(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】ステビア甘味料の造粒
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20230412BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20230412BHJP
【FI】
A23L27/00 101A
A23L27/20 G
(21)【出願番号】P 2021539474
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 US2019051095
(87)【国際公開番号】W WO2020056317
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521107482
【氏名又は名称】ピュアサークル スンディリアン ブルハド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】ブルカヤシュタ、シドハルタハ
(72)【発明者】
【氏名】マルコシャン、アヴェティック
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0282389(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0070533(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/AGRICOLA/BIOSIS/BIOTECHNO/CABA/CAplus/SCISEARCH/TOXCENTER(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘味料を生成する方法であって、
A)ステビア甘味料粉末を提供する工程と、
B)前記ステビア甘味料粉末の粒径を260μm未満の粒径に低減することと、
C)約0ミリバール~100ミリバールの減圧、及び約90~130℃の高温下で前記ステビア甘味料粉末を処理する工程と、
D)前記処理されたステビア甘味料粉末を約25℃の低温まで冷却する工程と、
E)前記冷却されたステビア甘味料粉末を前記低温で保持して、周囲温度における水100g当たり少なくとも約1gの高溶解度の高溶解性ステビア甘味料粉末を得る工程と、
F)前記高溶解性ステビア甘味料粉末を圧延圧縮装置に導入して圧縮材料を生成し、前記圧縮材料を破砕装置に導入して顆粒混合物を得、前記顆粒混合物を分別して、約
150μm~約
260μmの範囲の粒径を有し、前記高溶解性ステビア粉末の溶解速度よりも
約250%~約280%の範囲で速い溶解速度を有する顆粒状ステビア甘味料を得る工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記顆粒状ステビア甘味料の溶解速度が、少なくとも約0.75グラム/分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステビア甘味料が、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、レバウディオサイドF、レバウディオサイドM、レバウディオサイドN、レバウディオサイドO、ステビオールビオシド、ズルコシドA、ルブソシド、ステビア・レバウディアナ植物に存在する他のマイナーなグリコシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理されたステビア粉末を冷却する工程が、予熱された窒素ガスを真空チャンバ内に導入し、前記窒素ガスの温度を徐々に低下させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記圧延圧縮装置が、約5rpm~約20rpmで、約10バール~約60バールの圧延圧で動作して前記圧縮材料を生成し、前記破砕装置が、前記顆粒混合物を得るために約50rpm~約2000rpmで回転するロータを備えた一連の連続的に配置された造粒機を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステビア甘味料粉末が、ステビオシド、レバウディオシドA、レバウディオシドB、レバウディオシドC、レバウディオシドD、レバウディオシドE、レバウディオシドF、レバウディオシドM、レバウディオシドN、レバウディオシドO、ステビオールビオシド、ズルコシドA、ルブソシド、ステビア・レバウディアナ植物に存在する他のマイナーなグリコシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記粉末を前記圧延圧縮装置に導入する前に、ステビア甘味料粉末と追加成分とを混合する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記追加成分が、高甘味度甘味料、天然甘味料、糖アルコール、風味付与剤、風味改質剤、味覚改質剤、増量剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステビア・レバウディアナ植物抽出物からの個々の又は組み合わせた甘味配糖体の圧縮及び造粒プロセス、更に具体的には、カロリー又はノンカロリー甘味料、味覚改質剤、及び風味改質剤などを含むがそれらに限定されない他の共成分を含む又は含まないステビア甘味料を含有し得る、ほぼ無塵の顆粒状甘味料の作製プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
高甘味度甘味料は、スクロースの甘味度の何倍もの甘味度を有する。これらの高甘味度甘味料は、ダイエット食品、並びに低カロリー食品及び飲料製品において広く使用されている。スクロース、フルクトース、及びグルコースなどの天然カロリー甘味料は、消費者にとって最も望ましい味を提供するが、カロリーがあり、血糖値の増加を引き起こす。一方、高甘味度甘味料は、本質的にノンカロリーであり、血糖値に影響を及ぼさず、栄養価をほとんど又は全く提供しない。
【0003】
しかしながら、砂糖の代替物として一般に使用される高甘味度甘味料は、時間プロファイル、最大応答、風味プロファイル、口当たり、及び/又は順応挙動の異なる甘味などの、砂糖とは異なる味覚特性を有する。例えば、いくつかの高甘味度甘味料の甘味は、砂糖に比べて最初は緩やかで、より長く持続するため、食品組成物の味バランスを変化させる。こうした違いのために、食品又は飲料製品中の砂糖などのバルク甘味料が高甘味度甘味料に置き換えられると、時間及び/又は風味プロファイルに不均衡が引き起こされる。高甘味度甘味料の味プロファイルを、砂糖又は他の天然カロリー甘味料と類似、同一、又はほぼ同一である所望の味覚特性を付与するように改質することができる場合、消費者にとってより望ましい味覚特性を有する低カロリー飲料及び食品を提供することができる。砂糖のような時間及び/又は風味プロファイルを得るために、いくつかの成分が提案されている。
【0004】
一方、高甘味度甘味料は、砂糖と比較して、いくつかのコスト及び機能上の利点を有し得る。砂糖と砂糖以外の高甘味度甘味料との間の競合は、例えば、ソフトドリンク産業において、特に、それらの使用及び生産が許可されている国、また、砂糖の価格が高過ぎる国において激化している。
【0005】
現在、高甘味度甘味料は世界中で使用されている。これらは、合成及び天然由来の両方であり得る。
【0006】
合成高甘味度甘味料の非限定的な例としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン合成誘導体、シクラメート、ネオテーム、ズルシン、スオサン、N-[N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)プロピル]-L-α-アスパルチル]-Lフェニルアラニン1-メチルエステル、N-[N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-3-メチルブチル]-L-α-アスパルチル]-Lフェニルアラニン1-メチルエステル、N-[N-[3-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロピル]-L-α-アスパルチル]-Lフェニルアラニン1-メチルエステル、これらの塩などが挙げられる。
【0007】
天然高甘味度甘味料の非限定的な例としては、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドE、レバウディオサイドF、ステビオールビオシド、ズルコシドA、ルブソシド、モグロシド、ブラゼイン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン(NHDC)、グリチルリチン酸及びその塩、ソーマチン、ぺリラルチン、ペルナンズルシン、ムクロジオシド、バイユノシド、フロミソシド-I、ジメチル-ヘキサヒドロフルオレンジカルボン酸、アブルソシド、ペリアンドリン、カルノシフロシド、シクロカリオシド、プテロカリオシド、ポリポドシドA、ブラジリン、ヘルナンドゥルシン、フィロズルチン、グルシフィリン、フロリジン、トリロバチン、ジヒドロフラバノール、ジヒドロクエルセチン-3-アセテート、ネオアスティリビン、トランスシンナムアルデヒド、モナチン及びその塩、セリゲアインA、ヘマトキシリン、モネリン、オスラジン、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、マビンリン、ペンタジン、ミラクリン、クルクリン、ネオクリン、クロロゲン酸、シナリン、サイアメノサイドなどが挙げられる。
【0008】
高甘味度甘味料は、天然高甘味度甘味料の改質、例えば、発酵、酵素処理、又は誘導体化から得ることができる。
【0009】
現在、約11の高甘味度甘味料が世界中で使用されている。つまり、アセスルファム-K、アリトーム、アスパルテーム、シクラメート、グリチルリチン、NHDC、サッカリン、ステビオシド、スクラロース、ソーマチン、ネオテーム、及びレバウディオサイドAである。
【0010】
高甘味度甘味料は、3世代に分類することができる。第1世代は、シクラメート、グリチルリチン、及びサッカリンに代表され、食品に使用された長い歴史がある。第2世代は、アセスルファム-K、アスパルテーム、NHDC、及びソーマチンを含む。アルターム、ネオテーム、スクラロース、ステビオシド、及びレバウディオサイドAは、第3世代に属する。
【0011】
各高甘味度甘味料に関連する標準甘味力を表1に示す。しかしながら、混合物中で使用される場合、甘味力は著しく変化し得る。
【表1】
【0012】
一方の「天然」及び「有機」食品及び飲料は、食品産業において「最も人気の領域」になっている。消費者の要望、食品技術の進歩、並びに食事を疾患及び疾患予防に結び付ける新たな研究の組み合わせは、食事及び生活習慣を介して大衆の健康に対処する前例のない機会をもたらしてきた。
【0013】
ますます多くの消費者が、現在の健康を向上させる、及び/又は将来の疾患に対して防衛することによって健康を管理する能力を認識するようになっている。これにより、特性改善食品、及び関連する健康上の利点、具体的には、「総合健康ソリューション」の生活習慣に向かう食品及び消費者市場の傾向に対する需要が生じている。「天然」は、甘味料の世界では非常に感情に訴える言葉であり、「全粒」、「心臓に良い」、及び「低塩」と共に、重要な信頼性の1つとして確認されている。天然という言葉は、「より健康であること」に密接に関連する。
【0014】
この点で、天然高甘味度甘味料は、より高い商業的可能性を有する。
【0015】
ステビア・レバウディアナは、南米の特定の地域産のキク科(Compositae)の多年生灌木である。この植物の葉は、10~20%のジテルペングリコシドを含有し、これは砂糖よりも約150~450倍甘い。葉は、伝統的に、パラグアイとブラジルで、地元のお茶や薬剤に甘味を付与するために何百年と使用されている。
【0016】
現時点では、顕著な甘味特性を有する230種超のステビア種が存在する。この植物は、現地の亜熱帯から寒冷北部地域までの広範囲の条件下で問題なく育ってきた。
【0017】
ステビオール配糖体は、ゼロカロリーであり、砂糖が使用されるどんなところでも使用することができる。ステビオール配糖体は、糖尿病及び低カロリー食にとって理想的である。また、甘味ステビオール配糖体は、多くの他の高甘味度甘味料の機能的及び感覚的特性を有する。
【0018】
ステビア・レバウディアナ植物の抽出物は、様々な甘味ジテルペングリコシドの混合物を含有し、この混合物は、単一の塩基であるステビオールを有し、C13位及びC19位での炭水化物残基の存在によって異なる。これらのグリコシドは、ステビアの葉に蓄積し、総乾燥重量の約10%~20%を構成する。典型的には、乾燥重量基準で、ステビアの葉に見られる4種の主要グリコシドは、ズルコシドA(0.3%)、レバウディオサイドC(0.6%)、レバウディオサイドA(3.8%)、及びステビオサイド(9.1%)である。ステビア抽出物内に特定される他のグリコシドとしては、レバウディオサイドB、C、D、E、及びF、ステビオールビオシド、並びにルブソシドが挙げられる。ステビオール配糖体の中でも、ステビオサイド及びレバウディオサイドAのみが商業規模で入手可能である。
【0019】
物理的及び感覚的特性は、ステビオサイド及びレバウディオサイドAに関してのみ十分に研究されている。ステビオサイドの甘味力はスクロースより約210倍高い。レバウディオサイドAはスクロースより約200~約400倍高く、レバウディオサイドC及びズルコシドAは、それぞれ、スクロースよりも約30倍高い。レバウディオサイドAは、4種の主要なステビオール配糖体の中で最も好ましい感覚的属性を有すると考えられる(表2)。
【表2】
【0020】
いくつかの個々のステビアグリコシドの精製に関してはいくつかの出版物が存在する。
【0021】
以下の特許は、ステビア抽出物を作製するために使用することができる一般的なプロセスを記載している。米国特許第3,723,410号、同第4,082,858号、同第4,171,430号、同第4,361,697号、同第4,599,403号、同第4,892,938号、同第5,112,610号、同第5,962,678号、同第5,972,120号、同第6,031,157号、同第6,080,561号、同第7,807,206号、及び特開第01-131191号。それぞれ参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
一般に、ステビア抽出物の生成は、水又は水有機溶媒混合物での植物材料の抽出、高分子量物質の沈殿、脱イオン化、脱色、特定のマクロ多孔質ポリマー吸着剤上の精製、濃縮、及び乾燥を含む。
【0023】
葉からのグリコシドは、水又は有機溶媒抽出のいずれかを用いて抽出することができる。超臨界流体抽出及び水蒸気蒸留も記載されている。メンブレン技術、及び水又はメタノールやエタノールなどの有機溶媒を用いたステビア・レバウディアナからのジテルペンスイートグリコシドの回収方法も文献に記載されている。
【0024】
ステビア抽出物は、噴霧乾燥及び/又は真空乾燥技術によって乾燥させられて、水分及び処理溶媒を抽出物から蒸発させる。得られた粉末は、超低含水量及び低嵩密度を有する超微粒子を含有するため、食品用処理において取り扱うには粉塵状になり過ぎる。
【0025】
非常に細かい粒径及び塵埃に関連する問題を克服するために、凝集技術を使用して、粉塵粒子の有害な性質及びそれに関連する取扱の難しさを低減する。しかしながら、ほとんどの商業的又は工業的凝集技術は、水又は接着分子の溶液であり得る結合剤の使用を必要とする。
【0026】
湿潤結合成分が利用される湿式凝集技術の使用は、ステビア分子の物理的及び化学的特性、特にステビア抽出物の溶解度に悪影響を及ぼす場合がある。本発明は、様々なステビア甘味料分子の物理的及び化学的特性を実質的に変化させることなく、よりユーザフレンドリであり、粉塵又は微粒子を低減する物理的形態のステビア甘味料生成物を提供することができる。
【0027】
甘味プロファイルを強化し、高甘味度甘味料の後味を低減するために、特定の食品及び飲料用途に対して1種以上の共成分を組み合わせることができる。本発明はまた、プロセスフレンドリ及びユーザフレンドリである顆粒状粒子形態で、高甘味度甘味料及び1種以上の共成分を、較正された割合で一緒に送達するのに役立つ。
【0028】
ステビア甘味料の物理化学的特性により、全ての造粒又は凝集技術が、所望の特性を有する組成物を生成するのに好適なわけではない。特に、レバウディオサイドAは、いわゆる多形を示すことが周知である(Zell et al.,「Investigation of Polymorphism in Aspartame and Neotame Using Solid-State NMR Spectroscopy.」Tetrahedron 56(6603-6616)、2000)。レバウディオサイドAの非晶質、無水及び溶媒和物形態は、甘味料の製品化可能性の主な基準の1つである溶解度の点で互いに著しく異なる。この点に関して、表3に示すように、レバウディオサイドAの水和物形態は、最低の溶解度を示す(Prakash et al.,「Development of rebiana,a natural,non-caloric sweetener」)Food Chem.Toxicol.46(S75-S82)、2008)。レバウディオサイドAは、表3に要約されるように、ある特定の条件(米国特許出願第11/556,049号)下で、ある多形形態から別の多形形態に変換し得ることが分かった。したがって、レバウディオサイドAの製造に採用されるプロセスは、不所望の特性を有する形態の形成を最小限に抑えるべきである。レバウディオサイドAと溶媒との接触を可能にする多くの凝集技術は、不所望の特性を有する溶媒和物形態の形成を促進する場合がある。水又は含水混合物若しくは溶液がレバウディオサイドAと接触する場合、最も低い溶解度を有する形態として特徴付けられる水和物形態が取得され得る。
【表3】
【0029】
また、多くのプロセスは、最終生成物中に現れる結合剤又は他の補助化合物を使用することによって、主成分の含量を不所望に低減する。
【0030】
したがって、所望に高い溶解度を有し、有意又は最大の量又は濃度の主成分を含有する、顆粒状又は凝集レバウディオサイドA又は他のステビオール配糖体の製造プロセスが、大いに必要とされている。
【0031】
米国特許出願第10/108,561号は、デンプンを造粒流体と組み合わせ、混合物に対して湿式ふるい分け、乾燥、及び分粒を行うことによって、コーンスターチ粒体を生成する方法を記載している。なお、ステビア甘味料及びレバウディオサイドAの場合の造粒流体の添加は、低溶解度の多形の形成を容易にし、ひいては最終組成物の全体溶解度を低下させる。
【0032】
米国特許出願第11/873,610号は、難溶性ポリオール及び水素化デキストリンを含む顆粒状甘味組成物の生成方法を提供する。なお、組成物中に補助化合物を含むことにより、活性成分の含量が低減される。
【0033】
米国特許出願第11/979,530号は、粉末に圧縮力を加えて微粒子と顆粒との混合物を含む圧縮塊を生成し、微粒子をガス流に閉じ込めて微粒子を顆粒から分離することによって、粉末から顆粒を生成する方法を記載している。
【0034】
米国特許第6,706,304号は、アスパルテーム及びアセスルファムKを活性成分として含む顆粒甘味料を調製する方法を記載している。成分の混合物を圧延圧縮機型造粒機に供給して、顆粒状甘味料組成物を得た。なお、ステビア甘味料及びレバウディオサイドAの多形により、低溶解度の形態が上記プロセス中に形成されて、その結果、不所望な低溶解度の最終組成物が得られる場合がある。
【発明の概要】
【0035】
本発明は、ステビア甘味料粉末を提供する工程と、ステビア甘味料粉末の粒径を低減する工程と、ステビア甘味料粉末を減圧及び高温下で処理する工程と、処理されたステビア甘味料粉末を冷却する工程と、高溶解性ステビア甘味料粉末を低温で保持して、高溶解度の高溶解性ステビア甘味料粉末を得る工程と、を含む甘味料生成方法に関する。
【0036】
以下、特に明記しない限り、材料の溶解度は、室温で逆浸透水中で測定される。溶解度が「%」で表される場合、100グラムの溶媒に溶解可能な材料のグラム数として理解される。
【0037】
本発明はまた、高溶解性甘味料粉末を出発とし、高溶解性甘味料粉末を圧延圧縮装置に導入して圧縮材料を生成し、圧縮材料を破砕装置に導入して顆粒混合物を得、顆粒混合物を様々なサイズのふるいを介してふるい分けして顆粒状ステビア甘味料を得る、甘味料の圧延圧縮方法に関する。
【0038】
本発明は、高溶解性ステビア甘味料粉末及び顆粒状ステビア甘味料を更に含む。
【0039】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも例示及び説明であり、特許請求される発明の追加の説明を提供することを意図していると理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
添付図面は、本発明の更なる理解を提供するために含まれる。図面は、本発明の実施形態を例示し、説明と共に本発明の実施形態の原理を説明する役割を果たす。
【0041】
【
図1】本発明の一実施形態により作製された高溶解性レバウディオサイドA粉末の粒径分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ステビア甘味料、特にレバウディオサイドAの造粒プロセスが本明細書に記載される。本プロセスは、レバウディオサイドA組成物の粒径を低減する工程と、熱処理プロセスを用いてレバウディオサイドA粒子を乾燥させる工程と、窒素ガス下でレバウディオサイドA粒子を保持する工程と、粒子を圧縮し、次いで、所望のメッシュサイズに粒子を造粒する工程と、を含む。得られた顆粒状レバウディオサイドA組成物は、他のレバウディオサイドA組成物よりも優れた溶解度及び取扱性能を発揮する。以下の説明はレバウディオサイドAについて記載しているが、本明細書に記載されるプロセス及び方法は、任意の種類のステビア甘味料と共に使用するのにも好適であることを理解されたい。
【0043】
結晶性レバウディオサイドAは元来、約1%~2%の範囲の超低溶解度を有する。上述したように、レバウディオサイドAは多形を呈するため、特性及び取扱特性が非常に異なる様々な形態をもたらす。水和物形態は、超低溶解度(0.2%未満)を有するため、甘味料として市販されていない。溶媒和物形態は、典型的には30%を超える溶解度を有するが、残留アルコール濃度(1~3%)により食品及び飲料での使用には適さないため、単に科学的な関心の対象であり、食品又は飲料用途に使用することはできない。無水形態は、最大で約30%の溶解度が文献で報告されている。非晶質形態は、一般に35%超の溶解度を有するが、精製プロセスにおいて、非晶質形態は水に溶解させて噴霧乾燥させなければならない。噴霧乾燥プロセスは、十分に希釈された溶液の使用を要し、噴霧乾燥自体、非常に多くのエネルギーを消費するプロセスであるため、レバウディオサイドAの営業生産にとって実行可能な選択肢ではない。
【0044】
したがって、高溶解性レバウディオサイドAが、有意な希釈又は高エネルギーレベルを必要とせず、かつ許容不能な高レベルのアルコールを含む生成物をもたらさないプロセスによって得られることが必要とされる。本発明のプロセスは、高溶解度を有するが、他のプロセスに付随する希釈、コスト、又は高アルコール含量を伴わない形態のレバウディオサイドAを生成することによってこれらの目的を達成する。
【0045】
本発明の一実施形態では、ステビオシド、レバウディオシドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドE、レバウディオサイドF、ステビオールビオシド、ズルコシドA、ルブソシド、及び/又はこれらの混合物を含む、ステビア・レバウディアナ植物抽出物の甘味配糖体を含有する初期材料が、粒径を低減されて、約20~60μm、好ましくは約25~40μmの平均粒径を有する粉末を生成した。20μm未満の粒径を有する粉末は、プロセスの効率を低下させる低流動性を示す一方、60μmよりも大きい粒子は、低溶解度の生成物をもたらす。回転ミル、ボールミル、粉砕機などの固体物質の粒径を低減し得る任意の装置を、このプロセスに使用することができる。
【0046】
このようにして得られた粉末を、約0~100ミリバールの圧力、好ましくは約5~15ミリバールの圧力で真空下で熱処理する。熱処理の持続時間は、約1~24時間、好ましくは約2~6時間であり得る。熱処理の温度は、約90~130℃、好ましくは約100~110℃である。粉末は、著しい生成物の劣化を伴わず、材料から全ての水を除去するのに十分な時間及び温度で熱処理される。
【0047】
熱処理が完了すると、予熱した窒素が真空チャンバ内に導入されて、チャンバ内の圧力を周囲圧力と等しくする。この窒素保持工程における予熱窒素の温度は、熱処理温度よりも約5℃低い。真空チャンバは、過剰な圧力上昇を防止する通気口に接続される。窒素流は、毎分真空チャンバ容積の1/10と等しい速度で維持される。窒素温度は、約3~12時間、好ましくは約4~6時間にわたって約25℃まで徐々に低下させる。窒素保持条件は、均一かつ滑らかな冷却条件を提供するように選択される。窒素が記載されているが、生成物を水和しない、酸化しない、又は別の方法で化学的に影響を与えない任意の略不活性ガスを使用することもできる。
【0048】
一実施形態では、高溶解度粉末は、約10~50℃、好ましくは約10~30℃の温度で窒素下で保持された。10℃未満の温度は、プロセスにおいて更に生成物上の周囲水分凝縮を招き、低溶解度の水和物形態のレバウディオサイドAをもたらすことが分かった。粉末が50℃より高い温度で処理された場合、圧延圧縮中に過熱された圧縮塊が、圧縮後に周囲温度まで急速に冷却され、低溶解度のレバウディオサイドA生成物が得られた。
【0049】
このプロセスの目的は、高溶解度の多形形態のレバウディオサイドAを得ることである。このプロセスによって得られる高溶解性レバウディオサイドA粉末は、約30%超、又は好ましくは少なくとも約35%若しくは少なくとも約40%の溶解度を有する。
【0050】
上述したように、従来通り調製された無水形態のレバウディオサイドAは、最大約30%の溶解度を示し、非晶質形態は、35%超であり得る溶解度を示すが、精製の際にかなり希釈して噴霧乾燥させなければならない。本発明以前には、安定であり、大規模での精製が容易であり、商業精製プロセス中に噴霧乾燥又は他の希釈プロセスを必要としない、高溶解性形態のレバウディオサイドAを提供することは不可能であった。真空下でレバウディオサイドA粉末を熱処理し、窒素ガス下で粉末を保持し、その後、乾燥圧延圧縮及び造粒することを含む本発明のプロセスを使用して、安定するが非常に可溶性の高い形態のレバウディオサイドを生成できることが予想外に発見された。
【0051】
理論に束縛されるものではないが、本発明によって作製される高溶解度形態のレバウディオサイドAは、従来のレバウディオサイドAの無水形態と比較して大きく改善された溶解特性を有し、レバウディオサイドAの非晶質形態を精製するために必要とされる希釈又は噴霧乾燥なしに顆粒形態に精製することができるレバウディオサイドAの無水形態であると考えられる。
【0052】
造粒は、高溶解性レバウディオサイドA粉末を、更なる取扱及び工業又は消費者の使用に好適な形態に精製する。乾燥造粒は、規格外顆粒を内部でリサイクルすることができる連続プロセスである、追加の結合材料を必要としない、いったん生成物が顆粒化されると追加の乾燥工程を必要としない、などの湿式凝集に勝る多くの利点を提供する。
【0053】
造粒の1つの方法は、圧延圧縮の使用であり、圧延圧縮では、粉末が2つの逆回転ロールに供給されて、摩擦によりロール間に引き寄せられ、材料のシート又は層状に圧縮される。圧延圧縮は本質的に、材料の溶解度を低下させる。したがって、顆粒状生成物において望ましい溶解度を達成するためには、圧縮前に高溶解度を有する出発物質を有する結果、得られる圧縮顆粒材料が、所与の材料にとって可能な最大溶解度を有することが望ましい。
【0054】
本発明により作製される顆粒状材料は、有利なことに、溶解度、粒度分布、及び純度などの点で好ましい特性を有する生成物をもたらす。事実、本発明の高溶解性レバウディオサイドA顆粒粒子の溶解速度は、圧延圧縮前の高溶解性レバウディオサイドA粉末の溶解速度よりも実際に速く、更には著しく速いことが発見された。理論に束縛されるものではないが、本発明の造粒プロセスは、高溶解性レバウディオサイドAの分散性を改善し、より速い溶解速度をもたらすと考えられる。
【0055】
圧縮中、圧延圧が低過ぎる場合、機械的安定性が不良な「緩い」顆粒が形成される場合がある。圧延圧が高過ぎる場合、それは、溶解速度が遅い「過圧縮」材料をもたらす場合がある。本発明の一実施形態では、圧延速度は、約5~20rpm、好ましくは約7~10rpm、より好ましくは約9rpmであった。圧延圧は、約10~60バール、好ましくは約30~50バール、より好ましくは約45バールであった。
【0056】
材料の密度を含む多くの要因が、乾燥材料の溶解度に影響を及ぼす。所望の溶解度値を提供する好適な密度値は、圧延圧縮後に約0.35~約0.45g/ccであることが発見された。
【0057】
次いで、圧縮されたレバウディオサイドA材料は、造粒装置によって処理され得る。一実施形態では、装置は、2つの造粒機である予備造粒機と微細造粒機とを含んだ。造粒機の目的は、圧延圧縮機によって生成された圧縮材料から顆粒を生成することである。各造粒機は、粗材料をU字型ふるいで加圧するロータを備える。ふるいサイズが小さ過ぎる場合、過剰な量の微粒子が得られる。ふるいサイズが大き過ぎる場合、低溶解速度の大きな粒子が生成される。
【0058】
一実施形態では、ロータは、約50~2000rpm、好ましくは約100~200rpm、より好ましくは約150rpmの速度で回転した。造粒機には、予備造粒器では粒度が約0.5~6.0mm、好ましくは約1~4mm、より好ましくは約3.1mmであり、微細造粒機では粒度が約1.6mmのふるいが設けられた。
【0059】
得られた顆粒状レバウディオサイドA生成物は、USメッシュ##8、10、14、20、40、及び60のふるい上でふるい分けされた。結果を表4に示す。
【表4】
【0060】
約2.8%の材料がUSメッシュ#60ふるいを通過した。
【0061】
本発明の方法によって得られた顆粒状レバウディオサイドA甘味料は、約1.0%~40%超の溶解度を有する。
【0062】
本発明の一実施形態では、高溶解性レバウディオサイドA粉末を他の成分と混合して、造粒前にレバウディオサイドA混合物を形成することができる。高溶解性レバウディオサイドA粉末は、最終生成物中の全ての成分の適切な分布を達成するために、他の成分と混合させることができる。造粒前に高溶解性レバウディオサイドA粉末と組み合わせることができる他の成分の非限定的な例としては、前述のような天然及び合成高甘味度甘味料;スクロース、フルクトース、グルコース、マルトース、ラクトース、タガトース、及びパラタノースなどの天然甘味料;エリスリトールなどの糖アルコール;スパイス及び抽出物などの風味改質剤;ソーマチン、グリチルリチン、レバウディオサイドC、及びレバウディオサイドDなどの味覚改質剤;Fibersol(登録商標)、可溶性トウモロコシ繊維、アラビアガム、ペクチン、イソマルトオリゴ糖などの増量剤又は口当たり改質剤;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
レバウディオサイドAと組み合わせた他の成分の使用のバランスをとることによって、得られる甘味料の風味及び時間プロファイルを改善することができることが発見された。例えば、理論に束縛されることを意図するものではないが、非常に少量の味覚改質剤の使用は、消費の初期の間に特定の味蕾を飽和又は遮断する働きをすることによって、飲料又は食品の残りの消費中に、それらの味蕾が特定の味信号を脳に伝達するために利用できなくなる場合があると考えられる。味覚改質剤自体は、苦味などの非常に高レベルな特定の味を、舌上の受容体をその味で飽和させることによって遮断させることができる。
【0064】
レバウディオサイドAの甘味プロファイルはまた、サトウキビ又は甜菜糖などの糖の使用により増強されてもよい。糖及びステビア甘味料は、様々な融解特性及び溶解度を有するが、本発明の乾燥圧延圧縮造粒プロセスの使用により、均一であり、食品又は飲料用途で使用されるときに一貫した分散を提供する低カロリー糖含有甘味料組成物がもたらされると考えられる。
【0065】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例示する。本発明は、単なる例示である実施例に記載される材料、割合、条件、及び手順に限定されないことが理解されるであろう。
実施例1
高溶解性レバウディオサイドAの調製
【0066】
ステビオサイド0.2%、レバウディオサイドC 0.2%、レバウディオサイドF 0.3%、レバウディオサイドA 97.5%、レバウディオサイドD 1.1%、レバウディオサイドB 0.5%を含有する100kgのレバウディオサイドA(全ての割合は、乾燥重量基準であり、1.6%の水溶性を有する)を回転刃粉砕機に入れ、20分間粉砕した。得られた粉末をBeckman Coulter LS 13 320レーザー回折粒径分析器によって分析した。結果を表5に示す。
【表5】
【0067】
得られた粉末を1000Lの回転真空乾燥機に入れ、105℃で10ミリバールの圧力で3時間乾燥させた。3時間後、100℃に予熱した窒素を、周囲圧力に達するまで真空チャンバ内に導入した。周囲圧力に達すると、真空乾燥機を通気孔に接続し、窒素流を100L/分で4時間にわたって継続した。窒素ガスの温度は、4時間中、25℃に達するまで5℃ずつ徐々に低下させた。粉末の試料を乾燥機から取り出し、溶解度を室温で脱イオン水中で試験した。溶解度は41.1%、溶解時間は7分だった。高溶解性レバウディオサイドA粉末の粒径分布を
図1に示す。
実施例2
レバウディオサイドAの造粒
【0068】
実施例1に従って調製した50kgの高溶解性レバウディオサイドAを500L二重コーン粉末ミキサに入れ、10℃の窒素を容器に1時間供給した。粉末をAlexanderwerk WP 50N/75圧延圧縮機に移した。圧縮機は、9rpm及び45バールの圧力下で動作した。圧縮された塊を、ロータを150rpmで回転させて、予備造粒機及び微細造粒機に供給した。予備造粒機のふるいサイズは3.1mm、微造粒機のふるいサイズは1.6mmであった。「過大」(大き過ぎる粒子)及び「微小」(小さ過ぎる粒子)は、USメッシュ10のサイズの上ふるいとUSメッシュ40のサイズの下ふるいによって分離した。「過大」、「生成物」、「微小」の比率はそれぞれ0.3%、72.1%、27.6%であった。
実施例3
レバウディオサイドAの造粒
【0069】
実施例1に従って調製した50kgの高溶解性レバウディオサイドAを、実施例2の手順に従って顆粒化した。圧縮機は、18rpm及び65バール圧力で動作した。圧縮された塊を、ロータを300rpmで回転させて、予備造粒機及び微細造粒機に供給した。予備造粒機のふるいサイズは5mmであり、微細造粒機のふるいサイズは3mmであった。
実施例4
レバウディオサイドAの造粒
【0070】
実施例1に従って調製した50kgの高溶解性レバウディオサイドAを、実施例2の手順に従って造粒した。圧縮機は、9rpm及び45バールの圧力下で動作した。圧縮された塊を、ロータを150rpmで回転させて、予備造粒機及び微細造粒機に供給した。予備造粒機のふるいサイズは2mmであり、微造粒機のふるいサイズは0.5mmであった。「過大」及び「微小」は、USメッシュ#10の上ふるい及びUSメッシュ#40の下ふるいによって分離した。生成物の収率は34%であり、66%の生成物がUSメッシュ#40を通過した。USメッシュ#40を通過した材料をUSメッシュ#80ふるいに通した後、USメッシュ#80を通過する粉末は28%であった。
実施例5
高溶解性レバウディオサイドAの溶解速度
【0071】
上記のような圧延圧縮技術を使用することによって顆粒状生成物を調製するために、4バッチの高溶解性レバウディオサイドA粉末を使用した。全ての粉末及び顆粒状の試料を、溶解性及び分散時間について試験した。5.0gの粉末又は顆粒状高溶解性レバウディオサイドAを500mLの水に、周囲温度で添加することによって試験を実施した。次いで、混合物を磁気撹拌機で撹拌して、適切な混合のために有意な渦を生じさせた。溶解速度は、高溶解性レバウディオサイドAが撹拌された水に直接添加された直後に、ストップウォッチで計時した。表6に要約されたデータは、溶解性を失うことなく、溶解時間(清澄溶液を有するまでの時間)が短縮されたことを示した。
【表6】
【0072】
本発明のプロセスにより、他の多形形態よりも予想外に高い水中での溶解度を示す独自のレバウディオサイドA多形が得られた。前述の実施形態は、レバウディオサイドAの使用について記載しているが、任意のステビア系甘味料を本発明により使用し調製することができ、全てのステビア系甘味料が本発明の範囲内であると企図されることを理解されたい。
実施例6
追加の粒径分布
【0073】
ステビオシド、レバウディオシドA、レバウディオシドB、レバウディオシドC、レバウディオシドD、レバウディオシドE、レバウディオシドF、レバウディオシドM、レバウディオシドN、レバウディオシドO、ステビオールビオシド、ズルコシドA、ルブソシド、ステビア・レバウディアナ植物に存在する他のマイナーなグルコシド、及び/又はこれらの混合物のうちの1つ以上を含む、ステビア・レバウディアナ植物抽出物の甘味配糖体を含有する初期材料が、粒径を低減されて、平均粒径が約260μm未満の粉末を生成した。粉末は、周囲温度(約65~75°F又は約18~24℃)で、水100g当たり少なくとも約1g、水100g当たり少なくとも約5g、水100g当たり少なくとも約10g、水100g当たり少なくとも約15g、水100g当たり少なくとも約20g、水100g当たり少なくとも約25g、又は水100g当たり少なくとも約30gの水への溶解度を有した。次いで、上記のように、圧延圧縮法を用いて粉末を顆粒化した。顆粒状生成物の更なる粒径分布を得た。
【0074】
得られた粒径は、一般に、約140μm~約680μm、より具体的には約180μm~約600μm、約180μm~約420μm、約150μm~約420μm、又は約150μm~約260μmの範囲であった。顆粒状試料はそれぞれ、対応する粉末形態よりも速い溶解速度を有した。表7a~eは、表に示されるようなUSメッシュふるいのサイズに基づく粒径分布を示す。表に列挙されるマイクロメートル(μm)は、おおよそのふるいサイズの開口である。
【表7】
【0075】
試料Aについては、顆粒状生成物の約90%超が、260μm超の粒径を有した。
【表8】
【0076】
試料Bについては、顆粒状生成物の約95%超が、150μm超の粒径を有し、試料の約60%未満が、260μm超の粒径を有した。
【表9】
【0077】
試料Cについては、顆粒状生成物の約95%超が、ふるい開口サイズに基づいて約260μm超の粒径を有した。約65%未満~80%が、420μm超の粒径を有した。
【表10】
【0078】
試料Dについては、顆粒状生成物の約95%以下が、ふるい開口サイズに基づいて150μm超の粒径を有した。
【表11】
【0079】
試料Eについては、顆粒状生成物の約99%超が、ふるい開口サイズに基づいて、180μm超の粒径を有し、顆粒状生成物の約90%未満が、約260μmより大きい粒径を有した。
実施例7
溶解速度
【0080】
レバウディオシドAの選択された試料の溶解速度を評価した。試料は、約260μm未満の粒径を有する粉末形態、又は以下に列挙される試料識別に対応する実施例6に記載の顆粒粒径分布を有する顆粒(顆粒状)形態のいずれかであった。溶解速度を、実施例5の方法を用いて判定し、その結果を表8に示した。
【表12】
【0081】
粉末形態と比較して、顆粒状生成物の溶解速度の増加率は、約5%~約280%である。特定の実施形態では、周囲温度において、粉末形態と比較して、顆粒生成物であるステビオール配糖体組成物の溶解速度の増加率は、少なくとも約10%、20%、50%、100%、150%、200%、又は250%である。
【0082】
本発明及びその利点について詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び変更を行うことができることを理解されたい。更に、本願の範囲は、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者であれば、本発明の開示から容易に理解されるように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行する、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか、又は今後開発される組成物、プロセス、方法、及び工程を、本発明により利用することができる。
本開示は以下の項目も包含する。
[1] 甘味料を生成する方法であって、
A)ステビア甘味料粉末を提供する工程と、
B)前記ステビア甘味料粉末の粒径を260μm未満の粒径に低減することと、
C)約0ミリバール~100ミリバールの減圧、及び約90~130℃の高温下で前記ステビア甘味料粉末を処理する工程と、
D)前記処理されたステビア甘味料粉末を約25℃の低温まで冷却する工程と、
E)前記冷却されたステビア甘味料粉末を前記低温で保持して、周囲温度における水100g当たり少なくとも約1gの高溶解度の高溶解性ステビア甘味料粉末を得る工程と、
F)前記高溶解性ステビア甘味料粉末を圧延圧縮装置に導入して圧縮材料を生成し、前記圧縮材料を破砕装置に導入して顆粒混合物を得、前記顆粒混合物を分別して、約140μm~約680μmの範囲の粒径を有し、前記高溶解性ステビア粉末の溶解速度よりも速い溶解速度を有する顆粒状ステビア甘味料を得る工程と、を含む、方法。
[2] 前記顆粒状ステビア甘味料の溶解速度が、少なくとも約0.75グラム/分である、項目1に記載の方法。
[3] 前記ステビア甘味料が、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドE、レバウディオサイドF、レバウディオサイドM、レバウディオサイドN、レバウディオサイドO、ステビオールビオシド、ズルコシドA、ルブソシド、ステビア・レバウディアナ植物に存在する他のマイナーなグリコシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
[4] 前記処理されたステビア粉末を冷却する工程が、予熱された窒素ガスを真空チャンバ内に導入し、前記窒素ガスの温度を徐々に低下させることを含む、項目1に記載の方法。
[5] 前記圧延圧縮装置が、約5rpm~約20rpmで、約10バール~約60バールの圧延圧で動作して前記圧縮材料を生成し、前記破砕装置が、前記顆粒混合物を得るために約50rpm~約2000rpmで回転するロータを備えた一連の連続的に配置された造粒機を備える、項目1に記載の方法。
[6] 前記ステビア甘味料粉末が、ステビオシド、レバウディオシドA、レバウディオシドB、レバウディオシドC、レバウディオシドD、レバウディオシドE、レバウディオシドF、レバウディオシドM、レバウディオシドN、レバウディオシドO、ステビオールビオシド、ズルコシドA、ルブソシド、ステビア・レバウディアナ植物に存在する他のマイナーなグリコシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
[7] 前記粉末を前記圧延圧縮装置に導入する前に、ステビア甘味料粉末と追加成分とを混合する工程を更に含む、項目1に記載の方法。
[8] 前記追加成分が、高甘味度甘味料、天然甘味料、糖アルコール、風味付与剤、風味改質剤、味覚改質剤、増量剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
[9] 前記顆粒状ステビア甘味料の溶解速度が、前記高溶解性ステビア粉末の溶解速度よりも少なくとも約5%速い、項目1に記載の方法。