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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】固形状香料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20230413BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230413BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230413BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/73
A61K8/37
A61Q13/00 102
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018112017
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019214521
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 あすか
(72)【発明者】
【氏名】武藤 仁志
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-044804(JP,A)
【文献】特開2015-174844(JP,A)
【文献】特開2014-196259(JP,A)
【文献】米国特許第05225186(US,A)
【文献】特開平09-263525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11B 1/00-15/00
C11C 1/00- 5/02
A61L 9/00- 9/22
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(a)~(e):
(a)香料0.5~30重量%
(b)固形油
(c)球状無水ケイ酸(中空構造でない)及び球状セルロースから選ばれる1種又は2種以上の粉体5~50重量%。
(d)炭素数16~36の液状モノエステル油
(e)ポリグリセリン脂肪酸エステル類、フィトステロール脂肪酸エステル類、及びペンタエリスリトール脂肪酸エステル類から選ばれる1種又は2種以上の半固形エステル油0.5~10重量%
を含有し、上記成分(d)の液状モノエステル油の含有量を1とした際に上記成分(e)の半固形エステル油の含有量が0.02~0.3となる比率であり、マイクロプラスチックビーズを含有しないことを特徴とする固形状香料組成物。
【請求項2】
上記成分(c)の球状無水ケイ酸(中空構造でない)及び球状セルロースの平均一次粒子径が5~15μmで、吸油量が150mL/100g以下であることを特徴とする請求項1記載の固形状香料組成物。
【請求項3】
上記成分(d)の液状エステル油がイソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の固形状香料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自然環境に配慮し、かつ経時安定性及び使用性のどちらも優れた固形状香料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、身体に塗布する香料組成物としては、香料をアルコールや水などと混合した香水・オーデトワレなどの液状組成物、粉体と混合したフレグランスパウダーなどの粉状組成物、油剤(固形、液状)と混合した練り香水などの固形状組成物といった形態がある。中でも固形状香料組成物は、皿状容器に流し込んだ練り香水や棒状に形成したスティック状ソリッドパフュームなど多くの形態をとることができ、携帯に便利でまた装飾性にも優れていることから近年人気が高まっている。
【0003】
こうした固形状香料組成物では、香料の種類によっては基材中の油剤と相溶性が悪く、さらに香料そのものの含有量が多くなることで、経時的に発汗と呼ばれる製品表面へ油分が浮き出る現象などが起こり問題とされてきた。これらの経時安定性の問題を解決するために、マイクロプラスチックビーズを用いた技術が知られている。
【0004】
マイクロプラスチックビーズとはポリメチルシルセスキオキサンやポリエチレンテレフタラート、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン、ポリエチレンなどの固形合成高分子でできた5mm以下の粒子を指し、セルロースなどの天然高分子やマイカ、シリカ、又はタルクなどの無機粉体は該当しない。これらのマイクロプラスチックビーズはこれまで洗い流しの化粧料中にスクラブ剤として、またメイクアップ化粧品の使用性や経時安定性を高めることを目的として汎用されてきた。
【0005】
例えば、先行技術としてマイクロプラスチックビーズであるポリメチルシルセスキオキサン粒子を用いた固形状香料組成物に関する技術(特許文献1)や同様にマイクロプラスチックビーズである有機球状粉体と油溶性樹脂などを組み合わせた油性固形化粧料に関する技術(特許文献2)などがあり、経時安定性のみならず使用性の優れた化粧料を製造することができると示されている。
【0006】
しかしながら、マイクロプラスチックビーズはその難分解性や有害物質の吸着・濃縮による海洋生物への毒性など近年自然環境への影響が懸念されており、マイクロプラスチックビーズを含有しない新しい化粧料の開発が世界的に求められている。
【0007】
またマイクロプラスチックビーズを含む複数の粉体と複数の油剤を組み合わせることで固形状香料組成物の経時安定性や使用性を改善する技術(特許文献3)も知られている。しかしながら、一言に香料といえども通常化粧料に使用されるものは天然香料、合成香料、又はこれらを組み合わせた調合香料など多様である。そのためそれぞれの化学特性は大きく異なり、油剤との相溶性等にも香料によって大きなバラつきがある。よってそれらの香料それぞれに適切な油剤などを選んでいく必要があり、香料に合わせて数ある油剤や粉体との組み合わせを選択し経時安定性、使用性のどちらも満足できるものを調製するという技術は汎用性に欠ける。さらに経時安定性の評価として40℃の恒温槽に入れ1ヶ月後の外観を観察する方法が用いられているが、温度一定条件下で行われるこの方法では発汗の主要因の一つである昼夜の温度変化や保管環境の温度変化など実際の使用・保管時における環境を十分に反映している評価法とは言い難く、経時安定性の評価法としては不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-176639
【文献】特許第4990544号
【文献】特開2010-235746
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は、自然環境に配慮してマイクロプラスチックビーズを含有せず、かつ経時安定性及び使用性のどちらも優れた固形状香料組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記実情を鑑み、本願発明者らは鋭意研究を行った結果、香料、固形油とともに、球状無水ケイ酸及び/又は球状セルロース、特定の液状モノエステル油及び半固形エステル油を用いることで、自然環境に配慮し、かつ経時安定性及び使用性のどちらも優れた固形状香料組成物を得られることを見出した。
【0011】
即ち本願発明は次の(a)~(e):
(a)香料0.5~30重量%
(b)固形油
(c)球状無水ケイ酸(中空構造でない)及び球状セルロースから選ばれる1種又は2種以上の粉体5~50重量%。
(d)炭素数16~36の液状モノエステル油
(e)ポリグリセリン脂肪酸エステル類、フィトステロール脂肪酸エステル類、及びペンタエリスリトール脂肪酸エステル類から選ばれる1種又は2種以上の半固形エステル油0.5~10重量%
を含有し、上記成分(d)の液状モノエステル油の含有量を1とした際に上記成分(e)の半固形エステル油の含有量が0.02~0.3となる比率であり、マイクロプラスチックビーズを含有しないことを特徴とする固形状香料組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、自然環境に配慮し、かつ経時安定性及び使用性のどちらも優れた固形状香料組成物を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明に用いられる成分(a)である香料は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、天然香料、合成香料、又はこれらを組み合わせた調合香料などが挙げられる。含有量は、0.5~30重量%が好ましく、より好ましくは0.5~20重量%である。0.5重量%未満では香りの演出として満足するものが得られず、30重量%を超える含有量では塗布時の使用性や経時安定性に問題を生じる場合がある。
【0014】
本願発明に用いられる成分(b)である固形油は、25℃で固形状のもので通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。例としてパラフィン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素ワックス、ビーズワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウなどのロウワックスが挙げられる。これらの固形油は必要に応じて1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0015】
本願発明に用いられる成分(c)である球状無水ケイ酸(中空構造でない)及び球状セルロースは、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、表面処理されたもの、結晶構造をとるものなど何れのものでも良い。含有量は、5~50重量%が好ましく、使用時の滑らかさ等の使用性や経時安定性を考慮すると10~30重量%がより好ましい。5重量%未満では経時安定性への効果が期待できず、50重量%を超える含有量では使用性が悪くなる。
【0016】
また球状無水ケイ酸(中空構造でない)及び球状セルロースの平均一次粒子径は通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。一般的には化粧料として用いられる場合塗布時の滑らかさが求められるため2~30μmのものが汎用されている。2μmより小さいと塗布時に軋みを感じ、30μmより大きいと滑らかさが損なわれるためであるが、より好ましくは5~15μmである。平均一次粒子径はレーザー回折散乱光を用いて測定・算出する。さらに吸油量は通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、加温溶解し充填する際の流動性や塗布時の滑らかさ等の使用性を鑑みると、150mL/100g以下のものが好ましい。吸油量は顔料試験方法JIS K 5101-13-1に準拠した精製あまに油法によって算出する。市販品としてはサンスフェア NP-100(AGCエスアイテック株式会社製)、SI-SB-150(三好化成株式会社製)、SA-SB-300(7%)(三好化成株式会社製)、シリカマイクロビード P-1500(日揮触媒化成株式会社製)、CELLULOBEADS D-10(大東化成工業株式会社製)などが挙げられる。これらの球状無水ケイ酸(中空構造でない)及び球状セルロースは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0017】
本願発明に用いられる成分(d)である液状モノエステル油は、炭素数16~36の通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。ここでいう液状とは25℃で流動性を有するものとする。また炭素数が16より小さいモノエステル油(ミリスチン酸メチルやカプリル酸ヘキシルなど)ではエステル油そのものの臭いが香料による香りの演出に影響を及ぼし、炭素数が36を超えるモノエステル油では使用性に問題が生じる。またエステル結合数が2以上のエステル油では経時安定性が損なわれる。なお炭素数16~36の液状モノエステル油としては、イソノナン酸イソトリデシルやイソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリルなどが挙げられる。市販品としては、KAK 139(高級アルコール工業株式会社製)、サラコス99(日清オイリオグループ株式会社製)、ODM(高級アルコール工業株式会社製)などが挙げられる。これらの液状モノエステル油は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
本願発明に用いられる成分(e)である半固形エステル油は、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、フィトステロール脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル類から選ばれ、医薬部外品原料規格2006(薬事日報社刊)記載の、一般試験法、融点測定法(第2法)によって、融点が25℃以上と測定された25℃で半固形状のものとする。ここでいう半固形状とは25℃において応力のない状態では変形しないが、若干の応力存在下で容易に変形する状態を指す。ポリグリセリン脂肪酸エステル類、フィトステロール脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル類のうち、好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステル類であり、例としてマカデミアナッツ油ポリグリセリル-6エステルズベヘネートや(イソステアリン酸/ベヘン酸)(グリセリル/ポリグリセリル-6)エステルズが挙げられる。市販品としてはS-フェイス VL-211(阪本薬品工業株式会社製)やS-フェイス VL-212(阪本薬品工業株式会社製)が挙げられる。含有量は0.5~10重量%が好ましく、より好ましくは1~5重量%である。0.5重量%より少ないと経時安定性への効果が得られず、10重量%より多いと使用性が悪くなる。これらの半固形エステル油は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
本願発明において、液状モノエステル油の含有量を1とした際の半固形エステル油の含有量の比率をエステル油比率と表す。この値は「半固形エステル油の総含有量/液状エステル油の総含有量」で算出され、経時安定性や使用性を鑑みると0.02~0.3が好ましい。0.02より小さいと経時安定性が悪くなり、0.3より大きいと使用性が悪くなる。
【0020】
本願発明の固形状香料組成物は上記成分のほかに、通常化粧料に用いられる成分として例えば、界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステルなど)、ゲル化剤(デキストリン脂肪酸エステルなど)、酸化防止剤(トコフェロールなど)、防腐剤、紫外線防止剤、色材などを適宜用いることができる。
【実施例
【0021】
以下に実施例を挙げてさらに詳細に説明する。本願発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また含有量に関しては特に指定の無い限り、重量%で表すものとする。
【0022】
下記の表1~4に挙げた固形状香料組成物を調製し、使用性及び経時安定性の評価を行った。
【0023】
(調製方法)
成分1~5を加熱溶解後、成分6を加え混合する。その後脱泡し、再度加熱溶解した時点で成分7を加え均一に混合する。得られた混合物を直径3cm、厚さ1cmの容器に充填し、放冷後固形状香料組成物を得た。
【0024】
使用性の評価に関して、専門パネル10名が「付着性」、「塗布時の滑らかさ」、「べたつきのなさ」といった観点から総合的に以下の方法で評点をつけ、その平均値により判定した。
(評点):(評価)
6:非常に良好
5:良好
4:やや良好
3:やや不良
2:不良
1:非常に不良
(判定):(評点平均値)
◎:5点以上
○:4点以上5点未満
△:3点以上4点未満
×:3点未満
【0025】
経時安定性の評価に関して、得られた固形状香料組成物を実際の使用・保管時の環境を反映できる方法として、-5~40℃で温度変化(変温速度45℃/6時間)する保管庫(以後サイクル庫と呼ぶ)にセットし、1週間後、2週間後及び1ヶ月後の状態を肉眼で観察した。発汗(表面の油浮き)の有無に加え、変色の有無、変臭の有無など調製時との変化といった観点から総合的に以下の基準によって判定した。
(判定):(評価)
◎:1ヶ月後において変化なし
○:2週間後において変化なし
△:2週間後において変化あり
×:1週間後において変化あり
【0026】
【表1】
※ 1 シリカマイクロビード P-1500(日揮触媒化成株式会社製)
※ 2 サンスフェア NP-100(AGCエスアイテック株式会社製)
※ 3 サンスフェア H-52(AGCエスアイテック株式会社製)
※ 4 サンスフェア H-122(AGCエスアイテック株式会社製)
※ 5 SA-SB-300(7%)(三好化成株式会社製)
※ 6 CELLULOBEADS D-10(大東化成工業株式会社製)
※ 7 セルフロー C-25(JNC株式会社製)
※ 8 ITT-0.5 CELLULOBEADS D-10(大東化成工業株式会社製)
※ 9 サイリシア440(富士シリシア化学株式会社製)
※10 タルク JA-13R(浅田製粉株式会社製)
※23 シリカマイクロビード BA-1(日揮触媒化成株式会社製)
【0027】
表1から明らかなように、本願発明に関わる実施例1~8において、経時安定性及び使用性の優れた香料組成物を得ることができた。一方で、球状ではない不定形の無水ケイ酸を用いた比較例1では塗布時の滑らかさが損なわれ、さらにべたつきも生じており使用性が悪かった。またタルクを用いた比較例2と中心部が空洞の構造(中空)である球状中空無水ケイ酸を用いた追加実験例ではサイクル庫に入れてからそれぞれ1週間、2週間の時点で表面への発汗が見られた。
【0028】
【表2】
※11 サラコス99(日清オイリオグループ株式会社製)
※12 KAK 139(高級アルコール工業株式会社製)
※13 ODM(高級アルコール工業株式会社製)
※14 クロダモルISIS(クローダジャパン株式会社製)
※15 ISOD(進栄化学株式会社製)
※16 KAK DIOS(高級アルコール工業株式会社製)
※17 NIKKOL Trialan 308(日光ケミカルズ株式会社製)
※18 KAK TTI(高級アルコール工業株式会社製)
【0029】
表2から明らかなように、本願発明に関わる実施例9~12において、経時安定性及び使用性の優れた香料組成物を得ることができた。一方で、炭素数38のモノエステルを用いた比較例3においてはべたつきが生じ使用性が悪かった。また炭素数が36より小さいジエステルを用いた比較例4やトリエステルを用いた比較例5においては経時安定性が悪かった。さらに炭素数60のトリエステルを用いた比較例6では塗布時の滑らかさがなくべたつきも生じており使用性に問題があるとともに経時安定性も悪かった。また流動パラフィンを用いた比較例7では経時安定性が悪くサイクル庫に入れてから1週間で発汗が見られ、メチルポリシロキサンを用いた比較例8では、使用性及び経時安定性のいずれも悪かった。
【0030】
【表3】
※19 S-フェイス VL-211(阪本薬品工業株式会社製)
※20 S-フェイス VL-212(阪本薬品工業株式会社製)
※21 Plandool MAS(日本精化株式会社製)
※22 コスモール 168ARV(日清オイリオグループ株式会社製)
【0031】
表3から明らかなように、本願発明に関わる実施例13~16において、経時安定性及び使用性の優れた香料組成物を得ることができた。一方で半固形エステル油を含有しない比較例9、10では経時安定性が悪く、またワセリンやシア脂を用いた比較例11、12においてもサイクル庫に入れてから1週間で発汗が見られ、経時安定性が悪かった。
【0032】
【表4】
【0033】
表4から明らかなように、本願発明に関わる実施例17~28において、経時安定性及び使用性の優れた香料組成物を得ることができた。一方でエステル油比率が0.3より大きい比較例13では使用性が悪く、エステル油比率が0.02より小さい比較例14では経時安定性に問題があった。
【0034】
さらに実施例29~31を示す。
【0035】
実施例29
練り香水
(成分) (重量%)
1.130°パラフィンワックス 10.00
2.マイクロクリスタリンワックス 19.00
3.ステアリン酸ソルビタン 0.40
4.イソノナン酸イソノニル 26.80
5.ミリスチン酸オクチルドデシル 26.80
6.マカデミアナッツ油ポリグリセリル-6エステルズベヘネート 2.00
7.表面処理球状無水ケイ酸 10.00
(粒子径:5μm、吸油量:150mL/100g)
8.香料(フローラル・フルーティタイプ) 5.00
(調製方法)
成分1~6を加熱溶解後、成分7を加え混合する。その後脱泡し、再度加熱溶解した時点で成分8を加え均一に混合する。得られた混合物を皿状容器に充填し、放冷後練り香水を得た。
【0036】
実施例30
ソリッドパフューム
(成分) (重量%)
1.セレシン 10.00
2.マイクロクリスタリンワックス 15.00
3.セスキオレイン酸ソルビタン 0.20
4.イソノナン酸イソトリデシル 20.00
5.ミリスチン酸オクチルドデシル 15.75
6.(イソステアリン酸/ベヘン酸)
(グリセリル/ポリグリセリル-6)エステルズ 2.00
7.パルミチン酸デキストリン 2.00
8.トコフェロール 0.05
9.球状セルロース(粒子径:15μm、吸油量:60mL/100g) 25.00
10.香料(フローラルブーケタイプ) 10.00
(調製方法)
成分1~8を加熱溶解後、成分9を加え混合する。その後脱泡し、再度加熱溶解した時点で成分10を加え均一に混合する。得られた混合物を皿状容器に充填し、放冷後ソリッドパフュームを得た。
【0037】
実施例31
スティック状ソリッドパフューム
(成分) (重量%)
1.155°パラフィンワックス 12.00
2.マイクロクリスタリンワックス 17.00
3.カルナウバロウ 0.60
4.ステアリン酸ソルビタン 0.40
5.イソノナン酸イソトリデシル 43.00
6.マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステアリル 2.00
7.球状無水ケイ酸(粒子径:5μm、吸油量:60mL/100g) 20.00
8.香料(シトラスタイプ) 5.00
(調製方法)
成分1~6を加熱溶解後、成分7を加え混合する。その後脱泡し、再度加熱溶解した時点で成分8を加え均一に混合する。得られた混合物をスティック容器に充填し、放冷後スティック状ソリッドパフュームを得た。
【0038】
上記実施例29~31において、経時安定性と使用性のどちらも優れた固形状香料組成物を得ることができた。