(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】固体燃料の製造方法
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20230412BHJP
C10B 53/02 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
C10L5/44
C10B53/02
(21)【出願番号】P 2019562496
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2018048397
(87)【国際公開番号】W WO2019131983
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2017253243
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年~24年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「バイオマスエネルギー技術研究開発/戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業(実用化技術開発)/石炭火力微粉炭ボイラーに混焼可能な新規バイオマス固形燃料の研究開発」に係る共同研究、産業技術強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【氏名又は名称】中村 充利
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】小野 裕司
(72)【発明者】
【氏名】新倉 宏
(72)【発明者】
【氏名】川真田 友紀
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-193958(JP,A)
【文献】国際公開第2017/086727(WO,A1)
【文献】特開2015-067789(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175733(WO,A1)
【文献】中国特許第103396858(CN,B)
【文献】米国特許出願公開第2014/0202072(US,A1)
【文献】国際公開第2011/052796(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/00-5/48
C10B 53/00-53/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭と混焼するための固体燃料を製造する方法であって、
サイズが50mm以下の木質系バイオマスの粉砕物を、酸素濃度10%以下で、かつ物質温度240~350℃の条件下で焙焼し、得られた焙焼物を嵩密度(JIS K 2151の6に従って測定)が600kg/m
3以上の成型物とすることを含
み、木質系バイオマスが、容積重が450kg/m
3
以上であるユーカリ属木材を含む、上記方法。
【請求項2】
固体燃料の成型物の機械的耐久性(木質ペレット品質規格に従って測定)が
97%以上である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ユーカリ属木材の容積重が
500kg/m
3以上である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ユーカリ属木材が、ユーカリ・ユーログランディスおよび/またはユーカリ・グロビュラスを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
成形物がブリケットまたはペレットの形態である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーカリ属を含む木質系バイオマスを原料として焙焼(torrefaction)することによって得られる固体燃料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料の枯渇化及びCO2排出による地球温暖化への対策として、バイオマスを原料とする燃料の利用が検討されている。一般にバイオマスとは、エネルギー源又は工業原料として利用することのできる生物体で、代表的なものは木材、建築廃材、農産廃棄物等である。従来より、バイオマスを有効利用する方法が各種提案されている。その中でも、バイオマスを低コストで以って高付加価値物に転換できる有用な方法として、バイオマスを炭化して固体燃料を製造する方法がある。これは、バイオマスを炭化炉に投入して酸素欠乏雰囲気下で所定時間加熱して炭化処理し、固体燃料を製造するものである。
【0003】
このようにして製造された固体燃料は、発電設備や焼却設備等の燃焼設備の燃料に用いられるが、この場合、燃焼効率を向上させるために固体燃料を細かく粉砕して微粉燃料として用いることがある。固体燃料は単独であるいは石炭と混合して粉砕されるが、バイオマスのうち木質系バイオマスは大部分が繊維質であるため、粉砕性が悪く、燃焼効率の低下、粉砕機の運転性低下等の問題があった。
【0004】
特許文献1には、材廃材、間伐材、庭木、建築廃材等の木質系バイオマスを240℃以上300℃以下の温度で、15分以上90分以下の時間で熱分解した後に粉砕する方法が開示されている。加熱温度が240℃より低い温度であると破砕性、粉砕性が向上せず、300℃よりも高い温度であると破砕、粉砕時にサブミクロンオーダーの微粉量が増大して粉体トラブルを生じ易くなるため好ましくないとしている。
【0005】
また、特許文献2には穀類、実、種子を含むバイオマスを酸素濃度1~5%、処理温度350~400℃で30~90分加熱して炭化処理することで、石炭と同等の粉砕性を有する固体燃料を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-26474号公報
【文献】特開2009-191085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記方法で製造された炭化物は、物質収率及び熱量収率が低く、石炭に比較すると粉砕性が不十分であり、石炭と混合して粉砕処理して微粉炭ボイラーの燃料として使用することが困難である。また、炭化物は嵩密度が低いので、取扱いや輸送コストの低減のために、ペレット状に成型する等の高密度化処理を行うが、成型性が不十分で、機械的耐久性が不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ユーカリ属を原料として、焙焼処理を行い、得られた焙焼物を成型物とすることにより、成型性、機械的耐久性にも優れた固体燃料が製造できること見出した。
【0009】
本発明は、以下の態様を包含する。
(1) ユーカリ属木材を含有するサイズが50mm以下の木質系バイオマスの粉砕物を、酸素濃度10%以下で、かつ物質温度240~350℃の条件下で焙焼し、得られた焙焼物を嵩密度(JIS K 2151の6に従って測定)が600kg/m3以上の成型物とすることを含む、固体燃料の製造方法。
(2) 固体燃料の成型物の機械的耐久性(木質ペレット品質規格に従って測定)が95%以上である(1)記載の方法。
(3) ユーカリ属木材の容積重が450kg/m3以上である、(1)または(2)記載の方法。
(4) 前記固体燃料が、石炭と混焼するためのものである、(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 成形物がブリケットまたはペレットの形態である、(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法にて得られる固体燃料は、物質収率、熱量収率が高く、さらに石炭と同等の粉砕性を有し、高密度であるため、石炭と混合して粉砕処理して微粉炭ボイラーの燃料として高い比率で混炭して使用することできる。また、成型性、機械的耐久性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、原料の木質系バイオマスとしてユーカリ属の木材を使用する。ユーカリ属としては、Eucalyptus(以下、E.と略す) calophylla、E. citriodora、E. diversicolor、E. globulus、E. grandis、E. urograndis、E. gummifera、E. marginata、E. nesophila、E. nitens、E. amygdalina、E. camaldulensis、E. delegatensis、E. gigantea、E. muelleriana、E. obliqua、E. regnans、E. sieberiana、E. viminalis、E. marginata、E. pellita等が挙げられ、E. globulus、E. grandis、E. urograndis、E. camaldulensisが好ましい。なお、形態としては、木材チップ、樹皮(バーク)、おが屑、鋸屑のいずれもが利用できる。
【0012】
ユーカリ属の木材の容積重は450kg/m3以上が好ましく、500kg/m3以上がさらに好ましい。なお、容積重はJIS P 8114:1994に従って測定されたものである。容積重が450kg/m3以上であれば、焙焼によって得られる固体燃料の成型物の後述する機械的耐久性が優れたものとなる。
【0013】
ユーカリ属の木材を原料とすると優れた固体燃料が得られる理由としては、他の広葉樹と比較してユーカリ属は、容積重が高いこと、リグニン中にシリンギル核(S核)が多く存在することにより、焙焼によって高密度化された固体燃料となるためと考えられる。木材リグニンにおけるシリンギル核とグアイヤシル核(G核)の比(S/G比)は、リグニンの酸化分解反応であるアルカリ・ニトロベンゼン酸化を利用して評価することができる。すなわち、リグニンの酸化分解反応であるアルカリ・ニトロベンゼン酸化によって、リグニンのシリンギル核からシリンガアルデヒド(S)、リグニンのグアイヤシル核からバニリン(V)が生じることから、酸化反応後のシリンガアルデヒドおよびバニリンを定量することによってリグニン中のシリンギル核とグアイヤシル核の存在比を推定できる。本発明においては、ユーカリ属木材のS/V比が2.5以上であると特に機械的耐久性に優れたものになり好ましい。
【0014】
本発明において、木質系バイオマスは50mm以下のサイズに粉砕された粉砕物を使用することが必要であり、0.1~50mmのサイズのものを使用することがさらに好ましい。なお、本発明において、木質系バイオマス粉砕物のサイズとは、篩い分け器の円形の穴の大きさによって篩い分けされたものである。木質系バイオマスを粉砕するための装置としては、ナイフ切削型バイオマス燃料用チッパーで粉砕処理することが好ましい。
【0015】
本発明において、ユーカリ属以外の木材、椰子殻等を原料として混合して使用することも可能である。ユーカリ属の木材の含有率が50%以上であることが望ましい。
【0016】
本発明における焙焼(torrefaction)とは、低酸素雰囲気下で、所謂炭化処理よりも低い温度で加熱する処理のことである。通常の木材の炭化処理の温度は400~700℃であるが、焙焼はより低い温度で行われる。焙焼することによって、その出発原料よりも高いエネルギー密度を有する固体燃料が得られる。
【0017】
本発明における焙焼の処理条件は、酸素濃度10%以下で、物質温度240~350℃である。ここで、物質温度とは焙焼処理中の木質系バイオマスの温度である。酸素濃度が10%を超えると物質収率、熱量収率が低下する。また、物質温度が240℃未満では後述する粉砕性が不十分であり、350℃を超えると物質収率、熱量収率が低下する。物質温度は240~330℃が好ましく、さらに250~320℃がさらに好ましい。ヘミセルロースは270℃付近で熱分解が顕著になるのに対して、セルロースは355℃付近、リグニンは365℃付近で熱分解が顕著になるので、焙焼の処理温度を170~350℃とすることで、ヘミセルロースを優先的に熱分解して、物質収率と粉砕性を両立できる固体燃料を製造することが可能になると推察される。
【0018】
本発明において、焙焼処理を行うための装置は特に限定されないが、ロータリーキルン、竪型炉が好ましい。なお、酸素濃度を10%以下に調整するため装置内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。処理時間は15~180分が好ましい。
【0019】
本発明で得られる固体燃料は原料に対して物質収率で60~90%、熱量収率で70~95%であることが好ましい。また、粉砕性の指標であるJIS M 8801:2004に規定のハードグローブ粉砕性指数(HGI)は30以上が好ましく、40以上がさらに好ましい。HGIが高くなるほど、粉砕され易いことを示している。HGIが30~70の範囲であれば、石炭と混合して粉砕処理することが可能となる。石炭のHGIは通常40~70であるので、本発明で得られた固体燃料は石炭と同等の粉砕性を有している。
【0020】
本発明において、成型物とする際に焙焼物100質量部に対して滑剤を0.5~10質量部を添加してもよい。この範囲で滑剤を添加することにより、後述する成型物とする際の消費電力使用量を低減できる。滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素系滑剤、ステアリン酸、オレイン酸アンモニウム等の脂肪酸系滑剤、ステアリルアルコール、多価アルコール等の高級アルコール系滑剤、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アマイド系滑剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸系滑剤、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ブチル、ソルビタンエステル、グリセリンエステル等のエステル系滑剤、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、等を挙げる事ができる。これらの中では、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩が好ましく、ステアリン酸カルシウムが特に好ましい。
【0021】
本発明において、得られた焙焼物を嵩密度(JIS K 2151の6「かさ密度試験方法」に従って測定)が600kg/m3以上の成型物とする。すなわち、木質系バイオマスの粉砕物状の出発原料(焙焼物)をブリケットやペレット状に成型処理する。成型物とする前の焙焼物の嵩密度は10kg/m3~30kg/m3程度であり、成型物とした固体燃料の嵩密度は600kg/m3以上である。成型物とすることにより、固体燃料として微粉炭ボイラーで燃焼させる際、石炭との混合比率を上昇させることができ、また、燃料の輸送コストを削減することができる。
【0022】
本発明において、焙焼物を成型物とするための成型装置は特に限定されていないが、ブリケッター(北川鉄工所製)、リングダイ式ペレタイザー(CPM製)、フラットダイ式ペレタイザー(ダルトン製)等が望ましい。
【0023】
高密度化処理後の固体燃料の嵩密度(JIS K 2151の6「かさ密度試験方法」に従って測定)は、600kg/m3以上とすることが必要で、好ましくは650kg/m3以上にすることが好ましい。嵩密度が600kg/m3未満であると固体燃料を燃料として微粉炭ボイラーで燃焼させる際、石炭との混合比率をあまり大きくすることが不可能なため、本発明の効果を最大限に得ることができない。
【0024】
本発明において、固体燃料を成型物とする際には、焙焼物の水分率を8~50%とすることが好ましく、さらに10~30%とすることが好ましい。水分が8%より少ないとブリケッターやペレタイザーの内部で閉塞が発生し、安定した成型物の製造ができない。水分率が50%を超えると成型することが困難で、粉体状またはペースト状で排出される。
【0025】
本発明の固体燃料の成型物は、機械的耐久性(木質ペレット品質規格 6.5機械的耐久性の試験方法に準拠)が95%以上であることが好ましく、この範囲の機械的耐久性であれば、輸送時に粉砕されて粉化しない十分な硬さを有している。機械的耐久性とはペレットの壊れにくさを示すもので、一定量の機械的衝撃を与えた際に壊れずに粉化しなかった質量割合である。より好ましい態様において本発明の固体燃料の成型物の機械的耐久性は97%以上である。
【0026】
本発明において、焙焼物100質量部に対してバインダーを0~50質量部添加してもよい。バインダーは特に限定されていないが、有機高分子(リグニン、澱粉など)、無機高分子(アクリル酸アミドなど)、農業残渣(ふすま(小麦粉製造時に発生する残渣)など)等が望ましい。木質系バイオマスを効率よく有効利用することを目的としている観点から、バインダー添加部数は少ない方が望ましく、0~50質量部、より好ましくは0~20質量部が望ましい。ただし、50質量部以上添加しても高密度化が不可能であるというわけではない。
【0027】
本発明で得られる固体燃料は、ボイラー用燃料として用いられる。特に石炭と混合して粉砕処理を行って石炭と混焼することが可能であるので、石炭ボイラー用燃料として好適である。
【実施例】
【0028】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の%は特に断らない限り質量%を示す。
【0029】
なお、原料の容積重、S/V比は以下のように測定した。
<容積重>
JIS P 8114:1994に従って測定した。
<S/V比>
アルカリ・ニトロベンゼン酸化を利用して、シリンガアルデヒドとバニリンの比(S/V比)を測定した。アセトン-水混合溶媒(10:1、v:v)で前抽出した試料400mgを2N水酸化ナトリウム水溶液6mLおよびニトロベンゼン0.5mLと共に20mL容ステンレスオートクレーブに封入し、170℃、2時間、振とうしながら処理した。処理後、内容物をガラスフィルターでろ別し、ろ液をジクロロメタンで抽出し、過剰のニトロベンゼンを除去した。水層を1N塩酸でpH2とした後、内部標準として3-エトキシ-4-ハイドロキシベンズアルデヒドを含むジクロロメタン1mLを加え、ジクロロメタンでニトロベンゼン酸化分解物を抽出した。減圧乾燥した後、トリメチルシリル化してガスクロマトグラフィーでバニリンとシリンガアルデヒドを定量し、S/V比を算出した。
【0030】
[実施例1]
ユーカリ・ユーログランディス(Eucalyptus urograndis、容積重:506kg/m3、S/V比:2.7)の皮付きチップをナイフ切削型バイオマス燃料用チッパー(緑産社製、Wood Hacker MEGA360DL)にて粉砕処理した。粉砕後、50mmのスクリーンを通過したものを原料として、乾燥機で120℃、10分間乾燥処理を行い、水分を10%に調製した。続いて大型キルン型炭化炉を用い、窒素パージして、炭化炉内のチップ粉砕物の物質温度が255℃となるようにして、滞留時間60分で焙焼を行って生成物を得た。得られた生成物の水分を20%に調整し、フラットダイ式ペレタイザー(ダルトン社製、ディスクペレッターF-5/11-175型)にてダイ穴直径5mm、ダイ厚さ20mmのフラットダイを用いて高密度化処理を行い、固体燃料の成型物を得た。
【0031】
[実施例2]
物質温度を280℃とした以外は、実施例1と同様にして固体燃料の成型物を製造した。
【0032】
[実施例3]
ユーカリ・グロビュラス(Eucalyptus globulus、容積重:570kg/m3、S/V比:4.8)の皮付きチップを使用した以外は、実施例1と同様にして固体燃料の成型物を製造した。
【0033】
[実施例4]
ユーカリ・グロビュラス(Eucalyptus globulus、容積重:570kg/m3、S/V比:4.8)の皮付きチップを使用した以外は、実施例2と同様にして固体燃料の成型物を製造した。
【0034】
[実施例5]
ユーカリ・ナイテンス(Eucalyptus nitens、容積重:430kg/m3、S/V比:2.9)の皮付きチップを使用した以外は、実施例1と同様にして固体燃料の成型物を製造した。
【0035】
[実施例6]
ユーカリ・ナイテンス(Eucalyptus nitens、容積重:430kg/m3、S/V比:2.9)の皮付きチップを使用した以外は、実施例2と同様にして固体燃料の成型物を製造した。
【0036】
[比較例1]
杉の皮付きチップ(容積重:335kg/m3、S/V比:0)を使用した以外は、実施例1と同様にして固体燃料の成型物を製造した。
【0037】
[比較例2]
杉の皮付きチップ(容積重:335kg/m3、S/V比:0)を使用した以外は、実施例2と同様にして固体燃料の成型物を製造した。
【0038】
[比較例3]
スプルースのチップ(樹皮なし、容積重:352kg/m3、S/V比:0)を使用した以外は、実施例1と同様にして固体燃料の成型物を製造した。
【0039】
[比較例4]
スプルースのチップ(樹皮なし、容積重:352kg/m3、S/V比:0)を使用した以外は、実施例2と同様にして固体燃料の成型物を製造した。
【0040】
得られた固体燃料の成型物について下記の項目について評価し、結果を表1に示した。
<物質収支>
物質収率は焙焼処理前後の試料の重量から計算した。
【0041】
<嵩密度>
JIS K 2151の6「かさ密度試験方法」に従った。
【0042】
<機械的耐久性>
固体燃料の成型物について、木質ペレット品質規格(日本木質ペレット協会、2011年3月31日制定)の「機械的耐久性の試験方法」に基づいて木質ペレットの機械的耐久性を評価した。木質ペレット品質規格の機械的耐久性は、欧州の規格であるEN15210-1に準拠して規格化されたものであり、機械的衝撃力に対する木質ペレットの耐粉化性能に関する。具体的には、DT―T型ペレット耐久試験機(三洋貿易社製)を用いて、下式により固体燃料の成型物の機械的耐久性を算出した。
・機械的耐久性(%)=m1/m0×100
m1:回転処理前のサンプル質量(g)
m0:回転処理後のサンプル質量(g)
【0043】
【0044】
表1に示されるように、ユーカリを原料とする本発明の固体燃料は機械的耐久性に優れ、嵩密度も高いものであった。