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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】多極同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6582 20110101AFI20230413BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20230413BHJP
   H01R 24/60 20110101ALI20230413BHJP
【FI】
H01R13/6582
H01R12/71
H01R24/60
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019064410
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166970
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】古賀 伸一
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-192939(JP,A)
【文献】特表2003-503823(JP,A)
【文献】特開2010-135296(JP,A)
【文献】米国特許第06475035(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6582
H01R 12/71
H01R 24/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のプリント基板に実装した第1コネクタと他方のプリント基板に実装した第2コネクタを電気的に接続し、一方のプリント基板から他方のプリント基板に高速の信号を伝送できる、多極同軸コネクタであって、
前記第1コネクタは、
板状のヘッダを前面から突出した直方体状の第1ハウジングと、
先端部側を前記ヘッダに露出した状態で、前記第1ハウジングの内部に並列配置した板状の第1信号コンタクトと、
先端部側に設けた第1接続部を前記ヘッダに露出した状態で、前記第1ハウジングの内部に並列配置していると共に、前記第1信号コンタクトの周囲を矩形に囲う筒状の第1グラウンドコンタクトと、を備え、
前記第2コネクタは、
前記ヘッダを導入可能に、前面を開口した凹部を有する直方体状の第2ハウジングと、
前記第1信号コンタクトと接触できる接触片を前記凹部の内部に突出し、前記第1ハウジングの内部に並列配置したベローズ形の第2信号コンタクトと、
前記第1接続部と接触できる第2接続部を先端部側に設け、前記第2ハウジングの内部に並列配置していると共に、前記第2信号コンタクトの周囲を矩形に囲う筒状の第2グラウンドコンタクトと、を備え、
前記第1接続部は、
前記第1グラウンドコンタクトの両側面から連続して延出した一対の第1接触片と、
前記第1グラウンドコンタクトの底面から連続して延出した第2接触片と、を有し、
前記第2接続部は、
前記第2グラウンドコンタクトの両側面から連続して延出し、前記第1接触片と接触できる一対の第3接触片と、
前記第2グラウンドコンタクトの底面から連続して延出し、前記第2接触片と接触できる第4接触片と、を有している、多極同軸コネクタ。
【請求項2】
前記第1グラウンドコンタクトは、一方のプリント基板にはんだ接合できる第1リード部を基端部に有し、
前記第2グラウンドコンタクトは、他方のプリント基板にはんだ接合できる第2リード部を基端部に有し、
前記第1接触片と前記第3接触片との接触点から前記第1リード部に至るグラウンドの第1伝送経路と、前記第1接触片と前記第3接触片との接触点から前記第2リード部に至るグラウンドの第2伝送経路とを、略同じに形成している、請求項1記載の多極同軸コネクタ。
【請求項3】
前記第1信号コンタクトは、前記第1グラウンドコンタクトの中心部に略同軸状態で配置され、
前記第2信号コンタクトは、前記第2グラウンドコンタクトの中心部に略同軸状態で配置されている、請求項1又は2記載の多極同軸コネクタ。
【請求項4】
前記ヘッダは、位置決め用の一対のガイドピンを両端部に備え、
前記凹部は、前記ガイドピンが挿入されるガイド穴を両端部に有し、
前記第1グラウンドコンタクトは、前記第2グラウンドコンタクトの先端部側を導入できる第1段差部を先端部側に有し、
前記第2グラウンドコンタクトは、前記第1グラウンドコンタクトの先端部側を導入できる第2段差部を先端部側に有し、
前記第1コネクタを前記第2コネクタに挿入した状態では、一対の前記第3接触片は、前記ヘッダの先端面に当接困難に回避している、請求項1から3のいずれかに記載の多極同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多極同軸コネクタに関する。特に、対向する一組のプリント基板を電気的に接続する基板対基板用コネクタであって、一方のプリント基板から他方のプリント基板に高速の信号を伝送できる、多極同軸コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器は、コネクタを介して、対向する一組のプリント基板を電気的に接続する技術が多用されている。このような基板対基板用コネクタにおいて、一方のプリント基板から他方のプリント基板に高速の信号を伝送するために、ピン状の信号コンタクトを円筒状のグラウンドコンタクトで囲った丸形の同軸コネクタをプリント基板に並列配置して、一組のプリント基板を電気的に接続する多極同軸コネクタが知られている。
【0003】
しかし、上述した多極同軸コネクタは、一方のプリント基板に並列配置した同軸コネクタと他方のプリント基板に並列配置した同軸コネクタとの位置関係を合致させるために、特別な構造を必要とするという不具合があった。
【0004】
丸形の同軸コネクタを採用した、従来技術による多極同軸コネクタは、このような不具合があることから、一方のコネクタと他方のコネクタの接続時において、他方のコネクタのグラウンドコンタクトは、一方のコネクタ及び他方のコネクタに設けたベローズ形の信号コンタクトの周囲を部分的に囲った多極同軸コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平6-29047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9は、従来技術による多極同軸コネクタに備わるコンタクトの構成を示す図であり、図9(A)は、一方のコネクタに配置されたコンタクトの斜視図、図9(B)は、他方のコネクタに配置されたコンタクトの斜視図である。
【0007】
図10は、従来技術による多極同軸コネクタの構成を示す図であり、図10(A)は、一方のコネクタの斜視図、図10(B)は、他方のコネクタの斜視図である。図11は、一方のコネクタと他方のコネクタが嵌合した状態を示す断面図であり、図11(A)は、横断面図、図11(B)は、縦断面図である。
【0008】
なお、本願の図9は、特許文献1の図1に相当している。又、本願の図10(A)と図10(B)は、特許文献1の図2図3に相当している。更に、本願の図11(A)と図11(B)は、特許文献1の図4図5に相当している。
【0009】
図10又は図11(B)を参照すると、従来技術による多極同軸コネクタ9は、一方のコネクタ(以下、プラグという)91と他方のコネクタ(以下、リセプタクルという)92で構成している。プラグ91は、第1のプリント基板1pに実装されている。リセプタクル92は、第2のプリント基板2pに実装されている。
【0010】
図11(B)を参照して、第1のプリント基板1pと第2のプリント基板2pを対向配置し、第2のプリント基板2pに向かって、第1のプリント基板1pを相対的に近づけることで、プラグ91をリセプタクル92に嵌合できる。
【0011】
図9(A)又は図10(A)及び図11を参照すると、プラグ91は、直方体状のハウジング91h、複数のベローズ形の信号コンタクト911、及び、複数のベローズ形のグラウンドコンタクト912を備えている。
【0012】
図10(A)を参照すると、ハウジング91hは、一方の面に向けて開口した凹部91cを有している。凹部91cには、リセプタクル92を導入できる。そして、プラグ91は、リセプタクル92と嵌合できる。
【0013】
又、図10(A)を参照すると、ハウジング91hは、複数のヘッダ91dを凹部91cの底面から立設している。これらのヘッダ91dには、信号コンタクト911とグラウンドコンタクト912が対向配置された状態で、二列に配置されている(図11参照)。つまり、信号コンタクト911とグラウンドコンタクト912は、デュアルインライン状態で配置されている。
【0014】
図9(B)又は図10(B)及び図11を参照すると、リセプタクル92は、直方体状のハウジング92h、複数のベローズ形の信号コンタクト921、及び、複数のC形に屈曲したグラウンドコンタクト922を備えている。
【0015】
図10(B)を参照すると、ハウジング92hは、一方の面に向けて開口した凹部92cを有している。凹部92cには、複数のヘッダ91dを導入できる。
【0016】
図10(B)又は図11を参照すると、信号コンタクト921は、その一方の側面が凹部92cに露出した状態で、ハウジング92hに配置されている。グラウンドコンタクト922は、信号コンタクト921の三方を囲った状態で、ハウジング92hに配置されている。
【0017】
図11を参照して、プラグ91のヘッダ91dをリセプタクル92の凹部92cに導入すると、信号コンタクト911を信号コンタクト921に接触できる。又、プラグ91のヘッダ91dをリセプタクル92の凹部92cに導入すると、グラウンドコンタクト912をグラウンドコンタクト922のウエッブに接触できる。
【0018】
図11(A)を参照すると、プラグ91とリセプタクル92の接続時において、リセプタクル92のグラウンドコンタクトは、プラグ91及びリセプタクル92に設けたベローズ形の信号コンタクト911・921の周囲を部分的に囲っている。
【0019】
又、図11(A)を参照すると、プラグ91とリセプタクル92の接続時において、グラウンドコンタクト912とグラウンドコンタクト922は、互いに接触することで協働して、プラグ91及びリセプタクル92に設けたベローズ形の信号コンタクト911・921の周囲を部分的に囲っている。
【0020】
特許文献1による多極同軸コネクタは、各コネクタの内部に配置された一組のコンタクトを信号用とグラウンド用として使い分け、かつ、信号コンタクトは、グラウンドコンタクトによって囲繞された状態となっているので、特性インピーダンスの整合性が向上し、クロストーク(漏話)の少ない伝送特性の優れたコネクタを得ることができると、している。
【0021】
しかしながら、図11を参照すると、従来技術によるコネクタ9は、一方のグラウンドコンタクト912と他方のグラウンドコンタクト922が一点のみで接触しているので、高周波帯域でのインピーダンス整合が容易でなく、高周波性能を向上させることが困難であるという問題がある。
【0022】
又、図11(A)を参照すると、複数のヘッダ91dの列方向の間隔が狭く、つまり、ハウジング91hに設けた極間壁の隙間が狭いので、グラウンドコンタクト922を板厚方向から導入するのが容易でないという問題がある。
【0023】
高周波帯域でのインピーダンス整合が容易であり、高周波性能を向上させることができ、かつ、一方のコネクタと他方のコネクタの嵌合が容易な多極同軸コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0024】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高周波帯域でのインピーダンス整合が容易であり、高周波性能を向上させることができ、かつ、一方のコネクタと他方のコネクタの嵌合が容易な多極同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者は、ハウジングの内部に並列配置したコンタクト対をベローズ形の信号コンタクトと信号コンタクトの周囲を矩形に囲う筒状のグラウンドコンタクトで構成した疑似同軸構造とし、両コネクタを接続したときには、互いのグラウンドコンタクトの先端部側を多点接触させることで、高周波性能を向上できると考え、これに基づいて、以下のような新たな多極同軸コネクタを発明するに至った。
【0026】
(1)本発明による多極同軸コネクタは、一方のプリント基板に実装した第1コネクタと他方のプリント基板に実装した第2コネクタを電気的に接続し、一方のプリント基板から他方のプリント基板に高速の信号を伝送できる、多極同軸コネクタであって、前記第1コネクタは、板状のヘッダを前面から突出した直方体状の第1ハウジングと、先端部側を前記ヘッダに露出した状態で、前記第1ハウジングの内部に並列配置した板状の第1信号コンタクトと、先端部側に設けた第1接続部を前記ヘッダに露出した状態で、前記第1ハウジングの内部に並列配置していると共に、前記第1信号コンタクトの周囲を矩形に囲う筒状の第1グラウンドコンタクトと、を備え、前記第2コネクタは、前記ヘッダを導入可能に、前面を開口した凹部を有する直方体状の第2ハウジングと、前記第1信号コンタクトと接触できる接触片を前記凹部の内部に突出し、前記第1ハウジングの内部に並列配置したベローズ形の第2信号コンタクトと、前記第1接続部と接触できる第2接続部を先端部側に設け、前記第2ハウジングの内部に並列配置していると共に、前記第2信号コンタクトの周囲を矩形に囲う筒状の第2グラウンドコンタクトと、を備え、前記第1接続部は、前記第1グラウンドコンタクトの両側面から連続して延出した一対の第1接触片と、前記第1グラウンドコンタクトの底面から連続して延出した第2接触片と、を有し、前記第2接続部は、前記第2グラウンドコンタクトの両側面から連続して延出し、前記第1接触片と接触できる一対の第3接触片と、前記第2グラウンドコンタクトの底面から連続して延出し、前記第2接触片と接触できる第4接触片と、を有している。
【0027】
(2)前記第1グラウンドコンタクトは、一方のプリント基板にはんだ接合できる第1リード部を基端部に有し、前記第2グラウンドコンタクトは、他方のプリント基板にはんだ接合できる第2リード部を基端部に有し、前記第1接触片と前記第2接触片との接触点から前記第1リード部に至るグラウンドの第1伝送経路と、前記第1接触片と前記第2接触片との接触点から前記第2リード部に至るグラウンドの第2伝送経路とを、略同じに形成していることが好ましい。
【0028】
(3)前記第1信号コンタクトは、前記第1グラウンドコンタクトの中心部に略同軸状態で配置され、前記第2信号コンタクトは、前記第2グラウンドコンタクトの中心部に略同軸状態で配置されていることが好ましい。
【0029】
(4)前記ヘッダは、位置決め用の一対のガイドピンを両端部に備え、前記凹部は、前記ガイドピンが挿入されるガイド穴を両端部に有し、前記第1グラウンドコンタクトは、前記第2グラウンドコンタクトの先端部側を導入できる第1段差部を先端部側に有し、前記第2グラウンドコンタクトは、前記第1グラウンドコンタクトの先端部側を導入できる第2段差部を先端部側に有し、前記第1コネクタを前記第2コネクタに挿入した状態では、一対の前記第3接触片は、前記ヘッダの先端面に当接困難に回避していることが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明による多極同軸コネクタは、ハウジングの内部に並列配置したコンタクト対をベローズ形の信号コンタクトと信号コンタクトの周囲を矩形に囲う筒状のグラウンドコンタクトで構成した疑似同軸構造とし、両コネクタを接続したときには、互いのグラウンドコンタクトの先端部側を多点接触させることで、高周波性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態による多極同軸コネクタの構成を示す斜視図であり、図1(A)は、第1コネクタと第2コネクタが嵌合した状態図、図1(B)は、第1コネクタと第2コネクタを対向配置した状態図である。
図2】前記実施形態による第1コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図3】前記実施形態による多極同軸コネクタの構成を示す斜視図であり、図3(A)は、第1コネクタと第2コネクタが嵌合した状態を図1(A)と異なる方向から観た図、図3(B)は、第1コネクタと第2コネクタを対向配置した状態を図1(B)と異なる方向から観た図である。
図4】前記実施形態による第2コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図5】前記実施形態による第1コネクタの構成を示す斜視分解組立図であり、図2と異なる方向から観た状態図である。
図6】前記実施形態による多極同軸コネクタに備わるコンタクト対の構成を示す斜視図であり、図6(A)は、一方のコンタクト対と他方のコンタクト対が接続した状態を一方の方向から観た図、図6(B)は、一方のコンタクト対と他方のコンタクト対が接続した状態を他方の方向から観た図である。
図7】前記実施形態による多極同軸コネクタに備わる一方のグラウンドコンタクトと他方のグラウンドコンタクトが接続した状態を示す正面図である。
図8】前記実施形態による第1コネクタと第2コネクタが接続した状態を示す縦断面図である。
図9】従来技術による多極同軸コネクタに備わるコンタクトの構成を示す図であり、図9(A)は、一方のコネクタに配置されたコンタクトの斜視図、図9(B)は、他方のコネクタに配置されたコンタクトの斜視図である。
図10】、従来技術による多極同軸コネクタの構成を示す図であり、図10(A)は、一方のコネクタの斜視図、図10(B)は、他方のコネクタの斜視図である。
図11】一方のコネクタと他方のコネクタが嵌合した状態を示す断面図であり、図11(A)は、横断面図、図11(B)は、縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[多極同軸コネクタの構成]
最初に、本発明の一実施形態による多極同軸コネクタの構成を説明する。
【0033】
(全体構成)
図1から図8を参照すると、本発明の一実施形態による多極同軸コネクタ100は、第1コネクタ(以下、プラグという)10と第2コネクタ(以下、リセプタクルという)20を電気的に接続できる。
【0034】
図8を参照すると、プラグ10は、第1のプリント基板1pに実装されている。リセプタクル20は、第2のプリント基板2pに実装されている。多極同軸コネクタ100は、第1のプリント基板1pから第2のプリント基板2pに高速の信号を伝送できる。
【0035】
図1から図3又は図5から図8を参照すると、プラグ10は、直方体状の第1ハウジング1、複数の板状の第1信号コンタクト3、及び、第1信号コンタクト3と同数の筒状の第1グラウンドコンタクト5を備えている。実施の形態では、プラグ10は、七極の同軸コネクタを示している。
【0036】
図1(B)又は図2及び図3(B)及び図8を参照すると、図1(B)又は図2を参照すると、第1信号コンタクト3は、先端部側をヘッダ1hに露出した状態で、第1ハウジング1の内部に並列配置している。
【0037】
図2又は図5を参照すると、第1グラウンドコンタクト5は、第1接続部5cを先端部側に設けている。図1(B)又は図7を参照すると、第1グラウンドコンタクト5は、第1接続部5cをヘッダ1hに露出した状態で、第1ハウジング1の内部に並列配置している。又、図6又は図8を参照すると、第1グラウンドコンタクト5は、第1信号コンタクト3の周囲を矩形に囲っている。
【0038】
図1又は図3及び図4又は図6から図8を参照すると、リセプタクル20は、直方体状の第2ハウジング2、複数のベローズ形の第2信号コンタクト4、及び、第2信号コンタクト4と同数の筒状の第2グラウンドコンタクト6を備えている。実施の形態では、リセプタクル20は、七極の同軸コネクタを示している。
【0039】
図3(B)又は図4を参照すると、第2ハウジング2は、前面を開口した凹部21を有している。凹部21には、ヘッダ1hを導入できる。図4又は図8を参照すると、第2信号コンタクト4は、接触片4cを凹部21の内部に突出している。接触片4cは、第1信号コンタクト3と接触できる。そして、第2信号コンタクト4は、第2ハウジング2の内部に並列配置している。
【0040】
図4又は図5を参照すると、第2グラウンドコンタクト6は、第2接続部6cを先端部側に設けている。第2接続部6cは、第1接続部5cと接触できる(図7参照)。図1(B)又は図3(B)を参照すると、第2グラウンドコンタクト6は、第2ハウジング2の内部に並列配置している。又、図6又は図8を参照すると、第2グラウンドコンタクト6は、第2信号コンタクト4の周囲を矩形に囲っている。
【0041】
図2又は図5及び図7を参照すると、第1接続部5cは、一対の第1接触片51・51と第2接触片52を有している。一対の第1接触片51・51は、第1グラウンドコンタクト5の両側面から連続して延出している。第2接触片52は、第1グラウンドコンタクト5の底面から連続して延出している。
【0042】
図4又は図6から図8を参照すると、第2接続部6cは、一対の第3接触片61・61と第4接触片62を有している。一対の第3接触片61・61は、第2グラウンドコンタクト6の両側面から連続して延出している。第3接触片61は、第1接触片51と板厚方向に接触できる(図7参照)。
【0043】
図4又は図6から図8を参照すると、第4接触片62は、第2グラウンドコンタクト6の底面から連続して延出している。第4接触片62は、第2接触片52と面方向に接触できる(図7参照)。
【0044】
図1から図8を参照すると、多極同軸コネクタ100は、プラグ10とリセプタクル20を接続したときに、プラグ10に設けた第1グラウンドコンタクト5とリセプタクル20に設けた第2グラウンドコンタクト6が三点接触するので、高周波性能を向上できる。
【0045】
(第1及び第2ハウジングの構成)
次に、実施形態による第1ハウジング1及び第2ハウジング2の構成を説明する。図1から図3又は図5を参照すると、第1ハウジング1は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましい。絶縁性を有する合成樹脂を成形して、直方体状の第1ハウジング1を得ることができる。
【0046】
図1から図3又は図5を参照すると、第1ハウジング1は、一対の補強タブ1t・1tを更に備えている。一対の補強タブ1t・1tは、圧入により第1ハウジング1の両端部に固定できる。一対の補強タブ1t・1tを第1ハウジング1の両端部に固定することで、第1のプリント基板1pとのはんだ接合強度を強化できる(図8参照)。
【0047】
図1又は図3及び図4を参照すると、第2ハウジング2は、絶縁性を有する合成樹脂からなることが好ましい。絶縁性を有する合成樹脂を成形して、直方体状の第2ハウジング2を得ることができる。
【0048】
図1又は図3及び図4を参照すると、第1ハウジング1は、一対の補強タブ2t・2tを更に備えている。一対の補強タブ2t・2tは、圧入により第2ハウジング2の両端部に固定できる。一対の補強タブ2t・2tを第2ハウジング2の両端部に固定することで、第2のプリント基板2pとのはんだ接合強度を強化できる(図8参照)。
【0049】
図1(B)又は図2を参照すると、第1ハウジング1は、位置決め用の一対のガイドピン11p・11pを有している。一対のガイドピン11p・11pは、ヘッダ1hの両端部に形成している。
【0050】
一方、図3(B)又は図4を参照すると、第2ハウジング2は、ガイドピン11pが挿入されるガイド穴21hを有している。一対のガイド穴21h・21hは、凹部21の両端部に形成している。ガイドピン11pがガイド穴21hで案内されることで、第1信号コンタクト3と第2信号コンタクト4を正しく接続でき、第1グラウンドコンタクト5と第2グラウンドコンタクト6を正しく接続できる。
【0051】
(第1及び第2信号コンタクトの構成)
次に、実施形態による第1信号コンタクト3及び第2信号コンタクト4の構成を説明する。図2又は図5及び図8を参照すると、第1信号コンタクト3は、導電性を有する金属板からなることが好ましい。導電性を有する金属性の展開板を成形して、板状の第1信号コンタクト3を得ることができる。
【0052】
図2又は図5及び図8を参照すると、第1信号コンタクト3は、接触片3cとリード片3rを有している。第1信号コンタクト3を第1ハウジング1の後面側から圧入することで、接触片3cをヘッダ1hの上面に露出できる。リード片3rは、第1のプリント基板1pにはんだ接合できる(図8参照)。
【0053】
図4又は図8を参照すると、第2信号コンタクト4は、導電性を有する金属板からなることが好ましい。導電性を有する金属性の展開板を成形して、ベローズ形の第2信号コンタクト4を得ることができる。
【0054】
図4又は図8を参照すると、第2信号コンタクト4は、接触片4cとリード片4rを有している。第2信号コンタクト4を第2ハウジング2の後面側から圧入することで、接触片4cを凹部21の内部に突出できる。リード片4rは、第2のプリント基板2pにはんだ接合できる(図8参照)。
【0055】
(第1及び第2グラウンドコンタクトの構成)
次に、実施形態による第1グラウンドコンタクト5及び第2グラウンドコンタクト6の構成を説明する。図2又は図5及び図7又は図8を参照すると、第1グラウンドコンタクト5は、導電性を有する金属板からなることが好ましい。導電性を有する金属性の展開板を成形して、筒状の第1グラウンドコンタクト5を得ることができる。
【0056】
図2又は図5及び図7を参照すると、第1グラウンドコンタクト5は、筒部5t、第1接続部5c、及び、一対の第1リード部5r・5rを有している。図2又は図5を参照して、第1接続部5cを先頭に、筒部5tを第1ハウジング1の後面側から圧入することで、第2接触片52をヘッダ1hの下面に露出できる(図8参照)。
【0057】
又、図2又は図5を参照して、第1接続部5cを先頭に、筒部5tを第1ハウジング1の後面側から圧入することで、一対の第1接触片51・51の板厚面をヘッダ1hの上面に露出できる(図7参照)。
【0058】
図2又は図5を参照すると、一対の第1リード部5r・5rは、第1グラウンドコンタクト5の基端部に形成している。一対の第1リード部5r・5rは、第1のプリント基板1pにはんだ接合できる(図8参照)。
【0059】
図4又は図7及び図8を参照すると、第2グラウンドコンタクト6は、導電性を有する金属板からなることが好ましい。導電性を有する金属性の展開板を成形して、筒状の第2グラウンドコンタクト6を得ることができる。
【0060】
図4又は図7を参照すると、第2グラウンドコンタクト6は、筒部6t、第2接続部6c、及び、一対の第2リード部6r・6rを有している。図4を参照して、第2接続部6cを先頭に、筒部6tを第2ハウジング2の後面側から圧入することで、第4接触片62を凹部21の内部に突出できる(図8参照)。又、一対の第3接触片61・61を凹部21の内部に突出できる(図7参照)。
【0061】
図4を参照すると、一対の第2リード部6r・6rは、第2グラウンドコンタクト6の基端部に形成している。一対の第2リード部6r・6rは、第2のプリント基板2pにはんだ接合できる(図8参照)。
【0062】
図7を参照すると、第1グラウンドコンタクト5は、第1段差部5dを先端部側に形成している。第1段差部5dには、第2グラウンドコンタクト6の先端部側を導入できる。一方、第2グラウンドコンタクト6は、第2段差部6dを先端部側に形成している。第2段差部6dには、第1グラウンドコンタクト5の先端部側を導入できる。
【0063】
図7又は図8を参照して、プラグ10をリセプタクル20に挿入した状態では、一対の第3接触片61・61は、ヘッダ1hの先端面に当接することなく回避している。
【0064】
[多極同軸コネクタの作用]
次に、実施形態による多極同軸コネクタ100の作用及び効果を説明する。図1から図8を参照すると、多極同軸コネクタ100は、プラグ10とリセプタクル20を接続したときに、プラグ10に設けた第1グラウンドコンタクト5とリセプタクル20に設けた第2グラウンドコンタクト6が三点接触する。
【0065】
図11を参照すると、従来技術によるコネクタ9が、一方のグラウンドコンタクト912と他方のグラウンドコンタクト922が一点のみで接触しているのに対して、実施形態による多極同軸コネクタ100は、第1グラウンドコンタクト5と第2グラウンドコンタクト6が三点接触するので、高周波性能を向上させることができる。
【0066】
又、図7を参照すると、第1グラウンドコンタクト5は、第1接触片51と第3接触片61との接触点Pcから第1リード部5rに至るグラウンドの第1伝送経路1tmを形成している。一方、第2グラウンドコンタクト6は、第1接触片51と第3接触片61との接触点Pcから第2リード部6rに至るグラウンドの第2伝送経路2tmを形成している。
【0067】
図7を参照すると、実施形態による多極同軸コネクタ100は、第1グラウンドコンタクト5の第1伝送経路1tmと第2グラウンドコンタクト6の第2伝送経路2tmを略同じに形成しているので、従来技術によるコネクタ9と比べて、電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)を改善できる。
【0068】
又、図6を参照すると、第1信号コンタクト3は、第1グラウンドコンタクト5の中心部に略同軸状態で配置されている。同様に、第2信号コンタクト4は、第2グラウンドコンタクト6の中心部に略同軸状態で配置されている。従来技術によるグラウンドコンタクトは、信号コンタクトの三方を囲っているのに対し、実施形態によるグラウンドコンタクトは、疑似同軸構造状に、信号コンタクトの周囲を矩形に囲っているので、クロストーク(漏話)の影響を軽減できる。
【0069】
更に、従来技術によるコネクタ9は、ハウジング91hに設けた極間壁の隙間が狭いので、グラウンドコンタクト922を板厚方向から導入するのが容易でないのに対し、実施形態による多極同軸コネクタ100は、プラグ10をリセプタクル20に挿入した状態では、一対の第3接触片61・61は、ヘッダ1hの先端面に当接することなく回避しているので、プラグ10をリセプタクル20の接続が容易であるという効果がある。
【0070】
図7又は図8を参照すると、実施形態による多極同軸コネクタ100は、第1信号コンタクト3と第2信号コンタクト4の接触点と、第1接触片51と第3接触片61との接触点Pcを略同じ仮想線状に配置しているが、これらの接触点の位置が異なることを排除しない。
【符号の説明】
【0071】
1 第1ハウジング
1h ヘッダ
1p 第1のプリント基板
2 第2ハウジング
2p 第2のプリント基板
3 第1信号コンタクト
4 第2信号コンタクト
4c 接触片
5 第1グラウンドコンタクト
5c 第1接続部
6 第2グラウンドコンタクト
6c 第2接続部
10 プラグ(第1コネクタ)
20 リセプタクル(第2コネクタ)
21 凹部
51・51 一対の第1接触片
52 第2接触片
61・61 一対の第3接触片
62 第4接触片
100 多極同軸コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11