(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】安全システム
(51)【国際特許分類】
F15B 1/00 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
F15B1/00 Z
(21)【出願番号】P 2019568722
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2018071644
(87)【国際公開番号】W WO2019034529
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】102017007628.6
(32)【優先日】2017-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クロイツァー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゲッツ
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-152999(JP,U)
【文献】米国特許第04076176(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
2つのガス安全弁(12、14)が取り外し可能に接続されたバルブブロック(10)と、前記バルブブロック(10)の内部若しくは側部にある少なくとも1つの制御可能なバルブ(50、52、58)と、前記バルブブロック(10)に同様に取り外し可能に接続された、気体圧力媒体を受容する少なくとも1つのアキュムレータ(42)とを有する、安全システムにおいて、
接続されている前記アキュムレータ(42)と、接続されている前記
少なくとも2つのガス安全弁(12、14)との間の、少なくとも一部は前記バルブブロック(10)の内部で延びている気体連通路が、前記少なくとも1つの制御可能なバルブ(50、52、58)により遮断又は開放可能であり、
前記少なくとも2つのガス安全弁(12、14)の内の1つ
のガス安全弁(12、14)を前記バルブブロック(10)から取り外すために接続されている前記アキュムレータ(42)への気体連通路は中断され、
前記少なくとも2つのガス安全弁(12、14)の内の少なくとも1つの他の
ガス安全弁(12、14)につながる連通路は維持されて、
前記少なくとも2つのガス安全弁(12、14)の内の前記1つのガス安全弁(12、14)の交換作業とその運転再開の間、それぞれの前記アキュムレータ(42)と前記
少なくとも2つのガス安全弁(12、14)の内の少なくとも1つの他のガス安全弁(12、14)との間の恒久的な気体連通路が形成されていることが、前記少なくとも1つの制御可能なバルブ(50、52、58)を備える安全装置によって保証されていることを特徴とする安全システム。
【請求項2】
それぞれのアキュムレータ(42)は、専ら気体圧力媒体が充填されているか又は充填可能な圧力容器であるか、或いはアキュムレータハウジング内に収容された分離部材(49)が気体側(45)を液体側(47)から分離している油圧アキュムレータであることを特徴とする、請求項1に記載の安全システム。
【請求項3】
前記安全システムは、制御可能なバルブ(50、52、58)について、
機械的ロックコンセプト、
機械的制御コンセプト、
電気的監視コンセプト、又は、
チップ制御操作コンセプトに基づいていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の安全システム。
【請求項4】
機械的ロックコンセプトを実現するために、2つの好ましくは手動で操作可能なボール弁(50、52)が設けられており、前記ボール弁(50、52)は、それぞれ、割り当て可能なガス安全弁(12、14)に気体連通していて、カムディスク(30a、30b)を支持しており、前記カムディスク(30a、30b)は互いにロックされた状態で、1つのボール弁(50)がその開位置で関連するガス安全弁(12)を1つの連通路を介してアキュムレータ(42)と気体連通させ、他のボール弁(52)がその遮断位置で関連するガス安全弁(14)をバルブブロック(10)から取り外すためにそれぞれのアキュムレータ(40a、40b、42)につながる関連する他の連通路を遮断することを保証することを特徴とする、請求項3に記載の安全システム。
【請求項5】
前記ボール弁(50、52)の2つのハンドレバー(16、18)によって、それぞれ1つのカムディスク(30a、30b)を共通の開方向から出発してボール弁(50、52)の閉位置の方向に操作でき、カムディスク(30a、30b)は外周側に1つの切り欠き(32a、32b)を有しており、その切り欠き(32a、32b)は他方のカムディスク(30a、30b)の外周に対応して形成された切り欠き(32a、32b)と協働して、それぞれのボール弁(50、52)の回転運動が割り当てられたハンドレバー(16、18)によって可能にされたりブロックされたりすることを特徴とする、請求項4に記載の安全システム。
【請求項6】
それぞれのカムディスク(30a、30b)はバルブブロック(10)に設けたストップリミット(35a、35b)と協働して、ハンドレバー(16、18)がそれぞれのガス安全弁(12、14)の長手方向に対して平行な開方向から、この長手方向に対して横断方向の遮断位置に、及びその逆に90°だけ旋回可能であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の安全システム。
【請求項7】
機械的制御コンセプトを実現するために、制御可能なバルブとして3方向切り替えボール弁(58)が使用されており、前記3方向切り替えボール弁(58)はその1つの切り替え位置では1つのガス安全弁(12)を1つの連通路を介してアキュムレータ(42)と気体連通させ、他のガス安全弁(14)を関連する他の連通路を遮断することによってアキュムレータ(42)から切り離すこと、及び別の切り替え位置では他のガス安全弁(14)を他の連通路を介してアキュムレータ(42)と気体連通し、前記1つのガス安全弁(12)は前記1つの連通路を遮断することによって切り離されていることを特徴とする、請求項3に記載の安全システム。
【請求項8】
センサシステム(60、62)による電気的監視コンセプトを実現するために、それぞれの前記制御可能なバルブ(50、58)の位置がその開位置及び/又は閉位置に関して監視されていること、及びガス安全弁(12、14)とアキュムレータ(42)との間のそれぞれの気体連通路が制御可能なバルブ(50、58)を介して開通していることをセンサシステム(60、62)が確認して制御装置に伝達してから初めて油圧供給システムの運転が可能にされることを特徴とする、請求項3~7のいずれか一項に記載の安全システム。
【請求項9】
チップ制御操作コンセプトを実現するために制御チップが設けられており、この制御チップを油圧供給システムの制御装置に挿入して初めてその運転が可能になり、制御チップを取り出すと供給システムは停止され、さらに制御チップを制御可能なバルブ(50、52、58)に挿入すると関連する連通路を遮断することによりそれぞれの度割り当て可能なガス安全弁(12、14)がアキュムレータ(42)の気体側から切り離されることを特徴とする、請求項3~8のいずれか一項に記載の安全システム。
【請求項10】
前記バルブブロック(10)は、少なくとも1つの別の供給ポート(22)を有しており、この供給ポート(22)を介して少なくとも1つの別のアキュムレータ(40a、40b)、好ましくはガスアキュムレータが接続可能であり、アキュムレータ(40a、40b)はバルブブロック(10)の内部に配置された遮断弁(54)を介してその開位置でそれぞれのアキュムレータ(42)と、好ましくは油圧アキュムレータの気体側(45)に接続されて気体連通していることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の安全システム。
【請求項11】
前記バルブブロック(10)は、少なくとも1つの別のポート(24)を有しており、このポート(24)に充填・試験装置(28)が接続可能であり、充填・試験装置(28)はバルブブロック(10)内の充填・試験連通路を介してそれぞれのアキュムレータ(42)と直接気体連通していること、及びこの充填・試験連通路は、それぞれの制御可能なバルブ(50、52、58)の方向に開く逆止弁(56)を介して、それぞれ別のアキュムレータ(40a、40b)とそれぞれのアキュムレータ(42)との間の別の連通路に接続されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の安全システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのガス安全弁が取り外し可能に接続されたバルブブロックと、バルブブロックの内部若しくは側部にある少なくとも1つの制御可能なバルブと、バルブブロックに同様に取り外し可能に接続された、気体圧力媒体を受容する少なくとも1つのアキュムレータとを有する安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような安全システムは、種々の油圧供給システムで使用されており、例えば非特許文献1(ハイダック・インターナショナル社製品カタログ「アキュムレータ技術」)の番号D3.553.4/03.16から知られている。この公知の解決策は、いわゆる後接仕様(Nachschaltausfuhrung)の油圧アキュムレータの充填及び試験に用いられる。この目的のために公知のバルブブロックは、特に充填・試験装置、圧力計、後接された窒素ボンベ、油圧アキュムレータの形態のアキュムレータ、及び少なくとも1つのガス安全弁の接続のための種々の流体ポートを有する。バルブブロックの運転中、好ましくはピストン形アキュムレータの形態の油圧アキュムレータは、その気体側がガス安全弁と恒久的に接続されている。アキュムレータハウジング内で長手方向に移動可能に案内された分離ピストンなどの分離部材を介して気体側から分離されている油圧アキュムレータの液体側は、例えば慣用的な油圧作動回路の形態の油圧供給システムに接続されている。さらに、バルブブロック内には止め弁が存在しており、これはその開位置で場合によって後接されている窒素ボンベと油圧アキュムレータとの間の流体経路を窒素ガスとの気体連通のために開放し、その閉位置でこの流体経路を遮断する。
【0003】
例えば保守又は修理作業を行うためにそれぞれのガス安全弁をバルブブロックから取り外す際には常に、運転圧力下にある全作動ガスを安全システムから放出させる必要があり、その場合にその都度接続されている油圧アキュムレータ及び/又はその都度接続されている窒素ボンベを閉じて、接続されている油圧システムの少なくとも一部を相応に無圧状態にしなければならない。続いて、それぞれ関連するガス安全弁と相応に接続されているアキュムレータを含めて安全システムの運転を再開する際は、上述した停止手順を逆に繰り返す必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ハイダック・インターナショナル社製品カタログ「アキュムレータ技術」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、この従来技術に基づいて、機能性が改善されて資源の節約に資する安全システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、特許請求項1の特徴をその全体において有する安全システムによって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
請求項1の特徴部によれば、その都度接続されているアキュムレータとその都度接続されているガス安全弁との間の、少なくとも一部は前記バルブブロックの内部で延びている気体連通路が、バルブにより遮断又は開放可能であることによって、特に高い安全性が達成されている。必要に応じてそれぞれのガス安全弁をバルブブロックから取り外すことができるが、その際にバルブブロックの内部若しくは側部にある関連するバルブはその遮断位置に置かれ、その限りでそれぞれ接続されているアキュムレータの気体側から安全に切り離されている。アキュムレータは、油圧アキュムレータ、又は窒素ボンベ又はその他の少なくとも部分的にガスを通す圧力容器、例えば貯蔵タンクなどのガスアキュムレータから構成されている。
【0008】
本発明による安全システムにより、安全システムのバルブブロックに接続されたガス安全弁を、割り当てられた制御可能なバルブを介して遮断することが可能となり、その際にバルブブロックに接続されたそれぞれの蓄圧装置の側で実質的なガス損失を被ることはなく、また油圧設備部分を無圧状態にする必要もない。
【0009】
修理及び/又は保守作業の際に必要となる安全弁を安全システムのバルブブロックから取り外すことは、迅速かつ安価に実行でき、それぞれのアキュムレータと接続された設備の気体側を空にして再充填するという時間のかかる作業も省くことができ、このことは資源の節約につながる。これと同等のものは従来技術にはない。
【0010】
本発明にいうアキュムレータは、流体、特にガスの受容に適する、使用されるすべて容器、例えば圧力容器、油圧アキュムレータ、ガスボンベ、特に窒素ボンベ及び同種のものを含む。本発明による安全システムで使用されるアキュムレータが、個々の分野で慣用的な用語の定義に制限されないことは自明である。
【0011】
本発明による安全システムの好適な実施形態では、それぞれのアキュムレータは、専ら気体圧力媒体が充填されているか又は充填可能な圧力容器、例えば窒素ボンベであるか、或いはアキュムレータハウジング内に収容された分離部材が気体側を液体側から分離している特にベローズ形、ダイヤフラム形、リザーバ形又はピストン形油圧アキュムレータである。このように1つの安全システムだけで、単一のバルブブロックに接続されている種々のタイプのアキュムレータも確実に制御することができる。このことは通常バルブブロックの一方の側で少なくとも1つの油圧アキュムレータがアキュムレータとして油圧設備に接続され、バルブブロックの同じ側若しくは他方の側で追加の窒素ボンベが貯蔵ボンベ又は後接ボンベとして接続されている場合に該当し、これらは流体供給が行われると油圧アキュムレータに運転中でもその気体側で再充填でき、或いは気体側の予圧を運転中に高めることができる。
【0012】
本発明による安全システムの別の好適な実施形態では、バルブブロックに少なくとも2つのガス安全弁が接続されており、1つのガス安全弁をバルブブロックから取り外すためにその都度接続されているアキュムレータへの気体連通路は中断され、少なくとも1つの他の安全弁につながる連通路は維持されて、1つのガス安全弁の交換作業とその運転再開の間、それぞれのアキュムレータとその都度他のガス安全弁との間の恒久的な気体連通路が形成されていることが安全装置によって保証されている。このようにして、ガス安全弁がバルブブロックから取り外された場合でも、少なくとも部分的にガスを通す油圧設備の運転は維持することができる。なぜならバルブブロックに安全のため残っている1つのガス安全弁が要求された安全機能を完全に引き受けるからである。
【0013】
本発明による安全システムにより、特に油圧供給システムの運転開始及び運転継続の際にいかなる場合も最大応答圧力に設定されたガス安全弁が、その液体側から油圧システム又は設備に接続された、例えば油圧アキュムレータの形態のアキュムレータの気体側と接続されたままであることが保証されている。特に、バルブブロックに複数のガス安全弁が使用される場合は、そのようなガス安全弁の1つを洗浄及び/又は保守の目的でバルブブロックから取り外すことができ、その間はそれぞれバルブブロックに残っている他のガス安全弁が、油圧供給システムとその設備部分に対する上記の安全機能を引き続き受け持つ。通常、そのようなガス安全弁は圧力逃し弁から形成されており、安全の場合に万一付近に滞在する人を流出する高圧の圧縮ガスから保護するために、周囲に通じるガス出口側がメッシュグリッド又はスクリーンで覆われている。
【0014】
本発明による安全システムの好適な実施形態では、安全装置はその都度制御可能なバルブに対して、機械的ロックコンセプト、機械的制御コンセプト、電気的監視コンセプト、又はチップ制御操作コンセプトに基づいている。安全装置をそれぞれの用途に合わせて要件に適合するように構成することにより、例えば関連するガス安全弁を取り外す前に、運転を続けながら低い異常又は故障率でアキュムレータを安全に遮断することが保証されている。ロック又はバルブ制御のための機械的コンセプトは、高いロバスト性と低い保守集約性という利点を提供する。監視若しくは操作のための電気的コンセプト又はチップ制御コンセプトは、所要設置スペースが少ないという利点と、相応のデータ伝送を使用した場合の遠隔監視の可能性を提供する。
【0015】
本発明による安全システムのさらに好適な実施形態では、機械的ロックコンセプトを実現するために、2つの好ましくは手動で操作可能なボール弁が設けられており、これらのボール弁はその都度割り当て可能なガス安全弁に気体連通していて、カムディスクを支持しており、これらのカムディスクは互いにロックされた状態で、1つのボール弁がその開位置で関連するガス安全弁を1つの連通路を介してアキュムレータと気体連通させ、他のボール弁がその遮断位置で、例えば交換又は保守の目的で関連するガス安全弁をバルブブロックから取り外すためにそれぞれのアキュムレータにつながる関連する他の連通路を遮断することを保証する。
【0016】
カムディスクは、ボール弁の操作要素の機械的ロックの不可欠な構成要素であり、好ましくはバルブブロックの外側に配置されている。関連するガス安全弁を取り外すためにボール弁が遮断されるとすぐに、関連するカムディスクが別のガス安全弁の少なくとも1つのカムディスクとロックされて、この別のガス安全弁は運転上安全な開位置でブロックされて確実に保持されている。これによりガス安全弁を取り外して取り出す際は、少なくとも1つの問題なく機能する別のガス安全弁がその開位置でバルブブロックに接続されており、専らこのガス安全弁が安全機能を受け持つ。
【0017】
本発明のさらに好適な実施形態では、ボール弁の2つのハンドレバーによって、それぞれ1つのカムディスクを共通の開方向から出発してボール弁の閉位置の方向に操作でき、カムディスクは外周側に切り欠きを有しており、その切り欠きは他方のカムディスクの外周に対応して形成された切り欠きと協働して、それぞれのボール弁の回転運動が割り当てられたハンドレバーによって可能にされたりブロックされたりする。特に好ましくは、それぞれの切欠きは、カムディスクの外周と比較可能な曲率を備えたアーチ形の輪郭を有する。そのように形成された切り込みにそれぞれ他のカムディスクが突入係合して、関連するハンドレバーが選択された位置でブロックされて、この位置を意図せず又は意図的に変更することは可能でない。
【0018】
ガス安全弁は円筒形の基本形状を持ち、バルブブロックの下側に配置されている。関連するボール弁を操作するためのハンドレバーは、好ましくは操作者が接近できるバルブブロックの側に配置されており、通常垂直方向は関連するボール弁の開位置を示し、水平方向は閉位置を示す。特に好ましくは隣接するハンドレバーの切り欠きは、2つのハンドレバーの開位置で切り欠きが隣接して互いに向き合って位置するように配置され、1つのハンドレバーが閉位置に動くと関連するカムディスクが他のハンドレバーの他のカムディスクに設けた切り欠き内に突入して、その動きも同様に閉位置にブロックされる。
【0019】
2つ以上のガス安全弁が並んで1列をなしてバルブブロックに配置されていることが好ましい。これに対応して2つ以上のハンドレバーと関連するカムディスクが並んで1列をなしてバルブブロックの側面に配置されている。さらに、カムディスクがバルブブロックに設けたストップリミットと協働して、ハンドレバーがそれぞれのガス安全弁の長手方向に対して平行な開方向から、この長手方向に対して横断方向の遮断位置に、及びその逆に90°だけ旋回可能であることが有利である。ここからそれぞれのハンドレバーをそのいずれか1つの位置に旋回させる際にエラーなく操作できるという利点が生じる。
【0020】
本発明による安全システムの別の好適な実施形態では、機械的制御コンセプトを実現するために、制御可能なバルブとして3方向切り替えボール弁が使用されており、この3方向切り替えボール弁はその1つの切り替え位置では1つのガス安全弁を1つの連通路を介してアキュムレータと気体連通させ、他のガス安全弁を関連する他の連通路を遮断することによってアキュムレータから切り離し、別の切り替え位置では他のガス安全弁を他の連通路を介してアキュムレータと気体連通し、上記1つのガス安全弁は上記1つの連通路を遮断することによって切り離されている。1つの3方向切り替えボール弁のみを使用することにより、両ガス安全弁に対する2つの別個のボール弁を省略できる。この場合、3方向切り替えボール弁の切り替え位置に関係なく、1つのガス安全弁がアキュムレータに接続され、1つの安全弁がアキュムレータから分離されているので、常に少なくとも1つのガス安全弁がアキュムレータの安全機能を引き受ける。
【0021】
本発明による安全システムのさらに好適な実施形態では、センサシステムによる電気的監視コンセプトを実現するために、その都度制御可能なバルブの位置がその開位置及び/又は閉位置に関して監視されており、ガス安全弁とアキュムレータとの間のそれぞれの気体連通路が制御可能なバルブを介して実際に開通していることをセンサシステムが確認して制御装置に伝達してから初めて油圧供給システムの運転が可能にされる。ここから気体連通路の開放又は遮断を「自動的に」確認できるという利点が生じる。他のガス安全弁が安全機能を引き受けると、例えばバルブブロックの外側に取り付けた追加の光学表示装置によって、操作者にガス安全弁を取り外すための許可が表示される。
【0022】
本発明による安全システムのさらに好適な実施形態では、チップ制御操作コンセプトを実現するために制御チップが設けられており、この制御チップを油圧供給システムの制御装置に挿入して初めてその運転が可能になり、しかし制御チップを取り出すと供給システムは停止され、さらに制御チップを制御可能なバルブに挿入すると関連する連通路を遮断することによりその都度割り当て可能なガス安全弁をアキュムレータの気体側から切り離される。逆に、油圧供給システムの運転は、制御チップを取り出した後でガス安全弁を再び開位置に戻し、このチップを再び制御装置に挿入して接続されている油圧システムの運転が再び可能になるようにすることができる。
【0023】
さらに、バルブブロックは、少なくとも1つの別の供給ポートを有しており、この供給ポートを介して少なくとも1つの別のアキュムレータ、好ましくはガスアキュムレータが接続可能であり、アキュムレータはバルブブロックの内部に配置された遮断弁を介してその開位置でそれぞれのアキュムレータと、好ましくは油圧アキュムレータの気体側に接続されて気体連通している。この別の供給ポートを介して特にボンベの貯蔵室からガスを取り出して油圧アキュムレータの気体側に導入し、そのようにして油圧アキュムレータの作動能力を高めることができる。
【0024】
さらに、バルブブロックは少なくとも1つの別のポートを有しており、このポートに充填・試験装置が接続可能であり、充填・試験装置はバルブブロック内の充填・試験連通路を介してそれぞれのアキュムレータと、好ましくはピストン形アキュムレータの形態の油圧アキュムレータの気体側に接続されて直接気体連通していること、及びこの充填・試験連通路は、それぞれの制御可能なバルブの方向に開く逆止弁を介して、それぞれ別のアキュムレータとアキュムレータとの間の別の連通路に接続されていることが有利である。この充填・試験装置を介してガスの特性、例えばガス体積の温度や圧力などを監視及び記録できる。
【0025】
上記の油圧アキュムレータの液体側に通常のように油圧供給システムが接続されている場合、本発明による安全システムにより、火災によっても引き起こされる可能性のある運転障害の場合に、油圧アキュムレータの気体側で意図しない圧力の上昇を来たすことはない。なぜなら開かれたバルブ装置若しくは開位置にあるボール弁によって、それぞれのガス安全弁が設定された最大圧力を超えると、油圧アキュムレータ側の高圧ガスは直接周囲に逃げることができるからである。このようにして設備部分の破裂につながりかねない油圧アキュムレータの液体側と供給システム側の角に高い圧力は直ちに除圧されるので、供給システムの設備部分の操作者に対する危険は排除されている。この場合、安全システムはさらに、ガス安全弁の機能の意図しない停止につながりかねない手動の誤操作が排除されていることを保証する。
【0026】
本発明のその他の利点と特徴は図及び以下の図面の説明から明らかになる。上述した特徴及び以下に述べる特徴は、本発明に従いそれぞれ単独でも、互いに任意に組み合わせても実現することができる。図示された特徴はまったく模式的であり、縮尺通りではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1a】
図1aは、個々のガス安全弁に割り当てられたハンドレバーの種々の操作位置を有する安全システムのバルブブロックの実施形態の側面図を示す。
【
図1b】
図1bは、個々のガス安全弁に割り当てられたハンドレバーの種々の操作位置を有する安全システムのバルブブロックの実施形態の側面図を示す。
【
図1c】
図1cは、個々のガス安全弁に割り当てられたハンドレバーの種々の操作位置を有する安全システムのバルブブロックの実施形態の側面図を示す。
【
図3a】
図3aは、本発明による安全システムの第1の実施形態の回路図を示す。
【
図3b】
図3bは、本発明による安全システムの第1の実施形態の回路図を示す。
【
図4】
図4は、本発明による安全システムの第2の実施形態の回路図を示す。
【
図5】
図5は、本発明による安全システムの第3の実施形態の回路図を示す。
【
図6】
図6は、本発明による安全システムの第4の実施形態の回路図を示す。
【
図7a】
図7aは、本発明による安全システムの別の実施形態の斜視図を示す。
【
図7b】
図7bは、本発明による安全システムの別の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1a~
図1cは、バルブブロック10の側面図を示し、その下側には第1のガス安全弁12と第2のガス安全弁14が配置されている。ガス安全弁12、14にはそれぞれバルブブロック10のハウジング内に存在するボール弁50、52(
図3a、
図3b参照)のコックが割り当てられている。ボール弁50、52のコックは互いに分離して、第1のハンドレバー16若しくは第2のハンドレバー18を介して開いた切り替え位置と閉じた切り替え位置との間で往復切り替え可能に配置されている。
図1aに示す両ハンドレバー16、18の切り替え位置では、これらのハンドレバーはそれぞれ垂直方向に、円筒形ガス安全弁12、14に対して平行に位置合わせされており、したがってそれらの開いた切り替え位置で示されている。閉じた切り替え位置では関連するハンドレバー16又は18は、第2ハンドレバー18については
図1bに示すように、第1のハンドレバー16については
図1cに示すように水平に位置合わせされている。ハンドレバー16が直線的に延びるように作製されているのに対し、他方のハンドレバー18は屈曲部を有しているため、必要に応じてハンドレバー16を超えて旋回させることができる(
図2参照)。閉じた切り替え位置若しくは閉位置では、
図1a~
図1cに示されていないアキュムレータ42(
図3a及び3b参照)の気体側45への連通路が、関連するボール弁50又は52を介して分離されており、関連するガス安全弁12若しくは14を安全な方法で取り外すことが可能であり、これについて以下で詳細に説明する。
【0029】
並置されたハンドレバー16、18と間隔を置いて第3のハンドレバー20がバルブブロック10の外側に配置されており、この第3のハンドレバー20を介して、供給ポート22に割り当てられた別の第3のボール弁54(
図3a、図b参照)のコックを操作できる。この場合、ポート22は、
図1a、
図1b、
図1c及び
図2を見る方向で直方体のバルブブロック10の下側に配置されている。
図1a~
図1cの右側に示されているバルブブロック10の側面には、詳しく図示されないガス充填・試験装置のための充填・試験ポート24が形成されており、バルブブロック10の上側にはアキュムレータ42を接続するための圧力ポート26が存在している。さらに、バルブブロック10の上側には電気圧力測定値変換器の形態の測定装置28が設けられている。
図1a~
図1cの右側に示されているバルブブロック10の側面には、圧力計44のための圧力計ポート34が形成されている。第1のハンドレバー16と第2のハンドレバー18はそれぞれ、バルブブロック10の前面で関連するハンドレバー16、18の回転軸心とそれぞれ同軸に配置された円形カムディスク30a、30bと結合している。第3のハンドレバー20は、回転を制限するための通常のディスク30cを有する。
【0030】
ハンドレバー16、18に対するリング状に形成されたカムディスク30a、30bは、それぞれ部分的に凹状に形成されたアーチ形輪郭の切り欠き32a、32bを有する。
図1aに示す両ハンドレバー16、18の開いた切り替え位置では、両切り欠き32a、32bが互いに向き合って配置されている。切り欠き32a、32bの形状と配置は、
図1bの表現に例示されているように、第2のハンドレバー18を時計方向で閉じた切り替え位置に動かすと、第2のカムディスク30bの外周で凸状になっている外輪郭が、第1のハンドレバー16の第1のカムディスク30aに設けた第1の凹状切り欠き32a内に強制的に動かされるように選択されている。それにより第1のハンドレバー16は、図示されている開いた垂直切り替え位置ではカムディスク30a、30bにより機械的にロックされる。同様に、第1のハンドレバー16を時計方向で閉じた切り替え位置に動かすと、
図1cに示されているように、第1のカムディスク30aはその凹状若しくはアーチ形外周が、第2のカムディスク30bに設けた第2の凹状切り欠き32b内に動かされ、それに応じて第2のハンドレバー18は
図1cに示す開いた垂直切り替え位置で確実にロックされている。
【0031】
バルブブロック10にはさらに2つのピン状に突き出たストップリミット15a、15bが設けられており、その都度ハンドレバー16、18を90°だけ回転運動させて開いた切り替え位置及び閉じた切り替え位置に固持し、それぞれのカムディスク30a、30bの切り欠き32a、32bに隣接して形成されたストップラグと協働する。このようなストップリミットはボール弁で一般的であるため、ここではこれについて詳述しない。特にこれに関する個々の詳細は図では見やすさのために省略した。
図2には、さらにカムディスク30cに形成されたラグに対するストップリミット15cが示されており、これは第3ハンドレバー20の対応する回転運動を制限する。
【0032】
図3aは、第1のガス安全弁12のための第1のバルブポート36(
図1a参照)と、第2のガス安全弁14のための第2のバルブポート38(
図1b参照)を備えたバルブブロック10の第1の実施形態に対する油圧回路図を示す。供給ポート22では、例として従来の窒素再充填ボンベの形態のガスアキュムレータとして設計された2つの別のアキュムレータ40a、40bがバルブブロック10に接続される。さらに、圧力ポート26では、専ら気体圧力媒体が充填される、窒素ボンベの形態の圧力容器として形成されたアキュムレータ42が接続されている。圧力計ポート34には圧力計44が接続され、測定ポート48には測定装置28が接続されている。慣用的なタイプの圧力計44と測定装置28は、クイックリリースカップリング46a、46bを介してバルブブロック10に設けた関連するポート34若しくは48と流体連通及び圧力連通している。
図3aに示す解決策により、とりわけアキュムレータ42は再充填ボンベ40a、40bから窒素が充填される。次に充填されたアキュムレータ42をバルブブロック10から充填された状態で取り外し、再び新しいアキュムレータ42に充填することができる。その限りで個々の貯蔵ボンベ40a、40bの代わりに供給網(図示せず)を設け、そこからアキュムレータ42に充填することもできよう。例示的に示されたガス貯蔵ボンベの形態の1つのアキュムレータ42の代わりに、多数のそのような気体連通アキュムレータシステムをバルブブロック10のポート26に接続することもできる(図示せず)。
【0033】
バルブブロック10内には、第1のバルブポート36、第2のバルブポート38、供給ポート22、圧力ポート26、充填・試験ポート24、測定ポート48及び圧力計ポート34の間に複数の互いに接続された流体ポートが形成されている。典型的に連通路は金属材料から作られたバルブブロック10の孔として設けられる。第1のバルブポート36から第1の連通路部分21が第1の交点23に至り、第2のバルブポート38から第2の連通路部分25が第2の交点27に至る。第1の交点23と第2の交点27は第3の連通路部分29に配置されており、第3の連通路部分29は測定ポート48からバルブブロック10の内部の第3の交点31に延びている。
【0034】
第4の連通路部分33は、供給ポート22から圧力ポート26に延びている。第4の連通路部分33内には、第3の交点31と第4の交点35が配置されている。第4の交点35は、充填・試験ポート24を起点とする充填・試験連通路37の終点である。充填・試験連通路37内には第5の交点39が配置されており、これは第1の交点23を起点とする第5の連通路部分41の終点をなしている。第1の連通路部分21内には、第1のバルブポート36と第1の交点22との間に第6の交点43が配置されており、これは圧力計ポート34を起点とする第6の連通路部分45の終点をなしている。
【0035】
この他に、第1のガス安全弁12と第1のバルブポート36との間の第1の管路部分47、第2のガス安全弁14と第2のバルブポート38との間の第2の管路部分49、別のアキュムレータ40a、40bと供給ポート22との間の第3の管路部分51、51a、51b、アキュムレータ若しくはガス貯蔵ボンベ42と圧力ポート26との間の第4の管路部分53、測定装置28と測定ポート48との間、及び測定装置28からさらに延びる第5の管路部分55a、55b、55c、並びに圧力計44と圧力計ポート34との間の第6の管路部分57a、57bが存在している。
【0036】
ガス安全弁12、14からアキュムレータ42に至る連通路で第1の連通路部分21内には第1のボール弁50が配置され、第2の連通路部分21内には第2のボール弁52が配置されている。アキュムレータ42に続く第4の連通路部分33内には第3の交点31と第4の交点35との間に第3のボール弁54が配置されており、これと並行して第1の交点23と第5の交点39との間の第5の連通路部分41、第1の交点23の方向に開く逆止弁56が接続されている。個々のボール弁50、52、54は、関連するハンドレバー16、1、8、20を介して手動で個別に操作される。圧力ポート26に隣接して配置された第4の交点35から、充填・試験連通路37が直接充填・試験ポート24につながっている。
【0037】
図3bは
図3aと実質的に同一であり、この解決策と異なるのは、圧力容器として設計されたガス貯蔵ボンベ42の代わりに、ピストン形アキュムレータの形態の油圧アキュムレータとして設計されたアキュムレータ42が、バルブブロック10の圧力ポート26に接続されている点である。
図3bの表現では例示的に、ピストン形アキュムレータとして設計されたアキュムレータ42の液圧側若しくは液体側47に、通常はモーターポンプユニット、貯蔵タンク、油圧消費機器、制御・監視装置(図示せず)などの油圧作動回路からなる供給システム43が接続されている。
【0038】
例えば火災などの油圧供給システム43の技術的障害によって引き起こされた許容されない圧力増加が原因でアキュムレータ42の気体側45で圧力が上昇するとすぐに、アキュムレータ42の気体側45でガス安全弁12、14の応答圧力によって設定され最大圧力を超えるとガス安全弁12、14がトリガされて、ボール弁50、52の形態のバルブが開きアキュムレータ42の気体側45からガスがガス安全弁12、14を通って流出でき、例えば33MPa(330bar)の応答圧力に再び達するか若しくは下回るまで続く。この安全機能は、別の第3のボール弁54が閉じることにより別のアキュムレータ40a、40bが気体側でアキュムレータ42の気体側45から分離されても実現される。この場合、圧力補償は逆止弁56が両ガス安全弁12、14の方向に開き、それによってバルブブロック10内の通常は窒素ガスの形態の関連する作動ガスの連通路を減圧のために開通することによって行われる。完全を期すためにさらに言うと、ピストン形アキュムレータとして設計されたアキュムレータ42のピストン49は、供給システム43に通じる液体側47から気体側45を分離している。
図3a、
図3bにそれぞれ示されている安全システムの実施形態では、互いに別個に操作及び切り替え可能なボール弁50、52によって、ガス安全弁12又は14のいずれか一方が常に関連する連通路を介してアキュムレータ42と気体連通していることが保証されており、このことは前述のように望ましい安全性の向上につながる。
【0039】
図4に示す安全システムの第2の実施形態に対する回路図が
図3a及び
図3bに示す第1の実施形態と異なるのは、ガス安全弁12、14からそれぞれのアキュムレータ42に続く連通路に2つのボール弁50、52の代わりに1つの3方向切り替えボール弁58のみが配置されている点である。3方向切り替えボール弁58の配置により、バルブブロック10内の連通路の相互接続は修正されて、第1の連通路部分21と第2の連通路部分25はそれぞれボール弁58で終わり、このボール弁58から共通の連通路部分59が第3の連通路部分29内の共通の交点6に続くようになっている。圧力計44は、第6の連通路部分45を介して同様に第3の連通路部分29に接続されている。第4の連通路部分33と、第5の連通路部分41と充填・試験連通路37の相互接続は変更されていない。アキュムレータ40a、40b、42は、簡略化のため
図4では示されていない。また、ボンベ40a、40bは必ずしもポート22に接続する必要はなく、その場合ポート22は占有されずに閉じられる。1つの相応のアキュムレータ42のみがバルブブロック10のポート26に接続されている場合も、両ガス安全弁12、14及び関連するボール弁50、52による安全機能は軽減される。しかし3方向切り替えボール弁による解決策の場合は、ボール弁58のコックの回転位置に関係なく、ガス安全弁12又は14がいかなる場合もアキュムレータ42と気体連通していることが確保されている。危険な誤操作は上述の解決策におけるのと同様に排除されている。
【0040】
図5に示す安全システムの第3の実施形態の油圧回路図の形態の回路図では、第1のガス安全弁12からアキュムレータ42への連通路を電気的又は電子的に監視するために第1連通路部分21内に第1の監視装置60が構成され、第2のガス安全弁14から3方向切り替えボール弁58のポート3、2におけるアキュムレータ42への他の連通路を監視するために第2の連通路部分25内に第2の比較可能な監視装置62が構成されている。それ以外の点では
図5の表現は、
図4による表現に実質的に対応している。
【0041】
図6に示す安全システムの第4の実施形態に対する回路図では単一のガス安全弁12が設けられており、ガス安全弁12から関連するボール弁50におけるアキュムレータ42への連通路を監視するために、上述したように第1連通路部分21内に単一の監視装置60が存在する。この監視装置60は選択ボール弁50の開位置及び/又は閉位置を選択により電気的又は電子的に監視することができる。
図6の表現が
図3a及び
図3bに示す第1の実施形態と異なるのは、特に第2のガス安全弁14、第2の管路部分49、第2のバルブポート38、第2の連通路部分25と第2の交点27及び第2ボール弁52が省かれている点である。
【0042】
図3a、
図3b及び
図4に示す安全システムの実施形態では、冗長的な機械的ロックコンセプト若しくはバルブ制御コンセプトが実現されている。
図3a及び
図3bによる機械的ロックコンセプトにおいて、2つの関連する2方向切り替えボール弁50、52がカムディスク30a、30bを介してそれぞれの水平な閉位置の方向で互いに遮断可能であり、常に1つのボール弁50又は52のみがその遮断位置に到達できるようになっており、その結果として接続された両ガス安全弁12又は14のうち常に1つに対してのみ気体連通安全機能が無効になる。
図4によるバルブ制御コンセプトでは、操作者の意図に関係なくバルブ58の弁位置から見ていかなる場合も常に1つのガス安全弁12、14がその安全機能を保つという意味で操作者管理が達成されている。
【0043】
図5及び
図6に示す例示的な実施形態では、電気的又は電子的監視コンセプトが3方向切り替えボール弁58若しくはボール弁50における少なくとも1つの監視装置60、62を介して実現されている。冗長性の理由からバルブブロック10で
図5及び
図6によるこのような監視コンセプトを、上の
図3a、
図3b及び
図4による機械的ロックコンセプト又はバルブ制御コンセプトと互いに組み合わせてよいことは自明である。
【0044】
ガス安全弁12、14をバルブブロック10から取り外す場合は直ちに、最初にガス安全弁12、14からバルブポート36、38及びその都度関連するボール弁50、52又は58、並びに圧力ポート26を経由してアキュムレータ42に至るそれぞれの気体連通路が分離若しくは遮断されていることが確保されなければならない。このことは、関連するハンドレバー16、18の操作と、ハンドレバー16、18に形成されたカムディスク30a、30bの相応の機械的ロックによって、又は3方向切り替えボール弁58の両切り替え位置の一方を相応に調整することによって達成される。ボール弁58を使用したバルブ解決策では、外部操作による制御、例えば電気、油圧又は空気圧によるモーター制御も考えられよう。代替的又は追加的に、ガス安全弁12、14からそれぞれのアキュムレータ42に至る気体連通路の遮断を少なくとも1つの監視装置60、62によって監視することができ、その際に監視装置60、62は上位の制御装置(図示せず)に対して適切な制御及び/又は監視信号を生成できる。これに対応して手動によるガス安全弁12、14の能動的な交換をバルブブロック10で監視して、バルブ50、52、58を必要に応じて開位置又は閉位置にもたらすことができる。
【0045】
アキュムレータ42からガス安全弁12、14に至る第4の連通路部分33が第3のボール弁54を介して遮断されるとすぐに、充填・試験ポート24に接続される充填・試験装置28(図示せず)によってそれぞれのアキュムレータ42の気体側45をチェックすることができ、必要に応じて再充填できる。別のアキュムレータ40a、40bのガス貯蔵室から作動ガスを補充又は導入する必要がある場合は第3のボール弁54が開いたままなので、作動ガスは別のアキュムレータ40a、40bのガス貯蔵室から第3の管路部分51、51a、51bを通って供給ポート22へ、さらに第4の管路部33を通って圧力ポート26へ、さらに必要な場合は第4の管路部分53を通ってアキュムレータ42へ流れることができる。それに伴う圧力の推移は、圧力計ポート34に接続された圧力計44を介して監視できる。
【0046】
さらに、安全システム内の圧力は圧力変換器28を介して電気的に監視できる。別のアキュムレータ40a、40b内のガス貯蔵室も同様にそれぞれ充填しなければならない場合は、別のアキュムレータ40a、40bがポート22を介してバルブブロック10にも接続されていると想定すると、それはボール弁54が開いている場合はそれぞれのアキュムレータ42の気体側45と同時に行われ、及び必要に応じてボール弁54が閉じている場合は逆止弁56を介して行われる。そのようにポート24を介する充填は、別のアキュムレータ40a、40b、ポート24における再充填装置、及びそれぞれのアキュムレータ42の間に圧力平衡が生じて、逆止弁56が目に見えてその閉位置に達するまで行われる。
【0047】
本発明による安全システムの代替実施形態が、
図7a及び
図7bに示されている。バルブブロック10は
図1a~
図1cに示す実施形態と比べると比較的小さく形成されており、
図7a及び
図7bの斜視図には表現されていない3方向切り替えボール弁を収容している。ボール弁はバルブブロック10に回転可能に配置されたハンドレバー16を介して切り替え位置の間で操作できる。バルブブロック10とそれに配置された構成要素は、アキュムレータ42の前面64に配置された別個の構造ユニットを形成する。この目的のために、直角に曲がった接続ピース66が前面64に設けた貫通孔に挿入されており、バルブブロック10は接続ピース66と固く結合している。
【0048】
図7aに示す安全システムの第1の変形例では、バルブブロック10にガス安全弁12と破裂板68が配置されている。ここではガス安全弁12と破裂板68は水平に位置合わせされており、向き合う側でバルブブロック10に配置されている。破裂板68は、ガス安全弁12が接続されている場合に、過大な圧力負荷がかかると破裂板68が裂けてガス安全弁12は損傷を免れるという機能を有する。バルブブロック10内に配置された3方向切り替えボール弁を介して、ガス安全弁12とアキュムレータ42との間の気体連通路は遮断又は開通可能である。3方向切り替えボール弁はL形孔又はT形孔を有しており、中央ポートはアキュムレータ42につながり、それぞれ他のポートにはガス安全弁12及び/又は破裂板68が取り付けられている。
【0049】
図7bに示す安全システムの第2の変形例は、バルブブロック10に破裂板68の代わりに第2のガス安全弁14が配置されている点で、
図7aに示す第1の変形例と異なる。ここから両ガス安全弁12、14のうちの一方を取り外したときに、その都度バルブブロック10に残っている他方のガス安全弁14、12により一貫した安全機能が保証されているという利点が生じる。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
少なくとも1つのガス安全弁(12、14)が取り外し可能に接続されたバルブブロック(10)と、前記バルブブロック(10)の内部若しくは側部にある少なくとも1つの制御可能なバルブ(50、52、58)と、前記バルブブロック(10)に同様に取り外し可能に接続された、気体圧力媒体を受容する少なくとも1つのアキュムレータ(42)とを有する、安全システムにおいて、
接続されている前記アキュムレータ(42)と、接続されている前記ガス安全弁(12、14)との間の、少なくとも一部は前記バルブブロック(10)の内部で延びている気体連通路が、前記少なくとも1つの制御可能なバルブ(50、52、58)により遮断又は開放可能であることを特徴とする安全システムである。
第2の態様は、
それぞれのアキュムレータ(42)は、専ら気体圧力媒体が充填されているか又は充填可能な圧力容器であるか、或いはアキュムレータハウジング内に収容された分離部材(49)が気体側(45)を液体側(47)から分離している油圧アキュムレータであることを特徴とする、第1の態様における安全システムである。
第3の態様は、
バルブブロック(10)に少なくとも2つのガス安全弁(12、14)が接続されており、1つのガス安全弁(12、14)をバルブブロック(10)から取り外すために接続されているアキュムレータ(42)への気体連通路は中断され、少なくとも1つの他の安全弁(12、14)につながる連通路は維持されて、前記1つのガス安全弁(12、14)の交換作業とその運転再開の間、前記それぞれのアキュムレータ(42)と前記他のガス安全弁(12、14)との間の恒久的な気体連通路が形成されていることが安全装置によって保証されていることを特徴とする、第1の態様又は第2の態様における安全システムである。
第4の態様は、
前記安全システムは、制御可能なバルブ(50、52、58)について、
機械的ロックコンセプト、
機械的制御コンセプト、
電気的監視コンセプト、又は、
チップ制御操作コンセプトに基づいていることを特徴とする、第1の態様~第3の態様のいずれか一つにおける安全システムである。
第5の態様は、
機械的ロックコンセプトを実現するために、2つの好ましくは手動で操作可能なボール弁(50、52)が設けられており、前記ボール弁(50、52)は、それぞれ、割り当て可能なガス安全弁(12、14)に気体連通していて、カムディスク(30a、30b)を支持しており、前記カムディスク(30a、30b)は互いにロックされた状態で、1つのボール弁(50)がその開位置で関連するガス安全弁(12)を1つの連通路を介してアキュムレータ(42)と気体連通させ、他のボール弁(52)がその遮断位置で関連するガス安全弁(14)をバルブブロック(10)から取り外すためにそれぞれのアキュムレータ(40a、40b、42)につながる関連する他の連通路を遮断することを保証することを特徴とする、第1の態様~第4の態様のいずれか一つにおける安全システムである。
第6の態様は、
前記ボール弁(50、52)の2つのハンドレバー(16、18)によって、それぞれ1つのカムディスク(30a、30b)を共通の開方向から出発してボール弁(50、52)の閉位置の方向に操作でき、カムディスク(30a、30b)は外周側に1つの切り欠き(32a、32b)を有しており、その切り欠き(32a、32b)は他方のカムディスク(30a、30b)の外周に対応して形成された切り欠き(32a、32b)と協働して、それぞれのボール弁(50、52)の回転運動が割り当てられたハンドレバー(16、18)によって可能にされたりブロックされたりすることを特徴とする、第1の態様~第5の態様のいずれか一つにおける安全システムである。
第7の態様は、
それぞれのカムディスク(30a、30b)はバルブブロック(10)に設けたストップリミット(35a、35b)と協働して、ハンドレバー(16、18)がそれぞれのガス安全弁(12、14)の長手方向に対して平行な開方向から、この長手方向に対して横断方向の遮断位置に、及びその逆に90°だけ旋回可能であることを特徴とする、第1の態様~第6の態様のいずれか一つにおける安全システムである。
第8の態様は、
機械的制御コンセプトを実現するために、制御可能なバルブとして3方向切り替えボール弁(58)が使用されており、前記3方向切り替えボール弁(58)はその1つの切り替え位置では1つのガス安全弁(12)を1つの連通路を介してアキュムレータ(42)と気体連通させ、他のガス安全弁(14)を関連する他の連通路を遮断することによってアキュムレータ(42)から切り離すこと、及び別の切り替え位置では他のガス安全弁(14)を他の連通路を介してアキュムレータ(42)と気体連通し、前記1つのガス安全弁(12)は前記1つの連通路を遮断することによって切り離されていることを特徴とする、第1の態様~第7の態様のいずれか一つにおける安全システムである。
第9の態様は、
センサシステム(60、62)による電気的監視コンセプトを実現するために、それぞれの前記制御可能なバルブ(50、58)の位置がその開位置及び/又は閉位置に関して監視されていること、及びガス安全弁(12、14)とアキュムレータ(42)との間のそれぞれの気体連通路が制御可能なバルブ(50、58)を介して開通していることをセンサシステム(60、62)が確認して制御装置に伝達してから初めて油圧供給システムの運転が可能にされることを特徴とする、第1の態様~第8の態様のいずれか一つにおける安全システムである。
第10の態様は、
チップ制御操作コンセプトを実現するために制御チップが設けられており、この制御チップを油圧供給システムの制御装置に挿入して初めてその運転が可能になり、制御チップを取り出すと供給システムは停止され、さらに制御チップを制御可能なバルブ(50、52、58)に挿入すると関連する連通路を遮断することによりそれぞれの度割り当て可能なガス安全弁(12、14)がアキュムレータ(42)の気体側から切り離されることを特徴とする、第1の態様~第9の態様のいずれか一つにおける安全システムである。
第11の態様は、
前記バルブブロック(10)は、少なくとも1つの別の供給ポート(22)を有しており、この供給ポート(22)を介して少なくとも1つの別のアキュムレータ(40a、40b)、好ましくはガスアキュムレータが接続可能であり、アキュムレータ(40a、40b)はバルブブロック(10)の内部に配置された遮断弁(54)を介してその開位置でそれぞれのアキュムレータ(42)と、好ましくは油圧アキュムレータの気体側(45)に接続されて気体連通していることを特徴とする、第1の態様~第10の態様のいずれか一つにおける安全システムである。
第12の態様は、
前記バルブブロック(10)は、少なくとも1つの別のポート(24)を有しており、このポート(24)に充填・試験装置(28)が接続可能であり、充填・試験装置(28)はバルブブロック(10)内の充填・試験連通路を介してそれぞれのアキュムレータ(42)と直接気体連通していること、及びこの充填・試験連通路は、それぞれの制御可能なバルブ(50、52、58)の方向に開く逆止弁(56)を介して、それぞれ別のアキュムレータ(40a、40b)とそれぞれのアキュムレータ(42)との間の別の連通路に接続されていることを特徴とする、第1の態様~第11の態様のいずれか一つにおける安全システムである。