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特許7261203表示装置、表示装置の制御方法、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】表示装置、表示装置の制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/50 20220101AFI20230412BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230412BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
H05B45/50
G09G3/20 670C
G09G3/34 J
G09G3/20 670N
G09G3/20 670M
G09G3/20 670P
G09G3/20 612A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020125795
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021914
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】井出 匡宏
(72)【発明者】
【氏名】上土橋 尚弘
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-068986(JP,A)
【文献】特開2012-160413(JP,A)
【文献】特開2008-016326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/50
G09G 3/20
G09G 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される電圧である入力電圧を検知し、当該入力電圧を表す入力電圧情報を生成する入力電圧検知部と、
上記入力電圧情報が表す入力電圧に応じて輝度情報を生成する輝度情報生成部と、
上記入力電圧情報と前記輝度情報とを参照し、上記入力電圧情報と上記輝度情報との対応関係における異常の有無をチェックする第1のチェック部と、を備え、
マトリクス状に配置された複数の発光ダイオードにより構成され、且つ、PWM(Pulse Width Modulation)調光方式を用いてエリア駆動されるバックライトを更に備え、
上記輝度情報は、上記複数の発光ダイオードの各々を駆動するデューティ比を表すデューティ比情報と、上記複数の発光ダイオードの各々を駆動する駆動電流を表す駆動電流情報とを含み、
上記第1のチェック部は、上記デューティ比の合計値であるデューティ合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常有りとし、
上記閾値は、上記駆動電流に応じて定められている、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
当該表示装置の状態をユーザに報知する第1の報知部を更に備え、
上記第1のチェック部は、上記入力電圧情報と上記輝度情報との対応関係が異常有りである場合に、上記複数の発光ダイオードを消灯又は減光させるとともに、上記報知部を用いて異常有りであることをユーザに報知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記入力電圧検知部は、複数の入力電圧検知部を含み、
上記複数の入力電圧検知部の各々が出力する上記入力電圧情報が一致していない場合に異常有りとする第2のチェック部を更に備えている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
当該表示装置の状態をユーザに報知する第2の報知部を更に備え、
上記第2のチェック部は、上記複数の入力電圧検知部の各々が出力する上記入力電圧情報が一致していない場合に、上記複数の発光ダイオードを消灯又は減光させるとともに、上記第2の報知部を用いて異常有りであることをユーザに報知する、
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
外部から入力される電圧である入力電圧を検知し、当該入力電圧を表す入力電圧情報を生成する入力電圧検知部と、
上記入力電圧情報が表す入力電圧に応じて輝度情報を生成する輝度情報生成部と、
上記入力電圧情報と前記輝度情報とを参照し、上記入力電圧情報と上記輝度情報との対応関係における異常の有無をチェックする第1のチェック部と、を備え
マトリクス状に配置され、且つ、各々が自発光する複数の自発光素子を更に備え、
上記輝度情報は、上記複数の自発光素子の各々に印加する電圧を表す電圧情報を含み、
上記第1のチェック部は、上記複数の自発光素子のうち所定の領域に設けられている複数の自発光素子における上記電圧の合計値である電圧合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常ありとし、
上記閾値は、上記電圧に応じて定められている、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
当該表示装置の状態をユーザに報知する第1の報知部を更に備え、
上記第1のチェック部は、上記入力電圧情報と上記輝度情報との対応関係が異常有りである場合に、上記複数の自発光素子を消灯又は減光させるとともに、上記報知部を用いて異常有りであることをユーザに報知する、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
上記入力電圧検知部は、複数の入力電圧検知部を含み、
上記複数の入力電圧検知部の各々が出力する上記入力電圧情報が一致していない場合に異常有りとする第2のチェック部を更に備えている、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の表示装置。
【請求項8】
当該表示装置の状態をユーザに報知する第2の報知部を更に備え、
上記第2のチェック部は、上記複数の入力電圧検知部の各々が出力する上記入力電圧情報が一致していない場合に、上記複数の自発光素子を消灯又は減光させるとともに、上記第2の報知部を用いて異常有りであることをユーザに報知する、
ことを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
外部から入力される電圧である入力電圧を検知する入力電圧検知工程と、
上記入力電圧に応じて輝度情報を生成する輝度情報生成工程と、
上記入力電圧と上記輝度情報とを参照し、上記入力電圧と上記輝度情報との対応関係における異常の有無をチェックする第1のチェック工程と、を含んでいる、表示装置の制御方法であって、
上記表示装置は、マトリクス状に配置された複数の発光ダイオードにより構成され、且つ、PWM(Pulse Width Modulation)調光方式を用いてエリア駆動されるバックライトを備え、
上記輝度情報は、上記複数の発光ダイオードの各々を駆動するデューティ比を表すデューティ比情報と、上記複数の発光ダイオードの各々を駆動する駆動電流を表す駆動電流情報とを含み、
上記第1のチェック工程は、上記デューティ比の合計値であるデューティ合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常有りとし、
上記閾値は、上記駆動電流に応じて定められている、
ことを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項10】
外部から入力される電圧である入力電圧を検知する入力電圧検知工程と、
上記入力電圧に応じて輝度情報を生成する輝度情報生成工程と、
上記入力電圧と上記輝度情報とを参照し、上記入力電圧と上記輝度情報との対応関係における異常の有無をチェックする第1のチェック工程と、を含んでいる、表示装置の制御方法であって、
上記表示装置は、マトリクス状に配置され、且つ、各々が自発光する複数の自発光素子を更に備え、
上記輝度情報は、上記複数の自発光素子の各々に印加する電圧を表す電圧情報を含み、
上記第1のチェック工程は、上記複数の自発光素子のうち所定の領域に設けられている複数の自発光素子における上記電圧の合計値である電圧合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常ありとし、上記閾値は、上記電圧に応じて定められていることを特徴とする表示装置の制御方法。
【請求項11】
請求項1又は5に記載の表示装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記第1のチェック部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示装置の制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図2には、バックライトを備えた表示装置に電力を供給する電源装置が記載されている。この電源装置は、電源回路と、入力電圧検知器と、を備えている。電源回路は、昇圧回路と、放電ランプと、コントロール回路と、を備えている。
【0003】
入力電圧検知器は、電源装置の外部から供給される商用電源の電圧(以下において入力電圧と呼ぶ)を検知する。
【0004】
コントロール回路は、入力電圧検知器が検知した入力電圧に応じて、昇圧回路のゲインをコントロールすることにより放電ランプに印加する電圧である整流出力電圧をコントロールする。具体的には、入力電圧が相対的に小さい(例えば100V)場合、整流出力電圧を相対的に高く設定する高電圧モードを採用し、入力電圧が相対的に大きい(例えば200V)場合、整流出力電圧を相対的に低く設定する低電圧モードを採用する。その結果、コントロール回路は、入力電圧が変動した場合であっても、放電ランプの輝度が高くなりすぎたり、低くなりすぎたりすることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-186762号公報(2001年7月6日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、なんらかの不具合がコントロール回路に生じることにより、入力電圧と、コントロール回路が採用する動作モードとが整合しない異常が生じる可能性がある。たとえば、入力電圧が200Vであるにも関わらずコントロール回路が低電圧モードを採用した場合、整流出力電圧が過剰に高くなる可能性がある。
【0007】
このような課題は、バックライトとして放電ランプの代わりに発光ダイオード(LED)を採用している表示装置の電源装置においても生じ得る。たとえば、入力電圧が100Vであるにも関わらずコントロール回路が高電圧モードを採用した場合、LEDに供給する駆動電流が過剰に高くなる可能性がある。
【0008】
本発明の一態様に係る発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、なんらかの不具合に起因して、入力電圧と表示装置の動作モードとが整合しなくなった場合に、そのような異常を検出可能な安全保護技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、外部から入力される電圧である入力電圧を検知し、当該入力電圧を表す入力電圧情報を生成する入力電圧検知部と、上記入力電圧情報が表す入力電圧に応じて輝度情報を生成する輝度情報生成部と、上記入力電圧情報と前記輝度情報とを参照し、上記電圧情報と上記輝度情報との対応関係における異常の有無をチェックする第1のチェック部と、を備えている。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の別の一態様に係る表示装置の制御方法は、外部から入力される電圧である入力電圧を検知する入力電圧検知工程と、上記入力電圧に応じて輝度情報を生成する輝度情報生成工程と、上記入力電圧と上記輝度情報とを参照し、上記入力電圧と上記輝度情報との対応関係における異常の有無をチェックする第1のチェック工程と、を含んでいる。
【0011】
また、本発明の範疇には、本発明の一態様に係る表示装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムも含まれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、表示装置において、なんらかの不具合に起因して、入力電圧と表示装置の動作モードとが整合しなくなった場合に、そのような異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る安全保護装置のブロック図である。
図2図1に示した安全保護装置の変形例のブロック図である。
図3図2に示した変形例の実装例のブロック図である。
図4図2に示した変形例の実装例が備えているBL電力制御ユニットが処理する各信号のタイミングチャートである。
図5】本発明の第2の実施形態に係る安全装置の制御方法のフローチャートである。
図6】本発明の一態様に係る安全保護装置を搭載する液晶ディスプレイの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(表示装置の概要)
本発明の一態様に係る安全保護装置(例えば後述する安全保護装置10)は、テレビジョン受像器及びパソコン用のモニターとして広く普及している液晶ディスプレイの安全保護装置である。図6に示すように、液晶ディスプレイLCDは、バックライト(例えばバックライト15)と液晶パネルLCPとを備えており、バックライトを有する表示装置の一態様である。本実施形態において、バックライトは、マトリクス状に配置された複数の発光ダイオードにより構成され、且つ、PWM(Pulse Width Modulation)調光方式を用いてエリア駆動されるように構成されている。
【0015】
ただし、本発明の一態様に係る表示装置は、光透過型のディスプレイである液晶ディスプレイに限定されない。例えば、本発明の一態様に係る表示装置は、有機LED(Light Emitting Diode)ディスプレイあるいは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイと呼ばれる自発光型のディスプレイであってもよい。これらの自発光型のディスプレイは、マトリクス状に配置され、且つ、各々が自発光する複数の自発光素子である有機LED素子あるいは有機EL素子を備えている。
【0016】
また、本安全保護装置が搭載されることを想定している液晶ディスプレイLCDは、交流電力を供給する商用電源を電源として用いるように構成されている。
【0017】
商用電源の電圧は、地域ごとに定められており、例えば、日本においては、一般住宅及びオフィス用が100Vであり、工業用が200Vであり、アメリカ合衆国においては、州によって異なるが120V又は240Vであり、ヨーロッパの多くの国では、概ね220V以上240V以下の電圧範囲に含まれる。以下において、電圧が100V以上120V以下の電圧範囲に含まれる商用電源のことを100V系の商用電源と称し、電圧が200V以上240V以下の電圧範囲に含まれる商用電源のことを200V系の商用電源と称する。
【0018】
本安全保護装置は、100V系の商用電源から電力の供給を受けることも、200V系の商用電源から電力の供給を受けることもできるように構成されている。具体的には、本安全保護装置は、100V系及び200V系の商用電源の何れに接続された場合であっても、液晶ディスプレイLCDの消費電力が予め定められた定格の消費電力を超えない範囲において液晶ディスプレイLCDに電力を供給する。この定格の消費電力は、商用電源から液晶ディスプレイLCDに入力することができる定格の入力電流に基づいて定められている。
【0019】
この定格電流の一例としては、表1の正常な場合に示すように10Aが挙げられる。この場合、本安全保護装置の調光信号生成部12(図1を参照して後述する)は、(1)100V系の商用電源に本安全保護装置を接続されると、商用電源から供給される電力の電圧(すなわち入力電圧)が100Vであることを検知したうえで、動作モードとしてモード0を採用し、最大の消費電力が1000Wを超えない範囲において液晶ディスプレイLCDを動作させ、(2)200V系の商用電源に本安全保護装置を接続されると、入力電圧が200Vであることを検知したうえで、動作モードとしてモード1を採用し、最大の消費電力が2000Wを超えない範囲において液晶ディスプレイLCDを動作させる。なお、以下において、モード0のことを低電圧モードとも称し、モード1のことを高電圧モードとも称する。このように定格の入力電流及び消費電力を定めた場合、液晶ディスプレイLCDの輝度(バックライトの輝度ともいえる)は、モード0よりもモード1の方が高くなる。
【表1】
【0020】
しかしながら、調光信号生成部12(図1を参照して後述する)になんらかの不具合が生じることにより、入力電圧と、調光信号生成部12が採用する動作モードとが整合しない異常が生じる可能性がある。たとえば、表1の調光信号生成部12に不具合が生じた場合に示すように、入力電圧が200Vであるにも関わらず調光信号生成部12がモード0を選択する、又は、入力電圧が100Vであるにも関わらず調光信号生成部12がモード1を選択する可能性がある。前者の場合には、入力電流が5Aに限定されるため発熱に起因する問題は生じない。しかし、後者の場合には、入力電流が20Aになり定格の入力電流を超えるため、発熱に起因する問題が生じる可能性がある。
【0021】
本発明の安全保護技術は、なんらかの不具合に起因して、入力電圧と上述した動作モードとが整合しなくなった場合に、そのような異常を検出することができる。以下では、このような安全保護技術の一実施形態である安全保護装置を備えた表示装置、表示装置の制御方法、及び制御プログラムについて説明する。
【0022】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る安全保護装置10について、図1を参照して以下に説明する。図1は、安全保護装置10のブロック図である。
【0023】
図1に示すように、安全保護装置10は、入力電圧検知部11と、調光信号生成部12と、第1のチェック部13と、駆動部14と、バックライト15と、報知部16と、を備えている。
【0024】
(バックライト)
バックライト15は、液晶パネルLCPの全面にマトリクス状に配置された、直下型の複数の発光ダイオードにより構成されている。本実施形態において、バックライト15は、後述する駆動部14により、PWM(Pulse Width Modulation)調光方式を用いてエリア駆動(あるいは部分駆動)される。ただし、バックライト15は、直下型に限定されるものではなく、エッジ型であってもよいし、エリア駆動を採用していなくてもよい。
【0025】
複数の発光ダイオードの輝度は、各発光ダイオードを駆動する駆動電流と、PWMにおけるデューティ比とにより決まる。本実施形態において、駆動電流として、複数の発光ダイオードの全てに同じ値を採用し、複数の発光ダイオードの各々におけるデューティ比を変化させることによって、複数の発光ダイオードをエリア駆動している。
【0026】
(入力電圧検知部)
入力電圧検知部11は、安全保護装置10の外部から入力される交流電力の電圧である入力電圧を検知した結果を表す電圧検知情報と、当該入力電圧を表す入力電圧情報とを生成する。
【0027】
本実施形態において、電圧検知情報は、入力電圧が100Vである区間において0VであるLow状態をとり、入力電圧が200Vである区間においてLow状態と所定の電圧であるHigh状態とを交互にとる2値の電圧信号である。入力電圧が200Vである区間において、電圧検知情報は、パルス状の波形を有する。
【0028】
また、本実施形態において、入力電圧情報は、電圧検知情報が0Vである区間において0VであるLow状態をとり、電圧検知情報がパルス状の波形を有する区間において所定の電圧であるHigh状態をとる2値の電圧信号である。したがって、入力電圧情報がLow状態である場合は、入力電圧が100Vであることを表し、入力電圧情報がHigh状態である場合は、入力電圧が200Vであることを表す。
【0029】
なお、電圧検知情報及び入力電圧情報の具体的な波形については、図6を参照して後述する。
【0030】
(調光信号生成部)
調光信号生成部12は、入力電圧検知部11より入力電圧情報を直接取得する。調光信号生成部12は、入力電圧情報が表す入力電圧に応じて、動作モードをモード0及びモード1の何れかに設定する。モード0は、入力電圧が100Vである場合の動作モードであり、モード1は、入力電圧が200Vである場合の動作モードである。そのうえで、調光信号生成部12は、選択した動作モードに応じてバックライト15の輝度に対応する調光信号を生成する。調光信号は、バックライト15の輝度を表す輝度情報の一例である。また、調光信号生成部12は、輝度情報を生成する輝度情報生成部の一例である。
【0031】
上述したようにバックライト15の輝度は、モード0よりもモード1の方が高い。したがって、調光信号生成部12は、入力電圧情報がLow状態であるモード0の場合に、相対的に低い調光信号を生成し、入力電圧情報がHigh状態であるモード1の場合に、相対的に高い調光信号を生成する。
【0032】
調光信号は、おおむねバックライト15を構成する複数の発光ダイオードの輝度を表し、複数の発光ダイオードの駆動電流の設定値に読み替えられる。
【0033】
なお、本実施形態において、調光信号は、モード0及びモード1の各々について1値ではなく、所定の範囲に含まれる複数の値を取り得る。この構成については、変形例において後述する。
【0034】
また、安全保護装置10は、図2に示す変形例である安全保護装置10Aのように、画質向上部18Aを備えていてもよい。この場合、画質向上部18Aは、調光信号生成部12により生成された調光信号を調整することができる。この点については、変形例において後述する。
【0035】
(第1のチェック部)
第1のチェック部13は、入力電圧検知部11から入力電圧情報を直接取得し、調光信号生成部12から調光信号を直接取得する。ただし、入力電圧検知部11と第1のチェック部13との間には、他の機能ブロックが介在していてもよい。この場合、第1のチェック部13は、入力電圧検知部11より他の機能ブロックを介して、間接的に、入力電圧情報を取得する。また、調光信号生成部12と第1のチェック部13との間には、他の機能ブロックが介在していてもよい。この場合、第1のチェック部13は、調光信号生成部12より他の機能ブロックを介して、間接的に、調光信号を取得する。調光信号生成部12と第1のチェック部13との間に介在する他の機能ブロックの一例としては、後述する駆動部14が挙げられる。また、変形例において後述する画質向上部18Aもその一例である。
【0036】
第1のチェック部13は、入力電圧情報と、調光信号とを参照し、入力電圧情報と調光信号との対応関係における異常の有無をチェックし、異常の有無を表す第1の異常検知情報を生成する。第1の異常検知情報は、異常無しの場合に0VであるLow状態をとり、異常有りの場合に所定の電圧であるHigh状態をとる。第1のチェック部13は、異常有りと判定した場合に、後述する駆動部14を介して、後述するバックライト15を消灯又は減光させる。
【0037】
上述したように、入力電圧が200Vであるモード1である場合にとり得る調光信号の値は、入力電圧が100Vであるモード0である場合にとり得る調光信号の値よりも大きい。しがたって、入力電圧が100Vであるにも関わらず、なんらかの不具合により調光信号生成部12がモード1を選択した場合、調光信号の値は、入力電圧100Vに対応して定められている所定の範囲よりも大きな値になり得る。このような場合、第1のチェック部13は、入力電圧情報と調光信号との対応関係に異常があると判定する。
【0038】
(駆動部)
駆動部14は、第1のチェック部13から調光信号及び第1の異常検知情報を取得する。第1の異常検知情報が異常無しを表す場合、駆動部14は、調光信号に応じてバックライト15を構成する複数の発光ダイオードを駆動する。一方、第1の異常検知情報が異常有りを表す場合、駆動部14は、複数の発光ダイオードを消灯する。ただし、この場合に、駆動部14は、複数の発光ダイオードを消灯させる代わりに、所定の調光信号に基づき複数の発光ダイオードを減光させるように構成されていてもよい。所定の調光信号は、モード0に対応する調光信号の所定の範囲内に含まれていることが好ましい。
【0039】
また、駆動部14は、液晶ディスプレイが表示する画像を表す画像情報に応じて液晶パネルLCPを駆動する。
【0040】
(報知部)
報知部16は、第1の報知部の一例であり、第1のチェック部13から第1の異常検知情報を取得する。第1の異常検知情報が異常無しを表す場合、報知部16は、何もしない。第1の異常検知情報が異常有りを表す場合、報知部16は、異常有りであることをユーザに報知する。
【0041】
本実施形態において、報知部16は、ユーザに異常有りであることを報知する報知手段としてランプを採用している。報知部16は、このランプを点灯又は点滅させることによって、異常有りであることをユーザに報知することができる。ただし、報知手段は、これに限定されるものではなく、例えば、音声を用いて異常有りであることをユーザに報知することができるスピーカであってもよい。
【0042】
(自発光型ディスプレイ)
本実施形態では、安全保護装置10を備えている表示装置の一態様として液晶ディスプレイLCDを用い、安全保護装置10について説明している。ただし、上述したように、安全保護装置10は、有機LED(Light Emitting Diode)ディスプレイあるいは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイと呼ばれる自発光型のディスプレイにも搭載可能である。これらの自発光型のディスプレイは、マトリクス状に配置され、且つ、各々が自発光する複数の自発光素子である有機LED素子あるいは有機EL素子を備えている。
【0043】
安全保護装置10を自発光型のディスプレイに搭載する場合、輝度情報は、複数の自発光素子の各々に印加する電圧であるFETゲート-ソース電圧を表す電圧情報を含む。自発光素子の基本的な原理は、バックライト15を構成するLEDと同様である。すなわち、自発光素子の輝度(負荷)は、自発光素子に流す電流に依存している。具体的には、自発光素子に印加するFETゲート-ソース電圧を高めることによって、自発光素子に流す電流を多くするほど、自発光素子輝度は高くなる。
【0044】
また、第1のチェック部13は、輝度情報に含まれる電圧情報が表すFETゲート-ソース電圧の合計値である電圧合計値を算出し、この電圧合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常有りと判定するように構成されている。電圧合計値は、複数の自発光素子のうち所定の領域に設けられている複数の自発光素子のFETゲート-ソース電圧の合計値である。入力電圧情報と輝度情報との対応関係における異常の有無をチェックするために、第1のチェック部13が用いるテーブルの一例を表2に示す。
【表2】
【0045】
なお、複数の自発光素子のうち所定の領域は、適宜定めることができる。例えば、所定の領域は、自発光型のディスプレイにおける表示領域の全領域であってもよいし、上記表示領域の一部領域であってもよい。また、上記表示領域の一部領域を所定の領域とする場合、上記一部領域は、適宜定めることができる。例えば、上記一部領域は、自発光型のディスプレイにおける表示領域のうち外縁部分を除いた領域であってもよいし、上記表示領域のうち中央近傍のみの領域であってもよい。一部領域に含まれる自発光素子の数を変化させることなく電圧合計値の比較対象となる閾値を相対的に小さく設定した場合、安全マージンを相対的に大きくすることができる。
【0046】
また、第1のチェック部13は、入力電圧情報と輝度情報との対応関係が異常有りである場合に、複数の自発光素子を消灯又は減光させるとともに、報知部16を用いて異常有りであることをユーザに報知するように構成されている。
【0047】
〔変形例〕
図1に示した安全保護装置10の変形例である安全保護装置10Aについて、図2を参照して説明する。
【0048】
安全保護装置10Aは、安全保護装置10が備えている入力電圧検知部11、調光信号生成部12、第1のチェック部13、駆動部14、バックライト15、及び、報知部16の各々に対応する入力電圧検知部11A、調光信号生成部12A、第1のチェック部13A、駆動部14A、バックライト15A、及び、報知部16Aを備えている。また、安全保護装置10Aは、安全保護装置10と比較して、第2のチェック部17A及び画質向上部18Aを更に備えている。
【0049】
(入力電圧検知部)
図2に示すように、入力電圧検知部11Aは、2つの入力電圧検知部である入力電圧検知部111及び入力電圧検知部112を含んでいる。入力電圧検知部111,112の各々は、安全保護装置10が備えている入力電圧検知部11と同一に構成されている。したがって、入力電圧検知部111,112の各々は、それぞれ、安全保護装置10の外部から入力される交流電力の電圧である入力電圧を検知した結果を表す電圧検知情報と、当該入力電圧を表す入力電圧情報とを生成する。以下において、入力電圧検知部111,112の各々が生成した入力電圧情報を、それぞれ、第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報と称する。そのうえで、入力電圧検知部111,112の各々は、それぞれが生成した第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報を第2のチェック部17Aに供給する。
【0050】
本実施形態においては、入力電圧検知部11Aが2つの入力電圧検知部111,112を含んでいる場合を例にして、入力電圧検知部11Aを説明した。しかし、入力電圧検知部11Aに含まれる入力電圧検知部の数は、複数であれば限定されるものではなく、適宜選択することができる。
【0051】
(第2のチェック部)
第2のチェック部17Aは、第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報を入力電圧検知部11Aから取得する。第2のチェック部17Aは、第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報を参照し、第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報が互いに一致しているか否かをチェックし、異常の有無を表す第2の異常検知情報を生成する。第2のチェック部17Aは、第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報が一致している場合に異常無しと判定し、第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報が一致していない場合に異常有りと判定する。
【0052】
異常無しと判定した場合、第2のチェック部17Aは、一致した第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報を1つの入力電圧情報としてまとめ、この入力電圧情報を調光信号生成部12及び第1のチェック部13Aに供給する。
【0053】
一方、異常ありと判定した場合、第2のチェック部17Aは、異常有りであることを表す第2の入力電圧情報を第1のチェック部13A及び報知部16Aに供給する。
【0054】
このように、同一に構成された第1の入力電圧検知部111及び第2の入力電圧検知部112を含んでいることによって、入力電圧検知部11は、何れか一方の入力電圧検知部に不具合が生じた場合に備えた冗長性を確保することができる。
【0055】
(画質向上部)
画質向上部18Aは、調光信号生成部12が生成した調光信号を取得する。また、
画質向上部18Aは、液晶ディスプレイが表示する画像を表す画像情報を画像処理部(図2には不図示)から取得する。そのうえで、画質向上部18Aは、エリア駆動を実施するために、画像情報が表す画像の画柄を解析し、バックライト15を構成する複数の発光ダイオードの各々についてデューティ比を決定する。画質向上部18Aは、複数の発光ダイオードの各々についてのデューティ比を表すデューティ比情報を生成し、そのデューティ比情報を調光信号に含める。
【0056】
ただし、画質向上部18Aが実施する処理は、上述した処理に限定されるものではない。例えば、画質向上部18Aは、画像情報が表す画像をアップコンバートする構成を含んでいてもよい。また、画質向上部18Aは、調光信号に含まれるデューティ比の時系列における順番を、ラスタスキャンに準じた順番から、実際のバックライト15及び液晶パネルLCPの駆動する順番に並べ替える構成を含んでいてもよい。
【0057】
画質向上部18Aは、このような処理を施された調光信号であって、デューティ比情報を含む調光信号を第1のチェック部13Aに供給する。
【0058】
(調光信号生成部)
調光信号生成部12Aは、調光信号生成部12と同様に、入力電圧情報が表す入力電圧に応じて、バックライト15を構成する複数の発光ダイオードの各々の輝度に関する情報を含む調光信号を生成する。複数の発光ダイオードの各々の輝度は、複数の発光ダイオードの各々を駆動する駆動電流とも言い替えられるので、本変形例における調光信号は、複数の発光ダイオードの各々を駆動する駆動電流を表す駆動電流情報を含んでいる。
【0059】
調光信号生成部12Aが生成する調光信号は、モード0及びモード1の各々について1値ではなく、所定の範囲に含まれる複数の値を取り得る。調光信号生成部12Aは、モード0及びモード1の各々について定められた所定の範囲のなかから、ユーザがプリセットした液晶ディスプレイの輝度や表示モードなどに応じて、調光信号の値を選択する。このように本変形例における調光信号は、複数の発光ダイオードの輝度に応じて所定の範囲から選択される。
(第1のチェック部)
第1のチェック部13Aは、第2のチェック部17Aから入力電圧情報を取得する。すなわち、第1のチェック部13Aは、入力電圧検知部11Bから第2のチェック部17Aを介して間接的に、入力電圧情報を取得する。
【0060】
また、第1のチェック部13Aは、画質向上部18Aからデューティ比情報を含む調光信号を取得する。すなわち、第1のチェック部13Aは、調光信号生成部12から画質向上部18Aを介して間接的に、調光信号を取得する。
【0061】
第1のチェック部13は、第1のチェック部13と同様に、入力電圧情報と、調光信号とを参照し、入力電圧情報と調光信号との対応関係における異常の有無をチェックし、異常の有無を表す第1の異常検知情報を生成する。ただし、本変形例における調光信号は、デューティ比情報を含んでいる。したがって、第1のチェック部13Aは、デューティ比情報が表すデューティ比の合計値であるデューティ合計値を算出し、このデューティ合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常有りと判定する。デューティ合計値は、複数の発光ダイオードの各々についてのデューティ比の合計値である。入力電圧情報と調光信号との対応関係における異常の有無をチェックするために、第1のチェック部13Aが用いるテーブルを表3に示す。このように、デューティ合計値の閾値は、駆動電流に応じて定められている。
【表3】
【0062】
表3の入力の欄は、入力電圧情報に対応する動作モード、及び、複数の発光ダイオードの駆動電流に対応する駆動電流設定値を含む。また、表3の出力の欄は、動作モードごとに定められた駆動電流設定値の各々に対応するデューティ合計値の閾値を含む。
【0063】
第1のチェック部13Aがこのようなテーブルを用いることによって、バックライト15Aが複数の発光ダイオードにより構成され、且つ、PWM変調方式を用いてエリア駆動される場合であっても、第1のチェック部13Aは、入力電圧情報と調光信号との対応関係における異常の有無を適切にチェックすることができる。
【0064】
なお、上述したように、安全保護装置10は、有機LED(Light Emitting Diode)ディスプレイあるいは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイと呼ばれる自発光型のディスプレイにも搭載可能である。この場合、第1のチェック部13Aが用いるテーブルにおいて、駆動電流設定値をFETゲート-ソース電圧設定値に置き換え、デューティ合計値閾値を電圧合計値閾値に置き換えればよい。この場合、上記輝度情報は、複数の自発光素子の各々に印加する電圧であるFETゲート-ソース電圧を表す電圧情報を含み、閾値は、FETゲート-ソース電圧に応じて定められている。
【0065】
(駆動部)
駆動部14Aは、駆動部14と同様に、第1のチェック部13Aから調光信号及び第1の異常検知情報を取得する。第1の異常検知情報が異常無しを表す場合、駆動部14Aは、調光信号に応じてバックライト15Aを構成する複数の発光ダイオードを駆動する。一方、第1の異常検知情報が異常有りを表す場合、駆動部14Aは、複数の発光ダイオードを消灯又は減光する。
【0066】
なお、駆動部14Aが第1のチェック部13から取得する調光信号は、デューティ比情報を含んでいる。駆動部14Aは、デューティ比情報に応じて、バックライト15Aを予め定められたエリアごとに、PWM調光方式を用いて駆動する。
【0067】
(バックライト)
バックライト15Aは、PWM調光方式を用いてエリア駆動される点を除けば、バックライト15と同様に構成されている。したがって、本変形例では、バックライト15Aの説明を省略する。
【0068】
(報知部)
報知部16Aは、報知部16と同様に、第1の報知部の一例であり、第1のチェック部13Aから第1の異常検知情報を取得する。本変形例においては、報知部16Aにおける第1の異常検知情報に関連する処理の説明を省略する。
【0069】
また、報知部16Aは、第2の報知部の一例でもあり、第2のチェック部17Aから第2の異常検知情報を取得する。第2の異常検知情報が異常無しを表す場合、報知部16Aは、何もしない。第2の異常検知情報が異常有りを表す場合、報知部16Aは、異常有りであることをユーザに報知する。
【0070】
本変形例において、報知部16Aは、報知部16と同様に、ユーザに異常有りであることを報知する報知手段としてランプを採用している。なお、報知部16Aは、第1の異常検知情報が異常有りを表す場合においてランプを点灯又は点滅させる態様と、第2の異常検知情報が異常有りを表す場合においてランプを点灯又は点滅させる態様とを異ならせるように構成されている。この構成によれば、ユーザは、ランプの状態を識別することにより、第1の異常検知情報及び第2の異常検知情報の何れに異常があるのかを認識することができる。
【0071】
本変形例においては、報知部16Aが第1の報知部及び第2の報知部を兼ねている。ただし、第1の報知部及び第2の報知部の各々は、それぞれ、別個の報知部により構成されていてもよい。
【0072】
〔実装例〕
図2に示した安全保護装置10Aの実装例を実装した液晶ディスプレイ1について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、安全保護装置10Aの実装例のブロック図であり、図4は、安全保護装置10Aの実装例が備えているBL電力制御ユニットが処理する各信号のタイミングチャートである。図4には、商用電源から供給される交流電力における入力電圧と、電圧検知情報と、入力電圧情報と、異常検知情報とを図示している。
【0073】
本実施例においては、図2に示した安全保護装置10Aの各機能ブロックと、実装例の安全保護装置10Aを構成する集積回路(ICチップ)との対応関係について説明する。
【0074】
液晶ディスプレイ1は、図3に示すように、安全保護装置10Aと、液晶パネルLCPとを備えている。
【0075】
実装例である安全保護装置10Aは、商用電源に接続されるコンセントプラグと、入力電圧検知ユニットと、BL電力制御ユニットと、メイン制御ユニットと、画質向上ユニットと、PSUと、駆動ユニットと、バックライト15Aとを備えている。本実装例において、入力電圧検知ユニット、BL電力制御ユニット、メイン制御ユニット、画質向上ユニット、PSU、及び、駆動ユニットの各々は、何れも、集積回路により構成されている。
【0076】
入力電圧検知ユニットは、入力電圧検知部11Aに対応する。入力電圧検知ユニットに含まれている2つの集積回路は、2つの入力電圧検知部である入力電圧検知部111,112に対応している。2つの入力電圧検知部の各々は、それぞれが電圧検知情報DET_200_1及びDET_200_2を生成したうえで、第1の入力電圧情報であるDET_200_JUDGE1及び第2の入力電圧情報であるDET_200_JUDGE2を生成する(図4参照)。なお、図4は、2つの入力電圧検知部の何れにも異常がない状態を示している。したがって、2つの入力電圧検知部の各々のそれぞれが生成した2つの電圧検知情報は、一致しているし、2つの入力電圧検知部の各々のそれぞれが生成した2つの入力情報も一致している。
【0077】
本実装例において、入力電圧検知部の各々は、電圧検知情報の値が0Vである場合に、入力電圧情報を0VであるLow状態とし、電圧検知情報の値が0Vではなくなった場合に、入力電圧情報を所定の電圧であるHigh状態とする。また、入力電圧検知部の各々は、電圧検知情報がLow状態になった場合、所定の期間(本実施例においては8.3ms)にわたって電圧検知情報がLow状態のままである場合に、入力電圧情報をLow状態とする。
【0078】
BL電力制御ユニットは、第2のチェック部17A及び第1のチェック部13Aを含む集積回路である。
【0079】
BL電力制御ユニットは、第1の入力電圧情報であるDET_200_JUDGE1及び第2の入力電圧情報であるDET_200_JUDGE2を参照し、DET_200_1及びDET_200_2が一致していない場合に異常有りと判定する。
【0080】
メイン制御ユニットは、DET_200_JUDGE1及びDET_200_JUDGE2が一致している場合に、DET_200_JUDGE1及びDET_200_JUDGE2が表す入力電圧に応じて、動作モードを表す動作モード情報であるAC_STATUSを生成する。AC_STATUSは、動作モードがモード0である場合に0VであるLow状態をとり、動作モードがモード1である場合に所定の電圧であるHigh状態をとる2値の電圧信号である。本実装例において、メイン制御ユニットは、図4及び表4に示すように、動作モードを決定する。
【0081】
そのうえで、メイン制御ユニットは、動作モードに応じて調光信号を生成する。
【表4】
【0082】
画質向上ユニットは、画質向上部18Aに対応する。本実装例において、画質向上ユニットは、画質向上処理部及び調光マッピング部として機能する集積回路を含んでいる。画質向上処理部は、エリア駆動を実施するために、バックライト15Aを構成する複数の発光ダイオードの各々についてデューティ比を決定し、デューティ比を表すデューティ比情報を生成し、そのデューティ比情報を調光信号に含める。また、画質向上処理部は、画像情報が表す画像をアップコンバートする。調光マッピング部は、調光信号に含まれるデューティ比の時系列における順番を、ラスタスキャンに準じた順番から、実際のバックライト15及び液晶パネルLCPの駆動する順番に並べ替える。
【0083】
BL電力制御ユニットは、メイン制御ユニットが生成した調光信号であって、画質向上ユニットによりデューティ比情報を含められた調光信号を取得する。BL電力制御ユニットは、入力電圧情報と調光信号との対応関係における異常の有無をチェックする。
【0084】
駆動ユニットは、駆動部14Aに対応する。
【0085】
バックライト15Aは、図2に示した安全保護装置10Aのバックライト15Aに対応する。
【0086】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る制御方法M10について、図5を参照して説明する。制御方法M10は、表示装置の一態様である液晶ディスプレイを制御するように構成されている。図5は、液晶ディスプレイの制御方法M10のフローチャートである。液晶ディスプレイの制御方法M10は、図2に示した安全保護装置10Aが備えている各部が実行する処理を方法として表現したものである。
【0087】
図5に示すように、液晶ディスプレイの制御方法M10は、入力電圧検知工程S11と、第2のチェック工程S17と、調光信号生成工程S12と、第1のチェック工程S13とを含む。入力電圧検知工程S11、第2のチェック工程S17、調光信号生成工程S12、及び、第1のチェック工程S13の各々は、それぞれ、変形例において説明した入力電圧検知部11A、第2のチェック部17A、調光信号生成部12A、及び、第1のチェック部13Aが実行する処理に対応する。したがって、本実施形態では、これらの各工程について、簡単な説明に留める。
【0088】
なお、変形例において上述したように、バックライト15Aは、マトリクス状に配置された複数の発光ダイオードにより構成され、且つ、PWM(Pulse Width Modulation)調光方式を用いてエリア駆動されるバックライトである。そのうえで、輝度情報の一態様である調光信号には、複数の発光ダイオードの各々を駆動するデューティ比を表すデューティ比情報が含まれている。
【0089】
入力電圧検知工程S11は、安全保護装置10Aの外部から入力される交流電力の電圧である入力電圧を検知し、第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報を生成する工程である。
【0090】
第2のチェック工程S17は、第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報を参照し、第1の入力電圧情報及び第2の入力電圧情報が互いに一致しているか否かをチェックし、異常の有無を表す第2の異常検知情報を生成する。
【0091】
輝度情報生成工程の一態様である調光信号生成工程S12は、第2のチェック工程S17において異常無しと判定された場合に、入力電圧検知工程S11において検知された入力電圧に応じて、調光信号を生成する工程である。
【0092】
第1のチェック工程S13は、入力電圧検知工程S11において検知された入力電圧と、調光信号生成工程S12において生成された調光信号とを参照し、入力電圧と調光信号との対応関係における異常の有無をチェックする工程である。第1のチェック工程S13は、図2に示した第1のチェック部13Aと同様に、デューティ比情報が表すデューティ比の合計値であるデューティ合計値を算出し、このデューティ合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常有りと判定する。
【0093】
また、制御方法M10は、表示装置の一態様である自発光型のディスプレイを制御するように構成されていてもよい。自発光型のディスプレイは、マトリクス状に配置され、且つ、各々が自発光する複数の自発光素子を備えたディスプレイの総称である。自発光型のディスプレイの例としては、有機LEDディスプレイあるいは有機ELディスプレイが挙げられる。
【0094】
この場合、輝度情報には、複数の自発光素子の各々に印加する電圧を表す電圧情報が含まれている。そのうえで、第1のチェック工程S13は、上記複数の自発光素子のうち所定の領域に設けられている複数の自発光素子における上記電圧の合計値である電圧合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常ありとする、ように構成されている。
〔ソフトウェアによる実現例〕
表示装置が備えている安全保護装置10,10Aの制御ブロック(特に第1のチェック部13,13A及び第2のチェック部17A)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0095】
後者の場合、安全保護装置10,10Aは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0096】
〔まとめ〕
本発明の第1の態様に係る表示装置に含まれている安全保護装置(10,10A)は、外部から入力される電圧である入力電圧を検知し、当該入力電圧を表す入力電圧情報を生成する入力電圧検知部(11,11A)と、上記入力電圧情報が表す入力電圧に応じて輝度情報を生成する輝度情報生成部(調光信号生成部12,12A)と、上記入力電圧情報と前記輝度情報とを参照し、上記電圧情報と上記輝度情報との対応関係における異常の有無をチェックする第1のチェック部(13,13A)と、を備えている。
【0097】
上記の構成によれば、第1のチェック部(13,13A)が上記入力電圧情報と上記調光信号との対応関係における異常の有無をチェックすることができる。したがって、本発明の第1の態様に係る安全保護装置(10,10A)は、なんらかの不具合に起因して、入力電圧と表示装置の動作モードとが整合しなくなった場合に、そのような異常を検出することができる。
【0098】
本発明の第2の態様に係る表示装置に含まれている安全保護装置(10A)は、上記第1の態様に係る安全保護装置の構成に加えて、マトリクス状に配置された複数の発光ダイオードにより構成され、且つ、PWM(Pulse Width Modulation)調光方式を用いてエリア駆動されるバックライト(15A)を更に備え、上記輝度情報は、上記複数の発光ダイオードの各々を駆動するデューティ比を表すデューティ比情報を含み、
第1のチェック部(13A)は、上記デューティ比の合計値であるデューティ合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常有りとする、構成が採用されている。
【0099】
上記の構成によれば、バックライト(15A)がマトリクス状に配置された複数の発光ダイオードにより構成され、且つ、PWM(Pulse Width Modulation)調光方式を用いてエリア駆動される場合であっても、入力電圧と表示装置の動作モードとが整合しない異常を検出することができる。
【0100】
本発明の第3の態様に係る表示装置に含まれている安全保護装置(10,10A)は、上記第1の態様に係る安全保護装置(10,10A)の構成に加えて、マトリクス状に配置され、且つ、各々が自発光する複数の自発光素子を更に備え、上記輝度情報は、上記複数の自発光素子の各々に印加する電圧を表す電圧情報を含み、上記第1のチェック部は、上記複数の自発光素子のうち所定の領域に設けられている複数の自発光素子における上記電圧の合計値である電圧合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常ありとする、構成が採用されている。
【0101】
上記の構成によれば、表示装置が自発光型のディスプレイである場合であっても、入力電圧と表示装置の動作モードとが整合しない異常を検出することができる。
【0102】
本発明の第4の態様に係る表示装置に含まれている安全保護装置(10A)は、上記第2の態様又は上記第3の態様に係る安全保護装置(10A)の構成に加えて、上記輝度情報が、上記複数の発光ダイオードの各々を駆動する駆動電流を表す駆動電流情報を更に含む場合、上記閾値は、上記駆動電流に応じて定められており、上記輝度情報が、上記複数の自発光素子の各々に印加する電圧を表す上記電圧情報を含む場合、上記閾値は、上記電圧に応じて定められている、構成が採用されている。
【0103】
上記の構成によれば、表示装置が液晶ディスプレイ及び自発光型のディスプレイの何れの場合においても、ユーザがプリセットした表示装置の輝度や表示モードなどに起因して、上記複数の発光ダイオードの各々を駆動する駆動電流、又は、上記複数の自発光素子の各々に印加する電圧として複数の値を採用しえる場合であっても、入力電圧と表示装置の動作モードとが整合しない異常を検出することができる。
【0104】
本発明の第5の態様に係る表示装置に含まれている安全保護装置(10,10A)は、上記第1の態様~第4の態様の何れか一態様に係る安全保護装置(10,10A)の構成に加えて、当該表示装置の状態をユーザに報知する第1の報知部(16,16A)を更に備え、第1のチェック部(13,13A)は、上記入力電圧情報と上記輝度情報との対応関係が異常有りである場合に、上記複数の発光ダイオード又は上記複数の自発光素子を消灯又は減光させるとともに、報知部(16,16A)を用いて異常有りであることをユーザに報知する、構成が採用されている。
【0105】
上記の構成によれば、バックライト(15,15A)又は上記複数の自発光素子が消灯又は減光された原因をユーザに報知することができるので、ユーザが感じ得る不安感を緩和することができる。
【0106】
本発明の第6の態様に係る表示装置に含まれている安全保護装置(10A)は、上記第1の態様~第5の態様の何れか一態様に係る安全保護装置(10,10A)の構成に加えて、上記入力電圧検知部(11A)は、複数の入力電圧検知部(111,112)を含み、上記複数の入力電圧検知部(111,112)の各々が出力する上記入力電圧情報が一致していない場合に異常有りとする第2のチェック部(17A)を更に備えている、構成が採用されている。
【0107】
上記の構成によれば、入力電圧検知部(11A)は、何れか一方の入力電圧検知部(111又は112)に不具合が生じた場合に備えた冗長性を確保することができるとともに、何れか一方の入力電圧検知部(111又は112)に不具合が生じたことを検出することができる。
【0108】
本発明の第7の態様に係る表示装置に含まれている安全保護装置(10A)は、上記第5の態様に係る安全保護装置(10A)の構成に加えて、当該表示装置の状態をユーザに報知する第2の報知部(16A)を更に備え、上記第2のチェック部(17A)は、上記複数の入力電圧検知部の各々が出力する上記入力電圧情報が一致していない場合に、上記複数の発光ダイオード又は上記複数の自発光素子を消灯又は減光させるとともに、第2の報知部(16A)を用いて異常有りであることをユーザに報知する、構成が採用されている。
【0109】
上記の構成によれば、バックライト(15A)又は上記複数の自発光素子が消灯又は減光された原因をユーザに報知することができるので、ユーザが感じ得る不安感を緩和することができる。
【0110】
本発明の第8の態様に係る表示装置の制御方法(安全保護方法M10)は、外部から入力される電圧である入力電圧を検知する入力電圧検知工程(S11)と、上記入力電圧に応じて輝度情報を生成する輝度情報生成工程(S12)と、上記入力電圧と上記輝度情報とを参照し、上記入力電圧と上記輝度情報との対応関係における異常の有無をチェックする第1のチェック工程(S13)と、を含んでいる。
【0111】
上記の構成によれば、本発明の第1の態様に係る表示装置に含まれている安全保護装置(10,10A)と同様の効果を奏する。
【0112】
本発明の第9の態様に係る表示装置の制御方法(安全保護方法M10)は、上記第8の態様に係る表示装置の制御方法(安全保護方法M10)の構成に加えて、マトリクス状に配置された複数の発光ダイオードであって、PWM(Pulse Width Modulation)調光方式を用いてエリア駆動される複数の発光ダイオードの各々におけるデューティ比をデューティ合計値として、上記第1のチェック工程(S13)は、上記デューティ合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常有りとする、構成が採用されている。
【0113】
上記の構成によれば、本発明の第2の態様に係る表示装置に含まれている安全保護装置(10A)と同様の効果を奏する。
【0114】
本発明の第10の態様に係る表示装置の制御方法(安全保護方法M10)は、上記第8の態様に係る表示装置の制御方法(安全保護方法M10)の構成に加えて、マトリクス状に配置され、且つ、各々が自発光する複数の自発光素子を更に備え、上記輝度情報は、上記複数の自発光素子の各々に印加する電圧を表す電圧情報を含み、上記第1のチェック工程は、上記複数の自発光素子のうち所定の領域に設けられている複数の自発光素子における上記電圧の合計値である電圧合計値が予め定められた閾値を超えた場合に異常ありとする、構成が採用されている。
【0115】
上記の構成によれば、本発明の第4の態様に係る表示装置に含まれている安全保護装置(10)と同様の効果を奏する。
【0116】
本発明の各態様に係る表示装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを表示装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより、表示装置をコンピュータにて実現させる表示装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
【0117】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 液晶ディスプレイ(表示装置)
10,10A 安全保護装置
11,11A 入力電圧検知部
12,12A 調光信号生成部(輝度情報生成部)
13,13A 第1のチェック部
14,14A 駆動部
15,15A バックライト
16,16A 報知部(第1の報知部及び第2の報知部)
17A 第2のチェック部
18A 画質向上部
図1
図2
図3
図4
図5
図6