IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インテリジェント エナジー リミテッドの特許一覧

特許7261221燃料電池システム用の冷却モジュールおよび燃料電池システム内の流動性冷却剤の検出方法
<>
  • 特許-燃料電池システム用の冷却モジュールおよび燃料電池システム内の流動性冷却剤の検出方法 図1
  • 特許-燃料電池システム用の冷却モジュールおよび燃料電池システム内の流動性冷却剤の検出方法 図2
  • 特許-燃料電池システム用の冷却モジュールおよび燃料電池システム内の流動性冷却剤の検出方法 図3
  • 特許-燃料電池システム用の冷却モジュールおよび燃料電池システム内の流動性冷却剤の検出方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】燃料電池システム用の冷却モジュールおよび燃料電池システム内の流動性冷却剤の検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04029 20160101AFI20230412BHJP
   H01M 8/0267 20160101ALI20230412BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230412BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20230412BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20230412BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20230412BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20230412BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20230412BHJP
   H01M 8/04225 20160101ALI20230412BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230412BHJP
【FI】
H01M8/04029
H01M8/0267
H01M8/04 N
H01M8/0432
H01M8/0438
H01M8/04701
H01M8/04746
H01M8/04313
H01M8/04225
H01M8/10 101
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020505856
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 GB2018052211
(87)【国際公開番号】W WO2019025805
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】1712572.5
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】ラマ、プラタプ
(72)【発明者】
【氏名】パルマー、ナタニエル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ソフィー シャーロット
(72)【発明者】
【氏名】グリムウェード、デイビッド ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ニルワン、プラジワール
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-108758(JP,A)
【文献】特開2005-044605(JP,A)
【文献】実開平04-117332(JP,U)
【文献】特開2005-100705(JP,A)
【文献】特開2014-026849(JP,A)
【文献】特開2005-222800(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0214065(US,A1)
【文献】特開2004-335338(JP,A)
【文献】特許第7162049(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュールにおいて、
冷却剤を収容するように構成されたタンクと、
冷却剤と、
上記タンク内の上記冷却剤と上記燃料電池システムと流体連通されているポンプであって、上記冷却剤を上記燃料電池システムに搬送するように構成された上記ポンプと、
冷凍状態または部分的に冷凍状態にある上記冷却剤を溶融するために上記冷却剤と熱連通されるように構成された加熱要素と、
上記タンクと流体連通される少なくとも1つのセンサであって、十分な液体冷却剤があるか、また、ないかに応じた変化を検出するように構成され、上記変化は上記加熱要素が上記冷凍状態または部分的に冷凍状態にある上記冷却剤を溶融することにより引き起こされる、上記少なくとも1つのセンサと、
上記変化を上記少なくとも1つのセンサが検出したことに基づいて上記ポンプを起動するために、上記少なくとも1つのセンサおよび上記ポンプに信号連通されるコントローラとを有し、
上記少なくとも1つのセンサは、上記冷却剤から離れて位置決めされ、蒸気圧および蒸気温度の少なくとも1つの変化を測定するように配置されることを特徴とする燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュール。
【請求項2】
上記コントローラは、上記センサによって示される上記蒸気圧または上記蒸気温度の少なくとも一方の予め定められた設定ポイントが到達されるまで上記冷却剤を加熱するように構成される請求項記載の燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュール。
【請求項3】
上記冷却剤は水である請求項1または2のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュール。
【請求項4】
上記ポンプは、蠕動ポンプ、容量式ポンプ、および遠心力ポンプの少なくとも1つである請求項1~のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュール。
【請求項5】
上記センサは、電気機械スイッチである請求項1~のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュール。
【請求項6】
上記電気機械スイッチはバイメタルスイッチである請求項記載の燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュール。
【請求項7】
上記センサは熱電対である請求項記載の燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュール。
【請求項8】
上記コントローラは、上記熱電対によって示される上記蒸気温度の予め定められた設定ポイントが到達されるまで上記冷却剤を加熱するように構成される請求項記載の燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュール。
【請求項9】
上記加熱要素は電気抵抗ヒータを含む請求項1~のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュール。
【請求項10】
上記加熱要素は上記燃料電池システムからの排気を含み、上記排気は、上記冷却剤が冷凍状態のときに上記冷却剤の少なくとも一部を解凍させるのに十分な温度である請求項1~のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュール。
【請求項11】
燃料電池システムにおいて使用するための流動性冷却剤を検出する方法において、
冷却剤をタンクに案内するステップと、
加熱要素を用いて冷凍状態または部分的に冷凍状態にある上記冷却剤を加熱するステップと、
上記タンクと流体連通されたセンサを介して上記冷却剤に関連する変化を測定する測定ステップであって、上記変化は上記加熱要素が上記冷凍状態または部分的に冷凍状態にある上記冷却剤を溶融することにより引き起こされ、上記少なくとも1つのセンサは、上記冷却剤から離れて位置決めされ、蒸気圧および蒸気温度の少なくとも1つの変化を測定するように配置される、上記測定ステップと、
上記センサと信号連通するコントローラを用いて上記測定の結果を処理するステップと、
十分な液体性冷却剤上記燃料電池に搬送できるかどうかを上記測定の結果から決定するステップと、
上記コントローラと信号連通されているポンプであって、上記タンクおよび上記燃料電池システムと流体連通されている上記ポンプを起動して、当該ポンプを介して上記液体性冷却剤を上記燃料電池システムに移動させるステップとを有することを特徴とする燃料電池システムにおいて使用するための流動性冷却剤を検出する方法。
【請求項12】
上記冷却剤は水である請求項11記載の燃料電池システムにおいて使用するための流動性冷却剤を検出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、全般的には流体冷却剤貯蔵タンクを具備する燃料電池システムに関する。具体的には、この開示は冷凍性の冷却剤を制御する装置および方法に向けられている。
【背景技術】
【0002】
慣用的な電気化学燃料電池は燃料および酸素を電気エネルギおよび反応生成物に変換する。通常のタイプの電気化学燃料電池は膜電極組立体(MEA)を有し、これが、アノードおよびカソードの間のポリマー製イオン伝達膜とガス拡散構造とを有する。燃料、例えば水素、および、酸素、例えば空気からの酸素がMEAのそれぞれのサイドを越えて通り抜け、電気エネルギと反応生成物としての水を生成する。スタック構造が、多くのそのような燃料電池を個別のアノードおよびカソード流体流路中に配列して形成されて良い。そのようなスタックは、典型的には、当該スタックの各端部において端部プレートによって一体に保持される多数の個別の燃料電池プレートを有するブロックの形態をとる。
【発明の概要】
【0003】
燃料電池システムを制御する方法および装置が開示される。1つの側面によれば、燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュールは、冷却剤を収容するように構成されたタンクと、冷却剤と、上記タンク内の上記冷却剤と上記燃料電池システムと流体連通されているポンプであって、上記冷却剤を上記燃料電池システムに搬送するように構成された上記ポンプと、上記タンク内の上記冷却剤中の加熱要素であって、上記冷却剤を加熱するように構成された上記加熱要素と、コントローラと信号連通され上記タンクと流体連通される少なくとも1つのセンサとを含む。当該センサは、十分な液体冷却剤があるか、また、ないかに応じた変化を検出して上記ポンプを起動するように構成されており、上記コントローラはセンサデータを処理してポンプを起動するように構成される。
【0004】
いくつかの実装形態において、上記冷却剤は冷凍状態または部分的に冷凍状態の少なくとも一方であって良い。上記冷却剤は水であって良い。上記センサは、液体状態または冷凍状態の冷却剤から離隔して位置付けられ、当該冷却剤の気相の性質を測定するように位置付けられて良い。上記センサは蒸気圧または蒸気温度の少なくとも一方の変化を測定して良い。上記コントローラは、上記センサによって示される上記蒸気圧または上記蒸気温度の少なくとも一方の予め定められた設定ポイントが到達されるまで上記冷却剤を加熱するように構成されて良い。いくつかの側面において、上記センサは上記冷却剤の中に配置される1または複数の水中ひずみゲージ、電気機械スイッチ、例えば、バイメタルスイッチ、熱電対、または冷却剤の密度より小さな密度を有するフロートであって良い。いくつかの側面において、上記ポンプは、蠕動ポンプであって良い。いくつかの側面において、上記コントローラは、上記冷却剤と熱連通されている加熱要素を加熱し、上記熱電対によって示される上記蒸気温度の予め定められた設定ポイントが到達されるまで上記冷却剤を加熱するように構成されて良い。ひずみゲージは上記冷却剤の中に配置されて良い。いくつかの側面において、上記加熱要素は電気抵抗ヒータを含んで良い。他の側面において、上記加熱要素は上記燃料電池システムからの排気を含んで良く、上記排気は、上記冷却剤が冷凍状態のときに上記冷却剤の少なくとも一部を解凍させるのに十分な温度である。
【0005】
この開示の他の側面によれば、燃料電池システムにおいて使用するための冷却モジュールは、冷却剤を収容するように構成されたタンクと、水冷却剤と、上記タンク内の上記水冷却剤と上記燃料電池システムと流体連通されているポンプであって、上記冷却剤を上記燃料電池システムに搬送するように構成された上記ポンプと、上記タンク中の水冷却剤の中の加熱要素であって、上記冷却剤と熱連通され、もって、上記水冷却剤を加熱するように構成された上記加熱要素と、コントローラと信号連通され、かつ上記タンクの一部と物理的に接触する少なくとも1つのセンサであって、上記水冷却剤が上記タンクまたはその任意の一部に加える応力の変化を検出するように構成された上記少なくとも1つのセンサとを含む。上記水冷却剤の相が上記ポンプを起動するのに十分な液体が存在するのか、または存在しないのかに対応し、上記コントローラは、センサデータを処理し、上記ポンプを起動するように構成される。いくつかの側面において、上記水冷却剤は冷凍状態または部分的に冷凍状態の少なくとも一方であって良い。上記センサは上記タンクの外側部分に位置付けられ上記水冷却剤中に浸漬されなくて良い。
【0006】
この開示の他の側面によれば、燃料電池システムにおいて使用するための流動性冷却剤を検出する方法は、冷却剤をタンクに案内するステップと、上記冷却剤と熱連通されている加熱要素を用いて上記冷却剤を加熱するステップと、上記タンクと流体連通されたセンサを介して上記冷却剤に関連する変化を測定するステップと、上記センサと信号連通するコントローラを用いて上記測定の結果を処理するステップと、十分な液体性冷却剤が上記燃料電池に搬送するの利用可能かどうかを上記測定の結果から決定するステップと、上記コントローラと信号連通されているポンプであって、上記タンクおよび上記燃料電池システムと流体連通されている上記ポンプを起動して、当該ポンプを介して上記液体性冷却剤を上記燃料電池システムに移動させるステップとを含む。
【0007】
いくつかの側面において、上記冷却剤は水であって良い。上記加熱するステップは、上記タンク中に蒸気を生成するステップを含み、上記センサは蒸気圧および蒸気温度の少なくとも一方を測定するように構成されて良い。上記センサは、熱電対、圧力センサ、バイメタルスイッチ、ひずみゲージ、または、フロートであって良い。いくつかの側面において、上記センサは冷却剤中に配置された水中ひずみゲージである。
【0008】
本出願は、添付の図面と併せて読むときにさらに理解される。主題を例示する目的で、主題の例示的な実装形態を図面に示す。しかしながら、本明細書に開示されている主題は、開示されている特定の方法、装置、およびシステムに限定されない。さらに、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この開示の1つの側面に従う燃料電池システムの模式図を示す。
図2】この開示の他の側面に従う燃料電池システムの模式図を示す。
図3】この開示の1つの側面に従う冷却剤モジュールの模式図を示す。
図4】この開示の1つの側面に従う燃料電池システムの動作方法を説明するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の態様は、図面を参照して詳細に説明され、他に特定されない限り、全体を通して類似の参照番号は類似の要素を指す。以下の説明では、便宜上、特定の用語を使用されるけれども、これに限定的なものではない。本明細書で使用される「複数」という用語は、2つ以上を意味する。単数表示(「a」、「an」、および「the」)は複数の言及を含み、文脈が明らかにそうでないと示さない限り、特定の数値への言及は少なくともその特定の値を含む。したがって、例えば、「1つの材料」への言及は、当業者に知られている、そのような材料の少なくとも1つおよびその等価物への言及となる。
【0011】
値が先行詞「約」を用いて近似値として表される場合、その特定の値は他の実装をなすことが理解されるであろう。一般に、用語「約」の使用は、開示された主題によって得られることが求められる所望の特性に応じて変わり得る近似を示し、これは、その機能に基づいて使用される特定の文脈で解釈されるべきものであり、当業者はそれをそのように解釈することができるであろう。場合によっては、特定の値に使用される有効数字の数は、単語「約」の範囲を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合では、一連の値に使用される階調は、各値について用語「約」により利用されることが意図されている範囲を決定するのに使用されて良い。範囲が複数ある場合すべての範囲は排他的でなく、かつ組み合わせ可能である。すなわち、範囲で述べられた値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。
【0012】
開示される燃料電池システムは様々な環境で使用して良い。したがって、効率的な操作のためにポリマーイオン移動膜が水和されたままであることが有利であろう。発生した熱のために、燃料電池スタックの温度を制御することも有益であろう。このため、冷却剤および/または水和剤のために、冷却剤をスタックに供給して良い。したがって、燃料電池システムは、燃料電池スタックの水和および/または冷却のための冷却剤タンクを含んで良い。いくつかの側面では、冷却剤は水を含んで良く、冷却剤タンクは水タンクであって良い。本明細書に記載の例示的な実施形態は、冷却剤として水を使用することを教示し得るが、本開示は水だけに限定されないことが理解される。「水」および「冷却剤」は本開示を通して交換可能に使用され得るが、他の適切な流体および混合物は冷却剤を含み得る。
【0013】
いくつかの例示的な実施態様において、燃料電池システムは、冷却剤の凝固点未満の周囲温度を有する環境で保管または運転して良い。例えば、いくつかの態様において、水を使用して、燃料電池システムを氷点下の温度条件で貯蔵または運転して良く、燃料電池スタックおよび水貯蔵タンク内の水を凍結させて良い。凍結水は、燃料電池スタックへの冷却剤または水和水の供給を妨げる閉塞を引き起こす可能性がある。これは、燃料電池システムがオフであり、貯水タンク内の水がそのスタックを通過することによってもはや加熱されないときに特に問題となる。そのとき水は完全に凍るかもしれない。そのような場合、十分な液体水が、水和および/または冷却に利用できないかもしれない。その結果、凍結水が解凍されるまで、燃料電池アセンブリが再始動するのが妨げられ、または全出力で動作することが妨げられるかもしれない。
【0014】
いくつかの例示的な実施形態では、加熱素子を燃料電池システム内に設けて凍結冷却剤を溶融して良い。加熱器は、電池または他の電源から作動し、冷却剤/水の凍結を防ぐために、燃料電池システムを氷点より高い温度に維持して良い。
【0015】
加熱素子を動作させるために電池電力を利用する側面において、電池電力は制限されることがあり、電池が故障するか、または放電すると、燃料電池システムは凍結することがある。したがって、常に、または予め設定された時間サイクルではなく、液体冷却剤が必要なときに断続的に加熱素子を作動させることが有利であろう。加えて、電池は低温で低い性能しか実現しないかもしれないので、電池ではなく燃料電池システムの動作によって発生する熱を利用することが有利であろう。
【0016】
いくつかの実装形態では、燃料電池システムは、冷却剤、例えば水を受け取り、収容するように構成された冷却剤モジュールを含んで良い。冷却剤が水を含み、燃料電池システムが摂氏零度以下の温度環境にあるいくつかの例示的な側面において、モジュール内の水が凍結することがある。燃料電池システムが再起動されるとき、燃料電池スタックを冷却するため、および/または、燃料電池スタックの燃料電池を形成する燃料電池膜を水和させるために、モジュールからの水が必要となる可能性がある。いくつかの燃料電池システムは、システムの電源が切られている間、氷点を超える温度を維持するための加熱素子を欠いている。クーラントモジュール内の水が凍結している場合は、燃料電池アセンブリで利用できるように解凍する必要がある。
【0017】
図1を参照すると、燃料電池システム1は、燃料電池アセンブリ2、冷却剤モジュール3、およびポンプ11を含んで良い。冷却剤モジュール3は、1つまたは複数の冷却剤タンク9を含んで良い。燃料電池アセンブリ2は、アノード入口4を通じて水素などの燃料の流れを受け取り、カソード入口5を通じて空気などの酸化剤の流れを受け取って良い。アノード排出口6は、燃料電池アセンブリ2上に配置されて良く、燃料が燃料電池アセンブリを通って流れることを可能にするように構成されて良い。カソード排出部7は、燃料電池アセンブリ2上に配置されて良く、酸化剤が燃料電池アセンブリを通って流れることを可能にするように構成され良い。排気流は、反応副生成物、および燃料電池アセンブリ2を通過した可能性がある任意の冷却剤/水和液も搬送することに留意されたい。カソード排出部7が冷却剤分離部8を含んで冷却剤(例えば水)をカソード排気流から分離して良い。分離された水は冷却剤貯蔵モジュール3内に貯蔵されて良い。この例は、スタックを通過した冷却水の再利用を示しているが、本開示は、冷却水を再利用しないシステムまたは異なる態様で再利用することができるシステムに適用可能であることに留意されたいが理解されよう。
【0018】
冷却剤貯蔵モジュール3は、導管によって燃料電池アセンブリ2に接続されて良い。代替的には、冷却剤貯蔵モジュール3は、スタック内において燃料電池と一体化されて良い。図1に示すように、冷却剤貯蔵モジュール3をカソード入口5に接続して、冷却剤をカソード流に導入して燃料電池アセンブリ2を蒸発冷却して良い。代替的には、冷却剤を別個の導管によって燃料電池アセンブリに案内して良い。
【0019】
冷却剤の流れは、冷却剤注入コントローラ10によって制御して良い。冷却剤注入コントローラ10は、燃料電池システムのさらなる動作を制御するための燃料電池システムコントローラ15の一部を形成して良い。冷却剤注入コントローラ10は、燃料電池アセンブリ2への水の供給を制御するためにポンプ11に制御信号を供給して良い。ポンプ11は、冷却剤モジュール3およびカソード入口5と流体連通して良い。ポンプは、これに限定されないが、蠕動ポンピング、正変位ポンピング、変位ポンピング、および遠心ポンピングのような、流動場で通常使用されるポンピング機構の1つまたは複数を含んで良い。
【0020】
コントローラ10は、また、冷却剤モジュール3の上または内部に配置された1つまたは複数のヒータ素子を制御して良い。図1の例示的な実装を参照すると、冷却剤貯蔵モジュール3内に配置されたヒータ素子12、13は、冷却剤注入コントローラ10と電気的に結合されている。
【0021】
いくつかの側面において、ヒータ素子12、13は、第1のヒータ素子12と、第1のヒータ素子から間隔を置いて配置された第2のヒータ素子13とを含んで良い。冷却剤貯蔵モジュール3は、燃料電池アセンブリに冷却剤を供給するように構成された複数の冷却剤貯蔵タンク9を含んで良い。各冷却剤貯蔵タンクは、1つ以上のヒータ素子を有して良い。1つまたは複数のヒータ素子は、電気式または燃焼エネルギ式であって良く、また、熱分散要素を含んで良く、これらは、抵抗加熱器、または、燃料電池システムのある部分から別の部分に熱を移動させる、ヒートパイプまたは熱交換器を含んで良い。いくつかの実装形態では、例えば、燃料電池アセンブリを通って酸化剤を駆動する圧縮機は、燃料電池アセンブリの起動後に比較的急速に加熱し、熱交換および作動流体および/またはヒートパイプは、熱を圧縮機から冷却剤モジュールに移動させる。いくつかの側面において、カソード排出部7で燃料電池アセンブリを出る排気ガスは十分に暖かい。この排気は、例えば対流手段によって、冷却剤貯蔵モジュールに熱を供給し、その中の冷却剤を加熱するために使用することができる。他の例において、誘導、対流、伝導、放射を利用した熱伝達の任意の組み合わせを介して熱を加えることができる。冷却剤は、1つ以上の他の適切な加熱方法、例えばマイクロ波加熱により加熱されて良い。加熱は、タンク、冷却剤、またはその両方と熱的に連絡している1つまたは複数の加熱要素から熱を加えることによるもので良い。いくつかの態様において、燃料電池システム1は、1つまたは複数のセンサ14を含んで良い。センサ14は、冷却剤噴射コントローラ10と通信し、燃料電池アセンブリ2の性能の1つまたは複数の計測値を提供して良い。
【0022】
いくつかの例示的な実装形態において、燃料電池システムは、冷却剤モジュール内で利用可能な液体冷却剤の存在および/または量を検出するように構成されて良い。燃料電池システムは、氷点下の環境で貯蔵または動作させて良く、冷却剤モジュール内の冷却剤の一部または全部を凍結させて良い。本明細書を通して詳述するように、液体冷却剤が燃料電池アセンブリの冷却および/または水和に使用するのに利用できるように、1つまたは複数のヒータ素子を使用して凍結冷却剤の一部または全部を溶融して良い。
【0023】
図2を参照すると、燃料電池システム101は、燃料電池スタック102であって良い燃料電池アセンブリ102と、冷却剤モジュール103と、冷却剤モジュール103内の冷却剤貯蔵タンク109と、冷却剤モジュールおよび燃料電池アセンブリ102と流体連通するポンプ111と、1または複数の検知機器とを含んで良い。いくつかの側面において、燃料電池システム101は、冷却剤モジュール103の表面または内部に配置され、冷却剤を加熱するように構成された1つまたは複数のヒータ要素112をさらに含んで良い。燃料電池システムの動作に液体冷却剤が必要な場合、冷却剤モジュール内の冷却剤の一部またはすべてを溶かすために、ヒータ要素112を起動させて良い。
【0024】
検知機器は、例えば液体水などの溶融(液体)冷却剤の存在を検出および/または定量化するように構成されて良い。検知機器は、冷却剤モジュール103内の液体冷却剤の存在を検出し、コマンド信号をコントローラ110に送信して良い。コントローラ110は、ポンプ111を起動させて、溶融冷却剤を冷却剤モジュール103から燃料電池アセンブリ102に移動させて良い。いくつかの実装形態において、コントローラ110は、1つまたは複数のヒータ要素112にコマンド信号を送信して、ヒータ要素を作動させて冷却剤を加熱するか、ヒータ要素の加熱を終了する。
【0025】
引き続き図2を参照すると、冷却剤モジュール103内の水が凍結すると、ヒータ要素112を起動させて、水の一部または全部を溶かして良い。いくつかの側面において、検知機器は、冷却モジュール103内の冷却液の温度変化を検出するように構成された温度計を含むか、または動作可能に結合され得る電気機械スイッチ120を含んで良い。凍結状態の水が溶融するとき、液体状態の水の一部が蒸発して水蒸気を形成して良い。したがって、いくつかの側面において、温度計は、冷却剤を加熱することによって生成された蒸気の温度の上昇を検出および定量化して良い。いくつかの例示的な実施形態において、温度計は、バイメタル温度計であり、このバイメタル温度計は、冷却モジュール内の冷却剤の温度または蒸発した冷却剤から形成される蒸気の温度のいずれかが、所定の温度閾値を超える場合に、これを検出して電気機械スイッチ120を作動させるように構成されて良い。所望の温度設定および所定の閾値に応じて、さまざまなバイメタル温度計を使用できることが理解されよう。バイメタル温度計は、例えば、温度に関連する異なる膨張および収縮特性を有する2つの材料を含むことができ、それにより、第1の材料が膨張または収縮すると、異なるサイズまたは形状に遷移する。第2の材料は、第1の材料の物理的変化が第2の材料の物理的変化をもたらすように、第1の材料に固定的に取り付けられている。いくつかの側面において、電気機械スイッチは、温度しきい値に達すると回路を開閉するように構成されたブリッジを備えた電気回路を備えて良く、いくつかの実装において、このタイプの単純なスイッチはマイクロプロセッサ制御なしで使用されて良い。
【0026】
さらに図2を参照すると、水蒸気は圧力伝達管122を通って移動し、電気機械スイッチ120に接触する。水蒸気の予め定められた閾値温度は、冷却剤モジュール103内の溶融水の所望の量に対応して良い。当該予め定められた閾値温度を超えると、電気機械スイッチ120が作動して、コントローラ110にコマンド信号を送信する。コントローラ110は、ポンプ111を作動させて、溶けた液体水の一部または全部を冷却剤モジュール103から移動させて良い。いくつかの実装において、コントローラ110はヒータ要素112を作動させて、冷却剤の加熱を停止して良い。燃料電池システムを起動するのに必要な量の冷却剤を溶かすだけで、エネルギと時間を節約できるため、これは有利であろう。
【0027】
いくつかの側面においては、感知機器は、圧力の変化を検出するように構成されて良い。圧力は、冷却剤モジュール103の内部、特定の冷却剤貯蔵タンク109の内部、および/または検知機器の位置で計算されて良い。いくつかの側面において、検知機器は、1つ以上の圧力センサ126を含んで良い。圧力センサ126は、燃料電池システム内の蒸気圧を検出および定量化するように構成されて良い。より多くの冷却剤がヒータ要素112によって融解されるにつれて、より多くの液体冷却剤が蒸発して蒸気になる。蒸気圧が圧力センサ126によって示され、予め定められた圧力閾値よりも大きい場合、圧力センサはコントローラ110にコマンド信号を送信して良い。温度検知の場合と同様に、予め定められた閾値圧力は所望の量の溶けた冷却剤に応じて変化して良い。いくつかの側面において、燃料電池システムは、複数の圧力センサ126を含んで良い。圧力センサ126は、システムの異なる構成要素、例えば冷却剤貯蔵タンク109または圧力伝達チューブ122内に配置して良い。
【0028】
他の例示的な実装形態において、検知機器は、冷却モジュール103の表面または内部に配置された1つまたは複数の歪みゲージ124を備えて良い。歪みゲージ124は、冷却モジュール103の一部の膨張または収縮を測定するように構成されて良い。冷却剤、例えば、水が凍結するとき、冷却剤の体積が膨張し、逆に、冷凍された冷却剤が溶けるとき、冷却剤の総体積が収縮する。タンクは、金属材料、非金属材料で形成するか、1つ以上の非金属部分と1つ以上の金属部分を含んで良い。非金属材料または部分は、金属材料よりも柔軟になるように構成されて良く、それにより、膨張および収縮によるいくらかの体積変化に対応する。冷却剤貯蔵タンク109は、冷却剤がそれぞれ凍結および融解するにつれて膨張および収縮するように構成されて良い。いくつかの実装形態において、冷却剤モジュール103全体が膨張および収縮して良い。ひずみゲージ124は、冷却剤のそれぞれの凍結および融解による膨張および収縮の量を検出および測定して良い。いくつかの側面において、ひずみゲージ124は、凍結冷却剤の融解の一部またはすべてに対応する収縮の量を測定して良い。ひずみゲージ124が予め定められたひずみ閾値を超える変化を検出すると、当該ひずみゲージ124は信号をコントローラ110に送信して良い。ここに開示される他の実装と同様に、予め定められたひずみ閾値は変化し、冷却液モジュール103内の液体冷却剤の所望の量に基づいて決定されて良いことに留意されたい。
【0029】
いくつかの側面において、複数のひずみゲージ124を利用して良い。複数のひずみゲージ124は、冷却剤モジュールの異なる部分に配置されて良い。例えば、第1のひずみゲージは、第2のひずみゲージに対して適切に配置されて良い。いくつかの側面において、ひずみゲージ124は、冷却剤モジュール103の内側または冷却剤モジュールの外面のいずれかに配置されて良い。ひずみゲージは、冷却剤貯蔵タンク109または冷却剤モジュール103の別の構成要素に配置されて良い。いくつかの実装形態において、ひずみゲージ124は、ヒータ要素112から実質的に離れた凍結冷却剤に配置されて良く、その結果、ひずみゲージは凍結冷却剤の変化をより正確に測定でき、ヒータ要素の近接による大きな影響を受けない。いくつかの側面において、ポンプ111への流体接続に隣接してひずみゲージ124を配置して良い。ポンプに隣接してひずみゲージを配置すると、ポンピングのためにポンプインターフェースでどれだけの溶融クーラントが利用できるかを定量化する精度が向上するため、有利である。
【0030】
いくつかの実装形態において、冷却剤が凍結状態にあるときに、ひずみゲージ124を冷却剤に浸すか、冷却剤と接触させて良い。ひずみゲージ124は、冷却剤の融解を検出し得る。そのような側面において、冷却剤の様々な部分に複数のひずみゲージ124を含めることがさらに有利である。各ひずみゲージは、コントローラ110にコマンド信号を送信することができ、コントローラ110は、1つ以上のひずみゲージから受信した1つ以上の信号に基づいて溶融冷却剤の正確な量を計算することができる。いくつかの側面において、ひずみゲージは電気機械スイッチとして機能して良い。ひずみゲージは電気回路の一部を形成し、ひずみしきい値に達すると、ひずみゲージが電気回路を開成または閉成する。
【0031】
さまざまな種類のひずみゲージを使用して良い。例えば、いくつかの実装形態において、ひずみゲージは圧縮を測定するように構成されて良い。代替的には、ひずみゲージは張力を測定するように構成されて良い。さらに代替的には、ひずみゲージは、せん断ひずみを測定するように構成されて良い。いくつかの側面において、複数のタイプのひずみゲージを燃料電池システムで使用して良い。
【0032】
さらに別の実装形態において、検知機器は、冷却剤モジュール103内に配置されたフロート128を有して良い。フロート128は、冷却剤が固体または液体状態のときにも燃料電池システムで使用される冷却剤よりも密度の低い材料を有し、そのため、フロート128は、凍結または融解した冷却剤の一塊の表面上にあるように常に構成される。冷却剤が凍結すると、冷却剤の総量が増えるかもしれない。逆に、冷却剤が溶けると、総体積が収縮するかもしれない。フロート128は、冷却剤が膨張すると第1の方向に移動し、冷却剤が収縮すると第1の方向と反対の第2の方向に移動するように構成される。図3を参照すると、フロート128は、冷却液モジュール103の内部に配置され、冷却剤(例えば水)が凍結するとフロート128が冷却剤モジュール内で垂直に上昇し、冷却液が融解するとフロート128が垂直下方に移動する。
【0033】
フロート128は、コントローラ110に機械的または電気的に結合されて良く、フロート128の移動の距離および方向に対応する信号を冷却剤注入コントローラに送信して良い。いくつかの実装形態において、冷却剤モジュール103は1または複数のスイッチ129を含んで良く、スイッチ129は、フロート128が第1の方向または第2の方向に移動するときに切り替えられる。スイッチは、ボタンなどの機械的スイッチ、または光学センサなどのデジタルスイッチであって良い。
【0034】
コントローラ110は、ひずみゲージ、圧力センサ、バイメタル温度計、フロート、または別の計測機器から受信した信号を変換するプログラムで構成して良く、冷却剤注入コントローラは1つまたは複数の計測機器120から複数の信号を受信して良い。プログラムは、ここに説明される各計測機器の予め定められたしきい値を含んで良く、プログラムはユーザーが変更可能にして良い。プログラムは、さらに、ヒータ要素、ポンプ、または別のシステムコントローラなど、燃料電池システムの他のコンポーネントにコマンド信号を送信して良い。
【0035】
いくつかの側面において、コントローラ110は、冷却剤を加熱し、加熱速度を変更し、または加熱を終了するために、ヒータ要素112を作動させて良い。燃料電池システムが氷点下環境で保管または運用されるいくつかの例示的な実装態様において、燃料電池システムを効果的に運転するために最小限必要な量よりも多くの量の冷却剤を溶かすことが有利かもしれない。氷点下環境では、融解した冷却剤は、同様に氷点下温度である燃料電池システムの部品に接触するときに、再凍結にさらされる。そのため、再凍結が予想される液体冷却剤の量を考慮することは有益であろう。この欠点は、大量のクーラントを溶かすことで克服できる。再凍結時の液体冷却剤の不足を避けるために、融解した冷却剤は、少なくとも燃料電池システムを効果的に動作させるために必要な体積と、氷点下の温度成分との接触時に再凍結すると予想される液体冷却剤の体積の合計に等しくなければならない。
【0036】
いくつかの側面において、冷却剤は、その融点よりも高い温度に加熱されて良い。燃料電池システムの様々なコンポーネント(例えば、圧力伝達チューブ122)は氷点下の温度であっても、冷却剤を融点を超えて加熱することにより、融解した冷却剤は、これらコンポーネントと関わりあう。正確に融点(または融点よりも実質的に高い温度)に加熱されたクーラントは、低温のコンポーネントに接触すると再凍結する場合がある。これは、融解したクーラントの量を検出したが、その一部が再凍結するために内容物全体を利用できない燃料電池システムを妨害する可能性がある。したがって、冷却剤を融点よりも高い適切な温度に加熱することにより、冷却剤が冷却器のコンポーネントと接触した後でも液体の状態が維持されるようにする。冷却剤として水を利用するいくつかの例示的な実装形態においては、水は、約1℃、最大約10℃、最大約20℃、約30℃、最大で40°C、またはそれ以上の温度のうちの少なくとも1つまで加熱されて良い。
【0037】
図4を参照すると、燃料電池システム101の動作のための流動性冷却剤を検出する例示的な方法が示されている。この方法は、燃料電池システム制御装置110によって実行されて良い。動作方法は、低温または凍結周囲条件で使用されたときに燃料電池システムが効果的に始動できるように実行される。寒冷または凍結の周囲条件では、冷却剤貯蔵モジュール103内で凍結するため、燃料電池アセンブリ102に必要な冷却剤が利用できないリスクがある。燃料電池システムの信頼性の高い起動を可能にするために、利用可能な冷却剤の量が不十分であり、それに応じてその動作を変更する。これは、燃料電池システム101が車両に動力を供給するときに特に重要である。車両のユーザは、燃料電池システムが確実に起動し、広範囲の動作環境で車両に有効な電力を提供できることを期待する。これは、燃料電池アセンブリが効率的な動作に必要とする冷却剤などのリソースが、少なくとも最初は使用できない可能性があることを考えると、難題である。
【0038】
図4に示すように、ステップ20で燃料電池システム101をオンにして、燃料電池アセンブリ102を作動させる。これには、コントローラ110および他のコンポーネントなどの電気システムの電源投入が含まれる。これにより、燃料電池アセンブリ102への燃料および酸化剤の供給が開始されて良い。
【0039】
ステップ21は、燃料電池システム101の温度の決定を示す。燃料電池システムの1つ以上の構成要素に配置された1つ以上の温度センサは、周囲環境および/または燃料電池システムの個々の構成要素の温度を測定して良い。いくつかの実装形態において、温度センサが、冷却剤モジュール103の上または内部に配置されて、その中の冷却剤の温度を測定する。決定された温度、または複数の温度センサからの複数の温度測定値の最小または最大または平均は、冷却剤が凍結するリスクを決定するために、予め定められた温度しきい値と比較される。いくつかの例示的な実装形態において、予め定められた温度閾値は約10℃である。所定の温度は0、1、2、3、4、5、6、7、8、9℃、または燃料電池システムが必要とする冷却剤またはその他の凍結可能な資源の凝固点に関連する任意の他の値であって良いことが理解されよう。決定された温度が予め定められた温度閾値より低い場合、当該方法はステップ22に進み、燃料電池システム101は、システムを効果的に動作させるのに十分な液体冷却剤があることを保証する。測定温度が所定の温度以上である場合、燃料電池システムはステップ24で表される「通常運転モード」で運転される。通常運転モードでは、燃料電池システムは、抵抗ヒータや燃料電池アセンブリからの加熱排気などによる、1または複数の加熱要素による冷却剤の加熱を停止する。
【0040】
ステップ22において、燃料電池システム101は、ここに全体にわたって説明されるように、冷却剤内または冷却剤に隣接する加熱要素を作動させる。発熱体は、冷却剤の一部またはすべてが溶けるまで冷却剤を加熱する。ステップ23において、ここで説明される1つ以上の計測機器は、燃料電池システム101で直ちに使用可能な液体冷却剤の存在を検出および/または定量化する。必要量の液体冷却剤が検出されると、ポンプ111は液体冷却剤を冷却剤モジュール103から燃料電池アセンブリ102へと移動させることができ、燃料電池システム101は、ステップ24によって示されるように通常の動作を継続して良い。
【0041】
異なる参照番号でラベル付けされていても、個々の部品および要素が特定の実装に適用されるときの説明は、他に明示的に述べられていない限り、すべての実装に適用されえ良い。
【0042】
本開示は様々な図の様々な態様に関連して説明されてきたが、その広い発明概念から逸脱することなく上述の態様に変更を加えることができることが当業者によって理解されるであろう。したがって、本開示は開示された特定の態様に限定されず、特許請求の範囲によって定義されるような本開示の精神および範囲内の修正を包含することを意図していることに留意されたい。
【0043】
別々の実装形態の文脈で上述した本開示の特徴は、単一の実装形態において組み合わせて提供することができる。逆に、単一の実装形態の文脈で説明されている本開示の様々な特徴は、また、別々に、または、任意の組み合わせとして実現されて良い。最後に、一実装形態は一連のステップの一部またはより一般的な構造の一部として説明することができるが、各ステップはそれ自体で他のものと組み合わせることができる独立した実装形態と考えることができる。
図1
図2
図3
図4