(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】選定装置および選定方法
(51)【国際特許分類】
G06T 5/30 20060101AFI20230413BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20230413BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
G06T5/30
G06K7/10 456
G06T1/00 500A
(21)【出願番号】P 2021133992
(22)【出願日】2021-08-19
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】391062872
【氏名又は名称】株式会社オプトエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板本 周平
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 5/00- 5/50
G06K 7/10- 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象に対して実行されるフィルタ処理の設定条件を選定する選定装置であって、
少なくとも2種類のフィルタ処理における全ての設定条件の組み合わせの中から選択された複数の組み合わせのそれぞれで前記読取対象を読取可能であるか否かについて判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて前記フィルタ処理の設定条件を選定する選定部と、
を備える選定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記2種類のフィルタ処理の各設定条件を変数とする2次元座標系において、前記複数の組み合わせに係る点のそれぞれが所定距離以上、離間するように前記複数の組み合わせを選択する、
請求項1に記載の選定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記2次元座標系で、前記複数の組み合わせに係る点が正方形状に分布するように前記複数の組み合わせを選択する、
請求項2に記載の選定装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記複数の組み合わせのそれぞれで前記読取対象を読取可能であるか否かについて判定する第1判定処理と、
前記第1判定処理において読取可能と判定した組み合わせとは異なる組み合わせに係る点を前記2次元座標系で選択し、選択した点に係る組み合わせに基づいて、前記読取対象を読取可能であるか否かについて判定する第2判定処理と、
を行い、
前記選定部は、前記第1判定処理および前記第2判定処理の結果に基づいて前記フィルタ処理の設定条件を選定する、
請求項2または請求項3に記載の選定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1判定処理および前記第2判定処理において読取可能と判定した組み合わせとは異なる組み合わせに基づいて、前記読取対象を読取可能であるか否かについて判定する第3判定処理を、前記第1判定処理および前記第2判定処理の後、行うことが可能であり、
前記選定部により、前記第1判定処理および前記第2判定処理の結果に基づく前記フィルタ処理の設定条件が選定されなかった場合、前記選定部により前記フィルタ処理の設定条件が選定されるまで、前記第3判定処理を繰り返し行う、
請求項4に記載の選定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記第1判定処理で前記読取対象を読取可能な組み合わせが1つであると判定した場合、前記第2判定処理において、前記2次元座標系における前記1つに係る点を取り囲む点の中から、前記異なる組み合わせを選択する、
請求項4または請求項5に記載の選定装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記第1判定処理で前記読取対象を読取可能な組み合わせが2つであると判定した場合、前記第2判定処理において、前記2次元座標系における前記2つに係る2点の中間点を取り囲む点の中から、前記異なる組み合わせを選択する、
請求項4または請求項5に記載の選定装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記第1判定処理で前記読取対象を読取可能な組み合わせがない場合、前記2次元座標系において、前記複数の組み合わせに係る点とは別の点を選択し、前記第1判定処理を繰り返し行う、
請求項4~7の何れか1項に記載の選定装置。
【請求項9】
読取対象に対して実行されるフィルタ処理の設定条件を選定する選定方法であって、
少なくとも2種類のフィルタ処理における全ての設定条件の組み合わせの中から選択された複数の組み合わせのそれぞれで前記読取対象を読取可能であるか否かについて判定し、
判定結果に基づいて前記フィルタ処理の設定条件を選定する選定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選定装置および選定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1次元コードや2次元コード等のコードを撮像し、撮像した画像(読取対象)をデコードすることにより、読取対象の読取を行う読取装置が知られている。このような読取装置においては、読取対象の読取を複数回行って、読取結果を比較することにより、最適な撮像条件を設定することが可能な装置が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、フィルタ条件テーブルに記載された、複数種類のフィルタ処理の組み合わせに係る複数の設定条件のそれぞれで撮像処理を行い、最適な撮像条件を設定する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数種類のフィルタ処理のそれぞれには、複数段階の強度レベルが存在するため、特許文献1に記載のフィルタ条件テーブルに記載される設定条件の数が多くなる。そのため、全ての設定条件について撮像処理を行う回数が増大し、最適な撮像条件(設定条件)を設定するまでに時間がかかるという問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、フィルタ処理の最適な設定条件を効率よく選定することが可能な選定装置および選定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る選定装置は、
読取対象に対して実行されるフィルタ処理の設定条件を選定する選定装置であって、
少なくとも2種類のフィルタ処理における全ての設定条件の組み合わせの中から選択された複数の組み合わせのそれぞれで前記読取対象を読取可能であるか否かについて判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて前記フィルタ処理の設定条件を選定する選定部と、
を備える。
【0008】
本発明に係る選定方法は、
読取対象に対して実行されるフィルタ処理の設定条件を選定する選定方法であって、
少なくとも2種類のフィルタ処理における全ての設定条件の組み合わせの中から選択された複数の組み合わせのそれぞれで前記読取対象を読取可能であるか否かについて判定し、
判定結果に基づいて前記フィルタ処理の設定条件を選定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フィルタ処理の最適な設定条件を効率よく選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る選定装置が適用された選定システムを示すブロック図である。
【
図3】第1判定処理において選択された4つの点の一例を示す図である。
【
図4】第2判定処理において選択された4つの点の一例を示す図である。
【
図5】選定部における設定条件の選定方法について説明するための図である。
【
図6】第2判定処理において選択された4つの点の一例を示す図である。
【
図7】第2判定処理において選択された4つの点の一例を示す図である。
【
図8】第1判定処理の4つの点が読取不能である場合の対応例について説明するための図である。
【
図9】第1判定処理の4つの点が読取不能である場合の対応例について説明するための図である。
【
図10】選定装置における選定制御の動作例の一例を示すフローチャートである。
【
図11】選定装置における選定制御の動作例の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る選定装置100が適用された選定システム1を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、選定システム1は、例えばバーコード等の読取対象を読み取るためのコードリーダであり、読取対象に対して実行されるフィルタ処理の設定条件を選定することが可能なシステムである。選定システム1は、読取装置10と、選定装置100とを有する。
【0013】
読取装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および入出力回路を備えており、読取対象を撮像して、撮像した読取対象をデコードして読み取る装置である。読取装置10は、撮像部11と、撮像制御部12と、フィルタ処理部13と、デコード制御部14と、通信部15とを有する。
【0014】
撮像部11は、読取対象を撮像するための撮像装置(例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ)である。
【0015】
撮像制御部12は、撮像部11における、露光時間、白黒反転、左右反転、エリア指定等の種々の撮像条件を制御する。撮像部11は、撮像制御部12により制御された撮像条件によって読取対象を撮像する。撮像部11により撮像された画像のデータは、フィルタ処理部13によりフィルタ処理を施されて、図示しない記憶部等に一時的に保持される。
【0016】
フィルタ処理部13は、撮像部11により撮像された画像(読取対象)に対してフィルタ処理を実行する。フィルタ処理が実行されることにより、読取装置10における読取条件(撮像条件)が最適化される。フィルタ処理部13は、少なくとも2種類以上のフィルタ処理を実行する。各フィルタ処理には、複数段階の強度レベルが存在しており、後述する選定装置100によって、その設定条件が選定される。
【0017】
また、フィルタ処理の種類としては、例えば、膨張処理、収縮処理等が挙げられる。本実施の形態では、フィルタ処理部13が膨張処理および収縮処理の2種類のフィルタ処理を実行するものとするが、膨張処理および収縮処理と、その他のフィルタ処理とを含む3種類以上のフィルタ処理を実行するものであっても良い。
【0018】
デコード制御部14は、記憶部等に保持された画像のデータを読み出し、所定のデコード条件に基づいて、当該画像からバーコードをデコードする。デコード制御部14により、デコードされたバーコードの情報は、通信部15を介して外部の装置に送信される。
【0019】
選定装置100は、図示しないCPU、ROM、RAMおよび入出力回路を備えており、上記のフィルタ処理部13によるフィルタ処理の設定条件を選定する装置である。選定装置100は、読取装置10の外部の装置(例えば、PC(Personal Computer)等)であっても良いし、読取装置10内に設けられていても良い。選定装置100は、判定部110と、選定部120とを有する。
【0020】
判定部110は、デコード制御部14により、デコードされた読取対象を読取可能であるか否かについて判定する。より詳細には、判定部110は、2種類のフィルタ処理における全ての設定条件の組み合わせの中から選択された4つ(複数)の組み合わせのそれぞれで読取対象を読取可能であるか否かについて判定する。
【0021】
具体的には、判定部110は、
図2に示すように、2種類のフィルタ処理の各設定条件を変数とする2次元座標系を生成する。
図2に示す2次元座標系は、横軸の変数を膨張処理の強度レベルとし、縦軸の変数を収縮処理の強度レベルとするものである。各強度レベルは、一例として、0~9の範囲で示されており、全ての設定条件の組み合わせは81個となる。
【0022】
図3に示すように、判定部110は、その2次元座標系において、上記の4つの組み合わせに係る点のそれぞれが所定距離以上、離間するように4つの組み合わせを選択する。
【0023】
4つの組み合わせとしては、例えば、2次元座標系で、各組み合わせに係る点が正方形状に分布するような組み合わせが挙げられる。つまり、判定部110は、2次元座標系で、4つの組み合わせに係る点が正方形状に分布するように4つの組み合わせを選択する。本実施の形態では、C1,C2,C3,C4の4つの点を、4つの組み合わせとして例示されている。
【0024】
C1は、膨張処理の強度レベルが3であり、収縮処理の強度レベルが3である点である。C2は、膨張処理の強度レベルが7であり、収縮処理の強度レベルが3である点である。C3は、膨張処理の強度レベルが3であり、収縮処理の強度レベルが7である点である。C4は、膨張処理の強度レベルが7であり、収縮処理の強度レベルが7である点である。C1,C2,C3,C4が構成する正方形の1辺の長さ、つまり、所定距離(隣り合う2点の強度レベル差)は、4となる。
【0025】
判定部110は、4つの組み合わせのそれぞれの設定条件において、読取対象を読取可能であるか否かについて判定する第1判定処理を行う。
【0026】
判定部110は、上記の第1判定処理において、読取対象を読取可能であると判定した組み合わせに基づいて第2判定処理を行う。
【0027】
この第2判定処理において、判定部110は、第1判定処理にて読取可能と判定した組み合わせとは異なる組み合わせに係る点を2次元座標系で選択する。そして、判定部110は、選択した点に係る組み合わせに基づいて、読取対象を読取可能であるか否かについて判定する。
【0028】
例えば、判定部110は、第1判定処理で、読取対象を読取可能である組み合わせが1つであると判定した場合、第2判定処理において、2次元座標系における当該1つに係る点を取り囲む点の中から、第1判定処理の組み合わせとは異なる組み合わせを選択する。
【0029】
例えば、
図4に示すように、4つの点のうち、C3のみが判定部110により読取可能であると判定されたとする。この場合、判定部110は、C3を取り囲む8点の中から複数の点を選択する。例えば、判定部110は、D1,D2,D3,D4の4点を選択する。なお、
図4以降の図においては、黒で示される点が読取不能と判定された設定条件である。
【0030】
D1は、C3の左斜め上の点であり、膨張処理の強度レベルが2であり、収縮処理の強度レベルが8である点である。D2は、C3の左斜め下の点であり、膨張処理の強度レベルが2であり、収縮処理の強度レベルが6である点である。D3は、C3の右斜め下の点であり、膨張処理の強度レベルが4であり、収縮処理の強度レベルが6である点である。D4は、C3の右斜め上の点であり、膨張処理の強度レベルが4であり、収縮処理の強度レベルが8である点である。
【0031】
判定部110は、選択したD1,D2,D3,D4の4点の組み合わせのそれぞれで読取対象を読取可能であるか否かについて判定する。
【0032】
選定部120は、判定部110の判定結果、つまり、第1判定処理および第2判定処理の結果に基づいてフィルタ処理の設定条件を選定する。具体的には、
図5に示すように、選定部120は、第2判定処理における判定対象のD1,D2,D3,D4の4点のうち、読取対象となった点の数に応じて、フィルタ処理の設定条件を選定する。
【0033】
例えば、D1,D2,D3,D4の4点の全てが読取可能であると判定された場合、選定部120は、D1,D2,D3,D4の中心点であるC3に係る組み合わせをフィルタ処理の設定条件として選定する(
図5に示す上段の最も左側)。
【0034】
また、D1,D2,D3,D4のうち、2点のみが読取可能であると判定された場合、選定部120は、2点の中心点に係る組み合わせをフィルタ処理の設定条件として選定する。
【0035】
例えば、D1,D4の2点が読取可能である場合、D1,D4の中心点であるD5がフィルタ処理の設定条件として選定される(
図5に示す上段の左から2番目)。また、D2,D3の2点が読取可能である場合、D2,D3の中心点であるD6がフィルタ処理の設定条件として選定される(
図5に示す上段の真ん中)。
【0036】
また、D3,D4の2点が読取可能である場合、D3,D4の中心点であるD7がフィルタ処理の設定条件として選定される(
図5に示す上段の右から2番目)。また、D1,D2の2点が読取可能である場合、D1,D2の中心点であるD8がフィルタ処理の設定条件として選定される(
図5に示す上段の最も右側)。
【0037】
また、D1,D2,D3,D4のうち、1点のみが読取可能であると判定された場合、選定部120は、当該1点に係る組み合わせをフィルタ処理の設定条件として選定する(
図5に示す下段)。
【0038】
また、判定部110は、第1判定処理で読取対象を読取可能である組み合わせが2つであると判定した場合、2次元座標系における当該2つに係る2点の中間点を取り囲む点の中から、第1判定処理の組み合わせとは異なる組み合わせを選択する。
【0039】
例えば、
図6に示すように、4つの点のうち、C1,C3が判定部110により読取可能であると判定されたとする。この場合、判定部110は、C1,C3の中間点であるC5を取り囲む8点の中から複数の点を選択する。C5は、膨張処理の強度レベルが3であり、収縮処理の強度レベルが5である点である。例えば、判定部110は、E1,E2,E3,E4の4点を選択する。
【0040】
E1は、C5の左斜め上の点であり、膨張処理の強度レベルが2であり、収縮処理の強度レベルが6である点である。E2は、C5の左斜め下の点であり、膨張処理の強度レベルが2であり、収縮処理の強度レベルが4である点である。E3は、C5の右斜め下の点であり、膨張処理の強度レベルが4であり、収縮処理の強度レベルが4である点である。E4は、C5の右斜め上の点であり、膨張処理の強度レベルが4であり、収縮処理の強度レベルが6である点である。
【0041】
判定部110は、選択したE1,E2,E3,E4の4点の組み合わせのそれぞれで読取対象を読取可能であるか否かについて判定する。
【0042】
選定部120による設定条件の選定は、上記のD1,D2,D3,D4の場合と同様の方法で行われる。
【0043】
また、判定部110は、第1判定処理において、読取対象を読取可能である組み合わせが3つ以上であると判定した場合、2次元座標系における4点C1,C2,C3,C4の中心点であるC6を取り囲む8点の中から、複数の点を選択する。
【0044】
例えば、
図7に示すように、4つの点のうち、C1,C2,C3が判定部110により読取可能であると判定されたとする。判定部110は、F1,F2,F3,F4の4点を選択する。
【0045】
F1は、C6の左斜め上の点であり、膨張処理の強度レベルが4であり、収縮処理の強度レベルが6である点である。F2は、C6の左斜め下の点であり、膨張処理の強度レベルが4であり、収縮処理の強度レベルが4である点である。F3は、C6の右斜め下の点であり、膨張処理の強度レベルが6であり、収縮処理の強度レベルが4である点である。F4は、C6の右斜め上の点であり、膨張処理の強度レベルが6であり、収縮処理の強度レベルが6である点である。
【0046】
判定部110は、選択したF1,F2,F3,F4の4点の組み合わせのそれぞれで読取対象を読取可能であるか否かについて判定する。
【0047】
選定部120による設定条件の選定は、上記のD1,D2,D3,D4の場合と同様の方法で行われる。
【0048】
また、判定部110は、第1判定処理で読取対象を読取可能である組み合わせがない場合、2次元座標系において、複数の組み合わせに係る点とは別の点を選択し、第1判定処理を繰り返し行うようにしても良い。
【0049】
例えば、
図8に示すように、判定部110は、2次元座標系において4点C1,C2,C3,C4の中心点であるC6を選択し、読取対象を読取可能であるか否かについて判定する。
【0050】
判定部110は、C6の設定条件で読取対象を読取可能であると判定した場合、例えば、
図7に示す方法と同様に、C6を取り囲む8点の中から、複数の点(例えば、F1,F2,F3,F4)を選択して、選択した複数の点に係る組み合わせのそれぞれで読取対象を読取可能であるか否かについて判定する。
【0051】
また、判定部110は、C6の設定条件で読取対象を読取可能ではないと判定した場合、4点C1,C2,C3,C4とは異なる複数の点を選択して、当該複数の点のそれぞれで読取対象を読取可能であるか否かについて判定する。例えば、
図9に示すように、判定部110は、異なる複数の点として、C7,C8,C9,C10を選択しても良い。
【0052】
C7は、膨張処理の強度レベルが2であり、収縮処理の強度レベルが2である点である。C8は、膨張処理の強度レベルが8であり、収縮処理の強度レベルが2である点である。C9は、膨張処理の強度レベルが2であり、収縮処理の強度レベルが8である点である。C10は、膨張処理の強度レベルが8であり、収縮処理の強度レベルが8である点である。C7,C8,C9,C10が構成する正方形の1辺の長さ、つまり、所定距離(隣り合う2点の強度レベル差)は、6となる。
【0053】
なお、判定部110は、中心点であるC6における判定処理を行わずに、C7,C8,C9,C10の4点のそれぞれで第1判定処理を繰り返し行うようにしても良い。
【0054】
次に、選定装置100における選定制御を実行するときの動作例について説明する。
図10および
図11は、選定装置100における選定制御の動作例の一例を示すフローチャートである。
図10および
図11における処理は、例えば、読取装置10の撮像部11により読取対象の画像データが選定装置100に送信された際に適宜実行される。
【0055】
図10に示すように、選定装置100は、第1判定処理の、2次元座標系における4つの点を選択する(ステップS101)。4つの点を選択後、選定装置100は、第1判定処理を開始する(ステップS102)。
【0056】
次に、選定装置100は、4つの設定条件での判定が終了したか否かについて判定する(ステップS103)。判定の結果、4つの設定条件での判定が終了していない場合(ステップS103、NO)、ステップS103の処理が繰り返される。
【0057】
一方、4つの設定条件での判定が終了した場合(ステップS103、YES)、選定装置100は、4つの設定条件において、読取対象を読取可能な設定条件があるか否かについて判定する(ステップS104)。
【0058】
判定の結果、読取可能な設定条件がない場合(ステップS104、NO)、選定装置100は、4つの点の中心点の判定が終了したか否かについて判定する(ステップS105)。
【0059】
判定の結果、中心点の判定が終了していない場合(ステップS105、NO)、選定装置100は、中心点の設定条件の判定処理を開始する(ステップS106)。設定条件の判定処理が終了後、選定装置100は、中心点の設定条件が読取可能であるか否かについて判定する(ステップS107)。
【0060】
判定の結果、中心点の設定条件が読取可能である場合(ステップS107、YES)、処理はステップS110に遷移する。一方、中心点の設定条件が読取不能である場合(ステップS107、NO)、処理はステップS101に戻る。
【0061】
ステップS105の判定に戻り、中心点の判定が終了している場合(ステップS105、YES)、
図11に示すように、選定装置100は、選択可能な点があるか否かについて判定する(ステップS108)。
【0062】
判定の結果、選択可能な点がある場合(ステップS108、YES)、処理はステップS101に戻る。一方、選択可能な点がない場合(ステップS108、NO)、選定装置100は、選定可能な設定条件なしとして(ステップS109)、本制御は終了する。なお、ステップS109においては、例えば、読取対象を読み込めない旨や、読取対象を再度撮像する旨を報知するようにしても良い。
【0063】
図10におけるステップS104の判定に戻り、読取可能な設定条件がある場合(ステップS104、YES)、
図11に示すように、選定装置100は、第2判定処理の4つの点を選択する(ステップS110)。4つの点を選択後、選定装置100は、第2判定処理を開始する(ステップS111)。
【0064】
次に、選定装置100は、4つの設定条件での判定が終了したか否かについて判定する(ステップS112)。判定の結果、4つの設定条件での判定が終了していない場合(ステップS112、NO)、ステップS112の処理が繰り返される。
【0065】
一方、4つの設定条件での判定が終了した場合(ステップS112、YES)、選定装置100は、設定条件を選定する(ステップS113)。その後、本制御は終了する。
【0066】
以上のように構成された本実施の形態によれば、2種類のフィルタ処理における全ての設定条件の組み合わせの中から選択された複数の組み合わせのそれぞれで読取対象を読取可能であるか否かの判定し、その判定結果に基づいて、フィルタ処理の設定条件を選定する。
【0067】
これにより、全ての設定条件の組み合わせで読取対象を読取可能であるか否かを判定する構成と比較して、フィルタ処理の最適な設定条件を効率よく選定することができる。
【0068】
また、2次元座標系で、それぞれが所定距離以上、離間する複数の組み合わせを選択して、判定処理を行うので、2次元座標系内で、最適な設定条件の領域を絞りやすくすることができる。
【0069】
また、2次元座標系で正方形状に分布する複数の組み合わせに係る点が選択されるので、2次元座標系である程度離間した4点を効果的に選択することができる。
【0070】
ところで、全ての設定条件の組み合わせで読取を行うと81回の読取を行う必要が生じるが、本実施の形態では、第1判定処理で、4回の読取を行い、第2判定処理で4回の読取を行うため、最短で8回の読取により、最適な設定条件を選定することができる。すなわち、本実施の形態では、第1判定処理および第2判定処理を行うことで、最適な設定条件をさらに絞りやすくすることができ、ひいてはフィルタ処理の最適な設定条件を効率よく選定することができる。
【0071】
なお、上記実施の形態では、2次元座標系で正方形状に分布する複数の組み合わせが選択されたが、本発明はこれに限定されず、2次元座標系で正方形状に分布しない複数の組み合わせが選択されても良い。
【0072】
また、上記実施の形態では、選定部120が第1判定処理および第2判定処理の結果に基づいてフィルタ処理の設定条件を選定していたが、本発明はこれに限定されない。例えば第1判定処理の結果で読取可能と判定された組み合わせをフィルタ処理の設定条件として選定しても良い。
【0073】
また、上記実施の形態では、判定部110が第1判定処理および第2判定処理を行っていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、第1判定処理および第2判定処理の後、第3判定処理を行っても良い。
【0074】
第3判定処理は、第1判定処理および第2判定処理において読取可能と判定した組み合わせとは異なる組み合わせに係る点を2次元座標系で選択し、選択した点に係る組み合わせに基づいて、読取対象を読取可能であるか否かについて判定する処理である。
【0075】
第3判定処理で選択される点は、第2判定処理で読取可能と判定された点に基づく点である。第3判定処理における点の選択方法は、例えば第2判定処理における点の選択方法と同様の方法であっても良いし、別の方法であっても良い。
【0076】
判定部110は、選定部120により第1判定処理および第2判定処理の結果に基づいてフィルタ処理の設定条件が選定されなかった場合、第3判定処理を行う。選定部120によりフィルタ処理の設定条件が選定されなかった場合とは、例えば、判定処理に基づく設定条件が、所定の基準(任意に設定可能)に満たない場合や、2次元座標系で選択可能な点の領域がまだ存在する場合等、が挙げられる。
【0077】
そして、選定部120は、第3判定処理の結果に基づいてフィルタ処理の設定条件を選定する。
【0078】
このようにすることで、2次元座標系内で最適な設定条件の領域をさらに絞りやすくすることができる。
【0079】
また、判定部110は、なおも選定部120によりフィルタ処理の設定条件が選定されなかった場合、第3判定処理をさらに行っても良い。つまり、判定部110は、選定部120によりフィルタ処理の設定条件が選定されるまで、第3判定処理を繰り返し行っても良い。
【0080】
2回目以降の第3判定処理で選択される点は、1回前の第3判定処理で選択された点に基づく点である。
【0081】
このようにすることで、2次元座標系内で最適な設定条件の領域をさらに絞りやすくすることができる。
【0082】
また、上記実施の形態では、判定部110が2次元座標系から複数の組み合わせを選択していたが、本発明はこれに限定されず、別の装置により選択された複数の組み合わせを取得して、当該複数の組み合わせを用いて判定処理を行っても良い。
【0083】
また、上記実施の形態では、2次元座標系における4つの点が複数の組み合わせとして選択されたが、本発明はこれに限定されず、4つとは異なる数の点が選択されても良い。
【0084】
また、上記実施の形態では、読取対象の一例としてバーコードを例示したが、本発明はこれに限定されず、バーコード以外のものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の選定装置は、フィルタ処理の最適な設定条件を効率よく選定することが可能な選定装置および選定支援方法として有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 選定システム
10 読取装置
11 撮像部
12 撮像制御部
13 フィルタ処理部
14 デコード制御部
15 通信部
100 選定装置
110 判定部
120 選定部