(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】噴霧乾燥組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20230412BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230412BHJP
【FI】
A23L27/00 A
A23L27/00 C
A23L5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020502799
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2018040991
(87)【国際公開番号】W WO2019167347
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】P 2018034150
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】平井 信久
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-335691(JP,A)
【文献】特開平07-097593(JP,A)
【文献】特開平09-107911(JP,A)
【文献】特開2001-064667(JP,A)
【文献】特開2011-026411(JP,A)
【文献】特開2001-186858(JP,A)
【文献】特開2014-205632(JP,A)
【文献】BAYRAM O.A. et al.,Spray drying of sumac flavour using sodium chloride, sucrose, glucose and starch as carriers.,Journal of Food Engineering,2005年,Vol.69, pp.253-260
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00
A23L 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)及び(C)を含む噴霧乾燥組成物
であって:
(A)香料
から選ばれる1種以上、
(B)賦形剤または賦形剤と乳化剤との組み合わせから選ばれる1種以上、および
(C)ナトリウム塩
前記(A)の量が噴霧乾燥組成物の固形分中に0.5重量%~40重量%であり、
前記賦形剤の量が、香料1重量部に対して2重量部~20重量部であって、噴霧乾燥組成物全体の5重量%~80重量%であり、
前記乳化剤の量が香料1重量部に対して0.01重量部~10重量部であり、
前記ナトリウム塩の量が、噴霧乾燥組成物の固形分中にナトリウム含量が0.01重量%~30重量%となるような量であり、
前記ナトリウム塩が、塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、フマル酸ナトリウムおよびエリソルビン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種である、噴霧乾燥組成物(但し、ジェランガムを含む場合を除く)。
【請求項2】
更に(D)オリゴ糖またはオリゴ糖が還元されて生成する糖アルコールから選ばれる1種以上を含む請求項1記載の噴霧乾燥組成物。
【請求項3】
オリゴ糖およびオリゴ糖が還元されて生成する糖アルコールが、2糖類、3糖類若しくは2糖類または3糖類が還元されて生成する糖アルコールである、請求項2記載の噴霧乾燥組成物。
【請求項4】
噴霧乾燥組成物におけるナトリウムの構成比が0.3重量%~10重量%である、請求項1~
3のいずれか1項記載の噴霧乾燥組成物。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項記載の噴霧乾燥組成物の製造方法であって、
(A)、(B)、(C)および(D)を水に溶解して均一化することを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項1~
4のいずれか1項記載の噴霧乾燥組成物を含有する飲食品
であって、
噴霧乾燥組成物が、飲食品の重量に対し、0.01~50重量%の量で含まれる、飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嗜好性に優れた香味、香気を長期に渡って安定に保持することができる粉末組成物の製造方法および該粉末組成物を含有する食品に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末香料は、例えば食品の香味付けに広く用いられており、数多くの製法が報告されている。代表的な製法としては、香料を乳化剤および賦形剤から構成される混合物中に添加した後、得られた乳化組成物を乾燥し粉末香料を製造する方法、香料をアラビアガムなどに添加したのち、得られた乳化組成物を乾燥し粉末香料を製造する方法などが知られている。しかしながら、これらの方法により得られる粉末香料は香気特性、たとえば香気の保留性や安定性、香気の発現性などの点において十分に満足できるだけのものではなかった。香気の保留性や安定性を解決する方法として、粉末香料にトレハロース、セロビオースおよびマルトースといったオリゴ糖を共存させる技術が報告されている(特開平09-107911、特開2011-026411、特開2001-061435)が、この技術により香気の保留性や安定性をかなり改善することができたものの、香気特性がより改善された粉末香料の開発が望まれていた。
【0003】
香気特性の改善された粉末香料としては、脱塩乳化剤を用いることで、香味を長期間安定に持続することができるということも報告されている(特開2001-064667)。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、嗜好性に優れた香味、香気を長期に渡って安定に保持することができる粉末組成物を提供することである。
【0005】
本発明は以下の[1]~[7]に関するものである。
[1]下記(A)、(B)及び(C)を含む噴霧乾燥組成物:
(A)香料および食品素材から選ばれる1種以上、
(B)賦形剤または賦形剤と乳化剤との組み合わせから選ばれる1種以上、および
(C)ナトリウム塩。
[2]更に(D)オリゴ糖またはオリゴ糖が還元されて生成する糖アルコールから選ばれる1種以上を含む[1]記載の噴霧乾燥組成物。
[3]オリゴ糖およびオリゴ糖が還元されて生成する糖アルコールが、2糖類、3糖類若しくは2糖類または3糖類が還元されて生成する糖アルコールである、[2]記載の噴霧乾燥組成物。
[4]ナトリウム塩が、塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、フマル酸ナトリウムおよびエリソルビン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれか1記載の噴霧乾燥組成物。
[5]噴霧乾燥組成物におけるナトリウムの構成比が0.3重量%~10重量%である、[1]~[4]のいずれか1記載の噴霧乾燥組成物。
[6][1]~[5]のいずれか1記載の噴霧乾燥組成物の製造方法であって、
(A)、(B)、(C)および(D)を水に溶解して均一化することを特徴とする製造方法。
[7][1]~[5]のいずれか1記載の噴霧乾燥組成物を含有する飲食品。
【0006】
本発明の噴霧乾燥組成物により、安価で容易に入手可能なナトリウム塩を用いて長期にわたって品質が安定な噴霧乾燥組成物を得ることができる。また、本発明の噴霧乾燥組成物は、含有する香料および食品素材の香気特性、味覚特性を何ら阻害することがなく、該組成物を飲食品に添加した際、飲食品の味覚特性に影響を与えることない噴霧乾燥組成物を得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいう香料は、粉末香料製造に際して既に用いられているものであればどのようなものでも採用可能である。すなわち、シトラール、ゲラニオール、l-メントール、バニリンなどの合成香料、ミートや水産物の抽出物などの動物性香料、精油やオレオレジンなどの植物性香料など、またはそれら香料の中から適宜選択・混合して得られる調合香料など粉末香料製造に用いられているものであればどのようなものでも使用できる。また、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツなどのシトラス系香料、アップル、バナナ、グレープ、ピーチ、ストロベリー、メロン、パイナップルなどのフルーツ系香料、ペパーミント、スペアミントなどのミント系香料、ペパー、シンナモン、ナツメグ、クローブなどのスパイス系香料、バニラ、コーヒー、ココア、ハーゼルナッツなどのナッツ系香料、ビーフ、ポーク、チキン、サーモン、カニ、エビなどの畜肉・水産系香料、紅茶、緑茶などの茶系香料、ミルク、チーズなどのディリー香料なども使用可能である。なお、当然のことながら、香料は、これらに限定されるものではない。
香料の使用量は、香料の種類や匂いの強度、粉末香料の使用目的により異なるものであるが、通常噴霧乾燥組成物の固形分中に0.5~40重量%、好ましくは1~25重量%である。
【0008】
本発明における食品素材は、色素、酸味料、香辛料および機能性素材が挙げられる。
色素としては従来知られた色素のいずれも使用することができる。色素の例を具体的に示すと、例えば、β-カロチン、パプリカ色素、アナトー色素及びクロロフィルなどの油溶性天然色素類、更には、ウコン色素、カラメル色素、コチニール色素、ブドウ果皮抽出物などの天然色素類等をあげることができる。
酸味料としては、食品に一般的に用いられるものであればいずれであってもよい。これら公知酸味料を具体的に例示すると、例えば、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、フマル酸などが代表的なものとしてあげられる。
香辛料としては、従来香辛料として用いられているものであればいずれのものであってもよい。香辛料の例としては、例えば、ペパー、クローブ、メースなどの天然香辛料の粉末とそれらのブレンド品を挙げることが出来る。
機能性素材としては、例えば、シソエキス、ソバなどのポリフェノール、プロポリス、ロイヤルゼリー等が挙げられる。
食品素材の使用量は、噴霧乾燥組成物の固形分中に0.5~40重量%、好ましくは1~25重量%である。
【0009】
本発明における賦形剤は、噴霧乾燥組成物を形作るための必須の成分であり、粉末香料を製造するための常用の成分である。おおよそ、乳化性賦形剤とそれ以外の賦形剤とに分けることができるが、前者と後者とを明瞭に分けることができないときもある。前者の乳化性賦形剤は、乳化剤としての機能をも有する賦形剤を意味し、例えば、アラビアガム、化工澱粉、α-サイクロデキストリン、β-サイクロデキストリン、γ-サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、大豆多糖類、ゼラチンなどが挙げられる。特に、アラビアガム、化工澱粉などが好ましいものである。また、後者の賦形剤としては、デキストリン、脱脂粉乳などが好適である。
これら後者の乳化性賦形剤以外の賦形剤を利用した場合には、さらに乳化性賦形剤あるいは乳化剤を併用することが必要である。
上記乳化剤としては、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、カゼイン、酵素処理レシチン、ポリソルベ-ト、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられ、特にポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、キラヤ抽出物および酵素処理レシチンが好適である。
上記賦形剤および乳化剤はそれぞれ1種類使用してもよいが、2種類以上使用してもよい。
乳化性賦形剤あるいはそれ以外の賦形剤の使用量は採用するものや添加される香料などによって異なるものであるが、香料1重量部に対して2~20重量部、好ましくは3~16重量部であって、噴霧乾燥組成物全体の5~80重量%である。これの使用量が少なすぎると香料を十分に被覆出来ず、必要以上に多いと当該発明品を最終製品に賦香した際に官能評価上好ましくないものとなる。
乳化剤の使用量は添加される香料の使用量及び賦形剤や乳化剤の種類、組み合わせにより異なるが、通常は、香料1重量部に対して0.01~10重量部、好ましくは、0.1~7重量部の範囲を例示することができる。
【0010】
本発明におけるナトリウム塩は、分子量が大きいと相対的なナトリウム含量が小さくなり、本発明の効果を得るために必要な量のナトリウム塩を添加すると最終製品の味や粉末組成物の物性に影響を与えることがあるため、分子量の小さなナトリウム塩が好ましい。例えば、塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、フマル酸ナトリウムまたはエリソルビン酸ナトリウムが挙げられ、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸ナトリウムまたは塩化ナトリウムが好ましく、クエン酸三ナトリウムまたは塩化ナトリウムが特に好ましい。
ナトリウム塩の使用量は、通常噴霧乾燥組成物の固形分中にナトリウム含量が0.01重量%~30重量%となるように含有すればよく、0.1重量%~20重量%が好ましく、0.3重量%~10重量%が特に好ましい。
ナトリウム塩が塩化ナトリウムの場合、噴霧乾燥組成物の固形分中に塩化ナトリウム含量が好ましくは0.5~25重量%の範囲、特に好ましくは1~10重量%の範囲で含まれる。
ナトリウム塩がクエン酸三ナトリウムの場合、噴霧乾燥組成物の固形分中にクエン酸三ナトリウム含量が好ましくは0.5~25重量%の範囲、特に好ましくは2~20重量%の範囲で含まれる。
【0011】
本発明におけるオリゴ糖またはオリゴ糖が還元されて生成する糖アルコールは、特に限定されないが、オリゴ糖としては、好ましくは2糖類または3糖類であり、具体的にはマルトース、セロビオース、トレハロース、パラチノース、およびラフィノースを挙げることができる。糖アルコールとしては、好ましくは2糖類または3糖類が還元されて生成する糖アルコールであり、具体的にはパラチニット、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールおよびプシコースなどを挙げることができる。これらの中でもパラチノース、パラチニットおよびラフィノースが好ましく、パラチノースが特に好ましい。
オリゴ糖または糖アルコールの使用量は、使用するオリゴ糖および糖アルコールの種類により差があるが、オリゴ糖の添加効果を得られる最低添加量として当該噴霧乾燥組成物中(固形量換算で)に5重量%が必要である。また、添加量の上限としては例えばラフィノースでは90重量%であり、パラチノースでは70重量%が挙げられる。この上限値は噴霧乾燥組成物としての形態を保つための必要量である。
【0012】
本発明では、通常上記各成分の組成物に対して水を共存させておくことが重要である。水の配合割合は、組成物を構成する成分によってもことなるが、噴霧乾燥機を使用し、入口温度150℃~180℃、出口温度70℃~110℃の噴霧乾燥条件で行う場合、その際の水分量は通常粉末香料の固形分が20~50%、さらに好ましくは30~40%になるようにする。なお、例えば嗜好飲料系香料など採用する香料によっては、積極的に水を共存させなければならないこともない。
【0013】
本発明の噴霧乾燥組成物は、飲食品の重量に対し、例えば、0.01~50重量%、好ましくは0.03~10重量%、更に好ましくは0.05~1重量%の如き配合量を例示することができる
【0014】
噴霧乾燥組成物の製法は、本出願前公知の方法を採用可能である。ここでは、代表的な製法を説明するが、本発明はこの方法に限定されることはない。具体例を説明すると、初めに水と上記群より選ばれた賦形剤、オリゴ糖、必要に応じて乳化剤、水溶性抗酸化剤、その他の水溶性物質を混合、加温殺菌する。次に予め秤量した香料、必要に応じて油溶性抗酸化剤、その他の油溶性物質を添加し、TKミキサー等のミキサーを用いて、攪拌混合を行い乳化する。ついで、該乳化溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥した後に、篩分けを行い噴霧乾燥組成物とする。
【0015】
乳化工程はTKミキサーの他、コロイドミル、ハイシェアミキサー、高圧ホモジナイザー等を使用してもよい。
【0016】
また乾燥工程は、スプレードライヤーの他、噴霧を伴う乾燥工程を経るものであればよく、流動層造粒乾燥器、流動層コーティング装置等を使用してもよい。
【0017】
これらの噴霧乾燥組成物を食品中に配合させることができる。配合される食品としては、とくに限定されるものではないが、例えば、飲料、粉末飲料、キャンディー、チューインガム、錠菓、チョコレート等の製菓製品、ヨーグルト、アイスクリーム等のデザート類、畜肉・水産製品、電子レンジ対応調理済食品(冷凍、レトルト食品)等幅広い使用例が挙げられる。その粉末香料の食品への賦香量は、粉末香料の種類や添加する飲食品により大きく異なるが、一般には飲食品に対して香料を0.1~5重量%、好ましくは0.5~3.0重量%の範囲内にすることが好ましい。賦香の方法は、それぞれ公知の方法で行う。
【実施例】
【0018】
<実施例1>
水233gにアラビアガム5g、デキストリン75g、パラチノース5g、塩化ナトリウム5gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、レモンフレーバーを10g添加し、TKミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて9000rpmにて10分間撹拌し、乳化処理を行った。得られた乳化物は、スプレードライヤー(大川原化工機株式会社製)にて、入り口温度170℃、出口温度80℃条件で噴霧乾燥し、レモン粉末香料を得た。
【0019】
<実施例2>
水233gにアラビアガム5g、デキストリン71.5g、パラチノース5g、クエン酸三ナトリウム8.5gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、レモンフレーバーを10g添加し、以降は実施例1と同様な操作により、レモン粉末香料を得た。
【0020】
<実施例3>
水233gにアラビアガム5g、デキストリン75g、パラチニット5g、塩化ナトリウム5gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、レモンフレーバーを10g添加し、以降は実施例1と同様な操作により、レモン粉末香料を得た。
【0021】
<実施例4>
水233gに脱塩処理アラビアガム(サンアラビック、三栄薬品貿易株式会社製)5g、デキストリン75g、パラチノース5g、塩化ナトリウム5gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、レモンフレーバーを10g添加し、以降は実施例1と同様な操作により、レモン粉末香料を得た。
【0022】
<実施例5>
水233gに化工澱粉5g、デキストリン75g、パラチノース5g、塩化ナトリウム5gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、レモンフレーバーを10g添加し、以降は実施例1と同様な操作により、レモン粉末香料を得た。
【0023】
<実施例6>
水233gにショ糖脂肪酸エステル(DKエステルF-160、第一工業製薬株式会社製)1.5g、デキストリン78.5g、パラチノース5g、塩化ナトリウム5gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、レモンフレーバーを10g添加し、以降は実施例1と同様な操作により、レモン粉末香料を得た。
【0024】
<比較例1>
水233gにアラビアガム5g、デキストリン85gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、レモンフレーバーを10g添加し、以降は実施例1と同様な操作により、レモン粉末香料を得た。
【0025】
<比較例2>
水233gに脱塩処理アラビアガム(サンアラビック、三栄薬品貿易株式会社製)5g、デキストリン85gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、レモンフレーバーを10g添加し、以降は実施例1と同様な操作により、レモン粉末香料を得た。
【0026】
<実施例7>
水233gにアラビアガム6g、デキストリン82g、パラチノース5g、塩化ナトリウム5gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、ユズフレーバーを2g添加し、TKミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて9000rpmにて10分間撹拌し、乳化処理を行った。得られた乳化物は、スプレードライヤー(大川原化工機株式会社製)にて、入り口温度170℃、出口温度80℃条件で噴霧乾燥し、ユズ粉末香料を得た。
【0027】
<比較例5>
水233gにアラビアガム6g、デキストリン92gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、ユズフレーバーを2g添加し、以降は実施例7と同様な操作により、ユズ粉末香料を得た。
【0028】
<実施例8>
水233gにアラビアガム9g、デキストリン72g、パラチノース5g、塩化ナトリウム5gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、コーヒーフレーバーを9g添加し、TKミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて9000rpmにて10分間撹拌し、乳化処理を行った。得られた乳化物は、スプレードライヤー(大川原化工機株式会社製)にて、入り口温度170℃、出口温度80℃条件で噴霧乾燥し、コーヒー粉末香料を得た。
【0029】
<比較例6>
水233gにアラビアガム9g、デキストリン82gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、コーヒーフレーバーを9g添加し、以降は実施例8と同様な操作により、コーヒー粉末香料を得た。
【0030】
<実施例9>
水233gにアラビアガム10g、デキストリン71g、パラチノース5g、塩化ナトリウム5gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、ジンジャーフレーバーを9g添加し、TKミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて9000rpmにて10分間撹拌し、乳化処理を行った。得られた乳化物は、スプレードライヤー(大川原化工機株式会社製)にて、入り口温度170℃、出口温度80℃条件で噴霧乾燥し、ジンジャー粉末香料を得た。
【0031】
<比較例7>
水233gにアラビアガム10g、デキストリン81gを加えて、85℃で溶解殺菌した。これを45℃まで冷却後、ジンジャーフレーバーを9g添加し、以降は実施例9と同様な操作により、ジンジャー粉末香料を得た。
【0032】
<試験結果>
実施例及び比較例により得られた粉末香料をそれぞれ密封容器に入れ、50℃にて60日間保存した。同様に、粉末香料を密封容器に入れ、-20℃にて60日間保存したものをコントロール品とした。保存後の粉末香料を用いて0.1%濃度の水溶液を調製し、専門パネラー7名による官能試験を行った。その結果を表に示す。
【0033】
【0034】