前の日々のベーサルレートプロファイル、又は例えば、(後述する)開始段階以来の極端なベーサルレートに基づいて、経時的に治療管理を改善するように構成可能である。また、このシステムはCGMシステムを必要としない場合があり、タイプ1及び/又はタイプ2の糖尿病患者に適応可能である。したがって、システムは、使用されるグルコース監視装置のタイプに依らず、糖尿病の管理を改善するように構成可能であり、これは、糖尿病管理及び患者の生活に真の変革をもたらす。その主な理由の一つは、SMBGが糖尿病患者に最も一般的に使用されるグルコース監視装置であることによる。実際、インスリン治療中の糖尿病患者(タイプ1及びタイプ2)の大半はCGMではなくSMBGを使用しているが、これは、CGMと交換センサーはSMBGよりもはるかに高価であることによる。さらに、ほとんどの国では、CGMは利用できないか、健康保険の対象外である(あるいは、限られた数の患者のみ)。
【0026】
したがって、システムは、以下に基づいて治療法の修正を決定するように適応可能である:
- システムが偶発的に受信したグルコースデータ、及び/又は、
- 患者のグルコースに関連する体液検体の個別測定、及び/又は、
- 血糖自己測定(SMBG)等によって提供される個別のデータ、及び/又は、
- その他のデータ、
これらは、従来のデバイスでは、頻繁及び/又は連続的な測定を要求するために、不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の第1の態様に依れば、本発明は、患者への治療の適応方法を提供することによって、上記の問題を解決し、当該方法は以下のステップを含む。:
患者の体液検体の少なくとも2つの測定を、最初の期間にわたって血糖自己測定(SMBG)で実行し、;
メモリ装置から次の少なくとも1つを取得する:
ベーサルレート及びボーラスのうち少なくとも1つを含む、最初の期間に実行された薬物送達パラメータと、;
患者のCIR、そして、;
少なくとも2つの測定値と取得したデータを考慮して、治療の修正をプロセッサーユニットによって決定する、;好ましくは、治療法の修正は、ベーサルレートの修正及びCIRの修正のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0028】
この方法は、以下のステップのうちの少なくとも1つをさらに含む:
治療の変更の少なくとも一部を表示する。
患者に治療法の修正を提案する。及び/又は
後続の期間の治療法の修正を考慮してインスリン量を送達する。
【0029】
従来技術のシステム、特に閉ループシステムと比較して、好ましくは、本発明の一態様による「期間」は、CGMを使用する閉ループシステムによって使用される期間よりも長い。例えば、最初の期間の持続時間は、1時間から36時間、の間に、好ましくは10時間から24時間の間位に、又は1日と構成されてもよい。さらに、この方法で考慮される2つの測定間の時間間隔は、1時間から4時間の間から成ってもよい。
これは、治療の概要を把握するためであり、プロセッサーユニットは短時間のデータにフォーカスしない。さらに、プロセッサーユニットは、当該時間間隔中にはSMBGの使用が可能になる程度のわずかな数のBGレベルの測定値を使用する。
したがって、本発明の一態様による方法は、一単位期間あたり、好ましくは1日あたり、患者のBGの10又は8又は5(又はそれ以下)の測定値のみでベーサルレートプロファイル及び/又はCIRを決定することを可能とする。換言すれば、本発明の一態様は、BGMによって実行されるBG測定値と、現時間間隔のベーサルレートとを使用することによって、インスリン治療法を決定することを可能とする。従来技術の閉ループシステムでは、アルゴリズムが毎分数回の測定を必要とするため、これは不可能である。好ましくは、新しいベーサルレート及び/又は新しいCIRの提案の直前の期間における測定回数が少ない点は、アルゴリズムが患者の履歴(例えば、過去の期間のベーサルレート又はCIR)から学んだことすべてを考慮に入れることができるという事実によって補償される。治療法の修正を決定するために、修正されたパラメータをコンピュータ処理又は計算するために数学的モデルが使用されてもよい。
【0030】
例示的な実施形態では、プロセッサーユニットは、前に修正されたデータ(ベーサルレート及び/又はCIR)を考慮して、新しいベーサルレート及び/又は新しいCIRを決定する。したがって、プロセスユニットは時間の経過とともに学習する。
【0031】
他の実施例では、プロセスユニットは、患者の通常の診療を学習し、その後の期間のベーサルレート又はCIRを決定するために、患者の通常の診療を考慮に入れる。例えば、患者が食事の炭水化物を過大評価又は過小評価する傾向がある場合、プロセッサーユニットはこのエラーを考慮に入れ、次にベーサルレート又はCIRを減少又は増加させる。
【0032】
第2の態様では、本発明は、患者の糖尿病管理のためのシステムを提供することにより上記の問題を解決し、それは以下を含む:
患者のグルコースレベルに関連するグルコースデータを受信するように構成された入力デバイス(取得デバイスとも呼ばれる);
ベーサルレート及びボーラスのうちの少なくとも一方を含む薬物送達パラメータに従って患者にインスリンを送達するように構成された送達デバイス;
以下を記憶するように構成されたメモリ装置
少なくとも1つのグルコースデータと
薬物送達パラメーターと患者の炭水化物/インシュリン比情報に関連するCIRとのうちから少なくとも1つ;
実行時に以下に適応するコンピューター実行可能命令:
最初の期間にわたって少なくとも2つのグルコースデータをメモリ装置から取得する;
メモリ装置から次の少なくとも1つを取得する:
最初の期間に送達装置によって実行された薬物送達パラメーター;そして
前記CIR;そして
取得したデータの少なくとも一部に基づいて、以下の少なくとも1つの修正を含む治療修正を決定する:
前記ベーサルレート;そして、
前記CIR。
【0033】
治療法の修正は、好ましくは、送達装置によってその後の期間に使用されることを意図している。グルコースデータは、好ましくは、血糖自己監視(SMBG)によって提供される。
【0034】
コンピュータ実行可能命令は、さらに以下に適応可能である:
治療の修正の少なくとも一部の表示;
患者に治療法の修正提案;及び/又は、
後続の期間の治療法の修正を考慮することによって、インスリン量を送達するように送達デバイスを制御すること。
【0035】
システムのチューニングモジュールは、ソフトウェア又はハードウェアとして実装され、例えば、上記の命令を実行するように構成されたプロセッサーユニットを備える。チューニングジュールは、送達デバイス又はリモートコントロールデバイス、又はリモートサーバー又はクラウドに配置又は設置可能である。
【0036】
このソリューションの大きな利点の一つは、タイプ1とタイプ2の両方の糖尿病患者が使用できるSMBG測定に基づくAPアルゴリズムを提供する点にある。
第3の態様によれば、本発明は、使用されるグルコース監視装置のタイプに依らず、患者の糖尿病管理を適応させるように適応されたシステム及び方法を提供することにより上記の問題を解決する。
【0037】
この方法は、次のステップで構成され、:
- 最初の期間にわたって、患者の血糖レベルの少なくとも2つの測定値を取得する;
- 次のうち少なくとも1つを取得する:
ベーサルレートとボーラスの少なくとも1つを含む、最初の期間に実行された薬物送達パラメータ;及び/又は、
最初の期間中にボーラスを計算するために使用される患者のCIR; そして、
- 得られたデータを考慮に入れて、後続の期間に使用することを意図するものとして、薬物送達パラメーター及び/又はCIRを決定又は計算する。
【0038】
好ましい実施形態では、「決定又は計算」のステップは、血糖濃度を測定するために使用される装置に依らずに実行される。この装置は、SMBG、CGMでも、あるいは血糖濃度を自動又は手動で測定するように構成された他の装置でもよい。
【0039】
この方法の目標は、その後の期間のグルコース監視装置のタイプ(例えばSMBG又はCGM)とは無関係にインスリン治療法を決定することである。
【0040】
.
さらなる態様において、本発明は、上記製品がコンピュータ上で実行されるときに上記で開示された方法を実行するためのソフトウェアコード部分を含むデジタルコンピュータの内部メモリにロード可能なコンピュータプログラム製品に関する。
【0041】
さらなる態様では、本発明は、コンピュータシステム内の少なくとも1つのプロセッサーが薬物送達パラメータ及び/又はCIRをSMBGとCGMの間で使用される血糖監視装置のタイプに依らず決定するためのコンピュータプログラムロジックを保持する非一時的コンピュータ使用可能媒体を含むコンピュータプログラム製品に関する。コンピュータプログラムロジックは、次のステップを含む:
- 患者の血糖値の少なくとも2つの測定値を最初の期間にわたって取得する;
- 次のうち少なくとも1つを取得する:
ベーサルレートとボーラスの少なくとも1つを含む、最初の期間に実行された薬物送達パラメータ;及び/又は、
例えば、最初の期間中にボーラスを計算するために使用される患者のCIR;そして
- 得られたデータを考慮に入れて、後続の期間に使用できる薬物送達パラメータ及び/又はCIRを決定又は計算する。
【0042】
本発明の第4の態様によれば、この高度な技術により、閉ループ装置を監視するように適応されたシステム及び方法を得ることが可能となる。この場合、この方法は次のステップを含む:
- 患者の血糖値の少なくとも2つの測定値を最初の期間にわたって取得する;
- 次のうち少なくとも1つを取得する:
ベーサルレートとボーラスのうち少なくとも1つを含む、最初の期間に実行された薬物送達パラメータ;及び/又は、
例えば、最初の期間中にボーラスを計算するため等に使用される患者のCIR;
- 得られたデータを考慮に入れることにより、例えば、その後の期間に使用され得るベーサルレート及び/又はCIRの少なくとも一方を含む受入れ可能なデータのセットを決定又は計算する。;そして
- 受入れ可能なデータのセットを、後続の期間で閉ループデバイスによって計算されたデータと比較する;あるいは
- 許容可能なデータのセットを、後続の期間に使用することを目的とした薬物送達パラメーター(又はCIR)と比較する。
【0043】
差がしきい値よりも大きい場合、当該方法は、患者又はユーザー(医師や看護師など)に警告するか、あるいは、前記受け入れ可能範囲に従って他の薬物送達パラメーターを提案するステップをさらに含む。
【0044】
さらに次の制限が適用される場合がある:
HCPで定義された絶対制限(例:ボーラスで25U、基礎で10U/h)、及び/又は、
IOB制限、及び/又は、
10%の治療の最大変更幅,及び/又は、
このドキュメントで説明されているように、予測モデルを使用するその他の制限このドキュメントで説明されているように、予測モデルを使用するその他の制限.
【0045】
好ましい実施形態では、システムは以下を含む。
- 患者の複数のグルコースデータを取得するように構成された取得装置;
- ベーサルレートとボーラスの少なくとも一方を含む薬物送達パラメータを決定するように構成された閉ループ装置;
- 薬物送達パラメータ及び/又はグルコースデータ等に関する複数のデータを記憶するように構成されたメモリ装置;
- 薬物送達パラメーターに従って患者に薬物を送達するように構成された送達デバイス;そして、
- 次のようにプログラムされたプロセッサー:
事前定義された期間にわたって測定された患者の血糖データを受信する;
前記所定の期間にわたって送達装置によって適用された薬物送達パラメータを受信する;
受信データを考慮することにより、後続の期間に使用できるベーサルレート及び/又はCIRの少なくとも一方等を含む受入れ可能なデータのセットを決定又は計算する。
【0046】
好ましい実施形態では、プロセッサーはさらに次のようにプログラムされている:
- 後続の期間に閉ループ装置によって計算された(又は使用されることが意図された)薬物送達パラメーター(及び/又はCIR)を受信する;そして、
- 受入れ可能なデータのセットを、後続の期間に閉ループデバイスによって計算された(又は使用することが意図された)薬物送達パラメーター(及び/又はCIR)と比較する。
【0047】
差が所定のしきい値に達すると、プロセッサーは次のようにプログラムされている:
- 患者又は他のユーザーに警告する,及び/又は
- 前記の受入れ可能な範囲に従う他の薬物送達パラメーターを提案する、及び/又は
- 閉ループ装置の処理を終了する。
【0048】
好ましい実施形態では、プロセッサーは、閉ループ装置によって使用されるアルゴリズム又はプログラム又はソフトウェア又はコンピュータ実行可能命令とは異なるアルゴリズム又はプログラム又はソフトウェア又はコンピュータ実行可能命令を使用する。閉ループ装置は、監視プロセスに使用されるプロセッサーとは異なるプロセッサーを備える。さらに好ましい実施形態では、監視プロセスに使用されるプロセッサーはウォッチドッグとして使用される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明は、以下の図に描かれている非限定的な例を含む以下の詳細な説明に照らしてよりよく理解されるであろう。
【0050】
【
図1a】
図1aは、本発明に係るシステムの実施例を示す図である。
【
図1b】
図1bは、本発明に係るシステムの実施例の別の図である。
【
図1c】
図1cは、本発明に係るシステムの実施例の別の図である。
【
図1d】
図1dは、本発明に係るシステムの実施例の別の図である。
【
図1e】
図1eは、本発明に係るシステムの実施例の別の図である。
【
図2】
図2は、制御アルゴリズムと安全機構を備えた制御システムを示す図である。
【
図4】
図4は、1日のベーサルレートとCIRの更新の例を示す図である。。
【
図5a】
図5aは、制御変動グリッド分析(CVGA)の観点から、コンピュータ上での使用例の主要な評価結果を示す図である。
【
図5b】
図5bの表1は、同じ実験の結果をBGレベルの観点から示す。
【
図6】
図6は、本発明の一態様に係るシステムの一実施例を示す図である。
【
図7】
図7は、閉ループを使用する本発明に係る一態様によるシステムの実施例を示す図である。
【
図8】
図8は、監視プロセスの実施例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例のコンピュータ上での評価設定を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明に係る方法で使用されるCGMとBGMの比較を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の一態様による初期フェーズの一実施例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の一態様による実施例のフローチャートを示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の一態様による実施例のフローチャートを示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の一態様による実施例のフローチャートを示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の一態様による実施例のフローチャートを示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の一態様による実施例のフローチャートを示す図である。
【
図17a】
図17Aは、本発明の一態様による実施例のフローチャートを示す図である。
【
図17b】
図17Bは、本発明の一態様による実施例のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部をここに構成し、デバイス、システム、及び方法のいくつかの実施形態が描画として示されている添付図面が参照される。他の実施形態が考えられ、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく作成され得ることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0052】
ここで使用されるすべての科学用語及び技術用語は、特に明記しない限り、当該技術分野で一般的に使用される意味を持つ。ここで提供される定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0053】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、複数の語尾を有さず、「一つの」「1つの」及び「その」「前記」の接頭語を付された単語でも、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を有する実施形態を含む。
【0054】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「トップ」、「ボトム」、「左」、「右」、「上方」、「下方」、及び他の方向又は向きなど、ここで参照される任意の方向がここで記載されるが、これは図面参照における明確性のためであり、実際のデバイス又はシステムを制限することを意図していない。ここで説明されるデバイス及びシステムは、多くの方向及び向きで使用可能である。
【0055】
ここで使用される場合、「有する」、「持っている」、「含む」、「含んでいる」、「成る」、「構成する」などは、目的語に限定しない意味で使用され、一般に「含むが、これらに限定されない」ことを意味する。
【0056】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、「○○○又は△△△」という用語は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、「○○○及び/又は△△△」すなわち「○○○及び△△△又はこれらのうち少なくともいずれか1つを含む」を含む意味で一般的に使用される。
【0057】
ここで使用される「実質的に」という用語は広義の用語であり、通常の意味で使用され、大部分ではあるが必ずしも指定されているもの全体をいうものではないことを含むが、これらに限定されない。
【0058】
ここで使用される「マイクロプロセッサー」及び「プロセッサー」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、コンピューターを駆動する基本的命令に応答し、処理する論理回路を使用して算術及び論理演算を実行するように設計されたコンピュータシステム又はプロセッサーをいうがこれらに限定されない。
【0059】
ここで使用される「ROM」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、固定内容で製造されるデータ記憶装置の一種である読み取り専用メモリをいうがこれらに限定されない。ROMは、例えば、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(ROM)であるEEPROMなどを含む広い意味である。
【0060】
ここで使用される「RAM」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、異なる場所へのアクセス順序がアクセス速度に影響を及ぼさないデータ記憶装置をいうがこれらに限定されない。RAMは、例えばSRAMを含めるのにも十分に広義であり、当該SRAMは、電源が供給されている限りメモリ内にデータビットを保持するスタティックランダムアクセスメモリである。
【0061】
本明細書で使用される「RFトランシーバ」又は「無線通信デバイス」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、信号を送信及び/又は受信する無線周波数送信機及び/又は受信機をいうがこれらに限定されない。
【0062】
本明細書で使用される「接続」及び「動作可能にリンク」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、コンポーネント間で信号の伝送を可能にするように、1つ又は複数のコンポーネントが別のコンポーネントにリンクされることをいうがこれらに限定されない。。
【0063】
本明細書で使用される「アルゴリズム」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、例えばコンピューター処理を使用して、ある状態から別の状態に情報を変換することに関与するコンピュータプロセス(例えばプログラム)をいうがこれらに限定されない。
【0064】
本明細書で使用される「アラーム」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、異常の検出に応答してトリガーされる可聴、視覚、又は触覚信号をいうがこれらに限定されない。
【0065】
本明細書で使用される「コンピュータ」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、何ら限定されずに、データを操作するようにプログラムできるマシンをいう。
【0066】
本明細書で使用される「患者」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、何ら限定されずに、情報が収集される個人又は治療を受けている個人をいう。
【0067】
本明細書で使用される「介護者」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、看護師、医師、及び他の医療提供者のスタッフをいうがこれらに限定されない。
【0068】
ここで使用される「グルコース監視装置」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、患者のグルコース濃度をモニター又は測定するように構成又は適応された装置をいうがこれらに限定されない。グルコース監視装置は、CGM、SMBG又は他の装置であり得る。
【0069】
ここで使用される「連続グルコースセンサー」又は「CGM」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、身体液(例えば、血液、血漿、間質液、無血間質液の類)のグルコース濃度を連続的又は継続的に(自動的に)例えば、秒の少数部から、例えば、1、2、又は5分までの範囲の時間間隔で測定するように構成又は適応されたデバイスをいうがこれらに限定されない。連続的又は継続的なグルコースセンサーは、各測定のためにユーザーによる開始及び/又は介在を必要とせずにグルコース濃度を継続的に測定可能であることは理解されるべきである。CGMは、単一の血糖レベルを手動で取得するために使用されるSMBG(BGMとも呼ばれる)とは異なる。
【0070】
ここで使用される「血中グルコースの自己監視」又は「SMBG」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、患者のグルコース濃度を測定するために手動で使用されるように構成又は適応された装置をいうがこれらに限定されない。SMBGは、一滴の血液から患者のグルコース濃度を測定するように適応可能である。SMBGは、患者の体外で測定を実行するように適応可能である。例えば、血糖計(SMBG又はBGM)を使用するための一般的な指示には、ユーザー(例えば患者)が手動で実行するいくつかの手順が含まれる。
1.手を洗うか、患者の指又は他の部位をアルコールでクリーンにする。
2.穿刺装置で部位を刺す。
3.血液をテストストリップに少し垂らす。
4.血糖計にテストストリップを挿入する。
ステップを経てはじめて、血糖計が血糖値を決定し、この値をユーザーに伝える。
【0071】
ここで使用される「インスリン治療法」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、ホスト(患者)に送達されるインスリンの量及び/又はスケジュール及び/又は インスリン投与量の計算に必要なデータをいうがこれらに限定されない。
【0072】
ここで使用される「基礎」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、健康又は生命に必要な基礎レベルをいうがこれらに限定されない。例えば、インスリン治療法の場合、肝臓や筋肉などの臓器からの患者の代謝のグルコース出力を「カバー」することを目的とするインスリンの投与量を述べることもあるが、これらの特定の臓器に限定されない。
【0073】
ここで使用される「ベーサルレート」又は「ベーサルレートプロファイル」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、期間中の患者への溶液の基礎供給のレート又はレートのセットをいうがこれらに限定されない。送達は、連続的な供給と実質的に同様の効果を得るために、実質的に連続的であるか、いくつかのパルスによって(ポンピング機構又はデバイスに応じて)実行されてよい。ここで使用される単一のベーサルレートは、所定の期間、例えば1秒、1分、1時間以上にわたって送達される単一、フラット又は固定のレートをいうがこれらに限定されない。ベーサルレート又はベーサルレートプロファイルは、24時間の期間全体にわたって1つ又は複数の単一のベーサルレートを含み得る。
【0074】
ここで使用される「ボーラス」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、計算及び/又は食事中/食後に一般に起こる上昇など、血糖の予想される上昇をカバーするのに十分であると評価された短い、所定の期間にわたって与えられる通常の単回投与のインスリンをいうが、これに限定されない。
【0075】
ここで使用される「CIR」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、食事に含まれる炭水化物の一部をこれらの炭水化物を吸収するために必要なその対応するインスリン量に変換するために使用されるインスリンと炭水化物の比率をいうがこれに限定されない。
【0076】
ここで使用される「CIRプロファイル」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、一定期間に食べる食事に適用される比率又は比率のセットをいうがこれらに限定されない。CIRプロファイルは、一日の全食についての1つの比率を含むこともあり、各食事の比率を含むこともある。
【0077】
ここで使用される「インテリジェント」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、現在の状況の変化に適応し、処理中の情報から緩和できるようにプログラムされたシステム及び方法をいうがこれらに限定されない。
【0078】
ここで使用される「期間」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、単一の時点及び第1の時点から第2の時点へ延びる経路(例えば、時間の範囲)をいうがこれに限定されない。例えば、期間は1時間から36時間の間に含まれる場合がある。期間は可変でも固定でもよく、あらかじめ決められていてもいなくてもよい。
【0079】
ここで使用される「測定検体値」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、検体センサーによって検体データが測定された期間の検体値又は検体値のセットをいうがこれらに限定されない。この用語は、センサー及び/又はレシーバーでのデータ処理の前又は後の分析対象センサーからのデータ(例えば、データの平滑化、キャリブレーションの類)を含むのに十分広義である。
【0080】
本明細書で使用される「プログラムされた」及び「プログラム可能」という用語は広義の用語であり、その通常の意味で使用され、コンピュータによって実行される一連のステップ及び/又は命令として、準備された又は準備可能であることをいうがこれらに限定されない。ここで使用する場合、プログラム及びプログラム可能という用語には、「事前プログラム済み」、「事前プログラム可能」、「再プログラム済み」、及び「再プログラム可能」が含まれる。一例では、制約は使用前にプログラム可能であり、及び/又は後に再プログラム可能である。
【0081】
T1Dは1型糖尿病をいう。膵臓のランゲルハンス島にあるインスリン産生ベータ細胞の自己免疫プロセスを理由とする破壊によって特徴付けられる。これはインスリンの供給不足につながり、したがってほとんどの細胞がエネルギー源としてグルコースを摂取できなくなる。このタイプの糖尿病のゴールドスタンダード治療はインスリン注入である。最近のいくつかの研究では、この形態の病気の有病率が人口よりわずかに速く増加していることを示すトレンドがある。
【0082】
T2Dは2型糖尿病をいう。この形態の疾患は、細胞によるインスリン抵抗性の低下又はインスリン感受性の低下によるものであり、したがって、膵臓のインスリン産生ベータ細胞のさらなる努力を要求する。長期的には、これによりこれらのベータ細胞の疲労が誘発され、インスリン分泌が低下する可能性がある。治療は主に、インスリンに対する標的器官の感受性を高める薬剤(メトホルミンの類の増感剤)又は膵臓から分泌されるインスリンの量を増やす薬剤(スルホニルウレア又はGLP-1アナログの類の分泌促進薬)を使用して行われる。しかし、T2D患者の約30%はインスリンで治療される。
【実施例】
【0083】
オプションの初期フェーズのフローチャートを示す
図11に焦点を当てる。好ましくは、本書で説明する送達システムを使用する前に、患者は介護者又は医師に会い、治療データの最初のセットを定義する(例えば、ベーサルレートプロファイル及び/又は1つ以上のCIR、例えばCIRプロファイル)。この治療データの最初のセットが定義されると、最初のフェーズ(初期化フェーズと呼ばれる)を開始できる。好ましくは、この初期化段階中に、患者は通常、彼女/彼の治療法を受けるか、又は彼女/彼は、例えば病院で管理された方法で彼女/彼の治療法を受けることができる。したがって、決定された量のインスリンが、治療データの最初のセットに従って患者に送達される。例えば、送達システムは、介護者によって事前定義された治療データ(治療データの最初のセット)でプログラムされ、次に、送達システムは、このデータの治療データの最初のセットに応じてインスリンを送達する。必要なら、介護者又は彼女/彼の介護者のガイドの下で患者がインスリン療法を変更してもよい。好ましくは、初期化フェーズ中に、システムはデータを収集してパラメータを初期化する。したがって、システムは、次のフェーズのまさに最初からパーソナライズされた最適化された治療法を提供可能である。
【0084】
初期化フェーズの期間は、1日以上、又は1週間、好ましくは2~15日、より好ましくは4~7日である。このフェーズでは、
図11のステップ4/5で説明したように、患者の血糖が監視され、好ましくは継続的に監視される。他のデータ、例えば次のリストの少なくとも1つのデータを監視することができる:使用されるベーサルレート、患者に効果的に送達されたインスリンの量、患者の活動、摂食された食物、患者の体重、現在の患者の年齢、患者の健康状態BGレベル、注入されたボーラス、患者によって摂食された食物の炭水化物である。さらに、システムはメモリ装置にデータ(BG、BR、…)を記憶してもよい。
【0085】
このフェーズの終了時に、治療法が決定可能とされ、少なくとも1つのベーサルレート及び/又は少なくとも1つのCIRが含まれてよい。このフェーズにより、システムはより迅速に学習可能となり、及び/又は初期化フェーズ中に取得した知識に従って最適化され、パーソナライズされた最初の最適な治療を定義可能である。
【0086】
前述の第1フェーズ(初期化フェーズ)は、APアルゴリズムのパフォーマンスを改善可能であるが、これは、第1フェーズ中にAPアルゴリズムの(一部の)パラメータが初期化され、及び/又は患者固有のデータに基づいてパーソナライズ可能だからである。しかし、この文書で説明されている送達システムの使用に、最初のフェーズは必須ではない。初期化する必要のあるパラメーターは、0,0.5又はその他の値に、又はその他の適切な方法で初期化されるであろう。この場合、最初のフェーズはスキップしてもよい。
【0087】
初期化フェーズ(初期化フェーズが含まれる場合)の後、第2のフェーズ(
図12に示す)を開始できる。このフェーズでは、1つ以上の期間中に取得した新しい知識に基づいて、日々治療法を改善可能である。患者はCGMを使用してならず、BGの監視にBGMのみが使用可能である。第2フェーズは、使用されるグルコース監視装置のタイプに依らず実行可能である。
【0088】
第2フェーズの最初の期間の冒頭に、最初の最適な治療(例えば、前のステップで定義された治療データ)で送達システムがプログラムされている。したがって、例えば、システムのプロセッサーは、メモリ(システム又はリモート医療サーバのメモリ)から最初の最適な治療データを取得又は読み取り、このデータに従って最初の期間にわたって送達装置を制御する。特に、送達装置は、最初の最適な治療のベーサルレートプロファイルに従ってインスリンを送達する。このベーサルレートプロファイルは、1つ以上の単一のベーサルレートを含み得る。そして、食事時間に、プロセッサーはメモリから最初の最適な治療のCIRプロファイルを取得又は読み取り、このCIRプロファイルを使用して1回のボーラス投与量を計算する。このCIRプロファイルは、単一のCIRで構成されても、又は複数のCIRで構成されてもよい。特定のCIRは、食事のタイプ(朝食、昼食、夕食、おやつ)専用とされてもよい。
【0089】
最初の期間にわたって、システムは実行されたBG測定を保存する。
好ましくは、最初の期間中、例えばこの期間の終了時近く(ただし、必ずしも期間の終了時ではなくてよい)、システムは新しい最適な治療法(例えばベーサルレートプロファイル及び/又は、CIRプロファイル)を決定するアルゴリズムを使用してもよく、この治療法は、これは、後続の期間、例えば最初の期間の終了時に開始する次の期間に使用可能とされる。好ましくは、ベーサルレートプロファイル及び/又はCIRプロファイルは、期間ごとに1回だけ計算される(例えば、1日に1回限り)。
【0090】
オプションで、CIR又はCIRプロファイルは、ベーサルレートプロファイルと同時に計算されない場合がある。この場合、CIR又はCIRプロファイルは、食事時又は直前(例えば、現在の期間の最初の食事又は現在の期間の各々の食事の時)に計算される。
【0091】
新しい最適療法は、例えば現在の期間中及び/又は1つ又は複数の過去の期間中及び/又は初期化段階中等の1つ又は複数の期間中に得られた知識に従って最適化されていることが理解されるべきである。
【0092】
好ましくは、新しい最適な治療法を決定するために、システムのプロセッサーは、次のリストの少なくとも1つのデータを考慮することができる:現在の期間の血糖測定値、現在の期間のベーサルレート、1つ又は複数の過去の期間のベーサルレート、現在の期間のCIR又はCIRプロファイル、及び1つ又は複数の過去の期間のCIR又はCIRプロファイルである。
【0093】
オプションとして、新しい最適な治療法を決定するために、システムのプロセッサーは、次のリストの少なくとも1つのデータをさらに考慮することができる:1つ以上の過去の期間の血糖測定値、患者に効果的に送達されたインスリンの量、患者の活動、摂食された食物、患者の体重、現在の患者の年齢、患者の健康状態、BGレベル、注入されたボーラス、患者によって摂食された食物に含まれる炭水化物である。オプションとして、新しい最適な治療法は、最大20%、又は好ましくは、古い治療の10%以下の変更に制限してもよい(安全上の理由のため)。
【0094】
新しい最適な治療法を決定するためにBG測定が要求される場合、システムは、期間毎に又は1日あたり10以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下の血糖測定のみを必要とするだけである。
【0095】
決定ステップは、患者によって起動された要求であってもよい。この場合、システムは「起動」ボタン(例えば、リモートコントローラーのタッチスクリーン上の仮想ボタン)を備えていてもよい。
【0096】
決定ステップは、最後の血糖測定中又は直後(数秒後)に(例えば、患者によって)起動されてよい。例えば、患者が現在の期間の最後に彼女/彼のBGレベルを測定するとき、システムは、次の期間の最適な治療法の決定を起動するように患者に提案してもよい。仮想「起動」ボタンは、所定の測定後(例えば、現在の期間で5回の測定後のみ)にアクティベート又は使用可能とされてもよく、所定の測定後(例えば、夕食時に実行した測定後又は就寝時のおやつで)に特定の画面を表示されてもよい。
【0097】
プロセッサーによって新しい最適な治療法が計算されると、システムは新しい治療法を自動的に実行することもあり、後続の期間が開始するときに実行される場合もある。好ましくは、システムは患者に新しい治療法を提案し、患者は次の期間(例えば、その期間は現在の期間の終了時に開始する)に新しい治療法を受け入れるかどうかを提案する。この場合、システムはコーチを演じ、患者に提案を与える。
【0098】
システムは、コーチを演じ、特定の治療法を決定するのではなく、受け入れ可能範囲を提案し、患者が次の期間の自分の治療法を自分自身で決定する。当該範囲は単なる提案又は拘束範囲のこともある。
【0099】
.
システムは、閉ループ装置の安全制御又はウォッチドッグとして使用可能である。この場合、システムは治療の受け入れ可能範囲を計算し、閉ループ装置はこの範囲でのみ送達装置を制御できる。閉ループ装置が範囲を超えようとすると、システムはアラームをトリガーし、あるいは閉ループ装置によって提案された治療法を検証するように患者にプロンプト応答を促してもよい。
【0100】
期間の持続時間は、1~36時間、好ましくは12~30時間に含まれてよく、好ましくは実質的に24時間であってもよい。期間は、1日の00:00から24:00まで、好ましくは、実質的に00:00又は6:00以降又は20:00以降に開始可能とされてよい。新しい期間は、新しい最適療法が計算されたときに開始可能である。この場合、期間長は好ましくは可変である。
【0101】
期間は、個人によって異なってよく、及び/又は期間は、互いに異なってよい。
【0102】
システムは、患者の通常の診療を学習し、ベーサルレート又は後続のCIRを決定するために患者の通常の診療を考慮するように構成されてよい。例えば、患者が患者の食事に含まれる炭水化物を過剰又は過小評価する傾向がある場合、システムはこのエラーを考慮に入れ、次の期間のベーサルレート及び/又はCIRを減少又は増加させる。
【0103】
好ましくは、初期化フェーズの後、CGMによって測定されたデータを使用して最適な治療を計算するためにシステムはCGMを使用しないし、システムのアルゴリズムはCGMによって測定されたデータを使用しない。上記のように、CGMを使用するシステムにはいくつかの不利益な点があるため、これは重要な改善点である。システムはCGMによって測定されたデータなしで使用される可能性があることを考慮して、システムはBGMを使用するか、BGMによって測定されたデータのみを考慮するか、あるいは、最適な治療を計算するのにアルゴリズムがBGMのデータを使用するかであり、換言すれば、システムは、わずかな血糖測定値で最適な治療法(例えば、ベーサルレートやCIRプロファイル)を計算するように構成されている。例えば、血中グルコース測定値は、期間毎に10以下、好ましくは期間毎に8~3、より好ましくは期間毎に7~4であってもよい。血糖測定値は、少なくとも10分間隔で、優先的には30分間隔で、より優先的には1時間又は2時間間隔で、さらに長くてもよい。したがって、CGMなしでシステムを使用したり、アルゴリズムはCGMによって測定されたデータを必要としない。言い換えれば、初期化グルコースレベルを継続的に監視する必要はない。
【0104】
<本発明に係る方法の発明の一態様による実施例>
本発明の一態様は、以下で説明するように、注入システムにおいて治療法の修正を提供する方法を開示する。この方法は、パーソナルコンピュータ、送達装置、送達装置のリモートコントローラ、又はリモートサーバーで使用されるようなコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ可読媒体によって実行することができる。この方法は、次の手順で構成される。
- 記憶装置から、患者の血糖の少なくとも2つの測定値を最初の期間にわたって取得する;
- 記憶装置から、ベーサルレート及びボーラスのうちの少なくとも1つを含む、前記最初の期間にわたって実行された薬物送達パラメータを取得する;
- 患者のCIRに関連付けられたデータをメモリ装置から取得する;そして
- プロセッサーユニットにより、ベーサルレートの修正及び/又はCIRの修正を決定する。
【0105】
プロセッサーユニットは、新しいベーサルレート及び/又は新しいCIRを決定するために、検索されたデータの少なくとも一部を考慮する。この新しいデータは、後続の期間中、例えば次の期間中に使用されるメモリ装置に記憶されてもよい。
【0106】
ベーサルレートの修正及び/又はCIRの修正は、例えば、後続の期間中、例えば次の期間中に発生する可能性がある高血糖イベントの数、及び/又は低血糖イベントの数を防止又は制限するために決定されてもよい。
【0107】
プロセッサーは、最初の期間の治療パラメータに適用される変化率を計算して、新しい治療法パラメータ(例えば、修正されたベーサルレート及び/又は修正されたCIR)を取得してよい。この変化率は、
図15で説明されているように、いくつかの入力データを考慮してもよい。
【0108】
決定ステップは、(新しいパラメータをコンピュータ処理又は計算するために)上記で開示されたアルゴリズムを使用し、及び/又はメモリ装置に記憶されたデータテーブルを使用し、及び/又は決定木を使用してもよい。
【0109】
図13にフローチャートの例を示す。決定ステップは、コンピュータ実行可能命令を実行するチューニングモジュールによって実行されてもよい。治療法の修正を決定するために、チューニングモジュールは、ベーサルレート、CIR、最初の期間の時間及びグルコース測定を考慮に入れてもよい。チューニングモジュールは、ベーサルレート及びCIRの少なくとも一方を含む修正された治療法をコンピュタ処理してもよい。
【0110】
図14は、チューニングモジュールがさらに次のリストの少なくとも1つのデータを考慮に入れた類似の実施例を示す:摂取した食事に関するデータ(食事の種類、炭水化物の量など)、注入されたボーラスに関するデータ、送達装置の状態に関するデータ、患者に効果的に注入されたインスリン量に関するデータ、患者に関連するデータ(残存インスリン、患者の年齢、患者の活動など)及びその他のデータ(グルコース監視装置のタイプなど)。
【0111】
図15は、チューニングモジュールの実施例の図である。本実施例では、チューニングモジュールは、(例えば)前の期間(例えば、送達デバイスによって実行された)のベーサルレート及び/又はCIRを使用して、修正をコンピュタ計算する。この変化は、次の期間に適応したベーサルレート及びCIRを取得するために、前のベーサルレート及び/又はCIRに適用される比率であってもよい。
【0112】
チューニングモジュール(又はシステム)は、利用可能な血糖測定値の数、高血糖イベントの数及び/又は低血糖イベントの数を決定(又はコンピュータ計算)してもよい。チューニングモジュールは、他のデータ、例えば、時間に関連するデータ、食事やその他の関連するデータを考慮してもよい。このデータの全部又は一部が変更(例えば、適用される比率)をコンピュータ計算するのに使用されてもよい。
【0113】
図17A及び17Bに示されるように、血糖測定値は以下を決定するのに使用されてよい:
- 以下で説明するように、治療法のどの部分が変更可能であるか、及び/又は
- 変更のコンピュタ計算方法(どのアルゴリズムが使用されるか)(グルコース監視デバイスのタイプ(CGM又はSMBG)又は利用可能な測定数に依存する場合がある)。
【0114】
この方法は、以下のステップをさらに含み得る:
- 測定に使用されるグルコースモニターのタイプの決定(例えば、SMBG、CGM、手動測定、自動測定など)及び/又は、
- (例えば、所定のリストから)使用するチューニングモジュール(又はコンピューター実行可能命令)又はチューニングモジュールで使用するアルゴリズムを決定する。このステップは、グルコース監視装置のタイプ又は利用可能な測定の数に依存する場合がある。
【0115】
したがって、このシステムは、患者に、例えばCGMからBGMへ、及び/又はその逆に、治療法全般にわたってグルコース監視装置のタイプを変更することを可能とする。
【0116】
測定に使用されるグルコース監視装置のタイプを決定するには、ユーザー又は患者によって、使用されるグルコース監視装置のタイプが選択されるか、システムによって、使用されるグルコース監視装置のタイプが自動的に決定される。例えば、コンピュータ実行可能命令によって、利用可能な測定の数に応じて、又はシステムに使用されるグルコース監視装置のタイプによって送信される情報に応じて、グルコース監視装置のタイプが決定されてもよい。
【0117】
図16のフローチャートによって説明されるように、本方法は、以下のステップのうちの少なくとも1つをさらに含むことができる:
治療の変更の少なくとも一部を表示する;
患者に治療法の修正を提案する;及び/又は、
後続の期間の治療法の修正を考慮してインスリン量を送達する。
【0118】
例えば、決定ステップ後::
- 修正された治療法はシステムのディスプレイ装置に表示可能であり、その目的を以下に示すと、例えば:
修正された治療法を患者に提案する,
患者に修正を知らせることであり,
- 修正された治療法は患者に提案されてよい,
- 変更された治療法は、修正された治療法で送達装置を制御するために送達装置に送られてもよい,
- 患者は、修正された治療法を受け入れるか、最後の治療法を維持するか、治療法を変更するか、及び選択された治療法を送達装置への送信を決定することが可能である。
【0119】
ベーサルレートは、ある期間の期間について、ただ1つの単一のベーサルレートを含んでもよいし、又はいくつかの単一のベーサルレートを含んでもよい。
【0120】
新しいベーサルレート及び/又は新しいCIRは、その後の期間に使用可能である。新しいベーサルレート及び/又は新しいCIRが患者に提案され、患者はこの提案を受け入れても、受け入れなくてもよい。患者は、その方法を例えば現在の期間の血糖値の最後の測定後に起動してもよい。したがって、本発明の一態様は、治療法管理を提案するコーチとして演じ得るが、患者は、提案された他のパラメータから選択することができる。
【0121】
閉ループの場合、新しいベーサルレート及び/又は新しいCIRが後続の期間に自動的に使用される。
【0122】
好ましくは、修正されたCIRは、後続の期間の少なくとも1つの食事の少なくとも1のボーラスをコンピュータ計算するために使用される。
【0123】
好ましくは、この方法は、各々の新しい期間に対して繰り返され、後続の期間は、実質的に最初の期間の終了時に、又は前の期間の終了時に開始することができる。
【0124】
本発明のに係る一態様による方法は、前記最初の期間にわたって患者によって摂食された少なくとも1回の食事の炭水化物に関連するデータをメモリ装置から取り出すステップをさらに含むことができる。
【0125】
オプションとして、プロセッサーユニットは、後続の各期間(例えば、日々)、薬物送達パラメータ(例えばベーサルレート)(及び/又はCIR)を改善する。この場合、本方法はさらに以下のステップを含んでもよい:
オプションとして、少なくとも1つの過去の期間にわたる患者の血糖の少なくとも2つの測定値(SMBG及び/又はCGMによって実行される)をメモリ装置から取得する;又は、
ベーサルレート及びボーラスの少なくとも一方を含む、少なくとも1つの過去の期間にわたって実行された薬物送達パラメータをメモリ装置から取得する;又は、
前記少なくとも1つの過去の期間にわたって患者のCIRに関連付けられたデータをメモリ装置から取得する。
【0126】
過去の期間は最初の期間よりも古いことは理解されるべきである。この場合、プロセスユニットは、1つ又は複数の過去の期間のメモリ装置データから取得されたデータのすべて又は一部を考慮可能である。
【0127】
本発明の一態様による方法は、最初の期間中の少なくとも一部に有効な薬物送達の有効量を決定するステップをさらに含むことができ、プロセッサーユニットは、前記薬物送達の有効量をその後の期間の治療方を決定するために考慮可能である。
【0128】
本方法は、初期化フェーズと呼ばれる予備フェーズを含むことができ、その期間中にCGMが使用可能である。
【0129】
<本発明の製品実施例>
図6に開示されるように、本発明の一態様は、糖尿病患者のインスリンの必要性を判定するためのシステム(300)をさらに開示する。システムには以下を含む:
患者のグルコースレベルに関するグルコースデータを受信するように構成された入力装置(取得装置とも呼ばれる)(303);
ベーサルレート及びボーラスのうちの少なくとも1つを含む薬物送達パラメータに従って患者にインスリンを送達するように構成された送達装置(305);
以下を記憶するように構成されたメモリ装置(302)
少なくとも1つのグルコースデータ、
患者の炭水化物/インシュリン比情報に関連する薬物送達パラメータとCIRのうち少なくとも1つ;
以下に適応したコンピューター実行可能命令を実行するように構成されたプロセッサー(301):
メモリ装置から、最初の期間に少なくとも2つのグルコースデータを取得する;
メモリ装置から以下の少なくとも1つを取得する:
最初の期間に送達装置によって実行される薬物送達パラメーター;及び、
CIR;そして、
取得したデータの少なくとも一部に基づいて、以下の少なくとも1つの修正を含む治療法の修正を決定する:
ベーサルレート;及び
CIR。
【0130】
治療法の修正は、送達装置(305)によって後続の期間に使用されることが好適に意図されており;そして、グルコースデータは、血糖自己監視によって好適に提供される。
【0131】
コンピュータ実行可能命令は、さらに以下に適応させることができる:
治療法の修正の少なくとも一部を表示する(例えば、ディスプレイデバイス(306)を介して);
患者に治療法の修正を提案する;及び/又は、
後続の期間の治療法の修正を考慮し、インスリン量を送達するように送達装置を制御する。
【0132】
入力デバイスは以下の構成であってよい:
- BGMやCGMなどのグルコースセンサー(304)を備えた血糖計; 又は、
- BGMによって測定された患者の血糖値のデータを手動で入力するために使用されるキーボード(リモートボタンのハードボタン又はタッチスクリーン経由)。
【0133】
システムは、視覚ディスプレイと、ユーザー入力データ及び命令を受信及び通信するように構成された入力装置とを含むユーザーインターフェースを備えてもよい。
【0134】
プロセッサーはさらに次のようにプログラム可能である:
- 低血糖症及び/又は高血糖症のイベントを予測又はコンピュータ計算して、現在の送達パラメーターによって生じる可能性のある患者に警告する;及び/又は、
- 後続の期間に使用されることを意図した送達パラメータによって引き起こされる可能性がある低血糖、及び/又は高血糖イベントを予測又はコンピュータ計算し、そして、患者に警告可能である。
【0135】
このシステムは、教育モジュール(コンピュータ実行可能命令によって提供される結果に応じてディスプレイ装置にメッセージを表示可能とする)として使用されるか、それを含むことができ、その結果以下を達成する:
- 患者に自分の行動を修正するように教育及び/又は動機付けする、又は、
- 患者に自分自身の病気と治療オプションのよりよい理解を提供する、又は,
- 患者に治療法に従うよう画面プロンプト表示して促す。
【0136】
コンピュータ実行可能命令は、期間毎に患者の血糖の10又は8又は5未満の測定値を考慮に入れてもよい。期間の継続時間は、事前に決定されても、可変であってもよく、1時間から36時間の間で構成されてよい。
【0137】
プロセッサーは、最初の期間の少なくとも一部の間に送達される薬物の有効量を決定するように構成されてもよい。
【0138】
プロセッサーは、前記期間にわたって患者が摂食した少なくとも1回の食事の炭水化物に関連するデータを取得するように構成されてもよい。さらに、プロセッサーは、いくつかの期間に取得されたデータの少なくとも一部を考慮することによって、決定プロセスを改善するように構成されてもよい。
【0139】
システムは、プロセッサーのコンピュータ実行可能命令を起動するように構成された起動装置をさらに備えてもよい。起動装置は、例えば、期間中の患者のグルコースレベルの最後の測定後に、患者によって起動されてもよい。
【0140】
<発明の一態様による閉ループ監視装置の実施例>
本発明の一態様は、
図7に開示されるように、閉ループ装置を監視するように適応されたシステム及び方法をさらに開示する。システム(300)は以下を含むことができる:
- 例えばグルコースセンサー(304)を介して患者の複数のグルコースデータを取得するように構成された取得デバイス(303);
- ベーサルレート及びボーラスのうちの少なくとも1つを含む薬物送達パラメータを決定するように構成された閉ループデバイス(307);
- 例えば、薬物送達パラメータ及び/又はグルコースデータに関する複数のデータを格納するように構成されたメモリ装置(302);
- 物送達パラメータに従って患者に薬物を送達するように構成された送達デバイス(305);そして、
- 以下のようにプログラムされたプロセッサー(301):
所定の期間にわたって測定された患者の血糖データを受信する;
前記所定の期間にわたって送達装置によって適用された薬物送達パラメータを受信する;
受信したデータを考慮することによって、例えば、後続の期間に使用できるベーサルレート及び/又はCIRの少なくとも一方を含む受け入れ可能なデータのセットを決定又は計算する;
プロセッサーはさらに以下のようにプログラムされる:
- 後続の期間用に閉ループ装置によってコンピュータ計算された(又は使用されることが意図された)薬物送達パラメーター(及び/又はCIR)を受信する; そして、
- 受け入れ可能なデータのセットを、後続の期間で閉ループデバイスによってコンピュータ計算された(又は使用される予定の)薬物送達パラメーター(及び/又はCIR)と比較する。
【0141】
プロセッサーはさらに以下のようにプログラムされる:
- 低血糖症及び/又は高血糖症のイベントを予測又はコンピュータ計算して、現在の送達パラメーターによって引き起こされる可能性のある患者に警告する; 及び/又は、
- (現在の期間又は後続の期間について)閉ループデバイスによって計算された送達パラメーターによって引き起こされる可能性のある低血糖及び/又は高血糖イベントを予測又はコンピュータ計算する。
【0142】
差が所定のしきい値に達すると、プロセッサーは以下のようにプログラムされている:
- 患者又は他のユーザーに警告する、及び/又は、
- 上記の受け入れ可能範囲に従う別の薬物送達パラメーターを提案する、及び/又は、
- 閉ループ装置を停止する。
【0143】
そのような装置によって適用されるプロセスの実施例は、
図8によって開示されている。
閉ループシステムは、CGMによって測定されたグルコースデータを使用してもよく、監視プロセスは、SMBG又はCGMによって測定されたグルコースデータを使用してもよい。
【0144】
<送達装置の実施例>
図1Bは、本発明の一態様による送達デバイスの一実施例を示す。送達デバイス(100)は、2つの別個の部分を備え得る。使い捨て部(101)と呼ばれる第1の部分は、所定の期間の後に廃棄されてもよい。使い捨て部は、使用後に再使用できない場合がある(1回使用)。非使い捨て部(102)と呼ばれる第2の部分は、異なる(すなわち代々の)使い捨て部で再利用可能であってもよい。使い捨て部(101)は、非使い捨て部(102)に取り外し可能に取り付けることができ、両方ともポンプ装置を形成する。両方とも、送達装置(100)が機能するように、好ましくはぴったりとした方法で取り付けられなければならない。
【0145】
使い捨て部は、溶液を貯蔵するリザーバ(103)を備えてもよい。前記リザーバは、(キャビティとハウジングの外部との)圧力平衡化のためのベント(105)を含み得るハウジング(104)によって閉じられた第1キャビティに配置される。リザーバは、ポンピングユニットの入口と流体接続する出口を含む。
【0146】
非使い捨て部(102)は、いくつかの電子素子(106)(例えば、プロセッサー及び/又はメモリ)を含むことができ、これらは、疎水性膜による第2のキャビティの換気のためのベント(108)を含み得るハウジング(107)によって閉じられる第2のキャビティ内に配置される。バッテリー(109)は送達装置で使用され、動作には空気が必要な場合がある(例えば、亜鉛空気電池)。好ましくは、使い捨て部のハウジング及び非使い捨て部のハウジングは、送達デバイス(100)のハウジング(112)の少なくとも一部を形成する。非使い捨て部は、ハウジング上に配置された1つ以上のボタンを備えてもよく、前記ボタンはプロセッサーに接続され、送達を制御可能とする。
【0147】
ポンピングユニット(図示せず)又はバッテリー(109)は、第2のキャビティに配置されてもよい。ポンピングユニット又はバッテリー(109)は、使い捨て部に対して固定されてもよい。
【0148】
他の実施形態が考えられ、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく作成され得ることが理解されるべきである。したがって、上記の送達デバイスは、一実施例であり、完全に使い捨て可能な送達デバイス又は電子機器のない送達デバイスなど、本発明の一態様で使用できる他の送達デバイスも使用可能である。
【0149】
<ポンピングユニットの実施例>
ポンピングユニットは、リザーバー(103)から(ポンピングチャンバー(11)へ)流体をプルして(ポンピングチャンバー(11)から)患者へプッシュするように設計されたポンピングチャンバー(11)を含む「プッシュプル」装置であってもよい。このタイプのポンピングユニットの大きな利点は、送達精度である。確かに、各ストローク時にポンピングチャンバーのおかげで、送達体積がわかる。
【0150】
ポンピングユニットは以下を含んでよい:
- ポンピングチャンバーの容積を変更するように適応されているポンプアクチュエーター(25)。前記ポンプアクチュエータは、プロセッサーがポンプアクチュエータを制御し、及び/又は(例えば、センサーを介して)前記ポンプアクチュエータの位置を監視するように、プロセッサーに結合されてもよい。プロセッサーは、作動データに応じてアクチュエータの位置を差し引くこともできる。
- オプションの入口バルブ(2)を備えたインレットと、オプションの出口バルブ(5)を備えた出口。前記バルブは逆止弁であってもよい。ポンピングチャンバーの充填は、入口バルブを開き、出口バルブを閉じたままにするポンピングチャンバー内の負の相対圧力(ポンピング膜のプル)に関連付けられ、一方、注入は、出口バルブを開き、入口バルブを閉じたままにするポンピングチャンバ内の正の相対圧力に対応する(ポンピング膜のプッシュ)。ポンピングユニットの入口は、好ましくは、リザーバ(103)の出口と流体接続し、フィルタがリザーバとポンプユニットとの間に配置されてもよい。
- 好ましくは、メカニカルストップに抗して、少なくとも2つの位置の間を移動するように適応されたポンピング膜(3)(少なくとも部分的に柔軟であってもよい)。膜がプルされてポンピングチャンバーが満たされる都度に、膜はそのコースを止める機械的構造と接触する(例えば、接着防止層(15)に対して)。前記膜がポンピングチャンバーを空にするためにプッシュされるたびに、それは再びそのコースを止めるメカニカルストップと接触する(例えば、接着防止層(14)に対して)。これらのメカニカルストップのおかげで、例えばそれらの距離が既知で一定であれば、ポンプで送られた容積は高精度で既知である。このシステムは、例えば、所定の期間中にメカニカルストップに対して所定のポンピング膜の位置を保持するように適応され得る。
【0151】
一実施形態では、送達システムは、
図1Aに示すように、往復変位MEMSであり得るポンピングユニットを含む。前図は、ベースプレート(8)としてのガラス層、ベースプレート(8)に固定された第2のプレート(9)としてのシリコン層、及びシリコンプレート9に固定されたトッププレートとしての第2のガラス層(10)シリコンプレート9に固定されたトッププレートとして、それにより容積を有するポンピングチャンバ(11)を定義する。メサ(6)にリンクされたアクチュエータ(25)は、ポンピング膜(3)の制御された変位を可能とする。出口制御部材、出口バルブ(5)をここに示されていない外部検出器及び最終的にポンプの反対側に配設されている出口ポート(18)に接続するために、チャネル(7)も存在する。
【0152】
図1Aはさらに、チャネル(7)、外側検出器(13)、出口弁の下流に位置する流体チャネル(17)及び出口ポート(18)上のオプションカバー(12)を示す。ポンピングチャンバー内の圧力は、作動速度、入口と出口での圧力、チャンバー内の気泡の存在の可能性、バルブ特性、及びそれらの漏れ率などの多数の要因に応じて、ポンピングサイクル中に変化する。
【0153】
MEMS技術は、シリコンチップに統合されたピエゾ抵抗ゲージ圧力センサー(4、13)の実装に適する。シリコンの非常に大きなピエゾ抵抗係数のおかげで、これらのセンサーは、優れた感度、低いデッドボリューム、ヒステリシスなし、いわゆるホイートストンブリッジ構成を使用した場合の小さなオフセットと良好な線形性を示し、信号の温度依存性が唯一の欠点である。
ホイートストンブリッジ構成のひずみゲージを備えた第1の膜(4)をポンプの良好な働きを監視するためにポンピングチャンバーに配置してよく、他方で、別のセンサー(13)を閉塞検出目的のために出口バルブの下流に配置してもよい。
【0154】
これらのゲージ圧力センサーの特性、注入プロファイル、及び抵抗器の位置が最適化されており、最小分解能1mbar以下で-1~+1.5barの範囲で約数百uV/V/barのオフセット及び代表感度10から50mV/V/ barの検出器を得ている。マスクのアライメント、注入、膜のエッチング、膜と結晶軸に対する抵抗の位置に関連するさまざまなエラーを考慮した後、検出器の信号変動は20°Cで+/-7.6%と評価されている。
【0155】
圧力センサーは、例えばプロセッサーがこの有効量を評価する圧力データに応じて、患者に効果的に送達された量(例えば、期間中に)を監視するためにも使用できる。プロセッサーユニットは、有効量と治療データ(例えば、ベーサルレート)を比較し、新しい最適な治療法を決定することを考慮してもよい。
【0156】
他の実施形態が創案され、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく作成され得ることが理解されるべきである。したがって、上記のポンピングユニットは、一実施例であり、シリンジポンプその他のポンピングユニットが本発明の一態様で使用可能である。
【0157】
<送達システムの他のオプションフィーチャ>
図1Cは、送達システム(医療システムとも呼ばれる)の送達デバイス(100)を示す。送達装置は、患者の皮膚に直接装着されるように設計されてもよい。本実施形態では、送達システムは、患者の皮膚に対して(接着剤を介して)固定されるように適応されたパッチ(110)を含む。パッチは、送達装置をパッチに取り外し可能に固定するための取り付け部材を含む。システムは、送達装置(100)に取り外し可能に結合可能な注入セット(111)をさらに含む。輸液セットは、パッチ(110)又は輸液セットに取り外し可能に結合されてもよく、パッチは単一部品内に形成されてもよい。送達装置は、送達装置が注入セットに正しく結合されたときを検出するように適応されたセンサー(ホール効果センサー)(図示せず)を備えてもよい。前記センサーは、好ましくは送達装置(100)のプロセッサーに接続される。
【0158】
送達装置と輸液セットが正しく結合されると、流体経路が作成される。前記流体経路は、リザーバから注入部位まで延びている。
【0159】
図1Dは、輸液セット(111)から外された送達装置(100)の概略図を示す。送達装置は、リザーバー及びポンプユニットが配置されたハウジング(112)を含む。送達装置(100)は、送達装置と輸液セットが結合されたときに輸液セット(111)の入口ポート(113)に接続(流体連通)するように適応された出口ポート(114)をさらに含む。前記注入セットは、カニューレ(115)、針、又はマイクロ針をさらに含む。
【0160】
図1Eに示される一例では、送達システムはさらにリモートコントローラー(200)を含む。前記リモートコントローラは、送達装置(100)を命令及びプログラムするように適応されており、それは、ユーザーと送達装置(100)との間のインターフェースとして使用される。好ましくは、リモート装置と送達装置は2つの別個の装置である。したがって、送達装置は、プロセッサー及びメモリを含む独自の電子装置を含んでよく、リモートコントローラは、プロセッサー及びメモリを備えた独自の電子装置を含んでよい。
【0161】
リモートコントローラ(200)は、スクリーン(201)(例えばタッチスクリーン)と、オプションで、少なくとも1つのボタン(202)とを含む。リモートコントローラ(200)及び送達装置(100)は、無線通信を介して送達装置とリモートコントローラとの間のデータ交換を可能にする遠隔通信装置(203)を含む。少なくとも1つの遠隔通信装置は、リモートコントローラーのハウジング又はポンプ装置のハウジング内に配置されてもよい。前記遠隔通信装置は、無線通信(例えば、無線周波数、ブルートゥース、BLTE、WIFI、Zigbeeなど)を介して、送達装置からリモートコントローラへ、及びリモートコントローラから送達装置へデータ交換する。
【0162】
システムは、体液中の分析物の濃度を評価するために使用される検体測定装置を備えてもよい。検体測定装置は、リモートコントローラ(例えば、リモートコントローラのハウジング内)又は別個の装置に配置されてもよい。分析物測定装置は、患者の体液中に存在するグルコースレベルを測定するために使用されるBGMであってもよい。リモートコントローラのメモリは、1以上の期間の1以上のBG測定値を記憶するように構成されてもよい。リモートコントローラは、BG測定のデータを入力するように構成された入力装置を備えてもよい。
【0163】
システムは、グルコースレベルデータ、治療管理、ソフトウェア、治療履歴、患者データなどを記憶するように構成されたメモリ装置をさらに備えてもよい。例えば、このメモリ装置はリモートコントローラ内に配置され、リモートコントローラのプロセッサーに接続されてもよい。
【0164】
システムは、患者の皮膚に対して固定された着用可能なセンサー装置をさらに備えてもよく、前記リモートセンサー装置は、例えば定期的に患者の血糖値を監視するように適応される。
【0165】
<本発明の一態様による方法で使用されるアルゴリズム>
本発明の一態様による製品は、その性能を経時的に最適化するために、かつ対象の変動性と外乱の多様性を原因とする固有のシステム遅延と不確実性を克服するために、学習及びオンライン適応の能力を主な特徴とする新しい非線形コントロールアプローチを含むことを可能とする(又は本発明の一態様による方法を使用することができる)。さらに、モデリング関連のエラーを回避するために、コントローラー装置の設計にモデルフリーアプローチを採用可能である。人工知能アプローチに基づく安全機構により、コントローラーがインスリンの過剰投与と血糖低下イベントを確実に防ぐことを可能とする。
【0166】
T1D患者のグルコース調節のための新しい制御アルゴリズムは、強化学習と最適制御;俳優批評家クリティック(以下で、Actor Critic(AC)又はACとも呼ぶ)学習アルゴリズムに基づいて導入されてよい。ACの主な原理は、制御下にあるシステムと、その環境と、制御ポリシーのそれぞれの適応との継続的な相互作用に基づく経時的性能最適化である。ACアルゴリズムは、適応学習とロバストなアプローチの必要性を暗示する、非線形、高次元、確率的システム、特性の制御において、大きな受け入れと成功した実装が見出されてきた。Actor Critic(AC)学習アルゴリズムに関する詳細については、PCT出願WO 2018/011766 A1に記載されている。このPCT出願の内容は、参照により本出願に組み込まれる。
【0167】
ACは、2つの補完的な部分で構成されている:批評家と俳優(原文:the Critic and the Acto)。アルゴリズムの各タイムステップで、批評家は、先に進む場合のコスト(原文:cost-to-go)、つまり、時間的差分学習(原文:Temporal Differences(TD)以下でと呼ぶ)メソッドに基づくシステムの将来のコストの近似値を提供する。俳優はパラメーター化された制御ポリシーを実装し、これは、パラメーターを適切に更新することによって、批評家の評価に基づき最適化される。
【0168】
システムの数学的モデルを設計又は予測の目的に使用しないという意味で、ACはモデルフリーのアプローチで実装されているであろう。俳優と評論家の双方ともに、その機能は現在のグルコース測定値、過去のグルコース、グルコースの傾向、IOB及び次に来る食事のタイミングと量に関する情報に基づいている。
【0169】
閉ループの安全性を確保するために、データ制御モデルとIOBに関連する制約の組み合わせの使用に基づいて安全機構を設計し、ACコントローラーのインスリン注入レートによって提案されたものを削減又は一時停止することができる。最大許容IOB値が定義されるであろう、これを超えると、潜在的低血糖イベントを回避するために、ポンプが停止する。さらに、来るべきの血糖低下イベントを検出するための警告機構が設計される。来るべき低血糖症を警告することは、インスリン注入と患者の情報を即座に一時停止し、患者のグルコースレベルを上げる自己のアクションを起こすのに極めて重要である。
【0170】
グルコース調節のための他の制御アルゴリズムは、限定なく以下のような本発明の態様による方法で使用され得る:
- 比例積分微分(PID)コントローラー、
- モデル予測コントローラー(MPC)、
- Run-to-Runアルゴリズム、
- 最適制御(OC)、
- MD-Logic(MDL)、又は
- 二ホルモンのグルコース調節、等
【0171】
<治療法を修正するためのSMBGデータ考慮法>
ベーサルレート及び/又はCIR
本発明の一態様によれば、臨床医、技術者、又は患者の関与なしに、インスリン送達設定(ベーサルレート(BR)及び/又はCIR)を毎日適応させるための新規アルゴリズムアプローチが導入される。日内変動サイクルと経日インスリン感度(SI)変動に対処するために、朝食、昼食、夕食の3つの異なるCIRを計算してもよい。ベーサルレートプロファイルの変動性は、T1Dの成人における急性合併症の頻度の増加と関連しているため、毎日更新されるフラットなベーサルレートプロファイル(激しい身体運動が含まれていない場合)の使用を考慮できる。
図4のフローチャートは、BR(上)とCIR(下)の毎日の適応プロセスを示している。
【0172】
SMBGの影響
NICEガイドライン[NICEガイドライン[NG17](2015):成人のタイプ1型糖尿病:診断と管理]毎日最低4回のSMBGを考慮する必要がある。好ましくは、新しいアルゴリズムはこの要件を維持します。SMBGは、食事前の測定値(食事の20分前)、食事後の測定値(食事の2時間後)、又は就寝時の測定値(23:00)である。BGMの通知に対して、アルゴリズムは、+/-15分オーダーのエラーを許容できるように適合可能である。SMBGは、食前食後にいつでも行うことができることは留意すべきである(例:食前40分前のSMBG通知の時間に+/-15分誤差が入る)。
【0173】
好ましくは、3つの食前測定が必須になってよい。もう1回の測定は、就寝時測定又は食後測定のいずれかである。
【0174】
ベーサルレート
ベーサルレートは、空腹時SMBG、3つの食前測定、又は3つの食前測定と就寝時間測定に基づいて更新される。
【0175】
CIR
当日の主食(朝食、昼食、又は夕食)のそれぞれのCIRは、前日の対応する食事及び/又は最新の食前SMBGのグルコース測定値に基づいて更新されてよい。対応する食事の前日の食後の測定値が利用可能な場合、それを考慮に入れてもよい。
【0176】
例
4つのすべての空腹時SMBGが利用可能な場合、これら4つの空腹時測定を使用してBRを調整可能である。CIRは、対応する食前の測定に基づいて更新可能である。
【0177】
4つの測定に3つの食前測定と1つの朝食後測定が含まれる場合、ベーサルレートは3つの事前測定に基づいて更新され、朝食のCIRは朝食前と朝食後の測定に基づいて更新され、他方で、昼食と夕食のCIRは、食事前の測定値のみに基づいて更新されてよい。
【0178】
毎日7回の測定(例えば、3回の食前測定、3回の食後測定、1回の就寝時測定)が利用可能な場合、ベーサルレートは前日の4回の空腹時測定に基づいて更新され、各CIRは前日の対応する食前食後の測定に基づいて更新されてもよい。
【0179】
図16は、変更すべきデータを決定するフローチャートを描く図である。
【0180】
<グルコース調節のアルゴリズム例と主要な結果>
このドキュメントで説明する送達システムは、Actor-Critic(AC)学習に基づくアルゴリズムを使用してもよい。ACは強化学習(RL)アルゴリズムの分類クラスに属し、2つの補完的な適応エージェント:CriticとActorで構成され、前者は制御ポリシーの評価を担当し、後者は制御ポリシーの最適化を担当する。
【0181】
システムは、有限状態空間Xとアクション空間Uを備えたマルコフ決定プロセス(MDP)としてモデル化できる。エージェントの目的は、そのパス全体で予想されるコストを最小化するために、最適なポリシーを見つけることである。状態xとyの間の遷移は、選択された制御アクションuに依存し、遷移確率分布p(y|x,u)に従う。ローカルコストc(x,u)は、各状態とアクションに関連付けられている。ACアルゴリズムの目的は、最適な制御ポリシーを見つけて、すべての状態で状態ごとの平均予想コストを最小化することである。この例の制御ポリシーの更新期間は24時間(1日)に設定された。したがって、アルゴリズムは、ベーサルレートとCIR(プロファイル)の日次更新を提供することによって、適応型血糖制御を提供する。
【0182】
図4は、1日のベーサルレートとCIRプロファイルの更新の実施例の概略図とフローチャートを示す。この例では、1日あたり3つのCIRを持つフラット基本レートとCIRプロファイルが使用されている。システムは1日中データを収集して、現在のベーサルレートを評価する。BGの最後の測定までに、収集されたデータの評価に基づいて、翌日のベーサルレートが更新される。食事が発表されると、対応するCIR値がアクティベートされるが、それは、前日の対応する期間に収集されたデータに基づいて更新されたものである。
【0183】
ACアルゴリズムの例は、米国食品医薬品局(FDA)が承認したUVa Padova T1DM Simulator v3.2を使用してコンピューター上で評価された。
図5aは、制御変動グリッド分析(CVGA)の観点からの主要な評価結果を示し、他方で、
図5bの表1は、同じ実験の結果をBGレベルの観点から示す。実施例の実験期間は60日間であった。「開ループ」(OL)により、シミュレーションプロセス全体(60日間)でシミュレーターから与えられたベーサルレートとCIRを使用して実験が行われた:最初の4日間で前述の初期化プロセスが行われ、次の55日間でACアルゴリズムが毎日ベーサルレートとCIRプロファイルを更新した。インスリン感受性の変動(「夜明け現象」)と、-25%から+ 25%の間で一様に分布するランダムな食事の不確実性とが導入された。結果は、実験の最後の5日間に基づいて評価された。
【0184】
図5a(左:大人、中央:青年、右:子供)によると、この使用例では、各グループのA+Bゾーンの割合は少なくとも97%であった。表1から、各年齢層の正常血糖の割合が増加したのに対し、他方、高血糖の割合はすべての患者で減少したことは明らかである。最後に、低血糖症の割合は、すべての成人及び青年で減少した。
【0185】
<CGM及びSMBGを使用する実施例の結果>
CGMとSMBGの双方のバージョンのアルゴリズムは、次の構成でFDAによって承認された100人の成人を使用してコンピューター上で評価された(コンピューターでの追跡の概要を
図9に示す)。
A.グルコースセンサー
CGMバージョン:Dexcom 50
SMBGバージョン:1日4回の空腹時測定
(注:11人の患者が関与するシミュレータのトレーニングバージョンでは、アルゴリズムは1から7の毎日のBGM測定で評価された。NICEガイドライン[NG17]によると、毎日4回以上のSMBG測定を考慮すべきであるため、毎日4回のSMBG測定を伴うアルゴリズムが FDA承認の成人100人で評価された。)
【0186】
【0187】
C.実装された仮説
試用期間:98日(最初の日を除く+1週間の初期化+アルゴリズムに基づく治療中の3か月)
インスリン感受性(SI)の変動:夜明け現象(-50%)、日別±25%
[1週間の初期化+アルゴリズムに基づく治療中の12週間]
夜明け現象スキーム:SIを毎日午前4:00から8:00に0.5に変更
評価フェーズ:13週目(SIあり)及び14週目(SIなし)
スポーツ:いいえ
スナックのボーラス:いいえ
【0188】
【0189】
表1及び表2によると、アルゴリズムのSMBG及びCGMバージョンは同等のパフォーマンスを達成した。目標範囲の割合は非常に類似したが、SMBGバージョンでは低血糖イベントを減らすことができたのに対し、高血糖イベントの数はわずかに増加した。さらに、
図10は、初期化フェーズの後、双方のバージョンでHBGIのレベルを上げ図にLBGIを「低」から「最小」に減少させたことを示している。
図10の注:毎週の低血糖指数(LBGI)と高血糖指数(HBGI) LBGI:<=1.1(最小)、1.1-2.5(低)、2.5-5.0(中)、>5(高)、HBGI:<=5(最小)、5-10(低)、10-15(中)、>15(高)。
【符号の説明】
【0190】
1 ポンプ
2 入口バルブ
3 ポンピング膜
4 センサー膜
5 出口バルブ
6 メサ
7,17 チャネル
8 ベースプレート
9 第2プレート
10 トッププレート
11 ポンピングチャンバー
12 カバー
13 センサー膜
14,15,24 接着防止層
18 出口
23 バルブアーム
25 アクチュエータ
100 ポンピング装置
101 使い捨て部
102 非使い捨て部
103 リザーバ
104 ハウジング
105 ベント
106 電子素子
107 ハウジング
108 ベント
109 バッテリー
110 パッチ
111 輸液セット
112 ハウジング
113 輸液セットの入口
114 ポンピング装置の出口
115 カニューレ
200 リモートコントローラー
201 スクリーン
202 ボタン
203 通信装置
300 システム
301 プロセッサー
302 メモリ装置
303 入力装置
304 グルコースセンサー
305 送達装置
306 ディスプレイ装置 (又は GUI)
307 閉ループ装置