IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-貯蔵庫 図1
  • 特許-貯蔵庫 図2
  • 特許-貯蔵庫 図3
  • 特許-貯蔵庫 図4
  • 特許-貯蔵庫 図5
  • 特許-貯蔵庫 図6
  • 特許-貯蔵庫 図7
  • 特許-貯蔵庫 図8
  • 特許-貯蔵庫 図9
  • 特許-貯蔵庫 図10
  • 特許-貯蔵庫 図11
  • 特許-貯蔵庫 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-12
(45)【発行日】2023-04-20
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20230413BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20230413BHJP
【FI】
F25D23/02 306M
F25D29/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019025482
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020133960
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保坂 靖基
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-138865(JP,A)
【文献】特開平06-137751(JP,A)
【文献】特開2016-035136(JP,A)
【文献】特開2005-133529(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02765374(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 23/06 ~ 23/08
F25D 29/00
E05F 15/73 ~ 15/76
E05B 49/00 ~ 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口する開口部を有する箱状の貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体に対して回動可能に取り付けられ、前記開口部を開放する開位置と前記開口部を閉じる閉位置との間で回動可能な扉と、
前記閉位置にある前記扉を前記開位置側に押し出して回動させる開扉装置と、
人体の一部が接近したことを検知するセンサと、
前記センサからの検知信号を受けて前記開扉装置を作動させる制御部と、を備え、
前記センサは、前記貯蔵庫本体の底面をなす底面部の庫外側面における前側に配されており、
前記底面部の庫外側面における前側には、前記開扉装置が取り付けられ、
前記開扉装置は、前方へ延出した延出部を有し、
前記センサは、前記延出部の下面において、下方を向く形で配されていることを特徴とする貯蔵庫。
【請求項2】
前記延出部は、
第1延出部と、
前記第1延出部の上方において、前記第1延出部に重畳する形で配された第2延出部と、を有し、
前記センサは、前記第1延出部の下面において、下方を向く形で配されていることを特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前方に開口する開口部を有する箱状の貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体に対して回動可能に取り付けられ、前記開口部を開放する開位置と前記開口部を閉じる閉位置との間で回動可能な扉と、
前記閉位置にある前記扉を前記開位置側に押し出して回動させる開扉装置と、
人体の一部が接近したことを検知するセンサと、
前記センサからの検知信号を受けて前記開扉装置を作動させる制御部と、を備え、
前記センサは、前記貯蔵庫本体の底面をなす底面部の庫外側面における前側に配されており、
前記底面部の庫外側面における前側には、前記開扉装置と、前記開扉装置と前記センサとを覆うカバー部材と、が取り付けられ、
前記カバー部材の下面をなす下面部には、下方に開口する下面部開口部が設けられ、
前記センサは、前記下面部開口部から露出していることを特徴とする貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫として、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の貯蔵庫では、押し出し棒により扉を押し開けるソレノイド式の開扉装置(扉開放用ユニット)を備える構成が開示されている。また、上記のような構成の貯蔵庫が、開扉装置を作動させるためのセンサを備えることが知られている。このような構成では、例えば、扉に設けられたセンサに作業者の指が接触する(又は近接する)ことで開扉装置が作動するものとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-056176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、例えば、作業者が貯蔵物を両手で持ち、その両手が塞がっているときに、センサに作業者の指を検知させて扉を開こうとする場合は、貯蔵物を床や机等に一度置いてから、センサに指を検知させる必要があり、作業性に劣る。また、センサの表面に水滴や埃が溜まると、人を検知する感度が低下する可能性が考えられる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、作業性を向上することができる貯蔵庫を提供することを目的の一つとする。また、センサの感度の低下を抑制することができる貯蔵庫を提供することをさらなる目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前方に開口する開口部を有する箱状の貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体に対して回動可能に取り付けられ、前記開口部を開放する開位置と前記開口部を閉じる閉位置との間で回動可能な扉と、前記閉位置にある前記扉を前記開位置側に押し出して回動させる開扉装置と、人体の一部が接近したことを検知するセンサと、前記センサからの検知信号を受けて前記開扉装置を作動させる制御部と、を備え、前記センサは、前記貯蔵庫本体の底面をなす底面部の庫外側面における前側に配されていることに特徴を有する。
【0007】
このような貯蔵庫によると、作業者が扉を開ける際は、足(つま先)を底面部の下方(即ち、貯蔵庫と床との間)に挿入することで、センサに当該足の接近を検知させ、開扉装置を作動させて扉を開放させることができる。これにより、貯蔵物を持っている等により両手が塞がっている作業者であっても、貯蔵庫の扉を開けることができ、作業効率が向上する。
【0008】
上記構成において、前記底面部の庫外側面における前側には、前記開扉装置が取り付けられ、前記開扉装置は、前方へ延出した延出部を有し、前記センサは、前記延出部の下面において、下方を向く形で配されていることとすることができる。
【0009】
このような貯蔵庫によると、センサが前方へ延出した延出部に配されているので、作業者が扉を開ける際は、足を奥まで(後方まで)挿入することなく、センサに当該足の接近を検知させることができる。よって、作業者がつま先で貯蔵庫の扉を開けやすくなる。また、センサは、延出部の下面において、下方を向く形で配されているので、埃や水滴がセンサの表面に溜まりにくく、その感度が低下しにくい。
【0010】
上記構成において、前記延出部は、第1延出部と、前記第1延出部の上方において、前記第1延出部に重畳する形で配された第2延出部と、を有し、前記センサは、前記第1延出部の下面において、下方を向く形で配されていることとすることができる。
【0011】
このような貯蔵庫によると、延出部は、センサが配された第1延出部の上方において、第1延出部に重畳する形で配された第2延出部を有するので、上方から降下する埃や滴る水滴を、第2延出部の上面でとどめて、センサの表面に溜めにくくすることができる。
【0012】
上記構成において、前記底面部の庫外側面における前側には、前記開扉装置と、前記開扉装置と前記センサとを覆うカバー部材と、が取り付けられ、前記カバー部材の下面をなす下面部には、下方に開口する下面部開口部が設けられ、前記センサは、前記下面部開口部から露出していることとすることができる。
【0013】
このような貯蔵庫によると、作業者が扉を開けるために足を底面部の下方に挿入する際に、開扉装置やセンサを蹴ってしまうことをカバー部材で防ぐことができる。また、埃や水滴が多方向に移動してセンサの表面に溜まることを、カバー部材で防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業性を向上することができる貯蔵庫を提供することができる。また、センサの感度の低下を抑制することができる貯蔵庫を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る冷却貯蔵庫を前方から視た図
図2】機械室を上方から視た図
図3】右上側の扉の開閉動作を示す断面図
図4】右上側の開扉装置を前上方から視た斜視図
図5】右上側の開扉装置を前方から視た図
図6】右上側の開扉装置を上方から視た図(扉を押し出す前の状態を示す)
図7】右上側の開扉装置を上方から視た図(扉を押し出した後の状態を示す)
図8】貯蔵庫本体の底面部の前側付近の断面図
図9】右下側の開扉装置を前下方から視た斜視図
図10】カバー部材と下側の開扉装置を示す斜視図
図11】カバー部材と下側の開扉装置を示す斜視図(前面部を取り外した図)
図12】底面部に取り付けられたカバー部材を下方から視た図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1から図12によって説明する。本実施形態では、図1に示すように、貯蔵庫として4ドア式の冷却貯蔵庫10を例示する。なお、各図面において矢印方向Lを左方、矢印方向Rを右方、矢印方向Fを前方、矢印方向Bを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方として説明する。
【0017】
図1に示すように、冷却貯蔵庫10は、箱状の貯蔵庫本体11と、貯蔵庫本体11の上方に配された機械室12と、貯蔵庫本体11に対して回動可能に取り付けられた複数(4枚)の扉13と、を備える。また、冷却貯蔵庫10は、貯蔵庫本体11の底面をなす底面部18の左右及び前後の角部から下方に延出した脚部19によって支持されて、図示しない床に設置されている。貯蔵庫本体11は、前方に開口する開口部14(図3参照)を有する断熱箱体であって、貯蔵物を貯蔵することができる貯蔵室15を有する。貯蔵庫本体11には、上下方向に2組配列され、左右で一対となる扉13が4つ取り付けられている。4つの扉13のうち、右上側の扉を13A、左上側の扉を13B、右下側の扉を13C、左下側の扉を13Dとする。
【0018】
扉13は、ヒンジピン16を備えるヒンジ部材17を介して貯蔵庫本体11に対して回動可能に取り付けられている。これにより、図3に示すように、扉13(13A)は、開口部14を閉じる閉位置(実線で示す)と開口部14を開放する開位置(2点鎖線で示す)との間で回動可能となっている。扉13の庫内側の面には、マグネットガスケット30(図6参照)が貼設されている。閉位置にある扉13は、マグネットガスケット30の吸着力により、貯蔵庫本体11に対して吸着されている。
【0019】
図1に示すように、貯蔵庫本体11の上下部分における中央側には、閉位置にある扉13を開位置側に押し出して回動させる開扉装置40が配されている。開扉装置40は、右上側の扉13Aを押し出す右上開扉装置40A、左上側の扉13Bを押し出す左上開扉装置40B、右下側の扉13Cを押し出す右下開扉装置40C、及び、左下側の扉13Dを押し出す左下開扉装置40D、の4台からなる。これらは、それぞれが独立して作動する。
【0020】
開扉装置40は、人体の一部が接近したことを検知する人感センサ(センサ)64と、センサ64からの検知信号を受ける制御部70(図2参照)と、によって開扉動作を行う(詳細は後述する)。人感センサ64は、右上開扉装置40Aを作動させるための右上人感センサ64A、左上開扉装置40Bを作動させるための左上人感センサ64B、右下側の扉13Cの左下側であって、底面部18の庫外側面における前側に配され、右下開扉装置40Cを作動させるための右下人感センサ64C、及び、左下側の扉13Dの右下側であって、底面部18の庫外側面における前側に配され、左下開扉装置40Dを作動させるための左下人感センサ64D、の4機からなる。右上人感センサ64Aと左上人感センサ64Bは、右上側の扉13Aの左下側と左上側の扉13Bの右下側にそれぞれ取り付けられている(従って、扉13A,13Bの開閉と共に移動可能とされる)。右下人感センサ64Cと左下人感センサ64Dは、右下開扉装置40Cと左下開扉装置40Dにそれぞれ備えられている。人感センサ64としては、例えば、赤外線センサを採用することができる。
【0021】
図2に示すように、機械室12には、冷却装置20、制御部70を有する電装箱21、及び開扉装置40(右上開扉装置40A,左上開扉装置40B)が収容されている。冷却装置20(冷凍ユニット)は、凝縮器22や圧縮機24等を備える。冷却装置20は、貯蔵庫本体11内において貯蔵室15の上方に設けられた冷却器室(不図示)に配された冷却器(不図示)と冷媒管によって循環接続されている。冷却装置20が駆動すると、冷却器が冷気を生成するとともに、冷却器室に配された冷却ファン(不図示)によってその冷気が貯蔵室15に送られる。
【0022】
右上開扉装置40A及び左上開扉装置40Bは、機械室12の前端部において中央寄りに配されている。以降は、図4から図7を用いて、右上開扉装置40Aの構成について説明する。尚、左上開扉装置40Bは、右上開扉装置40Aと左右対称となる構成である。
【0023】
図4から図6に示すように、右上開扉装置40Aは、前後方向を軸方向として当該前後方向(所定方向)に動くプランジャ42A(可動鉄芯)を有するソレノイド41Aと、プランジャ42Aの前端部において、プランジャ42Aの軸方向に垂直に交わる方向(上下方向)を軸方向として取り付けられた棒状の棒部材49Aと、を備える。また、右上開扉装置40Aは、右側の端部(後述する力点部45A)が棒部材49Aの中央部分に取り付けられた押し出し部43Aと、棒部材49Aの上下側の端部に取り付けられた規制部材50Aと、右上側の扉13Aが閉位置又は開位置にあることを検知する扉センサ63Aと、を備える。尚、棒部材49A、規制部材50A、プランジャ42A、及び押し出し部43Aの素材としては、鉄やアルミニウムなどの金属を採用することができる。また、扉センサ63Aとしては、例えば、磁気センサを採用することができる。
【0024】
規制部材50Aは、棒部材49Aの上端部に取り付けられた板状の上側規制部51Aと、棒部材49Aの下端部に取り付けられ、上側規制部51Aの下方において、上側規制部51Aに重畳する形で配された板状の下側規制部55Aと、を備える。上側規制部51A及び下側規制部55Aは、棒部材49Aとの接触を緩衝する緩衝部材52A,56Aを備える。緩衝部材52A,56Aは、前後方向に長手状の孔を形成する孔部53A,57Aを備える。尚、緩衝部材52A,56A(孔部53A,57A)の素材としては、ポリプロピレン等の樹脂を採用することができる。
【0025】
棒部材49Aは、規制部材50A、プランジャ42A、及び押し出し部43Aを上下方向に貫通することで、各部材に取り付けられており、プランジャ42が前後方向へ動くことで、前後方向に移動することができる。また、棒部材49Aは、上側規制部51A及び下側規制部55Aによって、その移動方向が規制される。具体的には、棒部材49Aは、孔部53A,57Aの孔に挿入されており、その軸方向を上下方向に保ったまま、前後方向に摺動可能とされる。
【0026】
押し出し部43Aは、中央やや右寄りの部分に位置する円柱状の支点部44Aと、支点部44Aよりも右側の部分であって棒部材49Aに取り付けられた力点部45Aと、支点部44Aよりも左側の部分の作用点部46Aと、を備える。また、押し出し部43Aは、棒部材49Aが前後方向に摺動して力点部45Aを動かすことで、作用点部46Aが支点部44Aを中心として回動するものとされる。尚、支点部44Aから力点部45Aの右側の端部までの距離は、支点部44Aから作用点部46Aの左側の端部までの距離よりも小さい。従って、てこの原理により、作用点部46Aは、力点部45Aに比して、動く速さが速く、その力が小さい。また、作用点部46A(図6参照)には、支点部44Aを中心として時計回りの方向に押し出し部43Aを付勢する付勢部材31が設けられている。さらに、力点部45A(図4参照)には、規制部材50Aと同様に、棒部材49Aが貫通する、左右方向に長手状の孔を形成する孔部を有する緩衝部材が備えられている。
【0027】
作用点部46Aは、閉位置にある右上側の扉13Aに当接する当接部47Aと、当接部47Aから支点部44Aに至るまで面状に広がる面状部48Aと、を備える。具体的には、当接部47Aは、左右方向を長手方向とする長板状をなし、閉位置にある右上側の扉13Aにおける庫内側(後側)の面と平行な面に配されている。図4及び図5に示すように、面状部48Aは、前後左右に広がる板状部分であって、支点部44Aが挿通された第1板部48A1と、上下左右に広がる板状部分であって、第1板部48A1の前端から立下り、当接部47Aをその下端部に配した第2板部48A2と、からなる。図5に示すように、第2板部48A2は、その右側の端部が、当接部47Aから上方に向かうほど、支点部44Aに重畳する位置まで右方に延伸した形をなす。
【0028】
続いて、図1図6及び図7を用いて右上開扉装置40Aが右上側の扉13Aを押し出す態様を説明する。図1に示すように、右上側の扉13Aが閉位置にある状態において、右上人感センサ64Aに作業者の手や腕などが接近すると、右上人感センサ64Aがこれを検知し、その検知信号が制御部70(図2参照)に送信される。このとき、図6に示すように、扉センサ63Aが、右上側の扉13Aが閉位置にあることを検知し、その検知信号が制御部70に送信される(もしくは、扉センサ63Aから信号が送信されないことで、右上側の扉13Aが閉位置にあることを制御部70が判断する)。当該信号を受信した制御部70は、右上開扉装置40Aを作動させる。尚、制御部70は、右上人感センサ64Aからの検知信号を受信した後に、作業者の手や腕などが離間し、所定時間経過後に右上開扉装置40Aを作動させるものとしてもよい。
【0029】
具体的には、右上側の扉13Aが閉位置にある状態において、右上開扉装置40Aが作動すると、ソレノイド41Aへの通電によってプランジャ42Aが後方へ移動し、ソレノイド41A内に吸着される。すると、図7に示すように、プランジャ42Aの前端部に取り付けられた棒部材49Aが、プランジャ42Aと共に後方へ移動する。このとき、棒部材49Aは、その軸方向を上下方向に保ったまま、孔部53A,57Aを摺動しながら後方へ移動し、力点部45Aを後方へ(上方から視た場合に、支点部44Aを中心として、反時計回りに)動かす。
【0030】
すると、作用点部46Aが前方へ(上方から視た場合に、支点部44Aを中心として反時計回りに)回動し、当接部47Aが、右上側の扉13Aを前方へ押し出す。そして、右上側の扉13Aは、閉位置から前方に(図3に示すように、上方から視た場合に、ヒンジピン16を中心として反時計回りに)回動し、開位置に移動する。このようにして、押し出し部43Aが回動して右上側の扉13Aを開放する。尚、右上側の扉13Aを開放した後は、付勢部材31が押し出し部43Aを後方に回動させ、棒部材49A及びプランジャ42Aが上記の動きを遡ることで、右上開扉装置40Aが作動する前の状態に戻る。
【0031】
続いて、右下開扉装置40C及び左下開扉装置40Dと、カバー部材90について説明する。図1及び図8に示すように、貯蔵庫本体11の底面をなす底面部18において、庫外側面(下面)における前側やや中央寄りには、右下人感センサ64Cを有する右下開扉装置40C及び左下人感センサ64Dを有する左下開扉装置40Dと、右下開扉装置40C及び左下開扉装置40Dとを庫外側(前下方)から覆う板状のカバー部材90と、が取り付けられている。尚、底面部18は、脚部19によって、冷却貯蔵庫10が設置された床(不図示)から所定間隔を空けて上方に配されている。そして、カバー部材90と当該床との間には、作業者の足が挿入することができる程度の間隔が設けられている。
【0032】
図9に示すように、右下開扉装置40Cは、プランジャ42C(可動鉄芯)ソレノイド41Cと、棒部材49Cと、押し出し部43Cと、規制部材50Cと、扉センサ63Cと、を備える。規制部材50Cは、孔部53C,57Cを有する緩衝部材52C,56Cを備える。そして、押し出し部43Cは、支点部44Cと、力点部45Cと、作用点部46Cと、を備える。作用点部46Cは、当接部47Cと、面状部48Cと、を備える。これらの構成は、右上開扉装置40A(図4から図7参照)の構成の上下を反転させた構成(上下対称のもの)と同様であり、その詳細の説明を省略する。また、右下開扉装置40Cが右上側の扉13Cを押し出す態様についても、右上開扉装置40Aが右上側の扉13Aを押し出す態様(図6及び図7参照)と同様であり、その詳細の説明を省略する。尚、左下開扉装置40Dは、右下開扉装置40Cと左右対称となる構成である。
【0033】
右下開扉装置40Cは、その右側の前端部分であって規制部材50Cの右前側において、前方へ延出した延出部80を有する。延出部80は、第1延出部81と、第1延出部81の上方において、第1延出部81に重畳する形で配された第2延出部82と、を有する。第1延出部81と第2延出部82は、左右方向を長手方向とする長板状をなし、その板面が水平方向に広がっている。第1延出部81には、右下人感センサ64Cが取り付けられている。右下人感センサ64Cは、第1延出部81の下面において、下方を向く形で配されている。
【0034】
図10及び図11に示すように、カバー部材90は、前面をなす前面部91と、左右の面をなす側面部92,92と、下面をなす下面部94と、を備えるとともに、これらによって囲まれた空間の左右側に、右下開扉装置40Cと、左下開扉装置40Dとを内包する。
【0035】
前面部91は、その上端が後方に折れ曲がった折れ曲がり部96を有する。折れ曲がり部96は、中央よりも左右側において、上下方向に開口する2つの押し出し部用開口部97,97を備える。押し出し部用開口部97,97の開口には、右下開扉装置40Cの押し出し部43Cと左下開扉装置40Dの押し出し部43Dとが挿入され、その当接部47C,47Dが、折れ曲がり部96の上方に突出している。そして、押し出し部用開口部97,97の開口の形状は、押し出し部43C,43Dが回動して、下側の扉13C,13Dを押し出すことが可能な形とされている。
【0036】
側面部92は、その前側において、上方に立ち上がる立ち上がり部93を備える。立ち上がり部93の後上側の縁部及び折れ曲がり部96の後側の縁部は、底面部18の前側に嵌合している(図1及び図8参照)。これにより、冷却貯蔵庫10の前方に立つ作業者がカバー部材90を足で蹴とばしたとしても、カバー部材90が後方にずれにくい。
【0037】
図12に示すように、下面部94の右上側及び左上側には、下方(紙面手前側)に開口する2つの下面部開口部95,95が設けられている。下面部開口部95,95の開口には、右下開扉装置40Cの右下人感センサ64Cと左下開扉装置40Dの左下人感センサ64Dとが挿入されている。人感センサ64C,64Dは、下面部94から下方へ突出しない位置(人感センサ64C,64Dの表面が下面部94と面一になる位置)に配されつつ、下面部開口部95,95の開口から下方に露出している。
【0038】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態における貯蔵庫10は、前方に開口する開口部14を有する箱状の貯蔵庫本体11と、貯蔵庫本体11に対して回動可能に取り付けられ、開口部14を開放する開位置と開口部14を閉じる閉位置との間で回動可能な扉13と、閉位置にある扉13を開位置側に押し出して回動させる開扉装置40と、人体の一部が接近したことを検知する人感センサ64と、人感センサ64からの検知信号を受けて開扉装置40を作動させる制御部70と、を備え、人感センサ64C,64Dは、貯蔵庫本体11の底面をなす底面部18の庫外側面における前側に配されている。
【0039】
このような貯蔵庫10によると、作業者が扉13C,13Dを開ける際は、足(つま先)を底面部18の下方(即ち、貯蔵庫10と床との間)に挿入することで、人感センサ64C,64Dに当該足の接近を検知させ、開扉装置40C,40Dを作動させて扉13C,13Dを開放させることができる。これにより、貯蔵物を持っている等により両手が塞がっている作業者であっても、貯蔵庫10の扉13C,13Dを開けることができ、作業効率が向上する。
【0040】
また、本実施形態では、底面部18の庫外側面における前側には、開扉装置40C,40Dが取り付けられ、開扉装置40Cは、前方へ延出した延出部80を有し、人感センサ64Cは、延出部80の下面において、下方を向く形で配されている。
【0041】
このような貯蔵庫10によると、人感センサ64Cが前方へ延出した延出部80に配されているので、作業者が扉13Cを開ける際は、足を奥まで(後方まで)挿入することなく、人感センサ64Cに当該足の接近を検知させることができる。よって、作業者がつま先で貯蔵庫10の扉13Cを開けやすくなる。また、人感センサ64Cは、延出部80の下面において、下方を向く形で配されているので、埃や水滴が人感センサ64Cの表面に溜まりにくく、その感度が低下しにくい。
【0042】
また、本実施形態では、延出部80は、第1延出部81と、第1延出部81の上方において、第1延出部81に重畳する形で配された第2延出部82と、を有し、人感センサ64Cは、第1延出部81の下面において、下方を向く形で配されている。
【0043】
このような貯蔵庫10によると、延出部80は、人感センサ64Cが配された第1延出部81の上方において、第1延出部81に重畳する形で配された第2延出部82を有するので、上方から降下する埃や滴る水滴を、第2延出部82の上面でとどめて、人感センサ64Cの表面に溜めにくくすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、底面部18の庫外側面における前側には、開扉装置40C,40Dと、開扉装置40Cと人感センサ64C,64Dとを覆うカバー部材90と、が取り付けられ、カバー部材90の下面をなす下面部94には、下方に開口する下面部開口部95が設けられ、人感センサ64C,64Dは、下面部開口部95から露出している。
【0045】
このような貯蔵庫10によると、作業者が扉13C,13Dを開けるために足を底面部18の下方に挿入する際に、開扉装置40C,40Dや人感センサ64C,64Dを蹴ってしまうことをカバー部材90で防ぐことができる。また、埃や水滴が多方向に移動して人感センサ64C,64Dの表面に溜まることを、カバー部材90で防ぐことができる。
【0046】
また、本実施形態における貯蔵庫10において、開扉装置40は、前後方向に動くプランジャ42を有するソレノイド41A,41Cと、プランジャ42に交わる形で取り付けられた棒状の棒部材49A,49Cと、棒部材49A,49Cに取り付けられ、プランジャ42が前後方向に動くことで、扉13を押し出して回動させる押し出し部43と、棒部材49A,49Cの移動方向を規制する規制部材50A,50Cと、を備え、規制部材50A,50Cは、棒部材49A,49Cとの接触を緩衝する緩衝部材52A,56A,52C,56Cを備え、緩衝部材52A,56A,52C,56Cは、前後方向に長手状をなす孔を形成する孔部53A,57A,53C,57Cを備え、棒部材49A,49Cは、孔部53A,57A,53C,57Cの孔に挿入されて前後方向に摺動可能とされている。
【0047】
このような貯蔵庫10によると、棒部材49A,49Cが摺動する速さや力を、孔部53A,57A,53C,57Cにおける長手状の孔によって調整することができる。例えば、孔部53A,57A,53C,57Cの孔を小さくすることで、棒部材49A,49Cを摺動しづらくしたり、棒部材49A,49Cが前後方向に摺動する距離を小さくしたりすることができる。すると、押し出し部43が扉13を押し出す速さや力を変化させて、扉13が回動する態様を調整することができる。また、例えば規制部材50A,50C全体を金属で形成して耐久性を向上させる一方、孔部53A,57A,53C,57Cを樹脂成形品からなる緩衝部材52A,56A,52C,56Cで形成することで、上記のような調整を成形品の交換で簡便に実現できる。
【0048】
また、本実施形態では、押し出し部43は、支点部44A,44Cと、棒部材49A,49Cに取り付けられた力点部45A,45Cと、支点部44A,44Cよりも、力点部45A,45Cに対して反対側に位置する作用点部46A,46Cと、を備え、棒部材49A,49Cが前後方向に摺動して力点部45A,45Cを動かすことで、作用点部46A,46Cが支点部44A,44Cを中心として回動するものとされ、作用点部46A,46Cは、閉位置にある扉13に当接し、当該作用点部46A,46Cの回動により扉13を押し出す当接部47A,47Cと、当接部47A,47Cから支点部44A,44Cに至るまで面状に広がる面状部48A,48Cと、を備える。
【0049】
このような貯蔵庫10によると、作用点部46A,46Cは、当接部47A,47Cから支点部44A,44Cに至るまで面状に広がる面状部48A,48Cを備えるので、作用点部46A,46Cから支点部44A,44Cまでの剛性を高めることができる。これにより、扉13を押し出す際に作用点部46A,46Cが折れ曲がったり破損したりすることを防ぐことができる。また、押し出し部43は、棒部材49A,49Cが前後方向に摺動して力点部45A,45Cを動かすことで、作用点部46A,46Cが支点部44A,44Cを中心として回動するものとされるので、てこの原理を利用して、作用点部46A,46Cが回動する速さや力を調整することができる。例えば、支点部44A,44Cから力点部45A,45Cまでの距離を、支点部44A,44Cから作用点部46A,46Cまでの距離よりも小さくすれば、作用点部46A,46Cが回動する速さを速くしつつ、その力を小さくすることができる。これにより、当接部47A,47Cが扉13を押し出す態様を調整することができる。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0051】
(1)上記実施形態では、貯蔵庫として冷却貯蔵庫を例示したが、これに限定されない。例えば、貯蔵庫として、ショーケース等を例示することができる。
【0052】
(2)上記実施形態では、制御部は、機械室の電装箱に収容されるものとしたが、これに限られない。例えば、制御部は、底面部の庫外側面や貯蔵庫本体の背面に配された部材に設けられていてもよい。
【0053】
(3)上記実施形態以外にも、押し出し部の構成は適宜変更可能である。上記実施形態では、支点部から力点部の端部までの距離は、支点部から作用点部の端部までの距離よりも小さいものとしたが、これに限られない。例えば、支点部から力点部の端部までの距離は、支点部から作用点部の端部までの距離よりも大きいものとしてもよい。その場合、てこの原理により、作用点部は、力点部に比して、動く速さが遅く、その力が大きくなる。
【符号の説明】
【0054】
10…冷却貯蔵庫(貯蔵庫)、11…貯蔵庫本体、13…扉、14…開口部、18…底面部、31…付勢部材、40…開扉装置、41A,41C…ソレノイド、42…プランジャ、43…押し出し部、44A,44C…支点部、45A,45C…力点部、46A,46C…作用点部、47A,47C…当接部、48A,48C…面状部、49A,49C…棒部材、50A,50C…規制部材、52A,56A,52C,56C…緩衝部材、53A,57A,53C,57C…孔部、64…人感センサ(センサ)、70…制御部、80…延出部、81…第1延出部、82…第2延出部、90…カバー部材、95…下面部開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12