(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-11
(45)【発行日】2023-04-19
(54)【発明の名称】測定デバイスのための調整部材
(51)【国際特許分類】
G01L 27/00 20060101AFI20230412BHJP
【FI】
G01L27/00
(21)【出願番号】P 2021569349
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(86)【国際出願番号】 US2020033700
(87)【国際公開番号】W WO2020242846
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-12-27
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510244684
【氏名又は名称】アシュクロフト,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レピーヌ,デビッド,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ベイビー,シリル
(72)【発明者】
【氏名】ハイゼ,マイケル,ベンジャミン
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-075583(JP,A)
【文献】特開2003-172695(JP,A)
【文献】特開2014-178132(JP,A)
【文献】特開2010-133937(JP,A)
【文献】特開2000-065668(JP,A)
【文献】実開平02-030036(JP,U)
【文献】米国特許第04476706(US,A)
【文献】東洋測器株式会社,デジタル指示計 MODEL DLS-5025A 取扱説明書,日本,2007年07月,pp.1-20,https://toyo-sokki.co.jp/products/ll05.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定システムを調整する方法であって、
プロセスを運転することと、
該プロセスに関連するパラメータを測定するために、該プロセスに対して測定デバイスを取り付けることと、
該測定デバイスに電力を印加することと、
該測定デバイスに電力を印加した後の所定の期間内に、該測定デバイスの標的領域またはその近位に調整部材を位置決めして、該標的領域またはその近位への該調整部材の事後の位置決めを介した該測定デバイスの一つ以上の機能の事後の調整を可能にする調整モードに、該測定デバイスを入れることと、
該測定デバイスが該測定デバイスの一つ以上の機能を調整するための前記調整モードにある状態で、前記標的領域またはその近位に前記調整部材を事後的に位置決めすることと、
を含
み、
前記測定デバイスは、前記プロセスの第1のパラメータ範囲で動作させられるとき、前記標的領域またはその近位に前記調整部材を事後的に位置決めすることによって、該測定デバイスの第1の機能を調整することができ、
前記測定デバイスは、前記プロセスの第2のパラメータ範囲で動作させられるとき、前記標的領域またはその近位に前記調整部材を事後的に位置決めすることによって、該測定デバイスの第2の機能を調整することができる、方法。
【請求項2】
前記プロセスは、圧力下で運転され、
前記測定デバイスは、封止型圧力測定デバイスである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定デバイスは、圧力測定デバイスまたは温度測定デバイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記測定デバイスは、圧力トランスデューサまたは圧力トランスミッタである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記測定デバイスは、封止型信号調節デバイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記調整部材は、磁石部材である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記測定デバイスは、感知要素を含み、
該感知要素は、磁気感受性のある論理入力デバイスである、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記測定デバイスに電力を印加した後の前記所定の期間は
、30秒以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記測定デバイスの前記一つ以上の機能の前記調整は、該測定デバイスのデジタルまたはアナログ出力を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記測定デバイスの前記一つ以上の機能の前記調整が、該測定デバイスのオフセットまたはスパンを調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記測定デバイスの前記一つ以上の機能の前記調整は、該測定デバイスの筐体またはハウジングを破らずに行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記標的領域またはその近位に前記調整部材を位置決めして、前記測定デバイスを前記調整モードに入れることは、該測定デバイスを該調整モードに入れるために、該標的領域またはその近位における該調整部材の所定のシーケンスコードまたは配置リズムを必要とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記所定のシーケンスコードまたは配置リズムは、前記測定デバイスを前記調整モードに入れるために、前記標的領域またはその近位における前記調整部材の二度以上のノックまたは配置を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記測定デバイスは、前記調整モードに入る前に、第1の信号および
前記第1の信号よりも低い第2の信号を送る、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
測定システムを調整する方法であって、
プロセスを運転することと、
該プロセスに関連するパラメータを測定するために、該プロセスに対して測定デバイスを取り付けることと、
該測定デバイスに電力を印加することと、
該測定デバイスに電力を印加した後の所定の期間内に、該測定デバイスの標的領域またはその近位に調整部材を位置決めして、該標的領域またはその近位への該調整部材の事後の位置決めを介した該測定デバイスの一つ以上の機能の事後の調整を可能にする調整モードに、該測定デバイスを入れることと、
該測定デバイスが該測定デバイスの一つ以上の機能を調整するための前記調整モードにある状態で、前記標的領域またはその近位に前記調整部材を事後的に位置決めすることと、
を含み、
前記調整モードは、前記測定デバイスに印加される前記プロセスの前記パラメータの数値または百分率値に応じて、該測定デバイスの第1の機能を調整する動作または機能と、該測定デバイスの第2の機能を調整する動作または機能との間で切り換わる
、方法。
【請求項16】
前記プロセスは、圧力下で運転され、
前記第1の機能を調整することは、前記測定デバイスのオフセットを調整することを含み、
前記第2の機能を調整することは、前記測定デバイスのスパンを調整することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記測定デバイス
が測定可能な圧力範囲に対する圧力のパーセントに応じて、前記調整モードは、前記第1の機能の調整と、前記第2の機能の調整との間で切り換わる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記プロセスは、圧力下で運転され、
前記第1の機能を調整することは、前記測定デバイスのオフセットを調整することを含み、
前記第2の機能を調整することは、前記測定デバイスのスパンを調整することを含む、請求項1
5から請求項17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記プロセスの前記第1のパラメータ範囲は、前記測定デバイス
が測定可能な圧力範囲の下限の圧力を中央値として前記圧力
範囲の+10%か
ら-10%
の範囲であり、
前記プロセスの前記第2のパラメータ範囲は、
前記圧力範囲の上限の圧力
の40%以上である、
請求項
1に記載の方法。
【請求項20】
前記測定デバイスが前記調整モードにある状態での、前記標的領域またはその近位への前記調整部材の事後の位置決めのたびに、該測定デバイスの一つ以上の機能を増分的に調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記一つ以上の機能の複数の正の増分調整が調整上限に到達した後の、前記標的領域またはその近位への前記調整部材の次の事後の位置決めは、次の増分調整を調整下限へ送り、次いで次の事後の調整は、調整下限から正に増加する、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記測定デバイスが前記調整モードになった後、前記標的領域またはその近位への前記調整部材の位置決めの非活動状態の時間枠の後、該測定デバイスは、非調整モードに入る、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記測定デバイスは、前記非調整モードに入った後、第1の信号および
前記第1の信号よりも低い第2の信号を送る、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
測定システムを調整する方法であって、
プロセスを運転することと、
該プロセスに関連するパラメータを測定するために、該プロセスに対して測定デバイスを取り付けることと、
該測定デバイスに電力を印加することと、
該測定デバイスに電力を印加した後の所定の期間内に、該測定デバイスの標的領域またはその近位に調整部材を位置決めして、該標的領域またはその近位への該調整部材の事後の位置決めを介した該測定デバイスの一つ以上の機能の事後の調整を可能にする調整モードに、該測定デバイスを入れることと、
該測定デバイスが該測定デバイスの一つ以上の機能を調整するための前記調整モードにある状態で、前記標的領域またはその近位に前記調整部材を事後的に位置決めすることと、
を含み、
前記測定デバイスは、封止型信号調節デバイスであり、
該測定デバイスは、前記調整モードに入る前に、少なくとも第1の信号を送り、
該測定デバイスは、前記プロセスの第1のパラメータ範囲で動作させられるとき、前記標的領域またはその近位に前記調整部材を事後的に位置決めすることによって、該測定デバイスの第1の機能を調整することができ、
該測定デバイスは、前記プロセスの第2のパラメータ範囲で動作させられるとき、前記標的領域またはその近位に前記調整部材を事後的に位置決めすることによって、該測定デバイスの第2の機能を調整することができ、
該測定デバイスが前記調整モードにある状態での、前記標的領域またはその近位への前記調整部材の事後の位置決めのたびに、該測定デバイスの一つ以上の機能を増分的に調整し、
該測定デバイスが前記調整モードになった後、前記標的領域またはその近位への前記調整部材の位置決めの非活動状態の時間枠の後、前記測定デバイスは、非調整モードに入る、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体として参照により本明細書に組み込まれている、2019年5月24日出願の米国特許非仮出願第16/422,165号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、測定デバイス(たとえば、圧力または温度測定デバイス)および、測定デバイスに関連する一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)を調整するための方法に関し、より詳細には、使用者が封止型測定デバイスの一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)を調整することを可能にする調整部材(たとえば、磁石部材)を有する封止型測定デバイス(たとえば、封止型圧力トランスデューサまたはトランスミッタなどの封止型信号調節デバイス)に関する。
【背景技術】
【0003】
圧力または温度を測定するために使用される機器および信号調節デバイスなどの測定デバイスには、産業界で数えきれない用途がある。たとえば、プロセス媒体の圧力を測定するように構成された圧力測定デバイス(たとえば、トランスデューサ、トランスミッタ、デジタルゲージなど)がよく知られている。
【0004】
測定デバイスは、商業および産業の適用例に対する無数の異なる環境で有用である。典型的には、圧力測定デバイスは、圧力を測定し、値の表示を提供する。
【0005】
通常、いくつかの測定デバイスに関連するオフセットおよび/またはスパンを調整しようとすることは、非常に難しい可能性がある。たとえば、危険な場所に位置する特定の測定デバイスは、オフセットおよび/またはスパンを調整しようとする前に、危険な環境から取り出されるべきである。いくつかの測定デバイスでは、使用者は、オフセットおよび/またはスパンを調整しようとするとき、スリーブを開き、ねじ回しを利用してポテンショメータのねじを回す必要がある。
【0006】
他の測定デバイスでは、使用者は、オフセットおよび/またはスパンを調整しようとするとき、ボタンなどにアクセスするために、ネームプレートねじおよびネームプレートを取り外す必要があり、これにはリスク(たとえば、封止型トランスミッタの内部の露出、および/または危険な場所(hazloc)のエネルギーへの露出)が伴う。また、封止型ポートは、設計および製造するのが高価であり、安全要件を満たすには、再封止に関して現場の要員に依拠することは危険を伴う可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、測定デバイスに関連する一つ以上の機能を調整する改善されたシステム/方法および関連する使用方法に対する関心が存在する。
【0008】
上記その他の非効率性および改善の機会は、本開示のシステム、方法、およびアセンブリによって対処および/または克服される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、有利な測定デバイス(たとえば、圧力または温度測定デバイス)、ならびに測定デバイスに関連する一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)を調整するための改善されたシステムおよび方法を提供する。より詳細には、本開示は、使用者が封止型測定デバイスの一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)を調整すること(たとえば、測定デバイスの封止を破らずに)を可能にする調整部材(たとえば、磁石部材)を有する改善された封止型測定デバイス(たとえば、封止型圧力トランスデューサまたはトランスミッタなどの封止型信号調節デバイス)を提供する。
【0010】
測定デバイスは、使用者が測定デバイスの一つ以上の機能に調整を加えることを可能にする調整部材を含む。たとえば、封止型圧力トランスデューサは、使用者が測定デバイスの筐体またはハウジングを破らずに、出力オフセットおよび/またはスパンの精細(精密)調整(たとえば、現場で)を行うことを可能にする磁石部材を含むことができる。
【0011】
本開示は、測定システムを調整する方法を提供し、この方法は、プロセスを運転することと、プロセスに関連するパラメータを測定するためにプロセスに対して測定デバイスを取り付けることと、測定デバイスに電力を印加することと、測定デバイスに電力を印加した後の所定の期間内に測定デバイスの標的領域またはその近位に調整部材を位置決めして標的領域またはその近位への調整部材の後の位置決めを介した測定デバイスの一つ以上の機能の事後の調整を可能にする調整モードに測定デバイスを入れることと、測定デバイスが測定デバイスの一つ以上の機能を調整するための調整モードにある状態で標的領域またはその近位に調整部材を事後的に位置決めすることと、を含む。
【0012】
本開示はまた、プロセスが圧力下で運転され、測定デバイスが封止型圧力測定デバイスである、測定システムを調整する方法を提供する。
【0013】
本開示はまた、測定デバイスが圧力測定デバイスまたは温度測定デバイスである、測定システムを調整する方法を提供する。
【0014】
本開示はまた、測定デバイスが圧力トランスデューサまたは圧力トランスミッタである、測定システムを調整する方法を提供する。
【0015】
本開示はまた、測定デバイスが封止型信号調節デバイスである、測定システムを調整する方法を提供する。本開示はまた、調整部材が磁石部材である、測定システムを調整する方法を提供する。本開示はまた、測定デバイスが感知要素を含み、感知要素が磁気感受性のある論理入力デバイスである、測定システムを調整する方法を提供する。
【0016】
本開示はまた、測定デバイスに電力を印加した後の所定の期間が約30秒以下である、測定システムを調整する方法を提供する。本開示はまた、測定デバイスの一つ以上の機能の調整が測定デバイスのデジタルまたはアナログ出力を調整することを含む、測定システムを調整する方法を提供する。本開示はまた、測定デバイスの一つ以上の機能の調整が測定デバイスのオフセットまたはスパンを調整することを含む、測定システムを調整する方法を提供する。本開示はまた、測定デバイスの一つ以上の機能の調整が測定デバイスの筐体またはハウジングを破らずに行われる、測定システムを調整する方法を提供する。
【0017】
本開示はまた、標的領域またはその近位に調整部材を位置決めして測定デバイスを調整モードに入れることが、測定デバイスを調整モードに入れるために標的領域またはその近位における調整部材の所定のシーケンスコードまたは配置リズムを必要とする、測定システムを調整する方法を提供する。本開示はまた、所定のシーケンスコードまたは配置リズムが測定デバイスを調整モードに入れるために標的領域またはその近位における調整部材の二度以上のノックまたは配置を含む、測定システムを調整する方法を提供する。
【0018】
本開示はまた、測定デバイスが調整モードに入る前に第1の信号および第2の信号を送る、測定システムを調整する方法を提供する。本開示はまた、調整モードが、測定デバイスに印加されるプロセスのパラメータの数値または百分率値に応じて、測定デバイスの第1の機能を調整する動作または機能と、測定デバイスの第2の機能を調整する動作または機能との間で切り換わる、測定システムを調整する方法を提供する。
【0019】
本開示はまた、プロセスが圧力下で運転され、第1の機能を調整することが測定デバイスのオフセットを調整することを含み、第2の機能を調整することが測定デバイスのスパンを調整することを含む、測定システムを調整する方法を提供する。本開示はまた、測定デバイスに印加される圧力のパーセントに応じて、調整モードが第1の機能の調整と第2の機能の調整との間で切り換わる、測定システムを調整する方法を提供する。
【0020】
本開示はまた、測定デバイスがプロセスの第1のパラメータ範囲で動作させられるときに標的領域またはその近位に調整部材を事後的に位置決めすることによって測定デバイスの第1の機能を調整することができ、測定デバイスがプロセスの第2のパラメータ範囲で動作させられるときに標的領域またはその近位に調整部材を事後的に位置決めすることによって測定デバイスの第2の機能を調整することができる、測定システムを調整する方法を提供する。
【0021】
本開示はまた、プロセスが圧力下で運転され、第1の機能を調整することが測定デバイスのオフセットを調整することを含み、第2の機能を調整することが測定デバイスのスパンを調整することを含む、測定システムを調整する方法を提供する。本開示はまた、プロセスの第1のパラメータ範囲が測定デバイスに印加される圧力の約+10%から約-10%であり、プロセスの第2のパラメータ範囲が測定デバイスに印加される圧力の約40%以上である、測定システムを調整する方法を提供する。
【0022】
本開示はまた、測定デバイスが調整モードにある状態での標的領域またはその近位への調整部材の事後の位置決めのたびに測定デバイスの一つ以上の機能を増分的に調整する、測定システムを調整する方法を提供する。
【0023】
本開示はまた、一つ以上の機能の複数の正の増分調整が調整上限に到達した後の標的領域またはその近位への調整部材の次の事後の位置決めが次の増分調整を調整下限へ送り、次いで次の事後の調整が調整下限から正に増加する、測定システムを調整する方法を提供する。
【0024】
本開示はまた、測定デバイスが調整モードになった後、標的領域またはその近位への調整部材の位置決めの非活動状態の時間枠の後、測定デバイスが非調整モードに入る、測定システムを調整する方法を提供する。
【0025】
本開示はまた、測定デバイスが、非調整モードに入った後、第1の信号および第2の信号を送る測定システムを調整する方法を提供する。
【0026】
本開示はまた、測定システムを調整する方法を提供し、この方法は、プロセスを運転することと、プロセスに関連するパラメータを測定するためにプロセスに対して測定デバイスを取り付けることと、測定デバイスに電力を印加することと、測定デバイスに電力を印加した後の所定の期間内に測定デバイスの標的領域またはその近位に調整部材を位置決めして標的領域またはその近位への調整部材の事後の位置決めを介した測定デバイスの一つ以上の機能の事後の調整を可能にする調整モードに測定デバイスを入れることと、測定デバイスが測定デバイスの一つ以上の機能を調整するための調整モードにある状態で標的領域またはその近位に調整部材を事後的に位置決めすることと、を含み、測定デバイスが封止型信号調節デバイスであり、測定デバイスが調整モードに入る前に少なくとも第1の信号を送り、測定デバイスがプロセスの第1のパラメータ範囲で動作させられるときに標的領域またはその近位に調整部材を事後的に位置決めすることによって測定デバイスの第1の機能を調整することができ、測定デバイスがプロセスの第2のパラメータ範囲で動作させられるときに標的領域またはその近位に調整部材を事後的に位置決めすることによって測定デバイスの第2の機能を調整することができ、測定デバイスが調整モードにある状態での標的領域またはその近位への調整部材の事後の位置決めのたびに測定デバイスの一つ以上の機能を増分的に調整し、測定デバイスが調整モードになった後で標的領域またはその近位への調整部材の位置決めの非活動状態の時間枠の後に測定デバイスが非調整モードに入る。
【0027】
本開示はまた、圧力測定システムを調整する方法を提供し、この方法は、プロセスを圧力下で運転することと、プロセスに関連する圧力を測定するためにプロセスに対して圧力測定デバイスを取り付けることと、圧力測定デバイスに電力を印加することと、圧力測定デバイスに電力を印加した後の所定の期間内に圧力測定デバイスの標的領域またはその近位に磁石部材を位置決めして標的領域またはその近位への磁石部材の事後の位置決めを介した圧力測定デバイスのオフセットまたはスパンの事後の調整を可能にする調整モードに圧力測定デバイスを入れることと、圧力測定デバイスが測定デバイスのオフセットまたはスパンを調整するための調整モードにある状態で標的領域またはその近位に磁石部材を事後的に位置決めすることと、を含み、標的領域またはその近位に磁石部材を位置決めして圧力測定デバイスを調整モードに入れることが、圧力測定デバイスを調整モードに入れるために標的領域またはその近位における磁石部材の所定のシーケンスコードまたは配置リズムを必要とし、圧力測定デバイスのオフセットまたはスパンの調整が圧力測定デバイスの筐体またはハウジングを破らずに行われる。
【0028】
実施形態の任意の組合せまたは順列が考えられる。本開示の開示するシステム、方法、およびアセンブリの追加の有利な特徴、機能、および適用例は、以下の説明から、特に添付の図とともに読むと明らかである。本開示に挙げるすべての参照は、全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【0029】
実施形態の特徴および態様について、添付の図面を参照して以下に説明する。添付の図面では、要素は必ずしも原寸に比例して描写されていない。
【0030】
本開示の例示的な実施形態について、添付の図を参照してさらに説明する。後述および図示する様々なステップ、特徴、およびステップ/特徴の組合せを異なる形で配置および構成しても、本開示の範囲内に入る実施形態を得ることができることに留意されたい。開示するシステム、方法、およびアセンブリを作製および使用する当業者を支援するために、添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示による例示的な測定デバイスおよび調整部材の側面図である。
【
図2】本開示の例示的な測定デバイスのオフセットを調整することを描写するグラフである。
【
図3】本開示の例示的な測定デバイスのオフセットを調整することを描写するグラフである。
【
図4】本開示の例示的な測定デバイスのオフセットを調整することを描写するグラフである。
【
図5】本開示の例示的な測定デバイスのオフセットを調整することを描写するグラフである。
【
図6】本開示の例示的な測定デバイスのオフセットを調整することを描写するグラフである。
【
図7】本開示の例示的な測定デバイスのオフセットを調整することを描写するグラフである。
【
図8】本開示の例示的な測定デバイスのオフセットを調整することを描写するグラフである。
【
図9】本開示の例示的な測定デバイスのスパンを調整することを描写するグラフである。
【
図10】本開示の例示的な測定デバイスのスパンを調整することを描写するグラフである。
【
図11】本開示の例示的な測定デバイスのスパンを調整することを描写するグラフである。
【
図12】本開示の例示的な測定デバイスのスパンを調整することを描写するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に開示する例示的な実施形態は、本開示の有利な測定デバイス(たとえば、圧力または温度測定デバイス)およびシステムならびにその調整方法/技法を示す。しかし、開示する実施形態は、本開示の単なる例示であり、本開示は、様々な形態で実施することができることを理解されたい。したがって、例示的な測定デバイス/調整方法ならびに関連する組立ておよび使用プロセス/技法を参照して本明細書に開示する詳細は、限定であると解釈されるべきではなく、本開示の有利な測定デバイス/方法および/または代替の測定デバイス/方法をどのように作製および使用するかを当業者に教示するための単なる基礎であると解釈されるべきである。
【0033】
本開示は、測定デバイスに関連する一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)を調整するための改善された測定デバイス(たとえば、圧力または温度測定デバイス)ならびに改善されたシステムおよび方法を提供する。より詳細には、本開示は、使用者が封止型測定デバイスの一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)を調整することを可能にする調整部材(たとえば、磁石部材)を有する有利な封止型測定デバイス(たとえば、封止型圧力トランスデューサまたはトランスミッタなどの封止型信号調節デバイス)を提供する。
【0034】
現在の慣行では、いくつかの測定デバイスに関連するオフセットおよび/またはスパンを調整しようとすることは、非常に難しい可能性がある。一例として、いくつかの従来の測定デバイスは、危険な場所に位置しており、オフセットおよび/またはスパンを調整しようとする前に、危険な環境から取り出されるべきである。多くの場合、HazLoc(ATEX)および機能安全規格はどちらも、あらゆる現場での調整(または修正)には任意の変更のためのアクセスを可能にするツールを必要とすることを要求しており、したがってそのような行為は慎重に行われなければならない。特定の従来の測定デバイスでは、使用者は、オフセットおよび/またはスパンを調整しようとするとき、スリーブを開き、ねじ回しを利用してポテンショメータのねじを回す必要がある。いくつかの他の従来の測定デバイスでは、使用者は、オフセットおよび/またはスパンを調整しようとするとき、ボタンなどにアクセスするために、ネームプレートねじおよびネームプレートを取り外す必要がある。
【0035】
例示的な実施形態では、本開示は、調整部材(たとえば、磁石部材)を利用して、測定デバイスのオフセットおよび/またはスパンを調整することによって、測定デバイス(たとえば、封止型圧力トランスデューサまたはトランスミッタなどの封止型信号調節デバイス)の一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)を調整する改善されたシステム/方法を提供し、それによって結果として著しい動作上、製造上、および商業上の利点を提供する。
【0036】
図面を次に参照すると、本明細書および図面全体にわたって、同様の部分はそれぞれ同じ参照番号で示されている。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、特定の図では、見やすくする目的で一部分が強調されていることがある。
【0037】
図1に示すように、本開示の一実施形態を描写する測定デバイス10が示されている。例示的な測定デバイス10は、圧力または温度測定デバイス10などの形態をとるが、本開示はこれに限定されない。
【0038】
より詳細には、例示的な測定デバイス10は、封止型測定デバイス10(たとえば、封止型圧力トランスデューサ10またはトランスミッタ10などの封止型信号調節デバイス10)の形態をとる。測定デバイス10は、プロセスに関連するパラメータを測定するために、プロセスに対して取り付けられるように構成および寸法設定される(たとえば、プロセス媒体の圧力を測定するように構成された圧力トランスデューサ/トランスミッタ10など)。
【0039】
概して、測定デバイス10(たとえば、封止型圧力トランスデューサ10)は、使用者が測定デバイス10の一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)に調整を加えることを可能にする調整部材14(たとえば、磁石部材14)を含む。
【0040】
たとえば、封止型圧力トランスデューサ10は、使用者が測定デバイス10の筐体またはハウジング12を破らずに、出力オフセットおよび/またはスパンの精細(精密)調整(たとえば、現場で)を行うことを可能にする調整部材14(たとえば、磁石部材14)を含むことができる。
【0041】
例示的な実施形態では、磁石部材14(たとえば、ねじ回しの端部に位置するものに類似した小さい磁石部材14)を利用し、測定デバイス10に電力を印加してから所定の期間内(たとえば、約30秒以内、約10秒以内など)に、ハウジング12の指定または標的領域内でハウジング12またはその近位に磁石部材14をタップ/接触または配置することによって、次いで測定デバイス10の出力(たとえば、アナログおよび/またはデジタル出力)が、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の事後のタップ/ノック/配置を介して、測定デバイス10の感知要素16を介して(たとえば、測定デバイス10内の中心に位置するリードスイッチ16を介して)、(細かく)段階的に増加する。特定の実施形態では、測定デバイス10の出力は、その後、磁石部材14がハウジング12の指定/標的領域またはその近位で定位置に保持(たとえば、2秒または3秒超など)された場合、自動的に増加して速度が上昇する。
【0042】
他の実施形態では、調整部材14は、回転リング14(たとえば、ハウジング12の周囲)または磁気ホイール14などの形態をとることができ、そのような調整部材14を使用して、交番する磁気パルス(たとえば、ハウジング12またはその近位への調整部材14のタップ/ノック/配置を繰り返すこと)を容易にすることができることに留意されたい。
【0043】
例示的な実施形態では、感知要素16は、磁気感受性のある(デジタル)論理入力デバイス(たとえば、磁気スイッチ16)である(ただし、より複雑な磁気入力方法のために、ホール効果またはGMRセンサ16によって交換または強化することもできる)。
【0044】
特定の実施形態では、測定デバイス10の複数の感知要素16(たとえば、複数のリードスイッチ16)が、追加の入力機能または通信のために、追加の遠隔論理入力を提供することができることに留意されたい。
【0045】
他の実施形態では、ホール効果センサ16またはGMR(巨大磁気抵抗)デバイス16が、比例(単なる論理ではない)入力を提供し、磁気通信入力が調整または構成のための発見的入力として働くことをさらに容易にするために、代わり(リードスイッチ16の代替)になることができる。
【0046】
他の実施形態では、感知要素16はまた、触覚スイッチ(たとえば、磁石部材14がなく、手動で操作される)、ハウジング12上/その付近の「タップ」などを検出するための衝撃センサ(たとえば、圧電またはマイクロフォン)、位置スイッチ、光スイッチ/センサ、またはウィーガント効果デバイス、GMR(巨大磁気抵抗)、もしくはホール効果センサ16などの他の磁気センサの形態をとることができることに留意されたい。
【0047】
以下でさらに論じるように、磁石部材14を介した測定デバイス10のオフセットおよび/またはスパンの事後の調整を可能にするために、ハウジング12またはその近位における調整部材14(たとえば、磁石部材14)の固定もしくは所定のシーケンスコードまたはノック/タップ/配置のリズム/シーケンス(たとえば、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の二度のノック/タップ/配置、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の三度のノック/タップ/配置、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の複数の特定のノック/タップ/配置など)を必要とすることによって、測定デバイス10のためのセキュリティを提供することができる。測定デバイス10の一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)の事後の調整を可能にするためのハウジング12またはその近位への磁石部材14の固定もしくは所定のシーケンスコードまたはノック/タップ/配置のリズムに対するそのような要件は、測定デバイス10の不注意または無許可の較正または調整を防止することができる。
【0048】
一例では、測定デバイス10(たとえば、圧力トランスデューサ/トランスミッタ10)は、プロセスに関連するパラメータ(たとえば、圧力)を測定するために、プロセスに対して取り付けることができる。
【0049】
次いで、測定デバイス10に電力を印加することができる。
【0050】
測定デバイス10に電力を印加した後の所定の期間内(たとえば、約30秒以内、約10秒以内など)に、ハウジング12の所定または標的領域(たとえば、ハウジングのラベルなどの上に表示される)内で、ハウジング12またはその近位に、磁石部材14をタップまたは接触/配置/位置決めして(たとえば、正しいノックオンまたはタッピングセキュリティコード/リズム/シーケンスを使用する)、測定デバイス10またはその近位(たとえば、ハウジング12の標的領域またはその近位)への磁石部材14の事後の接触または配置を介した測定デバイス10の一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)の事後の調整を可能にする調整モードに、測定デバイスを入れることができる。
【0051】
上述したように、測定デバイス10に対する磁石部材14のさらなる接触または配置を介した測定デバイス10の一つ以上の機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパン)の事後の調整を可能にする調整モードに、測定デバイスを入れるために、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の固定もしくは所定のシーケンスコードまたはノック/タップ/配置のリズム/シーケンスを必要とすることによって、測定デバイス10のためのセキュリティを提供することができる。
【0052】
次いで測定デバイス10は、第1の信号(たとえば、高い電流)を送り、次いで第2の信号(たとえば、低い電流)を送ることによって応答し(測定デバイス10に電力を供給した後の所定の期間内に、ハウジング12またはその近位での正しいノックオンまたはタッピングセキュリティコード/リズム/配置が、指定領域に印加された後)、その後、調整モードに入る。たとえば、測定デバイス10のアナログ出力は、短時間だけ高くなり、次いで数秒以内だけ低くなることによって、調整モード入りの成功を告知することができる。測定デバイス10は、調整モードに入ったことを示すために、一つの信号だけを送ることができ、または複数の信号を送ることができることに留意されたい。
【0053】
調整モードにある状態で、使用者は次いで、磁石部材14を利用して、指定の領域でハウジング12またはその近位に磁石部材14をタップまたはノック/配置し、測定デバイス10の出力への調整を加える(たとえば、アナログ出力のオフセットまたはスパンを増加させる)ことができる。
【0054】
例示的な実施形態では、測定デバイスの調整モードは、測定デバイス10に印加されるプロセスのパラメータの数値または百分率値に応じて(たとえば、測定デバイス10に印加される実際の圧力に応じて)、測定デバイス10の第1の機能を調整/変更する動作または機能(たとえば、測定デバイス10への「ゼロ」または「オフセット」調整)と、測定デバイス10の第2の機能を調整/変更する動作または機能(たとえば、測定デバイス10への「スパン」調整)との間で切り換わることができる。
【0055】
言い換えれば、例示的な測定デバイス10の調整モードは、測定デバイス10に印加される実際の圧力(たとえば、圧力のパーセント)に応じて、(i)測定デバイス10への「ゼロ」または「オフセット」調整の動作と、(ii)測定デバイス10への「スパン」調整の動作との間で切り換わることができる。
【0056】
たとえば、測定デバイス10が、プロセスの第1のパラメータ範囲内(たとえば、測定デバイス10に印加される圧力の約+10%から約-10%、測定デバイス10に印加される圧力の約+20%から約-20%、測定デバイス10に印加される圧力の約+30%から約-10%など)で動作させられる場合、指定領域内でのハウジング12またはその近位への磁石部材14の事後の別個のタップまたはノック/配置のたびに、測定デバイス10の出力オフセットゼロに影響を与える。
【0057】
言い換えれば、測定デバイス10に印加される実際の圧力が、第1のパラメータ範囲内(たとえば、±10%)である場合、ハウジング12またはその近位への磁石部材14のタップ/ノック/配置のたびに、測定デバイスの出力オフセットゼロに影響を与える(たとえば、デバイス10のアナログ出力のオフセットを増加させる)。
【0058】
同様に、測定デバイス10が、プロセスの第2のパラメータ範囲内(たとえば、測定デバイス10に印加される圧力の約40%以上、測定デバイス10に印加される圧力の約50%以上など)で動作させられる場合、指定領域内でのハウジング12またはその近位への磁石部材14の事後の別個のタップまたはノック/配置のたびに、測定デバイス10の出力スパン利得に影響を与える(たとえば、デバイス10のアナログ出力のスパンを増加させる)。
【0059】
言い換えれば、測定デバイス10に印加される実際の圧力が、第2のパラメータ範囲内(たとえば、測定デバイス10に印加される圧力の約40%以上)である場合、ハウジング12またはその近位への磁石部材14のタップ/ノック/配置のたびに、測定デバイスの出力スパン利得に影響を与える。
【0060】
例示的な実施形態では、測定デバイス10の出力(オフセットおよび/またはスパン)への調整は、正の方向に増分的に増大し(たとえば、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の事後のタップ/ノック/配置のたびに)、各調整が調整上限に達した後、出力への調整は反転して調整下限(たとえば、オフセットまたはスパンの調整下限)へ進み、次いで調整下限から正に増加する(たとえば、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の事後のタップ/ノック/配置のたびに)。
【0061】
たとえば、調整上限は、+10%の出力変化とすることができ、調整下限は、-10%の出力変化とすることができるが、本開示はこれに限定されない。逆に、他の所望の調整上限および/または調整下限(たとえば、±5%の出力変化、±15%の出力変化など)を利用することもできることに留意されたい。
【0062】
出力(たとえば、オフセットまたはスパン)への増分調整(たとえば、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の事後のタップ/ノック/配置のたびに)は、任意の好適な増分数(たとえば、0.01%の出力変化、0.10%の出力変化、1%の出力変化、2%の出力変化、3%の出力変化など)とすることができる。
【0063】
この場合も、特定の実施形態では、測定デバイス10の出力は、その後、磁石部材14がハウジング12の指定/標的領域またはその近位で定位置に保持(たとえば、2秒または3秒超など)された場合、速度が自動的に増加および上昇することに留意されたい(たとえば、出力への増分調整が加速する)。
【0064】
言い換えれば、一実施形態では、トランスデューサ10上の標的領域内またはその近位へ磁石14をタップ/配置することで、オフセット(またはスパン)を最初はゆっくりと引き続き増大させ、次いで速度を増大させ、出力変化が+10%になった時点で、磁石14のさらなる入力タップ/配置は、調整を逆転させて-10%へ進み、次いで引き続き増分的に増大する。
【0065】
測定デバイス10に対して反対の調整方向を構成することもでき、測定デバイス10の出力(オフセットおよび/またはスパン)への調整が、負の方向に増分的に減少し(たとえば、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の事後のタップ/ノック/配置のたびに)、各調整が調整下限に達した後、出力への調整は反転して調整上限(たとえば、オフセットまたはスパンの調整上限)へ進み、次いで調整上限から負に増加する(たとえば、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の事後のタップ/ノック/配置のたびに)ことに留意されたい。
【0066】
図2~
図8は、本開示の例示的な測定デバイス10のオフセットを調整することを描写するグラフを示す。
【0067】
概して、調整部材14を利用して、測定デバイス10の読取り値をゼロ圧力で調整することができる(オフセット調整)。
【0068】
図2は、4mAから20mAの圧力トランスデューサ10になるように構成された測定デバイス10の出力を描写するグラフを示し、4mAは、0psi(重量ポンド毎平方インチ)の圧力読取り値になるように構成されており、20mAは、圧力トランスデューサ10の最大範囲になるように構成され、100psiの圧力読取り値に対応するように構成される。
【0069】
図2に示すように、測定デバイス10は、20psiで動作させることができる。測定デバイス10のオフセット出力を調整するために、使用者は、まず、
図3に示すように、測定デバイス10に対する印加圧力を、プロセスの第1のパラメータ範囲内(たとえば、測定デバイス10に印加される圧力の約+10%から約-10%)に減少させるはずである(圧力が0psiまで下げられる)。
【0070】
トランスデューサ10への電力を切り、次いで再び入れることができる。
【0071】
測定デバイス10に電力を印加した後の所定の期間内(たとえば、約30秒以内、約10秒以内など)に、ハウジング12の所定または標的領域内で、ハウジング12またはその近位に、磁石部材14をタップまたは接触/配置/位置決めして(たとえば、正しいノックオンまたはタッピングセキュリティコード/リズム/シーケンスを使用する)、測定デバイス10またはその近位(たとえば、ハウジング12の標的領域またはその近位)への磁石部材14の事後の接触または配置を介した測定デバイス10のオフセットの事後の調整(測定デバイス10がプロセスの第1のパラメータ範囲内で動作することによる)を可能にする調整モードに、測定デバイスを入れることができる。
【0072】
その後、
図4および
図5に示すように、測定デバイス10またはその近位に磁石部材14を事後的にタップまたは保持することで、出力オフセットを増加させる。
【0073】
事後の各調整が調整上限に達した後、出力への調整は反転して調整下限(たとえば、
図6に示すオフセットの調整下限)へ進み、次いで
図7および
図8に示すように、調整下限から正に増加する(たとえば、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の事後のタップ/ノック/配置のたびに)。
【0074】
図8は、測定デバイス10の出力オフセットが測定デバイス10の4mAで0psiへ再較正される(たとえば、±0.01%誤差範囲内)ことを描写している。
【0075】
測定デバイス10の4mAで0psiになるように再較正した後、使用者は、調整部材をハウジング14から取り除き、所定の期間(たとえば、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の最後の接触/配置から約30秒、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の最後の接触/配置から約10秒など)にわたって待機することができる。
【0076】
次いで測定デバイス10は、第1の信号(たとえば、高い電流)を送り、次いで第2の信号(たとえば、低い電流)を送ることによって応答し(所定の期間にわたって待機した後)、その後、調整モードを出る(たとえば、非調整モードに入る)。測定デバイス10は、調整モードを出たことを示すために、一つの信号だけを送ることができ、または複数の信号を送ることができることに留意されたい。
【0077】
言い換えれば、非活動状態(磁気14の入力に関する)の所定の期間(たとえば、約30秒)にわたって待機した後、出力(たとえば、アナログ出力)のオフセットまたはスパン(または両方)に加えられるあらゆる変化は、測定デバイス10の不揮発性メモリに恒久的に記憶され、出力は、短時間だけ高くなり、次いで数秒以内だけ低くなることによって、これを告知する。
【0078】
図9~
図12は、本開示の例示的な測定デバイス10のスパンを調整することを描写するグラフを示す。
【0079】
概して、調整部材14を利用して、出力スケールを変化させることによって、測定デバイス10の読取り値をより高い圧力で調整することができる(スパン調整)。
【0080】
図9は、4mAから20mAの圧力トランスデューサ10になるように構成された測定デバイス10の出力を描写するグラフを示し、4mAは、0psiの圧力読取り値になるように構成されており、20mAは、圧力トランスデューサ10の最大範囲になるように構成され、100psiの圧力読取り値に対応するように構成される。
【0081】
図9に示すように、測定デバイス10は、20psiで動作させることができる。測定デバイス10のスパン出力を調整するために、使用者は、まず、
図10に示すように、測定デバイス10に対する印加圧力をプロセスの第2のパラメータ範囲内(たとえば、測定デバイス10に印加される圧力の約40%以上など)に増大させるはずである(圧力が80psiまで上げられる)。
【0082】
トランスデューサ10への電力を切り、次いで再び入れることができる。
【0083】
測定デバイス10に電力を印加した後の所定の期間内(たとえば、約30秒以内、約10秒以内など)に、ハウジング12の所定または標的領域内で、ハウジング12またはその近位に、磁石部材14をタップまたは接触/配置/位置決めして(たとえば、正しいノックオンまたはタッピングセキュリティコード/リズム/シーケンスを使用する)、測定デバイス10またはその近位(たとえば、ハウジング12の標的領域またはその近位)への磁石部材14の事後の接触または配置を介した測定デバイス10のスパンの事後の調整(測定デバイス10がプロセスの第2のパラメータ範囲内で動作することによる)を可能にする調整モードに、測定デバイスを入れることができる。
【0084】
その後、
図11および
図12に示すように、測定デバイス10またはその近位に対して磁石部材14を事後的にタップまたは保持することで、出力スパンを増加させる。
【0085】
事後の各調整が調整上限に達した後、出力への調整は反転して調整下限(たとえば、スパンの調整下限)へ進み、次いで調整下限から正に増加する(たとえば、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の事後のタップ/ノック/配置のたびに)ことに留意されたい。
【0086】
図12は、測定デバイス10の出力スパンが測定デバイス10の20mAで100psiへ再較正されることを描写している(たとえば、20mAは、圧力トランスデューサ10の最大範囲になるように構成され、±0.01%の誤差範囲内で100psiの圧力読取り値に対応するように構成される)。
【0087】
測定デバイス10の20mAで100psiになるように再較正した後、使用者は、調整部材をハウジング14から取り除き、所定の期間(たとえば、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の最後の接触/配置から約30秒、ハウジング12またはその近位への磁石部材14の最後の接触/配置から約10秒など)にわたって待機することができる。
【0088】
次いで測定デバイス10は、第1の信号(たとえば、高い電流)を送り、次いで第2の信号(たとえば、低い電流)を送ることによって応答し(所定の期間にわたって待機した後)、その後、調整モードを出る。測定デバイス10は、調整モードを出たことを示すために、一つの信号だけを送ることができ、または複数の信号を送ることができることに留意されたい。
【0089】
調整部材14を介した例示的な測定デバイス10の調整機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパンの調整)により、使用者または設置者が、ハウジング/筐体12を破らずに、測定デバイス10などを調整または較正すること(たとえば、トリムポットなどへのアクセスを得るため)が可能になることが有利であり、これは、燃焼を防止または抑制するために本質安全または防爆機器が必要とされうる危険な場所で特に有益である。
【0090】
調整部材14を介した例示的な測定デバイス10の調整機能(たとえば、オフセットおよび/またはスパンの調整)はまた、水中トランスデューサ10、密閉封止型デバイス10、またはさらには全溶接構造デバイス10などの任意のしっかりと封止された測定デバイス10に対して、使用者によるまたは現場での較正を提供することが非常に有利であることに留意されたい。
【0091】
これらの調整方法/プロセスの様々な部分または区分のタイミングおよび範囲は、可変であることに留意されたい。たとえば、電力投入後の30秒の時間帯または時間枠は、10秒または任意の他の好適な持続時間に変更することができる。
【0092】
オフセット調整とスパン調整とを区別するための圧力範囲(または類似のデバイス10に対する他の入力変数)は、特注の適用例に合わせて変更または定義することができる。
【0093】
ノックコード自体は、任意の好適なシーケンスまたはタイミング/デューティーサイクル(またはさらには、たとえばモールス符号を検出するタイミング)とすることができる。告知信号は、いくつかの他の信号またはシーケンスによって実施することができる。
【0094】
磁石のタップ/配置は、電磁的とすることもできる(より速い実行もしくはより複雑な入力シーケンス/セキュリティコード化、または遠隔調整を可能にする)。出力信号は、アナログである必要はなく、デジタルとすることができる。
【0095】
最後に、外部入力のための磁気入力方法は、オフセットおよびスパン調整(およびセキュアアクセス)に限定されるものではない。たとえば、そのような磁気入力方法は、多種多様な目的で、デバイスのリセット、トリガの入力(たとえば、データロギングまたはタイマのため)として使用することができる。
【0096】
調整部材14を有する例示的な測定デバイス10は、ゼロおよびスパンの両方を調整することが可能である。
【0097】
調整部材14を有する例示的な測定デバイス10は、単にゼロをアサート/設定するのではなく、広い範囲全体にわたって精細調整を実行することが可能である。
【0098】
調整部材14を有する例示的な測定デバイス10は、デバイス10を現場で較正するために危険な環境から取り出す必要なく、デバイス10が危険な環境で動作しているときに、現場での較正を実行することが可能である。
【0099】
上述したように、ノックコード機能は、偶然または無許可の調整を防止し、機能安全のためのIEC-61508規格に準拠するように機能を実施することを可能にする。
【0100】
告知機能(ノックコードが受け入れられたとき、および較正調整が完了したときにトリガされる)により、デバイス10に対して較正調整が確定/完了/開始されたことを、使用者が確実に知ることが可能になる。
【0101】
調整部材14および関連する調整機能を有する例示的な測定デバイス10は、ゼロおよびスパンに対するトリムポットに関連する誤差を低減させる。
【0102】
本開示のシステムおよび方法について、本開示の例示的な実施形態を参照して説明したが、本開示は、そのような例示的な実施形態および/または実装形態に限定されるものではない。逆に、本開示のシステムおよび方法は、本開示から当業者には容易に明らかになるように、多くの実装形態および適用例の余地がある。本開示は、開示する実施形態のそのような修正例、改善例、および/または変形例を明白に包含する。本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構造には多くの変更を加えることができ、本開示の多くの広く異なる実施形態をなすことができるため、図面および本明細書に含まれるすべての内容は、限定的な意味ではなく例示として解釈されるものとすることが意図される。上記の開示では、追加の修正例、変形例、および置換えも意図される。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の範囲に一貫して広く解釈されることが適当である。