(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】ポリウレタン用途のための低粘度ポリオール
(51)【国際特許分類】
C08G 63/60 20060101AFI20230412BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20230412BHJP
C09D 175/06 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
C08G63/60
C08G18/42
C09D175/06
(21)【出願番号】P 2020500152
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 US2018039038
(87)【国際公開番号】W WO2019010018
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-05-17
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591066100
【氏名又は名称】ステパン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン マイケル エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ジャノス ジェフリー アール.
(72)【発明者】
【氏名】イン スコット
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-003297(JP,A)
【文献】国際公開第2008/139841(WO,A1)
【文献】特開2010-065157(JP,A)
【文献】特表2005-500415(JP,A)
【文献】特開平10-330470(JP,A)
【文献】特開平06-306133(JP,A)
【文献】特表2014-515053(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0078438(KR,A)
【文献】特開2011-088960(JP,A)
【文献】特開2014-189989(JP,A)
【文献】特開2009-001467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G63/00- 63/91
C08L 1/00-101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)反応生成物の総重量に基づいて10重量%~59重量%の、少なくとも1種のポリカルボン酸、またはその無水物、ハロゲン化物、アルキルエステル、もしくはラクトン誘導体と;
(b)反応生成物の総重量に基づいて、5重量%~28重量%の、少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと;
(c)反応生成物の総重量に基づいて29重量%~80重量%の、1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物を含む、ランダムポリエステルポリオールであって、
前記少なくとも1種のポリカルボン酸が、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族二酸または芳香族二酸、脂環式二酸、少なくとも2の官能性を有するポリカルボン酸、およびそれらの混合物から選択され、
前記1種または複数種のポリアルコールが、1種または複数種のエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ヒドロキノン;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、もしくはそれらの組み合わせの縮合により誘導されるポリ(オキシアルキレン)ポリオール;グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化トリメチロールプロパン、プロポキシル化トリメチロールプロパン、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、およびそれらの組み合わせから選択され、
該ランダムポリエステルポリオールが、10.0またはそれ未満の酸価、400を超えて1100 mg KOH/gまでのOH価、2~6の官能性、および25℃で500 cps~15,000 cps未満の粘度を有する、
ランダムポリエステルポリオール。
【請求項2】
ポリアルコールが、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンを含む、請求項1に記載のポリエステルポリオール。
【請求項3】
少なくとも1種のポリカルボン酸が、グルタル酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、ピメリン酸、オクタン二酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クエン酸、イソクエン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、トリメリト酸無水物、およびピロメリト酸無水物から選択される、請求項1または2に記載のポリエステルポリオール。
【請求項4】
ポリカルボン酸が、アジピン酸である、請求項1~3のいずれか一項記載のポリエステルポリオール。
【請求項5】
ラクチドが、D-ラクチド、L-ラクチド、メソ-ラクチド、ラセミ体ラクチド、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~4のいずれか一項記載のポリエステルポリオール。
【請求項6】
ポリアルコール対ラクチドの重量比が、10:1~0.7:1
である、請求項1~5のいずれか一項記載のポリエステルポリオール。
【請求項7】
反応生成物が、天然油をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項記載のポリエステルポリオール。
【請求項8】
ポリウレタン組成物を調製するためのポリエステルポリオールブレンドであって、ポリエステルポリオールブレンドが、
(a)(i)反応生成物の総重量に基づいて10重量%~59重量%の、少なくとも1種のポリカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(ii)反応生成物の総重量に基づいて、5重量%~28重量%の、少なくとも1種のラクチド、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(iii)反応生成物の総重量に基づいて29重量%~80重量%の、1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物を含む、ランダムポリエステルポリオールであって、
前記少なくとも1種のポリカルボン酸が、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族二酸または芳香族二酸、脂環式二酸、少なくとも2の官能性を有するポリカルボン酸、およびそれらの混合物から選択され、
前記1種または複数種のポリアルコールが、1種または複数種のエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ヒドロキノン;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、もしくはそれらの組み合わせの縮合により誘導されるポリ(オキシアルキレン)ポリオール;グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化トリメチロールプロパン、プロポキシル化トリメチロールプロパン、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、およびそれらの組み合わせから選択され、
400を超えて1100 mg KOH/gまでのOH価、2~6の官能性、および25℃で500 cps~15,000 cps未満の粘度を有する、ランダムポリエステルポリオール;
(b)任意で、ポリエステルポリオールブレンドの重量に基づいて0重量%~60重量%の量の、少なくとも1種のオキサゾリジンまたは少なくとも1種のケチミン樹脂;および
(c)任意で、2種またはそれ以上の活性水素基を有する1種または複数種の追加成分
を含み、
ポリウレタン組成物が、コーティング、接着剤、シーラント、またはエラストマー用である、
ポリエステルポリオールブレンド。
【請求項9】
ポリアルコールが、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンを含む、請求項8に記載のポリエステルポリオールブレンド。
【請求項10】
少なくとも1種のポリカルボン酸が、グルタル酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、ピメリン酸、オクタン二酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クエン酸、イソクエン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、トリメリト酸無水物、およびピロメリト酸無水物から選択される、請求項8または9に記載のポリエステルポリオールブレンド。
【請求項11】
ポリカルボン酸が、アジピン酸である、請求項10に記載のポリエステルポリオールブレンド。
【請求項12】
ラクチドが、D-ラクチド、L-ラクチド、メソ-ラクチド、ラセミ体ラクチド、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項8~11のいずれか一項記載のポリエステルポリオールブレンド。
【請求項13】
ポリアルコール対ラクチドの重量比が、10:1~0.7:1
である、請求項8~12のいずれか一項記載のポリエステルポリオールブレンド。
【請求項14】
1種または複数種の追加成分が、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、アミンポリオール、ポリカプロラクトン、シリコーン、ヒドロキシル含有チオエーテル、アスパラギン酸樹脂、およびケチミン樹脂から選択される、請求項8~13のいずれか一項記載のポリエステルポリオールブレンド。
【請求項15】
ランダムポリエステルポリオールが、ポリエステルポリオールブレンドの30重量%~95重量%を構成する、請求項8~14のいずれか一項記載のポリエステルポリオールブレンド。
【請求項16】
オキサゾリジンが、ポリエステルポリオールブレンドの0を超えて60重量%までの量でポリエステルポリオールブレンドに存在する、請求項8~15のいずれか一項記載のポリエステルポリオールブレンド。
【請求項17】
A面およびB面を含む2部のポリウレタンコーティング組成物であって、
該B面が、
(1)(a)反応生成物の総重量に基づいて10重量%~59重量%の、ポリカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(b)反応生成物の総重量に基づいて、5重量%~28重量%の、ラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(c)反応生成物の総重量に基づいて29重量%~80重量%の、1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物であり、400を超えて1100 mg KOH/gまでのOH価、2~6の官能性、および25℃で500 cps~15,000 cps未満の粘度を有する、ランダムポリエステルポリオール;および
(2)任意で、B面の総重量に基づいて0重量%~60重量%の量で、少なくとも1種のオキサゾリジンまたは少なくとも1種のケチミン樹脂
を含み、かつ
該A面が、NCO基対OH基の割合を
0.9:1~
1.3:1で提供する量で、少なくとも1種のイソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせを含む、
2部のポリウレタンコーティング組成物。
【請求項18】
200 g/リットル未満のVOC含量を有する、請求項17記載のポリウレタンコーティング組成物。
【請求項19】
NCO基対OH基の割合が、1.05:1である、請求項17または18記載のポリウレタンコーティング組成物。
【請求項20】
ポリイソシアナートが、
3の公称官能性(nominal functionality)および
23重量パーセントのNCO含量を有するヘキサメチレンジイソシアナートのビウレットまたはイソシアヌレートである、請求項17~19のいずれか一項記載のポリウレタンコーティング組成物。
【請求項21】
ランダムポリエステルポリオール反応生成物が、B面の30重量%~95重量%を構成する、請求項17~20のいずれか一項記載のポリウレタンコーティング組成物。
【請求項22】
(a)少なくとも1種の芳香族または脂肪族イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせと;
(b)(i)反応生成物の総重量に基づいて10重量%~59重量%の、少なくとも1種のポリカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(ii)反応生成物の総重量に基づいて、5重量%~28重量%の、少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(iii)反応生成物の総重量に基づいて29重量%~80重量%の、1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物であり、かつ400を超えて
1100 mg KOH/gまでのOH価、2~6の官能性、および25℃で500 cps~15,000 cps未満の粘度を有する、ポリエステルポリオールと;
(c)任意で、イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせと反応する官能基を有する1種または複数種の追加成分と;
(d)(b)、(c)、および(d)の合計重量に基づいて0重量%より大きく60重量%以下の量のオキサゾリジンと
の反応生成物を含み、少なくとも60のショアD硬度を有する、架橋ポリウレタン組成物。
【請求項23】
60回振動(oscillation)を超えるケーニッヒ硬度を有する、請求項22記載の架橋組成物。
【請求項24】
コーティング用である、請求項22または23に記載の架橋組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月7日に出願された米国特許仮出願第62/529,873号、および2018年1月26日に出願された米国特許仮出願第62/622,228号、および2018年5月16日に出願された米国特許仮出願第62/672,182号の優先権を主張するものである。上記の米国特許仮出願の明細書全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本技術は、ラクチド系ポリエステルポリオール、およびラクチド系ポリエステルポリオールを含むポリウレタン組成物に関する。
【0003】
ポリウレタンは、プラスチック、木材、ガラス、金属、およびコンクリート等の種々の基体のコーティングを含む多種多様の用途に使用されている。このようなポリウレタンコーティングの重要な特性としては、耐摩耗性および耐薬品性、ならびに硬度等が挙げられる。ポリウレタンコーティングの調製で用いられるポリエステルポリオール樹脂は、多くの場合25℃で15,000 cpsを超える粘度を有することから、取り扱いおよびポリウレタンコーティング組成物への配合を容易にするために樹脂の粘度を低減させる溶媒を必要とする。
【0004】
近年、環境中に放出される揮発性有機化合物(VOC)の量を減らすことにより一層重点が置かれている。ポリエステル樹脂、およびこのような樹脂を用いるポリウレタン組成物由来の溶媒を制限または除去することを重要とする、VOCを制限する規制の厳格化が提案されている。
【0005】
25℃で15,000 cps 未満等の低減された粘度を有するポリエステルポリオールを提供し、それによってポリウレタンの配合物および用途におけるポリエステルポリオールの使用を容易にする溶媒を含む必要性を低減または排除する必要性が、当技術分野には残っている。
【0006】
また、ポリウレタン組成物に使用する場合、溶媒媒介性(solvent-borne)ポリエステルポリオールと比較して同等または改善された物理的特性を提供することができる低VOCのまたはVOCを含まないポリエステルポリオールも必要である。
【発明の概要】
【0007】
一局面において、本技術は、(a)少なくとも1種のポリカルボン酸、またはその無水物、ハロゲン化物、アルキルエステルもしくはラクトン誘導体と;(b)少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと;(c)1種または複数種のポリアルコールとの反応生成物を含むラクチド系のランダムポリエステルポリオールであって、10 mg KOH/gまたはそれ未満の酸価、および400を超えて1100 mg KOH/gまでのヒドロキシル価を有するラクチド系のランダムポリエステルポリオールに関する。
【0008】
さらなる局面において、本技術は、
(a) (i)少なくとも1種のポリカルボン酸と、
(ii)少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(iii)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物を含み、400を超えて1100 mg KOH/gまでのヒドロキシル価を有する、ランダムポリエステルポリオール;
(b)任意で、ポリエステルポリオール組成物の重量に基づいて0重量%~60重量%の量で少なくとも1種のオキサゾリジン;および
(c)任意で、イソシアナート基と反応する官能基を有する1種または複数種の追加成分
を含む、ポリエステルポリオールブレンドであって、ポリウレタン組成物を調製するためのポリエステルポリオールブレンドに関する。
【0009】
さらなる局面において、本技術は、
(a)(i)少なくとも1種のポリカルボン酸と、
(ii)少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(iii)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物を含み、400を超えて1100 mg KOH/gまでのヒドロキシル価を有する、ランダムポリエステルポリオール;
(b)任意で、ポリエステルポリオール組成物の重量に基づいて0重量%~60重量%の量で少なくとも1種のケチミン樹脂;および
(c)任意で、イソシアナート基と反応する官能基を有する1種または複数種の追加成分
を含む、ポリエステルポリオールブレンドであって、ポリウレタン組成物を調製するためのポリエステルポリオールブレンドに関する。
【0010】
別の局面において、本技術は、A面およびB面を含む2部のポリウレタンコーティング組成物に関し、
該B面は、
(1)(a)少なくとも1種のポリカルボン酸と、
(b)少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(c)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物であり、400を超えて1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、ランダムポリエステルポリオール;および
(2)任意で、B面の総重量に基づいて0重量%~60重量%の量で少なくとも1種のオキサゾリジン
を含み、かつ
該A面は、少なくとも1種の脂肪族または芳香族イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせを含む。
【0011】
別の局面において、本技術は、A面およびB面を含む2部のポリウレタンコーティング組成物に関し、
該B面は、
(1)(a)少なくとも1種のポリカルボン酸と、
(b)少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(c)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物であり、400を超えて1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、ランダムポリエステルポリオール;および
(2)任意で、B面の総重量に基づいて0重量%~60重量%の量で少なくとも1種のケチミン樹脂
を含み、かつ
該A面は、少なくとも1種の脂肪族または芳香族イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせを含む。
【0012】
さらなる局面において、本技術は、
(a)少なくとも1種の脂肪族または芳香族イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせと;
(b)(i)少なくとも1種のポリカルボン酸と、
(ii)少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(iii)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物であり、400を超えて約1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、ポリエステルポリオールと;
(c)任意で、イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせと反応する官能基を有する1種または複数種の追加成分と;
(d)任意で、(b)、(c)、および(d)の合計重量に基づいて0重量%~60重量%の量のオキサゾリジンと
の反応生成物を含む、架橋ポリウレタンコーティングに関する。
【0013】
さらなる局面において、本技術は、
(a)少なくとも1種の脂肪族または芳香族イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせと;
(b)(i)少なくとも1種のポリカルボン酸と、
(ii)少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(iii)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物であり、400を超えて約1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、ポリエステルポリオールと;
(c)任意で、イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせと反応する官能基を有する1種または複数種の追加成分と;
(d)任意で、(b)、(c)、および(d)の合計重量に基づいて0重量%~60重量%の量のケチミンと
の反応生成物を含む、架橋ポリウレタンコーティングに関する。
[本発明1001]
(a)少なくとも1種のポリカルボン酸、またはその無水物、ハロゲン化物、アルキルエステル、もしくはラクトン誘導体と;
(b)少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと;
(c)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物を含む、ランダムポリエステルポリオールであって、
10.0またはそれ未満の酸価、および400を超えて1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、
ランダムポリエステルポリオール。
[本発明1002]
1種または複数種のポリアルコールが、ジオール、トリオール、および3を超える平均官能性を有するポリアルコール、ならびにそれらの組み合わせから選択される、本発明1001のポリエステルポリオール。
[本発明1003]
ポリアルコールが、1種または複数種のエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ヒドロキノン;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、もしくはそれらの組み合わせの縮合により誘導されるポリ(オキシアルキレン)ポリオール;グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化トリメチロールプロパン、プロポキシル化トリメチロールプロパン、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール、およびそれらの組み合わせから選択される、本発明1002のポリエステルポリオール。
[本発明1004]
ポリアルコールが、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンを含む、本発明1001~1003のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1005]
少なくとも1種のポリカルボン酸が、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族二酸または芳香族二酸、脂環式二酸、少なくとも2の官能性を有するポリカルボン酸、およびそれらの混合物から選択される、本発明1001~1004のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1006]
少なくとも1種のポリカルボン酸が、グルタル酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、ピメリン酸、オクタン二酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クエン酸、イソクエン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、トリメリト酸無水物、およびピロメリト酸無水物から選択される、本発明1005のポリエステルポリオール。
[本発明1007]
ポリカルボン酸が、アジピン酸である、本発明1001~1006のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1008]
ラクチドが、D-ラクチド、L-ラクチド、メソ-ラクチド、ラセミ体ラクチド、およびそれらの組み合わせから選択される、本発明1001~1007のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1009]
反応生成物が、反応生成物を形成する成分の総重量に基づいて、約1重量%~約40重量%、好ましくは5重量%~28重量%のラクチドを含む、本発明1001~1008のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1010]
反応生成物が、反応生成物を形成する成分の総重量に基づいて29重量%~89重量%の1種または複数種のポリアルコールを含む、本発明1001~1009のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1011]
反応生成物が、反応生成物を形成する成分の総重量に基づいて10重量%~70重量%のポリカルボン酸を含む、本発明1001~1010のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1012]
400を超えて約800 mg KOH/gまでのOH価を有する、本発明1001~1011のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1013]
2.0またはそれを超える官能性を有する、本発明1001~1012のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1014]
ポリアルコール対ラクチドの重量比が、60:1~0.7:1、好ましくは5:1~1.1:1である、本発明1001~1013のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1015]
25℃で約500 cps~約15,000 cps未満の粘度を有する、本発明1001~1014のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1016]
25℃で約1,000 cps~約10,000 cps未満の粘度を有する、本発明1001~1015のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1017]
反応生成物が、天然油をさらに含む、本発明1001~1016のいずれかのポリエステルポリオール。
[本発明1018]
ポリウレタン組成物を調製するためのポリエステルポリオールブレンドであって、ポリエステルポリオールブレンドが、
(a)(i)少なくとも1種のポリカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(ii)少なくとも1種のラクチド、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(iii)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物を含み、400を超えて1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、ランダムポリエステルポリオール;
(b)任意で、ポリエステルポリオールブレンドの重量に基づいて0重量%~60重量%の量の少なくとも1種のオキサゾリジン;および
(c)任意で、2種またはそれ以上の活性水素基を有する1種または複数種の追加成分
を含み、
ポリウレタン組成物が、コーティング、接着剤、シーラント、エラストマー、または発泡体である、
ポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1019]
1種または複数種のポリアルコールが、ジオール、トリオール、および3を超える平均官能性を有するポリアルコール、ならびにそれらの組み合わせから選択される、本発明1018のポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1020]
ポリアルコールが、1種または複数種のエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ヒドロキノン;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、もしくはそれらの組み合わせの縮合により誘導されるポリ(オキシアルキレン)ポリオール;グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化トリメチロールプロパン、プロポキシル化トリメチロールプロパン、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、およびマンニトール、ならびにそれらの組み合わせから選択される、本発明1019のポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1021]
ポリアルコールが、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンを含む、本発明1018~1020のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1022]
少なくとも1種のポリカルボン酸が、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族二酸または芳香族二酸、脂環式二酸、少なくとも2の官能性を有するポリカルボン酸、およびそれらの混合物から選択される、本発明1018~1021のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1023]
少なくとも1種のポリカルボン酸が、グルタル酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、ピメリン酸、オクタン二酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クエン酸、イソクエン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、トリメリト酸無水物、およびピロメリト酸無水物から選択される、本発明1022のポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1024]
ポリカルボン酸が、アジピン酸である、本発明1018~1023のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1025]
ラクチドが、D-ラクチド、L-ラクチド、メソ-ラクチド、ラセミ体ラクチド、およびそれらの組み合わせから選択される、本発明1018~1024のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1026]
反応生成物が、反応生成物を形成する成分の総重量に基づいて、約1重量%~約40重量%、好ましくは5重量%~28重量%のラクチドを含む、本発明1018~1025のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1027]
反応生成物が、反応生成物を形成する成分の総重量に基づいて29重量%~89重量%の1種または複数種のポリアルコールを含む、本発明1018~1026のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1028]
反応生成物が、反応生成物を形成する成分の総重量に基づいて10重量%~70重量%のポリカルボン酸を含む、本発明1018~1027のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1029]
ポリエステルポリオールが、400を超えて約800 mg KOH/gまでのOH価を有する、本発明1018~1028のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1030]
ポリエステルポリオールが、2.0またはそれを超える官能性を有する、本発明1018~1029のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1031]
ポリアルコール対ラクチドの重量比が、60:1~0.7:1、好ましくは5:1~1.1:1である、本発明1018~1030のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1032]
ポリエステルポリオールが、25℃で約500 cps~約15,000 cps未満の粘度を有する、本発明1018~1031のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1033]
ポリエステルポリオールが、25℃で約1,000 cps~約10,000 cps未満の粘度を有する、本発明1018~1032のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1034]
1種または複数種の追加成分が、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、アミンポリオール、ポリカプロラクトン、シリコーン、ヒドロキシル含有チオエーテル、アスパラギン酸樹脂、およびケチミン樹脂から選択される、本発明1018~1033のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1035]
ランダムポリエステルポリオールが、ポリエステルポリオールブレンドの30重量%~95重量%を構成する、本発明1018~1034のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1036]
オキサゾリジンが、ポリエステルポリオールブレンドの0を超えて60重量%までの量でポリエステルポリオールブレンドに存在する、本発明1018~1035のいずれかのポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1037]
A面およびB面を含む2部のポリウレタンコーティング組成物であって、
該B面が、
(1)(a)ポリカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(b)ラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(c)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物であり、400を超えて1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、ランダムポリエステルポリオール;および
(2)任意で、B面の総重量に基づいて0重量%~60重量%の量で少なくとも1種のオキサゾリジン
を含み、かつ
該A面が、NCO基対OH基の割合を約0.9:1~約1.3:1で提供する量で、少なくとも1種のイソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせを含む、
2部のポリウレタンコーティング組成物。
[本発明1038]
200 g/リットル未満のVOC含量を有する、本発明1037のポリウレタンコーティング組成物。
[本発明1039]
NCO基対OH基の割合が、1.05:1である、本発明1037または1038のポリウレタンコーティング組成物。
[本発明1040]
ポリイソシアナートが、約3の公称官能性(nominal functionality)および約23重量パーセントのNCO含量を有するヘキサメチレンジイソシアナートのビウレットまたはイソシアヌレートである、本発明1037~1039のいずれかのポリウレタンコーティング組成物。
[本発明1041]
ランダムポリエステルポリオール反応生成物が、反応生成物を形成する成分の総重量に基づいて29重量%~89重量%の1種または複数種のポリアルコールを含む、本発明1037~1040のいずれかのポリウレタンコーティング組成物。
[本発明1042]
ランダムポリエステルポリオール反応生成物が、反応生成物を形成する成分の総重量に基づいて10重量%~70重量%のポリカルボン酸を含む、本発明1037~1041のいずれかのポリウレタンコーティング組成物。
[本発明1043]
ランダムポリエステルポリオール反応生成物が、反応生成物を形成する成分の総重量に基づいて、1重量%~40重量%、好ましくは5重量%~28重量%のラクチドを含む、本発明1037~1042のいずれかのポリウレタンコーティング組成物。
[本発明1044]
ランダムポリエステルポリオール反応生成物が、B面の30重量%~95重量%を構成する、本発明1037~1042のいずれかのポリウレタンコーティング組成物。
[本発明1045]
(a)少なくとも1種の芳香族または脂肪族イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせと;
(b)(i)少なくとも1種のポリカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(ii)少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(iii)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物であり、かつ400を超えて約1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、ポリエステルポリオールと;
(c)任意で、イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせと反応する官能基を有する1種または複数種の追加成分と;
(d)任意で、(b)、(c)、および(d)の合計重量に基づいて0重量%~60重量%の量のオキサゾリジンと
の反応生成物を含み、少なくとも60のショアD硬度を有する、架橋ポリウレタン組成物。
[本発明1046]
60回振動(oscillation)を超えるケーニッヒ硬度を有する、本発明1045の架橋組成物。
[本発明1047]
ポリウレタン組成物を調製するためのポリエステルポリオールブレンドであって、ポリエステルポリオールブレンドが、
(a)(i)少なくとも1種のポリカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(ii)少なくとも1種のラクチド、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(iii)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物を含み、400を超えて1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、ランダムポリエステルポリオール;
(b)任意で、ポリエステルポリオールブレンドの重量に基づいて0重量%~60重量%の量で少なくとも1種のケチミン樹脂;および
(c)任意で、2種またはそれ以上の活性水素基を有する1種または複数種の追加成分
を含み、
ポリウレタン組成物が、コーティング、接着剤、シーラント、エラストマー、または発泡体である、
ポリエステルポリオールブレンド。
[本発明1048]
A面およびB面を含む2部のポリウレタンコーティング組成物であって、
該B面が、
(1)(a)ポリカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(b)ラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(c)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物であり、400を超えて1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、ランダムポリエステルポリオール;および
(2)任意で、B面の総重量に基づいて0重量%~60重量%の量で少なくとも1種のケチミン樹脂
を含み、かつ
該A面が、NCO基対OH基の割合を約0.9:1~約1.3:1で提供する量で、少なくとも1種のイソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせを含む、
2部のポリウレタンコーティング組成物。
[本発明1049]
(a)少なくとも1種の脂肪族または芳香族イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせと;
(b)(i)少なくとも1種のポリカルボン酸と、
(ii)少なくとも1種のラクチド、乳酸、乳酸誘導体、またはそれらの組み合わせと、
(iii)1種または複数種のポリアルコールと
の反応生成物であり、400を超えて約1100 mg KOH/gまでのOH価を有する、ポリエステルポリオールと;
(c)任意で、イソシアナート、ポリイソシアナート、またはそれらの組み合わせと反応する官能基を有する1種または複数種の追加成分と;
(d)任意で、(b)、(c)、および(d)の合計重量に基づいて0重量%~60重量%の量のケチミンと
の反応生成物を含む、架橋ポリウレタンコーティング。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、2000時間にわたりUV曝露した後の本技術のポリウレタン配合物の色彩安定性を市販のコーティング配合物と比較するグラフである。
【
図2】
図2は、2000時間にわたりUV曝露した後の本技術のポリウレタン配合物および市販のコーティング配合物の光沢度を示すグラフである。
【
図3】
図3は、2000時間にわたりUV曝露した後の本技術のポリウレタン配合物および市販のコーティング配合物の色彩安定性を示すグラフである。
【
図4】
図4は、2000時間にわたりUV曝露した後の本技術のポリウレタン配合物および市販のコーティング配合物の光沢度を示すグラフである。
【
図5】
図5は、2000時間にわたりUV曝露した後の本技術のポリウレタン配合物および市販のコーティング配合物のΔb
*レベルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましい態様の詳細な説明
本明細書において用いられる「官能性」なる用語は、分子中の反応性基、例えば、ヒドロキシル基の数を意味する。
【0016】
本明細書において用いられる「ヒドロキシル価」、「OH価」または「OHV」なる用語は、通常mg KOH/g、すなわち物質1g中のヒドロキシル基に相当する水酸化カリウムのミリグラム数として示される、ヒドロキシル基の濃度の定量的尺度のことをいう。
【0017】
本明細書において用いられる「ラクチド」なる用語は、乳酸の環状ジエステルのことをいい、全ての立体異性体(L-ラクチド、D-ラクチド、メソ-ラクチド、ラセミ体ラクチド)およびそれらの混合物を包含する。
【0018】
本明細書において用いられる「乳酸」なる用語は、2-ヒドロキシプロピオン酸のことをいう。「乳酸誘導体」は、乳酸の塩形態、乳酸エステル、および乳酸ハロゲン化物を包含する。
【0019】
本明細書において用いられる「多価アルコール(polyhydric alcohol)」または「ポリアルコール(polyalcohol)」なる用語は、ジオール、トリオール、および3を超える平均官能性を有する高級官能性ヒドロキシル含有化合物を包含する。
【0020】
本明細書において用いられる「ポリカルボン酸」なる用語は、ジカルボン酸、トリカルボン酸、および3個を超えるカルボン酸基を有する高級官能性カルボン酸を包含する。「ポリカルボン酸誘導体」は、無水物、ハロゲン化物、ラクトン、およびアルキルエステルを包含する。
【0021】
本明細書において用いられる「ポリエステルポリオール」なる用語は、エステル結合を有するポリオールを意味する。
【0022】
本明細書において用いられる「少量」または「低VOC」なる用語は、総揮発性物質の分析(Analysis of Total Volatiles)のためのEPA Method 24に従って測定される、200 g/リットル未満、または150 g/リットル未満、または125 g/リットル未満である、ポリウレタン組成物中の揮発性有機化合物の量のことをいう。
【0023】
本技術は、1つまたは複数の好ましい態様に関連して記載されるが、該技術がこれら特定の態様のみに限定されないことは当業者に理解されるであろう。それどころか、本技術は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲の範囲内に包含され得る、あらゆる代替、改変、および等価物を包含する。
【0024】
本技術は、少なくとも1種のポリカルボン酸、またはその無水物、ハロゲン化物、アルキルエステルもしくはラクトン誘導体、ならびに1種または複数種の多価アルコール(ポリアルコール)と反応させた、ラクチド、または乳酸もしくはその誘導体の反応生成物であるラクチド系ランダムポリエステルポリオールを包含する。該ポリエステルポリオールは、ポリウレタン組成物、例えば、ポリウレタンのコーティング、接着剤、シーラント、エラストマー、または発泡体の用途のためのポリウレタン組成物等に使用することができる。本技術は、ラクチド系ポリエステルポリオールを含むポリウレタン組成物、および該ポリウレタン組成物から作られるポリウレタンコーティングも包含する。
【0025】
ポリエステルポリオール
本技術のラクチド系ランダムポリエステルポリオールは、少なくとも1種のラクチド、または乳酸もしくはその誘導体と、少なくとも1種のポリカルボン酸、またはその無水物、ハロゲン化物、アルキルエステルもしくはラクトン誘導体と、1種または複数種のポリアルコールとを反応させることにより単一工程で調製される。
【0026】
ラクチド成分
ラクチドは、乳酸の2量体環状エステルであり、かつ3種の光学異性体:2個のL-乳酸分子から形成されるL-ラクチド、2個のD-乳酸分子から形成されるD-ラクチド、およびL-乳酸とD-乳酸とから形成されるメソ-ラクチドとして存在する。ラセミ体ラクチドは、L-ラクチドとD-ラクチドとの混合物である。本明細書において用いられるラクチドは、純粋なL-ラクチド、純粋なD-ラクチド、メソ (DL)-ラクチド、またはそれらのラセミ混合物であり得る。ラクチドはいくつかの供給業者から市販されている。ポリエステルポリオールの調製に使用するのに提起した市販ラクチドのひとつは、Corbionから入手可能ならラクチドであるPURALACT(登録商標)B3である。あるいは、乳酸の塩等の乳酸または乳酸誘導体は、単独またはラクチドと組み合わせて、ラクチド成分として使用することができる。ポリエステルポリオール中のラクチドまたは乳酸の量は、ポリエステルポリオールを形成する成分の総重量に基づいて、約1重量%~約40重量%、または約1重量%~約35重量%、または約5重量%~約35重量%、または約5重量%~約28重量%であり得る。
【0027】
ポリカルボン酸成分
ポリカルボン酸成分は、脂肪族、脂環式、および/または芳香族であり得、かつ1種または複数種のジカルボン酸、トリカルボン酸、高級官能性カルボン酸、またはこのような酸の混合物を包含する。適したジカルボン酸としては、カルボキシ基に含有される炭素原子を含む4~22個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の脂肪族二酸、脂環式二酸、またはそれらの混合物、および総数8~16個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。二酸の無水物、ハロゲン化物、ラクトンまたはアルキルエステル等のこれらジカルボン酸の誘導体も、本技術において使用され得る。好ましい脂肪族ジカルボン酸は、4~16個の炭素原子、または6~12個の炭素原子を有する二酸である。ジカルボン酸の代表例としては、グルタル酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、ピメリン酸、オクタン二酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸等が挙げられる。ポリカルボン酸成分が1種または複数種の芳香族ジカルボン酸を含む場合、得られるポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオールと共に溶媒の使用を必要とする増加した粘度を有するかもしれない。そのため、芳香族ジカルボン酸が含まれる場合には、ポリエステルポリオールの粘度が不利に増加しないほど十分に少ない量に保つことが望ましいかもしれない。三酸または高級官能性ポリ酸の代表的例としては、クエン酸、イソクエン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、トリメリト酸無水物、およびピロメリト酸無水物等が挙げられる。ポリカルボン酸成分の量は、ポリエステルポリオールを形成する成分の総重量に基づいて、約10重量%~約70重量%、または約10重量%~約59重量%、または約10重量%~約55%重量%であり得る。
【0028】
ポリアルコール成分
ポリアルコール成分は、直鎖状または分岐状であり得、かつ1種または複数種のジオール、トリオール、もしくは3を超える平均官能性を有する高級官能性ポリオール、またはそれらの混合物を包含する。ジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2-ジメチル-1,3 プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-プロパングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、レソルシノール、ヒドロキノン、ならびにエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド、またはそれらの組み合わせの縮合よって誘導されるポリ(オキシアルキレン)ポリオール等が挙げられる。いずれのジオールの混合物も意図される。適したトリオールおよび3を超える平均官能性を有する高級官能性ポリアルコールとしては、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ならびにそれらのアルコキシル化誘導体、例えば、エトキシル化トリメチロールプロパンおよびプロポキシル化トリメチロールプロパン等;スクロース、グルコース、およびフルクトース等の糖類;ソルビトールおよびマンニトール等の糖アルコール等、ならびに前述のいずれかの組み合わせ等が挙げられる。また、Perstorpから市販されているアルコキシル化されたジオール、トリオールおよび高級官能性ポリオールも適している。ポリアルコールがアルコキシル化されている場合、アルコキシル化の量は2~約15単位のアルコキシル化の範囲で変動し得る。アルコキシル化単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはそれらの組み合わせであり得る。ジオール、トリオール、および/または高級官能性ポリアルコールの混合物は、得られるポリエステルポリオールに高級官能性を与えるいくつかの態様において好ましい。いくつかの態様において、ポリアルコール成分は、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンの混合物である。他の態様において、ポリアルコール成分は、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、およびトリメチロールプロパンエトキシラートの混合物である。ポリアルコール成分の量は、ポリエステルポリオールを形成する成分の総重量に基づいて、約29重量%~約89重量%、または約40重量%~約80重量%であり得る。ポリエステルポリオールを形成する成分の総重量は合計して100%になると理解されるべきである。ポリアルコール成分対ポリエステルポリオールを形成するラクチド成分の重量比は、60:1~0.7:1、または10:1~0.8:1、または10:1~0.9:1、または10:1~1.0:1、または5:1~1.1:1であり得る。
【0029】
任意の成分
本技術のポリエステルポリオールは、追加の任意の成分もまた含んでもよい。例えば、大豆油またはヒマシ油等の天然油を、ポリエステルポリオールの主鎖に組み込んで、ポリエステルポリオールおよびそれから形成されるポリウレタン組成物の所望の特性を改変または増強することができる。天然油の量は、最終使用の配合物および最終用途に応じて0%から約30%までの範囲で変動し得る。
【0030】
本技術のポリエステルポリオールは、成分の全てを適した容器に添加し、必要ならば、反応生成物が10.0未満、または5.0以下、または2.5以下、または2.0以下、または1.5以下、または1.0以下、好ましくは0.8未満の酸価を有するまで触媒の存在下で成分混合物を加熱するか、減圧下で加熱することによって調製される。反応のための触媒は、チタナート、ジルコナート、スズを主材料とする触媒、テトライソプロピルチタナート、テトラブチルチタナート、ジブチルスズオキシド、亜鉛の酸化物、鉛の酸化物、アンチモンの酸化物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される遷移金属触媒であり得る。アルカリ金属触媒またはルイス酸もしくはブレーンステッド酸等の他の触媒も使用することができる。得られるポリエステルポリオールは、400 mg KOH/gを超えて約1100 mg KOH/gまで、または400を超えて約800 mg KOH/gまで、または400を超えて約700 mg KOH/gまで、または400を超えて約600 mg KOH/gまでのOH価、ならびに約900 g/mol未満の平均分子量を有する。ポリエステルポリオールは、25℃で約15,000 cps未満、または25℃で約12,000 cps未満、または25℃で約10,000 cps未満、あるいは25℃で、約500 cps~約15,000 cps未満、または約500 cps~約10,000 cps未満、または約700 cps~約10,000 cps未満、または約800 cps~約10,000 cps未満、または約1,000 cps~約10,000 cps未満の粘度を有する。ポリエステルポリオールは、約2.0を超えるかまたは等しい、好ましくは2.0を超える官能性も有する。適した官能性は、より高級の官能性も意図するが、2を超えて約6までの範囲で変動し得る。
【0031】
ポリウレタン組成物
本技術のポリウレタン組成物は、少なくとも1種のイソシアナートを、本技術のポリエステルポリオール、および任意で1種または複数種の追加成分と反応させてポリウレタン反応生成物を形成することにより調製される。いくつかの態様において、ポリウレタン組成物は、1液湿気硬化型(a one part moisture-cured)ポリウレタン組成物である。このような組成物は、本技術のポリエステルポリオールを、過剰のイソシアナートと反応させてイソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーを形成することにより調製することができる。これら1液ポリウレタン組成物において、プレポリマー中の測定されるNCO含量は、約1% NCOから約48% NCOの間であり得る。他の態様において、ポリウレタン組成物は、本技術のポリエステルポリオールを含む「B面」と少なくとも1種のイソシアナートを含む「A面」とが組み合わさった2部のポリウレタン組成物である。
【0032】
B面は、B面成分の重量に基づいて約30重量%~約95重量%の量で本技術のポリエステルポリオールを含む。B面は、通常適したウレタン触媒も含有する。このような触媒は、当技術分野で公知であり、かつ第三級アミン化合物、イソシアナートと反応する基を持つアミン、および有機金属化合物を包含する。例示的な有機金属触媒としては、有機水銀触媒、有機鉛触媒、有機鉄触媒、および有機スズ触媒等が挙げられる。他の適した触媒としては、金属触媒、例えばオクタン酸カリウム;オクタン酸第一スズ;塩化第一スズ;ジラウリン酸ジブチルスズ等のカルボン酸のスズ塩、ネオデカン酸ビスマス(III)等のアルカリ金属アルコキシド、およびトリエチレンジアミン(TEDA)、N-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N'-ジメチルピペラジン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、N-メチル-N'-(2-ジメチルアミノ)-エチル-ピペラジン、トリブチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘプタメチルテトラエチレンペンタミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリス(3-ジメチルアミノ)プロピルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、ビス(N,N-ジメチルアミノプロピル)-N'-メチルアミン、1-メチル-4-ジメチルアミノエチルピペラジン、3-メトキシ-N-ジメチルプロピルアミン、N-エチルモルホリン、N-ココモルホリン(CAS No. 72906-09-3、BASF SE, Ludwigshafen, Germanyの製品)、N,N-ジメチル-N',N'-ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N-ジエチル-3-ジエチルアミノ-プロピルアミン、ジエチルエタノールアミン、3-メトキシプロピルジメチルアミン、N,N,N'-トリメチルイソプロピルプロピレンジアミン、3-ジエチルアミノプロピル-ジエチルアミン、およびジメチルベンジルアミン等のアミン化合物からなる群より選択される1種または複数種のメンバー、ならびにそれらの任意の混合物等が挙げられる。触媒の量は、全B面成分の0を超えて約5重量%まで、例えば全B面成分の約0.05~約5重量%、または約0.1~約5重量%で変動し得る。
【0033】
いくつかの態様において、オキサゾリジン樹脂またはケチミン樹脂のB面成分への添加が、A面組成物とB面組成物との反応から得られるポリウレタンコーティングまたは材料における驚くべき硬度の増加を提供することが見いだされた。いくつかの態様において、脂肪族イソシアナートと、オキサゾリジン樹脂を含有するB面組成物とを用いて調製されるポリウレタンコーティングは、ポリウレタンコーティングで達成することが通常は困難であった標準的なエポキシコーティングの硬度レベルに近づく硬度レベルを有する。他の態様において、芳香族イソシアナートと、オキサゾリジン樹脂を含有するB面組成物から調製されるポリウレタンコーティングは、標準的なエポキシコーティングの硬度レベルと類似の硬度レベルを有する。オキサゾリジン樹脂は、B面組成物の総重量に基づいて0重量%~約60重量%の量でB面組成物中に存在し得る。いくつかの態様において、少なくとも1種のケチミン樹脂を含有するB面組成物を用いて調製されるポリウレタン材料は、標準的な工業用コーティングまたは材料と比較して、ポリウレタン材料の改善されたショアD硬度および耐薬品性を提供することができる。ケチミン樹脂は、B面組成物の重量に基づいて0重量%~約60重量%、または0重量%~約50重量%の量でB面組成物中に存在し得る。
【0034】
所望の特性に応じて、B面は、追加のポリオール、またはイソシアナート基と反応する基を有する他の化合物もしくは樹脂を任意で含有してもよい。このような追加成分としては、脂肪族および/または芳香族ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリエーテルポリオール、ポリカルボナートポリオール、アクリル酸ポリオール、アミンポリオール、ポリカプロラクトン、シリコーン、ヒドロキシル含有チオエーテル、およびアスパラギン酸樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されない。追加の脂肪族ポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはそれらの混合物等のグリコール誘導体であり得る。望ましいグリコールは、約400またはそれ以下の平均分子量を有する。任意の芳香族ポリエステルポリオールは、例えば、過剰のジオールまたは高級官能性ポリアルコール(例えば、上述したジオールまたはポリアルコールのいずれか)と反応した、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはフタル酸無水物の反応生成物である芳香族ポリエステルポリオールであり得る。B面は、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールまたはそれらの組み合わせ等の250またはそれ以上の分子量を有するポリエーテルポリオールも含んでもよい。追加の化合物または樹脂の適した量は、ポリウレタン組成物に関する所望の特性および最終用途、ならびにポリウレタン組成物中の成分の全体的な相溶性に依存するであろう。
【0035】
B面は、任意の添加剤を含有することもできる。例えば、添加剤としては、1種または複数種の消泡剤、色素、UV安定剤、湿潤剤、レベリング剤、腐食防止剤、反応性希釈剤、またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。添加剤は、通常、B面中に組み込まれているが、添加剤がイソシアナート化合物と相溶性がある場合、それらはA面部分中にも組み込むことができると解される。概して、色素は、B面成分の総重量に基づいて0重量%~約60重量%を構成することができる。他の添加剤の適した量はポリウレタン組成物の最終用途に依存すると考えられ、当業者であれば適量を決定することができる。
【0036】
イソシアナートを含有する「A面」は、イソシアナート成分、好ましくはポリイソシアナート成分を含む。本明細書において、ポリイソシアナートは2種以上のイソシアナート官能基を有するものとして定義される。適したイソシアナートの例としては、約2.25~約4の範囲の公称官能性(nominal functionality)を有する、通常の脂肪族、脂環式、および芳香族のイソシアナート、またはそれらの混合物等が挙げられる。具体的な例としては:アルキレン遊離基中に4~12個の炭素を持つアルキレンジイソシアナート、例えば1,12-ドデカンジイソシアナート、2-エチル-1,4-テトラメチレンジイソシアナート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアナート、1,4-テトラメチレンジイソシアナートおよび1,6-ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、およびHDIのビウレットもしくは三量体等;脂環式ジイソシアナート、例えば1,3-および1,4-シクロヘキサンジイソシアナート、ならびにこれらの異性体の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート)、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアナートならびに対応する異性体混合物、4,4'-2,2'-および2,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートならびに対応する異性体混合物等、ならびに芳香族ジイソシアナートおよびポリイソシアナート、例えば2,4-および2,6-トルエンジイソシアナートならびに対応する異性体混合物、ならびに2,2'-ジフェニルメタンジイソシアナートならびに対応する異性体混合物、4,4'-、2,4'-および2,2-ジフェニルメタンジイソシアナートの混合物、ナフチレン-1,5-ジイソシアナート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアナート(粗MDI);ナフタレン-1,5-ジイソシアナート、およびトリフェニルメタン-4,4'4'-トリイソシアナート等が挙げられる。
【0037】
一態様において、A面部分に使用されるポリイソシアナート成分は、およそ3の公称官能性、およびおよそ23重量パーセントのNCO含量を有する、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)のビウレットもしくはイソシアヌレートである。
【0038】
本技術のポリウレタンコーティングまたは材料は、約0.9:1~約1.3:1、好ましくは約1.05:1(過剰のイソシアナート)のNCO基対OH基の割合で、A面とB面とを反応させることにより調製することができる。A面およびB面は混合され、圧延、はけ塗り、噴霧、静電噴霧、または液浸等の当技術分野で公知の任意の標準的な手段により基体に塗布され得る。多数の適した基体としては、金属、木材、ガラス、プラスチック、およびセメント等が挙げられる。ポリウレタンコーティングは、単独でまたは1種または複数種の追加のコーティングと組み合わせて用いることができる。例えば、A面およびB面を含むポリウレタン組成物は、下塗りもしくは地塗りのコーティングとして、または上塗りのコーティングとして塗布することができる。ポリウレタン組成物を基体に塗布した後、ポリウレタン反応生成物は最終のポリウレタンコーティングに硬化させられる。硬化温度は約0℃~約200℃で変動し得る。
【0039】
ポリウレタンコーティングは、いくつかの有利な特性を有する。特別な利点は、本技術のポリエステルポリオールがより低粘度(すなわち、25℃で15,000 cps未満)であるため、ポリウレタン組成物のために必要とされる溶媒がより少ないことである。結果として、より低粘度のポリエステルポリオールの取り扱いに必要とされる溶媒がより少ないため、本技術のポリウレタン組成物およびコーティングは、低VOC量を有する。いくつかの態様において、ポリウレタン組成物中のVOC量は、総揮発性物質の分析のためのEPA Method 24に従って測定される、200 g/リットル未満、または150 g/リットル未満、または125 g/リットル未満である。本技術のポリウレタンコーティングは、現行の工業規格よりもより良好な耐摩耗性および硬度レベルも有する。いくつかの態様において、ポリウレタンコーティングは、60回振動(oscillation)を超えるケーニッヒ硬度を有する。ポリウレタンコーティングは、標準的な工業コーティングと比較して同等もしくはより良好な耐薬品性および匹敵する光沢度も有し、かつエポキシおよびアクリルウレタンコーティングと比較して実質的に同じ物理的特性も有する。本技術のポリウレタンコーティングは、他の使用も企図されるが、床用または汎用のメンテナンスコーティングとしての使用に特に適している。
【0040】
本明細書に記載する技術およびその利点は、以下の実施例を参照することにより、より良く理解されるであろう。これらの実施例は、本技術の具体的な態様を記載するために提供される。これらの実施例を提供することにより、発明者らは本技術の範囲および精神を限定するものではない。
【0041】
以下の試験方法は、ポリウレタンコーティング組成物および得られるコーティングの特性および性能を判定するのに使用される。
【0042】
テーバー摩耗試験は、1,000グラム荷重および1,000回転をともなうCS-17輪を用いてASTM D4060-10に従って行われる。光沢は、60°光沢でASTM D523-14に従って測定される。ショアD硬度はASTM D2240-05に従って測定され、ケーニッヒ硬度はASTM D4366-14に従って測定される。鉛筆硬度はASTM D3363-05に従って測定される。基体へのコーティングの接着はASTM D 3359-95aに従って測定される。VOC含量は、総揮発性物質の分析のためのEPA Method 24に従って算出される。
【0043】
耐薬品試験は、およそ3.5 gの重さのポリウレタン反応生成物の試料を調製し、該試料を所望の試験溶液中に4週間浸漬することにより行われる。試料重量は一定期間ごとに測定し、試験期間の後に試料の総重量の変化を記録する。
【0044】
耐候性試験は、QUV促進耐候試験機(Q-Panel)におけるASTM G154, Cycle 1に従って行われる。該試験は、色彩変化(ΔE)および光沢を測定することによりコーティングのUV耐性およびUV安定性を評価する。色彩変化は、ASTM D2244-14に従って評価される。試験条件は下記の表に示される。この試験で使用された試料はアルミパネルであった。比較配合物または実施例配合物のいくつかには、UV安定剤を添加しなかった。
【0045】
ASTM G154 Cycle 1試験条件
ランプの種類:UVA-340
【0046】
試料を2000時間経過させ、試験全体を通じて60度光沢および色彩の変化(ΔE)を監視した。試料を250時間毎に回転させた。光沢に関しては、BYK-Gardner社のMicro-TRI-gloss meterを用いて測定した。光沢測定は試験全体を通じて様々な時間間隔で行われた。色彩変化測定(ΔE)に関しては、X-Rite分光光度計を用いた。この試験において、L*、a*およびb*測定だけは様々な時間間隔で行われ、色彩変化(ΔE)を算出した。L*、a*、b*の色空間において、成分L*は明度座標を指し;成分a*は、赤を示す+aおよび緑を示す-aをともなう赤/緑座標を指し;成分b*は、黄を示す+bおよび青を示す-bをともなう黄/青座標を指す。デルタEはL*、a*、b*の座標の全体的な試料差を表す。ΔE値が低いほど、試料における色彩変化は最も少ない。理想的には、ΔE値は、色彩変化が起きなかったことを示す0であると考えられる。デルタb*は、試料のb*座標値における差を表し、試料の黄変の量を示すものである。Δb*値が低いほど、試料の黄変がより少ない。
【実施例】
【0047】
実施例1:ポリエステルポリオールの調製
アジピン酸(686g)、ラクチド(457g)、ネオペンチルグリコール(546g)およびトリメチロールプロパン(793g)を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、窒素散布ラインおよび蒸留ヘッドを備えた反応フラスコに添加した。内容物を窒素下で170~220℃に加熱した。酸価が15~20 mg KOH/gに達したら、チタンを主材料とする触媒(0.12g)を添加し、酸価が0.8 mg KOH/g未満になるまで反応を継続させた。ポリオールの最終分析は以下の通りである:酸価:0.24 mg KOH/g;ヒドロキシル価:424.2 mg KOH/g;%水分:0.01%;25℃での粘度:9,418 cP;80℃で:148 cP。
【0048】
実施例1A:ポリエステルポリオール
反応物がアジピン酸、ラクチド、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、および平均3のEO単位を有するトリメチロールプロパンエトキシラート(TMP3EO)であったことを除いては、ポリエステルポリオールを実施例1の方法を用いて調製した。ポリエステルポリオールの測定した特性は:ヒドロキシル価:449 mg KOH/g、粘度:25℃で2,800 cPであった。
【0049】
実施例2:ポリウレタンコーティング組成物の調製
実施例1に従って調製したポリエステルポリオールを、下記の一般手順に従ってポリウレタンコーティング配合した。
【0050】
ウレタンコーティングを作製するための一般手順
1. ポリオール樹脂を1パイントのガラス製ジャーに添加する。
2. オキサゾリジン水分捕捉剤(Incozol(登録商標) 2)を用いる配合物に関して、添加剤を添加し、小さいJiffyブレードが装着されたベンチトップミキサー上で低速で15分間混合する。ジャーを密封し、最低でも18時間静置してIncozol(登録商標) 2を全ての残留湿気と反応させる。
3. 次に、残りのB面材料を全てジャーに添加し、小さいJiffyブレードが装着されたベンチトップエアミキサー上で低速で最低でも15分間混合する。
4. 使用直前に、特定量のイソシアナート(A面)を、完成したB面配合物に添加し、Jiffyブレードが装着されたベンチトップエアミキサーを用いて低速でおよそ5分間混合する。
5. 少量の活性化された透明なウレタン配合物を、冷間圧延された、鋼パネル、アルミニウムパネルまたはLenetaカード上に注ぎ、150ミクロンの巻線ドローダウンバー(wire-wound drawdown bar)を用いて該混合物をドローダウンする。
【0051】
配合物1は、オキサゾリジン樹脂が全く添加されない実施例1に従うポリエステルポリオールを含み;配合物2、3および4は、種々の量の、特に、それぞれ10重量%、20重量%および30重量%の量のオキサゾリジン樹脂と組み合わせた実施例1に従うポリエステルポリオールを含む。配合物1~4のぞれぞれの成分を表1に示す。また、2種の比較配合物、比較1および比較2も表1に示す。比較1は、ポリエステルポリオール成分として、1-メトキシプロピルアセテート(65%固形分)に希釈された分岐状ポリエステルポリオールを含む。比較2は、ポリオール成分として、n-メチルアミルケトン溶媒中に高固体(80%固形分)アクリル酸ポリオールを含む。
【0052】
(表1)
*各配合物に関して1,000 cpsの目標粘度を得るための量で溶媒を添加した。
Incorez Ltd.からのIncozol(登録商標) 2 オキサゾリジン水分捕捉剤。
Incorez Ltd.からのIncozol(登録商標) LV反応性希釈剤。
Byk(登録商標) A530 - Bykからのシリコーンおよびポリマー消泡剤。
Byk(登録商標) 361N - Bykからのポリアクリル酸レベリング剤。
Byk(登録商標) 067A - Bykからの非水性ポリシロキサン消泡剤。
Desmodur(登録商標) N3200 - Covestroからの脂肪族ポリイソシアナート樹脂。
Basonat(登録商標) HB100 - BASFからの脂肪族ポリイソシアナート樹脂。
【0053】
配合物を、VOC含量、光沢、耐摩耗性、ケーニッヒ硬度、ショアD硬度、および鉛筆硬度に関して評価した。結果を表2に示す。
【0054】
【0055】
表2の結果から、本技術のポリエステルポリオールを用いて調製された配合物は、比較1および2の配合物と比較して有意に低いVOC含量、より良好な耐摩耗性および匹敵する光沢度を有したことが分かる。配合物1~4は全て、比較配合物よりも高いショアD硬度を有し、オキサゾリジン樹脂を含有する配合物2~4は、比較1および2の配合物と比較してより高いケーニッヒ硬度特性を有した。配合物1は、比較2よりも高く、かつ比較1に匹敵する鉛筆硬度を有した。結果は、本技術のポリエステルポリオールが、標準的なポリオールに匹敵するかまたは標準的なポリオールよりも高いポリウレタンコーティングを生成することができることを示している。
【0056】
実施例2A:ポリウレタンコーティング組成物の調製
実施例1Aに従って調製されたポリエステルポリオールを、実施例2の一般手順に従ってポリウレタンコーティングに配合した。酢酸N-ブチルを用いて、標準的なHDIビウレット ポリイソシアナートと1対1の化学量論混合で混合したときの活性化されたコーティング粘度を25℃で1000 cPに調整した。標準的な低粘度のポリエーテル-ポリエステルハイブリッド樹脂を、さらなる比較配合物、比較3を調製する方法と同じ方法で配合した。実施例1Aに従って調製されたポリエステルポリオールを含む配合物1A、および比較3の配合物を作製するために使用された一般的な配合を、表3に示す。
【0057】
【0058】
配合物1Aおよび比較3の配合物に加えて、アスパラギン酸エステル(アスパラギン酸)配合物および脂環式アミンエポキシ(エポキシ)配合物を比較の目的で開発した。表4および5にこれらの配合物を示す。
【0059】
【0060】
【0061】
配合物における主成分となる樹脂を、25℃での粘度(cP)に関して評価した。配合物1Aおよび比較配合物1~5を、VOC含量、耐摩耗性、ショアD硬度および鉛筆硬度に関して評価した。結果を表6に示す。
【0062】
【0063】
表6の結果から、本技術のポリエステルポリオールを用いて調製された配合物1Aは、比較1、2、および4の配合物と比較してより低いVOC含量を有したことが分かる。配合物1Aは、全ての比較配合物よりも良好な耐摩耗性、ならびに比較1、2、3、および4の配合物よりも高いショアD硬度も有した。
【0064】
実施例3:樹脂ブレンド組成物
実施例1に従って調製されたポリエステルポリオールを、種々の量のケチミン樹脂とブレンドした。各樹脂ブレンドを、実施例2の一般手順および表3の一般的な配合を用いてポリウレタンコーティング配合物に配合した。ケチミン量は、B面成分の重量に基づいて、配合物5では10重量%であり、配合物6では15重量%であった。配合物5および6を、ショアDおよび鉛筆硬度特性に関して評価し、配合物1および比較配合物のショアDおよび鉛筆硬度特性と比較した。結果を表7に示す。
【0065】
【0066】
表7には、ケチミンの添加にともなってショアD硬度が増加したことが示される(配合物5および6を配合物1と比較されたい)。ケチミンの添加は、比較1、2、3、および4の配合物と比較して増加したショアD硬度ももたらした。
【0067】
実施例4:耐薬品性試験
配合物1~6、配合物1A、および比較配合物1~5を、種々の試験溶液中での耐薬品性に関して評価した。試験の4週間後の結果を表8に示す。表中の数値は、試験期間の後の各試料の総重量パ-セントにおける変動を表す。ゼロに近い数値は、試料重量における変化が少ないこと、およびより耐薬品性が良好なことを示している。4週目が終わる前に試料が破壊された場合には、それも表に記述した。
【0068】
(表8)
D=破壊された
1数値は総重量パ-セントにおける変動である。
210重量%水溶液
【0069】
表8の結果は、配合物1~6および1Aから調製されたポリウレタンコーティングが、比較配合物1および2よりも10%HCl水溶液中で良好な性能(すなわち、少ない重量減少)を有し、かつ比較配合物1~5よりもMEK試験溶液において概して良好な性能を有したことを示している。また、配合物1~6および1Aは、比較配合物2~5よりもキシレン中で有意に良好な性能も有した。配合物1~6および1Aは、10% NaOH水溶液、Skydrol(登録商標)および水中で、比較配合物1~5に匹敵する性能を有した。ケチミンの添加は、MEK、キシレン、Skydrol(登録商標)およびブレーキ液への耐性を改善した(配合物1を配合物5および6と比較されたい)。
【0070】
実施例5:UV耐性および光沢試験
配合物1~3および比較1および2の配合物から調製された試料を、色彩変化(ΔΕ)に関して評価した。ΔΕに関して、理想値は色彩変化が起きなかったことを示すゼロである。したがって、最小量のΔΕ変化は、より良好なUV耐性を示す。配合物1~3および比較1および2の配合物に関するΔΕ測定の結果を、
図1にグラフで示す。
【0071】
図1に示されるように、本技術の配合物1~3から調製された試料は、比較1および2の配合物のいずれかから調製された試料に関するΔΕ変化よりも小さいΔΕ変化を有した。配合物1~3に関するより小さいΔΕ変化は、比較1および2の配合物と比較して、より良好なUV耐性および安定性を示すものである。
【0072】
光沢の変化に関しても試料を評価した。理想的には、経時的な光沢の変化はあるべきではない。様々な時間間隔の後に測定された場合に不変である光沢度は、良好なUV耐性および安定性を示すものである。配合物1~3および比較1および2の配合物から調製された試料に関する光沢測定の結果を、
図2にグラフで示す。
図2に示されるように、配合物1~3に関する光沢ではいくらかの減少があるが、配合物1~3に関する経時的な光沢度は比較的安定している。
図2は、配合物1~3に関する光沢度が比較配合物2の光沢度よりも安定していることを示している。それぞれ10重量%および20重量%のオキサゾリジンを含有する本技術の配合物2および3は、他の配合物と比較して最小の光沢の変化を有しており、これらの配合物が非常に良好な安定性を有したことを示している。比較配合物2は、最大の光沢の変化を有したが、比較配合物1および配合物1は、変化の大きさの点ではかなり同等であった。しかしながら、比較配合物1は高粘度のポリオールであり、配合物1よりも高いVOCレベルを有する。配合物1は、より低いVOCレベルを提供できるが、それでも十分な光沢安定性を発揮する。
【0073】
配合物1および1A、ならびに比較1~5の配合物から調製された試料を、色彩変化(ΔΕ)に関して評価した。上述したように、最小量のΔΕ変化は、より良好なUV耐性を示す。これらの配合物に関するΔΕ測定の結果を、
図3にグラフで示す。
図3に示されるように、本技術の配合物1および1Aの配合物は、比較配合物に匹敵するか比較配合物よりも良好なUV耐性および色彩安定性を有し、実施例1Aは最良の色彩安定性を示した。
【0074】
配合物1、1A、および比較1~5の配合物の試料を、2000時間にわたりUV曝露した後の光沢の変化に関しても評価した。様々な時間間隔の後に測定された場合に不変である光沢度は、良好なUV耐性および安定性を示すものであり、理想的には、経時的な光沢度の変化はあるべきではない。光沢測定の結果を、
図4にグラフで示す。比較5の配合物(エポキシ)は、非常に乏しいUV耐性および安定性を有しているので、本技術の配合物と比較配合物1~4との間の違いをよりよく示すために、比較5の配合物(エポキシ)に関する光沢測定は
図4から省いた。
図4に示されるように、本技術の配合物1および1Aは、経時的に比較的安定である光沢度を有しており、UV曝露が2000時間に近づくと、比較2および3の配合物よりも良好な光沢安定性を示している。
【0075】
配合物1および1A、ならびに比較1~5の配合物を、経時的なb
*値の変化に関して評価した。Δb
*に関して、理想値は、試料が黄変していないことを示すゼロである。黄色度は、自動車の白色下塗りパネルに塗布される配合された透明コーティングの(Δb
*)を用いて評価された。
図5に示されるように、2000時間の曝露の後に、比較5(エポキシ)の配合物が最も大きな黄色変化を示し、それに続いて比較2(アクリル)の配合物が黄色変化を示した。配合物1および1Aは、他の比較配合物よりも良好であるか、または他の比較配合物に匹敵した。
【0076】
実施例6:接着試験
コーティング組成物の表面張力を減らすためにフッ化炭素添加剤を各配合物に添加したことを除いては、実施例2の一般手順に従って上記の配合物1および配合物1Aからポリウレタンコーティングを調製した。コーティング組成物の表面張力を減らすためにフッ化炭素添加剤を各コーティング組成物に添加したことを除いては、比較配合物1~5のそれぞれからもコーティングを調製した。表面張力を低減させることにより、コーティング組成物はより良好な基体の湿潤を提供できる。
【0077】
コーティング組成物それぞれを種々の異なる基体に塗布して、基体へのコーティングの接着または接合を評価した。コーティング組成物を、150ミクロンの巻線ドローダウンバーを用いて各基体上にドローダウンして、大気温度で少なくとも2週間硬化させた。ASTM D 3359-95aに従うクロスハッチテープ試験(cross-hatch tape test)によって、コーティングの接着を測定した。簡潔に言えば、各方向に切り込んだ格子模様をフィルムから基体まで作製する。該格子上に感圧テープを適用し、その後はがす。試験法Bは接着を評価するために用いられ、ここで5Bの評点はコーティングの0%がはがれたことを指し、0の評点はコーティングの65%を超えてはがれたことを指す。接着試験の結果を表9に示す。4Bまたは5Bの評点は良好な接着を指し、3Bはかなりの接着を指し、0B~2Bは乏しい接着を指す。
【0078】
【0079】
表9の結果は、本技術のポリエステルポリオールを含むコーティング組成物が、比較配合物1~5で使用された市販の樹脂と比較して、いくつかの異なる基体への同等またはより良好な接着を達成できることを示している。改善された接着は、ポリエステルポリオールを広範囲の適用を有するコーティング組成物において用いることを可能にする。
【0080】
実施例7:樹脂の相溶性
本技術のポリエステルポリオールを他の樹脂の種類とブレンドして、他の樹脂とのポリオールの相溶性を評価した。実施例1に従って調製されたポリエステルポリオールを、市販で供給される樹脂の特定の量(10%、25%、または50%)とブレンドした。このポリエステルポリオールとブレンドした樹脂の量は、樹脂ブレンドの総重量に基づく。混合物を5分間手でブレンドし、24時間静置し、その後相分離に関して目視検証した。結果を表10に示す。
【0081】
(表10)
C=相溶性がある;PC=部分的に相溶性がある;NC=相溶性がない
【0082】
「相溶性がある(Compatible)」とは、相分離することなく完全に混和する混合物を指し;「部分的に相溶性がある」とは、濁りをおびた混合物を指し;「相溶性がない」とは、分離した相を有する混合物を指す。表10の結果は、本技術のポリエステルポリオールが、試験したほとんどの樹脂系と相溶性があり得るか、または部分的相溶性があり得ることを示している。他の樹脂系との相溶性は、多数の樹脂系を主材料とするコーティングの配合において有用であり得る。加えて、本技術の低VOCポリオールはいくつかの高VOC樹脂と相溶性があるので、それらを高VOC樹脂とブレンドして樹脂系における全体のVOCを低減することができる。
【0083】
本技術は、当業者が同じことを実行することができるように、完全で明確かつ簡潔な用語で目下記載されている。上述は本技術の好ましい態様を記載するものであり、添付の特許請求の範囲に記載される本技術の精神または範囲から逸脱することなく修正を加えることができることを理解されたい。さらに、実施例は網羅的ではなく、特許請求の範囲の範囲内に入るいくつかの実施形態を例示するために提供される。