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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】模様付固形化粧料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20230413BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q1/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021181924
(22)【出願日】2021-11-08
(62)【分割の表示】P 2017243879の分割
【原出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2022010153
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】西村 佳世子
(72)【発明者】
【氏名】青木 実緒
(72)【発明者】
【氏名】渡部 友絵
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 春香
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/020442(WO,A1)
【文献】特開昭63-139111(JP,A)
【文献】特開2011-057573(JP,A)
【文献】特開2017-100963(JP,A)
【文献】特開2014-114258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A45D 33/00-33/38
A45D 40/00-40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体形状の模様を有する模様付固形化粧料であって、
底面を有する容器と、
前記容器の底面に対して一部の領域に配置されるとともに、所定の立体形状を有する第1の積層用化粧料と、
前記容器の底面に対して一部の領域に配置されるとともに、所定の立体形状を有し、前記第1の積層用化粧料と同一の色の第2の積層用化粧料とを備え、
前記第1の積層用化粧料の一部に対して前記第2の積層用化粧料の一部を所定の方向に沿って積層させることによって、立体形状の模様を形成するとともに、前記第1の積層用化粧料および前記第2の積層用化粧料の積層面を前記容器の底面に対して略平行とするように立体形状の模様を形成することを特徴とする模様付固形化粧料。
【請求項2】
立体形状の模様を有する模様付固形化粧料の製造方法であって、
容器の底面に対して一部の領域に配置されるとともに、所定の立体形状を有する第1の積層用化粧料を配置する第1の配置ステップと、
前記容器の底面に対して一部の領域に配置されるとともに、所定の立体形状を有し、前記第1の積層用化粧料と同一の色の第2の積層用化粧料を配置する第2の配置ステップとを備え、
前記第2の配置ステップは、前記第1の積層用化粧料の一部に対して前記第2の積層用化粧料の一部を所定の方向に沿って積層させるように前記第2の積層用化粧料を配置することによって、立体形状の模様を形成するとともに、前記第1の積層用化粧料および前記第2の積層用化粧料の積層面を前記容器の底面に対して略平行とするように立体形状の模様を形成することを特徴とする模様付固形化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体形状の模様を有する模様付固形化粧料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器に収容された化粧料と、化粧料の表面に付された模様とを備える固形化粧料が知られている。例えば、特許文献1に記載された多色メイクアップ化粧料の製造方法は、複数色のスラリー状の化粧料を複数の空圧式噴霧機にて化粧料の表面に噴霧することによって、所定の方向に色の変化するグラデーション(模様)を化粧料の表面に表現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-166822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、化粧料の表面に平面形状の模様を付しているだけであり、模様のバリエーションには限界があるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様を有する模様付固形化粧料およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の模様付固形化粧料は、立体形状の模様を有する模様付固形化粧料であって、底面を有する容器と、容器の底面に対して一部の領域に配置されるとともに、所定の立体形状を有する第1の積層用化粧料と、容器の底面に対して一部の領域に配置されるとともに、所定の立体形状を有し、第1の積層用化粧料と同一の色の第2の積層用化粧料とを備え、第1の積層用化粧料の一部に対して第2の積層用化粧料の一部を所定の方向に沿って積層させることによって、立体形状の模様を形成するとともに、第1の積層用化粧料および第2の積層用化粧料の積層面を容器の底面に対して略平行とするように立体形状の模様を形成することを特徴とする。
【0007】
ここで、所定の立体形状を有する化粧料とは、例えば、粒状の化粧料や、太さを有する線状の化粧料や、粒状の化粧料を集合させることによって形成された立体形状の化粧料などを言うものとする。
本発明によれば、模様付固形化粧料は、容器の底面に対して一部の領域に配置されるとともに、所定の立体形状を有する第1の積層用化粧料および第2の積層用化粧料を備え、第1の積層用化粧料の一部に対して第2の積層用化粧料の一部を所定の方向に沿って積層させることによって、立体形状の模様を形成するとともに、第1の積層用化粧料および第2の積層用化粧料の積層面を容器の底面に対して略平行とするように立体形状の模様を形成する。したがって、模様付固形化粧料は、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様を有することができる。
【0020】
本発明の模様付固形化粧料の製造方法は、立体形状の模様を有する模様付固形化粧料の製造方法であって、容器の底面に対して一部の領域に配置されるとともに、所定の立体形状を有する第1の積層用化粧料を配置する第1の配置ステップと、容器の底面に対して一部の領域に配置されるとともに、所定の立体形状を有し、第1の積層用化粧料と同一の色の第2の積層用化粧料を配置する第2の配置ステップとを備え、第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料の一部に対して第2の積層用化粧料の一部を所定の方向に沿って積層させるように第2の積層用化粧料を配置することによって、立体形状の模様を形成するとともに、前記第1の積層用化粧料および前記第2の積層用化粧料の積層面を前記容器の底面に対して略平行とするように立体形状の模様を形成することを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料の一部に対して第2の積層用化粧料の一部を所定の方向に沿って積層させるように第2の積層用化粧料を配置することによって、立体形状の模様を形成するとともに、前記第1の積層用化粧料および前記第2の積層用化粧料の積層面を前記容器の底面に対して略平行とするように立体形状の模様を形成する。したがって、模様付固形化粧料は、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図
図2】模様付固形化粧料の製造装置の外観を示す斜視図
図3】ノズルの近傍を拡大した斜視図
図4】模様付固形化粧料の製造工程を示す図
図5】本発明の第2実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図
図6】模様付固形化粧料の製造工程を示す図
図7】本発明の第3実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図
図8】模様付固形化粧料の製造工程を示す図
図9】本発明の第4実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図
図10】模様付固形化粧料の製造工程を示す図
図11】本発明の第5実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図
図12】模様付固形化粧料の製造工程を示す図
図13】本発明の第6実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図である。具体的には、図1(A)は、模様付固形化粧料1の上面図であり、図1(B)は、図1(A)の紙面左上から紙面右下にかけて模様付固形化粧料1の中央を切断したA-A断面図である。
模様付固形化粧料1は、図1に示すように、略正方形状の底面と、この底面の四辺から起立する4つの壁面とを有する容器としての化粧皿10の内部に収容されている。この模様付固形化粧料1は、化粧皿10の内部に充填された透明色のベース部化粧料11と、ベース部化粧料11の表面に付された模様2とを備えている。ベース部化粧料11および模様2は、油性成分を配合してなる油性化粧料である。また、ベース部化粧料11の色と、模様2の色とは異なっている。
なお、本実施形態では、ベース部化粧料11および模様2は、油性化粧料としているが、粉末化粧料などの他の化粧料であってもよい。
【0034】
ここで、異なる色の化粧料とは、人間の視覚に基づいて、両者の違いを区別できる化粧料を言うものとし、明度、彩度、および色相の異なる化粧料はもとより、パール等を加えたものと、そうでないものといったように同一色であっても光沢感の異なる化粧料などを含むものとする。
なお、本実施形態では、ベース部化粧料11の色と、模様2の色とは異なっているが、同一であってもよい。
【0035】
模様2は、第1の積層用化粧料21と、第1の積層用化粧料21と同一の色の第2の積層用化粧料22を備えている。
第1の積層用化粧料21は、帯状の立体形状を有し、図1(A)の紙面左上から紙面右下にかけて延在するように配置されている。
第2の積層用化粧料22は、帯状の立体形状を有し、図1(A)の紙面右上から紙面左下にかけて延在するように配置されている。
【0036】
このように、第1の積層用化粧料21および第2の積層用化粧料22は、所定の立体形状を有している。
なお、本実施形態では、第1の積層用化粧料21および第2の積層用化粧料22は、帯状の立体形状を有しているが、これ以外の立体形状であってもよい。要するに、第1の積層用化粧料および第2の積層用化粧料は、所定の立体形状を有していればよい。
【0037】
また、第1の積層用化粧料21および第2の積層用化粧料22は、第1の積層用化粧料21の中央部に対して第2の積層用化粧料22の中央部を化粧皿10の高さ方向に沿って積層させた交差部23を備えている。
このように、模様付固形化粧料1は、第1の積層用化粧料21に対して第2の積層用化粧料22の少なくとも一部を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させることによって、立体形状の模様2を形成している。
【0038】
以下、模様付固形化粧料1の製造方法を説明する。なお、この模様付固形化粧料1の製造方法は、全ての工程を製造装置にて実施してもよく、各工程に作業者の手作業を介在させて実施してもよいが、本実施形態では、製造装置および手作業にて実施する例を説明する。
【0039】
図2は、模様付固形化粧料の製造装置の外観を示す斜視図である。なお、図2では、鉛直上方向を+Z軸方向とし、このZ軸と直交する2軸をX,Y軸として説明する。以下の図面においても同様である。
模様付固形化粧料の製造装置3は、図2に示すように、水平面上に載置された矩形板状のベース31と、ベース31の-X軸方向側に設けられたロボットアーム32とを備えている。
【0040】
ベース31は、固形化粧料11を充填した化粧皿10を上面に載置する。
ロボットアーム32は、円盤状の台座321と、台座321の上面に載置されるとともに、Z軸回りに回転自在に設けられた回転体322と、回転体322の回転軸と直交する軸を回動軸として回動するように回転体322に支持された第1リンク323、第2リンク324、および第3リンク325とを備えている。
第1リンク323は、回転体322の回転軸と直交する軸を回動軸として回動するように回転体322に一端を支持されている。
第2リンク324は、第1リンク323の回動軸と平行な軸を回動軸として回動するように第1リンク323の他端に一端を支持されている。
第3リンク325は、第1リンク323の回動軸および第2リンク324と平行な軸を回動軸として回動するように第2リンク324の他端に一端を支持されている。
【0041】
また、第3リンク325は、流動性を有する模様形成用化粧料C(図3参照)を粒状にして飛ばすノズル4を備え、このノズル4は、第3リンク325の他端に取り付けられている。
【0042】
ここで、模様形成用化粧料Cは、油性成分を含有する化粧料(油性化粧料)である。具体的には、模様形成用化粧料Cは、キャンデリラロウ等の固体脂や、炭化水素等の液状油等に対して必要に応じて顔料等を配合したものである。この模様形成用化粧料Cは、皮膚に対する親和性が良く、例えば、グロス、口紅、アイシャドウ、アイライナー、および油性ファンデーション等のメイクアップ化粧料に用いられている。また、その剤形は、固形、液状、ペースト状、および乳液状等の種々のものがある。本実施形態では、模様形成用化粧料Cは、常温では形状を保持できる程度の固形性を保っているが、70度以上(より好ましくは75度以上)に加熱することによって溶融して流動性を生じるものを採用している。
なお、本実施形態では、模様形成用化粧料Cは、油性成分を含有する化粧料を採用しているが、流動性を有する化粧料であれば、油性成分を含有していなくてもよい。
【0043】
図3は、ノズルの近傍を拡大した斜視図である。
ノズル4は、図3に示すように、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にして飛ばす円筒状のノズル本体41と、ノズル本体41の基端側に設けられた略半円柱状の液室42とを備えている。
液室42は、その内部に挿入されるとともに、X軸方向に沿って進退自在に設けられたプランジャ(図示略)を有し、このプランジャを進退させることによって、液室42の内部に収容された流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことができるようになっている。
【0044】
また、ノズル4は、液室42の側面にチューブ431を介して接続されたタンク43(図2参照)を備えている。
タンク43は、流動性を有する模様形成用化粧料Cを内部に収容し、チューブTを介してコンプレッサ(図示略)に接続されている。
このコンプレッサは、チューブTを介してタンク43の内部に収容された流動性を有する模様形成用化粧料Cを加圧する。これによって、タンク43の内部に収容された模様形成用化粧料Cは、チューブ431を介して液室42の内部に供給されていくことになる。
【0045】
なお、模様形成用化粧料Cは、前述したように、70度以上(より好ましくは75度以上)に加熱することによって溶融して流動性を生じる油性化粧料である。
以下、模様付固形化粧料の製造装置3を使用して模様付固形化粧料1を製造する方法を説明する。
【0046】
図4は、模様付固形化粧料の製造工程を示す図である。具体的には、図4は、化粧皿10を斜め上方側から見た斜視図であり、模様付固形化粧料の製造装置3は、ノズル本体41以外の機械要素の図示を省略している。
模様付固形化粧料の製造装置3を使用する前に、作業者は、図4(A)および図4(B)に示すように、ノズル5を介して所定の量のベース部化粧料11を化粧皿10の内部に充填する。
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造方法は、作業者の手作業によってベース部化粧料11を化粧皿10に充填しているが、模様付固形化粧料の製造装置3のロボットアーム32にノズル5を取り付けることによってベース部化粧料11を化粧皿10に充填してもよい。
【0047】
ここで、ベース部化粧料11は、油性成分を含有する化粧料(油性化粧料)である。本実施形態では、ベース部化粧料11は、模様形成用化粧料Cと同様に、常温では形状を保持できる程度の固形性を保っているが、70度以上(より好ましくは75度以上)に加熱することによって溶融して流動性を生じるものを採用している。
なお、本実施形態では、ベース部化粧料11は、油性成分を含有する化粧料を採用しているが、流動性を有する化粧料であれば、油性成分を含有していなくてもよい。
【0048】
そして、作業者は、化粧皿10に充填したベース部化粧料11を冷却して固化させた後、ベース31の上面に化粧皿10を載置して模様付固形化粧料の製造装置3にセットする(図2参照)。
【0049】
模様付固形化粧料の製造装置3は、図4(C)に示すように、ベース部化粧料11の表面に倣って(ベース部化粧料11の表面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つように)ノズル本体41を移動させるとともに、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことによって、ベース部化粧料11の表面に付着させて第1の積層用化粧料21を配置する(第1の配置ステップ)。具体的には、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、第1の積層用化粧料21の一端(紙面左端)の上方(吐出開始位置)にノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を開始する。そして、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、第1の積層用化粧料21の他端(紙面右端)の上方にノズル本体41を移動させた後(図中矢印参照)、模様形成用化粧料Cの吐出を停止する。
【0050】
また、模様付固形化粧料の製造装置3は、図4(D)に示すように、ベース部化粧料11の表面に倣って(ベース部化粧料11の表面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つように)ノズル本体41を移動させるとともに、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことによって、ベース部化粧料11の表面に付着させて第2の積層用化粧料22を配置する(第2の配置ステップ)。具体的には、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、第2の積層用化粧料22の一端(紙面右端)の上方(吐出開始位置)にノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を開始する。そして、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、第2の積層用化粧料22の他端(紙面左端)の上方にノズル本体41を移動させた後(図中矢印参照)、模様形成用化粧料Cの吐出を停止する。
【0051】
このように、本実施形態では、第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21に対して第2の積層用化粧料22の少なくとも一部(交差部23)を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させるように第2の積層用化粧料22を配置することによって、立体形状の模様2を形成している。
【0052】
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造装置3は、ベース部化粧料11の表面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つようにノズル本体41を移動させているが、第1の積層用化粧料21および第2の積層用化粧料22を配置することができれば、必ずしも一定の距離を保つようにノズル本体41を移動させなくてもよい。
【0053】
その後、模様付固形化粧料の製造装置3は、化粧皿10に配置した模様2を冷却して固化させることによって、模様付固形化粧料1を製造することができる。
【0054】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)模様付固形化粧料1は、所定の立体形状を有する第1の積層用化粧料21および第2の積層用化粧料22を備え、第1の積層用化粧料21に対して第2の積層用化粧料22の少なくとも一部を所定の方向に沿って積層させることによって、立体形状の模様2を形成している。したがって、模様付固形化粧料1は、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2を有することができる。
(2)第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21に対して第2の積層用化粧料22の少なくとも一部を所定の方向に沿って積層させるように第2の積層用化粧料22を配置することによって、立体形状の模様2を形成する。したがって、模様付固形化粧料1は、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2を有することができる。
【0055】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図5は、本発明の第2実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図である。具体的には、図5(A)は、模様付固形化粧料1Aの上面図であり、図5(B)は、図5(A)の紙面左右方向に模様付固形化粧料1Aの中央を切断したA-A断面図である。
模様付固形化粧料1Aは、図5に示すように、ハート形の空間(所定の空間)を内側に有する枠状に形成された模様2Aと、模様2Aにおける所定の空間に充填された透明色の枠内用化粧料12とを備えている。模様2Aおよび枠内用化粧料12は、油性成分を配合してなる油性化粧料である。模様2Aの色と、枠内用化粧料12の色とは異なっている。
なお、本実施形態では、模様2Aおよび枠内用化粧料12は、油性化粧料としているが、粉末化粧料などの他の化粧料であってもよい。
【0057】
模様2Aは、図5(B)に示すように、第1の積層用化粧料21Aと、第1の積層用化粧料21Aと同一の色の第2の積層用化粧料22Aを備えている。
第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aは、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有し、化粧皿10の壁面に沿って配置されている。また、第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aは、同一の立体形状を有している。
【0058】
このように、第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aは、所定の立体形状を有している。
なお、本実施形態では、第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aは、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有しているが、これ以外の立体形状であってもよい。要するに、第1の積層用化粧料および第2の積層用化粧料は、所定の立体形状を有していればよい。
【0059】
また、模様付固形化粧料1Aは、第1の積層用化粧料21Aに対して第2の積層用化粧料22Aを化粧皿10の高さ方向に沿って積層させることによって、立体形状の模様2Aを形成している。
このように、模様付固形化粧料1Aは、第1の積層用化粧料21Aに対して第2の積層用化粧料22Aの全部を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させることによって、立体形状の模様2Aを形成している。
以下、模様付固形化粧料の製造装置3を使用して模様付固形化粧料1Aを製造する方法を説明する。
【0060】
図6は、模様付固形化粧料の製造工程を示す図である。具体的には、図6は、化粧皿10を斜め上方側から見た斜視図であり、模様付固形化粧料の製造装置3は、ノズル本体41以外の機械要素の図示を省略している。
【0061】
模様付固形化粧料の製造装置3は、図6(A)に示すように、化粧皿10の底面に倣って(化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つように)ノズル本体41を移動させるとともに、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことによって、化粧皿10の底面に付着させて第1の積層用化粧料21Aを配置する(第1の配置ステップ)。具体的には、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、化粧皿10の底面の上方(吐出開始位置)にノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を開始する。そして、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を描くようにノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を停止する。
【0062】
また、模様付固形化粧料の製造装置3は、図6(B)に示すように、化粧皿10の底面に倣って(化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つように)ノズル本体41を移動させるとともに、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことによって、第1の積層用化粧料21Aの表面に付着させて第2の積層用化粧料22Aを配置する(第2の配置ステップ)。具体的には、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、第1の積層用化粧料21Aの表面の上方(吐出開始位置)にノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を開始する。そして、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を描くようにノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を停止する。
【0063】
このように、本実施形態では、第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21Aに対して第2の積層用化粧料22Aの全部を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させるように第2の積層用化粧料22Aを配置することによって、立体形状の模様2Aを形成している。
また、本実施形態では、第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21Aと同一の立体形状を有する第2の積層用化粧料22Aを配置している。
【0064】
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造装置3は、化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つようにノズル本体41を移動させているが、第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aを配置することができれば、必ずしも一定の距離を保つようにノズル本体41を移動させなくてもよい。
【0065】
化粧皿10に配置した模様2Aを冷却して固化させた後、作業者は、図6(C)および図6(D)に示すように、ノズル5を介して模様2Aにおけるハート形の空間(所定の空間)に枠内用化粧料12を充填する(枠内充填ステップ)。
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造方法は、作業者の手作業によって模様2Aにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填しているが、模様付固形化粧料の製造装置3のロボットアーム32にノズル5を取り付けることによって模様2Aにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填してもよい。
【0066】
ここで、枠内用化粧料12は、油性成分を含有する化粧料(油性化粧料)である。本実施形態では、枠内用化粧料12は、模様形成用化粧料Cと同様に、常温では形状を保持できる程度の固形性を保っているが、70度以上(より好ましくは75度以上)に加熱することによって溶融して流動性を生じるものを採用している。
なお、本実施形態では、枠内用化粧料12は、油性成分を含有する化粧料を採用しているが、流動性を有する化粧料であれば、油性成分を含有していなくてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、作業者は、模様2Aにおけるハート形の空間に枠内用化粧料12を充填している。換言すれば、作業者は、第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aを合わせた模様2Aと同じ高さまで枠内用化粧料12を充填している。これに対して、作業者は、第1の積層用化粧料21Aと同じ高さまで枠内用化粧料12を充填するようにしてもよく、枠内用化粧料12の高さは、模様2Aの高さよりも低くてもよい。この場合には、模様付固形化粧料の製造方法は、第1の積層用化粧料21Aを配置した後、第1の積層用化粧料21Aにおけるハート形の空間に枠内用化粧料12を充填し、次に第2の積層用化粧料22Aを配置するようにしてもよい。
【0068】
その後、模様付固形化粧料の製造装置3は、模様2Aにおける所定の空間に充填した枠内用化粧料12を冷却して固化させることによって、模様付固形化粧料1Aを製造することができる。
【0069】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる他、以下の作用・効果を奏することができる。
(3)模様付固形化粧料1Aは、第1の積層用化粧料21Aに対して第2の積層用化粧料22Aの全部を所定の方向に沿って積層させることによって、立体形状の模様2Aを形成するので、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Aを有することができる。
(4)第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aは、同一の立体形状を有するので、模様付固形化粧料1Aは、所定の方向に沿って高さ(厚み)のある立体形状の模様2Aを有することができる。したがって、模様付固形化粧料1Aは、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Aを有することができる。
【0070】
(5)模様付固形化粧料1Aは、第1の積層用化粧料21Aにおける所定の空間に充填された枠内用化粧料12を備え、枠内用化粧料12は、第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aとは異なる色であるので、第1の積層用化粧料21Aにて形成された枠内に第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aとは異なる色の枠内用化粧料12を配置したバリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Aを有することができる。
(6)第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21Aに対して第2の積層用化粧料22Aの全部を所定の方向に沿って積層させるように第2の積層用化粧料22Aを配置することによって、立体形状の模様2Aを形成するので、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Aを有することができる。
【0071】
(7)第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21Aと同一の立体形状を有する第2の積層用化粧料22Aを配置するので、模様付固形化粧料1Aは、所定の方向に沿って高さ(厚み)のある立体形状の模様2Aを有することができる。したがって、模様付固形化粧料1Aは、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Aを有することができる。
(8)枠内充填ステップは、第1の積層用化粧料21Aにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填し、枠内用化粧料12は、第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aとは異なる色であるので、第1の積層用化粧料21Aにて形成された枠内に第1の積層用化粧料21Aおよび第2の積層用化粧料22Aとは異なる色の枠内用化粧料12を配置したバリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Aを有することができる。
【0072】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0073】
図7は、本発明の第3実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図である。具体的には、図7(A)は、模様付固形化粧料1Bの上面図であり、図7(B)は、図7(A)の紙面左右方向に模様付固形化粧料1Bの中央を切断したA-A断面図である。
模様付固形化粧料1Bは、図7に示すように、ハート形の空間(所定の空間)を内側に有する枠状に形成された模様2Bと、模様2Bにおける所定の空間に充填された透明色の枠内用化粧料12とを備えている。また、模様付固形化粧料1Bは、模様2Bの外側と、化粧皿10との間に形成された空間に充填された透明色の背景用化粧料13を備えている。模様2B、枠内用化粧料12、および背景用化粧料13は、油性成分を配合してなる油性化粧料である。模様2Bの色と、枠内用化粧料12および背景用化粧料13の色とは異なっている。また、枠内用化粧料12および背景用化粧料13の色は同一となっている。
なお、本実施形態では、模様2B、枠内用化粧料12、および背景用化粧料13は、油性化粧料としているが、粉末化粧料などの他の化粧料であってもよい。
また、本実施形態では、枠内用化粧料12および背景用化粧料13の色は同一となっているが、異なっていてもよい。
【0074】
模様2Bは、図7(B)に示すように、第1の積層用化粧料21Bと、第1の積層用化粧料21Bと同一の色の第2の積層用化粧料22Bを備えている。
第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bは、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有し、第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bの外側と、化粧皿10の壁面との間に空間を形成するように配置されている。換言すれば、第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bは、太さを有する線状の化粧料となっている。また、第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bは、同一の立体形状を有している。
【0075】
このように、第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bは、所定の立体形状を有している。
なお、本実施形態では、第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bは、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有しているが、これ以外の立体形状であってもよい。要するに、第1の積層用化粧料および第2の積層用化粧料は、所定の立体形状を有していればよい。
【0076】
また、模様付固形化粧料1Bは、第1の積層用化粧料21Bに対して第2の積層用化粧料22Bを化粧皿10の高さ方向に沿って積層させることによって、立体形状の模様2Bを形成している。
このように、模様付固形化粧料1Bは、第1の積層用化粧料21Bに対して第2の積層用化粧料22Bの全部を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させることによって、立体形状の模様2Bを形成している。
以下、模様付固形化粧料の製造装置3を使用して模様付固形化粧料1Bを製造する方法を説明する。
【0077】
図8は、模様付固形化粧料の製造工程を示す図である。具体的には、図8は、化粧皿10を斜め上方側から見た斜視図であり、模様付固形化粧料の製造装置3は、ノズル本体41以外の機械要素の図示を省略している。
【0078】
模様付固形化粧料の製造装置3は、図8(A)に示すように、化粧皿10の底面に倣って(化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つように)ノズル本体41を移動させるとともに、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことによって、化粧皿10の底面に付着させて第1の積層用化粧料21Bを配置する(第1の配置ステップ)。具体的には、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、化粧皿10の底面の上方(吐出開始位置)にノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を開始する。そして、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を描くようにノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を停止する。
【0079】
また、模様付固形化粧料の製造装置3は、図8(B)に示すように、化粧皿10の底面に倣って(化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つように)ノズル本体41を移動させるとともに、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことによって、第1の積層用化粧料21Bの表面に付着させて第2の積層用化粧料22Bを配置する(第2の配置ステップ)。具体的には、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、第1の積層用化粧料21Bの表面の上方(吐出開始位置)にノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を開始する。そして、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を描くようにノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を停止する。
【0080】
このように、本実施形態では、第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21Bに対して第2の積層用化粧料22Bの全部を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させるように第2の積層用化粧料22Bを配置することによって、立体形状の模様2Bを形成している。
また、本実施形態では、第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21Bと同一の立体形状を有する第2の積層用化粧料22Bを配置している。
【0081】
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造装置3は、化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つようにノズル本体41を移動させているが、第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bを配置することができれば、必ずしも一定の距離を保つようにノズル本体41を移動させなくてもよい。
【0082】
化粧皿10に配置した模様2Bを冷却して固化させた後、作業者は、図8(C)に示すように、ノズル5を介して模様2Bにおけるハート形の空間(所定の空間)に枠内用化粧料12を充填する(枠内充填ステップ)。
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造方法は、作業者の手作業によって模様2Bにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填しているが、模様付固形化粧料の製造装置3のロボットアーム32にノズル5を取り付けることによって模様2Bにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填してもよい。
【0083】
次に、作業者は、図8(D)に示すように、ノズル5を介して模様2Bの外側と、化粧皿10との間に形成された空間に背景用化粧料13を充填する(背景充填ステップ)。
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造方法は、作業者の手作業によって模様2Bの外側と、化粧皿10との間に形成された空間に背景用化粧料13を充填しているが、模様付固形化粧料の製造装置3のロボットアーム32にノズル5を取り付けることによって模様2Bの外側と、化粧皿10との間に形成された空間に背景用化粧料13を充填してもよい。
【0084】
ここで、枠内用化粧料12および背景用化粧料13は、油性成分を含有する化粧料(油性化粧料)である。本実施形態では、枠内用化粧料12および背景用化粧料13は、模様形成用化粧料Cと同様に、常温では形状を保持できる程度の固形性を保っているが、70度以上(より好ましくは75度以上)に加熱することによって溶融して流動性を生じるものを採用している。
なお、本実施形態では、枠内用化粧料12および背景用化粧料13は、油性成分を含有する化粧料を採用しているが、流動性を有する化粧料であれば、油性成分を含有していなくてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、作業者は、模様2Bにおけるハート形の空間に枠内用化粧料12を充填し、模様2Bの外側と、化粧皿10との間に形成された空間に背景用化粧料13を充填している。換言すれば、作業者は、第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bを合わせた模様2Bと同じ高さまで枠内用化粧料12および背景用化粧料13を充填している。これに対して、作業者は、第1の積層用化粧料21Bと同じ高さまで枠内用化粧料12または背景用化粧料13を充填するようにしてもよく、枠内用化粧料12または背景用化粧料13の高さは、模様2Bの高さよりも低くてもよい。この場合には、模様付固形化粧料の製造方法は、第1の積層用化粧料21Bを配置した後、第1の積層用化粧料21Bにおけるハート形の空間に枠内用化粧料12を充填し、第1の積層用化粧料21Bの外側と、化粧皿10との間に形成された空間に背景用化粧料13を充填し、次に第2の積層用化粧料22Bを配置するようにしてもよい。
【0086】
その後、模様付固形化粧料の製造装置3は、模様2Bにおける所定の空間に充填した枠内用化粧料12と、模様2Bの外側と、化粧皿10との間に形成された空間に充填した背景用化粧料13とを冷却して固化させることによって、模様付固形化粧料1Bを製造することができる。
【0087】
このような本実施形態によれば、前記第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる他、以下の作用・効果を奏することができる。
(9)模様付固形化粧料1Bは、第1の積層用化粧料21Bの外側と、化粧皿10との間に形成された空間に充填された背景用化粧料13を備え、背景用化粧料13は、第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bとは異なる色であるので、第1の積層用化粧料21Bの外側に第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bとは異なる色の背景用化粧料13を配置したバリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Bを有することができる。
(10)背景充填ステップは、第1の積層用化粧料21Bの外側と、化粧皿10との間に形成された空間に背景用化粧料13を充填し、背景用化粧料13は、第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bとは異なる色であるので、第1の積層用化粧料21Bの外側に第1の積層用化粧料21Bおよび第2の積層用化粧料22Bとは異なる色の背景用化粧料13を配置したバリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Bを有することができる。
【0088】
〔第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0089】
図9は、本発明の第4実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図である。具体的には、図9(A)は、模様付固形化粧料1Cの上面図であり、図9(B)は、図9(A)の紙面左右方向に模様付固形化粧料1Cの中央を切断したA-A断面図である。
模様付固形化粧料1Cは、図9に示すように、ハート形の空間(所定の空間)を内側に有する枠状に形成された模様2Cと、模様2Cにおける所定の空間に充填された透明色の枠内用化粧料12とを備えている。模様2Cおよび枠内用化粧料12は、油性成分を配合してなる油性化粧料である。模様2Cの色と、枠内用化粧料12の色とは異なっている。
なお、本実施形態では、模様2Cおよび枠内用化粧料12は、油性化粧料としているが、粉末化粧料などの他の化粧料であってもよい。
【0090】
模様2Cは、図9(B)に示すように、第1の積層用化粧料21Cと、第1の積層用化粧料21Cと同一の色の第2の積層用化粧料22Cを備えている。
第1の積層用化粧料21Cは、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有し、化粧皿10の壁面に沿って配置されている。第2の積層用化粧料22Cは、第1の積層用化粧料21Cのそれよりも大きいハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有し、化粧皿10の壁面に沿って配置されている。換言すれば、第2の積層用化粧料22Cは、化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って第1の積層用化粧料21Cを見た場合の形状を拡縮させた形状を有している。
なお、本実施形態では、第2の積層用化粧料22Cは、第1の積層用化粧料21Cのそれよりも大きいハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有しているが、第1の積層用化粧料21Cのそれよりも小さいハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有していてもよい。
【0091】
このように、第1の積層用化粧料21Cおよび第2の積層用化粧料22Cは、所定の立体形状を有している。
なお、本実施形態では、第1の積層用化粧料21Cおよび第2の積層用化粧料22Cは、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有しているが、これ以外の立体形状であってもよい。要するに、第1の積層用化粧料および第2の積層用化粧料は、所定の立体形状を有していればよい。
【0092】
また、模様付固形化粧料1Cは、第1の積層用化粧料21Cに対して第2の積層用化粧料22Cを化粧皿10の高さ方向に沿って同心状に積層させることによって、立体形状の模様2Cを形成している。
このように、模様付固形化粧料1Cは、第1の積層用化粧料21Cに対して第2の積層用化粧料22Cの全部を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させることによって、立体形状の模様2Cを形成している。
以下、模様付固形化粧料の製造装置3を使用して模様付固形化粧料1Cを製造する方法を説明する。
【0093】
図10は、模様付固形化粧料の製造工程を示す図である。具体的には、図10は、化粧皿10を斜め上方側から見た斜視図であり、模様付固形化粧料の製造装置3は、ノズル本体41以外の機械要素の図示を省略している。
【0094】
模様付固形化粧料の製造装置3は、図10(A)に示すように、化粧皿10の底面に倣って(化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つように)ノズル本体41を移動させるとともに、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことによって、化粧皿10の底面に付着させて第1の積層用化粧料21Cを配置する(第1の配置ステップ)。具体的には、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、化粧皿10の底面の上方(吐出開始位置)にノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を開始する。そして、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、ハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を描くようにノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を停止する。
【0095】
また、模様付固形化粧料の製造装置3は、図10(B)に示すように、化粧皿10の底面に倣って(化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つように)ノズル本体41を移動させるとともに、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことによって、第1の積層用化粧料21Cの表面に付着させて第2の積層用化粧料22Cを配置する(第2の配置ステップ)。具体的には、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、第1の積層用化粧料21Cの表面の上方(吐出開始位置)にノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を開始する。そして、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、第1の積層用化粧料21Cのそれよりも大きいハート形の空間を内側に有する枠状の立体形状を描くようにノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を停止する。
【0096】
このように、本実施形態では、第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21Cに対して第2の積層用化粧料22Cの全部を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させるように第2の積層用化粧料22Cを配置することによって、立体形状の模様2Cを形成している。
【0097】
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造装置3は、化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つようにノズル本体41を移動させているが、第1の積層用化粧料21Cおよび第2の積層用化粧料22Cを配置することができれば、必ずしも一定の距離を保つようにノズル本体41を移動させなくてもよい。
【0098】
化粧皿10に配置した模様2Cを冷却して固化させた後、作業者は、図10(C)および図10(D)に示すように、ノズル5を介して模様2Cにおけるハート形の空間(所定の空間)に枠内用化粧料12を充填する(枠内充填ステップ)。
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造方法は、作業者の手作業によって模様2Cにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填しているが、模様付固形化粧料の製造装置3のロボットアーム32にノズル5を取り付けることによって模様2Cにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填してもよい。
【0099】
また、本実施形態では、作業者は、模様2Cにおけるハート形の空間に枠内用化粧料12を充填している。換言すれば、作業者は、第1の積層用化粧料21Cおよび第2の積層用化粧料22Cを合わせた模様2Cと同じ高さまで枠内用化粧料12を充填している。これに対して、作業者は、第1の積層用化粧料21Cと同じ高さまで枠内用化粧料12を充填するようにしてもよく、枠内用化粧料12の高さは、模様2Cの高さよりも低くてもよい。この場合には、模様付固形化粧料の製造方法は、第1の積層用化粧料21Cを配置した後、第1の積層用化粧料21Cにおけるハート形の空間に枠内用化粧料12を充填し、次に第2の積層用化粧料22Cを配置するようにしてもよい。
【0100】
その後、模様付固形化粧料の製造装置3は、模様2Cにおける所定の空間に充填した枠内用化粧料12を冷却して固化させることによって、模様付固形化粧料1Cを製造することができる。
【0101】
このような本実施形態によれば、前記第2実施形態における(1)~(3),(5),(6),(8)と同様の作用効果を奏することができる他、以下の作用・効果を奏することができる。
(11)第2の積層用化粧料22Cは、所定の方向に沿って第1の積層用化粧料21Cを見た場合の形状を拡縮させた形状を有し、模様付固形化粧料1Cは、第1の積層用化粧料21Cに対して第2の積層用化粧料22Cを同心状に積層させることによって、立体形状の模様2Cを形成するので、所定の方向に沿って第1の積層用化粧料21Cを見た場合の形状を所定の方向に沿って徐々に拡縮させていくような立体形状の模様2Cを有することができる。したがって、模様付固形化粧料1Cは、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Cを有することができる。
【0102】
〔第5実施形態〕
以下、本発明の第5実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0103】
図11は、本発明の第5実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図である。具体的には、図11(A)は、模様付固形化粧料1Dの上面図であり、図11(B)は、図11(A)の紙面左右方向に模様付固形化粧料1Dの中央を切断したA-A断面図である。
模様付固形化粧料1Dは、図11に示すように、2つの正方形を中心回りに45度だけ回転させて組み合わせた空間(所定の空間)を内側に有する枠状に形成された模様2Dと、模様2Dにおける所定の空間に充填された透明色の枠内用化粧料12とを備えている。模様2Dおよび枠内用化粧料12は、油性成分を配合してなる油性化粧料である。模様2Dの色と、枠内用化粧料12の色とは異なっている。
なお、本実施形態では、模様2Dおよび枠内用化粧料12は、油性化粧料としているが、粉末化粧料などの他の化粧料であってもよい。
【0104】
模様2Dは、図11(B)に示すように、第1の積層用化粧料21Dと、第1の積層用化粧料21Dと同一の色の第2の積層用化粧料22Dを備えている。
第1の積層用化粧料21Dは、正方形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有し、化粧皿10の壁面に沿って配置されている。第2の積層用化粧料22Dは、第1の積層用化粧料21Dの正方形を中心回りに45度だけ回転させた正方形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有し、化粧皿10の壁面に沿って配置されている。換言すれば、第2の積層用化粧料22Dは、化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って第1の積層用化粧料21Dを見た場合の形状を回転させた形状を有している。
【0105】
このように、第1の積層用化粧料21Dおよび第2の積層用化粧料22Dは、所定の立体形状を有している。
なお、本実施形態では、第1の積層用化粧料21Dおよび第2の積層用化粧料22Dは、正方形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有しているが、これ以外の立体形状であってもよい。要するに、第1の積層用化粧料および第2の積層用化粧料は、所定の立体形状を有していればよい。
【0106】
また、模様付固形化粧料1Dは、第1の積層用化粧料21Dに対して第2の積層用化粧料22Dを化粧皿10の高さ方向に沿って同心状に積層させることによって、立体形状の模様2Dを形成している。
このように、模様付固形化粧料1Dは、第1の積層用化粧料21Dに対して第2の積層用化粧料22Dの少なくとも一部を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させることによって、立体形状の模様2Dを形成している。
以下、模様付固形化粧料の製造装置3を使用して模様付固形化粧料1Dを製造する方法を説明する。
【0107】
図12は、模様付固形化粧料の製造工程を示す図である。具体的には、図12は、化粧皿10を斜め上方側から見た斜視図であり、模様付固形化粧料の製造装置3は、ノズル本体41以外の機械要素の図示を省略している。
【0108】
模様付固形化粧料の製造装置3は、図12(A)に示すように、化粧皿10の底面に倣って(化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つように)ノズル本体41を移動させるとともに、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことによって、化粧皿10の底面に付着させて第1の積層用化粧料21Dを配置する(第1の配置ステップ)。具体的には、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、化粧皿10の底面の上方(吐出開始位置)にノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を開始する。そして、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、正方形の空間を内側に有する枠状の立体形状を描くようにノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を停止する。
【0109】
模様付固形化粧料の製造装置3は、化粧皿10に配置した第1の積層用化粧料21Dを冷却して固化させた後、図12(B)に示すように、ノズル5を介して第1の積層用化粧料21Dにおける正方形の空間(所定の空間)に枠内用化粧料12を充填する(第1の枠内充填ステップ)。
ここで、模様付固形化粧料の製造装置3は、ノズル4に代えてロボットアーム32にノズル5を取り付けることによって第1の積層用化粧料21Dにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填する。
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造方法は、模様付固形化粧料の製造装置3のロボットアーム32にノズル5を取り付けることによって第1の積層用化粧料21Dにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填しているが、作業者の手作業によって模様2Dにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填してもよい。
【0110】
また、模様付固形化粧料の製造装置3は、第1の積層用化粧料21Dにおける正方形の空間に充填した枠内用化粧料12を冷却して固化させた後、図12(C)に示すように、化粧皿10の底面に倣って(化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つように)ノズル本体41を移動させるとともに、流動性を有する模様形成用化粧料Cを粒状にしてノズル本体41を介して飛ばすことによって、第1の積層用化粧料21Dおよび枠内用化粧料12の表面に付着させて第2の積層用化粧料22Dを配置する(第2の配置ステップ)。具体的には、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、第1の積層用化粧料21Dおよび枠内用化粧料12の表面の上方(吐出開始位置)にノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を開始する。そして、模様付固形化粧料の製造装置3は、ロボットアーム32を駆動することによって、第1の積層用化粧料21Dの正方形を中心回りに45度だけ回転させた正方形の空間を内側に有する枠状の立体形状を描くようにノズル本体41を移動させた後、模様形成用化粧料Cの吐出を停止する。
【0111】
このように、本実施形態では、第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21Dに対して第2の積層用化粧料22Dの少なくとも一部を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させるように第2の積層用化粧料22Dを配置することによって、立体形状の模様2Dを形成している。
【0112】
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造装置3は、化粧皿10の底面と、ノズル本体41の先端との距離を一定に保つようにノズル本体41を移動させているが、第1の積層用化粧料21Dおよび第2の積層用化粧料22Dを配置することができれば、必ずしも一定の距離を保つようにノズル本体41を移動させなくてもよい。
【0113】
ここで、本実施形態では、第1の枠内充填ステップにおいて、第1の積層用化粧料21Dにおける正方形の空間(所定の空間)に充填した枠内用化粧料12は、第1の積層用化粧料21Dと隣接するように配置されている。そして、この枠内用化粧料12は、第2の積層用化粧料22Dの台座となる台座用化粧料として機能している。
このように、本実施形態では、第1の枠内充填ステップは、第1の配置ステップを実行した後、第1の積層用化粧料21Dと隣接するように第2の積層用化粧料22Dの台座となる台座用化粧料を配置する台座配置ステップとして機能する。
【0114】
模様付固形化粧料の製造装置3は、化粧皿10に配置した第2の積層用化粧料22Dを冷却して固化させた後、図12(D)に示すように、ノズル5を介して第2の積層用化粧料22Dにおける正方形の空間(所定の空間)に枠内用化粧料12を充填する(第2の枠内充填ステップ)。
ここで、模様付固形化粧料の製造装置3は、ノズル4に代えてロボットアーム32にノズル5を取り付けることによって第2の積層用化粧料22Dにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填する。
なお、本実施形態では、模様付固形化粧料の製造方法は、模様付固形化粧料の製造装置3のロボットアーム32にノズル5を取り付けることによって第2の積層用化粧料22Dにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填しているが、作業者の手作業によって模様2Dにおける所定の空間に枠内用化粧料12を充填してもよい。
【0115】
その後、模様付固形化粧料の製造装置3は、第2の積層用化粧料22Dにおける所定の空間に充填した枠内用化粧料12を冷却して固化させることによって、模様付固形化粧料1Dを製造することができる。
【0116】
このような本実施形態によれば、前記第2実施形態における(1)~(3),(5),(6),(8)と同様の作用効果を奏することができる他、以下の作用・効果を奏することができる。
(12)第2の積層用化粧料22Dは、所定の方向に沿って第1の積層用化粧料21Dを見た場合の形状を回転させた形状を有し、模様付固形化粧料1Dは、第1の積層用化粧料21Dに対して第2の積層用化粧料22Dを同心状に積層させることによって、立体形状の模様2Dを形成するので、所定の方向に沿って第1の積層用化粧料21Dを見た場合の形状を所定の方向に沿って徐々に回転させていくような立体形状の模様2Dを有することができる。したがって、模様付固形化粧料1Dは、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Dを有することができる。
【0117】
(13)台座配置ステップは、第1の配置ステップを実行した後、第1の積層用化粧料21Dと隣接するように第2の積層用化粧料22Dの台座となる台座用化粧料を配置し、第2の配置ステップは、第1の積層用化粧料21Dおよび台座用化粧料に対して第2の積層用化粧料22Dの少なくとも一部を所定の方向に沿って積層させるように第2の積層用化粧料22Dを配置する。これによれば、第2の積層用化粧料22Dは、第1の積層用化粧料21Dおよび台座用化粧料にて支持することができるので、模様付固形化粧料1Dは、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Dを有することができる。
【0118】
〔第6実施形態〕
以下、本発明の第6実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0119】
図13は、本発明の第6実施形態に係る模様付固形化粧料を示す上面図および断面図である。具体的には、図13(A)は、模様付固形化粧料1Eの上面図であり、図13(B)は、図13(A)の紙面左右方向に模様付固形化粧料1Eの中央を切断したA-A断面図である。
模様付固形化粧料1Eは、図13に示すように、2つの正方形を化粧皿10の高さ方向と直交する方向にずらして組み合わせた空間(所定の空間)を内側に有する枠状に形成された模様2Eと、模様2Eにおける所定の空間に充填された透明色の枠内用化粧料12とを備えている。模様2Eおよび枠内用化粧料12は、油性成分を配合してなる油性化粧料である。模様2Eの色と、枠内用化粧料12の色とは異なっている。
なお、本実施形態では、模様2Eおよび枠内用化粧料12は、油性化粧料としているが、粉末化粧料などの他の化粧料であってもよい。
【0120】
模様2Eは、図13(B)に示すように、第1の積層用化粧料21Eと、第1の積層用化粧料21Eと同一の色の第2の積層用化粧料22Eを備えている。
第1の積層用化粧料21Eは、正方形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有し、化粧皿10の壁面に沿って配置されている。第2の積層用化粧料22Eは、第1の積層用化粧料21Eの正方形を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)と直交する方向にずらした正方形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有し、化粧皿10の壁面に沿って配置されている。換言すれば、第2の積層用化粧料22Eは、化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って第1の積層用化粧料21Eを見た場合の形状と同一の形状を有している。
【0121】
このように、第1の積層用化粧料21Eおよび第2の積層用化粧料22Eは、所定の立体形状を有している。
なお、本実施形態では、第1の積層用化粧料21Eおよび第2の積層用化粧料22Eは、正方形の空間を内側に有する枠状の立体形状を有しているが、これ以外の立体形状であってもよい。要するに、第1の積層用化粧料および第2の積層用化粧料は、所定の立体形状を有していればよい。
【0122】
また、模様付固形化粧料1Eは、第1の積層用化粧料21Eに対して第2の積層用化粧料22Eを化粧皿10の高さ方向に沿って積層させることによって、立体形状の模様2Eを形成している。
このように、模様付固形化粧料1Eは、第1の積層用化粧料21Eに対して第2の積層用化粧料22Eの少なくとも一部を化粧皿10の高さ方向(所定の方向)に沿って積層させることによって、立体形状の模様2Eを形成している。
【0123】
模様付固形化粧料1Eを製造する方法は、前記第5実施形態における模様付固形化粧料1Dを製造する方法と同様であり、模様付固形化粧料1Eは、模様付固形化粧料の製造装置3を使用して製造することができる。
【0124】
このような本実施形態によれば、前記第2実施形態における(1)~(3),(5),(6),(8)および前記第5実施形態における(13)と同様の作用効果を奏することができる他、以下の作用・効果を奏することができる。
(14)模様付固形化粧料1Eは、第1の積層用化粧料21Eに対して第2の積層用化粧料22Eを所定の方向と直交する方向にずらして積層させることによって、立体形状の模様2Eを形成するので、所定の方向に沿って第1の積層用化粧料21Eを見た場合の形状を所定の方向と直交する方向に沿って徐々にずらしていくような立体形状の模様2Eを有することができる。したがって、模様付固形化粧料1Eは、化粧料の表面に平面形状の模様を付す場合と比較して、バリエーションに富んだ美しい立体形状の模様2Eを有することができる。
【0125】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、所定の立体形状を有する第1の積層用化粧料21~21Eと、所定の立体形状を有し、第1の積層用化粧料21~21Eと同一の色の第2の積層用化粧料22~22Eとを備えていた。換言すれば、前記各実施形態では、模様付固形化粧料1~1Eは、2層の化粧料を積層させた立体形状の模様2~2Eを備えていた。これに対して、模様付固形化粧料は、3層以上の化粧料を積層させた立体形状の模様を備えていてもよい。
【0126】
また、前記各実施形態では、模様付固形化粧料1~1Eは、ベース部化粧料11、枠内用化粧料12、および背景用化粧料13の少なくともいずれか1つの化粧料と、2層の化粧料を積層させた立体形状の模様2~2Eとを備え、これらは化粧皿10の内部に収容されていた。これに対して、模様付固形化粧料は、模様のみを備えていてもよく、容器の内部に収容されていなくてもよい。
【0127】
また、前記各実施形態では、第1の積層用化粧料21~21Eおよび第2の積層用化粧料22~22Eは、化粧皿10の高さ方向に積層されていたが、どのような方向に積層されていてもよい。例えば、第1の積層用化粧料および第2の積層用化粧料は、口紅などのスティック状の固形化粧料の表面に積層されていてもよい。
また、前記第4実施形態、前記第5実施形態、および前記第6実施形態では、所定の方向に沿って第1の積層用化粧料21C~21Eを見た場合の形状は、板状の化粧料から所定の形状をくり抜いた化粧料の存在しない領域の形状としていたが、化粧料の存在する領域の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上のように、本発明は、立体形状の模様を有する模様付固形化粧料およびその製造方法に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0129】
1~1E 模様付固形化粧料
2~2E 模様
21~21E 第1の積層用化粧料
22~22E 第2の積層用化粧料
10 化粧皿(容器)
11 ベース部化粧料(台座用化粧料)
12 枠内用化粧料
13 背景用化粧料
23 交差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13