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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20230413BHJP
【FI】
A63F5/04 601B
A63F5/04 699
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018246624
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020103691
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕之
【審査官】鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-287770(JP,A)
【文献】特開2000-014867(JP,A)
【文献】特開2004-358216(JP,A)
【文献】特開2018-015229(JP,A)
【文献】特開2017-005948(JP,A)
【文献】特開2012-045119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行に用いられる所定の基板において、
前記所定の基板に入力された第1電圧の電力から第2電圧の電力を生成して、前記所定の基板上の電気素子を動作させるとともに、前記所定の基板に接続された電気素子を動作させる電力生成部と、
前記電力生成部と前記所定の基板に接続された電気素子との間に配され、前記電力生成部から前記所定の基板上の電気素子への前記第2電圧の電力出力を遮断することなく、前記所定の基板に接続された電気素子の影響を受けることなく前記所定の基板上の電気素子の動作を維持させたまま、前記電力生成部から前記所定の基板に接続された電気素子への前記第2電圧の電力出力をスイッチングするスイッチング回路と、
前記スイッチング回路を閉状態または開状態に制御する制御部と、
を備える遊技機。
【請求項2】
前記所定の基板では、前記第1電圧の電力から、前記第2電圧と異なる第3電圧の電力が生成され、
前記所定の基板上の電気素子は、前記第3電圧の電力により動作する請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記所定の基板に接続された電気素子に異常が生じた場合、前記制御部は、前記スイッチング回路を開状態に制御する請求項に記載の遊技機。
【請求項4】
遊技の進行を制御するメインCPUを有する主制御基板と、
前記主制御基板から信号を入力または前記主制御基板へ信号を出力する主制御装置と、
演出を制御する副制御基板と、
前記主制御基板および前記副制御基板に第1電圧の電力を供給するとともに、前記主制御装置に前記第1電圧と異なる第2電圧の電力を供給する電源基板と、
前記主制御基板に設けられ、前記第1電圧の電力から前記第2電圧の電力を生成して、前記主制御基板上の電気素子を動作させる第1電力生成部と、
前記副制御基板に設けられ、前記第1電圧の電力から前記第2電圧の電力を生成して、前記副制御基板上の電気素子を動作させるとともに、前記副制御基板に接続された電気素子を動作させる第2電力生成部と、
前記第2電力生成部と前記副制御基板に接続された電気素子との間に配され、前記第2電力生成部から前記副制御基板上の電気素子への前記第2電圧の電力出力を遮断することなく、前記副制御基板に接続された電気素子の影響を受けることなく前記副制御基板上の電気素子の動作を維持させたまま、前記第2電力生成部から前記副制御基板に接続された電気素子への前記第2電圧の電力出力をスイッチングするスイッチング回路と、
前記スイッチング回路を閉状態または開状態に制御する制御部と、
を備える遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者に遊技上の利益を付与するか否かを抽選により決定する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としてのスロットマシンでは、遊技の進行に際し、遊技者の有利度合い(遊技利益)を異にする複数の遊技状態や演出状態が設けられている。例えば、ボーナス役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示することで、通常遊技状態より、遊技者がメダルを獲得し易いボーナス遊技状態に移行する仕様を採用しているスロットマシンがある。
【0003】
このようなスロットマシンでは、遊技者に対し、当選役の抽選結果がボーナス役であるという期待を持たせるように、楽曲を出力したり、ランプを発光させる等の演出を行うことがある。したがって、当選役を抽選する主制御基板に加え、演出を実行する演出制御基板にも電力を供給しなければならない。例えば、同一の5Vの電力を主制御基板および演出制御基板それぞれに供給する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-167255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の基板それぞれにおいて必要な電力を、共通の電源から供給することで、各基板や基板に接続された電気素子は、安定的かつ大容量の電力供給を受けることができる。しかし、任意の基板から電力の供給を受ける電気素子において電力の供給系統に異常が生じると、その電気素子に電源を供給する基板にも影響を及ぼし、他の基板に異常が拡散するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、電力の供給系統の異常が拡散するのを防止することが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、遊技の進行に用いられる所定の基板において、前記所定の基板に入力された第1電圧の電力から第2電圧の電力を生成して、前記所定の基板上の電気素子を動作させるとともに、前記所定の基板に接続された電気素子を動作させる電力生成部と、前記電力生成部と前記所定の基板に接続された電気素子との間に配され、前記電力生成部から前記所定の基板上の電気素子への前記第2電圧の電力出力を遮断することなく、前記所定の基板に接続された電気素子の影響を受けることなく前記所定の基板上の電気素子の動作を維持させたまま、前記電力生成部から前記所定の基板に接続された電気素子への前記第2電圧の電力出力をスイッチングするスイッチング回路と、前記スイッチング回路を閉状態または開状態に制御する制御部と、を備える。
【0008】
前記所定の基板では、前記第1電圧の電力から、前記第2電圧と異なる第3電圧の電力が生成され、前記所定の基板上の電気素子は、前記第3電圧の電力により動作するとしてもよい。
【0010】
前記所定の基板に接続された電気素子に異常が生じた場合、前記制御部は、前記スイッチング回路を開状態に制御するとしてもよい。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の他の遊技機は、遊技の進行を制御するメインCPUを有する主制御基板と、前記主制御基板から信号を入力または前記主制御基板へ信号を出力する主制御装置と、演出を制御する副制御基板と、前記主制御基板および前記副制御基板に第1電圧の電力を供給するとともに、前記主制御装置に前記第1電圧と異なる第2電圧の電力を供給する電源基板と、前記主制御基板に設けられ、前記第1電圧の電力から前記第2電圧の電力を生成して、前記主制御基板上の電気素子を動作させる第1電力生成部と、前記副制御基板に設けられ、前記第1電圧の電力から前記第2電圧の電力を生成して、前記副制御基板上の電気素子を動作させるとともに、前記副制御基板に接続された電気素子を動作させる第2電力生成部と、前記第2電力生成部と前記副制御基板に接続された電気素子との間に配され、前記電力生成部から前記所定の基板上の電気素子への前記第2電圧の電力出力を遮断することなく、前記副制御基板に接続された電気素子の影響を受けることなく前記副制御基板上の電気素子の動作を維持させたまま、前記電力生成部から前記所定の基板に接続された電気素子への前記第2電圧の電力出力をスイッチングするスイッチング回路と、前記スイッチング回路を閉状態または開状態に制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電力の供給系統の異常が拡散するのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための外観図である。
図2】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための前面扉を開いた状態での外観図である。
図3】リールの図柄配列および有効ラインを示す図である。
図4】スロットマシンの概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図5】当選役を説明するための説明図である。
図6】遊技状態の遷移を説明するための説明図である。
図7】当選役抽選乱数を判定する場合に用いられる当選役抽選テーブルを示す図である。
図8】主制御基板のメイン処理を示したフローチャートである。
図9】遊技の進行を制御する制御手段へ電力を供給する構成を示すブロック図である。
図10】副制御基板における電力を供給する構成を示すブロック図である。
図11】スイッチング回路の駆動態様を示した回路図である。
図12】基板における集積回路や電気素子の配置例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1および図2の外観図に示すように、遊技機としてのスロットマシン100は、前面が開口した筐体102と、筐体102の前面一端に回動可能に上下に並んで配置される前面上扉104および前面下扉106とが設けられている。前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓108が設けられており、筐体102内の図柄表示窓108に対応する位置には、3つのリール110(左リール110a、中リール110b、右リール110c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられている。左リール110a、中リール110b、右リール110cには、図3(a)の図柄配列に示すように、20に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列されており、遊技者は、図柄表示窓108を通じて、上段、中段、下段に位置する、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの3つの連続する合計9個の図柄を視認することができる。
【0017】
前面下扉106の上部には操作部設置台112が形成され、操作部設置台112には、メダル投入部114、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、演出スイッチ122等が設けられている。メダル投入部114は、メダル投入口114aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付ける。ベットスイッチ116は、スロットマシン100の内部に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)されているメダルのうち、1遊技で必要とされる規定数のメダルを投入(ベット)する。
【0018】
スタートスイッチ118は、例えば傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による遊技の開始操作を検出する。ストップスイッチ120(ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120c)は、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれに対応して設けられており、遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ120の停止操作が可能な状態で、遊技者が、ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120cのいずれかを最初に停止操作することを第1停止といい、第1停止の後、停止操作されていない2つのストップスイッチ120のいずれかを停止操作することを第2停止といい、第2停止の後、最後に残ったストップスイッチ120を停止操作することを第3停止という。演出スイッチ122は、例えば、押圧スイッチと、その周囲に回転自在に配されたジョグダイヤルスイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。
【0019】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な画像を表示する液晶表示部124が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ125が設けられる。また、図1図2では図示していないが、各リール110a、110b、110cの内側には、それぞれに施された図柄のうち、図柄表示窓108に対応する各リール110a、110b、110cの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト126(図4参照)が設けられている。また、ストップスイッチ120a、ストップスイッチ120b、ストップスイッチ120cを背面から個々に独立して照射するストップスイッチランプ127(図4参照)が設けられている。また、前面上扉104の裏面における液晶表示部124の左右位置や前面下扉106の裏面における左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ128が設けられている。また、前面上扉104の図柄表示窓108の右側には、遊技者が視認できる領域において移動や回転を行うことで遊技者に大当たりの期待感を与える演出役物装置138が設けられる。
【0020】
操作部設置台112には、メインクレジット表示部130およびメイン払出表示部132が設けられている。また、図柄表示窓108と操作部設置台112との間には、サブクレジット表示部134およびサブ払出表示部136が設けられている。これらメインクレジット表示部130およびサブクレジット表示部134にはクレジットされているメダルの枚数(クレジット枚数)が表示され、メイン払出表示部132およびサブ払出表示部136にはメダルの払出枚数が表示される。
【0021】
筐体102内におけるリール110の下方には、メダル排出口140aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)142が設けられている。また、前面下扉106の前面下部には、メダル排出口140aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部140が設けられている。また、筐体102内には、電源スイッチ144が設けられている。電源スイッチ144は、スロットマシン100を管理する管理者が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
【0022】
スロットマシン100では、遊技が開始可能となり、規定数のメダルがベットされると、有効ラインAが有効化するとともに、スタートスイッチ118に対する操作が有効となる。ここで、ベットは、ベットスイッチ116の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部114を通じてメダルを投入する場合と、詳しくは後述するリプレイ役が有効ラインA上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。また、有効ラインAは、当選役の入賞を判定するためのラインであり、本実施形態では1本である。有効ラインAは、図3(b)に示すように、図柄表示窓108に臨む9つの図柄(3リール×上中下の3段)のうち、左リール110aの中段、中リール110bの中段、右リール110cの中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインに設定されている。無効ラインは、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせのみでは当選役を把握しにくい場合に、当選役の把握を容易にする他の図柄組み合わせを表示する、当選役の入賞判定には用いられない有効ラインA以外のラインであり、本実施形態では、図3(b)に示す4つの無効ラインB1、B2、C1、C2を想定している。
【0023】
そして、遊技者によりスタートスイッチ118が操作されると、遊技が開始され、左リール110a、中リール110b、右リール110cが回転されるとともに、当選役抽選等が実行される。その後、ストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cをそれぞれ停止させる。そして、当選役抽選の抽選結果および有効ラインAに表示された図柄の組み合わせによって、メダルの払い出しを受け得る当選役が入賞した場合にはメダルの払い出しが実行され、メダルの払い出しを受け得る当選役に不当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合には左リール110a、中リール110b、右リール110cが全て停止したことをもって、遊技が終了する。
【0024】
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図4に示すように、スロットマシン100は、遊技の進行を制御する主制御基板200と、遊技の進行に応じた演出を制御する副制御基板202とを含む制御基板が設けられている。また、主制御基板200と副制御基板202との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板200から副制御基板202への一方向のみに制限される。
【0025】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。なお、メインRAM200cは、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてRAMクリアが実行されない限り、データが消去されることなく保持される。
【0026】
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態制御手段312、コマンド送信手段314等の機能部を有する。
【0027】
主制御基板200では、メダル投入口114aへのメダルの投入を検出する投入メダル検出部114b、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118およびストップスイッチ120a、120b、120cから各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。
【0028】
初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。当選役抽選手段304は、スタートスイッチ118の操作に基づき、詳しくは後述するように、当選役の当否、より詳しくは、当選役が含まれる当選役の当否を決定する当選役抽選を行う。
【0029】
リール制御手段306は、スタートスイッチ118の操作に応じて、左リール110a、中リール110b、右リール110cを回転制御し、回転している左リール110a、中リール110b、右リール110cにそれぞれ対応したストップスイッチ120a、120b、120cの操作に応じて、対応する左リール110a、中リール110b、右リール110cを停止制御する。
【0030】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部150が接続されている。このリール駆動制御部150は、スタートスイッチ118の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ152を駆動する。また、リール駆動制御部150は、ストップスイッチ120の操作信号に応じ、リール制御手段306から送信される、左リール110a、中リール110b、右リール110cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路154の検出信号に基づいて、ステッピングモータ152の駆動を停止する。
【0031】
判定手段308は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段310は、当選役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたこと(入賞したこと)に基づいて、当該当選役に対応する数だけメダルを払い出す。また、主制御基板200には、メダル払出装置142が接続されており、払出制御手段310は、メダルの払出枚数を計数しながらメダルを排出する。
【0032】
状態制御手段312は、当選役抽選の結果や判定手段308の判定結果を参照し、複数種類の遊技状態のいずれかに遊技状態を移行させる。
【0033】
コマンド送信手段314は、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310、状態制御手段312等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定し、決定したコマンドを副制御基板202に順次送信する。
【0034】
また、主制御基板200には、乱数発生器(乱数生成手段)200dが設けられる。乱数発生器200dは、計数値を順次インクリメントし、所定の数値範囲内でループさせ、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。主制御基板200の乱数発生器200dによって生成される乱数(以下、当選役抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選役抽選手段304が当選役を決定するために用いられる。
【0035】
(副制御基板202)
また、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器(乱数生成手段)202dが設けられており、乱数発生器202dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
【0036】
また、副制御基板202では、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、演出制御手段334等の機能部を有する。
【0037】
初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段334は、演出スイッチ122から検出信号を受信するとともに、受信されたコマンドに基づいて液晶表示部124、スピーカ128、演出用ランプ125、リールバックライト126、ストップスイッチランプ127の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段334は、液晶表示部124に表示される画像データや、演出用ランプ125、リールバックライト126、ストップスイッチランプ127、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136等の電飾機器を通じた演出のための電飾データや、演出役物装置138を通じた駆動データを決定するとともに、スピーカ128から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段334は、決定した遊技の演出を実行する。なお、演出には、補助演出も含まれる。補助演出は、当選役抽選において、正解役と不正解役とが重複した選択当選種別に当選したときに、その正解役の入賞条件となるストップスイッチ120a、120b、120cの正解操作態様を報知する演出である。かかる補助演出により、遊技者は、正解役に対応する図柄組み合わせを、遊技者が有効ラインA上に容易に表示させることができる。かかる補助演出を実行する演出状態をAT(アシストタイム)演出状態という。また、AT演出状態とリプレイ役の当選確率が高いRT(リプレイタイム)遊技状態が並行して進行される所謂ART遊技状態を用いることもある。
【0038】
(主制御基板200で用いられるテーブル)
スロットマシン100においては、複数の遊技状態が設けられており、遊技の進行に応じて遊技状態が遷移する。そして、主制御基板200では、状態制御手段312により管理される遊技状態に対応する複数の当選役抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選役抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の遊技状態(後述するボーナス役の成立有無に基づく遊技状態等)に応じて、対応する当選役抽選テーブルをメインROM200bから抽出し、抽出した当選役抽選テーブルと現在の設定値に基づき、スタートスイッチ118の操作信号に応じて取得された当選役抽選乱数が当選役抽選テーブル内のいずれの当選役または不当選に対応するか判定する。ここで、設定値は、遊技利益を得る容易性を段階的に示したものであり、その設定値の数値が高いほど、遊技利益を得易い。なお、設定値は、一般的に、ホール側管理者により少なくとも遊技開始時には決定されており、遊技者が、遊技中に設定値を取得および変更することはできないようになっている。
【0039】
ここで、当選役抽選テーブルで抽出される当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役がある。このような当選役に対応する図柄組み合わせが、有効ラインA上に揃った状態を表示または入賞といい、当選役に当選し、その当選役に対応する図柄組み合わせが表示されるまでの状態を内部当選状態とする。当選役のうちのリプレイ役は、そのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技者によるメダルの新たなるベットを行わずして再度1遊技を実行できる役であり、小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されることにより、状態制御手段312により管理される遊技状態をボーナス遊技状態に移行させることができる当選役である。以下に、当選役および遊技者に付与される遊技利益について説明する。
【0040】
図5は、当選役を説明するための説明図であり、図6は、遊技状態の遷移を説明するための説明図である。
【0041】
また、本実施形態においては、当選役として、図5に示すように、当選役「リプレイ」、「ベル」、「ビッグボーナス(以下「BB」という)」が設けられている。このうち、当選役「リプレイ」が上記リプレイ役に相当し、当選役「ベル」が上記小役に相当し、当選役「BB」が上記ボーナス役に相当する。
【0042】
(リプレイ役)
当選役抽選の結果、当選役「リプレイ」に当選すると、図5に示した当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせである、各リール110a、110b、110cそれぞれに記される図柄「リプレイ」が有効ラインA上に表示可能となり、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、上記したように、遊技者によるベットを行わずして再度1遊技(再遊技)を実行できる。
【0043】
ここで、本実施形態においては、遊技者によってストップスイッチ120が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、当該図柄が有効ラインA上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ120が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ラインA上にはないが、各リール110a、110b、110cの回転方向と反対の方向の図柄4コマ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、リール制御手段306によって、離れている図柄数が滑りコマ数となり、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。また、当選役に対応する図柄が各リール110a、110b、110c中に複数あり、いずれも各リール110a、110b、110cの引込範囲内に存在している場合には、予め定められた優先順位に従っていずれの図柄を有効ラインA上に引き込むか決定され、当該優先された図柄を有効ラインA上に引き込むように滑りコマ数分回転を維持した後に停止するように停止制御がなされる。なお、ストップスイッチ120が押圧操作されたときに、当選した当選役以外の当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ラインA上にある場合には、リール制御手段306によって、その図柄を有効ラインA上に停止させないようにする、所謂蹴飛ばし処理も並行して実行される。
【0044】
そして、各リール110a、110b、110cにおいては、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示可能なように配列されている(図3および図5参照)。具体的に、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄同士は、各リール110a、110b、110c内で最大図柄4コマ分しか離隔していないので、停止制御によって必ず有効ラインA上に表示することができる。このように、当選役「リプレイ」に当選すると、これら当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが、必ず、有効ラインA上に表示されることとなる。このようにして、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示された場合には、メダルを投入することなく次の1遊技を開始することが可能となる。
【0045】
(小役)
また、当選役抽選の結果、当選役「ベル」に当選した場合には、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせである、各リール110a、110b、110cそれぞれに記される図柄「ベルA」が有効ラインA上に表示可能となり、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示された場合には、当選役に対応した枚数(ここでは9枚)のメダルが遊技者に払い出される。ここで、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄「ベルA」同士は、各リール110a、110b、110c内で最大図柄4つ分しか離隔していないので(図3および図5参照)、当選役「リプレイ」同様、上記の停止制御によって、必ず有効ラインA上に表示することができる。
【0046】
(ボーナス役)
また、当選役抽選の結果、当選役「BB」に当選すると、図5に示した当選役「BB」に対応する図柄組み合わせである、各リール110a、110b、110cそれぞれに記される図柄「赤7」が有効ラインA上に表示可能となり、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されると、遊技状態がボーナス遊技状態に設定され、次の1遊技(以下、単に次遊技という)以降、メダルが所定枚数(例えば、297枚)払い出されるまで、ボーナス遊技状態にて遊技を実行することが可能となる。なお、各リール110a、110b、110cにおいては、それぞれ図柄「赤7」が、上記の停止制御によっても、有効ラインA上に表示されない場合があるように配列されている(図3および図5参照)。そのため、当選役「BB」に当選したとしても、遊技者は、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ラインA上に表示させられるとは限らない。
【0047】
なお、上述したいずれかの当選役に当選すると、それぞれの当選役に対応する内部当選フラグが成立(ON)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、各リール110a、110b、110cそれぞれの停止制御がなされることとなる。このとき、小役に当選したものの、その小役に対応する図柄組み合わせを、その1遊技内で有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、当該1遊技の終了後に内部当選フラグがOFFされる。つまり、小役の当選の権利は小役に当選した1遊技内のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。また、リプレイ役である当選役「リプレイ」に対応する内部当選フラグが成立した場合には、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが必ず有効ラインA上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがOFFされる。これらに対して、当選役「BB」に当選した場合には、BB内部当選フラグが成立(ON)するとともに、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されるまで、BB内部当選フラグが遊技を跨いで持ち越される。
【0048】
(遊技状態の遷移)
ここで、BB内部当選フラグについて、遊技状態の遷移と合わせて具体的に説明する。BB内部当選フラグが成立すると、BB内部当選フラグの成立状況に応じて、図6の(1)に示すように、主制御基板200で管理している遊技状態が、ボーナス役である当選役「BB」に当選していないボーナス非成立遊技状態から、ボーナス遊技状態の準備状態に相当するボーナス成立遊技状態となり、ボーナス成立遊技状態に基づいて各リール110a、110b、110cそれぞれの停止制御がなされる。このとき、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることができなかった場合には、そのままBB内部当選フラグが次遊技に持ち越され(ボーナス成立遊技状態が維持され)、次回以降の遊技においても当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させることが可能となる。そして、遊技者が、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させると、図6の(2)に示すように、遊技状態がボーナス成立遊技状態からボーナス遊技状態に移行する。また、ボーナス遊技状態において、所定枚数(例えば、297枚)を超えるメダルが払い出されると、図6の(3)に示すように、遊技状態が、ボーナス遊技状態からボーナス非成立遊技状態に移行する。ただし、図6の(4)に破線の矢印で示すように、ボーナス非成立遊技状態における当選役「BB」が成立した遊技で、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ラインA上に表示させた場合、ボーナス成立遊技状態を経由せず、直接、ボーナス遊技状態に移行する。
【0049】
(当選役抽選テーブル)
図7は、当選役抽選乱数を判定する場合に用いられる当選役抽選テーブルを示す図である。当選役抽選テーブルでは、複数の当選領域が区画されており、各遊技状態によって抽選の対象となる当選役が異なる。図7は、各遊技状態(ボーナス非成立遊技状態、ボーナス成立遊技状態、ボーナス遊技状態)毎に割り当てられた当選領域(当選役)を「○」で表している。したがって、「○」が記載されていない当選領域は、その遊技状態に割り当てられていないことを示す。区画化された各当選領域にはそれぞれ当選範囲を示す数値である所定の置数(当選範囲値)と当選役が対応付けられており、遊技状態毎に割り当てられた全ての当選領域の置数を合計すると当選役抽選乱数の総数(65536)となる。したがって、当選役それぞれが決定される確率は、当選領域に対応付けられた置数を当選役抽選乱数の総数で除算した値となる。当選役抽選手段304は、その時点の遊技状態に基づいて、当該当選役抽選テーブルにおける複数の当選領域のうち番号の高い方から、順次、置数を取得し、その置数を当選役抽選乱数から減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選役を抽選結果としている。当該抽選の手順は、他の抽選においても適用できる。
【0050】
また、各遊技状態によって抽選の対象となる当選役が異なっている。例えば、図7において、ボーナス非成立遊技状態と、ボーナス成立遊技状態とを比較すると、前者は当選役「BB」の抽選を行っているのに対し、後者では当選役「BB」の抽選を行っていない。これは、後者では、既に当選役「BB」に当選しているので重ねて当選役「BB」を当選させることができないからである。また、後者では、前者に比べ、当選役「リプレイ」の当選確率を高く設定している。また、図7のボーナス遊技状態によれば、重ねて当選役「BB」の抽選を行わないとともに、当選役「リプレイ」の抽選も行われない。また、当選役「ベル」が高確率で当選するように設定されているので、ボーナス非成立遊技状態やボーナス成立遊技状態と比べて、1遊技で獲得できる枚数の平均値を示す期待獲得枚数が高くなっている。なお、当選役抽選テーブルの当選領域0には、「不当選」が対応付けられており、当選役抽選によって「不当選」が決定すると、図5に示したいずれの当選役に対応する図柄組み合わせも有効ラインA上に表示されることなく、メダルの払い出し等が行われることはない。ただし、ボーナス成立遊技状態(BB内部当選フラグがON)において、当選役抽選によって「不当選」が決定すると、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示可能となる。
【0051】
以下、主制御基板200、副制御基板202における具体的処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0052】
(主制御基板200のメイン処理)
図8は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。また、ここでは、本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。また、詳細な説明は省略するが、各処理が遂行される際、各処理において用いられるスイッチ(ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120a、120b、120c)は、処理の開始時に有効化され、処理の終了時に無効化される。
【0053】
(ステップS100)
電源スイッチ144を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、各リール110a、110b、110cの回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度各リール110a、110b、110cが回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。
【0054】
(ステップS200)
コマンド送信手段314は、ベット枚数に変更があった場合に、変更されたベット枚数および貯留枚数を示す投入コマンドを生成し、生成された投入コマンドを副制御基板202に送信する。
【0055】
(ステップS300)
次に、当選役抽選手段304は、スタートスイッチ118に対する遊技開始操作を有効化し、スタートスイッチ118の操作待ち状態に移行する。ここで、当選役抽選手段304は、遊技者によるスタートスイッチ118の操作に応じて、主制御基板200の乱数発生器200dによって更新された当選役抽選乱数から、スタートスイッチ118が操作された時点における1の当選役抽選乱数を取得する。そして、当選役抽選手段304は、図7に示した当選役抽選テーブル、および、現在設定されている遊技状態に基づいて、取得した当選役抽選乱数が、いずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選役または不当選を抽選結果として決定する。また、コマンド送信手段314は、スタートスイッチ118の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選役抽選の抽選結果(当選役または不当選)や遊技状態に関する情報等を含む当選役コマンドを生成し、生成された当選役コマンドを副制御基板202に送信する。また、状態制御手段312は、ボーナス非成立遊技状態において当選役「BB」に当選したことに基づき遊技状態をボーナス非成立遊技状態からボーナス成立遊技状態へ移行させる。
【0056】
(ステップS400)
スタートスイッチ118が操作されると、リール制御手段306は、ステッピングモータ152を駆動して各リール110a、110b、110cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における各リール110a、110b、110cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における各リール110a、110b、110cの回転を開始し、各リール110a、110b、110cの全てが定速回転となったところで、ステップS500に処理を移す。また、リール制御手段306は、リール演出を実行する場合もある。
【0057】
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップスイッチ120a、120b、120cを有効化し、遊技者によるストップスイッチ120a、120b、120cの操作を受け付けると、その操作に対応する各リール110a、110b、110cのいずれかを停止制御する。また、コマンド送信手段314は、ストップスイッチ120a、120b、120cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップスイッチ120a、120b、120cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、生成された停止コマンドを順次、副制御基板202に送信する。
【0058】
(ステップS600)
次に、判定手段308は、図3(b)に示した有効ラインA上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて遊技状態の変更や再遊技に際して要求される種々の処理を実行する。また、コマンド送信手段314は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせや、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、生成された入賞コマンドを副制御基板202に送信する。また、状態制御手段312は、ボーナス成立遊技状態において当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ラインA上に表示されたことに基づき、遊技状態をボーナス成立遊技状態からボーナス遊技状態へ移行させる。
【0059】
(ステップS700)
続いて、払出制御手段310は、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ラインA上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ラインA上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。また、状態制御手段312は、ボーナス遊技状態においてメダルの所定枚数の払い出しが実行されると、遊技状態をボーナス遊技状態からボーナス非成立遊技状態へ移行させる。このように、払出制御手段310は、有効ラインA上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を遂行し、当該1遊技を終了する。また、コマンド送信手段314は、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、生成された払出コマンドを副制御基板202に送信する。
【0060】
ステップS200からステップS700までの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS700までのメインループを繰り返すこととなる。
【0061】
(電力供給構成)
図9は、遊技の進行を制御する制御手段へ電力を供給する構成を示すブロック図である。ここでは、電力の供給態様を説明するために、その対象を、電源基板350、第1中継基板352、主制御基板200、主制御ユニット354、第2中継基板356、副制御基板202、副制御ユニット358に区分けしている。また、図9では、DC(直流)24Vの電力の供給系統を一点鎖線の矢印で示し、DC12Vの電力の供給系統を破線の矢印で示し、DC5Vの電力の供給系統を実線の矢印で示している。また、ここでは、全ての基板およびユニットでGNDを共通化しているが、基板単位やユニット単位で、また、基板内の任意の領域で、GNDを複数に区分けしてもよい。
【0062】
ここでは、電源基板350が、一括して、複数の基板(主制御基板200、副制御基板202)や複数のユニット(主制御ユニット354、副制御ユニット358)それぞれに必要な電力を供給している。したがって、各基板や各ユニットは、安定的かつ大容量の電力供給を受けることができる。しかし、いずれかの基板やユニットにおいて電力の供給系統に異常が生じると、共通の電源を用いる他の基板やユニットにも影響(焼損、破損、動作不良等)を及ぼし、異常が生じていない他の基板やユニットにも異常が拡散するおそれがある。そこで、本実施形態では、電力の供給系統を分散して、異常が生じた場合の電力の供給系統における異常拡散を防止する。
【0063】
電源基板350では、外部からAC(交流)24Vの電力の供給を受け、DC(直流)24Vの電力を生成する。また、電源基板350では、DC24Vの電力からDC12Vを生成する。さらに、電源基板350では、DC12Vの電力からDC5Vを生成する。電源基板350は、このように直流に変換されたDC24V、DC12V、DC5Vの電力を各基板に供給する。なお、ここでは、外部からAC24Vの電力の供給を受ける例を挙げているが、商用のAC100Vの電力の供給を受けて、各種直流電力を生成してもよい。
【0064】
第1中継基板352は、電源基板350から出力されたDC24V、DC12V、DC5Vの電力を、他の基板に中継する。具体的に、DC12Vの電力を主制御基板200に中継し、DC24V、DC12V、DC5Vの電力を主制御ユニット354に中継する。
【0065】
主制御基板200は、電力生成部200e(第1電力生成部)を備える。電力生成部200eは、第1中継基板352から受けたDC12Vの電力からDC5Vの電力を生成し、主制御基板200内の論理回路にDC5Vの電力を供給する。
【0066】
主制御ユニット354は、主制御基板200から信号を入力または主制御基板200へ信号を出力する複数の主制御装置を包括的に示したものである。主制御ユニット354を構成する主制御装置としては、例えば、図4に示すように、メダル投入部114、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、電源スイッチ144、メインクレジット表示部130、メイン払出表示部132、リール駆動制御部150、ステッピングモータ152、メダル払出装置142(ホッパー基板を含む)等が挙げられる。なお、以下の説明では、その対象が主制御ユニット354となっている箇所は、それを構成する個々の主制御装置と読み替えて適用することができる。主制御ユニット354の各主制御装置における電気素子は、第1中継基板352からDC24V、DC12V、DC5Vのいずれか1または複数の電力を受けて動作する。特に、メダル払出装置142は、DC24VおよびDC5Vを用いている。
【0067】
第2中継基板356は、電源基板350から出力されたDC24V、DC12Vの電力を、副制御基板202および副制御ユニット358それぞれに中継する。具体的に、DC12Vの電力を副制御基板202に中継し、DC24V、DC12Vの電力を副制御ユニット358に中継する。
【0068】
副制御基板202は、電力生成部202e(第2電力生成部)を備える。電力生成部202eは、第2中継基板356から受けたDC12Vの電力からDC5Vの電力を生成し、副制御基板202内の論理回路に電力を供給する。なお、副制御基板202は、内部的にDC3.3VやDC1.05Vも生成しているが、ここでは、その詳細な説明は省略し、後程詳述する。また、電力生成部202eで生成されたDC5Vの電力は副制御ユニット358にも供給される。ただし、電力生成部202eで生成されたDC5Vの電力を副制御ユニット358に供給せず、副制御ユニット358内において、DC12Vの電力からDC5Vの電力を生成し、副制御ユニット358内の論理回路に電力を供給するとしてもよい。
【0069】
副制御ユニット358は、副制御基板202から信号を入力または副制御基板202へ信号を出力する複数の副制御装置を包括的に示したものである。副制御ユニット358を構成する副制御装置としては、例えば、図4に示すように、演出スイッチ122、液晶表示部124、演出用ランプ125、リールバックライト126、ストップスイッチランプ127、スピーカ128、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136、演出役物装置138等が挙げられる。なお、以下の説明では、その対象が副制御ユニット358となっている箇所は、それを構成する個々の副制御装置と読み替えて適用することができる。副制御ユニット358の各副制御装置における電気素子は、第2中継基板356からのDC24V、DC12V、および、副制御基板202からのDC5Vのいずれかの電力を受けて動作する。
【0070】
ここで、電源基板350は、主制御基板200、主制御ユニット354、副制御基板202、副制御ユニット358に対し、DC電力を供給している。ただし、電源基板350は、主制御ユニット354に対し、DC5V(第2電圧)の電力を供給するが、他の、主制御基板200、副制御基板202、副制御ユニット358に対しては、DC5Vの電力を供給せず、DC12V(第1電圧)の電力およびDC24Vの電力のいずれか一方または双方の電力のみ供給する。なお、本実施形態では、電力を供給する側から見た消費する側を下流、電力を消費する側から見た供給する側を上流という。
【0071】
一方、主制御基板200では、電力生成部200eがDC12Vの電力からDC5Vの電力を生成し、メインCPU200aを動作させる等、主制御基板200内で利用している。また、副制御基板202では、電力生成部202eがDC12Vの電力からDC5Vの電力を生成し、副制御基板202内および副制御ユニット358で利用している。
【0072】
したがって、主制御基板200、主制御ユニット354、副制御基板(特定基板)202、副制御ユニット358のいずれにおいても、結果的に、DC5Vの電力の供給を受けることができる。これに対し、主制御ユニット354は、電源基板350から、直接、DC5Vの電力の供給を受けているが、一方で、主制御基板200、副制御基板202、副制御ユニット358は、電源基板350から、直接、DC5Vの電力の供給を受けることなく、基板内の電力生成部200e、202eから間接的にDC5Vの電力の供給を受けている。すなわち、主制御基板200と、主制御ユニット354と、副制御基板202および副制御ユニット358とのDV5Vの電力の供給系統はそれぞれ異なる。なお、電力生成部200e、202eでは、DC5Vの電力の出力側に異常が生じたとしても、その内部で影響を吸収し、入力側に影響を及ぼすことはない。
【0073】
かかる構成により、主制御基板200、主制御ユニット354、副制御基板202、副制御ユニット358のいずれにおいても、DC5Vの電力の供給を受け得る状況下において、主制御ユニット354、副制御基板202、副制御ユニット358のいずれかで、DC5Vの電力の供給系統に異常が生じたとしても、主制御基板200の動作に影響を及ぼすことはない。つまり、電源基板350から直接供給されるDC5Vの電力の供給系統や電力生成部202eから供給されるDC5Vの電力の供給系統に異常が生じたとしても、それとは供給系統を異とする電力生成部200eから供給されるDC5Vの供給系統には影響が及ぶことなく、正常な動作を維持できる。
【0074】
したがって、仮に、主制御ユニット354における電気素子(メダル投入部114、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120、電源スイッチ144、メインクレジット表示部130、メイン払出表示部132、リール駆動制御部150、ステッピングモータ152、メダル払出装置142)や、副制御ユニット358における電気素子(演出スイッチ122、液晶表示部124、演出用ランプ125、リールバックライト126、ストップスイッチランプ127、スピーカ128、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136、演出役物装置138)のいずれかのDC5Vの電力の供給系統が短絡したとしても、その影響は、主制御ユニット354や、副制御基板202および副制御ユニット358内で完結する。そうすると、主制御基板200のDC5Vの電力供給は維持され、遊技を正常に進行することが可能となる。
【0075】
同様に、副制御基板202、副制御ユニット358のいずれかで、DC5Vの電力の供給系統に異常が生じたとしても、主制御ユニット354の動作に影響を及ぼすことはない。つまり、電力生成部202eから供給されるDC5Vの電力の供給系統に異常が生じたとしても、それとは供給系統を異とする電源基板350から直接供給されるDC5Vの電力の供給系統には、影響が及ぶことなく、正常な動作を維持できる。
【0076】
例えば、上述したように、メダル払出装置142では、DC24VおよびDC5Vを用いている。具体的に、メダル払出装置142においてホッパの底に配設され、メダルを1枚ずつ放出するためのディスクを回転させるモータは、DC24Vの電力を受けて動作する。また、ディスクからメダルが1枚ずつ放出されるごとにON/OFFし、主制御基板200にその旨の信号を出力するメダル払出センサは、DC5Vの電力を受けて動作する。ここで、仮に、メダル払出センサのDC5Vの電力の供給系統と、副制御基板202および副制御ユニット358のDC5Vの電力の供給系統とが等しいとすると、副制御基板202および副制御ユニット358のいずれかにおいて、DC5Vの電力の供給系統をショートさせることで、メダルの払い出しに係るモータを維持しつつ、メダル払出センサを無効化することができる。このようにメダル払出センサを無効化することで、ホッパから不正なメダルの払い出しを行わせるゴト行為、例えば、主制御基板200にメダル払出センサの信号が送信されないため、メダルの払い出し以外のタイミングでホッパを動作させて(ホッパが空になるまで)不正にメダルを取得するゴト行為や、メダルの払い出し時に、規定の払出枚数を超えて(所定時間(例えば2秒)経過しエンプティエラーが発生するまで)メダルを払い出させるゴト行為が可能となる。ここでは、メダル払出センサのDC5Vの電力の供給系統と、副制御基板202および副制御ユニット358のDC5Vの電力の供給系統とを異ならせているので、副制御基板202および副制御ユニット358のいずれかにおいて、DC5Vの電力の供給系統をショートさせたとしても、メダル払出センサがその影響を受けることなく、上記のようなゴト行為を防止することができる。
【0077】
したがって、仮に、副制御ユニット358における電気素子(演出スイッチ122、液晶表示部124、演出用ランプ125、リールバックライト126、ストップスイッチランプ127、スピーカ128、サブクレジット表示部134、サブ払出表示部136、演出役物装置138)のいずれかのDC5Vの電力の供給系統が短絡したとしても、その影響は、副制御基板202および副制御ユニット358内で完結する。そうすると、主制御基板200や主制御基板200のDC5Vの電力供給は維持され、遊技を正常に進行することが可能となる。
【0078】
なお、ここでは、DC12Vが供給され、DC5Vを生成する特定基板として副制御基板202を挙げたが、かかる場合に限らず、主制御ユニット354と別体であれば、特定基板は主制御基板200やその他の基板としてもよい。例えば、スロットマシン100の正面側に、パトランプを模した装飾体を取り付けたとする。また、装飾体に対して、演出スイッチ122、液晶表示部124、演出用ランプ125、スピーカ128、演出役物装置138のいずれかを設ける場合もある。このとき、装飾体内の基板で、DC12Vの電力からDC5Vの電力を生成すれば、そのDC5Vの電力を演出スイッチ122、液晶表示部124、演出用ランプ125、スピーカ128、演出役物装置138に供給することができる。この場合、装飾体内の基板やその下流の演出スイッチ122、液晶表示部124、演出用ランプ125、スピーカ128、演出役物装置138のいずれかで、DC5Vの電力の供給系統に異常が生じたとしても、その影響は、装飾体内で完結し、主制御基板200や主制御ユニット354にまで及ぶことはない。
【0079】
また、ここでは、電源基板350から主制御ユニット354にDC5Vの電力を直接供給し、他の主制御基板200、副制御基板202、副制御ユニット358では、供給系統を異にして別途生成されたDC5Vの電力を用いる例を挙げて説明したが、電源基板350から電力を直接供給する対象は、主制御ユニット354に限らず、これに代えて、または、加えて、主制御基板200、副制御基板202、副制御ユニット358のいずれか1または複数とし、その他において供給系統を異にして別途生成された(もしくは自己で生成した)DC5Vの電力を用いるとしてもよい。つまり、電源基板350から電力を直接供給する対象を、主制御基板200、主制御ユニット354、副制御基板202、副制御ユニット358のいずれか1または複数とし、その他は、供給系統を異にして別途生成されたDC5Vの電力を用いる。
【0080】
また、ここでは、第1電圧としてDC12Vを挙げ、第2電圧としてDC5Vを挙げて説明したが、かかる場合に限らず、その電圧の組み合わせは任意に決めることができる。なお、その電圧値は、DC24V、DC12V、DC5V以外にも、例えば、DC3.3V、DC1.2V、DC1.05V等、様々な値を設定することができる。なお、電圧の組合せとしては、いずれの電圧が高くてもよいが、第1電圧>第2電圧とすることで、第1電圧の電力から第2電圧の電力を生成する電力生成部の構成を単純化でき、例えば、降圧レギュレータ等、安価かつ回路規模が小さい電気素子を用いることができる。
【0081】
(副制御基板202における電力供給構成)
また、例えば、副制御基板202では、DC5Vの電力の供給系統の異常が拡散するのを防止すべく、さらに、そのDC5Vの電力の供給系統の切り離しを徹底することができる。
【0082】
図10は、副制御基板202における電力を供給する構成を示すブロック図である。なお、図10では、電力の供給系統を実線の矢印で示し、制御信号を破線の矢印で示している。また、説明の便宜上、副制御基板202と副制御ユニット358の各装置とを結ぶ制御信号をそれぞれ単数で示しているが、複数設定してもよい。
【0083】
上述したように、副制御基板202では、電力生成部202eが、DC12Vの電力からDC5Vの電力を生成する。さらに、副制御基板202に設けられた電力生成部202fは、DC12V(第1電圧)の電力からDC3.3V(第3電圧)の電力を生成し、電力生成部202gは、DC12Vの電力からDC1.05V(第3電圧)の電力を生成する。したがって、副制御基板202においては、第2中継基板356から受電したDC12Vの電力に加え、DC5V、DC3.3V、DC1.05Vの電力を利用することができる。
【0084】
そして、副制御基板202内の各集積回路では、それぞれの電源電圧に応じて、DC5V、DC3.3V、DC1.05Vの電力供給を受ける。なお、電力生成部202eで生成されたDC5Vの電力は、副制御ユニット358にも供給される。
【0085】
副制御基板202は、副制御ユニット358における、例えば、液晶表示部124、演出用ランプ125、リールバックライト126、ストップスイッチランプ127、スピーカ128、演出役物装置138に対し、DC5Vを電源とするシリアル通信(離散信号)による制御信号を送信する。液晶表示部124、演出用ランプ125、リールバックライト126、ストップスイッチランプ127、スピーカ128、演出役物装置138は、かかる制御信号を受け、その制御信号に従って演出を実行する。また、液晶表示部124、演出用ランプ125、リールバックライト126、ストップスイッチランプ127、スピーカ128、演出役物装置138は、副制御基板202に対し、DC5Vを電源とするシリアル通信を通じて、その動作結果や自己の状態を示す状態信号(例えばループバックコマンド)を返信する。したがって、副制御基板202は、状態信号を参照しつつ、その内容に応じて、液晶表示部124、演出用ランプ125、リールバックライト126、ストップスイッチランプ127、スピーカ128、演出役物装置138に制御信号を送信することとなる。
【0086】
また、副制御ユニット358における、例えば、演出スイッチ122は、操作有効期間内に遊技者の操作を受け付けると、DC5Vを電源とする離散信号を通じて、遊技者からの操作を受け付けたこと、および、操作時間や操作量を示す操作信号を副制御基板202に送信する。そして、副制御基板202では、かかる操作信号に基づいて演出を開始したり、終了したり、変化させたりする。
【0087】
このような副制御ユニット358は、主として演出に用いられるので、それ自体の変位や変化を伴うことが多い。また、演出スイッチ122においては、遊技者による不規則な操作を受け付けなければならない。そうすると、副制御ユニット358では、故障等により、異常が生じる可能性が高くなる。
【0088】
このような副制御ユニット358のDC5Vの電力を副制御基板202と共通化してしまうと、副制御ユニット358のDC5Vの供給系統の異常により、共通の電源を用いる副制御基板202にも影響を及ぼし、異常が生じていない副制御基板202にも異常が拡散してしまう。そこで、上述した主制御基板200と、主制御ユニット354と、副制御基板202および副制御ユニット358との電力の供給系統の分散に加え、副制御基板202と副制御ユニット358との電力の供給系統を切り離し、異常が生じた場合の電力の供給系統における異常拡散を防止する。
【0089】
具体的に、副制御基板202においてスイッチング回路202hを設ける。スイッチング回路202hは、電力生成部202eで生成されたDC5Vを受電し、DC5Vの電力出力をスイッチング(ON/OFF)する。ここでは、スイッチング回路202hから出力された電力をDC5Vと区別するためDC5V_Uとする場合がある。そして、サブCPU202a(制御部)は、電力の供給状況に応じて、スイッチング回路202hを閉状態(ON)または開状態(OFF)に制御する。
【0090】
図11は、スイッチング回路202hの駆動態様を示した回路図である。ここでは、図11(a)にスイッチング回路202hの回路図を示し、図11(b)にその動作の真理値表を示す。
【0091】
例えば、サブCPU202aの任意の出力ポートOut1からハイレベル(H)信号が出力されると、図11(b)のように、スイッチ素子としてのバイポーラトランジスタQ1がONとなり、第2抵抗R2と、第3抵抗R3との抵抗分割により、A点の電圧が5×R2/(R2+R3)Vとなって、VGSが有意な値となる。そうすると、FETQ2がONするので、FETQ2のソースに入力されているDC5Vの電力がドレインから出力される(DC5V_U)。
【0092】
一方、サブCPU202aの出力ポートOut1からローレベル(L)信号が出力されると、バイポーラトランジスタQ1がOFFとなり、A点が第2抵抗R2によりプルアップされて5Vとなる。そうすると、VGSが0となり、FETQ2がOFFするので、FETQ2のソースに入力されているDC5Vのドレインからの出力が遮断される。
【0093】
なお、ここでは、論理信号を伝達するスイッチング回路202hとしてNチャネルのFETとバイポーラトランジスタを挙げているが、かかる場合に限らず、PチャネルのFET、リレー等を用いることもできる。また、第1抵抗R1、第4抵抗R4はいずれも、オープンとなるのを回避するためのプルダウン抵抗として機能し、キャパシタC1は電圧変動の平滑化素子として機能している。
【0094】
ここで、副制御ユニット358は、FETQ2のソースに入力されているDC5Vとは接続されておらず、FETQ2のドレインのDC5V_Uのみに接続されている。ここでは、サブCPU202aの出力ポートOut1がハイレベル(H)となったときにのみFETQ2のドレインからDC5Vの電力が副制御ユニット358に供給され、ローレベル(L)となったときには電力の供給が遮断される。したがって、サブCPU202aは、副制御ユニット358の異常を検出した場合、出力ポートOut1をローレベル(L)とするだけで、副制御基板202と副制御ユニット358とを切り離すことが可能なので、副制御ユニット358で、DC5Vの電力の供給系統に異常が生じたとしても、副制御基板202を含めた上流側に影響を及ぼすことはない。
【0095】
ところで、図10で示すように、サブCPU202aでは、副制御ユニット358における、液晶表示部124、演出用ランプ125、スピーカ128、演出役物装置138に対し、例えば、749541シリーズといった出力バッファ202iを通じて制御信号を送信する。また、サブCPU202aでは、副制御ユニット358における、液晶表示部124、演出用ランプ125、スピーカ128、演出役物装置138から、入力バッファ202jを通じて、状態信号を受信するとともに、演出スイッチ122から、入力バッファ202kを通じて、操作信号を受信する。なお、かかる出力バッファ202iや入力バッファ202j、202kは749541シリーズに限らず、ロジックレベルを伝達する様々な集積回路を用いることができる。
【0096】
このとき、例えば、出力バッファ202iの入力端子は、サブCPU202aの電源と等しいDC3.3Vの電力を必要とし、出力端子は、液晶表示部124、演出用ランプ125、スピーカ128、演出役物装置138の電源と等しいDC5V_Uの電力を必要とする。同様に、入力バッファ202jの入力端子は、液晶表示部124、演出用ランプ125、スピーカ128、演出役物装置138の電源と等しいDC5V_Uの電力を必要とし、出力端子は、サブCPU202aの電源と等しいDC3.3Vの電力を必要とする。また、入力バッファ202kの入力端子は、演出スイッチ122の電源と等しいDC5V_Uの電力を必要とし、出力端子は、サブCPU202aの電源と等しいDC3.3Vの電力を必要とする。したがって、出力バッファ202iの出力端子および入力バッファ202j、202kの入力端子にはDC5V_Uの電力が必要となる。
【0097】
そこで、出力バッファ202iの出力端子および入力バッファ202j、202kの入力端子は、FETQ2のソースに入力されたDC5Vとは接続されず、FETQ2のドレインのみに接続されている。したがって、サブCPU202aがハイレベル(H)となったときにのみFETQ2のドレインからDC5V_Uの電力が出力バッファ202iの出力端子および入力バッファ202j、202kの入力端子に供給され、ローレベル(L)となったときには電力の供給が遮断される。したがって、サブCPU202aは、副制御ユニット358の異常を検出した場合、ローレベル(L)とするだけで、副制御基板202と副制御ユニット358に加え、副制御基板202と、バッファ(出力バッファ202iおよび入力バッファ202j、202k)の副制御ユニット358側とを切り離すことが可能なので、副制御ユニット358とバッファ間で、DC5Vの電力の供給系統に異常が生じたとしても、副制御基板202の上流側に影響を及ぼすことはない。
【0098】
ここでは、電力生成部202eにおいてDC5Vの電力の供給系統を別途設けることで、主制御基板200および主制御ユニット354へ影響を及ぼすのを防止している。さらに、スイッチング回路202hによって、副制御ユニット358の電力(DC5V_U)を切り離し可能とすることで、異常が生じていない副制御基板202自体に影響を及ぼすことも防止している。したがって、異常が生じた場合の異常拡散を防止して他の基板や副制御基板202自体の焼損、破損、動作不良、誤動作等を回避することが可能となる。
【0099】
なお、図10では、説明の便宜上、副制御ユニット358に対する1のスイッチング回路202hを挙げて、その動作を説明したが、かかる場合に限らず、副制御ユニット358の各機能部、例えば、液晶表示部124、演出用ランプ125、リールバックライト126、ストップスイッチランプ127、スピーカ128、演出役物装置138、演出スイッチ122毎に、また、さらに細分化した単位で、それぞれDC5V_Uの電力を独立して供給し、それ毎にスイッチング回路202hを設けてもよい。例えば、リールバックライト126やストップスイッチランプ127以外の他の機能部、例えば演出役物装置138で異常が生じた場合、演出役物装置138に対応するスイッチング回路202hのみを閉状態としてDC5V_Uの電力を切り離すことで、リールバックライト126やストップスイッチランプ127に影響を及ぼすことを防止できる。こうして、遊技中にリールバックライト126やストップスイッチランプ127の点灯態様が変化して(点灯、消灯、点滅)、遊技に影響が生じるのを防止する。かかる構成により、副制御ユニット358の一部に異常が生じたとしても、副制御基板202のみならず、副制御ユニット358の他の装置へ影響を及ぼすことも防止することが可能となる。
【0100】
また、ここでは、サブCPU202aが、副制御ユニット358の異常を検出した場合に、ローレベル(L)とし、副制御基板202と副制御ユニット358とを切り離している。サブCPU202aは、以下のように副制御ユニット358の異常を検出することができる。すなわち、演出役物装置138を動作させるアクチュエータのドライバには、例えば、アクチュエータの回転指令に対しエンコーダのカウントが進まないといったような異常が生じた場合、状態信号として、その旨をループバックする機能が設けられている。サブCPU202aは、かかる状態信号からドライバの異常を判断し、そのドライバが接続されているDC5V_Uの電力に関し、スイッチング回路202hを通じて電力の出力を遮断する。なお、このとき、サブCPU202aは、状態信号にドライバの異常が生じた旨の情報が含まれている場合に、直ちにスイッチング回路202hを通じて電力の出力を遮断せず、異常が所定期間の間に所定回数以上生じた場合や、異常が連続して所定回数生じた場合に初めてスイッチング回路202hを通じて電力の出力を遮断するとしてもよい。
【0101】
また、サブCPU202aは、このように、状態信号にドライバの異常が生じた旨の情報が含まれている場合に、一旦、スイッチング回路202hを通じて電力の出力を遮断し、その後、所定時間(例えば1秒)以内に、再度、スイッチング回路202hを通じて電力の出力を復活させるとしてもよい。このように、DC5V_Uの電力出力を一旦遮断し、復活させることで(リセットすることで)、ドライバでは初期化処理が開始されることとなる。仮に、ドライバの異常が修復不可能な異常でなければ、かかる初期化処理で異常が解除される可能性がある。ここでは、スイッチング回路202hを通じてドライバをリセット信号(制御信号)として利用することで、演出役物装置138を正常動作に戻すことが可能となる。
【0102】
また、副制御ユニット358の各機能部へDC5V_Uの電力を複数独立して供給し、それぞれにスイッチング回路202hを設けている場合、かかるスイッチング回路202hを通じて異常箇所を特定することができる。例えば、演出用ランプ125に対し、DC5V_Uの電力を複数独立して供給している場合に、その一部で異常が生じたとする。サブCPU202aは、このように、状態信号に演出用ランプ125の異常が生じた旨の情報が含まれている場合に、スイッチング回路202hに対し、閉状態(ON)と開状態(OFF)とを所定周期(例えば1秒)で連続的に切り換える。そうすると、演出用ランプ125は、DC5V_Uの電力供給を受けた際に点灯することがあり、DC5V_Uの電力が遮断された際に強制的に消灯する。ここでは、スイッチング回路202hを通じてドライバを点滅信号(制御信号)として利用することで、作業者は、その点滅が生じている箇所が異常箇所であると判断でき、異常に対して迅速に対応することが可能となる。
【0103】
(電力供給系統)
また、具体的な図示は省略するが、副制御基板202は、主制御基板200や主制御ユニット354より遊技者が遊技機100前方からアクセスし易い位置に設けられている。したがって、仮に、不正な第三者が、副制御基板202にアクセスし、上述したように、そのDC5Vの電力の供給系統をショートさせる等、意図的に操作(改竄)したとしても、メダルを払い出すためのメダル払出装置142等、主制御ユニット354のDC5Vの電力に影響を及ぼすことがない。つまり、主制御基板200や主制御ユニット354等の、遊技者の利益に係る重要な基板は遊技者からアクセスし難い位置に配置され、副制御基板202等の、遊技者からアクセスし易い位置に配置された基板の電力の供給系統は、主制御基板200や主制御ユニット354の電力の供給系統と分離されている。こうして、例えば、上述したようなメダル払出センサを無効化することでホッパから不正なメダルの払い出しを行わせる不正な第三者のゴト行為から主制御基板200や主制御ユニット354を守ることが可能となる。
【0104】
また、副制御基板202の電力生成部202eで生成されたDC5Vの電力が供給される副制御ユニット358の電気素子は、主制御基板200や主制御ユニット354を通じてDC5Vの電力が供給される電気素子より、遊技者が遊技機100前方からアクセスし易い位置に設けられている。したがって、副制御基板202が、主制御基板200や主制御ユニット354より遊技者からアクセスし易い位置に設けられている場合同様、仮に、不正な第三者が、副制御ユニット358にアクセスし、そのDC5Vの電力の供給系統をショートさせる等、意図的に操作(改竄)したとしても、主制御基板200や主制御ユニット354のDC5Vの電力に影響を及ぼすことがない。つまり、主制御基板200や主制御ユニット354等の、遊技者の利益に係る重要な電気素子は遊技者からアクセスし難い位置に配置され、副制御ユニット358等の、遊技者からアクセスし易い位置に配置された電気素子の電力の供給系統は、主制御基板200や主制御ユニット354を通じて電力が供給される電気素子の電力の供給系統と分離されている。こうして、例えば、メダル払出センサを無効化することでホッパから不正なメダルの払い出しを行わせる不正な第三者のゴト行為から、主制御基板200や主制御ユニット354を通じて電力が供給される電気素子を守ることが可能となる。
【0105】
また、主制御ユニット354は、メダル投入部114、ベットスイッチ116、スタートスイッチ118、ストップスイッチ120といったように、主制御基板200より遊技者が遊技機100前方からアクセスし易い位置に設けられているものもある。したがって、仮に、不正な第三者が、主制御ユニット354にアクセスし、そのDC5Vの電力の供給系統をショートさせる等、意図的に操作(改竄)したとしても、遊技の進行を制御する主制御基板200のDC5Vの電力に影響を及ぼすことがない。つまり、主制御基板200といった遊技者の利益に係る重要な基板は遊技者からアクセスし難い位置に配置され、主制御ユニット354といった、主制御基板200と比較して遊技者からアクセスし易い位置に配置された基板の電力の供給系統は、主制御基板200の電力の供給系統と分離されている。こうして、例えば、メダル払出センサを無効化することでホッパから不正なメダルの払い出しを行わせる不正な第三者のゴト行為から主制御基板200を守ることが可能となる。
【0106】
(基板の配置態様)
上述したように、例えば、副制御基板202では、スイッチング回路202hを設けることで、その下流へ電力を供給したり、供給を遮断したりすることができる。しかし、かかる構成を取り入れることで、スイッチング回路202hを配置したり、電力の供給系統を個々に設ける必要があり、占有面積が増大してしまう。また、主制御基板200においても、基板に配設可能な電気素子が、規則上、片面実装のDIP(Dual Inline Package)型の電気素子でないと型式試験に適合しないことから、電気素子の占有面積が増大する傾向にある。ここで、単に、占有面積が増加すると、その分、基板自体が大きくなったり、基板が大きくなることで配置設計が困難になる場合がある。そこで、基板における集積回路や電気素子の配置を工夫することで、占有面積の増大を抑制する。
【0107】
図12は、基板における集積回路や電気素子の配置例を示した説明図である。ここでは、集積回路、電気部品、コネクタといった電気素子が含まれる基板の一例を示す。
【0108】
ここで、集積回路(CPU、IC1~IC7)は、トランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサなどの電気部品を集積した電気素子である。また、集積回路は、平板状に形成された本体と、本体の長辺の側面から外方に突出する3以上の端子(リード)で構成される。かかる端子は、本体の2つの長辺側面に同数かつ均等間隔に配されており、正面視で左下から右下まで横方向に端子番号が順次付され(例えばIC1では1~10)、さらに、右上から左上まで横方向に端子番号が順次付されている(例えばIC1では11~20)。このように集積回路は、正面視で上下対照的に形成されるので、上下方向を誤認識しないために様々な手段がとられている。例えば、正面視で1番端子を左下とする配置(正配置)で、その本体の中央において、正面視で正方向となるように、長手方向に文字列が印刷される。かかる文字列は、アルファベット、数字、カナ、漢字、記号等、様々な表記を適用できる。また、集積回路(CPU、IC1~IC4、IC7)では、正面視で1番端子を左下とする配置で、短辺の左側面に、左辺の一部を半円状に切り欠いた識別子が形成されている。また、集積回路(IC5、IC6)では、正面視で1番端子を左下とする配置で、その1番端子の近傍に1番端子の位置を示す円状の識別子が形成されている。
【0109】
また、電気部品は、抵抗(R1~R9)、コンデンサ(C1~C7)、インダクタ(図示せず)といった電気素子である。また、電気部品は、円柱状や角柱状の本体と、その両端部からそれぞれ外方に突出する端子(リード)で構成される。かかる電気部品には、柱状の本体における側面部分に、端子が突出している方向(突出方向)と交差する方向に延びる色彩を有する無端状の帯が、突出方向に並んで複数印刷されている。そして、突出方向に並ぶ帯の色の組み合わせ(カラーコード)により、抵抗の抵抗値と精度、コンデンサの静電容量と精度、インダクタのインダクタンスと精度を特定することができる。なお、抵抗およびインダクタには極性がないが、コンデンサには極性がないものと有るものがある。
【0110】
また、コネクタ(CN1、CN2)は、他の基板やユニットと電気接続するための接続部品である。
【0111】
ここで、集積回路、電気部品、コネクタは、全て、基板の一面に配置される例を挙げている。また、集積回路、電気部品、コネクタの実装種別は、DIP型の例を挙げているが、かかる場合に限らず、SIP(Single Inline Package)、SOP(Small Outline Package)、QFP(Quad Flat Package)等、様々な実装種別を採用することができる。なお、DIPでは、端子間の距離が規格化されているので、集積回路、電気部品、コネクタ単体で、ある程度の面積を占有してしまう。したがって、以下に示すような集積回路や電気部品の配置を工夫することによる占有面積の削減効果がDIP型の集積回路、電気部品、コネクタに対し顕著に生じ易い。
【0112】
また、基板上では、実装する集積回路(CPU、IC1~IC7)、電気部品(R1~R9、C1~C7)、コネクタ(CN1、CN2)に対応する識別表示(CPU、IC1~IC7、R1~R9、C1~C7、CN1、CN2)が、その近傍に印刷されている。ここでは、電気素子の実装箇所を視認できるので、誤った実装を防止できる。また、かかる識別表示は、電気素子を実装した後でも正面から視認できる(隠れない)位置に配置されている。したがって、実装後の確認においても作業性を向上することが可能となる。また、識別表示は、正面視で集積回路の1番端子を左下とする配置で正方向となるように文字列が印刷されている。したがって、集積回路の実装方向の誤認識を防止することもできる。
【0113】
また、基板上では、このような電気素子の識別表示(CPU、IC1~IC7、R1~R9、C1~C7、CN1、CN2)の表示方向を可能な限り統一する。こうすることで、実装後の確認においても作業性を向上することができる。また、主制御基板200を封入する樹脂ケース(図示せず)が遊技機100に取り付けられている状態で、集積回路(CPU、IC1~IC7)の識別表示(CPU、IC1~IC7)が、全て正面視で正方向となるように、主制御基板200の表面に取り付けられている。これにより、作業者は、主制御基板200を封入する樹脂ケースが遊技機100に取り付けられている状態においても、識別番号を容易に視認でき、実装後の確認においても作業性を向上することが可能となる。
【0114】
また、基板上では、実装する集積回路(CPU、IC1~IC7)の取り付け方向の誤認を防止するための案内表示が印刷されている。例えば、正面視で集積回路(CPU、IC1~IC4、IC7)の1番端子を左下とする配置で、短手方向の左側面に、左辺の一部を半円状に切り欠いた識別子が形成されている場合、集積回路(CPU、IC1~IC4、IC7)を基板上に正しく配置できるよう、半円状の切り欠きの近傍の基板上に、その切り欠いた形状を模した案内表示が印刷される。また、正面視で集積回路(IC5、IC6)の1番端子を左下とする配置で、その1番端子の近傍で1番端子の位置を示す円状の識別子が形成されている場合、集積回路(IC5、IC6)を基板上に正しく配置できるよう、その円状の識別子の近傍の基板上に、三角(△)の案内表示が印刷される。こうすることで、集積回路の実装方向の誤認識を防止することもでき、また、実装後の確認においても作業性を向上することが可能となる。なお、コンデンサに極性がある場合、コンデンサの正極の近傍の基板上に、正極を示すプラス(+)の案内表示を印刷してもよい。
【0115】
また、図12の基板においては、集積回路(IC1~IC7)に対し、その入力電力を平滑化するため、それぞれコンデンサ(C1~C7)が配置されている。このように、集積回路には、1または複数の電気部品を対応付けて配置する場合がある。なお、集積回路にコンデンサを配置する場合、入力電力を平滑化させるためには、可能な限り、コンデンサを集積回路に近づける必要がある。
【0116】
そこで、図12の例では、集積回路(IC1~IC7)の近傍に、それぞれコンデンサ(C1~C7)を配置し、その集積回路とコンデンサを1単位として捉えた(一体的に観察した)場合に、1単位の長辺×短辺の面積が小さくなる位置および姿勢でコンデンサを配置する。例えば、図12の例では、コンデンサの長手方向を集積回路の短手方向に沿うように配置する。ここでは、コンデンサの長辺と集積回路の短辺の長さが近似(長さが等しいことも含む)しており、コンデンサの長手方向を集積回路の短手方向に沿うように配置したとしても矩形形状を大凡維持でき、その面積も、集積回路の短辺×(集積回路の長辺+コンデンサの短辺)となるので、占有面積を削減することが可能となる。
【0117】
また、集積回路では、本体の2つの長手方向側面に極性を異とする電源端子がそれぞれ配置されている(例えば、IC1では正極が20番端子、負極が10番端子)ことが多い。したがって、コンデンサの長手方向を集積回路の短手方向に沿うように配置することで、極性を異とする電源端子とコンデンサの両端子とをそれぞれ結ぶ結線を最短とすることができ、配線パターンの最小化を図ることもできる。
【0118】
なお、ここでは、1の集積回路に対し、1の電気部品を対応付ける例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、1の集積回路に対し、複数の電気部品を対応付けてもよい。この場合、複数の電気部品の長手方向が平行となるように並置し、全ての電気部品の長手方向を集積回路の短手方向に沿うように配置するとよい。また、ここでは、1の集積回路に対し、1のコンデンサを対応付ける例を挙げて説明したが、電気部品の種類や数は問われない。例えば、抵抗、コンデンサ、インダクタのいずれか2つまたは全ての組み合わせでもよく、いずれかの電気部品、例えば、抵抗を複数併設するとしてもよい。
【0119】
また、1の集積回路に対し、複数(例えば2つ)の電気部品を対応付ける場合に、複数の電気部品を、その長手方向が等しくなるように直列に並置し、複数の電気部品の長手方向を集積回路の長手方向に沿うように配置してもよい。ここでは、複数の電気部品を直列に配置した場合の長辺と集積回路の長辺の長さが近似(長さが等しいことも含む)しており、複数の電気部品の長手方向を集積回路の長手方向に沿うように配置したとしても矩形形状を大凡維持でき、その面積も、集積回路の長辺×(集積回路の短辺+電気部品の短辺)となるので、占有面積を削減することが可能となる。
【0120】
また、図12の基板においては、集積回路(IC7)に対し、プルアップ抵抗やプルダウン抵抗として、複数の抵抗(R1~R9)を併設した抵抗群を配置する場合がある。この場合も、プルアップ抵抗やプルダウン抵抗の機能を十分に活かすため、可能な限り、抵抗群を集積回路に近づける必要がある。
【0121】
そこで、図12の例では、集積回路(IC7)の近傍に、抵抗群(R1~R9)を配置し、その集積回路と抵抗群を1単位として捉えた(一体的に観察した)場合に、1単位の長辺×短辺の面積が小さくなる位置および姿勢で抵抗群を配置する。例えば、図12の例では、複数の抵抗の長手方向が平行となるように並置し、その並置方向が、集積回路の長手方向に沿うように配置する。ここでは、抵抗の短辺が集積回路の端子間距離より短く、抵抗群の並置方向の長さと集積回路の長辺の長さが近似(長さが等しいことも含む)しており、抵抗群の並置方向を集積回路の長手に沿うように配置したとしても矩形形状を大凡維持でき、その面積も、集積回路の長辺×(集積回路の短辺+抵抗の長辺)となるので、占有面積を削減することが可能となる。
【0122】
また、集積回路では、入出力等の機能を等しくする端子が連続して配置されている場合(例えば、IC7の11番端子~19番端子)がある。したがって、抵抗群の並置方向を集積回路の長手に沿うように配置することで、集積回路の連続する端子と、複数の抵抗の一端とをそれぞれ結ぶ結線を最短とすることができ、配線パターンの最小化を図ることもできる。
【0123】
なお、ここでは、1の集積回路に対し、9の電気部品を併設した電気部品群を対応付ける例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、電気部品の数は任意に決定することができる。また、ここでは、1の集積回路に対し、複数の抵抗を併設した抵抗群を対応付ける例を挙げて説明したが、電気部品の形状や機能が等しければ、種類や数は問われない。また、ここでは、別体の抵抗を併設した抵抗群を適用しているが、例えば、予め複数の抵抗をモールディング等により一体形成した抵抗アレイ(集合抵抗)を適用してもよい。
【0124】
また、上記のように占有面積を削減することで、単位面積当たりの電気素子の密度を高めることができる。しかし、電気素子の密度が高まると、電気素子の実装位置を把握したり、実装後に実装位置を確認するのに時間を要し、作業性が低下する。ここでは、その識別性を向上することで、作業性を向上する。
【0125】
例えば、図12の基板における破線で示した領域においては、集積回路(IC1~IC6)と、電気部品(C1~C6)とを規則的に配置している。具体的に、正面視で集積回路(IC1、IC3、IC5)の左短辺の位置を左右方向で合わせる(等しくするまたはほぼ等しくする)。また、正面視で集積回路(IC2、IC4、IC6)の左短辺の位置を左右方向で合わせる(等しくするまたはほぼ等しくする)。また、正面視で電気部品(C1、C3、C5)の位置を左右方向で合わせる(等しくするまたはほぼ等しくする)。また、正面視で電気部品(C2、C4、C6)の位置を左右方向で合わせる(等しくするまたはほぼ等しくする)。そして、正面視左側から電気部品(C1、C3、C5)、集積回路(IC1、IC3、IC5)、電気部品(C2、C4、C6)、集積回路(IC2、IC4、IC6)の順に(交互に)、その中央位置を上下方向で合わせる(等しくするまたはほぼ等しくする)。また、集積回路(IC1~IC6)に対し、それぞれ添え字が等しい電気部品(C1~C6)を対応させている。
【0126】
ここでは、電気素子を規則的に配置することで、その法則に従い、1の電気素子から他の電気素子の位置を予測することが可能となる。したがって、その識別性が向上し、電気素子の実装位置を把握したり、実装後に実装位置を確認するのが容易になり、作業性を向上することができる。
【0127】
なお、極性がない電気部品、例えば、抵抗(R1~R9)、コンデンサ(C1~C7)、インダクタについては、2つの端子を上下(左右)のいずれの方向に取り付けても問題ない。しかし、ここでは、その方向を同機能の電気部品同士で揃える(統一する)。例えば、図12において、抵抗(R1~R9)やコンデンサ(C1~C7)のカラーコードの並び(見た目)が正面視で同一となるように配置されている。このような配置により、電気部品同士が等しいこと、または、電気部品同士が異なることを容易に識別することができ、作業性を向上することが可能となる。
【0128】
また、ここでは、主制御基板200全てにおいて、抵抗(R1~R9)同士、または、コンデンサ(C1~C7)同士のカラーコードの並びが同一となるように配置する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、主制御基板200の少なくとも一部において、複数の電子部品のカラーコードの並びが正面視で同一となるように配置されればよい。
【0129】
また、主制御基板200に取り付けられている電気素子の検査時、例えば、遊技機100の製造ラインにおける動作検査時、国家公安委員会の指定試験機関である保安通信協会(保通協)の型式試験での検査時、警察等による遊技場への立入検査時、遊技機100が故障した際の故障部位を特定する検査時等における作業性の向上を図ることができる。
【0130】
なお、ここでは、正面視で左右方向に電気部品、集積回路、電気部品、集積回路の順で交互に並置する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、その並置パターンは様々なパターンを採用することができる。また、ここでは、コンデンサを対応付ける例を挙げて説明したが、電気部品の種類や数は問われない。例えば、抵抗、コンデンサ、インダクタのいずれか2つまたは全ての組み合わせでもよく、いずれかの電気部品、例えば、抵抗を複数併設するとしてもよい。
【0131】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0132】
また、上述した実施形態では、主制御基板200と副制御基板202とが、遊技を進行するための機能部を分担するように配したが、主制御基板200の機能部を副制御基板202に配しても、副制御基板202の機能部を主制御基板200に配してもよく、また、全ての機能部を1の制御基板に纏めて配することもできる。
【0133】
例えば、上述した実施形態においては、遊技機として、スタートスイッチの操作に基づき、複数種類の当選役のいずれかを当選役抽選により決定する当選役抽選手段と、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数の回転リールを回転制御し、回転している回転リールに対応するストップスイッチの操作に応じ、当選役抽選手段の抽選結果に基づいて、操作されたストップスイッチに対応する回転リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、複数種類の演出のいずれかを実行する演出制御手段と、を備えるスロットマシンを例示したが、かかる場合に限らず、大当たり図柄を含む複数種類の図柄の中からいずれかを決定する図柄決定手段と、図柄が決定されてから所定の変動時間が経過すると、図柄表示部に図柄を表示させる図柄表示手段と、図柄表示部に大当たり図柄が表示されたとき移行において、複数回のラウンド遊技で構成される大役遊技を実行する大役遊技実行手段と、大役遊技におけるラウンド遊技のうち予め設定された特定ラウンド遊技中に、大入賞口に入球した遊技球が特定領域に進入すると、所定の遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、大役遊技中の演出を実行する演出実行手段と、を備えるパチンコ機にも適用できる。
【0134】
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【符号の説明】
【0135】
100 スロットマシン(遊技機)
200 主制御基板
200e 電力生成部(第1電力生成部)
202e 電力生成部(第2電力生成部)
202 副制御基板(特定基板)
350 電源基板
352 第1中継基板
354 主制御ユニット(主制御装置)
356 第2中継基板
358 副制御ユニット
図1
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図12