(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】光学装置、光源装置、集光方法及び内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230412BHJP
A61B 1/07 20060101ALI20230412BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20230412BHJP
【FI】
A61B1/00 553
A61B1/07 731
A61B1/06 611
(21)【出願番号】P 2021536536
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2019029982
(87)【国際公開番号】W WO2021019716
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123962
【氏名又は名称】斎藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】亀江 宏幸
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-138691(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0053691(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 1/07
A61B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、本体部と、を有し、
前記光源部は、
第1照射光を出射する第1光源と、
第2照射光を出射する第2光源と、
前記第1光源及び前記第2光源を制御する光源制御部と、
前記第1照射光と前記第2照射光が入射する集光部と、を有し、
前記本体部は、硬質で管状の挿入部、又は軟質で管状の挿入部を有し、
前記挿入部は、
屈折率が1よりも大きい透明な媒質で形成された導光部材と、
被検体からの戻り光が入射する光学系と、
第1測定光に基づいて、前記被検体の画像情報を出力する第1イメージャと、
第2測定光に基づいて、前記光学系から前記被検体までの距離情報を
Time of Flight方式により測定する第2イメージャと、を有し、
前記第2照射光では、光強度が時間的に変調され、
前記導光部材は、前記集光部側に位置する入射端面と、前記被検体側に位置する射出端面と、を有し、
前記集光部から射出された第3照射光は、前記挿入部から前記被検体に向けて射出され、
前記第1測定光には、前記第1照射光の波長帯域の一部と同じ波長帯域の光が含まれ、
前記第2測定光には、前記第2照射光の波長帯域と同じ波長帯域の光が含まれ、
前記第2照射光が入射する入射端面における前記第2照射光の入射角は、前記第1照射光が入射する入射端面における前記第1照射光の入射角よりも小さいことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記第2照射光は、赤外波長域よりも短波長側の波長帯域の光であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記第2照射光は、460nm以上、510nm以下の波長帯域を含むことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記第2照射光は、460nm以上、510nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記第2照射光の波長帯域は、ヘモグロビンでの吸収の大きい波長帯域を含むことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項6】
前記第2照射光は、紫外光であることを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項7】
前記第2照射光の入射角は、5.7°以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項8】
前記第1光源の点灯と前記第2光源の点灯を交互に行うことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項9】
前記挿入部は、1つの入射端面を有し、
前記1つの入射端面は、第1入射領域と、第2入射領域と、を有し、
前記第1入射領域に、前記第1照射光が入射し、前記第2入射領域に、前記第2照射光が入射することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項10】
前記挿入部は、複数の入射端面を有し、
前記複数の入射端面は、空間的に分離されおり、
前記第1照射光が入射する入射端面と前記第2照射光が入射する入射端面は異なることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項11】
前記第2光源は、前記本体部に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の光学装置。
【請求項12】
前記第2照射光が入射する入射端面における前記第2照射光の入射角は、9.9°以下であることを特徴とする請求項11に記載の光学装置。
【請求項13】
前記第2照射光が入射する第2入射端面の面積は、
前記第1照射光が入射する第1入射端面の面積よりも小さいことを特徴とする請求項11に記載の光学装置。
【請求項14】
前記挿入部は、複数の射出端面を有し、
前記第2照射光は、予め決められた実質的に1つの射出端面だけから射出されることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項15】
前記挿入部は、複数の射出端面を有し、
2つ以上の射出端面から、前記第2照射光が射出され、前記第2照射光は同時刻には1つの射出端面のみから射出されることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項16】
前記2つ以上の射出端面は、第1射出端面と、第2射出端面と、を有し、
前記第1射出端面と前記第2射出端面では、前記第1射出端面からの前記第2照射光の射出と、前記第2射出端面からの前記第2照射光の射出と、が交互に行われることを特徴とする請求項15に記載の光学装置。
【請求項17】
前記第1照射光でも、光強度が時間的に変調され、
前記第1照射光における変調と前記第2照射光における変調とが同じであることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項18】
前記画像情報の取得と前記距離情報の取得が、交互に行われることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項19】
請求項1に記載の光学装置と、処理装置と、を有し、
前記処理装置は、支援情報を生成する支援情報生成部を有し、
前記支援情報は、前記画像情報と前記距離情報に基づいて生成され、
前記支援情報には、病変候補領域の位置に関する情報と形状に関する情報と、それに基づいて距離情報により計算した必要な点間の長さが含まれていることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項20】
請求項1に記載の光学装置と、処理装置と、を有し、
前記画像情報に基づいて、前記被検体の観察用画像が生成され、
前記観察用画像の画素における距離、又は距離と傾きを、前記距離情報に基づいて補完及び推定し、
前記推定した結果から、長さ情報を取得することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項21】
病変候補領域の特定、病変部の特定、前記特定後の修正、病変部の抽出、又は病変部の診断を人工知能で行うことを特徴とする請求項19又は20に記載の内視鏡システム。
【請求項22】
第1イメージャによって被検体の画像情報を取得するための第1照射光を出射する第1光源と、
Time of Flight方式の第2イメージャによって光学系から前記被検体までの距離情報を取得するための第2照射光を出射する第2光源と、
前記第1照射光と前記第2照射光が入射し、導光部材の入射端面に光を集光する集光部と、
前記第1光源及び前記第2光源を制御する光源制御部と、を有し、
前記第2照射光が入射する入射端面における前記第2照射光の入射角は、前記第1照射光が入射する入射端面における前記第1照射光の入射角よりも小さいことを特徴とする光源装置。
【請求項23】
前記第2照射光が入射する入射端面における前記第2照射光の入射角は、5.7°以下であることを特徴とする請求項22に記載の光源装置。
【請求項24】
前記第2照射光が入射する入射端面における前記第2照射光の入射角は、9.9°以下であることを特徴とする請求項22に記載の光源装置。
【請求項25】
前記第2照射光が入射する第2入射端面の面積は、
前記第1照射光が入射する第1入射端面の面積よりも小さいことを特徴とする請求項24に記載の光源装置。
【請求項26】
前記第2照射光の波長帯域は、ヘモグロビンでの吸収の大きい波長帯域を含むことを特徴とする請求項22に記載の光源装置。
【請求項27】
前記画像情報の取得と前記距離情報の取得が、交互に行われることを特徴とする請求項22に記載の光源装置。
【請求項28】
請求項22に記載の光源装置と、処理装置と、を有し、
前記処理装置は、支援情報を生成する支援情報生成部を有し、
前記支援情報は、前記画像情報と前記距離情報に基づいて生成され、
前記支援情報には、病変候補領域の位置に関する情報と形状に関する情報と、それに基づいて距離情報により計算した必要な点間の長さが含まれていることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項29】
請求項22に記載の光源装置と、処理装置と、を有し、
前記画像情報に基づいて、前記被検体の観察用画像が生成され、
前記観察用画像の画素における距離、又は距離と傾きを、前記距離情報に基づいて補完及び推定し、
前記推定した結果から、長さ情報を取得することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項30】
導光部材の入射端面に光を集光する方法であって、
第1光源が、
第1イメージャによって被検体の画像情報を取得するための第1照射光を出射し、
第2光源が、
Time of Flight方式の第2イメージャによって光学系から前記被検体までの距離情報を取得するための第2照射光を出射し、
集光部が、入射した前記第1照射光と前記第2照射光を、前記導光部材の入射端面に光を集光し、
前記第2照射光が入射する入射端面における前記第2照射光の入射角は、前記第1照射光が入射する入射端面における前記第1照射光の入射角よりも小さいことを特徴とする集光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、光源装置、集光方法及び内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
胃の内視鏡検査では、胃の内部の画像が取得される。腸の内視鏡検査では、腸の内部の画像が取得される。取得した画像から、腫瘍等の病変を発見することができる。
【0003】
病変が発見されると、その病変に対する治療方針を決めることになる。治療方針の決定では、病変部のサイズが関わってくる。そのため、病変部のサイズを正確に把握することが重要になる。
【0004】
病変部のサイズを正確に把握するためには、内視鏡から病変部までの距離を正確に測定することが必要になる。距離の測定では、例えば、視差を利用することができる。しかしながら、視差を利用する測定では、内視鏡から病変部までの距離が長くなるにつれて、視差が小さくなる。視差が小さくなると、測定精度が低下する。そのため、内視鏡から病変部までの距離が長い場合、内視鏡から病変部までの距離を正確に測定することが困難になる。
【0005】
別の測定方法として、Time of Flight方式(以下、「TOF方式」という)による測定方法が、特許文献1に開示されている。TOF方式では、光強度が時間的に変調された光と、TOFイメージャと、が用いられる。
【0006】
図26は、TOF方式の測定原理を示す図である。
図26(a)は白色光源における光強度を示す図、
図26(b)はTOF用光源における光強度を示す図、
図26(c)は測定の様子を示す図である。
【0007】
内視鏡では、対象物の照明に、白色光源が用いられる。白色光源としては、例えば、白色LED、白色LD、ハロゲンランプ、又はキセノンランプが用いられる。白色LEDでは、複数のLEDが用いられるか、又は、LEDと蛍光体が用いられる。白色LDでは、複数のLDが用いられるか、又は、LDと蛍光体が用いられる。
【0008】
白色光源からは、
図26(a)に示すように、波長帯域ΔλL
wの照明光L
wが射出される。波長帯域ΔλL
wには、可視域の波長が含まれている。光学フィルタを用いることで、波長帯域ΔλL
wよりも狭い波長帯域の光を、白色光源から取り出すことができる。狭い波長帯域の光は、例えば、NBI(Narrow Band Imaging)に用いることができる。
【0009】
また、照明光L
wでは、
図26(a)に示すように、光強度IL
wは時間の経過と共に変化しない。すなわち、光強度が時間的に変調されていない光が、照明光L
wに用いられる。ただし、光強度が時間的に変調されている光(以下、「連続パルス光」という)を、照明光L
wに用いても良い。
【0010】
連続パルス光では、時間の経過に伴って、光強度が周期的に変化している。連続パルス光として、矩形パルス光、又は正弦波パルス光を用いることができる。矩形パルス光は、光強度の変化が矩形波で表される連続パルス光である。正弦波パルス光は、光強度の変化が正弦波で表される連続パルス光である。
【0011】
光強度の変調では、点灯と消灯が繰り返される。白色光源では、例えば、繰り返しの周期は1μs以上である。繰り返しの周波数は、1MHz以下である。光強度の変調には、パルス幅変調が用いられることが多い。パルス幅変調では、点灯時のパルス幅を変えることで、光強度を変化させることができる。
【0012】
TOF用光源では、
図26(b)に示すように、波長帯域ΔλL
TOFの照明光L
TOFが射出される。波長帯域ΔλL
TOFは、通常近赤外域にある。波長帯域ΔλL
TOFの帯域幅は、波長帯域ΔλL
wの帯域幅と比べて狭い。
【0013】
近赤外域が選ばれるのは、人間の目に見えない(測定していることがわからない)、光源が比較的、安価、通常のシリコン系イメージャが利用可能、等の理由による。
【0014】
また、照明光L
TOFでは、光強度IL
TOFは、
図26(b)に示すように、時間の経過と共に変化する。例えば、照明光L
TOFでは、10MHz~100MHzの周波数で、光強度が時間的に変調されている。
【0015】
TOF方式の測定では、連続パルス光が照明光として用いられる。連続パルス光として、矩形パルス光、又は正弦波パルス光を用いることができる。
【0016】
連続パルス光が矩形パルス光の場合、1つのパルス光の光強度の分布形状(以下、「パルス形状」という)は矩形である。以下では、パルス形状が矩形であるという前提で測定原理を説明する。
【0017】
TOF方式の測定では、光源から対象物までの間の光と、対象物から光検出器までの間の光と、が比較される。光源と対象物との間には、通常、光学素子、例えば、レンズが配置されている。また、対象物と光検出器との間にも、光学素子が配置されている。
【0018】
光路中に光学素子が配置されていると、光学素子を通過した光は光学素子の影響を受ける。ただし、光学素子の影響を説明しなくても、測定原理は説明できる。よって、光学素子が配置されていない状態で、測定原理を説明する。
【0019】
図26(c)に示すように、照明光L
ILLで対象物が照明される。対象物からは、戻り光L
Rが射出される。戻り光L
Rは、対象物で反射された光、又は対象物で散乱された光である。戻り光L
Rは、TOFイメージャ(不図示)によって検出される。
【0020】
照明光LILLはパルス光なので、戻り光LRもパルス光である。光源から射出されたパルス光は、対象物で反射され、TOFイメージャによって検出される。よって、1つのパルス光に着目すると、光源からパルス光が射出された時刻とTOFイメージャにパルス光が到達した時刻との間に差が生じる。
【0021】
図27は、TOF方式の測定原理を示す図である。
図27(a)は対象物までの距離が短い場合を示す図、
図27(b)は対象物までの距離が長い場合を示す図である。
【0022】
TOFイメージャでは、2つ以上のゲート信号が用いられる。
図27では、ゲート信号として、第1の信号GATE1と、第2の信号GATE2と、が用いられている。TOFイメージャでは、第1の信号GATE1がHighの時、第1の蓄積部に電荷が蓄積される。また、第1の信号GATE1と同様に、第2の信号GATE2がHighの時、第2の蓄積部に電荷が蓄積される。
【0023】
照明光LILLと戻り光LRは、共に、パルス光である。照明光LILLにおけるパルス形状と、戻り光LRおけるパルス形状は、共に、矩形である。そこで、パルス形状の立ち上がりの部分で、照明光LILLと戻り光LRを比較する。
【0024】
対象物までの距離が短い場合、
図27(a)に示すように、照明光L
ILLと戻り光L
Rとの間で、差Δtnが生じる。この場合、第1の信号GATE1がHighの間では、時間t1nで第1の蓄積部に電荷が蓄積される。蓄積された電荷から、信号I1nが得られる。第2の信号GATE2がHighの間では、時間t2nで第2の蓄積部に電荷が蓄積される。蓄積された電荷から、信号I2nが得られる。
【0025】
対象物までの距離が長い場合、
図27(b)に示すように、照明光L
ILLと戻り光L
Rとの間で、差Δtfが生じる。この場合、第1の信号GATE1がHighの間では、時間t1fで第1の蓄積部に電荷が蓄積される。蓄積された電荷から、信号I1fが得られる。第2の信号GATE2がHighの間では、時間t2fで第2の蓄積部に電荷が蓄積される。蓄積された電荷から、信号I2fが得られる。
【0026】
時間と信号の関係は、以下のようになる。
対象物までの距離が短い場合:t2n<t1n、I2n<I1n
対象物までの距離が長い場合:t1f<t2f、I1f<I2f
【0027】
このように、対象物までの距離が変化すると、第1の信号GATE1がHighのときに得られる信号と第2の信号GATE2がHighのときに得られる信号との比が変化する。よって、2つの信号から、対象物までの距離を測定することができる。
【0028】
TOFイメージャは、複数の受光部を有する。各受光部で、対象物までの距離を測定することができる。よって、対象物のサイズを把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
TOF方式では、距離の測定に、矩形パルス光又は正弦波パルス光が用いられる。戻り光LRにおけるパルス形状が照明光LILLにおけるパルス形状と異なると、矩形パルス光が用いられる場合であっても、正弦波パルス光が用いられる場合であっても、精度の良い測定が困難になる。
【0031】
図26(c)に示すように、光源から射出された照明光L
ILLは、戻り光L
RとなってTOFイメージャに到達する。ただし、上述のように、通常、光源と対象物との間、及び対象物と光検出器との間には、光学素子が配置されている。
【0032】
そのため、矩形パルス光が用いられる場合であっても、正弦波パルス光が用いられる場合であっても、パルス形状は、光学素子の影響を受けて変化する。また、パルス形状は、対象物の影響を受けて変化する。パルス形状の変化は、距離情報に誤差情報が加わることを意味している。
【0033】
光学系に入射した正弦波パルス光は、光学系から射出される。このとき、場合によっては、入射した正弦波パルス光よりも位相の遅れた正弦波パルス光が、光学系から射出される。位相の遅れは、光学系で時間遅れを伴ったパルス光が重ね合わせられることで生じる。位相の遅れによって、結果的に距離情報に誤差情報が加わることもある。よって、この位相の遅れも、パルス形状の変化に含める。
【0034】
特許文献1では、光学部材の影響によるパルス形状の変化や、対象物の影響によるパルス形状の変化については、考慮されていない。そのため、場合によっては、距離情報に大きな誤差情報が加わってしまう。その結果、対象物のサイズを正確に把握することが困難になる。
【0035】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、距離情報に含まれる誤差情報が低減されている光学装置、光源装置、集光方法及び内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る光学装置は、
光源部と、本体部と、を有し、
光源部は、
第1照射光を出射する第1光源と、
第2照射光を出射する第2光源と、
第1光源及び第2光源を制御する光源制御部と、
第1照射光と第2照射光が入射する集光部と、を有し、
本体部は、硬質で管状の挿入部、又は軟質で管状の挿入部を有し、
挿入部は、
屈折率が1よりも大きい透明な媒質で形成された導光部材と、
被検体からの戻り光が入射する光学系と、
第1測定光に基づいて、被検体の画像情報を出力する第1イメージャと、
第2測定光に基づいて、光学系から被検体までの距離情報をTime of Flight方式により測定する第2イメージャと、を有し、
第2照射光では、光強度が時間的に変調され、
導光部材は、集光部側に位置する入射端面と、被検体側に位置する射出端面と、を有し、
集光部から射出された第3照射光は、挿入部から被検体に向けて射出され、
第1測定光には、第1照射光の波長帯域の一部と同じ波長帯域の光が含まれ、
第2測定光には、第2照射光の波長帯域と同じ波長帯域の光が含まれ、
第2照射光が入射する入射端面における第2照射光の入射角は、第1照射光が入射する入射端面における第1照射光の入射角よりも小さいことを特徴とする。
【0037】
また、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡システムは、
上述の光学装置と、処理装置と、を有し、
処理装置は、支援情報を生成する支援情報生成部を有し、
支援情報は、画像情報と距離情報に基づいて生成され、
支援情報には、病変候補領域の位置に関する情報と形状に関する情報と、それに基づいて距離情報により計算した必要な点間の長さが含まれていることを特徴とする。
また、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡システムは、
上述の光学装置と、処理装置と、を有し、
画像情報に基づいて、被検体の観察用画像が生成され、
観察用画像の画素における距離、又は距離と傾きを、距離情報に基づいて補完及び推定し、
推定した結果から、長さ情報を取得することを特徴とする。
また、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る光源装置は、
第1イメージャによって被検体の画像情報を取得するための第1照射光を出射する第1光源と、
光学系から被検体までの距離情報を取得するための第2照射光を出射する第2光源と、
第1照射光と第2照射光が入射し、導光部材の入射端面に光を集光する集光部と、
第1光源及び第2光源を制御する光源制御部と、を有し、
第2照射光が入射する入射端面における第2照射光の入射角は、第1照射光が入射する入射端面における第1照射光の入射角よりも小さいことを特徴とする。
また、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡システムは、
上述の光源装置と、処理装置と、を有し、
処理装置は、支援情報を生成する支援情報生成部を有し、
支援情報は、画像情報と距離情報に基づいて生成され、
支援情報には、病変候補領域の位置に関する情報と形状に関する情報と、それに基づいて距離情報により計算した必要な点間の長さが含まれていることを特徴とする。
また、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡システムは、
上述の光源装置と、処理装置と、を有し、
画像情報に基づいて、被検体の観察用画像が生成され、
観察用画像の画素における距離、又は距離と傾きを、距離情報に基づいて補完及び推定し、
推定した結果から、長さ情報を取得することを特徴とする。
また、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る集光方法は、
導光部材の入射端面に光を集光する方法であって、
第1光源が、第1イメージャによって被検体の画像情報を取得するための第1照射光を出射し、
第2光源が、Time of Flight方式の第2イメージャによって光学系から被検体までの距離情報を取得するための第2照射光を出射し、
集光部が、入射した第1照射光と第2照射光を、導光部材の入射端面に光を集光し、
第2照射光が入射する入射端面における第2照射光の入射角は、第1照射光が入射する入射端面における第1照射光の入射角よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、距離情報に含まれる誤差情報が低減されている光学装置、光源装置、集光方法及び内視鏡システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図8】第1照射光の波長帯域と第2照射光の波長帯域を示す図である。
【
図11】第1照射光の波長帯域と第2照射光の波長帯域を示す図である。
【
図19】射出端面の第1例と射出領域を示す図である。
【
図23】本実施形態の光学装置と入射領域を示す図である。
【
図25】本実施形態の内視鏡システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
実施例の説明に先立ち、本発明のある態様にかかる実施形態の作用効果を説明する。なお、本実施形態の作用効果を具体的に説明するに際しては、具体的な例を示して説明することになる。しかし、後述する実施例の場合と同様に、それらの例示される態様はあくまでも本発明に含まれる態様のうちの一部に過ぎず、その態様には数多くのバリエーションが存在する。したがって、本発明は例示される態様に限定されるものではない。
【0041】
(本実施形態の光学装置1)
本実施形態の光学装置は、光源部と、本体部と、を有し、光源部は、第1照射光を出射する第1光源と、第2照射光を出射する第2光源と、第1光源及び第2光源を制御する光源制御部と、第1照射光と第2照射光が入射する集光部と、を有し、本体部は、硬質で管状の挿入部、又は軟質で管状の挿入部を有し、挿入部は、屈折率が1よりも大きい透明な媒質で形成された導光部材と、被検体からの戻り光が入射する光学系と、第1測定光に基づいて、被検体の画像情報を出力する第1イメージャと、第2測定光に基づいて、光学系から被検体までの距離情報を出力する第2イメージャと、を有し、第2照射光では、光強度が時間的に変調され、導光部材は、集光部側に位置する入射端面と、被検体側に位置する射出端面と、を有し、集光部から射出された第3照射光は、挿入部から被検体に向けて射出され、第1測定光には、第1照射光の波長帯域の一部と同じ波長帯域の光が含まれ、第2測定光には、第2照射光の波長帯域と同じ波長帯域の光が含まれ、距離情報に含まれる誤差情報が低減されていることを特徴とする。
【0042】
(光学装置1:第1例)
図1は、光学装置を示す図である。
図1(a)は、光学装置の全体を示す図である。
図1(b)は、光学装置の先端を示す図である。
【0043】
図1(a)に示すように、光学装置1は、光源部2と、本体部3と、を有する。光学装置1では、光源部2は、本体部3から離れた場所に配置されている。
【0044】
光源部2は、第1光源4と、第2光源5と、光源制御部6と、集光部7と、を有する。第1光源4から、第1照射光が射出される。第2光源5から、第2照射光が射出される。
【0045】
光源制御部6は、第1光源4と第2光源5を制御する。光源制御部6では、例えば、第1光源4の点灯と消灯、第2光源5の点灯と消灯、第1照射光の光強度の調整、又は第2照射光の光強度の調整が行われる。
【0046】
集光部7には、第1照射光と第2照射光が入射する。集光部7の具体的な構成は、後述する。集光部7から、第3照射光が射出される。第3照射光には、第1照射光の波長帯域の一部と同じ波長帯域を有する光と第2照射光が含まれるか、又は、第1照射光と第2照射光が含まれる。
【0047】
本体部3は、挿入部8を有する。挿入部8は、硬質で管状の部材、又は軟質で管状の部材で形成されている。挿入部8は、導光部材9と、光学系11と、光学フィルタ12と、第1イメージャ13と、第2イメージャ14と、を有する。挿入部8は、更に、レンズ10を備えていても良い。
【0048】
挿入部8は、同軸光学系を有する。同軸光学系では、光学系11から光学フィルタ12までの間に、1つの光路が形成されている。光学フィルタ12によって、2つの光路が形成されている。一方の光路に第1イメージャ13が配置され、他方の光路に第2イメージャ14が配置されている。
【0049】
光学フィルタ12には、例えば、ダイクロイックミラー、又はハーフミラーを用いることができる。第1イメージャ13には、例えば、CCD、又はCMOSを用いることができる。第2イメージャ14には、TOFイメージャが用いられる。
【0050】
導光部材9は、屈折率が1よりも大きい透明な媒質で形成されている。導光部材9として、単ファイバ、又はファイババンドルを用いることができる。導光部材9の代わりに、リレー光学系を用いることができる。
【0051】
後述のように、導光部材9には、第3照射光が入射する。第3照射光は、導光部材9の内部を伝搬し、導光部材9から射出される。その結果、挿入部8から、第3照射光が射出される。第3照射光は、被検体15に照射される。これにより、被検体15が照明される。
【0052】
光学系11には、被検体からの戻り光が入射する。戻り光には、光学系11に向かう反射光と、光学系11に向かう散乱光と、が含まれている。戻り光については、後述する。
【0053】
光学系11に入射した戻り光は、光学フィルタ12に到達する。戻り光は、光学フィルタ12で、透過光と反射光とに分かれる。透過光は第1測定光で、反射光は第2測定光である。
【0054】
第1測定光は、第1イメージャ13に入射する。第1測定光に基づいて、第1イメージャ13から、被検体の画像情報が出力される。第2測定光は、第2イメージャ14に入射する。第2測定光に基づいて、第2イメージャ14から、光学系から被検体までの距離情報が出力される。
【0055】
第1測定光と第2測定光は、第3照射光が被検体から戻ってきたときの光に含まれている。第1測定光の波長帯域と第2測定光の波長帯域は、各々、第3照射光の波長帯域の一部を含んでいる。
【0056】
第1光源4は、画像取得用光源である。画像取得では、被検体15の明るさ情報を取得できると良い。例えば、白色光照明で画像を取得すること、又はNBIによって画像を取得することで、明るさ情報が得られる。以下、白色光照明で画像を取得する場合について説明する。
【0057】
第1照射光は、白色光にすることができる。第1光源4には、例えば、白色LED、白色LD、ハロゲンランプ、又はキセノンランプを用いることができる。白色光には、スペクトルが連続している光と、スペクトルが連続していない光と、が含まれる。
【0058】
スペクトルが連続していない光では、光強度が実質的にゼロになる波長が複数含まれている。スペクトルが連続していない光における波長帯域は、光強度が実質的にゼロになる波長のうち、最も短い波長と最も長い波長で決まる。
【0059】
第2光源5は、TOF用光源である。よって、第2照射光は、単色光、又は準単色光(以下、「狭帯域光」という)である。第2光源5には、例えば、LD、又はLEDが用いられる。
【0060】
第1照射光は白色光であるので、第1照射光の波長帯域は、第2照射光の波長帯域よりも広い。また、第1照射光には、光強度が時間的に変調されていない光、又は連続パルス光が用いられる。一方、第2照射光には、連続パルス光が用いられる。
【0061】
導光部材9は、集光部7側に位置する入射端面9aと、被検体15側に位置する射出端面9bと、を有する。
【0062】
入射端面9aは、集光部7と対向している。上述のように、集光部7から、第3照射光が射出される。よって、入射端面9aに、第3照射光が入射する。導光部材9に入射した第3照射光は、導光部材9の内部を伝搬し、射出端面9bに到達する。
【0063】
射出端面9bから、第3照射光が射出される。射出端面9b側には、レンズ10が配置されている。レンズ10は、被検体15と対向している。よって、第3照射光は、レンズ10を介して、被検体15に照射される。その結果、第3照射光で、被検体15が照明される。
【0064】
戻り光について説明する。照明光が被検体15に照射されると、被検体15の表面付近で反射される光と、被検体15の内部に到達する光と、が生じる。被検体15の内部に到達した光は、被検体の内部で散乱される。散乱された一部の光は被検体15から射出し、反射光と一緒に光学系11に入射する。よって、戻り光には、反射光と散乱光が含まれる。
【0065】
図1(b)に示すように、被検体15は照明光L
ILLで照明される。照明光L
ILLには、第1照射光と第2照射光が含まれている。
【0066】
被検体15が生体組織の場合、被検体15では、反射光LREFと散乱光LDIFが生じる。反射光LREFは、被検体15で照明光LILLが反射されたときの光である。散乱光LDIFは、被検体15で照明光LILLが散乱されたときの光である。
【0067】
レンズ10と光学系11は、並んで配置されている。この場合、照明光LILLは、被写体15に対して斜めから照射される。すなわち、照明光LILLは、光学系11の視野の外側から視野の内側に向かって進行する。
【0068】
照明光LILLには、様々な角度の光線が含まれている。反射光LREFのうち、ほとんどの反射光は光学系11の視野の外側に向かい、残りの反射光は光学系11に向かう。一方、散乱光は、あらゆる方向に向かう。散乱光L
DIFのうち、一部の散乱光は光学系11に向かう。
【0069】
光学系11には、被検体15からの戻り光LRが入射する。戻り光LRは、光学系11に向かう反射光LREFと、光学系11に向かう散乱光L
DIFを含んでいる。戻り光LRは、光学フィルタ12で、透過光と反射光とに分かれる。透過光は第1測定光で、反射光は第2測定光である。
【0070】
透過光と反射光は、共に、反射光LREFと散乱光L
DIFを含んでいる。よって、第1測定光と第2測定光は、共に、反射光LREFと散乱光L
DIFを含んでいる。
【0071】
第1測定光には、重複波長帯域の光が含まれている。重複波長帯域は、第1照射光の波長帯域と同じ波長帯域である。
【0072】
重複波長帯域が、第1照射光の波長帯域の一部と一致する場合、第1測定光の波長帯域は、第1照射光の波長帯域と異なる。重複波長帯域が、第1照射光の波長帯域の全部と一致する場合、第1測定光の波長帯域は、第1照射光の波長帯域と同じになる。
【0073】
重複波長帯域が第1照射光の波長帯域の一部と一致する場合、第1測定光の波長帯域は、第1照射光の波長帯域から特定の波長帯域が欠落している波長帯域と同じになる。欠落している特定の波長帯域が狭ければ、第1測定光の波長帯域は、第1照射光の波長帯域と同じと見なすことができる。
【0074】
上述のように、第1照射光は白色光である。第1測定光の波長帯域が第1照射光の波長帯域と同じ場合、第1測定光は白色光である。第1測定光の波長帯域が第1照射光の波長帯域と異なる場合、欠落している特定の波長帯域を狭くすることで、第1測定光は白色光とみなすことができる。
【0075】
第1イメージャ13には、白色光で照明された被検体の光学像が形成される。よって、第1イメージャ13からは、白色光で照明したときの画像情報が出力される。
【0076】
第2測定光の波長帯域には、第2照射光の波長帯域と同じ波長帯域の光が含まれている。よって、第2測定光の波長帯域は、第2照射光の波長帯域と異なるか、又は第2照射光の波長帯域と同じになる。
【0077】
上述のように、第2照射光は狭帯域光である。第2測定光の波長帯域が第2照射光の波長帯域と同じ場合、第2測定光は狭帯域光である。第2測定光の波長帯域が第2照射光の波長帯域と異なる場合、第2照射光以外の光を除去することで、第2測定光を狭帯域光にすることができる。
【0078】
第2イメージャ14には、狭帯域光で照明された被検体の光学像が形成される。更に、第2測定光には、光強度が時間的に変調された光が含まれている。よって、第2イメージャ14からは、光学系11から被検体までの距離情報が出力される。
【0079】
(光学装置1:第2例)
図2は、光学装置を示す図である。
図1と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0080】
光学装置20は、光源部2と、本体部3と、を有する。光学装置20では、光源部2は、本体部3の内部に配置されている。挿入部8は、導光部材21を有する。導光部材21は、集光部7側に位置する入射端面21aと、被検体側に位置する射出端面21bと、を有する。
【0081】
挿入部8は、並列光学系を有する。並列光学系は、第1光学系22と、第2光学系23と、を有する。第1光学系22と、第2光学系23は、並んで配置されている。第1光学系22と第2光学系23とで、2つの光路が形成されている。第1光学系22の光路に第1イメージャ13が配置され、第2光学系23の光路に第2イメージャ14が配置されている。
【0082】
並列光学系では、2つの光学系が並んでいる。そのため、同軸光学系に比べると、1つの光学系におけるレンズの外径が小さくなる。その結果、並列光学系では、同軸光学系に比べると、光学系の分解能が低下する。また、並列光学系では、同軸光学系に比べると、1つの光学系に入射する光束の大きさが小さくなる。
【0083】
図1と
図2は、光学装置の概略図である。よって、
図1と
図2では、1つの導光部材、1つの入射端面、及び1つの射出端面が図示されている。
【0084】
しかしながら、導光部材の数は、1つに限られない。光学装置は、複数の導光部材を有していても良い。また、入射端面の数は、1つに限られない。光学装置は複数の入射端面を有していても良い。射出端面の数は、1つに限られない。光学装置は、複数の射出端面を有していても良い。
【0085】
光源部について説明する。
図3は、光源部を示す図である。
図3(a)は、光源部の第1例を示す図である。
図3(b)は、光源部の第2例を示す図である。
【0086】
(光源部:第1例)
光源部30は、同軸入射タイプの光源部である。
図3(a)に示すように、光源部30は、第1光源31と、第2光源32と、レンズ33と、レンズ34と、ダイクロイックミラー35と、導光部材36と、を有する。導光部材36は、入射端面36aを有する。光源
部30では、1つの導光部材が用いられている。
【0087】
光源部30では、2つの照明光路が形成されている。2つの照明光路のうち、一方の照明光路に第1光源31とレンズ33が配置され、他方の照明光路に、第2光源32とレンズ34が配置されている。ダイクロイックミラー35は、2つの照明光路が交差する位置に配置されている。
【0088】
第1光源31から、第1照射光LWが射出される。第1照射光LWは、白色光である。第1照射光LWは、レンズ33を通過して、ダイクロイックミラー35に入射する。第2光源32から、第2照射光LTOFが射出される。第2照射光LTOFは、狭帯域光である。第2照射光LTOFは、レンズ34を通過して、ダイクロイックミラー35に入射する。
【0089】
第1照射光LWは、ダイクロイックミラー35で反射される。第2照射光LTOFは、ダイクロイックミラー35を透過する。その結果、第3照射光は、同一の照明光路を進行し、入射端面36aから導光部材36に入射する。
【0090】
(光源部:第2例)
光源部37は、並列入射タイプの光源部である。
図3(b)に示すように、光源部37は、第1光源31と、第2光源32と、レンズ33と、レンズ34と、導光部材38と、導光部材39と、を有する。
【0091】
光源部37では、2つの導光部材が用いられている。導光部材38は、入射端面38aを有する。導光部材39は、入射端面39aを有する。
【0092】
第1光源31から、第1照射光LWが射出される。第1照射光LWは、白色光である。第1照射光LWはレンズ33を通過して、入射端面38aから導光部材38に入射する。
【0093】
第2光源32から、第2照射光LTOFが射出される。第2照射光LTOFは、狭帯域光である。第2照射光LTOFは、レンズ34を通過して、入射端面39aから導光部材39に入射する。
【0094】
以上、第1光源31と第2光源32光源に点光源を用いて、光源部の説明を行った。しかしながら、第1光源31と第2光源32光源に、面光源を用いても良い。
【0095】
この場合、光源部30では、ダイクロイックミラー35と入射端面36aとの間に、レンズを配置すれば良い。光源部37では、レンズ33と入射端面38aとの間、及び、レンズ34と入射端面39aとの間に、レンズを配置すれば良い。このようにすることで、面光源の像を入射端面上に形成することができる。
【0096】
上述のように、光学系には、同軸光学系、又は並列光学系を用いることができる。光源部には、同軸入射タイプの光源部、又は並列入射タイプの光源部を用いることができる。光源部と光学系は、各々2つのタイプに分かれるので、4通りの光源部と光学系の組み合わせが得られる。
【0097】
同軸入射タイプの光源部では、第3照射光は、1つのファイバに入射する。並列入射タイプの光源部では、第3照射光は第1照射光LWと第2照射光LTOFに分かれて、別々のファイバに入射する。
【0098】
同軸光学系では、戻り光LRは、1つの光学系に入射する。並列光学系では、戻り光LRは、別々の光学系に入射する。
【0099】
光学装置1と光学装置20では、距離情報に含まれる誤差情報が低減されている。そのため、対象物までの距離を精度良く測定することができる。
【0100】
(本実施形態の光学装置2)
本実施形態の光学装置では、誤差情報の低減に、第2光源が用いられ、第2照射光は、通常利用される赤外波長域よりも短波長側の波長帯域の光であることが好ましい。
【0101】
第2照射光が被検体に照射されると、戻り光L
R
、すなわち、反射光LREFと散乱光LDIFが生じる。散乱光LDIFは、被検体の内部で散乱された光である。
【0102】
被検体の内部では、光が到達した全ての位置で散乱光が生じる。被検体の表面に近い場所、すなわち、表層に到達した光の強度が大きい。そのため、表層で生じた散乱光(以下、「表層散乱光」という)の光強度は大きい。一方、被検体の表面から離れた場所、すなわち、深層に到達した光の強度が小さい。そのため、深層で生じた散乱光(以下、「深層散乱光」という)の光強度は小さい。
【0103】
表層散乱光も深層散乱光も、被検体から戻ってきた光なので、距離情報を有している。表層散乱光は、被検体の表面に近い場所で生じた散乱光である。表層散乱光は、正確な距離情報を持っているので、距離情報の取得に利用できる。
【0104】
一方、深層散乱光は、被検体の表面に近い場所で生じた散乱光ではない。深層散乱光は、正確な距離情報を持っていると言えないので、距離情報の取得に利用できない。すなわち、深層散乱光は、誤差情報を生じる光と見なさなくてはならない。このように、第1測定光と第2測定光には、距離情報を持つ光と誤差情報を生じる光とが含まれる。
【0105】
第2測定光は距離情報の取得に用いられる。そのため、第2測定光に誤差情報を生じる光が多く含まれていると、パルス形状が矩形でなくなる。パルス形状が矩形でなくなると、精度の良い測定が困難になる。距離を精度良く測定するためには、誤差情報を生じる光を少なくすれば良い。
【0106】
光は、波長が短くなる程、散乱され易くなる。そのため、光の波長を短くするほど、表層散乱光の割合が多くなる。表層散乱光の割合が多くなると、被検体の表面から離れた場に到達する光の量が少なくなる。その結果、深層散乱光の量が少なくなる。
【0107】
図4は、照射光の波長帯域を示す図である。
図4に示すように、第1照射光L
Wの波長帯域は、紫外波長域UVと赤外波長域IRの間に位置している。第2照射光L
TOFの波長帯域は、第1照射光L
Wの波長帯域よりも狭い。そして、第2照射光L
TOFの波長帯域は、赤外波長域IRよりも短波長側に位置している。
【0108】
このように、光学装置では、第2照射光LTOFに、赤外波長域よりも短波長側の波長帯域の光(以下、「短波長光」という)が用いられている。そのため、深層散乱光、すなわち、誤差情報を生じる光を少なくすることができる。その結果、誤差情報を低減することができる。
【0109】
第1照射光LWに白色光が用いられている場合、紫外波長域UVと赤外波長域IRの間は、白色光の波長帯域を示している。白色光は、肉眼で白色に見える光である。白色光は、可視光に置き換えることができる。可視光の波長帯域は400nm~700nmである。
【0110】
(光学装置2:第3例)
本実施形態の光学装置では、第2照射光は、460nm以上、510nm以下の波長帯域を含むことが好ましい。
【0111】
オキシヘモグロビンは、動脈を流れる血液中に含まれている。静脈中ではオキシヘモグロビンから酸素が離れたデオキシヘモグロビンの比率が増加する。血液は、動脈、毛細血管、静脈の順で流れていく。毛細血管は、動脈と静脈の中間に位置する。よって、毛細血管には、オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンが含まれている。
【0112】
460nm以上、510nm以下の波長帯域の光では、オキシヘモグロビンでの吸収が小さい。オキシヘモグロビンでの吸収が小さいと、オキシヘモグロビンでの吸収による第2照射光のロスが少ない分、動脈、及び毛細血管を含む領域からの戻り光が大きくなる。
【0113】
また、この波長帯域の光では、デオキシヘモグロビンでの吸収が小さい。デオキシヘモグロビンでの光の吸収が小さいと、デオキシヘモグロビンでの吸収による第2照射光のロスが少ない分、静脈、及び毛細血管を含む領域からの戻り光が大きくなる。
【0114】
この光学装置では、第2照射光に、波長帯域が460nm以上、510nm以下の光が含まれている。この波長帯域は、近赤外光より短い波長帯域である。そのため、この波長帯域の光を照射光に用いると、被検体の内部からの散乱光を低減できる一方で、表面近傍からの散乱光を比較的多くできるので、誤差情報を低減できる。
【0115】
加えて、この波長帯域の光を用いると、血管を含む領域での戻り光を大きくできる。よって、第3例では、血管を含む領域での距離の測定精度を向上させることができる。
【0116】
被検体が粘膜を有する場合、毛細血管が表面近傍に位置している領域がある。表面近傍からの散乱光により距離の測定を行いたいが、場所によってはその表面近傍に毛細血管が分布している。
【0117】
このような被検体では、第2照射光の波長帯域がオキシヘモグロビンの吸収が大きい波長帯域を含んでいると、毛細血管が分布する領域では、戻り光の光強度が小さくなる。そのため、距離の測定精度が悪化する。第2照射光の波長帯域としてオキシヘモグロビンの吸収が小さい波長帯域を選べば、血管が分布する領域からの戻り光の光強度が大きくなる。よって、距離の測定精度の向上が見込める。
【0118】
また、第2照射光の波長帯域がデオキシヘモグロビンの吸収が大きい波長帯域を含んでいると、血管からの戻り光の光強度が小さくなる。そのため、距離の測定精度が悪化する。第2照射光の波長帯域としてデオキシヘモグロビンの吸収が小さい領域を選べば、血管からの戻り光の光強度が大きくなる。よって、距離の測定精度の向上が見込める。
【0119】
この光学装置では、オキシヘモグロビンでの吸収が小さい波長帯域の光と、デオキシヘモグロビンでの吸収が小さい波長帯域の光が、第2照射光に含まれている。よって、第2照射光を用いることで、被検体までの距離を、より良い精度で測定することができる。
【0120】
(光学装置2:第4例)
本実施形態の光学装置では、第2照射光は、460nm以上、510nm以下であることが好ましい。
【0121】
この光学装置では、第2照射光に、波長帯域が460nm以上、510nm以下の光が用いられる。上述のように、この波長帯域では、オキシヘモグロビンでの吸収とデオキシヘモグロビンでの吸収が小さい。よって、この光学装置では、オキシヘモグロビンでの吸収が小さい光と、デオキシヘモグロビンでの吸収が小さい光が、第2照射光に用いられている。その結果、被検体までの距離を、より良い精度で測定することができる。
【0122】
(光学装置2:第5例)
本実施形態の光学装置では、第2照射光の波長帯域は、ヘモグロビンでの吸収の大きい波長帯域を含むことが好ましい。
【0123】
本例の光学装置では、第3例の光学装置及び第4例の光学装置と異なり、第2照射光に、ヘモグロビンでの吸収が大きい波長帯域の光を利用している。
【0124】
本例の光学装置では、戻り光は非常に小さくなるので、SN比が若干低下する点で不利になる。しかしながら、戻り光を高いSN比で検出可能なシステムであれば、より精度の高い距離の測定が可能になる。
【0125】
被検体によっては、被検体の表面に近い場所に、毛細血管が位置している。このような被検体に第2照射光を照射すると、第2照射光は毛細血管を通過して、被検体の表面から離れた場所に到達する。
【0126】
この光学装置では、第2照射光の波長帯域は、ヘモグロビンでの吸収の大きい波長帯域を含んでいる。この場合、第2照射光は毛細血管で大きく吸収される。そのため、第2照射光が被検体の表面から離れた場所に到達しても、到達した第2照射光の量は非常に少ない。その結果、深層散乱光の光強度が小さくなる。
【0127】
また、被検体の表面に向かう深層散乱光は、毛細血管を通過する。深層散乱光の波長帯域も、ヘモグロビンでの吸収の大きい波長帯域を含んでいる。よって、深層散乱光は毛細血管で大きく吸収される。その結果、被検体の表面に到達する深層散乱光の光強度は、更に小さくなる。
【0128】
上述のように、深層散乱光は、誤差情報を生じる光である。深層散乱光の光強度を小さくなると、誤差情報が低減される。
【0129】
表層散乱光には、被検体の表面から毛細血管までの間で生じる散乱光と、毛細血管で生じる散乱光が含まれる。第2照射光の波長帯域は、ヘモグロビンでの吸収の大きい波長帯域を含んでいる。そのため、第2照射光が460nm以上、510nm以下の波長帯域を含む場合に比べると、毛細血管で生じる散乱光の光強度は小さい。
【0130】
被検体の表面に近い場所に毛細血管が位置している場合、毛細血管の位置は被検体の表面の位置を表していると見なすことができる。ただし、毛細血管は、被検体の表面には位置していない。そのため、毛細血管の位置が、被検体の表面から離れすぎると、毛細血管で生じる散乱光は、深層散乱光と同様に、誤差情報を生じる光になる。
【0131】
上述のように、この光学装置では、第2照射光の波長帯域は、ヘモグロビンでの吸収の大きい波長帯域を含んでいる。そのため、毛細血管で生じる散乱光の光強度は、被検体の表面から毛細血管までの間で生じる散乱光の光強度よりも小さくなる。毛細血管で生じる散乱光が誤差情報を生じる光であっても、誤差情報を低減することができる。
【0132】
被検体の表面から毛細血管までの間で生じる散乱光の光強度は小さい。第2イメージャに、SN比の高いイメージャを用いることで、被検体の表面から毛細血管までの間で生じる散乱光を、高いSN比で検出することができる。
【0133】
このように、この光学装置では、被検体の表面近傍からの戻り光だけで、距離を測定できる。そのため、距離を精度良く測定することができる。
【0134】
(光学装置2:第6例)
本実施形態の光学装置では、第2照射光は、紫外光であることが好ましい。
【0135】
第1照射光に白色光が用いられ、第2照射光に可視域の光が用いられると、第2照射光の波長帯域は、第1照射光の波長帯域と重なってしまう。上述のように、光学フィルタでは、戻り光が第1測定光と第2測定光とに分離される。第2照射光の波長帯域が第1照射光の波長帯域に重なっていると、第2測定光に含まれる第2照射光の割合を多くすることが困難になる。
【0136】
後述の本実施形態の光学装置5のように、第2照射光以外の波長帯域の光は、バンドパスフィルタ等を利用すれば、第2測定光から除去可能である。しかしながら、第2照射光の波長帯域の光は、バンドパスフィルタ等を利用しても、第2測定光から除去できない。
【0137】
この光学装置では、第2照射光に、紫外光が用いられている。第2照射光に紫外光が用いられると、第2照射光の波長帯域は、第1照射光の波長帯域と重ならなくなる。
【0138】
キセノンランプから射出された光には、紫外光が含まれている。第1照射光が広帯域光、例えば、キセノンランプから射出された光のような光である場合、第1照射光には紫外光が含まれる。紫外光は、第1イメージャでの被検体の画像情報の取得のためには不要な光である。そのため、紫外光は、被検体に照射される前に、適当な光学フィルタによって除去して良い。
【0139】
本例の光学装置では、集光部に入射する前に第1照射光の紫外域は除去されている。従って第2照射光の波長帯域は、第1照射光の波長帯域と重ならない。
【0140】
そのため、第2照射光を全て第2測定光に含ませることができる。被検体が生体でない場合、第2照射光に紫外光を用いることで、第1イメージャに形成される被検体の光学像と、第2イメージャに形成される被検体の光学像を、共に明るくすることができる。よって、画像情報の精度と距離情報の精度を、高めることができる。
【0141】
被検体が生体の場合、第2照射光に紫外光を用いると、被検体に悪影響を及ぼす場合がある。しかしながら、光強度と照射時間を適切に設定することで、悪影響を少なくすることができる。よって、被検体が生体の場合であっても、第2照射光に紫外光を用いることで、画像情報の精度と距離情報の精度を、高めることができる。
【0142】
(光源部:第3例)
以上のように、光学装置では、様々な波長帯域の光を、第2照射光に用いることができる。様々な波長帯域の光は、光源部で生成される。このような光源部の例を、次に示す。
【0143】
図5は、光源部と照射光の波長を示す図である。
図5(a)は、光源部を示す図である。
図5(b)は、第2照射光の波長帯域の第1例を示す図である。
図5(c)は、第2照射光の波長帯域の第2例を示す図である。
図5(d)は、第2照射光の波長帯域の第3例を示す図である。
【0144】
図5(a)では、第1光源は図示されていない。光源部は、第2光源部40と、集光部41と、を有する。光源部は、更に、ミラー42a、ダイクロイックミラー42b、ダイクロイックミラー42c、光学フィルタ43a、光学フィルタ43b、及び光学フィルタ43cを有する。
【0145】
第2光源部40は、第2光源を複数有する。具体的には、第2光源部40は、第2光源40a、第2光源40b、及び第2光源40cを有する。集光部41は、レンズを複数有する。具体的には、集光部41は、レンズ41a、レンズ41b、及びレンズ41cを有する。
【0146】
第2光源40aから、第2照射光L
TOFaが射出される。第2照射光L
TOFaは、ピーク波長λ
TOFaを有する光である。
図5(b)に示すように、ピーク波長λ
TOFaは、赤外波長域IRの近くに位置している。第2照射光L
TOFaは、例えば、赤色の光である。
【0147】
第2光源40bから、第2照射光L
TOFbが射出される。第2照射光L
TOFbは、ピーク波長λ
TOFbを有する光である。
図5(c)に示すように、ピーク波長λ
TOFbは、ピーク波長
λ
TOFa
よりも、紫外波長域UV側に位置している。第2照射光L
TOFbは、例えば、緑色の光である。
【0148】
第2光源40cから、第2照射光L
TOFcが射出される。第2照射光L
TOFcは、ピーク波長λ
TOFcを有する光である。
図5(d)に示すように、ピーク波長λ
TOFcは、紫外波長域UVの近くに位置している。第2照射光L
TOFcは、例えば、青色の光である。
【0149】
第2照射光LTOFaは、レンズ41aに入射する。第2照射光LTOFaはレンズ41aで平行光束に変換された後、レンズ41aから射出される。第2照射光LTOFaは、ミラー42aに入射する。
【0150】
第2照射光LTOFbは、レンズ41bに入射する。第2照射光LTOFbはレンズ41bで平行光束に変換された後、レンズ41bから射出される。第2照射光LTOFbは、ダイクロイックミラー42bに入射する。
【0151】
第2照射光LTOFcは、レンズ41cに入射する。第2照射光LTOFcはレンズ41cで平行光束に変換された後、レンズ41cから射出される。第2照射光LTOFcは、ダイクロイックミラー42cに入射する。
【0152】
第2照射光LTOFaは、ミラー42aで反射された後、ダイクロイックミラー42bに入射する。ダイクロイックミラー42bは、例えば、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する特性を有する。よって、第2照射光LTOFaはダイクロイックミラー42b透過し、第2照射光LTOFbはダイクロイックミラー42bで反射される。第2照射光LTOFaと第2照射光LTOFbは、ダイクロイックミラー42cに向かって進行する。
【0153】
第2照射光LTOFaと第2照射光LTOFbは、ダイクロイックミラー42cに入射する。ダイクロイックミラー42cは、例えば、青色の光を透過し、赤色の光と緑色の光を反射する特性を有する。よって、第2照射光LTOFcはダイクロイックミラー42c透過し、第2照射光LTOFaと第2照射光LTOFbはダイクロイックミラー42cで反射される。
【0154】
第2照射光LTOFa、第2照射光LTOFb、及び第2照射光LTOFcは、同一の光路を進行する。上述のように、光源部は、光学フィルタ43a、光学フィルタ43b、及び光学フィルタ43cを有する。これらの光学フィルは、各々、光路への挿入と、光路からの取り出しができる。
【0155】
光学フィルタ43aが光路に挿入されると、第2照射光LTOFaが射出される。光学フィルタ43bが光路に挿入されると、第2照射光LTOFbが射出される。光学フィルタ43cが光路に挿入されると、第2照射光LTOFcが射出される。このようにして、様々な波長帯域の光を、第2照射光に用いることができる。
【0156】
この場合、第1照射光と第2照射光の合波はハーフミラーで行い、第1測定光と第2測定光の分波もハーフミラーで行い、第1光源の点灯と第2光源の点灯は、交互に行うことが望ましい。
【0157】
図5(a)に示す構成は、第1光源に用いることができる。光学フィルタ43a、光学フィルタ43b、及び光学フィルタ43cを用いなければ、白色光を得ることができる。
【0158】
(本実施形態の光学装置3)
本実施形態の光学装置では、誤差情報の低減に、第1光源、第2光源、及び集光部が用いられ、第2照射光が入射する入射端面における第2照射光の入射角は、第1照射光が入射する入射端面における第1照射光の入射角よりも小さいことが好ましい。
【0159】
図6と
図7を用いて、光学装置の光源部について説明する。
図6と
図7は、光源部を示す図である。
図1(a)と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0160】
この光学装置の光源部では、光源に面光源が用いることができる。面光源は発光面を有する。発光面は、点光源の集合体と見なすことができる。
【0161】
面光源には、例えば、LED、キセノンランプ、又はハロゲンランプが用いられる。LDも、幅が10μm、高さが0.1μm程度の発光エリアを持つ面光源である。LDとファイバを組み合わせることで、さらに広い面積の面光源を形成することができる。この場合、ファイバの射出端面を発光面と見なせば良い。
【0162】
図6と
図7では、見易さのために、発光面の1点から射出された光だけが図示されている。図示されている1点は、光学系の光軸上の点である。発光面の様々な位置から、
図6に示す光、又は
図7に示す光が射出されていると見なせば良い。
【0163】
図6と
図7では、光源と導光部材の間に、光学系が配置されている。光学系によって、発光面の光学像が、導光部材の入射端面上に形成される。光学系は、厳密に発光面の光学像を結像する配置でなくてもよい。通常、導光部材の直径は光学系の直径に比べて小さい。そのため、発光面の光学像が導光部材の入射端面上にほぼ結像になるように、光学系は配置される。
【0164】
この光学装置では、誤差情報の低減に、第1光源、第2光源、及び集光部が用いられる。集光部から、第1照射光と第2照射光が射出される。第1照射光と第2照射光は、導光部材の入射端面に入射する。このとき、第2照射光が入射する入射端面における第2照射光の入射角は、第1照射光が入射する入射端面における第1照射光の入射角よりも小さいことが好ましい。
【0165】
図6に示すように、入射端面56aには、円錐形の光束が入射する。円錐形の光束は、レンズ54を円形の光束が通過することによって形成される。θ1とθ2は入射角であって、入射端面56aと光軸AXとの交点における円錐の母線と光軸のなす角である。
【0166】
軸上以外の点に略収束する光束も、ほぼ同じ入射角を持つ。レンズ54を通過する光束は通常円形だが、円形から外れる場合は長径を基準とするのが適当である。
【0167】
θ1とθ2は、レンズ54を通過する光束の直径によって決めることができる。光束の外周が明確な場合、外周の直径を光束の直径にすることができる。光束の外周が明確でない場合、半値全幅を光束の直径にすることができる。また、半値全幅の代わりに、例えば、最大強度の20%における全幅を用いても良い。
【0168】
(光源部:第4例)
図6に示すように、光源部50は、第1光源4と、第2光源5と、光源制御部6と、集光部51と、を有する。集光部51は、レンズ52と、レンズ53と、レンズ54と、ダイクロイックミラー55と、を有する。
【0169】
光源部50では、2つの照明光路が形成されている。2つの照明光路のうち、一方の照明光路に、第1光源4とレンズ52が配置され、他方の照明光路に、第2光源5とレンズ53が配置されている。ダイクロイックミラー55は、2つの照明光路が交差する位置に配置されている。
【0170】
第1光源4から、第1照射光LWが射出される。第1照射光LWは、白色光である。第1照射光LWは、レンズ52を通過して、ダイクロイックミラー55に入射する。第2光源5から、第2照射光LTOFが射出される。第2照射光LTOFは、狭帯域光である。第2照射光LTOFは、レンズ52を通過して、ダイクロイックミラー55に入射する。
【0171】
第1照射光LWは、ダイクロイックミラー55を透過する。第2照射光LTOFは、ダイクロイックミラー55で反射される。その結果、第1照射光LWと第2照射光LTOFは、同一の照明光路を進行する。
【0172】
同一の照明光路には、レンズ54が配置されている。第1照射光LWと第2照射光LTOFはレンズ54で集光される。集光位置に、導光部材56の入射端面56aが配置されている。第1照射光LWと第2照射光LTOFは、一緒に導光部材56に入射する。
【0173】
第1照射光LWと第2照射光LTOFは、入射端面56aに入射する。よって、入射端面56aは第1照射光LWが入射する入射端面であり、且つ、第2照射光LTOFが入射する入射端面である。
【0174】
第1照射光LWは、角度θ1で入射端面56aに入射する。第2照射光LTOFは、角度θ2で入射端面56aに入射する。光源部50では、角度θ2は、角度θ1よりも小さい。
【0175】
角度θ1と角度θ2は、共に入射角を表している。よって、入射端面56aにおける第2照射光LTOFの入射角は、入射端面56aにおける第1照射光LWの入射角よりも小さい。照射光の角度分布がガウス分布のように連続的に変化する分布である場合、角度θ1と角度θ2は、軸上の光強度に対して光強度が半値となる角度とする。
【0176】
上述のように、発光面は、点光源の集合体と見なすことができる。光源部50では、発光面の各点から射出された第2照射光LTOFは、全て、概ね上で定義した入射角度θ2で入射端面56aに入射する。
【0177】
入射端面56aにおける第2照射光LTOFの入射位置は、第2光源5の位置を変えることで調整可能である。
【0178】
(光源部:第5例)
図7に示すように、光源部60は、第1光源4と、第2光源5と、光源制御部6と、集光部61と、を有する。集光部61は、レンズ62と、レンズ63と、レンズ64と、レンズ65と、を有する。
【0179】
光源部60では、2つの照明光路が形成されている。2つの照明光路のうち、一方の照明光路に第1光源4、レンズ62、及びレンズ63が配置され、他方の照明光路に、第2光源5、レンズ64、及びレンズ65が配置されている。
【0180】
第1光源4から、第1照射光LWが射出される。第1照射光LWは、白色光である。第1照射光LWは、レンズ62とレンズ63で集光される。集光位置に、導光部材66の入射端面66aが配置されている。第1照射光LWは、導光部材66に入射する。
【0181】
第2光源5から、第2照射光LTOFが射出される。第2照射光LTOFは、狭帯域光である。第2照射光LTOFは、レンズ64とレンズ65で集光される。集光位置に、導光部材67の入射端面67aが配置されている。第2照射光LTOFは、導光部材67に入射する。
【0182】
第1照射光LWは、入射端面66aに入射する。よって、入射端面66aは、第1照射光LWが入射する入射端面である。第2照射光LTOFは、入射端面67aに入射する。よって、入射端面67aは、第2照射光LTOFが入射する入射端面である。
【0183】
第1照射光LWは、角度θ1で入射端面66aに入射する。第2照射光LTOFは、角度θ2で入射端面67aに入射する。光源部60では、角度θ2は、角度θ1よりも小さくなっている。
【0184】
角度θ1と角度θ2は、共に入射角を表している。よって、入射端面67aにおける第2照射光LTOFの入射角は、入射端面66aにおける第1照射光LWの入射角よりも小さい。
【0185】
上述のように、発光面は、点光源の集合体と見なすことができる。光源部60では、発光面の各点から射出された第2照射光LTOFは、全て、概ね角度θ2で入射端面67aに入射する。
【0186】
光源部50と光源部60では、第2照射光LTOFに、パルス光が用いられている。パルス光では、パルス形状は矩形である。精度の良い測定を行うためには、パルス形状は変化しない方が良い。
【0187】
導光部材56では、様々な伝搬モードが存在する。伝搬モードが異なると、パルス光の伝搬時間も異なる。導光部材56からは、様々な伝搬モードで伝搬されたパルス光が合わさった状態で、パルス光が射出される。そのため、導光部材56に入射する際にパルス形状が矩形であっても、導光部材56から射出されたパルス光では、パルス形状が矩形でなくなる。すなわち、導光部材56では、パルス光が導光部材56を伝搬する間に、パルス形状が変化する。導光部材67についても、同様である。
【0188】
本実施形態の光学装置では、角度θ2は、角度θ1よりも小さい。そのため、伝搬モードの数を少なくすることができる。その結果、第2照射光LTOFにおけるパルス形状の変化を、少なくすることができる。
【0189】
本実施形態の光学装置では、1つの射出端面から射出される第2照射光のパルス形状の変化を、できるだけ小さくすることができる。そのため、距離の測定精度の向上に効果がある。
【0190】
なお、第2照射光が射出される射出端面が1つであると、後述の光学装置11で説明するような理由で、さらに距離の測定精度の向上の効果が上がる。
【0191】
上述のように、パルス形状の変化は、距離情報に誤差情報が加わることを意味している。本実施形態の光学装置では、パルス形状の変化を少なくすることができるので、誤差情報を低減することができる。
【0192】
(光学装置3:第7例)
本実施形態の光学装置では、第2照射光の入射角は、5.7°以下であることが好ましい。
【0193】
光学装置は、軟性内視鏡に用いることができる。この場合、軟性内視鏡には、光源部50、又は光源部60を用いることができる。
【0194】
軟性内視鏡では、約5cmの距離から、上部消化管の表面、例えば、胃の表面を観察が行われる。観察では、イメージャで取得した画像が、モニターに表示される。観察中に、病変部が検出される場合がある。
【0195】
約10%の誤差で病変部のサイズを測定できると、測定結果を病変部の確定診断に利用することができる。約10%の誤差で病変部のサイズ測定するためには、内視鏡から被検体の表面までの距離を、約10%の誤差で測定できなくてはならい。
【0196】
図6に示すように、第2照射光L
TOFは、集光された状態で入射端面56aに入射する。よって、角度が0°からθ2までの様々な角度で、第2照射光L
TOFが入射端面56aに入射する。
【0197】
θ2の角度で導光部材56に入射した第2照射光LTOFは、導光部材56で繰り返し反射されながら、光部材56を伝搬する。0°の角度で導光部材56に入射した第2照射光LTOFは、導光部材56で反射されること無く、導光部材56を伝搬する。そのため、角度θ2で導光部材56に入射した第2照射光LTOFは、角度が0°で導光部材56に入射した第2照射光LTOFよりも遅れて、導光部材56の射出端面に到達する。
【0198】
例えば100MHzで光強度が時間的に変調された光は、導光部材を伝搬する間に、パルス形状におけるエッジの部分がなまってしまう。また、位相遅れが生じる。この場合、パルス形状に変化が生じるので、パルス形状が矩形でなくなる。パルス形状の変化は、距離情報に誤差情報が加わることを意味している。
【0199】
誤差dは、以下の式(A)、(B)、(C)で求めることができる。
d=n×df (A)
df=(1-cosφ)×L (B)
sinθ/sinφ=n (C)
ここで、
nは、導光部材の屈折率、
dfは、導光部材の内部での、第1の光と第2の光との間で生じる遅れ、
θは、第1の光の入射角、
Lは、導光部材の全長、
第1の光は、角度θで導光部材に入射した光、
第2の光は、角度0°で導光部材に入射した光、
である。
【0200】
dfは、導光部材の内部での、第1の光と第2の光との間で生じる遅れである。よって、誤差dは、導光部材の外側での、第1の光と第2の光との間で生じる遅れということになる。
【0201】
角度θは、導光部材に入射する光を、配光測定器で測定することで求めることができる。配光測定器では、配光分布を求めることができる。角度θは、配光分布における半値半角で求めることができる。
【0202】
式(A)、(B)、(C)から分かるように、第1の光の入射角が大きくなるほど、又、導光部材の全長が長くなるほど、誤差dが大きくなる。
【0203】
被検体の表面に長さがdLの段差があると、段差で、2×dLに相当する時間遅れが生じる。軟性内視鏡では、約5cmの距離で、距離の測定が行われる。この場合、5cmの距離に対して、誤差を10%に抑えるためには、誤差を5mmとすると、dは10mm以内にする必要がある。
【0204】
軟性内視鏡には、光学装置1を用いることができる。このような軟性内視鏡で、光源部2が本体部3から離れた位置に配置されている場合、Lの値は3000mmになる。n=1.5、d=10mmとすると、θ≒5.7°になる。
【0205】
軟性内視鏡に光学装置1を用いた場合、軟性内視鏡の光源部に光源部50を用いることができる。この場合、入射端面56aにおける第2照射光LTOFの入射角は、5.7°以下にすると良い、このようにすることで、パルス形状の変化を少なくすることができる。その結果、誤差情報を低減することができる。
【0206】
軟性内視鏡の光源部に、光源部60を用いても良い。この場合、入射端面67aにおける第2照射光LTOFの入射角は、5.7°以下にすると良い、
【0207】
(光学装置3:第8例)
本実施形態の光学装置では、第2照射光の入射角は、2.5°以下であることが好ましい。
【0208】
上述のように、光学装置は軟性内視鏡に用いることができる。軟性内視鏡では、近接観察の場合、約1cmの距離から、上部消化管の表面を観察する場合がある。この場合、誤差を10%以下にするためには、dは0.2mm以内にする必要がある。
【0209】
軟性内視鏡には、光学装置1を用いることができる。このような軟性内視鏡で、光源部2が本体部3から離れた位置に配置されている場合、Lの値は3000mmになる。n=1.5、d=0.2mmとすると、θ≒2.5°になる。
【0210】
上述のように、軟性内視鏡の光源部に光源部50を用いることができる。この場合、入射端面56aにおける第2照射光LTOFの入射角は、2.5°以下にすると良い、このようにすることで、パルス形状の変化を少なくすることができる。その結果、誤差情報を低減することができる。
【0211】
軟性内視鏡の光源部に、光源部60を用いても良い。この場合、入射端面67aにおける第2照射光LTOFの入射角は、2.5°以下にすると良い、
【0212】
(本実施形態の光学装置4)
本実施形態の光学装置では、誤差情報を生じる光は、第1照射光に含まれている所定の光であり、所定の光は、第2照射光の波長帯域と同じ波長帯域を含む光であり、第2測定光に含まれる所定の光が低減されていることが好ましい。
【0213】
本実施形態の光学装置では、誤差情報を生じる光は、第1照射光に含まれている所定の光であり、所定の光は、第2照射光の波長帯域と同じ波長帯域の光であり、第2測定光に含まれる所定の光が低減されていると、なお好ましい。
【0214】
図8は、第1照射光の分光分布と第2照射光の分光分布を示す図である。
図8(a)は、分光分布の第1例を示す図である。
図8(b)は、分光分布の第2例を示す図である。第1照射光の分布曲線は実線で示され、第2照射光の分布曲線は破線で示されている。
【0215】
光学装置では、第1光源と第2光源が用いられる。第1光源は、画像取得用光源である。第2光源は、TOF用光源である。ここでは、第1光源として白色LEDが用いられ、第2光源として単色LDが用いられている。
【0216】
第1光源から、第1照射光が射出される。第2光源から、第2照射光が射出される。よって、
図8(a)に示す分光分布と
図8(b)に示す分光分布は、白色LEDから射出された光の分光分布と、単色LDから射出された光の分光分布を表している。
【0217】
(分光分布:第1例)
白色LEDには、複数のLEDが用いられている。複数のLEDは、例えば、LED-Bと、LED-Gと、LED-Rと、を有する。LED-Bは、青色の光を射出するLED、LED-Gは緑色の光を射出するLED、LED-Rは、赤色の光を射出するLEDである。
【0218】
単色LDには、例えば、LD-Gが用いられている。LD-Gは緑色の光を射出するLDである。
【0219】
図8(a)に示すように、LED-Bでは、波長帯域Bに光強度のピークが位置している。LED-Gでは、波長帯域Gに光強度のピークが位置している。LED-Rでは、波長帯域Rに光強度のピークが位置している。LD-Gでは、波長帯域G2に光強度のピークが位置している。
【0220】
LED-Bの分布曲線の長波長側とLED-Gの分布曲線の短波長側では、光強度がゼロになる前に両者の曲線が交差している。LED-Gの分布曲線の長波長側とLED-Rの分布曲線の短波長側では、光強度がゼロになる前に両者の曲線が交差している。
【0221】
図8(a)に示す白色LEDでは、波長帯域B、波長帯域G、及び波長帯域Rのいずれにおいても、光強度がゼロになっていない。よって、第1照射光は、連続したスペクトルを有する白色光である。
【0222】
(分光分布:第2例)
白色LEDには、1つのLEDと1つの蛍光体が用いられている。このLEDは、例えば、上述のLED-Bである。蛍光体FLMは、例えば、黄色の蛍光を射出する蛍光体である。
【0223】
単色LDには、例えば、LD-G’が用いられている。LD-G’は緑色の光を射出するLEDである。
【0224】
図8(b)に示すように、LED-Bでは、波長帯域Bに光強度のピークが位置している。蛍光体FLMでは、波長帯域Gに光強度のピークが位置している。LD-G’では、波長帯域G2に光強度のピークが位置している。
【0225】
図8(b)に示す白色LEDの分光分布では、波長帯域B、波長帯域G、及び波長帯域Rのいずれにおいても、光強度がゼロになっていない。よって、第1照射光は、連続したスペクトルを有する白色光である。
【0226】
図8(a)と
図8(b)に示すように、白色LEDの波長帯域は、波長帯域B、波長帯域G、及び波長帯域Rで形成されている。単色LDの波長帯域は、波長帯域G2に含まれている。
【0227】
白色LEDの波長帯域は第1照射光の波長帯域を表し、単色LDの波長帯域は第2照射光の波長帯域を表している。よって、第1照射光には、第2照射光の波長帯域と同じ波長帯域を含む光(以下、「所定の光」という)が含まれている。
【0228】
所定の光が距離の測定に及ぼす影響について説明する。
図8(a)と
図8(b)に示すように、第2照射光の波長帯域は、波長帯域G2に分布している。よって所定の光には、LED-Gの光の一部と、LD-Gの光が含まれている。
【0229】
(理想的なダイクロイックミラー)
図9は、照射光と測定光を示す図である。
図9(a)は、照射光を示す図である。
図9(b)は、測定光を示す図である。
図1(a)及び
図3(a)と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0230】
第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、及び第1照射光Bは、実線の矢印で示されている。第2照射光G2’は、破線の矢印で示されている。
【0231】
第1光源31と第2光源32は同時点灯されている。ただし、波長帯域G2の光に着目して説明するため、
図9(a)と
図9(b)では、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bについては、途中から図示が省略されている。
【0232】
図9では、ダイクロイックミラー35と光学フィルタ12に、理想的なダイクロイックミラーが用いられている。理想的なダイクロイックミラーでは、波長帯域G2の光に対する透過率は100%であるか、又は波長帯域G2の光に対する反射率が100%である。
【0233】
図9(a)に示すように、第1光源31から、第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、及び第1照射光Bが射出される。第2光源32から、第2照射光G2’が射出される。第2照射光G2’の波長帯域は、所定の光G2波長帯域の一部と一致している。
【0234】
第1照射光Rは、波長帯域Rの光である。第1照射光G1は、波長帯域G1の光である。所定の光G2は、波長帯域G2の光である。第1照射光Bは、波長帯域Bの光である。第2照射光G2’は、波長帯域G2の一部と同じ波長帯域の光である。各波長帯域は、例えば、
図8(a)又は
図8(b)に示されている。
【0235】
第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、第1照射光B、及び第2照射光G2’はダイクロイックミラー35に入射する。
図9(a)では、ダイクロイックミラー35に、波長帯域G2の光に対する透過率が100%のダイクロイックミラーが用いられている。
【0236】
所定の光G2は、ダイクロイックミラー35を透過するので、ダイクロイックミラー35で反射されない。第2照射光G2’は、ダイクロイックミラー35を透過する。その結果、第2照射光G2’が被検体15に照射される。
【0237】
図9(b)に示すように、被検体15から、第2照射光G2’が戻ってくる。第2照射光G2’は、光学フィルタ12に入射する。
【0238】
光学フィルタ12には、波長帯域G2’の光に対する反射率が100%のダイクロイックミラーが用いられている。そのため、第2照射光G2’は光学フィルタ12で反射される。その結果、第2照射光G2’だけが、第2測定光として第2イメージャ14に入射する。
【0239】
理想的なダイクロイックミラーは、現実には、作製することが困難である。よって、現実的なダイクロイックミラーを使用することになる。
【0240】
(現実的なダイクロイックミラー)
図10は、照射光と測定光を示す図である。
図10(a)は、照射光を示す図である。
図10(b)は、測定光を示す図である。
図9(a)及び
図9(b)と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0241】
第1光源31と第2光源32は同時点灯されている。ただし、波長帯域G2の光に着目して説明するため、
図10(a)と
図10(b)でも、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bについては、途中から図示が省略されている。
【0242】
図10では、ダイクロイックミラー35と光学フィルタ12に、現実的なダイクロイックミラーが用いられている。現実的なダイクロイックミラーでは、波長帯域G2の光に対する透過率は100%未満であるか、又は波長帯域G2の光に対する反射率が100%未満である。
【0243】
図10(a)に示すように、第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、第1照射光B、及び第2照射光G2’はダイクロイックミラー35に入射する。ダイクロイックミラー35には、波長帯域G2の光に対する透過率が100%未満のダイクロイックミラーが用いられている。
【0244】
そのため、所定の光G2は、ダイクロイックミラー35で反射される光と、ダイクロイックミラー35を透過する光と、に分かれる。第2照射光G2’も、ダイクロイックミラー35を透過する光と、ダイクロイックミラー35で反射される光と、に別れる。その結果、所定の光G2と第2照射光G2’が被検体15に照射される。
【0245】
図10(b)に示すように、被検体15から、所定の光G2と第2照射光G2’が戻ってくる。所定の光G2と第2照射光G2’は、光学フィルタ12に入射する。
【0246】
光学フィルタ12には、波長帯域G2の光に対する反射率が100%未満のダイクロイックミラーが用いられている。そのため、所定の光G2と第2照射光G2’は、光学フィルタ12で反射される光と、光学フィルタ12を透過する光と、に分かれる。その結果、所定の光G2と第2測定光G2’が、第2測定光として第2イメージャ14に入射する。
【0247】
上述のように、理想的なダイクロイックミラーでは、所定の光G2は、ダイクロイックミラー35で反射されない。そのため、被検体15に照射される光に、所定の光G2は含まれない。すなわち、誤差情報を生じる光を含まない照射光が、被検体15に照射される。
【0248】
この場合、第2照射光G2’だけが、第2測定光として第2イメージャ14に入射する。第2照射光G2’は、距離情報を持つ光である。よって、高い精度で距離の測定を行うことができる。
【0249】
これに対して、現実的なダイクロイックミラーでは、所定の光G2は、ダイクロイックミラー35で反射される。そのため、被検体15に照射される光に、所定の光G2が含まれる。
【0250】
所定の光G2は、第1照射光に含まれている光である。第1照射光は、距離情報を持っていないので、誤差情報を生じる光である。よって、所定の光G2は、誤差情報を生じる光である。現実的なダイクロイックミラーでは、誤差情報を生じる光を含む照射光が、被検体15に照射される。
【0251】
この場合、第2照射光G2’だけでなく、所定の光G2が、第2測定光として第2イメージャ14に入射する。第2照射光G2’は距離情報を持つ光で、所定の光G2は誤差情報を生じる光である。
【0252】
所定の光G2の波長帯域のうちの一部の波長帯域は、第2照射光G2’の波長帯域と同じである。そのため、所定の光G2うちの一部の光は、第2照射光G2’から分離できない。すなわち、誤差情報を生じる光を、距離情報を含む光から分離できない。よって、高い精度で距離の測定を行うことが困難になる。
【0253】
しかしながら、光学装置では、第2測定光に含まれる所定の光が低減されている。よって、現実的なダイクロイックミラーを用いた場合であっても、高い精度で距離の測定を行うことができる。
【0254】
(光学装置4:第9例)
本実施形態の光学装置では、第2測定光に含まれる所定の光が低減されるための構成は、第1照射光の波長帯域は、第2照射光の波長帯域よりも広く、第1照射光は、光強度が極大となるピーク波長を複数有し、第2照射光は、光強度が極大となるピーク波長を1つ有し、第2照射光のピーク波長は、第1照射光の隣り合う2つのピーク波長の間に位置している構成であることが好ましい。
【0255】
図11は、第1照射光の波長帯域と第2照射光の波長帯域を示す図である。
図11(a)は、第2照射光の分光分布の第1例を示す図である。
図11(b)は、第2照射光の分光分布の第2例を示す図である。
図11(c)は、第2照射光の分光分布の第3例を示す図である。
【0256】
第1照射光L
Wには、白色光を用いることができる。第2照射光L
TOFには、狭帯域光を用いることができる。この場合、
図11(a)に示すように、第1照射光L
Wの波長帯域は、第2照射光L
TOFの波長帯域よりも広い。
【0257】
第1照射光L
Wの光源には、白色LED、又は白色LDを用いることができる。白色LEDでは、
図8(a)と
図8(b)に示すように、光強度が極大となるピーク波長が複数存在することが多い。
【0258】
一方、第2照射光LTOFの波長帯域は広い必要はない。通常は、第2照射光LTOFの光源には、単色LED、又は単色のLD等が用いられる。このような光源では、光強度が最大となるピーク波長は、1つの場合が多い。
【0259】
図11(a)には、ピーク波長λ1、ピーク波長λ2、及びピーク波長λ
TOFが図示されている。ピーク波長λ1とピーク波長λ2は、第1照射光L
Wにおけるピーク波長である。ピーク波長λ
TOFは、第2照射光L
TOFおけるピーク波長である。第1照射光L
Wの波長帯域には、第2照射光L
TOFの波長帯域と同じ波長帯域が含まれている。
【0260】
第2照射光LTOFは、距離情報を持つ光である。一方、第1照射光LWは、距離情報を持っていないので、誤差情報を生じる光である。第2測定光に、所定の光と第2照射光LTOFとが含まれている場合、所定の光と第2照射光LTOFは、分離することができない。
【0261】
所定の光は、ノイズ光とみなすことができる。所定の光の光強度が大きいと、第2測定光におけるSN比が悪化する。その結果、距離情報を正確に得ることができない。
【0262】
本実施形態の光学装置では、第2照射光LTOFのピーク波長λTOFは、ピーク波長λ1とピーク波長λ2の間に位置している。ピーク波長λ1とピーク波長λ2は、隣り合う2つのピーク波長である。
【0263】
ピーク波長λ1とピーク波長λ2との間では、第1照射光LWの光強度が小さい。そのため、ピーク波長λ1とピーク波長λ2との間にピーク波長λTOFを位置させることで、所定の光の光強度を、小さくすることができる。すなわち、第2測定光に含まれる所定の光を低減することができる。
【0264】
このように、ピーク波長λTOFを含み、且つ、所定の光の光強度が小さい波長帯域を第2照射光LTOFの波長帯域に利用することで、誤差情報を低減することができる。その結果、距離情報を得ることができる。
【0265】
ピーク波長λ1とピーク波長λ2は、赤外波長域よりも短波長側の波長帯域に位置している。よって、本実施形態の光学装置では、第2照射光LTOFに短波長光を用いることができる。その結果、誤差情報を低減することができる。
【0266】
第1照射光LWでは、複数のピーク波長は、可視域に含まれている。そのため、短波長光も、可視域の光になる。被検体が生体の場合、第2照射光LTOFが可視域よりも短い波長の光だと、被検体に悪影響を及ぼす場合がある。第2照射光LTOFに用いられる短波長光が可視域の光なので、被検体が生体であっても、被検体に悪影響を及ぼすことなく、距離を精度良く測定することができる。
【0267】
(光学装置4:第10例)
本実施形態の光学装置では、隣り合う第1照射光の2つのピーク波長の間に、光強度が極小となるボトム波長が含まれ、第2照射光の波長帯域は、ボトム波長を含むことが好ましい。
【0268】
図11(b)に示すように、第1照射光L
Wでは、ピーク波長λ1とピーク波長λ2の間に、ボトム波長λ3が位置している。第2照射光L
TOFのピーク波長λ
TOFは、ボトム波長λ3の近くに位置している。そのため、第2照射光L
TOFの波長帯域は、ボトム波長λ3を含んでいる。
【0269】
ボトム波長λ3では、第1照射光LWの光強度が非常に小さい。そのため、第2照射光LTOFのピーク波長λTOFをボトム波長λ3の近くに位置させることで、所定の光の光強度を、更に小さくすることができる。すなわち、第2測定光に含まれる所定の光を、更に低減することができる。
【0270】
そのため、誤差情報を更に低減することができる。その結果、距離情報を、より正確に得ることができる。
【0271】
この光学装置では、第2照射光LTOFに短波長光を用いることができる。その結果、誤差情報を低減することができる。また、第2照射光LTOFに用いられる短波長光が可視域の光なので、被検体が生体であっても、被検体に悪影響を及ぼすことなく、距離を精度良く測定することができる。
【0272】
(光学装置4:第11例)
本実施形態の光学装置では、第2照射光のピーク波長は、ボトム波長と一致していることが好ましい。
【0273】
図11(c)に示すように、第1照射光L
Wでは、ピーク波長λ1とピーク波長λ2の間に、ボトム波長λ3が位置している。第2照射光L
TOFのピーク波長λ
TOFは、ボトム波長λ3と一致している。そのため、第2照射光L
TOFの波長帯域は、ボトム波長λ3を含んでいる。
【0274】
ボトム波長λ3では、第1照射光LWの光強度が非常に小さい。そのため、第2照射光LTOFのピーク波長λTOFをボトム波長λ3と一致させることで、所定の光の光強度を、更に小さくすることができる。すなわち、第2測定光に含まれる所定の光を、更に低減することができる。
【0275】
そのため、誤差情報を更に低減することができる。その結果、距離情報を、より正確に得ることができる。
【0276】
この光学装置では、第2照射光LTOFに短波長光を用いることができる。その結果、誤差情報を低減することができる。また、第2照射光LTOFに用いられる短波長光が可視域の光なので、被検体が生体であっても、被検体に悪影響を及ぼすことなく、距離を精度良く測定することができる。
【0277】
(光学装置4:第12例)
本実施形態の光学装置では、第1照射光は、所定の光を含まないことが好ましい。
【0278】
このようにすることで、被検体に照射される光に、所定の光が含まれない。すなわち、誤差情報を生じる光を含まない照射光が、被検体に照射される。
【0279】
この場合、第2照射光だけが、第2測定光として第2イメージャに入射する。第2照射光は、距離情報を持つ光である。よって、高い精度で距離の測定を行うことができる。
【0280】
所定の光の波長帯域を狭くすることで、距離測定を行いつつ、白色光照明で画像を取得することができる。
【0281】
(本実施形態の光学装置5)
本実施形態の光学装置では、光学系は、バンドパスフィルタを有し、バンドパスフィルタは、第2照射光の波長帯域と同じ波長帯域を含む光を透過させ、第1照射光の波長帯域より狭い透過帯域をもつ分光特性を有し、第2測定光は、バンドパスフィルタを透過した光であることが好ましい。
【0282】
本実施形態の光学装置では、光学系は、バンドパスフィルタを有し、バンドパスフィルタは、第2照射光の波長帯域と同じ波長帯域の光だけを透過させる分光特性を有し、第2測定光は、バンドパスフィルタを透過した光であると、なお好ましい。
【0283】
上述のように、所定の光は、場合によっては、距離の測定に影響を及ぼす。所定の光以外の光(以下、「残りの光」という)も、場合によっては、距離の測定に影響を及ぼす。残りの光が距離の測定に及ぼす影響について説明する。
【0284】
上述の説明では、波長帯域G2の光だけを所定の光としている。よって、残りの光は、波長帯域Bの光、波長帯域G1の光、及び波長帯域Rの光である。
【0285】
(理想的なダイクロイックミラー)
図12は、照射光と測定光を示す図である。
図12(a)は、照射光を示す図である。
図12(b)は、測定光を示す図である。
図9(a)及び
図9(b)と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0286】
第1光源31と第2光源32は同時点灯されている。ただし、残りの光に着目して説明するため、
図12(a)と
図12(b)では、所定の光G2と第2照射光G2’については、途中から図示が省略されている。
【0287】
図12では、ダイクロイックミラー35と光学フィルタ12に、理想的なダイクロイックミラーが用いられている。理想的なダイクロイックミラーでは、残りの光に対する透過率は100%であるか、又は残りの光に対する反射率が100%である。
【0288】
図12(a)に示すように、第1光源31から、第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、及び第1照射光Bが射出される。第2光源32から、第2照射光G2’が射出される。
【0289】
第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、第1照射光B、及び第2照射光G2’はダイクロイックミラー35に入射する。
図12(a)では、ダイクロイックミラー35に、残りの光に対する反射率が100%のダイクロイックミラーが用いられている。
【0290】
第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、ダイクロイックミラー35で反射されるので、ダイクロイックミラー35を透過しない。その結果、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bが被検体15に照射される。
【0291】
図12(b)に示すように、被検体15から、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bが戻ってくる。第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、光学フィルタ12に入射する。
【0292】
光学フィルタ12には、残りの光に対する透過率が100%のダイクロイックミラーが用いられている。この場合、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、光学フィルタ12を透過するので、光学フィルタ12で反射されない。その結果、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、第2測定光として第2イメージャ14に入射しない。
【0293】
上述のように、理想的なダイクロイックミラーは、現実には、作製することが困難である。よって、現実的なダイクロイックミラーを使用することになる。
【0294】
(現実的なダイクロイックミラー)
図13は、照射光と測定光を示す図である。
図13(a)は、照射光を示す図である。
図13(b)は、測定光を示す図である。
図9(a)及び
図9(b)と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0295】
第1光源31と第2光源32は同時点灯されている。ただし、残りの光に着目して説明するため、
図13(a)と
図13(b)でも、所定の光G2と第2照射光G2’については、途中から図示が省略されている。
【0296】
図13では、ダイクロイックミラー35と光学フィルタ12に、現実的なダイクロイックミラーが用いられている。現実的なダイクロイックミラーでは、残りの光に対する透過率は100%未満であるか、又は残りの光に対する反射率が100%未満である。
【0297】
図13(a)に示すように、第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、第1照射光B、及び第2照射光G2’はダイクロイックミラー35に入射する。ダイクロイックミラー35には、残りの光に対する透過率が100%未満のダイクロイックミラーが用いられている。
【0298】
そのため、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、ダイクロイックミラー35で反射光されると、ダイクロイックミラー35を透過する光と、に分かれる。その結果、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bが被検体15に照射される。
【0299】
図13(b)に示すように、被検体15から、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bが戻ってくる。第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、光学フィルタ12に入射する。
【0300】
光学フィルタ12には、残りの光に対する透過率が100%未満のダイクロイックミラーが用いられている。そのため、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、光学フィルタ12を透過する光と、光学フィルタ12で反射される光と、に分かれる。その結果、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、第2測定光として第2イメージャ14に入射する。
【0301】
上述のように、理想的なダイクロイックミラーでは、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、光学フィルタ12で反射されない。この場合、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、第2測定光として第2イメージャ14に入射しない。
【0302】
第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、第1照射光に含まれている光である。第1照射光は、距離情報を持っていないので、誤差情報を生じる光である。よって、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、誤差情報を生じる光である。
【0303】
理想的なダイクロイックミラーでは、誤差情報を生じる光が第2イメージャ14に入射しない。よって、高い精度で距離の測定を行うことができる。
【0304】
これに対して、現実的なダイクロイックミラーでは、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、光学フィルタ12で反射される。そのため、誤差情報を生じる光が第2イメージャ14に入射する。よって、高い精度で距離の測定を行うことが困難になる。
【0305】
高い精度で距離の測定を行うためには、残りの光の第2イメージャへの入射を阻止すれば良い。上述のように、光学装置は、光学系は、バンドパスフィルタを有する。バンドパスフィルタによって、残りの光の第2イメージャへの入射を阻止することができる。
【0306】
図14は、測定光を示す図である。
図13(b)と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0307】
図14では、第1光源31と第2光源32は同時点灯されている。また、ダイクロイックミラー35と光学フィルタ12に、現実的なダイクロイックミラーが用いられている。そのため、第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、第1照射光B、及び第2照射光G2’が、被検体15に照射される。
【0308】
被検体15からは、第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、第1照射光B、及び第2照射光G2’が戻ってくる。これらの光は光学フィルタ12に入射し、光学フィルタ12で反射される光と、光学フィルタ12を透過する光と、に分かれる。その結果、第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、第1照射光B、及び第2照射光G2’が、第2イメージャ14に向かって進行する。
【0309】
この光学系では、光学フィルタ12と第2イメージャ14との間に、バンドパスフィルタ16が配置されている。第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、第1照射光B、及び第2照射光G2’は、バンドパスフィルタ16に入射する。
【0310】
バンドパスフィルタ16は、所定の光G2の波長帯域と同じ波長帯域の光だけを透過させる分光特性を有している。そのため、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bは、バンドパスフィルタ16で反射される。
【0311】
その結果、第2照射光G2’と所定の光G2だけを、第2測定光として第2イメージャ14に入射させることができる。所定の光G2は、誤差情報を生じる光である。しかしながら、上述のように、所定の光G2は低減することができる。よって、高い精度で距離の測定を行うことができる。
【0312】
上述のように、所定の光G2の波長帯域のうちの一部の波長帯域は、第2照射光G2’の波長帯域と同じで、残りの波長帯域は第2照射光G2’の波長帯域と異なる。
【0313】
バンドパスフィルタ16の分光特性を、第2照射光G2’の波長帯域と同じ波長帯域の光だけを透過させるようにすれば、残りの波長帯域の光もバンドパスフィルタ16で反射される。
【0314】
図2に示す光学装置20では、第2光学系23と第2イメージャ14との間に、バンドパスフィルタ16を配置すれば良い。
【0315】
第1光源と第2光源が同時点灯されている場合、第1照射光と第2照射光が同時に、被検体に照射される。この場合、ダイクロイックミラーの使用は、第2測定光における所定の光の低減に対して有効である。しかしながら、所定の光を完全に除去することはできない。
【0316】
また、バンドパスフィルタ16の使用は、第2測定光における残りの光の除去に対して有効である。しかしながら、所定の光を完全に除去することはできない。
【0317】
そこで、上述のように、第2照射光のピーク波長を、第1照射光の隣り合うピーク波長長の間に位置させる。第1照射光の隣り合うピーク波長の間では、第1照射光の光強度が小さい。第2照射光のピーク波長を第1照射光の光強度が小さい波長帯域に位置させることは、第2測定光における所定の光を更に低減するために有効である。
【0318】
ダイクロイックミラー35と光学フィルタ12に、ハーフミラーを用いても良い。第1光源と第2光源が同時点灯されている場合、第1照射光と第2照射光が同時に、被検体に照射される。ハーフミラーを用いると、第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、第1照射光B、及び第2照射光G2’が、第2イメージャ14に向かって進行する。
【0319】
この場合も、バンドパスフィルタ16を配置することで、第1照射光R、第1照射光G1、及び第1照射光Bを、バンドパスフィルタ16で反射することができる。その結果、第2照射光G2’と所定の光G2だけを、第2測定光として第2イメージャ14に入射させることができる。
【0320】
(本実施形態の光学装置6)
本実施形態の光学装置では、第1光源の点灯と第2光源の点灯を交互に行うことが好ましい。
【0321】
図15は、測定光を示す図である。
図15(a)は、第1状態の測定光を示す図である。
図15(b)は、第2状態の測定光を示す図である。
図14と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0322】
この光学装置では、第1光源の点灯と第2光源の点灯を交互に行うことができる。交互点灯によって、第1状態と第2状態が生じる。
【0323】
第1状態では、第1光源は点灯し、第2光源は消灯している。そのため、
図15(a)に示すように、第1照射光(第1照射光R、第1照射光G1、所定の光G2、及び第1照射光B)が、第1イメージャ13と第2イメージャ14に入射する。
【0324】
第1イメージャ13上に、第1照射光による光学像が形成される。第1イメージャ13では、光学像の取得が行われる。その結果、第1イメージャ13から、被検体の画像情報を出力される。
【0325】
第2イメージャ14上に、第1照射光による光学像が形成される。第1照射光は、誤差情報を生じる光である。第2イメージャ14上に誤差情報を生じる光による光学像が形成されるが、第2イメージャ14では光学像の取得は行われない。その結果、第2イメージャ14からは、距離情報も誤差情報も出力されない。
【0326】
第2状態では、第1光源は消灯し、第2光源は点灯している。そのため、
図15(b)に示すように、第2照射光(第2照射光G2’)が、第1イメージャ13と第2イメージャ14に入射する。
【0327】
第1イメージャ13上に、第2照射光による光学像が形成される。第1イメージャ13では、光学像の取得は行われない。その結果、第1イメージャ13から、被検体の画像情報は出力されない。
【0328】
第2イメージャ14上に、第2照射光による光学像が形成される。第2イメージャ14では、光学像の取得が行われる。その結果、第2イメージャ14からは、距離情報が出力される。
【0329】
第2状態では、第1照射光は存在しないので、第2イメージャ14上に第1照射光による光学像が形成されない。すなわち、第2イメージャ14上には、誤差情報を生じる光による光学像が形成されない。この場合、第2イメージャ14で光学像の取得を行っても、第2イメージャ14から出力される距離情報に誤差情報が含まれない。よって、高い精度で距離の測定を行うことができる。
【0330】
光学装置では、集光部から、第1照射光と第2照射光が射出される。第1照射光と第2照射光は、導光部材の入射端面に入射する。以下、導光部材について説明する。
【0331】
(本実施形態の光学装置7)
本実施形態の光学装置では、挿入部は1つの入射端面を有し、1つの入射端面は、第1入射領域と、第2入射領域と、を有し、第1入射領域に、第1照射光が入射し、第2入射領域に、第2照射光が入射することが好ましい。
【0332】
図16は、入射端面と入射領域を示す図である。
図16(a)は、入射端面を示す図である。
図16(b)は、入射領域の第1例を示す図である。
図16(c)は、入射領域の第2例を示す図である。
図1と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0333】
この光学装置では、光源部側に、導光部材70と、平行平板71が配置されている。
図16(a)に示すように、導光部材70は、入射端面70aを有する。入射端面70a側には、平行平板71が配置されている。入射端面70aに、第1照射光L
Wと第2照射光L
TOFが入射する。
【0334】
図16(b)に示すように、入射端面70aは、第1入射領域72と、第2入射領域73と、を有する。第1入射領域72には、第1照射光L
Wが入射する。第2入射領域73には、第2照射光L
TOFが入射する
【0335】
図16(c)に示すように、入射端面70aは、第1入射領域72と、第2入射領域73と、第
2入射領域74と、を有する。第1入射領域72には、第1照射光L
Wが入射する。第2入射領域73と第
2入射領域74には、第2照射光L
TOFが入射する。
【0336】
図16(b)に示す入射端面70aでは、第1入射領域の数と第2入射領域の数は、共に、1つである。
図16(c)に示す入射端面70aでは、第1入射領域の数は1つで、第2入射領域の数は2つである。
【0337】
平行平板71には、ダイクロイックミラー、又はハーフミラーを用いることができる。平行平板71がダイクロイックミラーの場合、第1照射光LWは第2領域に入射しない。第2照射光LTOFだけが第2領域に入射する。平行平板71がハーフミラーの場合、第2照射光LTOFだけでなく、第1照射光LWも第2領域に入射する。
【0338】
平行平板71がハーフミラーの場合、第1光源4から平行平板71までの間に、遮光部材を配置しても良い。遮光部材では、第2領域に対応する部分が遮光されるようにする。このようにすると、第1照射光LWは第2領域に入射しない。よって、第2照射光LTOFだけを、第2領域に入射させることができる。
【0339】
この光学装置では、第1照射光の導光と第2照射光の導光で、同じ導光部材が共用されている。導光部材の構成は、導光部材の全体形状1(後述)に示す通りである。挿入部とそれに連なる導光部材を共用化できるため、細径化のために効果がある。
【0340】
この光学装置では、後述の光学装置11のように、射出端面が複数あるときにも、予め決められた1つの射出端面に導光される。入射端面の第2領域に第2照射光を入射させると共に、第2照射光を1つの射出端面から射出させることで、細径化のみならず、距離の測定を精度よく行うことも可能になる。
【0341】
(本実施形態の光学装置8)
本実施形態の光学装置では、挿入部は、複数の入射端面を有し、複数の入射端面は、空間的に分離されおり、第1照射光が入射する入射端面と第2照射光が入射する入射端面は異なることが好ましい。
【0342】
この光学装置では、
図3(b)に示す光源部37を用いることができる。光源部37は、並列入射タイプの光源部である。光源部37では、光源部側に、2つの導光部材が配置されている。光源部37は、導光部材38と、導光部材39と、を有する。導光部材38と導光部材39は、挿入部に配置されている。
【0343】
導光部材38は、入射端面38aを有する。導光部材39は、入射端面39aを有する。このように、光学装置では、挿入部は2つの入射端面を有する。
【0344】
光学装置では、入射端面38aと入射端面39aは、空間的に分離されている。入射端面38aには、第1照射光LWが入射する。入射端面39aには、第2照射光LTOFが入射する。入射端面38aは、第1照射光LWが入射する入射端面である。入射端面39aは、第2照射光LTOFが入射する入射端面である。
【0345】
この光学装置では、2つの入射端面が空間的に分離されているので、同軸入射タイプの光源部(
図3(a)参照)を使うことなく、第1照射光と第2照射光を、導光部材に入射させことができる。
【0346】
また、入射端面と一対一に対応する射出端面を設けることができる。この場合、第2照射光LTOFだけを、確実に導光部材から射出させることができる。
【0347】
「複数の入射端面が空間的に分離されている」とは、例えば、複数の入射端面が第1入射端面と第2入射端面とを有する場合、第1入射端面を有する導光部材と第2入射端面を有する導光部材が、独立して機能していることを意味する。2つの導光部材の間に空間が形成されていても、2つの導光部材が接触していても良い。
【0348】
(光学装置8:第13例)
本実施形態の光学装置では、第2光源は、本体部に配置されていることが好ましい。
【0349】
この光学装置では、
図3(b)に示す光源部37を用いることができる。光源部37は、並列入射タイプの光源部である。光源部37では、導光部材38は、入射端面38aを有する。導光部材39は、入射端面39aを有する。このように、光源部37では、光学装置は、入射端面38aと、入射端面39aと、を有する。入射端面38aは、第1入射端面である。入射端面39aは、第2入射端面である。
【0350】
入射端面38aと入射端面39aは、空間的に分離されている。入射端面38aには、第1照射光LWが入射する。入射端面39aには、第2照射光LTOFが入射する。
【0351】
光源部37では、第2照射光LTOFを入射させる導光部材は、第1照射光LWを入射させる導光部材と異なる。そのため、光源部37を光学装置用いると、第2光源32だけを、本体部3の内部に配置することができる。
【0352】
図17は、光学装置を示す図である。
図1と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0353】
光学装置80は、第1光源部81と、第2光源部82と、本体部3と、を有する。光学装置80では、第1光源部81は、本体部3から離れた場所に配置されている。第2光源部82は、本体部3の内部に配置されている。
【0354】
第1光源部81は、第1光源84と、第1光源制御部85と、第1集光部86と、を有する。第2光源部82は、第2光源87と、第2光源制御部88と、第2集光部89と、を有する。
【0355】
光学装置80では、本体部3は、導光部材83を有する。導光部材83は、光源部側で、2つの導光部材に分かれている。よって、導光部材83は、第1入射端面83’aと、第2入射端面83”aと、射出端面83bと、を有する。
【0356】
第1入射端面83’aは、第1集光部86と対向している。第2入射端面83”aは、第2集光部89と対向している。射出端面83bは、レンズ10と対向している。
【0357】
上述のように、導光部材の全長が長くなるほど、誤差dが大きくなる。光学装置80では、第2光源部82は、本体部3の内部に配置されている。そのため、第2入射端面83”aから射出端面83bまでの長さは、第1入射端面83’aから射出端面83bまでの長さに比べて短い。よって、本実施形態の光学装置では、パルス形状の変化を少なくすることができる。その結果、誤差情報を低減することができる。
【0358】
図18は、光学装置を示す図である。
図1及び
図17と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0359】
光学装置90は、第1光源部81と、第2光源部82と、本体部3と、を有する。光学装置90では、第1光源部81は、本体部3から離れた場所に配置されている。第2光源部82は、本体部3の内部に配置されている。
【0360】
光学装置90では、本体部3は、導光部材91と、導光部材92と、を有する。導光部材91は、入射端面91aと、射出端面91bと、を有する。導光部材92は、入射端面92aと、射出端面92bと、を有する。
【0361】
入射端面91aは、第1集光部86と対向している。入射端面92aは、第2集光部89と対向している。射出端面91bは、レンズ10と対向している。射出端面92bは、レンズ93と対向している。
【0362】
上述のように、導光部材の全長が長くなるほど、誤差dが大きくなる。光学装置90では、第2光源部82は、本体部3の内部に配置されている。そのため、入射端面92aから射出端面92bまでの長さは、入射端面91aから射出端面91bまでの長さに比べて短い。よって、本実施形態の光学装置では、パルス形状の変化を少なくすることができる。その結果、誤差情報を低減することができる。
【0363】
(光学装置8:第14例)
本実施形態の光学装置では、第2照射光が入射する入射端面における第2照射光の入射角は、9.9°以下であることが好ましい。
【0364】
光学装置として、光学装置80(図17)、又は、光学装置90(図18)を用いることができる。光学装置80、又は光学装置90では、第2照射光LTOFを伝搬する導光部材の長さを短くすることができる。
【0365】
この光学装置は、軟性内視鏡に用いることができる。この場合、軟性内視鏡には、光学装置80、又は光学装置90が用いられる。光学装置80と光学装置90では、光源部60(
図7参照)が用いられている。
【0366】
図7に示すように、第2照射光L
TOFは、集光された状態で入射端面67aに入射する。よって、角度が0°からθ2までの様々な角度で、第2照射光L
TOFが入射端面67aに入射する。
【0367】
この光学装置でも、約10%の誤差で病変部のサイズを測定できると、測定結果を病変部の確定診断に利用することができる。上述のように、5cmの距離に対して、誤差を10%に抑えるためには、誤差を5mmとすると、dは10mm以内にする必要がある。
【0368】
上述のように、軟性内視鏡には、光学装置80、又は光学装置90が用いられている。このような軟性内視鏡では、第2光源部82を内視鏡の操作部に設置することができる。この場合、Lの値は1000mmになる。n=1.5、d=10mmとすると、θ≒9.9°になる。
【0369】
よって、軟性内視鏡に光学装置80が用いられる場合、入射端面83”aにおける第2照射光LTOFの入射角は、9.9°以下にすると良い。このようにすることで、パルス形状の変化を少なくすることができる。その結果、誤差情報を低減することができる。
【0370】
内視鏡の操作部は、本体部3の一部に設置されている。操作部は、使用者が内視鏡の把持と、挿入部の操作のために使用される。操作部の内部、又は操作部の周囲には、第2光源部82を収容するスペースを確保することができる。よって、第2光源部82を本体部3の内部に配置することで、第2光源部82を入射端面83’a側に配置する場合に比べて、Lの値を小さくすることができる。
【0371】
(光学装置8:第15例)
本実施形態の光学装置では、第2照射光が入射する入射端面における第2照射光の入射角は、4.4°以下であることが好ましい。
【0372】
上述のように、軟性内視鏡では、約1cmの距離から、上部消化管の表面を観察する場合がある。この場合、誤差を10%以下にするためには、dは0.2mm以内にする必要がある。
【0373】
上述のように、軟性内視鏡には、光学装置80、又は光学装置90が用いられている。このような軟性内視鏡では、Lの値は1000mmになる。n=1.5、d=0.2mmとすると、θ≒4.4°になる。
【0374】
よって、軟性内視鏡に光学装置90が用いられる場合、入射端面92aにおける第2照射光LTOFの入射角は、4.4°以下にすると良い、このようにすることで、パルス形状の変化を少なくすることができる。その結果、誤差情報を低減することができる。
【0375】
(光学装置8:第16例)
本実施形態の光学装置では、第2入射端面の面積は、第1入射端面の面積よりも小さいことが好ましい。
【0376】
光学装置は光源部37(
図3(b)参照)を用いることができる。上述のように、光源部37は、入射端面38aと、入射端面39aと、を有する。入射端面38aは、第1入射端面である。入射端面39aは、第2入射端面である。入射端面38aには、第1照射光L
Wが入射する。入射端面39aには、第2照射光L
TOFが入射する。
【0377】
光学装置が2つの入射端面を有する場合、
図17と
図18に示すように、一方の入射端面を、本体部の内部に配置することができる。
【0378】
上述のように、入射端面39a、すなわち、第2入射端面には、第2照射光LTOFが入射する。また、誤差情報を低減するためには、第2照射光LTOFが伝搬する導光部材は全長が短いほうが良い。よって、第2入射端面を、本体部の内部に配置すると良い。
【0379】
ただし、本体部は小型であることが望ましい。この光学装置では、第2入射端面の面積が、第1入射端面の面積よりも小さい。そのため、本体部を大きくすることなく、誤差情報を低減することができる。
【0380】
(光学装置9)
本実施形態の光学装置では、挿入部は、1つの射出端面を有し、射出端面は、第1射出領域と、第2射出領域と、を有し、第1射出領域から、第1照射光が射出され、第2射出領域から、第2照射光が射出されることが好ましい。
【0381】
図19は、射出端面と射出領域を示す図である。
図19(a)は、射出端面を示す図である。
図19(b)は、射出領域の第1例を示す図である。
図19(c)は、射出領域の第2例を示す図である。
図16(a)に示す導光部材70を用いて説明する。
【0382】
この光学装置では、被検体側に、1つの導光部材が配置されている。
図19(a)に示すように、導光部材70は、射出端面70bを有する。射出端面70bから、第1照射光L
Wと第2照射光L
TOFが射出される。
【0383】
図19(b)に示すように、射出端面70bは、第1射出領域75と、第2射出領域76と、を有する。第1射出領域75から、第1照射光L
Wが射出される。第2射出領域76から、第2照射光L
TOFが射出される。
【0384】
図19(c)に示すように、射出端面70bは、第1射出領域75と、第2射出領域76と、第
2射出領域77と、を有する。第1射出領域75から、第1照射光L
Wが射出される。第2射出領域76と第
2射出領域77から、第2照射光L
TOFが射出される。
【0385】
図19(b)に示す射出端面70bでは、第1射出領域の数と第2射出領域の数は、共に、1つである。
図19(c)に示す射出端面70bでは、第1射出領域の数は1つで、第2射出領域の数は2つである。
【0386】
入射端面の数は1つに限られない。1つの射出端面と、複数の入射端面と、を有する導光部材を用いても良い。例えば、導光部材70の代わりに、導光部材83(図17参照)を用いることができる。
【0387】
(光学装置10)
本実施形態の光学装置では、挿入部は、複数の射出端面を有し、複数の射出端面は、空間的に分離されおり、第1照射光が射出される射出端面と第2照射光が射出される射出端面は異なることが好ましい。
【0388】
図20は、射出端面を示す図である。
図3(b)に示す導光部材38と導光部材39を用いて説明する。
【0389】
この光学装置では、被検体側に、2つの導光部材が配置されている。
図20に示すように、光学装置は、導光部材38と、導光部材39と、を有する。導光部材38と導光部材39は、挿入部に配置されている。
【0390】
導光部材38は、射出端面38bを有する。導光部材39は、射出端面39bを有する。このように、この光学装置では、挿入部は2つの射出端面を有する。
【0391】
この光学装置では、射出端面38bと射出端面39bは、空間的に分離されている。射出端面38bから、第1照射光LWが射出される。射出端面39bから、第2照射光LTOFが射出される。射出端面38bは、第1照射光LWが射出される射出端面である。射出端面39bは、第2照射光LTOFが射出される射出端面である。
【0392】
「複数の射出端面が空間的に分離されている」とは、例えば、複数の射出端面が第1射出端面と第2射出端面とを有する場合、第1射出端面を有する導光部材と第2射出端面を有する導光部材が、独立して機能していることを意味する。2つの導光部材の間に空間が形成されていても、2つの導光部材が接触していても良い。
【0393】
入射端面の数は1つに限られない。2つの射出端面と、複数の入射端面と、を有する導光部材を用いても良い。
【0394】
(導光部材の全体形状)
上述のように、入射端面と射出端面の数は、各々、1つ又は複数にすることができる。そのため、導光部材の全体形状を、様々な形状にすることができる。
【0395】
(導光部材の全体形状1)
本実施形態の光学装置における導光部材では、第1照射光と第2照射光を、1つの導光部材に入射させることが好ましい。
【0396】
導光部材について説明する。
図21は、導光部材を示す図である。
図21(a)は、導光部材の第1例を示す図である。
図21(b)は、導光部材の第2例を示す図である。
図21(c)は、導光部材の第3例を示す図である。
図21(d)は、導光部材の第4例を示す図である。
【0397】
導光部材100は、
図21(a)に示すように、入射端面100aと、射出端面100bと、を有する。導光部材100では、入射端面の数と射出端面の数は、共に、1つである。入射端面100aには、第1照射光L
Wと第2照射光L
TOFが一緒に入射する。射出端面100bからは、第1照射光L
Wと第2照射光L
TOFが一緒に射出される。
【0398】
導光部材100を用いることで、後述の導光部材104に比べて、挿入部を細くすることができる。
【0399】
導光部材101は、
図21(b)に示すように、入射端面101aと、射出端面101’bと、射出端面101”bと、を有する。導光部材101は、被検体側で、導光部材101’と導光部材101”に分かれている。導光部材101’は、射出端面101’bを有する。導光部材101”は、射出端面101”bを有する。
【0400】
導光部材101では、入射端面の数は1つで、射出端面の数は2つである。入射端面101aには、第1照射光LWと第2照射光LTOFが一緒に入射する。射出端面101’bからは、第1照射光LWが射出される。射出端面101”bからは、第2照射光LTOFが射出される。
【0401】
導光部材102は、
図21(c)に示すように、入射端面102aと、射出端面102’bと、射出端面102”bと、を有する。導光部材102は、被検体側で、導光部材102’と導光部材102”に分かれている。導光部材102’は、射出端面102’bを有する。導光部材102”は、射出端面102”bを有する。
【0402】
導光部材102では、入射端面の数は1つで、射出端面の数は2つである。入射端面102aには、第1照射光LWと第2照射光LTOFが一緒に入射する。射出端面102’bからは、第1照射光LWが射出される。射出端面102”bからは、第1照射光LWと第2照射光LTOFが射出される。
【0403】
導光部材102を有する光学装置は、内視鏡に使用することができる。内視鏡では、影の無い画像、又は明るさムラのない画像を得るために、第1照射光L
W
を複数の射出端面から照射することが多い。導光部材102では、2つの射出端面から第1照射光LWが射出される。そのため、影のない画像、又は明るさムラのない画像を得ることができる。
【0404】
導光部材102では、第2照射光L
TOFは射出端面102”bだけから射出される。
図16(b)において、第2入射領域73に第2照射光L
TOFを入射させることで、第2照射光L
TOFの射出端面として、射出端面102”
bを選択できる。
【0405】
導光部材103は、
図21(d)に示すように、入射端面103aと、射出端面103’bと、射出端面103”bと、を有する。導光部材103は、被検体側で、導光部材103’と導光部材103”に分かれている。導光部材103’は、射出端面103’bを有する。導光部材103”は、射出端面103”bを有する。
【0406】
導光部材103では、入射端面の数は1つで、射出端面の数は2つである。入射端面103aには、第1照射光LW、第2照射光LTOF、及び第2照射光LTOF’が一緒に入射する。射出端面103’bからは、第1照射光LWがと第2照射光LTOF射出される。射出端面103”bからは、第1照射光LWと第2照射光LTOF’が射出される。第2照射光LTOF’の波長帯域は、第2照射光LTOFの波長帯域と異なる。
【0407】
導光部材103では、導光部材102と同様に、2つの射出端面から第1照射光LWが射出される。そのため、導光部材103を有する光学装置を内視鏡に使用することで、影のない画像、又は明るさムラのない画像を得ることができる。
【0408】
導光部材103では、第2照射光LTOFと第2照射光LTOF’が射出可能である。そのため、例えば、第2照射光LTOFで距離の測定が難しい場合であっても、第2照射光LTOF’で距離の測定を行うことができる。
第2照射光LTOFの波長帯域と第2照射光LTOF’の波長帯域は、同じであっても、異なっていても良い。第2照射光LTOFの射出と第2照射光LTOF’の射出は、同時に行われない。
【0409】
導光部材103では、射出端面103’bから第2照射光L
TOFが射出され、射出端面103”bから第2照射光L
TOF’が射出される。
図16(c)において、第2入射領域73に第2照射光L
TOFを入射させることで、第2照射光L
TOFの射出端面として、射出端面103’bを選択できる。第
2入射領域74に第2照射光L
TOF’を入射させることで、第2照射光L
TOF’の射出端面として、射出端面103”bを選択できる。
【0410】
(導光部材の全体形状2)
本実施形態の光学装置における導光部材では、第1照射光と第2照射光を、別々の入射端面に入射させること好ましい。
【0411】
導光部材について説明する。
図22は、導光部材を示す図である。
図22(a)は、導光部材の第5例を示す図である。
図22(b)は、導光部材の第6例を示す図である。
図22(c)は、導光部材の第7例を示す図である。
図22(d)は、導光部材の第8例を示す図である。
【0412】
導光部材104は、
図22(a)に示すように、入射端面105aと、入射端面106aと、射出端面105bと、射出端面106bと、を有する。導光部材104は、導光部材105と導光部材106に分かれている。導光部材105は、入射端面105aと、射出端面105bと、を有する。導光部材106は、入射端面106aと、射出端面106bと、を有する。
【0413】
導光部材104では、入射端面の数は2つで、射出端面の数は2つである。入射端面105aには、第1照射光LWが入射する。入射端面106aには、第2照射光LTOFが入射する。射出端面105bからは、第1照射光LWが射出される。射出端面106bからは、第2照射光LTOFが射出される。
【0414】
導光部材107は、
図22(b)に示すように、入射端面108aと、入射端面109aと、射出端面108’bと、射出端面108”bと、射出端面109bと、を有する。
【0415】
導光部材107は、導光部材108と導光部材109に分かれている。導光部材108は、被検体側で、導光部材108’と導光部材108”に分かれている。導光部材108は、入射端面108aと、射出端面108’bと、射出端面108”bと、を有する。導光部材109は、入射端面109aと、射出端面109bと、を有する。
【0416】
導光部材107では、入射端面の数は2つで、射出端面の数は3つである。入射端面108aには、第1照射光LWが入射する。入射端面109aには、第2照射光LTOFが入射する。射出端面108’bと射出端面108”bからは、第1照射光LWが射出される。射出端面109bからは、第2照射光LTOFが射出される。
【0417】
導光部材107では、導光部材102と同様に、2つの射出端面から第1照射光LWが射出される。そのため、導光部材107を有する光学装置を内視鏡に使用することで、影のない画像、又は明るさムラのない画像を得ることができる。
【0418】
導光部材110は、
図22(c)に示すように、入射端面111aと、入射端面112aと、入射端面113aと、射出端面111’bと、射出端面111”bと、射出端面112bと、射出端面113bと、を有する。
【0419】
導光部材110は、導光部材111と、導光部材112と、導光部材113と、に分かれている。導光部材111は、被検体側で、導光部材111’と導光部材111”に分かれている。導光部材111は、入射端面111aと、射出端面111’bと、射出端面111”bと、を有する。
【0420】
導光部材112は、入射端面112aと、射出端面112bと、を有する。導光部材113は、入射端面113aと、射出端面113bと、を有する。
【0421】
導光部材110では、入射端面の数は3つで、射出端面の数は4つである。入射端面111aには、第1照射光LWが入射する。入射端面112aには、第2照射光LTOFが入射する。入射端面113aには、第2照射光LTOF’が入射する。
【0422】
射出端面111’bと射出端面111”bからは、第1照射光LWが射出される。射出端面112bからは、第2照射光LTOFが射出される。射出端面113bからは、第2照射光LTOF’が射出される。
【0423】
導光部材110では、導光部材102と同様に、2つの射出端面から第1照射光LWが射出される。そのため、導光部材110を有する光学装置を内視鏡に使用することで、影のない画像、又は明るさムラのない画像を得ることができる。
【0424】
導光部材110では、導光部材103と同様に、第2照射光LTOFと第2照射光LTOF’が射出可能である。そのため、例えば、第2照射光LTOFで距離の測定が難しい場合であっても、第2照射光LTOF’で距離の測定を行うことができる。
【0425】
第2照射光LTOFの波長帯域と第2照射光LTOF’の波長帯域は、同じであっても、異なっていても良い。第2照射光LTOFの射出と第2照射光LTOF’の射出は、同時に行われない。
【0426】
導光部材114は、
図22(d)に示すように、入射端面114’aと、入射端面114”aと、射出端面114bと、を有する。導光部材114は、入射端側で、導光部材114’と導光部材114”に分かれている。導光部材114’は、入射端面114’aを有する。導光部材114”は、入射端面114”aを有する。
【0427】
導光部材114では、入射端面の数は2つで、射出端面の数は1つである。入射端面114’aには、第1照射光LWが入射する。入射端面114”aには、第2照射光LTOFが入射する。射出端面114bからは、第1照射光と第2照射光LTOFが一緒に射出される。
【0428】
(光学装置11)
本実施形態の光学装置では、挿入部は、複数の射出端面を有し、第2照射光は、予め決められた1つの射出端面だけから射出されることが好ましい。
【0429】
光学装置では、挿入部は複数の射出端面を有することができる。この場合、
図21(c)、又は
図22(b)に示すように、第1照射光L
Wは複数の射出端面から射出し、第2照射光L
TOFは単一の射出端面だけから射出させると良い。すなわち、第2照射光L
TOFは、2以上の射出端面から同時に射出されないようにする。
【0430】
第1照射光LWは、画像取得のために用いられる。上述のように、内視鏡では、影の無い画像、又は明るさムラのない画像を得るために、第1照射光LWを複数の射出端面から照射することが多い。一方、第2照射光LTOFは、距離の測定のために用いられる。
【0431】
複数の射出端面から第2照射光LTOFを射出させると、各々の第2照射光LTOFは異なる経路で第2イメージャに到達する。この場合、各々の第2照射光LTOFは、異なる時間遅れを持つ。そのため、各々の第2照射光LTOFを合成すると、合成されたパルス光の形状は、第2光源を射出したときのパルス光の形状と異なってしまう。そのため、合成されたパルス光では正しい距離を測定することができない。
【0432】
ひとつの射出端面から射出されたパルス光も、射出端面から斜入射された光の被検体からの戻り光を利用しているので、被検体の各点と光学装置の先端との距離は、パルス光の時間遅れと単純な比例関係にはない。しかし、一つの射出端面からのパルス光であれば、2個の別の時間遅れを生じているパルス光の合成ではない。この場合、正確な時間遅れを測定できる。そのため、画素毎に決められるテーブルに従って、距離を定めることができる。
【0433】
また、
図21(c)に示す導光部材102では、第2照射光L
TOFの光強度分布が、ガウス分布のように周辺まで尾を引いた分布になっている場合がある。この場合、第2照射光L
TOFの全ては、
図16(b)に示す入射領域73に入射できず、光強度分布の周辺の光は入射領域73の外側に入射する可能性がある。
【0434】
そうすると、光学装置の導光部材に、例えば、
図21(c)に示す導光部材102を用いる場合、射出端面102”bだけではなく、射出端面102’bからも第2照射光L
TOFが射出されてしまう可能性がある。
【0435】
上述のように、複数の射出端面から第2照射光LTOFを射出させると、正しい距離を測定することができない。しかし、射出端面102’bからの第2照射光LTOFの比率が概ね10%以下であれば、距離の測定を精度良く行うことが可能である。
【0436】
(光学装置12:第17例)
本実施形態の光学装置では、挿入部は、複数の射出端面を有し、2つ以上の射出端面から、第2照射光が射出され、第2照射光は、同時刻には1つの射出端面のみから射出されることが好ましい。
【0437】
図23は、本実施形態の光学装置と入射領域を示す図である。
図23(a)は、光学装置を示す図である。
図23(b)は、入射領域を示す図である。
図1と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0438】
光学装置120は、光源部2と、本体部3と、を有する。光学装置120では、光源部2は、本体部3から離れた場所に配置されている。
【0439】
光学装置120では、本体部3は、導光部材121を有する。導光部材121は、入射端面121aと、射出端面121’bと、射出端面121”bと、を有する。光学装置120は、1つの入射端面と、2つの射出端面と、を有する。
【0440】
導光部材121は、被検体側で、導光部材121’と導光部材121”とに分かれている。導光部材121’と導光部材121”は、挿入部8に配置されている。導光部材121’は、射出端面121’bを有する。導光部材121”は、射出端面121”bを有する。光学装置120では、挿入部8は2つの射出端面を有する。
【0441】
入射端面121aは、集光部7と対向している。射出端面121’bは、レンズ10と対向している。射出端面121”bは、レンズ122と対向している。
【0442】
入射端面121aには、第1照射光L
Wと第2照射光L
TOFが入射する。
図23(b)に示すように、入射端面121aは、第1照射光L
Wが入射する第1入射領域123と、第2照射光L
TOFが入射する第2入射領域124に分かれている。第2入射領域124は、入射領域124aと入射領域124bに分かれている。
【0443】
第1入射領域123に対応する射出領域は、射出端面121’bに位置している。第2入射領域124に対応する射出領域は、射出端面121’bと射出端面121”bに位置している。例えば、入射領域124aに対応する射出領域は、射出端面121’bに位置している。入射領域124bに対応する射出領域は、射出端面121”bに位置している。
【0444】
よって、射出端面121’bからは、第1照射光LWと第2照射光LTOFが射出される。射出端面121”bからは、第2照射光LTOFのみが射出される。
【0445】
光学装置120では、2つの射出端面から第2照射光LTOFが射出可能である。その結果、光学装置120では、距離の測定に、射出端面121’bから射出される第2照射光LTOF(以下、「第2照射光LTOF1」という)と、射出端面121”bから射出される第2照射光LTOF(以下、「第2照射光LTOF2」という)を用いることができる。
【0446】
例えば、被検体の凹凸のために第2照射光LTOF1で距離の測定が難しい場合であっても、第2照射光LTOF2で距離の測定を行うことができる可能性がある。第2照射光LTOF1の波長帯域と第2照射光LTOF2の波長帯域は、同じであっても、異なっていても良い。
【0447】
上述のように、複数の射出端面から第2照射光LTOFを射出させると、正しい距離を測定することができない。よって、第2照射光LTOF1の射出と第2照射光LTOF2の射出は、同時に行われない。
【0448】
(光学装置12:第18例)
図24は、本実施形態の光学装置を示す図である。
図1及び
図18と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0449】
光学装置130は、光源部2と、第2光源部82と、本体部3と、を有する。光学装置130では、光源部2は、本体部3から離れた場所に配置されている。第2光源部82は、本体部3の内部に配置されている。
【0450】
光学装置130では、本体部3は、導光部材131と、導光部材92と、を有する。導光部材131は、入射端面131aと、射出端面131bと、を有する。導光部材92は、入射端面92aと、射出端面92bと、を有する。光学装置130は、2つの入射端面と、2つの射出端面と、を有する。
【0451】
導光部材131と導光部材92は、挿入部8に配置されている。光学装置130では、挿入部8は2つの射出端面を有する。
【0452】
入射端面131aは、集光部7と対向している。入射端面92aは、第2集光部89と対向している。射出端面131bは、レンズ10と対向している。射出端面92bは、レンズ93と対向している。
【0453】
入射端面131aには、第1照射光LWと第2照射光LTOFが入射する。よって、射出端面131bからは、第1照射光LWと第2照射光LTOFが射出される。入射端面92aには、第2照射光LTOFのみが入射する。よって、射出端面92bからは、第2照射光LTOFのみが射出される。
【0454】
光学装置130では、2つの射出端面から第2照射光LTOFが射出可能である。その結果、光学装置130では、距離の測定に、射出端面131bから射出される第2照射光LTOF(以下、「第2照射光LTOF3」という)と、射出端面92bから射出される第2照射光LTOF(以下、「第2照射光LTOF4」という)を用いることができる。
【0455】
例えば、第2照射光LTOF3で距離の測定が難しい場合であっても、第2照射光LTOF4で距離の測定を行うことができる。第2照射光LTOF3の波長帯域と第2照射光LTOF4の波長帯域は、同じであっても、異なっていても良い。第2照射光LTOF3の射出と第2照射光LTOF4の射出は、同時に行われない。
【0456】
光学装置120と光学装置130では、第1射出端面と第2射出端面とから、第2照射光LTOFが射出可能になっている。よって、距離の測定に、第1射出端面から射出される第2照射光LTOFと、第2射出端面から射出される第2照射光LTOFの少なくとも一方を用いることができる。
【0457】
(光学装置13)
本実施形態の光学装置では、2つ以上の射出端面は、第1射出端面と、第2射出端面と、を有し、第1射出端面と第2射出端面では、第1射出端面からの第2照射光の射出と、第2射出端面からの第2照射光の射出と、が交互に行われることが好ましい。
【0458】
光学装置120(
図23参照)では、射出端面121’bから、第1照射光L
Wと第2照射光L
TOFが射出される。射出端面121”bから、第2照射光L
TOFのみが射出される。射出端面121’bは、第1
射出端面である。射出端面121”bは、第2射出端面である。よって、光学装置120では、第1
射出端面と第2射出端面の両方から、第2照射光L
TOFが射出可能である。
【0459】
入射端面121aから射出端面121’bまでの距離と、入射端面121aから射出端面121”bまでの距離と、は異なる。この場合、射出端面121’bから射出された第2照射光LTOFと、射出端面121”bから射出された第2照射光LTOFと、の間で時間差が生じる。そのため、2つの第2照射光LTOFを同時に被検体に照射すると、精度良く距離を測定することができない。
【0460】
光学装置では、射出端面121’bからの第2照射光LTOFの射出と、射出端面121”bからの第2照射光LTOFの射出と、を交互に行うことができる。この場合、1つの第2照射光LTOFが被検体に照射される。そのため、精度良く距離を測定することができる。
【0461】
また、一方の第2照射光LTOFで照明できなかった場所を、他方の第2照射光LTOFで照明できる可能性がある。そのため、測定箇所を増やすことができる。
【0462】
光学装置130(
図24参照)でも、第1
射出端面と第2射出端面の両方から、第2照射光L
TOFが射出可能である。よって、光学装置130でも、光学装置120と同じ作用効果が得られる。
【0463】
(光学装置14)
本実施形態の光学装置では、第1照射光でも、光強度が時間的に変調され、第1照射光における変調と第2照射光における変調とが同じであることが好ましい。
【0464】
第2照射光では、光強度が時間的に変調されている。この時間的な変調は、光源制御部で行われる。本実施形態の光学装置では、第2照射光と同じように、第1照射光でも、光強度が時間的に変調されている。
【0465】
このようにすることで、第1光源に可干渉性の高い光源を用いても、スペックルの発生を抑制することができる。よって、第1照射光を用いた照明において、均一な照明ができる。
【0466】
(光学装置15)
本実施形態の光学装置では、被検体からの戻り光が入射する光学系は1つであることが好ましい。
【0467】
光学装置1(
図1参照)では、被検体からの戻り光が入射する光学系は、光学系11だけである。この場合、第1イメージャ13と第2イメージャ14には、同一形状の光学像が形成される。そのため、画像情報と距離情報との間にずれが生じない。その結果、画像情報と距離情報との対応付けが容易にできる。
【0468】
(光学装置16)
本実施形態の光学装置では、画像情報の取得と距離情報の取得が同時に行われることが好ましい。
【0469】
画像情報の取得と距離情報の取得が同時に行えるので、短時間で情報を取得できる。
【0470】
(光学装置17)
本実施形態の光学装置では、画像情報の取得と距離情報の取得が、交互に行われることが好ましい。
【0471】
図14に示すように、第2測定光には、第1照射光L
Wと第2照射光L
TOFとが含まれている場合ある。この場合、交互点灯を行うことで、画像情報の取得と距離情報の取得が、交互に行われる。
【0472】
この場合、第2測定光には第2照射光LTOFだけが含まれるので、第2測定光におけるSN比を向上させることができる。その結果、距離情報を正確に取得することができる。更に、第1測定光には、第1照射光LWのほとんどが入射するので、カラーバランスのとれた画像を得ることができる。
【0473】
(光学装置18)
本実施形態の光学装置では、光学系は、ハーフミラーを有し、ハーフミラーに入射した戻り光から、第1測定光と第2測定光とが生じることが好ましい。
【0474】
(内視鏡システム1)
本実施形態の内視鏡システムは、上述の光学装置と、処理装置と、を有し、処理装置は、支援情報を生成する支援情報生成部を有し、支援情報は、画像情報と距離情報に基づいて生成され、支援情報には、病変候補領域の位置に関する情報と形状に関する情報と、それに基づいて距離情報により計算した必要な点間の長さが含まれていることを特徴とする。
【0475】
図25は、本実施形態の内視鏡システムを示す図である。
図1と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0476】
内視鏡システム140は、光学装置1と、処理装置141と、を有する。処理装置141は、画像処理回路142と、支援情報生成部143と、を有する。
【0477】
画像処理回路142では、支援用画像が生成される。支援用画像は、画像情報と距離情報に基づいて生成される。
【0478】
上述のように、画像情報は、第1イメージャを用いて取得した情報である。第1イメージャは、微小な受光部を複数有する。各受光部は画像情報を有する。各受光部の画像情報から、被検体の画像を生成することができる。
【0479】
画像情報は、例えば、明るさの情報と色の情報である。よって、第1イメージャから得られた画像(以下、「観察用画像」という、)は、明るさの情報と色の情報に基づいて生成されている。
【0480】
距離情報は、第2イメージャを用いて取得した情報である。第2イメージャは、微小な受光部を複数有する。各受光部は距離情報を有する。各受光部の距離情報から、被検体の画像を生成することができる。
【0481】
病変部と思われる領域(以下、「病変候補領域」という)が、観察用画像に含まれていることがある。この場合、使用者は、支援用画像を用いて、病変候補領域をマーキングすることができる。このように、支援用画像は、通常画像の表示と、通常画像における病変候補領域を指定するために利用することができる。
【0482】
通常画像と別に支援用画像を設置しても良い。その場合、支援用画像における任意の複数の点をマーキングしても良い。例えば、2点をマーキングした場合、マーキングした2点の距離が、支援用画像上に表示される。よって、画像情報と距離を同一画像で見ることができる。マーキングは、例えば、マウス、視線入力、座標入力等によって行うこができる。病変候補領域を囲むように入力しても良い。
【0483】
また、支援用画像では、病変候補領域は、観察用画像と共に表示されている。そのため、支援用画像では、マーキングの範囲を容易に修正できる。
【0484】
支援情報生成部143では、支援情報が生成される。支援情報には、病変候補領域の位置に関する情報と形状に関する情報の少なくともいずれか一方の情報と、それに基づいて距離情報により計算した必要な点間の長さが含まれている。使用者はこの情報を、病変候補領域の診断のための補足情報とすることができる。
【0485】
内視鏡システム140は、コントローラーを備えていても良い。コントローラーは、マーキングした領域又は位置の入力、修正情報の受け取り、支援用画像の表示、支援情報の表示、距離又はサイズの計算に用いられる。
【0486】
(内視鏡システム2)
本実施形態の内視鏡システムでは、観察用画像の画素における傾きを、距離情報に基づいて補完及び推定することが好ましい。
【0487】
観察用画像の各画素と測定用画像の各画素が一対一で対応しない場合、観察用画像の画素における傾きは、測定用画像の画素を複数用いて補完及び推定すれば良い。
【0488】
また、距離を推定は、全画素について行う必要はない。例えば、事前に指定された位置に対応する距離を推定すれば良い。又は、指定されたエリアを代表する位置に対応する距離を推定すれば良い。位置の指定、又エリアの指定は、事前に、マニュアル、又は人工知能によって行うことができる。
【0489】
(内視鏡システム3)
本実施形態の内視鏡システムは、上述の光学装置と、処理装置と、を有し、画像情報に基づいて、被検体の観察用画像が生成され、観察用画像の画素における距離、又は距離と傾きを、距離情報に基づいて補完及び推定し、推定した結果から、長さ情報を取得することを特徴する。
【0490】
図1に示す同軸光学系では、第1イメージャの受光部の数と第2イメージャの受光部の数が同じ場合、観察用画像の各画素と測定用画像の各画素は、一対一で対応する。
図2のような並列光学系では、2つの光学系で、例えば、倍率、又は収差が異なる。そのため、観察用画像の各画素と測定用画像の各画素は、必ずしも一対一で対応しない。
【0491】
さらに、同軸光学系でも並列光学系でも、第2イメージャの受光部の数が、第1イメージャの受光部の数よりも少ない場合もある。この場合も、観察用画像の各画素と測定用画像の各画素は、一対一で対応しない。
【0492】
観察用画像の各画素と測定用画像の各画素が一対一で対応しない場合、一定のルールに従って対応付けを行う必要がある。この対応付けでは、一定のルールに従って、観察用画像の複数の画素に、測定用画像の1つの画素を対応付ける。このようにして、観察用画像の画素における距離は、測定用画像の画素を複数用いて補完及び推定すれば良い。
【0493】
また、距離の推定は、全画素について行う必要はない。例えば、事前に指定された位置に対応する距離を推定すれば良い。又は、指定されたエリアを代表する位置に対応する距離を推定すれば良い。位置の指定、又エリアの指定は、事前に、マニュアル、又はAIによって行うことができる。
【0494】
(内視鏡システム4)
本実施形態の内視鏡システムでは、病変候補領域の特定、病変部の特定、特定後の修正、病変部の抽出、又は病変部の診断を人工知能で行うことが好ましい。
【0495】
人工知能は、コントローラーに設けることができる。病変候補領域の特定は、使用者が行うことができる。しかしながら、変候補領域の特定では、使用者に大きな負荷がかかる場合がある。
【0496】
この内視鏡システムでは、人工知能で、病変候補領域が特定される。そのため、使用者は、特定された病変候補領域の適否を判断すれば良い。その結果、使用者の負担を軽減することができる。また、短時間で、病変候補領域を特定することができる。
【0497】
また、病変部の特定、特定後の修正、病変部の抽出、又は病変部の診断も、人工知能で行うことができる。いずれの場合も、使用者は、適否を判断すれば良い。
【0498】
人工知能による診断では、通常画像または特殊画像を用いることができる。通常画像は、例えば、白色光による照明で得られた画像である。特殊画像は、狭帯域光による照明で得られた画像(NBI画像)である。通常画像または特殊画像に対して、人工知能による画像処理を行っても良い。
【0499】
人工知能で病変部が特定されると、使用者による適否判断が行われる。特定が適切でない場合、病変部を特定する範囲が修正される。特定が適切と判断されると、修正後の病変部が抽出される。抽出された病変部について、長さ、例えば、病変部の長径、又は病変部の短径等が、距離情報に基づいて算出される。算出された長さは、支援用画像に表示される。
【0500】
抽出された病変部は、人工知能によって診断される。よって、更に、長さと共に、診断結果も支援用画像に表示することができる。
【0501】
人工知能による処理時間が十分に短ければ、修正を行う前に、長さの算出と病変部の診断を行うことができる。そして、修正の結果に即して、長さの算出結果と病変部の診断結果を更新し、更新した結果を表示しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0502】
以上のように、本発明に係る発明は、距離情報に含まれる誤差情報が低減されている光学装置、光源装置、集光方法及び内視鏡システムに適している。
【符号の説明】
【0503】
1、20 光学装置
2 光源部
3 本体部
4 第1光源
5 第2光源
6 光源制御部
7 集光部
8 挿入部
9、21 導光部材
9a、21a 入射端面
9b、21b 射出端面
10 レンズ
11、22,23 光学系
12 光学フィルタ
13 第1イメージャ
14 第2イメージャ
15 被検体
16 バンドパスフィルタ
30、37 光源部
31 第1光源
32 第2光源
33、34 レンズ
35 ダイクロイックミラー
36、38、39 導光部材
36a、38a、39a 入射端面
40 第2光源部
40a、40b、40c 第2光源
41 集光部
41a、42b、42c レンズ
42a ミラー
42b、42c ダイクロイックミラー
43a,43b,43c 光学フィルター
50,60 光源部
51、61 集光部
52、53、54、62、63、64、65 レンズ
55 ダイクロイックミラー
56、66、67 導光部材
56a、66a、67a 入射端面
70 導光部材
70a 入射端面
71 平行平板
72 第1入射領域
73、74 第2入射領域
80、90 光学装置
81 第1光源部
82 第2光源部
83、91、92 導光部材
83’a 第1入射端面
83”a 第2入射端面
83b 射出端面
84 第1光源
85 第1光源制御部
86 第1集光部
87 第2光源
88 第2光源制御部
89 第2集光部
91a、92a 入射端面
91b、92b 射出端面
93 レンズ
100、101、101’、101”、102、102’、102”、103、103’、103”、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、114’、114” 導光部材
100a、101a、102a、103a、105a、106a、108a、109a、111a、112a、113a、114’a、114”a 入射端面
100b、101’b、101”b、102’b、102”b、103’b、103”b,105b、106b、108’b、108” b、109b、111’b、111”b、112b、113b、114b 射出端面
120、130 光学装置
121、121’、121”、131 導光部材
121a、131a 入射端面
121’b、121”b、131b 射出端面
122 レンズ
123 第1入射領域
124 第2入射領域
124a、124b 入射領域
140 内視鏡システム
141 処理装置
142 画像処理回路
143 支援情報生成部
AX 光軸
LW 照明光、第1照射光
LTOF 照明光、第2照射光
LILL 照明光
LR 戻り光
LREF 反射光
LDIF 散乱光
λ1、λ2、λTOF ピーク波長
λ3 ボトム波長