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特許7261250信号間レイテンシの決定方法、装置、機器、及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】信号間レイテンシの決定方法、装置、機器、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/02 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
H04R3/02
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021029967
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2021100261
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】202010437931.3
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521208273
【氏名又は名称】阿波▲羅▼智▲聯▼(北京)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】APOLLO INTELLIGENT CONNECTIVITY(BEIJING)TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】101, 1st Floor, Building 1, Yard 7, Ruihe West 2nd Road, Beijing Economic and Technological Development Zone, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ダンチン
(72)【発明者】
【氏名】スー ガン
(72)【発明者】
【氏名】スー ジュンフア
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-100424(JP,A)
【文献】特開2007-214976(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0174847(US,A1)
【文献】Enhancing Echo Cancellation via Estimation of Delay,IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING,2005年11月,VOL.53, NO.11,p.4159-4168
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00- 3/14
G10L 21/02
H04B 3/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定し、前記現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を処理するステップと、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定するステップと、前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定するステップと、前記第1の目標信号を前記第1の現在信号として決定し、前記第2の目標信号を前記第2の現在信号として決定するステップと、をプリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで繰り返し、ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号であり、
現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに基づいて、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを決定することと、を含み、
前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定することは、
前記現在レイテンシ、前記現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて前記第1の現在信号において第1の目標信号を決定し、前記第2の現在信号において第2の目標信号を決定することを含み、または、
前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定することは、
前記現在レイテンシに基づいて前記第1の現在信号と前記第2の現在信号に対して整列処理を行うことと、
前記現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて、整列された前記第1の現在信号において第1の目標信号を決定し、整列された前記第2の現在信号において第2の目標信号を決定することと、を含む信号間レイテンシの決定方法。
【請求項2】
プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定することは、
前記プリセットサンプリングレートにおいて、前記現在サンプリングレートとされていない最小のプリセットサンプリングレートを前記現在サンプリングレートとすることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を処理することは、
前記現在サンプリングレートを用いて前記第1の現在信号に対してダウンサンプリング処理を行うことと、
前記現在サンプリングレートを用いて前記第2の現在信号に対してダウンサンプリング処理を行うことと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定することは、
処理後の前記第1の現在信号と処理後の前記第2の現在信号をフレームごとに比較し、また比較結果に基づいて前記現在レイテンシを決定することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記現在レイテンシが正確である場合、前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定する前記ステップを実行することをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記現在レイテンシが不正確である場合、処理後の前記第1の現在信号と処理後の前記第2の現在信号をフレームごとに比較し、また比較結果に基づいて前記現在レイテンシを決定することを実行し続けることをさらに含む請求項4に記載の方法
【請求項7】
前記第1の現在信号において第1の目標信号を決定することは、
前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号において第1の位置を決定し、前記第1の位置、前記現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて第1の目標信号を決定することを含み、
前記第2の現在信号において第2の目標信号を決定することは、
前記サンプリングレートに対応する誤差に基づいて目標時間長さを決定し、前記第2の現在信号の開始位置から、長さが前記目標時間長さである信号を前記第2の目標信号として決定することを含む請求項に記載の方法
【請求項8】
整列された前記第1の現在信号において第1の目標信号を決定することは、
整列された前記第1の現在信号において開始点整列位置を決定し、前記開始点整列位置、前記サンプリングレートに対応する誤差に基づいて第1の目標信号を決定することを含み、
整列された前記第2の現在信号において第2の目標信号を決定することは、
前記サンプリングレートに対応する誤差に基づいて目標時間長さを決定し、前記第2の現在信号の開始位置から、長さが前記目標時間長さである信号を前記第2の目標信号として決定することを含む請求項に記載の方法。
【請求項9】
現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに基づいて、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを決定することは、
現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに対して累積処理を行い、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを得ることを含む請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定した後、さらに、
前記プリセットサンプリングレートのそれぞれを前記現在サンプリングレートとして決定する場合、現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに基づいて、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを決定することを実行することと、
前記プリセットサンプリングレートのそれぞれを前記現在サンプリングレートとして決定しない場合、前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定する前記ステップを実行することと、を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
サイクルモジュールであって、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定し、前記現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を処理するステップと、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定するステップと、前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定するステップと、前記第1の目標信号を前記第1の現在信号として決定し、前記第2の目標信号を前記第2の現在信号として決定するステップと、をプリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで繰り返すために用いられ、ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号であるサイクルモジュールと、
現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに基づいて、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを決定するために用いられる決定モジュールと、を含み、
前記サイクルモジュールは、
前記現在レイテンシ、前記現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて前記第1の現在信号において第1の目標信号を決定し、前記第2の現在信号において第2の目標信号を決定するために用いられる第1の決定ユニットを含み、または、
前記サイクルモジュールは、
前記現在レイテンシに基づいて前記第1の現在信号と前記第2の現在信号に対して整列処理を行い、
前記現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて、整列された前記第1の現在信号において第1の目標信号を決定し、整列された前記第2の現在信号において第2の目標信号を決定するために用いられる第2の決定ユニットを含む信号間レイテンシの決定装置。
【請求項12】
前記サイクルモジュールは、
前記プリセットサンプリングレートにおいて、前記現在サンプリングレートとされていない最小のプリセットサンプリングレートを前記現在サンプリングレートとするために用いられるサンプリングレート決定ユニットを含む請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記サイクルモジュールは、
処理後の前記第1の現在信号と処理後の前記第2の現在信号をフレームごとに比較し、また比較結果に基づいて前記現在レイテンシを決定するために用いられる現在レイテンシ決定ユニットを含む請求項11に記載の装置
【請求項14】
前記サイクルモジュールは、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定した後、さらに、
前記プリセットサンプリングレートのそれぞれを前記現在サンプリングレートとして決定する場合、現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに基づいて、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを決定することを実行し、
前記プリセットサンプリングレートのそれぞれを前記現在サンプリングレートとして決定しない場合、前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定する前記ステップを実行するために用いられる請求項11から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリと、を含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令は、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させるように、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される電子機器。
【請求項16】
コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ命令はコンピュータに請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行させるために用いられる非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータで実行されると、前記コンピュータに請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ処理技術に関し、特に音声技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、電子機器がマイクロフォンによって録音した信号は、基準信号を含む可能性がある。例えば、電子機器がオーディオを再生している時、マイクロフォンも音声を録音しており、この場合、マイクロフォンは電子機器によって再生されたオーディオを録音することになる。
【0003】
したがって、電子機器が音声信号を処理する場合、エコーキャンセル処理を行う必要がある。具体的には、基準信号をマイクロフォンで録音された信号から差し引いてクリーンな信号を取得するものとする。基準信号は、電子機器が再生しているオーディオ信号を指す。
【0004】
いくつかのシーンでは、マイクロフォンによって録音された信号と基準信号との間に長いレイテンシがあるため、エコーキャンセル処理を行う前に、録音信号と基準信号との間のレイテンシを推定する必要がある。どのように信号間のレイテンシを効率的に決定することは、当業者が緊急に解決すべき技術的問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、従来技術における信号間のレイテンシを決定する際の低効率の問題を解決するために、信号間レイテンシの決定方法、装置、機器、及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、信号間レイテンシの決定方法が提供され、前記方法は、
プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定し、前記現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を処理するステップと、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定するステップと、前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定するステップと、前記第1の目標信号を前記第1の現在信号として決定し、前記第2の目標信号を前記第2の現在信号として決定するステップと、をプリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで繰り返し、ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号であり、
現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに基づいて、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを決定することと、を含む。
【0007】
第2の態様によれば、信号間レイテンシの決定装置が提供され、前記装置は、
サイクルモジュールであって、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定し、前記現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を処理するステップと、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定するステップと、前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定するステップと、前記第1の目標信号を前記第1の現在信号として決定し、前記第2の目標信号を前記第2の現在信号として決定するステップと、をプリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで繰り返すために用いられ、ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号であるサイクルモジュールと、
現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに基づいて、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを決定するために用いられる決定モジュールと、を含む。
【0008】
第3の態様によれば、電子機器が提供され、前記電子機器は、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリと、を含み、
ここで、前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶され、前記命令は、第1の態様に記載の信号間レイテンシの決定方法を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させるように、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される。
【0009】
第4の態様によれば、コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供され、前記コンピュータ命令はコンピュータに第1の態様に記載の信号間レイテンシの決定方法を実行させるために用いられる。
【0010】
第5の態様によれば、他の信号間レイテンシの決定方法が提供され、
プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定し、前記現在サンプリングレートに基づいて前記第1の現在信号と前記第2の現在信号との間の現在レイテンシを決定するステップと、前記現在レイテンシに基づいて前記第1の現在信号に対応する新たな第1の現在信号を決定し、前記第2の現在信号に対応する新たな第2の現在信号を決定するステップと、をプリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで繰り返し、ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号であり、
前記現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに基づいて、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを決定することと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示にて提供される信号間レイテンシの決定方法、装置、機器、及び記憶媒体では、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定し、現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を処理するステップと、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定するステップと、現在レイテンシに基づいて、第1の現在信号と第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定するステップと、第1の目標信号を第1の現在信号として決定し、第2の目標信号を第2の現在信号として決定するステップと、をプリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで繰り返し、ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号であり、現在サンプリングレートのそれぞれに対応する現在レイテンシに基づいて、録音信号と基準信号との間の目標レイテンシを決定することと、を含む。本開示にて提供される信号間レイテンシの決定方法、装置、機器、及び記憶媒体では、信号をダウンサンプリングすることにより、レイテンシを決定するための計算量を削減でき、それにより決定効率を向上させる。また、現在決定されるレイテンシにより、2つの信号の整列位置を含む信号セグメントを信号内で推定し、さらに、該信号セグメントに対して上記した処理プロセスを再び行うことで、決定範囲を徐々に狭めることができ、すなわち短い信号を処理することで、正確なレイテンシを取得することができ、それにより決定精度を確保しながら、データ処理量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面は本解決手段をよりよく理解するためのものであり、本出願を限定するものではない。ここで、
図1A】本出願の例示的な実施例に示される適用シーンの図である。
図1B】本出願の例示的な実施例に示される録音信号及び基準信号の概略図である。
図2】本出願の例示的な実施例に示される信号間レイテンシの決定方法のフローチャートである。
図3】本出願の例示的な実施例に示される現在信号を処理する概略図である。
図4】本出願の例示的な実施例に示される第1の現在信号と第2の現在信号の概略図である。
図5】本出願の他の例示的な実施例に示される信号間レイテンシの決定方法のフローチャートである。
図6】本出願の例示的な実施例に示される第1の目標信号と第2の目標信号を決定する概略図である。
図7】本出願の他の例示的な実施例に示される第1の目標信号と第2の目標信号を決定する概略図である。
図8】本出願の例示的な実施例に示される信号間レイテンシの決定装置の構成図である。
図9】本出願の他の例示的な実施例に示される信号間レイテンシの決定装置の構成図である。
図10】本出願の例示的な実施例に示される電子機器の構成図である。
図11】本出願の第3の例示的な実施例に示される信号間レイテンシの決定方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、本出願の例示的な実施例を、理解を容易にするために本出願の実施例の様々な詳細を含み、単なる例示として見なされるべきである添付の図面と併せて説明する。したがって、当業者は、本出願の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に記載された実施例に様々な変更及び補正を行うことができることがわかるはずである。同様に、明確かつ簡潔にするために、以下の説明では、よく知られている機能及び構造の説明を省略する。
【0014】
図1Aは本出願の例示的な実施例に示される適用シーンの図である。
【0015】
図1Aに示すように、電子機器11は、オーディオ再生機能及びオーディオ信号収集機能を有する。例えば、電子機器にはオーディオ信号を録音できるマイクロフォンが設けられている。
【0016】
電子機器11によって再生されるオーディオ信号は信号12であり、電子機器によって録音されるオーディオ信号は、例えば、ユーザが話し出したオーディオ信号13であってもよい。電子機器11がオーディオ信号12を再生しながらオーディオ信号13を録音すると、同時にオーディオ信号12を録音することになる。電子機器によって録音される信号をより純粋にするために、録音された信号から信号12を除去する必要がある。
【0017】
電子機器11は、再生する必要があるオーディオ信号12を受信してから再生するまでに一定の時間を要するため、電子機器が再生するオーディオ信号12と録音するオーディオ信号13との間には一定のレイテンシがあり、録音した信号から再生する必要がある信号をそのまま差し引いて、クリーンな信号を得ることができない。
【0018】
図1Bは本出願の例示的な実施例に示される録音信号及び基準信号の概略図である。
【0019】
図1Bに示すように、録音信号は21であり、基準信号は22であり、電子機器が基準信号を受信する開始時刻はt0であり、信号を録音する開始時刻もt0である。電子機器は基準信号22に対して一連の処理を行ってからそれを再生する必要であり、このプロセスにおいてかかる時間が(t1-t0)であり、実際に再生される基準信号は23である。
【0020】
録音信号21から基準信号22をそのまま差し引くと、基準信号の再生時刻と録音信号の録音開始時刻が一致しないため、録音信号におけるエコーを効果的に除去することができない。したがって、録音信号21と基準信号22との間のレイテンシ(t1-t0)を決定する必要がある。レイテンシに基づいて、タイミング上に基準信号22を実際に再生される基準信号23の態様に調整してエコーキャンセル処理を行うものとしてもよい。
【0021】
録音されたクリーンなオーディオ信号を得ようとする場合、録音された信号と再生された信号との間のレイテンシを決定してから、エコーキャンセル処理を行う必要がある。現在の一態様では、録音された信号と再生されたオーディオ信号とをフレームごとに比較して、両者のレイテンシを決定するものとしてもよいが、この方法は、計算量が大きすぎて、レイテンシを決定する効率が低くなる。
【0022】
本出願にて提供される信号間のレイテンシを決定する方法は、オリジナルの録音信号及び基準信号をダウンサンプリングし、ダウンサンプリング信号に基づいて2つの信号のレイテンシを予備的に推定し、また該レイテンシに基づいて、2つの信号のうち整列位置を含む目標信号を推定し、目標信号に対して上記したステップを繰り返し、それにより、複数回のダウンサンプリングによって、より正確なレイテンシ結果が得られるまで、段階的に推定する。
【0023】
本出願にて提供される方法は、信号に対してダウンサンプリング処理を行うため、計算量を大幅に削減でき、現在状況に基づいて、2つの信号のうち整列位置を含む目標信号を推定でき、それにより目標信号のみを処理することができ、精度を確保する場合には、データ処理量をさらに削減することができ、さらに、レイテンシ決定効率を向上させる。
【0024】
電子機器は、録音信号と基準信号との間のレイテンシを決定した後、決定されたレイテンシに基づいてエコーキャンセル処理を行うことができ、レイテンシを決定するプロセスにおいてレイテンシを効率的かつ正確に決定することができるため、さらに録音された音声を効率的かつ正確に処理することができる。
【0025】
図2は本出願の例示的な実施例に示される信号間レイテンシの決定方法のフローチャートである。
【0026】
図2に示すように、本出願の実施例にて提供される信号間レイテンシの決定方法は、ステップ201~ステップ206を含む。
【0027】
ステップ201において、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定する。
【0028】
ここで、本出願にて提供される方法は、コンピューティング能力を有する電子機器、例えば、図1に示される電子機器11によって実行されてもよい。
【0029】
具体的には、電子機器11は、オーディオ再生機能と録音機能を備え、例えば、電子機器11にスピーカとマイクロフォンが同時に設けられており、オーディオ再生機能と録音機能をそれぞれ実現するために用いられる。電子機器は、具体的には、携帯電話、テレビ会議又は電話会議を行うために用いられる機器、スマートスピーカーなどの機器であってもよく、本実施例ではこれについて限定されない。
【0030】
さらに、複数のレベルにあるプリセットサンプリングレートを予め設定してもよく、これらのプリセットサンプリングレートの値は同じではなく、例えば、それぞれ「1/2、1/4…1/2」のような一組のプリセットサンプリングレートを設定してもよく、nは、必要に応じて設定されてもよい。
【0031】
実際に適用される時、サンプリングレートとは、サンプリング周波数を指し、具体的には、単位時間においてサンプリングする個数を指す。サンプリングレートの逆数がサンプリング周期である。例えば、サンプリングレートが1/2の場合、単位時間当たりにサンプリングする数が1/2であり、サンプリング周期が2であり、すなわち、2つのサンプリング周期おきに1つのサンプルを収集することが示される。
【0032】
ここで、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定するためのルールを予め設定してもよい。例えば、まず、プリセットサンプリングレートの最小値を現在サンプリングレートとし、そして大きいサンプリングレートを現在サンプリングレートとする。
【0033】
具体的には、例えば、まず、1/2を現在サンプリングレートとして、以下のステップを実行する。続いて1/2(n-1)を現在サンプリングレートとして、以下のステップを実行し、以下同様に、すべてのプリセットサンプリングレートがトラバースされるまでに終わる。
【0034】
ステップ202において、現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を処理する。ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号である。
【0035】
さらに、説明を明確にするため、本実施例において第1の現在信号と第2の現在信号を定義する。ここで、ステップ202を初めて実行する時、第1の現在信号は録音信号であり、第2の現在信号は基準信号である。ステップ202を再び実行する時、以下のステップに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を決定する。
【0036】
実際に適用される時、決定された現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号をそれぞれ処理することができる。具体的には、該2つの信号に対してサンプリング処理を行うことができる。
【0037】
ここで、本ステップを初めて実行する時、実質的に現在サンプリングレートに基づいて録音信号、基準信号をそれぞれ処理する。ステップ202を再び実行する時、現在サンプリングレートに基づいて、決定された第1の現在信号と第2の現在信号を処理することである。
【0038】
具体的には、現在サンプリングレートを用いて第1の現在信号と第2の現在信号に対してサンプリング処理をそれぞれ行うことができる。具体的にサンプリングレートに基づいてサンプリング周期を決定し、かつ1つのサンプリング周期おきに信号において1つのサンプルを収集することで、サンプリング後の信号を取得する。
【0039】
図3は本出願の例示的な実施例に示される現在信号を処理する概略図である。
【0040】
さらに、現在サンプリングレートを用いて第1の現在信号と第2の現在信号に対して処理する方法は類似し、本実施例は図3でこのプロセスについて概略的に説明する。
【0041】
図3に示すように、31は現在信号(第1の現在信号又は第2の現在信号)であり、該信号は時間に関する関数であってもよく、すなわち横軸は時間であり、縦軸は信号の振幅である。
【0042】
実際に適用される時、サンプリングレートに基づいて現在信号31においてサンプリングし、複数のサンプル32を得るものとしてもよい。これらのサンプル32の集合は、現在サンプリングレートを用いて現在信号31を処理した後の信号である。
【0043】
ここで、第1の現在信号と第2の現在信号をそれぞれ処理し、それにより処理後の第1の現在信号と第2の現在信号を得る。第1の現在信号と第2の現在信号に対してサンプリング処理を行ったため、処理後の信号に含まれるデータ量を大幅に削減させる。例えば、元の現在信号に10000個のデータが含まれ、処理後の現在信号に100個のサンプリングデータのみが含まれる可能性がある。
【0044】
ステップ203において、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定する。
【0045】
具体的には、第1の現在信号と第2の現在信号に対してサンプリング処理を行った後、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定することができる。処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に含まれるデータは、いずれも処理前の信号よりも少ないため、処理後の信号に基づいてレイテンシを決定する計算量は、処理前の信号に基づいてレイテンシを決定する計算量よりも少ない。
【0046】
さらに、処理後の信号は元の信号に対してサンプリング処理を行うことによって得られるため、処理後の第1の現在信号は第1の現在信号の特性を反映でき、処理後の第2の現在信号は第2の現在信号の特性を反映できる。処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定することができる。
【0047】
実際に適用される時、最初のサイクル中に決定された現在レイテンシの精度が低い可能性があるが、サイクル回数が増えるにつれて、決定されたレイテンシの結果はより正確になる。また、決定されたレイテンシの精度はサンプリングレートの大きさにも関連性があり、本実施例にて提供される方法では、最初のサイクルでより小さいサンプリングレートでサンプリングしてもよく、サイクル回数が増えるにつれてサンプリングレートを徐々に上げ、それによりデータの計算量を削減できるだけでなく、決定結果の精度も保証できる。
【0048】
ここで、現在レイテンシを決定する場合、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号を比較でき、この2つの信号は、サンプリング処理後の信号であるため、それに含まれるデータの量は多くなく、このため、データ処理量を削減し、レイテンシ決定効率を向上させることができる。
【0049】
具体的には、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号をフレームごとに比較することで、この両者の間のレイテンシを決定することができる。例えば、処理後の第1の現在信号において、処理後の第2の現在信号を含む開始位置を決定し、それによりこの両者の間のレイテンシを決定する。処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号の相互相関エネルギー値を計算し、相互相関エネルギー値が最も大きい位置に基づいて、2つの信号のレイテンシを決定することもできる。
【0050】
ステップ204において、現在レイテンシに基づいて、第1の現在信号と第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定する。
【0051】
さらに、現在サンプリングレートとは見なされない値がプリセットサンプリングレートにある場合、ステップ204を実行する。プリセットサンプリングレートにある各値が現在サンプリングレートと見なされ、かつ現在サンプリングレートごとに基づいて、対応する現在レイテンシを決定した場合、ステップ204~205を実行しなくてもよい。代わりに、ステップ206を直接実行する。
【0052】
実際に適用される時、すべてのプリセットサンプリングレートが適用されていない場合、結果をより正確にするために、プリセットサンプリングレートに基づいて、現在レイテンシを決定し続けることができると考えられる。
【0053】
ここで、現在決定されているレイテンシに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定することができる。第1の目標信号と第2の目標信号は整列位置を含むと考えられる。
【0054】
具体的には、一般に、録音信号と基準信号との間に、基準信号の処理によるレイテンシがある。時刻t0から信号を録音し始め、かつ、電子機器が時刻t0で基準信号を受信して再生すると仮定すると、基準信号を再生するためには、一連の処理を行う必要があるため、実質的に再生される信号の開始時刻がt0からt1とずれてしまう。
【0055】
この場合、エコーキャンセル処理を行うために、基準信号をタイミング上に後ろに(t1~t0)ずらすことで、録音信号と実際に再生される基準信号とをタイミング上に一致させる必要がある。この場合、基準信号の処理に時間がかかるため、録音信号に含まれる基準信号の開始位置が録音信号の開始位置よりも遅れることになり、録音信号において両者の時間差、つまり両者のレイテンシを取得する必要があると考えられる。
【0056】
この場合、第1の現在信号において、レイテンシに基づいて整列位置を決定することができ、例えば、現在レイテンシが5msの場合は、第1の現在信号における5ms目の位置を整列位置として、該整列位置に基づいて第1の目標信号を決定することができる。例えば、現在サンプリングレートに基づいてレイテンシ誤差を決定することにより、整列位置の前後の信号を第1の目標信号とすることができる。例えば、誤差が±1msの場合は、第1の目標信号は第1の現在信号の4ms~6msのセグメントになる。第2の現在信号については、開始位置から第1の目標信号と同じ時間長さの信号のセグメントを第2の目標信号とすることができる。
【0057】
録音信号の開始位置が、実際に録音された基準信号の開始位置よりもタイミング上に遅れる場合は、レイテンシに基づいて第2の現在信号において整列位置を決定し、次に、該整列位置に基づいて第2の目標信号を決定することができる。第1の現在信号については、開始位置から第2の目標信号と同じ時間長さの信号のセグメントを第1の目標信号とすることができる。
【0058】
さらに、本実施例によれば、第1の目標信号と第2の目標信号における録音信号と基準信号が含まれる整列位置を推定することができ、それにより、この2つのセグメントの信号を処理してより正確なレイテンシを決定することができる。このような方法は、整列位置を含まない信号を除去することができ、それによりデータ処理量を大幅に削減することができる。
【0059】
図4は本出願の例示的な実施例に示される第1の現在信号と第2の現在信号の概略図である。
【0060】
図4に示すように、41は第1の現在信号であり、42は第2の現在信号であり、決定された現在レイテンシはΔtである。
【0061】
現在レイテンシΔtに基づいて、第1の現在信号41において可能な整列位置43を推定し、該整列位置43を含む信号のセグメントを第1の目標信号44とすることができ、第1の目標信号には第2の現在信号42に対応する整列位置が絶対に含まれると考えられる。また、第2の現在信号42の開始位置から、第1の目標信号44と同じ時間長さの信号を第2の目標信号45とすることができる。この2つの目標信号44及び45を処理して、より正確なレイテンシを決定することができる。
【0062】
第1の目標信号44及び第2の目標信号45はいずれも現在信号において決定されるものであるため、その中のデータは元の録音信号と基準信号のうちの一部であり、具体的には、第1の目標信号は録音信号の一部であり、第2の目標信号は基準信号の一部であり、したがって、この2つの目標信号を処理し続けて現在レイテンシを決定することは、元の録音信号、基準信号を処理してレイテンシを決定することに相当し、サンプリングレートが高ければ高いほど、決定された結果は、精度を損なうことなく、より正確になる。
【0063】
ステップ205において、第1の目標信号を第1の現在信号として決定し、第2の目標信号を第2の現在信号として決定する。
【0064】
第1の目標信号を第1の現在信号として決定し、第2の目標信号を第2の現在信号として決定し、ステップ201を実行し続けてもよい。
【0065】
プリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで上記したステップを繰り返す。このような方法により、第1の現在信号と第2の現在信号の長さを徐々に短くすることができ、それによりレイテンシの決定範囲を徐々に狭くすることで、結果がより正確になる。
【0066】
例えば、初期の第1の現在信号は録音信号であり、第2の現在信号は基準信号であり、この2つの信号は比較的長いが、低いサンプリングレートを用いてそれらを処理することで、データ処理量を削減することができる。
【0067】
その後、現在レイテンシを決定し、第1の目標信号と第2の目標信号を取得することができ、この2つの信号の長さは、録音信号と基準信号よりも短いため、より高いレベルのサンプリングレートを用いてそれを処理してもよく、より高い精度を有する他の現在レイテンシを決定して他の第1の目標信号と第2の目標信号を取得する。
【0068】
この2つの信号の長さはこの前の信号よりも短いため、より高いレベルのサンプリングレートを用いてそれを処理し、より高い精度を有する他の現在レイテンシを決定し、他の第1の目標信号と第2の目標信号を取得することができる。以下同様に、このような方法により、処理する必要がある第1の現在信号と第2の現在信号の長さを徐々に短くしながら、決定結果の精度を向上させることができる。
【0069】
ステップ206において、現在サンプリングレートのそれぞれに対応する現在レイテンシに基づいて、録音信号と基準信号との間の目標レイテンシを決定する。
【0070】
ここで、上記したステップを繰り返すことにより、プリセットサンプリングレートのそれぞれを現在サンプリングレートとする場合、対応する現在レイテンシを決定することができる。最後に、毎回決定される最終のレイテンシに基づいて、正確な目標レイテンシを得ることができる。
【0071】
具体的には、これらの現在レイテンシを累積して目標レイテンシを得ることができる。例えば、サイクルプロセスを3回実行し、初めて決定された現在レイテンシが5msであり、2回目に決定されたレイテンシが-1msであり、3回目に決定されたレイテンシが0.5msであると、これら3つの値を加算し、4.5msの目標レイテンシを得ることができる。基準信号が録音信号より4.5ms遅れていると考えられる。
【0072】
録音信号と基準信号の間の目標レイテンシを決定した後、2つの信号に対して整列処理を行い、さらに、録音信号から基準信号を減算し、録音されたクリーンな信号を得てエコーキャンセルという目的を達成する。本実施例にて提供される方法では、レイテンシを決定するプロセスにおいてレイテンシを効率的かつ正確に決定することができるため、さらに録音された音声を効率的かつ正確に処理することができる。
【0073】
本実施例にて提供される方法は、信号間のレイテンシを決定するために用いられ、該方法は、本実施例にて提供される方法が設定されている機器によって実行され、該機器は通常ハードウェア及び/又はソフトウェアで実現される。
【0074】
本実施例にて提供される信号間レイテンシの決定方法は、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定し、現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を処理するステップと、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定するステップと、現在レイテンシに基づいて、第1の現在信号と第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定するステップと、第1の目標信号を第1の現在信号として決定し、第2の目標信号を第2の現在信号として決定するステップと、をプリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで繰り返し、ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号であり、現在サンプリングレートのそれぞれに対応する現在レイテンシに基づいて、録音信号と基準信号との間の目標レイテンシを決定することと、を含む。本出願にて提供される方法では、信号をダウンサンプリングすることにより、レイテンシを決定するための計算量を削減でき、それにより決定効率を向上させる。また、現在決定されるレイテンシにより、2つの信号の整列位置を含む信号セグメントを信号内で推定し、さらに、該信号セグメントに対して上記した処理プロセスを再び行うことで、決定範囲を徐々に狭めることができ、すなわち短い信号を処理することで、正確なレイテンシを取得することができ、それにより決定精度を確保しながら、データ処理量を削減することができる。
【0075】
図5は本出願の他の例示的な実施例に示される信号間レイテンシの決定方法のフローチャートである。
【0076】
図5に示すように、本出願にて提供される信号間レイテンシの決定方法はステップ501~ステップ506を含む。
【0077】
ステップ501において、プリセットサンプリングレートにおいて、現在サンプリングレートとされていない最小のプリセットサンプリングレートを現在サンプリングレートとする。
【0078】
ここで、本出願にて提供される方法は、コンピューティング能力を有する電子機器、例えば、図1に示される電子機器11によって実行されてもよい。
【0079】
具体的には、電子機器11は、オーディオ再生機能と録音機能を備え、例えば、電子機器11にスピーカとマイクロフォンが同時に設けられており、オーディオ再生機能と録音機能をそれぞれ実現するために用いられる。電子機器は、具体的には、携帯電話、テレビ会議又は電話会議を行うために用いられる機器、スマートスピーカーなどの機器であってもよく、本実施例ではこれについて限定されない。
【0080】
さらに、複数のレベルにあるプリセットサンプリングレートを予め設定してもよく、これらのプリセットサンプリングレートの値は同じではなく、例えば、それぞれ「1/2、1/4…1/2」のような一組のプリセットサンプリングレートを設定してもよく、nは、必要に応じて設定されてもよい。
【0081】
実際に適用される時、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートとされていないサンプリングレートを決定し、そして、これらのプリセットサンプリングレートにおいて最小値を現在サンプリングレートとして決定することができる。
【0082】
電子機器は本実施例にて提供される方法を実行する時、プリセットサンプリングレートのそれぞれに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号に対して処理を順次行う。第1の現在信号と第2の現在信号を初めて処理する時に、最小のプリセットサンプリングレートを使用してもよく、第1の現在信号と第2の現在信号を2回目に処理する時に、2番目に小さいプリセットサンプリングレートを使用してもよく、以下同様に、プリセットサンプリングレートのそれぞれを使用して第1の現在信号と第2の現在信号を処理するまでに終わる。
【0083】
例えば、プリセットサンプリングレートには、小さい順にn1、n2、n3である3つの値が含まれると、サイクルプロセスでは、1回目のサイクルで使用されるサンプリングレートはn1であり、2回目のサイクルで使用されるサンプリングレートはn2であり、3回目のサイクルで使用されるサンプリングレートはn3である。それにより、処理プロセス全体において、サンプリングレートを段階的に上げて、さらに決定結果の精度を向上させる。
【0084】
ステップ502において、現在サンプリングレートを用いて第1の現在信号に対してダウンサンプリング処理を行い、現在サンプリングレートを用いて第2の現在信号に対してダウンサンプリング処理を行う。ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号である。
【0085】
ここで、説明の便宜上、本出願の実施例に第1の現在信号と第2の現在信号が定義される。サイクルプロセスでは、第1の現在信号と第2の現在信号を処理対象とする。
【0086】
具体的には、1回目のサイクルでは、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号であり、すなわち、1回目のサイクルでは、実質的な処理対象は録音信号及び基準信号である。
【0087】
さらに、その後のサイクルプロセスでは、第1の現在信号と第2の現在信号は、処理結果に基づいて決定される。
【0088】
実際に適用される時、決定された現在サンプリングレートを用いて第1の現在信号と第2の現在信号に対してダウンサンプリング処理をそれぞれ行い、それにより第1の現在信号と第2の現在信号の長さを短縮し、処理データを小さくし、さらにレイテンシを決定する処理速度を向上させる。
【0089】
例えば、第1の現在信号は、10000個のサンプル点、すなわち10000個のデータを含み、それに対してダウンサンプリング処理を行うことで、ダウンサンプリング後の第1の現在信号が100個のデータのみを含むことになると、この100個のデータを処理することは、10000個のデータを処理する場合に比べて計算量を大幅に削減できる。
【0090】
ステップ503において、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号をフレームごとに比較し、また比較結果に基づいて現在レイテンシを決定する。
【0091】
ここで、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に含まれるデータ量が明らか大幅に削減され、この場合、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号をフレームごとに比較し、また比較結果に基づいて現在レイテンシを決定することができる。該現在レイテンシは現在サンプリングレートに基づいて決定された第1の現在信号と第2の現在信号との間のレイテンシを指す。
【0092】
例えば、初めてサイクルする場合、第1の現在信号が録音信号であり、第2の現在信号が基準信号であり、そのように、最小のプリセットサンプリングレートに基づいて決定された現在レイテンシは、大まかに推定された録音信号と基準信号との間のレイテンシである。
【0093】
本実施例にて提供される方法では、第1の現在信号と第2の現在信号に含まれるデータ量が大きい場合、より低いサンプリングレートを用いてそれを処理し、第1の現在信号と第2の現在信号のデータ量の削減につれて、サンプリングレートが高くなり、このような方法により、データ処理量を削減しながら、決定結果の精度を保証することができる。
【0094】
具体的には、第1の現在信号と第2の現在信号をフレームごとに比較することにより、第1の現在信号においてそれに含まれる第2の現在信号の開始位置を検索し、例えば、第1の現在信号の50ms位置には第2の現在信号の開始内容が含まれる場合、50msを現在レイテンシとしてもよい。
【0095】
さらに、2つの信号のうちいくつかの連続するフレームのデータを比較することにより、両者のレイテンシを推定することができる。
【0096】
選択的に、ステップ503の後に、さらにプリセットサンプリングレートのそれぞれを現在サンプリングレートとして決定して上記したステップを実行するか否かを判断でき、そうであれば、ステップ506を実行し、そうでなければ、ステップ504A又は504Bを実行し続ける。この方式は最後のプリセットサンプリングレートに基づいて現在レイテンシを決定した後、目標レイテンシを直接決定することができ、それにより目標信号を決定するステップを省略し、それによりデータ処理速度をさらに向上させる。
【0097】
ステップ504Aにおいて、現在レイテンシ、現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて第1の現在信号において第1の目標信号を決定し、第2の現在信号において第2の目標信号を決定する。
【0098】
1つの実施形態において、現在サンプリングレートに基づいて対応する現在レイテンシを決定した後、それぞれ第1の現在信号において第1の目標信号を決定し、第2の現在信号において第2の目標信号を決定することができる。
【0099】
ここで、サンプリングレートが異なると、決定されたレイテンシの誤差も異なる。例えば、サンプリングレートが低ければ低いほど、現在信号から収集されたサンプルデータもより少なくなり、決定された現在レイテンシの誤差もより大きくなり、サンプリングレートが高ければ高いほど、現在信号から収集されたサンプルデータもより多くなり、決定された現在レイテンシの誤差もより小さくなる。現在レイテンシ、現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて現在信号においてレイテンシ範囲を決定し、それにより信号の処理範囲を縮小させる。
【0100】
具体的には、プリセットサンプリングレートのそれぞれに対応する誤差、すなわち、各現在サンプリングレートの誤差を設定することができる。第1の目標信号と第2の目標信号を決定する必要がある場合、現在サンプリングレートに対応する誤差を直接読み取ることができる。
【0101】
さらに、現在レイテンシに基づいて第1の現在信号において第1の位置を決定し、第1の位置、現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて第1の目標信号を決定することができる。
【0102】
図6は本出願の例示的な実施例に示される第1の目標信号と第2の目標信号を決定する概略図である。
【0103】
図6に示すように、録音信号において、実際に録音された基準信号の開始位置が録音信号の開始位置より遅れていると仮定する。そのように、現在レイテンシに基づいて、第1の現在信号61において第1の位置62を決定することができる。さらに現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて、該第1の位置62を含む第1の目標信号を決定する。例えば、現在レイテンシが50msである場合、第1の現在信号61の50ms位置を第1の位置62として決定し、例えば、誤差が±2msである場合、48ms~52msの信号を第1の目標信号63とする。
【0104】
このような実施形態では、現在サンプリングレートが誤差値に対応しており、特に現在サンプリングレートが小さい場合には誤差値が大きいため、大まかに推定した現在レイテンシと誤差値に基づいて具体的なレイテンシ範囲を決定することにより、信号処理の範囲を狭めることができる。例えば上記した実施例において、レイテンシが48ms~52msの範囲内であると考えられると、それ以降の処理は、このセグメントの信号のみを処理することができ、さらにデータ処理量を顕著に削減ことができる。
【0105】
また、サンプリングレート対応する誤差に基づいて目標時間長さを決定することができ、第2の現在信号の開始位置から、長さが目標時間長さである信号を第2の目標信号として決定する。
【0106】
続いて図6を参照すると、録音信号において、実際に録音された基準信号の開始位置が録音信号の開始位置より遅れていると仮定する。そのように、サンプリングレートに対応する誤差に基づいて目標時間長さを決定することができ、例えば誤差が±2msである場合、目標時間長さは4msであり、第2の現在信号64のフロントエンドにある4msの信号を第2の目標信号65とすることができる。
【0107】
ここで、録音信号のある位置から基準信号が含まれていると考えられると、録音信号に含まれる基準信号の開始位置を決定すれば、両者のレイテンシを決定することができる。そのため、本出願の実施例では、第1の現在信号において第1の目標信号の範囲を推定し、第2の現在信号の開始信号セグメントを第2の目標信号とし、さらに両者を処理し、それにより第1の目標信号において第2の目標信号の開始位置を決定し、それにより正確な現在レイテンシを決定する。
【0108】
録音信号の開始位置が実際に再生された基準信号の開始位置より遅れていると仮定すると、現在レイテンシに基づいて第2の現在信号において第2の位置を決定することができる。そして、現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて、該第2の位置を含む第2の目標信号を決定する。サンプリングレートに対応する誤差に基づいて目標時間長さを決定することもでき、第1の現在信号のフロントエンドにある目標時間長さの信号セグメントを第1の目標信号とすることができる。
【0109】
ステップ504Bにおいて、現在レイテンシに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号に対して整列処理を行い、現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて、整列された第1の現在信号において第1の目標信号を決定し、整列された第2の現在信号において第2の目標信号を決定する。
【0110】
他の実施形態では、現在レイテンシを決定した後、さらに該現在レイテンシに基づいて第1の現在信号、第2の現在信号に対して整列処理を行うことができる。
【0111】
上記した実施形態と同様に、本実施形態においても、プリセットサンプリングレートに対応する誤差が予め設定されている。
【0112】
信号を整列した後、現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて、整列された第1の現在信号において第1の目標信号を決定し、整列された第2の現在信号において第2の目標信号を決定することができる。
【0113】
図7は本出願の他の例示的な実施例に示される第1の目標信号と第2の目標信号を決定する概略図である。
【0114】
図7に示すように、録音信号において、録音された基準信号の開始位置が録音信号自体の開始位置よりも遅れていると仮定すると、現在レイテンシに基づいて第1の現在信号又は第2の現在信号を調整し、両者を整列させることができる。例えば、現在レイテンシが50msの場合、第2の現在信号の開始位置を第1の現在信号に含まれる第2の現在信号の開始位置と整列するように、第2の現在信号を50msだけ後方に移動できる。あるいは、第2の現在信号の開始位置を第1の現在信号に含まれる第2の現在信号の開始位置と整列するように、第1の現在信号を50msだけ前方に移動できる。
【0115】
図7に示すように、第2の現在信号を後方に移動させると仮定すると、整列された第1の現在信号71と第2の現在信号72を得ることができる。
【0116】
決定された現在レイテンシにはまだ一定の誤差があるため、第1の現在信号の開始データに第2の現在信号の開始データが必ず含まれているとは限らない。誤差に基づいて信号範囲を決定することにより、処理する必要があるデータの長さを短くすることができる。
【0117】
図7に示すように、現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて、整列された第1の現在信号において第1の目標信号73を決定し、整列された第2の現在信号において第2の目標信号74を決定することができる。
【0118】
ここで、整列された第1の現在信号において開始点整列位置75を決定することができ、開始点整列位置、サンプリングレートに対応する誤差に基づいて第1の目標信号73を決定することができる。例えば、現在レイテンシが50msである場合、開始点整列位置75は、第1の現在信号の50msの位置とすることができ、例えば、誤差が±2msである場合、50±2msの信号セグメントを第1の目標信号73とすることができる。
【0119】
具体的には、サンプリングレートに対応する誤差に基づいて目標時間長さを決定することもでき、例えば、誤差が±2msである場合、目標時間長さは4msであり、第2の現在信号の開始位置から、長さが目標時間長さである信号を第2の目標信号74として決定することができる。
【0120】
さらに、決定された目標信号は元の現在信号に比べ、長さが著しく短縮され、かつ目標信号に2つの信号の整列位置が含まれるため、短縮後の目標信号のみに基づいて処理することができ、それにより、より正確なレイテンシを決定でき、かつデータ処理量を削減することができる。
【0121】
ステップ505において、第1の目標信号を第1の現在信号として決定し、第2の目標信号を第2の現在信号として決定する。
【0122】
新たな第1の現在信号と第2の現在信号に基づいてステップ501を実行し続けることができる。
【0123】
選択的に、さらにプリセットサンプリングレートのそれぞれを現在サンプリングレートとするか否かを判断することができ、そうであれば、ステップ506を実行することができ、そうでなければ、ステップ501を実行し続けることができる。
【0124】
本実施例にて提供される方法では、ステップ505の後、或いはステップ503の後にステップ506を実行してもよく、具体的には必要に応じて設定してもよい。
【0125】
ステップ506において、現在サンプリングレートのそれぞれに対応する現在レイテンシに対して累積処理を行い、録音信号と基準信号との間の目標レイテンシを得る。
【0126】
具体的には、上記した実施形態に基づいて、現在サンプリングレートのそれぞれに対して対応する現在レイテンシを決定でき、現在レイテンシを累積して目標レイテンシを得ることができる。
【0127】
さらに、サイクル回数の増加に伴い、処理する必要がある信号の長さが短くなり、サンプリングレートが高くなり、すなわち精度が高くなり、複数回に決定された現在レイテンシを組み合わせることにより、データ処理量を削減しながら、決定結果の精度を保証することができる。
【0128】
目標レイテンシを決定した後、目標レイテンシに基づいて録音信号に対してエコーキャンセル処理を継続することができる。
【0129】
実際に適用される時、選択可能な実施形態において、現在レイテンシを毎回決定した後、さらに現在レイテンシが正確であるか否かを決定することができ、正確であれば、第1の目標信号と第2の目標信号を決定するステップを実行する。不正確であれば、現在レイテンシを決定し続け、それにより決定された現在レイテンシが不正確であるため、決定された目標レイテンシが不正確であるという問題を回避する。
【0130】
ここで、既存の技術的解決手段を採用して、レイテンシが正確であるか否かを具体的に決定することができる。
【0131】
図8は本出願の例示的な実施例に示される信号間レイテンシの決定装置の構成図である。
【0132】
図8に示すように、本出願にて提供される信号間レイテンシの決定装置は、
サイクルモジュール81であって、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定し、現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を処理するステップと、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定するステップと、現在レイテンシに基づいて、第1の現在信号と第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定するステップと、第1の目標信号を第1の現在信号として決定し、第2の目標信号を第2の現在信号として決定するステップと、をプリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで繰り返すために用いられ、ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号であるサイクルモジュール81と、
現在サンプリングレートのそれぞれに対応する現在レイテンシに基づいて、録音信号と基準信号との間の目標レイテンシを決定するために用いられる決定モジュール82と、を含む。
【0133】
本実施例にて提供される信号間レイテンシの決定装置は、
サイクルモジュールであって、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定し、現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を処理するステップと、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定するステップと、現在レイテンシに基づいて、第1の現在信号と第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定するステップと、第1の目標信号を第1の現在信号として決定し、第2の目標信号を第2の現在信号として決定するステップと、をプリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで繰り返すために用いられ、ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号であるサイクルモジュールと、現在サンプリングレートのそれぞれに対応する現在レイテンシに基づいて、録音信号と基準信号との間の目標レイテンシを決定するために用いられる決定モジュールと、を含む。本出願にて提供される装置では、信号をダウンサンプリングすることにより、レイテンシを決定するための計算量を削減でき、それにより決定効率を向上させる。また、現在決定されるレイテンシにより、2つの信号の整列位置を含む信号セグメントを信号内で推定し、さらに、該信号セグメントに対して上記した処理プロセスを再び行うことで、決定範囲を徐々に狭めることができ、すなわち短い信号を処理することで、正確なレイテンシを取得することができ、それにより決定精度を確保しながら、データ処理量を削減することができる。
【0134】
図9は本出願の他の例示的な実施例に示される信号間レイテンシの決定装置の構成図である。
【0135】
図9に示すように、上記した実施例に基づいて、本実施例にて提供される信号間レイテンシの決定装置では、
前記サイクルモジュール81は、前記プリセットサンプリングレートにおいて、前記現在サンプリングレートとされていない最小のプリセットサンプリングレートを前記現在サンプリングレートとするために用いられるサンプリングレート決定ユニット811を含む。
【0136】
選択的に、前記サイクルモジュール81は、
前記現在サンプリングレートを用いて前記第1の現在信号に対してダウンサンプリング処理を行い、
前記現在サンプリングレートを用いて前記第2の現在信号に対してダウンサンプリング処理を行うために用いられるダウンサンプリングユニット812を含む。
【0137】
前記サイクルモジュール81は、
処理後の前記第1の現在信号と処理後の前記第2の現在信号をフレームごとに比較し、また比較結果に基づいて前記現在レイテンシを決定するために用いられる現在レイテンシ決定ユニット813を含む。
【0138】
選択的に、前記サイクルモジュール81はさらに、
前記現在レイテンシが正確である場合、前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定する前記ステップを実行するために用いられる。
【0139】
前記サイクルモジュール81はさらに、
前記現在レイテンシが不正確である場合、処理後の前記第1の現在信号と処理後の前記第2の現在信号をフレームごとに比較し、また比較結果に基づいて前記現在レイテンシを決定する前記ステップを実行し続けるために用いられる。
【0140】
前記サイクルモジュール81は、
前記現在レイテンシ、前記現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて前記第1の現在信号において第1の目標信号を決定し、前記第2の現在信号において第2の目標信号を決定するために用いられる第1の決定ユニット814を含む。
【0141】
選択的に、前記第1の決定ユニット814は具体的には、
前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号において第1の位置を決定し、前記第1の位置、前記現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて第1の目標信号を決定し、
前記サンプリングレートに対応する誤差に基づいて目標時間長さを決定し、前記第2の現在信号の開始位置から、長さが前記目標時間長さである信号を前記第2の目標信号として決定するために用いられる。
【0142】
前記サイクルモジュール81は、
前記現在レイテンシに基づいて前記第1の現在信号と前記第2の現在信号に対して整列処理を行い、
前記現在サンプリングレートに対応する誤差に基づいて、整列された前記第1の現在信号において第1の目標信号を決定し、整列された前記第2の現在信号において第2の目標信号を決定するために用いられる第2の決定ユニット815を含む。
【0143】
選択的に、前記第2の決定ユニット815は具体的には、
整列された前記第1の現在信号において開始点整列位置を決定し、前記開始点整列位置、前記サンプリングレートに対応する誤差に基づいて第1の目標信号を決定し、
前記サンプリングレートに対応する誤差に基づいて目標時間長さを決定し、前記第2の現在信号の開始位置から、長さが前記目標時間長さである信号を前記第2の目標信号として決定するために用いられる。
【0144】
選択的に、前記決定モジュール82は具体的には、
現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに対して累積処理を行い、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを得るために用いられる。
【0145】
前記サイクルモジュール81は、処理後の第1の現在信号と処理後の第2の現在信号に基づいて現在レイテンシを決定した後、さらに、
前記プリセットサンプリングレートのそれぞれを前記現在サンプリングレートとして決定する場合、現在サンプリングレートのそれぞれに対応する前記現在レイテンシに基づいて、前記録音信号と前記基準信号との間の目標レイテンシを決定する前記ステップを実行し、
前記プリセットサンプリングレートのそれぞれを前記現在サンプリングレートとして決定しない場合、前記現在レイテンシに基づいて、前記第1の現在信号と前記第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定する前記ステップを実行するために用いられる。
【0146】
本出願の実施例に基づいて、本出願はさらに電子機器及び可読記憶媒体を提供する。
【0147】
図10に示すように、本開示の実施例の電子機器のブロック図である。電子機器は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ、及び他の適切なコンピュータなどの様々な形態のデジタルコンピュータを表すことが意図される。電子機器は、さらに、パーソナルデジタルプロセシング、携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル機器、及び他の同様のコンピューティング装置など、様々な形態のモバイル装置を表すことができる。本明細書に示された部材、それらの接続及び関係、並びにそれらの機能は、単なる例であり、本明細書に記載及び/又は要求される本出願の実現を限定することを意図していない。
【0148】
図10に示すように、該電子機器は、1つ又は複数のプロセッサ1001と、メモリ1002と、各部材を接続するための、高速インタフェース及び低速インタフェースを含むインタフェースとを含む。各部材は、異なるバスを介して互に接続され、共通のマザーボード上に実装されてもよく、必要に応じて他の形態で実装されてもよい。プロセッサは、外部入力/出力装置(インタフェースに結合された表示機器)上にGUIのグラフィック情報を表示するために、メモリ内又はメモリ上に記憶されている命令を含む、電子機器内で実行される命令を処理することができる。他の実施形態では、必要に応じて、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスを複数のメモリとともに使用してもよい。同様に、複数の電子機器を接続してもよく、各機器により一部の必要な操作(例えば、サーバアレイ、ブレードサーバセット、又はマルチプロセッサシステムなどとする)が提供される。図10では1つのプロセッサ1001を例に挙げる。
【0149】
メモリ1002は、本出願にて提供される非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。ここで、前記メモリには、少なくとも1つのプロセッサに本出願にて提供される信号間レイテンシの決定方法を実行させるために、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されている。本出願の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、本出願にて提供される信号間レイテンシの決定方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令を記憶する。
【0150】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体として、メモリ1002は、本出願の実施例における信号間レイテンシの決定方法に対応するプログラム命令/モジュール(例えば、図8に示されるサイクルモジュール81及び決定モジュール82)などの非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータ実行可能プログラム、及びモジュールを記憶するために用いることができる。プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されている非一時的なソフトウェアプログラム、命令、及びモジュールを実行することにより、様々な機能適用及びデータ処理を実行し、すなわち、上記した方法の実施例における信号間レイテンシの決定方法を実現する。
【0151】
メモリ1002は、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含んでもよく、ここで、プログラム記憶領域は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶することができ、データ記憶領域は、電子機器の使用に応じて作成されたデータなどを記憶することができる。また、メモリ1002は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、さらに、少なくとも1つの磁気ディスクストレージデバイス、フラッシュメモリデバイス、又は他の非一時的なソリッドステートストレージデバイスなどの非一時的なメモリを含んでもよい。いくつかの実施例では、メモリ1002は選択的に、プロセッサ1001に対して遠隔に設置されるメモリを含み、これらの遠隔メモリは、ネットワーク経由で電子機器に接続されることができる。上記したネットワークの例には、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0152】
電子機器は、入力装置1003及び出力装置1004をさらに含んでもよい。プロセッサ1001、メモリ1002、入力装置1003及び出力装置1004は、バス又は他の形態を介して接続されてもよいが、図10ではバスを介して接続されることを例に挙げる。
【0153】
入力装置1003は入力された数字又は文字情報を受信し、電子機器のユーザ設定及び機能制御に関連するキー信号出力を生成することができ、例えばタッチスクリーン、キーパッド、マウス、トラックパッド、タッチパネル、ポインティングスティック、1つ又は複数のマウスボタン、トラックボール、ジョイスティックなどの入力装置である。出力装置1004は、表示機器、補助照明装置(例えば、LED)、触覚フィードバック装置(例えば、振動モータ)などを含んでもよい。該表示機器は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、プラズマディスプレイを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、表示機器はタッチスクリーンであってもよい。
【0154】
ここで説明したシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、特定用途向けASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにおいて実施されることができる。これらの実施形態は、専用又は汎用のプログラマブルプロセッサであり得、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信し、該記憶システム、該少なくとも1つの入力装置、及び該少なくとも1つの出力装置にデータ及び命令を送信することができる少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行及び/又は解釈され得る1つ以上のコンピュータプログラム内で実施されることを含んでもよい。
【0155】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとも呼ばれる)は、プログラマブルプロセッサの機械命令を含み、高度プロセス及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械語でこれらのコンピュータプログラムを実行してもよい。本明細書で使用される用語の「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」は、プログラマブルプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するための任意のコンピュータプログラム製品、機器、及び/又は装置(例えば、磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、プログラマブル論理機器(PLD))を指し、機械可読信号として機械命令を受け取る機械可読媒体を含む。用語の「機械可読信号」は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために用いられる任意の信号を指す。
【0156】
ユーザとの対話機能を提供するために、ここで説明されているシステムと技術は、コンピュータで実行されてもよく、該コンピュータは、ユーザに情報を表示する表示装置(例えばCRT(陰極線管)やLCD(液晶ディスプレイ)モニター)、及びキーボードやポインティング装置(例えばマウスやトラックボール)を有し、ユーザは、該キーボード及び該ポインティング装置を介してコンピュータに入力を行うことができる。他の種類の装置はさらにユーザとの対話機能を提供するために用いることができ、例えば、ユーザに提供するフィードバックは、任意の形態の感知フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよく、任意の形態(声入力、音声入力又は触覚入力を含む)でユーザからの入力を受信することができる。
【0157】
ここで説明するシステムと技術は、バックエンド部材(例えば、データサーバーとして)を含むコンピューティングシステム、又はミドルウェア部材(例えば、アプリケーションサーバー)を含むコンピューティングシステム、又はフロントエンド部材を含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィックユーザインタフェース又はインターネットブラウザを有するユーザコンピュータであり、ユーザが該グラフィックユーザインタフェース又は該インターネットブラウザを介してここで説明するシステムと技術の実施形態と対話できる)、又はこのようなバックエンド部材、ミドルウェア部材、或いはフロントエンド部材の任意の組み合わせを含むコンピューティングシステム内で実施されてもよい。システムの部材は、任意の形式又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によって互に接続されてもよい。通信ネットワークとしては、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットなどが挙げられる。
【0158】
コンピュータシステムは、クライアント及びサーバを含んでもよい。クライアント及びサーバは、一般に、互に離れており、通常、通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互にクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生成される。
【0159】
図11は本出願の第3の例示的な実施例に示される信号間レイテンシの決定方法のフローチャートである。
【0160】
図11に示すように、本出願にて提供される信号間レイテンシの決定方法は、ステップ1101~1103を含む。
ステップ1101において、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定し、現在サンプリングレートに基づいて第1の現在信号と前記第2の現在信号との間の現在レイテンシを決定し、ここで、初期の第1の現在信号は録音信号であり、初期の第2の現在信号は基準信号である。
【0161】
ここで、本出願にて提供される方法は、コンピューティング能力を有する電子機器、例えば、図1に示される電子機器11によって実行されてもよい。
【0162】
具体的には、電子機器11は、オーディオ再生機能と録音機能を備え、例えば、電子機器11にスピーカとマイクロフォンが同時に設けられており、オーディオ再生機能と録音機能をそれぞれ実現するために用いられる。電子機器は、具体的には、携帯電話、テレビ会議又は電話会議を行うために用いられる機器、スマートスピーカーなどの機器であってもよく、本実施例ではこれについて限定されない。
【0163】
さらに、複数のレベルにあるプリセットサンプリングレートを予め設定してもよく、これらのプリセットサンプリングレートの値は同じではない。ここで、プリセットサンプリングレートにおいて現在サンプリングレートを決定するためのルールを予め設定してもよい。例えば、サンプリングレートの最小値を現在サンプリングレートとし、そして大きいサンプリングレートを現在サンプリングレートとする。
【0164】
例えば、ステップ1101を初めて実行する時に、最小のプリセットサンプリングレートを現在サンプリングレートとし、ステップ1101を2回目に実行する時に、2番目に小さいプリセットサンプリングレートを現在サンプリングレートとし、以下同様である。
【0165】
現在サンプリングレートごとに基づいて、現在信号を処理することができ、それにより、信号の長さを短くすることができ、ステップ1102を実行する時に、データ処理量を効果的に削減することができる。
【0166】
実際に適用される時、ステップ1101を初めて実行する時に、第1の現在信号は録音信号であり、第2の現在信号は基準信号である。ステップ1101を再び実行する時に、以下のステップに基づいて第1の現在信号と第2の現在信号を決定する。
【0167】
ステップ1102において、現在レイテンシに基づいて第1の現在信号に対応する新たな第1の現在信号を決定し、第2の現在信号に対応する新たな第2の現在信号を決定する。
【0168】
実際に適用される時、現在レイテンシに基づいて第1の現在信号に対応する新たな第1の現在信号を決定し、第2の現在信号に対応する新たな第2の現在信号を決定するものとしてもよい。
【0169】
ここで、決定された新たな第1の現在信号は、第1の現在信号の一部であり、新たな第2の現在信号は、第2の現在信号の一部である。新たな第1の現在信号及び新たな第2の現在信号において、録音信号と基準信号との整列位置が含まれ、このような方法により、元のデータにおける整列位置を含まない部分を除去することができ、それにより、データ処理量を効果的に削減することができる。
【0170】
一実施形態では、現在レイテンシに基づいて、第1の現在信号と第2の現在信号において第1の目標信号と第2の目標信号をそれぞれ決定し、また第1の目標信号を新たな第1の現在信号とし、第2の目標信号を新たな第2の現在信号とする。そして、ステップ1101を実行し続ける。
【0171】
ステップ1102の後、プリセットサンプリングレートのそれぞれが現在サンプリングレートとして決定されるまで、新たな第1の現在信号、新たな第2の現在信号に基づいてステップ1101を実行し続けることができる。
【0172】
ステップ1103において、現在サンプリングレートのそれぞれに対応する現在レイテンシに基づいて、録音信号と基準信号との間の目標レイテンシを決定する。
【0173】
ここで、上記したステップを繰り返すことにより、プリセットサンプリングレートのそれぞれを現在サンプリングレートとする場合、対応する現在レイテンシを決定することができる。最後に、毎回決定される最終のレイテンシに基づいて、正確な目標レイテンシを得ることができる。
【0174】
具体的には、これらの現在レイテンシを累積して目標レイテンシを得ることができる。例えば、サイクルプロセスを3回実行し、初めて決定された現在レイテンシが5msであり、2回目に決定されたレイテンシが-1msであり、3回目に決定されたレイテンシが0.5msであると、これら3つの値を加算し、4.5msの目標レイテンシを得ることができる。基準信号が録音信号より4.5ms遅れていると考えられる。
【0175】
録音信号と基準信号の間の目標レイテンシを決定した後、2つの信号に対して整列処理を行い、さらに、録音信号から基準信号を減算し、録音されたクリーンな信号を得てエコーキャンセルという目的を達成する。本実施例にて提供される方法では、レイテンシを決定するプロセスにおいてレイテンシを効率的かつ正確に決定することができるため、さらに録音された音声を効率的かつ正確に処理することができる。
【0176】
上記に示された様々な形態のフローを使用して、ステップを並べ替え、追加、又は削除することができることが理解される。例えば、本開示に記載された各ステップは、並列に実行されても、順次実行されても、異なる順序で実行されてもよく、本出願に開示された技術的解決手段の所望の結果を実現できればよく、本明細書はここで限定しない。
【0177】
上記した具体的な実施形態は、本出願の保護範囲を限定するものではない。当業者は、設計要件及び他の要因に応じて、様々な補正、組み合わせ、サブコンビネーション、及び置換を行うことができることを理解すべきである。本出願の趣旨と原則の範囲内で行われた変更、同等の置換、及び改善などは、いずれも本出願の保護範囲に含まれるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11