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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】生体情報計測装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230413BHJP
   A61B 5/339 20210101ALI20230413BHJP
【FI】
A61B5/00 D
A61B5/339
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018211268
(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公開番号】P2020075007
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】清水 雄介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 将人
(72)【発明者】
【氏名】宮野 博行
(72)【発明者】
【氏名】本郷 泰輝
(72)【発明者】
【氏名】阿見 祥寿
(72)【発明者】
【氏名】取出 優
(72)【発明者】
【氏名】桑崎 雄揮
(72)【発明者】
【氏名】金山 寧
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-171239(JP,A)
【文献】特開2017-012604(JP,A)
【文献】特開2010-063486(JP,A)
【文献】特開2012-020071(JP,A)
【文献】特開2013-025787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/339
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面の一部を、ソフトウェアキーを表示する領域として用いる生体情報計測装置であって、
前記ソフトウェアキーに割り当てる機能を、機能の使用頻度に基づいて自動的に決定する制御手段を有することを特徴とする生体情報計測装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記決定した機能を実際にソフトウェアキーに割り当てる前に、前記決定した機能の割り当ての一覧を提示し、
実行指示が入力されると、前記一覧にしたがって機能をソフトウェアキーに割り当てる、
ことを特徴とする請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記提示された機能の割り当てに対する変更を受け付けることを特徴とする請求項2に記載の生体情報計測装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記提示された機能の割り当てに対する変更を受け付けた場合、前記一覧に前記変更を反映させることを特徴とする請求項3に記載の生体情報計測装置。
【請求項5】
前記制御手段は、割り当てを変更しないことが設定されている機能を除外して前記決定を行い、前記割り当てを変更しないことが設定されている機能の割り当てを変更しないように前記一覧を提示することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の生体情報計測装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記変更しないことが設定されている機能を識別可能に前記一覧を提示することを特徴とする請求項5に記載の生体情報計測装置。
【請求項7】
前記生体情報計測装置は、複数の計測モードを有し、
前記制御手段は、前記ソフトウェアキーに割り当てる機能の決定を、計測モードごとに行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の生体情報計測装置。
【請求項8】
前記制御手段はさらに、
前記領域に、複数のソフトウェアキーと、切り替えキーとを表示し、
前記切り替えキーが操作されるごとに、前記領域に表示する複数のソフトウェアキーを切り替える、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の生体情報計測装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記生体情報計測装置の種類に応じた条件下で検出したソフトウェアキーの操作だけを、当該ソフトウェアキーに割り当てられた機能の使用とみなして前記使用頻度を決定することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の生体情報計測装置。
【請求項10】
心電計または生体情報モニタ装置であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の生体情報計測装置。
【請求項11】
表示画面の一部を、ソフトウェアキーを表示する領域として用いる生体情報計測装置の制御方法であって、
制御手段が、前記ソフトウェアキーに割り当てる機能を、機能の使用頻度に基づいて自動的に決定する制御工程を有することを特徴とする生体情報計測装置の制御方法。
【請求項12】
生体情報計測装置が有するプロセッサを、請求項1からのいずれか1項に記載の生体情報計測装置が有する前記制御手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体情報計測装置およびその制御方法に関し、特にはソフトウェアキーを用いる生体情報計測装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心電図や脈波などの生体信号波形を画面に表示する生体情報計測装置では、生体信号波形の視認性を高めるため、できるだけ大画面の表示部を有することが望まれる。一方で、設置面積の削減や可搬性の向上という観点からは生体情報計測装置を小型化することが望ましい。このような相反する要求に対応するため、従前は筐体に設けられていたハードウェアキーやスイッチの一部をソフトウェアスイッチに変更する構成が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4949685号公報(図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチディスプレイとソフトウェアキーとの組み合わせにより、筐体のスペースを増やすことなく事実上任意の数のキーやスイッチを心電計に設けることができる。しかしながら、画面にはできるだけ大きく生体信号波形を表示することが望まれるため、画面内でソフトウェアキーを表示できる領域の大きさは制限される。また、操作性や視認性の観点からソフトウェアキーにはある程度の大きさが必要であるため、画面内に一度に表示可能なソフトウェアキーの数はあまり増やすことができない。
【0005】
ソフトウェアキーにある程度の大きさが必要な理由の1つは、機能を示すテキストの視認性を確保するためである。特に非漢字言語では漢字より文字数が多くなるため、多国語に対応した製品では特に問題となる。また、別の理由として、ユーザが意図したソフトウェアキーを確実にタッチ操作できるようにするためにも、ある程度の大きさが必要になる。このような背景から、特に小型の生体情報計測装置では、画面内に3~4個のソフトウェアキーしか配置できない。この問題に対応するため、切り替えキーが操作されるごとに、画面に表示されるソフトウェアキーのセットを切り替える機能を有する生体情報計測装置もある。
【0006】
どのセットにどの機能を割り当てるかはユーザが設定可能であるが、手間がかかる。そのため、効率よくソフトウェアキーを設定するための機能が望まれていた。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ソフトウェアキーに割り当てる機能を自動的に決定する機能を有する生体情報計測装置およびその制御方法を提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、表示画面の一部を、ソフトウェアキーを表示する領域として用いる生体情報計測装置であって、ソフトウェアキーに割り当てる機能を、機能の使用頻度に基づいて自動的に決定する制御手段を有することを特徴とする生体情報計測装置によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
このような構成により、本発明によれば、ソフトウェアキーに割り当てる機能を自動的に決定する機能を有する生体情報計測装置およびその制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る生体情報計測装置の一例としての心電計の機能構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る心電計の画面例を示す図である。
図3】実施形態に係る心電計の画面例を示す図である。
図4】実施形態に係る心電計における、ファンクションキーの機能割り当て動作に関するフローチャートである。
図5】実施形態に係る心電計の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。ここでは、本発明を生体情報計測装置の一例としての心電計に適用した実施形態を説明する。しかしながら、本発明は心電計以外の生体情報計測装置、例えば生体情報モニタ装置にも適用可能である。
【0012】
(心電計の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る心電計100の構成例を示すブロック図である。
電極群110は、例えば四肢電極(4つ)および胸部電極(6つ)からなる。電極群110が有する電極の種類や数は、心電計100で計測する心電図信号(誘導)の種類および数によって決まる。
【0013】
電極群110(心電図電極)は心電計100の入力部111が備えるコネクタに接続される。入力部111は例えば保護回路、誘導選択器、増幅回路などを有し、予め設定された種類と数の心電図信号を出力する。
A/D変換部112は、入力部111から出力される心電図信号のそれぞれをデジタル化し、心電図波形データとして出力する。入力部111とA/D変換部112はアナログフロントエンド(AFE)とも呼ばれる。
【0014】
フィルタ処理部113は、A/D変換部112を通じて入力される心電図波形データに対し、制御部120からの設定に従ってノイズ除去フィルタを適用する。本実施形態において、フィルタ処理部113は、一例として、筋電ノイズ除去フィルタ、ACノイズ除去フィルタ、およびドリフトノイズ除去フィルタを選択的に適用可能であるものとするが、フィルタ処理の種類や数はこれらに限定されない。
スピーカ114は、制御部120が例えば警告音や音声メッセージを出力するために用いる。
【0015】
制御部120は例えばROM、RAMおよびプログラマブルプロセッサを含み、ROMに記憶された制御プログラムをRAMに展開してプログラマブルプロセッサが実行することにより、心電計100全体の動作を制御する。ROMには制御プログラムのほか、各種の設定値やGUIデータなどが記憶されており、制御プログラムの実行時に適宜用いられる。また、ROMの少なくとも一部は書き換え可能であってよい。
【0016】
なお、例えばフィルタ処理部113は、制御部120が有するプログラマブルプロセッサがプログラムを実行することによって実現してもよいし、ASICやASSPなどのハードウェアで実現してもよい。フィルタ処理部113はハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより実現してもよい。
【0017】
解析部1201は制御部120が実現する心電図波形データの自動解析機能に相当し、計測した心電図波形データに対して自動解析処理を適用する。自動解析処理は、大きく分けて計測処理と所見分類処理の2つに大別できる。計測処理は、心電図の区分点(P、QRS、T)を検出し、計測値(R-R間隔、STレベル、PQ、QRS幅、QT等)を求める処理である。また、所見分類処理は、計測値と予め判定された判定条件とから所見を決定する処理である。なお、ここで挙げた計測値は単なる例示であり、他の計測値を求めてもよい。
【0018】
カードスロット116にはメモリカードを着脱可能であり、制御部120は装着されたメモリカードに心電図検査データを記録したり、装着されたメモリカードから記録済みの心電図検査データを読み出したりすることができる。なお、心電図検査データは、心電図波形データおよび被検者情報のデータを含む。心電図波形データの自動解析を行った場合、検査データは自動解析結果のデータも含む。心電図検査データは所定のデータ形式で検査ごとに生成される。なお、心電図検査データは複数のデータファイルで構成されてもよいし、1つのデータファイルで構成されてもよい。
【0019】
操作部117はユーザ(医療関係者)が心電計100に各種設定や指示を入力する入力デバイスであり、ボタン、キー、タッチパネル(ソフトウェアキー)などが一般的に用いられるが、これらに限定されない。音声入力のような物理的な入力操作を必要としない入力方法がサポートされてもよい。
【0020】
表示部118は、LCDなどの表示装置であり、制御部120の制御に従い、計測中の心電図、あるいはカードスロット116に装着されたメモリカードに記憶された心電図検査データに基づく心電図および/または解析レポートや、メニュー画面などを表示する。本実施形態において表示部118はタッチディスプレイであるものとする。
プリンタ119は、例えばサーマルプリンタであり、制御部120の制御に従い、心電図波形や解析レポートを所定のフォーマットで印刷出力する。
【0021】
電源部121は例えば二次電池や商用電源(ACアダプタ)であり、心電計100の各部へ電力を供給する。
【0022】
外部I/F123は外部機器を有線接続するための汎用インタフェースである。本実施形態において外部I/F123はUSB2.0規格に準拠したインタフェースであるものとするが、他の規格に準拠した汎用インタフェースであってもよい。また、外部I/F123の数は2つ以上であってもよい。外部I/F123にはUSB接続可能な任意の外部機器200(例えばUSBメモリやパーソナルコンピュータ)を接続可能である。
【0023】
このような構成を有する心電計100を用いて例えば心電図信号の計測及び記録を行う場合、電極群110の他端に設けられたコネクタを入力部111に接続し、心電計100の電源がONの状態で、電極群110の一端に設けられた胸部電極を被検者の胸部体表面の所定位置に、また四肢電極を被検者の四肢に取り付ける。
【0024】
入力部111に電極群110が接続されると、検出された心電図信号が入力部111に入力され、A/D変換部112、フィルタ処理部113などの処理を経て心電図波形データとして制御部120に入力される。制御部120は内部のRAMの一部をバッファとして用い、直近の所定秒数分の心電図波形データを一時的に蓄積する。また、制御部120は、バッファ内の心電図波形データを用いて、表示部118への心電図の表示を開始する。
【0025】
本実施形態の心電計100は以下の計測モードを有するものとする。
(1)12誘導自動計測モード
記録開始指示の入力(例えば操作部117が有するスタートボタンの押下)時点から、予め定められた期間(例えば10秒間)に計測された12誘導心電図信号について、自動解析結果を含んだ心電図検査データを記録するとともに、表示部118およびプリンタ119に出力する。
(2)12誘導手動計測モード
記録開始指示の入力時点から、記録停止指示(例えば操作部117が有するスタートボタンの再押下)の入力時点まで、12誘導のうち指定された一部の誘導の心電図波形をリアルタイムでプリンタ119から出力する。
(3)不整脈計測モード
12誘導のうち指定された3種類の誘導について、記録開始指示が入力されてから、予め定められた期間(例えば数分)に計測された誘導の波形をリアルタイムでプリンタ119から出力する。
(4)リズム計測モード
12誘導のうち指定された1種類の誘導について、記録開始指示が入力されてから、予め定められた期間(例えば数分)に計測された誘導の波形をリアルタイムでプリンタ119から出力する。
なお、これらの計測モードおよび動作は単なる例示であり、これらの全ての計測モードを有する必要はなく、また他の計測モードを有してもよい。
【0026】
操作部117から記録開始指示が入力されると、制御部120は設定されている計測モードに応じた記録動作を実行し、設定された記録時間の経過、あるいは操作部117からの記録終了指示の入力を検出すると記録動作を終了する。
【0027】
自動解析処理を実行する場合、制御部120(解析部1201)は、バッファに蓄積された記録期間分の心電図波形データについて自動解析処理を実行する。制御部120は、心電図波形データとその自動解析結果のデータ、被検者情報のデータを含んだ検査データを生成し、カードスロット116に装着されたメモリカードあるいは外部I/F123に接続された外部機器200に記録する。
【0028】
なお、検査データのフォーマットに制限はなく、複数のデータファイルから構成されても、1つのデータファイルで構成されてもよい。例えば被検者情報と心電図波形データとを含んだデータファイルと、自動解析結果のデータとが別のデータファイルとして生成される場合、同じ検査に係る複数のデータファイルを判別できるように記録する。例えば、それぞれのデータファイルを同じフォルダに記録したり、同じファイル名で拡張子を異ならせて記録したりすることができる。また、検査データが1つのデータファイルで構成される場合、心電図波形データとその自動解析結果のデータ、被検者情報のデータを含んだデータファイルを生成する。これらは単なる例示であり、他の方法で検査データを生成してもよい。
【0029】
12誘導自動計測モードの場合、制御部120は、自動解析処理が終了すると、バッファに蓄積されている心電図波形とその自動解析結果とを所定のフォーマットで表示部118および/またはプリンタ119に出力する。
【0030】
(ソフトウェアキーのカスタマイズ処理)
次に、図2および図3を参照して、本実施形態の心電計100におけるソフトウェアキー(ファンクションキー)とその設定画面について説明する。
図2(a)は、心電計100の記録スタンバイ時および計測時に表示部118に表示される画面(検査画面200)の例を示す図である。ここでは、被検者に電極が装着され、記録開始指示の入力待ち状態(記録スタンバイ時)であるものとする。
【0031】
検査画面200は、見出し領域201と、心電図領域202と、ファンクションキー領域203とを有する。
見出し領域201には、被検者情報や検査の種類、フィルタ処理部113で適用するフィルタの種類などが表示されるほか、メニューボタン204が配置されている。なお、見出し領域201に表示される情報の数や種類は単なる例示である。なお、表示画面内の「ボタン」「キー」は、ソフトウェアキーである。本実施形態の心電計100では、ソフトウェアキーの画像領域への所定のタッチ操作(例えばタップ操作)を、そのソフトウェアキーの操作として制御部120が認識するように構成されているものとする。従って、以下の説明における「キー」や「ボタン」への「操作」は、「キー」や「ボタン」の画像領域への所定のタッチ操作を意味する。ただし、ソフトウェアキーの操作は画像領域への直接的な操作によるものに限定されない。例えばハードウェアキーやボタンの操作を、対応付けられたソフトウェアキーの操作と認識するように構成してもよい。
【0032】
心電図領域202には、計測中の心電図波形が所定のフォーマットでリアルタイム表示される。表示される心電図波形の数や種類は設定されている計測モードに応じて異なる。図2(a)では、12誘導自動計測モードでの表示例を示している。
【0033】
ファンクションキー領域203には、ユーザが心電計100に対して指示を与えるためのソフトウェアキーが配置される。ここでは、4つのファンクションキーF1~F4と、ファンクションキー領域203に表示するファンクションキーの切り替えを指示するためのページ送りキー205が配置される。本実施形態において機能をカスタマイズ可能なファンクションキーは所謂ショートカットキーであり、ファンクションキーに割り当てられた機能(メニュー項目)を、メニューの複数階層を辿ることなく直接呼び出すことができる。なお、ファンクションキーF1~F4に割り当てられる機能は特定のメニュー項目を呼び出す機能に限らない。例えば前の画面への遷移指示を心電計100に与える機能などが固定的に(カスタマイズ不能に)割り当てられる場合もある。
【0034】
ファンクションキー領域203に表示されるファンクションキーF1~F4の機能は、ページ送りキー205が操作されるごとに、例えばページ数が増加する方向に切り替わる(最後のページの次は最初のページに戻る)。ページ送りキー205の表示「1/3」は、合計で3ページ(3組)のファンクションキーF1~F4が切り替え可能であること、現在表示されているのが1ページ目であることを示している。従って、検査画面200からは12個のファンクションキーが利用可能である。なお、利用できるファンクションキーの総数は、表示画面によって異なってもよい。
【0035】
メニューボタン204が操作されると、制御部120は図2(b)に示すようなメニュー画面220を表示部118に表示させる。
そして、メニュー画面220に含まれる「機能設定」ボタン221が操作されると、制御部120は図2(c)に示す設定一覧画面240を表示部118に表示させる。
【0036】
設定一覧画面240で「ファンクションキー」ボタン241が操作されると、制御部120はファンクションキーに割り当てる機能をユーザが変更するための設定画面として、例えば図3(a)に示すような、ファンクションキーの機能割り当て一覧画面300を表示部118に表示させる。
【0037】
便宜上、本実施形態ではファンクションキー設定の対象を検査画面200におけるファンクションキーに限定しているため、機能割り当て一覧画面300は検査画面200におけるファンクションキーに関する設定を一覧表示している。しかし、他の画面におけるファンクションキーについても設定可能としてもよく、この場合はファンクションキーを設定する画面をユーザに指定させ、指定された画面に応じた機能割り当て一覧画面を表示するように構成すればよい。
【0038】
上述の通り、心電計100は4つの計測モードを有するため、検査画面200におけるファンクションキーに割り当てる機能を計測モードごとに独立して設定可能としている。換言すれば、1つのファンクションキーに対し、計測モードごとに異なる機能を割り当て可能である。
【0039】
図3(a)では、4つの計測モードのうち、12誘導自動計測モードについてのファンクションキーの機能割り当て一覧画面300が表示されている状態を示している。制御部120は、計測モードの変更操作(計測モードに対応したタブ303~308の1つを選択する操作)を検出すると、表示タブを切り替え、別の計測モードについての機能割り当て一覧画面を表示する。
【0040】
機能割り当て一覧画面300のキー選択領域301には、現在ファンクションキーF1~F4のそれぞれに割り当てられている機能を一覧表示する。ここでは、ファンクションキー領域203に表示されるファンクションキーF1~F4を、ページと対応付けて行列状に表示した例を示している。なお、一覧表示されている各ファンクションキーは選択可能である。
【0041】
キー選択領域301において、いずれかのキーを選択する操作が検出されると、制御部120は選択されたキーに割り当て可能な機能の一覧を選択可能に表示する機能選択画面310を、例えば子画面として表示させる。例えば図3(a)のキー選択領域301において、第1ページでF1として表示されるファンクションキー302の選択操作が検出された場合、制御部120は図3(b)に示す機能選択画面310を表示させる。制御部120は、キー選択操作が検出された時点で選択されていたタブに応じた機能選択画面、すなわち計測モードに応じた機能選択画面を表示する。従って、図3(b)における機能選択画面310は、12誘導自動計測モードについての機能選択画面である。計測モードと割り当て可能な機能の選択肢とは、例えば制御部120内のROMに関連づけて記憶されている。
【0042】
機能選択画面310には割り当て可能な機能の一覧を、現在割り当てられている機能を判別可能に表示する。ここでは一例として、機能に対応付けて表示されるラジオボタンのうち、現在割り当てられている機能に対応するラジオボタン311を選択状態とすることにより、現在割り当てられている機能を判別可能としている。この例では1ページ目のファンクションキーF1として表示されるファンクションキー302に「フリーズ」機能が割り当てられているため、「フリーズ」に対応するラジオボタン311が選択状態で表示されている。
【0043】
制御部120は、例えば機能選択画面310における機能名に対応する位置への操作、またはラジオボタンの選択操作が検出されると、機能に対応するラジオボタンを選択状態に変更するとともに、それまで選択状態であったラジオボタンを非選択状態とする。このように、機能選択画面310では1つの選択肢だけを選択可能である。
【0044】
機能選択画面310には決定ボタン312と閉じるボタン313が設けられている。決定ボタン312の操作は、機能決定操作である。制御部120は、機能決定操作を検出すると、その時点で機能選択画面310において選択状態の機能を、機能割り当て一覧画面300で選択されたキーに割り当てた後、機能選択画面310を閉じる。
【0045】
一方、制御部120は、閉じるボタン313の操作を検出すると、設定を変更せずに機能選択画面310を閉じる。
【0046】
このように、本実施形態の心電計100はファンクションキーに対して割り当てる機能を手動で変更する機能を有する。しかしながら、機能割り当て一覧画面300や機能選択画面310を用いて、ファンクションキーに割り当てる機能を例えば頻繁に使用する機能が1ページ目に表示されるように変更することは容易でない。
【0047】
そのため、本実施形態の心電計100は、ファンクションキーへの機能割り当てを支援する機能を提供する。図4は、制御部120のプロセッサがROMに記録されたプログラムを実行することによって実施する、ファンクションキーの機能割り当て支援動作に関するフローチャートである。図4に示す動作は他の処理と並行して実施することができる。
【0048】
例えば心電計100の起動処理において図4のフローチャートに示す処理の実施を開始することができる。S103で制御部120は、タイマおよびカウンタを初期化する。タイマおよびカウンタは、例えばRAM内の特定のアドレスに記憶される値であってよい。タイマは処理開始からの経過時間を計測するために用いる。カウンタは処理開始時からのファンクションキーの操作回数を、ファンクションキーに割り当てられている機能ごとに計数するために用いる。したがって、タイマおよびカウンタの初期値はいずれも0であってよい。
【0049】
なお、起動時に不揮発性メモリ(ROM)の書き換え可能領域を参照し、タイマおよびカウンタの値が記憶されている場合、制御部120はROMから読み出した値をタイマおよびカウンタの初期値として設定する。
【0050】
S105で制御部120は、ファンクションキーが操作されたか否かを判定し、操作されたと判定されれば処理をS107に、判定されなければS109に処理を進める。なお、制御部120は、意味のある操作頻度を検出するため、所定の条件下でのファンクションキーの操作を検出した場合にのみ、ファンクションキーが操作されたと判定してもよい。例えば、心電計の場合、被検者情報(氏名や患者IDなど)の1つ以上の入力もしくは心電図の1つ以上の誘導の検出から、検査の開始時(操作部117のスタートボタンの操作検出時)までの期間に検出したファンクションキーの操作だけを、有効なファンクションキーの操作と判定することができる。これは、心電計の場合、ファンクションキーを操作するのが主に計測を開始するまでの間であるためである。他の生体情報計測装置においても、ファンクションキーの操作として検出する条件を、検査する内容に応じて定めることができる。
【0051】
S107で制御部は、操作されたファンクションキーに対応するカウント値を+1して処理をS109に進める。なお、処理を開始してから所定時間が経過するまでの間にファンクションキーに割り当てる機能が変更されることも考えられる。そのため、本実施形態では、ファンクションキーの位置(ページ番号と位置(F1~F4)の組み合わせ)ごとではなく、割り当てられた機能ごとにカウント値を管理する。そのため、ファクションキーに割り当てられた機能が変更されても、変更前の機能と変更後の機能についてそれぞれ別個にカウント値が管理でき、機能ごとの回数を正しく計数できる。
【0052】
S109で制御部120は、タイマの値と予め定められた閾値とを比較することにより、処理を開始してから所定時間が経過した否かを判定し、経過したと判定されれば処理をS111に進め、判定されなければ処理をS105に戻す。ここで、所定時間は例えば1週間から1ヶ月程度の期間であってよい。なお、所定期間は心電計100の電源がオンである期間のみの累積時間であってもよいし、単純に暦上の経過時間であってもよい。また、時間の代わりに心電図の計測回数を所定時間の閾値として用いてもよい。
【0053】
S111で制御部120は、カウント値(操作回数)に基づいて、各ページの各位置に表示するファンクションキーに割り当てる機能を決定する。具体的には、カウント値が最も大きな機能(使用頻度が最も高い機能)を1ページのF1に割り当て、以降、カウント値が大きい順に1ページのF2以降に割り当て、1ページへの割り当てが終わると次のページのF1から順に割り当てを継続する。なお、カウント値(使用頻度)が同じ機能については、例えば初期状態における並びにしたがって割り当てることができる。
【0054】
また、図3(a)に示した機能割り当て一覧画面300において、ファンクションキーごとに、割り当ての変更をしないように設定可能としてもよい。この場合、S111において制御部120は、割り当てを変更しないように設定された機能を除外して割り当て順序を決定する。そして、割り当てを変更しないように設定された機能が割り当てられているファンクションキーの位置をスキップして、各位置のファンクションキーに割り当てる機能を決定する。
【0055】
なお、割り当ての変更をしないようにする設定方法に制限はないが、例えば機能割り当て一覧画面300のキー選択領域301に一覧表示されたファンクションキーの所定の操作(例えば一定時間以上連続して選択する操作)を、そのファンクションキーに対する機能の割り当てを変更不能とするか可能とするか設定切り換え操作と認識するように構成することができる。例えば、機能割り当てを変更しないように設定されたファンクションキーについてはグレーアウト表示するなど、キー選択領域301における表示形態を、機能割り当てが変更可能なファンクションキーと異ならせるようにしてもよい。
【0056】
S111で各ページおよび各位置のファンクションキーに割り当てる機能を決定すると、制御部120は処理をS113に進める。S113で制御部120は、プレビュー処理を実行する。プレビュー処理は、S111で制御部120が自動決定した機能割り当てを実際にファンクションキーに割り当てる前にユーザに提示し、確認を求める処理である。
【0057】
なお、ここではS111でファンクションキーに割り当てる機能を決定すると、無条件にS113に進むようにしているが、特定の条件が満たされた場合のみにS111からS113へ移行するようにしてもよい。特定の条件は、例えば心電計100の起動時、メニュー画面への移行時、ファンクションキーの設定画面への移行時などであってよいが、これらに限定されない。
【0058】
プレビュー処理において制御部120は、例えば機能割り当て一覧画面300と同様の画面のキー選択領域301に、S111で所定期間内における使用頻度に基づいて自動決定した順序で機能を割り当てた状態を表示する。また、制御部120は、例えば図5に示すように、自動決定した機能割り当てを承認するか否かをユーザに問い合わせるメッセージダイアログ510を、キー選択領域301内のファンクションキーの表示を隠さないように表示する。
【0059】
メッセージダイアログ510には例えば「実行」ボタン511、「変更」ボタン512,「キャンセル」ボタン513を含めることができる。S115,S117,S119で制御部は、いずれかのボタンが操作されるのを待機する。制御部120は、「実行」ボタン511の操作が検出されると(S115,Y)、処理をS121に進め、プレビュー表示した割り当てを実現するように、ファンクションキーに機能を割り当てる設定処理を実行する。その後、制御部120は処理をS103に戻す。
【0060】
一方、制御部120は、「変更」ボタン512の操作が検出されると(S117,Y)、処理をS123に進め、ダイアログメッセージを消去して、図3(a),(b)で説明した手動カスタマイズ処理に移行し、ユーザ操作に応じて機能割り当てを変更し、処理をS113に戻して再度プレビュー処理を実行する。S123で変更がなされた場合、プレビュー表示に変更が反映される。
【0061】
また、制御部120は、メッセージダイアログの「キャンセル」ボタン513の操作が検出されると(S119,Y)、ファンクションキーの設定を変更せずに処理をS103に戻す。この場合、S123で変更がなされていても、その変更は無効とする。
【0062】
なお、上述したように、本実施形態では1つのファンクションキーに対し、計測モードごとの機能を割り当てることができる。従って、図4を用いて説明した機能割り当て動作は、計測モードごと(図3(a)のファンクションキーの機能割り当て一覧画面300におけるタブごと)に独立して実施される。つまり、計測モードごとに、機能ごとの選択回数や経過時間が管理される。したがって、複数の計測モードに共通する機能が割り当てられるファンクションキーの位置が、計測モードによって異なることもあり得る。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、ソフトウェアキーに割り当てる機能を機能の使用頻度に応じて自動で決定する機能を有する生体情報計測装置を実現することができる。そのため、ユーザが特に意識しなくても、生体情報計測装置を使用しているうちに、使用環境および/またはユーザに適合した機能の割り当てが実現される。また、生体情報計測装置が自動で決定した割り当てを変更することも可能であるため、ユーザの意図にしたがった機能の割り当ても可能である。また、機能の割り当てを固定するファンクションキーを設定可能とすることにより、常に同じ機能が同じ位置のファンクションキーに割り当てられるようにしつつ、残りのファンクションキーについては装置の決定に応じた機能を設定することができる。
【0064】
なお、本発明に係る生体情報計測装置は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンのような汎用情報処理装置に、上述した制御部120の動作を実行させるプログラム(アプリケーションソフトウェア)として実現することもできる。また、生体情報計測装置が有するROMに記憶され、生体情報計測装置が有するプロセッサに上述した制御部120の動作を実現させるプログラムとして本発明を実施することもできる。したがって、このようなプログラムおよび、プログラムを格納した記録媒体(CD-ROM、DVD-ROM等の光学記録媒体や、磁気ディスクのような磁気記録媒体、半導体メモリカードなど)もまた本発明を構成する。
【符号の説明】
【0065】
100…心電計、118…表示部、120…制御部、123…外部I/F、1201…解析部
図1
図2
図3
図4
図5