IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

特許7261230車両のアシストシステムを動作させる方法及び装置
<>
  • 特許-車両のアシストシステムを動作させる方法及び装置 図1
  • 特許-車両のアシストシステムを動作させる方法及び装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】車両のアシストシステムを動作させる方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20230412BHJP
【FI】
B60N2/90
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020521532
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 DE2018100897
(87)【国際公開番号】W WO2019086082
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】102017219676.9
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018204103.2
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ブリュグル・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】フランツ・マティアス
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-161300(JP,A)
【文献】特開2009-132347(JP,A)
【文献】特開2011-044374(JP,A)
【文献】特開2016-166754(JP,A)
【文献】特開2014-237383(JP,A)
【文献】特開2011-102747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)のアシストシステム(3)を車両(1)の走行中に動作させる方法であって、次のステップを有する方法:
各臭気センサ(4,5)を用いて少なくとも一つの臭気プロファイルを車両(1)の走行中に検出し(S1)、少なくとも一つの臭気プロファイルが少なくとも二つの臭気物質の濃度によって規定されていること、
検出された少なくとも一つの臭気プロファイルを臭気物質の濃度の経時変化として車両(1)の走行中に記録し(S5)、臭気プロファイルの車両(1)の走行中の経時変化に基づいて臭気プロファイルの変化を検知すること、
車両(1)の走行中の臭気プロファイルの変化を車両(1)の走行中のユーザの内面状態の変化に対応させること(S7)、
車両(1)の走行中のユーザの内面状態の変化に応じて一つ又は複数のアシスト機能を車両(1)の走行中に前記アシストシステム(3)に実行させること(S8)。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、少なくとも二つの臭気センサ(4,5)が車両(1)の別々の車両シート(6)に配設され、それぞれ配設された車両シート(6)に着席しているユーザの臭気プロファイルを検知することができ、当該の車両シート(6)に対して得られた臭気プロファイルを外気の所定の基準臭気プロファイルと比較することで、車両シートが占有されていることを検知し、検知された車両シートの占有に応じて一つ又は複数のアシスト機能を前記アシストシステム(3)に実行させる方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、基準臭気センサ(7)により基準臭気プロファイルの経時変化を検出する方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載に方法であって、ユーザ基準臭気プロファイルを用いて少なくとも一つの臭気プロファイルを特定のユーザに対応付け、一つ又は複数のアシスト機能を特定のユーザに応じて個別に前記アシストシステム(3)に実行させるか或いは調整させ、特にユーザ基準臭気プロファイルをアシストシステム(3)内に保存するか、データキャリアから呼び出すか、車両外部から受信するかのいずれかである方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の方法であって、検出された少なくとも一つの臭気プロファイルに応じて一つ又は複数のアシスト機能を前記アシストシステム(3)に実行させた後、引き続き臭気プロファイルの変化に応じて一つ又は複数のアシスト機能を前記アシストシステム(3)に実行させるのを止めさせるか或いは一つ又は複数のアシスト機能の実行を前記アシストシステム(3)に調整させる方法。
【請求項6】
車両(1)のアシストシステム(3)であって、
各臭気センサ(4,5)を用いて少なくとも一つの臭気プロファイルを車両(1)の走行中に検出し、少なくとも一つの臭気プロファイルが少なくとも二つの臭気物質の濃度によって規定されており、
検出された少なくとも一つの臭気プロファイルを臭気物質の濃度の経時変化として車両(1)の走行中に記録し、臭気プロファイルの車両(1)の走行中の経時変化に基づいて臭気プロファイルの変化を検知し、
車両(1)の走行中の臭気プロファイルの変化を車両(1)の走行中のユーザの内面状態の変化に対応させ、
車両(1)の走行中のユーザの内面状態の変化に応じて一つ又は複数のアシスト機能を車両(1)の走行中に実行するように形成されているアシストシステム(3)。
【請求項7】
背もたれ、ヘッドレスト又は座部に設けられた、請求項6に記載のアシストシステム(3)のための少なくとも一つの臭気センサ(4)を有する車両シート(6)。
【請求項8】
請求項6に記載のアシストシステム(3)を有し、請求項7に記載の車両シート(6)及び/又は車両シート(6)に配設された、請求項6に記載のアシストシステム(3)のための臭気センサ(5)若しくは車両シート(6)上の天井に設けられた、請求項6に記載のアシストシステム(3)のための臭気センサ(5)を有する車両(1)。
【請求項9】
車両(1)のキャビン(2)内に供給された外気の基準臭気プロファイルを検出する基準臭気センサ(7)を有する請求項8に記載の車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特に、ドライバー或いはさらに他の乗員の少なくとも誰かを走行中にサポートするアシストシステムを有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両におけるアシストシステムは、ドライバー或いは他の乗員の内面状態に多様な仕方で対処し、相応に車両機能を制御する。例えば、疲労アシストは、ハンドルの動きを数値化したり、或いは眼の辺りを観察したり、それらの少なくともいずれかを通じてドライバーの疲労を察し、適切に警告を発したり、車両機能を調整する。
【0003】
多くの場合、車両シートにもセンサが組み込まれており、このセンサが、座席の占有や、座席に座っている人の体形や体の大きさ等を検知し、車両シートの機能か又は車両の機能かの少なくともいずれかの適した機能を制御する。また、車両シートの温度を検出するためのセンサ或いは乗員の他のバイタルパラメータを検出するためのセンサ(例えば、心臓活動を監視するためのECG(心電図検査)センサ機構)が測定を行い、車両機能を適切に動作させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バイタルパラメータを検出するためにこれまで使用されていたセンサ機構は、考えられる手段の一部しか保有しないため、本発明の課題は、車両内のドライバー及び/又はさらに他の乗員の内面状態の広範な検知を捉えながら、これを車両での滞在中におけるアシスト機能の実行のために考慮することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、車両のアシストシステムを動作させる請求項1に係る方法により、また、並列に設けられた請求項に係るアシストシステム、車両シート及び車両により解決される。
【0006】
他の態様は、従属請求項に記載されている。
【0007】
第一の観点によれば、車両のアシストシステムを動作させる方法は、次のステップを有するものである:
-各臭気センサを用いて少なくとも一つの臭気プロファイルを検出する。ここで、少なくとも一つの臭気プロファイルは、少なくとも二つの臭気物質の濃度によって規定されている。
-検出された少なくとも一つの臭気プロファイルに応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行する。
【0008】
上記の方法の発想は、体臭、つまり、皮膚や呼気によって放出された乗員(特に車両のドライバー)の臭気物質を分析し、臭気プロファイルないし臭気プロファイルの変化に応じてユーザの生理学的状態ないしその状態の変化を推定するという点にある。これらの変化は、例えば、それまでのストレス誘発状況に起因したストレスレベルの変化や生じてきた疲労といったものであり得る。臭気プロファイルないし臭気プロファイルの変化により、予め決めた方法で、内面状態(現存気分)(Befindlichkeit)ないし内面状態の変化、特に乗員のストレス状態の変化を推定することができる。においの組成、つまり臭気プロファイルにおける臭気物質の組成により特定のユーザを識別することで、車両機能の個別の事前設定や個別の実行をユーザに合せて調整することもできるようにする。
【0009】
ここで、臭気センサとは、広義には一人ないし複数人の体から外気に放出された化学物質を検出するのに適したセンサを意味する。化学物質はこのとき、意識して知覚できる、或いは意識せずに知覚できる、或いは知覚できない臭気物質を含み得る。
【0010】
自動車の乗員から放出されるにおい(例えば、呼気により放出される臭気物質と比べたときの、皮膚を介して放出される臭気物質)の分析により、従来の方法を上回り、乗員の内面状態をより幅広い手段を用いて正確に検出または特定することができる。
【0011】
さらに、少なくとも二つの臭気センサが車両の別々の車両シートに配設され(対応して設けられ)てもよく、この結果、それぞれ配設され(対応して設けられ)た車両シートに着席しているユーザの臭気プロファイルを検知することができ、当該の車両シートに対して得られた臭気プロファイルを外気の所定の基準臭気プロファイルと比較することで、車両シートが占有されていることを検知し、検知された車両シートの占有に応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行する。
【0012】
特に、基準臭気プロファイルは、基準臭気センサにより検出することができる。
【0013】
所定のユーザ基準臭気プロファイルを用いて少なくとも一つの臭気プロファイルを特定のユーザに対応付け、一つ又は複数のアシスト機能を特定のユーザに応じて個別に実行するか或いは調整することができ、特にユーザ基準臭気プロファイルについての情報をアシストシステム内に保存(記憶)するか、車両外部から受信するかの少なくともいずれかとすることができる。
【0014】
さらに、臭気プロファイルを経時的に記録することができ、記録された臭気プロファイルの経時変化に基づいて臭気プロファイルの変化を検知し、これをユーザの内面状態の変化に対応付け、内面状態の変化に応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行することができる。
【0015】
さらに、検出された少なくとも一つの臭気プロファイルに応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行した後、さらにその後の臭気プロファイルの変化に応じて、一つ又は複数のアシスト機能を実行するのを止めるか或いは一つ又は複数のアシスト機能の実行を調整するというのでもよい。このようにして、対応策の成果を検証することができるので、該当するアシスト機能が乗員の内面状態を変化させたときには、この機能を引き続き利用することになる。従って、例えば、アシスト機能としてマッサージ機能が起動している場合、該当する乗員の臭気プロファイルの変化によりその内面状態の変化/改善が見られるときには、臭気プロファイルが相応に変化しているこのマッサージ機能を引き続き利用することができるし、或いは、臭気プロファイルが相応に変化しているこのマサージ機能は、その後、臭気プロファイルの変化が見られないか内面状態の変化/改善が見られないときには、それ以上利用されないようにできる。
【0016】
内面状態の変化が有益でなかった場合、乗員の次の比較可能な状態に際して、実証済みの対応策が講じられることになる。新たな請求項6。
【0017】
さらに他の観点によれば、車両のアシストシステムが設けられ、このアシストシステムは、
各臭気センサを用いて少なくとも一つの臭気プロファイルを検出し、少なくとも一つの臭気プロファイルが少なくとも二つの臭気物質の濃度によって規定されており、
検出された少なくとも一つの臭気プロファイルに応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行するように形成されているアシストシステム。
【0018】
さらに他の観点によれば、車両シートは、背もたれ、ヘッドレスト又は座部に設けられた少なくとも一つの臭気センサが装着/装備されている。
【0019】
さらに他の観点によれば、車両は、上記のアシストシステム並びに上記の車両シートないし車両シートに対して配設された、特に天井に配設された臭気センサの少なくともいずれかが装備されている。
【0020】
さらに、上記の車両は、車両のキャビン内に供給された外気の臭気プロファイルを検出する基準臭気センサが備えられていてもよい。
【0021】
添付の図面に基づき、以下に実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】アシストシステムおよび一つないし複数の臭気センサを有する車両の概略図である。
図2】アシストシステムにおいて実行される方法を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、キャビン2を有する車両1の概略図を示す。車両1は、車両1の走行中にドライバーや他の乗員をサポートするために、様々なアシスト機能を実行するアシストシステム3を有する。アシスト機能は、例えば、運転体感設定(Fahrerlebniseinstellung)、快適性機能、特にマッサージ機能、脊椎前湾設定機能(Lordoseeinstellfunktion)、エアコン機能、座席位置設定、照明機能、ハンドル設定、ボタン配置(Tastenbelegung)、エンターテインメントシステム設定(好みのラジオ局等)などといった、車両1の走行及び/又は運転に関係する全ての機能を含み得る。
【0024】
ドライバーの内面状態が変わると、一つないし複数の、或いは全てのアシスト機能が起動されるように設けることができる。それは、例えばニアミスといったような、直前のストレス状況に起因するなどして、例えばドライバーが疲労したり、ドライバーのストレス状態が変化したりすることがあり得るからである。
【0025】
乗員の内面状態は、例えば、該当する乗員から放出されるにおいを分析することで特定することができる。この目的のために、車両シート6の近くに、例えば天井に第1の臭気センサ4が設けられている及び/又は車両シート6の座部、背もたれ、ヘッドレストの少なくともいずれかに第2の臭気センサ5が設けられている。第1ないし第2の臭気センサ4,5は、該当する車両シート6に着席している乗員の臭気プロファイルを検出することができ、対応する情報をアシストシステム3に送信する。
【0026】
さらに、車両1のキャビン2に供給される外気の臭気プロファイルを基準臭気プロファイルとして検出するように構成された基準臭気センサ7を車両1の換気システムに設けることができる。基準臭気センサ7は、キャビンの空気の基準臭気プロファイルを検出するように車両のキャビン2内に配置することもできる。
【0027】
とりわけ、臭気センサ4,5,7は、同等の臭気プロファイルが得られるように同じタイプである必要がある。代替的な実施形態では、臭気センサ4,5は異なる構成とされていてもよいが、その場合、基準臭気センサ7は、異なる臭気センサ4,5の臭気物質を少なくともカバーするように構成されている。
【0028】
臭気センサ4,5,7は、それぞれエレクトロニックノーズとして、つまり、車両キャビネット内の室内空気の複数の(少なくとも二つの)臭気物質からなる臭気プロファイルを検出する複合センサとして構成することができる。これらの臭気センサ4,5,7は、さらに、異なる臭気物質の濃度を検出し、臭気プロファイルに関する情報を提供するのに適している。
【0029】
検出された臭気プロファイルは、アシストシステム3において分析し、記録することができ、いろいろなユーザの基準臭気プロファイルと比較することで、乗員として特定のユーザを識別することができる。次に、識別されたユーザに対し、適切に一つ又は複数のアシスト機能を個別に調整して実行することができる。
【0030】
さらに、臭気プロファイルの変化、つまり、少なくとも一つの臭気物質の濃度の変化の経時的な履歴を分析することにより、該当する乗員の内面状態の変化を検出することができる。所定の基準パターンと比較することで特定の臭気プロファイルの変化が検出されると、ドライバーないし他の乗員の疲労や、ストレス状態に陥っていることを推定することができる。アシスト機能は、相応に、臭気プロファイルないし臭気プロファイルの変化に応じて警告を生成することができ、例えば車両シートにおけるマッサージ機能を起動ないし設定したり、然るべき匂い源から臭気物質を放出したり、光の色、光の強度また位置的な配分の少なくともいずれかに関するキャビン照明を制御したり、その他の方法で車両1の運転または走行特性に介入したりといった、乗員のためのキャビン機能を実行することができる。
【0031】
図2のフロー図に詳しく示されているように、アシストシステム3において方法が実施される。
【0032】
ステップS1では、先ず、各車両シートに対して特に設けられた一つないし複数の臭気センサ4,5によって一つ又は複数の臭気プロファイルが記録され、また、基準臭気センサ7によって基準臭気プロファイルが記録される。
【0033】
ステップS2で臭気プロファイルが分析され、外気の臭気プロファイルと比較されることにより、各臭気センサ4,5に対応付けられている各車両シート6が占有されているかどうかがチェックされる。これは、各臭気プロファイルの、基準臭気プロファイルとの違いを検知することで実現できる。対応する車両シート6のうち少なくとも一つが占有されていることが特定されたら(二者択一:はい)、ステップS3により方法が続行される。そうでない場合(二者択一:いいえ)、ステップS1にジャンプして戻る。
【0034】
ステップS3において、異なる車両シート6に対応付けられた臭気プロファイル、つまり、該当する車両シート6に設けられた或いはその近くに設けられた臭気センサ4,5によって検出された臭気プロファイルは、アシストシステム3に保存された所定のユーザ基準臭気プロファイルと比較することができる。この比較の際に、検出された臭気プロファイルが、特定のユーザに対して割り当てられた既知のユーザ基準臭気プロファイルに相当するか或いは類時しているか或いは対応関係にあることが検知されたら(二者択一:はい)、対応する車両シート6に着席しているユーザが識別され、方法は続いてステップS4により続行される。
【0035】
検出された臭気プロファイルがどのユーザにも対応させることができないとステップS3で特定されたら(二者択一:いいえ)、方法はそのままステップS5により続行される。必要であれば、検出された臭気プロファイルは、後でユーザを認識するためにユーザ基準臭気プロファイルとして保存することができる。
【0036】
ステップS4では、このようにして識別されたユーザに対応付けられた一つ又は複数のアシスト機能が実行されるか或いは少なくとも一つのアシスト機能のパラメータが識別されたユーザに対して個別に調整される。
【0037】
ステップS5では、占有されているとして検知された車両シート6に配設された臭気センサ4,5による臭気プロファイルの検出に基づいて、一つ又は複数の臭気プロファイルの記録が開始される。これにより、臭気プロファイルの一つ又は複数の経時的な推移が得られる。
【0038】
ステップS6では、占有されているとして検知された各車両シート6について、対応する臭気プロファイルの経時的な変化の有無がチェックされる。該当する場合(二者択一:はい)、方法はS7により続行される。そうでない場合、ステップS5か或いは代替的にステップS1にジャンプして戻る。
【0039】
ステップS7では、該当する臭気プロファイルの経時的な変化が分析され、その該当する車両シートに着席しているユーザの内面状態の変化に対応付けられる。
【0040】
内面状態は、対応付けられた車両シート6に着席している該当する乗員のストレス状態の変化や疲労の現れに対応している可能性がある。
【0041】
ステップS8では、検知された内面状態の変化に応じて、該当する車両シート6に対して設けられた一つ又は複数のアシスト機能を起動することができるか或いは警告を発することができる。特に、アシスト機能として、臭気プロファイルに応じて、その他の乗員が被っているかもしれない臭いストレスを低減するために車両の換気を起動することができる。
【0042】
ステップS9では、アシスト機能の実行後、引き続き乗員の内面状態の変化を検出することができる。これは、臭気プロファイルの変化に応じて或いはその他の仕方で(眼の動き、体温などの検出)行なうことができる。
【0043】
アシスト機能を実行しても何の内面状態の変化も起きなかった場合、ステップS10により方法が続行されてもよい(二者択一:いいえ)。そうでない場合(二者択一:はい)、ステップS11により方法が続行される。
【0044】
ステップS10では、実行されるアシスト機能が変更されるか或いは置換され、ステップS9にジャンプして戻る。
【0045】
ステップS11では、その後の内面状態の変化が受け入れ可能な内面状態をもたらしたかどうかがチェックされる。これに該当する場合(二者択一:はい)、ステップS1により方法が続行され、そうでない場合(二者択一:いいえ)、ステップS10にジャンプする。
【0046】
従って、ステップS8におけるアシスト機能の実行によって影響を受けたその後の内面状態の変化に応じて、アシスト機能の実行を終了し、アシスト機能を変更し、アシスト機能を補足し或いはアシスト機能を変更ないし調整してステップS10によりアシスト機能を実行することができる。
【0047】
ステップS8における特定のアシスト機能がどの内面状態の変化をもたらしたかを示す経験は保存することができ、再度ステップS8を開始する際に考慮することができる。開始されたアシスト機能が受け入れ可能な内面状態の変化をもたらさなかったと特定されると、このアシスト機能は、適切な内面状態の変化に再度割り当てられることはない。同様にして、受け入れ可能な内面状態をもたらしたアシスト機能は、特定された内面状態の変化に対して対応付けられる。これにより、内面状態の変化が現れた際に起動すべきアシスト機能は、以前にアシスト機能を起動した成果に応じて選択することができる。このようにして、引き金となる内面状態変化がまた現れるようなら、以前に選択されたアシスト機能は、もう起動することができないか或いはパラメータか設定の少なくともいずれかを変更して実行することができる。
【0048】
こうして、例えば、ステップS8においてアシスト機能としてマッサージ機能を起動する際、このマッサージ機能は、該当する乗員のその後の臭気プロファイルの変化により内面状態の変化/改善がその後に特定されれば、(マサージ機能の起動が引き起こす)相応の臭気プロファイルの変化のもとに引き続き用いることができる。同様に、臭気プロファイルが相応に変化するこのマッサージ機能は、臭気プロファイルの変化や内面状態の変化/改善がその後に特定されなければ、それ以上用いることはできない。
【0049】
これにより、その後の臭気プロファイルの経時変化に応じて、以前に開始したアシスト機能の効果が評価され、そこからの帰結として、該当するアシスト機能がオフにされ、変更され、保持され或いは調整されることができる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.
車両(1)のアシストシステム(3)を動作させる方法であって、次のステップを有する方法:
各臭気センサ(4,5)を用いて少なくとも一つの臭気プロファイルを検出し(S1)、少なくとも一つの臭気プロファイルが少なくとも二つの臭気物質の濃度によって規定されていること、
検出された少なくとも一つの臭気プロファイルに応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行すること(S8)。
2.
上記1に記載の方法であって、少なくとも二つの臭気センサ(4,5)が車両(1)の別々の車両シート(6)に配設され、それぞれ配設された車両シート(6)に着席しているユーザの臭気プロファイルを検知することができ、当該の車両シート(6)に対して得られた臭気プロファイルを外気の所定の基準臭気プロファイルと比較することで、車両シートが占有されていることを検知し、検知された車両シートの占有に応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行する方法。
3.
上記2に記載の方法であって、基準臭気センサ(7)により基準臭気プロファイルを検出し、特に、基準臭気プロファイルの経時変化を検出する方法。
4.
上記1から3のいずれか一つに記載に方法であって、ユーザ基準臭気プロファイルを用いて少なくとも一つの臭気プロファイルを特定のユーザに対応付け、一つ又は複数のアシスト機能を特定のユーザに応じて個別に実行するか或いは調整し、特にユーザ基準臭気プロファイルをアシストシステム(3)内に保存するか、データキャリアから呼び出すか、車両外部から受信するかのいずれかである方法。
5.
上記1から4のいずれか一つに記載の方法であって、少なくとも一つの臭気プロファイルを臭気物質の濃度の経時変化として記録し(S5)、臭気プロファイルの経時変化に基づいて臭気プロファイルの変化を検知し、これをユーザの内面状態の変化に対応させ(S7)、内面状態の変化に応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行する(S8)方法。
6.
上記1から5のいずれか一つに記載の方法であって、検出された少なくとも一つの臭気プロファイルに応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行した後、引き続き臭気プロファイルの変化に応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行するのを止めるか或いは一つ又は複数のアシスト機能の実行を調整する方法。
7.
車両(1)のアシストシステム(3)であって、
各臭気センサ(4,5)を用いて少なくとも一つの臭気プロファイルを検出し、少なくとも一つの臭気プロファイルが少なくとも二つの臭気物質の濃度によって規定されており、
検出された少なくとも一つの臭気プロファイルに応じて一つ又は複数のアシスト機能を実行するように形成されているアシストシステム(3)。
8.
背もたれ、ヘッドレスト又は座部に設けられた少なくとも一つの臭気センサ(4)を有する車両シート(6)。
9.
上記7に記載のアシストシステム(3)を有し、上記8に記載の車両シート(6)及び/又は車両シート(6)に配設された、特にその車両シート(6)上の天井に配設された臭気センサ(5)を有する車両(1)。
10.
車両(1)のキャビン(2)内に供給された外気の基準臭気プロファイルを検出する基準臭気センサ(7)を有する上記9に記載の車両(1)。
【符号の説明】
【0050】
1 車両
2 キャビン
3 アシストシステム
4 第1r 臭気センサ
5 第2r 臭気センサ
6 車両シート
7 基準臭気センサ
図1
図2