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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】シート状物押え具
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/02 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
A01G13/02 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022079551
(22)【出願日】2022-05-13
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】392003225
【氏名又は名称】第一ビニール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀夫
【審査官】小笠原 かれん
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-100405(JP,A)
【文献】特開2018-078821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 11/00-15/00
A01M 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物を地面に押えて固定するシート状物押え具であって、下面側で該シート状物を地面に押えることが可能となるように開いた開き状態を呈し得る押え板と該押え板を地面に押圧する押えピン部材とを具え、該押え板と該押えピン部材は別体に形成され、該押え板は、該押えピン部材に重なる重なり状態を呈し得るように該押えピン部材に装着でき、
前記押え板には、所要間隔を置いて左右2個の挿通孔部が設けられる一方、前記押えピン部材は、両該挿通孔部に挿通されて地面に押し込まれる2本のピン体の上端相互が繋ぎ片で連結されており、
前記押え板は、前記ピン体が前記挿通孔部に挿通された状態で該両ピン体に案内されてスライドでき、前記開き状態で、前記繋ぎ片に当接した最上昇位置を呈することができ、
又、前記押えピン部材を、前記繋ぎ片が上端に位置する上下方向にし、且つ前記押え板が該押えピン部材に重なるように装着された前記重なり状態で見て、前記押え板の下面側には、左右の前記挿通孔部から該押え板の下方側に向けて延長して該押え板の外縁に連なり且つ2本の前記ピン体が収容される2本の下面収容溝を有しており、
該下面収容溝の夫々が、前記押え板を構成する押え板基板の下面側で左右対向して突設された第1、第2の溝形成突片間で形成されており、
前記下面側と対向する上面側には、左右の前記挿通孔部から該押え板の上方側に向けて延長して該押え板の外縁に連なり且つ2本の前記ピン体が収容される2本の上面収容溝が設けられており、
前記上面収容溝は、前記押え板基板を前記上面側から前記下面側に向けて凹ませ且つ該下面側に、前記挿通孔部から前記押え板の外縁に至る下突条部を形成して設けられており、
又前記下面側に、前記挿通孔部間を連結する連結突条部が設けられており、該連結突条部が、左右の前記下突条部の基端部の、前記押え板の中央部側に位置する基端部分と、該中央部側に位置する前記第1の溝形成突片の基端部分に一体に連結されることによって、外形が一連のH型を呈するH型補強突条部が形成されており、
2本の該ピン体が、前記上面収容溝及び前記下面収容溝に収容された状態で、前記押え板が、前記押えピン部材に重なるように装着された前記重なり状態を呈することができると共に、前記押え板は、該重なり状態から前記開き状態を呈するように回動できることを特徴とするシート状物押え具。
【請求項2】
前記押えピン部材は、前記挿通孔部に挿通されて地面に押し込まれる2本のピン体の上端相互が水平直線状の繋ぎ片で連結されたコ字型を呈しており、
前記連結突条部は、前記繋ぎ片を収容させ得る連結溝を、前記押え板基板を前記上面側から前記下面側に向けて凹ませることにより形成することによって前記下面側で突出された突条部を以て構成されていることを特徴とする請求項1記載のシート状物押え具。
【請求項3】
前記第1、第2の溝形成突片の前記外縁寄りの先側部分は、前記外縁に向けて、前記上面側に傾斜する傾斜面として形成されており、前記下突条部の前記外縁寄りの先側部分は、前記外縁に向けて前記上面側に傾斜する傾斜面として形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のシート状物押え具。
【請求項4】
前記上面収容溝は、前記ピン体を前記上面側に突出させない溝深さを有し、
前記連結溝は、前記繋ぎ片を、前記上面側に突出させない溝深さを有しており、
左右2個の前記挿通孔部に2本の前記ピン体を挿通させ、且つ前記繋ぎ片を前記連結溝に収容させた状態で、前記上面側をフラットに形成できることを特徴とする請求項2記載のシート状物押え具。
【請求項5】
シート状物を地面に押えて固定するシート状物押え具であって、下面側で該シート状物を地面に押えることが可能となるように開いた開き状態を呈し得る押え板と該押え板を地面に押圧する押えピン部材とを具え、該押え板と該押えピン部材は別体に形成され、該押え板は、該押えピン部材に重なる重なり状態を呈し得るように該押えピン部材に装着でき、
前記押え板には、所要間隔を置いて左右2個の挿通孔部が設けられる一方、前記押えピン部材は、両該挿通孔部に挿通されて地面に押し込まれる2本のピン体の上端相互が繋ぎ片で連結されており、
前記押え板は、前記ピン体が前記挿通孔部に挿通された状態で該両ピン体に案内されてスライドでき、前記開き状態で、前記繋ぎ片に当接した最上昇位置を呈することができ、
又、前記押えピン部材を、前記繋ぎ片が上端に位置する上下方向にし、且つ前記押え板が該押えピン部材に重なるように装着された前記重なり状態で見て、前記押え板の上面側には、左右の前記挿通孔部から該押え板の上方側に向けて延長して該押え板の外縁に連なり且つ2本の前記ピン体が収容される2本の上面収容溝を有しており、
該上面収容溝の夫々が、前記押え板を構成する押え板基板の上面側で左右対向して突設された第1、第2の溝形成突片間で形成されており、
前記下面側には、左右の前記挿通孔部から該押え板の下方側に向けて延長して該押え板の外縁に連なり且つ2本の前記ピン体が収容される2本の下面収容溝が設けられており、
前記下面収容溝は、前記押え板を構成する押え板基板を前記下面側から前記上面側に向けて凹ませ且つ該上面側に、前記挿通孔部から前記押え板の外縁に至る上突条部を形成して設けられており、
又前記上面側で、前記挿通孔部間を連結させる連結突条部が設けられており、該連結突条部は、前記左右の上突条部の基端部の、前記押え板の中央部側に位置する基端部分と、該中央部側に位置する前記第1の溝形成突片の基端部分に一体に連結されることによって、外形が一連のH型を呈するH型補強突条部が形成されており、
前記押えピン部材は、2本の前記ピン体が前記挿通孔部に挿通されて前記押え板が開いた状態で、前記繋ぎ片が前記連結突条部の上部に位置し、
2本の該ピン体が、前記上面収容溝及び前記下面収容溝に収容された状態で、前記押え板が、前記押えピン部材に重なるように装着された前記重なり状態を呈することができると共に、前記押え板は、該重なり状態から前記開き状態を呈するように回動できることを特徴とするシート状物押え具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防草シートや農業用マルチシート等のシート状物を地面に押えて固定するシート状物押え具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防草シートや農業用マルチシート等のシート状物を地面に押さえて固定するシート状物押え具の一例として、特許文献1、特許文献2、特許文献3に係るシート状物押え具が提供されている。
【0003】
これら特許文献が開示するシート状物押え具は何れも、下面側で該シート状物を地面に押えることが可能となるように開いた開き状態を呈し得る押え板と該押え板を地面に押圧する押えピン部材とを具え、該押え板と該押えピン部材は別体に形成され、該押え板は、該押えピン部材に重なる重なり状態を呈し得るよう該押えピン部材に装着できるように構成されていた。
【0004】
図16はその一例を示すものであり、前記押え板aには、所要間隔を置いて左右2個の挿通孔部b,bが設けられる一方、前記押えピン部材cは、両該挿通孔部b,bに挿通されて地面dに押し込まれる2本のピン体e,eの上端相互が繋ぎ片fで連結されていた。又前記押え板aには、前記押えピン部材cの前記ピン体e,eを収容させるための収容溝g,gが設けられており、該収容溝g,gは、前記押え板aを構成する押え板基板を、その上下面側の何れか一方から他方に向けて凹ませて形成されていた。
【0005】
今、前記押え板aを前記開き状態に回動させた状態でシート状物hを地面dに押えて固定するには、前記押えピン部材cの前記繋ぎ片fをハンマーで打圧して行うものであり、シート状物hを地面dにある程度の押圧力で押える分には、図16に示すように、それほど問題がないとしても、シート状物hを地面dに強く安定状態に押えるためには、前記押え板が地面にめり込んだ状態となるように前記繋ぎ片fをハンマーで強く打圧するのがよい。
【0006】
図17は、このような打圧によって前記押え板aが地面dにめり込んだ状態の一例を示している。従来の押え板aは、その縁側の部分の剛性不足によって、該めり込んだ状態で、前記押え板aの、前記繋ぎ片fの両側の部分k,kが、図17(A)(B)に示すように、下に凸にくの字状に屈曲した状態になり易い。特に前記押えピン部材cが、図16に一点鎖線で示すように、2本のピン体e,eの上端相互が上に凸の円弧状の繋ぎ片fで連結されたU字型を呈する場合は、該押え板aの両挿通孔部b,b間の部分j(図16)が下に凸に湾曲した状態にもなった。
【0007】
押え板aがこのように下に凸に湾曲した状態になると、次のような問題を生じさせた。即ち、第1には、前記押え板aの前記縁側の部分kが図17(A)(B)に示すように前記シート状物hから浮き上がった状態となるために、地面dに対する該シート状物hの押えが不安定化し、該シート状物hを地面dに強く安定状態に押えるという所期の目的が達成されないこととなった。第2に、このように前記縁側の部分kがシート状物hから浮き上がった状態になると、浮き上がった該縁部mにつまずく恐れがあった。第3に、前記押え板aが下に凸に湾曲した状態になると、その上面の窪み部nや、浮き上がった前記縁側の部分kと前記シート状物hとの間の隙間pに土砂がたまって草が生えやすい問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2021-100405号公報
【文献】特開2018-78821号公報
【文献】特開2022-59663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記問題点に鑑みて開発されたものであり、防草シートや農業用マルチシート等のシート状物を地面に押えて固定する際に、前記押え板が地面にめり込んだ状態となるまで前記押えピン部材の前記繋ぎ片をハンマーで打圧しても、前記押え板を下に凸に変形させにくいシート状物押え具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係るシート状物押え具の第1の態様は、シート状物を地面に押えて固定するシート状物押え具であって、下面側で該シート状物を地面に押えることが可能となるように開いた開き状態を呈し得る押え板と該押え板を地面に押圧する押えピン部材とを具え、該押え板と該押えピン部材は別体に形成され、該押え板は、該押えピン部材に重なる重なり状態を呈し得るように該押えピン部材に装着できる。前記押え板には、所要間隔を置いて左右2個の挿通孔部が設けられる一方、前記押えピン部材は、両該挿通孔部に挿通されて地面に押し込まれる2本のピン体の上端相互が繋ぎ片で連結されている。前記押え板は、前記ピン体が前記挿通孔部に挿通された状態で該両ピン体に案内されてスライドでき、前記開き状態で、前記繋ぎ片に当接した最上昇位置を呈することができる。又、前記押えピン部材を、前記繋ぎ片が上端に位置する上下方向にし、且つ前記押え板が該押えピン部材に重なるように装着された前記重なり状態で見て、前記押え板の下面側には、左右の前記挿通孔部から該押え板の下方側に向けて延長して該押え板の外縁に連なり且つ2本の前記ピン体が収容される2本の下面収容溝を有している。該下面収容溝の夫々が、前記押え板を構成する押え板基板の下面側で左右対向して突設された第1、第2の溝形成突片間で形成されており、前記下面側と対向する上面側には、左右の前記挿通孔部から該押え板の上方側に向けて延長して該押え板の外縁に連なり且つ2本の前記ピン体が収容される2本の上面収容溝が設けられている。前記上面収容溝は、前記押え板基板を前記上面側から前記下面側に向けて凹ませ且つ該下面側に、前記挿通孔部から前記押え板の外縁に至る下突条部を形成して設けられている。又前記下面側に、前記挿通孔部間を連結する連結突条部が設けられており、該連結突条部が、左右の前記下突条部の基端部の、前記押え板の中央部側に位置する基端部分と、該中央部側に位置する前記第1の溝形成突片の基端部分に一体に連結されることによって、外形が一連のH型を呈するH型補強突条部が形成されている。そして、2本の該ピン体が、前記上面収容溝及び前記下面収容溝に収容された状態で、前記押え板が、前記押えピン部材に重なるように装着された前記重なり状態を呈することができると共に、前記押え板は、該重なり状態から前記開き状態を呈するように回動できることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係るシート状物押え具の第2の態様は、前記第1の態様において、前記押えピン部材は、前記挿通孔部に挿通されて地面に押し込まれる2本のピン体の上端相互が水平直線状の繋ぎ片で連結されたコ字型を呈しており、前記連結突条部は、前記繋ぎ片を収容させ得る連結溝を、前記押え板基板を前記上面側から前記下面側に向けて凹ませることにより形成することによって前記下面側で突出された突条部を以て構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係るシート状物押え具の第3の態様は、前記第1の態様又は前記第2の態様において、前記第1、第2の溝形成突片の前記外縁寄りの先側部分が、前記外縁に向けて、前記上面側に傾斜する傾斜面として形成されており、前記下突条部の前記外縁寄りの先側部分が、前記外縁に向けて前記上面側に傾斜する傾斜面として形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係るシート状物押え具の第4の態様は、前記第2の態様において、前記上面収容溝は、前記ピン体を前記上面側に突出させない溝深さを有し、前記連結溝は、前記繋ぎ片を、前記上面側に突出させない溝深さを有しており、左右2個の前記挿通孔部に2本の前記ピン体を挿通させ、且つ前記繋ぎ片を前記連結溝に収容させた状態で、前記上面側をフラットに形成できることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るシート状物押え具の第5の態様は、シート状物を地面に押えて固定するシート状物押え具であって、下面側で該シート状物を地面に押えることが可能となるように開いた開き状態を呈し得る押え板と該押え板を地面に押圧する押えピン部材とを具え、該押え板と該押えピン部材は別体に形成され、該押え板は、該押えピン部材に重なる重なり状態を呈し得るように該押えピン部材に装着できる。前記押え板には、所要間隔を置いて左右2個の挿通孔部が設けられる一方、前記押えピン部材は、両該挿通孔部に挿通されて地面に押し込まれる2本のピン体の上端相互が繋ぎ片で連結されている。前記押え板は、前記ピン体が前記挿通孔部に挿通された状態で該両ピン体に案内されてスライドでき、前記開き状態で、前記繋ぎ片に当接した最上昇位置を呈することができる。又、前記押えピン部材を、前記繋ぎ片が上端に位置する上下方向にし、且つ前記押え板が該押えピン部材に重なるように装着された前記重なり状態で見て、前記押え板の上面側には、左右の前記挿通孔部から該押え板の上方側に向けて延長して該押え板の外縁に連なり且つ2本の前記ピン体が収容される2本の上面収容溝を有している。該上面収容溝の夫々が、前記押え板を構成する押え板基板の上面側で左右対向して突設された第1、第2の溝形成突片間で形成されており、
前記下面側には、左右の前記挿通孔部から該押え板の下方側に向けて延長して該押え板の外縁に連なり且つ2本の前記ピン体が収容される2本の下面収容溝が設けられている。前記下面収容溝は、前記押え板を構成する押え板基板を前記下面側から前記上面側に向けて凹ませ且つ該上面側に、前記挿通孔部から前記押え板の外縁に至る上突条部を形成して設けられている。又前記上面側で、前記挿通孔部間を連結させる連結突条部が設けられており、該連結突条部は、前記左右の上突条部の基端部の、前記押え板の中央部側に位置する基端部分と、該中央部側に位置する前記第1の溝形成突片の基端部分に一体に連結されることによって、外形が一連のH型を呈するH型補強突条部が形成されており、前記押えピン部材は、2本の前記ピン体が前記挿通孔部に挿通されて前記押え板が開いた状態で、前記繋ぎ片が前記連結突条部の上部に位置する。そして、2本の該ピン体が、前記上面収容溝及び前記下面収容溝に収容された状態で、前記押え板が、前記押えピン部材に重なるように装着された前記重なり状態を呈することができると共に、前記押え板は、該重なり状態から前記開き状態を呈するように回動できることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるときは、防草シートや農業用マルチシート等のシート状物を地面に押えて固定する際に、前記押え板が地面にめり込んだ状態となるまで前記押えピン部材の前記繋ぎ片をハンマーで打圧しても、前記押え板を下に凸に変形させにくくなし得、これによって、該シート状物を地面に強く安定状態に押えることができると共に、該押え板の縁側の部分がシート状物から浮き上がった状態となりにくくなし得、これによって、前記押え板の上面の窪み部や、浮き上がった前記縁側の部分と前記シート状物との間の隙間に土砂がたまって草が生えやすいという従来の問題点を解決可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るシート状物押え具の全体構成を説明する斜視図である。
図2】押え板の下面側を示す斜視図である。
図3】コ字型の押えピン部材を用いて、押え板でシート状物を地面に押えている状態を示す斜視図である。
図4】コ字型の押えピン部材を用いて、押え板でシート状物を地面に押えている状態を示す断面図である。
図5】コ字型の押えピン部材を用いて、押え板でシート状物を地面に押えている状態を示す断面図である。
図6】押え板を押えピン部材に重なり状態に装着した正面図と側面図と背面図である。
図7】押えピン部材に重なり状態にある押え板を開き状態とする作業工程を説明する説明図である。
図8】押え板の上面側を説明する平面図である。
図9】押え板の下面側を説明する背面図である。
図10】押え板でシート状物を地面に押えるに際し、U字型の押えピン部材を用いた場合を示す断面図である。
図11】連結溝が設けられていない連結突条部を具備する押え板を示す断面図である。
図12】H型補強突条部を上面側にして構成したシート状物押え具を説明する斜視図である。
図13】そのシート状物押え具を構成する押え板の下面側を示す斜視図である。
図14】そのシート状物押え具を構成する押え板を、押えピン部材に重なり状態に装着した正面図と背面図と側面図である。
図15】U字型の押えピン部材を用いて、押え板でシート状物を地面に押えている状態を示す斜視図である。
図16】従来のシート状物押え具を用いて、押え板でシート状物を地面に押えている状態を示す斜視図である。
図17】従来のシート状物押え具の問題点を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
図1~9において本発明に係るシート状物押え具1は、シート状物2を地面3に押えて固定するものであって、下面側5で該シート状物2を地面3に押えることが可能となるように開いた開き状態Aを呈し得る押え板6と該押え板6を地面3に押圧する押えピン部材7とを具える。
【0018】
該押え板6と該押えピン部材7は別体に形成され、該押え板6は、該押えピン部材7に重なる重なり状態Bを呈し得るように該押えピン部材7に装着できる。前記押え板6には、所要間隔を置いて左右2個の挿通孔部9,9が設けられる一方、前記押えピン部材7は、両該挿通孔部9,9に挿通されて地面3に押し込まれる2本のピン体10,10の上端相互が繋ぎ片11で連結されている。前記押え板6は、前記ピン体10,10が前記挿通孔部9,9に挿通された状態で該両ピン体10,10に案内されてスライドでき、前記開き状態Aで図3~5に示すように、前記繋ぎ片11に当接した最上昇位置を呈することができる。又、前記押えピン部材7を、前記繋ぎ片11が上端に位置する上下方向にし、且つ前記押え板6が該押えピン部材7に重なるように装着された前記重なり状態Bで見て、図6(A)、図8に示すように、前記押え板6の前記下面側5には、左右の前記挿通孔部9,9から該押え板6の下方側に向けて延長して該押え板6の外縁12に連なり且つ2本の前記ピン体10,10が収容される2本の下面収容溝13,13を有している。又、該下面収容溝13,13の夫々が、前記押え板6を構成する押え板基板15の前記下面側5で左右対向して突設された第1、第2の溝形成突片16,16間で形成されている。前記下面側5と対向する上面側17には、図6(C)、図9に示すように、左右の前記挿通孔部9,9から該押え板6の上方側(前記重なり状態Bで見ての上方側)に向けて延長して該押え板6の前記外縁12に連なり且つ2本の前記ピン体10,10が収容される2本の上面収容溝19,19が設けられている。該上面収容溝19は、前記押え板基板15を前記上面側17から前記下面側5に向けて凹ませ且つ該下面側5に、前記挿通孔部9から前記押え板6の前記外縁12に至る下突条部20を形成して設けられている。又前記下面側5に、前記挿通孔部9,9間を連結する連結突条部21が設けられている。該連結突条部21が、図8に示すように、左右の前記下突条部20,20の基端部22の、前記押え板6の中央部側の基端部分22aと、該中央部側に位置する前記第1の溝形成突片16aの基端部分23に一体に連結されることによって、外形が一連のH型を呈するH型補強突条部25が形成されている。そして、2本の該ピン体10,10が、図6(A)に示すように、前記上面収容溝19及び前記下面収容溝13に収容された状態で、前記押え板6が、前記押えピン部材7に重なるように装着された前記重なり状態B(図6)を呈することができると共に、前記押え板6は、該重なり状態B(図6)から前記開き状態A(図3図7)を呈するように回動できる。
以下、これを具体的に説明する。
【0019】
前記押え板6は例えば、合成樹脂製であり、図1~2、図8~9に示すように、平面視で前後の縁6a,6aが直線状を呈すると共に左右の縁6b,6bが突の円弧状を呈する楕円形板状をなし、その中央部分には所要間隔を置いて左右2個の前記挿通孔部9,9が設けられている。該挿通孔部9,9は本実施例においては図8~9に示すように、左右方向に稍長い楕円形状孔部として構成されている。
【0020】
前記押えピン部材7は、例えば図1図6に示すように、金属製の丸線材をコ字型に屈曲して形成されている。該押えピン部材7の具体的構成は、前記両挿通孔部9,9に挿通されて地面3に押し込まれる、下端8が鋭の左右2本の前記ピン体10,10の上端相互が、水平直線状を呈する前記繋ぎ片11で連結されている。
【0021】
該左右のピン体10, 10は、本実施例においては、外向きに若干開くように前記繋ぎ片11で連結されており、該両ピン体10,10を弾性的に内向きに窄めることができるようになされている。又該両ピン体10,10は、前記挿通孔部9,9を円滑に挿通でき、前記押え板6は、該両ピン体10,10に案内されてその長さ方向(上下方向)でスライドでき、図3に示すように、該押え板6が前記繋ぎ片11に当接した最上昇位置を呈することができる。ここに、「該押え板6が前記繋ぎ片11に当接」とは、該押え板6が、前記繋ぎ片11の全体若しくは、少なくとも両側部分14、14に当接した状態をいう。
【0022】
かかる構成を有する押えピン部材7と前記挿通孔部9,9の形状との関係を説明すれば次のようである。即ち、前記重なり状態Aにあっては図6(A)に示すように、該両ピン体10,10が弾性的に内向きに窄められて該ピン体10,10の挿通軸部が、楕円形状を呈する前記挿通孔部9,9の外側の孔部分15,15(図8)に存し、その外側の縁部(図6(A))に該挿通軸部が弾性的に圧接された状態にある。この状態で該両ピン体10,10間の間隔を狭めると、該両ピン体10,10の該挿通軸部が前記挿通孔部9,9の内側の孔部分18,18(図8)に存する状態となることができる。
【0023】
又前記押えピン部材7を、前記繋ぎ片11が上端に位置する上下方向にし、且つ前記押え板6が前記押えピン部材7に重なるように装着された前記重なり状態B(図6(A)で見て、前記押え板6の前記下面側5には、図8に示すように、左右の前記挿通孔部9,9から該押え板6の下方側(前記重なり状態Bで見ての下方側)に向けて延長して該押え板6の外縁( 本実施例においては、直線状をなす前記前後の縁6a,6aの何れか一方)12aに連なり且つ2本の前記ピン体10,10が収容される2本の前記下面収容溝13,13が設けられている。
【0024】
該下面収容溝13,13の夫々は、前記押え板6を構成する前記押え板基板15の前記下面側5で左右対向して突設された前記第1、第2の溝形成突片16,16間で形成されている。そして、前記押え板6の前記上面側17には、図9に示すように、左右の前記挿通孔部9,9から該押え板6の上方側(前記重なり状態Bで見ての上方側)に向けて延長して該押え板6の外縁( 本実施例においては、直線状をなす前記前後の縁6a ,6a の他方)12bに連なり且つ2本の前記ピン体10,10が収容される2本の上面収容溝19,19が設けられている。該上面収容溝19は、前記押え板基板15を前記上面側17から前記下面側5に向けて凹ませ且つ該下面側5に、前記挿通孔部9から前記押え板6の外縁12b(前記前後の縁6a,6aの他方)に至る前記下突条部20を形成して設けられている。本実施例においては、該上面収容溝19は、該ピン体10を前記上面側17に突出させない溝深さで設けられている。
【0025】
又前記上面側17には、前記繋ぎ片11を、該上面側17に突出させない溝深さで収容させ得る連結溝27が、前記押え板基板15を前記上面側17から前記下面側3に向けて凹ませ且つ該下面側5に前記連結突条部21を形成して設けられている。該連結突条部21は、前記したように、前記左右の下突条部20,20の前記基端部分22の、前記押え板6の中央部側の基端部分22aと、該中央部側に位置する前記第1の溝形成突片16aの前記基端部分23に一体に連結されることによって前記H型補強突条部25が構成されている。該H型補強突条部25を構成する前記下突条部20,20と前記連結突条部21は、本実施例においては、前記上面収容溝19と前記連結溝27の形成と同時に形成される。
【0026】
該H型補強突条部25は、前記押え板6を前記重なり状態B(図6(A))で見て、前記押え板6の前記下面側5の左右側において平行して配置されて該押え板6を補強する2本の上下方向突条部29,29(図2図8)と、2本の該上下方向突条部29,29の長さ方向の中央部相互を一体に連結する1本の前記連結突条部21とからなる。
【0027】
そして、2本の前記ピン体10,10が、前記上面収容溝19及び前記下面収容溝13に収容された状態で、前記押え板6が、前記押えピン部材7に重なるように装着された前記重なり状態B(図6)を呈することができると共に、前記押え板6は、該重なり状態Bから前記開き状態A(図3図7)に回動できる。前記押え板6は、前記押えピン部材7の長さ方向で見た任意の部位で重なるようになし得る。
【0028】
特に本実施例においては、図2図8に示すように、前記第1、第2の溝形成突片16,16の前記外縁12寄りの先側部分30,30が、前記外縁12に向けて、前記上面側17に傾斜する傾斜面30a,30aとして形成されており、又、前記下突条部20の前記外縁12寄りの先側部分31,31は、前記外縁12に向けて前記上面側17に傾斜する傾斜面31a,31aとして形成されている。該傾斜面30a,31aの、前記押え板基板15に対する傾斜角度は30度程度に設定されている。
【0029】
次に、かかる構成を有するシート状物押え具1を梱包する際の一態様を説明する。左右2個の前記挿通孔部9,9に挿通された2本の前記ピン体10,10を前記上面収容溝19,19と前記下面収容溝13,13に収容させた状態とすることにより、図6に示す前記重なり状態Bが得られる。図6に実線で示す状態は、前記押え板6を、前記左右のピン体10,10の上側の部分3に該重なり状態Bとした場合を示している。これを第1のシート状物押え具1aとする。図6に一点鎖線で示す状態は、前記押え板6を前記左右のピン体10,10の中間部分に重なり状態とした場合を示している。これを第2のシート状物押え具1bとする。該第1、第2のシート状物押え具1a,1bは、前記押え板6の面方向に該ピン体10,10の長さ方向が沿った状態を呈しており、全体として平坦状形態を呈している。
【0030】
かかる平坦状形態を有する前記第1のシート状物押え具1aと前記第2のシート状物押え具1bを、前記押えピン部材7の上下方向で見た向きを合わせて積重する。ところで前記押え板6の前記上面側17と前記下面側5には、前記のように第1、第2の溝形成突片16,16と下突条部20が設けられているため、該第1、第2の溝形成突片16a,16bと該下突条部20とによって、前記押え板6は、前記押え板基板15の厚さよりも厚いものなっている。
【0031】
このように前記押え板6は、その全体厚さが厚いために、積重されるシート状物押え具1の全ての押え板6を順次積重したとすれば、積重状態が極端に嵩張ってしまう。しかし本発明においては前記のように、前記押え板6を、前記押えピン部材7の長さ方向で見た任意の部位に配置できるため、前記押えピン部材7の長さ方向での前記押え板6の装着位置をずらして一個所における該押え板6の積重枚数を減らすことによって、嵩方向での梱包形態をコンパクトにできる。
【0032】
なお本発明において、前記第1のシート状物押え具1aのみを向きを揃えて積重状態とすることや前記第2のシート状物押え具1bのみを向きを揃えて積重状態とし、所要個数、例えば5個を積重した組を、前記押えピン部材7の上下方向で見た向きを逆向きにして順次積重するという梱包形態等を採用してもよい。
【0033】
次に、開梱後における前記シート状物押え具1の使用状態を説明する。取り出されたシート状物押え具1を用いて前記シート状物2を地面5に押さえて固定するには、前記押え板6を、下面側5で該シート状物2を地面3に押えることが可能となるように開いた前記開き状態A(図7)とする。その後、このように開いた押え板6を、前記両ピン体10,10を把持した状態にある一方の手の上部で下方から支持し、他方の手で前記繋ぎ片11をハンマーで打圧する。該打圧によって、ピン体10、10の前記下端8,8が該シート状物2を突き破って、該押えピン部材7が地面3に押し込まれていく。該シート状物2を地面5に強く押え付けるためには、前記押え板6が地面5にめり込んだ状態となるまで前記繋ぎ片11をハンマーで打圧する。
【0034】
図3~5は、前記押え板6を地面3にめり込んだ状態とし該シート状物2を地面3に強く押えている状態を示している。このように前記押え板6を、これが地面3にめり込んだ状態となるまで前記繋ぎ片11をハンマーで強く打圧しても、前記H型補強突条部25の補強作用によって該押え板6を変形させにくい。
【0035】
この補強作用を説明すれば、該押え板6が地面3にめり込んだ状態とされても、該押え板6の前記下面側5の左右側において平行して配置されている2本の上下方向突条部29,29(前記下突条部20と前記溝形成突片16とが前記連結突条部21を介して一体に連結されることによって構成されている)が前記押え板6をその下面側5で補強して、該押え板6の、前記繋ぎ片11の両側の部分35,35(図3)が、該押え板6が下に凸に湾曲変形(図3図5において矢印F1で示す湾曲変形)しようとするのを抑制する。又、前記連結突条部21が、該押え板6の両挿通孔部9,9間の部分36が下に凸に湾曲変形(図3において矢印F2で示す湾曲変形)しようとするのを抑制する。そして、かかる補強作用は、前記H型補強突条部25(図8)が全体として一体化されているために確実に得られる。
【0036】
かかることから、平板状を呈する押え板6によって前記シート状物2を地面5に強く安定状態に押えることができる。又、従来のように前記押え板6の縁側の部分37がシート状物2から浮き上がった状態となりにくいことから、従来のように浮き上がった縁部でつまずく恐れがない。更に、該縁側の部分37がシート状物2から浮き上がった状態となりにくいことから、浮き上がった該縁側の部分37とシート状物2との間の隙間や、湾曲変形によって形成された前記押え板6の上面側17の窪み部に土砂が堆積して草が生えやすいという、前記従来技術における問題を生じさせにくい。
【0037】
特に本実施例においては、図3図5に示すように、前記連結溝27が、前記繋ぎ片11を前記上面側17に突出させない溝深さで設けられているため、前記押え板6が前記シート状物2を地面5に押えた状態で、前記上面側17をフラットに形成できる。従って、該押え板6の該上面側17に土砂がたまりにくく、該上面側で草が生えにくい。
【0038】
又本実施例においては、図2図8に示すように、前記第1、第2の溝形成突片16,16の前記外縁12寄りの先側部分が、前記外縁12に向けて且つ前記上面側17に向けて傾斜する傾斜面30aとして形成されている。そのため、前記押え板6を地面5にめり込んだ状態としたとき、図5に示すように、前記シート状物2はこれらの傾斜面30a,31aに押し付けられた状態となるので、該第1、第2の溝形成突片16,16及び該下突条部20の前記外縁12寄りの部分における前記シート状物2の押えを無理なく行うことができ、前記押え板6の前記縁側の部分37が浮き上がり気味となるのを抑制できる。
【0039】
本発明に係るシート状物押え具1は、例えば図10に示すように、前記実施例に係る前記押え板6と、2本のピン体10,10の上端相互が上に凸の円弧状の繋ぎ片11で連結されてなるU字型を呈する押えピン部材7を用いて構成することもできる。この場合において使用する前記押え板6は、必要とはされない前記連結溝27が設けられている、図2に示す連結突条部21を具備するものであっても、該連結溝27が設けられていない図11に示す連結突条部21を具備するものであってもよい。
【0040】
該U字型を呈する押えピン部材7を用いてシート状物押え具を構成する場合は、図10に示すように、該押え板6の前記挿通孔部9,9の内側の縁部分44,44に前記円弧状の繋ぎ片11の両端部分45,45に当接した状態で、該押え板6が最上昇位置を呈する。この状態で該繋ぎ片11をハンマーで打圧することによって前記押えピン部材7を地面3に押し込み、前記押え板6を、これが地面5にめり込んだ状態にしても、該押え板6の両挿通孔部9,9間の部分が下に凸に湾曲した状態に変形(図10において矢印F3で示すように湾曲変形)しようとするのを抑制できる。これは、該押え板6が前記H型補強突条部25で補強されているからであり、特に、両端が前記上下方向突条部29,29に一体に連結されている前記連結突条部21(図8)で補強されているからである。
【実施例2】
【0041】
図12~15は、本発明に係るシート状物押え具1の他の実施例を示すものであり、シート状物2を地面5に押えて固定するシート状物押え具であって、実施例1におけると同様構成の押え板6を上下逆に用いて構成されている。
【0042】
即ち、該シート状物押え具1は、下面側5(図13)で該シート状物2を地面3に押えることが可能となるように開いた開き状態A(図14(C)、図15)を呈し得る押え板6と該押え板6を地面3に押圧する押えピン部材7とを具え、該押え板6と該押えピン部材7は別体に形成され、該押え板6は、図14(A)(B)に示すように、該押えピン部材7に重なる重なり状態Bを呈して該押えピン部材7に装着できるように構成されている。
【0043】
前記押え板6には、図12~13に示すように、所要間隔を置いて左右2個の挿通孔部9,9が設けられる一方、前記押えピン部材7は、両該挿通孔部9,9に挿通されて地面に押し込まれる2本のピン体10,10の上端相互が繋ぎ片11で連結されている。該押えピン部材7は、前記コ字型を呈するものであっても、前記U字型を呈するものであってもよい。
【0044】
前記押え板6は、前記ピン体10,10が前記挿通孔部9,9に挿通された状態で該両ピン体10,10に案内されてスライドできる。前記押えピン部材7が例えばコ字型を呈する場合は、該押え板6は、前記繋ぎ片11に当接(該繋ぎ片11の全体若しくは、少なくとも両側部分14,14に当接した)最上昇位置を呈することができる(図15)。又該押え板6は、図14に示すように、該押えピン部材7を、前記繋ぎ片11が上端に位置する上下方向にし、且つ前記押え板6が該押えピン部材7に重なるように装着された前記重なり状態Bで見て、図14(A)に示すように、前記押え板6の上面側17には、左右の前記挿通孔部9,9から該押え板6の上方側に向けて延長して該押え板6の外縁12に連なり且つ2本の前記ピン体10,10が収容される2本の上面収容溝19,19を有している。該上面収容溝19,19の夫々は、前記押え板6を構成する押え板基板15の上面側で左右対向して突設された第1、第2の溝形成突片16,16間で形成されている。
【0045】
前記下面側5には、図14(B)に示すように、左右の前記挿通孔部9,9から該押え板6の下方側に向けて延長して該押え板6の外縁12に連なり且つ2本の前記ピン体10,10が収容される2本の下面収容溝13,13が設けられている。該下面収容溝13,13は、前記押え板基板15を前記下面側5から前記上面側17に向けて凹ませ且つ該上面側17に、前記挿通孔部9,9から前記押え板6の外縁12に至る上突条部47、47を形成して設けられている。
【0046】
又前記上面側17で、前記挿通孔部9,9間を連結させる連結突条部49(図14(A))が設けられており、該連結突条部49は、図12に示すように前記左右の上突条部47,47の基端部50,50の、前記押え板6の中央部側の基端部分51,51と、該中央部側に位置する前記第1の溝形成突片16a,16aの基端部分52,52に一体に連結されることによって、外形が一連のH型を呈するH型補強突条部25が形成されている。
【0047】
前記押えピン部材7は、2本の前記ピン体10,10が前記挿通孔部9,9に挿通された状態で、図15に示すように、前記繋ぎ片11が前記連結突条部49の上部53に当接状態で(前記押えピン部材がコ字状を呈する場合であり、該繋ぎ片11の全体若しくは、少なくとも両側部分14、14に当接する)、或いは離れた状態(図15に一点鎖線で示す、前記押えピン部材7がU字状を呈する場合)で重なる。
【0048】
そして2本の該ピン体10,10が、図14に示すように、前記上面収容溝19,19及び前記下面収容溝13,13に収容された状態で、前記押え板6が、前記押えピン部材7に重なるように装着された前記重なり状態B(図14(A)(B))を呈することができると共に、前記押え板6は、図14(C)に示すように、該重なり状態Bから前記開き状態Aに回動できる。
【0049】
本実施例においても、かかる構成を有するシート状物押え具1は、実施例1におけると同様に前記押え板6を前記左右のピン体10,10の上側の部分や下側の部分に重なり状態で装着でき、前記押え板6の面方向に該ピン体10,10の長さ方向が沿った状態として全体として平坦状形態となし得、嵩方向での梱包形態をコンパクトにできる。
【0050】
開梱後における前記シート状物押え具1の使用状態は実施例1におけると同様であり、取り出されたシート状物押え具1を用いて前記シート状物2を地面3に押さえて固定するには、開いた状態の該押え板6(図14(C))を、前記両ピン体10,10を把持した状態にある一方の手の上部で下方から支持し、他方の手で前記繋ぎ片11をハンマーで打圧する。該打圧によって、ピン体10、10の前記下端8,8が該シート状物2を突き破って、該押えピン部材7が地面3に押し込まれていく。該シート状物2を地面5に強く押え付けるためには、前記押え板6が地面3にめり込んだ状態となるまで前記繋ぎ片11をハンマーで打圧する。
【0051】
該打圧によって、前記押え板6を地面3にめり込んだ状態としても、前記H型補強突条部25の補強作用によって該押え板6を変形させにくい。これは、前記上面側17に前記H型補強突条部25が形成されており、該H型補強突条部25の補強作用によって、該押え板6の変形が防止されるからである。
【0052】
かかることから実施例1におけると同様に、前記押え板6の縁側の部分37がシート状物2から浮き上がった状態となりにくいことから、板状を呈する押え板6によって前記シート状物2を地面に強く安定状態に押えることができる。又、該縁側の部分37がシート状物2から浮き上がった状態となりにくいことから、従来のように、浮き上がった該縁側の部分とシート状物2との間の隙間や、湾曲変形によって形成された前記押え板6の上部の窪み部に土がたまって草が生え易いという問題を生じさせにくい。
【0053】
図15に実線で示す状態は、コ字型を呈する前記シート状物押え具1を用いて前記シート状物2を地面3に固定した状態を示しており、又、図15に一点鎖線で示す状態は、U字型を呈する前記シート状物押え具1を用いて前記シート状物2を地面3に固定した状態を示している。
【実施例3】
【0054】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0055】
(1)左右の前記ピン体10, 10は、略垂直を呈する平行状態にあってもよい。
【0056】
(2)前記実施例1において前記上面収容溝19は、該上面収容溝19に前記ピン体10を収容させた状態で該ピン体10を前記上面側17に突出させる溝深さのものであってもよい。
【0057】
(3)前記押え板6の形態は、前記シート状物2を地面3に押えることができるものであれば、円板状や長方形板状、正方形板状等を呈するものであってもよい。
【0058】
(4)前記押え板6は金属製とされることもあり、又、前記押えピン部材7は合成樹脂製とされることもある。
【0059】
(5)前記シート状物2は、前記した防草シートや農業用のマルチシートの他、遮光シート、緑化用のシート等の各種のシート状を呈するものを含むものである。又、それは樹脂シートである他、不織布、寒冷紗等、各種のシート状を呈するものであってよい。
【符号の説明】
【0060】
1 シート状物押え具
2 シート状物
3 地面
5 下面側
6 押え板
7 押えピン部材
挿通孔部
10 ピン
11 繋ぎ片
12 外縁
13 下面収容溝
15 押え板基板
16 溝形成突片
17 上面側
19 上面収容溝
20 下突条部
21 連結突条部
25 H型補強突条部
27 連結溝
29 上下方向突条部
30a 傾斜面
31a 傾斜面
47 上突条部
49 連結突条部

【要約】
【課題】シート状物を押えピン部材を介して押え板で地面に押えて固定する際に、押え板が地面にめり込んだ状態となるまで押えピン部材の上端の繋ぎ片をハンマーで打圧しても、押え板を下に凸に変形させにくいシート状物押え具を提供する。
【解決手段】下面側5でシート状物2を地面3に押える押え板6と、その左右に設けた挿通孔部9,9を挿通する2本のピン体10,10の上端相互が繋ぎ片11で連結された押えピン部材7を具える。該押え板6は、挿通孔部9,9を中央部に位置させて延長する平行する2本の上下方向突条部29,29の中央部相互が連結突条部21で連結されてなる、外形が一連のH型を呈するH型補強突条部25が設けられ、該押え板6が該H型補強突条部25で補強されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17