(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】チップ及びインクカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
B41J2/175 161
B41J2/175 119
B41J2/175 167
B41J2/175 175
(21)【出願番号】P 2018172903
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】201721313686.5
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201711397088.5
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201721807245.0
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512246042
【氏名又は名称】珠海納思達企業管理有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】康 ▲澤▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】賈 志錚
(72)【発明者】
【氏名】邱 涌群
(72)【発明者】
【氏名】夏 敬章
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲偉▼健
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-051312(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115583(WO,A1)
【文献】米国特許第06039428(US,A)
【文献】特開平05-246032(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029311(WO,A1)
【文献】特開2007-196664(JP,A)
【文献】特開2010-131972(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0170110(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着方向に沿ってプリンタにおける装着部に装着されるインクカートリッジに取り付けられ、メモリと、装着検出のための第1接触部と、第2接触部とを備え、少なくとも1つの前記第2接触部が前記メモリに電気的に接続され、前記第1接触部及び前記第2接触部それぞれが前記プリンタにおける接触ピンに接触されるチップであって、
前記第1接触部は前記装着方向において複数行に配列されており、
前記装着方向において、前記第1接触部により構成された複数行の間に第2接触部により構成された1行又は複数行が設けられており、又は、前記第2接触部により構成された複数行の間に前記第1接触部により構成された複数行が設けられており、
前記第1接触部と前記第2接触部とが同じ行に配列されて
おらず、
前記第1接触部は、互いに接続された第1グループの装着検出接触部と、互いに接続された第2グループの装着検出接触部とを備え、
前記第1グループの装着検出接触部及び前記第2グループの装着検出接触部は、前記装着方向において複数行に配列されており、
前記装着方向の垂直方向において、前記第2グループの装着検出接触部は全ての接触部の最外側に位置し、前記第1グループの装着検出接触部は全ての接触部の外側から2番目に位置する
ことを特徴とするチップ。
【請求項2】
前記第1グループの装着検出接触部は前記装着方向において第1行を構成しており、
前記第2グループの装着検出接触部は前記装着方向において第2行を構成しており、
前記第2接触部により構成された1行又は複数行は、前記第1行及び前記第2行の間に設けられている
請求項
1に記載のチップ。
【請求項3】
前記第1グループの装着検出接触部はリード線を介して接続されており、前記第2グループの装着検出接触部は抵抗を介して接続されており、
前記第2グループの装着検出接触部に印加される電圧は、前記第1グループの装着検出接触部に印加される電圧よりも高い
請求項
2に記載のチップ。
【請求項4】
前記第2接触部は、前記メモリに接続されない接地接触部を有し、メモリに接続される電源接触部、データ接触部、及びリセット接触部をさらに有する
請求項
2に記載のチップ。
【請求項5】
複数の第1端子及び複数の第2端子を備え、
複数の前記第1接触部は複数の前記第1端子に設けられており、複数の前記第2接触部は複数の前記第2端子に設けられている
請求項1に記載のチップ。
【請求項6】
前記装着方向において、前記第1端子により構成された複数行の間には、第2端子により構成された1行又は複数行が設けられている
請求項
5に記載のチップ。
【請求項7】
前記第1接触部により構成された複数行と、前記第2接触部により構成された1行又は複数行とは、間隔をおいて配置されている
請求項1に記載のチップ。
【請求項8】
装着方向において、前記第1接触部により構成された複数行のそれぞれと、前記第2接触部により構成された複数行のそれぞれとは、交互に配置されている
請求項1~
7のいずれか1つに記載のチップ。
【請求項9】
装着方向において、前記第1接触部は第1行及び第2行を構成しており、前記第2接触部は第3行及び第4行を構成しており、第1行及び第2行のそれぞれと、第3行及び第4行のそれぞれとは、交互に配置されている
請求項
8に記載のチップ。
【請求項10】
前記第2行は、前記第3行及び前記第4行よりも前記装着方向の前端側に近い
請求項
9に記載のチップ。
【請求項11】
前記第4行は、前記第1行及び前記第2行よりも前記装着方向の前端側に近い
請求項
9に記載のチップ。
【請求項12】
第1部分及び第2部分を備え、
前記第1部分及び前記第2部分は、2枚の回路基板により形成されている
請求項
8に記載のチップ。
【請求項13】
前記第1部分及び前記第2部分は、異なる材料の基板により形成されており、
前記第2部分は、導電性シリコーンゴム又は導電性金属材料により形成されている
請求項1
2に記載のチップ。
【請求項14】
前記第2接触部は前記第1部分に設けられており、前記第1接触部は前記第2部分に設
けられている
請求項1
2に記載のチップ。
【請求項15】
貫通部をさらに備え、
前記貫通部は前記チップの厚さ方向において前記チップを貫通している
請求項
8に記載のチップ。
【請求項16】
基板をさらに備え、
前記第1接触部は、基板に対して前記第2接触部よりも突出している
請求項
8に記載のチップ。
【請求項17】
前記第1部分には、第2部分において接触部が設けられた端子が通過するとともに第1
部分に対して突出するための端子孔が設けられている
請求項1
2に記載のチップ。
【請求項18】
装着方向において、前記第1接触部は第1行及び第2行を構成しており、前記第2接触
部は第3行及び第4行を構成しており、
第1行及び第2行は、第3行及び第4行の間に設けられている
請求項1に記載のチップ。
【請求項19】
前記第1接触部は前記第2接触部よりも前記装着方向の前端に位置し、
前記前端は前記装着方向の下流側である
請求項1に記載のチップ。
【請求項20】
各前記第1接触部間の距離、各前記第2接触部間の距離、並びに各前記第1接触部及び各前記第2接触部の間の距離は、予め設定された距離閾値以上である
請求項1に記載のチップ。
【請求項21】
請求項1~2
0のいずれか1つに記載のチップを備えるインクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットプリンタの技術分野に関し、特にチップ及びインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展に伴い、プリンタ業界が急速に発展し、インクジェットプリンタがますます広く使用され、インクカートリッジが既にインクジェットプリンタにおける消耗品になっている。インクカートリッジにはチップが設けられている。インクカートリッジ用のチップは、メーカー情報、インク量情報、インクカートリッジ種類情報、及びインク色情報などを記憶するためのものであり、インクジェットプリンタの正常動作に重要な役割を果たしている。
【0003】
図1は、インクカートリッジ10を装着部90に装着する場合の模式図である。
図2は従来技術のチップ20の模式図である。
図1及び
図2に示すように、装着部90はプリンタの部品として複数又は1つのインクカートリッジ10を載置し、インクカートリッジ10は装着方向Pに沿って装着部90に着脱可能に装着される。インクカートリッジ10は、チップ20、ハンドル30、インク出口40、及びケース50を備える。装着部90は、接触ピン部91、及びインク供給部92を備える。ケース50内にはインクが収容されている。インクは、インク出口40を経てインク供給部92に達し、インク供給部92により印刷ヘッドへ供給され、印刷の実行に使用される。チップ20には端子群200が設けられている。端子群200は、接触ピン部91の接触ピン91aに接触して電気的に接続することが可能であり、電気信号の伝送に使用される。ハンドル30は、インクカートリッジ10を装着部90に固定して、インクカートリッジ10が装着部90から脱離することを防止するためのものである。
【0004】
従来技術において、チップ20は、基板20a、基板20aに設けられた端子群200、及びメモリ(不図示)を備える。端子群200は9つの端子201~209を含む。9つの端子には、第1端子201、204、205、209と、第2端子202、203、206~208とがある。第1端子は、インクカートリッジ10が装着部90に装着された場合に装着検出を実行するための端子である。第2端子は、第1端子以外の端子である。第2端子のうち、少なくとも一部の端子はチップ20のメモリに接続するためのものである。9つの端子201~209それぞれは、接触ピン91aに接触する接触部201a~209aそれぞれを備える。9つの接触部201a~209aは装着方向Pにおいて2行(第1行L1、第2行L2)に配列されている。装着方向Pに垂直する幅方向Tにおいて、9つの接触部201a~209aは互いにずれて配列されている。第1端子のうちの端子201、204の接触部201a、204aと、第2端子のうちの端子202、203の第2接触部202a、203aとは第1行L1に設けられており、かつ接触部201a、204aそれぞれは第1行L1の幅方向Tの両端部に設けられている。第1端子のうちの端子205、209の接触部205a、209aと、第2端子のうちの端子206~208の第2接触部206a~208aとは第2行L2に設けられており、かつ接触部205a、209aそれぞれは第2行L2の幅方向Tの両端部に設けられている。
【0005】
従来技術において、装着検出を一層適切に実行させるために、第1端子201、204、205、209の入力電圧を第2端子202、203、206~208と異ならせることは通常である。各端子における電気信号が一定の範囲内にある場合にこそ、チップ20は装着検出及び信号伝送を正常に実行することはできる。第1端子と第2端子との電圧差により(例えば、装着検出のための第1端子は42Vの高電圧が入力され、メモリに接続された第2端子は3.3Vの低電圧が入力される)、装着検出のための第1端子と第2端子とが
図2に示すように設けられている場合に、第1端子及び第2端子が近すぎるため、第1端子における装着検出信号と第2端子における信号とが干渉し、干渉された端子によりデータ信号と誤認される虞がある(例えば、第1端子における42Vの高電圧により、近くの端子にノイズが生じ、該端子によりデータ信号と誤認される虞がある)。第1端子及び第2端子間に端子間の信号干渉が起きると、端子に誤ったデータ信号が生じることを招き、チップ20の端子群200が正常に動作できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術において端子間に信号干渉が起きるという技術課題を解決するためのチップ及びインクカートリッジを提供する。
【0007】
本発明の第1様態では、チップは、装着方向に沿ってプリンタにおける装着部に装着されるインクカートリッジに取り付けられ、メモリと、装着検出のための第1接触部と、第2接触部とを備え、少なくとも1つの前記第2接触部が前記メモリに電気的に接続され、前記第1接触部及び前記第2接触部それぞれが前記プリンタにおける接触ピンに接触されるチップであって、前記第1接触部は前記装着方向において複数行に配列されており、前記装着方向において、前記第1接触部により構成された複数行の間に第2接触部により構成された1行又は複数行が設けられており、又は、前記第2接触部により構成された複数行の間に前記第1接触部により構成された複数行が設けられている。
【0008】
選択的に、前記第1接触部は、互いに接続された第1グループの装着検出接触部と、互いに接続された第2グループの装着検出接触部とを備え、前記第1グループの装着検出接触部及び前記第2グループの装着検出接触部は、前記装着方向において複数行に配列されている。
【0009】
選択的に、前記第1グループの装着検出接触部は前記装着方向において第1行を構成しており、前記第2グループの装着検出接触部は前記装着方向において第2行を構成しており、前記第2接触部により構成された1行又は複数行は、前記第1行及び前記第2行の間に設けられている。
【0010】
選択的に、前記第1グループの装着検出接触部はリード線を介して接続されており、前記第2グループの装着検出接触部は抵抗を介して接続されており、前記第2グループの装着検出接触部に印加される電圧は、前記第1グループの装着検出接触部に印加される電圧よりも高い。
【0011】
選択的に、前記第2接触部は、前記メモリに接続されない接地接触部を有し、メモリに接続される電源接触部、データ接触部、及びリセット接触部をさらに有する。
【0012】
選択的に、前記チップは複数の第1端子及び複数の第2端子を備え、複数の前記第1接触部は複数の前記第1端子に設けられており、複数の前記第2接触部は複数の前記第2端子に設けられている。
【0013】
選択的に、前記装着方向において、前記第1端子により構成された複数行の間には、第2端子により構成された1行又は複数行が設けられている。
【0014】
選択的に、前記第1接触部により構成された複数行と、前記第2接触部により構成された1行又は複数行とは、間隔をおいて配置されている。
【0015】
選択的に、装着方向において、前記第1接触部により構成された複数行のそれぞれと、前記第2接触部により構成された複数行のそれぞれとは、交互に配置されている。
【0016】
選択的に、装着方向において、前記第1接触部は第1行及び第2行を構成しており、前記第2接触部は第3行及び第4行を構成しており、第1行及び第2行のそれぞれと、第3行及び第4行のそれぞれとは、交互に配置されている。
【0017】
選択的に、前記第2行は、前記第3行及び前記第4行よりも前記装着方向の前端側に近い。
【0018】
選択的に、前記第4行は、前記第1行及び前記第2行よりも前記装着方向の前端側に近い。
【0019】
選択的に、前記チップは、第1部分及び第2部分を備え、前記第1部分及び前記第2部分は、2枚の回路基板により形成されている。
【0020】
選択的に、前記第1部分及び前記第2部分は、異なる材料の基板により形成されており、前記第2部分は、導電性シリコーンゴム又は導電性金属材料により形成されている。
【0021】
選択的に、前記第2接触部は前記第1部分に設けられており、前記第1接触部は前記第2部分に設けられている。
【0022】
選択的に、前記チップは貫通部をさらに備え、前記貫通部は前記チップの厚さ方向において前記チップを貫通している。
【0023】
選択的に、前記チップは基板をさらに備え、前記第1接触部は、基板に対して前記第2接触部よりも突出している。
【0024】
選択的に、前記第1部分には、第2部分において接触部が設けられた端子が通過するとともに第1部分に対して突出するための端子孔が設けられている。
【0025】
選択的に、装着方向において、前記第1接触部は第1行及び第2行を構成しており、前記第2接触部は第3行及び第4行を構成しており、第1行及び第2行は、第3行及び第4行の間に設けられている。
【0026】
選択的に、前記装着方向の垂直方向において、前記第2グループの装着検出接触部は全ての接触部の最外側に位置し、前記第1グループの装着検出接触部は全ての接触部の外側から2番目に位置する。
【0027】
選択的に、前記第1接触部は前記第2接触部よりも前記装着方向の前端に位置し、前記前端は前記装着方向の下流側である。
【0028】
選択的に、各前記第1接触部間の距離、各前記第2接触部間の距離、並びに各前記第1接触部及び各前記第2接触部の間の距離は、予め設定された距離閾値以上である。
【0029】
本発明の第2様態では、インクカートリッジは前述したいずれか1つのチップを備える。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、以下の技術効果を奏する。装着方向において、第1接触部により構成された複数行の間に第2接触部により構成された1行又は複数行が設けられており、第2接触部により構成された複数行の間に第1接触部により構成された複数行が設けられており、即ち、第1接触部と第2接触部とが同じ行に配列されていない構造では、第1接触部及び第2接触部の電圧差による非接触の電磁干渉に起因するノイズを減少させ、端子に誤ったデータ信号が生じることを防止し、チップの正常動作を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の実施例に係る技術を一層明確に説明するために、以下は実施例に使用される図面を簡単に説明する。明らかに、後述する図面はただ本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な行為が要らずにこれらの図面から他の図面を得ることができる。
【
図1】インクカートリッジを装着部に装着する模式図である。
【
図4】実施例2のチップにおける接触部の模式図である。
【
図5】実施例2の第1種類のチップの模式図である。
【
図6】実施例2の第1種類のチップの模式図である。
【
図7a】実施例2の第1形態のチップの構造図である。
【
図7b】実施例2の第1形態のチップの構造図である。
【
図8】実施例2の第2形態のチップの構造図である。
【
図9】実施例3のチップにおける接触部の模式図である。
【
図10】実施例3の第1形態のチップの構造図である。
【
図11】実施例3の第2形態のチップの構造図である。
【
図12】実施例3の第3形態のチップの構造図である。
【
図13a】実施例3の第4形態のチップの構造図である。
【
図13b】実施例3の第4形態のチップの構造図である。
【
図14a】実施例3の第5形態のチップの構造図である。
【
図14b】実施例3の第5形態のチップの構造図である。
【
図16】実施例4の第1形態のチップの構造図である。
【
図17】実施例4の第2形態のチップの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明をよく理解させるために、以下では図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、説明する実施例は本発明の全部でなく、一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な行為が要らずに得た他の実施例は、全て本発明の技術的範囲に属する。
【0033】
実施例1.
図1はインクカートリッジ10を装着部90に装着する模式図である。
図1に示すように,装着部90はプリンタの部品として、複数又は1つのインクカートリッジ10を載置するためのものである。インクカートリッジ10は装着方向Pに沿って装着部90に着脱可能に装着される。インクカートリッジ10にはチップ20が設けられている。インクカートリッジ10は、チップ20、ハンドル30、インク出口40、及びケース50を備える。装着部90は、接触ピン部91及びインク供給部92を備える。ケース50内にはインクが収容されている。インクは、インク出口40を経てインク供給部92に達し、インク供給部92により印刷ヘッドへ供給され、印刷操作の実行に使用される。チップ20は端子群200を備える。端子群200は、接触ピン部91の接触ピン91aに電気的に接続することが可能であり、電気信号の伝送に使用される。ハンドル30は、インクカートリッジ10を装着部90に固定して、インクカートリッジ10が装着部90から離脱することを防止するためのものである。
【0034】
図3は実施例1のチップの模式図である。
図1及び
図3に示すように、チップ20は、基板20a、基板20aに設けられた端子群200、及びメモリ(不図示)を備える。選択的に、該チップは9つの端子201~209を含む端子群200を備え、9つの端子は、第1端子201、204、205、209、及び第2端子202、203、206~208に分けられている。第1端子はインクカートリッジ10が装着部90に装着された場合に装着検出を実行するための端子である。第2端子は、第1端子以外の端子である。第2端子のうち、少なくとも一部の端子はチップ20のメモリに接続するための端子である。9つの端子201~209は接触ピン91aに接触する接触部201a~209aをそれぞれに備える。第1接触部201a、204a、205a、209aは第1端子201、204、205、209に設けられている。第2接触部(接触部の符号不図示)は第2端子202、203、206~208に設けられている。ここで、第1接触部は、装着方向Pにおいて複数行に配列されている。即ち、第1接触部201a、204a、205a、209aは行L11、行L12を構成している。第2端子202、203、206~208における第2接触部は、装着方向Pにおいて1行に配列され、行L21を構成している。第2端子202、203、206~208における第2接触部は、複数行に配列されてもよい。
図3では、第2接触部が1つの行L21に配列されている場合のみを例示している。ここで、行L21と行L11及び行L12とは、装着方向Pにおいて間隔配列されている。即ち、行L21と行L11及び行L12とは、装着方向Pにおいて同じ行に位置せず、行L21は行L11及び行L12の間に位置する。ここで、装着方向Pにおいて、第2接触部により構成された行L21が
図3に示すように第1接触部により構成された行L11及び行L12の間に位置するようにされてもよいし、
図15に示すように第1接触部の行L11及び行L12が第2接触部により構成された行L21及び行L22の間に位置するようにされてもよい。
図3又は
図15に示すように、装着方向Pにおいて、第1接触部により構成された複数行の間に第2接触部により構成された1行又は複数行が設けられており、又は、第2接触部により構成された複数行の間に第1接触部により構成された複数行が設けられている構造では、第1接触部と第2接触部との電圧差による非接触の電磁干渉に起因するノイズを減少させ、端子に誤ったデータ信号が生じることを防止し、チップの正常動作を確保することができる。
【0035】
選択的に、第1接触部201a、204a、205a、209aは、互いに接続された第1グループの装着検出接触部200a(201a、204a)と、互いに接続された第2グループの装着検出接触部200b(205a、209a)とを含んでもよい。第1グループの装着検出接触部200a(201a、204a)と、第2グループの装着検出接触部200b(205a、209a)とは、装着方向Pにおいて複数行に配列されている。具体的には、
図3に示すように、第1グループの装着検出接触部200a(201a、204a)は、装着方向Pにおいて第1行L11を構成しており、第2グループの装着検出接触部200b(205a、209a)は装着方向Pにおいて第2行L12を構成しており、第2接触部(例えば第2端子202、203、206~208において示された接触部)により構成された1行(L21)又は複数行は、第1行L11及び第2行L12の間に設けられている。上記の構造では、第1グループの装着検出接触部201a、204aで行L11を構成し、第2グループの装着検出接触部205a、209aで行L12を構成することで、複数の第1接触部をグループに分けて複数行に配列して、端子群200の設計空間を一層広くさせることができるため、基板20aにおいてより適切に配置することができる。
【0036】
選択的に、第1グループの装着検出接触部200a(201a、204a)がリード線を介して接続され、第2グループの装着検出接触部200b(205a、209a)が抵抗を介して接続され、第2グループの装着検出接触部200b(205a、209a)に印加される電圧が第1グループの装着検出接触部200a(201a、204a)の電圧よりも高い。異なるグループの接触部に異なる作動電圧を印加し、かつ異なるグループの装着検出接触部を同じ行に位置させずに間隔配列で配置することで、異なるグループの装着検出接触部間の電圧差による非接触の電磁干渉に起因するノイズをさらに減少させることができ、端子に誤ったデータ信号が生じることを防止し、チップの正常動作を確保することができる。
図3を例として、第1端子201、204、205、209が装着検出時に2つのグループに分けられ、第1装着検出端子201及び第2装着検出端子204は第1グループの装着検出端子とされ、その第1接触部201a及び204aが接続されて第1グループの装着検出接触部200aが形成され、第3装着検出端子205及び第4装着検出端子209は第2グループの装着検出端子とされ、その第1接触部205a及び209aが接続されて第2グループの装着検出接触部200bが形成される。第1グループの装着検出端子201及び204はプリンタから2.4Vの電圧が入力され、第2グループの装着検出端子205及び209はプリンタから42Vの電圧が入力される。第2端子202、203、206~208のうち、メモリに接続される端子は、チップ20とプリンタとの間の信号の伝送を維持するために、プリンタから3.3Vの電圧が入力される。第1接触部及び第2接触部は行L11、行L12、行L21を構成している。行L11、行L12及び行L21は、装着方向Pにおいて間隔をおき、即ち同じ行に配置されておらず、離れている。この構造では、入力電圧が異なる第1グループの装着検出接触部200a、第2グループの装着検出接触部200b、及び第2接触部の間の電圧差による非接触の電磁干渉に起因するノイズを減少させることができ、また、端子に誤ったデータ信号が生じることを防止し、チップの正常動作を確保することができる。
【0037】
選択的に、第2接触部(例えば、第2端子202、203、206~208における接触部)は、メモリ(不図示)に接続されない接地接触部(端子207における接触部)を有し、さらに、メモリに接続される電源接触部(端子206における接触部)、データ接触部(端子208における接触部)、及びリセット接触部(端子202における接触部)を有する。
【0038】
具体的に、端子群200のうち、各端子の作用及び機能は以下通りである。
端子201:第1グループの装着検出端子
端子202:リセット端子
端子203:クロック端子
端子204:第1グループの装着検出端子
端子205:第2グループの装着検出端子
端子206:電源端子
端子207:接地端子
端子208:データ端子
端子209:第2グループの装着検出端子
【0039】
第2端子202、203、206~208のうち、端子202、203、206、208はメモリに接続され、プリンタとの電気信号の伝送に用いられ、3.3Vの電圧で動作する。端子207は、接地端子であり、電圧が0Vである。端子207はメモリに接続されない。当業者であれば、端子群200に端子207がなくてもよいことが理解できる。
【0040】
端子間の電圧差が大きければ大きいほど、互いに影響しやすく、信号干渉が生じやすく、端子に間違った信号が生じて正常に動作できない虞がある。選択的に、第2グループの装着検出端子205、209(42Vの電圧が入力される)と第2端子(3.3Vの電圧が入力される)との電圧差が比較的に大きいため、行L12を装着方向Pの前端側即ち端子群200の最外側に配置し、第2端子との電圧差が比較的に小さい第1グループの装着検出端子201、204(2.4Vの電圧が入力される)を行L11に配置することができる。装着方向Pから観察すると、行L11の入力電圧が2.4V、行L21の入力電圧が3.3V、行L12の入力電圧が42Vで、電圧が低から高となる。つまり、第1接触部及び/又は第2接触部により構成された複数行をその入力電圧の高低順によって配列することで、隣り合う2行間の電圧差をできるだけ小さくさせて、電圧差による非接触の電磁干渉に起因するノイズを減少させることができ、また、端子に誤ったデータ信号が生じることを防止し、チップの正常動作を確保することができる。
【0041】
さらに、
図3において、第1接触部201a、204a、205a、209aが1つの四角形に配置されており、第2端子言い換えれば第2端子における第2接触部が第1接触部201a、204a、205a、209aにより囲まれてなる四角形内に設けられている。このように、第2端子と接触ピンとの良好な接触を確保することができる。端子群200の最外周は装着検出用の第1接触部であり、インクカートリッジ10の装着過程においてチップ20がプリンタの接触ピン91aに接触し、装着検出が完了した場合に、全ての装着検出端子(第1端子)が確実に接続されていると判断されるため、第1接触部により構成された多角形内の全ての位置での良好な接触は確保される。さらに、第1接触部の数は3以上の任意の数であってもよく、第2接触部が第1接触部により構成された多角形内にあれば、このような効果を奏することができる。
【0042】
選択的に、
図3に示すように、第1端子205、209の第1接触部205a、209aにより構成された行L12は、第2接触部が所在する行L21よりも装着方向Pの前端に位置している。前端とは、装着方向Pの下流側をいう。この構造では、インクカートリッジ10を装着部90に装着する過程において、行L12の端子が先に接触ピン91aに接触して装着検出を実行し、その後、行L21における第2端子が接触ピン91aに接触するため、装着過程において、接触ピン91aがまず装着検出のための端子に接触し、次にメモリに接続される端子に接触し、これにより、チップ20の装着ずれ又はメモリに接続される端子の誤接続は防止される。さらに、装着方向Pの垂直方向Tにおいて、第2グループの装着検出接触部200bは全ての接触部の最外側に位置し、第1グループの装着検出接触部200aは全ての接触部の外側から2番目に位置する。
図3に示すように、第2グループの装着検出接触部200bの第1接触部205a及び209aは垂直方向Tにおいて最外側に位置し、その次は第1グループの装着検出接触部200aの第1接触部201a及び204aであり、最内側は他の第2接触部が所在する第2端子202、203、206~208である。このような配置により、前述した配置と同様に、高電圧が入力される端子(端子205、209は42Vの電圧が入力される)は最外側に配置され、外側から2番目は電圧が比較的に低い端子(端子201、204は2.4Vの電圧が入力される)であり、最内側は入力電圧が2番目に高い端子(第2端子は3.3Vの電圧が入力される)である。これにより、隣接する端子間の電圧差をできるだけ小さくさせて、電圧差による非接触の電磁干渉に起因するノイズを減少させることができ、端子に誤ったデータ信号が生じることを防止し、チップの正常動作を確保することができる。
【0043】
実施例2.
図4は実施例2のチップにおける接触部の模式図である。
図5は実施例2の第1種類のチップの模式図である。
図6は実施例2の第1種類のチップの模式図である。
図4には、チップにおける端子が省略され、接触部の模式図のみが示されている。
図5及び
図6それぞれは2つのチップの模式図である。
図7a、
図7bは実施例2の第1形態のチップの構造図である。
図8は実施例2の第2形態のチップの構造図である。
図4~
図6に示すように、第1端子201、204、205、209の第1接触部201a、204a、205a、209aは行L11、行L12を構成している。第2端子202、203、206~208の第2接触部202a、203a、206a~208aは装着方向Pにおいて行L21、行L22を構成している。第1接触部により構成された複数行の間に第2接触部により構成された1行又は複数行を設け、又は、第2接触部により構成された複数行の間に第1接触部により構成された複数行を設けることで、本願のよい効果を同様に奏することができる。
【0044】
さらに、第1接触部により構成された複数行(行L11、行L12)と第2接触部により構成された複数行(行L21、行L22)とは交互に配置されている。即ち、装着方向Pにおいて、第1接触部は第1行L11、第2行L12を構成しており、第2接触部は第3行L21、第4行L22を構成しており、第1行L11、第2行L12と、第3行L21、第4行L22とは交互に配置されている。これにより、第1接触部と第2接触部とは、行L21、行L11、行L22、行L12を順次に構成している。この構造により、第1端子及び第2端子、言い換えれば、第1接触部及び第2接触部は交互に配列され、端子の設計空間が広くなり、各端子間の距離が増加され、端子間の電磁干渉が低減される。
【0045】
選択的に、
図4に示すように、第2行(行L12)(第1接触部205a、209aにより構成された行L12)は、第3行L21及び第4行L22よりも装着方向Pの前端側に近く、即ち、行L12は装着方向Pの最前端側に位置する。インクカートリッジ10を装着部90に装着する過程において、行L12の端子が先に接触ピン91aに接触して装着検出を実行し、その後、行L22の第2端子が接触ピン91aに接触する。従って、装着過程において装着検出を先に実行してからメモリに接続される端子を接触ピン91aに接触させることができるため、チップ20の装着ずれ又はメモリに接続される端子の誤接続は防止される。
【0046】
図5及び
図6は端子の2つの具体的な配列形態を示している。接触部は
図4のように配列されればよい。さらに、チップ20の端子の配列形態は
図5又は
図6における配列形態に限らず、複数の配列形態がある。端子の
図4に基づく異なる配列形態は全て本願の技術範囲に属する。
【0047】
実施例1では、端子202がリセット端子、端子203がクロック端子、端子206が電源端子、端子207が接地端子、端子208がデータ端子であり、端子群200の第2端子のうちの端子206~208が端子202、端子203より重要である場合について説明したが、選択的に、
図5に示すように、第1接触部201a、204a、205a、209aを1つの仮想的な四角形となるように配置し、第2端子のうちの一部の端子206~208をこの四角形の範囲内に設けてもよい。第2端子のうち、比較的に重要な端子(本実施例では端子206~208)を第1端子により囲まれてなる四角形内に設けることで、これらの端子の良好な接触を確保することができる(言い換えれば、信号に影響されやすい重要な通信端子を4つの第1端子から遠く離れる領域内に配置する)。インクカートリッジ10の装着過程において、チップ20がプリンタの接触ピン91aに接触し、装着検出が完了した場合に、全ての装着検出(第1端子)が確実に接続されていると判断されるため、第1接触部により構成された多角形内の全ての位置での良好な接触は確保される。従って、第2端子のうちの比較的に重要な端子(本実施例では端子206~208)の良好な接触を確保することができる。さらに、第1接触部の数は3以上であってもよく、第2接触部が第1接触部により構成された多角形内にあれば、このような効果を奏することができる。
【0048】
さらに、インクカートリッジ10の装着部90への装着時にインクカートリッジが幅方向Tにおいてある程度移動するため、チップ20が取り付けられているが、第1端子(装着検出端子)が接触ピン91aに接触していない場合がある。本実施例に係るチップはこの問題を解決することができる。第1端子により構成された行と、第2端子により構成された行とは、同じ行にならないため、各端子の幅を増やすことができる。幅が増えると、このような問題は避けられる。
【0049】
さらに、第1端子は第2端子から遠く離れるため、予期せずに落ちた異物(例えばインクなど)が第1端子及び第2端子を覆って両者間の短絡を起こしてチップ又はプリンタを損なうことを防止することができる。つまり、各第1接触部間の距離、各第2接触部間の距離、並びに各第1接触部及び各第2接触部の間の距離は、予め設定された距離閾値以上である。ここで、該距離閾値は、当業者によって、各端子に印加される電圧の値に基づいて予め設定されればよい。これにより、上記技術効果を奏するとともに、各端子間の信号干渉をさらに減少させることができる。
【0050】
他の部分は実施例1と同じである。
【0051】
以下は本実施例の2つの形態である。
【0052】
第1形態
図7a、
図7bは実施例2の第1形態のチップの構造図である。
図7a、
図7bに示すように、チップ20は第1部分21及び第2部分22を備える。第2端子202、203、206~208は第1部分21に設けられており、第1端子201、204、205、209が第2部分22に設けられている。
【0053】
第1部分21及び第2部分22は2枚の回路基板21a、22aにより形成される。そして、第1部分21及び第2部分22を溶接、接着、係止などにより固定してチップ20を形成することができる。
【0054】
2枚の回路基板21a、22aでチップ20を形成することにより、第1部分21における端子と、第2部分22における端子とを異なる高さに位置させることができる。このように、接触ピン91aに接触する際に接触ピン91aの異なる箇所に接触することができる。これにより、第1接触部及び第2接触部を
図4に示すように配置することができる。
【0055】
チップ20は、付加端子210、211及び固定部251、252、253をさらに備える。付加端子210、211は装着部90における接触ピン91aに接触せず、端子群200の端子同士の短絡を防止する機能、又は、接触ピン91aに接触する際に接触ピン91aをこすって接触ピン91aを掃除する機能を果たす。固定部251、252、253により、チップ20はインクカートリッジ10に固定され、チップ20がインクカートリッジ10から離脱することは防止される。
【0056】
第2形態
図8は実施例2の第2形態のチップの構造図である。
図8に示すように、チップ20は基板20a1つのみを備える。チップ20は、付加端子210、211と、固定部251、252と、貫通部255とをさらに備える。貫通部255はチップの厚さ方向において該チップを貫通している。付加端子210、211及び固定部251、252は、本実施例の第1形態に一致するため、説明を省略する。貫通部255は、接触ピン91aを収容するためのものであり、第1端子及び第2端子を接触ピン91aの異なる箇所にそれぞれに接触させることができ、第1接触部及び第2接触部を
図4のように配置することができる。厚さ方向は装着方向P及び幅方向Tに垂直する方向である。本形態では、チップの厚さ方向は該チップの最も短い辺に平行する方向である。チップの厚さ方向は端子が所在する表面に垂直である。
【0057】
実施例3.
図9は実施例3のチップの接触部の模式図である。
図10は実施例3の第1形態のチップの構造図である。
図11は実施例3の第2形態のチップの構造図である。
図12は実施例3の第3形態のチップの構造図である。
図13a、
図13bは実施例3の第4形態のチップの構造図である。
図14a、
図14bは実施例3の第5形態のチップの構造図である。ここで、
図9には、チップにおける端子が省略され、接触部の模式図のみが示されている。
図10から
図14bそれぞれは5種類のチップの構造図である。
図9に示すように、第1端子201、204、205、209の第1接触部201a、204a、205a、209aは行L11、行L12を構成している。第2端子202、203、206~208の第2接触部202a、203a、206a~208aは装着方向Pにおいて行L21、行L22を構成している。第1接触部により構成された複数行の間に第2接触部により構成された1行又は複数行を設け、又は、第2接触部により構成された複数行の間に第1接触部により構成された複数行を設けることで、本願のよい効果を同様に奏することができる。
【0058】
さらに、行L11及び行L12と、行L21及び行L22とは、交互に配置されている。即ち、装着方向Pにおいて、第1接触部は第1行L11及び第2行L12を構成し、第2接触部は第3行L21及び第4行L22を構成し、第1行L11及び第2行L12と、第3行L21及び第4行L22とは交互に配置されている。これにより、装着方向Pに沿って、第1接触部及び第2接触部は行L11、行L21、行L12、行L22を順次に構成している。この構造により、第1端子及び第2端子、言い換えれば、第1接触部及び第2接触部は交互に配列され、端子の設計空間が広い。
【0059】
選択的に、
図9に示すように,第4行L22は、第1行L11及び第2行L12よりも装着方向の前端側に近く、即ち、行L22は装着方向Pの最前端側に位置する。
【0060】
端子群200の端子の機能は実施例3で説明した端子の機能に限らず、第2端子のうちの端子202、端子203は端子206~208より重要である。
図9に示すように、第1接触部201a、204a、205a、209aを1つの仮想的な四角形となるように配置し、第2端子のうちの一部の端子202、端子203をこの四角形の範囲内に設け、第2端子のうちの比較的に重要な端子(本実施例では端子202、端子203)を第1端子により囲まれてなる四角形内に設けることで、良好な接触を確保することができる(言い換えれば、信号に影響されやすい重要な通信端子を4つの第1端子から遠く離れる領域内に設ける)。インクカートリッジ10の装着過程において、チップ20がプリンタの接触ピン91aに接触し、装着検出が完了した場合に、全ての装着検出(第1端子)が確実に接続されていると判断されるため、第1接触部201a、204a、205a、209aにより構成された多角形内の全ての位置での良好な接触は確保される。従って、第2端子のうちの比較的に重要な端子(本実施例では端子202、端子203)の良好な接触を確保することができる。
【0061】
他の部分は実施例2と同じである。
【0062】
以下は本実施例の4つの形態である。
【0063】
第1形態
図10は実施例3の第1形態のチップの構造図である。
図10に示すように、チップ20は第1部分21及び第2部分22を備える。第1端子201、204、205、209は第1部分21に設けられており、第2端子202、203、206~208は第2部分22に設けられている。
【0064】
第1部分21及び第2部分22は2枚の回路基板21a、22aにより形成される。そして、第1部分21及び第2部分22を溶接、接着、係止などにより固定してチップ20を形成することができる。
【0065】
2枚の回路基板21a、22aでチップ20を形成することにより、第1部分21における端子と、第2部分22における端子とを異なる高さに位置させることができる。このように、接触ピン91aに接触する際に接触ピン91aの異なる箇所に接触することができる。これにより、第1接触部及び第2接触部を
図9に示すように配置することができる。
【0066】
チップ20は、固定部251、252、253をさらに備える。固定部251、252、253により、チップ20はインクカートリッジ10に固定され、チップ20がインクカートリッジ10から離脱することは防止される。
【0067】
チップ20は付加端子(不図示。
図8における付加端子210、211の配置を参考してもよい)をさらに備えてもよい。付加端子は装着部90における接触ピン91aに接触せず、端子群200の端子同士の短絡を防止する機能、又は接触ピン91aに接触する際に接触ピン91aをこすって接触ピン91aを掃除する機能を果たす。
【0068】
第2形態
図11は実施例3の第2形態のチップの構造図である。
図11に示すように、チップ20は基板20a1つのみを備える。チップ20は、付加端子210、211と、固定部251、252と、貫通部255とをさらに備える。付加端子210、211及び固定部251、252は本実施例の第1形態に一致するため、説明を省略する。貫通部255は、接触ピン91aを収容するためのものであり、第1端子及び第2端子を接触ピン91aの異なる箇所にそれぞれに接触させて、第1接触部及び第2接触部を
図9のように配置することができる。
【0069】
この形態では、チップ20を貫通する貫通部255は第2端子202、203、206~208の幅方向Tの両側にそれぞれに位置する。この構造では、チップ20を貫通する貫通部255にて第1端子201、204、205、209及び第2端子202、203、206~208を空間的に離すため、予期せずに落ちた異物(例えばインクなど)が第1端子及び第2端子を覆って両者間の短絡を起こしてチップ又はプリンタを損なうことをさらに防止することができる。例えば、インクが第1端子及び第2端子の間に落ちた場合に、チップ20を貫通する貫通部255により、インクが貫通部255からチップ20の下方へガイドされ、チップ20の上面(端子が設けられている表面)に残ることはない。
【0070】
第3形態
図12は実施例3の第3形態のチップの構造図である。
図12に示すように、第1端子201、204、205、209は基板20aに対して突出している。第1端子201、204、205、209は、溶接などによって基板20aに接続されている。つまり、第1端子201、204、205、209における第1接触部(
図12に図示しない)は、基板20aに対して、第2端子202、203、206~208における第2接触部(
図12に示されていない)よりも突出している。
【0071】
さらに、第1端子201、204、205、209は基板20aに対して突出し、第2端子202、203、206~208は基板20aに設けられており、第1端子201、204、205、209と、第2端子202、203、206~208とは、高度差を有する。これにより、第1端子及び第2端子を接触ピン91aの異なる箇所にそれぞれに接触させて、第1接触部及び第2接触部を
図9のように配置することができる。
【0072】
第1端子201、204、205、209は基板20aに対して突出している。この構造では、第1端子201、204、205、209及び第2端子202、203、206~208を空間的に離すため、予期せずに落ちた異物(例えばインクなど)が第1端子及び第2端子を覆って両者間の短絡を起こしてチップ又はプリンタを損なうことをさらに防止することができる。
【0073】
第4形態
図13a、
図13bは実施例3の第4形態のチップの構造図である。
図13a、
図13bに示すように、第1端子201、204、205、209は第2部分22に設けられており、第2端子202、203、206~208は第1部分21の基板21aに設けられており、第1部分21には、第2部分22の接触部が設けられた端子(第1端子201、204、205、209)が通過するとともに第1部分21に対して突出するための端子孔201b、204b、205b、209bが設けられている。即,第2部分22の第1端子201、204、205、209は、端子孔201b、204b、205b、209bを通過するとともに、第1部分21に対して突出する。第1端子201、204、205、209と、第2端子202、203、206~208とは高度差を有する。これにより、第1端子及び第2端子を接触ピン91aの異なる箇所にそれぞれに接触させて、第1接触部及び第2接触部を
図9のように配置することができる。第2部分22は導電性シリコーンゴム又は導電性金属材料で形成することができ、又は、第2部分22の基板22aは非導電性の基板材料、第1端子201、204、205、209は導電性材料で形成することができる。
【0074】
他の部分は本実施例の第3形態に一致する。
【0075】
第5形態
図14a、
図14bは実施例3の第5形態のチップの構造図である。
図14a、
図14bに示すように、チップ20は第1部分21、第2部分22により構成されている。第2部分22は、チップを載置し、かつインクカートリッジのケースに固定することが可能なチップホルダである。第1端子のうち、第1グループの装着検出端子201、204は第2部分22に設けられている。第1端子のうち、第1グループの装着検出端子205、209は第1部分21の基板21aに設けられており、第2端子202、203、206~208(不図示)は第1部分21の基板21aに設けられている。第1部分21に端子孔201b、204bが設けられており、第2部分22の第1端子201、204は端子孔201b、204bを通過するとともに第1部分21の基板21aに対して突出する。第1端子205、209は、第1部分21の基板21aに対して突出し、基板21aにブロック又は突起を設けてから銅メッキを施すことにより形成される。第1端子201、204、205、209と第2端子202、203、206~208とは高度差を有する。これにより、第1端子及び第2端子を接触ピン91aの異なる箇所に接触させて、第1接触部及び第2接触部を
図9のように配置することができる。第2部分22は、第1端子201、204が設けられており、さらにチップホルダとして機能している(チップを載置し、かつインクカートリッジのケースに固定する)。この構造では、インクカートリッジの部品数を減少させて、コストを低減させることができる。第2部分22は導電性シリコーンゴム又は導電性金属材料で形成することができ、又は、第2部分22の基板22aは非導電性の基板材料、第1端子201、204、205、209は導電性材料で形成してもよい。第2部分22が導電性シリコーンゴムで形成された場合に、チップ20が接触ピン91aに接触したときに、第2部分22はある程度変形し、チップ20における端子が接触ピン91aに固く接触して摩損し又は傷つくことは避けられる。
【0076】
他の部分は本実施例の第3形態に一致する。
【0077】
実施例4.
図15は実施例4のチップの模式図である。
図16は実施例4の第1形態のチップの構造図である。
図17は実施例4の第2形態のチップの構造図である。
図16及び
図17それぞれは2つのチップの構造図である。
図15に示すように、第1端子201、204、205、209の第1接触部201a、204a、205a、209a(符号不図示)は第1行(行L11)、第2行(行L12)を構成している。第2端子202、203、206~208の第2接触部202a、203a、206a~208a(不図示)は装着方向Pにおいて第3行(行L21)、第4行(行L22)を構成している。第1接触部により構成された複数行の間に第2接触部により構成された1行又は複数行を設け、又は、第2接触部により構成された複数行の間に第1接触部により構成された複数行を設けることで、本願のよい効果を奏することができる。
【0078】
さらに、第1接触部は第1行(行L11)、第2行(行L12)を構成しており、第2接触部は第3行(行L21)、第4行(行L22)を構成しており、第1行(行L11)及び第2行(行L12)が第3行(行L21)及び第4行(行L22)の間に設けられている。即ち、装着方向Pに沿って、第1接触部及び第2接触部は行L21、行L11、行L12、行L22を順次に構成している。この構造では、第2接触部により構成された第3行(行L21)及び第4行(行L22)が第1接触部により構成された第1行(行L11)及び第2行(行L12)の外周側に位置し、第2接触部202a、203a、206a~208a全体が第1接触部201a、204a、205a、209aの外周に位置し、第2接触部202a、203a、206a~208aが複数の第1接触部201a、204a、205a、209aにより構成された多角形(本実施例では四角形)の領域以外に位置するため、第1端子及び第2端子の間の電気信号の干渉は避けられる。
【0079】
他の部分は実施例3と同じである。
【0080】
以下は本実施例の2つの形態である。
【0081】
第1形態
図16は実施例5の第1形態のチップの構造図である。
図16に示すように、チップ20は第1部分21及び第2部分22を備える。端子202、203及び端子205、209は第1部分21に設けられており、端子201、204、206~208は第2部分22に設けられている。
【0082】
第1部分21及び第2部分22は2枚の回路基板21a、22bにより形成される。そして、第1部分21及び第2部分22を溶接、接着、係止などにより固定してチップ20を形成することができる。
【0083】
2枚の回路基板21a、22bでチップ20を形成することにより、第1部分21における端子と、第2部分22における端子とを異なる高さに位置させることができる。このように、接触ピン91aに接触する際に接触ピン91aの異なる箇所に接触させて、
図15に示すように配置することができる。
【0084】
チップ20は付加端子210、211をさらに備える。付加端子210、211は装着部90における接触ピン91aに接触せず、端子群200の端子同士の短絡を防止する機能、又は、接触ピン91aに接触する際に接触ピン91aをこすって接触ピン91aを掃除する機能を果たす。
【0085】
第2形態
図17は実施例5の第2形態のチップの構造図である。
図17に示すように、端子202、203、205、209は第2部分22に設けられ、端子201、204、206~208は第1部分21の基板21aに設けられており、第1部分21に端子孔202b、203b、205b、209bが設けられており、第2部分22の端子202、203、205、209は端子孔202b、203b、205b、209bを通過するとともに第1部分21に対して突出し、端子202、203、205、209と端子201、204、206~208とは高度差を有するため、端子を接触ピン91aの異なる箇所にそれぞれに接触させて、第1接触部及び第2接触部を
図15のように配置することができる。第2部分22は導電性シリコーンゴム又は導電性金属材料で形成することができ、又は、第2部分22の基板22aは非導電性の基板材料、第1端子201、204、205、209は導電性材料で形成してもよい。
【0086】
他の部分は本実施例の第1形態に一致する。
【0087】
本発明は、上記実施例で説明したチップのいずれか1つを有するインクカートリッジをさらに提供する。
【0088】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではない。本発明の精神及び原則に基づいて行った修正、均等な置き換え、改善などは全て本発明の技術的範囲に属すべきである。
【0089】
なお、以上の各実施例は、本発明を説明するものであり、制限するものではない。前述した各実施例に基づいて本発明を詳しく説明したが、当業者であれば、前述した各実施例に記載の発明を修正するか、又はその一部若しくは全部の技術的特徴を均等的に置き換えることができる。これらの修正又は置き換えは、発明の本質を本願の各実施例に係る発明の範囲から離脱させるものではない。