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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】農産物の結束装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 27/00 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
B65B27/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018199292
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020066446
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-08-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.表敬訪問場所:愛知県公館 表敬訪問日:平成30年6月29日 2.展示会名:施設園芸・植物工場展2018(GPEC) 展示日:平成30年7月11日~13日 3.展示会名:イノベーション・ジャパン2018 展示日:平成30年8月30日~31日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、知の拠点あいち重点研究プロジェクト「次世代 ロボット社会形成技術開発プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健介
(72)【発明者】
【氏名】爪 光男
(72)【発明者】
【氏名】三浦 純
(72)【発明者】
【氏名】増沢 広朗
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-143006(JP,A)
【文献】特開2007-001608(JP,A)
【文献】実開平05-024505(JP,U)
【文献】実開昭60-068004(JP,U)
【文献】特開平07-329924(JP,A)
【文献】米国特許第04362096(US,A)
【文献】特開2005-162312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/00-13/34
B65B 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さの粘着テープを非粘着面側から保持する保持部と、
該保持部により保持した粘着テープを農産物の複数が集合した農産物群の被結束部の周囲に周回させて該農産物群の被結束部の周囲に巻き付けるための周回動作部と、を備え、
前記保持部が、前記粘着テープの長手方向の両端部を保持するように構成され、前記保持部により両端部を保持した粘着テープの中央部分が前記農産物群の被結束部の径方向一端に当接した状態で、前記農産物群の被結束部と前記粘着テープの当接面を中心として、該農産物群の被結束部を周回するように前記周回動作部を動作させることを特徴とする農産物の結束装置。
【請求項2】
前記保持部が、前記粘着テープの長手方向の両端部を保持するように構成され、前記周回動作部の周回動作により、前記保持部が保持した前記粘着テープの両端部が向かい合うように構成されていることを特徴とする請求項に記載の農産物の結束装置。
【請求項3】
前記周回動作部により前記粘着テープを前記農産物群の被結束部の周囲に巻き付けて輪状となった輪状部の内径を調整するための内径調整部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の農産物の結束装置。
【請求項4】
前記農産物が、略平坦な葉身部及び該葉身部から延びる葉柄部を有する葉状農産物であり、複数の前記葉状農産物を積み重ねた葉状農産物群の葉身部を厚み方向から押える押えパッドを備え、該押えパッドにより前記葉状農産物群の葉身部を押えた状態で、前記周回動作部により前記粘着テープを該葉状農産物群の葉柄部の周囲に周回させることを特徴とする請求項1~のうちのいずれか1項に記載の農産物の結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物の複数が集合した農産物群の被結束部を粘着テープにより結束する農産物の結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農産物としての大葉の複数枚(例えば10枚)を、テープを用いて結束する結束装置が提案されている。この結束装置は、左右に間隔を置いて配置される左右一対のテープ供給ローラと、該テープ供給ローラから供給される2枚のテープを所定間隔まで接近させる左右一対のガイドローラと、接近した2枚のテープを圧着する圧着装置と、2枚のテープを圧着する前に前記ガイドローラの下方の合体円形部まで複数の大葉を下降させる野菜供給手段と、を備えている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-256815号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の結束装置では、複数枚の大葉が野菜供給手段により合体円形部まで下降させる際に、左右一対のガイドローラ間を複数枚の大葉の被結束部である葉柄が通過することになるが、集合した複数枚の大葉の葉柄の外径が、ガイドローラ間の隙間よりも大きい場合に、複数枚の大葉の葉柄が、ガイドローラ間で押圧(圧迫)されながらガイドローラ間を通過しなければならない。そのため、葉柄を傷めてしまうことがあり、早期改善が望まれている。
【0005】
そこで本発明は、農産物を傷めることなく結束することができる農産物の結束装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の農産物の結束装置は、所定長さの粘着テープを非粘着面側から保持する保持部と、該保持部により保持した粘着テープを農産物の複数が集合した農産物群の被結束部の周囲に周回させて該農産物群の被結束部の周囲に巻き付けるための周回動作部と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、周回動作部が、保持部により保持した粘着テープを農産物群の被結束部の周囲に周回させて巻き付けるので、農産物を圧迫するような構成を要さない。よって、農産物を傷めることなく結束できる。
【0008】
また、本発明の農産物の結束装置は、前記保持部が、前記粘着テープの長手方向の両端部を保持するように構成され、前記保持部により両端部を保持した粘着テープの中央部分が前記農産物群の被結束部の径方向一端に当接した状態で、前記農産物群の被結束部と前記粘着テープの当接面を中心として、該農産物群の被結束部を周回するように前記周回動作部を動作させてもよい。
【0009】
上記のように、保持部により両端部を保持した粘着テープの中央部分が農産物群の被結束部の径方向一端に当接した状態で、農産物群の被結束部と粘着テープの当接面を中心として、農産物群の被結束部を周回するように周回動作部を動作させることによって、粘着テープで農産物群の被結束部を結束することができる。
【0010】
また、本発明の農産物の結束装置は、前記保持部が、前記粘着テープの長手方向の両端部を保持するように構成され、前記周回動作部の周回動作により、前記保持部が保持した前記粘着テープの両端部が向かい合うように構成されていてもよい。
【0011】
上記のように、周回動作部の周回動作により、前記保持部が保持した前記粘着テープの両端部が向かい合うように構成されていれば、粘着テープの両端部に均等に力がかけられる。よって、農産物群に粘着テープをしっかり巻き付けることができる。
【0012】
また、本発明の農産物の結束装置は、前記周回動作部により前記粘着テープを前記農産物群の被結束部の周囲に巻き付けて輪状となった輪状部の内径を調整するための内径調整部を備えていてもよい。
【0013】
例えば、農産物群の被結束部と粘着テープの輪状部との間の遊び(隙間)が大きい場合には、輪状となった輪状部の内径が小さくなるように内径調整部で調整することによって、巻き付けた粘着テープが農産物群の被結束部から外れることを防止できる。
【0014】
また、本発明の農産物の結束装置は、前記農産物が、略平坦な葉身部及び該葉身部から延びる葉柄部を有する葉状農産物であり、複数の前記葉状農産物を積み重ねた葉状農産物群の葉身部を厚み方向から押える押えパッドを備え、該押えパッドにより前記葉状農産物群の葉身部を押えた状態で、前記周回動作部により前記粘着テープを該葉状農産物群の葉柄部の周囲に周回させてもよい。
【0015】
上記のように、葉状農産物群の葉身部を押えパッドで押えた状態で、周回動作部により粘着テープが葉状農産物群の葉柄部の周囲に周回させることによって、粘着テープの巻き付け時に葉身部が跳ね上がることがなく、それに伴い葉柄部がばらけることがないので、葉柄部への粘着テープの巻き付けを良好に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、保持部により保持した粘着テープを農産物群の被結束部の周囲に周回動作部で周回させて巻き付けることによって、農産物を傷めることなく結束することができる農産物の結束装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の農産物の結束装置の斜視図である。
図2】同結束装置を構成するテープ切出し機構の斜視図である。
図3A】同テープ切出し機構のカッターが配置されている部分の斜視図である。
図3B】同テープ切出し機構の載置部をテープの出口から見た図である。
図4】同テープ切出し機構のテープ引き出し部をテープの先端部まで移動させた状態を示す背面図である。
図5】同テープ切出し機構のテープ引き出し部を上昇させてテープに当接させた状態を示す背視図である。
図6】同テープ切出し機構のテープ引き出し部でテープを所定長さに引き出した状態を示す背視図である。
図7】同テープ切出し機構で引き出したテープをテープ結束機構の吸着パッドで吸着した状態を示す背視図である。
図8図7の状態からカッターを上昇させてテープを切断した状態を示す背視図である。
図9図8のカッターを下降させた状態を示す背視図である。
図10】同結束装置を構成するテープ結束機構の斜視図である。
図11】同テープ結束機構を下から見た斜視図である。
図12】同テープ結束機構の吸着パッド及び押えパッドを下降させた状態を示す要部の正面図である。
図13A】同テープ結束機構の吸着パッドが取り付けられているアームの一対を所定角度回転させてテープを大葉の葉柄の周囲に周回させている状態を示す要部の正面図である。
図13B図13Aと同一の状態であり、テープの状態をわかりやすく不要な部材を取っ払った状態の正面図である。
図14A】同テープ結束機構の吸着パッドが取り付けられているアームの一対を90度回転させてテープを大葉の葉柄の周囲に周回させて葉柄に巻き付けた状態を示す要部の正面図である。
図14B図14Aと同一の状態であり、テープの状態をわかりやすく不要な部材を取っ払った状態の正面図である。
図14C図14Aと同一の状態であり、テープの状態をわかりやすく不要な部材を取っ払うとともにテープの内径を調整する内径調整部を加えた状態の正面図である。
図15】葉柄に巻き付けたテープの内径を小さくなるように調整した状態を示す要部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る農産物の結束装置(以下、単に結束装置という)の一実施形態を、図面に基づいて説明を行う。なお、ここでは、農産物として、図1に示すように、略平坦な葉を構成する葉身部1Aと、葉身部1Aから縦方向に延びる葉柄部1Bを有する大葉1(葉状農産物という)を挙げて説明する。なお、葉身部1Aから葉柄部1Bが延びる方向は、大葉によって異なるため、大葉1を積み重ねた状態では、図12及び図13Aに示すように、葉柄部1Bが上下方向に一列に並ぶことが少なく、散らばった状態になっている。
【0019】
結束装置は、大葉1を上下方向に積み重ねておくための支持台2と、テープ切出し機構3と、テープ結束機構4と、を備えている。ここでいうテープは、一方の面に粘着層を備える粘着テープを指し、以下において単にテープという。ここでは、支持台2、テープ切出し機構3、テープ結束機構4の3個を一体化することによって、結束装置の小型化を図ることができるようにしているが、3個を別々に構成して実施することもできる。
【0020】
支持台2は、大きさの異なる複数種類(ここでは、2種類)の大葉1,11(同じ大きさでもよい)をそれぞれ所定枚数積み重ねておくことができる大きさの載置部21と、大葉1,11の葉身部1A,11Aを受け止める壁が形成されるとともに、大葉1,11の葉柄部(被結束部)1B,11Bのみを載置部21の外部に突出させるための切欠き22A,22Bが形成された縦板部22と、を備えている。
【0021】
載置部21は、縦板部22側ほど下方に位置する傾斜姿勢になっており、載置部21に載置された大葉1,11の葉身部1A,11Aが縦板部22に当接した状態を維持しやすくなっている。なお、テープ結束機構4が、いずれかの大葉1又は11の葉柄部1B又は11Bの位置まで移動機構Zにより移動して結束する。ここでは、大葉を載置する箇所を2箇所としているが、1箇所又は3箇所以上であってもよい。
【0022】
テープ切出し機構3は、大葉1又は11の葉柄部1B又は11Bを結束するのに必要となる所定長さのテープを切出すための機構である。具体的には、図2に示すように、テープ5が巻き付けられているテープリール31と、テープリール31から真下へ送り出されるテープ5を水平方向に方向転換させながら移動案内するための一対のガイドローラ32,32と、ガイドローラ32,32からのテープ5を載置するための載置部33と、載置部33のテープ送り方向下手側に形成される出口33Hから外側に出たテープ5を切断するカッター装置34と、テープリール31から載置部33に位置しているテープ5の端部を引っ掛けてテープ5を所定長さになるように水平方向に引き出すテープ引き出し部35と、をL字状で板状の支持部材36に取り付けている。なお、載置部33では、テープ5が粘着面を下方向として水平姿勢で載置される。
【0023】
載置部33は、図3A及び図3Bに示すように、上側部材33Aと下側部材33Bとを備えている。下側部材33Bの上端部には、テープ5よりも僅かに大きな幅を有する断面が矩形状の第1凹部33bが形成されると共に、第1凹部33bの中央部には、下方に凹む縦長の第2凹部33cが更に形成されている。この第2凹部33cは、後述するテープチャック352が入り込むための縦長の空間である。上側部材33Aの下端には、下方に突出して前記第1凹部33bに嵌合する凸部33aが形成されている。上側部材33Aの凸部33aを下側部材33Bの第1凹部33bに嵌合することによって、テープ5の幅方向での位置決めを行いながらもテープ5が通過可能な上下高さを有する空間を形成している。この上下高さは、凸部33aの下面と第1凹部33bのテープ5の幅方向両端部それぞれの底面との間で形成され、テープ5の厚みよりも少し大きな寸法に設定されている。前記第1凹部33bのテープ5の幅方向両端部それぞれの底面が、テープ5の幅方向両端部が載置される載置部を構成する。なお、上側部材33Aの凸部33aの下面の中央部に、テープ5を貫通させるべく後述の針352Aが上昇したときに針352Aの先端を逃がすための溝33Mが形成されている。この溝33Mは、それの上面に上昇した針352Aの先端に当接することがないように上下高さを設定するとともに、上側部材33Aのテープ5の長手方向全域に亘るように形成されている。
【0024】
図2に戻って、カッター装置34は、載置部33の出口33Hを下方から上方に通過することによりテープ5を切断可能に構成された昇降自在な切断刃341と、切断刃341の昇降を案内するガイド機構342と、切断刃341を昇降させる駆動源である昇降用のソレノイドシリンダ343と、ガイド機構342と昇降用のソレノイドシリンダ343とを連結するL字状の連結部材344と、を備えている。また、切断刃341でテープ5を下方から切断する際に、載置部33の出口33Hから外側に離れるテープ5の上面を受ける受部材345を更に備えている。この受部材345は、支持部材36に取り付けられ、針352Aの先端部が載置部33から離間するときに、該針352Aの先端部を逃がすための切欠き345A(図3A参照)が形成されている。
【0025】
ガイド機構342は、支持部材36に固定された板状で直線状の縦レール342Aと、縦レール342Aに沿って上下動する移動部材342Bと、を備えている。この移動部材342Bに、切断刃341及び連結部材344がそれぞれ連結されている。
【0026】
テープ引き出し部35は、載置部33に接近又は離間するように支持部材36に取り付けられた縦長で板状の可動部材351と、載置部33に載置しているテープ5の端部を下方から突き刺す針352Aを備えた角棒状のテープチャック352と、テープチャック352を昇降させる昇降機構353と、可動部材351を載置部33に接近又は離間させるべく水平方向に移動させるための移動機構354と、を備えている。
【0027】
昇降機構353は、テープチャック352の下面に連結され、可動部材351に昇降可能に取り付けられた昇降部材353Aと、昇降部材353Aを昇降させる駆動源を構成するソレノイドシリンダ353Bと、昇降部材353Aとソレノイドシリンダ353Bのロッドとを連結する連結部材353Cと、を備えている。
【0028】
移動機構354は、可動部材351の下部に連結されたクランク機構3541と、クランク機構3541を駆動する駆動源である直流モータ3542(図1参照)と、を備えている。クランク機構3541は、直流モータ3542の駆動軸3542Hに一端が連結された回動アーム3542Aと、回動アーム3542Aの他端に一端が連結されるリンク3542Bと、を備えている。リンク3542Bの他端は、可動部材351に連結される。したがって、直流モータ3542の駆動軸3542Hを駆動回転することによって、回動アーム3542Aが回動する。この回動アーム3542Aの他端を回動支点3542Cとして、リンク3542Bが揺動されて可動部材351を載置部33に対して接近又は離間させることができる。
【0029】
上記のように構成されたテープ切出し機構3によりテープ5を所定長さに切断する手順について説明する。まず、図2の状態から、直流モータ3542の駆動軸3542Hを一方(反時計回り)に駆動回転することによって、回動アーム3542Aが回動してリンク3542Bが揺動されることで、可動部材351が載置部33に接近する(図4参照)。接近後は、ソレノイドシリンダ353Bを伸長作動させることにより、テープチャック352を上方へ移動させて載置部33に載置しているテープ5を下方から針352Aで突き刺す(図5参照)。突き刺した後は、直流モータ3542の駆動軸3542Hを他方(時計回り)に駆動回転することによって、回動アーム3542Aが回動してリンク3542Bが揺動されることで可動部材351を載置部33から離間させる元の位置まで移動させて、テープ5を所定長さまで引き出す(図6参照)。このテープ5を引き出した後は、後述する吸着パッド41,41によりテープ5の非粘着面側の両端部を上方から吸着してテープ5を水平姿勢に維持させる(図7参照)。吸着後は、ソレノイドシリンダ343を伸長作動させることにより、切断刃341を上方に移動させてテープ5を切断する(図8参照)。切断後は、ソレノイドシリンダ343を短縮作動させることにより、切断刃341を元の待機位置まで下方に移動させて、テープ5の切断工程を終了する(図9参照)。なお、図示していないが、結束動作に移行するまでに、ソレノイドシリンダ353Bを短縮作動させることにより、テープチャック352も下方の待機位置へ移動させておくことになる。
【0030】
図10及び図11に示すように、テープ結束機構4は、前記テープ引き出し部35により所定位置まで引き出した水平姿勢のテープ5を非粘着面側(ここでは上方)から保持する保持部としての一対の吸着パッド41,41と、吸着パッド41,41を昇降させる昇降機構42と、吸着パッド41,41により保持したテープ5を葉状農産物(ここでは大葉1)の複数(例えば10)枚が集合した葉状農産物群の被結束部である葉柄部の周囲に周回させて葉状農産物群の葉柄部の周囲に巻き付けるための周回動作部43と、周回動作部43によりテープ5を葉状農産物群の葉柄部の周囲に巻き付けて輪状となった輪状部5Aの内径を小さくするように調整するための内径調整部44と、複数の葉状農産物を積み重ねた葉状農産物群の葉身部を厚み方向から押える押えパッド45と、を備えている。
【0031】
図12図13A図14Aは、昇降機構42を省略した図である。また、図13B図14Bは、昇降機構42を省略するとともに、周回動作部43の動作をわかりやすくするために、周回動作部43の前方に位置する部材(第2揺動アーム441,441、調整バー44A,44A等)を省略した図面にしている。また、図14C図15は、昇降機構42を省略するとともに、押えパッド45を省略している。また、図13A図13Bとが同一動作であり、図14A図14B図14Cとが同一動作である。
【0032】
吸着パッド41,41は、先端部が合成ゴム等からなり中央部に吸引口を備える円形の吸着部41Aと、吸着部41Aが接続される複数の配管を接続した配管群41Bと、配管群41Bの基端に接続されるホース(図示せず)に吸着エアを供給するための供給手段である真空ポンプ(図示せず)と、を備えている。また、吸着パッド41,41は、テープ5の長手方向の両端部を保持するように構成されている。そして、ここでは、吸着パッド41,41がテープ5の両端部を保持する各々の位置が、テープ5の長手方向の中央に対して略対称となる位置に構成されている。そのため、テープ5の両端部に均等に力がかけられる。よって、農産物群(ここでは葉状農産物群)にテープ5をしっかり巻き付けることができる。
【0033】
昇降機構42は、図10に示すように、吸着パッド41,41が取り付けられている板状の可動部材421と、可動部材421を昇降させるクランク機構422と、クランク機構422を駆動する駆動源である直流モータ423と、を備えている。クランク機構422は、直流モータ423の駆動軸423Aに一端が連結された回動アーム422Aと、回動アーム422Aの他端に一端が連結されるリンク422Bと、を備えている。リンク422Bの他端は、可動部材421に備えている操作片421Aに連結されている。したがって、図10の状態から、直流モータ423の駆動軸423Aを一方に所定時間駆動回転することによって、回動アーム422Aが下方側へ所定角度回動する。この回動アーム422Aの他端を回動支点422bとして、リンク422Bが揺動されて可動部材421を下降させることができる。可動部材421が下降した位置において、図7に示しているように、吸着パッド41,41がテープ5の両端部を上方から当接して吸着する。吸着後にテープ5が所定長さに切断されると、前記移動機構Z(図1参照)により複数の葉状農産物を積み重ねた葉状農産物群の葉身部1A(図10参照)の上方へ移動する。この移動後に、直流モータ423の駆動軸423Aを一方に所定時間駆動回転することによって、回動アーム422Aが更に下方側へ所定角度回動する。この回動により、押えパッド45が複数の葉状農産物を積み重ねた葉状農産物群の葉身部1A(図1参照)を厚み方向(ここでは上方)から当接して押える(図12では、葉身部1Aを省略しているが、葉身部1Aを押さえている)。後述する結束処理が完了した後は、直流モータ423の駆動軸423Aを他方に駆動回転することによって、可動部材421を所定位置まで上昇させて、次のテープ切出し動作を行って結束動作を行うことになる。
【0034】
周回動作部43は、可動部材421の下端部でかつ左右幅方向略中央部に水平姿勢で一端同士を突き合わせた状態で一端部に設けたそれぞれの軸心X1,X2回りで揺動自在に取り付けられた左右一対の第1揺動アーム431,431と、第1揺動アーム431,431と配管群41B,41Bとを連結する板状の連結アーム432,432と、連結アーム432,432の長手方向中間部に連結される逆T字状の上下方向に移動自在な昇降部材433と、昇降部材433を昇降させる駆動源となるソレノイドシリンダ434と、昇降部材433とソレノイドシリンダ434のロッド434Aとを連結する板状の連結部材435と、を備えている。したがって、周回動作部43が、吸着パッド41,41により保持したテープ5を農産物群の被結束部の周囲に周回させて巻き付けるので、農産物を圧迫するような構成を要さない。よって、農産物を傷めることなく結束できる。
【0035】
押えパッド45は、縦板部45Aと、縦板部45Aの下端から前方に延びるように90度折り曲げられた水平板部45Bと、を有する側面視略L字形状に構成されている。縦板部45Aの上端部が、可動部材351に固定されたブラケット351Rに固定されている。したがって、可動部材351が下降位置に位置することによって、押えパッド45の水平板部45Bが葉状農産物群の葉身部1Aに上方から当接して押えることができる(図12参照)。このように押えパッド45で葉状農産物群の葉身部1Aを押えることによって、テープ5の巻き付け時に葉身部1Aが跳ね上がることがなく、それに伴い葉柄部1Bがばらけることがないので、葉柄部1Bへのテープ5の巻き付けを良好に行うことができる。
【0036】
前記左右一対の第1揺動アーム431,431の前方に第1揺動アーム431,431の軸心X1,X2と同一の軸心X1,X2で揺動する第2揺動アーム441,441を備えている。これら第2揺動アーム441,441は、第1揺動アーム431,431と同様に、水平姿勢で一端同士を突き合わせた状態で一端部に設けたそれぞれの軸心X1,X2回りで揺動する。水平姿勢の第2揺動アーム441,441のアーム長さ方向略中央部に、前記内径調整部44を構成する一対の調整バー44A,44Aが取り付けられるとともに、水平姿勢の第2揺動アーム441,441の両端の上下中央からアーム長さ方向略中央部にかけて前記連結アーム432,432を挟み込むための切欠き441K,441Kが形成されている。
【0037】
また、第2揺動アーム441,441は、上下動自在に取り付けられた板状の縦長部材442の下端部に連結されている。縦長部材442の上端部には、中継部材443を介して縦長部材442を上下動させる操作部材445の一端が連結されている。そして、操作部材445の他端に、操作部材445を上下動させる駆動源となるソレノイドシリンダ444のロッド444Aが連結されている。
【0038】
第2揺動アーム441,441と、縦長部材442と、中継部材443と、ソレノイドシリンダ444と、操作部材445とで、内径調整部44を動作させる内径調整機構を構成している。この内径調整機構でテープ5の輪状部5Aの内径が小さくなるように内径調整部44を動作させることによって、農産物群とテープ5の輪状部5Aとの間の遊び(隙間)を小さくすることができる。図14A図14B図14Cの状態から図15に示すように輪状部5Aの内径を小さくしている。よって、巻き付けたテープ5が農産物群の被結束部から外れることを防止できる。
【0039】
上記のように構成されたテープ結束機構4により複数枚(ここでは、10枚としているが、何枚でもよい)の大葉1の葉柄部1Bを結束する手順について説明する。前述したように、昇降機構42により可動部材421が下降してテープ5を吸着パッド41,41で保持した状態で、テープが所定長さに切断される。そののち、所定長さのテープ5を保持した吸着パッド41,41を結束したい葉状農産物群の位置に位置するように結束装置4を前記移動機構Zにより水平移動させる。移動後は、吸着パッド41,41により吸着されている水平姿勢のテープ5がその姿勢を保持した状態で可動部材42を更に下降し、押えパッド45の水平板部45Bが葉状農産物群の葉身部1Aを上方から当接して押える(図12では、葉身部1Aを示していないが、葉身部1Aを上方から当接した状態である)。これと同時に、テープ5の長手方向の中央部分5Sが農産物群の葉柄部1Bの径方向一端に当接した状態になる(図12参照)。この状態で、ソレノイドシリンダ434のロッド434Aを短縮作動させることにより、図13Aに示すように、第1揺動アーム431,431が下方へ揺動されると、連結アーム432,432の下方への移動により第2揺動アーム441,441が同様に下方へ揺動される(図13B参照)。この揺動により吸着パッド41,41に保持されているテープ5の両端部5L,5Rが該農産物群の葉柄1Bの径方向他端よりも径方向外側で接近する円弧軌跡で該複数の農産物群の葉柄部1Bを周回する(図13A図13Bから図14A図14B図14Cに至る軌跡参照)。このようにテープ5を農産物群の葉柄部1Bを周回するようにしているので、農産物群の葉柄部1Bの外径よりも大きな内径を有するテープ5で農産物群を結束することができる。よって、テープ5を農産物群の葉柄部1Bに緩く巻き付けることができる(図14A参照)。なお、前述したように、支持台2の載置部21が縦板部22側ほど下方に位置する傾斜姿勢になっているため、葉身部1Aが葉柄部1Bに比べて高い位置にある。そのため、押えパッド45の水平板部45Bの下面を、吸着パッド41,41の先端よりも上方に位置させている。したがって、押えパッド45の水平板部45Bが葉状農産物群の葉身部1Aを上方から当接すると同時に、テープ5の長手方向の中央部分5Sが農産物群の葉柄部1Bの径方向一端に当接することができる。
【0040】
周回後は、テープ5の両端部5L,5Rの粘着面同士が向かい合った状態で当接することによって、テープ5の両端部が閉じられて輪状になる(図14A図14C参照)。これと同時に、一対の調整バー44A,44Aも下方へ円弧状の軌跡を描きながら揺動し、一対の調整バー44A,44Aが接近して吸着パッド41,41よりも上方位置でテープ5の両端部5L,5Rの粘着面同士を向かい合った状態で接触させる(図14A図14C参照)。この後、ソレノイドシリンダ444のロッド444Aを短縮作動させることにより、縦長部材442を上昇させる。このとき、第2揺動アーム441,441の切欠き441K,441Kが下方開放となっているため、第2揺動アーム441,441の上昇が可能になり、第2揺動アーム441,441に取り付けられている一対の調整バー44A,44Aも上昇する。これによって、輪状となった輪状部5Aの内径を小さくするように調整する(絞る)ことができる(図15参照)。
【0041】
尚、本発明に係る農産物の結束装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0042】
前記実施形態では、大葉1の葉柄部1Bを結束する結束装置を説明したが、バラ、菊、ネギ等、棒状(茎状又は枝状)の部分を有する農産物を結束する結束装置であってもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、テープリール31から引き出したテープ5を所定長さに切断したものを用いるようにしたが、予め所定長さに切断されているテープを用いてもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、内径調整部を備えたが場合によっては、内径調整部を省略して実施してもよい。
【0045】
また、前記実施形態では、テープ5を農産物群の周囲に上方から巻き付けるように構成したが、テープ5を農産物群の周囲に下方から巻き付けるように構成してもよいし、テープ5を農産物群の周囲に横方向から巻き付けるように構成してもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、周回動作部43を構成する第1揺動アーム431,431に連結アーム432,432を介して保持部である吸着パッド41,41を取り付け、第1揺動アーム431,431の回動により吸着パッド41,41に保持されたテープ5の両端部5L,5Rが農産物群の被結束部の周囲に周回するように構成した。つまり、保持部を周回動作部43に取り付けた構成であったが、保持部と周回動作部とを別々のものから構成してもよい。例えば、保持部は、テープを保持して葉柄部へテープを搬送し、葉柄部にテープを当接する。その後のテープを葉柄部に巻き付ける動作は、保持部とは別に構成された周回動作部によって行われる構成とし、保持部は周回動作部と一緒に周回動作を行わないようにしてもよい。
【0047】
また、前記実施形態では、保持部が真空を利用した吸着パッド41,41から構成されていたが、機械的手段により粘着テープを非粘着面側から保持する構成であってもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、保持部が、テープ5の長手方向の両端部5L,5Rを保持するように構成したが、両端部に加えて両端部以外の一箇所以上の合計3箇所以上を保持するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,11…大葉、1A,11A…葉身部、1B,11B…葉柄部(被結束部)、2…支持台、3…テープ切出し機構、4…テープ結束機構、5…テープ、5A…輪状部、5L,5R…両端部、5S…中央部分、21…載置部、22…縦板部、31…テープリール、32…ガイドローラ、33…載置部、33A…上側部材、33B…下側部材、33H…出口、33M…溝、33a…凸部、33b…第1凹部、33c…第2凹部、34…カッター装置、35…テープ引き出し部、36…支持部材、41…吸着パッド(保持部)、41A…吸着部、41B…配管群、42…昇降機構、43…周回動作部、44…内径調整部、44A…調整バー、45…押えパッド、45A…縦板部、45B…水平板部、341…切断刃、342…ガイド機構、342A…縦レール、342B…移動部材、343…ソレノイドシリンダ、344…連結部材、345…受部材、345A…切欠き、351…可動部材、351R…ブラケット、352…テープチャック、352A…針、353…昇降機構、353A…昇降部材、353B…ソレノイドシリンダ、353C…連結部材、354…移動機構、421…可動部材、421A…操作片、422…クランク機構、422A…回動アーム、422B…リンク、422b…回動支点、423…直流モータ、423A…駆動軸、431…揺動アーム、432…連結アーム、433…昇降部材、434…ソレノイドシリンダ、434A…ロッド、435…連結部材、441…揺動アーム、442…縦長部材、443…中継部材、444…ソレノイドシリンダ、444A…ロッド、445…操作部材、3541…クランク機構、3542…直流モータ、3542H…駆動軸、3542A…回動アーム、3542B…リンク、3542C…回動支点、X1,X2…軸心、Z…移動機構
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15