IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミルボンの特許一覧

<>
  • 特許-毛髪用組成物、及び毛髪処理方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】毛髪用組成物、及び毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20230413BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230413BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
A61K8/64
A61Q5/12
A61Q5/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019008249
(22)【出願日】2019-01-22
(65)【公開番号】P2020117449
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳史
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-137242(JP,A)
【文献】特開2017-57149(JP,A)
【文献】特開2010-229106(JP,A)
【文献】特開2012-121831(JP,A)
【文献】特開2010-132595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
pHが3.0未満、かつ、下記式(I)~(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備える変性ペプチドが配合された毛髪に塗布される毛髪用組成物。
-S-S-(CH)n-COOH (I)
(式(I)中、nは1又は2である。)
-S-S-CH(CH)-COOH (II)
-S-S-CH(COOH)-CH-COOH (III)
【請求項2】
アニオン界面活性剤が1質量%以下配合された請求項1に記載の毛髪用組成物。
【請求項3】
アニオン界面活性剤が無配合である請求項1に記載の毛髪用組成物。
【請求項4】
酸性染料が配合された請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の毛髪用組成物を毛髪に塗布した後、水又はpHが3.5以上の組成物を前記毛髪に接触させる毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用組成物、及びこの組成物を使用する毛髪処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンパク質を加水分解して得られるペプチドは、毛髪の修復効果やコンディショニング効果を期待して、毛髪用途とされる組成物に配合される。そのようなペプチドの効果の向上や機能の付加を目指した研究開発が行われており、カチオン化、アシル化又はシリル化したペプチド誘導体が知られている。
【0003】
また、特許文献1には、毛髪内における修復効果が期待されるペプチド誘導体として、チオグリコール酸塩を用いてカルボキシメチルジスルフィド基をペプチドに導入した変性ペプチドが開示されている。更に、特許文献2には、特許文献1の変性ペプチド、又は当該変性ペプチド以外の所定の変性ペプチドが配合されたpH3.5以上5.5以下の毛髪処理剤において、アニオン界面活性剤をも配合すれば、その変性ペプチドの毛髪内部への浸透性が向上することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-144127号公報
【文献】特開2017-57149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献2は、pH3.5以上5.5以下の組成物における変性ペプチドに関する技術を開示するに留まり、当該変性ペプチドについて、他の有効な毛髪補修を開示するものではない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、所定の変性ペプチドによる有効な毛髪補修を可能とする毛髪用組成物、及び当該組成物を使用する毛髪処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が鋭意検討を行った結果、所定の変性ペプチドを配合する組成物のpHを3.5未満に設定すれば、密度向上に優れた毛髪補修が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る毛髪用組成物は、pHが3.5未満、かつ、下記式(I)~(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備える変性ペプチドが配合されたものである。
-S-S-(CH)n-COOH (I)
(式(I)中、nは1又は2である。)
-S-S-CH(CH)-COOH (II)
-S-S-CH(COOH)-CH-COOH (III)
【0009】
本発明に係る毛髪用組成物のpHは、3.0未満が良い。pH3.0未満であれば、変性ペプチドの水中分散性に優れるから、毛髪内への浸透性の向上が期待される。
【0010】
本発明に係る毛髪用組成物において、アニオン界面活性剤は1質量%以下配合又は無配合が良い。1質量%以下又は無配合であると、毛髪内への変性ペプチドの定着性の向上が期待される。
【0011】
本発明に係る毛髪用組成物は、酸性染料が配合されたものが良い。本発明の毛髪用組成物のpHは3.5未満であるから、酸性染料の染毛性は優れる。
【0012】
本発明に係る毛髪処理方法は、本発明に係る毛髪用組成物を毛髪に塗布した後、水又はpHが3.5以上の組成物を前記毛髪に接触させるものである。本発明に係る毛髪用組成物における変性ペプチドは、pH3.5未満で水中分散性に優れるから毛髪内部に高浸透し、水又はpH3.5以上の組成物との接触により、変性ペプチドが毛髪において凝集することで、変性ペプチドの定着性が向上し、毛髪密度が高まると考えられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る毛髪用組成物によれば、pHが3.5未満に設定されるから、所定の変性ペプチドによる毛髪密度の向上が優れる。
【0014】
また、本発明に係る毛髪処理方法によれば、毛髪に塗布される所定の変性ペプチドが配合された毛髪用組成物のpHが3.5未満に設定されるから、毛髪密度の向上が優れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例及び比較例の毛髪密度比の算出値を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
(毛髪用組成物)
本実施形態に係る毛髪用組成物は、所定pHであり、水及び所定の変性ペプチドが配合されたものである(水の配合量は、例えば70質量%以上)。また、本実施形態の毛髪用組成物には、使用目的に応じて、公知の毛髪用組成物原料が任意に配合される。
【0017】
pH
本実施形態の毛髪用組成物のpHは、25℃において、3.5未満であり、3.0未満が良く、2.8未満が好ましく、2.6未満がより好ましく、2.5未満が更に好ましい。3.5未満であれば、配合される所定の変性ペプチドによる毛髪密度向上に優れる。この密度向上は、pH3.5未満であれば所定の変性ペプチドの水中分散性が高まるから、当該変性ペプチドが毛髪内に浸透し易くなるためと考えられる。なお、本実施形態の毛髪用組成物のpHの下限は、特に限定されるものではないが、例えば2.0である。
【0018】
変性ペプチド
本実施形態の毛髪用組成物には、所定の変性ペプチドが配合される。この変性ペプチドは、2以上のアミノ酸のペプチド結合によって形成された主鎖と、この主鎖に結合する側鎖基を備える。
【0019】
本実施形態の変性ペプチドの上記主鎖は、特に限定されない。この主鎖の例としては、システインを構成アミノ酸の一種としているペプチドの主鎖と同じものが挙げられる。また、システインを構成アミノ酸の一種としているペプチドの例としては、ケラチン、カゼインが挙げられる。ケラチンは、天然物由来のペプチドの中でもシステイン比率が高いものとして知られており、当該変性ペプチドが効率よく得られる原料となる。かかる観点から、変性ペプチドの主鎖はケラチンの主鎖と同じものが好適である。
【0020】
上記変性ペプチドは、下記式(I)で表される構造を有する側鎖基、下記式(I)で表される構造の塩を有する側鎖基、下記式(II)で表される構造を有する側鎖基、下記式(II)で表される構造の塩を有する側鎖基、下記式(III)で表される構造を有する側鎖基、下記式(III)で表される構造の塩を有する側鎖基から選ばれる側鎖基を一種又は二種以上備える。
-S-S-(CH)n-COOH (I)
(式(I)中、nは1又は2である。)
-S-S-CH(CH)-COOH (II)
-S-S-CH(COOH)-CH-COOH (III)
【0021】
上記式(I)で表される構造の塩、式(II)で表される構造の塩、式(III)で表される構造の塩は、それぞれ、カルボキシラートアニオンとカチオンとのイオン結合体である。そのカチオンとなる単位としては、例えば、NHなどのアンモニウム;Na、Kなどの金属原子;が挙げられる。
【0022】
上記変性ペプチドの毛髪内部への浸透性は、分子量が小さいほど高く、分子量が大きいほど低い。この観点から、上記変性ペプチドの分子量は、70000以下が良く、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましい。同分子量の下限は、特に限定されないが、例えば10000である。ここで、変性ペプチドの分子量については、Sodium Dodecyl Sulfate-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE法)による変性ペプチドのバンドと分子量マーカーのバンドとの相対距離から算出した分子量を、変性ペプチドの分子量とみなして採用する。
【0023】
本実施形態の毛髪用組成物における上記変性ペプチドの配合量の下限は、特に限定されないが、変性ペプチドによる毛髪密度向上の観点から、例えば0.001質量%が良く、0.005質量%が好ましく、0.01質量%がより好ましく、0.1質量%が更に好ましい。一方、変性ペプチド配合量の上限は、多量配合によるコスト上昇抑制の観点から、5質量%が良く、3質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、0.5質量%が更に好ましい。
【0024】
本実施形態の上記変性ペプチドは、例えば、特許第5798741号に開示されるような公知の製造方法により製造することができる。
【0025】
任意原料
本実施形態の毛髪用組成物には、上記の通り、使用目的に応じて、公知の毛髪用組成物原料が任意に配合される。この任意原料は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、染料、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。
【0026】
本実施形態の毛髪用組成物にアニオン界面活性剤を配合する場合、カルボン酸系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、硫酸系アニオン界面活性剤、リン酸系アニオン界面活性剤などの公知のアニオン界面活性剤から選ばれた一種又は二種以上が配合される。本実施形態の毛髪用組成物におけるアニオン界面活性剤の配合量は、1質量%以下が良く、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下が更に好ましい。本実施形態の変性ペプチドはpH3.5以上で凝集し易くなるので、本実施形態の毛髪用組成物を塗布した後の毛髪に対して、水又はpH3.5以上の組成物を接触させれば、毛髪における変性ペプチドの凝集定着を期待できるが、アニオン界面活性剤はその凝集を阻害する場合があるから、本実施形態の毛髪用組成物におけるアニオン界面活性剤の配合量は1質量%以下が良い(アニオン界面活性剤が無配合であれば、同界面活性剤による変性ペプチドの凝集定着を妨げる虞はない。)。
【0027】
酸性染料による染毛性はpH3.5未満で良好であるから、本実施形態の毛髪用組成物に酸性染料を配合し、染毛料として使用すると良い。その酸性染料としては、例えば、赤色2号(Amaranth)、赤色3号(Erythrosine)、赤色102号(New Coccine)、赤色104号の(1)(Phloxine B)、赤色105号の(1)(Rose Bengal)、赤色106号(Acid Red)、赤色201号(Lithol Rubine B)、赤色227号(Fast Acid Magenta)、赤色230号の(1)(Eosine YS)、赤色230号の(2)(Eosine YSK)、赤色231号(Phloxine BK)、赤色232号(Rose Bengal K)、赤色401号(Violamine R)、赤色502号(Ponceau 3R)、赤色503号(Ponceau R)、赤色504号(Ponceau SX)、赤色506号(Fast Red S)、黄色4号(Tartrazine)、黄色5号(Sunset Yellow FCF)、黄色202号の(1)(Uranine)、黄色202号の(2)(Uranine K)、黄色203号(Quinoline Yellow WS)、黄色402号(Polar Yellow 5G)、黄色403号の(1)(Naphthol Yellow S)、黄色406号(Metanil Yellow)、黄色407号(Fast Light Yellow 3G)、橙色205号(Orange II)、橙色207号(Erythrosine Yellowish NA)、橙色402号(Orange I)、緑色3号(Fast Green FCF)、緑色204号(Pyranine Conc)、緑色205号(Light Green SF Yellowish)、緑色401号(Naphthol Green B)、緑色402号(Guinea Green B)、紫色401号(Alizurol Purple)、青色1号(Brilliant Blue FCF)、青色2号(Indigo Carmine)、青色202号(Patent Blue NA)、青色203号(Patent Blue CA)、青色205号(Alphazurine FG)、褐色201号(Rezorich Brown)、黒色401号(Naphthol Blue Black)が挙げられる。本実施形態の毛髪用組成物における酸性染料の配合量は、特に限定されないが、例えば0.01~5質量%である。
【0028】
剤型
毛髪用組成物の使用時の剤型は、特に限定されず、例えば、液状、乳液状、ローション状、クリーム状、ワックス状、ゲル状、固形状、フォーム状(泡状)、霧状が挙げられる。
【0029】
(毛髪処理方法)
本実施形態の毛髪処理方法は、本実施形態の毛髪用組成物を毛髪に塗布した後に、この塗布後の毛髪に水又はpHが3.5以上の組成物(当該組成物における水の配合量は、例えば60質量%以上)を接触させるものである。この接触によるpHの上昇は、変性ペプチドの凝集を促進し、その結果、毛髪における変性ペプチドの定着性が高まると考えられる。
【0030】
水又はpH3.5以上の組成物を接触させる態様は、例えば、噴霧などによる水又はpH3.5以上の組成物の連続塗布、水洗による本実施形態の毛髪用組成物の除去、が挙げられる。
【実施例
【0031】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0032】
実施例及び比較例の毛髪用組成物を製造し、これら毛髪用組成物による毛髪処理を行ってから、毛髪密度の測定を行った。詳細は、次の通りである。
【0033】
(毛髪用組成物)
成分、成分配合量が下記表1に記載の通りである実施例1、比較例1a~1dの液状毛髪用組成物を製造した(表1における「残部」とは、全量を100質量%とする量である。)。
【0034】
表1における変性ペプチド(I)は、上記式(I)で表される側鎖基(n=1)を備える変性ペプチドなどが分散する透明の変性ペプチド(I)液として得たものであり、以下の還元工程、酸化剤混合工程、固液分離工程、回収工程、及び加水分解工程に従い、変性ペプチド(I)液を製造した。
【0035】
還元工程:
中性洗剤で洗浄、乾燥させたメリノ種羊毛を、約5mmに切断した。この羊毛5.0質量部、30質量%チオグリコール酸ナトリウム水溶液15.4質量部及び6mol/L水酸化ナトリウム水溶液8.5質量部を混合し、さらに水を混合して全量150質量部、pH11の被処理液を調製した。この被処理液を、45℃、1時間の条件で攪拌した。次いで、さらに水を混合して全量を200質量部とし、45℃、2時間の条件で放置し、その後、液温が常温になるまで自然冷却した。
【0036】
酸化剤混合工程:
還元工程後の被処理液を攪拌しながら、当該液に、35質量%過酸化水素水を15.26質量部配合した水溶液178質量部を、約30分かけて攪拌しながら混合した(過酸化水素水の混合に伴って被処理液のpHは上昇することになるが、その上昇は約20質量%酢酸水溶液を混合することでpH10以上11以下の範囲に調整した。)。その後、約20質量%酢酸水溶液を徐々に混合し、被処理液のpHが漸次11から7になるように調整した。
【0037】
固液分離工程及び回収工程:
酸化剤混合工程で得られた液をろ過することによりその液の不溶物を除去した。その後、回収した液体部(ろ液)に36質量%塩酸水溶液97.2質量部を配合した水溶液160質量部を添加して液のpHを7から3.8にすることにより、変性ペプチド(I)の沈殿を生じさせた。この沈殿を回収、水洗し、固形状の変性ペプチド(I)を得た。
【0038】
加水分解工程:
回収工程で得た固形状の変性ペプチド(I)を配合し、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールでpH10.5とした水溶液を、80℃で2時間加熱した。この加熱後の水溶液をろ過し、ろ液を変性ペプチド(I)液として得た。当該変性ペプチド(I)液における変性ペプチド(I)は、SDS-PAGE法では、変性ペプチド(I)のバンドが44000の分子量で認められた。
【0039】
(毛髪処理)
50代の日本人女性3名(女性A、女性B、女性C)から毛髪を採取した毛髪を、ミルボン社製シャンプー「ディーセス ノイ ウィローリュクス シャンプー」を使用して洗浄した後、乾燥させた。実施例及び比較例の毛髪用組成物のそれぞれに、乾燥後の各女性の毛髪9本(女性Aの毛髪3本、女性Bの毛髪3本、女性Cの毛髪3本)を30分間浸漬し、浸漬後の毛髪を、精製水で水洗した後、25℃、湿度50%の条件で自然乾燥させた。これら毛髪を0.5mm程度に細断してから、下記毛髪密度の測定を行った。
【0040】
(毛髪密度の測定)
各毛髪処理後の毛髪の30細断片(女性Aの毛髪:10細断片、女性Bの毛髪:10細断片、女性Cの毛髪:10細断片)について、毛髪密度の測定を行った。その測定方法は、特開2016-61664号公報の実施例と同様、密度勾配液体を使用する方法を使用した。
【0041】
下表1に、実施例及び比較例の毛髪用組成物の成分及び配合量、毛髪密度の測定結果、毛髪密度比(比較例1aの毛髪を100とした場合の比率)を示す。また、図1に、その毛髪密度比の算出値を表すグラフを示す。
【表1】
【0042】
表1において以下の(1)~(3)を確認できる。
(1)実施例1と比較例1bとの対比により、pHが3未満であった実施例1は、pHが3以上である比較例1bよりも、毛髪密度比に優れていたこと(なお、実施例1及び比較例1bの毛髪用組成物は、共に、変性ペプチド(I)が分散し、かつ、変性ペプチド(I)の凝集のないものであった。)。
(2)実施例1とこれよりも毛髪密度比が低い比較例1cとの対比により、pHを3.0未満にするための乳酸が毛髪密度比の差を生じさせたものではないこと。
(3)変性ペプチド(I)を配合した実施例1と羊毛由来加水分解ケラチンを配合した比較例1dとの対比により、実施例1の方が毛髪密度比が高いから、変性ペプチド(I)特有の毛髪密度向上が認められたこと(なお、比較例1dの毛髪用組成物は、羊毛由来加水分解ケラチンの凝集が認められた。)。
図1