(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】用紙処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/28 20060101AFI20230413BHJP
B65H 31/00 20060101ALI20230413BHJP
B65H 31/38 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
B65H31/28
B65H31/00 Z
B65H31/38
(21)【出願番号】P 2019145541
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】脇本 茂
(72)【発明者】
【氏名】岡本 光平
(72)【発明者】
【氏名】大谷 寛知
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-285906(JP,A)
【文献】特開2006-327013(JP,A)
【文献】特開2018-52741(JP,A)
【文献】米国特許第3899165(US,A)
【文献】特開2007-276967(JP,A)
【文献】国際公開第2018/207335(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/025464(WO,A1)
【文献】実開昭55-156966(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
B65H 45/00-45/30
B42B 2/00-9/06
B42C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送路に沿って間欠的に搬送する搬送機構と、
前記搬送路に沿って並設され、それぞれ用紙を処理する複数の処理ユニットと、
前記搬送路の入口、または前記搬送路における最上流側の前記処理ユニットの上流側に配置され、用紙から用紙情報を取得する情報取得ユニットと、
前記搬送機構および前記複数の処理ユニットのそれぞれを制御する制御ユニットと、を備え、
用紙が前記搬送機構によって前記複数の処理ユニット間、または前記情報取得ユニットおよび最下流側の前記処理ユニット間をユニット毎に搬送されるとともに、前記搬送機構の前の搬送動作と次の搬送動作の間の停止中に、前記複数の処理ユニットのそれぞれによる関係する用紙に対する処理動作がなされ、
前記制御ユニットが、
前記処理ユニット毎の処理すべき用紙の前記用紙情報を格納するメモリと、
前記搬送機構の搬送動作のたびに、用紙の搬送元の前記処理ユニットに関係づけられた前記用紙情報が当該用紙の搬送先の前記処理ユニットに関係づけられるように前記メモリのデータ更新を行うメモリ制御部と、
前記複数の処理ユニットのそれぞれによる処理動作が終了するたびに、前記複数の処理ユニットのそれぞれを、次の処理動作のために、前記メモリの前記用紙情報に基づいて動作設定する処理ユニット設定部と、を有するものであることを特徴とする用紙処理装置。
【請求項2】
前記複数の処理ユニットのそれぞれに配置され、関係する前記処理ユニットの範囲内において用紙を検出するセンサーをさらに備え、
前記メモリは、前記用紙処理装置の運転停止中も前記用紙情報を保持するようになっており、
前記制御ユニットが、
前記搬送機構の停止のたびに、前記センサーの検出信号に基づいて前記複数の処理ユニットのそれぞれの範囲内に用紙が存在するか否かを判定する用紙存否判定部をさらに有し、
前記用紙存否判定部によって用紙が不存在であると判定されたときは、該当する前記処理ユニットに関係づけられた前記用紙情報が、前記メモリ制御部によって前記メモリから削除されることを特徴とする請求項1に記載の用紙処理装置。
【請求項3】
前記用紙情報は、用紙の厚さ、または用紙の縦横方向の大きさ、または用紙から形成すべき製品の縦横方向の大きさ、または用紙の材質、または用紙に付された識別コード、またはそれらの2以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の用紙処理装置。
【請求項4】
前記用紙処理装置は、用紙集積装置、および少なくとも1つのクランパを備えた製本装置間に配置され、前記用紙集積装置から受け取った用紙束を前記製本装置の前記少なくとも1つのクランパに供給する用紙束供給装置からなり、
前記複数の処理ユニットは、ジョガー、および前記ジョガーの後段に隣接して配置されたプレスユニットからなっていることを特徴とする請求項1に記載の用紙処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙処理装置に関するものである。
ここで、「用紙」には、用紙のほかに、折丁、用紙の束、折丁の束および本身等も含まれるものとする。以下同様。
【背景技術】
【0002】
従来の用紙処理装置として、例えば、用紙を1枚ずつ供給する給紙機と、給紙機から供給された用紙を所定の折りパターンで折り畳み、折丁を形成する折り機と、折丁を中綴じ折りする中綴じ機と、折り機および中綴じ機間に配置され、折り機から中綴じ機に折丁を搬送する連結ユニットと、給紙機、折り機、中綴じ機および連結ユニットを制御する制御部と、を備えた中綴じ製本装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
折り機は、給紙機から給紙される用紙を給紙方向に直角に2つ折りにするバックル折りユニットと、バックル折りユニットによって2つ折りにされた用紙を、前の折り方向に直角に2つ折りにして折丁を形成するナイフ折りユニットとを有している。
【0004】
中綴じ機は、折丁を所定の折り線に沿って山折り(2つ折り)する折り部と、折り部の下流側に配置され、折り部で2つ折りにされた折丁の折り線の所定位置を針金綴じする綴じ部と、綴じ部の下流側に配置され、針金綴じされた2つ折り状態の折丁を中綴じ機から排出する排出部を有している。
【0005】
綴じ部は、折り部で2つ折りにされた折丁を鞍掛け状態で搬送する搬送機構と、搬送機構の折丁搬送路の綴じ位置に配置され、2つ折りにされた折丁の折り線の所定位置を針金綴じするスティッチャーと、綴じ位置に配置されてスティッチャーから折丁に打ち込まれるべき針金の有無を検知するワイヤ検出センサを有している。
【0006】
排出部は、綴じ部から中綴じ機の出口に至る搬送路を横切ってのびるプレスローラ対と、搬送路に平行にかつ互いに搬送路の幅方向に間隔をあけて配置された一対の搬送ベルト対と、一対の搬送ベルト対の間に配置されたセンターブラシを有している。
そして、針金綴じされた2つ折り状態の折丁が、プレスローラ対間を通過した後、センターブラシに接触しつつ搬送ベルト対間を通過し、中綴じ機の出口から排出される。
【0007】
この中綴じ製本装置においては、運転開始前に、制御部によって、用紙の厚さに基づいて、折り機における用紙の厚さに応じて調節可能なパラメータ(バックル折りユニットのローラ対を構成するローラ間の間隔、およびナイフ折りユニットの一対の折ローラ間の間隔)が設定され、また、中綴じ機における折丁の厚さに応じて調節可能なパラメータ(スティッチャーの針金綴じ動作毎にスティッチャーヘッドに供給される針金の長さ、ワイヤ検出センサの高さ位置、プレスローラ対間の間隔、各搬送ベルト対を構成する搬送ベルト間の間隔、およびセンターブラシの高さ位置)が、用紙の厚さおよび折り機の折りパターンから算出された折丁の厚さの情報に基づいて設定される。
【0008】
そして、制御部によって、給紙機、折り機、連結ユニットおよび中綴じ機の動作が同期せしめられ、中綴じ機の折り部での折丁の2つ折り処理が終了して当該折丁が綴じ部に送られたときに、次の折丁が連結ユニットから折り部に供給されるタイミングで、中綴じ製本装置の連続運転が行われる。
【0009】
また、従来の用紙処理装置として、例えば、製本すべき本身を挟持し、搬送路に沿って往復運動し得る少なくとも1つのクランパと、搬送路に沿って配置された一連の処理ユニット(ミリングユニット、糊付けユニットおよび表紙付けユニット)と、表紙付けユニットに表紙を供給する表紙供給ユニットと、それらのユニットおよび少なくとも1つのクランパを制御する制御ユニットとを備えた製本装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
そして、少なくとも1つのクランパおよび一連の処理ユニットは本身の厚さに応じて調節可能なパラメータを有しており、制御ユニットは、製本開始前に、本身の厚さ情報に基づいてパラメータの設定値を算出し、パラメータの設定値に従って少なくとも1つのクランパおよび一連の処理ユニットを初期設定する。
【0011】
すなわち、従来の用紙処理装置では、処理すべき用紙の種類が変更されるとき、変更前の用紙の処理が完了するまでは製本装置に新たな用紙はセットされず、変更前の用紙の製本完了後に、製本装置が停止せしめられる。次いで、新たな用紙の情報に基づいて製本装置の各パラメータが再設定され、その後、新たな用紙が製本装置にセットされて製本装置の運転が開始される。
【0012】
一方、近年、オン・デマンド印刷の需要の高まりに伴い、1種類の製本物を大量生産する従来方式の製本に代わって、多種類の製本物を小ロットずつ生産する、いわゆるバリアブル製本が広く行われるようになってきている。
【0013】
しかしながら、上述のような従来の用紙処理装置では、処理すべき用紙の種類の変更のたびに、用紙処理装置を停止させ、新たに処理すべき用紙の情報に基づいて用紙処理装置のパラメータの再設定を行わねばならず、そのため、異なる種類の用紙を小ロットずつ処理すると、生産効率が非常に悪くなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】国際公開第2018/207335号パンフレット
【文献】国際公開第2018/025464号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の課題は、異なる種類の用紙を小ロットずつ処理するのに適した用紙処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明によれば、用紙を搬送路に沿って間欠的に搬送する搬送機構と、前記搬送路に沿って並設され、それぞれ用紙を処理する複数の処理ユニットと、前記搬送路の入口、または前記搬送路における最上流側の前記処理ユニットの上流側に配置され、用紙から用紙情報を取得する情報取得ユニットと、前記搬送機構および前記複数の処理ユニットのそれぞれを制御する制御ユニットと、を備え、用紙が前記搬送機構によって前記複数の処理ユニット間、または前記情報取得ユニットおよび最下流側の前記処理ユニット間をユニット毎に搬送されるとともに、前記搬送機構の前の搬送動作と次の搬送動作の間の停止中に、前記複数の処理ユニットのそれぞれによる関係する用紙に対する処理動作がなされ、前記制御ユニットが、前記処理ユニット毎の処理すべき用紙の前記用紙情報を格納するメモリと、前記搬送機構の搬送動作のたびに、用紙の搬送元の前記処理ユニットに関係づけられた前記用紙情報が当該用紙の搬送先の前記処理ユニットに関係づけられるように前記メモリのデータ更新を行うメモリ制御部と、前記複数の処理ユニットのそれぞれによる処理動作が終了するたびに、前記複数の処理ユニットのそれぞれを、次の処理動作のために、前記メモリの前記用紙情報に基づいて動作設定する処理ユニット設定部と、を有するものであることを特徴とする用紙処理装置が提供される。
ここで、「用紙」には、用紙のほかに、折丁、用紙の束、折丁の束および本身等も含まれる。
【0017】
本発明の好ましい実施例によれば、前記複数の処理ユニットのそれぞれに配置され、関係する前記処理ユニットの範囲内において用紙を検出するセンサーをさらに備え、前記メモリは、前記用紙処理装置の運転停止中も前記用紙情報を保持するようになっており、前記制御ユニットが、前記搬送機構の停止のたびに、前記センサーの検出信号に基づいて前記複数の処理ユニットのそれぞれの範囲内に用紙が存在するか否かを判定する用紙存否判定部をさらに有し、前記用紙存否判定部によって用紙が不存在であると判定されたときは、該当する前記処理ユニットに関係づけられた前記用紙情報が、前記メモリ制御部によって前記メモリから削除される。
【0018】
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記用紙情報は、用紙の厚さ、または用紙の縦横方向の大きさ、または用紙から形成すべき製品の縦横方向の大きさ、または用紙の材質、または用紙に付された識別コード、またはそれらの2以上の組み合わせである。
【0019】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記用紙処理装置は、用紙集積装置、および少なくとも1つのクランパを備えた製本装置間に配置され、前記用紙集積装置から受け取った用紙束を前記製本装置の前記少なくとも1つのクランパに供給する用紙束供給装置からなり、前記複数の処理ユニットは、ジョガーおよび前記ジョガーの後段に隣接して配置されたプレスユニットからなっている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、用紙を間欠搬送する搬送機構と、搬送方向に並設された複数の処理ユニットと、最上流側の処理ユニットの上流側に配置され、用紙情報を取得する情報取得ユニットを備え、用紙をユニット毎に搬送し、搬送機構の停止中に各処理ユニットの処理動作を行うようにした。
【0021】
また、処理ユニット毎の処理すべき用紙の用紙情報をメモリに格納し、メモリの用紙情報を、搬送機構の搬送動作のたびに、用紙の搬送元の処理ユニットに関係づけられた用紙情報が用紙の搬送先の処理ユニットに関係づけられるように更新し、さらに、各処理ユニットの処理動作が終了するたびに、次の処理動作のために、各処理ユニットをメモリの用紙情報に基づいて動作設定するようにした。
【0022】
こうして、用紙処理装置の運転中に用紙の種類の変更が可能となり、従来例のように用紙の種類の変更のたびに用紙処理装置を停止させる必要がないので、異なる種類の用紙を小ロットずつ処理する場合の生産効率が従来よりも大幅にアップする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の1実施例による用紙処理装置の模式図である。
【
図2】
図1の用紙処理装置の動作を説明する
図1に類似の図である。
【
図3】
図1の用紙処理装置の動作を説明する
図1に類似の図である。
【
図4】
図1の用紙処理装置の動作を説明する
図3に類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例による用紙処理装置の模式図である。
図1を参照して、この実施例では、用紙処理装置1は、用紙集積装置2および少なくとも1つのクランパ4を備えた製本装置3間に配置されて、用紙集積装置2から用紙束Sを製本装置3の少なくとも1つのクランパ4に供給する用紙束供給装置からなっている。
【0025】
用紙処理装置(用紙束供給装置)1は、用紙集積装置2から供給された用紙束Sを搬送路5に沿って間欠的に搬送する搬送機構6と、搬送路5に沿って並設され、それぞれ用紙束Sを処理する第1の処理ユニット(ジョガー)7および第2の処理ユニット(プレスユニット)8と、搬送路5における第1の処理ユニット7の上流側に配置され、用紙束Sから用紙情報を取得する情報取得ユニット9と、搬送機構6、第1および第2の処理ユニット7、8を制御する制御ユニット10を備えている。
【0026】
この実施例では、断面がL字状の水平なプレート11が、用紙束供給装置1のフレーム(図示されない)に対し、プレート11の内側面が上向きに開き、プレート11の垂直壁11aと水平壁11bが共に傾斜する配置で取り付けられており、搬送路5はプレート11の内側面から形成されている。
【0027】
そして、用紙集積装置2から供給された用紙束Sは、用紙束Sの背がプレート11の傾斜した水平壁11bに接し、用紙束Sの表面または裏面が傾斜した垂直壁11aに接する配置で搬送路5上に置かれる。
【0028】
なお、
図1の用紙束供給ユニットの部分は、用紙束供給ユニットをプレート11の傾斜した垂直壁11aの方向に見た模式的な平面図として描かれている点に留意されたい。
【0029】
搬送機構6は、プレート11の垂直壁11aの両端の裏側において垂直壁11aの幅方向にのびる一対の回転軸6a、6aと、各回転軸に取り付けられたスプロケット6b、6bと、一対のスプロケット6b、6b間に掛け渡されたエンドレスチェイン6cと、エンドレスチェイン6cに取り付けられてエンドレスチェイン6cの長さ方向に等間隔に配置された送り爪6dと、一対の回転軸6a、6aのうちの一方を駆動させる駆動機構(図示されない)とを有している。
【0030】
この場合、プレート11の垂直壁11aには、プレート11の長さ方向にのびるスリット(図示されない)が形成され、搬送機構6の送り爪6dがこのスリットを通って垂直壁11aの表面(搬送路5)に突出するようになっている。
【0031】
また、図面からわかるように、情報取得ユニット9、第1および第2の処理ユニット7、8は、搬送機構6の隣り合う送り爪6d間の間隔に対応する間隔をあけて配置されている。
【0032】
そして、エンドレスチェイン6cが隣り合う送り爪6d間の間隔に対応する距離ずつ間欠的に回転駆動されるとともに、送り爪6dが用紙束Sの天または地を間欠的に押し、それによって、用紙束Sは情報取得ユニット9から第1の処理ユニット7を経て第2の処理ユニット8までユニット毎に間欠搬送される。
【0033】
また、搬送機構6の前の搬送動作と次の搬送動作の間の停止中に、第1および第2の処理ユニット7、8のそれぞれによる関係する用紙束Sに対する処理動作がなされる。第2の処理ユニット8によって処理された用紙束Sは、搬送機構5の次の搬送動作が開始される前、あるいは当該搬送動作と同時に、用紙束受け渡し機構(図示されない)によって第2の処理ユニット8から製本装置2のクランパ3に供給される。
【0034】
情報取得ユニット9は、この実施例では、バーコードまたはQRコード(登録商標)のリーダーからなり、プレート11の傾斜した垂直壁11aの内側面から間隔をあけてかつ内側面に対向して配置されている。一方、各用紙束Sの情報取得ユニット9に対向する面(表面または裏面)には、当該用紙束Sの用紙情報が組み込まれたバーコードまたはQRコードが付されている。
【0035】
こうして、用紙束Sが情報取得ユニット9の範囲内に停止するたびに、情報取得ユニット9によって用紙束Sから用紙情報が取得される。
【0036】
用紙情報は、この実施例では、用紙束Sの厚さ、および用紙束Sの縦横方向の大きさ、および用紙束Sを構成する用紙の材質(コート紙/上質紙の区別等)、および用紙束Sを構成する用紙1枚当たりの厚さからなっている。
【0037】
この実施例では、第1の処理ユニット(ジョガー)7は、用紙束Sを揃える処理を行う。
【0038】
第1の処理ユニット7は、用紙束Sを振動させながら天地方向に揃える突き揃えガイド7aと、突き揃えガイド7aを振動させる振動機構(図示されない)と、用紙束Sに捌き用エアーを吹き付けるエアーノズル(図示されない)を有している。
【0039】
そして、突き揃えガイド7aの位置が用紙束Sの縦横サイズおよび厚さに応じて調節され、突き揃えガイド7aの振動速度が用紙束Sの厚さおよび用紙束Sを構成する用紙の材質および用紙束Sを構成する用紙1枚当たりの厚さに応じて調節され、捌きエアーの風量および風圧が用紙束Sの縦横サイズおよび厚さに応じて調節され、突き揃えの時間と回数が用紙束Sの縦横サイズおよび厚さに応じて調節されるようになっている。
【0040】
また、第2の処理ユニット(プレスユニット)8は、用紙束Sをプレスすることによって用紙束S内の余分な空気を抜き、後段の処理において用紙束Sの揃えられた状態が崩れることを防止する処理を行う。
【0041】
第2の処理ユニット8は、用紙束Sをプレス位置に位置決めするストッパ(図示されない)と、プレス板8aと、プレス板8aを駆動する駆動機構(図示されない)を有している。
【0042】
そして、ストッパの位置が用紙束Sの縦横サイズに応じて調節され、プレス板8aによるプレス圧およびプレス時間が用紙束Sの厚さに応じて調節されるようになっている。
【0043】
制御ユニット10は、処理ユニット7、8毎の処理すべき用紙束Sの用紙情報を格納するメモリ12と、搬送機構6の搬送動作のたびに、用紙束Sの搬送元の処理ユニットに関係づけられた用紙情報が当該用紙の搬送先の処理ユニットに関係づけられるようにメモリ12のデータ更新を行うメモリ制御部13とを有している。
【0044】
メモリ12は、用紙処理装置1の運転停止中も用紙情報を保持するようになっている。
【0045】
制御ユニット10は、また、第1および第2の処理ユニット7、8のそれぞれによる処理動作が終了するたびに、第1および第2の処理ユニット7、8のそれぞれを、次の処理動作のために、メモリ12の用紙情報に基づいて動作設定する処理ユニット設定部14を有している。
【0046】
次に、本発明の用紙処理装置1の動作をより詳細に説明する。
図2および
図3は、
図1の用紙処理装置の動作を説明する
図1に類似の図である。
なお、
図2および
図3中、
図1に示した制御ユニット10は省略されている。また、
図2および
図3中、17は、メモリ12内のデータ配列であり、データ配列17の先頭アドレス(i)には情報取得ユニット9によって取得された用紙情報が格納され、第2番目のアドレス(ii)には第1の処理ユニット7が処理すべき用紙束Sの用紙情報が格納され、第3番目のアドレス(iii)には第2の処理ユニット8が処理すべき用紙束Sの用紙情報が格納される。
【0047】
図2(A)に示すように、用紙処理装置1の搬送機構6の停止中に、用紙集積装置2から第1の用紙束S1が用紙処理装置1の情報取得ユニット9に供給されると、情報取得ユニット9によって、第1の用紙束S1から用紙情報D1が取得され、取得された用紙情報D1はメモリ12内のデータ配列17の先頭アドレス(i)に書き込まれる。
【0048】
次いで、
図2(B)に示すように、搬送機構6が第1回目の搬送動作を行い、第1の用紙束S1が情報取得ユニット9から第1の処理ユニット7に搬送され、その後、搬送機構6が停止する。
【0049】
第1回目の搬送動作の開始と同時に、用紙情報D1は、データ配列17の先頭アドレス(i)から削除されて第2番目のアドレス(ii)に書き込まれる。
【0050】
また、第1回目の搬送動作の開始前または第1回目の搬送動作の間に、第1の処理ユニット7の調整すべきパラメータがデータ配列17に格納された用紙情報D1に基づいて設定される。
その後、第1の処理ユニット7が第1回目の処理動作を行い、第1の用紙束S1が処理される。
【0051】
さらに、用紙集積装置2から第2の用紙束S2が情報取得ユニット9に供給され、情報取得ユニット9によって、第2の用紙束S2から用紙情報D2が取得され、取得された用紙情報D2はデータ配列17の先頭アドレス(i)に書き込まれる。
【0052】
次に、
図3(A)に示すように、搬送機構6が第2回目の搬送動作を行い、第1の用紙束S1が第1の処理ユニット7から第2の処理ユニット8に搬送されるとともに、第2の用紙束S2が情報取得ユニット9から第1の処理ユニット7に搬送され、その後、搬送機構6が停止する。
【0053】
第2回目の搬送動作の開始と同時に、用紙情報D1が、データ配列17の第2番目のアドレス(ii)から削除されて第3番目のアドレス(iii)に書き込まれるとともに、用紙情報D2が、データ配列17の先頭アドレス(i)から削除されて第2番目のアドレス(ii)に書き込まれる。
【0054】
また、第1の処理ユニット7による第1回目の処理動作の後、第1および第2の処理ユニット7、8の調整すべきパラメータがそれぞれデータ配列17に格納された用紙情報D2およびD1に基づいて設定される。
【0055】
そして、搬送機構6の停止の間に、第2の処理ユニット7が第1回目の処理動作を行って第1の用紙束S1が処理されるとともに、第1の処理ユニット7が第2回目の処理動作を行って第2の用紙束S2が処理される。
【0056】
さらに、用紙集積装置2から第3の用紙束S3が情報取得ユニット9に供給され、情報取得ユニット9によって、第3の用紙束S3から用紙情報D3が取得され、取得された用紙情報D3はデータ配列17の先頭アドレス(i)に書き込まれる。
【0057】
次に、
図3(B)に示すように、第2の処理ユニット8によって処理された第1の用紙束S1が、用紙束受け渡し機構によって製本装置2のクランパ3に供給された後、搬送機構6が第3回目の搬送動作を行い、第2の用紙束S2が第1の処理ユニット7から第2の処理ユニット8に搬送されるとともに、第3の用紙束S3が情報取得ユニット9から第1の処理ユニット7に搬送され、その後、搬送機構6が停止する。
【0058】
第3回目の搬送動作の開始と同時に、用紙情報D1が、データ配列17の第3番目のアドレス(iii)から削除され、用紙情報D2が、データ配列17の第2番目のアドレス(ii)から削除されて第3番目のアドレス(iii)に書き込まれるとともに、用紙情報D3が、データ配列17の先頭アドレス(i)から削除されて第2番目のアドレス(ii)に書き込まれる。
【0059】
なお、データ配列17の第3番目のアドレス(iii)から削除された用紙情報D1が後段の装置において必要な場合には、用紙情報D1は後段の装置の制御部に送られる。
【0060】
また、第1の処理ユニット7の第2回目の処理動作および第2の処理ユニット8の第1回目の処理動作の後、第1および第2の処理ユニット7、8の調整すべきパラメータがそれぞれデータ配列17に格納された用紙情報D3およびD2に基づいて設定される。
【0061】
そして、搬送機構6の停止の間に、第2の処理ユニット7が第2回目の処理動作を行って第2の用紙束S2が処理され、第1の処理ユニット7が第3回目の処理動作を行って第3の用紙束S3が処理される。
【0062】
さらに、用紙集積装置2から第4の用紙束S4が情報取得ユニット9に供給され、情報取得ユニット9によって、第4の用紙束S4から用紙情報D4が取得され、取得された用紙情報D4はデータ配列17の先頭アドレス(i)に書き込まれる。
【0063】
上記の動作が用紙処理装置1の運転中繰り返される。
【0064】
こうして、本発明の用紙処理装置によれば、従来のように用紙束Sの種類の変更のたびに用紙処理装置1を停止させることなく、用紙処理装置1の運転中に用紙束Sの種類を変更することができ、それによって、異なる種類の用紙束Sを小ロットずつ処理する場合の生産効率が従来よりも大幅にアップする。
【0065】
本発明の用紙処理装置1は、さらに、第1および第2の処理ユニット7、8のそれぞれに配置され、関係する処理ユニット7、8の範囲内において用紙束Sを検出するセンサー15を備えている。
【0066】
センサー15は、この実施例では、反射型光学センサーからなっている。そして、センサー15は、関係する処理ユニット7、8の範囲内のプレート11の垂直壁11aの裏側において垂直壁11aに対向して配置され、垂直壁11aにおけるセンサー15の検出エリアと重なる領域に検出窓(図示されない)が形成されている。
【0067】
また、制御ユニット10は、搬送機構6の停止のたびに、センサー15の検出信号に基づいて第1および第2の処理ユニット7、8のそれぞれの範囲内に用紙束Sが存在するか否かを判定する用紙存否判定部16を有している。
【0068】
そして、用紙存否判定部16によって用紙束Sが不存在であると判定されたときは、該当する処理ユニット7、8に関係づけられた用紙情報が、メモリ制御部13によってメモリ12から削除される。
【0069】
これを、図面を用いて具体的に説明する。
図4は、
図3(B)に示した状況において、用紙処理装置1の運転が停止せしめられ(エラーによる自動停止または作業者による強制停止)、問題が生じた第1の処理ユニット(ジョガー)7の第3の用紙束S3が取り除かれた場合を示している。
【0070】
この場合、用紙存否判定部16によって第1の処理ユニット7の範囲内の用紙束S3が不存在であると判定され、第1の処理ユニット(ジョガー)7に関係づけられた用紙情報D3がメモリ制御部13によってデータ配列17の第2番目のアドレス(ii)から削除される。一方、データ配列17の残りのアドレス(第1番目および第3番目のアドレス)の用紙情報D4、D2は保持される。
【0071】
こうして、用紙処理装置1の運転がエラーによって自動停止し、あるいは作業者により強制的に停止せしめられ、問題が生じた処理ユニット7、8の用紙束Sが取り除かれた場合でも、用紙処理装置1の残りの処理ユニット7、8の範囲内に位置する用紙束Sは取り除くことなく、そのままで用紙処理装置1の運転を再開でき、生産効率の低下を防止することができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明の構成は上記実施例に限定されるものではなく、当業者が本願に添付の特許請求の範囲に記載した構成の範囲内で種々の変形例を案出し得ることは言うまでもない。
【0073】
例えば、上記実施例では、情報取得ユニットが搬送路における最上流側の処理ユニットの上流側に配置され、用紙束は搬送機構によって情報取得ユニットから最下流側の処理ユニットに向けてユニット毎に間欠搬送されるが、情報取得ユニットが搬送路の入口に配置され、用紙束が搬送機構によって処理ユニット間をユニット毎に間欠搬送される構成とすることもできる。
【0074】
また、例えば、上記実施例では、用紙処理装置が用紙束供給装置からなっているが、用紙処理装置の構成は、上記実施例に限定されず、用紙処理装置は、用紙を間欠搬送する搬送機構と、搬送方向に並設された複数の処理ユニットと、搬送路の入口または搬送路における最上流側の処理ユニットの上流側に配置された情報取得ユニットを備え、用紙が複数の処理ユニット間または情報取得ユニットおよび最下流側の処理ユニット間をユニット毎に搬送されるとともに、搬送機構の前の搬送動作と次の搬送動作の間の停止中に、各処理ユニットの関係する用紙に対する処理動作がなされ、制御ユニットが、処理ユニット毎の処理すべき用紙の用紙情報を格納するメモリと、搬送機構の搬送動作のたびに、メモリに格納された用紙情報を、用紙の搬送元の処理ユニットに関係づけられた用紙情報が用紙の搬送先の処理ユニットに関係づけられるように更新するメモリ制御部と、各処理ユニットによる処理動作が終了するたびに、各処理ユニットを、次の処理動作のために、メモリの用紙情報に基づいて動作設定する処理ユニット設定部を備えてさえおれば、任意の構成であってよく、組み合わせられる処理ユニットの種類や台数も適当に設定され得る。
【0075】
また、情報取得ユニットによって用紙から取得される用紙情報もまた上記実施例に限定されず、用紙情報は、用紙処理装置の処理ユニット毎の処理すべき用紙に関して調整すべきパラメータを設定するのに必要な情報の全てを含んでおればよい。
【符号の説明】
【0076】
1 用紙処理装置(用紙束供給装置)
2 用紙集積装置
3 製本装置
4 クランパ
5 搬送路
6 搬送機構
6a 回転軸
6b スプロケット
6c エンドレスチェイン
6d 送り爪
7 第1の処理ユニット(ジョガー)
7a 突き揃えガイド
8 第2の処理ユニット(プレスユニット)
8a プレス板
9 情報取得ユニット
10 制御ユニット
11 プレート
11a 垂直壁
11b 水平壁
12 メモリ
13 メモリ制御部
14 処理ユニット設定部
15 センサー
16 用紙存否判定部
17 データ配列