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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】車両のステップ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/02 20060101AFI20230413BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B60R3/02
B62D25/20 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019196857
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021070365
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591038587
【氏名又は名称】株式会社アンセイ
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼増 信哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡
(72)【発明者】
【氏名】中田 吉紀
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-085505(JP,A)
【文献】実開昭63-004788(JP,U)
【文献】特開2019-182325(JP,A)
【文献】特開2004-231157(JP,A)
【文献】特開2014-028579(JP,A)
【文献】特開2014-237364(JP,A)
【文献】特開2002-046538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/02
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の下面の側部に車両前後方向へ延びるように配置された、機器間を中継する中継部材を有し、
前記車体の車幅方向側部に前記中継部材と並行にサイドステップが配置される車両のステップ装置であって、
前記車体の下面は、前記車体の下面の側部に配置されて車両前後方向に延びるサイドフレームと、同サイドフレームから車幅方向へ車体の下面に沿って延びるクロスメンバとを有し、
前記中継部材は、前記クロスメンバの下面を跨いで前記サイドフレームに沿って前記車体の下面に配索され、
前記サイドステップは、長手方向両端側に取付ブラケットを有し、かつ取付ブラケットの両側にはクロスメンバを跨るようクロスメンバの両側のサイドフレーム部分の下面に取り付けられる一対の取付脚部を有し、
前記サイドステップの長手方向内側の取付脚部は、前記クロスメンバを跨る中継部材部分よりもサイドステップの長手方向内側へ延出され、当該取付脚部の先端部にはサイドフレーム部分の下面に締結される締結部を有し、かつ締結部近傍の取付脚部分には前記サイドステップへ所定以上の側突負荷が入力されると、締結部近傍から取付脚部を破断可能とした応力集中部を有し、
所定以上の側突負荷が前記サイドステップの中央側へ入力され、サイドステップが中央側から鋭角的に折れ曲がると、長手方向内側の取付脚部が締結部近傍から破断され、車体側へ最先に向かう取付脚部の破断面を前記クロスメンバを跨る中継部材部分の側方へ逃がす
ことを特徴とする車両のステップ装置。
【請求項2】
前記取付ブラケットは、前記クロスメンバの下面を跨る最下位の中継部材部分と臨む端部に、同中継部材部分を車幅方向から面部で押え付けを可能とした壁部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両のステップ装置。
【請求項3】
前記中継部材は、燃料が流通する燃料配管を含んでいることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両のステップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の車幅方向側部にサイドステップが配置される車両のステップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最低地上高さの高い車両は、車体の床位置が高くなる。このため、同車両は、乗降口からの乗降性が損なわれやすい。
そこで、こうした車両では乗員の乗降を支援するため、乗降口の有る車体側部に、固定式のサイドステップや可動式のサイドステップ(特許文献1などを参照)を設けて、乗員の乗降性を図ることが行われている。
【0003】
こうしたサイドステップの多くは、長手方向両端側に設けた取付ブラケットを車体側部に取り付けている。この際、取付強度が確保されるよう各取付ブラケットは、車体の骨格部材となるサイドフレーム(車両前後方向に延びる部材)に取り付けられる。
多くの取付ブラケットは、両側に一対の取付脚部を設けた構造が採用され、同取付脚部の先端部を、クロスメンバ(車幅方向に延びる部材)を跨るよう、クロスメンバ両側のサイドフレーム部分に締結している。
【0004】
こうしたサイドステップが装着される車両では、車体側部(車幅方向)の下面に車両前後方向に延びる中継部材が配置されている場合がある。中継部材は、サイドフレームに沿って車両前後方向に配索されることが多い。
中継部材は、車体前部に配置されるエンジンと車体後部に配置される燃料タンクとの間を中継する燃料配管など機器間を中継する部材が多く、車体下面の障害物を避けながら配索される。
【0005】
特に車両下面から下方へ突き出たクロスメンバが障害物となる場合、燃料配管などの中継部材は、クロスメンバの下面を跨いで、車体の下面に沿って配索される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭58―39543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、サイドフレームに締結されていた取付ブラケットの取付脚部の多くは、側突、すなわち車両の側部となるサイドステップの長手方向中央側から衝撃(側突負荷)が加わり、サイドステップが中央側から鋭角的に折れ曲がると、破断されるようにしている。
ところが、上述したように中継部材(燃料配管など)とサイドステップとが並行に配置される場合、車体側から離脱した取付ブラケットは、サイドステップの折れ曲がる方向に傾きながら(左右方向)、長手方向内側の取付脚部の破断面を先頭に、車体内側へ侵入し(サイドフレームやクロスメンバの下面)、クロスメンバを跨る中継部材部分(燃料配管など)と接触して損傷を与えることが懸念される。
【0008】
そこで、本発明の目的は、車両の側突時、取付ブラケットの取付脚部の破断を要因としたクロスメンバを跨る中継部材の損傷が防げる車両のステップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様は、車体の下面の側部に車両前後方向へ延びるように配置された、機器間を中継する中継部材を有し、車体の車幅方向側部に中継部材と並行にサイドステップが配置される車両のステップ装置であって、車体の下面は、車体の下面の側部に配置されて車両前後方向に延びるサイドフレームと、同サイドフレームから車幅方向へ車体の下面に沿って延びるクロスメンバとを有し、中継部材は、クロスメンバの下面を跨いでサイドフレームに沿って車体の下面に配索され、サイドステップは、長手方向両端側に取付ブラケットを有し、かつ取付ブラケットの両側にはクロスメンバを跨るようクロスメンバの両側のサイドフレーム部分の下面に取り付けられる一対の取付脚部を有し、サイドステップの長手方向内側の取付脚部は、クロスメンバを跨る中継部材部分よりもサイドステップの長手方向内側へ延出され、当該取付脚部の先端部にはサイドフレーム部分の下面に締結される締結部を有し、かつ締結部近傍の取付脚部分にはサイドステップへ所定以上の側突負荷が入力されると、締結部近傍から取付脚部を破断可能とした応力集中部を有し、所定以上の側突負荷がサイドステップの中央側へ入力され、サイドステップが中央側から鋭角的に折れ曲がると、長手方向内側の取付脚部が締結部近傍から破断され、車体側へ最先に向かう取付脚部の破断面をクロスメンバを跨る中継部材部分の側方へ逃がすものとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、側突が生じ、サイドステップの長手方向中央側から衝撃(側突負荷)が加わり、サイドステップが中央側から鋭角的に折れ曲がり、サイドステップの長手方向内側の取付脚部が締結部近傍から破断され、取付脚部が破断面を先頭に傾きながら車体内側へ侵入したとする。
このとき、長手方向内側の取付脚部は、クロスメンバを跨る中継部材部分よりもサイドステップの長手方向内側へ延出されるだけでなく、同取付脚部の先端側の締結部近傍から破断されるため、破断して車体側へ最先に向かう取付脚部の破断面は、クロスメンバを跨る中継部材部分を避けて、同中継部材部分の側方へ逃げる。
【0011】
それ故、車両の側突時、取付脚部の破断面は、クロスメンバを跨る中継部材部分と接触するのが回避され、取付ブラケットの破断した取付脚部を要因としたクロスメンバを跨る中継部材の損傷を防ぐことができる。
また、取付ブラケットのうち、クロスメンバを跨る最下位の中継部材部分に臨む端部に、中継部材を面で押え付けを可能にする壁部を設けると、取付ブラケットが車体内側へ侵入したときにおける中継部材部分の損傷も防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る態様となるサイドステップが装着された車両を、サイドステップの格納状態、サイドステップの側方張出状態と共に示す斜視図。
図2】燃料配管など中継部材とサイドステップとが並行に配置されている状態を示す平面図。
図3】サイドフレーム、取付ブラケット、クロスメンバ、燃料配管(中継部材)の配置状況を示す斜視図。
図4】同じく断面図。
図5】取付ブラケットの取付脚部が破断したときの挙動を説明する平面図。
図6】同じく斜視図。
図7】取付ブラケットの先端側の壁部により燃料配管が押し付けられる状況を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図1から図7に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1(a),(b)は、例えば1BOX車と称される車両1の一部の外観を示していて、図1(a),(b)中の符号2は、同車両1の車体を示している。
車体2は、例えば前部にエンジン(図示しない)が搭載され、後部下面に燃料タンク3(図2)が搭載される。また車体2の左右両側(運転席側、助手席側)には、フロント乗降口5、同フロント乗降口5を開閉するヒンジ式のフロントドア5a、リヤ乗降口7、リヤ乗降口7を開閉するがスライド式のリヤドア7aが設けられる(いずれも片側しか図示していない)。
【0014】
これにより、乗員が、フロント乗降口5、リヤ乗降口7を通じ、車内である車室空間(図示しない)や車外である外部へ乗降できるようにしている。
また図2に示されるように車体2の下面2aには、車体2の骨格部材を避けながら、中継部材、ここでは並列に配置される一対の燃料配管9(往側、復側)が配索されている。むろん、燃料が流通する燃料配管9だけでなく、他のケーブルなども配索される場合もある。
【0015】
同配索について説明すると、車体2の下面2aには、最も車幅方向外側(両側)に位置して一対のサイドシル11(片側しか図示せず)が設けられ、さらに一対のサイドシル11の内側には一対のサイドフレーム13(片側しか図示せず)が設けられる(図2)。ちなみに、サイドシル11、サイドフレーム13は、いずれも車両前後方向に沿って配置される部材である。
【0016】
サイドフレーム13間には、所定の間隔でクロスメンバ15が架け渡され、サイドシル11やサイドフレーム13と共に、車体2の骨格部材をなしている。クロスメンバ15は、車幅方向に沿って配置される部材である。ちなみに、サイドシル11とサイドフレーム13との間には、クロスメンバ15と連なるようビーム部材17が設けられる(図3図4)。
【0017】
一対の燃料配管9は、助手席側のサイドフレーム13の壁部(車幅方向内側)の近くを通りながら、車体2の下面2aを車両前後方向に沿って配索される。
そして、燃料配管9の前端部(車両前後方向)が、車体2の前部に搭載されたエンジン(図示しない)に接続され、後端部(車両前後方向)が、車体2の後部に搭載された燃料タンク3に内蔵の燃料ポンプ3aに接続される。
【0018】
燃料配管9の中間部は、図2および図3に示されるように車体2の下面2aにおいては吊り具19にて添わせるよう支持される。このうち、高さ方向で障害物となるクロスメンバ15においては、燃料配管9をほぼU形状に曲成してクロスメンバ15の下面を跨らせ、この跨いだ斜めの燃料配管部分9aの根本部を吊り具19にて支持させて、クロスメンバ15を避けている。
【0019】
これにより、燃料配管9は、助手席側のサイドフレーム13沿いに、機器間であるエンジンと燃料タンク3との間を中継するように配索され、車体後部の燃料タンク3から燃料が車体前部のエンジンへ導けるようにしている。
こうした車両1の助手席側のフロント乗降口5およびリヤ乗降口7の下側に、図1(a),(b)のようにステップ装置21が設けられる。ステップ装置21は、例えばフロント乗降口5からリヤ乗降口7までに渡る全長をもつサイドステップ23が用いられる。
【0020】
サイドステップ23は、例えばアルミ合金製の帯板形のプレート部材で構成される。このサイドステップ23が、例えば図3および図4に示されるようなリンク機構を用いて、図1(a),(b)および図4に示される車体下面2aに設定した格納位置Aから上下スイングで、フロント乗降口5およびリヤ乗降口7の側方へ張り出した張出位置Bへ導かれる。
【0021】
具体的には、図3および図4に示されるようにサイドステップ23の長手方向両端側には、それぞれリンク機構25が設けられる。例えばリンク機構25は、いずれもサイドステップ23の基端側から車幅方向内側へ延びるリンクアーム27や、同リンクアーム27の延出端に回動可能に支持されるアーム長の異なる二種類の中間リンク29,31(図4)や、同中間リンク29,31の各端部と回動自在に連結されたアーム状の取付ブラケット33などを組み合わせた上下スイング式のリンク機構が用いられる。
【0022】
また図3および図4のようにサイドステップ23の両端側に取り付く各取付ブラケット33のうち、前端部の両側には、一対の取付脚35(本願の取付脚部に相当)が形成される。後端部の両側には、一対の取付脚37が形成される。これら取付脚35,37の先端部には、締結用の孔部を有する座面部39が形成される。
そして、取付脚35の座面部39は、クロスメンバ15を跨るよう、クロスメンバ15の両側のサイドフレーム部分13aの下面に配置され、締結具、例えばボルト部材41にてサイドフレーム部分13aに締結される。取付脚37の座面部39は、ビーム部材17を跨るよう、ビーム部材17の両側のサイドシル部分11aの下面に配置され、同様に締結具、例えばボルト部材41にてサイドシル部分11aに締結される。つまり、車体2の側部直下に上下スイング式の4節リンク機構(一対)を組み付けている。
【0023】
この4節リンク機構により、図4中の矢印αのように車体下の格納位置Aで待機したサイドステップ23が、フロント乗降口5およびリヤ乗降口7の側方の張出位置Bへ、同乗降口5,7よりも低く、かつ水平姿勢を保ちながら導ける。
なお、例えば図2のように車両前側のリンク機構25をフロントリンク機構とし、車両後側のリンク機構25をリヤリンク機構としたとき、片側、例えばリヤリンク機構31bには、例えば電動モータを駆動源とした駆動ユニット43が設けられ、駆動ユニット43が発生する駆動力によって、サイドステップ23が格納位置Aから張出位置Bへ駆動されたり、張出位置Bから格納位置Aへ駆動される。
【0024】
ちなみに、駆動ユニット43は、図示はしないがECUに接続され、例えばドアスイッチ(図示しない)のオンオフ、すなわちフロントドア5a、リヤドア7aの開閉動に連動して、サイドステップ23の張り出しや格納が行える構造となっている。
こうしたサイドステップ23をもつ車両1においては、例えば待機状態のサイドステップ23が鋭角的に折れ曲がるような側突が生じたとき、加わる衝撃が緩和されるよう、取付脚35を破断させて、車体側から取付ブラケット33を離脱させることがある。
【0025】
ここで、図2のようにサイドステップ23と燃料配管9とが並行に配置される場合、図5のように各取付ブラケット33は、サイドステップ23の折れ曲がる方向へ傾き、サイドステップ23の長手方向内側に配置される取付脚35aの破断面を先頭に車体2側へ侵入して、クロスメンバ15を跨る斜めの燃料配管部分9aに損傷を与えるおそれがある。
そこで、取付ブラケット33の取付脚35,37のうち、サイドステップ23の長手方向内側に配置された取付脚35aには、同挙動における燃料配管9の損傷が防げる構造が採用されている。
【0026】
同構造を説明すると、まず第1として、図2および図3に示されるように当該長手方向内側に配置された取付脚35aだけを、クロスメンバ15を跨る斜めの燃料配管部分9a(本願の中継部材部分に相当)よりも、サイドステップ23の長手方向内側へ延出させる構造とする。むろん、他の取付脚35,37は、全長が短い。
第2として、延出した取付脚35aの先端部に、他の取付脚35,37と同様、サイドフレーム部分13aの下面に締結される座面部39(本願の締結部に相当)を設ける構造とする(図2および図3)。
【0027】
第3として、座面部39の近傍となる取付脚35a部分、ここでは、図3中の「H」で示される斜めの燃料配管部分9aを上下方向の位置関係で避けられるとした取付脚35aの位置Xに、他の部分よりも特段に応力が集中しやすい応力集中部45を形成する。ここでは、位置Xを境に脚部分の厚み寸法を変えている。つまり、取付脚35aは、破断可能で、サイドステップ23へ所定以上の側突の衝撃(側突負荷)が入力されると、応力集中部45(締結部近傍)から破断されるようにしている。
【0028】
こうした組み合わせにより、車体2の側部から、サイドステップ23を中央側から鋭角的に折り曲げるような側突の衝撃が入力されると、車体2側へ最先に向かう取付脚35a(長手方向内側)の破断面Y(図6)が、クロスメンバ15を跨る斜めの燃料配管部分9a(中継部材部分)と接触せずに、同燃料配管部分9aの側方の障害物の無い空間Z(図5)へ逃がせる構造にしている。むろん、応力集中部45は、脆弱部から形成しても構わない。
【0029】
また、各取付ブラケット33のうち、図3に示されるようにクロスメンバ15を跨る最下位の燃料配管部分9b(中継部材部分)と臨む端部、具体的には車両中央側に向く端部の先端面には、例えばサイドフレーム13と垂直な姿勢となる壁部47が形成されている。
この壁部47により、クロスメンバ15の下面を跨る最下位の燃料配管部分9bに対して車幅方向から面部で押え付け可能としてあり、たとえ取付ブラケット33の端部(車体中央側)が、燃料配管部分9bまで侵入することがあっても、燃料配管部分9bを押え付けるだけで、無用な損傷を与えずにすむようにしている。
【0030】
つぎに、図4図7を参照してステップ装置21の作用を説明する。
例えば車外の乗員が、リヤドア7aを開く操作を行うとする。すると、リヤドア7aの開動作に連動して、図4中の矢印αのように車体下面の格納位置Aで格納されていたサイドステップ23は、駆動ユニット43、4節リンク機構により、下方へスイングされながら張出位置Bへ至る。
【0031】
これにより、乗員は、張出位置Bに位置決められたサイドステップ23を利用して、リア乗降口7から乗車すればよい。
一方、走行中又は停止中の車両1(サイドステップ23は格納状態)において、側突、例えば図5に示されるようなサイドステップ23の長手方向中央側から衝撃F(側突負荷)が加わったとする。
【0032】
ここで、入力される衝撃Fが所定より大きい場合、サイドシル11やサイドステップ23は、中央側から鋭角的に折れ曲がり、各取付ブラケット33は、同サイドステップ23の折れ曲がりにならい左右方向へ傾く。
このとき、サイドフレーム13と締結される各取付脚35,35aには、過大な応力が加わる。このとき取付脚35,35aは、特定部位から破断する。
【0033】
すなわち、取付ブラケット33の外側の全長の短い取付脚35においては、取付脚35の途中部分から破断する。取付ブラケット33の内側の全長の長い取付脚35aにおいては、締結部近傍に有る応力集中部45(X位置)から破断する。
すると、図5および図6に示されるようにサイドステップ両端側の各取付ブラケット33は、傾きながら、破断した取付脚35aの破断面Yを先頭に車体2側へ侵入する。
【0034】
ここで、長手方向内側の取付脚35aは、クロスメンバ15を跨った斜めの燃料配管部分9a(中継部材部分)よりも、サイドステップ23の長手方向内側へ延出されるだけでなく、燃料配管部分9aとの衝突を避ける位置に有る応力集中部45(締結部近傍)から破断されるため、車体2側へ最先に向かう取付脚35aの破断面Yは、図4中の二点鎖線、図5および図6に示されるようにクロスメンバ15を跨る斜めの燃料配管部分9aを避けて、同燃料配管部分9aの側方の空間Z(障害物の無い空間)へ逃げる。
【0035】
それ故、車両1の側突時、取付脚35aの破断面Yが、クロスメンバ15を跨る燃料配管部分9a(中継部材部分)と接触するのが回避され、取付ブラケット33の破断した取付脚35aを要因とした燃料配管9(中継部材)の損傷を防ぐことができる。
しかも、たとえ取付ブラケット33の車体中央側の端部が、図7中の実線に示されるようにクロスメンバ15を跨る最下位の燃料配管部分9bまで侵入、あるいは図7中の二点鎖線に示されるように取付ブラケット33が上下方向へ傾きながら最下位の燃料配管部分9bまで侵入することがあっても、同端部には平坦面をもつ壁部47が有るため、燃料配管部分9bは壁部47の面部で押え付けられるだけで、燃料配管9に無用な損傷を与えずにすむ。
【0036】
これにより、サイドステップ23と燃料配管9とが並ぶレイアウトが実現できる。
なお、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば一実施形態では、本発明を可動式サイドステップで構成されるステップ装置に適用したが、これに限らず、固定式サイドステップで構成されるステップ装置に適用してもよい。また一実施形態でじゃ、中継部材として燃料配管を挙げたが、これに限らず、他の配管部材やケーブルなどでもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 車体
9 燃料配管(中継部材)
9a 燃料配管部分(中継部材部分)
13 サイドフレーム
15 クロスメンバ
21 ステップ装置
23 サイドステップ
33 取付ブラケット
35a 取付脚(取付脚部)
39 座面部(締結部)
45 応力集中部
47 壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7