(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】実験室用機器および挿入可能なネットワーク機器
(51)【国際特許分類】
B01L 1/00 20060101AFI20230412BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20230412BHJP
G01N 35/10 20060101ALI20230412BHJP
B01L 3/02 20060101ALI20230412BHJP
B01L 7/00 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
B01L1/00 E
G01N35/00 Z
G01N35/10 A
B01L1/00 A
B01L3/02 D
B01L7/00
(21)【出願番号】P 2019562410
(86)(22)【出願日】2018-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2018062339
(87)【国際公開番号】W WO2018210726
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-01-21
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501186645
【氏名又は名称】エッペンドルフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf SE
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール ベヒマン
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェン ビューラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス グラフ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ヨリー
(72)【発明者】
【氏名】ハウケ マルツェン
(72)【発明者】
【氏名】ゼレン メンシュ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン シュトランツィンガー
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ ティマン
(72)【発明者】
【氏名】ボルフ ベンテ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ウシュクレイト
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0215357(US,A1)
【文献】特開2012-009728(JP,A)
【文献】特開2011-054485(JP,A)
【文献】特開2008-200671(JP,A)
【文献】特開平04-271084(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0283944(US,A1)
【文献】米国特許第04755149(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0073723(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0111575(US,A1)
【文献】特開2010-130966(JP,A)
【文献】特開2016-165281(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0101618(US,A1)
【文献】特開昭63-267264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00、3/02、7/00
C12M 1/00、3/00
G01N 35/00、35/10
H05K 7/00
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験室試料(9)について作業を行なうための実験室用機器(1)において、
前記実験室試料を収容するための作業用チャンバ(2;202)と、
前記作業用チャンバ(2;202)の内部の設置位置に配設され設置された場合に、少なくとも1つのネットワーク機器(20;20’、220)のためにデータを交換する能力を有するネットワーク接続を提供するためのネットワークインタフェース装置と、
を含む実験室用機器であって、
前記ネットワークインタフェース装置が、
・ 前記作業用チャンバの外部に配設され前記ネットワーク接続を提供する通信装置(60;260)と;
・ 複数の第1のコネクタ(31;231)を含むコネクタ装置(30;230)であって、前記複数の第1のコネクタは、前記コネクタ装置のベース本体に取り付けられており、各第1のコネクタは、
前記少なくとも1つのネットワーク機器
(20;20’、220)のうちの1つと接続するように構成され、各第1のコネクタが、前記作業用チャンバの内部に面して配設され、データ交換を可能にするための通信装置と接続されている、コネクタ装置と;
を含み、
前記作業用チャンバが、前記作業用チャンバの内部を取り囲む少なくとも1つのチャンバ壁(2a;2b;2c;2d)によって形成されており、前記少なくとも1つのチャンバ壁が、前記複数の第1のコネクタ(31;231)と前記通信装置(60;261)とを接続するための少なくとも1つのダクト(2e;202e)を含み、こうして前記少なくとも1つのチャンバ壁を通って前記少なくとも1つのダクトに沿ってデータ交換が可能になっている、実験室用機器。
【請求項2】
前記コネクタ装置(30;231)が、前記実験室用機器の前記作業用チャンバの内部に面するように解除可能な形で組付けられるように構成されている、請求項1に記載の実験室用機器。
【請求項3】
前記コネクタ装置(30;230)が、前記実験室用機器の前記作業用チャンバに対して前記コネクタ装置を解除可能な形で組付けるための少なくとも1つの組付け用部材(37;38;237;238)を含む、請求項2に記載の実験室用機器。
【請求項4】
前記複数の第1のコネクタ(31;231)がそれぞれ、接触位置で第2のコネクタの導体により機械的に接触された時点で抵抗接点を提供するための少なくとも1つの導体を含む機械的コネクタであり、
好ましくは前記複数の第1のコネクタ(31;231)はそれぞれ、前記第1のコネクタ(31;231)と前記第2のコネクタ(22;222)の相対的運動を誘導するために少なくとも1つの自動調心構造(231’;222’)を提供することによってブラインドメイトコネクタとなるように構成されている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の実験室用機器。
【請求項5】
前記ネットワークインタフェース装置の前記通信装置(60;261)が、イーサネット(登録商標)ハブまたはイーサネット(登録商標)スイッチを含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の実験室用機器。
【請求項6】
実験室用インキュベータ、実験室用試料ミキサ、実験室用試料振盪器、実験室用冷凍庫または自動ピペッティング装置であるか、またはサーマルサイクラであるかまたはサーマルサイクラを含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の実験室用機器。
【請求項7】
実験室試料について作業するためのネットワーク機器(20;20’;220)において、データを交換するために請求項1ないし6のいずれか1項に記載の実験室用機器の前記ネットワークインタフェース装置に接続されるように構成されているネットワーク機器であって、
前記データを処理するための制御装置(24)と、
前記ネットワークインタフェース装置と前記データを交換するように構成された通信装置(26)と、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の実験室用機器の前記ネットワークインタフェース装置の第1のコネクタ(31;231)に接続されるように構成された第2のコネクタ(22;222)と、
を含み、
前記実験室用機器の通信装置(60;261)によって、前記第2のコネクタ(22;222)を前記第1のコネクタ(31;231)に接続
する、ネットワーク機器(20;20’;220)。
【請求項8】
ベース部分(21;221)および、前記第2のコネクタ(22;222)と前記ベース部分(21;221)の間に可動の機械的リンクを提供するための調心装置(27;227、227’)を含み、
前記第2のコネクタ(22;222)は、前記第1のコネクタ(31;231)と前記第2のコネクタ(22;222)の相対的運動を誘導するために自動調心構造(222’)を含むことによって、ブラインドメイトコネクタとなるように構成されている、
請求項7に記載のネットワーク機器。
【請求項9】
前記調心装置(27;227、227’)は、前記第2のコネクタ(222、222’’)と前記ベース部分の相対的可動性を可能にするようにそして経路制限要素(227、227’)により画定された経路(B)に沿って移動するべく前記第2のコネクタ(222、222’’)と前記ベース部分の制限された誘導を提供するように構成された、前記第2のコネクタの前記移動を前記経路(B)に制限するために前記第2のコネクタ(222、222’’)と係合する少なくとも1つの経路制限要素(227、227’)を含む、請求項8に記載のネットワーク機器。
【請求項10】
前記自動調心構造(231’;222’)が、第1のコネクタ(31;231)および/または第2のコネクタ(222、222’’)の一部である少なくとも1つの誘導用表面(231’;222’)を含み、前記第1および第2のコネクタの調心が、前記誘導用表面(231’;222’)によって誘導される前記第1および第2のコネクタの相対的運動によって達成される、請求項9に記載のネットワーク機器。
【請求項11】
前記実験室試料(9)に関連する少なくとも1つの作業ステップを行なうための作業用装置(23)を含み、かつ/または、前記作業用チャンバ内部の少なくとも1つの測定パラメータを測定するように構成された測定デバイスを含む、請求項7ないし10のいずれか1項に記載のネットワーク機器。
【請求項12】
実験室用容器を担持するための棚となるように形成されている、請求項7ないし11のいずれか1項に記載のネットワーク機器。
【請求項13】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の実験室用機器(1)および請求項7ないし12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのネットワーク機器(20;20’;220)を含む、実験室試料(9)について作業するためのシステム。
【請求項14】
実験室試料(9)についての作業に関するワークフローを実装するための実験室用機器ネットワーク(100)において、データ交換を可能にするために接続されている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの実験室用機器(1)および請求項7ないし12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのネットワーク機器(20;20’;220)を含む実験室用機器ネットワーク(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験室試料について作業を行なうための実験室用機器および、該実験室用機器の作業用チャンバの内部に挿入可能なネットワーク機器に関する。
【背景技術】
【0002】
実験室用機器は、高い効率で実験室試料について作業を行なうために化学的、生物学的、生化学的、医学的または伝送学的実験室において使用される。外部に対する保護障壁を提供する実験室用機器の作業用チャンバの保護された環境内で実験室試料について、ネットワーク機器により典型的ステップが実施される。通常、試料に関連する異なるタスクを遂行する実験室内には、多数の実験室用機器が存在する。タスクを実行するために、実験室試料は、第1の実験室用機器の1つの作業用チャンバ内の処理サイトから、別の実験室用機器の作業用チャンバの内部の次の処理サイトまで輸送される。このような実験室の処理能力を増大させる目的で、同等のタスクを並行して遂行するために多数の実験室用機器を利用することができ、あるいは個別の実験室用機器を、1つの作業用チャンバ内部で異なるタスクを行なうのに充分複雑に構成することも可能である。
【0003】
高スループットの実験室用機器は多くの場合、例えばネットワーク上で受信される制御データを用いることによって、実験室試料について最小限のユーザインタラクションで異なる作業ステップを実行するように自動化されており、個別の試料処理ステップは典型的に、コンピュータプログラム、ソフトウェアおよびロボットによって制御される。この目的で、実験室用機器は典型的に、実験室用機器に内蔵され実験室用機器の基本的機能性を表わす異なる内部処理装置を制御するように構成されている。例えば、自動ピペッティングステーションは、液体を測定し分配するためのピペッティング用ロボット、実験室試料を混合するための混合用デバイス、および実験室試料に対して1つ以上の温度を適用するための温度制御デバイスを含むことができ、これらは実験室用機器の制御プログラムによってアクセスされ制御される。このような実験室用機器のいくつかの利用分野は、各々の内蔵された処理装置により実験室試料を連続して処理することを必要とし得るものの、他のタスクでは、1つの内蔵された処理装置またはその一部のみの使用しか必要とされず、他の処理装置はより長期にわたり不活動状態にとどまる可能性がある。
【0004】
実験室用機器はその上、多くの場合実験室用機器のネットワークに接続される能力を有するネットワーク機器であるように構成される。このようなネットワークは、実験室用機器と、実験室試料に関連する作業ステップを行なうための他のネットワーク機器を含み得る。実験室用機器ネットワークのネットワーク機器間のデータ交換は、1つ以上のネットワーク機器に制御データを伝送するため、ネットワーク機器により生成または転送されたデータを監視または収集するため、または多数のネットワーク機器を用いて包括的ワークフローを監視または制御するために使用可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、柔軟かつ効率の良い方法で実験室試料についてのネットワークベースのワークフローを実現するために必要とされる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1に記載の実験室用機器および請求項8に記載のネットワーク機器を用いてこの目的を達成する。本発明の好ましい実施形態は、詳細には、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明は、特定のネットワークベースのワークフローの必要性に応じてネットワーク機器のタイプおよび数を快適な形で適応させることを可能にする。ワークフローを計画する場合、本発明に係る実験室用機器は、作業用チャンバの内部に所要数のネットワーク機器を単に設置し、作業用チャンバの内部に面するコネクタユニットの第1のコネクタに第2のコネクタを接続することによって、実験室用機器の作業用チャンバの内部でのネットワーク機器の使用を可能にする。したがって、実験室用機器を使用して特定のタスクを行なうために必要とされない実験室用機器を、作業用チャンバから容易に接続解除または取外しすることができる。こうして、実験室用機器ネットワーク内でのネットワーク機器の割当てを利用分野に応じて定義することができ、このことはすなわち、実験室ハードウェアを融通性ある形で構成できるということを意味する。
【0008】
単一の実験室用機器を、作業用チャンバ内部の複数のネットワーク機器をホスティングするように構成できることから、試料を異なるサイト間で輸送する必要がない。試料に関連する作業ステップを同時に行なうように、ネットワーク機器を応用することができる。このような並行タスクの実施例を以下に見い出すことができる。
【0009】
ネットワーク機器の挿入位置で実験室用機器ネットワークとデータを交換する能力によって、作業用チャンバの内部のネットワーク機器により生成され得るデータのいずれの処理も作業用チャンバの内部で行なう必要がなく、作業用チャンバの外部、詳細には別のネットワーク機器内に移転可能であるという利点が提供される。
【0010】
ネットワーク機器が作業用チャンバ内部の既定の位置に配設された場合、前記位置は、挿入位置と呼ばれる。ネットワーク機器が、第2および第1のコネクタを介してネットワークインタフェース装置に接続された場合、この位置は、接続位置と呼ばれる。ネットワーク位置が挿入位置にあると同時に接続位置にある場合、この位置は設置位置と呼ばれる。
【0011】
実験室用機器の作業用チャンバは好ましくは、少なくとも1つの区画と少なくとも1つの区画を開閉するための少なくとも1つの扉部材、例えば典型的には少なくとも1つの扉開口部を取り囲むフレームの境界領域に蝶番固定されている開き戸扉部材、または引き戸扉部材を含む。区画の開閉は、ユーザ駆動プロセスであり得る。代替的にまたは付加的に、実験室用機器は、扉を閉鎖および/または開放するため、例えば電気モータを含めた起動用装置を含んでいてよい。
【0012】
作業用チャンバは好ましくは、見え掛り(face side)の各々が矩形である直方体として形成される。見え掛りは、実質的に平面であり得る壁によって形成され得る。しかしながら、作業用チャンバは同様に、例えば円筒形状などの別の形状を有していてもよい。このようなインキュベータチャンバの典型的サイズは、50~400リットルである。好ましくは、作業用チャンバは、作業用チャンバの内部を包囲する少なくとも1つのチャンバ壁によって形成される。好ましくは、作業用チャンバは、少なくとも1つの底部壁、少なくとも1つの頂部壁、少なくとも1つの後部壁、少なくとも1つの左側壁、少なくとも1つの右側壁、そして好ましくは少なくとも1つの前部壁によって形成される。前記壁のいずれも、チャンバ形成材料の1つ以上の層を含んでいてよく、ここで前記層は、サンドイッチアセンブリの形で接触して配設されてよく、または、互いに(好ましくは恒常な)一定の距離を置いて配設されてよい。壁は、互いに接続されて、作業用チャンバの内部のための(好ましくは気密な)エンクロージャを提供する。壁は、途切れなく接続され得、例えば、丸味のある縁部が隣接する壁同士の連続的遷移を提供し、こうして作業用チャンバの清掃が容易になる。
【0013】
作業用チャンバは好ましくは、ユーザが作業用チャンバに出入りしこれを装備することができるようにするための少なくとも1つの扉開口部を有する。少なくとも1つの扉開口部は好ましくは、作業用チャンバの前部壁内に具備される。
【0014】
チャンバを形成する材料は、好ましくは、実験室用機器の基本的機能に応じてポリマおよび/または金属を含有している(またはポリマおよび/または金属でできている)。作業用チャンバは、好ましくは金属製であるかまたは、作業用チャンバの内側空間に面する金属表面を含む。このような金属は、実質的に非腐食性の金属、例えばステンレス鋼であり得る。少なくとも1つの壁または各々壁の材料は、金属、詳細にはステンレス鋼または銅、またはポリマを含むかまたはそれらで構成されてよい。実験室用機器が加熱用機器例えば実験室用インキュベータである場合、材料は好ましくは、ステンレス鋼または銅、または好ましくは30秒≦T≦30分の好ましい範囲から選択され得る少なくとも既定の時限Tの間、最高120℃または最高180℃の温度に耐える他の任意の熱伝導材料である。このような温度は、チャンバ壁を滅菌するために使用され得る。
【0015】
好ましくは、少なくとも1つのチャンバ壁は、作業用チャンバの内部と作業用チャンバの外部の間に通路を提供するため、1つ以上の部品がチャンバ壁を通って延在できるようにするダクトを含む。例えば、ダクトは、少なくとも1つの第1のコネクタを通信装置と接続するケーブルデバイス用通路を提供するように構成され得る。ダクトは同様に、作業用チャンバの内部と作業用チャンバの外部の間の通路を提供する管状部材を収容し格納するように構成されてもよい。さらに、ダクトを閉鎖するための閉鎖用部材を具備することができ、これは、手動または自動で操作されるように構成され得る。
【0016】
作業用チャンバは、作業用チャンバの頂部壁および底部壁に対して平行に、すなわち動作条件下で水平に設置される1つ以上の棚を保持するための保持用フレーム、詳細にはラックを格納し得る。棚は、より多数の実験室試料の処理を可能にするため、作業用チャンバの内部で利用可能な保管部域を増大させるために使用される。保持用フレームは、作業用チャンバから交換可能である。保持用フレームの材料は、金属、詳細にはステンレス鋼または銅、またはポリマを含むかまたはそれらで構成され得る。実験室用機器が加熱用機器例えば実験室用インキュベータである場合、材料は好ましくは、アルミニウム、ステンレス鋼または銅、または好ましくは30秒≦T≦30分の好ましい範囲から選択され得る少なくとも既定の時限Tの間、最高120℃または最高180℃の温度に耐える他の任意の熱伝導材料である。このような温度は、チャンバ壁を滅菌するために使用され得る。したがって、保持用フレームを、滅菌プロセス中作業用チャンバの内部に残すことができる。
【0017】
実験室用機器のネットワークインタフェース装置は、少なくとも1つのネットワーク機器をネットワークインタフェース装置と接続するためのコネクタ装置を含む。コネクタ装置は、1つ以上のデータケーブル、好ましくは1つ以上のイーサネット(登録商標)ケーブル、好ましくはCat5またはCat6イーサネット(登録商標)ケーブルをネットワークインタフェース装置のコネクタ装置と接続するため、例えば基本的にRJ-45タイプのソケットであり得る1つまたは多数の第1のコネクタを含むことができる。データケーブルの1つの端部は、第2のコネクタ、例えば第1のコネクタのソケットと接続するためのプラグを含むことができる。代替的には、第1のコネクタはプラグであり、第2のコネクタは対応するソケットであってよい。データケーブルの別の端部は、設置位置で、少なくとも1つのネットワーク機器の(任意の)コネクタ装置と接続され得るかまたは接続可能であり得、あるいは、少なくとも1つのネットワーク機器と常時接続されていてよい。少なくとも1つの第1のコネクタ、または1つの第1のコネクタまたは各々の第1のコネクタは同様に、設置位置において少なくとも1つのネットワーク機器のための電源として役立つように構成されていてもよい。第2のコネクタが給電を受けるため第1のコネクタと接続されている場合、電流はデータケーブルまたは専用電源線を介して伝送される。
【0018】
実験室用機器は電力の供給を受ける。したがって、実験室用機器のエネルギ消費量の一部は、ネットワーク機器が給電を受けるために実験室用機器と接続されている場合、設置位置で少なくとも1つのネットワーク機器に分配され得る。好ましくは、実験室用機器は、設置位置において少なくとも1つのネットワーク機器により使用される電力を測定し制御するための電力管理デバイスを含む。これにより、少なくとも1つのネットワーク機器のエネルギ消費量を制御することができかつ/または少なくとも1つのネットワーク機器により作業用チャンバ内に放出される廃熱を制御することができる。後者は、実験室用機器が、例えば作業用チャンバ内部に規定の温度を必要とするインキュベータまたは冷凍庫である場合に有用である。
【0019】
実験室用機器のネットワークインタフェース装置は、ネットワークインタフェース装置の通信装置およびコネクタ装置である2つの主要な構成要素を含む。好ましくは、コネクタ装置は、時限Tの間、-20℃、-5°または0℃から出発してかつ/または最高120℃または好ましくは最高180℃、好ましくは最高220℃に達する温度に耐えるように構成されている。これを達成するために、コネクタ装置は、このような温度に耐える能力を有する材料のみで構成される。詳細には、コネクタ装置は、いかなる集積回路あるいは他の電子的構成要素、詳細には前記温度応力に耐えるものとして保証されていないいかなる電子的構成要素も格納していない。したがって、作業用チャンバの内部で適用されることになる上述の温度が関与する温度プロセスを行なう場合に、コネクタ装置を作業用チャンバから取外す必要はない。例えば、コネクタ装置は、時限Tの間最高120°、180°または220℃の温度が関与する滅菌プロセスを適用することによって作業用チャンバの内部を滅菌するときに、同時に滅菌されることになる。典型的に、ICのような温度感応性の高い構成要素を格納しうる挿入されたあらゆるネットワーク機器は、このような滅菌プロセスが開始される前に作業用チャンバから取外しされる。
【0020】
好ましくは、ネットワークインタフェース装置は、少なくとも1つの第1のコネクタをネットワークインタフェース装置の通信装置と接続するケーブルデバイスを含む。ケーブルデバイスは、少なくとも1つのケーブルを格納でき、これはケーブルの束であってよく、ここで1本のケーブルが各々の第1のコネクタに接続され得、通信デバイスへと導き得る。通信デバイスおよび/または第1のコネクタにおいて、ケーブル端部は、プラグ、ソケットまたは導電性クランプを含む群から選択された、取外し可能な電気的接続を実現するための要素を有することができる。あるいは、ケーブル端部は、第1のコネクタおよび/または通信デバイスの電子機器に対して電気的にしっかりと接続され得る。
【0021】
好ましくは、コネクタ装置は、好ましくはチャンバ壁内に具備された少なくとも1つのダクトを通過するように構成されている少なくとも1つのチャネル部材、例えば管部材を含む。このようなチャネル部材は、少なくとも1つの第1のコネクタを通信装置と接続し、こうしてチャネル部材を介してチャンバ壁を貫通するケーブルデバイスの少なくとも1つのケーブルを収納するように構成され得る。チャネル部材は好ましくは、コネクタ装置のベース本体に対ししっかりと接続されるかまたは、しっかり接続可能である。
【0022】
図7a~7eにさらに詳細に説明されている好ましい実施形態において、コネクタ装置はハウジングを有する。ハウジングは、好ましくは、実験室用機器の作業用チャンバの内部の条件に対して、ハウジング内部のケーブルデバイスの電気接点および/またはプラグ構成要素を保護するように構成されている。好ましい実施形態において、ハウジングは、高湿度の環境および/または清浄用及び消毒用化学物質にさらされているおよび/または時限Tの間、例えば-20℃、-5°または0℃に始まり37℃までおよび/または最高120℃または好ましくは最高180℃、好ましくは最高220℃に達する広い範囲の温度にある環境に対する曝露に耐え、それに対しケーブル接点を保護するように構成されている。
【0023】
好ましくは、ハウジングは、ハウジング内部のケーブルデバイスの相補的プラグソケットに電気プラグを接続することを可能にするポートを有する。好ましくは、ハウジング内部の電気的接点は、特に作業用チャンバ内部で考えられる高温度段階の間、熱的影響に対して接点を保護するため、ハウジング内部に向かってポートから変位させられる。
【0024】
好ましくは、コネクタ装置のハウジングは、作業用チャンバの内部を作業用チャンバの外部の部域と接続するダクト内に挿入可能である。好ましくは、コネクタ装置のハウジングは弾性変形可能であるかまたは、弾性変形可能なジャケットを有する。こうして、ハウジングが、組付け位置でダクトの内部に位置設定され組付けられた時点で、ダクトのための封止が提供される。その上、ハウジングは、組付け位置でダクトの内部にコネクタ装置を保持する保持用手段を有することができる。ダクトに沿って走る仮想軸を仮定すると、ハウジングの弾性特性は、好ましくは半径方向の保持力を提供する。好ましくは、ハウジングのポートの周りにフランジが位置設定され、これが、作業用チャンバの壁において軸方向にハウジングを保持する。
【0025】
好ましくは、コネクタ装置の弾性的ハウジングまたはハウジングの弾性的ジャケットは、コネクタ装置の組付け位置において、ダクトの内側壁を封止しかつ/またはダクトの内側壁を押圧するために軸方向に延在する好ましくはディスク形状の2つ以上の弾性薄膜部材を有する。2つの隣接する薄膜部材間にある空気が、作業用チャンバと作業用チャンバの外部の部域の間の断熱材として役立つ。
【0026】
好ましくは、コネクタ装置のハウジングまたはハウジングのジャケットは、作業用チャンバの内部または作業用チャンバの内側壁に始まり好ましくは作業用チャンバの外部の部域に終って、組付け位置でダクトの長さに沿って、好ましくはダクトの全長に沿って、延在する。前記長さは、30mm~200mm、好ましくは50mm~200mmであってよい。こうして、ハウジングを用いて、コネクタ装置の組付け位置で全長に沿ってダクトを封止することができる。
【0027】
ハウジングまたはジャケットの弾性材料は好ましくは、時限Tの間120℃および180℃の温度に耐えるのに好適であり、ここでTは、場合によっては30秒~5時間の時間、詳細には、このような温度で消毒手順を行なうのに適切な時間Tである。
【0028】
図8a~8cにさらに詳細に説明されるコネクタ装置のさらに好ましい実施形態において、コネクタ装置は、基本的に、組付け位置でダクトの内部に挿入され作業用チャンバの封止を提供するために構成されているストッパとして役立つ第1の部分を有する2部品式デバイスである。ケーブルデバイスは、作業用チャンバの内部に位置設定されたデバイスの相補的プラグ部材と接続されるように構成されているプラグ部材を有する。プラグ部材とケーブルデバイスは可動な形で配設され、ダクトを通って移動させられる能力を有する。可撓性コード部材が、作業用チャンバの内部から作業用チャンバの外部の部域まで到達するために好適な長さを有し、この長さは例えば10cm~40cmである。コード部材の一方の端部は、ストッパにしっかりと接続され、もう一方の端部は、ケーブルデバイスの端部、例えばケーブルデバイスの端部にあるプラグ部材に対してしっかりと接続されている。ストッパは好ましくは、時限Tの間120℃~180℃の温度に耐えるのに好適な材料で作られており、ここでTは、場合によって30秒~5時間の時間、詳細には、このような温度で消毒手順を行なうのに適切な時間Tである。このような高温に耐える能力は、その一方で、ケーブルデバイスおよびケーブルデバイスのプラグ部材には必要とされない。
【0029】
このような2部品式コネクタ装置の第1の位置において、ストッパは、組付け位置にあり、ケーブルデバイスは作業用チャンバの外部の部域内にあり、可撓性コード部材は、好ましくはストッパとダクトの間に配設されかつ/または好ましくはダクトの内部の陥凹の中に配設されて、ダクト内を通って延在する。第1の位置において、作業用チャンバは、ストッパが損傷を受けることなく耐えることのできる高い温度に設定され得る。ケーブルデバイスは、前記温度に曝露されない。
【0030】
挿入可能な機器をケーブルデバイスに接続するため、ユーザは、作業用チャンバの内部に向かって方向Fにダクトからストッパを引き出し、こうしてコード部材を用いてケーブルデバイスを引張ることができる。ケーブルデバイスのプラグ部材がひとたび作業用チャンバの内部に位置設定された時点で、挿入可能な機器の相補的プラグを接続し、ストッパを用いて再びダクトを閉鎖することができる。
【0031】
第2の位置で、ストッパはダクト内に組付けられ、一方ケーブルデバイスのケーブルは、好ましくはストッパとダクトの間に配設されかつ/または好ましくはダクトの内部の陥凹内に配設されて、ダクト内を通って進む。ストッパは少なくとも部分的にまたは完全に弾性変形可能であることから、ダクトもまた、第2の位置でストッパによって封止される。
【0032】
コネクタ装置の2部品式実施形態は、実験室デバイスの後部壁に位置設定されていることの多いダクトにアクセスするために実験室デバイスを移動させる必要なく、挿入可能な機器を一時的に使用することを可能にする。ダクトに対するアクセスは、作業用チャンバを通して提供され、このようなコネクタ装置の場合、高温に対しケーブルデバイスを保護する一方で、高温段階を使用することができる。
【0033】
上述のように消毒手順中120℃~180℃の温度に耐えるのに好適である弾性材料は、例えばフルオロエラストマ(FKM)、パーフルオロエラストマ(FFKM)、またはシリコーンベースの材料などであり得る。実験室用機器は、実験室用機器の全ての構成要素を担持するベース構造を含むことができ、ここでこのベース構造は、底部に実験室用機器を担持するための支持要素を含み得る。ベース構造は、実験室用機器の通常の操作条件下で、好ましくは底部から垂直方向に延在するキャリアフレームを含むことができる。好ましい実施形態において、コネクタ装置は、詳細には作業用チャンバとキャリアフレームの間の機械的コネクタとして少なくとも1つのチャネル部材を使用することにより、キャリアフレームに作業用チャンバを組付けるように構成されている。これにより、作業用チャンバの断熱を達成することができ、熱橋の形成を回避することができる。その上、機械的コネクタとキャリアフレームの間の弾性材料を用いて、振動を減衰するための機械的切離しを達成することができる。
【0034】
好ましくは、ネットワークインタフェース装置またはコネクタ装置はそれぞれ、作業用チャンバの内部に面して実験室用機器に解除可能な形で組付けられるように構成されている。好ましくは、ネットワークインタフェース装置またはコネクタ装置はそれぞれ、好ましくはコネクタ装置が内側チャンバ壁、好ましくは後部壁と接触した状態で解除可能な形で配設され、好ましくは少なくとも1つの組付け用部材がチャンバ壁、詳細にはチャンバ壁のダクト内を通過している組付け位置で、実験室用機器に対してコネクタ装置、詳細にはそのベース本体を解除可能な形で組付けするための、少なくとも1つの組付け用部材を含む。ネットワークインタフェース装置の任意のチャネル部材を、組付け用部材として使用することができる。第1の組付け用部材および相補的組付け用部材を用いて、解除可能な接続によりコネクタ装置を組付け位置に固定することができる。第1の組付け用部材、例えばチャネル部材は、ネジ付きリングまたはナットであり得る少なくとも1つの第2の組付け用部材の内側ネジ山と係合するために使用され得るネジ付き外側表面を含むことができる。解除可能な部品としてネットワークインタフェース装置を構成することにより、必要に応じてコネクタ装置を組付け解除すること、または、まだネットワークインタフェース装置を格納していない別の実験室用装置にネットワークインタフェース装置を装備して、本発明に係る実験室用機器を形成することが可能になる。
【0035】
実験室用機器内の作業用チャンバの内部に対するネットワーク接続を提供するためのネットワークインタフェース装置は同様に、実験室用機器とは独立した1つの発明とみなされる。
【0036】
本発明に係るネットワークインタフェース装置および少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器を含むシステムも同様に、実験室用機器とは独立した1つの発明とみなされる。
【0037】
本発明に係る実験室用機器および少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器を含むシステムも同様に1つの発明とみなされる。
【0038】
通信装置は、好ましくは特定の物理層およびデータリンク層規格、例えばイーサネット(登録商標)などを用いて通信するために必要とされる電子回路を実装するネットワークアダプタを含み得る。ネットワークアダプタは、ネットワーク機器がケーブルを使用してまたは無線で実験室用機器ネットワーク上で通信することを可能にする。ネットワークアダプタは好ましくは、物理層およびデータリンク層デバイスの両方であり、そのため、ネットワーキング媒体に対する物理的アクセスを提供し、例えばIEEE802および類似の実験室用機器ネットワークのために、ネットワークアダプタに一意的に割当てられる物理アドレスの使用を通して低レベルのアドレス指定システムを提供する。
【0039】
好ましくは、通信装置は、ネットワークスイッチまたはネットワークハブを含むかまたはこれらそのものである。好ましくは、ネットワークインタフェース装置は、外部ネットワーク、好ましくはインタネットと実験室用機器ネットワークを接続するように構成されたネットワークルータを含む。
【0040】
好ましくは、ネットワークインタフェース装置は、実験室装置の制御装置と実験室用機器ネットワークの間の第1のデータの交換を可能にするための実験室用機器の任意のさらなる通信装置と接続されるかまたは接続可能である。
【0041】
コネクタ装置は、コネクタユニットにネットワーク機器を接続するための少なくとも1つの第1のコネクタを含み、少なくとも1つの第1のコネクタは作業用チャンバの内部に面して配設され、通信装置と接続されている。
【0042】
コネクタ装置は好ましくは、作業用チャンバの内部のチャンバ壁に沿って、詳細には作業用チャンバの後部壁において組付け可能である単一のユニット、詳細にはコネクタストリップである。コネクタ装置を組付けるための前記チャンバ壁は同様に、作業用チャンバの内部と外部の間の通路を提供するための少なくとも1つのダクトをも格納する。コネクタ装置の組付け位置において、コネクタ装置は好ましくは、少なくとも1つのダクトの上方に配設され、好ましくは少なくとも1つのダクトをカバーする。
【0043】
コネクタ装置は好ましくは、多数の、すなわち2つ以上の第1のコネクタを含み、これらの第1のコネクタは、好ましくは互いに(好ましくは恒常な)距離を置いて配設され、かつ/または好ましくはコネクタ装置のベース本体の縁部に沿って調心されている。コネクタ装置のベース本体が直線形状を有するバーまたはストリップとして形成されている場合、多数の第1のコネクタは好ましくは、ベース本体の縁部に平行であり得る直線に沿って調心されている。
【0044】
少なくとも1つの第1のコネクタは、コネクタ装置のベース本体との関係において少なくとも1つの固定位置に組付けされてよく、詳細には各々の第1のコネクタが固定して組付けられていてよい。これにより、設置位置で作業用チャンバの内部にネットワーク機器を設置する際の第2のコネクタの調心および整合を簡略化することができる。
【0045】
少なくとも1つの第1のコネクタが可動なまたは取外し可能な形でコネクタ装置のベース本体と接続され、こうして少なくとも1つの第1のコネクタおよびベース本体の相対的位置を変更することも同様に可能であり、好ましい。これにより、第2のコネクタおよびネットワーク機器の位置を適応させるための多大な融通性が可能になる。
【0046】
好ましくは、少なくとも1つの第1のコネクタは、接触位置で少なくとも1つの第2のコネクタの導体により機械的に接触された時点で抵抗接点を提供するための少なくとも1つの導体を含む機械的コネクタである。
【0047】
好ましくは、少なくとも1つの第1のコネクタおよび/または少なくとも1つの第2のコネクタは、ブラインドメイトコネクタとなるように構成されている。これは、接続位置を確立するために少なくとも1つの第1のコネクタと少なくとも1つの第2のコネクタの相対的運動を誘導するのを補助する自己調心構造(self-aligning structure)または別の自己調心デバイスを提供することによって実現され得る。
【0048】
少なくとも1つの第1のコネクタ、詳細には各々の第1のコネクタは、設置位置を確立する目的でネットワーク機器および/または少なくとも1つの第2のコネクタを移動させるとき、少なくとも1つの第1のコネクタと少なくとも1つの第2のコネクタの相対位置を誘導するための自己調心構造を含むことができる。自己調心構造は、第1のコネクタの方向に移動させられた時点で、第2のコネクタを収容するための自己調心ポケットを含むことができる。前記自己調心ポケットは、接続位置が確立されるまで少なくとも1つの誘導用表面に沿って第2のコネクタが摺動できるようにするための少なくとも1つの誘導用表面を含むことができる。第2のコネクタがソケット用のプラグであり、第1のコネクタが前記ソケットを含む場合、プラグは少なくとも1つの誘導用表面に沿って摺動して、相対的運動の終りでソケットと整合することができる。第1のコネクタは同様に、プラグおよび自動調心構造を含むことができ、第2のコネクタは相補的ソケットを含むことができる。その上、第2のコネクタが自動調心構造を含むことも同様に可能である。さらに、第1および第2のコネクタの両方共が自動調心構造を含み、組合せた形で作用することもできる。
【0049】
プラグおよびソケットを使用する代りに、任意の他のタイプの電気コネクタを用いて、第1および第2のコネクタを実現することが可能である。このようなコネクタは、対応する電気接点表面に押圧されるための弾性的に支持された電気接点ピンまたはボールを含み得る。押圧に必要な力は、接続位置を確立するときにユーザによって提供され得、第1および第2のコネクタは、クランプ、解除可能なインタロックおよび/または求められる保持力を提供するための永久磁石を含む磁力デバイスを含み得る、第1および/または第2のコネクタの保持用デバイスによって接続位置に保持され得る。
【0050】
好ましくは、ネットワーク機器は、第2のコネクタとネットワーク機器の間、例えば第2のコネクタとネットワーク機器のベース部分の間に可動機械的リンクを提供するための調心装置を含む。可動機械的リンクは、第1のコネクタと第2のコネクタを調心するために役立つ。これは、挿入された位置へのネットワーク機器の挿入中、第1および第2のコネクタが第1の噛合位置でまだ充分に調心していない場合に有利である。可動機械的リンクは好ましくは、例えば可撓性ケーブルを用いて第2のコネクタがネットワーク機器の通信装置または制御装置に対し電気的に接続されている間、ネットワーク機器のベース部分との関係における第2のコネクタの動きを可能にするように構成されている。好ましくは、調心装置は、第2のコネクタとネットワーク機器、詳細にはベース部分との相対的運動を可能にするように構成されている。前記相対的運動は、接続位置を確立する場合にブラインドメイト機能性を補助するために使用可能である。
【0051】
例えば、第2のコネクタが、可撓性ケーブルを用いてネットワーク機器に対して電気的に接続されていること、例えば常時電気的に接続されていること、そして第2のコネクタが、調心装置の一部であり第2のコネクタに対し可動性と制限された誘導を提供する経路制限要素を用いてネットワーク機器に対しさらに機械的に接続されていること、が好ましい。経路制限要素は、第2のコネクタとネットワーク機器の相対的可動性を可能にし、同時に自由度に関して動きを制御するように構成されている。経路制限要素は好ましくは、経路制限要素が提供する経路に第2のコネクタの動きを制限するために、第2のコネクタと係合する。
【0052】
経路制限要素は、スロット、ロッドまたは管または輪郭を提供する部材であり得る。例えば、調心装置は、第2のコネクタに接続されたまたは第2のコネクタと一体を成す可能性のある突出要素がスロットに沿って摺動し、制限された誘導として作用できるようにするスロットを格納するスロット部材を格納し得る。代替的には、調心装置は、第2のコネクタに接続されたまたは第2のコネクタと一体を成す可能性のある摺動用要素などのランナ要素が管またはレールに沿って摺動または転動し、制限された誘導として作用できるようにする管状部材またはレール部材を格納し得る。1つの力成分が、スロットに直交しない第2のコネクタに作用した場合、第2のコネクタはスロット方向に沿って前記力成分の下で移動させられる。このような力成分は、例えば、ネットワーク機器がユーザによって設置位置に向かって前送りされ、第2のコネクタが第1のコネクタの自己調心構造によって強制的にスロットに沿って移動させられた場合に、生成される。好ましくは、経路制限要素の経路は、直線方向に沿って、好ましくは実験室用機器内に挿入されたネットワーク機器の正規の動作条件下で重心方向である垂直方向に沿って調心される。
【0053】
調心装置は同様に、例えば変形可能部材を用いてネットワーク機器のベース部分で第2のコネクタを懸吊させることによって、心出し位置でネットワーク機器との関係において第2のコネクタを心出しするため、1つ以上の変形可能部材、詳細には弾性部材、例えばバネを含むこともできる。例えば、第2のコネクタは、重力により中心位置に位置付けされたバネによりネットワーク機器において懸吊され得る。弾性部材を使用し、中心位置を提供することにより、第1および第2のコネクタの第1の噛合位置が提供されることになる。このとき自動調心構造は、第1および第2のコネクタの第2の噛合位置を提供し、これは第1および第2のコネクタ間に電気的接続を確立するのに必要とされる微調整である。
【0054】
第1および第2のコネクタの調心機能を逆転させることによって、第2のコネクタがネットワーク機器において取外し不可能な形で組付けられること、そして可動な第1のコネクタをコネクタ装置にリンクし制限された誘導を提供するための調心装置を含み得るコネクタ装置に沿って可能である調心装置を用いて組付けられた対応する第1のコネクタをコネクタ装置が含んでいること、も同様に可能でありかつ好ましい。その上、第1および第2のコネクタは両方共、調心装置を用いて、それぞれコネクタ装置およびネットワーク機器において可動な形で組付けられてよい。
【0055】
実験室用機器の好ましい実施形態においては、作業用チャンバは、ネットワーク機器を作業用チャンバ内に挿入し設置位置に前送りしなければならない場合に、ネットワーク機器と作業用チャンバの相対的運動を誘導するための調心デバイスを格納する。このような調心デバイスは、少なくとも1つのネットワーク機器を保持するための保持用フレームであってよい。保持用フレームは、支持部材に沿って設置位置までネットワーク機器が摺動できるようにするための支持部材を含み得る。支持部材は好ましくは、保持フレームにおいて、第2のコネクタが第1の噛合位置に位置付けされ、直ちに設置される場合に第2の噛合位置で終結するような形で配設される。
【0056】
実験室試料について作業を行なうためのネットワーク機器は、データを交換するため本発明に係る実験室用機器のネットワークインタフェース装置に接続されるように構成されている。ネットワーク機器は、データを処理するための制御装置、制御装置とネットワークインタフェース装置の間でデータを交換するように構成された通信装置、およびネットワークインタフェース装置の少なくとも1つの第1のコネクタに接続されるように構成された少なくとも1つの第2のコネクタを含む。
【0057】
ネットワークインタフェース装置は好ましくは、少なくとも1つのネットワーク機器と実験室用機器ネットワークの間のネットワーク接続を提供するために役立つ。ネットワーク接続はケーブルを用いたまたは無線でのデータ交換を可能にする。
【0058】
実験室用機器ネットワークは、データを交換するように接続されている複数のネットワーク機器を含むものと理解される。実験室用機器の作業用チャンバ内に挿入されるように構成されているネットワーク機器は同様に、本発明の説明中では、挿入可能なネットワーク機器または挿入可能な機器としても言及されている。
【0059】
データの交換は、データの送信および/または受信を含む。ネットワーク機器は、例えばネットワークと互換性のある実験室用機器、挿入可能なネットワーク機器またはユーザインタフェース装置であり得る。好ましくは、実験室用機器ネットワークは、イーサネット(登録商標)ネットワークを使用し、かつ/またはネットワークインタフェース装置はイーサネット(登録商標)ハブまたはイーサネット(登録商標)スイッチを含む。イーサネット(登録商標)は、ネットワークに対するネットワーク機器のホットプラギング、快適なアドレス指定技術、規格が確立していることを理由としてインタネットなどの外部ネットワークに対する容易な接続などの、複数の利点を提供する。ホットプラグとは、システムの動作に対する有意な中断無く、実行中のコンピュータシステムに対して一構成要素を追加することである。デバイスをホットプラグするのにシステムの再起動は必要ではない。イーサネット(登録商標)ネットワークは、本発明の観点から見て、業界規範IEEE-Norm802.3から一般的に知られているようなイーサネット(登録商標)技術により実装される、概してOSI(Open Systems Interconnection)モデル層1としても記載されている物理層、および好ましくは同様に概してOSIモデル層2としても記載されているデータ層をも使用する1つのネットワークを説明している。好ましくは、インタネットプロトコル(IP)は、例えば論理アドレス指定を提供するため、ネットワーク層、すなわちOSIモデル層3として実装される。
【0060】
本発明に係る実験室用機器は、好ましくは、実験室用機器ネットワーク内部のデータ交換を用いて実験室試料について作業を行なうための実験室用機器である。ネットワーク互換性を有するために、実験室用機器は好ましくはネットワーク接続を提供するためのさらなる通信装置を含む。ユーザインタフェース装置は、ネットワーク機器であり、実験室用機器ネットワークの一部であってよい。ユーザインタフェース装置は、スタンドアローンネットワーク機器、すなわち自己完結型であり、機能のために他のデバイスを全く必要としないデバイスであり得る。別の実施形態では、ユーザインタフェース装置は、実験室用機器の交換可能モジュールを形成するため、例えば固定機構などにより、実験室用機器に対して機械的に接続、好ましくは解除可能な形で接続され得る。ユーザインタフェース装置は、実験室用機器に内蔵されてその一部を成すことができる。ユーザインタフェース装置が実験室用機器内に機械的に接続されるかまたは内蔵されている場合、ユーザインタフェース装置は、実験室用機器の制御装置を格納していてよく、かつ/または実験室用機器の通信装置を格納していてよい。多くのネットワーク機器が、同じ実験室用機器ネットワークのネットワーク機器であり得る。
【0061】
ユーザインタフェース装置は、好ましくは、実験室用機器の通信装置を含む。
【0062】
実験室試料についての作業に関係するワークフローを実装するための典型的なシナリオにおいて、実験室用機器ネットワークの多くのネットワーク機器が、同様に実験室用機器ネットワークのネットワーク機器であるユーザインタフェース装置によってアクセスされる。ユーザインタフェース装置は、例えば、1つ以上の実験室用機器および1つ以上の挿入可能なネットワーク機器を含めた多くのネットワーク機器を使用して処理される実験室試料を処理するための包括的作業プロセスを計画および/またはスケジューリングするために、第1のユーザによって使用され得る。第1のデータは、全体的ネットワーク機器の利用可能性についての情報を含むことができる。例えば、多くの実験室用機器が第2のユーザにより開始された現在実行中の作業プロセスによって占有されている可能性があり、これはすなわち、それぞれの実験室用機器が少なくとも一時的に利用不能である可能性があることを意味する。スケジューリングのワークフロー中に交換されるべきデータは、タイムスケジュールとの関係におけるネットワーク機器の利用可能性に関する情報および/またはあらゆる資源情報、例えばメンテナンス状態、ネットワーク機器のために必要とされる消耗品、例えばピペット、コンテナ、試料媒質、溶液、化学物質などの供給品を含み得る。
【0063】
その上、実験室用機器は好ましくは、作業用チャンバ内に収納された実験室試料の処理を行なうための処理装置を含む。実験室用機器の処理装置によって行なわれる処理には、実験室用機器ネットワーク内での第1のデータの交換が関与し得る。第1のデータは、ネットワークベースのワークフローを実装するために、挿入されたネットワーク機器と交換されたデータと組合せて使用されてよい。これにより、第1のデータは、機器により制御される処理を行なうためのパラメータまたはプログラムパラメータを定義することができる。例えば、実験室用機器は、機器により制御される処理の間、それぞれの処理装置によって行なわれるべき処理の各ステップを定義する第1のデータを利用することができる。このようなステップは、実験室試料の自動ピペッティング、および/または温度調整、および/または混合、および/または磁気分離、および/または遠心分離、および/または照射、詳細にはUV光を用いた照射、および/または照明、および/または物理的または化学的分析を含むことができる。第1のデータは同様に、実験室試料の処理を特徴付ける物理的パラメータ、例えば作業用チャンバ内部の雰囲気を特徴付ける物理的パラメータについての情報も含み得る。このような物理的パラメータとしては、実験室用機器がインキュベータまたは冷蔵庫または冷凍庫のような冷却用デバイスである場合、作業用チャンバ内部の温度、あるいはインキュベータにとって関連性があり得る湿度および/またはCO2含有量が含まれ得る。
【0064】
ネットワークインタフェース装置のコネクタ装置は、典型的には、作業用チャンバのチャンバ壁、好ましくは前部壁の反対側の作業用チャンバの後部壁と接触して配設されるか、またはその中に内蔵されている。さらに好ましくは、コネクタ装置は、作業用チャンバの前部壁または側壁と接触して配設されるか、その中に内蔵されている。
【0065】
実験室用機器のネットワークインタフェース装置と少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器の間で、例えば無線伝送または光学データ交換などの無線技術によって第2のデータを交換することも可能であり、好ましい。ネットワークインタフェース装置を、作業用チャンバの内部に無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を提供するように構成することができる。この場合、挿入可能なネットワーク機器は好ましくは、挿入可能なネットワーク機器の通信装置の一部であり得る無線ネットワークアダプタを有する。
【0066】
好ましくは、実験室用機器は、挿入位置において、少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器の存在または不在、および/または少なくとも1つの位置を特定するために構成される。したがって、ネットワークインタフェース装置は好ましくは、ネットワークスイッチ、詳細にはイーサネット(登録商標)スイッチである。ネットワークスイッチは、どのネットワーク機器、詳細にはどの挿入可能なネットワーク機器がネットワークスイッチの特定のポートに接続されるかの情報を提供する。ネットワークインタフェースアダプタに沿って置かれたポートの地理的位置についての既定の情報を用いることで、このポートは既定の配設で作業用チャンバ内部に置かれていることから、物理的アドレスを介して識別され得る特定のネットワークデバイスとその地理的位置の間の相関関係を得ることができる。
【0067】
好ましくは、実験室用機器は、詳細にはMicrel(登録商標)Ethernet(登録商標)スイッチによって提供されるような、Serial Peripheral Interface、Simple Network Management Protocol、またはTail Taggingを用いてイーサネット(登録商標)スイッチを動作させることを好ましくは含めて、実験室用機器の作業用チャンバの内部の相対的位置を表わす位置データを決定するように構成されている。
【0068】
挿入可能なネットワーク機器は、作業用チャンバ内に挿入位置で挿入されなければならず、実験室用機器ネットワーク内部の第2のデータの交換が関与する実験室試料に関係する作業ステップを行なうように構成されている。好ましくは、挿入可能なネットワーク機器は、第2のデータを処理しかつ/または作業ステップを制御するための第2の制御装置、および/または測定デバイスおよび/または実験室試料に関係する作業ステップを行なうための作業用装置、および/または挿入位置で第2の制御装置と実験室用機器ネットワークの間の第2のデータを交換するように構成された第2の通信装置を含む。第2の通信装置は、集積回路を含み得る制御装置の一部であるかまたはこの制御装置により実装され得る。
【0069】
挿入可能なネットワーク機器は、第2のデータを生成および/または記憶および/または送信/受信するように構成されている。好ましくは、挿入可能なネットワーク機器は、プログラム制御式機器である。実験室ネットワーク内で挿入可能なネットワーク機器を明確に識別する目的で、挿入可能なネットワーク機器が識別特性、例えば少なくともオンディマンドで第2のデータ内に含めることのできる識別コードを有することが好ましい。識別コードは、一意的な物理的アドレス、例えば物理的ネットワークセグメント上での通信のためにネットワークインタフェースに割当てられる一意的識別子である媒体アクセス制御アドレス(MACアドレス)であり得る。
【0070】
挿入可能なネットワーク機器は好ましくは、挿入可能なネットワーク機器を実験室用機器のネットワークインタフェース装置と接続するためのコネクタ装置を有する。コネクタ装置は、ケーブルを用いて前記接続を提供するために1つ以上のプラグまたはソケットを含むことができる。コネクタ装置は、前記接続を提供するための1つ以上のケーブルを含むことができる。代替的または付加的に、コネクタ装置は、第2のデータの無線交換を実装するための無線ネットワークアダプタであるかまたはこれを含むことができる。
【0071】
挿入可能なネットワーク機器は、あらゆる考えられる測定デバイスおよび/または作業用装置、および/または第2の制御装置および/または第2の通信装置の動作を含めた挿入可能なネットワーク機器の機能に電力供給するためのバッテリを格納し得る。
【0072】
挿入可能なネットワーク機器は好ましくは、作業用チャンバの内部の少なくとも1つの測定パラメータを測定して、測定作業ステップを行なうように構成されている少なくとも1つの測定デバイスを有する。この目的で、測定デバイスは、測定パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサを含むことができる。好ましくは、挿入可能なネットワーク機器は測定デバイスである。少なくとも1つの測定パラメータは、第2のデータを形成するために挿入可能なネットワーク機器によって使用され得る。測定パラメータは、好ましくは、作業用チャンバの内部に置かれた少なくとも1つの実験室試料を特徴付けし、かつ/または作業用チャンバまたは作業用チャンバ内部の雰囲気、例えば作業用チャンバの壁の温度または雰囲気の温度、作業用チャンバ内部の湿度、気体例えばCO2の濃度を特徴付けすることができる。
【0073】
測定パラメータは、1つ以上の実験室試料の物理的特性、例えば試料温度、体積、発出または透過された光の強度、pH値を特徴付けすることができる。
【0074】
好ましい実施形態において、測定デバイスはカメラ、詳細にはCCDまたはCMOSカメラを含む。この場合、第2のデータは、将来の評価のために実験室用機器ネットワークに対して提供されるピクチャまたはムービデータである。カメラは、標的部域に焦点を合わせた光学系を含み得る。光学系は、顕微鏡系であり得る。光学系は、固定焦点または可変焦点を有し得る。このような光学的測定デバイスは、例えば粒子または細胞の計数および/または粒子または細胞の体積決定による詳細にはピクチャデータの定量的評価を目的として、生きた細胞または細菌の成長を監視するために使用可能である。
【0075】
好ましい実施形態において、挿入可能なネットワーク機器は、光学測定デバイスを含む光学カメラ機器である。
【0076】
好ましくは、挿入可能なネットワーク機器は、少なくとも1つの実験室試料を担持するためのキャリヤデバイスであり、作業用チャンバは、少なくとも1つのキャリヤデバイスを収容するように構成されている。キャリヤデバイスは、作業用チャンバ内に押込み作業用チャンバから外に引出すための引出し、試料コンテナおよび/または他の実験室用設備を保持するためのフレーム、詳細にはローラーボトルのためのフレームであり得る。好ましくはキャリヤデバイスは、作業用チャンバ内に水平方向に配設され組付けられるべき棚表面を有する棚である。
【0077】
好ましい実施形態において、挿入可能なネットワーク機器は、実験室試料用支持体、好ましくは他の試料処理設備および/またはデバイス用の支持体として作用するべく作業用チャンバ内に挿入され得る棚である。好ましくは、棚は、棚に対し常時組付けられるかまたは棚に対し接続可能でありかつ第2のデータを生成し得る少なくとも1つの測定デバイスを含む。棚は第2の通信装置を含むことができる。その上、棚は、実験室用機器ネットワーク内部での第2のデータの交換が関与する実験室試料に関連する作業ステップを行なうように構成された作業用装置を含むことができる。棚は同様に、追加の挿入可能なネットワーク機器を第2のネットワークインタフェース装置を介して実験室用機器ネットワークに接続できるようにするため、例えばネットワークスイッチまたはハブなどの第2のネットワークインタフェース装置も含むことができる。
【0078】
挿入可能なネットワーク機器の作業用装置、詳細には棚は、作業用チャンバの内部で可動部品の運動を生成するため運動機構を含むことができる。運動を生成することは、この場合、挿入可能なネットワーク機器によって行なわれる作業ステップである。運動機構は、電気モータを含み得る。このような運動機構は、例えば可動部品として回転子を使用する作業用チャンバ内部の流体流を移動させるおよび/または加熱および/または冷却するための回転子であるかまたはそれを含むことができる。例えば、空気を移動させるために換気装置を具備することができ、また液体を移動させるためにはポンプを具備することができる。その上、運動機構は、実験室試料を担持するための支持用プラットフォームであり得る可動プラットフォームの振動運動を生成するための駆動機構であるかまたはこの駆動機構を含むことができる。このような振動するプラットフォームは、試料溶液を混合するかまたは実験室試料を振盪するために使用可能である。駆動機構は、駆動力を生成するための電磁コイルを含み得る。その上、運動機構は、撹拌すべき実験室試料も格納する試料コンテナ内にユーザが配設し得る磁気撹拌棒を回転させるための磁気駆動機構であるかまたはこれを含むことができる。
【0079】
作業用装置、詳細には運動機構は、挿入可能なネットワーク機器の制御装置によって制御され得る。作業用装置、詳細には運動機構の動作に関与する第2のデータは、作業用装置を制御するため、詳細には駆動用電圧、電流または電力出力を制御するための制御データを含むことができる。第2の制御デバイスは、作業用装置の電力需要を測定するように構成され得る。電力需要についての情報は、第2のデータとして提供され得る。
【0080】
挿入可能なネットワーク機器または第2の制御装置はそれぞれ、データ処理ユニットおよび/または第2のデータを記憶するためのデータ記憶デバイスを含むことができる。第2の通信デバイスは好ましくは、データ記憶デバイスから第2のデータを受信し、第2のデータを実験室用機器ネットワークに対して、すなわち実験室用機器ネットワークに接続された任意のネットワーク機器に対して提供するように構成されている。
【0081】
作業用装置は同様に、詳細には作業用チャンバの滅菌のために有用であるUV光で作業用チャンバの少なくとも一部分を照射するため、または作業用チャンバの内部に挿入される1つ以上の他の挿入可能なネットワーク機器を照射するためのランプも格納することができる。作業用装置は同様に、作業用チャンバの少なくとも一部分を照明するため、詳細には実験室試料を照明するためのランプも格納することができる。照明は、実験室試料の内部の光活性化学プロセスを開始させるかまたはこれに触媒作用を及ぼすため、実験室試料を光学的に測定または監視するのに必要とされる光を提供するため、または光のエネルギを吸収しこれを熱に変換することにより1つ以上の実験室試料の温度を変化させるために使用可能である。
【0082】
好ましくは、挿入可能なネットワーク機器は、実験室用機器の1つ以上のパラメータ、詳細には実験室用機器の処理装置を動作させるためのパラメータの較正を補助するための較正デバイスである。例えば、冷凍庫またはインキュベータなどであり得る実験室用機器の処理装置は、作業用チャンバ内部に既定のまたはユーザ定義の温度を少なくとも提供するように構成され得る。これは通常、実験室用機器の制御装置に結び付けられた1つ以上の制御ループシステムによって達成される。制御ループシステムは、開ループ制御システムまたは閉ループ制御システムであり得、後者はフィードバック制御システムとも呼ばれる。フィードバック制御システムにおいては、1つ以上のセンサ、1つ以上の制御アルゴリズムおよび1つ以上アクチュエータを含む制御ループが、設定点または基準値で変数を調節しようとするように配設されている。実験室試料の処理として温度調整を実装するため、フィードバック制御システムのアクチュエータは、温度調整デバイス、例えば加熱および/または冷却用デバイス、例えばペルティエ素子であり、センサは、作業用チャンバの内部と熱接触状態に置かれた温度センサである。センサの精度は、実験室用機器の性能に影響を及ぼす。したがって、較正は、典型的にはメンテナンス技術者により、センサの性能の何らかの誤差またはドリフトを補償するために使用される。挿入可能なネットワーク機器は、較正デバイスであり、好ましくは、実験室システムの制御装置の制御ループシステムの内部で使用されるセンサに比べてより信頼性および精度の高いセンサを格納している。このような解決法は、較正デバイスが必要とされるときにオンタイムで使用可能でありかつ異なる実験室用機器のために使用可能であることから、効率が良い。
【0083】
本発明は同様に、少なくとも1つのネットワーク機器、詳細には本発明に係る少なくとも1つの実験室用機器および/または本発明に係る実験室用機器の作業用チャンバ内に挿入され前記作業用チャンバから取外しされるように構成されかつ実験室用機器内部で交換される第2のデータを用いて実験室試料に関連する作業ステップを行なうように構成されている少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器を含む実験室用機器ネットワークにおいて、少なくとも1つの実験室用機器と少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器が、少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器の挿入位置で、データ、詳細には第1および/または第2のデータの交換を可能にするために実験室用機器ネットワークを通して接続されている、実験室用機器ネットワークにも関する。好ましくは、実験室用機器ネットワークは、イーサネット(登録商標)ネットワークを使用する。
【0084】
好ましくは、実験室用機器ネットワーク、詳細にはネットワークインタフェース装置は、実験室用機器ネットワークを外部のネットワーク、詳細にはインタネットに接続するためのネットワークルータを含む。
【0085】
好ましくは、実験室用機器ネットワークは、ネットワーク機器、詳細には実験室用機器または挿入可能なネットワーク機器をアドレス指定する目的で、実験室用機器ネットワークに接続された各ネットワーク機器にリンク・ローカルアドレスを割当てさせるように構成されており、このリンク・ローカルアドレスは、好ましくはイーサネット(登録商標)ネットワークのリンク・ローカルIPアドレスである。
【0086】
好ましくは、実験室用機器ネットワークは、ネットワーク機器、詳細には少なくとも1つの実験室用機器および/または少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器を接続する少なくとも1つの仮想ローカルエリアネットワーク(VLAN)、詳細には1つの内部VLAN、そして好ましくは、例えばインタネットなどの外部ネットワークに対して内部VLANにより接続されたネットワーク機器を隠し、かつデータ交換を可能にするために外部ネットワークと実験室用機器ネットワークを接続する1つの外部VLANを実装するように構成されているネットワークルータおよびネットワークスイッチを格納する。
【0087】
本発明は同様に、本発明に係る少なくとも1つの実験室用機器および少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器を含み、実験室用機器ネットワーク内部での第2のデータの交換が関与する実験室試料に関連する作業ステップを行なうように構成されている実験室用機器ネットワークを用いて実験室試料についての作業を行なうための方法において;- 少なくとも1つの実験室用機器の作業用チャンバ内に少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器を置くステップと;- 少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器と実験室用機器ネットワークの間でのデータ交換を可能にするため少なくとも1つの実験室用機器のネットワークインタフェース装置と少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器とを接続するステップと、を含む方法にも関する。本発明に係る方法のさらなる任意のおよび好ましい実施形態は、それぞれの好ましい実施形態を含めて本発明に係る実験室用機器および実験室用機器ネットワークの説明から導出することができる。
【0088】
実験室用機器なる用語は、詳細には、少なくとも1つの実験室試料の機器により制御された処理のために具体化されかつ実験室内で使用するために具体化された機器を意味する。この実験室は、詳細には、化学、生物学、生化学、医学または法医学実験室であり得る。このような実験室は、研究および/または実験室試料の分析に役立つものであるが、実験室試料を用いた製品の製造または実験室試料の製造にも同時に役立つ。
【0089】
実験室用機器は好ましくは、以下の実験室用機器の1つでありかつ/または好ましくは以下の実験室用機器の少なくとも1つとして具体化される:本発明の説明の範囲内で「インキュベータ」としても言及されている実験室用インキュベータ;本発明の説明の範囲内で「冷凍庫」としても言及されている実験室用冷凍庫;本発明の説明の範囲内で「サイクラ」としても言及されているサーモサイクラ;本発明の説明の範囲内で「振盪器」としても言及されている実験室用試料振盪器;「混合用デバイス」としても言及されている実験室用ミキサ;流体試料を処理するための実験室用機械、詳細にはピペッティングマシン。
【0090】
本発明の好ましい実施形態において、実験室用機器は実験室用インキュベータである。実験室用インキュベータは、さまざまな生物学的発達および成長プロセスのための制御された気候条件をセットアップし維持することのできる機器である。これは、インキュベータ空間内での調節された気体および/または湿度および/または温度条件を有する微気候をセットアップし維持するのに役立ち、ここでこの処理は時間依存性であり得る。
【0091】
実験室インキュベータは、本発明に関しては、新生児保育器すなわち新生児に好適な環境条件を維持するために使用される装置ではない。新生児保育器は、本発明に関係しない異なる技術的分野に関係する。
【0092】
実験室インキュベータ、詳細には実験室インキュベータの処理装置は、詳細には、タイマ、詳細にはタイマスイッチ、および/または加熱器/冷却用装置そして好ましくは、インキュベータ空間に供給される代替ガス、詳細には新鮮空気を調節するためのセッティング、および/または実験室インキュベータのインキュベータ空間内の気体の組成用、詳細には気体のCO2および/またはO2含有量を設定するための設定用装置、および/または実験室インキュベータのインキュベータ空間内の湿度を設定するための設定用装置を含むことができる。
【0093】
実験室インキュベータ、詳細には実験室インキュベータの処理装置は、詳細には、インキュベータの少なくとも1つの作業用チャンバを形成する少なくとも1つのインキュベータチャンバ、さらに好ましくは、アクチュエータとして少なくとも1つの加熱器/冷却用装置が割当てられ測定部材として少なくとも1つの温度測定装置が割当てられる、少なくとも1つの制御ループを伴う制御装置を含む。温度は、制御用システムを用いてインキュベータ内で調節され得る。
【0094】
CO2インキュベータは、詳細には、動物またはヒトの細胞を培養するのに役立つ。インキュベータは、少なくとも1つの実験室試料を回転させるための回転デバイスおよび/または少なくとも1つの実験室試料を振盪するかまたは運動させるための振盪器装置を有することができる。
【0095】
少なくとも1つの実験室試料の機器制御式処理は、実験室インキュベータ内での気候処理に対応し得、少なくとも1つの試料が前記処理に付されている。好ましくは、気候処理に影響を及ぼすために使用されるパラメータ、詳細にはプログラムパラメータ、詳細にはユーザパラメータを含む、第1のデータは、詳細には、少なくとも1つの試料を内部でインキュベートするインキュベータ空間の温度、インキュベータ内部のO2および/またはCO2部分圧、インキュベータ内部の湿度および/または、複数のステップからなるインキュベーション処理プログラムの進捗、詳細には順序に影響するかまたはこれを定義する少なくとも1つの進捗パラメータを定義する。
【0096】
ここではインキュベータチャンバである作業用チャンバは、典型的には、見え掛りの各々が矩形である直方体によって形成されている。しかしながら、作業用チャンバは同様に、実質的に円筒形、卵形または球形の形状を有することもできる。典型的には、前部側方面の側面は、少なくとも1つの開口部を取り囲むフレームの境界領域に典型的に蝶番固定されている少なくとも1つの扉パネルにより閉じることのできる少なくとも1つの開口部を提供する。このようなインキュベータチャンバの典型的サイズは、50~400リットルである。
【0097】
好ましい実施形態において、本発明に係る実験室インキュベータの挿入可能なネットワーク機器は、キャリヤデバイス、詳細には棚である。
【0098】
インキュベータのネットワークインタフェース装置は、好ましくは、少なくとも1つの挿入可能なネットワーク機器をネットワークインタフェース装置の通信装置と接続するためのコネクタ装置を含む。コネクタ装置は典型的には、作業用チャンバの側壁、好ましくは前部壁と反対側の作業用チャンバの後部壁と接触して配設されているかまたはこの壁に内蔵されている。さらに好ましくは、コネクタ装置は、作業用チャンバの前部壁または側方側壁と接触して配設されるかまたはこの壁に内蔵されている。
【0099】
実験室用冷凍庫は、調節された温度、詳細には-18℃~-50℃の冷凍庫範囲内または-50℃~-90℃の超冷凍庫範囲内の調節された温度で冷凍室内の少なくとも1つの実験室試料を保管するのに役立つ。詳細には、実験室用冷凍庫は、0℃~10℃または詳細には-10°~10℃の範囲内の温度で冷却するために使用可能な冷蔵庫ではない。
【0100】
実験室用冷凍庫、詳細には実験室用冷凍庫の処理装置は、詳細には少なくとも1つの冷却用装置および、少なくとも1つの冷却用装置がアクチュエータとして割当てられ少なくとも1つの温度測定装置が測定部材として割当てられる少なくとも1つの制御ループを伴う少なくとも1つの調節装置を含む。
【0101】
実験室用冷凍庫、詳細には実験室用冷凍庫の処理装置は、詳細には、温度を測定するための監視用測定機器および/または詳細には冷凍庫空間内の温度が許容された温度範囲から逸脱した場合にアラーム信号を発出する少なくとも1つのアラーム装置を含む。
【0102】
実験室用冷凍庫、詳細には実験室用冷凍庫の処理装置は、詳細には、情報を読取るための情報リーダを含む。この情報は、物品に接続され得る情報媒体内に格納され得る。この物品は、詳細には、少なくとも1つの実験室試料を格納し得る試料コンテナであり得る。情報媒体は、詳細には、RFIDチップまたは他の識別フィーチャ、例えば好適な方法により読取ることのできるバーコード、データマトリクスコード、QRコード(登録商標)などであり得る。
【0103】
少なくとも1つの実験室試料の機器制御式処理は、実験室用冷凍庫内での低温処理に対応し、少なくとも1つの試料が前記処理に付される。低温処理に影響を及ぼすために使用される考えられるパラメータ、詳細にはプログラムパラメータ、詳細にはユーザパラメータが、詳細には少なくとも1つの試料が冷凍される冷凍庫空間内の温度および/または、好ましくは情報媒体を具備した物品がユーザから実験室用冷凍庫内に移送された時点で実施される情報読取りプロセスを定義する。このようなパラメータは第1のデータを形成するかまたは第1のデータ内に含まれ得る。
【0104】
実験室用冷凍庫の作業用チャンバは、好ましくは冷凍室である。挿入可能なネットワーク機器は好ましくはキャリヤデバイス、詳細には棚である。
【0105】
サーモサイクラは、時間的に連続して少なくとも1つの試料の温度を既定の温度に設定し、前記試料を既定の持続時間この温度レベルに保つことのできる機器である。この温度制御の進捗は循環的である。すなわち、既定の温度サイクル、すなわち少なくとも2つの温度レベルのシーケンスが、反復的に実施される。この方法は、詳細にはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行なうために役立つ。これに関連して、サーモサイクラは時として、PCRブロックとしても言及される。
【0106】
サーモサイクラ、詳細にはサーモサイクラの処理装置は好ましくはサーモブロックを有する。サーモブロックは、熱伝導性材料、通常は金属含有材料または金属、詳細にはアルミニウムまたは銀製の試料ホルダである。試料ホルダは、サーモサイクラの少なくとも1つの加熱器/冷却用装置、詳細にはペルティエ素子、が接触する接触側を含む。
【0107】
サーモサイクラ、詳細にはサーモサイクラの処理装置は、少なくとも1つ1つの加熱器/冷却用装置がアクチュエータとして割当てられ少なくとも1つの温度測定装置が測定部材として割当てられている少なくとも1つの制御ループを伴う調節装置を含む。温度は、制御用システムを用いて1つの温度レベルに調節される。サーモサイクラ、詳細にはサーモサイクラの処理装置の冷却体は、サーモサイクラの各区分を冷却するため、詳細にはペルティエ素子を冷却するために役立つ。サーモサイクラ、詳細にはサーモサイクラの処理装置は、さらなる加熱器および/または冷却用要素を含むことができる。
【0108】
サーモサイクラ、詳細にはサーモサイクラの処理装置は、好ましくは温度サイクルを設定するためのパラメータを制御できるタイマ装置を含む。少なくとも1つの実験室試料の機器制御式処理は、サーモサイクラ内の温度サイクル処理に対応し、少なくとも1つの試料が前記ローテーション処理に付されている。温度サイクル処理に影響を及ぼすために使用される考えられるパラメータ、詳細にはプログラムパラメータ、詳細にはユーザパラメータは、詳細には、温度レベルの温度、温度レベルの持続時間、さらなる加熱器および/または冷却用要素の制御および/または温度レベルまたはサイクルの数および/または、複数のステップからなる温度監視プログラムの進捗、詳細には順序に影響を及ぼすかまたはそれを定義する少なくとも1つの進捗パラメータを定義する。前記パラメータは第1のデータを形成することができ、または第1のデータ内に含まれ得る。
【0109】
サーモサイクラは、カバーの閉鎖位置で、カバーされた空間の内部に実験室試料を含むサーモブロックをカバーして、例えば温度の擾乱または試料の汚染を結果としてもたらし得る外部干渉に対して空間を保護する可動カバーを含んでいる。挿入可能なネットワーク機器は、カバーの開放位置で、カバーされた空間により形成された作業用チャンバから取外し可能であるサーモブロックであり得る。
【0110】
実験室用振盪器は、実験室試料を運動させるため、詳細には複数の構成成分を含む実験室試料を混合するために役立つ。実験室振盪器の異なる実施形態、詳細にはオーバヘッド振盪器またはフラットベッド振盪器が存在する。実験室用振盪器は、少なくとも1つの実験室試料の温度を制御するための温度制御機能を含むことができ、制御された気候条件下で少なくとも1つの実験室試料をインキュベートするためのインキュベータ機能を含むことができる。実験室用振盪器、詳細にはその処理装置は、詳細には、試料コンテナホルダ、例えば支持用プラットフォームまたは試料ラック上で振動運動を行なうように構成され得る。
【0111】
実験室用振盪器、詳細にはその処理装置は、運動を駆動するための駆動機構を含み、詳細には振盪器処理の設定値時間パラメータを制御できるタイマ装置を含み、かつ詳細には少なくとも1つの加熱器/冷却用装置、および少なくとも1つの加熱器/冷却用装置がアクチュエータとして割当てられ少なくとも1つの温度測定装置が測定部材として割当てられている少なくとも1つの制御ループを伴う少なくとも1つの制御装置を含む。少なくとも1つの実験室試料の機器制御式処理は、実験室用振盪器内の振盪器処理に対応し、少なくとも1つの試料が前記処理に付されている。振盪器処理に影響を及ぼすために使用される考えられるパラメータ、詳細にはプログラムパラメータ、詳細にはユーザパラメータは、詳細には振盪器処理中の一時限の運動強度、詳細には振動駆動機構の場合の運動周波数、複数のステップからなる振盪器処理プログラムの進捗、詳細には順序に影響を及ぼすかまたはそれを定義する少なくとも1つの進捗パラメータを定義する。前記パラメータは第1のデータを形成することができ、または第1のデータ内に含まれ得る。実験室用振盪器は実験室試料を収納するための作業用チャンバを含む。実験室用振盪器の挿入可能なネットワーク機器は、キャリヤデバイスであり得る。
【0112】
「混合用デバイス」としても言及されている実験室用ミキサは、実験室用振盪器と同様、実験室試料を運動させるため、詳細には複数の構成成分を含む実験室試料を混合するために役立つ。実験室用振盪器と比べて、実験室用ミキサは、より高い周波数、詳細にはより高い回転速度での運動を可能にする。実験室用ミキサ、詳細にはその処理装置は、詳細には、試料コンテナホルダ上、例えば支持用プラットフォームまたは試料ラック上で振動運動を行なうように構成され得る。
【0113】
実験室用ミキサ、詳細にはその処理装置は、運動を駆動するための駆動機構を含み、詳細にはミキサ処理の設定の時間パラメータを制御できるタイマ装置を含み、かつ詳細には少なくとも1つの加熱器/冷却用装置、および少なくとも1つの加熱器/冷却用装置がアクチュエータとして割当てられ少なくとも1つの温度測定装置が測定部材として割当てられている少なくとも1つの制御ループを伴う少なくとも1つの制御装置を含む。少なくとも1つの実験室試料の機器制御式処理は、実験室用ミキサ内のミキサ処理に対応し、少なくとも1つの試料が前記回転処理に付されている。ミキサの処理に影響を及ぼすために使用される考えられるパラメータ、詳細にはプログラムパラメータ、詳細にはユーザパラメータは、詳細にはミキサ処理中の一時限の運動強度、詳細には振動駆動機構の場合の運動周波数、複数のステップからなるミキサ処理プログラムの進捗、詳細には順序に影響を及ぼすかまたはそれを定義する少なくとも1つの進捗パラメータを定義する。前記パラメータは第1のデータを形成することができ、または第1のデータ内に含まれ得る。実験室用ミキサは実験室試料を収納するための作業用チャンバを含む。実験室用振盪器の挿入可能なネットワーク機器は、キャリヤデバイスであり得る。
【0114】
流体試料を処理するための実験室用機械、詳細には自動ピペッティング装置は、これらの試料のプログラム制御式処理のために役立つ。実験室用機械は実験室用機器であり得、または前述のタイプの少なくとも1つの実験室用機器を含むことができ、かつ/またはこの前述の実験室用機器により実行され得る処理の少なくとも1つ、一部または全てを実施するように具体化され得る。
【0115】
実験室用機械は、少なくとも1つの実験室試料の自動的でプログラム制御式の処理のための処理装置を含み、ここで処理は、少なくとも部分的にユーザにより選択された複数のプログラムパラメータを使用することによって制御される。プロセス中、試料は、例えば実験室用機械または実験室用機械の処理装置によって移動および/または輸送され得る。この移動は、可動試料コンテナ内での輸送または管システム、毛細管またはピペットの先端部を通る誘導によってもたらされ得る。ここで、液体試料は、詳細には吸引によって、すなわちピペッティングまたはより一般的に圧力差の適用によって輸送される。
【0116】
一例として、試料は、試料の処理により分割または希釈され得る。試料の中味を分析することができ、あるいは例えば化学反応を用いて、詳細には試料を使用することによって新しい中味を生成することが可能である。詳細にはDNAまたはRNAまたはその構成成分の取扱いおよび分析に関連して、実験室用機械は、好適な時限内で豊富な情報を得る上で、またはこのような多くの試料を分析する上で一助となる。実験室用機械のこの処理装置は、通常、試料をさまざまな形で取扱うかまたは保管することのできるワークステーションを伴うワークトップを含む。
【0117】
さまざまな位置、詳細には試料コンテナの間で例えば液体試料を輸送する目的で、処理装置は通常、機器制御式移動デバイスおよび、例えばピペッティングシステムを含み得る機器制御式流体移送装置を含む。さまざまなステーションにおける試料の輸送およびそれらの処理は両方共、機器制御式で、詳細にはプログラム制御式で実施可能である。このとき、処理は好ましくは少なくとも部分的に、または完全に自動化されている。試料処理に必要とされるあらゆるパラメータは、第1のデータを形成してよく、または第1のデータ内に含まれていてよい。実験室用機械は、実験室試料を収納するための作業用チャンバを含む。実験室用振盪器の挿入可能なネットワーク機器はキャリヤデバイス、詳細には棚であり得る。
【0118】
実験室用機械は、さらなる処理タイプを行なうために使用できるような形で、修正可能である。これは、このために必要とされるファイルおよび/またはプログラムまたはプログラム構成要素、詳細には、後に実験室用機械、詳細にはその記憶装置に伝送される、処理タイプにマッピングされたプログラムモジュールにより行なわれ得る。
【0119】
実験室試料は、実験室内で処理可能な試料である。実験室試料の代りに、本発明の説明においては、「試料」なる用語も使用されている。試料は流体であり得る。試料は液体、ゲル状、粉末状または固体状の実質であり得る。試料は、このような位相の混合物、詳細には液体混合物、溶液、懸濁液、例えば細胞懸濁液、エマルジョンまたは分散であり得る。溶液は、少なくとも2つの物質の均質混合物である。液体試料は、通常生物学、化学または医学実験室内で取扱われるタイプのものであり得る。液体試料は、分析試料、試薬、媒質、緩衝液などであり得る。溶液は、1つ以上の溶解した固体または気体物質(溶質)を有し、さらに、詳細には、溶液を形成する体積のより大きな部分または最大の部分を形成する液体溶媒を含む。溶媒はそれ自体溶液であってよい。
【0120】
試料コンテナは、内部に単一の試料しか格納されていない個別のコンテナであり得るか、または互いに接続された複数の個別のコンテナが中に配置されている多重コンテナであり得る。
【0121】
単一のコンテナは、開放コンテナまたは封止可能なコンテナであり得る。封止可能なコンテナである場合、カバー用要素、詳細には封止用キャップを具備することができる。カバー要素は、例えば蝶番固定式カバー、蝶番固定式閉鎖用キャップとしてコンテナにしっかりと接続されるか、または別個の構成要素として使用され得る。
【0122】
多重コンテナにおいては、好ましくは複数の単一のコンテナが、互いとの関係において固定された位置で、詳細には格子パターンの交差点にしたがって配置される。これにより、各位置への自動接近、詳細には試料の個別アドレス指定が簡略化される。多重コンテナは、プレート要素として具体化され得、ここでは、個別コンテナが、プレート状の配設を形成するような形で接続されている。個別コンテナは、プレート内のくぼみとして具体化され得るか、またはウェブ要素により相互接続され得る。プレート要素は、単一のコンテナが中に保持されているフレーム要素を有することができる。構成要素間のこれらの接続は、一体型接続すなわち凝集性接続および/または共通の射出成形プロセスによって生成される接続であり得、あるいは圧力嵌めおよび/または形状嵌合式に生成可能である。詳細には、プレート要素はマイクロタイタプレートであり得る。
【0123】
多重コンテナは、複数(2~10)の単一コンテナを含むことができる。その上、多重コンテナは、多数の(10個超)、典型的には、12、16、24、32、48、64、96、384、1536個の単一コンテナを含み得る。詳細には、多重コンテナはマイクロタイタプレートであり得る。マイクロタイタプレートは、1つ以上の業界規格、詳細には業界規格ANSI/SBS 1-2004、ANSI/SBS 2-2004、ANSI/SBS 3-2004、ANSI/SBS 4-2004にしたがって具体化され得る。
【0124】
1つの輸送コンテナまたは試料コンテナによって保持可能な最大試料体積は、選択された輸送コンテナまたは試料容器のタイプに応じて、典型的には、0.01ml~100ml、詳細には10~100μl、100~500μl、0.5~5ml、5~25ml、25~50ml、50~100mlである。
【0125】
1つ以上の実験室試料の処理、または1つ以上の実験室試料に関係する作業ステップは、以下に規定するプロセスの1つ以上を、詳細には同時にまたは連続して含むことができる:
- 実験室用機械によってひき起こされる力および/または重力の作用下での、詳細には輸送装置による、実験室試料の輸送;
- 試料の非接触式(非侵襲性)処理、詳細には熱処理、詳細には加熱および/または冷却、詳細には試料の温度制御;または試料の冷凍または解凍または試料の相変化の異なる熱誘導、例えば蒸発、縮合など;試料の磁気処理;試料の光学的処理、詳細には放射線、詳細には光、詳細には可視光、赤外光またはUV光を用いた試料の照射、またはこの試料からのこのような放射線、詳細には蛍光光の検出;磁気構成成分を用いた試料の磁気処理、詳細には試料の液相からの磁気構成成分、詳細には「電磁ビーズ」の磁気分離;試料の運動、すなわち試料の機械的処理の実施、詳細には、各事例において例えば試料の混合または試料内部の構成成分の分離また試料外へまたは試料中への磁気構成成分の輸送を目的とした、詳細には超音波を用いた、振盪、回転、揺動、振動、遠心分離、音響処理;
- 試料の侵襲性物理的処理、すなわち試料の機械的処理の実施:撹拌用ツール例えば撹拌バーまたは磁気撹拌器バーの試料中への導入および撹拌、音響または超音波処理用のソノトロードの導入、例えばディスペンサ先端部またはピペット先端部または中空針または管などの輸送手段、詳細には輸送コンテナの試料中への導入;試料中への他の補助手段の導入;
- 試料の化学的、生化学的または生物医学的処理:化学的物質(例えば反応物質、試薬、溶媒、溶質)、生化学的物質(例えば生化学的高分子、例えばDNA、DNA構成成分;医薬的活性成分)または生物医学的物質(血液、血清、細胞培地)の添加;
- 詳細にはプログラム制御式に定義された時限の間の、詳細には特定の物理的条件下での、例えば特定の温度、複数の温度または温度変化、詳細には反復的温度変化、例えば循環的かつ/または周期的に反復される温度変化における、試料の保管、および/または周囲圧力の設定、例えば陽圧または陰圧、詳細には真空の適用、および/または特定の放射条件下、例えば可視光に対して遮蔽された条件下、暗所または定義された照射下での、定義された周囲雰囲気、例えば保護ガスまたは特定の湿度の設定;
- 試料の測定または分析、詳細には試料の少なくとも1つ以上の化学的、物理的、生化学的および/または医学的特性を測定するための、試料の非侵襲性および/または侵襲性処理を用いた分析、詳細には細胞計数器を用いた細胞の係数;
- 試料の取扱い、詳細には試料の少なくとも1つの特性の、詳細には試料の非侵襲性および/または侵襲性処理を用いた変更。
【0126】
この処理は、詳細には、少なくとも1つのプログラムパラメータを用いたプログラム制御下におけるものである。
【0127】
詳細には、この処理は、処理装置を用いて試料の処理を決定する少なくとも1つの制御パラメータにしたがって行なわれる。制御パラメータは、時限、時間的瞬間、特定の試料体積および/または計量体積、特定の試料温度などを設定できる。制御パラメータは、特定の輸送ヘッド、特定のタイプの輸送コンテナ、特定のタイプの試料コンテナ、1つ以上の個別試料または作業空間内のこれらの構成要素の特定の輸送ヘッドの自動的使用に関するものであり得る。制御パラメータは、個別の試料の処理または複数のまたは多数の試料の処理に関するものであり得る。
【0128】
ユーザは、第1のデータを入力するかまたは実験室用機器から第1のデータを検索する目的で、ユーザインタフェース装置を用いて実験室用機器と第1のデータの交換を確立することができる。全てのユーザは、同じユーザインタフェース装置を使用してよく、あるいは複数のユーザが異なるユーザインタフェース装置を用いて実験室用機器と第1のデータ接続を確立することができる。ユーザインタフェース装置は、実験室用機器の一構成要素であり得る。ユーザインタフェース装置は、実験室用機器の制御装置、詳細には第1の制御装置の一構成要素であり得る。
【0129】
ユーザインタフェース装置は好ましくは、各事例において、第3の制御装置としても言及されているユーザインタフェース装置のための制御装置;実験室用機器のコネクタ装置を用いてこの実験室用機器に対するデータ接続を確立するための、第3の通信装置としても言及されているユーザインタフェース装置の通信装置;ユーザ入力を獲得するためのユーザの入力装置;ユーザに情報を出力するための出力装置、詳細には標示ユニットおよび/またはディスプレイ、を含む。ここでは、ユーザインタフェース装置の制御装置は、好ましくは、第1のデータ接続を介して実験室用機器とデータを相互交換するように構成されている。
【0130】
「機器制御式処理」なる用語は、少なくとも1つの実験室試料の処理が、実験室用機器により少なくとも部分的に制御される、詳細には行なわれることを意味する。処理が実験室用機器により制御および/または実施されるかぎりにおいて、前記処理はこの点に関して、詳細にはユーザによって制御されずかつ/または行なわれず、詳細にはユーザによって手動で制御されずかつ/または行なわれない。
【0131】
機器制御式処理はさらに、好ましくは、処理が、少なくとも1つのユーザ入力の一機能として実験室用機器によって少なくとも部分的に制御される、詳細には行なわれることを意味するものと理解される。ユーザ入力は、処理の開始前および/または処理中に発生し得る。ユーザ入力は好ましくは、好ましくは実験室用機器の一構成要素であるかまたは実験室用機器とは別個に提供されるユーザインタフェース装置、および実験室用機器の制御装置および/またはアクセス制御デバイスの制御装置に接続された信号を用いて発生する。ユーザ入力は、詳細には、値が処理に影響を及ぼすおよび/または処理を制御する少なくとも1つのパラメータを入力するのに役立つ。このパラメータは、詳細にはプログラムパラメータであり得る。
【0132】
「機器制御式処理」は、詳細には少なくとも部分的に自動化された処理を意味する。部分的に自動化された処理の場合、詳細には、処理が開始された後、処理が完了する前に、詳細にはユーザが例えば実験室用機器のユーザインタフェース装置を用いて行なわれる自動的問合せに応答することによって、詳細には1つの入力を確認または拒否するか他の入力に着手することによって、現行の処理にユーザが影響を及ぼすことができるようにする少なくとも1つのユーザ入力が存在するような形で処理を行なうことが可能である。部分的に自動化された処理の場合、詳細には自動的にかつ時間的に連続する形で行なわれかつ、詳細にはユーザインタフェース装置を介して行なわれるユーザ入力を必要とする少なくとも1つの処理ステップを有する複数のステップを処理が有することが可能である。
【0133】
機器制御式処理は、好ましくはプログラム制御式処理、すなわちプログラムにより制御される処理である。試料のプログラム制御式処理は、処理プロセスが実質的には複数のまたは多数のプログラムステップを通して作用することによって行なわれることを意味するものとして理解されるべきである。好ましくは、プログラム制御式処理は、少なくとも1つのプログラムパラメータ、詳細にはユーザにより選択された少なくとも1つのプログラムパラメータを使用して行なわれる。ユーザにより選択されるパラメータは、ユーザパラメータとしても言及される。プログラム制御式処理は好ましくは、詳細には実験室用機器の制御装置の構成要素であり得るデジタルデータ処理装置を用いて行なわれる。データ処理装置は、少なくとも1つのプロセッサ、すなわちCPUおよび/または少なくとも1つのマイクロプロセッサを含むことができる。プログラム制御式処理は、好ましくは、プログラム、詳細には制御プログラムの規定にしたがって制御されかつ/または行なわれる。詳細には、プログラム制御式処理の場合、少なくともユーザから求められたプログラムパラメータの獲得後は、実質的にいかなるユーザ活動も必要とされない。
【0134】
本発明の範囲内で、制御装置は概して、詳細にはデータを処理するためのデータ処理装置、詳細にはコンピュータユニット(CPU)、および/またはマイクロプロセッサを含むか、または前記制御装置が、データ処理装置である。実験室用機器の制御装置のコンピュータユニットは、好ましくは同様に処理プロセスおよび/または個別の処理を制御するためにも構成されている。
【0135】
実験室用機器および/または任意のユーザインタフェース装置(特にこれらの全て)の制御装置は、1つの物理的機器ユニットの形に統合され得るが、各事例において独立した物理的機器ユニットでもあり得る。物理的機器ユニットは、詳細には、実験室用機器であるかまたは実験室用機器に対し接続され得るモジュールであり得る。実験室用機器の制御装置および/またはアクセス制御デバイスおよび/または任意のユーザインタフェース装置またはこれらの構成要素の構成要素の制御装置は同様に、ソフトウェア機能により実装され得、あるいは詳細にはプログラムコードとして利用可能であり得る。一例として、実験室用機器は、ソフトウェア機能と組合わさって各事例において実験室用機器および/または任意のユーザインタフェース装置の制御装置を少なくとも部分的に実装するコンピュータを含み得る。
【0136】
本発明に係る実験室用装置および本発明に係る方法のさらなる好ましい構成は、図およびその説明と併せて、例示的実施形態についての以下の説明から明らかになる。他に何も説明されていない場合、または前後関係からは他に何も明らかにならない場合、例示的実施形態の同じ構成要素は、同じ参照記号によって実質的に特徴付けされる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【
図1a】
図1aは、棚として形成された4つの挿入可能なネットワーク機器を含む、インキュベータである本発明の一実施形態に係る実験室用機器を、概略的断面側面図で示す。
【
図1b】
図1bは、チャンバの扉が閉じた状態の、棚の無い
図1aの実験室用機器を示す。
【
図1c】
図1cは、棚である、本発明の一実施形態に係る挿入可能なネットワーク機器を、概略的断面側面図で示す。
【
図2a】
図2aは、本発明の好ましい実施形態に係る、実験室用機器の作業用チャンバを斜視正面図で示す。
【
図2b】
図2bは、
図2aの作業用チャンバおよび実験室用機器の外側ハウジングを斜視背面図で示す。
【
図3a】
図3aは、例示を目的として部分的に切取られた斜視正面図で、
図2aの作業用チャンバを示す。
【
図3b】
図3bは、棚である本発明の一実施形態に係る1つ以上の挿入可能なネットワーク機器を保持するための
図2aの作業用チャンバの内部に設置されるべき保持用フレームを斜視図で示し、本発明の好ましい実施形態に係るネットワークインタフェース装置のコネクタ装置を示す。
【
図4a】
図4aは、棚であるネットワーク機器および
図3bに示されたコネクタ装置を、斜視側面図で示す。
【
図4b】
図4bは、
図4aに示されたコネクタ装置を斜視側面背面図で示す。
【
図5a】
図5aは、棚および第2のコネクタの調心装置を含む、
図4aの棚であるネットワーク機器を、例示目的で部分的に切取られた斜視側面正面図で示し、後部チャンバ壁のダクトを通って延在するチャネル部材を含むコネクタ装置の一部を示す。
【
図5b】
図5bは、
図5aのダクトを含む後部チャンバ壁の一部分を、例示目的で部分的に切取られた斜視側面正面図で示す。
【
図6a】
図6aは、
図4aに示されたコネクタ装置の第1のコネクタの自動調心構造と組合わさって作用する棚とその調心装置を、斜視側面図で示す。
【
図6b】
図6bは、水平方向Aでの棚の移動に起因して自動調心が進捗した
図6aに対応する。
【
図7a】
図7aは、好ましい実施形態に係る、本発明に係る実験室用装置のために使用するのに好適なコネクタ装置の斜視図を示す。
【
図7b】
図7bは、コネクタ装置の半分が切取られた状態で示されている
図7aに対応する。
【
図7c】
図7cは、ハウジングの半分が切取られた状態で示されている、
図7aのコネクタ装置のハウジングを示す。
【
図7d】
図7dは、
図7aのコネクタ装置のハウジング内部に配設されるためのケーブルデバイスおよびそのプラグ部材を示す。
【
図7e】
図7eは、コネクタ装置の半分が切取られ、本発明に係る実験室用装置の作業用チャンバのダクト内に組付けられている状態で、
図7aのコネクタ装置示す。
【
図8a】
図8aは、第1の位置における、実験室用デバイスの好ましい実施形態に係る別のコネクタ装置の断面側面図を示す。
【
図8b】
図8bは、第1の位置から第2の位置へ変換したときの位置における、
図8aのコネクタ装置の断面側面図を示す。
【
図8c】
図8cは、第2の位置における、
図8aのコネクタ装置の断面側面図を示す。
【0138】
図1aは、実験室用機器ネットワーク100内部でのデータ交換を用いて実験室試料9についての作業を行なうための、本発明の一実施形態に係る実験室用機器1を示す。例示的実験室用機器は、細胞培養向けに設計されたマイクロプロセッサ制御式機器である実験室用インキュベータ1、ここではCO
2インキュベータである。実験室用インキュベータ1は、
図1aにおいて明色の矩形として概略的に示されているインキュベータチャンバ2を形成する直方体作業用チャンバを有する。直接加熱型のファンレス作業用チャンバ2は、T字型フラスコ、マイクロプレートおよび他の培養ウェア内での細胞の成長に必要とされる気体および温度の精確に調節された雰囲気、および高い湿度レベル、最小限の振動を提供するように設計されている。これらは、屋内の実験室での使用のみに意図されている。
【0139】
インキュベータチャンバ2は、全体が金属で形成された後部壁2b、2つの側壁(図示せず)、底部壁2cおよび頂部壁2dによって形成される。前部壁は、外部干渉に対してインキュベータチャンバの内部の雰囲気を保護する目的で、作業用チャンバを閉鎖位置で密閉するために具備される扉2aとして形成される。前部壁および扉2aは、
図1aにおいて扉が開放していることを標示するため点線で示されており、一方棚20’は設置位置に挿入され、こうして、作業用チャンバ2の内部で棚を担持するため底部壁2c上に載ってフレーム構造(ここ
図1aでは図示せず)の一部である支持要素14aに沿って摺動する。インキュベータチャンバの寸法は、幅54cm、高さ70cm、奥行45cmであり、約175リットルの容積を有する。
【0140】
インキュベータ1は、作業用チャンバの内部の空気を、例えば10℃~50℃の定義された温度、95%の定義された湿度、そして0.2%~20%の定義されたCO
2含有量値に保つように構成されている。これは、作業用チャンバ2の直接加熱のための温度調整用デバイス、水蒸気制御装置(図示せず)およびCO
2入力弁によって達成され、これらは、作業用チャンバ内に収容された実験室試料のそれぞれの処理を実施するための3つの処理装置を形成し、インキュベータチャンバの内部の定義された雰囲気の気候に曝露される。
図1aにおいて、温度調整用デバイス3は、作業用チャンバ2と熱接触状態にある構成要素として概略的に示されている。
【0141】
インキュベータは、とりわけ、データを処理するためおよび処理装置3を制御するための制御装置4を有する。インキュベータ1は同様に、ユーザ入力を受信しユーザインタフェース装置8のディスプレイ上に情報を提示するための、制御装置4に接続されたユーザインタフェース装置8をも有している。
【0142】
インキュベータチャンバ2は、棚20として実装された多数のネットワーク機器を収納するように構成されており、これらのネットワーク機器は、同じく
図1a内に3つの棚20について示されている設置位置において作業用チャンバ内に挿入されるようになっており、かつ実験室試料に関連する作業ステップを行なうようにそれぞれ構成されている。
図1aにおいて、棚20’は、第1のコネクタが棚20’の第2のコネクタ22を収容しこのコネクタ22と結合する設置位置に位置付けするために水平方向Aにユーザによって前送りされている状態において示されている。
図2aにおいて、全ての棚は設置位置にあり、扉2aは閉鎖され、作業用チャンバは、密封して外部から隔絶されているが、ただし第1にコネクタ装置30と通信装置60の間にケーブル接続を提供できるようにし、第2に扉2aが閉じている間に作業用チャンバの外部とのケーブル接続を必要とするさらなるデバイスをユーザが作業用チャンバの内部に挿入できるようにする、2つのダクト2eからは隔絶されていない。
【0143】
インキュベータは、挿入可能なネットワーク機器20と実験室用機器ネットワーク100の間にネットワーク接続を提供するため、コネクタ装置30および通信装置60を含むネットワークインタフェース装置を含む。ネットワーク接続は、設置位置において、挿入可能なネットワーク機器20と実験室用機器ネットワークの間のデータ交換を提供するために役立つ。
【0144】
コネクタ装置30は、中空矩形棒の形をしたベース本体を有し、ここでこの棒は作業用チャンバ2の後部壁2bに面するその後部側で開放している。ベース本体は、ダクト2eを通って延在するように配設された管37の形をした2つのチャネル部材を有する。チャネル部材は、コネクタ装置30のベース本体に対ししっかりと接続されている。チャネル部材は同様に、実験室用機器の作業用チャンバにコネクタ装置30を解除可能な形で組付けするための組付け用部材としても役立つ。この目的で、ネジ付きリング38として形成されたさらなる組付け用部材が、チャネル部材37の対応する外側ネジ山上に螺入される。チャネル部材37のうち上位のものは、ユーザがチャネル部材を通してケーブルなどを置くことができるようにするためのアクセスポートとして役立つ。下位チャネル部材は、チャネルを通してケーブルデバイス33を延在させ、こうして作業用チャンバの内部と外部の間にデータ接続を提供するために使用される。ダクト2eおよびチャネル部材37は、それぞれ、内部と外部の間の熱橋の形成を回避する目的で、それぞれ断熱材料を含むことができる。
【0145】
チャネル部材37は同様に、実験室用機器のベース構造(
図1aには図示せず)のキャリアフレームに対し外側ハウジング2fの内部の作業用チャンバを懸吊するためにも使用され得る。キャリアフレームは、全ての構成要素を担持し、キャリヤ構造の底部と地面の間にある支持要素(
図1aには図示せず)を含むことができる。このことはすなわち、作業用チャンバとキャリアフレームの間の機械的コネクタとして少なくとも1つのチャネル部材を用いて、キャリアフレームに対して作業用チャンバを組付けるように構成させることによって、コネクタ装置を組付け用デバイスとして使用することができるということを意味する。
【0146】
通信装置60は、
図1a、1b中の該実施例においては、イーサネット(登録商標)スイッチ60である。イーサネット(登録商標)スイッチ60は、作業用チャンバ内部のコネクタ装置30の第1のコネクタ31とソケット61の間にケーブルデバイス33のイーサネット(登録商標)タイプの接続用ケーブル33aを接続するためのソケット61を有する。その結果、各々の挿入可能なネットワーク機器は、対応するプラグ22を有し、第2のコネクタを形成する。
【0147】
イーサネット(登録商標)スイッチ60は同様に、実験室用機器ネットワーク100と、イーサネット(登録商標)ネットワークアダプタであり得るインキュベータの通信装置(図示せず)とを接続するためにも使用される。これは、スイッチ60のポート61と接続されたコネクタ7によって標示されている。制御装置4は、代替的には(図示せず)、同様に通信装置も包含することができ、イーサネット(登録商標)インタフェースを有するあらゆるマイクロコントローラによって実現され得る。
【0148】
棚20’、20は、基本的に矩形の外側輪郭を有し動作中水平平面に沿って延在するように設計された実質的に平面のプレートまたはグリッドである、
図2cでさらに詳細に示されているベース部分21、および棚の通信装置26と電気的に接続された電気データ処理制御装置24を有する。棚は、イーサネット(登録商標)ネットワークアダプタである通信装置26と第2のコネクタ22を接続する可動イーサネット(登録商標)ケーブル25を有する。
【0149】
棚は同様に、この実施例においては細胞計数デバイスであり得る作業用装置23をも有する。棚は、例えば監視のため棚上に置かれた時点で試料コンテナ9の内部に格納された細胞個体群から画像を撮るため、細胞計数デバイスを制御する。画像データは、例えばCMOSセンサなどの画像センサの感光素子によって受光された光強度の値を含み得る。義務的に求められるわけではないが、画像は、物体、例えば細胞培養レセプタクル内の細胞層の実像を表わし得る。画像データは棚から実験室用機器ネットワーク100内部のデータ処理用ネットワーク機器101内に転送され、ここで画像データは記憶され評価される。データ処理用ネットワーク機器は作業用チャンバの外部に位置設定されているため、容器9内の細胞の定義された成長条件を妨げる温度の局所的上昇をひき起こし得る。評価用データプロセッサのエネルギ消費に起因する電力損失のインキュベータチャンバ内への熱としての発出が回避される。作業用装置23の活動の開始と終了は、ユーザまたは別のネットワーク機器により実行されたプログラムにより、ネットワーク100のネットワーク接続を介して遠隔制御され得る。
【0150】
図示されていない別の好ましい実施例では、ユーザインタフェース装置8は、画像データを評価するのに充分な計算能力を有するデータ処理用ネットワーク機器であり得ると考えられる。ユーザインタフェース装置8は、同様に、ネットワーク100に接続されたネットワーク機器でもあり得ることから、データは、ネットワーク100を介してユーザインタフェース装置8に転送され得ると考えられる。このことは、ユーザインタフェース装置8が、実験室内のどこにでもさらにはより遠くまで運ばれ、インタネットまたは別の遠隔接続を介してネットワーク100に対し無線でまたはケーブルによって接続されるべきタブレットコンピュータなどの携帯型デバイスである場合に、ユーザにとって極めて有用である。
【0151】
棚20は、第2のコネクタ22とベース部分21の間に可動機械的リンクを提供するための調心装置27を有する。例えば、第2のコネクタ22は、経路制限要素、詳細にはスロット入りプレート(図示せず)によって定義され得る方向Bに沿った垂直経路をたどるよう調心装置27によって強制され得る。代替的または付加的には、このような調心装置は同様に、コネクタ装置において第1のコネクタのために具備され得る。このような調心装置の別の実施形態については、以下で
図6a、6bに関連して説明される。
【0152】
図2aは、本発明の別の好ましい実施形態に係る実験室用機器の作業用チャンバ202を示しており、ここで実験室用機器は
図1aのインキュベータに対応し得る。
図1aと同様に、コネクタ装置230は、内側後部壁202bと接触した状態で配設されている。
【0153】
図2bは、実験室用機器の外側ハウジング202fおよび
図2aの作業用チャンバ202を示す。外側ハウジングは区画202gを画定する。区画202gは、必要な場合にユーザがコネクタ装置230を組付けおよび組付け解除するためにアクセス可能である。組付け解除するためには、ユーザは単にスイッチ260(図示せず)のスイッチポート261(図示せず)からケーブルデバイス233(図示せず)を接続解除しなければならず、かつネジ式チャネル部材237からネジ式リング-ナット238を脱螺入しなければならない。好ましくは、スイッチはユーザに対し外側ハウジング202fの後ろに隠されており、好ましくは区画202gの内部でスイッチポート261だけがユーザに曝露されている。
【0154】
図3aは、コネクタ装置230がチャンバの後部壁202bから組付け解除されている、例示を目的として部分的に切り取られた、
図2aの作業用チャンバ202を示す。作業用チャンバ202の内部に対する外部からのアクセスポートを形成する上位チャネル部材237およびケーブルデバイス233(図示せず)を収容する下位チャネル部材237’は、コネクタ装置230のストリップ形状のベース本体230に対ししっかりと接続されている。チャネル部材は、後部チャンバ壁202bを通って延在するように提供されているダクト202eと係合するように形成される。
【0155】
図3bは、ここでは棚220である本発明の一実施形態に係る1つ以上の挿入可能なネットワーク機器を保持するための、
図2aの作業用チャンバの内部に設置すべき保持用フレーム240を前面斜視図で示し、かつ本発明の好ましい実施形態に係るネットワークインタフェース装置のコネクタ装置230を示す。保持用フレームは、棚220を担持するための支持要素214a(
図1a中の支持要素14aと比較のこと)を提供する金属ロッド、詳細には垂直ロッド241、水平ロッド242およびさらなる水平ロッド244(見えず)のフレームで構成されたラックである。棚は、オーブン内に調理用天板を挿入する要領で保持用フレーム内に摺動させることによってユーザにより位置付けされ得る。保持用フレームは、作業用チャンバの内部に挿入されたとき底部チャンバ壁上で底部にそのロッド端部243が位置設定された状態で存在する。挿入位置において、保持用フレームは好ましくは作業用チャンバの内側空間全体を通して実質的に延在するように寸法決定される。
【0156】
図4aは、
図3bに示されたコネクタ装置230および棚であるネットワーク機器220を示す。
図4bは、ケーブルデバイス233(ここでは図示せず)を収容し誘導するのに役立つ中空内側空間239を有するストリップ形状の中空直方体である、
図4aに示されたコネクタ装置230を示す。
図4cは、
図4aに示されたコネクタ装置を斜視側面図で示す。
【0157】
図5aは、棚と第2のコネクタ222の調心装置227を含む、
図4aの棚220であるネットワーク機器を、例示を目的として部分的に切取られた状態で示し、後部チャンバ壁202bのダクト202eを通って延在するチャネル部材237を含むコネクタ装置230の一部を示す。
【0158】
図5bは、ここに詳細に示されている
図5aのダクト202eを含む後部チャンバ壁202bの一部を、例示を目的として部分的に切取られた状態で示している。ダクト202はスリーブ部材で構成されている。後部チャンバ壁は、内側後部壁202b’、外側後部チャンバ壁202b’’および内側および外側後部壁により挟まれた断熱層202b’’’を含めるように、詳細に示されている。後部チャンバ壁の全ての層を貫通して延在する開口部により、ダクト202eを提供するためにこの開口部を貫通して延在するようにスリーブ部材202a’を設置することが可能になる。スリーブ部材は、充分に低い熱伝導性を有するポリマ、例えばポリカーボネートから製造可能である。スリーブ部材は、スリーブの端部を取り囲み内側後部壁202b’と外側後部チャンバ壁202’’に対して挟持力を提供する相対する組付け用リング202i、202kによって、内側後部壁202b’および外側後部チャンバ壁202b’’に対して固定される。
【0159】
図6aは、ベース部分221を伴う棚220、および
図4aに示されたコネクタ装置の第1のコネクタの自動調心構造222’および自動調心構造231’と組み合さって作用する棚の調心装置227、227’を、斜視側面図で示す。自動調心構造は、それぞれ第1および第2のコネクタにおいて提供される誘導用表面222’231’である。誘導用表面はそれぞれ方向Aとの関係において傾斜した勾配付き表面である。誘導用表面は、プラグ231をソケット222内に収容するための面積およびその可能性を増大させる。
【0160】
ネットワーク機器がユーザによって方向(A)に沿って移動させられた場合、誘導用表面222’、231’は互いに接触状態になる。方向Aとの関係における誘導用表面の傾斜に起因して、方向Aに沿ってユーザにより加えられる力の一部は方向Bへの移動に変換され、このことはすなわち、第1および第2のコネクタが強制的に調心させられ、接続位置で心出しされることを意味する。
【0161】
経路(B)が直線経路であり方向(C)が経路(B)に直交しないように定義されており、調心装置(27;227;227’)は、方向(C)に沿って向けられた力成分によって駆動された場合に実験室用機器(1)の第1のコネクタ(31;231)と調心するように第2のコネクタ(222、222’’)を強制するように構成されており、ここでこの力成分はネットワーク機器(20;20’;220)を設置位置に設置するときにユーザにより生成され、前記力成分は第2のコネクタ(222)に作用して、これにより、第1のコネクタおよび/または第2のコネクタの自動調心構造(231’;222’)により誘導されて経路方向(B)に沿って第1のコネクタ(31;231)に向かって第2のコネクタを移動させる、請求項10に記載のネットワーク機器。
【0162】
図6bは、水平方向Aでの棚の移動に起因して第1および第2のコネクタの心出しおよび自己調心が進捗した、
図6aに対応している。
図6aと
図6bを比較すると、設置位置に達するように方向Aに距離△xだけ棚220を移動させることでベース部分221の下側からのコネクタホルダ222’の距離は△z
1から△z
2に修正されることが分かる。コネクタの自己調心原理には、前述のように方向x=Aに沿ったネットワーク機器の移動時点で座標系の1つの方向に沿って調心が提供される事例のみならず、ネットワーク機器が方向x=Aに沿って挿入された場合に、2つの空間方向、詳細にはデカルト座標の2つの軸yおよびzに沿って調心が提供される事例もが含まれる、という点を指摘しておくべきである。
【0163】
調心装置は、ベース部分221のプレートに直交する垂直方向で棚にしっかりと接続されている3つの誘導用管227、227’を含む。誘導用管は、垂直方向に経路を画定する経路制限要素を形成する。リング状のコネクタホルダ222’は、それぞれ誘導用管を収容するための3つの垂直方向摺動用孔を有する。コネクタホルダ222’は、誘導用管に対し可動な形で接続される。ポケットを含むソケットである第2のコネクタ222は、コネクタホルダ222’に対ししっかりと接続されている。
【0164】
調心装置227、227’は、水平方向Aに沿った移動により設置位置にネットワーク機器を設置するときにユーザが生成する力成分により駆動された場合に実験室用機器の第1のコネクタ231と調心するように第2のコネクタ222を強制するように構成されており、ここで経路制限要素227、227’の直線経路Bに直交しない前記力成分は、第2のコネクタ222に作用して、これにより第2のコネクタ222は、第1および第2のコネクタの自動調心構造222’、231’により誘導されて、経路方向Bに沿って第1のコネクタ231に向かって移動させられる。こうしてブラインドメイト接続が実現され、結果として、実験室用機器のネットワークインタフェース装置および挿入可能なネットワーク機器を含むシステムの快適かつ信頼性の高いユーザビリティがもたらされる。
【0165】
図7a~7eには、別のコネクタ装置300が示されている。このコネクタ装置はハウジング301を有する。ハウジングは、実験室用機器の作業用チャンバ「W」(
図7e)の内部の条件に対して、ハウジング内部の「x」とラベル付けされた位置にあるケーブルデバイス304の電気接点および/またはプラグ構成要素を保護するように構成されている。ハウジング301は、FKMを用いて製造されており、120℃~180℃の広い温度範囲で清浄および消毒用化学物質にさらされる環境および/または高湿度環境に対する曝露に耐えこれからケーブル接点を保護するように構成されている。
【0166】
ハウジングは、ハウジング内部のケーブルデバイスの相補的プラグソケット(見えず)に電気プラグを接続できるようにするポート303を有する。ハウジング内部の電気接点は、詳細には作業用チャンバW内部の考えられる高温段階中、接点を熱の影響から保護するためポート303からハウジング内部に向かって位置xまで変位させられる。
【0167】
コネクタ装置300のハウジング301は、
図7eにおいて、作業用チャンバの内部Wを作業用チャンバの外部にある「OA」とラベル付けされた外部部域と接続するダクト340内に挿入されている。コネクタ装置のハウジング301は、弾性変形可能である。これにより、
図7eに示されている組付け位置でダクトの内部にハウジング300が位置設定され組付けられた時点で、ダクト340のための封止が提供される。その上、ハウジングは、組付け位置においてダクト340内部でコネクタ装置300を保持する保持用手段を有する。ダクトに沿って走る仮想軸Aを仮定すると、ハウジングの弾性特性は半径方向における保持力を提供する。ハウジングのポート303の周りにはフランジ302が位置設定され、これがハウジングを、軸方向Aで作業用チャンバの壁320に保持する。
【0168】
コネクタ装置の弾性ハウジング301は、コネクタ装置300の組付け位置において、
図7eに見られるように、ダクトの内側壁を封止しかつ/または押圧するため軸方向に延在する、ディスク状の多数の弾性薄膜部材304を有する。2つの隣接する薄膜部材の間にある空気は、作業用チャンバと作業用チャンバの外部の部域の間の断熱材として役立つ。
【0169】
コネクタ装置のハウジング301またはハウジングのジャケットは、組付け位置でダクトの長さLに沿って、作業用チャンバの内部または作業用チャンバの内側壁から始まって作業用チャンバの外部の部域で終わるダクトの全長に沿って延在する。前記長さLは、実施例においては15cmである。これによりダクトを、ハウジングを用いてコネクタ装置の組付け位置において全長Lに沿って封止することができる。
【0170】
図8a~8c中、コネクタ装置400は基本的に、組付け位置でダクト411の内部に挿入され作業用チャンバWの封止を提供するために構成されたストッパとして役立つ第1の部品401を有する2部品式デバイスである。ケーブルデバイス405は、作業用チャンバの内部に位置設定されたデバイスの相補的プラグ部材と接続されるように構成されたプラグ部材402を有する。プラグ部材および、ケーブルデバイスは、可動な形で配設され、ダクトを通って移動させられる能力を有する。可撓性コード部材403は、作業用チャンバの内部から作業用チャンバの外部の部域OAに到達するのに好適な長さを有し、この長さは例えば10cm~40cmである。コード部材403の一方の端部は固定点404bにあるストッパに対ししっかりと接続され、他方の端部は、ケーブルデバイスの端部、ここでは固定点404aにあるケーブルデバイスの端部でプラグ部材402に対してしっかりと接続される。ストッパは、120℃~180℃の温度に耐えるのに好適な材料、例えばFKMで製造される。このような高温に耐える能力は、他方では、ケーブルデバイス405およびケーブルデバイスのプラグ部材402には求められない。
【0171】
図8aに示されているこのような2部品式コネクタ装置の第1の位置において、ストッパ401は、組付け位置にあり、ケーブルデバイス405は作業用チャンバWの外部の部域OA内にあり、可撓性コード部材403は、ストッパ401とダクト411の間に配設されたダクト411を通って延在する。この第1の位置においては、ストッパ401が損傷を受けずに耐えることのできる高温に、作業用チャンバWを設定することができる。ケーブルデバイス405は、該高温に曝露されていない。
【0172】
挿入可能な機器をケーブルデバイスに接続するために、ユーザは、ダクトから作業用チャンバの内部に向かって方向Fにストッパを引き出し、こうしてコード部材を用いてケーブルデバイスを引張ることができる。
図8b参照。ケーブルデバイス405のプラグ部材402がひとたび作業用チャンバWの内部に位置設定されると、挿入可能な機器の相補的プラグを接続させ、ストッパを用いて再びダクトを閉鎖することができる。
【0173】
図8cに示されている第2の位置において、ストッパ401はダクト411の中に組付けられ、一方ケーブルデバイスのケーブル405は、ストッパ401とダクト411の間に配設されてダクト内を走る。ストッパは完全に弾性変形可能であることから、ダクト411は同様に第2の位置でストッパ401により封止される。
【0174】
コネクタ装置400の2部品式実施形態は、実験室用デバイスの後部壁に位置設定されていることが多いダクトにアクセスするために実験室用デバイスを移動させる必要なく、挿入可能な機器を一時的に使用することができるようにする。ダクトに対するアクセスは、作業用チャンバを通して提供され、このようなコネクタ装置では、ケーブルデバイスを高温から保護する一方で、高温段階を使用することができる。