(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】自浄特性を有する結腸洗浄システム
(51)【国際特許分類】
A61M 3/02 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
A61M3/02 110
A61M3/02 126
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020219517
(22)【出願日】2020-12-28
(62)【分割の表示】P 2016537600の分割
【原出願日】2014-08-28
【審査請求日】2021-01-25
(32)【優先日】2013-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516060358
【氏名又は名称】モータス ジーアイ メディカル テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MOTUS GI MEDICAL TECHNOLOGIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】ノーム ハシドフ
(72)【発明者】
【氏名】イヤル コチャヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ロイ ツクラン
(72)【発明者】
【氏名】ボリス シュトゥル
(72)【発明者】
【氏名】コビ ルレコ
(72)【発明者】
【氏名】ツァック アロノン
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-520567(JP,A)
【文献】特表2013-516300(JP,A)
【文献】特開平5-161711(JP,A)
【文献】米国特許第4626239(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腸を洗浄するためのシステムであって、
前記システムの排出管腔を通じて近位方向圧力又は遠位方向圧力を付与するように構成された圧力源と、
前記排出管腔の圧力レベルを検出するように構成された少なくとも
一のセンサと、
前記少なくとも
一のセンサから受け取る前記圧力レベルを入力として受け取るように構成されたコントローラと、を有し、
前記コントローラは、前記排出管腔の圧力変化に応じて前記圧力源に信号を送って
同一方向の圧力の変化を付与するように構成され、
前記同一方向の圧力の変化は前記排出管腔内の妨害物の箇所の運動を増加し、もって
前記排出管腔から前記妨害物を
除去し、
前記同一方向の圧力の変化において、前記遠位方向圧力と前記近位方向圧力との間の圧力の方向が維持され、且つ、前記圧力レベルが時間が経過するにつれて増加と減少を繰り返すシステム。
【請求項2】
請求項
1に記載のシステムにおいて、前記コントローラは、前記同一方向の圧力の変化と
二方向の圧力の変化とを交互に行う
ように構成され、前記2方向の圧力の変化において、圧力の方向が前記遠位方向圧力と前記近位方向圧力との間で反転するシステム。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の
システムにおいて、前記少なくとも
一のセンサによって検出された
前記排出管腔の前記圧力変化は、前記排出管腔の妨害物の存在及び前記妨害物の深刻度の判定を行い、前記判定に応じて
前記同一方向の圧力の変化を与えるために、前記システムコントローラによって使用される
システム。
【請求項4】
請求項1
~3のいずれか一項に記載の
システムにおいて、前記圧力源は、前記排出管腔を通じて遠位方向に又は前記排出管腔を通じて近位方向に物質を送出するように動作可能なポンプを有する
システム。
【請求項5】
請求項1
~4のいずれか一項に記載の
システムにおいて、前記排出管腔は、腸内に少なくとも部分的に挿入可能である
システム。
【請求項6】
請求項1
~5のいずれか一項に記載の
システムにおいて、
前記少なくとも一のセンサは、5ヘルツから200ヘルツまでから選択されたサンプリングレートで
前記圧力レベルを検出する
ように構成されるシステム。
【請求項7】
請求項1
~6のいずれか一項に記載の
システムにおいて、
前記同一方向の圧力の変化は、50ミリ秒から1000ミリ秒までの時間にわたって付与される
システム。
【請求項8】
請求項1
~7のいずれか一項に記載の
システムにおいて、
前記同一方向の圧力の変化は、5ヘルツ超の周波数で
の前記圧力
の変化
を含む
システム。
【請求項9】
請求項1
~8のいずれか一項に記載の
システムにおいて、
前記コントローラは、
前記圧力源に信号を送って、一連のパルスとして
の前記同一方向の圧力の変化を付与
するように構成されるシステム。
【請求項10】
請求項1
~9のいずれか一項に記載の
システムにおいて、
前記コントローラは、前記少なくとも
一のセンサによって検出された圧力レベルが前記排出管腔の妨害物の存在を依然として示す場合に
前記同一方向の圧力の変化の付与を延長する
するように構成されるシステム。
【請求項11】
請求項1
~10のいずれか一項に記載の
システムにおいて、前記システムコントローラは、前記少なくとも
一のセンサから受け取った
入力に基いて
前記同一方向の圧力の変化のパラメータを調節するように構成
されるシステム。
【請求項12】
請求項1
~11のいずれか一項に記載の
システムにおいて、前記システムコントローラは、前記圧力源の始動、停止又は速度若しくは出力の変化を制御する
ように構成されるシステム。
【請求項13】
請求項1
~12のいずれか一項に記載の
システムにおいて、前記少なくとも
一のセンサは、以下の群、すなわち、
(a)前記排出管腔の遠位部の外面、かつ、前記管腔の外側に位置付けられたセンサ、
(b)前記排出管腔の内部、かつ、前記排出管腔の遠位端から5ミリメートル以内に位置付けられたセンサ、
(c)前記排出管腔の内部、かつ、前記排出管腔の遠位端から5~30ミリメートル以内に位置付けられたセンサ、
(d)前記排出管腔の内部、かつ、前記排出管腔の遠位端から3~160センチメートル以内に位置付けられたセンサ、
(e)前記排出管腔の内部、かつ、前記排出管腔の遠位端から160~250センチメートル以内に位置付けられたセンサ、
(f)前記排出管腔の内部、かつ、前記排出管腔の遠位端から250センチメートル以上離れて位置付けられたセンサ、及び、
(g)前記排出管腔の遠位部に流体流を供給する流体供給管の内部に位置付けられたセンサ
から成る群から選択される複数のセンサを含む
システム。
【請求項14】
請求項1
~13のいずれか一項に記載の
システムにおいて、
前記コントローラは、前記同一方向の圧力の変化の付与の前に、前記排出管腔を通じた排出を一時停止させる
ように構成されるシステム。
【請求項15】
請求項1
~14のいずれか一項に記載の
システムにおいて、
前記コントローラは、前記少なくとも
一のセンサによって検出された100ミリ秒以内の10水銀柱ミリメートル以上の前記排出管腔の圧力変化に応じ
て自動的に
前記同一方向の圧力の変化を付与する
ように構成されるシステム。
【請求項16】
請求項1
~15のいずれか一項に記載の
システムにおいて、
前記コントローラは、少なくとも
二周期を含む一連の前記同一方向の圧力の変化を付与する
ように構成されるシステム。
【請求項17】
請求項1
~16のいずれか一項に記載の
システムにおいて、
前記コントローラは、前記同一方向の圧力の変化と2方向の圧力の変化とを交互に行う
ように構成され、前記
二方向の圧力の変化において、圧力の方向が前記遠位方向圧力と前記近位方向圧力との間で反転する
システム。
【請求項18】
請求項1
~17のいずれか一項に記載の
システムにおいて、
前記少なくとも一のセンサは、結腸内の圧力を検出
するように構成され、
前記コントローラは、検出された結腸内の圧力が150水銀柱ミリメートル未満であるときにのみ
前記同一方向の圧力の変化を付与する
ように構成されるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いくつかの態様においては、結腸及びその他の身体の管腔を洗浄するための
システムに関し、より具体的には、以下に限定されるわけではないが、自動化された自浄
特性を有する洗浄システム及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の消化管技術には、結腸から様々な糞便物質を洗浄するための方法が含まれている
。長期間の便秘による宿便の場合には、結腸の洗浄自体が方法の目的となり得る。その他
の場合には、結腸細胞を阻止されることなく検査するため、並びに/又は、診断検査及び
/若しくはこうした細胞の治療を容易にするために、結腸の洗浄が必要又は所望される。
【0003】
結腸鏡は、結腸及びその内容物を光学的及び/又は電子的に撮影するための手段を提供
する。結腸を観察するためのいくつかの方法では、灌注流体を用いて結腸の一部を水洗又
は洗浄しながら撮像を行う。灌注流体、糞便物質、及び/又は、その他の結腸内容物は、
吸引、及び/又は、身体から物質を放出するためのその他の手段によって結腸から取り出
される。
【0004】
いくつかの場合には、結腸鏡のワーキングチャネルによって結腸への灌注が行われる。
いくつかの場合には、結腸鏡のワーキングチャネルによって身体から糞便物質が運ばれる
。いくつかの場合には、洗浄システム及び結腸鏡の協働利用のために、灌注チャネル及び
/又は吸引チャネルを結腸鏡に接続することができる。排出流を阻止して問題を引き起こ
す発生妨害物を浄化するための特性を有する洗浄システムは、当分野で知られている。
【0005】
なお、以下の特許文献、すなわち、Tal Gordonらによる米国特許出願公開第
2010/0185056号、Tal Gordonらによる米国特許出願公開第201
1/0105845号、及び、Yoav Hirschらによる米国特許出願公開第20
12/0101336号は本願の技術分野に関するものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明のいくつかの態様の一側面によれば、腸を洗浄するためのシステムであって、腸
から灌注流体を排出するための排出管腔と、可変の出力圧力源と、排出管腔の中又は近傍
の環境条件を検出するように位置付けられた少なくとも1のセンサと、コントローラであ
って、少なくとも1のセンサからの通知に基づいて排出管腔に発生中の妨害物を判定し、
判定に基づいて、出力圧力源からの圧力を変化させて、発生中の妨害物を浄化するように
構成されたコントローラとを有することを特徴とするシステムが提供される。
【0007】
本発明のいくつかの態様によれば、出力圧力源は、近位方向及び遠位方向の圧力勾配を
排出管腔に交互に加えるように構成されている。
【0008】
本発明のいくつかの態様によれば、排出管腔の長さは、少なくともヒトの結腸の長さと
等しい。
【0009】
本発明のいくつかの態様によれば、発生中の妨害物は、排出速度が、灌注流体の腸への
注入速度と同等又はそれ以上である際に判定される。
【0010】
本発明のいくつかの態様によれば、発生中の妨害物は、排出管腔の断面の50%未満の
閉塞を形成する。
【0011】
本発明のいくつかの態様によれば、発生中の妨害物は、排出管腔の断面の10%未満の
閉塞を形成する。
【0012】
本発明のいくつかの態様によれば、発生中の妨害物は、排出管腔の閉塞状態の進行によ
り低下し始めた排出速度を有する。
【0013】
本発明のいくつかの態様によれば、発生中の妨害物は、排出管腔が50%超の閉塞に達
してから100ミリ秒以内に検出された妨害物を含む。
【0014】
本発明のいくつかの態様によれば、発生中の妨害物は、排出管腔が80%超の閉塞に達
してから50ミリ秒以内に検出された妨害物を含む。
【0015】
圧力の変化は、遠位方向の圧力を増加させ、その後、減少させる少なくとも2周期を含
む。
【0016】
本発明のいくつかの態様によれば、コントローラは、圧力を変化させる間、妨害物を再
判定するように構成されている。
【0017】
本発明のいくつかの態様によれば、コントローラは、妨害物に変化がないという再判定
の結果に基づいて、圧力の変化を調節するように構成されている。
【0018】
本発明のいくつかの態様によれば、調節は、圧力の変化の中止を含む。
【0019】
本発明のいくつかの態様によれば、調節は、圧力の変化の増加を含む。
【0020】
本発明のいくつかの態様によれば、判定は、発生中の妨害物のシステム内の位置の判定
を含み、位置の判定は、圧力の変化の基準となる。
【0021】
本発明のいくつかの態様の一側面によれば、請求項1に記載のシステムにおいて、以下
の群、すなわち、(a)排出管腔の遠位部の外面、かつ、管腔の外側に位置付けられたセ
ンサ、(b)排出管腔の内部、かつ、排出管腔の遠位端から5ミリメートル以内に位置付
けられたセンサ、(c)排出管腔の内部、かつ、排出管腔の遠位端から5~30ミリメー
トル以内に位置付けられたセンサ、(d)排出管腔の内部、かつ、排出管腔の遠位端から
3~160センチメートル以内に位置付けられたセンサ、(e)排出管腔の内部、かつ、
排出管腔の遠位端から160~250センチメートル以内に位置付けられたセンサ、(e
)排出管腔の内部、かつ、排出管腔の遠位端から250センチメートル以上離れて位置付
けられたセンサ、及び、(g)排出管腔の遠位部に流体流を供給する流体供給管の内部に
位置付けられたセンサから成る群から選択される少なくとも1のセンサのうち2以上を含
むシステムが提供される。
【0022】
本発明のいくつかの態様によれば、出力圧力源は、物質を、排出管腔を通じて遠位方向
に送出するように構成された第1ポンプを有する。
【0023】
本発明のいくつかの態様によれば、第1ポンプはさらに、物質を、排出管腔を通じて近
位方向に送出するように構成されている。
【0024】
本発明のいくつかの態様によれば、出力圧力源は、物質を、排出管腔を通じて近位方向
に送出するように構成された第2ポンプを有する。
【0025】
本発明のいくつかの態様によれば、記出力圧力源は、弁及び真空源インレットを有し、
弁は制御可能であり、それにより、排出管腔と真空源インレットとが接続及び分断される
。
【0026】
本発明のいくつかの態様によれば、出力圧力源は、弁及び加圧流体インレットを有し、
弁は制御可能であり、それにより、排出管腔と加圧流体インレットとが接続及び分断され
る。
【0027】
本発明のいくつかの態様によれば、少なくとも1のセンサは、光学的センサを含む。
【0028】
本発明のいくつかの態様によれば、光学的センサは、混濁度、粒子サイズ、粒子数又は
粒子スペクトルから成る群のうち少なくともいずれかを感知する。
【0029】
本発明のいくつかの態様によれば、少なくとも1のセンサは、バルク物質特性を感知す
るセンサを含む。
【0030】
本発明のいくつかの態様によれば、バルク物質特性は、pH、コンダクタンス、溶質濃
度又は浸透圧から成る群のうち少なくともいずれかである。
【0031】
本発明のいくつかの態様によれば、少なくとも1のセンサは、流れセンサを含む。
【0032】
本発明のいくつかの態様によれば、少なくとも1のセンサは、流体圧力センサを含む。
【0033】
本発明のいくつかの態様によれば、発生中の妨害物の判定は、以下の群、すなわち、(
a)1又は複数のセンサからの圧力、(b)2以上のセンサ間の圧力差、(c)流れ、(
d)光学的特性、及び、(e)バルク物質特性について感知された変化から成る群のうち
少なくともいずれかを含む。
【0034】
本発明のいくつかの態様によれば、システムは、複数の排出管腔を有する。
【0035】
本発明のいくつかの態様によれば、出力圧力源によって複数の排出管腔それぞれに加え
られる圧力は、個々に制御可能である。
【0036】
本発明のいくつかの態様によれば、複数の排出管腔のうち第1排出管腔における排出圧
力は、遠位方向に方向付けられ、同時に、複数の排出管腔のうち第2排出管腔における排
出圧力は、近位方向に方向付けられる。
【0037】
本発明のいくつかの態様によれば、複数の排出管腔は、管腔の遠位端から100センチ
メートル以内に、排出物質の通路として寸法付けられた接合連絡部を有する。
【0038】
本発明のいくつかの態様によれば、少なくとも1のセンサは、排出管腔の圧力を検出す
るように位置付けられており、発生中の妨害物の判定は、排出管腔における圧力変化の判
定を含む。
【0039】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力変化の判定は、圧力変化の開始の判定を含む。
【0040】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力変化の判定は、100ミリ秒以内の10水銀柱
ミリメートル以上の圧力変化の判定を含む。
【0041】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力変化の判定は、150ミリ秒以内の20水銀柱
ミリメートル以上の圧力変化の判定を含む。
【0042】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力変化の判定は、200ミリ秒以内の30水銀柱
ミリメートル以上の圧力変化の判定を含む。
【0043】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力変化の判定は、100ミリ秒以内の、少なくと
も1のセンサのうち2のセンサ間の10水銀柱ミリメートル以上の差動圧力変化の判定を
含む。
【0044】
本発明のいくつかの態様の一側面によれば、腸洗浄システムの排出管腔の妨害物を浄化
するための方法であって、排出管腔を結腸中に50cm以上挿入するステップと、排出管
腔を通じて、結腸から近位方向に排泄物を排出するステップと、排出管腔に発生中の妨害
物を自動的に検出するステップと、妨害物の自動的な検出に基づいて、排出管腔の圧力の
変化を開始させるステップとを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0045】
本発明のいくつかの態様によれば、挿入は、結腸の遠位端から20センチメートル以内
とする。
【0046】
本発明のいくつかの態様によれば、方法は、発生中の妨害物が減少したことを自動的に
検出するステップと、自動的な圧力の変化を停止するステップとを含む。
【0047】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力の変化は、排出管腔の圧力を、遠位方向の圧力
と近位方向の圧力との間で交互に変化させることを含む。
【0048】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力の変化は、1ヘルツ超の周波数でなされる。
【0049】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力の変化は、1ヘルツ超の周波数で、圧力を、遠
位方向と近位方向との間で反転させる。
【0050】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力の変化は、5ヘルツ超の周波数でなされる。
【0051】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力の変化は、5ヘルツ超の周波数で、圧力を、遠
位方向から近位方向に反転させる。
【0052】
本発明のいくつかの態様によれば、自動的な検出は、毎分5回以上行われる。
【0053】
本発明のいくつかの態様によれば、排出管腔は、相並んで配された複数の排出副管腔を
有し、圧力の変化は、遠位方向の圧力を1の排出副管腔に、近位方向の圧力を別の排出副
管腔に加えるように制御される。
【0054】
本発明のいくつかの態様によれば、複数の排出副管腔は、排出副管腔の遠位端から20
ミリメートル以内において、液通を可能にする連絡部で接合されている。
【0055】
本発明のいくつかの態様によれば、開始される圧力の変化は、判定された、発生中の妨
害物の程度に基づいて、調整される。
【0056】
本発明のいくつかの態様によれば、開始される圧力の変化は、判定された、発生中の妨
害物の位置に基づいて、調整される。
【0057】
本発明のいくつかの態様によれば、発生中の妨害物の検出は、排出管腔の流れの減少の
感知を含む。
【0058】
本発明のいくつかの態様によれば、発生中の妨害物の検出は、排出管腔の圧力変化の感
知を含む。
【0059】
本発明のいくつかの態様によれば、検出された発生中の妨害物は、判定された妨害物の
位置と関連付けられており、圧力の変化は、妨害物の位置に基づいて調整される。
【0060】
本発明のいくつかの態様によれば、方法は、排出管腔の遠位端において、結腸に供給さ
れる灌注流体の圧力を変化させるステップを含む。
【0061】
本発明のいくつかの態様によれば、供給された灌注流体は、排出管腔の遠位端を洗浄す
る。
【0062】
本発明のいくつかの態様の一側面によれば、腸を洗浄するためのシステムであって、腸
から灌注流体を排出するための複数の排出管腔と、近位方向及び遠位方向の圧力勾配を複
数の排出管腔それぞれに別個に交互に加えるように構成された圧力源と、複数の排出管腔
の中又は近傍の環境条件を検出するように位置付けられた少なくとも1のセンサであって
、少なくとも1のセンサのうち1以上のセンサは、結腸内の圧力レベルを通知するように
構成されている少なくとも1のセンサと、コントローラであって、少なくとも1のセンサ
からの通知に基づいて排出管腔の妨害物の有無を判定し、結腸内の圧力レベルが圧力安全
条件を満たすか否か判定し、圧力安全条件が満たされている場合にのみ、妨害物の有無に
基づいて、圧力源からの圧力を変化させて妨害物を浄化するように構成されたコントロー
ラとを有することを特徴とするシステムが提供される。
【0063】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力安全条件は、結腸内の圧力が150水銀柱ミリ
メートル未満であれば満たされる。
【0064】
本発明のいくつかの態様によれば、圧力安全条件は、結腸内の圧力が200水銀柱ミリ
メートル未満であれば満たされる。
【0065】
本発明のいくつかの態様の一側面によれば、腸を洗浄するためのシステムであって、腸
から灌注流体を排出するための排出管腔と、近位方向及び遠位方向の圧力勾配を排出管腔
に交互に加えるように構成された圧力源と、排出管腔の中又は近傍の環境条件を検出する
ように位置付けられた少なくとも1のセンサと、コントローラであって、少なくとも1の
センサからの通知に基づいて、排出管腔内の流れの制限を判定し、判定に基づいて、圧力
源からの圧力を変化させて、流れの制限を低減するように構成されたコントローラとを有
することを特徴とするシステムが提供される。
【0066】
本発明のいくつかの態様によれば、流れの制限は、排出管腔の壁に蓄積された物質によ
る部分的なライニングを含む。
【0067】
本発明のいくつかの態様によれば、流れの制限は、排出管腔の形状変化を含む。
【0068】
本発明のいくつかの態様によれば、流れの制限は、排出管腔中の乱流を含む。
【0069】
特に断りがない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語及び/又は科学的用語
は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書中に記載の方法及び材料と類似又は同等である方法及び材料を本発明の態様の実
施又は試験で使用することもできるが、以下では、例示的な方法及び/又は材料について
記載する。矛盾がある場合には、定義を含めて、本明細書が優先するものとする。また、
材料、方法及び実施例は例示にすぎず、必ずしも限定的に意図されたものではない。
【0070】
当業者によって理解されるように、本発明の側面は、システム、方法又はコンピュータ
・プログラム製品として実現することができる。したがって、本発明の側面は、完全にハ
ードウェアの態様、完全にソフトウェアの態様(例えば、ファームウェア、常駐ソフトウ
ェア及びマイクロコードなど)、又は、ソフトウェアの側面とハードウェアの側面とを組
み合わせた態様を取ることができ、これらは全て、本明細書中で、一般的に、「回路」、
「モジュール」又は「システム」と呼称することができる。さらに、本発明の側面は、コ
ンピュータ可読プログラム・コードが組み込まれた1又は複数のコンピュータ可読媒体と
して実現されるコンピュータ・プログラム製品の形態を取ることができる。本発明の態様
に従った方法及び/又はシステムの実行は、選択されたタスクの、手動、自動又はこれら
の組み合わせによる実行又は完了を含み得る。さらに、本発明の方法及び/又はシステム
の態様に従った実際の機器や装置によって、いくつもの選択されたステップを、ハードウ
ェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、オペレーティングシステムを用いたこれら
の組合せによって実行することができる。
【0071】
例えば、本発明の態様による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チッ
プ又は回路として実施することができる。ソフトウェアとして、本発明の態様により選択
されたタスクは、コンピュータが適切なオペレーティングシステムを使って実行される複
数のソフトウェア命令として実施することができる。本発明の例示的な態様において、本
明細書中に記載の方法及び/又はシステムの例示的な態様による1つ以上のタスクは、デ
ータプロセッサ、例えば、複数の命令を実行する計算プラットフォームによって実行され
る。任意選択的に、データプロセッサは、命令及び/若しくはデータを格納するための揮
発性メモリ、並びに/又は、命令及び/若しくはデータを格納するための不揮発性記憶装
置(例えば、磁気ハードディスク、及び/若しくは取り外し可能な記憶媒体)を包含する
。任意選択的に、ネットワーク接続も提供される。また、任意選択的に、例えば、キーボ
ード又はマウスといったユーザ入力装置も提供される。
【0072】
任意の1又は複数のコンピュータ可読媒体の組み合わせを利用することができる。コン
ピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体とするこ
とができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、以下に制限されるわけではないが、
電子、磁気、光学、電磁気、赤外線又は半導体を用いたシステム、装置、デバイス、又は
これらの任意の適切な組み合わせとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体のより
具体的な例(非網羅的なリスト)として、例えば、1つ又は複数の配線を有する電気接続
、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハードディスク、ランダム・アクセス・メ
モリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用
メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブル・コンパクト・
ディスク読み出し専用メモリ(CDROM)、光学記憶素子、磁気記憶素子、又はこれら
の任意の適切な組み合わせが挙げられる。本明細書の文脈において、コンピュータ可読記
憶媒体は、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって又はそれらと関連して使用
されるプログラムを、収容又は格納することが可能な任意の有形媒体とすることができる
。
【0073】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンド内に又は搬送波の一部として組み
入れられたコンピュータ可読プログラム・コードを伴う、伝搬データ信号を包含し得る。
このような伝搬信号は、以下に制限されるわけではないが、電磁気、光又はこれらの任意
の適切な組み合わせを含む、様々な形態を取ることができる。コンピュータ可読信号媒体
は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、かつ、命令実行システム、装置又はデバイスに
よって又はそれらと関連して使用されるプログラムを、通信、伝搬又は伝送することが可
能な、任意のコンピュータ可読媒体とすることができる。
【0074】
コンピュータ可読媒体上に組み込まれたプログラム・コードは、以下に限定されるわけ
ではないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RF又はこれらの任意の適切な組み合わ
せを含む、任意の適切な媒体を用いて伝送することができる。
【0075】
本発明の側面による動作を実行するためのコンピュータ・プログラム・コードは、Ja
va(商標)、Smalltalk及びC++などといったオブジェクト指向プログラミ
ング言語、並びに、「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語といった従
来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組
み合わせで記述することができる。プログラム・コードは、スタンドアロン型のソフトウ
ェアパッケージとして、全体をユーザのコンピュータ上で、又は、部分的にユーザのコン
ピュータ上で実行してもよく、一部をユーザのコンピュータ上で、一部をリモート・コン
ピュータ上で実行しても、全体をリモート・コンピュータ又はサーバ上で実行してもよい
。後者の場合には、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LA
N)又は広域ネットワーク(WAN)といった任意のタイプのネットワークを通してユー
ザのコンピュータに接続しても、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを用
いるインターネットを通じて)外部コンピュータに対して接続してもよい。
【0076】
以下、本発明の側面について、本発明の態様による方法、装置(システム)及びコンピ
ュータ・プログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照しながら説明す
る。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びに、フローチャート図及
び/又はブロック図内のブロックの組み合わせは、コンピュータ・プログラム命令によっ
て実装することができることが理解されよう。これらのコンピュータ・プログラム命令を
汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は、その他のプログラム可能データ処理装置の
プロセッサに供して機械を製造し、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置
のプロセッサによって実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又
は複数のブロック内で指定された機能/動作を実装するための手段を作り出すようにする
ことができる。
【0077】
これらのコンピュータ・プログラム命令を、コンピュータ、その他のプログラム可能デ
ータ処理装置、又はその他の装置に特定の様式で機能させるように指示することが可能な
コンピュータ可読媒体内に格納して、コンピュータ可読媒体内に格納された命令が、フロ
ーチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内で指定された機能/動作を
実装する命令を含む製品を製造するようにすることもできる。
【0078】
コンピュータ・プログラム命令を、コンピュータ、その他のプログラム可能データ処理
装置、又はその他の装置にロードして、コンピュータ、その他のプログラム可能データ処
理装置、又はその他の装置で実施される一連の動作ステップを生じさせてコンピュータ実
装プロセスを生成し、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で実行される命令が、
フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内で指定された機能/動
作を実装するためのプロセスを提供するようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
本明細書では、添付の図面を参照しながら本発明のいくつかの実施形態について説明す
る。ただし、これらは例示にすぎない。ここで、詳細かつ具体的に図面を参照するが、強
調されるべき点として、図示されている詳細は例示のためのものにすぎず、本発明の実施
形態の例示説明を目的とするものである。この点に関して、図面を参照しながら行う説明
によって、本発明の実施形態の実施方法は当業者には明らかになるであろう。
【0080】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態に従った、結腸鏡ワークステーション及び洗浄ワークステーションを有する例示的な結腸洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図2A】本発明のいくつかの実施形態に従った、例示的な結腸洗浄システムのセンサ及び感知モジュールを概略的に示す図である。
【
図2B】本発明のいくつかの実施形態に従った、例示的な結腸洗浄システムのセンサ及び感知モジュールを概略的に示す図である。
【
図2C】本発明のいくつかの実施形態に従った、例示的な結腸洗浄システムのセンサ及び感知モジュールを概略的に示す図である。
【
図2D】本発明のいくつかの実施形態に従った、例示的な結腸洗浄システムのセンサ及び感知モジュールを概略的に示す図である。
【
図3A】本発明のいくつかの実施形態に従った、例示的な結腸洗浄システムのセンサ及び感知モジュールを概略的に示す図である。
【
図3B】本発明のいくつかの実施形態に従った、例示的な結腸洗浄システムのセンサ及び感知モジュールを概略的に示す図である。
【
図3C】本発明のいくつかの実施形態に従った、例示的な結腸洗浄システムのセンサ及び感知モジュールを概略的に示す図である。
【
図3D】本発明のいくつかの実施形態に従った、例示的な結腸洗浄システムのセンサ及び感知モジュールを概略的に示す図である。
【
図3E】本発明のいくつかの実施形態に従った、例示的な結腸洗浄システムのセンサ及び感知モジュールを概略的に示す図である。
【
図4A】本発明のいくつかの実施形態に従った、システムの物質の流れが詰まりによって閉塞された状態の洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図4B】本発明のいくつかの実施形態に従った、システムの物質の流れが詰まりによって閉塞された状態の洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図4C】本発明のいくつかの実施形態に従った、システムの物質の流れが詰まりによって閉塞された状態の洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図4D】本発明のいくつかの実施形態に従った、システムの物質の流れが詰まりによって閉塞された状態の洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図4E】本発明のいくつかの実施形態に従った、システムの物質の流れが詰まりによって閉塞された状態の洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図4F】本発明のいくつかの実施形態に従った洗浄システムを、洗浄システム内のセンサからの例示的な表示のテーブルと共に概略的に示す図である。
【
図5A】本発明のいくつかの実施形態に従った、システムの物質の流れが詰まりによって妨害され、その後浄化された双方向ポンプを有する洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図5B】本発明のいくつかの実施形態に従った、システムの物質の流れが詰まりによって妨害され、その後浄化された双方向ポンプを有する洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図5C】本発明のいくつかの実施形態に従った、システムの物質の流れが詰まりによって妨害され、その後浄化された双方向ポンプを有する洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態に従った、結腸洗浄方法を簡略的に示すフローチャートである。
【
図7A】本発明のいくつかの実施形態に従った、結腸鏡ワークステーション及び洗浄ワークステーションを有する例示的な結腸洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図7B】本発明のいくつかの実施形態に従った、結腸の内容物に近接した結腸鏡の先端を拡大して示す概略図である。
【
図8A】本発明のいくつかの実施形態に従った、別個の排出路のための2本の双方向ポンプを有する洗浄システムを概略的に示す図である。
【
図8B】本発明のいくつかの実施形態に従った、一対の結腸洗浄システムの排出チャネルにおける相対的な圧力対時間の例示的なプロットを示す図である。
【
図8C】本発明のいくつかの実施形態に従った、一対の結腸洗浄システムの排出チャネルにおける相対的な圧力対時間の例示的なプロットを示す図である。
【
図8D】本発明のいくつかの実施形態に従った、一対の結腸洗浄システムの排出チャネルにおける相対的な圧力対時間の例示的なプロットを示す図である。
【
図8E】本発明のいくつかの実施形態に従った、一対の結腸洗浄システムの排出チャネルにおける相対的な圧力対時間の例示的なプロットを示す図である。
【
図8F】本発明のいくつかの実施形態に従った、排出チャネル間の流体ブリッジを概略的に示す図である。
【
図9A】本発明のいくつかの実施形態に従った、灌注用の水パイプ及び/又は空気パイプを備えた使い捨ての管アセンブリ、並びに、排出パイプを有する例示的な洗浄ワークステーションを概略的に示す図である。
【
図9B】本発明のいくつかの実施形態に従った、灌注用及び双方向チャネル排出用の水パイプ及び空気パイプを備えた使い捨ての管アセンブリを有する例示的な洗浄ワークステーションを概略的に示す図である。
【
図10】本発明のいくつかの実施形態に従った、結腸ワークステーションを、洗浄ワークステーション及び使い捨ての装置と共に概略的に示す図である。
【
図11】本発明のいくつかの実施形態に従った、2本の双方向ポンプを有する洗浄システムを、結腸鏡と共に概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明は、そのいくつかの態様において、結腸及びその他の身体の管腔を洗浄するため
のシステムに関し、より具体的には、以下に限定されるわけではないが、自動化された自
浄特性を有する洗浄システム及び洗浄方法に関する。
(概要)
【0082】
本発明のいくつかの実施形態の主要な側面は、洗浄システムの排出チャネルを、糞便物
質又はその他の排出チャネルの妨害に関わる物質から浄化するための器具及び技術に関す
る。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態では、1又は複数の灌注チャネルは、灌注物質を結腸洗浄
システムの遠位端に運ぶ。また、1又は複数の排出チャネルは、結腸の排泄物と共に物質
を戻す。いくつかの実施形態では、運搬は、反転可能及び/又はそうでなければ可変的に
制御可能である。場合によっては、排出流を制御することによって、機器の故障による工
程の中断の必要を低減しつつ、使用中の妨害物を除去又は低減する。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、結腸洗浄システム及び/又はその動作環境に
おける条件のセンサに関する。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態では、1又は複数のセンサは、腸又は洗浄システムの内部
の圧力を検出する。
【0086】
追加的及び/又は代替的には、センサは、システムの内部又は外部の物質の別の特性、
例えば、流れ、流速、温度、導電性、光学密度、分光特性、pH、及び/又は、浸透圧を
検出する。いくつかの実施形態では、センサは、システムの構成要素をモニタする。例と
して、ポンプ容量計、充填レベルセンサ、及び/又は、弁若しくは吸入の位置センサが挙
げられる。
【0087】
いくつかの実施形態では、遠位センサは、有線又は無線の電波によってワークステーシ
ョンに接続されている。追加的及び/又は代替的には、ワークステーションのセンサは、
遠位側アウトレットを備えた1又は複数の感知ダクトの圧力を感知する。
【0088】
潜在的に及び/又は最近形成された流れの妨害物を、妨害物が形成される早い段階で示
すことができるセンサを設けることが効果的であると考えられる。任意選択的には、妨害
物は、排出流体によって運ばれた妨害物質を含む。任意選択的には、妨害物質は、塊を含
む。任意選択的には、妨害物質は、排出管腔壁の付着物を含む。可能性としては、早期の
検出によって、形成中の妨害物が排出機能を阻止する前にそれを浄化する動作を開始する
ことができる。妨害物質は、その有無の感知が早いほど浄化しやすいと考えられる。任意
選択的には、妨害物は、排出管腔の形状変化による流れの制限を成す。変化は、例えば、
排出管腔内のキンキング又は減少した圧力によるものであり得る。可能性としては、排出
管腔の圧力変化は、流れの制限を低減する。任意選択的には、流れの制限は、乱流による
抵抗を含む。可能性としては、排出管腔に加えられる圧力変化は、乱流及びそれに関連の
抵抗を低減する。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、結腸洗浄システムの構成要素を動作させる制
御信号を判定するために、感知及び/又は判定されるシステム状態の使用に関する。制御
された動作中の感知の変化は、任意選択的に、システムに対する命令による制御及び/又
は閉ループ制御を可能にする。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態では、状態を判定するためにセンサデータを処理する。例
示的な状態として、チャネルの妨害物と腸の圧力とが挙げられる。いくつかの実施形態で
は、システムの排出チャネルの妨害物の判定により、妨害物の洗浄のために結腸洗浄シス
テムを動作させる信号が誘出される。例えば、先端の妨害物が判定されると、吸引を中止
する信号が誘出される。任意選択的には、制御信号は、状態判定の詳細事項に基づいて変
調される。判定される詳細事項として、例えば、妨害物が充満、部分的若しくは発生中で
あること、妨害物の位置、及び/又は、妨害物のタイプ(例えば、排泄物粒子若しくは採
取細胞)が挙げられる。
【0091】
妨害物及び潜在的な妨害物の浄化のための動作制御は、排出流の妨害を低減するために
効果的であると考えられる。結腸に物質が付着すると、工程の進行の遅延、及び/又は、
浄化の完了時の目視に対する妨げが生じかねない。圧力増加を引き起こす物質の付着は、
患者にとっても潜在的な危険となる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態では、感知及び制御はフィードバックによる相互作用を行
う。フィードバックの一例では、流れの方向は、判定された妨害物の状況が緩和されるま
でチャネルで繰り返される。別の例では、制御下のプローブ圧力の変化が命令される。こ
れらが感知されチャネルに伝播される速度は、場合によっては、非圧縮性流体及び圧縮性
気体の相対的容量、及び/又は、流れの静電容量を示す。場合によっては、これは排出流
体の発泡を示し得る。これによって又は別の実際に感知された状態によって、タイミング
、圧力及び/又は流れ制御のパラメータを任意選択的に変化させる。別の例では、制御信
号によって、2以上の副システムで感知される相対的な効果のバランスが保たれる。任意
選択的には、これは、灌注容量と排出容量のバランスを保つのに有用である。
【0093】
いくつかの実施形態では、フォルト状態(例えば、腸の超過圧力、除去不可能な妨害物
、又は、予期せぬセンサ値)は、制御応答を生じさせる。フォルト応答として、例えば、
シャットダウン、一時停止、システム構成要素の使用率の低下及び/又は増加が挙げられ
る。
【0094】
いくつかの実施形態では、センサからのフィードバックを用いて、排出されるべき糞便
物質と混合した流体を給送する流体給送システムの流れを制御する。いくつかの実施形態
では、給送される流体は、気体、例えば、二酸化炭素及び/又は空気を含む。いくつかの
実施形態では、給送される流体は、液体、例えば、水又は塩水を含む。本発明のいくつか
の実施形態では、供給物は、気体及び水の混合物、例えば、流体供給管から共に噴出され
る水及び気体を含む。いくつかの実施形態では、腸内の圧力の感知を用いて、実際の、内
在的な、発生中の、及び/又は、潜在的に発生している腸の超過圧力(本明細書中ではこ
れらを全て超過圧力状態と呼称する)を検出する。超過圧力状態として、例えば、安全限
界点超の圧力、及び/又は、変化速度から安全限界点に間もなく達するであろう変化圧力
が挙げられる。いくつかの実施形態では、流体供給速度の低下、流体供給物における気体
の液体に対する比率の変化(例えば、気体量の減少)、及び/又は、流体供給の中止によ
って、システムは超過圧力状態に対応する。いくつかの実施形態では、流体供給に対する
排出速度の比率は調節される。任意選択的には、排出速度が増加しても流体供給速度は一
定のまま保たれる。本発明のいくつかの実施形態では、流体供給は一時停止される。本発
明のいくつかの実施形態では、(追加的又は代替的に)その他の制限、例えば、灌注シー
ケンスの長さに対する制限が課される。本発明のいくつかの実施形態では、(例えば、腸
の末端に位置付けることができる)洗浄システムの遠位端、かつ、洗浄システムの管腔の
外部にセンサが配され、腸内の圧力に直接晒される。感知された圧力は、超過圧力の検出
及びフィードバック制御の基準として利用される。いくつかの実施形態では、排出及び灌
注を行う際に、洗浄装置の圧力及び/又は流体源の結腸に対する入出力のバランスが保た
れるように、超過圧力は、コントローラの命令による適切な動作(物質の流れの増加及び
減少)によって調節される。いくつかの実施形態では、灌注の制御は、排出管腔の妨害物
を洗浄及び/又は防止するための浄化動作を行う際の灌注の停止及び低減を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、操作者の入力が、例えば、灌注及び/又は吸引の開始、持続
時間及び/又は強度といった制御信号に影響を与える。いくつかの実施形態では、装置の
動作にかかるパラメータは、タイマーによる、例えば、予めプログラムされた洗浄周期内
の制御、又は、腸の溢れを防止するための制限的な安全機構としての制御を含む。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、排出及び/又は灌注が行われる管腔断面積の
構成に関する。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態では、1本の大きなチャネルを複数の排出チャネルに置き
換える。任意選択的には、最大プローブ径の縮小を許容することにより、全体として同一
の断面を得ることができる。径はプローブの柔軟性にかかる要素であり、これは結腸鏡検
査法の遂行率に影響を与え得る。可能性としては、複数の排出チャネルを用いて、任意選
択的な独立した動作及び/又は動作の信頼性の向上が可能となる。
【0098】
本発明の少なくとも1の実施形態について説明する前に、理解されるべき点として、本
発明は、その適用において、以下の説明及び/又は図面に示されている構成要素及び/又
は方法の構成及び配置の詳細に必ずしも限定されるわけではない。本発明は他の実施形態
も実施可能であり、又は様々な方法で実施又は実行される。
【0099】
説明の便宜上、本明細書中に記載の洗浄システム及び洗浄方法は、「結腸洗浄」システ
ム及び方法と呼称されることもある。結腸洗浄は、本発明の実施形態の共用部分であると
考えられる。ただし、本明細書中に記載の方法及び装置は、腸のその他の部分及び/又は
その他の身体の管腔の洗浄にも利用することが可能な点を理解されたい。したがって、こ
うした方法及び装置に適用される「結腸洗浄」との用語は、結腸だけでなく、腸のその他
の部分及び/又はその他の身体の管腔の洗浄を包含している。
(結腸鏡を用いた洗浄システムの基準となる実施形態)
【0100】
ここで、
図1を参照する。
図1は、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った、結
腸鏡ワークステーション19及び洗浄ワークステーション31を有する結腸洗浄システム
を概略的に示す図である。
【0101】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、結腸鏡ワークステーション19及び洗浄ワ
ークステーション31は、水又は気体のパイプ33を介して接続されている。任意選択的
には、パイプ33の一端は洗浄ワークステーション31の水用又は気体用のパイプ32に
、他端は結腸鏡19の水用又は気体用のインレット18に接続している。任意選択的には
、結腸鏡の供給線11は、内管16を有する。結腸鏡の供給線11には、結腸鏡ハンドル
12を介して結腸鏡の挿入管13が接続されている。いくつかの実施形態では、ハンドル
12は真空弁20及びワークチャネルインレット21を有する。結腸鏡の先端14が、糞
便物質2で充満した結腸1に通された状態が図示されている。
【0102】
いくつかの例示的な実施形態では、洗浄ワークステーションポンプ34の一端はパイプ
35を介して結腸鏡ワークチャネル21に、他端は流体容器8に接続されている。いくつ
かの実施形態では、結腸鏡真空インレット17は、流体路9Aを介して流体容器8に接続
されている。任意選択的には、吸引壁ポンプ6は、調節器7を通じて、そして、通路9B
を介して容器8に接続されている。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態では、動作ポンプ32は、パイプ33及びインレット18
を通じて気体及び/又は水を結腸鏡ワークステーション19に供給することによって結腸
の灌注を増加させる。いくつかの実施形態では、灌注物質は、内管16及びワーキングチ
ャネル15を介して結腸鏡先端14まで供給され、糞便物質2を含んだ洗浄中の結腸1を
増大させる。本発明のいくつかの実施形態では、供給される気体は、例えば、空気又は二
酸化炭素を含む。
【0104】
発明のいくつかの実施形態では、糞便物質は、真空インレット17を用いて、結腸鏡ワ
ーキングチャネル15及び内管16を通じて排出される。任意選択的には、調節器7によ
って、インレット6は低圧力をパイプ路9B及び9Aに供給し、それにより、糞便物質を
流体容器8に吸引する。
【0105】
いくつかの実施形態では、洗浄ワーキングステーション31によって、排出を必要に応
じて増加させる。任意選択的には、動作ポンプ34及び/又は開口インレット21は、圧
力差を生じさせ、それにより、物質はパイプ35を通じて流体容器8中に移動する。
【0106】
本発明の実施形態によれば、結腸洗浄システムは、結腸鏡を構成するか、又は、結腸鏡
の部品である。代替的及び/又は追加的には、本明細書中に記載のいくつかの実施形態は
、結腸鏡とは別個のものであり、任意選択的には結腸鏡と併用可能な洗浄システムとして
実施することができる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態では、いくつかの構成要素は、結腸洗浄システムと併用さ
れる結腸鏡によって提供される。例えば、本発明のいくつかの実施形態による洗浄システ
ムは、結腸鏡のワーキングチャネルを灌注チャネル及び/又は物質排出チャネル(ここで
は、排出管腔とも呼称される)として用いる。いくつかの実施形態では、構成要素は、結
腸鏡とは別に設けられる。例えば、本発明のいくつかの実施形態による洗浄システムは、
結腸鏡の外部のチャネル又はその他の器具を灌注チャネル、排出チャネル、及び/又は、
その他のシステム構成要素として用いる。
(例示的な洗浄システムのセンサ及び動力装置)
【0108】
ここで、
図2Aを参照する。
図2Aは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った、
センサを有する結腸洗浄システム207を概略的に示す図である。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態では、洗浄システム207は、流体をチャネル(例えば、
ポンプ214、214.3及び214.4)を通じて移動させる1又は複数の動力装置を
有する。任意選択的には、動力装置は、コントローラ213からの信号によって動作する
。任意選択的には、コントローラ213は、1又は複数のセンサ204からの入力に基づ
いて制御信号を決定する。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態では、洗浄システム207は、患者の結腸1に挿入するこ
とができる挿入可能部分200と、外側のワークステーション210とを有する。いくつ
かの実施形態では、システム207は、灌注パイプ201を有し、灌注パイプ201を通
じて、灌注流体、例えば、水及び/又はその他の液体を結腸1中に供給することができる
。灌注パイプ201は、水源又はその他の液体源211に接続可能である。
(例示的な動力装置)
【0111】
システム207は、任意選択的には、結腸1から排出された排泄物質(例えば、糞便物
質)を捕集するための1又は複数の排泄物捕集装置212A及び212Wを有する。また
、システム207は、任意選択的には、結腸1からシステム207を通じて物質を排出す
るための吸引を行う排出ポンプ214.3及び214.4を有する。結腸洗浄作業の何ら
かの段階において、ポンプ214.3及び214.4は(任意選択的には、灌注パイプ2
01からの液体によって弛緩及び/又は運搬された)糞便物質を、結腸1から排出チャネ
ル203を介して排泄物捕集装置212A及び212Wへと排出する。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態では、排出ポンプ214.3及び214.4は装置の外部
にある。任意選択的には、排出ポンプ214.3及び214.4は、多くの病院及び診療
所で利用可能な真空源コネクタによって得られるような遠隔ポンプから供給される真空へ
の接続部である。この場合、本明細書中のポンプ214.3及び214.4の制御(例え
ば、吸引発生動作の開始及び停止)に関する言及は、洗浄システムの排出管をそうした遠
隔真空源に接続する弁の制御を示しているものとして理解されよう。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態では、システム207は、結腸1内の圧力を測定するよう
に、排出チャネル203の遠位端の上又は近傍に位置付けられた圧力センサ204を有す
る。いくつかの実施形態では、センサ204は、圧力表示をコントローラ213に通知す
る。任意選択的には、コントローラ213は、1又は複数のポンプ214、214.3及
び/又は214.4の動作を制御する。動作制御として、例えば、ポンプ214、214
.3及び214.4の開始、停止、及び/又は、速度若しくは動力の変化が挙げられる。
任意選択的には、動作制御は、センサ204で検出された圧力表示に基づくものである。
【0114】
いくつかの実施形態では、コントローラ213は、センサ204によるセンサ表示に基
づいて及び/又はその関数として、ポンプ214、214.3及び214.4に対する命
令を算出及び送信するプロセッサを有する。任意選択的には、制御は、その他の感知機構
及び/又はシステム207への入力(例えば、ユーザによって入力された命令)に基づく
ものである。
【0115】
いくつかの実施形態では、システム207は、水及び/又はその他の流体をシステム2
07に投入するための浄化ポンプ214を有する。また、任意選択的には、システム20
7は、例えば、水、その他の液体、液状と気体との混合物、及び/又は、加圧気体又は二
酸化炭素といった気体の流体源211を有する。任意選択的には、浄化ポンプ214は、
圧力下の流体をシステム207の浄化部分、例えば、排出チャネル203に導入する。浄
化は、例えば、センサ204又はその他の源からの入力に基づいてコントローラ213が
排出チャネル203の妨害物を判定した際に始動される。本実施形態によれば、コントロ
ーラ213は、有線又は無線の接続205を介してポンプ214、214.3及び214
.4を制御する。
【0116】
システム207のいくつかの実施形態では、コントローラ213、浄化ポンプ214、
排出ポンプ214.3及び214.4、並びに、排泄物捕集装置212Wのうち一部又は
全てがワークステーション210においてグループ化される。
(例示的なセンサ位置)
【0117】
図2Aには、排出チャネル203の遠位端、かつ、当該チャネルの外部に位置付けられ
た例示的なセンサ204が示されている。この位置のセンサ204は、チャネル203が
結腸1に挿入されると、結腸1内の圧力を直接測定する。本発明のいくつかの実施形態で
は、センサ204は電子圧力センサである。
【0118】
ここで、
図2B~
図2Dを参照する。
図2B~
図2Dは、本発明のいくつかの例示的な
実施形態に従った、
図2Aと同様の洗浄システム207内の追加的又は代替的なセンサの
配置位置を概略的に示す図である。
【0119】
図2Bでは、例示的なセンサ204がチャネル203の遠位端又はその近傍、かつ、チ
ャネル203の内部に位置付けされている。この構成では、センサ204は、チャネル2
03の遠位部の内部の圧力を測定及び通知する。任意選択的には、センサ204は、コネ
クタ220を通じた有線接続205によってコントローラ213に接続されている。本発
明のいくつかの実施形態では、有線接続205は、チャネル203内にその長さの全体又
は一部に沿ってめぐらされている。また、接続は、(例えば、コネクタ220を通じて)
チャネル203の外部の、使用中に結腸に挿入されるチャネル203の部分に対して近位
となる箇所にめぐらされている。本発明のいくつかの実施形態では、コネクタ220は導
電性接続である。本発明のいくつかの実施形態では、接続は、例えば、電波又は光学的結
合による接続といった無線のものである。
【0120】
図2Bでは、例示的なセンサ204が排出チャネル203の内部、かつ、チャネル20
3の遠位端から距離221を置いた位置に位置付けされている。実施形態によれば、距離
221は、例えば、0mm、1mm、2mm、5mm、10mm、20mm、30mm、
これらの間の任意の距離、又は、より長い若しくは短い距離である。
【0121】
図2Dでは、例示的なセンサ204A、204B及び204Cがチャネル203の近位
端又はその近傍に位置付けされている。3台のセンサ、すなわち、チャネル203の近位
端のセンサ204Aと、排出ポンプ214.4をチャネル203に接続する副チャネルの
センサ204Bと、浄化ポンプ214.3を排出チャネル203に接続する副チャネルの
センサ204Cとが示されている。任意選択的には、センサ204は、チャネル203の
外部に配される。場合によっては、これにより、腸内の圧力を直接感知することが可能と
なる。これは、例えば、圧力を感知して腸の超過圧力を防止するために有利であると考え
られる。超過圧力の防止は、例えば、気体又は流体の(例えば、灌注パイプ201による
)腸への給送を中止及び/又は低減することによってなされる。いくつかの実施形態では
、圧力が超過圧力状態、それに近い状態及び/又はそれに正に近づいている(上昇)状態
である場合に、灌注パイプ201(任意選択的には、噴出給送システム)、又は、腸膨張
を維持する吹送管といったその他の気体若しくは流体の給送システムによる給送を低減及
び/又は中止する。いくつかの実施形態では、超過圧力に近づいている上昇中の圧力は、
少なくとも2の異なる時間に測定された圧力の差に基づいて判定される。追加的又は代替
的には、感知された超過圧力状態又はそれに近い状態において、排出速度を増加する。場
合によっては、これにより、洗浄を阻止することなく継続しながら過膨張を防止すること
ができる。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態では、
図2A~
図2D及び/又は本願のその他の図面に示
されているセンサの配置は組み合わせられる。本発明のいくつかの実施形態では、例えば
、
図2A~
図2Dのいずれかに示されている位置に単一のセンサ204を位置付けること
ができる。いくつかの実施形態では、例えば、冗長性を得るために、図示されている位置
に複数のセンサを位置付けることができる。追加的及び/又は代替的には、図示されてい
るような複数の位置にセンサを位置付けてもよい。
(例示的なセンサ装置)
【0123】
ここで、
図3A及び
図3Bを参照する。
図3A及び
図3Bは、本発明のいくつかの実施
形態に従った、遠隔圧力感知モジュールを有する結腸洗浄システム207を概略的に示す
図である。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態では、ポンプ214.5を駆動して、ポンプ214.5か
ら排出チャネル203の排出まで延びる管202に正の圧力を発生させることができる。
任意選択的には、ポンプ214.5は、ワークステーション210の内部に位置付けられ
る。任意選択的には、管202は、ヘッド装置230を介して排出チャネル203に接続
されている。ポンプ214.5によって送出されるワーキング流体は、例えば、空気、二
酸化炭素、水、又はその他の流体である。
【0125】
正の圧力によって、管202の中に流れ209が発生し得る。結腸洗浄中に、排出ポン
プ(図示せず)から行われる吸引によって、流れ209は排出チャネル203の遠位端に
入る。そこから、チャネル203の長さに沿ってシステム207の外部に導かれる。
【0126】
流れ209が阻止されることなく継続する間は、管202及びチャネル203で圧力が
蓄積することはない。流れセンサ又は圧力センサ204は、圧力又は流れ209の速度を
感知し、コントローラ213に通知する。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態では、塊又は妨害物によって排出チャネル203が閉塞又
は部分的に閉塞された場合に、流れはチャネル203から排出されないか、又は、十分に
排出されなくなる。チャネル203及び/又は管202には、圧力の蓄積及び/又は流速
の低下が生じる。圧力/流れセンサ204は変化を検出する。
【0128】
いくつかの実施形態では、センサ204は、変化及び/又は変化する値をコントローラ
213に通知する。いくつかの実施形態では、コントローラ213は、検出対象となる流
れの一滴又は圧力増加から、妨害物の有無を判定する。任意選択的には、コントローラ2
13は、妨害物を除去して流れ209を回復するための修正動作を開始する。この詳細に
ついては、例えば、
図4A~
図4F及び
図5A~
図5Cに関連付けて説明する。
【0129】
遠隔感知が用いられた構成に考えられる利点は、センサ及び関連の電子装置が、システ
ム207の身体外部の部分を占める点である。可能性としては、これは、身体の腔に電子
装置を導入する際の規制上の懸念事項を減少させる。管202の長さは、例えば、2メー
トル超、3メートル、4mメートル又はこれらの間の任意の長さとすることができる。
【0130】
ここで、
図3Cを参照する。
図3Cは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った
、結腸洗浄システム207の感知モジュールの変形例を概略的に示す図である。
【0131】
フォルト状態による洗浄システムの内部汚染を防止できる点が利点として考えられる。
【0132】
本発明のいくつかの実施形態では、逆流する物質に対するバリアを有する保護膜234
Mによって、発生し得る管202への逆流からセンサ204を保護する。いくつかの実施
形態では、膜234Mは、圧力変化が、膜234Mを通過してセンサ204が配されたチ
ャンバ234Aに伝達できる程十分に柔軟である。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態では、逆止弁232によって、カプラ233を通じた逆流
を阻止する。後方向の圧力がポンプ214.5の前方向の圧力に勝ると、弁は閉じ、それ
により、流れがコネクタ233を通過してシステムを汚染するのを防止する。
【0134】
ここで、
図3Dを参照する。
図3Dは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った
、結腸洗浄システム207の感知モジュールの変形例を概略的に示す図である。
【0135】
本発明のいくつかの実施形態では、ポンプ214.5により生じて管202を流れる流
れは、センサ204に対して遠位のセンサ(圧力及び/又は流れ計)204Aによって測
定される。任意選択的には、センサ(圧力及び/又は流れ計)204Aは、独立したワー
クステーション201Bに置かれる。そこから、コネクタ233及び追加的な流れ管20
2A、そして排出チャネル203の遠位部のアウトレットへと接続する。
【0136】
本実施形態で考えられる利点は、チャネル203におけるセンサ204Aと管202の
遠位側アウトレットとの間の距離231Aが小さくなる点である。この小さな距離は、距
離231A及び231Bの合計よりも短い。したがって、センサ204Aからの圧力及び
/又は流れの表示は、チャネル203の妨害物に対してより正確に応答し、それにより、
より正確なセンサ表示が得られると考えられる。
【0137】
ここで、
図3Eを参照する。
図3Eは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った
、結腸洗浄システム207の感知モジュールの変形例を概略的に示す図である。
【0138】
本発明のいくつかの実施形態では、ポンプ214.5により生じて管202を通じる流
れは、センサ204に対して遠位のセンサ(及び/又は流れ計)204Aによって測定さ
れる。任意選択的には、センサ(圧力及び/又は流れ計)204Aは、ワークステーショ
ン210の延長部分240に設けられる。センサ204Aは、コネクタ233を通じて排
出チャネル203の遠位部のアウトレットへと接続する。
【0139】
本実施形態で考えられる利点は、センサ204Aとチャネル203の管202の遠位側
アウトレットとの間の距離241Aが小さくなる点である。この小さな距離は、距離24
1A及び241Bの合計よりも短い。したがって、センサ204Aからの圧力及び/又は
流れの表示は、チャネル203の妨害物に対してより正確に応答し、それにより、より正
確なセンサ表示が得られると考えられる。
【0140】
図2A~
図3Eは、圧力感知及び流れ感知を含む例示的なセンサのタイプ及び構成に関
して先述したセンサの配置を示す図である。本発明のいくつかの実施形態では、1又は複
数の代替的なタイプのセンサによって、システムの内部又は外部の物質に関する別のパラ
メータを検出する。例として、流速、粒子感知、温度、導電性、光学密度、分光特性、p
H及び/又は浸透圧が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、センサのタイプに
適したプローブエネルギー源、例えば、光学的プローブのための光源を適宜設ける。
【0141】
実施形態によれば、センサのタイプは、以下の例示的な側面における結腸洗浄システム
の動作に関連するものである。
・流速センサは、体積ではなく速度によって流れを検出する。低い流速は、例えば、排出
チャネルの管腔における妨害物を示し得る。
・粒子センサは、感知領域内の粒子情報を提供する。実施形態によれば、粒子センサは、
例えば、妨害物を可能性として示す粒子運動率の提示、粒子のエネルギー的な破壊の必要
性及び/又は妨害物のリスク増加を可能性として示す粒子サイズの推定値の提示、及び/
又は、妨害物のリスク増加を可能性として示す粒子密度の値又は推定値の提示のために使
用される。
・温度センサは、感知領域内の温度を提示する。感知された流体温度の変化は、例えば、
流体の身体内での長い又は短い滞在時間を可能性として示す。任意選択的には、身体内で
の滞在時間は、身体温度とは異なる温度から始まる灌注流体の温度がヒトの身体温度と等
しくなるまでの大きさで表される。場合によっては、流体の滞在時間に関する情報は、シ
ステム内の実質的な流れの判定を補助する。
・導電性センサは、例えば、排出する排泄物流のコンダクタンスといった電導度の表示を
行う。コンダクタンスの変化は、例えば、排出物における気体及び流体の相対的混合比の
変化(例えば、発泡及び/若しくは流体略全ての排出の表示)、並びに/又は、排出チャ
ネル中の灌注流体及び腸流体のバランスの変化を可能性として示す。
・pHセンサは、流体中のイオン濃度を提示する。pHの変化は、例えば、排出チャネル
中の灌注流体及び腸流体のバランスの変化を可能性として示す。
・浸透圧センサは、流体中の溶質濃度の表示を行う。溶質濃度の変化は、例えば、排出チ
ャネル中の灌注流体及び腸流体のバランスの変化を可能性として示す。
・光学密度センサは、流体の光学密度の表示を行う。光学密度(及び、特に混濁度)の測
定は、例えば、排出された排泄物流の排泄物含有量及び/又は流体の発泡を可能性として
示す。ある範囲の光学的密度は、妨害物の発生の確率が高いことを可能性として示す。具
体的には、そうした範囲の下限は、チャネル中の粒子の相対的な不足によって、上限は、
粒子が小さく妨害物を形成する可能性が低いことが示される程度の十分な混濁度によって
定義することができる。追加的又は代替的には、高い光学密度は、発泡を可能性として示
す。
・スペクトルセンサは、光分光特性、例えば、光波長の関数である光学密度を示す。分光
特性の測定は、排出される灌注物質中の1又は複数の物質の濃度を可能性として明らかに
する。任意選択的には、照明、感知及び処置をヘモグロビン特性に合わせて調整する。場
合によっては、感知された排出される灌注物質中のヘモグロビンは、結腸鏡検査法におい
て僅かな割合で生じる深刻な合併症である出血を示す。いくつかの実施形態では、照明光
に似た分光特性を有する散乱が優位である発泡流体は、粒子含有量に応じて光を吸収する
分光特性を有する、粒子を含んだ流体と区別可能である。
・ポンプ動作及び/又は(例えば、ローターの回転速度又は加速速度の)送出効果パラメ
ータは、例えば、ポンプが運搬する物質の密度を可能性として示す。物質密度の減少は、
可能性として発泡を示す。
(例示的な妨害物の除去)
【0142】
ここで、
図4A~
図4Dを参照する。
図4A~
図4Dは、本発明のいくつかの例示的な
実施形態に従った、結腸洗浄システム排出チャネル203からの妨害物の除去を概略的に
示す図である。
【0143】
洗浄中は、ポンプ214は、流体容器211から管201を通じて灌注液を結腸1に供
給し、ポンプ214.3は、管203を介して、灌注流体2Aと共に糞便物質灌注流体を
捕集容器212Wへと排出する。
【0144】
図4Aでは、排出チャネル203は、吸入口を覆う糞便物質206によって閉塞又は部
分的に閉塞されている。
図4Cでは、排出チャネル203は、内側に保持及び/又は嵌込
された糞便物質206によって閉塞又は部分的に閉塞されている。
【0145】
管203に妨害物が存在する場合は、圧力センサ204及び/又は204Aは、圧力レ
ベルの変化を読み出して、そうした変化を、例えばケーブル205を介してコントローラ
213に発信する。コントローラ213は、感知されたデータに基づいて、妨害物が存在
する旨を判定することができる。
【0146】
妨害物が存在すると判定した場合、コントローラ213は、ポンプ214及び214.
3の動作を停止して、ポンプ214.4を始動する。ポンプ214.4は、逆圧力下で容
器212Aから排出管203に液体を供給し、発生中又は発生した妨害物206を押し出
すことができる(
図4B及び
図4D)。
【0147】
留意すべき点として、排出チャネル203は腸に挿入されるため、圧縮及び/又は部分
破壊を受ける可能性がある。狭窄部分は、例えば、結腸構造及び/若しくは結腸位置によ
って生じるチャネル203のねじれ、並びに/又は、チャネル203を通る身体の臓器又
はその他の物体に起因すると考えられる。こうした狭窄部分では、通過中の大きな糞便物
質片が大きすぎて通過できない箇所で引っかかりが生じて保持されることが多い。したが
って、場合によっては、糞便物質206は移動の一方向においてまず阻止されるが、到達
したが通過できない領域から逆方向に撤去する余地がある。特に、後続する粒子が後方か
ら妨害物に衝突する機会が生じる前に修正動作を行う場合、妨害物を逆方向に撤去する余
地がある。
【0148】
ここで、
図4E~
図4Fを参照する。
図4E~
図4Fは、チャネル203の中又は上に
位置する塊の物質が、例示的なシステムのセンサ204、204A及び204Bの表示に
どのように影響を及ぼすかについての詳細を概略的に示す図である。また、コントローラ
213による状態判定に用いられる例示的なセンサ表示群250、251、252、25
3が示されている。
【0149】
例示的なシステムセンサは、チャネル203の遠位、近位及び中位それぞれの圧力セン
サ、すなわち、センサ204、204B及び204Aを含む。センサのタイプは例示的で
あり、実施形態に応じて異なっていてもよい。
【0150】
センサ表示群250は、水洗、排出又は浄化以外のシステム状態を表す。流量計204
Aはゼロ流れを表し、圧力センサ204、204A及び204Bは周囲圧力からのゼロ差
を通知する。流速計は、(例えば204Aの位置に)存在する場合は、流速ゼロを表し得
る。
【0151】
センサ表示群253は、結腸洗浄中に正常な排出流が生じているシステム状態を表す例
示的な表示を含む。センサ204、204A及び204Bはそれぞれ、周囲圧力に対して
-10ミリバール、-200ミリバール及び-300ミリバールを表す。流速計が存在す
る場合は、流れの状態を表し得る。
【0152】
また、2種の例示的な異常状態も示される。
【0153】
センサ表示群251は、糞便物質206(
図4E)によって排出チャネル203の先端
が塞がれているシステム状態を表す例示的な表示を含む。センサ204、204A及び2
04Bはいずれも、周囲圧力に対して-300ミリバールの低圧力を表示する。流速計が
存在する場合は、流速ゼロを表し得る。
【0154】
センサ表示群252は、糞便物質206(
図4F)によって排出チャネル203の内部
が塞がれているシステム状態を表す例示的な表示を含む。センサ204、204A及び2
04Bはそれぞれ、周囲圧力に対して-10ミリバール、-300ミリバール及び-30
0ミリバールを表す。流速計が存在する場合は、流速ゼロを表し得る。
【0155】
閉塞は、部分的な閉塞として始まり、時間の経過と共に大規模な閉塞及び/又は浄化に
対する大きな抵抗へと発展する。本発明のいくつかの実施形態では、感知は、閉塞状態及
び非閉塞状態の間の中間圧力値を検出するのに十分な周波数で行われる。サンプリングレ
ートは、例えば、5ヘルツ、10ヘルツ、20ヘルツ、50ヘルツ、100ヘルツ、20
0ヘルツ、これらの間の周波数、又は、より高い若しくは低い周波数である。本発明のい
くつかの実施形態では、中間圧力値の検知は、妨害物が発生中である旨の判定を可能にす
る。判定は、妨害物が排出流の流れを著しく低下させ始める前に行うことができる。本発
明のいくつかの実施形態では、判定は、妨害物が流れの低下にかかる所定の閾値、例えば
、流れの低下にかかる10%、20%、40%、50%、80%、又は、より高い若しく
は低いその他の閾値に達する前に行われる。本発明のいくつかの実施形態では、判定は、
流れの低下にかかる所定の閾値に達してから所定の時間間隔内、例えば、少なくとも90
~95%の閉塞に達してから10~20ミリ秒以内、少なくとも85~95%の閉塞に達
してから15~40ミリ秒以内、少なくとも70~80%の閉塞に達してから25~50
ミリ秒以内、少なくとも50%の閉塞に達してから50~100ミリ秒以内、又は、少な
くとも90%の閉塞に達してから50~100ミリ秒以内に行われる。発生中の妨害物を
早期検出することで考えられる利点は、妨害物が定位置に強固に嵌まり込む前に排出管腔
を浄化するための動作を行うことができる点である。場合によっては、小規模な(例えば
、管腔径の15%の)閉塞状態が連鎖反応を引き起こし、完全な閉塞につながる。例えば
、それまで自由に通過できていた管腔径の90%の粒子が管腔径の20%の妨害物に接触
することで阻止され、それ自体が妨害物となる可能性がある。この段階では、後方から流
れてくる追加の粒子が発生中の妨害物に加わり、浄化に対する抵抗が増加する可能性があ
るものの、検出が早ければ閉塞が既に100%に近づいていたとしても妨害物を容易に逆
行させることができる。
また、発生中の妨害物を早期検出することで考えられる別の利点は、小さな妨害物の駆
除に必要な動作は低侵襲なものであり得るため、洗浄及び排出への阻害は小さくて済む点
である。
【0156】
ここで、
図5A~5Cを参照する。
図5A~5Cは、本発明の例示的な実施形態に従っ
た、排出・浄化ポンプとして動作可能な単一のポンプ214.1を概略的に示す図である
。
【0157】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、ポンプ214.1は、その動作モードに応
じて遠位方向及び近位方向の両方に物質を送出する双方向ポンプ機能を有する。
【0158】
いくつかの例示的な実施形態では、ポンプ214.1は、排泄物を近位方向に引き寄せ
、これを結腸洗浄の灌注段階で排出する。いくつかの実施形態では、コントローラ213
は、排出チャネル203を浄化する旨の判定を行った場合には、ポンプ214.1の送出
方向を反転させて、遠位にかかる圧力及び場合によっては流れを発生させる。判定は、例
えば、
図5Aの場合のような妨害物206の判定、及び/又は、ユーザの手動による指示
に応じて行われる。遠位にかかる圧力及び/又は流れは、判定された妨害物206を押圧
し、これをチャネル203内から駆除することができる(
図5B又は
図5C)。
【0159】
任意選択的には、浄化パルスは短く、例えば、50ミリ秒、100ミリ秒、200ミリ
秒、500ミリ秒、1000ミリ秒、2000ミリ秒、これらの間の任意の時間、又は、
より長い若しくは短い時間である。大量の物質が結腸に押し戻されないように、浄化を妨
害物の駆除に必要な時間より長く継続しないことが効果的であると考えられる。任意選択
的には、吸引パルス及び浄化パルスが交互に加えられる。合計パルス数は、例えば、2パ
ルス、4パルス、8パルス、20パルス、40パルス、80パルス、これらの間の任意の
数、又は、より大きな若しくは小さなパルス数である。妨害物質を揺動及び/又は破壊す
るために、一連のパルスを加えることが効果的であると考えられる。場合によっては、一
連のパルスによって塊を分解してチャネルから妨害物を取り除くことができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、浄化物質容器212は、気体260A及び流体260Wの両
方を収容する。いくつかの実施形態では、浄化動作中に気体260A又は流体260Wを
選択的に引き込むように管203Wを位置付けることができる。例えば、
図5Bの管20
3Wを流体260W中に押し下げて流体を抽出し、気体(例えば、空気)260A中に押
し上げて気体を抽出する。任意選択的には、容器212は逆さにすることができ、例えば
、手に持つことができる。
図5Bのような、上向きの容器212によって、例えば浄化用
の気体260Aを抽出することができる。また、
図5Cのような逆さ向きの容器212に
よって、浄化用の流体260Wを抽出することができる。
【0161】
いくつかの実施形態では、容器212のベント261によって、動作中に、蓄積された
気体のベント及び/又は容器212への取り込みが必要に応じて可能となる。
【0162】
いくつかの実施形態では、チャネル203に気体入力が設けられる。可能性としては、
液状及び気体の混合物は、例えば、10:1、4:1、2:1、1:1、1:2、これら
の間の任意の割合、又は、より高い若しくは低いその他の割合で提供される。組織の塊を
さらに効果的に分解するように気体及び流体を混合することが効果的であると考えられる
。こうした気体/液体の混合物は塊となった糞便物質の除去及び/又は分解に効果的であ
り得ることは、出願人の実験によって分かっている。
(その他の状態判定及び応答)
【0163】
先述した例では、一群のセンサ及び/又は単一のセンサからのデータの組み合わせに基
づいて、コントローラがどのように状態判定を行うかについて示されている。一群の圧力
センサを用いる場合は、妨害物の有無及び概略的な位置を判定することができる。単一の
流れセンサを用いる場合は、妨害物の有無を判定することができる。判定された状態に応
じて指示信号がコントローラ213によって送出される。
【0164】
本発明のいくつかの実施形態では、状態判定は、コントローラ213からのいくつかの
任意選択的に等級分けされた応答のうちいずれかを生じさせる。応答は、感知データ及び
/又は感知データの履歴の詳細に応じて決まる。
【0165】
いくつかの実施形態では、コントローラによって行われる修正動作は、妨害物の位置判
定に応じて変化する。任意選択的には、遠位端の妨害物の除去ルーチンは、排出の瞬間的
な停止を含む。排出圧力を変化させるのと同時に、水洗噴流を灌注ポートから給送して、
妨害物を先端から押し出すことができる。これにより考えられる利点は、より高速な洗浄
である。既に排出された粒子を逆流させて二度排出する必要がないためである。ただし、
非常に内側の妨害物は、遠位端の水洗噴流による影響を受けない。そうした場合は、排出
チャネルにおける流れの方向を直ちに反転させることが好適であると考えられる。
【0166】
本発明のいくつかの実施形態では、センサ表示を用いて妨害物の深刻度を判定する。例
えば、排出チャネル203内の部分的な妨害物は、表示253及び252の中間の表示を
生じさせることができる。いくつかの実施形態では、妨害物の中間レベルの判定は、シス
テムの潜在的な判定状態である。任意選択的には、コントローラは、妨害物の深刻度の閾
値に基づいて、浄化動作を開始するか否かを判定する。いくつかの実施形態では、閾値は
ユーザが選択することができ、それにより、排出速度と潜在的な妨害物への感度との間の
バランスをとることができる。閾値を調節可能にすることで考えられる利点は、腸の様々
な状態に合わせて調節することができる点である。例えば、排出/浄化の動作周期の排出
期を、特定の患者の結腸状態について、妨害物が回収不可能となる危険を冒すことなく出
来るだけ長くなるように設定することができる。
【0167】
本発明のいくつかの実施形態において判定可能なその他の状態は、妨害物が発生する速
度である。コントローラによる部分的な妨害物に動作を行うか否かの判定は、任意選択的
には、妨害物の増大率によって影響される。例えば、急速に生じる圧力変化は、堅固な妨
害物の発生を示し得る。任意選択的には、初期の堅固な妨害物は、実際の流れの低下がま
だ軽度であっても直ちに浄化される。逆に、緩やかに生じる圧力変化は、任意選択的には
、より高いレベルの妨害物が発生するまで上昇が許容される。これは、例えば、排出管の
挿入時の正常動作と関連しているものと考えるか、又は、弛緩若しくは自動調整の可能性
が高いと判定することができる。任意選択的には、これは、例えば測定ノイズ及び減衰波
を除外するために感度を低下させた高速な変動である。任意選択的には、コントローラ2
13によって判定可能な複数の状態カテゴリが存在する。いくつかの実施形態では、コン
トローラ213は、例えば、非常に小さな変化を無視し、多少緩やかな又は大きな変化に
対して迅速に動作し、緩やかな変化への応答には高い閾値を設定する。
【0168】
本発明のいくつかの実施形態における圧力センサの使用は、任意選択的には、先述した
例で説明したように、妨害物及び発生中の妨害物(の位置、深刻度及び/又は発生速度等
)を含むシステム状態の判定を可能にする。これら及び関連の感知機能を果たすために、
本発明のいくつかの実施形態では典型的には圧力センサが使用される。本発明のいくつか
の実施形態では、その他のタイプのセンサ及び/又はセンサシステムが排出チャネル又は
排出チャネルの先端の上、近傍又は内部に存在する。こうした追加的な入力は、任意選択
的には、さらなる状態判定の形態でなされ、システム動作に影響を及ぼすことができる。
【0169】
本発明のいくつかの実施形態では、挿入管は、流体の有無を感知するのに適したセンサ
を有する。流体センサは、例えば、pHセンサ、浸透圧センサ及び/又は導電性センサで
ある。いくつかの実施形態では、流体センサは、結腸洗浄システムの挿入管に配されて、
挿入管の遠位端周辺の流体を検出する。任意選択的には、この状態判定によって、流体を
除去するための流体排出ルーチンが自動的に開始される。このとき、同時に灌注流体の供
給を行っても行わなくてもよい。
【0170】
いくつかの実施形態では、光学的センサは、センサ近傍の光学的流れによって物質の流
れを感知する。実施形態によれば、センサの適切な照明源が設けられる。
【0171】
いくつかの実施形態では、光学的センサは、スペクトル情報を通知し、それによって、
排泄物質の組成にかかる情報の判定を可能にする。例えば、ヘモグロビンのスペクトル特
性を有する排泄物質によって、排泄物質における血の有無が可能性としては示される。排
泄物質の血を検出することで考えられる利点は、結腸鏡検査における深刻な合併症であり
得る出血が検知できる点である。予期しない出血が検出された場合にコントローラによっ
て指示される任意選択的な動作は、結腸への真空の停止、及び/又は、聴覚的若しくは視
覚的な警告の提示である。
【0172】
本発明のいくつかの実施形態では、光学的センサは、排出された流体中の排泄物含有量
をコントローラに示す。排泄物含有量は、例えば、混濁度及び/若しくは溶質を表す光学
密度、粒子含有量、並びに/又は、粒子サイズによって測定される。本発明のいくつかの
実施形態では、表示される排泄物含有量には閾値があり、閾値未満では流体が浄化された
ものと見なされる。任意選択的には、閾値状態(例えば、清浄度)が満たされている場合
、及び/又は、閾値状態が予め設定された時間の間満たされた場合は、灌注ルーチン及び
排出ルーチンを終了する。任意選択的には、結腸鏡を通じた視界が不明瞭と判定された場
合に灌注ルーチン及び/又は排出ルーチンを開始する。
【0173】
いくつかの実施形態では、送出された流体の密度(不透明度)、混濁度及び/又はコン
ダクタンスは、発泡の有無を示す。浄化の必要性を示す感知表示、及び、任意選択的には
、浄化そのもののパラメータは、発泡排出物質と非発泡排出物質とを取り扱う場合で異な
ることがある。例えば、発泡妨害物を示す圧力変化は、液体に比べて泡の圧縮性が高いこ
とから異なると考えられる。また、例えばいくつかの実施形態では、発泡物質の存在下で
の発泡妨害物の浄化は、延長された浄化周期を含む。任意選択的には、延長された周期は
、非発泡物質を遠位方向に送り、それによって一層効果的な浄化動作を行うことができる
程十分に長い。
【0174】
本発明のいくつかの実施形態では、工程中に排出された排泄物含有量の履歴が記録され
、オンラインで公開及び/又はその後の検索に供される。任意選択的には、検索データは
、レポートの形態のものである。任意選択的には、通知された排泄物含有量は、時間及び
/又は腸の位置の関数である。任意選択的には、排泄物含有量は、積算値として通知され
る。結腸鏡検査において信頼性の高い結腸洗浄システムを使用すると、検査前に患者の腸
を洗浄する手順を(例えば、低侵襲となるように)変化させることが可能な場合もある。
いくつかの実施形態では、1又は複数の典型的な洗浄工程、例えば、断食又は指示に従っ
た液体の採取を経ずに洗浄を行うことができる。いくつかの実施形態では、動作は、プレ
ップレス、すなわち、事前の結腸洗浄工程を経ることなく行われる。特定の検査前の洗浄
工程の有効性をフィードバックすることは、代替的な手順の有効性を評価するために有益
であり得る。追加的及び/又は代替的には、患者の結腸中の許容できない程大きな排泄物
含有量の処置において目標表示を用いて修正動作及び/又は処置の停止の根拠とすること
もできる。
【0175】
本発明のいくつかの実施形態では、排出チャネルから遠く離れた状態を示すセンサ及び
/又は判定をコントローラ213が利用する。
【0176】
いくつかの実施形態では、感知データ及び/又は状態表示は、結腸洗浄システムに対し
て、その他のシステム又は副システム、例えば、結腸鏡又は臨床モニタ装置から提供され
る。任意選択的には、これらのデータ及び/又は状態表示が洗浄ルーチンを直接的に始動
及び/又は停止することにしても、動作判定を行うために使用する追加的な入力をコント
ローラに与えることにしてもよい。データ及び表示は、例えば、結腸洗浄システムとその
他のシステムとの間のケーブル、光学的結合、無線及び/又はその他の標準若しくは専用
の通信方法によってやりとりされる。
【0177】
本発明のいくつかの実施形態では、任意選択的には、例えば、結腸鏡の視野を不明瞭に
する物質の有無の自動判定表示をコントローラ213に提供する。任意選択的には、こう
した表示を受け取ると洗浄ルーチンが開始される。
(例示的な洗浄ルーチン)
【0178】
ここで、
図6を参照する。
図6は、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った、妨
害物の検出及び浄化を含む、例示的な結腸の洗浄方法を簡略的に示すフローチャートであ
る。方法は、例えば、進行中の結腸鏡検査の途中で実施される。
図6にない参照符号につ
いては、上記の図面、例えば、
図4A~
図4Fを参照する。この例示的な方法では、ポン
プ214.4は(物質を近位方向に移動する)真空源として扱われ、ポンプ214.3は
排出チャネル203中の物質を遠位方向に移動するポンプとして扱われる。
【0179】
本発明のいくつかの例示的な実施形態に従って、工程1008では、洗浄ルーチンを開
始する判定がなされる。判定は、例えば、経過時間の値、洗浄システムの操作者による手
動での指示、及び/又は、判定されたシステム状態に基づいてなされる。任意選択的には
、例えば、液漬及び/又は視野の不明瞭性が判定されると洗浄ルーチンを開始する。
【0180】
いくつかの例示的な実施形態に従って、工程1010では、洗浄ルーチンを開始する。
結腸に灌注される液体は、例えば、ポンプ214によって灌注パイプ201を通じて供給
される。また、例えば、ポンプ214.4又はその他の真空源によって排出チャネル20
3の吸引が行われる。吸引によって、灌注液に溶解又は浮遊している糞便物質は、チャネ
ル203中を結腸1から近位方向に移動する。任意選択的には、排泄物は排泄物捕集装置
212Aに捕集される。いくつかの実施形態では、吸引及び灌注の相対的なバランスは、
コントローラ213によって制御される。バランスは、例えば、等量を維持するか、又は
代替的には、最終的に吸引によって超過圧力若しくは流体の付着を防ぐようにする。任意
選択的には、制御はモニタ下のセンサデータに基づいて調節される。
【0181】
いくつかの実施形態に従って、工程1012では、1又は複数のシステム状態判定がな
される。例えば、
図2A~
図4F又は本明細書中の他の部分に関連して説明したセンサ及
び感知モジュールは、圧力データ及び/又は流れデータをコントローラ213に通知する
。コントローラ213は、通知されたデータに基づいて1又は複数の状態判定を行う。留
意すべき点として、コントローラ213は、任意選択的には分散された形で実現される。
例えば、何らかの感知、状態判定及び制御(例えば、フォルト状態のシャットダウンの感
知)は、ポンプに組み込むことができる。その他の状態判定及び制御は、任意選択的には
、結腸洗浄システムのCPU、FPGA又はその他の論理回路に集約される。
【0182】
いくつかの実施形態に従って、工程1013では、灌注継続判定がなされる。コントロ
ーラ213は、例えば、圧力の安全限界点が維持されているか否か、手動による灌注停止
指示が出されているか否か、及び/又は、予め設定された灌注時間が経過したか否かを判
定する。灌注停止の判定がなされた場合は、工程1014において、次の開始まで灌注を
停止する。
【0183】
いくつかの実施形態に従って、工程1014では、灌注が中止される。
【0184】
いくつかの実施形態に従って、工程1015では、浄化開始判定がなされる。コントロ
ーラ213は、例えば、流れ及び/又は圧力の状態が洗浄工程の継続に適したパラメータ
の範囲内であるか否かを判定する。浄化の開始に適した圧力とは、例えば、結腸内圧力に
とって安全圧力限界点の範囲内にあると判定された圧力である。安全圧力条件とは、例え
ば、90~110水銀柱ミリメートル未満、100~150水銀柱ミリメートル未満、1
40~160水銀柱ミリメートル未満、又は、150~200水銀柱ミリメートル未満で
ある。追加的及び/又は代替的には、コントローラ213は、浄化前に灌注の経過時間が
予め設定された灌注時間内に収まっているか否か、及び/又は、手動による浄化指示が出
されているか否かを判定する。浄化判定がなされると、工程1016で浄化ルーチンが開
始される。さもなければ、工程1010で洗浄が継続される。
【0185】
いくつかの実施形態に従って、工程1016では、コントローラ213は吸引ポンプ源
214.4が停止状態となるように指示する。任意選択的には、灌注ポンプ214は停止
状態になる。
【0186】
いくつかの実施形態に従って、工程1018では、コントローラ213は浄化ポンプ2
14.3を作動させる。浄化ポンプ214.3は、水又はその他の液体を源211からチ
ャネル203中に遠位方向に送出する。場合によっては、これによって妨害物が駆除され
る。いくつかの実施形態では、妨害物の判定がキャンセルされるまで、及び/又は、予め
設定された時間が経過するまで浄化を継続する。予め設定された時間は、例えば、50ミ
リ秒、100ミリ秒、200ミリ秒、500ミリ秒、1000ミリ秒、これらの間の任意
の時間、又は、より長い若しくは短い時間である。いくつかの実施形態では、潜在的に危
険な圧力レベルが結腸で判定されると、浄化ルーチンを停止する(例えば、浄化ポンプ2
14.3を停止状態にする)。いくつかの実施形態では、浄化ルーチンの持続時間は、装
置の操作者からの入力によって判定される。いくつかの実施形態では、浄化は、後述する
ように、一連の細分化された浄化動作及び/又は浄化段階を含む。
【0187】
工程1020では、吸引ポンプ源214.4が再び作動され、浄化ポンプ214.3が
停止される。工程1012で洗浄が継続される。
【0188】
上記の方法の詳細は、本発明の実施形態に従って任意選択的に変更される。
【0189】
本発明のいくつかの実施形態では、ポンプ214.4の吸引源としての機能は、例えば
、定量吸引源によって果たされる。こうした源は、例えば、中央真空源に接続され、弁を
通じて制御される病室の設備である。したがって、いくつかの実施形態では、ポンプ21
4.4は代替的には弁214.4であると考えることができる。任意選択的には、弁21
4.4は(例えば、コントローラ213の制御下で)調節可能であり、それにより、吸引
量が判定されたシステム状態に適した量になるように制御することができる。
【0190】
いくつかの実施形態では、ポンプ214.4は、双方向ポンプであり、排出動作中はチ
ャネル203中の物質の近位側の流れを、浄化動作中は遠位側の流れを流出させる。任意
選択的には、浄化ポンプ214.3は省略できる。
【0191】
また、留意すべき点として、いくつかの個々の特徴は、特定の例示的な実施形態及び図
面を参照して図示、開示及び説明されている。しかし、システム207のいくつかの実施
形態は、個々に示されている特徴の組み合わせを含むことを理解されたい。
【0192】
例えば、本明細書中の図面には、システム207の実施形態の様々な位置で様々に動作
するセンサ及び感知モジュールが示されている。本明細書中のその他の図面には、システ
ム207の実施形態で様々な浄化動作のいずれかをセンサデータ及びユーザの指示に応じ
て実施するための装置及び方法が示されている。記載のセンサ、状態、判定、及び、応答
時に行われる動作の組み合わせも、本発明の実施形態であるものとする。
(灌注及び排出の先端)
【0193】
ここで、
図7Bを参照する。
図7Bは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った
、結腸洗浄システムの挿入管13の遠位端で使用される先端14を概略的に示す図である
。
【0194】
本発明のいくつかの実施形態では、先端14は、結腸鏡10の挿入管の遠位端に付属の
アダプタ部材100を有する。いくつかの実施形態では、アダプタ部材100は、対応す
る複数の結腸鏡ワーキングチャネル15A及び15Bと液通状態にある吸入口101から
供給を受ける複数の吸入チャネルを有する。いくつかの実施形態では、吸入チャネル口1
01は、ワーキングチャネル15A及び15Bとの接合点においてこれらの寸法に合わせ
て先細りする、遠位方向に径が大きな形状を有する。アダプタ部材100に考えられる利
点は、チャネル15A及び15Bに加えられた吸引を遠位側の広い表面積に分散すること
ができる点である。流体は、チャネル吸入口101の幅広の端に容易に入り込むと考えら
れる。本発明のいくつかの実施形態では、先端14は、マニホールドを有し、それによっ
て、灌注チャネルを2、3、4又はそれ以上のアウトレットに分割する。任意選択的には
、アウトレットは、灌注流体を流体噴流に形状付け、それによって、結腸壁から物質をよ
り効果的に洗浄することができる。いくつかの実施形態では、先端14は、洗浄システム
及び/又は結腸鏡の先端近傍の圧力をサンプリングするための圧力センサを有する。
【0195】
特に留意すべき点として、アダプタ部材100の設計によって、結腸洗浄装置の機能の
ために2以上のチャネルの使用が採用される。以下、複数の灌注及び/又は水洗チャネル
のさらなる詳細及び考えられる利点について説明する。
(複数のチャネルを有する結腸鏡洗浄システム)
【0196】
ここで、
図7Aを参照する。
図7Aは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った
、複数の灌注及び/又は排出チャネルが設けられた洗浄ワークステーション31を概略的
に示す図である。
【0197】
いくつかの実施形態では、ワークステーションアウトレットのポンプ32は、気体を供
給するためのポンプ32Aと水を供給するためのポンプ32Wとを有する。
【0198】
本発明のいくつかの実施形態では、気体供給ポンプ32A及び水供給ポンプ32Wは、
同時に動作する。いくつかの実施形態では、圧力下で供給された気体及び水は、(例えば
、結腸鏡ワークステーション19又は結腸鏡ワークステーション31において)混合され
てから挿入管13に給送される。いくつかの実施形態では、気体及び水は、それぞれの灌
注チャネルを出る際に先端14で混合される。任意選択的には、気体供給ポンプ32A及
び水供給ポンプ32Wは、別々に及び/又は交互に動作する。ポンプ32Aによって供給
される気体は、例えば、空気又は二酸化炭素である。
【0199】
混合された気体及び水を灌注用に供給することで考えられる利点は、結腸1の洗浄中の
速度、徹底度及び/又は粒子の破砕が促進される点である。場合によっては、糞便物質は
、混合段階の灌注物質中に交互に形成される気体及び水の渦によって加えられる時間変動
力によって弛緩及び/又は分解される。また、場合によっては、圧縮圧力下で糞便物質の
割れ目に運び込まれた気体が、圧力の開放時に塊となった糞便物質の分解に寄与する。
【0200】
いくつかの実施形態では、排出ポンプ34は、複数の排出パイプ35A及び35Bのた
めの複数のインレットを有する。いくつかの実施形態では、結腸鏡ハンドル12は、排出
パイプ35A及び35Bのチャネルに接続された複数のワークチャネルインレット21A
及び21Bを有する。いくつかの実施形態では、ワークチャネルインレット21A及び2
1Bそのものが、複数の独立した又は略独立したワーキングチャネル15A及び15Bに
接続される。いくつかの実施形態では、ワーキングチャネル15A及び15Bは、結腸鏡
のワーキングチャネルである。いくつかの実施形態では、複数の排出チャネルは独立して
動作させることができる。いくつかの実施形態では、チャネル動作は、例えば、妨害物を
浄化するための反転性を有する。
【0201】
複数の排出チャネルに考えられる利点は、排出が行われる管腔の断面積が増加する点で
ある。管腔の断面積の増加によって、排出の効率、例えば、排出速度が向上すると考えら
れる。場合によっては、単一の非閉塞状態のチャネルによって十分な排出性能を実現し、
別のチャネルを任意選択的にはスペアとしてとっておく。任意選択的には、両方のチャネ
ルが併用されるが、工程中の妨害物による一方の欠損が生じた後であっても排出性能は維
持される。任意選択的には、例えば、流れの方向を逆にすることによって、一方のチャネ
ルを排泄物の排出を継続するために使用すると同時に、他方のチャネルでは妨害物の浄化
動作を行う。
【0202】
複数の排出チャネルに考えられる別の利点として、結腸に挿入される管13の最大径が
その排出効果に比して縮小される点がある。例えば、5ミリメートル径の単一の排出チャ
ネルによって、少なくとも5ミリメートルが挿入管13の最大径に加えられる。これと同
一の断面積は、例えば、それぞれ3.5ミリメートル径の2本の管によって実現すること
ができ、それに応じて、挿入管の最大断面に加わる大きさは小さくなる。
【0203】
留意すべき点として、非円形形状も可能である。ただし、場合によっては、非円形形状
は、同一の断面積であっても妨害物のリスクが増大する。例えば、チャネルの最小径は、
チャネルを通過することができる粒子の最小径の最大サイズに影響を与える。また、例え
ば、非円形チャネルは、緩やかな流れの領域を増加させ、それにより、結果として妨害物
に対して脆弱性が高まる可能性もある。
【0204】
実施形態によれば、排出チャネルの内径は、例えば、2.1ミリメートル、3ミリメー
トル、4ミリメートル、4.2ミリメートル、4.5ミリメートル、5ミリメートル、5
.5ミリメートル、6ミリメートル、これらより大きな若しくは小さなその他の径、又は
、これらの間の任意の径である。複数のチャネルが設けられる実施形態によれば、設けら
れる排出チャネルの数は、例えば、2、3、4又はそれ以上である。
【0205】
挿入管の径を縮小することで考えられる利点は、挿入管13の可撓性が高まる点である
。また、可撓性が高まると、管をその端部まで結腸中で上手く誘導できる可能性が高まり
、結果として、結腸鏡検査法を順調に遂行することができる。
【0206】
いくつかの実施形態では、チャネル同士はこれらの長さの一部に沿って連結及び/又は
合体されている。例えば、排出管35A及び35Bを排出ポンプ34の単一の入力口を通
じて動作させることができる。また例えば、ワーキングチャネル15A及び15Bを、先
端14に達する前の箇所で、例えば、独自の設計又はアタッチメント(図示せず)の追加
によって接合することができる。チャネルの近位端近傍の最適な接合箇所は、例えば、近
位端から10センチメートル以内、20センチメートル以内、40センチメートル以内、
100センチメートル以内、これらの間の任意の長さ以内、又は、より長い若しくは短い
長さ以内とすることができる。遠位端近傍の最適な接合箇所は、例えば、遠位端から1セ
ンチメートル以内、2センチメートル以内、4センチメートル以内、10センチメートル
以内、20センチメートル以内、40センチメートル以内、100センチメートル以内、
これらの間の任意の長さ以内、又は、より長い若しくは短い長さ以内である。
【0207】
排出管35A及び35Bをこれらの長さの一部に沿って近位方向に接合することで考え
られる利点は、例えば、管又はポンプ部材のコストが縮小できる点である。また、排出管
35A及び35Bを接合又は合体することで考えられる別の利点は、実際的な限り大きな
径の管を共用できる点である。これは、任意選択的には、動作時に結腸の外部にあるチャ
ネルの部分である。
【0208】
遠位方向に接続された排出管15A及び15Bに考えられる利点は、妨害物を迂回でき
る点である。一例として、2本の排出チャネルはそれぞれ、先端14の同じ2個の(共用
)入力口から供給を受ける。これにより、一方の排出チャネルの本体中の妨害物は必ずし
も、さもなければ生じ得る、非閉塞状態の先端口が使用できなくなる事態にはつながらな
い。
(複数の排出チャネル)
【0209】
ここで、
図8Aを参照する。
図8Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った、複数の
排出チャネルを有する腸洗浄システムを概略的に示す図である。
【0210】
本発明のいくつかの例示的な実施形態では、2本の排出チャネル203.1及び203
.2は、結腸洗浄用の挿入管の遠位端と近位方向に接続されたワークステーションとを相
互接続する。任意選択的には、より多くの排出チャネルが設けられる。
【0211】
複数の排出チャネルを設けることで考えられる利点は、単一の、大径の排出チャネルが
設けられた同等の排出性能システムに比して、断面がコンパクトになる点である。また、
複数の排出チャネルを設けることで考えられる別の利点は、単一の、大径の排出チャネル
が設けられた同等の排出性能システムに比して、チャネルの可撓性が高い点である。
【0212】
留意すべき点として、排出チャネルは、効果的な機能を実現するために、真空の適用下
であったとしても開放された状態のままである必要がある。これにより、結腸洗浄装置の
いくつかの実施形態では、様々な設計パラメータの組み合わせによって満たされる、実施
形態に従った相互制限が課される。考慮すべき具体的な点として、例えば、以下が挙げら
れる。
・管材料の選択に関しては、高い剛性は外圧に対する耐性を有する反面、可撓性を阻害す
る可能性がある。
・管腔径に関しては、小さな内径は(特に、所定の壁厚では)外圧に対する耐性が高いが
、通過可能な糞便物質粒子の上限サイズ限界点が小さくなる可能性がある(また、可撓性
が犠牲になる可能性がある)。
・管腔形状に関しては、例えば、円形形状は内在的な崩壊点はないが、断面積を挿入管の
中央付近に配分する機会を制限する可能性がある。
・加えられる圧力勾配に関しては、高い勾配は所定径の管を通じた高速な排出を可能にす
るが、管の崩壊の可能性を高め、また、怪我が生じる可能性を防止する程度及び/又は時
間を制限することがあり得る。
【0213】
分割された一対の円形管腔を有する実施形態は、そうした制限の中の(単一の管腔によ
って示される妥協とは異なる)実用的な妥協を示すものである。具体的には、最小通路径
は、妨害と考えられるサイズの粒子が通過できる程十分に大きく保つ一方で、挿入管の全
径の縮小によって可撓性の維持及び/又は崩壊への耐性を図る。実施形態によれば、チャ
ネル管腔径は、例えば、3ミリメートル、3.5ミリメートル、4ミリメートル、4.5
ミリメートル、5ミリメートル、5.5ミリメートル、6ミリメートル、これらの間の任
意の距離、又は、より大きな若しくは小さな距離である。
【0214】
任意選択的には、管腔の断面を縮小して、より可撓性の高い材料を使用することができ
る。材料は、柔軟なシリコーンゴム、又は、他の場合であれば物質結腸鏡若しくは結腸洗
浄システムの挿入管の製造に供されるだろう材料以外のものとすることができる。柔軟性
の差は、ショアA硬度計による、例えば、2ユニット、4ユニット、10ユニット、これ
らの間の任意の値、又は、より大きな若しくは小さなユニット値である。例示的な挿入管
のショアA硬度計によるベースライン値は、50~70ショアA硬度計ユニットである。
いくつかの実施形態では、ショアA硬度計で40~50又は70~80が用いられる。留
意すべき点として、結腸洗浄システムによって挿入管に供給される加圧流体は、場合によ
っては、管の可撓性にかかる制限付きの制御を許容する。また、場合によっては、(非加
圧状態で)本質的に柔軟な管であっても、管の挿入時には必要に応じて圧力によって硬化
することができる。
【0215】
いくつかの実施形態では、排出チャネル203.1及び203.2はそれぞれ、双方向
ポンプ214.1及び214.2に接続されている。双方向ポンプ214.1及び214
.2はいずれも、
図8Aに示されているように、吸引を行ってチャネル203.1又は2
03.2中の物質を近位方向に移動し、ポンプ動作を行ってチャネル中の物質を遠位方向
に移動する。
【0216】
上記の特定の構成は、例示的なものであって限定的ではない。例えば、いくつかの実施
形態では、複数のチャネル203.1及び203.2は、共通の真空源、浄化ポンプ21
4.3及び/又は双方向ポンプ214.1、214.2に取り付けられる。また、いくつ
かの実施形態では、チャネル203.1及び203.2はそれぞれ別々に、排出ポンプ2
14.4(又はシステム外部の真空源に接続するコネクタ)及び浄化ポンプ214.3の
両方に接続される。
【0217】
実施形態によれば、1又は複数の灌注パイプが存在してもよい。複数の灌注パイプを設
ける場合は、パイプは個々に又は組み合わせて調節可能である。図面では、灌注パイプ2
01は、結腸、又は、排出チャネル203.1及び203.2の遠位端近傍の腸のその他
の部分に灌注流体を給送するように動作する。任意選択的には、(
図8Fに例示されてい
る)ブリッジングパイプによって排出チャネル203同士を接続し、それにより、チャネ
ル間を流体が移動できるようにする。
【0218】
複数の排出チャネル203.1及び203.2を有するいくつかの実施形態は、単一の
排出チャネル203を有する実施形態を参照して本明細書中に記載のように構成及び必要
に応じて変更することができる。本発明の実施形態として本明細書中に記載の方法は、複
数の排出チャネル203.1及び203.2を使用して実施及び必要に応じて変更するこ
とができる。任意選択的には、チャネルは個々に(例えば、個々に調節されるポンプ及び
/又は個々に調節される灌注を用いて)動作する。任意選択的には、チャネルはタンデム
で(例えば、共通の源及び/又は同様に動作するように制御された別個の源からの送出及
び灌注によって)動作する。
【0219】
いくつかの実施形態では、排出チャネル203.1及び203.2は、チャネル中の灌
注及び/又は排泄物質を近位方向に排出する第1動作モードと、物質を浄化(遠位方向に
押し出す)第2動作モードとを交互に行う。任意選択的には、これを行うための本明細書
中に記載のいずれかの方法によれば、流れの検出は、チャネル203.1及び203.2
それぞれに対して別々に制御される。
【0220】
いくつかの実施形態では、コントローラ213は、2以上のチャネルの動作モードを調
整する。例えば、第1チャネル203.1が浄化モードのときに第2チャネル203.2
は排出モードとなるようにシステムを制御することができる。チャネル同士を逆極性で同
時に動作させることで考えられる利点は、一方のチャネル中の妨害物を浄化すると同時に
、他方のチャネルを用いて物質を腸から取り出し続けることができる点である。また、考
えられる別の利点は、第1チャネルでの浄化中に物質の腸への堆積を低減すると同時に、
近傍の第2チャネルでの排出モードでは浄化物質を排出することができる点である。場合
によっては、一方のチャネルに正の圧力を加えて強化すると共に、結腸内部に達した物質
を排出し続けることが位置付け及び/又は崩壊に対する耐性にとって有益である。また、
考えられる別の利点は、挿入管の両側のチャネルを交互に部分的に強化することができ、
それにより、結腸内の遠位端部分に制限付きの制御を行うことができる点である。
【0221】
排出チャネル同士の間に遠位側の流体ブリッジを設ける実施形態では、複数の排出チャ
ネルを反対方向に同時に動作させることによって、浄化された物質が腸に達するのを防止
することができると考えられる。例えば、第1チャネル203.1を遠位方向に移動する
物質は、流体ブリッジを渡り、吸引が加えられた第2チャネル203.2によって近位方
向に排出され得る。
(複数の排出チャネルの動作)
【0222】
ここで、
図8B~
図8Eを参照する。
図8B~
図8Eは、本発明のいくつかの例示的な実
施形態に従った、一対の排出チャネル203.2及び203.1(それぞれ)における相
対的な圧力(Y軸280)対時間(X軸281)の例示的なプロット282(長鎖線)及
び283(短鎖線)を示す図である。
【0223】
圧力は、例えば、排出チャネル203.1及び203.2それぞれの内部の圧力センサ
204.1A及び204.2Aの位置で測定されたものと考えることができる。
【0224】
図8Bは、非閉塞状態で進行中の排出状態における圧力表示を示している。圧力表示は
負数であり、チャネルの吸引を反映している。表示は比較的軽度に変動する。変動は、例
えば、センサノイズ、システム中の妨害物ではない粒子、システム中の気体と流体との混
合物、及び/又は、挿入管の動きによるものである。
【0225】
図8Cは、妨害物が発生し、単一の排出チャネル203.1から除去された期間におけ
る圧力表示(短鎖線プロット283に対応)を示している。まず、妨害物の程度の増大に
対応する圧力低下がセンサ204で感知される。この最小限の低下後、コントローラ21
3は、妨害状態が存在することを判定し、浄化制御信号をポンプ214.1に送出する。
その結果生じるポンプ214.1からの圧力の反転は、後の圧力の正の高い値までの上昇
に反映されている。
【0226】
本発明のいくつかの実施形態では、(浄化動作に含まれる)圧力の反転は、その他の状
態の判定次第で開始される。いくつかの実施形態では、反転を生じさせる前に必ず結腸内
の圧力安全条件が満たされていなければならない。任意選択的には、交互に浄化される2
本の利用可能かつ動作可能な排出チャネルを用いた圧力安全条件は、動作可能な単一の排
出チャネルを動作させる場合及び/又は2本の動作可能のチャネルが閉塞状態を同時に表
示する場合の条件よりも厳しくない。単一のチャネルによる浄化を開始するための安全圧
力条件とは、例えば、90~110水銀柱ミリメートル未満、100~150水銀柱ミリ
メートル未満、140~160水銀柱ミリメートル未満、又は、150~200水銀柱ミ
リメートル未満である。任意選択的には、2本の動作可能なチャネルを流れの両方向に利
用できる場合の開始のための圧力安全条件は、例えば、5又は10水銀柱ミリメートル以
上(ただし、200水銀柱ミリメートル以下)である。任意選択的には、2本の動作可能
なチャネルを同時に浄化する場合の開始のための圧力安全条件は、例えば、10又は20
水銀柱ミリメートル以下である。
【0227】
妨害物に対応するものと判定される圧力変化は、例えば、10ミリバール、20ミリバ
ール、30ミリバール、40ミリバール、100ミリバール、これらの間の任意の圧力、
又は、より高い若しくは低い圧力である。任意選択的には、圧力変化が妨害物に対応して
いる旨の判定には最小限の時間がかかる。それは、例えば、10ミリ秒、20ミリ秒、4
0ミリ秒、100ミリ秒、150ミリ秒、200ミリ秒、400ミリ秒、これらの間の任
意の時間、又は、より長い若しくは短い時間である。本発明のいくつかの実施形態では、
妨害物の判定は、時間及び圧力を組み合わせた関数、例えば、10~20ミリ秒間、20
~50ミリ秒間、50~100ミリ秒間若しくは80~200ミリ秒間の10~20ミリ
バールの圧力変化、10~20ミリ秒間、20~50ミリ秒間、50~100ミリ秒間若
しくは80~200ミリ秒間の20~50ミリバールの変化、20~50ミリ秒間、50
~100ミリ秒間若しくは100~200ミリ秒間の80~120ミリバールの変化であ
る。いくつかの実施形態では、こうした変化は、2のセンサ表示の間の相対的変化、例え
ば、10~20ミリバール、15~40ミリバール、30~80ミリバール又は75~1
00ミリバールの相対変化として測定される。
【0228】
いくつかの実施形態では、妨害物状態の判定は、検出された流れ、検出された光学的な
感知状態又は本明細書中に記載のようなその他の感知状態によってなされる。
【0229】
実施形態によれば、
図8Cの(プロットのピークによって示されている)圧力増加は、
一定の最大時間の間維持される。それは、例えば、5ミリ秒、10ミリ秒、20ミリ秒、
50ミリ秒、100ミリ秒、200ミリ秒、これらの間の任意の時間、又は、より長い若
しくは短い時間である。任意選択的には、圧力のピークは、妨害物の剥離に対応するもの
として判定される圧力変化が感知されたときに停止及び/又はそれまで維持することがで
きる。排出を継続する旨の判定を行った場合、コントローラ213は、排出制御信号をポ
ンプ214.1に送出する。ポンプ214.1は方向を反転させ、それにより、圧力が低
下して排出が再開される。
【0230】
図8Dには、浄化/排出の少なくとも完全な2周期の間、妨害物が分解されないままの
状態であった場合の一連の浄化動作が示されている。浄化シーケンスは、例えば、時間の
定められた周期が終了し、妨害物がまだ存在する旨をコントローラ213が判定した場合
に行うことができる。代替的には、所定の浄化ルーチンは、一連の浄化/排出周期を含み
、これらはシステムの妨害物状態を中間的に追及することなく行われる。繰り返される浄
化/排出周期(例えば、ピーク排出圧力から浄化に、その後ピーク排出圧力に戻る周期)
の周波数は、例えば、1ヘルツ、2ヘルツ、5ヘルツ、10ヘルツ、20ヘルツ、これら
の間の任意の周波数、又は、より高い若しくは低い周波数である。一連の工程における周
期数は、例えば、1周期、2周期、4周期、10周期、20周期、これらの間の任意の周
波数、又は、より大きな若しくは小さな周期数である。一分間に行う浄化工程の数は、例
えば、システム動作時間の毎分内に1~5、3~8、5~10、8~20又は15~30
の区別可能な浄化動作とする。いくつかの実施形態では、浄化時の流れの方向(遠位/近
位又は近位/遠位のいずれか)の動作周期は、例えば、圧力が加えられる全動作周期の部
分で算出すると、それぞれの方向に50%、60%/40%、70%/30%、80%/
20%、90%/10%又はその他の動作周期である。いくつかの実施形態では、例えば
、全動作周期の5%、10%又は20%を含む圧力の印加は一時停止され、この間圧力は
加えられない。
【0231】
本発明のいくつかの実施形態では、浄化周期のパラメータは適応的である。例えば、コ
ントローラは任意選択的には、動作中に様々な浄化パラメータを試行して、浄化の相対的
な成功を示す浄化プログラム中のセンサ表示に基づいて、用いる適切なパラメータの組を
調節する。別の例では、排出時に浄化周期の一連の工程がまとまって始動された旨の(例
えば、コントローラによる)判定は、システム中の一時的な妨害物を形成する塊を示すも
のとして見なされる。これは、繰り返し弛緩されるとはいえ、再び妨害物となる浮遊源と
して残る。任意選択的には、妨害物が剥離した旨の判定を超えて延長される反復的な周期
工程によってチャネルを洗浄し、それにより、排出を継続する前に問題となる塊を分解す
るといった状況では、適応的な浄化周期の調節が作動される。任意選択的には、妨害物を
排出チャネルからまとめて押し出すために、別の浄化プログラムによって流体を通常より
長い時間の間、遠位方向に送出する。
【0232】
本発明のいくつかの実施形態では、浄化周期によって、塊以外又は塊に加えて別の理由
による排出管腔中の流れの制限を軽減する。例えば、真空下の排出チャネルの部分的崩壊
によって生じる流れの制限は、排出チャネルの管腔中の近位方向の圧力を低下させること
によって軽減される。別の例では、排出管腔のねじれは、遠位方向の圧力を加えて、場合
によってはねじれを解くことによって低減することができる。別の例では、例えば、層流
に合った流れ速度の閾値を超えることによって排出チャネル中に生じる乱流は、排出チャ
ネル中の圧力の大きさ及び/又は方向を変化させることによって軽減することができる。
【0233】
本発明のいくつかの実施形態では、浄化では、任意選択的には周期的に、同一方向の圧
力を変化させることができる。例えば、浄化動作は、近位方向の圧力を継続的に維持しな
がら、その圧力を時間と共に上昇及び低下させることができる。場合によっては、近位方
向の圧力の変化は、排出を完全に阻止することなく、弱付着した妨害物を駆除できる程十
分なものである。いくつかの実施形態では、同一方向の圧力の変化は、任意選択的には、
2方向の圧力の変化と交互に行われる。これは、(例えば、塊部分は変化する圧力を吸収
するために反復的に収縮するために)妨害物の箇所の運動が増加し、妨害物の剥離に役立
つと考えられる。
【0234】
図8Eには、一方のチャネルの妨害物の直後に他方のチャネルの妨害物が生じた場合の
交互の浄化動作シーケンスが示されている。排出、妨害物、浄化、そして、排出に戻る段
階は、基本的には、例えば
図8Cに関連して説明したとおりである。追加点として、チャ
ネルが別々に動作する点がある。いくつかの実施形態では、一方のチャネルの浄化は、他
方の排出の増加と共に指示される。これは、可能性としては例えば、結腸中の流体の実質
的な排出効果を維持するためである。
【0235】
ここで、
図8Fを参照する。
図8Fは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った
、排出チャネル間の流体ブリッジ230.1を示す図である。
【0236】
本発明のいくつかの実施形態では、流体及び/又は排泄物が通過可能なブリッジ230
.1は、例えば、先端ヘッドアタッチメント230の一部によって設けられ、2本の排出
チャネル204.3及び204.4間を連通させる。本発明のいくつかの実施形態では、
ブリッジ230.1内の状態をモニタするための圧力センサといったセンサ230.2が
配される。
【0237】
いくつかの実施形態では、流体ブリッジ230.1は、感知において、ブリッジされた
排出チャネル204.3及び204.4の吸入口の一方が少なくとも部分的に閉塞された
場合に機能を果たす。本発明のいくつかの実施形態では、妨害物によって生じる圧力差は
、非閉塞状態のチャネル口の吸入口から流入する流体の一部を、ブリッジを通じて閉塞状
態のチャネルの方に向かわせる。これによって、感知されることになる変化、例えば、圧
力低下又は流れの徴候が生じ、これらは任意選択的には遠位端における妨害物形成を示す
ものとして利用される。本発明のいくつかの実施形態では、ブリッジ230.1は、2以
上のチャネルによる単一の先端口の共用を可能する。それにより、一方の吸入口が使用中
に閉塞しても、排出性能の大部分を維持することができると考えられる。
(使い捨てのパイプ装置)
【0238】
ここで、
図9Aを参照する。
図9Aは、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った
、灌注パイプ33A及び排出パイプ35Aを有する結腸鏡付属の管アセンブリ30が用い
られた洗浄ワークステーション31を概略的に示す図である。また、
図9Bを参照する。
図9Bは、使い捨ての管アセンブリ30が灌注パイプ35A及び排出パイプ35Bのため
の気体パイプ33A及び水パイプ33Wを有する例示的な洗浄ワークステーション31を
概略的に示す図である。さらに、
図10を参照する。
図10は、洗浄ワークステーション
31に隣接して動作する例示的な結腸鏡ワークステーション19を概略的に示す図である
。
【0239】
本発明のいくつかの実施形態では、付属の管アセンブリ30は、結腸に挿入される管で
ある。本発明のいくつかの実施形態では、管アセンブリ30は使い捨て式のものである。
任意選択的には、アセンブリは、結腸鏡が使用されない灌注に用いられる。
【0240】
結腸鏡洗浄システムの患者に接触する部分に使い捨ての管アセンブリ30を用いること
で考えられる利点は、使用毎の洗浄及び/又は再滅菌の必要がなくなる点である。使い捨
ての管アセンブリ30に考えられる別の利点は、使い捨ての管アセンブリ30の管に回復
不可能な妨害物が生じた場合であっても迅速に交換できる点である。
【0241】
本発明のいくつかの実施形態では、付属の管アセンブリ30は、結腸鏡に装着して、結
腸鏡挿入管13と共に結腸1中に挿入することができる。いくつかの実施形態では、使い
捨ての管アセンブリ30は、灌注及び/又は感知のために協働する水管パイプ33W及び
気体管パイプ33Sを有する。いくつかの実施形態では、排出パイプ35A及び35Bは
、協働及び/又は別々に動作して排出を行う。
【0242】
付属の管アセンブリ30に考えられる利点は、結腸洗浄システムを、例えば後付け部品
として、既存の結腸鏡システムと共に使用することができる点である。また、付属の管ア
センブリに考えられる別の利点は、結腸鏡の既存のチャネル、例えば、ワーキングチャネ
ルを引き続き使用可能な状態のまま維持することができる点である。
【0243】
いくつかの実施形態では、ポンプ32S及び32Wは、異なる灌注物質(例えば、気体
及び水)を、管33W及び33Sを介し、使い捨ての管アセンブリ30を通じて結腸鏡先
端14に供給する。いくつかの実施形態では、ポンプ32Sは、例えば、
図3A~
図3E
を参照しながら説明したように、遠隔圧力感知に利用される圧力を生じさせる。いくつか
の実施形態では、ポンプ34は圧力差を生じさせ、それにより、灌注物質を結腸鏡先端1
4から管35A及び35Bを介し、そして、使い捨ての管アセンブリ30を通じて流体容
器8中に移動する。いくつかの実施形態では、結腸鏡先端14はそうして、結腸1からの
糞便物質2の洗浄時に、灌注物質及び灌注物質排出の両方を供給する。
【0244】
本発明のいくつかの実施形態では、結腸鏡ワークステーション19は独立して糞便物質
を排出する。いくつかの実施形態では、吸引のための圧力差は、調節器7を通じ、そして
、パイプ9を介して、真空壁インレット6によって生じられる。いくつかの実施形態では
、パイプ9はさらに、インレット17を通じて結腸鏡の内側パイプ11、挿入管13及び
先端14に接続されている。この一連の接続によって、糞便物質2を先端14から容器8
中に捕集することができる。
(使い捨ての管アセンブリを有する洗浄システム)
【0245】
ここで、
図11を参照する。
図11は、本発明のいくつかの例示的な実施形態に従った
、付属の管アセンブリ及び2本の双方向ポンプを結腸鏡と共に有する例示的な結腸洗浄シ
ステムを概略的に示す図である。
【0246】
本発明のいくつかの実施形態では、洗浄システム207は、結腸鏡10のプローブに取
り付けられる。いくつかの実施形態では、排出管35.1及び35.2と灌注管201と
で使い捨ての管アセンブリ293が形成される。使い捨ての管アセンブリ293及び結腸
鏡挿入管13は、先端の共通の遠位端ハウジング290に組み付けられる。使い捨ての管
アセンブリ293は、挿入管13と共に、結腸1に挿管されて糞便物質2を排出する。吸
引271及び排出270は、本明細書中で先述したように、ワークステーション210に
よって制御される。
【0247】
本発明のいくつかの実施形態では、遠位側ヘッドハウジング290は、管アセンブリ2
93を通じてワークステーション210に接続されるセンサ204.2及び204.1の
設置の基盤を提供する。いくつかの実施形態では、遠位側ヘッドハウジング290は、排
出口290.1及び290.2を有し、これらは、挿入管13のワーキングチャネル20
3.1及び203.2へのアクセスを可能にする。いくつかの実施形態では、遠位側ヘッ
ドハウジング290はさらに、結腸鏡撮像装置292のための撮影口291及び/又は関
連の照明を提供する。
【0248】
ヘッドハウジング290を使用することで考えられる利点は、既存の結腸鏡と共に追加
の洗浄機能を可能にする点である。本明細書中に記載のように、本発明のいくつかの例示
的な実施形態は、目的に合うように設計された灌注チャネル及び排出チャネルを含む洗浄
機能を果たすように本来設計された結腸鏡を有する。いくつかの実施形態では、洗浄機能
は、共に使用される既存の結腸鏡を干渉することのない完全に別個の管システムとして設
けられる。
図11に示されているようないくつかの実施形態では、既存の結腸鏡の機能が
少なくとも部分的に洗浄に取り入れられる。任意選択的には、1又は複数の結腸鏡チャネ
ルは少なくとも一部の時間、灌注物質を結腸から除去するための排出チャネルとして使用
される。任意選択的には、灌注及び灌注流体の検出といった機能は、洗浄システムにより
設けられる1又は複数の付属部品によって実現される。そうした実施形態では、ヘッドハ
ウジング290は任意選択的には結腸鏡の構成を洗浄システムの構成に組み込む役割を果
たす。また、いくつかの実施形態では、洗浄用又はワーキングチャネルとして管の何らか
の部分を利用可能とすることによって、全プローブ径を、それぞれの機能を別個にサポー
トするために必要な径よりも縮小することができる。
【0249】
本明細書中で用いられるとき、用語「約」は±10%以内であることを意味する。
【0250】
用語「含む」、「備える」、「有する」及びそれらの同根語は、「含むが、それらに限
定されない」ことを意味する。
【0251】
用語「から成る」は、「含み、それらに限定される」ことを意味する。
【0252】
用語「実質的に~から成る」は、組成、方法又は構成が追加的な材料、ステップ及び/
又は部分を含み得ることを意味する。ただし、追加的な材料、ステップ及び/又は部分は
、特許請求されている材料、ステップ及び/又は部分の基本的かつ新規な特徴を著しくは
変化させないものとする。
【0253】
本明細書中で用いられるとき、単数形態(「a」、「an」及び「the」)は、文脈
がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、「化合物(
a compound)」又は「少なくとも1の化合物」は、その混合物を含む複数の化
合物を包含し得る。
【0254】
本明細書中で用いられるとき、用語「例」及び「例示的」は、「一例、事例、図解例」
を意味する。「例」又は「例示的」として説明されている実施形態はいずれも、好適又は
その他の実施形態よりも効果的及び/又はその他の実施形態の特徴の組み入れを除外する
ものとして必ずしも解釈されるべきではない。
【0255】
本明細書中で用いられるとき、用語「任意選択的」は、「いくつかの実施形態では用い
られるが他の実施形態では用いられない」ことを意味する。本発明の具体的な実施形態は
いずれも、複数の「任意選択的」な特性を有する。ただし、こうした特徴が矛盾を生じる
ときはその限りではない。
【0256】
本明細書中で用いられるとき、用語「方法」は、例えば、以下に限定されるわけではな
いが、化学、薬学、生物学、生化学及び医学の当業者に知られている態様、手段、技法及
び手順であるか、又は、知られている態様、手段、技法及び手順から容易に創出できるも
のといった所定のタスクを実現するための態様、手段、技法及び手順を意味する。
【0257】
本願では、本発明の様々な実施形態を範囲形式で示す場合がある。範囲形式の説明は、
便宜上の簡便さのために用いるものにすぎず、本発明の範囲を変更不可能な形で限定する
ものとして理解されるべきではない点を理解されたい。したがって、範囲の説明は、その
範囲内に包含される個々の数値だけでなく、可能な副範囲を全て具体的に開示するものと
して解釈すべきことを理解されたい。例えば、1~6といった範囲の説明は、範囲内に包
含される個々の数値、例えば、1、2、3、4、5及び6だけでなく、1~3、1~4、
1~5、2~4、2~6及び3~6等といった副範囲を具体的に開示するものとして解釈
されるべきである。このことは、範囲の幅に関わらず当てはまる。
【0258】
本明細書中に数値範囲が示されている場合は必ず、示されている範囲内の任意の引用数
値(分数又は整数)を含むものとして意図されている。本明細書中で用いられるとき、最
初に示された数と次に示された数と「の間の範囲」、及び、最初に示された数「から」次
に示された数「までの範囲」との語句は、互換的であり、最初に示された数及び次に示さ
れた数とこれらの間の全ての分数及び整数を包含するものとして意図されている。
【0259】
理解されているように、明瞭さのために別個の実施形態の文脈で説明されている本発明
の特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて実施することができる。逆に、明瞭さの
ために単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴は別個に又は適切な副
組み合わせで実施しても、本発明に記載の他の実施形態において適切に実施してもよい。
様々な実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしに動作不
能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきでは
ない。