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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】自動化フロートガラスシステム
(51)【国際特許分類】
   C03B 18/04 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
C03B18/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017542795
(86)(22)【出願日】2015-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-11-09
(86)【国際出願番号】 US2015057940
(87)【国際公開番号】W WO2016073262
(87)【国際公開日】2016-05-12
【審査請求日】2017-06-26
【審判番号】
【審判請求日】2020-03-02
(31)【優先権主張番号】62/074,176
(32)【優先日】2014-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/925,156
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、ユー
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】日比野 隆治
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-1217(JP,A)
【文献】特開昭52-94313(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第4332044(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0174130(US,A1)
【文献】実公昭52-46924(JP,Y1)
【文献】特開2011-251894(JP,A)
【文献】特開2009-107913(JP,A)
【文献】特開2001-89165(JP,A)
【文献】特開平8-253332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B18/00-18/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロートガラスシステムであって、
入口端部及び出口端部を有するフロートバスと、
前記フロートバスの内部が見えるように設置された第1のマシンビジョンカメラと、
複数のセンサーと、
前記フロートバスの内部に延びる少なくとも1つのローラ組立体であって、
バレル、
前記フロートバスの内部に延びるヘッド、並びに
前記ヘッドの回転速度、前記ヘッドの傾斜角度および前記フロートバス内の前記ヘッドの噛合いを制御する動作装置
を備える、前記少なくとも1つのローラ組立体と、
前記少なくとも1つのローラ組立体に関連付けられたローラ組立体マシンビジョンカメラと、
前記フロートバスの出口端部に隣接して設けられた出口マシンビジョンカメラと、
前記フロートバス内に設けられた一組の加熱コイルと、
前記フロートバスの入口端部に隣接して設けられ、冷却器制御装置に接続された第1の冷却器と、
前記フロートバス内に設けられたバス冷却器と、
制御システムと
を備え、
前記第1のマシンビジョンカメラ、前記ローラ組立体マシンビジョンカメラ、前記複数のセンサー、前記出口マシンビジョンカメラ、前記第1の冷却器、前記バス冷却器、前記一組の加熱コイル及び前記動作装置が、前記制御システムに接続されて、前記制御システムの動作により制御され機能するようになっており、前記冷却器制御装置は前記制御システムと電子通信し、
前記制御システムが、前記ヘッドの回転速度、前記ヘッドの傾斜角度、前記バレルの位置、前記ローラ組立体の噛み合い、前記上部空間の温度、前記溶融金属浴の温度のうちから選択される少なくとも1つのから選ばれた、望ましい幅及び/又は厚さを有するガラスリボンを提供するための所定の動作パラメータの複数の組を含み、
前記制御システムが、前記第1のマシンビジョンカメラ、前記ローラ組立体マシンビジョンカメラ、前記マシンビジョンカメラおよび前記複数のセンサー、前記出口マシンビジョンカメラ、前記第1の冷却器、前記バス冷却器、前記一組の加熱コイルからの入力に基づき前記動作パラメータを監視、更新および前記動作装置を制御して、所定幅または所定厚さのガラスリボンを形成するように前記少なくとも1つのローラ組立体の前記ヘッドの回転速度、前記ヘッドの傾斜角度および前記フロートバス内の前記ヘッドの噛合い、並びに前記フロートバス内の熱的条件を自動的に調整するようになっており、
前記複数のセンサーが、
前記溶融金属浴の温度を検出する少なくとも1つのバス温度センサーと、
前記溶融金属浴の上方のフロートバスの上部空間に設けられた少なくとも1つの空気温度センサーと、
前記フロートバス内に設置され、前記制御システムと接続された少なくとも1つのガラスリボン温度センサーと、
前記フロートバスの出口端部または出口端部の近傍に設けられ、前記ガラスリボンの厚さを測定する少なくとも1つのガラスリボン厚さセンサーと
を含む、フロートガラスシステム。
【請求項2】
前記第1のマシンビジョンカメラが前記フロートバスの前記入口端部の近傍に設置されている、請求項1に記載されたフロートガラスシステム。
【請求項3】
前記ローラ組立体の前記ヘッドが見えるように配置されたペリスコープをさらに備え、
前記ローラ組立体マシンビジョンカメラが前記ペリスコープに接続される、請求項1または請求項2に記載されたフロートガラスシステム。
【請求項4】
前記制御システムが、前記動作パラメータの最新配列、前記動作パラメータの望ましい確定配列、及び任意選択的に前記動作パラメータのステップ変更配列を含む、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたフロートガラスシステム。
【請求項5】
前記制御システムが、前記上部空間の温度を下げるようになっている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたフロートガラスシステム。
【請求項6】
前記制御システムは前記複数のセンサーからの入力に基づき前記1組の加熱コイルを制御するようになっている、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたフロートガラスシステム。
【請求項7】
前記制御システムの動作パラメータを選択および調整するために用いられる、前記制御システムに接続された入力装置を備える、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載されたフロートガラスシステム。
【請求項8】
前記制御システムがマシンビジョンソフトウェアを含む、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載されたフロートガラスシステム。
【請求項9】
フロートガラスシステムを動作させる方法であって、
入口端部及び出口端部を有するフロートバスを提供する段階と、
前記フロートバスの内部が見えるように少なくとも1つのマシンビジョンカメラを設置する段階と、
前記フロートバスの出口端部に隣接して出口マシンビジョンカメラを設ける段階と、
前記フロートバス内に一組の加熱コイルを設ける段階と、
前記フロートバスの入口端部に隣接して、冷却器制御装置に接続された第1の冷却器を設ける段階と、
前記フロートバス内にバス冷却器を設ける段階と、
前記フロートバスに接続された複数のセンサーを設ける段階と、
前記フロートバスに接続された少なくとも1つの動作装置を設ける段階であって、前記動作装置が、少なくとも1つのローラ組立体に関連付けられたローラ組立体マシンビジョンカメラを有する、前記フロートバスの内部に延びる少なくとも1つのローラ組立体を含み、前記少なくとも1つのローラ組立体は、バレル、前記フロートバスの内部に延びるヘッドを備える、少なくとも1つの動作装置を設ける段階と、
前記少なくとも1つのマシンビジョンカメラ、前記複数のセンサー、前記出口マシンビジョンカメラ、前記第1の冷却器、前記バス冷却器、前記一組の加熱コイル及び前記少なくとも1つの動作装置を、前記少なくとも1つのマシンビジョンカメラ、前記ローラ組立体マシンビジョンカメラ、前記複数のセンサー、前記出口マシンビジョンカメラ、前記第1の冷却器、前記バス冷却器、前記一組の加熱コイルからの入力に基づき動作パラメータを監視、更新および前記少なくとも1つの動作装置を制御するように構成された制御システムに接続する段階であって、前記制御システムが、前記ヘッドの回転速度、前記ヘッドの傾斜角度、前記バレルの位置、前記ローラ組立体の噛み合い、前記上部空間の温度、前記溶融金属浴の温度のうちから選択される少なくとも1つのから選ばれた、望ましい幅及び/又は厚さを有するガラスリボンを提供するための所定の動作パラメータの複数の組を含む、前記接続する段階と、
所定の幅および所定の厚さを有するガラスリボンを形成するように、前記少なくとも1つのローラ組立体の前記ヘッドの回転速度、前記ヘッドの傾斜角度および前記フロートバス内の前記ヘッドの噛合い、並びに前記フロートバス内の熱的条件を自動的に前記入力に基づいて調整する段階と
を含み、
前記複数のセンサーが、
前記溶融金属浴の温度を検出する少なくとも1つのバス温度センサーと、
前記溶融金属浴の上方のフロートバスの上部空間に設けられた少なくとも1つの空気温度センサーと、
前記フロートバス内に設置され、前記制御システムと接続された少なくとも1つのガラスリボン温度センサーと、
前記フロートバスの出口端部または出口端部の近傍に設けられ、前記ガラスリボンの厚さを測定する少なくとも1つのガラスリボン厚さセンサーと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く言えば、フロートガラスの製造に関するものであり、より詳細には、自動化されたフロートバスを有するフロートガラスシステムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
フロートガラス工程では、フロートバス内の溶融金属浴上に、炉からの溶融ガラスが注がれる。溶融ガラスは、連続ガラスリボンを形成する。フロートバス内で、ガラスリボンはサイズ決めされ冷却される。ガラスリボンがフロートバス内にある間に、ガラスリボンの上面にコーティングを施すことができる。
【0003】
従来のフロートバスでは、フロートバス内でガラスリボンの延伸および移動を行なうために、複数対の対向するトップロールが使用される。トップロールの回転速度及び傾斜角度が、ガラスリボンの幅及び厚さに影響を及ぼす。従来のフロートバスでは、トップロールは、フロートバスのそばに立つ作業員によって手動で調整される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のフロートガラスシステムにおけるフロートバスの操作は、フロートガラス製造工程全体の中で最も労働集約的な工程の1つである。これは、特にガラスリボンの厚さ及び/又は幅の変更が望まれるときに該当する。この場合、フロートバスに配置された作業員は、制御室内の工程制御監督者と連携して作業し、機械ハンドル又はレバーを使って各トップロールを手動で調整する必要がある。この工程は、労力集約的、時間集約的、且つコスト集約的である。
【0005】
また、フロートガラスリボンの厚さ及び/又は幅を調整するために克服しなければならない技術的な問題もある。例えば、トップロールの位置又は傾斜角度を調整して、望ましいリボン幅及び/又は厚さを実現するために、それぞれのフロートバス作業員を同期させることは困難である。トップロールヘッドの位置又は傾斜角度を正確に制御することは、作業員によって目視で実現されるため、作業員間でばらつく可能性がある。グラスリボンの粘度に影響を与える、フロートバスの温度プロファイルを正確に制御することも困難である。
【0006】
従って、上述の技術的問題の少なくともいくつかを低減又は排除するフロートガラスシステム及び/又は方法を提供することは有利であろう。例えば、トップロールの速度及び/又は傾きを各作業員が手動で調整する必要がないシステム及び/又は工程を提供することが望ましい。例えば、トップロールヘッドの位置及び/又は傾斜角度がより正確に調整できることが望ましい。例えば、フロートバス内部の温度プロファイル及び/又はガラスリボンの温度プロファイルがより正確に監視及び/又は制御できることが望ましい。例えば、ガラスリボンのある幅及び/又は厚さからの別の幅及び/又は厚さへの変更が、より労働集約的でない方法で実現できることが望ましい。
【0007】
フロートガラスシステムは、入口端部及び出口端部を有するフロートバスを有する。少なくとも1つのマシンビジョンカメラが、フロートバスの内部が見えるように設置される。少なくとも1つのセンサーが、フロートバスの動作パラメータを計測するためにフロートバスに接続される。少なくとも1つの動作装置が、フロートバスに接続される。これらの少なくとも1つのマシンビジョンカメラ、少なくとも1つのセンサー、及び少なくとも1つの動作装置が、少なくとも1つのマシンビジョンカメラ及び/又は少なくとも1つのセンサーからの入力に基づき、動作装置を制御するように構成された制御システムに接続される。
【0008】
フロートガラスシステムを動作させる方法は、入口端部及び出口端部を有するフロートバスを提供する段階と、フロートバスの内部が見えるように少なくとも1つのマシンビジョンカメラを設置する段階と、フロートバスの動作パラメータを計測するためにフロートバスに接続された少なくとも1つのセンサーを設ける段階と、フロートバスに接続された少なくとも1つの動作装置を設ける段階と、少なくとも1つのマシンビジョンカメラ、少なくとも1つのセンサー、及び少なくとも1つの動作装置を、少なくとも1つのマシンビジョンカメラ及び/又は少なくとも1つのセンサーからの入力に基づき、少なくとも1つの動作装置を制御するように構成された制御システムに接続する段階とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の構成を組み込んだフロートガラスシステムを示す平面図。
図2図1のフロートバスの、図1の線II-IIに沿った断面図。
図3】本発明のトップロール及び光学装置の正面図。
図4図3のトップロールの側面図。
図5】トップロールヘッドの傾斜角度を示す、トップロールの平面図。
図6】フロートバス内のガラスリボンの縁部に沿って配置されたトップロール及び光学装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「左」「右」「上方」「下方」などの本明細書に使用される空間又は方向を表す用語は、図面に示されているように本発明に関係する。本発明は様々に方向を変更したものを想定できるので、こうした用語は、限定的とみなすべきではないことを理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲に使用される全ての数字は、全ての場合において、「約」によって修飾されているものとして理解すべきである。明細書に開示される全ての範囲は、範囲の開始値及び終了値、並びにそれに含まれる任意又は全ての部分範囲を包含すると理解すべきである。明細書に記載される範囲は、その特定の範囲についての平均値を表す。
【0011】
本発明は、任意の組合せで、以下の本発明の観点を含むか、それらから成るか、又は、本質的にそれらから成る。本発明の様々な観点が、別個の図面に示されている。しかし、これらは単に例示及び説明を容易にするためのものであることを理解されたい。本発明の実施にあたって、1つの図面に示された本発明の1つ以上の観点は、その他の1つ以上の図面に示された本発明の1つ以上の態様と組み合わせることが可能である。
【0012】
本発明の例示的なフロートガラスシステム10は、1つ以上のマシンビジョンカメラ、1つ以上のセンサー、又はマシンビジョンカメラとセンサーとの組み合わせを利用して、フロートガラスシステム10のフロートバスの動作パラメータを自動的又は半自動的に制御する。動作パラメータは、望ましい厚さ及び/又は幅のガラスリボンを実現するように制御可能である。フロートガラスシステム10の構成を説明し、その後フロートガラスシステム10の動作を説明する。
【0013】
例示的なフロートガラスシステム10を図1に示す。フロートガラスシステム10は、フロートバス14の上流にガラス炉12を備える。本明細書に使用される用語「上流」及び「下流」は、ガラスリボンの移動方向を参照して表す。フロートバス14は、冷却用焼きなまし炉16の上流に設置されている。第1のコンベア18が、フロートバス14と焼きなまし炉16との間に延在する。切断ステーション20が焼きなまし炉16の下流に設置されている。第2のコンベア22が焼きなまし炉16と切断ステーション20との間に延在する。
【0014】
図1及び図2に示すように、フロートバス14は、溶融スズなどの溶融金属24の浴を有する。フロートバス14は、炉12近傍に入口端部26及び第1のコンベア18近傍に出口端部28を有する。フロートガラス工程では、炉12からの溶融ガラスをフロートバス14内の溶融金属24上に注ぐ。溶融ガラスが冷え始め、溶融金属24の上面に広がり、ガラスリボン30が形成される。
【0015】
フロートバス14の入口端部26の下流には、少なくとも1つの第1の冷却器32、すなわち入口冷却器が設置されている。第1の冷却器32はオーバーヘッド冷却装置である。すなわち、第1の冷却器32は、溶融金属24の浴の上方に設置されている。第1の冷却器32は、冷却器制御装置34と電子通信する。例えば、無線接続又は電子ケーブル36を介してである。冷却器制御装置34は、第1の冷却器32の温度を感知する温度センサーを備える。冷却器制御装置34は、第1の冷却器32の温度を調整できる。例えば、第1の冷却器32への冷却液の流れを増加又は減少させることによってである。第1の冷却器32は、フロートバス14の上部空間の温度に影響を与える。上部空間の温度を下げると溶融ガラスの冷却が促進されて溶融ガラスの粘度が高くなり、より粘度の高いガラスリボン30を形成し始める。図には第1の冷却器32の1つしか示していないが、このような冷却装置を追加して、フロートバス14内の様々な位置に設置可能であることを理解されたい。
【0016】
冷却器制御装置34は、制御システム40と電子通信する。例えば、無線接続又は電子ケーブル42を介してである。制御システム40は、ハードドライブなどの記憶装置をもつ従来のコンピュータを含む。以下に説明するように、制御システム40は、フロートバス14の動作パラメータのデータベースを含む。このデータベースは、従来のコンピュータシステム上に維持され、従来の記憶装置並びに従来の入力及び出力装置を有する電子データベースであってよい。従来のコンピュータシステムは、データベースを記憶するためのハードドライブ、光ディスクなどのデータ記憶装置と電子通信している中央処理装置(CPU)を含む。CPUは、CPUのプログラム命令を保存する1つ以上のリードオンリーメモリ(ROM)、一時記憶のためのランダムアクセスメモリ(RAM)、及び時間信号をCPUに供給するクロックとも通信できる。入力/出力装置はCPUに接続され、モニター、キーボード、マウス、タッチスクリーン、プリンタ、音声起動などの任意の従来型のものでよい。
【0017】
コンピュータシステムは、専用設計された又は従来型の適切なソフトウェアを実行して、発明の各工程を実施する。システムに利用される具体的なハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアは、特定のものである必要はなく、本発明の方法又は機能を実行するようになされた、以前より入手可能な任意のものでよい。コンピュータシステムの例が、米国特許第5,794,207号明細書、米国特許第5,884,272号明細書、米国特許第5,797,127号明細書、米国特許第5,504,674号明細書、米国特許第5,862,223号明細書、及び米国特許第5,432,904号明細書に開示されている。
【0018】
溶融金属24の上部の、フロートバス14の上部空間には、少なくとも1つの空気温度センサー44が設置されている。空気温度センサー44は、制御システム40に接続される。例えば、無線接続又は電子ケーブル46を介してである。空気温度センサー44は、フロートバス14の上部空間の温度を監視する。図には空気温度センサー44の1つしか示していないが、このようなセンサーを追加して、フロートバス14内の様々な位置に設置可能であることを理解されたい。
【0019】
少なくとも1つのバス温度センサー48が、溶融金属24の温度を検出する。バス温度センサー48は、従来の任意の方法で制御システム40に接続される。例えば、無線接続又は電子ケーブルを介してである。図にはバス温度センサー48の1つしか示していないが、このようなセンサーを追加して、フロートバス14内部の様々な位置に設置可能であることを理解されたい。
【0020】
フロートバス14の入口端部26近傍には、少なくとも1つのマシンビジョンカメラが設置されている。以下に更に詳細に説明するように、この少なくとも1つのマシンビジョンカメラは、マシンビジョンシステムの一部である。図1に示す例では、第1のマシンビジョンカメラ50が、フロートバス14の内部の一方の側面が見えるように配置され、第2のマシンビジョンカメラ52が、フロートバス内部の反対の側面が見えるように配置されている。マシンビジョンカメラ50及び52は、フロートバス14の外側に、フロートバス14の窓に位置あわせして設置できる。あるいは、第1及び第2のマシンビジョンカメラ50及び52は、フロートバス14内の筐体内に設置できる。第1及び第2のマシンビジョンカメラ50及び52は、フロートバス14の入口端部26の、またはその近くのガラスリボン30が見えるように配置される。第1のカメラ50及び第2のカメラ52は、従来の任意の方法で、制御システム40と電子通信する。例えば、無線接続又は電子ケーブル54及び56を介してである。マシンビジョンカメラ用のマシンビジョンソフトウェアは、制御システム40に保存可能である。
【0021】
対向するローラ組立体60の複数の組が、フロートバス14の側部に沿って設置され、フロートバス14の内部に向かって延出している。ローラ組立体60は、回転ヘッド66に接続されたシャフト又はバレル64を有するトップロール62を有する。図3及び図4に示すように、ヘッド66は、フロートリボン30をとらえるように構成された複数の外周歯68を有する。ローラ組立体のヘッド66が回転すると、フロートリボン30は溶融金属24の上面に沿って引っ張られる。ヘッド66の回転速度が、ガラスリボン30の厚さに影響を及ぼす。他の全てのパラメータが同じであれば、回転速度が速いほど、ガラスリボン30は薄くなる。ヘッド66の角度(又は傾斜)によって、ガラスリボン30の幅に影響を与えることが可能である。例えば、ヘッド66を外向きに傾けると、ガラスリボン30の幅が広がる。ヘッド66を内向きに傾けると、ガラスリボン30の幅が狭まる。ヘッド66を傾けると、ガラスリボン30の厚さにも影響を与える場合がある。フロートバス14は、4対から10対の対向するローラ組立体60を有することができる。例えば、5対から9対、例えば7対である。
【0022】
トップロール62は、ヘッド66の回転速度、ヘッド66の傾斜角度、及びガラスリボン30内へのヘッド66の深さ(すなわち、噛合い)を制御するサーボ機構などの動作装置70を有する。動作装置70は、制御器72に接続される。例えば、無線接続又は電子ケーブルを介してである。制御器72は、制御システム40と電子通信する。例えば、無線接続又は電子ケーブルを介してである。
【0023】
図5に示すように、ローラ組立体のヘッド66の「傾斜角度」は、フロートバス14の中心線CLに平行な線58と、ヘッド66を通って延びる(すなわち、ヘッド66が指す方向を示す)線59とがなす角度57を意味する。ヘッド66がフロートバス14の隣接する壁(すなわち外側)を向いている場合、これによってフロートガラスリボン30は引き延ばされ、幅が広くなる。ヘッド66が内側を(フロートバス14の隣接する壁から遠ざかるように)向いている場合、これによってフロートガラスリボン30の幅が狭まる。
【0024】
ローラ組立体60は、ペリスコープ74などの光学装置を備えることができる。ペリスコープ74は、フロートバス14内部へと延出し、トップロール62のヘッド66が見えるように配置される。ローラ組立体マシンビジョンカメラ76は、ペリスコープ74を通して見るように配置できる。カメラ76は、制御システム40に接続される。例えば、無線接続又は電子ケーブルを介してである。下記のように、ペリスコープ74は、フロートガラスリボン30の側縁部を見るように配置してもよい。
【0025】
代替として、外部マシンビジョンカメラ78をローラ組立体60に関連付けてもよく、フロートバス14の側部の窓80を通してフロートバス14の内部を見るように配置してもよい。外部カメラ78は、制御組立体40に接続してよい。例えば、無線接続又は電子ケーブルを介してである。外部マシンビジョンカメラ78は、フロートガラスリボン30の側縁部を見るように配置してよい。
【0026】
フロートバス14の内部には、複数の加熱コイル82が配置されている。これらの加熱コイル82は、フロートバス14の上部に設置でき、ガラスリボン30の高さの上方まで下方向に延びることができる。加熱コイル82は、制御装置84に接続されている。例えば、無線接続又は電子ケーブルによってである。制御装置84は加熱コイル82の温度を感知し制御する。制御装置84は、制御システム40に接続される。例えば、無線接続又は電子ケーブルによってである。
【0027】
フロートバス14内には、複数のバス冷却器86が設置される。例えば、加熱コイル82の下流である。例えば、冷却器86は、溶融金属24内に延びるパイプ冷却器でよい。冷却器86は、制御装置88に接続される。例えば、無線接続又は電子ケーブルによってである。制御装置88は、冷却器86の温度を感知し制御する。制御装置88は、制御システム40に接続される。例えば、無線接続又は電子ケーブルによってである。
【0028】
フロートバス14の出口端部28の近傍には、少なくとも1つの厚さセンサー90が設置される。厚さセンサー90は、制御システム40に接続される。例えば、無線接続又は電子ケーブルによってである。厚さセンサー90は、例えば、光学式厚さスキャナー、マシンビジョンカメラ、又は従来の任意の厚さ測定装置でよい。厚さセンサー90は、フロートバスの出口端部28にて、又はその近傍で、ガラスリボン30の厚さを測定する。厚さセンサー90は、フロートバス14の出口端部28の外側に設置できる。あるいは、厚さセンサー90は、フロートバス14の内部に設置できる。
【0029】
フロートバス14の出口端部28に、又はその近傍に、少なくとも1つの出口マシンビジョンカメラ92が配置される。出口カメラ92は、制御システム40に接続される。例えば、無線接続又は電子ケーブルによってである。出口マシンビジョンカメラ92は、フロートバス14内に設置してよい。あるいは、出口マシンビジョンカメラ92は、フロートバス14の出口端部28の外側に設置できる。
【0030】
表示及び入力装置94が、制御室96に設置され、制御システム40に接続される。表示及び入力装置94は、従来のコンピュータモニター及びキーボードでよい。
【0031】
ガラスリボン30の様々な位置の温度を測定するために、1つ以上のガラスリボン温度センサー98がフロートバス14内に設置される。図1及び図2には、フロートバス14の出口端部28近傍に配置されたガラスリボン温度センサー98が示されている。ガラスリボン温度センサー98は、従来の熱式又は光学式温度センサーでよい。ガラスリボン温度センサー98は、制御システム40に接続される。例えば、無線接続経由、又は電子ケーブルによってである。
【0032】
次に、フロートガラスシステム10の例示的な工程を説明する。
【0033】
フロートバス14の入口端部26において、溶融ガラスが溶融金属24上に注がれる。第1の冷却器32により初期冷却することによって、溶融ガラスの粘度が増し、ガラスリボン30が形成される。トップロールヘッド66がガラスリボン30の上面と噛合い、フロートバス内を溶融金属24の上面に沿ってガラスリボン30を移動させる、すなわち引っ張る。ヘッド66の回転速度は、フロートバスを通るガラスリボン30の速度に影響する。一般には、ヘッド66の回転速度が速いほど、ガラスリボン30は薄くなる。ヘッド66の傾斜角度は、リボン30の幅に影響する(また、これはガラスリボンの厚さにも影響する場合がある)。ヘッド66が外向きに傾いている場合、これによってガラスリボン30の幅が増加する(また、ガラスリボン30の厚さが減少する場合もある)。バレル位置及び/又は長さ、ヘッド角度、ヘッド速度、トップロール62の噛合いが、ローラ組立体60の動作装置70に接続された制御器72によって制御される。
【0034】
加熱コイル82が、フロートバス14の上部空間の温度に影響を与える。バス冷却器86が、溶融金属24の温度に影響を与える。これらの両方がガラスリボン30の粘度に影響を与えることができ、それによって、ガラスリボン30の厚さ及び/又は幅に影響を与えることができる。一般に、フロートバス14内部の温度が高いほど、ガラスリボン30は薄く広くなる。
【0035】
これまで、従来のフロートバスでは、フロートバス作業員が動作パラメータを手動で設定及び調整し、ガラスリボンの望ましい幅及び厚さを得ていた。これらの動作パラメータの例としては、例えば、バレル位置、ヘッド角度、ヘッドの回転速度、及びローラ組立体の噛合い、並びに/又は上部空間の温度、並びに/又は溶融金属の温度であり、フロートバス作業員がこれらを手動で設定及び調整して、ガラスリボンの望ましい幅及び厚さを得ていた。
【0036】
しかし、本発明のフロートバス14の動作パラメータは、自動的又は半自動的に設定又は調整することが可能である。「自動的」とは、作業員又は監督者の承認を得る必要がないということを意味する。「半自動的」とは、制御システム40がフロートバス14の1つ以上の動作パラメータを変更する前に、作業員又は監督者の承認が必要であることを意味する。
【0037】
例えば、特定の組成によるガラスリボンの、望ましい厚さ及び/又は幅を実現するための、フロートバス動作パラメータの様々な「レシピ」が制御システム40に保存されている。例えば、これらのレシピは、コンピュータのハードドライブに保存できる。例えばレシピは、特定の幅及び/又は厚さのガラスリボンを提供するために時間をかけて求められたフロートバス動作パラメータである先行の手動設定によって求めることができる。また制御システム40は、フロートバス14に付随するマシンビジョンカメラ用に画像処理を行うためのマシンビジョンソフトウェアを含むことができる。例示的なマシンビジョンカメラ及びマシンビジョンソフトウェアは、Cognex Corporation、Banner Engineering、及びMicroscan systems Inc.から入手可能である。
【0038】
フロートバス14の最新の動作パラメータは、フロートバス14内に設置された各種センサーによって制御システム40に供給される。例えば、フロートバス14の上部空間の様々な位置の温度は、空気温度センサー44によって供給される。ガラスリボン30の様々な位置の温度は、ガラスリボン温度センサー98によって供給される。バレル位置、ヘッド速度、ヘッド角度、及び噛合いは、ローラ組立体60の制御器72によって供給される。溶融金属24の温度は、バス温度センサー48によって供給される。ガラスリボン30の厚さは、厚さセンサー90によって供給される。これらの動作パラメータは、各種センサーによって、制御システム40中で自動的に更新される。例えば、動作パラメータは1秒毎から60秒毎の範囲で、具体的には1秒毎から10秒毎の範囲で、より具体的には1秒毎から2秒毎の範囲で更新できる。
【0039】
マシンビジョンカメラは、ガラスリボン30の幅及び/又は厚さを監視及び/又は調整するために使用できる。第1のマシンビジョンカメラ50及び第2のマシンビジョンカメラ52は、フロートバス14の入口端部26近傍のガラスリボン30の側縁部の画像を提供する。これらの画像は、制御システム40に供給されて、ガラスリボン30の左右の側縁部のマシンビジョン位置を提供するためにマシンビジョン画像処理ソフトウェアによって処理され、それによって、フロートバス14の入口端部26近傍のガラスリボン30の幅を決定する。
【0040】
ローラ組立体60に付随するローラ組立体マシンビジョンカメラ76(又は外部マシンビジョンカメラ78)は、ガラスリボン30の側縁部のマシンビジョン位置と、ガラスリボン30の側縁部からのヘッド66との距離を提供する。
【0041】
出口カメラ92は、フロートバス14の出口端部28近傍の、ガラスリボン30の側縁部のマシンビジョン画像を供給し、これによって、フロートバス14の出口端部28近傍のガラスリボン30の幅が決定される。
【0042】
制御室96の作業員は、フロートバス14内の種々のセンサーによって供給されるデータから、フロートバス14の最新の動作パラメータを見る又は監視できる。作業員は、マシンビジョンシステムによって求められたガラスリボン30の幅及び/又は厚さを監視又は見ることができる。例えば、これらのデータはコンピュータ画面上に表示できる。
【0043】
ガラスリボン30の幅及び/又は厚さを変更したい場合、望ましい幅又は及び厚さを実現するフロートバス14の動作パラメータは、制御室96内の作業員によって、制御システム40を利用して設定又は調整でき、フロートバス14の近くに配置された人員による手動調整の必要がない。
【0044】
種々のレシピ(所定の幅及び/又は厚さのガラスリボン30を提供するためのフロートバス動作パラメータ)又はプログラムは、制御システム40に保存されている。例えば、ヘッド速度、ヘッド角度、バレル位置、噛合い、ガラス温度、溶融金属温度、及び/又は上部空間温度などのパラメータは、制御システム40のハードドライブに保存してよい。これらのレシピは、特定の幅及び/又は厚さのガラスリボン30を実現するために過去に使用されたフロートバスの手動設定に基づいて求めることができる。
【0045】
作業員は、入力装置94で新しいパラメータを制御システム40に入力することによって、1つ以上の動作パラメータを調整できる。これらの新しいパラメータは、制御システム40に保存されたガラス組成用のレシピにリスト化され、特定の幅及び/又は厚さを有するガラスリボン30を提供するために選択することができる。次に、制御システム40は、例えば、ヘッド速度、ヘッド角度、及び上部空間温度などのフロートバス動作パラメータを、指定されたように電子的に調整して、これらの動作パラメータを変更する。作業員は、ガラスリボン30の厚さ及び幅へのこれらの変更の結果を、厚さスキャナー90及びマシンビジョン出口カメラ92からの信号によって監視できる。作業員は、望ましい幅及び/又は厚さを実現するために、1つ以上の動作パラメータを調整できる。
【0046】
あるいは、ガラスリボン30の幅及び/又は厚さは、制御システム40によって、自動的に調整又は変更できる。例えば、所定の厚さ及び/又は幅のガラスリボン28を提供するために、フロートバス14内の温度条件及び又はローラ組立体42の動作パラメータを自動的に調整することによってである。
【0047】
フロートバス14の動作パラメータは、フロートバス14内及びその周辺に設置されたセンサー及びマシンビジョンカメラ経由で得られ、コンピュータシステム40内で自動的に更新される。例えば、ヘッド速度、ヘッド角度、バレルの金属バスに入る長さ、ヘッドのガラスリボンに入る深さ(噛合い)の最新値は、制御システム40に送信され、配列(最新値の配列)に保存できる。これらの最新値は、頻繁に、例えば、1~60秒毎に更新できる。たとえば1~10秒毎や、1~2秒毎などである。このように、最新の動作パラメータは継続的に更新され、制御システム40に保存される。フロートバス14の出口端部28におけるガラスリボン30の幅は、制御システム40に保存されたマシンビジョンソフトウェアと連動する出口マシンビジョンカメラ92によって提供され更新することができる。
【0048】
ガラスリボン30の幅及び/又は厚さを変更するためには、1つのレシピ、すなわち望ましい幅及び/又は厚さを実現するためのフロートバス動作パラメータの確定目標配列(確定値配列)を、制御システム40に保存されたレシピから選択する。フロートバス14の最新動作パラメータが、最新値の配列に反映される。望ましい幅及び/又は厚さを実現するための、望ましい新しい動作パラメータが、確定値の配列に反映される。最新の動作パラメータから新しい確定動作パラメータへのスムーズな移行を実現するために、制御システム40は、特定の動作パラメータに対する変更の、所定時間内の変更規模を定義するステップ変更配列と、最新の動作パラメータから新しい確定動作パラメータへの変更を完了させるための時間パラメータとを含んでもよい。
【0049】
上部空間温度、バス温度などのフロートバスの他の動作パラメータのために、同様の最新配列、確定配列、及びステップ変更配列を作成し保存できる。
【0050】
制御システム40は、最新動作パラメータから確定動作パラメータへの変更が自動的に行われるようにプログラムできる。例えば、制御室96の作業員が(例えば、入力装置94を使用して)制御システム40の記憶装置からレシピを選択すると、作業員からの追加の入力が無くても、制御システム40がフロートバス14の動作パラメータに必要な変更を行うようにプログラムできる。あるいは、変更は半自動的に行われてもよい。すなわち、望ましいレシピが選択された後に、制御システムが、フロートバス動作パラメータの調整を継続するために、変更中に1回以上、作業員に確認入力を要求してもよい。この入力が無いと、制御システム40は動作パラメータの変更を継続しないようになっている。
【0051】
説明用として、例示的な最新値の配列(フロートバス14の最新動作パラメータ)が、15メートル幅及び1.8ミリメートル(mm)厚のガラスリボン30を提供するための、1分あたり20回転(rpm)のヘッド速度、20度の外側への傾斜角度、1メートルのバレル長さ、1センチメートルの噛合い、及び640℃の上部空間温度を含む。この厚さは、自動車用ガラスの生産として典型的である。
【0052】
しかし、建築用ガラス、例えば、10メートル幅及び12mm厚のガラスの製造の開始が望ましい場合は、制御作業員は制御システム40のデータベース内において、望ましい幅及び厚さを提供する動作パラメータ(確定値の配列)を検索する。例えば、作業員は、確定値の配列が、自動モードで、10rpmのヘッド速度、5度内向きの傾斜角度、2メートルのバレル長さ、1.5センチメートルの噛合い、及び550℃の上部空間温度と想定して、確定値の配列を選択できる。制御システム40は、自動的にヘッド速度を下げ、傾斜角度を減らし、ヘッドをガラスリボン内に押し下げ、上部空間温度を下げる(例えば、冷却器32への冷却剤の流れを増加させ、且つ/又は加熱コイル82の温度を下げる)。作業員は、(バス内の様々なセンサーによって提供される)動作パラメータの変化を監視でき、また、(出口マシンビジョンカメラ92を介して)ガラスリボン30の幅への影響、及び(厚さセンサー90を介して)ガラスリボン30の厚さへの影響も監視できる。
【0053】
ステップ変更配列によって、動作パラメータの最新値から望ましい確定値への変更速度を決定できる。例えば、ステップ変更配列は、1つ以上の動作パラメータの変更を、単位時間あたり所定の量以下に制限できる。例えば、10分あたり(切換中に継続的に更新される)最新値の配列の20パーセントを超える変化を許容しないようにするなどである。これによって、新しい動作パラメータへのスムーズな移行が可能になる。
【0054】
ガラスリボン30の幅及び/又は厚さに加えてトリム制御を行うためにローラ組立体60及び制御システム40を使用できる。「トリム制御」とは、ガラスリボン30の、ヘッド66よりも外側の幅を意味する。ガラスリボン30のこの縁部は、通常切り取られ、再利用されるか又は廃棄される。図3図5に示すように、ガラスリボン30のヘッド66から縁部108までの距離106を確認するために、ペリスコープ74及び付随するマシンビジョンカメラ76を使用できる。距離106は、ヘッド66の位置をガラスリボン30の縁部108に対して調整することによって、制御室96の作業員が制御できる。あるいは、距離106は、望ましいトリムを実現するためにマシンビジョンカメラ76及び付随するソフトウェアが決めた距離106に基づいてヘッド66の位置を調整することによって、制御システム40が自動的に制御できる。
【0055】
本発明は、以下の番号を付した項によって更に説明することができる。
【0056】
項1:入口端部26及び出口端部28を有するフロートバス14を備えたフロートガラスシステム10。フロートバス14は、ガラスリボン30の厚さを測定するための少なくとも1つのガラスリボン厚さセンサー90と、ガラスリボン30の幅を測定するための少なくとも1つのマシンビジョンカメラ50、52、76、92とを備える。少なくとも1つの厚さセンサー90及び少なくとも1つのマシンビジョンカメラ50,52,76、92は、制御システム40に接続される。制御システム40は、望ましい幅及び/又は厚さのガラスリボン30を得るための複数のフロートバス動作パラメータを含む。
【0057】
項2:フロートバス14の入口端部26の下流に設置された少なくとも1つの第1の冷却器32を備える、項1のフロートガラスシステム10。第1の冷却器32は、制御システム40に動作可能に接続されている。
【0058】
項3:フロートバス14の上部空間に設置され、制御システム40に動作可能に接続された少なくとも1つの空気温度センサー44を備える、項1又は項2のフロートガラスシステム10。
【0059】
項4:フロートバスに設置され、制御システム40に動作可能に接続された少なくとも1つのバス温度センサー48を備える、項1~項3のいずれかのフロートガラスシステム10。
【0060】
項5:フロートバス14の入口端部26の近傍に設置され、制御システム40に動作可能に接続された少なくとも1つの入口マシンビジョンカメラを備える、項1~項4のいずれかのフロートガラスシステム10。
【0061】
項6:フロートバス14の内部の一方の側面が見えるように配置された第1の入口マシンビジョンカメラ50と、フロートバス内部の対向する側面が見えるように配置された第2の入口マシンビジョンカメラ52とを備える、項1~項5のいずれかのフロートガラスシステム10。
【0062】
項7:フロートバス14の側部に沿って設置され、フロートバス14の内部へ延び、制御システム40に動作可能に接続されている、対向するローラ組立体60の複数の組を備える、項1~項6のいずれかのフロートガスシステム101。
【0063】
項8:ローラ組立体60が、回転可能及び/又は旋回可能なヘッド66に接続されたバレル64を有するトップロール62を備える、項7のフロートガラスシステム10。
【0064】
項9:ローラ組立体60が、フロートバス14の内部に延び、トップロール62のヘッド66が見えるように配置された、ペリスコープ74などの光学装置を備える、項7又は項8のフロートガラスシステム10。
【0065】
項10:ペリスコープ74を介して見るように配置され、制御システム40に動作可能に接続されたローラ組立体マシンビジョンカメラ76を備える、項9のフロートガラスシステム10。
【0066】
項11:ローラ組立体60に付随し、窓80を介してフロートバス14の内部が見えるようにフロートバス14の側部に配置され、制御組立体40に動作可能に接続された外部マシンビジョンカメラ78を備える、項7又は項8のフロートガラスシステム10。
【0067】
項12:フロートバス14の内部に配置され、制御システム40に動作可能に接続された複数の加熱コイル82を備える、項1~項11のいずれかのフロートガラスシステム10。
【0068】
項13:フロートバス14内に設置され、制御システム40に動作可能に接続された少なくとも1つのバス冷却器86を備える、項1~項12のいずれかのフロートガラスシステム10。
【0069】
項14:少なくとも1つの厚さセンサー90が、フロートバス14の出口端部28の近傍に設置された、項1~項13のいずれかのフロートガラスシステム10。
【0070】
項15:フロートバス14の出口端部28に、又はその近傍に配置され、制御システム40に動作可能に接続された、少なくとも1つの出口マシンビジョンカメラ92を備える、項1~項14のいずれかのフロートガラスシステム10。
【0071】
項16:制御システム40に接続された表示及び入力装置94を備える、項1~項15のいずれかのフロートガラスシステム10。
【0072】
項17:フロートバス14内に配置され、制御システム40に動作可能に接続された少なくとも1つのガラスリボン温度センサー98を備える、項1~項16のいずれかのフロートガラスシステム10。
【0073】
項18:フロートガラスシステム10のフロートバス14を動作させる方法であって、ガラスリボン30の望ましい厚さ及び/又は幅を実現するためのフロートバス動作パラメータの複数の「レシピ」を制御システム40に保存すること、最新フロートバス動作パラメータの配列(最新配列)を決定すること、ガラスリボン30の幅及び/又は厚さを実現する望ましい動作パラメータの配列(確定配列)を定義するフロートバス動作パラメータのレシピを選択すること、並びにフロートバス14の動作パラメータを、望ましい動作パラメータに調整することを含む方法。
【0074】
項19:レシピが、特定の幅及び/又は厚さのガラスリボンを提供するために求められた先行のフロート動作パラメータの手動設定によって求められる、項18の方法。
【0075】
項20:制御システム40が、フロートバス14に付随するマシンビジョンカメラ用のマシンビジョンソフトウェアを含む、項18又は項19の方法。
【0076】
項21:フロートバス14の最新の動作パラメータが、フロートバス14内に設置されたセンサーによって制御システム40に供給される、項18~項20のいずれかの方法。
【0077】
項22:動作パラメータが、フロートバス14の上部空間の温度を含む、項18~項21のいずれかの方法。
【0078】
項23:動作パラメータが、ガラスリボン30の温度を含む、項18~項22のいずれかの方法。
【0079】
項24:動作パラメータが、ローラ組立体60のバレル位置を含む、項18~項23のいずれかの方法。
【0080】
項25:動作パラメータが、ローラ組立体60のヘッド速度を含む、項18~項24のいずれかの方法。
【0081】
項26:動作パラメータが、ローラ組立体60のヘッド傾斜角度を含む、項18~項25のいずれかの方法。
【0082】
項27:動作パラメータが、ローラ組立体60の噛合いを含む、項18~項26のいずれかの方法。
【0083】
項28:動作パラメータが、フロートバス14内の溶融金属24の温度を含む、項18~項27のいずれかの方法。
【0084】
項29:動作パラメータが、ガラスリボン30の厚さを含む、項18~項28のいずれかの方法。
【0085】
項30:動作パラメータが、ガラスリボン30の幅を含む、項18~項29のいずれかの方法。
【0086】
項31:動作パラメータの少なくとも1つが、制御システム40において自動的に更新される、項18~項30のいずれかの方法。
【0087】
項32:動作パラメータの少なくとも1つが、1秒毎~60秒毎の範囲で、具体的には1秒毎~10秒毎の範囲で、より具体的には1秒毎~2秒毎の範囲で更新される、項18~項31のいずれかの方法。
【0088】
項33:ガラスリボン30の幅及び/又は厚さの監視及び/又は調整のための少なくとも1つのマシンビジョンカメラ50,52,78,92を備える、項18~項32のいずれかの方法。
【0089】
項34:フロートバス14の入口端部26の近傍のガラスリボン30の幅を提供するための、フロートバス14の入口端部26の近傍の第1の入口マシンビジョンカメラ50及び第2の入口マシンビジョンカメラ52を備える、項18~項33のいずれかの方法。
【0090】
項35:ガラスリボン30の側縁部からローラ組立体ヘッド66までの距離を提供するための、フロートバス14のローラ組立体60に付随するローラ組立体マシンビジョンカメラ76又は外部マシンビジョンカメラ78を備える、項18~項34のいずれかの方法。
【0091】
項36:フロートバス14の出口端部28近傍のガラスリボン30の幅を提供するための、フロートバス14の出口端部28近傍の少なくとも1つの出口マシンビジョンカメラ92を備える、項18~項35のいずれかの方法。
【0092】
項37:最新動作パラメータから確定動作パラメータに調整するために、少なくとも1つの動作パラメータに対する変更の、所定時間内の変更規模を決定するステップ変更配列を選択することを含む、項18~項36のいずれかの方法。
【0093】
項38:レシピが選択されると、作業員からの追加の入力がなくても、制御システム40が最新動作パラメータから確定動作パラメータへと動作パラメータを変更する、項18~項37のいずれかの方法。
【0094】
項39:望ましいレシピを選択した後、フロートバス動作パラメータの調整を継続するために、制御システム40が少なくとも1度の確認入力を求める、項18~項37のいずれかの方法。
【0095】
項40:制御システム40が、ローラ組立体のヘッド66の外側のガラスリボン30の幅を調整及び/又は制御するために、ローラ組立体ヘッド66の位置を調整及び/又は制御する、項18~項39のいずれかの方法。
【0096】
項41:フロートガラスシステム10が、入口端部26及び出口端部28を有するフロートバス14を備えている。少なくとも1つのマシンビジョンカメラ50、52、76、92が、フロートバス14の内部が見えるように設置される。少なくとも1つのセンサー44、48、90、98が、フロートバス14の少なくとも1つの動作パラメータを計測するために、フロートバス14に接続される。少なくとも1つの動作装置32、60、82、86が、フロートバス14に接続される。少なくとも1つのマシンビジョンカメラ50、52、76、92、少なくとも1つのセンサー44、48、90、98、及び少なくとも1つの動作装置32、60、82、86が、制御システム40に動作可能に接続される。制御システム40は、少なくとも1つのマシンビジョンカメラ50、52、76、92及び/又は少なくとも1つのセンサー44、48、90、98からの入力に基づき、少なくとも1つの動作装置32、60、82、86を制御する。
【0097】
項42:少なくとも1つのマシンビジョンカメラが、フロートバスの入口端部26の近傍に設置された少なくとも1つの入口マシンビジョンカメラ50、52を備える、項41のシステム10。
【0098】
項43:少なくとも1つのマシンビジョンカメラが、フロートバスの出口端部28の近傍に設置された、少なくとも1つの出口マシンビジョンカメラ92を備える、項41又は項42のシステム10。
【0099】
項44:すくなくとも1つのマシンビジョンカメラが、少なくとも1つのローラ組立体マシンビジョンカメラ76を備える、項41~項43のいずれかのシステム10。
【0100】
項45:少なくとも1つのマシンビジョンカメラが、少なくとも1つの外部マシンビジョンカメラ78を備える、項41~項44のいずれかのシステム10。
【0101】
項46:すくなくとも1つのセンサーが、少なくとも1つの空気温度センサー44を備える、項41~項45のいずれかのシステム10。
【0102】
項47:少なくとも1つのセンサーが、少なくとも1つのバス温度センサー48を備える、項41~項46のいずれかのシステム10。
【0103】
項48:少なくとも1つのセンサーが、少なくとも1つのガラスリボン厚さセンサー90を備える、項41~項47のいずれかのシステム10。
【0104】
項49:少なくとも1つのセンサーが、少なくとも1つのガラスリボン温度センサー98を備える、項41~項48のいずれかのシステム10。
【0105】
項50:少なくとも1つの動作装置が、少なくとも1つの冷却器32を備える、項41~項49のいずれかのシステム10。
【0106】
項51:少なくとも1つの動作装置が、少なくとも1つのローラ組立体60を備える、項41~項50のいずれかのシステム10。
【0107】
項52:少なくとも1つの動作装置が、少なくとも1つの加熱コイル82を備える、項41~項51のいずれかのシステム10。
【0108】
項53:少なくとも1つの動作装置が、少なくとも1つのバス冷却器86を備える、項41~項52のいずれかのシステム10。
【0109】
項54:少なくとも1つの動作パラメータが、フロートバス14の上部空間の温度を含む、項41~項53のいずれかのシステム10。
【0110】
項55:少なくとも1つの動作パラメータが、ガラスリボン30の温度を含む、項41~項54のいずれかのシステム10。
【0111】
項56:少なくとも1つの動作パラメータが、ローラ組立体60のバレル位置を含む、項41~項55のいずれかのシステム10。
【0112】
項57:少なくとも1つの動作パラメータが、ローラ組立体60のヘッド速度を含む、項41~項56のいずれかのシステム10。
【0113】
項58:少なくとも1つの動作パラメータが、ローラ組立体60のヘッド傾斜角度を含む、項41~項57のいずれかのシステム10。
【0114】
項59:少なくとも1つの動作パラメータが、ローラ組立体60のヘッド66の噛合いを含む、項41~項58のいずれかのシステム10。
【0115】
項60:少なくとも1つの動作パラメータが、フロートバス14内の溶融金属24の温度を含む、項41~項59のいずれかのシステム10。
【0116】
項61:少なくとも1つの動作パラメータが、ガラスリボン30の厚さを含む、項41~項60のいずれかのシステム10。
【0117】
項62:少なくとも1つの動作パラメータが、ガラスリボン30の幅を含む、項41~項61のいずれかのシステム10。
【0118】
項63:制御システム40が、ガラスリボン30の望ましい厚さ及び/又は幅(確定配列)を実現するための、フロートバス動作パラメータの複数のレシピを含むデータベースを備える、項41~項62のいずれかのシステム10。
【0119】
項64:制御システム40が、最新フロートバス動作パラメータの配列(最新配列)を含むデータベースを備える、項41~項63のいずれかのシステム10。
【0120】
項65:制御システム40が、少なくとも1つの動作パラメータに対する変更の、所定時間内の変更規模を決定するステップ変更配列を含むデータベースを備える、項41~項64のいずれかのシステム10。
【0121】
当業者は、上記記載において開示された概念から逸脱することなく、上記の変更が本発明に可能であることを容易に理解するであろう。従って、本明細書中に詳細に記載した具体例は例示にすぎず、添付の特許請求の範囲並びにその任意及び全ての均等物の全範囲が付与される本発明の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6