(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】寝具カバー
(51)【国際特許分類】
A47G 9/02 20060101AFI20230413BHJP
A47G 9/10 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A47G9/02 K
A47G9/02 P
A47G9/10 W
(21)【出願番号】P 2019101061
(22)【出願日】2019-05-30
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】520350111
【氏名又は名称】合同会社ベターデイズラボ
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】大岸 誠治
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3030177(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02481318(GB,A)
【文献】登録実用新案第3128381(JP,U)
【文献】特開平11-285433(JP,A)
【文献】特開2009-095474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/02
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収納する直方体状の内袋の第1主面を覆う第1カバーと、
前記内袋の前記第1主面の反対側の第2主面を覆う第2カバーと、
前記第1主面と前記第1カバーとの間に配置され、前記第1カバー及び前記第2カバーよりも目の粗い第1メッシュカバーと、
前記第1カバー及び前記第2カバーで形成される空間に前記内袋を出し入れする開口を、前記内袋の厚さの中間位置に設けられた第1封止手段と、
前記第1カバーは、前記第1メッシュカバーをすべて覆う大きさであり、前記第1カバーの一部を開放して前記第1メッシュカバーを見えるようにし、前記第1カバーの一部を封止して前記第1メッシュカバーを覆う第2封止手段と、を備え、
前記
第1封止手段を開けた状態で前記開口から前記内袋を出し入れし、
前記第2封止手段を開けた状態で、前記第1メッシュカバーを介して前記第1主面の塵を吸引できる寝具カバー。
【請求項2】
前記
第1メッシュカバーは、前記第1カバーのマチ部分に縫い合わされている、請求項1に記載の寝具カバー。
【請求項3】
前記第1カバーは2つの短辺と2つの長辺とからなる長方形状であり、前記第2封止手段は、2つの前長辺と1つの前記短辺とに形成される、請求項1に記載の寝具カバー。
【請求項4】
前記内袋の側生地は、50デニールの糸を経緯1インチ間に380本織り込んだ高密度織物である、請求項1又は請求項2に記載の寝具カバー。
【請求項5】
前記第2主面と前記第2カバーとの間に配置され、前記第1カバー及び前記第2カバーよりも目の粗い第2メッシュカバー、を備え、
前記第2カバーは、前記第2メッシュカバーをすべて覆う大きさであり、前記第2カバーの一部を開放して前記第2メッシュカバーを見えるようにし、前記第2カバーの一部を封止して前記第2メッシュカバーを覆う第3封止手段をさらに備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の寝具カバー。
【請求項6】
前記第1メッシュカバーの少なくとも四隅に刻み目が設けられる、請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の寝具カバー。
【請求項7】
前記四隅には、前記内袋のズレ防止用のズレ防止紐が配置され、前記刻み目から結束可能である
請求項6に記載の寝具カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団又は枕などに付着したダニやその糞、死骸を含むアレルゲン(ハウスダスト等)を掃除機で吸い出せるようにした寝具カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
じゅうたん、カーペット、畳、布団等にはダニが繁殖しやすく、人がこのダニの生体や死骸もしくは糞をアレルゲンとして吸引することにより、喘息、鼻アレルギー等を起こすことが知られている。ダニの防除方法としては、掃除機での吸引除去等があるが、寝具カバーの生地目からダニの生体を吸引することが難しい上に、寝具カバーから布団を取り出してダニを吸引することは面倒であり、掃除機でダニを吸引した後に、再び布団を寝具カバーに入れる手間も面倒である。このため、特許文献1に開示される発明は、ダニなどのアレルゲンの通過を抑制することができる寝具カバーを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で提案される寝具カバーのカバー素材は、ダニ等のアレルゲンの通過を制限する素材で形成されているため、一度カバー内に入り込んだダニの生体やその糞、死骸を含むハウスダストの除去が困難になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の寝具カバーは、内容物を収納する直方体状の内袋の第1主面を覆う第1カバーと、内袋の第1主面の反対側の第2主面を覆う第2カバーと、第1主面と第1カバーとの間に配置され、第1カバー及び第2カバーよりも目の粗い第1メッシュカバーと、を備える。そして、利用者は、掃除機で第1メッシュカバーを介して第1主面の塵を吸引できる。
【0006】
また、寝具カバーは、第1カバー及び第2カバーで形成される空間に内袋を出し入れする開口に設けられた第1封止手段をさらに備えることが好ましい。また第1メッシュカバーは、長手方向に伸びるスリットを有してもよい。このスリットを使って、内袋を出し入れすることができる。
【0007】
さらに第1カバーは、第1メッシュカバーをすべて覆う大きさであり、第1カバーの一部を開放して第1メッシュカバーを見えるようにし、第1カバーの一部を封止して第1メッシュカバーを覆う第2封止手段をさらに備えてもよい。
また第1カバーは、第1メッシュカバーの一部のみを覆い、中央領域に切り欠き部があってもよい。
【0008】
実施形態の寝具カバーは、第2主面と第2カバーとの間に配置され、第1カバー及び第2カバーよりも目の粗い第2メッシュカバー、を備えてもよい。そして第2カバーは、第2メッシュカバーをすべて覆う大きさであり、第2カバーの一部を開放して第2メッシュカバーを見えるようにし、第2カバーの一部を封止して第2メッシュカバーを覆う第3封止手段をさらに備えることが好ましい。
また第1メッシュカバーの少なくとも四隅に刻み目が設けられてもよい。この刻み目を使って、利用者は内袋のズレ防止用の紐を結束することができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明の寝具カバーは、ぐっすりと眠りやすい素材でありながら、アレルゲンを簡単に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の掛け布団50を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態の掛け布団カバー10を備えた掛け布団50を示す図であり、(A)は(B)のA-A断面図であり、(B)は布団カバー10の正面図である。
【
図3】第1舌片カバー12cが開けられた掛け布団カバー10を示す正面図である。
【
図4】第2実施形態の掛け布団70を示す斜視図である。
【
図5】掛け布団カバー60を備えた掛け布団70を示す図であり、(A)は(B)のA-A断面図であり、(B)は布団カバー60の正面図であり、内袋45が点線で描かれている。
【
図6】第2実施形態の掛け布団90を示す斜視図である。
【
図7】掛け布団カバー80を備えた掛け布団90を示す図であり、(A)は(B)のA-A断面図であり、(B)は布団カバー80の正面図であり、内袋47が点線で描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る寝具カバーの第1実施形態及び第2実施形態について説明する。第1実施形態及び第2実施形態において、寝具カバーとして掛け布団カバーを使って説明するが、これに限定されない。寝具カバーには、敷布団カバー、枕カバー、こたつ布団カバー等のダニが発生しやすい内袋を覆うカバーに適用できる。また、以下の説明では、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、説明に用いる各図は発明を理解できる程度に概略的に示してあり、大きさ、角度又は厚み等が誇張されている箇所もある。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る掛け布団カバー10を備えた掛け布団50を示す斜視図である。掛け布団50は、直方体状であり、利用者があおむけに寝た姿勢(仰臥位)で頭側が+X軸方向で脚側が-X軸方向になるように使用される。掛け布団カバー10は、直方体状の内袋40(
図2を参照)の表面(第1主面)を覆う第1カバー12aと、内袋の裏面(第2主面)を覆う第2カバー12bとを有している。
【0013】
第1カバー12a及び第2カバー12bは長方形状であり、綿、麻、レーヨン、シルク、羊毛、アクリルもしくはポリエステル等の素材又はそれら2以上を組み合わせた混紡素材からなる。第1カバー12a及び第2カバー12bは、利用者の首や腕などの肌に接するので、肌触りが良く吸湿性に優れていることが好ましい。第1カバー12a及び第2カバー12bは、マチ付きで形成されている。以下マチ付きで説明するが、マチを設けなくても良い。第1カバー12aの少なくとも3辺は第2カバー12bの3辺に縫い合わされており、1辺は内袋40を掛け布団カバー10内に入れたり掛け布団カバー10から出したりする開口用に縫い合わされていない。Z軸方向に中間位置に形成された開口にはX軸方向に伸びる第1封止手段20が設けられており、第1封止手段20はこの開口を開けたり閉めたりすることができる。例えば第1カバー12a及び第2カバー12bは、綿番手40の糸を経緯1インチ間に150から220本程度で織り込んだ生地が使用される。
【0014】
第1カバー12aは、開閉することができる第1舌片カバー12cを有する。第1舌片カバー12cは長方形状であり、その3辺に第2封止手段30が設けられており、1辺は第1カバー12aとつながっている。
図1に示されるように、第1舌片カバー12cは+X軸側の1辺で第1カバー12aとつながり、第2封止手段30が無い。これは、利用者が仰臥位で寝た状態で、利用者の首や腕が第2封止手段30に接しないようにするためである。利用者の首や腕が接しても不快感がない第二封止手段を用いる場合は第二封止手段の取り付け方向を変えても良い。
【0015】
第1カバー12a及び第1舌片カバー12cと内袋40との間には、第1カバーよりも目の粗い第1メッシュカバー14aが、内袋40を覆うように設けられている。ダニアレルギーの原因となるダニ由来のハウスダストの主な生産者はヤケヒョウダニ、コナヒョウダニであり、その生体は0.4mm程度であることから、第1メッシュカバー14aは、0.5mm角相当以上の大きさの目(隙間)であることが好ましい。メッシュの目が大きくなるほどアレルゲンの吸引が容易になるが、縫製時に当て布を用いる必要が生じる為、メッシュの目が3mm~5mm程度の直接縫製が出来るメッシュを使用することでコストダウンを図ることができる。メッシュ素材はポリエステル、レーヨン、綿、ナイロン等の素材又はそれらを2以上組み合わせた混合素材からなる。利用者は、掃除機VCの掃除機ヘッドNZを使って、内袋40の表面(+Z方向側)にある埃やダニの死骸などのアレルゲンを、第1メッシュカバー14aを介して吸引できる。別の言い方をすると、利用者は、掛け布団カバー10から内袋40を取り出すことなく、内袋40の表面(+Z方向側)にある埃やダニの死骸などのアレルゲンを、吸引できる。
【0016】
第1カバー12aのような寝具の生地に掃除機VCの掃除機ヘッドNZを直接当てて吸引した場合、生地が掃除機ヘッドNZから吸い込まれて掃除機ヘッドNZが動かしにくくなり、広範囲の吸引が困難となる。本実施形態では第1メッシュカバー14a越しに吸引することで、効果的にアレルゲンを吸引しながら寝具の生地を吸い込むことを防ぎ、掃除機ヘッドNZの離脱が簡単に行える。そのことにより広範囲の吸引を素早く行うことが出来、これまでは場所、時間、体力を要していたダニなどの吸引を利用者は簡単に行うことができる。
【0017】
図2は、第1舌片カバー12cが閉じられた掛け布団カバー10を備えた掛け布団50を示す図であり、
図2(A)は
図2(B)のA-A断面図であり、
図2(B)は+Z軸方向からーZ軸方向を見た布団カバー10の正面図である。
【0018】
掛け布団カバー10の-Y軸方向に第1封止手段20が設けられている。第1封止手段20は例えば金属もしくは樹脂ファスナーであり、金属もしくは樹脂ファスナーはスライダー22及びジップ24を有している。金属もしくは樹脂ファスナー以外にも、第1封止手段20として、凸ボタン及び凹ボタンからなるスナップボタン、複数のフック及びループを有する面ファスナー等を使用することができる。
【0019】
掛け布団カバー10の表側である第1カバー12aは、閉じたときに第1舌片カバー12cが第1カバー12aと一体になるように、第2封止手段30が設けられている。第2封止手段30は例えば金属もしくは樹脂ファスナーであり、金属もしくは樹脂ファスナーはスライダー32及びジップ34を有している。金属もしくは樹脂ファスナー以外にも、第2封止手段30として、凸ボタン及び凹ボタンからなるスナップボタン、複数のフック及びループを有する面ファスナー等を使用することができる。第1舌片カバー12cは、掃除機VCの掃除機ヘッドNZを使って、内袋40の表面を掃除しやすくするため、掛け布団カバー10の表側で大きな割合を占めることが好ましい。第1実施形態では第1舌片カバー12cは、掛け布団カバー10のXY面の80%以上を占めている。
【0020】
図2(A)で示されるように、掛け布団カバー10の裏側である第2カバー12bにも、第2封止手段30(スライダー32及びジップ34)が設けられている。つまり、第2カバー12bにも、第1舌片カバー12cと同様な第2舌片カバー12dが設けられる。また第2カバー12b及び第2舌片カバー12dと内袋40との間には、第2カバーよりも目の粗い第2メッシュカバー14bが、内袋40を覆うように設けられている。特に図示しないが、利用者が掛け布団50を裏返して第2舌片カバー12dを開けると、
図1で示したように、第2メッシュカバー14bが現れ、利用者は、掛け布団カバー10から内袋40を取り出すことなく、内袋40の裏面(-Z方向側)にある埃やダニの死骸などのアレルゲンを、吸引できる。
【0021】
直方体の内袋40は、掛け布団50の芯材として機能する。内袋40は、側生地44とその内部に内容物42を備える。この内容物42によって、掛け布団50はZ軸方向に盛り上がる形状となる。内容物42は、例えば、真綿、木綿、ポリエステル綿、アクリル樹脂系綿、羽毛(羽根)又は羊毛等であり、内容物42の種類は、真綿に限られず適宜変更可能である。
【0022】
側生地44は、生きたダニが通過せず、またダニ等の死骸が細かくなったものが通過しない高密度織物又は高密度不織布で形成されることが好ましい。例えば高密度織物は50デニールの糸を経緯1インチ間に380本程度(縦220本×横160本程度)織り込んだ生地で、織目の隙間が極めて小さく、ダニ及びダニの排泄物、死骸が細かくなったものが通りにくい繊維からなる。さらに高密度織物にカレンダー加工等の目止め加工等を施すことが好ましい。カレンダー加工は、熱と圧力で生地の目(隙間)を潰す加工である。高密度織物又は高密度不織布の素材は、綿、麻、レーヨン、羊毛、アクリル、ナイロンもしくはポリエステル等の素材又はそれら2以上を組み合わせた混紡素材からなる。高密度織物又は高密度不織布は、溶着、熱溶着を施してダニ及びその糞、死骸が入り込まない構造にすることが好ましい。または、針孔からダニが中に入れない構造に縫製したり、膨張する糸や後加工で溶かして針孔を塞ぐ糸などを使用したりして、ダニが中に入れない構造にしても良い。側生地44が、高密度織物又は高密度不織布であると硬くて肌触りが良くないが、利用者の肌が直接触れることがないため、利用者はそれほど不快に思わない。また、側生地44が高密度織物又は高密度不織布で形成されていなくても、掛け布団カバー10を使用すれば、内袋40の表裏側からアレルゲンを吸引することが可能である。
【0023】
図2(A)の拡大図で示されるように、第1メッシュカバー14aの一方端(-Y軸方向側)は、第1カバー12aのマチ部分のジップ24の周辺に縫い合わされており、また図示しない第1メッシュカバー14aの他方端(+Y軸方向側)も、第1カバー12aのマチ部分に縫い合わされている。第1メッシュカバー14aの±X軸方向側も同様である。また、第2メッシュカバー14bの±X軸方向側も±Y軸方向側も同様である。
【0024】
図3は、第1舌片カバー12cが開けられた掛け布団カバー10を示す正面図である。第1メッシュカバー14aの角の四隅には、刻み目16が形成されている。第1メッシュカバー14aと第2メッシュカバー14bとの間で、その四隅には、内袋40が掛け布団カバー10内でずれないようにずれ防止紐18が設けられている。内袋40の四隅にも不図示の紐もしくは結束部(スナップボタン、ループ紐など)が設けられており、ずれ防止紐18と不図示の紐もしくは結束部とが結束される。この結束の作業を利用者が行い易いように、刻み目16が形成されている。つまり利用者は刻み目16から手を入れて、ずれ防止紐18と不図示の紐もしくは結束部とを容易に結束できる。さらにずれ防止紐18を色分けし内袋40の紐にも色分けして、利用者に同じ色同士の紐を結ぶようにしてもよい。
【0025】
なお、内袋40が、掛け布団カバー10内でずれないように、四隅だけでなくX軸方向の中間位置にも紐もしくは結束部を有している場合には、刻み目16を第1メッシュカバー14aの少なくともX軸方向もしくはY軸方向の一方又は両方の中間位置にも形成し、合計6カ所から8カ所の刻み目16を設けてもよい。第2メッシュカバー14bには必ずしも刻み目16を設ける必要はないが、設けても問題ない。
【0026】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係る掛け布団カバー60を備えた掛け布団70を示す斜視図である。掛け布団70は、直方体状であり、利用者があおむけに寝た姿勢(仰臥位)で頭側が+X軸方向で脚側が-X軸方向になるように使用される。掛け布団カバー70は、複数の直方体状の内袋45(
図5を参照)の表面(第1主面)を覆う第1カバー62aと、内袋45の裏面(第2主面)を覆う第2カバー62bとを有している。
【0027】
第1実施形態と同様に、第1カバー62a及び第2カバー62bは長方形状であり、綿、麻等の素材又はそれら2以上を組み合わせた混紡素材からなる。第1カバー62a及び第2カバー62bは、利用者の首や腕などの肌に接するので、肌触りが良く吸湿性に優れていることが好ましい。第1カバー62aの4辺は第2カバー62bの4辺に縫い合わされており、第1実施形態とは異なり、布団カバー60の側部に開口がなく第1封止手段20もない。
【0028】
第1実施形態と同様に、第1カバー62aは、開閉することができる第1舌片カバー62cを有する。また
図5(A)で示されるように、掛け布団カバー60の裏側である第2カバー62bにも、第1舌片カバー62cと同様な第2舌片カバー62dが設けられる。第1舌片カバー62c及び第2舌片カバー62dには、第2封止手段30(スライダー32及びジップ34)が設けられている。
図4に示されるように、第1舌片カバー62cは+X軸側の1辺で第1カバー62aとつながり、利用者が仰臥位で寝た状態で、利用者の首や腕が第2封止手段30に接しない。
【0029】
図4に示されるように、第1舌片カバー62cを開けると第1メッシュカバー64aが現れる。第1実施形態の第1メッシュカバー14aと異なり、第2実施形態の第1メッシュカバー64aは、Y軸方向に2つに分かれており、長手方向であるX軸方向にスリット部64eが形成されている。スリット部64eの幅(Y軸方向)は、掛け布団カバー60の幅(Y軸方向)の例えば1/3から1/5であり、少なくとも半分以下であることが好ましい。利用者は、第1封止手段20が無い代わりに、このスリット64eから内袋45を掛け布団カバー60内に入れることが可能である。スリット64eの領域では、内袋45の表面の側生地44が現れている。
【0030】
図5は、掛け布団カバー60を備えた掛け布団70を示す図であり、
図5(A)は
図5(B)のA-A断面図であり、
図5(B)は+Z軸方向からーZ軸方向を見た、第1舌片カバー12cが開けられた布団カバー80の正面図である。なお、
図5(B)では第1メッシュカバー64aで隠れる内袋45の一部が点線で描かれている。
【0031】
掛け布団カバー60の第1舌片カバー62cを開けると、利用者は、掃除機VCの掃除機ヘッドNZを使って、直接もしくは第1メッシュカバー64aを介して内袋45の表面を、±X軸方向の端から±Y軸方向の端まで吸引することができる。
図5(A)に示されるように、第2メッシュカバー64bには、スリット64eが形成されていない。掛け布団カバー60の第2舌片カバー62dを開けると、利用者は、掃除機VCの掃除機ヘッドNZを使って、第2メッシュカバー64bを介して内袋45の表面を±X軸方向の端から±Y軸方向の端まで吸引することができる。
【0032】
上述したように、第1メッシュカバー64aのスリット部64eは、内袋45を入れるため形成されている。このため、第2メッシュカバー64bには、スリット64eが形成されていなくてもよいが、必要に応じて第2メッシュカバー64bにスリット64eを形成してもよい。
【0033】
直方体の内袋45は、掛け布団90の芯材として機能する。内袋45は、第1実施形態と同様に側生地44とその内部に内容物複数の42を備える。1つの内袋45は例えば150cm(Y軸方向)×42cm(X軸方向)の大きさで形成される。このようなサイズにすることでよって、家庭用洗濯乾燥機に入れやすくなり熱処理によるダニ退治も容易となる。
図5(B)では5つの内袋45は個々に形成され、X軸方向の辺が溶着等で接合されていない。利用者が、1つ1つの内袋45を第1メッシュカバー64aのスリット部64eから入れやすいように、第1メッシュカバー64aと第2メッシュカバー64bとの間に、仕切り壁69が設けられている。仕切り壁69は布団カバー又はメッシュカバーと同じ素材であることが好ましい。仕切り壁69が設けられている場合には、第1実施形態で説明した刻み目16及びずれ防止紐18を設ける必要はない。また必ずしも仕切り壁69が設けられる必要はない。仕切り壁69がない場合は、内袋45は例えば150cm(Y軸方向)×210cm(X軸方向)の大きさであってもよい。
【0034】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る掛け布団カバー80を備えた掛け布団90を示す斜視図である。掛け布団90は、直方体状であり、利用者があおむけに寝た姿勢(仰臥位)で頭側が+X軸方向で脚側が-X軸方向になるように使用される。掛け布団カバー80は、複数の直方体状の内袋47(
図7を参照)の表面(第1主面)を覆う第1カバー82aと、内袋47の裏面(第2主面)を覆う第2カバー82bとを有している。
【0035】
第1実施形態と同様に、第1カバー82a及び第2カバー82bは長方形状であり、綿、麻等の素材又はそれら2以上を組み合わせた混紡素材からなる。第1カバー82a及び第2カバー82bは、利用者の首や腕などの肌に接するので、肌触りが良く吸湿性に優れていることが好ましい。第1カバー82aは、中央領域が角丸長方形もしくは楕円状に切り欠かれて、切り欠き部82eが形成されている。第1カバー82aの少なくとも3辺は第2カバー82bの3辺に縫い合わされており、1辺は複数の内袋47を掛け布団カバー80内に入れたり掛け布団カバー80から出したりする開口用に縫い合わされていない。この開口にはX軸方向の伸びる第1封止手段20(スライダー22及びジップ24)が設けられており、第1封止手段20はこの開口を開けたり閉めたりすることができる。
【0036】
第1カバー82aと内袋47との間には、第1カバー82aよりも目の粗い第1メッシュカバー84が、内袋47を覆うように設けられている。第1メッシュカバー84は、0.5mm角相当以上の大きさの目(隙間)であることが好ましい。利用者は、掃除機VCの掃除機ヘッドNZを使って、内袋47の表面(+Z方向側)にある埃やダニの死骸などのアレルゲンを、第1メッシュカバー84を介して吸引できる。別の言い方をすると、利用者は、掛け布団カバー80から内袋47を取り出すことなく、内袋47の表面にある埃やダニの死骸などのアレルゲンを、吸引できる。
【0037】
図7は、掛け布団カバー80を備えた掛け布団90を示す図であり、
図7(A)は
図7(B)のA-A断面図であり、
図7(B)は+Z軸方向からーZ軸方向を見た布団カバー80の正面図である。なお、
図7(B)では内袋47が点線で描かれている。
【0038】
掛け布団カバー80の表側である第1カバー82aは、切り欠き部82eで第1メッシュカバー84とつながっておらず、第1カバー82aを上(+Z軸方向)に持ち上げることができる。利用者は、掃除機VCの掃除機ヘッドNZを使って、内袋47の±X軸方向の端から±Y軸方向の端まで吸引する。内袋47の表面を掃除しやすくするため、切り欠き部82eは掛け布団カバー80の表側で大きな割合を占めることが好ましい。第3実施形態では切り欠き部82eは、掛け布団カバー80のXY面の80%から90%を占めている。切り欠き部82eが90%以上大きくなると、利用者の首や腕が第1メッシュカバー84に接触するため、好ましくない。
【0039】
図7(A)で示されるように、掛け布団カバー80の裏側である第2カバー82bには、切り欠き部が形成されていない。このため利用者が、掃除機VCの掃除機ヘッドNZを使って、第1メッシュカバー84を介して内袋47の裏側(-Z軸側)のアレルゲンを吸引できるように、複数の内袋47の間には貫通孔49が形成されている。
【0040】
直方体の内袋47は、掛け布団90の芯材として機能する。内袋47は、第1実施形態と同様に側生地44とその内部に内容物42を備える。1つの内袋47は例えば30cm(Y軸方向)×40cm(X軸方向)の大きさで形成される。複数の内袋47はダニなどが入り込まないようにそれぞれXY方向の辺が溶着等で接合され、掛布団の大きさの一つの内袋を形成している。この内袋47以外にも、一つの内袋に複数の孔を開けてその穴を溶着しカシメたり菊穴を形成したりしてもよい。
【0041】
図7(A)の拡大図で示されるように、第1メッシュカバー84の一方端(-Y軸方向側)は、ジップ24の周辺に縫い合わされており、また図示しない第1メッシュカバー84の他方端(+Y軸方向側)は、第1カバー82aと第2カバー82bとを縫い合わせた周辺に縫い合わされている。第1メッシュカバー84の±X軸方向側も同様である。なお、
図7(B)で描かれた第1メッシュカバー84には、第1実施形態の刻み目16及びずれ防止紐18が描かれていないが、第3実施形態の第1メッシュカバー84に刻み目16及びずれ防止紐18があってもよい。
【符号の説明】
【0042】
10,60,80…寝具カバー(掛け布団カバー)
12a,62a,82a…第1カバー
12c,62c…第1舌片カバー
12b,62b,82b…第2カバー、
12d,62d…第2舌片カバー
14a、64a、84…第1メッシュカバー
14b、64b…第2メッシュカバー
16…刻み目
18…ずれ防止紐
20…第1封止手段(22…スライダー、24…ジップ)
30…第2封止手段(32…スライダー、34…ジップ)
40,45,47…内袋
42…内容物(真綿、木綿、ポリエステル綿、羽毛(羽根)等)
44…側生地
49…貫通孔
50,70、90…掛け布団
64e…スリット
69…仕切り壁
82e…切り欠き部