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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】毛髪変形用処理剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20230413BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230413BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230413BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K8/41
A61K8/31
A61Q5/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019018956
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020125267
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】白石 晃
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-107935(JP,A)
【文献】Unilever, Japan,Heat Style Dryer Foam,Mintel GNPD [online],2016年06月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#4108155, [検索日:2022.10.20], 製品詳細, 製品情報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルキルリン酸と
ジアルキル型のカチオン性界面活性剤と、
流動パラフィン、ラノリン、及びマイクロクリスタリンワックスを含む油性成分と
を少なくとも含み、
前記アルキルリン酸の含有量が0.1~10.0質量%であり、前記ジアルキル型のカチオン性界面活性剤の含有量が0.01~5.0質量%であり、
前記油性成分の含有量が3.0~14.0質量%であり、
前記流動パラフィンの配合量が0.001~10.0質量%であり、
前記ラノリンの配合量が0.001~10.0質量%であり、
前記マイクロクリスタリンワックスの配合量が0.001~5.0質量%であることを特徴とする毛髪変形用処理剤。
【請求項2】
前記ジアルキル型カチオン性界面活性剤が、ジココジモニウムクロリド及びジステアリルジモニウムクロリドの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪変形用処理剤。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の毛髪変形用処理剤を毛髪に塗布する工程と、
前記毛髪変形用処理剤が塗布された毛髪に、40℃~180℃の処理温度で毛髪変形処理を行う工程と
を少なくとも備えることを特徴とする毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーブ形成や縮毛矯正などの毛髪変形処理において使用される毛髪変形用処理剤であって、還元剤を有する第1剤に関する。
【背景技術】
【0002】
パーマネントウェーブ処理、ストレートパーマ処理に代表される毛髪の還元処理を伴う毛髪変形処理では、還元処理の後に毛髪を酸化させて変形を定着させる。
【0003】
ここで、従来、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、アルカリ剤及び還元剤が配合された毛髪変形用の第1剤が使用されているが、毛髪変形処理の際に毛髪の軟化度合いをコントロールすることが困難であるという問題があった。
【0004】
そこで、カチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との配合比を特定範囲に設定することにより、変形処理の際に毛髪の軟化度合いをコントロールしやすくなる第1剤が提案されている。より具体的には、[A]カチオン性界面活性剤として、アルキルトリメチルアンモニウム塩を使用するとともに、[B]アニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン(以下、「POE」と記載する場合がある。)アルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の塩及びアルキルリン酸から選ばれる少なくとも一種の成分を使用し、[B]成分1質量部に対する[A]成分の配合量が2質量部以上8質量部以下である毛髪変形用の第1剤が提案されている。そして、このような第1剤を使用することにより、特に軟毛を、適切な度合いに比較的容易かつ確実に軟化させることができると記載されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5738583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の毛髪変形用処理剤では、変形処理の際に、毛髪の軟化度合いをコントロールすることはできるものの、毛髪変形の効果及びその持続性が不十分であるという問題あった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、毛髪変形の効果が十分に得られるとともに、変形効果の持続性と良好な仕上がり感も得ることができる毛髪変形用処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の毛髪変形用処理剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の塩、及びアルキルリン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種のアニオン性界面活性剤と、ジアルキル型カチオン性界面活性剤と、流動パラフィン、ラノリン、及びマイクロクリスタリンワックスを含む油性成分とを少なくとも含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、毛髪変形の効果が十分に得られるとともに、変形効果の持続性と良好な仕上がり感を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、適宜、変更して適用することができる。
【0011】
本発明の毛髪変形用処理剤は、毛髪変形処理において還元剤を含有する第1剤として使用されるものである。ここで、「毛髪変形処理」とは、パーマネントウェーブ処理、ストレートパーマ処理などの毛髪中のシスチン結合の還元を伴う処理をいう。
【0012】
本発明の毛髪変形用処理剤は、アニオン性界面活性剤とジアルキル型のカチオン性界面活性剤と油性成分とを含有する。
【0013】
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤を含有することにより、変形処理の際に、毛髪のウェーブ(軟化度合い)をコントロールすることが可能になる。
【0014】
本発明の毛髪変形用処理剤においては、このアニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸の塩、及びアルキルリン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種が使用される。
【0015】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸又はその塩類としては、例えば、POEラウリルエーテル酢酸、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム、POEトリデシルエーテル酢酸、POEトリデシルエーテル酢酸ナトリウム、POEトリデシルエーテル酢酸等のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ミリスチン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン、POEオレイルエーテルリン酸、POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸、POEラウリルエーテルリン酸ナトリウム、POEセチルエーテルリン酸、POEセチルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸、POEステアリルエーテルリン酸ナトリウム、ジPOEラルリルエーテルリン酸ナトリウム、ジオレイルPOEエーテルリン酸ナトリウム、ジPOE(C12-15)アルキルエーテルリン酸、トリPOEラウリルエーテルリン酸、トリPOEセチルエーテルリン酸、トリPOE(C12-15)アルキルエーテルリン酸等のPOEアルキルエーテルリン酸又はその塩等を挙げることができる。また、アルキルリン酸としては、例えば、リン酸セチル、リン酸ジセチル、リン酸トリオレイル、リン酸トリステアリル等を挙げることができる。
【0016】
また、本発明においては、毛髪変形処理剤の全体に対するアニオン性界面活性剤の配合量は、0.1~10.0質量%であることが好ましい。
【0017】
これは、0.1質量%未満では、毛髪変形の効果と変形効果の持続性が十分に得られないという不都合が生じる場合があり、10.0質量%より大きい場合は、柔らかさやツヤ等の仕上がり感が十分に得られないという不都合が生じる場合があるためである。
【0018】
(ジアルキル型のカチオン性界面活性剤)
ジアルキル型のカチオン性界面活性剤を含有することにより、毛髪変形処理による毛髪へのダメージを低減して良好な仕上がり感を得ることが可能になる。
【0019】
このジアルキル型カチオン性界面活性剤としては、ジステアリルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド、ジラウリルジモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ジミリスチルジモニウムクロリド等のジアルキルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0020】
また、本発明においては、毛髪変形処理剤の全体に対するジアルキル型カチオン性界面活性剤の配合量は、0.01~5.0質量%であることが好ましい。
【0021】
これは、0.01質量%未満では、柔らかさやツヤ等の仕上がり感が十分に得られないという不都合が生じる場合があり、5.0質量%より大きい場合は、毛髪変形の効果と変形効果の持続性が十分に得られないという不都合が生じる場合があるためである。
【0022】
(油性成分)
本発明の毛髪変形用処理剤は、油性成分として、液状油である流動パラフィン、ペースト状油であるラノリン、及び固形状油であるマイクロクリスタリンワックスを含んでいる。そして、この油性成分を含有することにより、毛髪変形の効果が十分に得られるとともに、毛髪変形処理による毛髪へのダメージを低減して良好な仕上がり感を得ることが可能になる。
【0023】
また、本発明においては、毛髪変形処理剤の全体に対する流動パラフィンの配合量は、0.001~10.0質量%であることが好ましく、0.01%~5.0質量%がより好ましい。
【0024】
また、毛髪変形処理剤の全体に対するラノリンの配合量は、0.001~10.0質量%であることが好ましく、0.01%~5.0質量%がより好ましい。
【0025】
さらに、毛髪変形処理剤の全体に対するマイクロクリスタリンワックスの配合量は、0.001~5.0質量%であることが好ましく、0.01%~2.0質量%がより好ましい。
【0026】
また、本発明においては、毛髪変形処理剤の全体に対する油性成分の配合量は、0.03%~14.0質量%であることが好ましい。
【0027】
これは、0.03質量%未満では、柔らかさやツヤ等の仕上がり感が十分に得られないという不都合が生じる場合があり、14.0質量%より大きい場合は、仕上がりの毛髪が重すぎるため、満足な毛髪変形効果が得られないという不都合が生じる場合があるためである。
【0028】
(還元剤)
本発明の毛髪変形用処理剤の主剤である還元剤としては、特に限定されず、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウムやチオグリコール酸モノエタノールアミン塩等のチオグリコール酸塩類や、システイン又はその塩類、チオグリコール酸グリセリル、チオ乳酸、チオ乳酸塩、ブチロラクトンチオールである等が挙げられる。
【0029】
また、本発明の毛髪変形用処理剤においては、還元剤の配合量は、所望の還元力に対応させて適宜設定することができ、例えば、毛髪変形処理剤の全体に対する還元剤の配合量は、1.0~11.0質量%に設定することができる。
【0030】
(反応調整剤)
本発明の毛髪変形用処理剤は、反応調整剤を含有してもよい。そして、この反応調整剤を含有することにより、毛髪変形処理剤の過剰反応を抑制することができるため、毛髪変形の強さを所望の強さに調整することが可能になる。
【0031】
この反応調整剤は、特に限定されず、通常、毛髪化粧料に用いられるものであればよい。例えば、ジチオジグリコール酸またはその塩類、シスタミンまたはその塩類が挙げられる。
【0032】
ジチオジグリコール酸の塩類としては、例えば、ジチオジグリコール酸ジアンモニウム等を挙げることができる。また、シスタミンの塩類としては、例えば、シスタミン二塩酸塩等を挙げることができる。
【0033】
このうち、還元反応に対する調整効果に優れるとの観点から、ジチオジグリコール酸またはその塩類を使用することが好ましい。
【0034】
また、毛髪変形用処理剤全体に対するジチオジグリコール酸またはその塩類の配合量は0.1~5.0質量%であることが好ましい。
【0035】
これは、0.1質量%未満では、反応調整(抑制)効果が十分に得られない場合があり、5.0質量%より大きい場合は、還元反応が十分に得られない場合や、還元反応に時間がかかる(還元反応のスピードが低下する)場合があるためである。
【0036】
(溶媒)
また、本発明の毛髪変形用処理剤において使用される溶媒(分散媒)は特に限定されず、例えば、水が使用されるが、必要に応じて、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒を、人体に接触しても無害な濃度で、水に含有させてもよい。
【0037】
なお、本発明の毛髪変形用処理剤の態様は、溶液に限定されず、必要に応じて添加する成分が懸濁ないし乳化されているものであってもよい。
【0038】
(金属封鎖剤)
また、本発明の毛髪変形用処理剤は、金属封鎖剤を含有してもよい。金属封鎖剤を含有することにより、還元剤が微量金属成分と反応して、還元剤の力価が低下するという不都合を抑制することができるため、毛髪変形用処理剤の安定性を得ることができる。
【0039】
この金属封鎖剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩(エデト酸塩)、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸などが挙げられる。
【0040】
なお、毛髪変形用処理剤全体に対する金属封止剤の配合量は、0.01~0.2質量%であることが好ましい。
【0041】
(pH調整剤)
また、本発明の毛髪変形用処理剤は、pH調整剤を含有してもよい。このpH調整剤は、特に限定されず、通常、毛髪化粧料に用いられるものであればよい。例えば、炭酸グアニジン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、セスキ炭酸塩、アルギニン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、モノエタノールアミン、アンモニア、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、水酸化ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、及び、リン酸水素二アンモニウムなどが挙げられる。
【0042】
このうち、優れたpH調整効果を得るとの観点から、モノエタノールアミンを使用することが好ましい。
【0043】
また、毛髪変形用処理剤全体に対するモノエタノールアミンの配合量は、0.1~5.0質量%であることが好ましい。
【0044】
これは、0.1質量%未満では、pH調整機能が十分に得られない場合があり、5.0質量%より大きい場合は、毛髪に損傷を与えてしまう場合があるためである。
【0045】
(pH)
本発明の毛髪変形用処理剤は、上記pH調整剤により、pHが6~10に設定されている。
【0046】
これは、pHが6未満の場合は、毛髪変形効果を十分に得られない場合があり、pHが10より大きい場合は、毛髪に損傷を与えてしまう場合があるためである。
【0047】
即ち、pHを6~10に設定することにより、良好な仕上がり感が得ることができる。なお、これらの効果を向上させるとの観点から、pHを7~9.5に設定することが好ましい。
【0048】
(防腐剤)
また、本発明の毛髪変形用処理剤は、防腐剤を含有してもよい。防腐剤を含有することにより、毛髪変形用処理剤の安定性を得ることができる。
【0049】
この防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラベン、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
【0050】
なお、毛髪変形用処理剤全体に対する防腐剤の配合量は、0.01~0.3質量%であることが好ましい。
【0051】
(その他の成分)
本発明の毛髪変形用処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分、例えば、pH調整成分(例えば、クエン酸、乳酸、リン酸等)、油性成分(例えば、スフィンゴ脂質、セラミド類、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体、リン脂質、ラノリン脂肪酸誘導体、パーフルオロポリエーテル等)、植物油(例えば、オリーブ油、シア脂、マカデミアナッツ油等)、ロウ類(例えば、ホホバ種子油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等)、炭化水素(例えば、軽質流動イソパラフィン、パラフィン、スクワラン、ワセリン、イソドデカン、イソヘキサデカン等)、高級脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、分岐脂肪酸(C(炭素数)14-28)、ヒドロキシステアリン酸等)、アルコール類(例えば、セタノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、水添ナタネ油アルコール、コレステロール、シトステロール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ヘキサンジオール等)、糖及びその誘導体類(例えば、ブドウ糖、ショ糖、D-ソルビトール、マルトース、トレハロース、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、グリセリルグルコシド等)、エステル類(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセリル、コハク酸ジエトキシエチル、乳酸セチル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル等)、シリコーン類(例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、環状ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、PCAジメチコン等)、アミノ酸及びその誘導体類(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、セリン、メチオニン、トリメチルグリシン、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、N-ラウロイル-L-リジン等)、PPT及びタンパク類(例えば、加水分解シルク、加水分解コムギ、加水分解ダイズ、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、シリル化加水分解シルク、シリル化加水分解コムギ、カチオン化加水分解シルク、カチオン化加水分解コラーゲン、ケラチン等)、天然高分子類(例えば、アルギン酸塩、マンナン、アラビアゴム、タマリンドガム、キトサン、カラギーナン、ムチン、セラック、ヒアルロン酸塩、カチオン化ヒアルロン酸、キサンタンガム、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、グァーガム、カチオン化グァーガム、ハチミツ等)、合成高分子(例えば、アニオン性高分子、カチオン性高分子、非イオン性高分子、両性高分子、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等)、他のアニオン性界面活性剤(例えば、アルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルグルタミン酸、N-アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等)、他のカチオン性界面活性剤(例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩等)、両性界面活性剤(例えば、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシド、新油型モノステアリン酸グリセリル等)、染料(例えば、タール色素、天然色素等)、植物エキス類(例えば、カミツレエキス、コンフリーエキス、セージエキス、ローズマリーエキス、カキタンニン、チャ乾留液、銅クロロフィリンナトリウム等)、ビタミン類(例えば、L-アスコルビン酸、DL-α-トコフェロール、D-パンテノール、天然ビタミンE等)、紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、フェルラ酸等)、上記した以外の防腐剤(例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラベン、フェノキシエタノール等)、酸化防止剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等)、上記した以外の金属封鎖剤(例えば、エデト酸塩、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸等)、その他無機化合物(例えば、酸化チタン、銀、白金、塩化鉄、酸化鉄、臭素酸ナトリウム、過酸化水素等)、その他有機化合物(例えば、尿素、ヒドロキシエチル尿素、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、グルコン酸銅等)、溶剤(例えば、ベンジルアルコール等)、噴射剤(例えば、LPG(液化石油ガス)、DME(ジメチルエーテル)、窒素ガス、炭酸ガス等)、香料等の公知の化粧品各成分を配合することができる。
【0052】
本発明の毛髪変形用処理剤は、公知の方法により、液状、ミルク状、クリーム状、泡状(使用時形状)、霧状(使用時形状)等の剤形とすることができ、エアゾール形態とすることもできる。
【0053】
また、本発明の毛髪変形用処理剤を用いた毛髪処理方法の一例を、後述の実施例に記載しているが、毛髪変形効果と仕上がり感を向上させるとの観点から、本発明の毛髪変形用処理剤を毛髪に塗布後、毛髪変形用処理剤が塗布された毛髪に、40℃~180℃の処理温度で毛髪変形処理を行うことが好ましい。
【実施例
【0054】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0055】
(実施例1~29及び比較例1~10)
<毛髪変形用処理剤の製造>
水(イオン交換水)と各原料を配合して、表1~表4に示す組成(質量%)を有する実施例1~29及び比較例1~10の毛髪変形用処理剤を製造した。なお、各毛髪変形用処理剤のpHは9.0に設定した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
<酸化剤を含有する第2剤の製造>
水(イオン交換水)と各原料を配合して、表5に示す組成(質量%)を有する第2剤を製造した。
【0061】
【表5】
【0062】
<サンプル用の毛髪の準備>
長さ30cmの直毛の毛髪からなる毛束(5g)を用い、化学的処理として市販のヘアカラーを用いて、2回の染色処理を行い、さらに市販のパーマ液で、パーマネントウェーブ処理を行った。その後、処理を行った毛髪を、50℃に保ったポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)に一晩浸漬させ、十分に水洗したものをサンプル毛髪とした。
【0063】
<パーマネントウェーブ処理>
次に、準備した毛髪に対して、下記(A)~(L)の処理を行った。
(A)まず、準備した毛髪の毛束を水で濡らした。
(B)次に、実施例1~29及び比較例1~10の毛髪変形用処理剤を塗布し、還元処理を行った。
(C)次に、還元処理を行った毛髪を容器に入れて密閉し、20分間、室温で放置した。
(D)次に、室温放置後の毛髪を水洗いした。
(E)次に、水洗いした毛髪をタオルで拭き、ロッドに巻いた。
(F)次に、ロッドに巻いた毛髪を60℃に設定した恒温槽内に10分間放置した。
(G)次に、加温放置した毛髪を恒温槽から取り出し、室温で3分間放置した。
(H)次に、室温放置した毛髪に対して、パーマネントウェーブ処理用の第2剤を塗布し、酸化処理を行った。
(I)次に、第2剤による酸化処理を行った毛髪を、5分間、室温で放置した。
(J)次に、室温放置後の毛髪に対して、再度、上記(F)~(G)の処理を行った。
(K)次に、毛髪に巻いたロッドを除去した。
(L)次に、ロッドを除去した毛髪を水洗いした。
【0064】
<評価基準>
次に、上記(A)~(L)の処理を行った毛髪に対して、上記(B)の処理で使用した毛髪変形用処理剤が、パーマネントウェーブ処理の仕上がり感に及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、(1)カールの強さ、(2)カールの弾力、(3)カールの持続性、(4)やわらかさ、及び(5)ツヤの5項目について、専門パネラー10名による評価を行った。各評価項目における評価基準を以下に示す。
【0065】
(1)カールの強さ
パーマネントウェーブ処理の最終水洗直後の毛髪が濡れている状態で、カール形状の強さを比較し、下記評価基準に従って評価した。
ウェーブ効率が非常に高く、非常にしっかりとカール形成されている:◎
ウェーブ効率が高く、しっかりとカール形成されている:○
ウェーブ効率が低く、ゆるやかにカール形成されている:△
ウェーブ効率が非常に低く、非常にゆるやかにカール形成されている。:×
【0066】
(2)カールの弾力
パーマネントウェーブ処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の跳ね返り感を、下記評価基準に従って評価した。
跳ね返りが非常に強く、非常に弾力がある:◎
跳ね返りが強く、弾力がある:○
跳ね返りがやや弱く、弾力がやや少ない:△
跳ね返りがほとんどなく、ほとんど弾力がない:×
【0067】
(3)カールの持続性
パーマネントウェーブ処理から2週間程度経過した場合と同程度の状態にするために、パーマネントウェーブ処理の最終水洗後に乾燥させた毛髪を、60℃の温水に20分間浸漬し、時間経過処理を行った。
【0068】
また、パーマネントウェーブ処理の最終水洗直後の毛髪が濡れている状態におけるカール形状(処理直後のウェット時)と、上記時間経過処理後の濡れている状態におけるカール形状(時間経過処理後のウェット時)を比較し、下記評価基準に従って評価した。
パーマネントウェーブ処理直後と時間経過後の差がほとんどなく、持続性が非常に高い:◎
パーマネントウェーブ処理直後と時間経過後の差がややあるが、持続性が高い:○
パーマネントウェーブ処理直後と時間経過後の差があり、持続性が低い:△
パーマネントウェーブ処理直後と時間経過後の差がかなりあり、持続性が非常に低い:×
【0069】
(4)やわらかさ
パーマネントウェーブ処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の手触りのやわらかさを、下記評価基準に従って評価した。
非常にやわらかい:◎
やわらかい:○
硬さがややある:△
硬さがある:×
【0070】
(5)ツヤ
パーマネントウェーブ処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした後、ツヤの有無を下記評価基準に従って評価した。
ツヤが非常にある:◎
ツヤがある:○
ツヤがややない:△
ツヤがない:×
【0071】
なお、上記(1)~(5)の各評価において、「◎」は特に優れていると評価し、「○」は優れていると評価した。また、「△」と「×」は不十分であると評価した。以上の結果を表1~表4に示す。
【0072】
表1~表4に示すように、アニオン性界面活性剤(リン酸ジセチル)の含有量が0.1~10.0質量%であり、かつジアルキル型のカチオン性界面活性剤(ジココジモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド)の含有量が0.01~5.0質量%である毛髪変形用処理剤を使用した実施例1~29においては、毛髪変形の効果(上記(1)~(2)の各評価における効果)が十分に得られるとともに、変形効果の持続性(上記(3)における効果)と良好な仕上がり感(上記(4)~(5)の各評価における効果)も得ることができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上説明したように、本発明は、パーマネントウェーブ処理、ストレートパーマ処理に代表される毛髪変形用処理における第1剤として用いられる場合、特に有用である。