(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】ガス再循環装置及びこれを有するシステム
(51)【国際特許分類】
F04D 23/00 20060101AFI20230412BHJP
F04D 29/30 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
F04D23/00 D
F04D29/30 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020072213
(22)【出願日】2020-04-14
【審査請求日】2020-06-18
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391043675
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・オーバーベック
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス・ベッカー
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0003238(US,A1)
【文献】特開2007-247421(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090510(WO,A1)
【文献】特開昭62-271992(JP,A)
【文献】特開2000-337284(JP,A)
【文献】特表2002-540350(JP,A)
【文献】特開2017-152132(JP,A)
【文献】特開2010-265894(JP,A)
【文献】特表2016-516886(JP,A)
【文献】国際公開第2019/048140(WO,A1)
【文献】特開2017-145785(JP,A)
【文献】特開2016-223427(JP,A)
【文献】特開2004-150298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再循環ポンプを含む
、プロセス装置(50)のガスのための再循環装置(52)であって、再循環ポンプはサイドチャネルポンプ(20)である、
当該再循環装置(52)において、
サイドチャネルポンプ(20)は、複数のロータブレード(24)を有する少なくとも1つのロータ(22)を含み、及び、
運動方向に隣接する2つのロータブレード(24)間の空間が、先がとがった屋根の形の構造(42)を備え、
先がとがった屋根の形の構造(42)の棟の先端部(44)
は、1つのブレード
の先がとがった部分から隣接するブレードの底面へ
直線的に傾斜し
て形成されている、
ことを特徴とする再循環装置(52)。
【請求項2】
ガスは、水素、温度調整剤及び/又はCO
2を含有すること、を特徴とする請求項1に記載の再循環装置(52)。
【請求項3】
ロータブレード(24)
のブレード形状は
、矢印形状
であり、ロータブレード(24)の運動方向が矢印の形のとがった先の方向であること、を特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の再循環装置(52)。
【請求項4】
サイドチャネルポンプ(20)の少なくとも1つのサイドチャネル(26)は、円形、長円形、楕円形、矩形、又は卵形の断面幾何形状を備えること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の再循環装置(52)。
【請求項5】
サイドチャネルポンプ(20)の少なくとも1つのサイドチャネル(26)は、流れ方向に、その断面が先細ること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の再循環装置(52)。
【請求項6】
サイドチャネルポンプ(20)は、1段式又は複数段式で形成されていること、を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の再循環装置(52)。
【請求項7】
サイドチャネルポンプ(20)の回転数は、周波数変換器を介して制御可能であること、を特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の再循環装置(52)。
【請求項8】
サイドチャネルポンプ(20)のロータ(24)は、少なくとも1つのグリース潤滑軸受(38)によって支承されていること、を特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の再循環装置。
【請求項9】
ガスを収容するためのチャンバ及び/又は配管を有するプロセス装置(50)、並びに請求項1~
8のいずれか1項に記載の再循環装置(52)を含むシステムにおいて、この再循環装置を介してガスが、プロセス装置(50)から除去可能であり且つプロセス装置(5
0)へ戻すことができ、閉鎖されたガス循環が設けられている、システム。
【請求項10】
プロセス装置(50)はレーザを含む、ことを特徴とする請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
プロセス装置(50)は温度調整装置を含むこと、を特徴とする請求項
9又は
10に記載のシステム。
【請求項12】
プロセス装置(50)は燃料電池を含むこと、を特徴とする請求項
9~
11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
プロセス装置(50)は燃焼装置を含むこと、を特徴とする請求項
9~
12のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再循環ポンプを含むプロセス装置のガスのための再循環装置に関する。それに加え、本発明は、ガスを収容するためのチャンバ及び/又は配管を有するプロセス装置と、ガスのための再循環装置とを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス再循環は、様々な技術分野において必要である。通常、ガスはより大きな体積(プロセスはこの体積で行われる)から取り出され、適切な方法で処理し、次いでプロセスに再供給する。ガスダクト内で生じる圧力損失を、及び場合によっては既存の処理で生じる圧力損失を克服するために、ポンプが使用される。このポンプは、必要な過圧及び体積流量を提供し得る。その際、ガス又は混合ガスの特性,全体的な圧力レベル,ガス体積,及びガス温度は、考慮することが必要であるいくつかのパラメータではあるが、これらがすべてのパラメータではない。
【0003】
通常、メンブレンコンプレッサかロータリベーンコンプレッサ、時にはルーツコンプレッサ、スクリューコンプレッサ又はクローコンプレッサ(「コンプレッサ」及び「ポンプ」との用語は、ここでは同じ意味で使用される)のようなツインシャフトコンプレッサも、そのような公知の再循環装置にある。
【0004】
メンブレンコンプレッサ及びロータリベーンコンプレッサは、摩擦及び摩耗を受けやすいため、定期的なメンテナンスが必要である。メンブレンコンプレッサは、個別ポンプチャンバ体積に基づいた脈動搬送,制限された回転数変動性及び個別体積による低いスケーラビリティー,軸受と,メンブレンと,クランクシャフトと,連接棒と,弁との摩耗及びメンブレンと連接棒との振動運動による振動がある。ロータリベーンコンプレッサは、構造に応じてポンプチャンバ内にオイル又は摩滅物があり、その際、いずれもプロセスとって不都合であり得る。システム内の個別体積及び摩擦のために、回転数による限定的なスケーラビリティーは、同様に不利であり得る。
【0005】
ルーツコンプレッサ,スクリューコンプレッサ,若しくはクローコンプレッサは、非接触式ポンプとして、摩耗しにくいが、シンクロメッシュを有するこれらのツインシャフトシステムの製造コストは、かなり高い。一般にルーツコンプレッサは、必要なシャフトの同期化を伴うツインシャフト構造のため、相対的に大きな構造サイズ及び高いコストがある。相対的に大きなポンプチャンバに対して、圧縮率は相対的にわずかである。それによって、ルーツコンプレッサは回転数変化に関して、限られた範囲にしかスケーリングできない。その上、効率は、著しい間隙損失のために相対的に低い。その上、シャフトフィードスルー(独語:Wellendurchfuehrungen)は、複雑にシールされなければならない。
【0006】
従って、従来技術においてガス再循環のためのポンプの多くが公知であり、それぞれ特有の利点があるが、説明したように数多くの欠点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102017212861号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、良好な有効性で簡単かつ安価に実施されるガス再循環装置を提供することである。その上、特に、上述の欠点を克服しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1に記載の再循環装置によって、及び特に再循環ポンプがサイドチャネルポンプであることによって、解決される。サイドチャネルポンプは、製造と運転において簡単で安価な実施で、特に良好な効果がある。
【0010】
サイドチャネル技術は、その流体力学的特性,ほとんど機械的に摩擦のない運動及び回転数,サイドチャネル幾何形状且つロータブレード幾何形状,段数及び多数の入手可能な材料の組み合わせを介した種々のプロセスのその適応性に基づいて、有利である。サイドチャネルポンプは基本的に非接触で機能する。すると、長寿命を可能にし、ほぼ無摩耗となる。サイドチャネルポンプは、例えば、単一または多段での実施を選択することによって及び/又は回転数制御によって、提供される圧力と流量の正確な調節及び必要に応じた調整を、可能にする。さらに、ロータブレード形状及びサイドチャネル形状を、搬送されうるガスに合わせて調整することができる。腐食性媒体には、対応する耐性がある材料を使用することができる。
【0011】
サイドチャンネルポンプは、特に一つのシャフトのみを備える。複数段のサイドチャネルポンプも、単一のシャフト、例えば一つ及び同一のシャフトに配置されている複数のロータとで製造できる。こうして、サイドチャネルポンプは、特に簡単で安価に製造されることが可能である。
【0012】
これまで、特定の利点が利用されたように、用途に依存して多数のポンプから選択されてきた。ここで、本発明による再循環装置は、簡単な構造及び低い製造コストと運転コストで、特に良好な用途範囲を可能にする。
【0013】
再循環装置は、例えばガスのための処理装置(独語:Aufbereitungseinrichtung)を備え得る。処理装置は、例えば、ガスを浄化するため,特定のガス比率に分離するため若しくは濃縮するため,ガスに何かを加えるため又はガスを他の方法で一つのプロセスの為に利用可能にすることができ若しくは改善することができるために形成することができる。
【0014】
一般に、ガスをプロセス装置へ部分的にのみ戻すことができる。例えば、すべての取り出すガスを戻すことができ、又は一部のみ、特にある種の構成要素のみを戻すことができる。
【0015】
ガスは、例えば水素,温度調整剤,特に冷却剤,及び/又はCO2であり得るか、又は含有し得る。更に例えば、ガスは、空気,ヘリウム及び/又はネオンであり得るか、又は含有し得る。一般にガスは、プロセス装置、特にチャンバ又は配管中に、特に少なくとも運転中に存在する。
【0016】
サイドチャネルポンプは、例えば複数のロータブレードを有する少なくとも1つのロータを含み得る。有利には、ロータブレードが、それぞれ直線,矢印形状,湾曲,運動方向へ分割若しくは接続,又は運動方向へ前方に若しくは後方に傾斜していることの内の少なくとも1つのことを、企図することができる。ロータブレード毎、ロータ毎及び/又はポンプ段毎のこれらの特徴の組み合わせも、有利である。
【0017】
運動方向において隣接する2つのロータブレード間の空間は、例えば、平らであってもよく、又は先がとがった屋根の形の構造を備えてもよい。平らな構造は、特に、容易に製造され得る。先がとがった屋根の形の構造は、サイドチャネルで搬送されうるガスの渦形成を促進し、それと同時にポンプ効果を促進する。その際、棟の先端部(独語:Firstkante)又は棟の領域は、例えば基本的にはブレードの運動方向に対して平行に延在し得る、及び/又はブレードを連結し得る若しくは斜めに延在し得る。特に一つのブレードから隣接するブレードの底面へ、傾斜し得る。先がとがった屋根の形の構造は、平坦及び/又は湾曲した(特に凹状の)側面を備え得る。
【0018】
例えば、サイドチャネルポンプの少なくとも1つのサイドチャネルが、それぞれ少なくとも基本的に円形,長円形,楕円形,矩形,又は卵形の断面幾何形状を備えることを企図することができる。略曲線的及び/又は台形断面のような別の断面幾何形状も可能である。一般に、サイドチャネルの断面幾何形状は、例えば対称であり得る又は非対称でもあり得る。
【0019】
一実施形態によれば、サイドチャネルポンプのサイドチャネルの断面は、流れ方向、特に、サイドチャネルのインレットからサイドチャネルのアウトレットまで先細る。このため、特に良好な圧縮を簡単な方法で達成することができる。
【0020】
一般に、サイドチャネルは、例えばサイドチャネルのアウトレットとインレットとの間をサーキットブレーカーによって遮断することができる、若しくはアウトレットとインレットをサーキットブレーカーによって互いに分離することができる。
【0021】
好ましくは、サイドチャネルポンプは、1段式又は複数段式、特に2,3,4,又は5段式で形成することができる。これら段は、例えば軸方向及び/又は半径方向にずらして配置することができる。サイドチャネルポンプの性能データ、特に排気圧力とガス流量は、これによって特に簡単にそれぞれの用途に調整することができる。
【0022】
サイドチャネルポンプは、例えば、特に周囲に対する(特に密閉する)シールを備え得る。その際、特にポンプ効果を発生するためのポンプの可動部分が、すなわち特にシャフト,ロータ,モータロータ及び/又は可動軸受部が、シール内部に、つまり特に周囲から見てシールの後ろに、配置されていることができる。したがって、サイドチャネルポンプは、腐食性媒体と共に使用するために簡単な方法で形成することができる。可動部品は、シールを目的として、例えばカプセル化することができる。
【0023】
別の構成によって、サイドチャネルポンプは、回転子を有するモータを備える。その際、この回転子は周囲に対して、特に密閉なシールチャンバに配置されている。そのために、回転子は特にパイプ内に配置することができる。例えば、モータはキャンドモータ(独語:Spaltrohrmotor)であり得る。
【0024】
一般に有利には、モータは、永久磁石モータ、特に永久磁石回転子を有するものである。
【0025】
有利には、サイドチャネルポンプの回転数は、周波数変換器によって制御可能であり得る。それゆえ、サイドチャネルポンプは、特に簡単で正確に、それぞれの用途に、及びプロセス中の特定の稼働状態に、適合することができる。
【0026】
一実施形態によれば、サイドチャネルポンプのロータ又はロータシャフトが、少なくとも1つのグリース潤滑軸受によって支承されていることが企図されている。これが、複雑な追加の潤滑システムなしで、低摩擦ベアリングのベアリング運転を可能にする。その上、軸受が省メンテナンスで実行でき、オイル潤滑の場合に、場合によって必要となる装置交換が、基本的に必要ない。
【0027】
一般に、ポンプは(特に密閉の)シールを備え得る。その際好ましくは、ロータシャフトのためのすべての軸受が、再循環ガスの領域内に、すなわち周囲領域から見てシールの後ろに配置されている。特にグリース潤滑の軸受は、ポンプのシールができる限りまれに、最善の場合でも対応年数に渡って解除される必要が全くないということを可能にする。このため、メンテナンスコストをかなり減少することができる。なぜなら、特に密閉のシールの修復は、たいていとても手間がかかり及び特に専門知識を必要とするからである。それに加えて、特定のガスは種々の理由から周囲と接触してはならない。これは、省メンテナンスポンプによって明らかに容易になる。一般に好ましくは、ロータ,ロータシャフト,モータ回転子及び/又は軸受が、再循環ガスの領域内に配置されている。
【0028】
さらに、本発明は、ガスを収容するためのチャンバ及び/又は配管を有するプロセス装置並びに前述の種類に応じた再循環装置(この再循環装置によって、ガスがプロセス装置から除去可能であり及びプロセス装置へリサイクル可能である)を含むシステムに関する。
【0029】
一般に、プロセス装置は、プロセスを実施するために形成されており、その際ガスは何らかの方法でプロセスに関連する。一般に、ガスはプロセスの対象である必要はない。ガスは、触媒としての効果のみも又はその他の効果をもたらすもの、例えば温度調整媒体でもあり得る。ガスは、基本的に純粋なガスであるか、例えば空気のようなガス混合物でもあり得る。基本的に、ガスは、例えば粒子及び/又は液滴も含有し得る。
【0030】
ガスの返送は、例えば、処理,例えば洗浄,温度調整,分離及び/又は濃縮のために実施することができる。特に、再循環装置は、対応して形成された処理装置を備え得る。しかし、返送は、例えば基本的にガスに対する影響又は変化なしで、行うこともできる。一般にガスは、例えばプロセス装置のアウトレットで取り出すことができ、特にその際、ガス流の一部のみがアウトレットで戻され、及び/又はこのガスは例えばプロセス装置のインレットで戻され、特にその際、別のガス流がインレットへ入る。
【0031】
特にこのシステムは、閉鎖されたシステムであり得る、及び/又は閉鎖されたガス循環を設けることができる。
【0032】
本発明の利点は、レーザを含むプロセス装置の場合、特に適度に発展する。このレーザは、好ましくはガスレーザ、特にエキシマ又はCO2レーザである。
【0033】
温度調整装置、特に空調装置及び/又は冷却装置を含むプロセス装置が同様に有利である。その際、例えば再循環装置によってガス循環を生じることができる。このため、装置の温度調整効果を改善することができる。その際、本発明による利点が特に適切に利用される。
【0034】
プロセス装置は、例えば燃料電池(この燃料電池は、例えば発電するために使用することができ、例えば車両モータを駆動するために使用することができる)を含み得る。有利には、再循環装置は、燃料電池の過剰なプロセスガス、特に水素を戻すために配置することができる
【0035】
別の有利な実施例によってプロセス装置は、例えば車両駆動装置の、燃焼装置,特に内燃機関を含む。その際、再循環装置は、例えば燃焼装置の排気ガスを、特に燃焼装置のインレットに戻すために配置することができる。
【0036】
一般にプロセス装置は、つまり有利には、車両駆動装置の一部であり得る。さらに一般に、プロセス装置は、少なくとも部分的にガスで出力する、例えば任意の種類の反応器、例えば燃料電池又は燃焼装置を含み得る。
【0037】
最終的に、再循環装置について記載された全ての実施形態、及び個々の特徴は、システムの有利な別の構成を考慮することができ、逆に考慮しないこともできる。
【0038】
その上、本発明は、プロセス装置、特に本明細書に開示されているような本発明による再循環装置、及び特に本明細書に開示されているような、本発明によるシステムの一部分である再循環装置のガスの為の再循環装置の再循環ポンプとしてサイドチャネルポンプを使用することに関する。
【0039】
本発明は、概略図に基づいて、以下で例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図5】一つのサイドチャネルポンプの第3の実施形態の斜視断面図
【
図6】
図5と比較して拡大された、サイドチャネルポンプ部分領域の断面図
【
図7】サイドチャネルポンプのためのロータの種々の実施形態
【
図8】サイドチャネルポンプのためのロータの種々の実施形態
【
図9】サイドチャネルポンプのためのロータの種々の実施形態
【
図10】サイドチャネルポンプのためのロータの種々の実施形態
【
図11】サイドチャネルポンプのためのロータの種々の実施形態
【
図12】サイドチャネルポンプのためのロータの種々の実施形態
【
図13】プロセス装置及び再循環装置を有する種々のシステム
【
図14】プロセス装置及び再循環装置を有する種々のシステム
【
図15】プロセス装置及び再循環装置を有する種々のシステム
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、プロセス装置のガスのために、本発明による再循環装置内の再循環ポンプとして使用するためのサイドチャネルポンプ20を示す。ポンプ効果をもたらすために回転するロータ22が視認可能であるように、ポンプ20の上部領域は開いた状態で表示されている。このポンプ20は一つのロータ22のみを備える、要するに、一段式で形成されていることが、
図2から明らかである。ロータ22は、その外周に配分した複数のロータブレード24でもってサイドチャネル26内で回転する。サイドチャネル26は、それぞれのロータブレードよりもその断面が多少大きく形成されている環状チャネルである。本発明の実施形態においてサイドチャネル26の断面は、基本的に矩形であるが、角が丸く実施されている。
【0042】
ロータ22は、サイドチャネルポンプ20のシャフト28に配置されている。シャフト28及び従ってロータ22は、固定子30と回転子32とを含む電気モータによって回転駆動されている。固定子30は通電したコイルを備える。他方、この実施形態での回転子32は、複数の永久磁石を備える。回転子32はシャフト28と固く接続されている。従って、シャフト28及び従ってロータ22は、電気モータ30,32によって直接駆動される。
【0043】
この実施形態におけるロータ22は、湾曲し、運動方向にわずかに斜め後方に傾斜したロータブレード24とロータブレード24の間の平らな空間とで形成されている。
【0044】
図3及び
図4は、共通のシャフト28に支承されている2つのロータ22.1と22.2を備える2段式で形成されているサイドチャネルポンプ20を示す。ロータ22.1と22.2は、それぞれのサイドチャネル26.1と26.2で回転し、このサイドチャネルは、ここでも基本的に矩形の断面を備える。サイドチャネル26.1と26.2の接続部34が、
図4の上部領域で視認可能である。
【0045】
ロータ22.1と22.2は、それぞれの矢印形状のブレード24を備える。このブレードは運動方向にわずかに斜め後方に傾斜している。ブレード24の空間では、ロータ22がそれぞれ平らに形成されている。ここで好ましくは、運動方向が、それぞれの矢印形状ブレード24の尖端の方向へと進行する。ただし基本的には、例えば逆運転も可能である。
【0046】
ロータ22を担持するシャフト28は、電気モータによって駆動されている。電気モータは、コイルを有する固定子30とシャフト28に着座した永久磁石回転子32とを備える。回転子32又はシャフト28は、ポンプ20の密閉シールの部分であるパイプ36内部に配置されている。電動モータの回転子32と固定子30との間の間隙を通って延在するので、このようなパイプ36は、間隙パイプとも称される。従って、この電動モータは、キャンドモータと称される。間隙パイプ36は、例えば、ガラス繊維複合材料で製造することができる。したがって、回転子32又はシャフト28は、周囲から見て、密閉シールの後ろの領域(この領域は基本的にポンプによって搬送されるガスが通され及び対応する圧力水準を備える)内にある。
【0047】
その上、シールの背後に若しくは搬送されるガス領域内に、二つの軸受38がある。これらは、好ましくはグリース潤滑及び/又は永久潤滑されている。
【0048】
したがって、ガス領域内に若しくはシールの背後に配置されている機能要素は、基本的に依存せず機能する。特に、この機能要素には、配管を介して、例えば電気又は運転手段を供給する必要はない。それに加えて、ロータ22は、このロータのために設けられているハウジング間隙40内で非接触に動く。したがって、ガス領域内の機能部分は、非常に耐摩耗性であり、省メンテナンスである。したがって、ポンプ20の密閉シールは、ポンプを整備するために、分解の際に極めてまれに取り除かれればいい。
【0049】
サイドチャネルポンプ20の第3の実施形態が、
図5に示されている。サイドチャネルポンプ20は5段式で形成されている。すなわち、それぞれのサイドチャネル26内で回転する5つのロータ22が設けられている。他方、ロータ22は、共通のシャフト28に配置されている。
図5に示されているサイドチャネルポンプ20の領域Aは、
図6で拡大され、90度回転して記載されて示されている。
【0050】
二つの第一ポンプ段のサイドチャネル26.1と26.2は、基本的に矩形で形成されている。他方、それ以外のポンプ段のサイドチャネル26.3,26.4及び26.5は、基本的に楕円形の又は卵形の断面を備えることが
図6から明らかである。特に
図5から明らかであるように、ロータ22.1と22.2は、それぞれ湾曲したロータブレードを備える。他方、ロータ22.3,22.4及び22.5は矢印形状に形成されている。その上、ロータ22.3,22.4及び22.5は、隣接するロータブレード24の間のそれぞれの空間で、
先がとがった屋根
の形の構造42を備える。この構造は、サイドチャネル26におけるガス流の渦形成を促進することによって、ポンプ効果を促進する。
【0051】
ロータ22の種々の有利な実施形態が、
図7~
図12に示されている。
図7のロータ22は、湾曲したロータブレード24と平らな空間を備える。
【0052】
図8のロータ22は、半径方向に延在する平坦なロータブレード24を備える。ロータブレード24の間には、それぞれ屋根
の形の構造42が設けられている。その際、それぞれの棟
の先端部44は、ロータブレード24の運動方向に対して平行に延在する。その際、棟
の先端部44は、ブレード24の半径方向外側端部を接続する。したがって、接続したロータブレード24である。棟
の先端部44に向かう面46は、凹状に形成されている。
【0053】
図9~
図11のロータ22は、全て矢印形状で形成されており、及び基本的には大きさとブレード数若しくは相対的なブレード間隔が異なる。その上、このロータは、ブレードとブレードの空間にそれぞれ棟
の先端部44を有する屋根
の形の構造42を備える。その際、
図9と
図10のロータ22の棟
の先端部44は、それ自体が湾曲して形成されているが、
図11の棟側縁部44は基本的には直線的に形成されている。
図9~
図11の全ての棟
の先端部44は、それぞれのブレード尖端部から隣接する一つのブレードの底面にまで延在する。したがって、ロータブレード24は接続されていない。
【0054】
図12で示されている実施形態のロータ22のブレード24は、最終的に湾曲して形成されている。その際、このブレードは、特に数と大きさに関して
図7の実施例と異なる。
【0055】
図13には、プロセス装置50と再循環装置52とを有するシステムが示されている。その際、再循環システム52は、サイドチャネルポンプ20として形成されている再循環ポンプを備える。プロセス装置50は、インレット54とアウトレット56とを備える。インレット54は、戻されたガスがインレット54へ戻されるように、再循環装置52と接続されている。その上、別のマスフローが、別の配管を介してインレット54に供給される。同様に、アウトレット56は、再循環装置52若しくはサイドチャネルポンプ20と接続されており、またアウトレット56の部分的マスフローを収容する別の配管とも接続されている。したがって、
図13のシステムにおいて、プロセス装置を通過するマスフローの一部が、再循環される。プロセス装置50は、例えば燃料電池である。この場合、マスフローは、例えば、水素を含有し得る。燃料電池によって消費されない余剰水素が、最終的に消費されるために、再循環装置52によってインレット54へ戻される。したがって、燃料電池の効率を改善することができる。特に、アウトレット56の下流にセパレータを設けることができ、そのセパレータが余剰水素のできる限り多くをサイドチャネルポンプ20に供給する。
【0056】
図13のシステムのプロセス装置50は、例えば内燃機関のような、例えば燃焼装置であり得る。その際、再循環装置52は、アウトレット56の質量流から廃ガスを取り出し、インレット54で供給空気流へ戻すことによって、廃ガス返送を構成する。
【0057】
図14は、ガス流に関して閉鎖された、プロセス装置50及びサイドチャネルポンプ20を有する再循環装置52を備えるシステムを示す。プロセス装置50内にあるガスは、例えばプロセス装置内のガス混合物の相形成を避けるために、再循環装置52とそのサイドチャネルポンプ20とを介して循環することができる。
【0058】
ガス流に関して閉鎖された別のシステムを、
図15が示す。このシステムは、同様にプロセス装置50,再循環装置52及びサイドチャネルポンプ20を含む。
図15の再循環装置52は、戻されたガスを処理するための処理装置58をさらに含む。処理装置58は、例えばガスを洗浄及び/又は温度調整するために形成することができる。処理装置は、例えば
図13の再循環装置の一部であり得る。閉鎖されたシステムに関する
図14と
図15のシステムと関連して言及される限りでは、これらの単に概略的な図面が別のガスシステム及び配管システムを排除しないことがわかる。
【0059】
図では、サイドチャネル又はサイドチャネルポンプ段が軸方向にずらして配置されている実施形態のみが示されている。本発明による再循環装置のサイドチャネルポンプは、例えば、半径方向にずらしたサイドチャネルポンプ段も備え得ることがわかる。軸方向と半径方向とにずらした段の組み合わせも可能である。最後に、サイドチャネルポンプは、別のポンピング原理を備えるポンプ段と有利に接続することもできる。
【符号の説明】
【0060】
20 サイドチャネルポンプ
22 ロータ
24 ロータブレード
26 サイドチャネル
28 シャフト
30 固定子
32 回転子
34 接続体
36 間隙パイプ
38 軸受
40 間隙
42 先がとがった屋根の形の構造
44 棟の先端部
46 面
50 プロセス装置
52 再循環装置
54 インレット
56 アウトレット
58 処理装置