(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】酸化スズ結晶子連珠または酸化スズと酸化チタンの複合酸化物結晶子連珠
(51)【国際特許分類】
C01G 35/00 20060101AFI20230413BHJP
H01M 4/86 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
C01G35/00 C
H01M4/86 B
(21)【出願番号】P 2022528133
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 JP2021046284
(87)【国際公開番号】W WO2022131293
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2020208580
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230607
【氏名又は名称】日本化学産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
(74)【代理人】
【識別番号】100139206
【氏名又は名称】戸塚 朋之
(72)【発明者】
【氏名】荒田 知里
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 純貴
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 克良
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/136908(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/065471(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/050046(WO,A1)
【文献】Yuichi SENOO et al.,Cathodic performance and high potential durability of Ta-SnO2-δ-supported Pt catalysts for PEFC cat,Electrochemistry Communications,2015年02月,Vol.51,Page.37-40,doi:10.1016/j.elecom.2014.12.005,2., 3., Fig.1(a), Fig.2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 35/00
H01M 4/86
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化スズ結晶粒子塊または酸化スズと酸化チタンの複合酸化物結晶粒
子塊からなる連珠であって、
前記結晶粒子塊は、
タンタルを、Ta(mol)/(Ta+Sn)(mol)またはTa( mol)/(Ta+Sn+Ti)(mol)が0.1~30mol%の含有率で含み、
結晶子径5~50nmの粒子を少なくとも1個含み、かつ
該結晶粒子塊を、0.1MPaの圧力で1cmの厚みにした時の該粒子塊の色をLab色空間で表した明度L*値が80以下、色度a*値が-4以下、色度b*が-3以下であることを特徴とする酸化スズ結晶子連珠または酸化スズと酸化チタンの複合酸化物結晶子連珠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化スズ結晶子連珠または酸化スズと酸化チタンの複合酸化物結晶子連珠に関し、ナノサイズ結晶子径を有しつつタンタルを含み特定の色を有する酸化スズ結晶子連珠に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化スズは、燃料電池の電極等に使用される材料として知られている。
一方、燃料電池の電極に使用される触媒の担体には、高耐久性(強酸や高電位による酸化溶解耐性)、高導電性(電池内部抵抗や担体導電性《=粒子間界面抵抗+粒子内抵抗》の低減)、良気孔性(原料ガスや生成水の良通過性能)、高触媒活性(触媒金属の活性をできるだけ高くする)等の性能が要求される。
【0003】
一般に、燃料電池の電極は、導電性を有する担体に触媒としての金属を担持させた構成を有し、従来、(1)炭素粒子に貴金属合金粒子を担持させたもの(特許文献1,6,7)あるいはペロブスカイト型酸化物微粒子や卑金属酸化物を担持させたもの(特許文献2~5)、(2)金属酸化物に貴金属を担持させたもの(特許文献5)があるが、(1)の炭素粒子を担体とするものは酸化耐性がなく、(2)の金属酸化物を担体とするものは溶解耐性が低いという問題がある。
【0004】
また、(3)Nbをドープした酸化スズを担体とするもの(特許文献8)、(4)NbやTaをドープした酸化スズのナノ連珠構造体を担体とするもの(特許文献9)も知られているが、(3)のNbをドープしたものは通気性が悪いのみならず粒子の界面抵抗が高く導電性が低く、(4)のナノ連珠構造体としたものは気孔性がよく、界面抵抗も低減し、触媒活性も良好となっているものの、電池の内部抵抗の低減は未だ不十分である。
【0005】
【文献】特開2001-15121
【文献】特開2008-4286
【文献】特開2006-26586
【文献】特開2004-363056
【文献】特開2005-174835
【文献】特開2008-155111
【文献】特開2005-44659
【文献】WO2011/65471
【文献】WO2015/050046
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の担体が有する種々の問題点を解決するために検討を行うなかで、燃料電池の電極触媒用担体以外にも種々の用途(例えば、他の触媒用担体はもとより、導電材料、ガスセンサー電極等)に適した物質を開発する要請が高まっており、この要請に応じて、導電性と耐久性に優れることはもとより、触媒活性をも高めることができ、更には気孔率の高い新規な物質を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記先提案(特許文献8)の中でTaを含有する酸化スズのナノ連珠構造体について検討を重ねた。
この先提案の構造体と、本出願の構造体(以下、“本願構造体”と言うこともある)とについて、色相と導電性能を評価した。
この結果、本願構造体が先提案構造体に比べて特定の色相すなわち明度L*値と、色度a*値、色度b*値が特定の数値範囲を有しているものの導電率は10倍(内部抵抗が1/10)以上もの高い性能を示しているとの知見を得た。ただし先提案構造体と本願構造体共に色a*値は-7から-4の範囲で同じであった。また、この高い導電性能が長期間持続することも確認している。
【0008】
次いで、本願構造体の構成を、透過型電子顕微鏡(TEM)像等について、先提案構造体と比較検討した。結果は、これら両構造体は何れも、連珠構造であることを確認することができた。
【0009】
上記と同じ検討でTaを含有する酸化スズと酸化チタンの複合酸化物のナノ連珠構造体についても行った結果、上記と同様であることを確認している。
【0010】
本発明の酸化スズ結晶子連珠または酸化スズと酸化チタンの複合酸化物結晶子連珠は、上記の確認事項に基づいてなされたもので、
タンタルを含む酸化スズの結晶粒子塊または酸化スズと酸化チタンの複合酸化物結晶粒子塊であって、
該結晶粒子塊を、0.1MPaの圧力で1cmの厚みにし、分光測色計(コニカミノルタ社製、型式CM-5)を用い、正反射光除去光学系にてLab色空間で表される該結晶粒子塊の色相測定を行った。該粒子塊の色をLab色空間で表した明度L*値が80以下、色度a*値が-4以下、色度b*が-3以下であり、
結晶子径5~50nmの粒子を少なくとも1個含む酸化スズ結晶粒子塊または酸化スズと酸化チタンの複合酸化物結晶粒塊からなる連珠であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の酸化スズ結晶子連珠または酸化スズと酸化チタンの複合酸化物結晶子連珠は、優れた導電性を有し、各種の導電材料として使用することができるし、気孔率も高い。このため、燃料電池の電極用触媒の担体として従来の担体に比べて有効である。
もちろん、触媒成分の活性を良好にすることができるため、燃料電池の電極用触媒に限らず、他の各種触媒の担体としても有効に使用することができる。強酸によってはもとより、高電位によっても、酸化溶解することはなく、高い耐久性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】酸化スズ結晶子連珠または酸化スズと酸化チタンの複合酸化物結晶子連珠の構造を説明するためのモデル図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明における酸化スズ結晶体または酸化スズと酸化チタンの複合酸化物結晶子体(以下、これら2種の結晶体をまとめて“酸化スズ結晶子体”と略すこともある)は、結晶体にタンタルを含有することで酸化スズ結晶体中の電子状態が変化し特定の色相を示すのみならず、導電性が向上する。
本発明において、Taの含有率は、
Ta(mоl)/(Ta+Sn)(mоl)×100≒0.1~30(mоl%)、または
Ta(mоl)/(Ta+Sn+Ti)(mоl)×100≒0.1~30(mоl%)
であり、このような含有率であれば、特定の色相を有し、しかも連珠構造を良好に形成する上で適している。
【0014】
本発明の酸化スズ結晶子連珠は、上記の酸化スズ結晶粒子であって、該結晶粒子の径が5~50nmの粒子を、少なくとも1個含む粒子塊からなる。
この連珠は、
図1のモデル図に示すように、酸化スズ結晶粒子1が、その一部において融着し、連鎖状あるいは房状の構造(この構造を“連珠”と言う)を有しており、本発明では、この連珠における酸化スズ結晶粒子1の少なくとも1個が、上記した酸化スズ結晶体にタンタルを含有しており、上記の粒子径を有している。
【0015】
また、本発明における連珠は、酸化スズ結晶粒子塊を0.1MPaの圧力で押圧し、厚さが1cmになった時点で押圧を停止し、該押圧塊の色相を分光測色計(コニカミノルタ社製、型式CM-5)による正反射光除去光学系にて測定した。この色相をLab色空間で表し、明度L*値が80以下で、色度a*値が-4以下、色度b*値が-3以下を示す。このような明度と色度を有する連珠において、高い比表面積を有し、優れた導電性,気孔率、触媒活性、耐久性を有している。
【0016】
上記した本発明の連珠は、例えば、次のようにして製造される。原料となる金属イオン(スズと、タンタルおよび/またはチタン)を含むミネラルターペン溶液を予め調製しておき、この溶液を、酸素および/または窒素を用いた噴霧器によりミストにし、化学炎(プロパン、メタン、アセチレン、水素、亜酸化窒素等による化学炎)またはプラズマなどの高温下へ導入する。
これにより、酸化スズ結晶粒子の少なくとも80%が5個以上相互に融着結合して、連鎖状および/または房状構造の連珠となる。
このときの温度は、連珠の収率を向上させる上で、600~2000℃、好ましくは1200~1800℃とすることが適している。
【0017】
上記のミネラルターペン溶液は、有機スズ化合物(スズアルコキシド、アセチルアセトナトスズ等の有機酸スズ塩等の1種以上)と、有機タンタル化合物(タンタルアルコキシド等の有機酸タンタル塩等の1種以上)および/または有機チタン化合物(チタンアルコキシド等の有機酸チタン塩等の1種以上)を、有機溶媒(ターペンオイル、ヘプタン、メタノール、エタノール等の1種以上)に溶解させて調製する。
原料液におけるスズ化合物の濃度は、スズに換算して1~50質量%、好ましくは3~14質量%が適しており、タンタル化合物および/またはチタン化合物の濃度は、原料液におけるスズ化合物とタンタル化合物および/またはチタン化合物との比率は、最終製品すなわち本願構造体中のTa含有率が、前記の比率に一致するように調整すればよい。
【0018】
このようにして得た原料液(ミネラルターペン溶液)を、例えばプロパン、メタン、アセチレン、水素、亜酸化窒素等の燃料ガスによる化学炎中に供給して燃焼させて、本発明の連鎖状および/または房状構造を有する酸化スズ結晶子連珠を得る。
すなわち、原料液が化学炎中に供給されると、瞬時に反応および冷却が行われて、一次粒子が製造されると同時に、この一次粒子同士が部分的に融着結合して、高い比表面積を有する本発明の連鎖状および/または房状構造が生成する。
【0019】
[実施例1-1]
Ta/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が3mol%のTaドープSnO2を次のようにして合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)20g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5《質量%》)0.59g、ターペンオイル60gを混合し、原料溶液を調製した。
【0020】
流量1~30L/min(本例では、5L/min)の酸素ガスと流量1~5L/min(本例では、1L/min)のプロパンガスとを混合して燃焼させたパイロット火炎中に、流量1~10g/min(本例では、5g/min)の上記調整溶液と流量1~30L/min(本例では、10L/min)のキャリア酸素ガスとを噴霧してパイロット火炎により燃焼させ、この燃焼により生じるガスを回収する。該ガスは、火炎合成により生成した粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を含んでおり、この粒子を分離回収した。
【0021】
この回収粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、
図1に示すように、結晶子径5~30nmの範囲にある粒子が5個以上数珠状に連なった鎖状構造部位を有していることが確認された。
また、上記の回収粒子塊を0.1MPaの圧力で1cmの厚みにして分光測色計(コニカミノルタ社製、型式CM-5、正反射光除去光学系による)にて色相を計測したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0022】
[実施例1-2]
Ta/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が10mol%のTaドープSnO2を次のようにして合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)20g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業株式会社製品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5《質量%》)2.1g、ターペンオイル70gを混合し、原料溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様に、透過型電子顕微鏡での観察の結果、実施例1-1と同様、結晶子径7~35nmの範囲にある粒子が5個以上数珠状に連なった鎖状構造部位を有しており、またこの回収粒子塊を0.1MPaの圧力で1cmの厚みにして分光測色計にて色相を計測したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0023】
[実施例2-1]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が3mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
アセチルアセトナトスズ(II)(Sigma-Aldrich社製、Sn=36.9質量%)20g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製、Ta=44.5質量%)0.78g、ターペンオイル90gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-1と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計での色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0024】
[実施例2-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が10mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
アセチルアセトナトスズ(II)(Sigma-Aldrich社製、Sn=36.9質量%)20g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製、Ta=44.5質量%)2.81g、ターペンオイル90gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-1と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計での色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0025】
[実施例3-1]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が3mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
スズt-ブトキシド(富士フイルム和光純薬社製商品名“すず(IV)t-ブトキシド”、Sn=28質量%)20g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製商品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5質量%)0.59g、ターペンオイル60gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-1と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計での色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0026】
[実施例3-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が10mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
スズt-ブトキシド(富士フイルム和光純薬社製商品名“すず(IV)t-ブトキシド”、Sn=28質量%)20g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製商品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5質量%)2.13g、ターペンオイル70gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-1と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計での色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0027】
[実施例4-1]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が3mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)20g、タンタル(V)ブトキシド(Sigma-Aldrich社製、Sn=36.9質量%)0.80g、ターペンオイル60gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-1と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計での色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0028】
[実施例4-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が10mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)20g、タンタル(V)ブトキシド(Sigma-Aldrich社製、Ta=33.1質量%)2.87g、ターペンオイル70gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-1と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計での色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0029】
[実施例5-1]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が3mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)20g、タンタル(V)メトキシド(Sigma-Aldrich社製、Ta=33.1質量%)0.49g、ターペンオイル60gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-1と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計での色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0030】
[実施例5-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が10mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)20g、タンタル(V)メトキシド(Sigma-Aldrich社製、Ta=33.1質量%)1.76g、ターペンオイル70gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-1と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計での色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0031】
[実施例6]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が30mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)20g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5《質量%》)8.22g、ターペンオイル90gを混合し、原料溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-2と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計による色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0032】
[実施例7-1]
Ta(mol)/(Sn《mol》、+Ta《mol》+Ti《mol》)で表されるTa含量が3mol%で、Ti(mol)/(Ti《mol》+Sn《mol》)で表されるTi含量が10mol%で、Sn:Ti(mol)=9:1のTaドープTi・Sn複合酸化物を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)20g、Ti源としてテトラ-n-ブトキシチタン(日本曹達社製商品名“B-1”、Ti=14.1質量%)を1.78g、Ta源としてタンタリウムエトキシド(北興化学工業社製品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5《質量%》)0.66g、ターペンオイル70gを混合し、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-2と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計による色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0033】
[実施例7-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》+Ti《mol》)で表されるTa含量が3mol%で、Ti(mol)/(Ti《mol》+Sn《mol》)で表されるTi含量が50mol%で、Sn:Ti=5:5(mol比)のTaドープTi・Sn複合酸化物を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)10g、Ti源としてテトラ-n-ブトキシチタン(日本曹達社製商品名“B-1”、Ti=14.1質量%)を8.03g、Ta源としてタンタリウムエトキシド(北興化学工業社製品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5《質量%》)0.59g、ターペンオイル70gを混合し、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-2と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計による色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0034】
[実施例8-1]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》+Ti《mol》)で表されるTa含量が10mol%で、Ti(mol)/(Ti《mol》+Sn《mol》)で表されるTi含量が10mol%で、Sn:Ti=9:1(mol比)のTaドープTi・Sn複合酸化物を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)20g、Ti源としてテトラ-n-ブトキシチタン(日本曹達社製商品名“B-1”、Ti=14.1質量%)を1.78g、Ta源としてタンタリウムエトキシド(北興化学工業社製品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5《質量%》)2.37g、ターペンオイル90gを混合し、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-2と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計による色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0035】
[実施例8-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》+Ti《mol》)で表されるTa含量が10mol%で、Ti(mol)/(Ti《mol》+Sn《mol》)で表されるTi含量が50mol%で、Sn:Ti=5:5(mol比)のTaドープTi・Sn複合酸化物を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28《質量%》)10g、Ti源としてテトラ-n-ブトキシチタン(日本曹達社製商品名“B-1”、Ti=14.1質量%)を8.03g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5《質量%》)2.13g、ターペンオイル90gを混合し、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、本発明の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、実施例1-1と同様にして、透過型電子顕微鏡での観察を行ったところ、実施例1-2と略同様の結果を得た。また、実施例1-1と同様にして、分光測色計による色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表1に示す通りであった。
【0036】
[比較例1-1](特許文献8《WO2011/65471》と同様の例、以下の比較例において同じ)
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が3mol%のTaドープSnO
2を下記方法で合成した。
オクチル酸スズ(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックス錫”、Sn=28質量%)38g、オクチル酸タンタル(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックスタンタル10%(T)”、Ta=10質量%)5g、ターペンオイル150gを混合して、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、比較の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
この回収粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、
図1に示すように、結晶子径5~50nmの範囲にある粒子が5個以上数珠状に連なった鎖状構造部位を有していることが確認されたされたものの、
図1には存在しない粒が多数存在することが確認された(モデル図は省略する)。
また、回収した粒子について、実施例1-1と同様に、回収粒子塊を0.1MPaの圧力で1cmの厚みにして分光測色計(コニカミノルタ社製、型式CM-5、正反射光除去光学系による)にて色相を計測したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表2に示す通りであった。
【0037】
[比較例1-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が10mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
オクチル酸スズ(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックス錫”、Sn=28質量%)33.9g、オクチル酸タンタル(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックスタンタル10%(T)”、Ta=10質量%)16.1g、ターペンオイル150gを混合して、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、比較の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、比較例1-1と同様に透過型電子顕微鏡で観察したところ、連珠構造を有していることを確認しているものの、比較例1-1と同様にして分光測色計による色相測定を行ったところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表2に示す通りであった。
【0038】
[比較例2-1]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が3%(3atm%)のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
オクチル酸スズ(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックス錫”、Sn=28質量%)40g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製商品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5質量%)1.2g、ターペンオイル159gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、比較の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、比較例1-1と同様に透過型電子顕微鏡で観察したところ、比較例1-1と略同様の結果を得た。また、比較例1-1と同様にして分光測色計による色相を測定したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表2に示す通りであった。
【0039】
[比較例2-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が10mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
オクチル酸スズ(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックス錫”、Sn=28質量%)45.2g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製商品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5質量%)4.8g、ターペンオイル159gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、比較の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、比較例1-1と同様に透過型電子顕微鏡で観察したところ、比較例1-1と略同様の結果を得た。また、比較例1-1と同様にして分光測色計による色相を測定したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表2に示す通りであった。
【0040】
[比較例3-1]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が3mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28質量%)33.9g、オクチル酸タンタル(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックスタンタル10%(T)”、Ta=10質量%)4.5g、ターペンオイル150gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、比較の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、比較例1-1と同様に透過型電子顕微鏡で観察したところ、比較例1-1と略同様の結果を得た。また、比較例1-1と同様にして分光測色計による色相を測定したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表2に示す通りであった。
【0041】
[比較例3-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》)で表されるTa含量が10mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
ジブチルスズビスアセチルアセトナート(日本化学産業社製商品名“ナーセム錫”、Sn=28質量%)33.9g、オクチル酸タンタル(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックスタンタル10%(T)”、Ta=10質量%)16.81g、ターペンオイル150gを混合し、溶液を調製した。
この調製溶液を、実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、比較の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、比較例1-1と同様に透過型電子顕微鏡で観察したところ、比較例1-1と略同様の結果を得た。また、比較例1-1と同様にして分光測色計による色相を測定したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表2に示す通りであった。
【0042】
[比較例4-1]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》+Ti《mol》)で表されるTa含量が3mol%で、Ti(mol)/(Ti《mol》+Sn《mol》)で表されるTi含量が10mol%のTaドープSnO2を下記方法で合成した。
オクチル酸スズ(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックス錫”、Sn=28質量%)20g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製商品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5質量%)0.66g、Ti源としてテトラ-n-ブトキシチタン(日本曹達社製商品名“B-1”、Ti=14,1質量%)を1.78g、ターペンオイル70gを混合して溶液を調製した。この調整した溶液を実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、比較の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、比較例1-1と同様に透過型電子顕微鏡で観察したところ、比較例1-1と略同様の結果を得た。また、比較例1-1と同様にして分光測色計による色相を測定したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表2に示す通りであった。
【0043】
[比較例4-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》+Ti《mol》)で表されるTa含量が3mol%で、Ti(mol)/(Ti《mol》+Sn《mol》)で表されるTi含量が50mol%で、Sn:Ti=5:5(mol比)のTaドープTi・Sn複合酸化物を下記方法で合成した。
オクチル酸スズ(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックス錫”、Sn=28質量%)10g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製商品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5質量%)0.59g、Ti源としてテトラ-n-ブトキシチタン(日本曹達社製商品名“B-1”、Ti=14.1質量%)を8.03g、ターペンオイル70gを混合して溶液を調製した。この調整した溶液を実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、比較の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、比較例1-1と同様に透過型電子顕微鏡で観察したところ、比較例1-1と略同様の結果を得た。また、比較例1-1と同様にして分光測色計による色相を測定したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表2に示す通りであった。
【0044】
[比較例5-1]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》+Ti《mol》)で表されるTa含量が10mol%で、Ti(mol)/(Ti《mol》+Sn《mol》)で表されるTi含量が10mol%で、Sn:Ti=9:1(mol比)のTaドープTi・Sn複合酸化物を下記方法で合成した。
オクチル酸スズ(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックス錫”、Sn=28質量%)20g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製商品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5質量%)2.37g、Ti源としてテトラ-n-ブトキシチタン(日本曹達社製商品名“B-1”、Ti=14.1質量%)を1.78g、ターペンオイル90gを混合して溶液を調製した。この調整した溶液を実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、比較の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、比較例1-1と同様に透過型電子顕微鏡で観察したところ、比較例1-1と略同様の結果を得た。また、比較例1-1と同様にして分光測色計による色相を測定したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表2に示す通りであった。
【0045】
[比較例5-2]
Ta(mol)/(Sn《mol》+Ta《mol》+Ti《mol》)で表されるTa含量が10mol%で、Ti(mol)/(Ti《mol》+Sn《mol》)で表されるTi含量が50mol%で、Sn:Ti=5:5(mol比)のTaドープTi・Sn複合酸化物を下記方法で合成した。
オクチル酸スズ(日本化学産業社製商品名“ニッカオクチックス錫”、Sn=28質量%)10g、タンタリウムエトキシド(北興化学工業社製商品名“タンタリウムエトキシド”、Ta=44.5質量%)2.13g、Ti源としてテトラ-n-ブトキシチタン(日本曹達社製商品名“B-1”、Ti=14.1質量%)を8.03g、ターペンオイル90gを混合して溶液を調製した。この調整した溶液を実施例1-1と同様にして生成したパイロット火炎に実施例1-1と同様にして噴霧して燃焼させ、回収ガスから粒子(すなわち、比較の酸化スズ結晶子連珠)を分離回収した。
回収した粒子について、比較例1-1と同様に透過型電子顕微鏡で観察したところ、比較例1-1と略同様の結果を得た。また、比較例1-1と同様にして分光測色計による色相を測定したところ、Lab色空間で表した明度L*値、色度a*値、b*値は表2に示す通りであった。
【0046】
[評価例]
[導電性(電池内部抵抗や担体導電性《=粒子間界面抵抗+粒子内抵抗》の低減)];
以上の実施例、比較例で得た酸化スズ結晶子連珠粉末の導電性(電池内部抵抗や担体導電性《=粒子間界面抵抗+粒子内抵抗》の低減)を、交流インピーダンス法により評価した。具体的には、東陽テクニカ社製電気化学計測システムSP-200及び試料ホルダーSH2-Zを用い、20~30℃、相対湿度30~70%の雰囲気温湿度で、試料ホルダーの平行電極間に試料を約0.1g充填し、電極外より1メガパスカルの荷重をかけた。この状態で7メガヘルツから10ミリヘルツの間で交流周波数を変えながらインピーダンス計測を行った。計測により得られるナイキストプロットに対し抵抗とコンデンサー成分からなる等価回路によるフィッティングに基づいて試料の抵抗値を求めた。求めた抵抗値とインピーダンス計測時の平行電極に挟まれる試料の厚み、および試料に接する平行電極の面積から試料の導電率を見積もった。結果は、表1,表2に示す通りであった。
【0047】
【0048】
【0049】
表1,表2から明らかなように、L*が80以下、a*値が-4以下、b*が-5以下である色を有する実施例の導電率は、a*値は同程度であっても、L*が80より大きいか或いはb*が-5より大きいかのどちらかである比較例よりもはるかに高いことが判る。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の酸化スズ結晶子連珠は、特定の色相を示すことで同じドーパントを含むが特性の色相を示さない金属酸化物を含む連珠に比べて、種々の優れた特性を有しており、例えば燃料電池用の電極材等として極めて有利に使用できる。